説明

ゲーム装置及びゲーム制御プログラム

【課題】飛翔体を送出する人間を模したキャラクタと、その飛翔体を打ち返す人間を模したキャラクタとの対戦における、飛翔体を打ち返すキャラクタからの飛翔体に対する視認性の難易度をゲーム上に擬似的に反映する。
【解決手段】第1のキャラクタ(100)が飛翔体を送出するときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第1の属性と、第2のキャラクタ(101)が飛翔体(102)を打ち返すときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第2の属性との組合せに応じて予め設定された、第2のキャラクタ(102)が第1のキャラクタ(101)から送出された飛翔体(102)を見る際の飛翔体確認難易度に基づき、着弾点(104)の画面表示までの時間を、前記飛翔体確認難易度の難易度が高いほど、長く設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球ゲームの中に、現実世界における野球の臨場感を反映させる技術に関するもので、特に、打者視点から見た投手の投球ボールの視認性の良し悪しをゲームに反映させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の野球ゲームにおいて、打者キャラクタの打撃について、現実世界の野球に見られるような要素を盛り込む工夫が行なわれている。例えば、現実世界の野球においては、打者にはそれぞれ得手、不得手なコースがあるが、これをゲームに反映したものがある。例えば特許文献1には、打者キャラクタの得手、不得手の領域を投球ゾーン内に表示し、それぞれの領域において打撃が行なわれた際の打撃判定のレベルを変える内容が開示されている(同文献の図13、段落番号0003を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−167252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現実の野球において、打者キャラクタの打撃を左右するのは、個々の打者の投球コースに対する得手、不得手だけではなく、投手が右投げなのか、左投げなのか、といった要素が大きく影響を与える。例えば、仮に打者が左打者、投手が左投げであった場合には、打者側から投手側を見ると、投手の左腕からリリースされるボールは自分(打者)の右肩の方向からストライクゾーンに向かってくることになるので、ボールの動きが捉えにくい。逆に、打者が左打者で、投手が右投げであれば、打者の位置と投手の右腕とは言わば、対角線の両端に位置する形となるので、打者にとっては、ボールがリリースされてからストライクゾーンに到着するまでのボールの軌道が見易い。従って、現実世界の野球では、例えば、守備のピンチのときに、左打者に対して、右投げの投手に代えて左投手が投入されたり、逆に攻撃のチャンスのときに、右投げの投手に対して左の強打者を代打で出すという対応がとられることがある。このように、現実世界の野球では、投手が右投げか左投げか、そして打者が右打者か左打者かによって、打者にとってのボールの視認性が変化するので、その結果として、打撃の難易度にも影響が生じるというのが実態である。しかしながら、従来の野球ゲームでは、このような点を反映したものはなく、リアリティの点で不十分であった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、投手が右投げか左投げか、そして打者が右打者か、左打者かに応じて、打者のボールに対する視認性を変化させることで、よりリアリティに満ちた野球ゲームを行なえるゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明によるゲーム装置は、飛翔体を送出する人間を模した第1のキャラクタと、前記第1のキャラクタから送出された前記飛翔体を、人間を模した第2のキャラクタが打ち返す対戦を実行するゲーム装置であって、前記第1のキャラクタが前記飛翔体を送出するときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第1の属性を記憶する第1属性記憶手段と、前記第2のキャラクタが前記飛翔体を打ち返すときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第2の属性を記憶する第2属性記憶手段と、前記第1の属性と、前記第2の属性との組合せに応じて予め設定された、前記第2のキャラクタが前記第1のキャラクタから送出された前記飛翔体を見る際の飛翔体確認難易度を記憶する飛翔体確認難易度記憶手段と、前記対戦を行なう、前記第1のキャラクタの前記第1の属性及び前記第2のキャラクタの前記第2の属性を、前記第1属性記憶手段及び前記第2属性記憶手段に基づいて各々認識し、当該属性の組合せに対応する前記飛翔体確認難易度を、前記飛翔体確認難易度記憶手段に基づき決定する飛翔体確認難易度決定手段と、前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された前記飛翔体確認難易度に基づき、前記第1のキャラクタから飛翔体が送出された時点から、所定時間の経過後に、前記第2のキャラクタの打ち返しの領域上に前記飛翔体の着弾点を出現させ、移動表示する着弾点表示手段とを備え、前記着弾点表示手段は、前記所定時間を、前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された飛翔体確認難易度の難易度が高いほど長く設定することを特徴とする。
【0007】
また、本発明によるゲーム制御プログラムは、飛翔体を送出する人間を模した第1のキャラクタと、前記第1のキャラクタから送出された前記飛翔体を、人間を模した第2のキャラクタが打ち返す対戦を実行するゲーム制御プログラムであって、前記第1のキャラクタが前記飛翔体を送出するときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第1の属性を記憶する第1属性記憶手段と、前記第2のキャラクタが前記飛翔体を打ち返すときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第2の属性を記憶する第2属性記憶手段と、前記第1の属性と、前記第2の属性との組合せに応じて予め設定された、前記第2のキャラクタが前記第1のキャラクタから送出された前記飛翔体を見る際の飛翔体確認難易度を記憶する飛翔体確認難易度記憶手段と、前記対戦を行なう、前記第1のキャラクタの前記第1の属性及び前記第2のキャラクタの前記第2の属性を、前記第1属性記憶手段及び前記第2属性記憶手段に基づいて各々認識し、当該属性の組合せに対応する前記飛翔体確認難易度を、前記飛翔体確認難易度記憶手段に基づき決定する飛翔体確認難易度決定手段と、前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された前記飛翔体確認難易度に基づき、前記第1のキャラクタから飛翔体が送出された時点から、所定時間の経過後に、前記第2のキャラクタの打ち返しの領域上に前記飛翔体の着弾点を出現させ、移動表示し、且つ前記所定時間を、前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された飛翔体確認難易度の難易度が高いほど長く設定する着弾点表示手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、例えば野球ゲームの場合、投手キャラクタが右投げか左投げか、また打者キャラクタが右打ちか左打ちかの組合せによって、打者キャラクタから見たボールの見え易さ、見難さをゲーム上に擬似的に反映できるので、従来のゲームにないリアリティを実現できる。以下、より具体的に説明する。この構成では、まず、投球ゾーン上(第2のキャラクタの打ち返しの領域上)に、投手キャラクタ(第1のキャラクタ)からリリースされたボールキャラクタ(飛翔体)の着弾点を表示する手段を備えている。なお、着弾点とはベース上の最終的なボール到達点ではなく、少し離れた位置に表示された後に、ボールキャラクタの移動に応じて徐々に移動し、ボールキャラクタがベース上を通過するタイミングで最終的な到達点まで移動するものである。これは最初から、最終的な着弾点を表示してしまうと、ゲーム性が容易になり過ぎるためである。打者キャラクタ(第2のキャラクタ、即ちプレーヤ)は、この着弾点の移動のタイミング、及び実際のボールキャラクタが手元に来るタイミングを共に計りながら、バットをスイングすることになる。
【0009】
そして、本構成の特徴的な点は、投手が右投げか左投げか(第1の属性)、また、打者が右打ちか左打ちか(第2の属性)の組合せによって、上記の着弾点を画面に出現させるタイミングを変えるのである。即ち、上記の投打の組合せが打者にとってボールが見辛い場合には(例えば、投手が左投げ、打者が左打ち)、投手キャラクタの手からボールがリリースされてから、着弾点を画面に出現させるまでのタイミングを遅くする。この結果、打者キャラクタ(プレーヤ)は、着弾点の位置を確認して、その動きのタイミングを計る時間が少なくなることから、打撃の難易度が上がることになる。逆に、ボールが見易い組合せの場合には、着弾点の表示タイミングを早くすることで、打撃の難易度を下げることができる。従って、従来のゲームにはないリアリティを実現することができる。
【0010】
しかも、本構成によれば、例えば、左対左の場合には打者がボールを視認し難くなるということをゲーム上に反映できることから、プレーヤはそれを踏まえて、攻撃側の場合であれば、左投手に対して右打者を代打で登場させるとか、逆に守備側であれば、左の強打者に対して右投手に投手交代させるといった対応を考慮する必要が出てくる。このことから、本構成を採用することにより、従来ゲームにない戦術の展開が行なわれることとなり、深いゲーム性を実現できる。
【0011】
(2)前記飛翔体確認難易度記憶手段は、前記飛翔体確認難易度を、前記第1の属性及び第2の属性に加えて、前記第1のキャラクタの前記飛翔体を送出させるときの体の形態に関する第3の属性を含めた3つの属性の組合せに応じて決定することを特徴とするのが望ましい。
【0012】
この構成によれば、例えば野球ゲームの場合、打者キャラクタの打撃時におけるボールの見易さ、見辛さに影響を与える2つの要素の組み合わせ、即ち、投手キャラクタが右投げか左投げか、そして打者キャラクタが右打者か、左打者か、の組み合わせに加えて、投手キャラクタの投球フォーム(体の形態に関する第3の属性)の要素も組み合わせに入れるので、よりリアリティを向上させることができる。より具体的には、投手が左投げ、打者が左打ちの場合の中でも、投手がオーバースローの場合とサイドスローの場合を比較すると、サイドスローの方が打者にとってはボールが見辛い。理由は、投手が左投げで且つサイドスローの場合、オーバースローに比べてボールは打者側から見て、より右側からリリースされるため、打者にとっては視界の端からボールが飛んでくるように見え、その軌道が捉えにくいからである。このように、投手の投球フォームの要素も加味してボール確認の難易度を決定することで、より現実に近い遊戯性をゲームに反映することができる。
【0013】
(3)また、前記第1のキャラクタから飛翔体が送出された直後に前記飛翔体を非表示にし、所定の非表示時間経過後に前記飛翔体を再表示する飛翔体表示状態調整手段をさらに備え、前記飛翔体表示状態調整手段は、前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された飛翔体確認難易度の難易度が高いほど、前記飛翔体の非表示時間を長く設定するのが望ましい。
【0014】
この構成によれば、例えば野球ゲームの場合、投手キャラクタが右投げか左投げか(第1の属性)、また、打者キャラクタが右打ちか左打ちか(第2の属性)の組合せによって、打者キャラクタの打撃時におけるボールの見易さ、見辛さが異なるという状況を、より忠実に反映できる。即ち、まず、投手の手からボールがリリースされた直後から、一時的にボールを非表示とする時間を設けるようにするとともに、投手キャラクタが右投げか左投げか、また、打者キャラクタが右打ちか左打ちか、の組合せによって、打者キャラクタにとってのボールの見難さのレベル(飛翔体確認難易度)を決定し、そのレベルに応じて、上記のボールを非表示とする時間の長さを決めている。例えば、投手が左投げ、打者が左打ちの場合には、現実世界においては、打者にとってボールが見えにくいので、これをゲーム上に反映するため、ボールを非表示とする時間を、それ以外の組合せの場合に比して長くなるように設定するようにする。逆に投手が右投げで、打者が左打ちの場合には、現実世界においては打者にとってボールが見え易いので、ボールを非表示とする時間を短くするようにする(あるいは、その時間をゼロとする。即ち、実質的には非表示としない)。以上のように、本構成によれば、投手キャラクタが右投げか左投げか、そして打者キャラクタが右打者か、左打者かに応じて、打者キャラクタの打撃の難易度を変化させることができるので、よりリアリティに満ちたゲーム装置を提供できる。
【0015】
(4)前記第1のキャラクタから前記飛翔体が送出されてから前記着弾点が出現するまでの所定時間を、前記第1のキャラクタから前記飛翔体が送出された後に非表示となっている非表示時間よりも長く設定するのが望ましい。
【0016】
この構成は、例えば野球ゲームの場合、着弾点もボールキャラクタも非表示となる時間を設けるものであるが、このうち、着弾点が非表示である時間の方をより長くするものであり、これによって、打撃操作の困難さのメリハリをつけることができる。理由は、着弾点は移動した後に、最終的にはベース上におけるボールキャラクタの到着点を示すことになるので、プレーヤの打撃にとっては重要な指標となるのであり、逆に、この指標の非表示時間を長くすることで、ボールの見づらさを有効にゲーム上に反映することができるためである。
【0017】
(5)また、以下の通り、別の構成をとることができる。飛翔体を送出する人間を模した第1のキャラクタと、前記第1のキャラクタから送出された前記飛翔体を、人間を模した第2のキャラクタが打ち返す対戦を実行するゲーム装置であって、前記第1のキャラクタが前記飛翔体を送出するときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第1の属性を記憶する第1属性記憶手段と、前記第2のキャラクタが前記飛翔体を打ち返すときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第2の属性を記憶する第2属性記憶手段と、前記第1の属性と、前記第2の属性との組合せに応じて予め設定された、前記第1のキャラクタが前記第2のキャラクタから送出された前記飛翔体を見る際の飛翔体確認難易度を記憶する飛翔体確認難易度記憶手段と、前記対戦を行なう、前記第1のキャラクタの前記第1の属性及び前記第2のキャラクタの前記第2の属性を、前記第1属性記憶手段及び前記第2属性記憶手段に基づいて各々認識し、当該属性の組合せに対応する前記飛翔体確認難易度を、前記飛翔体確認難易度記憶手段に基づき決定する飛翔体確認難易度決定手段と、前記第1のキャラクタから前記飛翔体が送出された直後に当該飛翔体を非表示にし、所定の非表示時間経過後に前記飛翔体を再表示する飛翔体表示状態調整手段とを備え、前記飛翔体表示状態調整手段は、前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された飛翔体確認難易度の難易度が高いほど、前記飛翔体の非表示時間を長く設定することを特徴とする。
【0018】
上記構成は、上記(1)項で示した着弾点表示のタイミングを変える点を含まず、上記(3)項で示したボールの一時的な非表示の点を特徴とするものである。ゲーム装置としては、着弾点表示を行わない場合には、本構成のように、ボールを非表示とすることだけで、投手と打者の組合せによる打者のボールの視認性の難しさの違いを反映することができる。
【0019】
(6)上記のゲーム装置は、前記第1のキャラクタは投手キャラクタであり、前記第2のキャラクタは打者キャラクタであり、前記飛翔体はボールキャラクタであり、投打の対戦を行なう野球ゲームを実行する構成とすることができる。
【0020】
上記構成によれば、従来のゲームにはなかった投手キャラクタが右投げか左投げか、また、打者キャラクタが右打ちか左打ちか、の組合せによる打者キャラクタのボールの視認性の難易度の変化をゲーム上に反映でき、従来にないリアリティを備えた野球ゲームを実現できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例えば野球ゲームに適用した場合、投手が右投げか左投げか、及び打者が右打者か、左打者かの組み合わせに応じて、投手からリリースされたボールの視認性を疑似的に変化させ、打者の打撃の難易度を変えることで、現実における野球ゲームの駆け引きを反映した、よりリアリティに満ちたゲーム装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態のゲーム装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態によるゲーム画面を示す図である。
【図3】(a)乃至(c)は本発明の一実施形態によるゲーム画面の要部拡大図である。
【図4】(a)乃至(c)は図3に続くゲーム画面の要部拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態による視認性の難易度の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態による視認性の難易度の影響度を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態において主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態における主要な機能を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態によるゲーム装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態のゲーム装置の構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、家庭用ビデオゲーム機を家庭用テレビジョンに接続することによって構成される。但し、これは一例であり、モニタが一体に構成された携帯用のゲーム装置若しくは携帯電話、又は本発明によるゲーム制御プログラムを実行することによってゲーム装置として機能するパーソナルコンピュータ等にも同様に適用することができる。
【0024】
図1に示すゲーム装置は家庭用ゲーム機1000及びテレビジョン2000を備える。家庭用ゲーム機1000には、ゲーム制御プログラムが記録されたコンピュータ読み出し可能な記録媒体MDが装填され、ゲーム制御プログラムが適宜読み出されてゲームが実行される。家庭用ゲーム機1000は、CPU(Central Processing Unit)1、バスライン2、グラフィックスデータ生成プロセッサ3、インターフェース回路(I/F)4、メインメモリ5、ROM(Read Only Memory)6、伸張回路7、パラレルポート8、シリアルポート9、描画プロセッサ10、音声プロセッサ11、デコーダ12、インターフェース回路(I/F)13、バッファ14〜16、記録媒体ドライブ17、メモリ18、及びコントローラ19を含む。テレビジョン2000はテレビジョンモニタ21、増幅回路22及びスピーカ23を含む。
【0025】
CPU1は、記録媒体MDに記憶されたゲーム制御プログラム及びROM6に記憶されたオペレーティングシステムにしたがって、ゲーム装置の全体制御を司る。具体的には、CPU1は、仮想空間であるゲーム空間を設定し、設定したゲーム空間に、仮想光源、仮想カメラ、キャラクタ、及びキャラクタの背景となるオブジェクト等を配置する。ここで、CPU1は、メインメモリ5等にゲーム空間を規定する座標軸、仮想光源、仮想カメラ、キャラクタ、及びオブジェクト等の位置データ等を格納する領域を確保し、確保した領域にオブジェクト等の位置データを書き込み、ゲーム空間にキャラクタ等を配置する。ゲーム空間としては、例えば仮想3次元空間を採用することができる。また、CPU1は、コントローラ19を用いてプレーヤにより入力された操作指令にしたがって、キャラクタを動作させるための移動量データ及び回転量データを求める。
【0026】
グラフィックスデータ生成プロセッサ3はCPU1のコプロセッサであり、CPU1により算出された移動量データ及び回転量データに基づいて、キャラクタの移動後の位置データを求めCPU1に返す。
【0027】
インターフェース回路4は周辺デバイス、例えばマウスやトラックボール等のポインティングデバイス等を接続するための回路である。メインメモリ5はRAM(Random Access Memory)で構成される。ROM6は、ゲーム装置のオペレーティングシステムを記憶する。
【0028】
伸張回路7は、MPEG(Moving Picture Experts Group)規格やJPEG(Joint
Photographic Experts Group)規格にしたがって圧縮された画像に対して伸張処理を施す。パラレルポート8、及びシリアルポート9は種々の周辺機器を接続するために用いられる。
【0029】
描画プロセッサ10は、CPU1からの描画命令にしたがって、CPU1がゲーム空間内に設定したキャラクタやオブジェクトを、所定のフレームレートでレンダリングして2次元の画像データを生成する。生成された画像データはテレビジョンモニタ21に出力される。バッファ14は、描画プロセッサ10のワークメモリとして用いられる。
【0030】
音声プロセッサ11は、記録媒体MDから読み出されたADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)データ等の音声データをバッファ15に記憶させ、CPU1からの音声出力命令にしたがってバッファ15に記憶された音声データをスピーカ23から出力させる。バッファ15は、音声プロセッサ11のワークメモリとして用いられる。
【0031】
記録媒体ドライブ17は、例えば、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、フレキシブルディスクドライブ、シリコンディスクドライブ、カセット媒体読み取り機等により構成される。記録媒体MDは、DVD−ROM、CD−ROM、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、又は半導体メモリ等から構成され、本発明の実施の形態によるゲーム制御プログラムを記憶する。ゲーム制御プログラムには、プログラムデータ、キャラクタやオブジェクトを描画するための画像データ、ゲームの効果音等を再現するための音声データ等が含まれる。
【0032】
記録媒体ドライブ17は、記録媒体MDから画像データ、音声データ及びプログラムデータを読み出し、読み出したデータをデコーダ12に供給する。デコーダ12は記録媒体ドライブ17から供給された画像データ、音声データ、及びプログラムデータに対してECC(Error Correction Code)によるエラー訂正処理を施し、メインメモリ5又は音声プロセッサ11に供給する。
【0033】
メモリ18は、例えばカード型のメモリにより構成される。カード型のメモリは、例えばゲームを中断した場合において中断時点での状態を保持する。インターフェース回路13は、メモリ18を接続するために用いられる。
【0034】
コントローラ19は、操作者であるプレーヤが種々の操作指令を入力するために使用される操作装置であり、プレーヤの操作指令に応じた信号をCPU1に送出する。具体的には、コントローラ19は、左右一対のジョイスティックや種々のボタンを供えている。ユーザは、ジョイスティックを傾倒させたりボタンを押したりすることで操作指令を入力する。増幅回路22は音声プロセッサから出力された音声データを増幅し、スピーカ23に供給する。
【0035】
〔本発明を適用した野球ゲームの打撃時のボールの見え方の説明〕
図2はゲーム装置のモニタに表示されるゲーム画面の例であり、本発明を野球ゲームに適用した場合の一実施形態を説明するための図、図3(a)乃至(c)、図4(a)乃至(c)は、図2の画面の一部を拡大したもので、ゲーム画面の遷移を示したものである。図5及び図6は本実施形態の内部的な設定を説明するための図、図7は本発明で主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図であり、図1におけるCPU1の一部に対応する。以下、図2乃至図7を適宜、参照して説明する。なお、以下の実施形態では、プレーヤが攻撃側である場合を想定している。
【0036】
図2は投手キャラクタ100が打者キャラクタ101に対して、ボールキャラクタ102を送球した直後の状態を示している。103は打者キャラクタ101(プレーヤ)がボールにバットを当てる目処を示すためのミートカーソル、104は投手キャラクタ100から送球されたボールキャラクタ102の着弾点である。ここで、ミートカーソル103と着弾点104はゲーム上、打者キャラクタの打撃に必要な構成であり、以下のような機能を果たす。打者キャラクタ101が打撃する場合を想定する。まず、予めミートカーソル103は画面に表示されており、プレーヤによってその位置は任意に移動される。そして、投手キャラクタ100がボールキャラクタ102を送球した直後から、ベース上にボールキャラクタ102の着弾点104が表示されるが、このタイミングではこの着弾点104は最終的な着弾位置ではなく、ボールキャラクタ102の移動に応じて徐々に移動し、ボールキャラクタ102がベースを通過するタイミングで最終的な着弾位置に到達する。つまり、プレーヤは着弾点104の移動の方向や速度に注意することで、最終的な着弾位置を予想することができる。従って、プレーヤは着弾点104の移動に合わせ、或いは予想される着弾点104の最終位置近傍にミートカーソル103を移動させて、着弾点にミートカーソル103を重ね合わせ、最終的にボールキャラクタ102が着弾点104に到着したタイミングを見計らってバットスイングさせる(バットスイングするためのゲームコントローラの所定の操作ボタンを押す)。従って、ボールキャラクタ102にバットが当たるためには、以下の条件が必要となる。
1.ボールキャラクタ102がベース上を通過する時点における着弾点104にミートカーソル103が重なっている(両者がずれていると、バットスイングしても、着弾しない箇所でスイングすることになるので、空振りとなる)。
2.着弾点104にボールキャラクタ102が到着した(重なった)タイミングでバットスイングする(現実の野球の打撃と同様、バットスイングが早過ぎたり、遅すぎたりすると空振りとなる)。
【0037】
105および106は、それぞれ投手キャラクタ100および打者キャラクタ101の名前を表示する欄である。ここでは、投手の名前はC1、打者の名前はC2としている。106の左端の数字は打者キャラクタC2の背番号を示している。また、スコアボード107が表示され、試合の得点状況、カウント等が示されている。
【0038】
図3(a)乃至(c)は、図2の画面の一部(点線で囲った108の部分)を拡大したもので、ゲーム画面の遷移を示す図である。時間的には図2の画面の状態より前の時点を示している。図2の画面の状態に対応する図面は、後述する図4(b)である。また、ここでは、ボールキャラクタ102、ミートカーソル103及び着弾点104の表示及び挙動を説明するため、それ以外の画像は省略している。なお、図2の画面では、左投げの投手に対して左打ちの打者が対戦する例なので、図3でとりあげる例も左対左のケースにおけるボールキャラクタ102、ミートカーソル103及び着弾点104の表示及び挙動となる。即ち、打者にとって不利な状況での打席となる。以下、順次説明する。
【0039】
図3(a)は、投手キャラクタ100の手からボールキャラクタ102がリリースされる直前の状態を示している(ボールキャラクタ102はまだ投手キャラクタ100の手の中にある)。このタイミングでは、ミートカーソル103は表示されているが、着弾点については、位置算出がまだ完了していないので、当然ながら表示はされていない。着弾点の算出は投手キャラクタ100からボールキャラクタ102がリリースされた直後から行なわれる。図3(b)は、投手キャラクタ100の手からボールキャラクタ102がリリースされた直後の状態を示している。ここで、本ケースでは左対左のケースであり、打者にとって不利な状況なので、ボールキャラクタは画面上、一旦非表示の状態とする(実際のゲーム画面上では視認できないが、ここではボールキャラクタ102´の位置のみを点線で示している)。投手と打者の組合せによっては、消去しない場合もあるが、この点については図6を参照して後述する。また、投手キャラクタの手からボールキャラクタ102がリリースされた時点で、着弾点の初期の座標位置算出は完了しているが、左対左の本ケースにおいては、このタイミングでは表示しない。同図においては、算出された着弾点104´の位置のみを図示する(上記の通り、実際のゲーム画面では表示されない)。なお、ミートカーソル103の上限の矢印は、プレーヤ操作によって任意に移動可能であることを示している。図3(b)の例では、図3(a)に比べてミートカーソル103の位置が下方に移動されている。その後、図3(c)に示すように、時間経過に伴い、ボールキャラクタ102´及び着弾点104´とも移動するが、表示はされていない。なお、着弾点104´は、前記の通り、最終的な着弾点(ベース上)に向かって序々に移動する。
【0040】
図4(a)は、図3(c)に続く画面を示す。図3(b)のように、ボールキャラクタ102が非表示になってから所定時間経過後に(例えば、0.3秒後)、図4(a)に示すように、ボールキャラクタ102が再び表示される。この時点では、まだ着弾点は表示されていない。その後、さらに所定時間経過後(例えば、ボールキャラクタ102表示の0.3秒後)、図4(b)に示すように、着弾点104が表示される。この時点で、プレーヤは着弾点104の位置を認識できるようになるので、それに対してミートカーソル103を重ねようとコントローラ操作を行う(図4(c))。図4(c)の状態では、プレーヤはボールキャラクタ102がベース上近傍に到着するタイミングを見計らないながら、バットスイング操作の準備を行う。以上のように、本構成においては、例えば、左対左のように、打者にとってボールが見えにくいという不利な状況を、ボールキャラクタ及び着弾点の一時的な非表示によって、擬似的にゲーム上に再現しているので、従来のゲームにないリアル感を演出することができる。また、投手が右投げか左投げか、及び打者が右打ちか左打ちかの組合せによって、打者にとってのボールの見え方の難易度は変わるので、本構成では、その難易度を一時的な非表示の時間を変えることによって、ゲーム上に反映している。さらに、打者にとってのボールの見えにくさは、上記の組合せ以外に、投手の投球フォームも大きな影響を与える。この点を図5及び図6を参照して説明する。
【0041】
図5は投手が右投げか左投げか、及び打者が右打ちか左打ちか、さらに投手の投球フォームがサイドスロー、アンダースロー及びオーバースローのいずれであるか、の各組合せによる難易度を示したものである。図中、難易度レベルの数値の高い方が、難易度が高く、ボール視認性が困難としている。基本的に、投手と打者が左右、逆サイドである場合(右投げに対して左打ち、左投げに対して右打ち)には、投手のボールのリリース位置と打者の位置とが、言わば対角線上に存在する形となるために、打者にとっては比較的ボールは見易くなるので、難易度を低くしている。さらに、この逆サイドの関係でも、投手の投球フォームがサイドスローである場合の難易度を低くしている。理由は、オーバースローに比較すると、サイドスローの場合、ボールのリリースのポイントが打者からより離れた箇所になるので、よりボールの軌道が見え易くなるためである。アンダースローはオーバースローとサイドスローの間の難易度としている。この点を示したのが、図5のNO.1〜6である。
【0042】
これとは逆に、投手と打者が左右同じサイドである場合(右投げに対して右打ち、左投げに対して左打ち)には、投手のボールのリリース位置と打者の位置とが、概ね、直線に近い領域上に存在する位置関係となるために、打者にとってボールは見づらくなるので、難易度を高くしている。さらに、この同サイドの関係でも、投手の投球フォームがサイドスローである場合の難易度を高くしている。理由は、例えば左対左の場合、オーバースローに比較すると、ボールのリリースのポイントが、打者の視線から言えば、自分の右肩の外側にあるため、ボールの軌道がより見えにくくなるためである。右対右も同様に見えにくくなる。アンダースローはオーバースローとサイドスローの間の難易度としている。この点を示したのが、図5のNO.7〜12である。
【0043】
図6は上記の難易度レベルに応じた非表示時間を示した表である。難易度レベルが高い程、ボールキャラクタ及び着弾点とも非表示時間が長くなるように設定している。なお、いずれのレベルにおいても、着弾点の非表示時間の方が長くなるように設定している。これは、着弾点が最終的にはベース上におけるボールキャラクタの到着点を示すことになるので、プレーヤの打撃にとって重要な指標となるのであり、逆に、この指標の非表示時間を長くすることで、ボールの見づらさを有効にゲーム上に反映することができるためである。ただ、打撃するためには、ボールキャラクタがベース上に来たタイミングでバットスイングする必要があるので、ボールキャラクタが非表示であることも、プレーヤ操作が困難になる影響を与えるのはもちろんである。なお、図3及び図4に示した形態では、ボールキャラクタ及び着弾点の両方を一時的に非表示状態にする構成であるが、ゲームの仕様、あるいはプレーヤによるゲームの難易度設定によって、着弾点をそもそも表示しない場合も考えられる。この場合は、ボールキャラクタのみを一時的に非表示状態にする構成にするようにしてもよい。
【0044】
以上の流れを図7の機能ブロック図を参照して説明する。本発明で主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図であり、図1におけるCPU1の一部に対応する。ここでは、図3及び図4の例を取り上げて説明する。まず、本実施形態の構成においては、各選手キャラクタの属性を記憶するキャラクタ属性記憶手段300を備えている。キャラクタ属性記憶手段300は、第1属性記憶手段301、第2属性記憶手段302及び第3属性記憶手段303を有しており、それぞれ、各選手キャラクタが右投げであるか左投げであるかを記憶する手段、各選手キャラクタが右打ちであるか左打ちであるかを記憶する手段、選手キャラクタが投手キャラクタである場合に、その投球フォームがオーバースローであるか、アンダースローであるか、オーバースローであるかを記憶する手段である。また、本構成はキャラクタ認識手段310を備えている。キャラクタ認識手段310は投手認識手段311及び打者認識手段312を有しており、それぞれ、今、打席に入っている投手キャラクタの認識及び打者キャラクタの認識を行なう。
【0045】
同図において、320はボール確認難易度決定手段であり、打者キャラクタにとってのボールキャラクタの視認性の難易度を決定するものである。具体的には、キャラクタ認識手段310によって認識されたデータによって、現在の投手キャラクタと、打席に入っている打者キャラクタとを認識し、さらに、キャラクタ属性記憶手段300のデータに基づき、投手キャラクタについては第1属性(右投げか、左投げか)及び第3属性(投球フォームを)、また、打者キャラクタについては第2属性(右打ちか、左打ちか)を認識する。そして、ボール確認難易度記憶手段330のデータに基づき、ボール確認の難易度を決定する。ここで、ボール確認難易度記憶手段330は、前述の図5及び図6のデータを記憶している。即ち、投手キャラクタが右投げか左投げか、及び打者キャラクタが右打ちか左打ちか、さらに投手キャラクタの投球フォームがサイドスロー、アンダースロー及びオーバースローのいずれであるか、の各組合せによる難易度に関するデータ、及び難易度レベルに応じたボールキャラクタ及び着弾点の非表示時間に関するデータである。
【0046】
さらに、ボール確認難易度決定手段320は、ボール確認難易度記憶手段330に記憶されている難易度に紐付けられた非表示時間のデータに基づき、ボール表示状態調整手段340に対して、投手キャラクタからボールがリリースされた時点を起点として所定時間、ボールキャラクタを非表示にするよう指示する。この指示を受けて、ボール表示状態調整手段340はボール非表示計時手段350に非表示時間を送信する。ボール非表示計時手段350は送信された時間を所定の単位時間でデクリメントしていき、非表示時間がゼロになった時点でボール表示状態調整手段340はボールキャラクタを表示させる。また、ボール確認難易度決定手段320は、ボール確認難易度記憶手段330に記憶されている難易度に紐付けられた非表示時間のデータに基づき、着弾点表示手段360に対して、投手キャラクタからボールがリリースされた時点を起点として所定時間、着弾点を非表示にするよう指示する。この指示を受けて、着弾点表示手段360は着弾点非表示計時手段370に非表示時間を送信する。着弾点非表示計時手段370は送信された時間を所定の単位時間でデクリメントしていき、非表示時間がゼロになった時点で着弾点表示手段370はボールキャラクタを表示させる。
【0047】
図8及び図9は、本発明の一実施形態による野球ゲームにおいて、打者キャラクタのボールに対する視認性の難易度を変える処理を示したフローチャートである。以下、各ステップに従って説明するが、適宜、図2乃至図4のゲーム画面、図7の機能ブロック図を参照する。また、ここでは、投手キャラクタと打者キャラクタの1回の対戦の処理について説明する。まず、ステップS1は、打者交代、代打等で新たな打者キャラクタ101が打席に入るか、または、投手交代等で新たな投手キャラクタ100との投打の対戦を開始するタイミングである。同じ投手キャラクタ、打者キャラクタの対戦が終了するまでは、いずれかがカウントの途中で交代することはないので、対戦途中でステップ1から処理が開始されることはない。但し、ゲームの仕様上、打者キャラクタとしてスイッチヒッターを設け、さらに同打席で右打ち、左打ちの変更を可能とする場合には、その右打ち、左打ちを変えたタイミングでステップS1に入るようにすればよい。なお、スイッチピッチャーについては、現実の野球のルールでは、1人の打者との対戦中に、左右投げを変えることは禁止されているので、この場合はステップ1に入ることはない設定とすればよい。
【0048】
野球ゲームの進行の中で、投手キャラクタ100または打者キャラクタ101が代わったタイミングで、以下の処理を行なう。キャラクタ認識手段310の投手認識手段311によって投手キャラクタ100が誰であるかが認識され、当該投手キャラクタ100が右投げか、左投げかに関する第1の属性が、第1属性記憶手段301によって認識される(ステップS2)。次に、当該投手キャラクタ100の投球フォームがオーバースローか、サイドスローか、アンダースローかが、第3属性記憶手段303によって認識される(ステップS3)。次いで、打者キャラクタ101が右打ちか左打ちかに関する第2の属性が、第2属性記憶手段302によって認識される(ステップS4)。その後、ボール確認難易度決定手段320が、ステップS2、S3で認識された投手キャラクタ100の属性、及びステップS4で認識された打者キャラクタ101の属性に基づき、ボール確認難易度記憶手段330のデータを参照して、ボール確認難易度の決定を行なう(ステップS5)。このステップ5におけるボール確認難易度とは、図5で示した難易度レベルに該当する。さらに、ボール確認難易度決定手段320は、ボール確認難易度記憶手段330のデータを参照して、ボール非表示時間の決定を行なう(ステップS6)。なお、上記処理では、ステップ2及びステップ3で、投手キャラクタが右投げか左投げか、また、投球フォームはどれかの認識を行なっているが、対戦の多くの場合、投手キャラクタは同じで、打者キャラクタだけが代わるケースが多いので、投手キャラクタが変わらなければ、その投手の属性を一時的に記憶する手段を設け、その属性と新たな打者キャラクタの属性との組合せを見てボール確認難易度を決定するようにすることも可能である。
【0049】
続いて、ゲームの仕様として、着弾点表示モードが選択されている場合には(ステップS7)、ボール確認難易度決定手段320はボール確認難易度記憶手段330のデータを参照して、着弾点非表示時間の決定を行なう(ステップS8)。なお、着弾点表示モードが実行されるか否かは、ゲーム開始前の初期設定で選択可能となっている。デフォルト状態では着弾点表示が選択されている。プレーヤが着弾点表示をしたくない場合には、コントローラ19から着弾点表示モードを外す選択指示を行なう。この指示結果はメインメモリ5に記憶されている。図示していないが、ボール確認難易度決定手段320は、その指示内容を確認し、着弾点表示モードでないことを確認すれば、次のステップS9の判断に移る。
【0050】
上記の通り、打者キャラクタにとってのボールキャラクタの視認性の難易度をゲーム上に擬似的に表現するためのデータ、即ち、ボールキャラクタの非表示時間及び着弾点の非表示時間が決定されると、このデータは同じ投手キャラクタおよび打者キャラクタの関係の中で変わることはないので、投打の対戦中は同じデータが使用されることになる。そして、投手キャラクタ100の手から打席に向かってボールキャラクタ102がリリースされると(ステップS9でYES)、ボールキャラクタ102はリリースされた瞬間から非表示となる(ステップS10)。但し、図6で説明したように、難易度レベルが1の場合には非表示の時間はゼロであり、実質的には非表示とはしない。一方、ステップS9でNOの場合は、投打に関わる終了イベントが発生したかの判定を行なう(ステップS11)。ここで、終了イベントは、1つの投打の対戦が終了するイベントであり、例えば、打者の三振、ボールが打たれてヒットまたはアウトになる、デッドボール等である。終了イベントが発生すれば(ステップS11でYES)、同じ投手キャラクタと打者キャラクタとの1回の投打の対戦は終了する(ステップS12)。
【0051】
上記の通り、ボールキャラクタ102がリリースされ(ステップS9)、ボールキャラクタが非表示とされた(ステップS10)後に、非表示時間のカウントダウンが開始されるが、ゲームのモードが着弾点表示モードであるか否かによってカウントダウンの対象が異なる。即ち、着弾点表示モードでない場合には(ステップS13でNO)、ボール非表示時間のみカウントダウンを開始する(ステップS14)。一方、着弾点表示モードの場合には(ステップS13でYES)、ボール非表示時間及び着弾点非表示時間の両方のカウントダウンを開始する(ステップS15)。この非表示時間のカウントダウン開始後、ボール非表示時間が経過すると(ステップS16でYES)、ボールキャラクタ102を再表示する(ステップS17)。この表示は、投手キャラクタの手からボールキャラクタ102がリリースされてから、0.1〜0.5秒後に行なわれるので、ボールキャラクタが打席に到着する途中で再表示されることになる。
【0052】
ボール非表示時間が経過後、並行してカウントダウンしていた着弾点非表示時間が経過すると着弾点が表示される。難易度レベルが同じであれば、着弾点の非表示時間は必ず、ボール非表示時間よりも長くなるように設定しているので(図6参照)、表示の順序は常に、ボールキャラクタ、着弾点の順になる。上記の点をフローのステップに従って説明する。まず、着弾点表示モードでない場合は(ステップS18でNO)、図8のステップS11に移行し、対戦が終了しない限り、次の投手キャラクタからのボールのリリースを待つことになる。一方、着弾点表示モードの場合は(ステップS18でYES)、着弾点非表示時間の残り時間が経過したか否かを判断する(ステップS19)。残り時間の判断を行うのは、非表示時間のカウントダウン開始がボール非表示時間のカウントダウンと同時に開始しているため、既に途中までカウントダウンされているためである。図6を参照して説明すると、例えば難易度レベルが3の場合、ボールキャラクタ非表示時間は0.2秒、着弾点非表示時間は0.4秒である。この場合、ステップS16でYESの時点でボールキャラクタ非表示時間はゼロであるが、着弾点非表示時間も同じく0.2秒カウントダウンされているので、この時点での残り時間は0.4−0.2=0.2秒である。この残り時間0.2秒がさらに経過したか否かの判断がステップS19で行なわれる。そして、残り時間がゼロになれば(ステップS19でYES)、着弾点の表示を行なう(ステップS20)。着弾点表示後は図8のステップS11に移行し、対戦が終了しない限り、次の投手キャラクタからのボールのリリースを待つ。
【0053】
なお、本実施形態においては、野球ゲームを例にとり説明したが、飛翔体を送出する人間を模したキャラクタと、その飛翔体を打ち返す人間を模したキャラクタとの対戦をゲーム上で再現するものであれば、本発明は適用可能である。例えば、ソフトボールの他、テニス、卓球等のゲームに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、飛翔体を送出する人間を模したキャラクタと、その飛翔体を打ち返す人間を模したキャラクタとの対戦において、飛翔体を打ち返すキャラクタの飛翔体に対する視認性の難易度をゲーム上に擬似的に反映するゲーム装置及びゲーム制御プログラムに関するものである。
【符号の説明】
【0055】
100 投手キャラクタ(第1のキャラクタ)
101 打者キャラクタ(第2のキャラクタ)
102 ボールキャラクタ(飛翔体)
104 着弾点
301 第1属性記憶手段
302 第2属性記憶手段
303 第3属性記憶手段
320 ボール確認難易度決定手段(飛翔体確認難易度決定手段)
330 ボール確認難易度記憶手段(飛翔体確認難易度記憶手段)
340 ボール表示状態調整手段(飛翔体表示状態調整手段)
360 着弾点表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛翔体を送出する人間を模した第1のキャラクタと、前記第1のキャラクタから送出された前記飛翔体を、人間を模した第2のキャラクタが打ち返す対戦を実行するゲーム装置であって、
前記第1のキャラクタが前記飛翔体を送出するときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第1の属性を記憶する第1属性記憶手段と、
前記第2のキャラクタが前記飛翔体を打ち返すときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第2の属性を記憶する第2属性記憶手段と、
前記第1の属性と、前記第2の属性との組合せに応じて予め設定された、前記第2のキャラクタが前記第1のキャラクタから送出された前記飛翔体を見る際の飛翔体確認難易度を記憶する飛翔体確認難易度記憶手段と、
前記対戦を行なう、前記第1のキャラクタの前記第1の属性及び前記第2のキャラクタの前記第2の属性を、前記第1属性記憶手段及び前記第2属性記憶手段に基づいて各々認識し、当該属性の組合せに対応する前記飛翔体確認難易度を、前記飛翔体確認難易度記憶手段に基づき決定する飛翔体確認難易度決定手段と、 前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された前記飛翔体確認難易度に基づき、前記第1のキャラクタから飛翔体が送出された時点から、所定時間の経過後に、前記第2のキャラクタの打ち返しの領域上に前記飛翔体の着弾点を出現させ、移動表示する着弾点表示手段とを備え、 前記着弾点表示手段は、前記所定時間を、前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された飛翔体確認難易度の難易度が高いほど長く設定することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記飛翔体確認難易度記憶手段は、前記飛翔体確認難易度を、前記第1の属性及び第2の属性に加えて、前記第1のキャラクタの前記飛翔体を送出させるときの体の形態に関する第3の属性を含めた3つの属性の組合せに応じて決定することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記第1のキャラクタから飛翔体が送出された直後に前記飛翔体を非表示にし、所定の非表示時間経過後に前記飛翔体を再表示する飛翔体表示状態調整手段をさらに備え、 前記飛翔体表示状態調整手段は、前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された飛翔体確認難易度の難易度が高いほど、前記飛翔体の非表示時間を長く設定することを特徴とする請求項1または2記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記第1のキャラクタから前記飛翔体が送出されてから前記着弾点が出現するまでの所定時間を、前記第1のキャラクタから前記飛翔体が送出された後に非表示となっている非表示時間よりも長く設定することを特徴とする請求項3記載のゲーム装置。
【請求項5】
飛翔体を送出する人間を模した第1のキャラクタと、前記第1のキャラクタから送出された前記飛翔体を、人間を模した第2のキャラクタが打ち返す対戦を実行するゲーム装置であって、
前記第1のキャラクタが前記飛翔体を送出するときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第1の属性を記憶する第1属性記憶手段と、
前記第2のキャラクタが前記飛翔体を打ち返すときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第2の属性を記憶する第2属性記憶手段と、
前記第1の属性と、前記第2の属性との組合せに応じて予め設定された、前記第1のキャラクタが前記第2のキャラクタから送出された前記飛翔体を見る際の飛翔体確認難易度を記憶する飛翔体確認難易度記憶手段と、
前記対戦を行なう、前記第1のキャラクタの前記第1の属性及び前記第2のキャラクタの前記第2の属性を、前記第1属性記憶手段及び前記第2属性記憶手段に基づいて各々認識し、当該属性の組合せに対応する前記飛翔体確認難易度を、前記飛翔体確認難易度記憶手段に基づき決定する飛翔体確認難易度決定手段と、 前記第1のキャラクタから前記飛翔体が送出された直後に当該飛翔体を非表示にし、所定の非表示時間経過後に前記飛翔体を再表示する飛翔体表示状態調整手段とを備え、
前記飛翔体表示状態調整手段は、前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された飛翔体確認難易度の難易度が高いほど、前記飛翔体の非表示時間を長く設定することを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
前記第1のキャラクタは投手キャラクタであり、前記第2のキャラクタは打者キャラクタであり、前記飛翔体はボールキャラクタであり、投打の対戦を行なう野球ゲームを実行する請求項1乃至6記載のゲーム装置。
【請求項7】
飛翔体を送出する人間を模した第1のキャラクタと、前記第1のキャラクタから送出された前記飛翔体を、人間を模した第2のキャラクタが打ち返す対戦を実行するゲーム制御プログラムであって、
前記第1のキャラクタが前記飛翔体を送出するときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第1の属性を記憶する第1属性記憶手段と、
前記第2のキャラクタが前記飛翔体を打ち返すときに使用する腕部が左右いずれであるかに関する第2の属性を記憶する第2属性記憶手段と、
前記第1の属性と、前記第2の属性との組合せに応じて予め設定された、前記第2のキャラクタが前記第1のキャラクタから送出された前記飛翔体を見る際の飛翔体確認難易度を記憶する飛翔体確認難易度記憶手段と、
前記対戦を行なう、前記第1のキャラクタの前記第1の属性及び前記第2のキャラクタの前記第2の属性を、前記第1属性記憶手段及び前記第2属性記憶手段に基づいて各々認識し、当該属性の組合せに対応する前記飛翔体確認難易度を、前記飛翔体確認難易度記憶手段に基づき決定する飛翔体確認難易度決定手段と、 前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された前記飛翔体確認難易度に基づき、前記第1のキャラクタから飛翔体が送出された時点から、所定時間の経過後に、前記第2のキャラクタの打ち返しの領域上に前記飛翔体の着弾点を出現させ、移動表示し、且つ前記所定時間を、前記飛翔体確認難易度決定手段によって決定された飛翔体確認難易度の難易度が高いほど長く設定する着弾点表示手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするゲーム制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−183141(P2012−183141A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47315(P2011−47315)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】