説明

ゲーム装置及びゲームプログラム

【課題】オフラインゲームをゲーム装置単独で実行することが出来、オンラインゲームをゲーム装置を無線通信回線を介してサーバに接続した状態で行うことの出来る、ゲーム装置を提供する。
【解決手段】ゲームをオフラインゲームからオンラインゲームに切り換える、切り換え指令FNCを入力することの出来る入力手段4、切り換え指令FNCが入力された場合に、現在実行しているオフラインゲームの終了処理を行うと共に、オンラインゲームの開始処理を行う手段11、無線通信回線15を介してオンラインゲームを実行する手段13、オンラインゲームを実行している間の無線通信回線の電波通信状態を監視し、電波通信状態が悪化していると判断された場合に通信状態悪化信号SG1を出力する手段10、通信状態悪化信号がSG1出力された場合に、オンラインゲームの中断処理を実行し、オフラインゲームの再開処理を行う手段11からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置及びゲームプログラムに係わり、特に無線通信回線の通信品質を監視して、通信品質に応じてオンライン・オフラインを切り替えてゲームを行うことが可能な、ゲーム装置及びゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム装置によって行うオンラインゲームが知られている。また、最近、携帯型ゲーム装置(ここで言う、携帯型ゲーム装置とは、携帯可能で、ゲームをプレイすることの可能な装置を意味し、ゲームをプレイすることが可能な限り、ゲームプレイ専用装置の他に、ポータブルPC、携帯形型電話装置や携帯型音楽プレーヤなど、各種の携帯型ゲーム装置がある)でも、無線通信によりサーバに接続することで、オンラインゲームを楽しむことの可能なものが開発されている。
【0003】
また、オフラインゲームとオンラインゲームをプレイ可能なゲーム装置としては、例えば、特許文献1に示すものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−315967
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のゲーム装置は、据え置き型のゲーム装置であり、オフラインのゲーム中に、仮想空間内に設定されたオンライン移行領域にキャラクタが入ると、ゲーム装置とサーバが通信回線を介してオンラインで接続され、オンラインモードでゲームが実行され、キャラクタがオンライン領域外に出たところでオンライン接続が解除されて、サーバとの接続が解除され、ゲーム装置単独でゲームを実行するオフラインモードとなる。これは、単一のゲームシナリオ内でオンラインモードで行うシナリオ部分とオフラインモードで行うシナリオ部分を設け、それらをキャラクタの仮想空間内での位置に応じて切り替える方式である。こうした据え置き型のゲーム装置は、通常、固定通信回線を介してサーバに接続されることが多いので、その通信品質は一定の水準以上のレベルが保証され、オンラインモードでのゲームの進行も円滑に行うことが出来る。
【0006】
一方、最近では、携帯型ゲーム装置を用いて、該ゲーム装置とサーバを無線通信回線を介してオンラインで接続してオンラインモードでゲームをプレイすることも行われようとしている。しかし、無線通信回線の通信品質は、携帯型ゲーム装置がその動作場所が常に移動することが前提となっているので、携帯型ゲーム装置が地下街、地下鉄内、トンネルなどの電波状態の悪い場所に移動する可能性も高い。こうした場合、サーバとの通信品質が大幅に悪化する可能性があり、通信回線の切断によるゲームの中断現象が頻発し、ゲームの興趣が大幅に減殺され、携帯型ゲーム装置によるオンラインゲームの普及に障害となる可能性がある(もっとも、据え置き型のゲーム装置の場合でも、回線の故障やメンテナンス時などには通信品質が安定しない場合もある。)。
【0007】
本発明は、サーバとの無線通信回線による電波通信状態、即ち通信品質を監視し、通信品質が一定値以上の場合には、オンラインゲームをプレイすることが出来、更に通信品質が一定値以下となった場合には、オフラインゲームをプレイすることが出来るように制御する、ゲーム装置及びゲームプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点は、オフラインゲームプログラム(FGPR)に基づくオフラインゲームをゲーム装置(1)単独で実行することが出来、オンラインゲームプログラム(NGPR)に基づくオンラインゲームを前記ゲーム装置(1)を無線通信回線(15)を介してサーバ(17)に接続した状態で実行することの出来る、ゲーム装置(1)において、
現在プレイヤがプレイしているゲームを前記オフラインゲームからオンラインゲームに切り換える、切り換え指令(FNC)を入力することの出来る入力手段(4)を有し、
前記切り換え指令(FNC)が入力された場合に、現在実行しているオフラインゲームの終了処理を行うと共に、オンラインゲームの開始処理を行うオンライン切換制御手段(11)、
前記サーバ(17)と前記無線通信回線(15)を介して前記オンラインゲームを実行するオンラインゲーム進行制御手段(13)、
前記オンラインゲームを実行している間の前記無線通信回線の電波通信状態を監視し、該通信状態が前記オンラインゲームを継続することが困難な程度に悪化していると判断された場合に通信状態悪化信号(SG1)を出力する、通信状態判定手段(10)、
前記通信状態悪化信号が(SG1)出力された場合に、現在実行しているオンラインゲームの中断処理を実行し、前記オフラインゲームの再開処理を行うオフライン切り換え手段(11)、
を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の観点は、前記通信状態判定手段(10)は、前記オフラインゲームが再開された後においても、前記無線通信回線の電波通信状態を監視し、該電波通信状態が回復して前記オンラインゲームを再開することが可能な状態になった場合には通信状態改善信号(SG2)を出力することが出来、更に、
前記通信状態改善信号(SG2)が出力された場合に、現在実行しているオフラインゲームの中断処理を実行し、前記オンラインゲームの再開処理を行うオンライン切り換え手段(11)、
を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第32の観点は、前記オンライン切り換え手段(11)は、前記通信状態改善信号(SG2)が出力された場合に、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過しているか否かを判定する経過時間判定手段(11)有し、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過していない場合には、前記オンラインゲームの再開処理を延期する処理を行う、
ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第42の観点は、ゲームプログラムの一部を構成するオフラインゲームプログラム(FGPR)に基づくオフラインゲームをコンピュータ(1)単独で実行することが出来、サーバ側のオンラインゲームプログラム(NGPR)に基づくオンラインゲームを、前記コンピュータ(1)を無線通信回線を介してサーバに接続した状態で実行することの出来る、コンピュータ(1)において、
前記ゲームプログラムは、該コンピュータ(1)を、
現在プレイヤがプレイしているゲームを前記オフラインゲームからオンラインゲームに切り換える切り換え指令(FNC)が入力手段(4)から入力された場合に、現在実行しているオフラインゲームの終了処理を行うと共に、オンラインゲームの開始処理を行うオンライン切換制御手段(11)、
前記サーバ(17)と前記無線通信回線(15)を介して前記オンラインゲームを実行するオンラインゲーム進行制御手段(13)、
前記オンラインゲームを実行している間の前記無線通信回線の電波通信状態を監視し、該通信状態が前記オンラインゲームを継続することが困難な程度に悪化していると判断された場合に通信状態悪化信号(SG1)を出力する、通信状態判定手段(10)、
前記通信状態悪化信号(SG1)が出力された場合に、現在実行しているオンラインゲームの中断処理を実行し、前記オフラインゲームの再開処理を行うオフライン切り換え手段(11)、
として機能させることを特徴とする。
【0012】
本発明の第52の観点は、前記通信状態判定手段(10)は、前記オフラインゲームが再開された後においても、前記無線通信回線の電波通信状態を監視し、該電波通信状態が回復して前記オンラインゲームを再開することが可能な状態になった場合には通信状態改善信号(SG2)を出力することが出来、
更に、前記ゲームプログラムは、コンピュータを、
前記通信状態改善信号(SG2)が出力された場合に、現在実行しているオフラインゲームの中断処理を実行し、前記オンラインゲームの再開処理を行うオンライン切り換え手段(11)、
として機能させることを特徴とする。
【0013】
本発明の第62の観点は、前記オンラインゲーム切り換え手段(11)は、前記通信状態改善信号(SG2)が出力された場合に、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過しているか否かを判定する経過時間判定手段(11)を有し、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過していない場合には、前記オンラインゲームの再開処理を延期する処理を行う、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ゲーム装置1でオンラインゲームを実行している間は、通信状態判定手段(10)が無線通信回線の電波通信状態を監視し、通信状態がオンラインゲームを継続することが困難な程度に悪化していると判断された場合に通信状態悪化信号(SG1)を出力し、オフライン切り換え手段(11)が、現在実行しているオンラインゲームの中断処理を実行し、オフラインゲームの再開処理を行うので、サーバとの無線通信回線による電波通信状態、即ち通信品質を監視し、通信品質が一定値以上の場合には、オンラインゲームをプレイすることが出来、更に通信品質が一定値以下となった場合には、オフラインゲームをプレイすることが出来るように制御される。従って、オンラインゲームが通信品質の悪化で中断されたとしても、直ちにオフラインゲームが再開されるので、ストレスのないゲームプレイが可能となる。

【0015】
また、通信状態判定手段(10)は、オフラインゲームが再開された後においても、前記無線通信回線(15)の電波通信状態を監視し、該電波通信状態が回復して前記オンラインゲームを再開することが可能な状態になった場合には通信状態改善信号(SG2)を出力することが出来、オンライン切り換え手段(11)が、通信状態改善信号(SG2)が出力された場合に、現在実行しているオフラインゲームの中断処理を実行し、オンラインゲームの再開処理を行うので、通信品質が改善された際には、直ちにオンラインゲームをプレイすることが可能となる。
【0016】
また、経過時間判定手段(11)が、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過しているか否かを判定し、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過していない場合には、オンラインゲームの再開処理を延期する処理を行うので、ゲーム装置(1)で実行するゲームがオンラインゲームとオフラインゲームの間で頻繁に切り替えれれ、プレイヤが混乱してしまう事態が防止される。
【0017】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明が適用される携帯型ゲーム装置及びサーバの一例を示す制御ブロック図。
【図2】図2は、切り替え制御プログラムの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【0020】
図1はコンピュータを構成する、ゲーム装置としての携帯型ゲーム装置1を示している。携帯型ゲーム装置1は、携帯自在な大きさの本体2を有しており、本体2には、ディスプレイ3が配置されている。ディスプレイ3の表示面3aには、該表示面3aに積層される形で、公知のタッチパネル式の入力部4が、ユーザがディスプレイ3に表示されたボタンなどのグラフィックインターフェース(図示せず)を指先などで触ることで、所定のコマンドを入力することが可能なように設けられている。図1に示す携帯型ゲーム装置1の場合、殆どの入力はディスプレイ3の表示面3a、従って、入力部4を指でタッチすることで行なわれる構成となっている。
【0021】
本体2の内部には、図1に示すように、ゲーム装置1の制御系が格納されており、該制御系は主制御部5を有している。主制御部5には、バス線6を介して、プログラムメモリ7、オンラインゲーム進行制御部9,通信制御部10,ゲーム切換制御部11、データメモリ12,オンラインゲーム進行制御部13及び前述した入力部4,ディスプレイ3などが接続している。なお、これらの構成要素は、全て本体2に装備されており、プレーヤが本体2を携帯することで、携帯型ゲーム装置1を携帯することとなる。なお、図2に示すブロック図は、本発明に関係する部分のみを例示的に示したものであり、実際の携帯型ゲーム装置1の全ての構成を示すものではない。
【0022】
また、図1に示す携帯型ゲーム装置1は、実際にはコンピュータが、プログラムメモリ7等のメモリに格納されたゲームプログラムやその他の公知の制御プログラムを読み出して、実行することで、図示しないCPUやメモリが、マルチタスクにより時分割的に動作し、図1に示す各ブロックに示された機能を実行してゆくこととなる。しかし、携帯型ゲーム装置1を、各ブロックに対応したハードウエアで構成することも可能であり、また各ブロックを各ブロックに分散的に設けられたCPU又はMPUにより制御するように構成することも可能である。
【0023】
また、携帯型ゲーム装置1の通信制御部10は、無線通信回線15を介して、インターネットや電話網などの公衆通信回線16に接続されており、公衆通信回線16には、サーバ17の通信制御部19が接続している。サーバ17は、主制御部20を有しており、主制御部20にはバス線21を介してゲーム制御部22,前述の通信制御部19,データメモリ23及びID管理部25などが接続している。
【0024】
携帯型ゲーム装置1及びサーバ17は以上のような構成を有するので、ユーザがゲームを行なう場合には、図1に示すタッチパネル式入力部4を操作して、ゲームの開始を指令する。これを受けて主制御部5は、プログラムメモリ7からオフラインゲームプログラムFGPRを読み出して、該オフラインゲームプログラムFGPRに基づいて種々のゲーム画像を生成してディスプレイ3に表示し、それに対応する形でユーザに入力部4を介して適宜な制御コマンドを入力させる形でゲームを実行してゆく。
【0025】
このオフラインゲームプログラムFGPRは、オフライン、即ち携帯型ゲーム装置1をサーバ17に無線通信回線15を介して接続していない状態で、携帯型ゲーム装置1側で単独で実行することの出来るゲームであり、それ自体、独立したシナリオを有し、スタートからエンディングまで携帯型ゲーム装置だけでシナリオをプレイすることが可能である。なお、携帯型ゲーム装置1のオフラインゲームプログラムFGPRは、プログラムメモリ7に格納されたゲームプログラムGPROの一部であり、ゲームプログラムGPROには、オフラインゲームを携帯型ゲーム装置1で実行するためのオフラインゲームプログラムFGPRのほかに、後述するオンラインゲームを携帯型ゲーム装置1で実行するために端末側で必要な制御を行う、プログラムなどが含まれる。
【0026】
また、オフラインゲームプログラムFGPRは主制御部5を介して、ゲーム開始時又は開始後適宜な時点で、該オフラインゲームプログラムFGPR中に格納されたキャラクタ生成プログラムCGPを読み出して、ディスプレイ3を介してプレイヤに対して、現在実行しているオフラインゲームプログラムFGPRで使用するオフライン用キャラクタFCRと後述するオンラインゲームプログラムNGPRで使用するオンライン用キャラクタNCRを生成するように促す。
【0027】
これを受けてプレイヤは、キャラクタ生成プログラムCGPに従って公知の手法で、ディスプレイ3を見ながら入力部4を操作して、オフラインゲームプログラムFGPRで使用するオフライン用キャラクタFCRと後述するオンラインゲームプログラムNGPRで使用するオンライン用キャラクタNCRを生成する。生成されたオフライン用キャラクタFCRとオンライン用キャラクタNCRのデータは、キャラクタ生成プログラムCGPに基づいて主制御部5によりデータメモリ12に格納される。このオフライン用キャラクタFCRとオンライン用キャラクタNCRは、外見は異なるが(キャラクタの外観、色彩など、ディスプレイ3に表示される態様が異なることであり、外観が同一でも色彩が相違するなど、プレイヤが両者をディスプレイ3上で識別可能な限りどのような態様でもよい)、当該オフライン用キャラクタFCRとオンライン用キャラクタNCRが同一の個体であることを示す識別データを属性データとして所持しており、サーバ17側で、オンライン用キャラクタNCRの属性データを参照することで、当該オンライン用キャラクタNCRがどの携帯型ゲーム装置1のオフライン用キャラクタFCRに対応するかは直ちに判定することが出来るように構成されている。
【0028】
プレイヤは、自らが生成したオフライン用キャラクタFCRを携帯型ゲーム装置1内の適宜なメモリ内に生成された仮想空間内で操作して、オフラインゲームプログラムFGPRを実行してゆくが、オフラインゲームプログラムFGPRが所定のステップに達した時点、または、プレイヤが希望する任意の時点で、プレイヤは入力部4から、現在プレイヤがプレイしているゲームをオフラインゲームプログラムFGPRに基づくオフラインゲームから、サーバ17に接続してサーバ17の適宜なメモリに保存されたオンラインゲームプログラムNGPRに基づくオンラインゲームに切り換える、OFF−ON切り換え指令FNCを入力することが出来る。
【0029】
オフラインゲームプログラムFGPRは、入力部4からOFF−ON切り換え指令FCNが入力されると、主制御部5を介してゲーム切換制御部11がオフラインゲームプログラムFGPR内に格納されたゲーム切り換え制御プログラムGSCを読み出し、該ゲーム切り換え制御プログラムGSCに基づいて、携帯型ゲーム装置1で実行しているゲームを、それまでのオフラインゲームから、オンラインゲームプログラムNGPRによるオンラインゲームに切り換える制御を開始する。
【0030】
切り換え制御プログラムGSCは、図2に示すように、ステップS1で、プレイヤからOFF−ON切り換え指令FNCの入力が確認されると、ステップS2に入り、現在まで実行していたオフラインゲームの終了処理、具体的にはセーブデータの保存などを実行する。次に、切り換え制御プログラムGSCはステップS3に入り、主制御部5を介して通信制御部10に対して無線通信回線15,公衆通信回線16を介してサーバ17と接続する処理を行う。
【0031】
次に、切り換え制御プログラムGSCは、ステップS4に入り、主制御部5を介して、既にキャラクタ生成プログラムCGPにより生成され、データメモリ12に格納されているオンライン用キャラクタNCRのデータ(必要ならば、オフライン用キャラクタFCRのデータも)をサーバ17に送出する。サーバ17は、携帯型ゲーム装置1から送られてきたオンライン用キャラクタNCRのデータを通信制御部19を介してゲーム制御部22に送り、図示しないサーバ内のメモリに格納されたオンラインゲームプログラムNGPRに基づいて、携帯型ゲーム装置1がオンラインゲームで使用するオンライン用キャラクタNCRを生成する。
【0032】
切り換え制御プログラムGSCは、ステップS5に入り、主制御部5に対してオンラインゲームの開始を指令し、主制御部5は、オンラインゲーム進行制御13に対して、サーバ17側のオンラインゲームプログラムNGPRに基づいて、オンライン用キャラクタNCRによるゲームを開始するように指令し、オンラインゲーム進行制御13は、公知の手法でオンラインゲームプログラムNGPRに基づくオンラインゲームの制御を開始する。これにより、プレイヤは、携帯型ゲーム装置1でオンラインゲームプログラムNGPRに基づくオンラインゲームをプレイすることが出来る。
【0033】
なお、オフライン用キャラクタFCRとオンライン用キャラクタNCRは、外見は異なるように生成されているので、プレイヤはディスプレイ3に表示されるキャラクタFCR又はNCRの外観を見るだけで、現在自分がオンラインゲームをプレイしているのか、オフラインゲームをプレイしているのか容易に判断することが出来る。
【0034】
携帯型ゲーム装置1がオンラインゲームを実行している間は、携帯型ゲーム装置1とサーバ17は通信制御部10,無線通信回線15及び公衆通信回線16等を介して接続されているが、通信制御部10は、無線通信回線15の通信品質を常時監視し、携帯型ゲーム装置1のサーバ17との通信状態がオンラインゲームを継続することが困難な程度に悪化していないかどうかを定期的に判定する。これは、携帯型ゲーム装置1が、プレイヤにより携帯される形で使用されるために、プレイヤの周囲環境、即ちプレイヤが現在プレイしている場所の電波通信状態が、時間の経過と共に大幅に変動し、通信状態が悪化してオンラインゲームを継続できなくなる事態が生じる可能性が常に存在するからである。通信状態がオンラインゲームを継続できなくなると、当然のことながら、携帯型ゲーム装置1を用いたオンラインゲームは、プレイの途中で突然中断され、それまでオンラインゲームでプレイヤが取得した各種の経験値やアイテムなどのゲームデータが失われてしまう危険性がある。
【0035】
そこで、通信制御部10は、携帯型ゲーム装置1がサーバ17と無線通信回線15及び公衆通信回線16等を使用して通信を行ってオンラインゲームを行っている間は、常にその電波通信状態を監視し、電波通信状態が所定の閾値以下になり、オンラインゲームを継続することが困難な程度に悪化している(悪化の可能性が高い場合も含む)と判断された場合には、直ちにゲーム切換制御部11に対して、通信状態悪化信号SG1を出力する。これを受けて、ゲーム切換制御部11は、直ちにオンラインゲーム進行制御部13に対して現在進行しているオンラインゲームプログラムNGPRの実行を中断するように指令すると共に、現在プレイヤがプレイしているオンラインゲームに関するゲームデータの保存をサーバ17に対して要請するデータ保存信号S1をサーバ17に対して出力する。これを受けたサーバ17は、ID管理部25でデータ保存信号S1を出力した携帯型ゲーム装置1をデータ保存信号S1に含まれる携帯型ゲーム装置1の固有識別符号などから特定し、更にゲーム制御部22を介して、当該データ保存信号S1を出力した携帯型ゲーム装置1が実行していたオンラインゲームプログラムNGPRに関するゲームデータ(プレイヤが今回のサーバ接続により、オンラインゲームプログラムNGPRを実行してそれまでに得た経験値、アイテムなどのゲーム遂行上必要なデータ)をデータメモリ23に保存すると共に、当該携帯型ゲーム装置1との接続状態を解除して、当該携帯型ゲーム装置1で実行していたオンラインゲームの実行を中断する処理を行う。
【0036】
一方、携帯型ゲーム装置1側では、ゲーム切換制御部11が、携帯型ゲーム装置1で実行するゲームプログラムを、それまでのオンラインゲームプログラムNGPRからオフラインゲームプログラムFGPRに切り換える処理を行い、データメモリ12に格納されているオフラインゲームプログラムFGPRに関するセーブデータを読み出して、オフラインゲーム進行制御部9に対してオフラインゲームプログラムFGPRの再開を指令する。これを受けて、オフラインゲーム進行制御部9は、プログラムメモリ7に格納されたオフラインゲームプログラムFGPRを読み出して、セーブデータに基づいて前回の終了時点からオフラインゲームを再開する処理を行う。
【0037】
これにより、プレイヤは、オンラインゲームが中断されても、直ちにオフラインゲームが携帯型ゲーム装置1で実行されるので、携帯型ゲーム装置1で実行していたゲーム全体が中断されてしまい、オンラインゲームで得た経験値やアイテムなどの成果を無駄にすることなく、ゲームのプレイを継続することが出来る。なお、オフラインゲームプログラムFGPRに基づくオフラインゲームは、既に述べたように、それ自体、独立したシナリオを有し、スタートからエンディングまで携帯型ゲーム装置だけでプレイすることが可能なように構成されているので、プレイヤは違和感なく、オフラインゲームを再開することが出来る。
【0038】
なお、オンラインゲームからオフラインゲームへの切換処理は、今回説明したように、ゲーム切換制御部11が自動的に行う場合と、ゲーム切換制御部11により、ディスプレイ3の表示画面を一旦オフラインゲームの初期画面(スタート画面など)など適宜な告知画面に切り換え表示し、オンラインゲームの中断をプレイヤへ告知すると共にオフラインゲームを再開するか否かをプレイヤに問い合わせるように構成することも当然可能である。これにより、プレイヤがプレイしているゲームが唐突にオンラインゲームからオフラインゲームに切換えられ、プレイヤが違和感を覚えることを防止することが出来る。
【0039】
なお、オフラインゲームが再開されても、通信制御部10では、無線通信回線15の電波通信状態を常に監視し、電波通信状態が所定の閾値以上に回復し、オンラインゲームを再開することが可能な状態になった場合には、ゲーム切換制御部11に対して通信状態改善信号SG2を出力する。これを受けて、ゲーム切換制御部11では、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過しているか否かを判定し、所定時間経過していない場合には、オンラインゲームへの切換処理(再開処理)を直ちには行わず、当該所定時間経過(任意に設定可)するまで延期する処理を行う。これにより、携帯型ゲーム装置1側で実行するゲームがオンラインゲームとオフラインゲームの間で頻繁に切り替えれれ、プレイヤが混乱してしまう事態が防止される。なお、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過している場合には、ゲーム切換制御部11は、OFF−ON切り換え指令FNCを生成して、ゲーム切り換え制御プログラムGSCに基づくオンラインゲーム切換処理を実行し、既に述べた手順で、現在携帯型ゲーム装置1で実行しているオフラインゲームを中断する処理(終了処理)を実行し、それまでのオフラインゲームから、オンラインゲームプログラムNGPRによるオンラインゲームに切り換えるオンラインゲーム再開処理を行う。なお、オンラインゲームを再開する場合には、切り換え制御プログラムGSCのステップS4のオンライン用キャラクタNCRのデータの送付は、既に行われているので、当該ステップは実行されない。
【0040】
なお、本発明は、携帯型のゲーム装置に限らず、家庭用テレビ受像器などをディスプレイとして使用する、通常の据え置き型のゲーム装置にも適用することが出来る。
【符号の説明】
【0041】
1……携帯型ゲーム装置
4……入力手段(入力部)
10……通信状態判定手段(通信制御部)
11……オンライン切り換え手段、オフライン切り換え手段、経過時間判定手段(ゲーム切換制御部)
13……オンラインゲーム進行制御手段(オンラインゲーム進行制御部)
15……無線通信回線
17……サーバ
FNC……切り換え指令
SG1……通信状態悪化信号
SG2……通信状態改善信号
NGPR……オンラインゲームプログラム
FGPR……オフラインゲームプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフラインゲームプログラムに基づくオフラインゲームをゲーム装置単独で実行することが出来、オンラインゲームプログラムに基づくオンラインゲームを前記ゲーム装置を無線通信回線を介してサーバに接続した状態で実行することの出来る、ゲーム装置において、
現在プレイヤがプレイしているゲームを前記オフラインゲームからオンラインゲームに切り換える、切り換え指令を入力することの出来る入力手段を有し、
前記切り換え指令が入力された場合に、現在実行しているオフラインゲームの終了処理を行うと共に、オンラインゲームの開始処理を行うオンライン切換制御手段、
前記サーバと前記無線通信回線を介して前記オンラインゲームを実行するオンラインゲーム進行制御手段、
前記オンラインゲームを実行している間の前記無線通信回線の電波通信状態を監視し、該通信状態が前記オンラインゲームを継続することが困難な程度に悪化していると判断された場合に通信状態悪化信号を出力する、通信状態判定手段、
前記通信状態悪化信号が出力された場合に、現在実行しているオンラインゲームの中断処理を実行し、前記オフラインゲームの再開処理を行うオフライン切り換え手段、
を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記通信状態判定手段は、前記オフラインゲームが再開された後においても、前記無線通信回線の電波通信状態を監視し、該電波通信状態が回復して前記オンラインゲームを再開することが可能な状態になった場合には通信状態改善信号を出力することが出来、更に、
前記通信状態改善信号が出力された場合に、現在実行しているオフラインゲームの中断処理を実行し、前記オンラインゲームの再開処理を行うオンライン切り換え手段、
を有することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記オンラインゲーム切り換え手段は、前記通信状態改善信号が出力された場合に、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過しているか否かを判定する経過時間判定手段を有し、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過していない場合には、前記オンラインゲームの再開処理を延期する処理を行う、
ことを特徴とする請求項2記載のゲーム装置。
【請求項4】
ゲームプログラムの一部を構成するオフラインゲームプログラムに基づくオフラインゲームをコンピュータ単独で実行することが出来、サーバ側のオンラインゲームプログラムに基づくオンラインゲームを、前記コンピュータを無線通信回線を介してサーバに接続した状態で実行することの出来る、コンピュータにおいて、
前記ゲームプログラムは、該コンピュータを、
現在プレイヤがプレイしているゲームを前記オフラインゲームからオンラインゲームに切り換える切り換え指令が入力手段から入力された場合に、現在実行しているオフラインゲームの終了処理を行うと共に、オンラインゲームの開始処理を行うオンライン切換制御手段、
前記サーバと前記無線通信回線を介して前記オンラインゲームを実行するオンラインゲーム進行制御手段、
前記オンラインゲームを実行している間の前記無線通信回線の電波通信状態を監視し、該通信状態が前記オンラインゲームを継続することが困難な程度に悪化していると判断された場合に通信状態悪化信号を出力する、通信状態判定手段、
前記通信状態悪化信号が出力された場合に、現在実行しているオンラインゲームの中断処理を実行し、前記オフラインゲームの再開処理を行うオフライン切り換え手段、
として機能させるためのゲームプログラム。
【請求項5】
前記通信状態判定手段は、前記オフラインゲームが再開された後においても、前記無線通信回線の電波通信状態を監視し、該電波通信状態が回復して前記オンラインゲームを再開することが可能な状態になった場合には通信状態改善信号を出力することが出来、
更に、前記ゲームプログラムは、コンピュータを、
前記通信状態改善信号が出力された場合に、現在実行しているオフラインゲームの中断処理を実行し、前記オンラインゲームの再開処理を行うオンライン切り換え手段、
として機能させるための請求項4記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記オンラインゲーム切り換え手段は、前記通信状態改善信号が出力された場合に、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過しているか否かを判定する経過時間判定手段を有し、直前のオンラインゲームからオフラインゲームへの切換から所定時間経過していない場合には、前記オンラインゲームの再開処理を延期する処理を行う、
ことを特徴とする請求項5記載のゲームプログラム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−85834(P2012−85834A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235288(P2010−235288)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(308033283)株式会社スクウェア・エニックス (173)
【Fターム(参考)】