説明

ゲーム装置及びゲーム制御プログラム

【課題】選手キャラクタの守備位置の変更を、プレーヤの操作の手間を簡易にしつつも、細かな守備位置の調整を図れるゲーム装置及びゲーム制御プログラムを提供する。
【解決手段】各キャラクタ(C1〜C9)と、各キャラクタをゲーム上の役割に応じて分類した複数のグループとの対応関係を記憶するグループ情報記憶手段と、グループ毎に対応させて、予め前記画像表示部上にそれぞれ設けられた検知対象領域と、指示手段206による検知対象領域のいずれかへの接触に応じて、当該検知対象領域に対応するグループのキャラクタを、グループ情報記憶手段の情報に基づき特定して、接触された検知対象領域に関連する方向に向かって所定距離分、同時に移動させるキャラクタ移動手段と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間内におけるゲーム環境を設定する技術に関するもので、特に、ゲーム内に配置されたキャラクタやオブジェクトの初期位置をプレーヤが任意に変更できるシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の野球ゲームにおいて、守備側の選手キャラクタの守備位置をプレーヤが任意に変更できるものが知られている。即ち、現実の野球においては、強打者が打席に入ったときには、例えば外野手が予め外野フェンス側にバックして飛球があった場合の後逸等を避けようとするが、このような守備位置の変更をゲームでも実行可能にしたものである。特許文献1のものは、予め分割された複数のポジション毎に守備位置の変更可能な領域がそれぞれ決められており、プレーヤは、その領域内において、デフォルト位置にある各選手キャラクタをマス目単位で移動できるよう構成されているものである(図5、図6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−245985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示の守備位置の変更の方法では、個々のポジションについて、個別に選手を移動させる必要があり、例えば、単純に、外野全体を後退させたり、あるいは内野全体を前進させるというように、複数の選手キャラクタをまとめて移動させたい場合でも、個々に選手キャラクタを動かさなければならず、手間を要するといった課題がある。また、例えば携帯電話やスマートフォン等の比較的、モニタ画面が狭く、且つプレーヤが指で操作するような場合、個々のキャラクタを指で接触して動かすという操作自体が困難である。一方、従来のゲームには、守備位置の変更に関して、予め準備された代表的な複数の守備フォーメーションの中から1つを選択可能に構成したものもあるが(外野後退、外野前進、内野後退、内野前進、バントシフト等)、この場合、守備位置の複数パターンの中から1つを選択するだけであり、プレーヤによる任意の位置調整ができず、例えば、外野後退でも外野フェンス方向に大きくバックする、あるいは少しだけバックするといったプレーヤの要望に応じた細やかな調整を行うことはできないものであった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、特に接触入力式のゲーム装置を対象として、選手キャラクタの守備位置の変更を、プレーヤの操作の手間を簡易にしつつも、細かな守備位置の調整を図れるゲーム制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明によるゲーム装置は、接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間内での対戦ゲームを進行させるゲーム装置であって、前記対戦ゲームに登場する複数のキャラクタの初期位置を記憶する初期位置記憶手段と、前記初期位置の変更が可能な対象領域を記憶する可変領域記憶手段と、前記各キャラクタと、各キャラクタをゲーム上の役割に応じて分類した複数のグループとの対応関係を記憶するグループ情報記憶手段と、前記グループ毎に対応させて、予め前記画像表示部上にそれぞれ設けられた検知対象領域と、前記指示手段による前記検知対象領域のいずれかへの接触に応じて、当該検知対象領域に対応する前記グループのキャラクタを、前記グループ情報記憶手段の情報に基づき特定して、前記接触された検知対象領域に関連する方向に向かって所定距離分、同時に移動させるキャラクタ移動手段と、前記キャラクタ移動手段によって移動された各キャラクタの位置を記憶するゲーム開始位置記憶手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明によるゲームプログラムは、接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間内での対戦ゲームを進行させるゲーム制御プログラムであって、前記対戦ゲームに登場する複数のキャラクタの初期位置を記憶する初期位置記憶手段と、前記初期位置の変更が可能な対象領域を記憶する可変領域記憶手段と、前記各キャラクタと、各キャラクタをゲーム上の役割に応じて分類した複数のグループとの対応関係を記憶するグループ情報記憶手段と、前記グループ毎に対応させて、予め前記画像表示部上にそれぞれ設けられた検知対象領域のいずれかに対する前記指示手段の接触に応じて、当該検知対象領域に対応する前記グループのキャラクタを、前記グループ情報記憶手段の情報に基づき特定して、前記接触された検知対象領域に関連する方向に向かって所定距離分、同時に移動させるキャラクタ移動手段と、前記キャラクタ移動手段によって移動された各キャラクタの位置を記憶するゲーム開始位置記憶手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするものである。
【0008】
この構成によれば、ゲームの開始前におけるキャラクタの初期位置をプレーヤの戦略や好み等に応じて簡単に調整することができる。野球ゲームの守備の場合を例にとると、内野手、外野手および全野手のそれぞれのグループを構成する各選手キャラクタの初期位置を、グループ単位で移動調整できる。また、移動対象のグループおよび移動方向の選択は、画像表示部の該当箇所に直接、接触するだけで良く、極めて操作性に優れている。具体的には、例えばプレーヤが画像表示部に表示されているグラウンドの内、外野の上部に設けられた検知対象領域(不可視の所定領域とすることができる)に指で接触すると、外野の選手キャラクタ全員が同時に上方(外部フェンス側)に向かって移動する。このとき、内野手の選手キャラクタは動かない。移動量は指1回の接触で所定距離分のみ、移動するので、接触回数の調整によってプレーヤの所望の距離を移動させることができる。同様にして、外野の下部に設けられた検知対象領域に指で接触すると、外野の選手キャラクタ全員が同時に下方(内野側)に向かって移動する。上記のように、ここで示した2箇所の検知対象領域は外野の領域内に設けられており、プレーヤからすれば、要するに、外野の上方あるいは下方を押せば外野の選手キャラクタも、それに対応して上方または下方に動く、という位置の関係性を直感的に把握でき操作性が良い。加えて、個々の選手キャラクタに指で直接、接触して移動させることもないので、指自体に選手キャラクタが隠れてしまい視認性が低下することもない。以下、内野についても同様の操作を行うことで、内野手の選手キャラクタの初期位置を変更することができる。さらにまた、グラウンド外(内野および外野のさらに外)の上方に接触すると、この場合、内野および外野の全選手キャラクタが上方(外部フェンス側打者側)に向かって移動する。グラウンド外の下方に接触すると、内野および外野の全選手キャラクタが下方(打者側)に向かって移動する。なお、投手及び捕手は内野手には含まれず、固定のままである。
【0009】
以上のように、指で接触する画像表示部上の検知対象領域に対応するグループの選手キャラクタのみが、その指の方向に向かって同時に所定距離を移動し、しかもこのとき、各検知対象領域の上下左右の各部に接触すれば、選手キャラクタの移動もそれに対応して上下左右に移動する、という位置の関係性を直感的に把握できる構成なので、プレーヤは個々の選手キャラクタを移動させるという煩雑さもなく、直感的且つ容易に選手キャラクタの初期位置の変更を行うことができる。なお、選手キャラクタの移動方向は、簡易的には、表示画面の上下左右の4方向のみと限定するようにすればよいが、より精細な移動をさせるために、各選手キャラクタと指の接触点と結ぶライン上を移動するようにすることもできる。
【0010】
(2)前記可変領域記憶手段は移動可能な対象地点を前記キャラクタ毎に記憶し、且つ前記キャラクタ移動手段は、前記指示手段の前記画像表示部への接触1回当たりまたは所定の単位時間の接触に応じて、前記初期位置を基点として前記キャラクタの位置を順次、移動させるのが望ましい。
【0011】
この構成によれば、初期位置の変更可能な地点(範囲)をキャラクタ毎に記憶しているので、そのキャラクタが有する役割をゲーム上に適切に反映することができる。例えば野球ゲームの守備の場合、レフトの初期位置の変更可能な範囲については、センターに向かう領域を他の3方向よりも大きくするが、これは守備位置を変更するときに、他の方向に比べるとセンター寄りの方への移動距離が大きいことを想定したものである。従って、プレーヤが1回、画面に接触したときの選手キャラクタの移動距離についても、センター寄り(画面に向かって右側)に移動する距離も、他の3方に移動する距離よりも大きい。この他にも、以下のようなバリエーションも考えられる。例えば、1塁手、3塁手については、その変更可能な距離を外野側よりも打者側へ大きくとしておくことが考えられる(画像表示部で言えば、上方への変更可能な距離が短く、下方への変更可能な距離が長い)。この構成をとる理由は、これらの選手は例えば2塁手、遊撃手に比較して、バント等の小さな打撃に対して、より前進した位置で備える必要があるためである。もちろん、キャラクタ毎の移動可能な範囲については、上記はあくまで一例であり、この構成を必ずしも採用しなくても良く、その他、様々な設定とすることができる。なお、投手、捕手は初期位置の変更は不可とする(移動可能な地点はなし)。また、移動可能な地点は、視認性の点から画面上には表示しないのが望ましい(画面表示すると、ゲーム画面が見づらくなるため)。
【0012】
(3)前記移動可能な対象地点は、前記初期位置を中心として複数方向に延びるライン上に設定され、且つ前記各ラインは、キャラクタ毎に長さが個々に設定されることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、キャラクタの初期位置の変更のための移動ルートは、例えば初期位置を交点とする十字状のライン上に限定される。そして、初期位置から上下左右の4方向に向かう各ラインの長さは、そのキャラクタの役割に応じて設定している。例えば、前記(2)項で示した例を参照すると、ライト、レフトについては初期位置からセンター側(中央側)に延びるラインの長さを他の3方のラインよりも長く設定する。このように、移動ルートをライン上に設定する構成とすることにより、操作性が簡易になり、また、キャラクタの移動方向も限定されていることから、ゲーム開始前の位置設定を迅速且つ容易に行うことができる。さらに、各方向に延びるラインの長さをキャラクタの役割に応じて個々に設定しているので、初期位置の可動範囲が、現実の野球で想定されるような移動範囲に対応でき、リアル感の向上を図れるとともに、移動範囲を適切な領域に限定することができる。なお、ラインは十字以外にも初期位置を交点とする4本あるいは8本から構成するようにしてもよい。その場合は、移動方向を、初期位置と指の接触位置とを結ぶ直線とのなす角度が最も小さいラインを選択し、そのラインに沿って指の接触位置方向へ移動させるようにすればよい。
【0014】
(4)前記移動可能な対象地点は、前記初期位置を交点とする十字状のライン、およびこの十字を構成する両ラインに平行な複数のラインの各交点上に設定され、且つ前記各ラインは、キャラクタ毎に長さが個々に設定されることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、キャラクタの初期位置の変更のための移動ルートは、例えば碁盤目に類したラインとなる。但し、ラインで区切られる各マスは常に同一形状とは限らない。理由は、キャラクタの役割によって、プレーヤの1回の接触による移動距離も異なる場合があるので、そのときは初期位置を交点とする十字状のラインで分割される4領域のマスの大きさ、形状が各領域間で異なることになるからである。この構成では、(3)項の構成と比べると、十字状のライン上以外にも2次元的な移動が可能なので、初期位置の変更の自由度が非常に大きい。従って、本構成はゲーム開始前の位置設定が精細に要求される仕様の場合に用いて有用である。
【0016】
(5)前記対戦ゲームは野球を模したものとすることができ、前記複数のグループは内野手群、外野手群及び全野手群であり、指示手段であるプレーヤの指が画像表示部に表示される内野に設けられた検知対象領域に接触した場合には内野の内野手選手キャラクタのみが同時に移動し、外野に設けられた検知対象領域に接触した場合には外野の選手キャラクタのみが同時に移動し、外野および内野以外に設けられた検知対象領域に接触した場合には全野手のキャラクタ(投手及び捕手を除く)が同時に移動する。
【0017】
この構成によれば、守備側の選手キャラクタの守備位置の変更を簡易に、且つ細かに行える野球ゲームを実現できる。
【0018】
(6)対戦ゲームが野球を模したものであるときに、走者キャラクタがいる場合、前記走者キャラクタの出塁先の塁を守る選手キャラクタの、初期位置の変更可能な対象領域を、走者キャラクタがいない場合に比べて狭く限定するのが望ましい。
【0019】
この構成によれば、ゲーム上で出塁者がいる場合には、その塁を守る選手キャラクタは初期位置の再設定が可能な領域を狭くする。現実の野球においても、出塁者がいる場合には、あまり塁を離れず走者をタッチアウトにする機会を狙うといったケースが見られるが、このような状況をゲーム上に反映することができ、リアル感のあるゲーム設定を実現できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、選手キャラクタの守備位置の変更を、プレーヤの操作の手間を簡易にしつつも、細かな守備位置の調整を図れる接触入力式のゲーム装置およびゲーム制御プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態による携帯ゲーム機を示す図である。
【図2】前記携帯ゲーム機のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態によるゲーム画面を示す図である。
【図4】図3のゲームの一時停止状態(タイム画面)を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による守備シフト画面を示す図である。
【図6】(a)及び(b)は図5に続くゲーム画面の流れを示す図である。
【図7】(a)及び(b)は図6に続くゲーム画面の流れを示す図である。
【図8】(a)及び(b)は図7に続くゲーム画面の流れを示す図である。
【図9】(a)及び(b)は図8に続くゲーム画面の流れを示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による守備シフトを実行するためのモニタ上の検知対象領域を説明するための図である。
【図11】図10の検知対象領域と、移動される選手キャラクタ及びその移動方向の関係を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態による各選手キャラクタの可変領域を説明するための図である。
【図13】図12の可変領域を詳細に説明するための図である。
【図14】本発明の一実施形態によるゲーム装置の主要機能を説明するためのブロック図である。
【図15】本発明の一実施形態によるゲーム装置の守備シフト操作に関するフローチャートである。
【図16】本発明の他の実施形態による各選手キャラクタの可変領域を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔ゲーム装置の構成〕
図1は、本発明に係るゲームプログラムを適用しうるコンピュータの一例としての携帯ゲーム機1の外観図である。また、図2は、携帯ゲーム機1の一例としての制御ブロック図である。
【0023】
携帯ゲーム機1は、図1に示すように、主に、本体2と、液晶モニタ部3と、基本操作部4と、マイク5と、スピーカ6とを備えている。モニタ部3は、本体2に設けられており、液晶モニタ3aを有している。ここでは、たとえば、液晶モニタ3aが、静電接触入力式のモニタすなわちタッチパネル式のモニタになっている。この液晶モニタ3aでは、タッチパネルの表面全体に電界が形成されている。そして、この状態のタッチパネルの表面に、指示手段たとえば指や導電性を有するペン等を、接触させると、液晶表面の表面電荷が変化する。そして、この表面電荷の変化が捕捉され、タッチパネル上の指やペン等の位置が検出される。ここでは、投影型のタッチパネルが用いられており、このタッチパネルでは多点同時検出が可能である。
【0024】
基本操作部4は、ホームボタン4a、ボリュームポタン4b、およびスリープボタン4cを有している。ホームボタン4aは、本体2のタッチパネルの下部に設けられている。このホームボタン4aが押されると、ホーム画面が表示されたり、携帯ゲーム機1がスリープ状態から復帰したりする。ボリュームポタン4bは、本体2の側面上部に設けられている。このボリュームポタン4bの上部が押されると、音量が増加し、このボリュームポタン4bの下部が押されると、音量が減少する。スリープボタン4cは、本体2の上面に設けられている。このスリープボタン4cが押されると、携帯ゲーム機1がスリープ状態に移行する。
【0025】
マイク5は、音出力用のマイク5aと、音入力用のマイク5bとを有している。音出力用のマイク5aは、本体2のタッチパネルの上部に設けられている。ゲームを実行する時や、電話通信する時や、音楽を聞く時等には、この音出力用のマイク5aから音が出力される。音入力用のマイク5bは、本体2に内蔵されており、本体2の下面に出力口が設けられている。電話通信する時や録音を行う時等には、この音入力用のマイク5bから音声が入力される。
【0026】
スピーカ6は、本体2に内蔵されており、本体2の下面に出力口が設けられている。ゲームを実行する時や、音楽を聞く時や、録音を聞く時等には、このスピーカ6から音が出力される。なお、ゲーム機1には、イヤホンジャック等も設けられているが、これらについては説明を省略する。
【0027】
また、携帯ゲーム機1は、図2に示すように、主に、制御部すなわち制御装置10と、通信部16と、記憶装置17とを、内部に有している。制御装置10は、マイクロプロセッサを利用したCPU(Central Processing Unit)11と、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、画像処理回路14と、サウンド処理回路15と、を有している。これらは、バス16を介してそれぞれが接続されている。
【0028】
CPU11は、ゲームプログラムからの命令を解釈し、各種のデータ処理や制御を行う。ROM12は、ゲーム機1の基本的な制御(たとえば起動制御)に必要なプログラム等を格納する。RAM13は、CPU11に対する作業領域を確保する。画像処理回路14は、CPU11からの描画指示に応じてモニタ部3を制御して、液晶モニタ3aに所定の画像を表示する。また、画像処理回路14にはタッチ入力検出回路14aが含まれている。タッチパネルに指示手段たとえば指等を接触させたときに、接触信号がタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、接触位置がCPU11に認識される。また、液晶パネルに表示された対象物の位置において、タッチパネルに指示手段を接触させると、対象物の選択信号がタッチ入力検出回路14aからCPU11へと供給され、対象物がCPUに認識される。
【0029】
サウンド処理回路15は、CPU11からの発音指示に応じたアナログ音声信号を生成して、音出力用のマイク5aおよび/又はスピーカ6に出力する。また、音入力用のマイク5bから音が入力されたときに、アナログ音声信号をデジタル音声信号に変換する。
【0030】
通信部16は、ゲーム実行時にデータ通信するための通信機能や、携帯電話として通信するための通信機能等を有している。データ通信用の通信機能には、ローカルワイヤレスネットーワーク機能や、ワイヤレスLANによるインターネット接続機能等が、含まれている。
【0031】
通信部16は、通信制御回路20と通信インターフェイス21とを有している。通信制御回路20および通信インターフェイス21は、バス16を介してCPU11に接続されている。通信制御回路20および通信インターフェイス21は、CPU11からの命令に応じて、ゲーム機1をローカルワイヤレスネットーワーク又はワイヤレスLANによるインターネットに接続するための接続信号を制御し発信する。また、電話による通話時には、通信制御回路20および通信インターフェイス21は、CPU11からの命令に応じて、ゲーム機1を電話回線に接続するための接続信号を制御し発信する。
【0032】
記憶装置17は、本体2に内蔵されており、バス16に接続される。たとえば、記憶装置17には、記憶媒体としてのハードディスクやフラッシュメモリドライブ等が用いられる。なお、バス16と各要素との間には必要に応じてインターフェイス回路が介在しているが、ここではそれらの図示は省略した。
【0033】
以上のような構成のゲーム機1では、記憶装置17に格納されたゲームプログラムがロードされ、ロードされたゲームプログラムがCPU11で実行されることにより、プレーヤは様々なジャンルのゲームをモニタ部3上で遊戯することができる。また、通信制御回路20を介して、ワイヤレスネットワークにゲーム機1を接続したり、他のゲーム機と通信ケーブル等を介して接続したりすることで、他のゲーム機との間でデータのやり取りや対戦型のゲームを行うことができる。
【0034】
本ゲームシステムにおいて実行されるゲームは、たとえば野球ゲームである。野球ゲームを実行するためのゲームプログラムは図示しない記憶装置に格納されており、野球ゲームが実行されるときには、このゲームプログラムがRAM13にロードされ実行される。このようにして実行される野球ゲームでは、タッチパネル式の液晶モニタ3a(以下、モニタ3aと呼ぶ)に、指示手段たとえば指を接触させることにより、各種の命令が指示される。
【0035】
〔本発明を適用した野球ゲームの守備位置設定の説明〕
図3は、例えばスマートフォンのモニタに表示されるゲーム画面の例であり、本発明を野球ゲームにおける守備位置設定に適用した場合の一実施形態を説明するための図(初期状態)、図4及び、図5乃至図9の各(a)及び(b)はそれぞれ、図4に続く操作時の表示状態を説明するための図、図8は本発明で主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図であり、図2における制御装置10の一部に対応する。以下、図3乃至図7、及び図8を適宜、参照して説明する。なお、以下の実施形態では、プレーヤが守備側である場合を想定している。
【0036】
図3は投手キャラクタ100が打者キャラクタ101に対して、投球モーションを開始する前の状態を示している。102および103は、それぞれ投手キャラクタおよび打者キャラクタの名前を表示する欄である。ここでは、投手の名前はC1、打者の名前はC2としている。103の左端の数字は打者キャラクタC2の背番号を示している。また、同図には、走者がいる場合に表示される走者ウインドウ104が表示されている。この場合は、一塁に走者105がいることを示している。この図では表示されていないが、2塁走者、3塁走者がいる場合には、それぞれ、さらに別の走者ウインドウが画面上部の中央、左端に個々に表示される。また、スコアボード106が表示され、試合の得点状況、カウント等が示されている。また、画面左下にはタイムボタン107が表示されている。タイムボタン107は、対戦ゲームを一時停止するためのボタンである。即ち、図3のような試合中において、プレーヤが攻撃側の場合に、代打や代走を出したい、あるいはプレーヤが守備側の場合に、守備シフトを変更したいといった場合に、このタイムボタン107を押すことで対戦ゲームが一時中断され、タイム画面に遷移する。
【0037】
図4はこの遷移後のタイム画面110を示している。図4に示すように、タイム画面110には、「プレイ」ボタン111、「代打・代走」ボタン112、「守備シフト」ボタン113、「操作方法」ボタン114、「中断」ボタン115が表示されている。「プレイ」ボタン111は対戦ゲームを再開するためのボタンであり、例えば、同図中の他のボタンで所定の処理を行った後にタイム画面110に戻った際に押すことで、元の対戦ゲーム画面に戻ることができる。「代打・代走」ボタン112は、代打または代走を出したいときに、このボタンを押すことで、代打・代走の候補者の画面に遷移するものであるが、詳細は省略する。「守備シフト」ボタン113は本発明にかかるものであり、守備シフトを変更したいときにこのボタンを押すことで、後述するような守備シフト変更用の画面に遷移する。「操作方法」ボタン114はゲーム中での各ボタン操作やゲームの進行にかかる各種情報を報知するためのボタン、「中断」ボタン115は一旦、対戦ゲームを終了させるためのボタンである。タイム画面110に遷移する前の対戦にかかる情報はRAM13に記憶されており、次に、対戦ゲームを行うときにはRAM13に記憶されていた対戦情報が呼び出されて、試合を再開することができる。ここで、「守備シフト」ボタン114を押すと、図4のタイム画面から図5の守備シフト画面に遷移する。
【0038】
図5は、モニタ3a上に野球ゲームのグラウンド200が表示されている状態を示したものである。グラウンド200は外野201、内野202で構成されており、外野201および内野202の外側の部分をグラウンド外203と呼称する。また、守備側の選手キャラクタC1〜C9が表示されている。各々のポジションはC1がレフト、C2がセンター、C3がライト、C4が3塁手、C5が遊撃手、C6が2塁手、C7が1塁手、C8が投手、C9が捕手である。本構成では、上記選手キャラクタを下記の3グループに分類分けして、後記の通り、プレーヤによる選手キャラクタの初期位置の変更のための操作に利用している。即ち、外野手群(C1、C2、C3)、内野手群(C4、C5、C6、C7)、全野手群(C1〜C7のすべて)の3グループである。但し、投手キャラクタC7及び捕手キャラクタC8はこれらのグループに含まれない。また、同図中、204は守備位置を初期状態に戻すためのリセットボタン、205はタイム画面に戻るためのBACKボタンである。
【0039】
図6(a)及び(b)はそれぞれ、プレーヤが外野の選手キャラクタを外野フェンス側に段階的に移動させる状態を示す図である。図6(a)に示すように、プレーヤが指206(指示手段に相当)を外野201の上部(検知対象領域に相当、詳細を後述)に1回接触させると、選手キャラクタの内、外野手に対応する選手キャラクタC1、C2及びC3の3キャラタのみが、画面上方(外野フェンス側)に向かって同時に所定距離を移動する。個々の選手キャラクタが移動する所定距離は、各選手キャラクタのポジション(役割)に応じて決められている。その他の選手キャラクタC4〜C9は移動せず、固定のままである。次いで、図6(b)に示すように、プレーヤが再度、指206を外野201の上部に1回接触させると、選手キャラクタC1、C2及びC3の3キャラタのみが、さらに画面上方(外野フェンス側)に向かって上記と同じ所定距離を移動する。図面では省略しているが、以下、プレーヤの接触のたびに同様に選手キャラクタの移動が行われる。但し、後記の通り、この移動回数の上限は決められている。この実施形態では5回までとしており、それ以上の接触があっても移動は行われない。
【0040】
図7(a)及び(b)はそれぞれ、プレーヤが外野の選手キャラクタをライト側及びレフト側に移動させる状態を示す図である。図7(a)に示すように、プレーヤが指206(指示手段に相当)を外野201の右側(ライト側、検知対象領域に相当)に1回接触させると、選手キャラクタの内、外野手に対応する選手キャラクタC1、C2及びC3の3キャラタのみが、画面右側(ライト側)に向かって同時に、各々の選手キャラクタに予め設定された所定距離を移動する。また、図7(b)に示すように、プレーヤが指206を外野201の左側(レフト側、検知対象領域に相当)に1回接触させると、選手キャラクタの内、外野手に対応する選手キャラクタC1、C2及びC3の3キャラタのみが、画面左側(レフト側)に向かって同時に、各々の選手キャラクタに予め設定された所定距離を移動する。図7(a)及び(b)のいずれの場合も、プレーヤが接触を重ねる毎に所定距離の移動を繰り返す。
【0041】
図8(a)及び(b)はそれぞれ、プレーヤが外野及び内野の選手キャラクタを下側(打者側)に移動させる状態を示す図である。図8(a)に示すように、プレーヤが指206を外野201の下側(2塁側、検知対象領域に相当)に1回接触させると、選手キャラクタの内、外野手に対応する選手キャラクタC1、C2及びC3の3キャラタのみが、画面下側(2塁側)に向かって同時に、各々の選手キャラクタに予め設定された所定距離を移動する。また、図8(b)に示すように、プレーヤが指206を内野202の下側(打者側、検知対象領域に相当)に1回接触させると、選手キャラクタの内、外野手に対応する選手キャラクタC4、C5、C6及びC7の4キャラタのみが、画面下側(打者側)に向かって同時に、各々の選手キャラクタに予め設定された所定距離を移動する。
【0042】
図9(a)及び(b)はそれぞれ、プレーヤが投手キャラクタと捕手キャラクタを除く全ての外野及び内野の選手キャラクタを上側(外野フェンス側)及び打者側に移動させる状態を示す図である。図9(a)に示すように、プレーヤが指206をグラウンド外203の上側(検知対象領域に相当)に1回接触させると、投手キャラクタC8と捕手キャラクタC9を除く全ての外野及び内野の選手キャラクタC1〜C7が、画面上側に向かって同時に、各々の選手キャラクタに予め設定された所定距離を移動する。また、図9(b)に示すように、プレーヤが指206をグラウンド外203の下側(検知対象領域に相当)に1回接触させると、同様に投手キャラクタC8と捕手キャラクタC9を除く全ての外野及び内野の選手キャラクタC1〜C7が、画面下側に向かって同時に、各々の選手キャラクタに予め設定された所定距離を移動する。
【0043】
以上のように、検知対象領域は各領域内の上下左右の端部に設けられており、要するに、上下左右のいずれかの検知対象領域に接触することで、その検知対象領域に関連する選手キャラクタのみがその接触に対応して上下左右に移動するので、プレーヤからすれば、検知対象領域と選手キャラクタの移動方向の関係性を直感的に容易に把握でき、操作性に優れている。加えて、個々の選手キャラクタに指で直接、接触して移動させることもないので、指自体に選手キャラクタが隠れてしまい視認性が低下することもない。
【0044】
なお、図5乃至図9で示した選手キャラクタの移動は、一例として各々一方向のみの動きを示したものであるが、実際にプレーヤが守備位置の調整を行う場合には、ある方向に3回接触した後に、動かせ過ぎたと判断して逆方向に1回移動させる、あるいは外野の選手キャラクタについては3回の接触による後退を行い、引き続き、内野の選手キャラクタについては1回のみの接触による後退を行う等、様々な組合せによる調整が可能である。また、様々な組合せを行った結果、当初のイメージ通りに守備位置を調整できなかった場合や、調整途中で混乱した場合には、リセットボタン204を押すことで、守備にかかる全選手キャラクタの位置を、移動前の初期位置であるデフォルト状態の守備位置に戻すことができる。ところで、上記図5乃至図9の通り、プレーヤは各領域の上下左右の位置(検知対象領域に相当)に指206を接触させることで、その各領域に予め対応付けておいたグループ(内野手群か、外野手群か、全野手群か)に属する選手キャラクタのみを同時に移動させるようにしているが、これらの移動を実行させるための検知対象領域となる指の接触検知の対象領域も事前に決められている。
【0045】
図10は上記の接触検知の対象領域を示した図であり、外野、内野、グラウンド外にそれぞれに対応する検知対象領域(検知対象領域に相当、以下、検知対象領域で説明する)が予め定められている。外野201については、上下左右の検知対象領域としてA1、A2、A3及びA4が設けられている。図に示す通り、外野を構成する斜めの位置については検知対象領域を設けていない(図中、空白部)。これは、図12及び図13で後述するが、この実施形態では選手キャラクタの移動方向をシンプルに上下左右の動きにしていることと整合させるためである。即ち、プレーヤの指206が検知対象領域A1に接触したと検知された場合には、外野の全選手キャラクタは上方に、検知対象領域A2に接触したと検知された場合には、外野の全選手キャラクタは下方に、検知対象領域A3に接触したと検知された場合には、外野の全選手キャラクタは左方向に、そして、検知対象領域A4に接触したと検知された場合には、外野の全選手キャラクタは右方向に移動する。そして、プレーヤの指が外野の斜めの位置に接触したときには選手キャラクタを移動させず、指の接触位置と選手キャラクタの移動方向との関連付けを明確にすることで、ゲームとしての操作性を分かり易くしている。また、各検知対象領域間には距離を設けておき、プレーヤの指が2つの検知対象領域に同時に簡単に接触しないようにしている。なお、複数の検知対象領域で同時に接触が検知された場合には、その接触は行われなかったものとして無視するようにしている。
【0046】
外野201と同様、内野202についても、図10に示す通り、領域の上下左右の位置に検知対象領域A5、A6、A7及びA8を設けている。さらに、グラウンド外203については、その領域の上下部にそれぞれ、検知対象領域A9、A10を設けている。
【0047】
図11は上述した、A1乃至A10の検知対象領域と、個々の検知領域に接触したときに移動させる選手キャラクタのグループ及び移動方向との関係を示した表である。また、上記図5乃至図9で説明の通り、プレーヤの指の1回の接触毎に、各選手キャラクタは予め設定された所定距離を移動する。この点について、図12を参照して説明する。
【0048】
図12は各選手キャラクタの移動前の初期位置からの移動可能範囲(可変領域範囲)を示した図である。D1、D2、D3はそれぞれレフト、センター及びライトのポジションにおける初期位置の移動可能範囲を示すものである。十字の交差点が移動前のデフォルト状態の初期位置であり、この点を中心として上下左右に移動可能範囲が示されている。各方向はそれぞれ均等に5分割に刻まれているが、この刻み(変更可能地点に相当)が1回の接触で移動する距離である。ここで、十字の四方に延びる各長さおよび刻みは各ポジションによって異なる設定がされているが、これはそのポジションの選手の守備範囲の大小の違いを反映させたものである。拡大図を用いてさらに詳細に説明する。
【0049】
図13(a)、(b)及び(c)はそれぞれ、上記の移動可能範囲D1、D2、D3の拡大図である。図13(a)に示すように、例えばレフトの移動可能範囲D1は、センターに向かうラインL1が他の3方のラインL2よりも長くなっているが、これは守備位置を変更するときに、他の方向に比べるとセンター寄りの方への移動距離が大きいことを想定したものである。従って、プレーヤが1回、画面に接触したときの選手キャラクタの移動距離についても、センター寄り(画面に向かって右側)に移動する距離L10の方が他の3方に移動する距離L20よりも大きい。なお、この移動距離の相違は一例であり、ゲーム性によって様々なバリエーションを取り得るし、あるいはチームによって変更するようにすることも可能である。また、図13(b)に示すように、センターの移動可能範囲D2については4方に向かうラインをいずれも同じ長さとしている。図13(c)に示すように、ライトの移動可能範囲D3については、レフトの移動可能範囲D1を左右反転させた形状となっている。ここではD1〜D3をとりあげて説明したが、他のD4、D5、D6、D7も同様であるので、説明は省略する。
【0050】
図12に戻り、D4、D5、D6、D7はそれぞれ、3塁手、遊撃手、2塁手、1塁手の初期位置の移動可能範囲を示している。D8及びD9は、投手及び保守のポジションであるので、固定位置としている。図9から明らかなように、D1〜D7の各移動範囲の大きさや、上下左右の移動可能範囲はポジション毎によって個別に設定されており、プレーヤの画面接触に応じて各々の選手キャラクタの移動距離は異なる場合がある。従って、プレーヤの検知対象領域への1回の接触によって、同時に複数の選手キャラクタを移動させる構成でありながら、個々の選手キャラクタの移動距離は個別に設定されているので、画一的な移動ではなく、そのポジションに応じた適切な初期位置変更が行われる。
【0051】
なお、上記実施形態では、選手キャラクタの初期位置の移動は、プレーヤの指206の1回の接触毎に行う例を示したが、他の例として、単位時間当たりに所定距離を移動するようにしてもよい。例えば、1秒単位で所定距離を移動するようにしておき、3秒間連続して接触した場合には所定距離の3倍の距離を移動するものとすればよい。また、移動可能範囲D1〜D7の内、D4、D6及びD7については、それぞれの守備する塁に走者がいる場合には、その移動可能範囲の位置及び範囲を変更するようにしてもよい。この理由は、現実の野球においても、走者がいる場合には、その走者の出塁している塁を守る野手は塁から大きく離れて守備をすることはないためである。この構成をとることにより、よりリアル感があり、また守備を適正に行える守備シフトをとることができる。具体的な例として、例えば2塁に走者がいるときに強打者を迎え、全体的に後退守備をとりたいときに、図3の試合画面から図4に示すタイム画面を介して、図5の守備シフト画面に遷移したときに、2塁を守る2塁手に対応するD6の移動可能範囲の位置を、走者がいないときに比べて2塁に近接させ、且つ4方向に延びるラインの長さも、走者がいないときに比べて短く設定しておく。
【0052】
以上の流れを図14の機能ブロック図を参照して説明する。本発明で主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図であり、図2における制御装置10の一部に対応する。ここでは、図6(a)及び(b)の例を取り上げて説明する。まず、本実施形態の構成においては、各選手キャラクタのデフォルト状態における初期位置を記憶している初期位置記憶手段300を備えている。また、各選手キャラクタがデフォルト状態における初期位置から、どの範囲まで初期位置を変更できるのかを記憶する可変領域記憶手段301を備えている。可変領域記憶手段301はさらに、図10で説明したような、選手キャラクタ毎の移動可能範囲および1回毎の移動地点を記憶する可変地点記憶手段302を備えている。ここで、可変領域記憶手段301及び可変地点記憶手段302は、塁に走者が出塁していないときと、出塁しているときの2種類のデータを記憶している。出塁しているときのデータは、内野手群のC4(3塁手)、C6(2塁手)及びC7(3塁手)に関するデータである。各塁に出塁しているときに、各々、出塁が無いときに比べてより塁に近い箇所で、且つ、狭い移動可能範囲のデータが採用される。走者の有無及びどの塁に走者がいるかの情報は、後述するゲーム状況認識手段309に記憶されている。
【0053】
また、グループ情報記憶手段303は、検知対象領域A1〜A10の各領域に指が接触したときにそれぞれ移動させる対象の選手キャラクタのグループ及びその移動方向を記憶する。ここで、グループとはゲーム上の役割に応じて分類した集合であり、具体的には、図11で前述した外野手群(C1、C2、C3)、内野手群(C4、C5、C6、C7)、全野手群(C1〜C7のすべて)の3グループである。この状態において、プレーヤが図5に示されたデフォルト状態の守備位置から、外野の選手キャラクタを後方(外野フェンス側)に後退させたいと考える場合には、指206を外野201の上方に接触する。すると、タッチ入力検出回路14aにおいて検出された指206の接触位置の座標の情報に基づき、接触領域判別手段304において、モニタ画面3aのどの領域に接触があったのかが認識される。具体的には、接触領域判別手段304には、図10の検知対象の領域A1〜A10の各領域の座標を記憶している位置変更手段305が含まれており、この位置変更手段305の情報に基づいて、いずれの領域が接触されたかが判別される。なお、接触領域判別手段304には、選手キャラクタの位置を初期状態にリセットするリセット手段306も含まれているが、この点については後述する。
【0054】
ここで、例えば複数の領域が同時に接触されていると認識される場合には、接触領域判別手段305は接触がなかったものと判断する。この理由は、プレーヤの指が複数の検知対象領域に接触、例えば、外野の下側のA2領域と内野の上側のA5領域に同時に接触していると考えられるので、このようなあいまいな状態で、いずれかの選手キャラクタを移動させてしまうと、プレーヤの意図と異なった操作を行ってしまう可能性があるためである。そこで、あえていずれの領域の選手キャラクタも動かさないことで、プレーヤに再度、接触し直させるようにしている。
【0055】
接触領域判別手段304によって、プレーヤの指206が接触した検知対象領域が判別されると(今の例の場合、検知対象領域A1)、キャラクタ移動手段307は、図6での説明の通り、外野の全選手キャラクタを上方(外野フェンス側)に向かって同時に移動させる信号を画像処理回路14に送り、画像処理回路14では選手キャラクタの動きをモニタ部3の液晶モニタ3a上に表示する(以下、主に各手段間の信号の授受を記載し、液晶モニタ3a上への表示については割愛するが、キャラクタの移動動作についてはキャラクタ移動手段308から送られる信号に基いて表示が行われる)。ここで、移動する位置は、デフォルト状態の初期位置を基点として、可変領域記憶手段301の可能地点記憶手段302のデータに基づき設定される。なお、可変地点記憶手段302は、図12に示す選手キャラクタ毎の移動可能な地点の座標を記憶しており、外野の全選手キャラクタの移動は同時に行われるものの、個々の移動距離はポジションによって異なる場合がある。移動後の各選手キャラクタの位置(座標)は、ゲーム開始位置記憶手段308に記憶される。このゲーム開始位置記憶手段308への記憶は選手キャラクタの移動の度に行われるので、キャラクタ移動手段307はプレーヤによる検知対象領域への接触がある毎に、ゲーム開始位置記憶手段308で記憶されている最新の位置を認識して、そこからの移動を行う。また、移動開始前においては、ゲーム開始位置記憶手段308には各選手キャラクタのデフォルト状態の位置が記憶されている。従って、選手キャラクタの位置の確認について、キャラクタ移動手段307は常にゲーム開始位置記憶手段308の情報を確認すればよい。なお、移動の限界の地点は、可変地点記憶手段302によって記憶されているので、既に選手キャラクタがその地点に到達している場合は、キャラクタ移動手段307は同方向へ移動させる接触があっても選手キャラクタの移動は行わない。
【0056】
ゲーム状況認識手段309は、出塁者の有無及びどの塁に走者がいるのかを、同図には示していないCPUからの情報に基づき記憶する。そして、例えば、CPUから新たに1塁に出塁があったとの情報を受けた場合に、ゲーム状況認識手段309は可変領域記憶手段301及び可変地点記憶手段302に記憶されている1塁に走者がいるときのデータを読み出し、1塁手を1塁に近づけるようキャラクタ移動手段307に指示を出す。それと同時に、変更後の1塁手の位置をゲーム開始位置記憶手段308に記憶する。このとき、ゲーム開始位置記憶手段308には、新たな1塁手の位置とともに、走者がいるときの可変領域及び可変地点のデータが記憶されるので、プレーヤが守備シフトを行う場合には、このデータが適用される。具体的には、走者がいるときの初期位置変更可能な領域は、走者がいないときに比べて狭く限定している。なお、1塁走者が2塁に進塁した場合には、ゲーム状況認識手段309はCPUからの情報に基づき、上記と同様にして、2塁手の位置及び守備シフト時の移動可能領域に関するデータを、走者がいる場合のものに変更し、且つ1塁手の位置及び守備シフト時の移動可能領域に関するデータを元の状態に戻す。
【0057】
ところで、選手キャラクタの移動は、例えば、プレーヤがある方向に3回接触した後に、動かせ過ぎたと判断して逆方向に1回移動させる、あるいは外野の選手キャラクタについては3回の接触による後退を行い、引き続き、内野の選手キャラクタについては1回のみの接触による後退を行う等、様々な組合せによる調整が可能である。しかし、様々な組合せを行った結果、当初のイメージ通りに守備位置を調整できなかった場合や、調整途中で混乱した場合に、プレーヤがリセットボタン204を押すと、その入力がタッチ入力検出回路14aで検出され、リセット手段306に信号を送信する。これを受けて、リセット手段306は、初期位置記憶手段300から全選手キャラクタの初期状態(デフォルト状態)の位置情報を確認し、キャラクタ移動手段307にキャラクタ位置を初期状態に戻すよう指示を送る。さらに、ゲーム開始位置記憶手段308に記憶されている各キャラクタの位置を初期状態の位置に更新する。
【0058】
図15は、本発明の一実施形態によるゲーム装置における野球ゲームの守備位置設定の処理を示したフローチャートである。以下、守備位置設定処理の各ステップについて説明するが、適宜、図3乃至図9のゲーム画面、図14の機能ブロック図を参照する。まず、ステップS1は、図3の試合画面から遷移した図4のTIME画面を経て、図5の守備画面に遷移した時点のタイミングを示している。ここで、プレーヤの指が検知対象領域A1〜A10のいずれかに接触した場合には(ステップS2でYES)、キャラクタ移動手段307は、その指が接触した領域が含まれるグループ(内野手群か、外野手群か、全野手群か)に含まれる選手キャラクタの位置を現在位置記憶手段308の情報に基づき認識する(ステップS3)。例えば、プレーヤの指が検知対象領域A1に接触した場合であれば、その検知対象領域A1は外野に属するので、外野群に含まれる選手キャラクタC1、C2、C3の現在位置を認識する。次いで、キャラクタ移動手段308は、上記の各選手キャラクタが移動の限界の地点にまで達しているか否かを、可変地点記憶手段302のデータと現在の位置とを比較して判断する(ステップS4)。上記の例で説明すると、外野の選手キャラクタC1〜C3が、図12及び図13に示す5つの刻みの最端部にまで達しているか否かを判断し、既に最端部にまで達している場合には(ステップS4でYES)、それ以上、その方向に向かっては移動できないので、選手キャラクタの移動は行わず、プレーヤの指の接触の有無判断の待機(ステップS2)に戻る。ステップS2に戻るのは、プレーヤが別操作で逆方向に向かって選手キャラクタを移動させたり、他の領域(例えば内野)の選手キャラクタを移動させる可能性があるからである。外野の選手キャラクタC1〜C3が最端部にまで達していない場合には(ステップS4でNO)、キャラクタ移動手段308が、これらのキャラクタを現在の位置から図12及び図13に示す1刻み分、移動させる(ステップS5)と同時に、移動後のキャラクタの位置をゲーム開始位置記憶手段308に記憶させる(ステップS6)。ステップ6の後、ステップS10に移動するが、ステップS10以降については後記する(TIME画面に戻るか、ボタン入力の待機かになる)。
【0059】
ステップS2に移り、プレーヤの指がいずれの検知対象領域にも接触していない場合には(ステップS2でNO)、リセットボタン204に接触していないかを判断する(ステップS7)。接触している場合には(ステップS7でYES)、リセット手段306は、初期位置記憶手段300から全選手キャラクタの初期状態の位置情報を確認し、この情報をキャラクタ移動手段307に送り、全選手キャラクタの位置を初期状態に戻す(ステップS8)。さらに、リセット手段306は、ゲーム開始位置記憶手段308の全選手キャラクタの位置情報を初期状態の位置情報に更新する(ステップS9)。ステップ6の後、ステップS10に移動するが、ステップS10以降については下記する(TIME画面に戻るか、ボタン入力の待機かになる)。プレーヤの指がリセットボタン204にも接触していない場合には(ステップS7でNO)、BACKボタン205に接触していないかを判断する(ステップS10)。BACKボタン205に接触している場合は(ステップS10でYES)、TIME画面に遷移する(ステップS11)。BACKボタン205に接触していない場合は(ステップS10でNO)、ステップS2に移り、ボタン入力の待機となる。
【0060】
〔本発明を適用した野球ゲームの他の形態による守備位置設定例〕
上記実施形態では、各選手キャラクタの移動方向は、簡易な操作性を確保するために、図12及び図13に示すように、上下左右の4方向のみとしていたが、他の例として、さらに細かく設定する仕様にすることも可能である。図16はその例を示す図であり、図13と同様、キャラクタの初期位置の可変地点のみを示したものである。図から明らかなように、本実施形態において移動可能な対象地点は、初期位置P0を交点とする十字状のラインLh、Lvおよびこの十字を構成する両ラインに平行な複数のラインLの各交点P上に設定されている。図ではラインLと交点Pを1箇所のみ引き出し線で示しており、他は省略している。この構成において、プレーヤが選手キャラクタを初期位置P0から移動させる一例を示すと、プレーヤが選手キャラクタを上方に向けて2回移動させてP1に移動させ、次いで、右方向に向けて2回移動させてP2に移動させることができる。この構成であれば、図16に示す全ての交点上に選手キャラクタを移動できるので、図12及び図13に示す図面の構成に比べて、より細かなゲーム開始位置の設定を行える。
【0061】
なお、本実施形態においては、野球ゲームを例にとり説明したが、ゲーム開始前におけるキャラクタの位置を変更できるようなゲームであれば、他にも適用可能である。例えば、サッカー、バレーボール、バスケットボール等のゲームに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、キャラクタの初期位置の変更を、簡易且つ細かに調整できるゲーム装置及びゲーム制御プログラムに関するものである。
【符号の説明】
【0063】
206 指(指示手段)
300 初期位置記憶手段
301 可変領域記憶手段
302 可変地点記憶手段
303 グループ情報記憶手段
307 キャラクタ移動手段
308 ゲーム開始位置記憶手段
3a モニタ(画像表示部)
A1〜A9 検知対象領域
C1〜C9 選手キャラクタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間内での対戦ゲームを進行させるゲーム装置であって、
前記対戦ゲームに登場する複数のキャラクタの初期位置を記憶する初期位置記憶手段と、
前記初期位置の変更が可能な対象領域を記憶する可変領域記憶手段と、
前記各キャラクタと、各キャラクタをゲーム上の役割に応じて分類した複数のグループとの対応関係を記憶するグループ情報記憶手段と、
前記グループ毎に対応させて、予め前記画像表示部上にそれぞれ設けられた検知対象領域と、
前記指示手段による前記検知対象領域のいずれかへの接触に応じて、当該検知対象領域に対応する前記グループのキャラクタを、前記グループ情報記憶手段の情報に基づき特定して、前記接触された検知対象領域に関連する方向に向かって所定距離分、同時に移動させるキャラクタ移動手段と、
前記キャラクタ移動手段によって移動された各キャラクタの位置を記憶するゲーム開始位置記憶手段と、
を備えたことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記可変領域記憶手段は移動可能な対象地点を前記キャラクタ毎に記憶し、且つ前記キャラクタ移動手段は、前記指示手段の前記画像表示部への接触1回当たりまたは所定の単位時間の接触に応じて、前記初期位置を基点として前記キャラクタの位置を順次、移動させることを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記移動可能な対象地点は、前記初期位置を中心として複数方向に延びるライン上に設定され、且つ前記各ラインは、キャラクタ毎に長さが個々に設定されてなることを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記移動可能な対象地点は、前記初期位置を交点とする十字状のライン、およびこの十字を構成する両ラインに平行な複数のラインの各交点上に設定され、且つ前記各ラインは、キャラクタ毎に長さが個々に設定されてなることを特徴とする請求項2または3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記対戦ゲームは野球を模したものであり、前記複数のグループは内野手群、外野手群及び全野手群であり、指示手段であるプレーヤの指が画像表示部に表示される内野に設けられた検知対象領域に接触した場合には内野の選手キャラクタのみが同時に移動し、外野に設けられた検知対象領域に接触した場合には外野の選手キャラクタのみが同時に移動し、外野および内野以外に設けられた検知対象領域に接触した場合には全野手のキャラクタが同時に移動する請求項1乃至4に記載のゲーム装置。
【請求項6】
走者キャラクタがいる場合、前記走者キャラクタの出塁先の塁を守る選手キャラクタの、初期位置の変更可能な対象領域を、走者キャラクタがいない場合に比べて狭く限定する請求項5に記載のゲーム装置。
【請求項7】
接触入力式の画像表示部に指示手段を接触させることにより、仮想空間内での対戦ゲームを進行させるゲーム制御プログラムであって、
前記対戦ゲームに登場する複数のキャラクタの初期位置を記憶する初期位置記憶手段と、
前記初期位置の変更が可能な対象領域を記憶する可変領域記憶手段と、
前記各キャラクタと、各キャラクタをゲーム上の役割に応じて分類した複数のグループとの対応関係を記憶するグループ情報記憶手段と、
前記グループ毎に対応させて、予め前記画像表示部上にそれぞれ設けられた検知対象領域のいずれかに対する前記指示手段の接触に応じて、当該検知対象領域に対応する前記グループのキャラクタを、前記グループ情報記憶手段の情報に基づき特定して、前記接触された検知対象領域に関連する方向に向かって所定距離分、同時に移動させるキャラクタ移動手段と、
前記キャラクタ移動手段によって移動された各キャラクタの位置を記憶するゲーム開始位置記憶手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするゲーム制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−147936(P2012−147936A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8730(P2011−8730)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】