説明

ゲーム装置用座席

【課題】 ゲームを長時間行った場合でもプレイヤの姿勢をリラックスした状態に保ち易くし、また、モニタに表示された映像に応じて発生される振動をプレイヤへ確実に伝えることができるゲーム装置用座席を提供すること。
【解決手段】 座席30に設けられた肘掛部34L,34Rの先端部に隣接して、操作入力装置20L,20Rを設けるとともに、肘掛部34L,34Rの上面、すなわち、プレイヤの前腕部が載置される面に、断面が曲線を描く溝DL,DRをそれぞれ形成する。また、方向入力装置21のスティック部分内部に設けられた接触センサと、肘掛部34L,34Rの内部に設けられた圧力センサの出力に基づいて肘掛部34L,34Rの高さを自動的に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に表示されたゲームの状況を見ながらコントローラを操作してゲームを行うゲーム装置において、プレイヤが楽な姿勢で当該ゲームを行うことができるゲーム装置用座席に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モニタに表示された映像を見ながらゲームを行うゲーム装置において、プレイヤ用のシート(座席)を設け、モニタに表示された映像に合せて当該シートを振動または揺動させる体感型のゲーム装置が数多く提案されている。例えば特許文献1には、遊技者用のシートを支持する支持台にクランク機構を用いた揺動装置を設けるとともに、シートの着座部分の内部に液体またはゲル状の流動体を収納した袋体を設け、画面に表示された状況に応じて揺動装置を作動させるとともに、袋体内の液体または流動体の供給および排出を行うことで、従来では得られなかった振動や揺動の感触を遊技者に与えることができるゲーム装置が開示されている。また、特許文献2には、シートが取り付けられた揺動台を十字型自在継手を介して支持し、2台の3相交流モータによりシートをロール方向とピッチ方向に揺動可能とした体感型揺動装置付きゲーム機が開示されている。さらに、特許文献3には、遊技者用のシートに設けられたシートベルトを、モニタ画面に表示された衝突等の映像に応じて緊張または弛緩させることで、当該表示された衝突時の衝撃を遊技者に体感させるゲーム装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−61149
【特許文献2】特開2000−84258
【特許文献3】特開2006−26120
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来のゲーム装置におけるシートにおいては、着座部分や背もたれ部分、または、シートそのものを振動または揺動させることによって体感を発生させている。しかしながら、一般に、ゲーム装置用のシートには、長時間のプレーによる疲れを軽減するために、着座部分または背もたれ部分にクッションなどを挿入しているために、折角の体感が半減してしまう可能性があった。特に、このようなシートをいわゆる家庭用テレビゲームと接続可能な体感発生機能付ゲーム用シートとして提供する場合、体感が半減してしまうという問題は、購買ユーザの数を減らしてしまうといった問題に繋がる可能性がある。
【0005】
また、長時間プレーによる疲れを考慮した場合、特に家庭用として提供する場合には、コントローラを把持しつつゲームを行うことになるので、そのコントローラの重みによって徐々に背中が丸まってきて、ゲーム中の姿勢が悪くなりがちになるが、従来のゲーム装置用シートには、ゲーム中におけるプレイヤの姿勢をリラックスした状態となるように矯正するような構造的な工夫がされていなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ゲームを長時間行った場合でもプレイヤの姿勢をリラックスした状態に保ち易くし、また、モニタに表示された映像に応じて発生される振動をプレイヤへ確実に伝えることができるゲーム装置用座席を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、ゲームの状況を表示する画像表示装置と、プレイヤの操作に応じた操作入力信号を前記ゲーム装置へ出力する操作入力手段とを備え、該操作入力手段に対して行われた前記プレイヤの操作に応じて前記ゲームの状況を制御するゲーム装置に設けられ、肘掛部を有するとともに前記プレイヤが前記画像表示装置の画面に対向して着座するゲーム装置用座席であって、前記肘掛部は、前記プレイヤが前記肘掛部に前腕部を載置した状態で、前記操作入力手段の操作が可能な位置に設けられ、前記肘掛部の内部に、前記画像表示装置に表示されたゲーム状況に応じて前記ゲーム装置から出力される振動発生信号に従って振動を発生させる振動発生手段を設けたことを特徴としている。
【0008】
ここで、操作入力手段とは、例えば、いわゆるジョイステック、押しボタン式のスイッチ、トラックボール、ディジタイザなど、人間の手または指によって操作される入力装置をいう。また、プレイヤの前腕部が載置される肘掛部は、遊技者の前腕部全体、すなわち、肘から手首に亘って支持するものでもよいし、肘から手首までの間の一部分を支持するものでもよい。さらに、ゲーム装置から振動発生信号が出力されるゲーム状況としては、例えば、自動車競走ゲームを提供するゲーム装置であれば、プレイヤが操作する画面内の自動車が走行しているとき(この場合、路面の状態に応じた振動発生信号が出力される)や、障害物に衝突または接触したとき(この場合、衝突または接触による衝撃を模擬するための振動発生信号が出力される)などが考えられる。また、シューティングゲームを提供するゲーム装置であれば、銃などの火器を発射したとき(この場合、発砲による銃などの反動を模擬するための振動発生信号が出力される)などが考えられる。
【0009】
本発明によれば、肘掛部に前腕部を載置した状態で操作入力手段の操作が可能となるため、プレイヤは、肘掛部に腕の重みを預けた状態で操作入力手段を操作することができ、長時間ゲームを行っても疲れにくくなる。これにより、プレイヤがゲームを行う際に、前腕部を肘掛に載置する可能性が高くなり、肘掛部の内部に設けられた振動発生手段よって発生された振動を、より確実にプレイヤへ振動を伝達させることができる。
【0010】
また、本発明は、上記のゲーム装置用座席において、前記肘掛部は、前記プレイヤの前腕部が載置される載置面に、断面が弧を描く溝を有することを特徴としている。
【0011】
ここで、上述した溝の形成方向は、操作入力手段が設けられている方向と一致または略一致する方向であることが望ましい。また、溝の断面形状は、一定の曲率となる弧を描くものであってもよいし、溝の最深部から上端部に向かうにつれて徐々に曲率が大きくなるもの、または、徐々に小さくなるものであってもよい。
【0012】
本発明によれば、肘掛部におけるプレイヤの前腕部の載置面に、断面が曲線を描いている溝が形成されているため、プレイヤの前腕部が肘掛部に納まり易くなるとともに前腕部の安定性が増し、さらに、前腕部と肘掛部との接触面積が増して、肘掛部内に設けられた振動発生手段による振動がプレイヤにより伝達されやすくなる。
【0013】
また、本発明は、上述した各ゲーム装置用座席において、前記肘掛部を上下方向へ移動させる昇降手段と、前記操作入力手段に前記遊技者が接触したときに、接触検出信号を出力する接触検出手段と、前記肘掛部内部に設けられ、前記肘掛部に加えられた圧力を検出し、該検出した圧力に対応する圧力検出信号を出力する圧力検出手段と、前記接触検出手段から出力された接触検出信号および前記圧力検出手段から出力検出信号に基づいて前記昇降手段を制御し、前記肘掛部の高さ位置を調節する高さ調節手段とを具備することを特徴としている。
【0014】
ここで、接触検出手段としては、例えば、静電容量の変化によってプレイヤの接触を感知するタッチセンサもくしは触覚センサ、または、接触による圧力を感知する圧力センサなどを用いることができる。また、圧力検出手段としては、加えられた圧力に応じて抵抗値が変化するもの、加えられた圧力に応じた電圧を出力するもの、または、加えられた圧力に応じた数値情報を出力するものなどが使用可能である。
【0015】
本発明によれば、接触検出手段および圧力検出手段から出力される各種信号に応じて肘掛部の高さを調節することで、体格が異なるプレイヤが着座した場合でも、当該プレイヤの前腕部を支持するように肘掛部の高さを調整することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のゲーム装置用座席によれば、ゲームを長時間行った場合でもプレイヤの姿勢をリラックスした状態に保ち易くするとともに、モニタに表示された映像に応じて発生される振動をプレイヤへ確実に伝えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の好適な実施形態であるゲーム装置用座席を備えたゲーム装置1の外観を示す斜視図である。このゲーム装置1は、プレイヤに提供するゲームを制御するとともに、当該ゲームの内容をプレイヤに表示する本体部10と、プレイヤの操作に応じた各種信号を本体部10へ出力する操作入力部20L,20Rと、プレイヤがゲームを行う際に着座するための座席30とを備えている。これら本体部10、操作入力部20L,20R、および、座席30は、床部40に載置固定されている。また、床部40には、座席30の周囲を囲むように立設されたシートシェル50が取り付けられている。
【0018】
本体部10は、操作入力部20L,20Rから出力される各種信号に応じてプレイヤに提供するゲームの進行を制御するためのコンピュータ(図示略)を内蔵し、当該コンピュータにより生成された画像を画像表示装置11の画面に表示する。また、本体部10は、ゲーム実行中において、プレイヤに臨場感を与えるために、座席30に設けられたバイブレータ(後述する)を振動させるための振動発生信号などを座席30へ出力する。
【0019】
操作入力部20L,20Rは、それぞれ後述する座席30の肘掛部34L,34Rに対応して設けられている。操作入力部20Lの上面には、プレイヤが方向を指示するための方向入力装置21が設置されている。本実施形態では、方向入力装置21としてジョイスティックを採用しており、プレイヤの傾動操作に応じて、図1中、画像表示装置11の方向を“前”として、“後”、“左”、“右”の4方向を特定し得る方向信号を出力する。また、図示を略しているが、方向入力装置21のスティック内部には、後述する接触センサ21aが設けられており、プレイヤがスティックに触れたときに接触信号を出力する。一方、操作入力部20Rの上面には、第1スイッチ22および第2スイッチ23が設置されている。これら第1,第2スイッチ22,23は、押しボタン式のスイッチであり、各々、プレイヤによって押されたときに、オン信号を出力する。第1,第2スイッチ22,23は、例えば、画像表示装置11の画面に選択メニューが表示されている場合は、それらメニューの決定またはキャンセルボタンとして使用され、ゲーム装置1がシューティングゲームを提供するものであれば、弾を発射するための発射ボタンとして使用される。
【0020】
座席30は、プレイヤが腰掛ける着座部31と、背もたれ部32と、ヘッドレスト33とからなり、これらの内部には、緩衝材としてクッションなどが内包されている。また、着座部31は基台部35によって支持されており、背もたれ部32の両側には、プレイヤの肘が載置される肘掛部34L,34Rが設けられている。ここでは、プレイヤが画像表示装置11の画面に対向して座席30に着座したときに、当該プレイヤの右側に位置するのが肘掛部34Rであり、当該プレイヤの左側に位置するのが肘掛部34Lとなる。肘掛部34L,34Rの形状は略直方体となっており、各々、長手方向の一方端部(以下、基端部という)が、背もたれ部32の内部に設けられている昇降装置(図示略)によって支持されている。各肘掛部の上面(プレイヤの肘が載置される面)には、肘掛部34L,34Rの長手方向に沿って、断面が弧を描く溝DL,DRがそれぞれ形成されている。よって、プレイヤが肘掛部34L,34Rに肘を載せた場合、両前腕部がそれぞれ溝DL,DR内に収まることで、安定感がより増すことになる。
【0021】
肘掛部34L,34Rの長手方向、他方端部(以下、先端部という)側には、肘掛部34L,34Rの各先端部に隣接して操作入力部20L,20Rがそれぞれ設けられている。すなわち、肘掛部34L,34Rは、プレイヤが肘掛部34L,34Rに前腕部を載せた状態で、方向入力装置21、第1スイッチ22、および、第2スイッチ23を操作することができる位置に設けられているため、プレイヤは、腕の重みを肘掛部34L,34Rに預けた状態でゲームを行うことができる。
【0022】
また、図2に示すように、肘掛部34Lの内部には、肘掛部34Lに載せられたプレイヤの前腕部に振動を与えるためのバイブレータ36Lと、プレイヤPの前腕部の重みによって肘掛部34Lに加えられた圧力に対応する数値情報(以下、圧力値データという)を出力する圧力センサ37Lとが設けられている。また、図2では省略しているが、肘掛部34Rの内部にも同様のバイブレータ36Rと、圧力センサ37Rとが設けられている。ここで、肘掛部34L,34Rの上面(プレイヤPの前腕部の載置面)には溝DL,DRがそれぞれ形成されているため、肘掛部34L,34Rの上面と、プレイヤPの前腕部との接触面積が増し、バイブレータ36L,36Rの振動が、プレイヤPにより伝わりやすくなっている。肘掛部34L,34Rは、ともに背もたれ部32の両側面に設けられた長孔38を通して、背もたれ部32の内部に設けられた昇降装置(図示略)によって支持されている。そして、この昇降装置に備えられているモータによって、肘掛部34L,34Rは、長孔38内を図2中、破線で示す位置(以下、初期位置という)と、実線で示す位置との間を移動可能になっている。また、着座部31の内部には、プレイヤPの体重を感知するとプレイヤPが着座部31に腰掛けたことを示す着座信号を出力する着座センサ39が設けられている。
【0023】
基台部35の内部には、上述した各種センサに基づいて背もたれ部32内部に設けられた昇降装置を制御するための昇降制御部が設けられている。以下に図3を参照して、昇降制御部の構成について説明する。図3に示すように、昇降制御部300は、信号制御部301、振動制御部302、高さ調整部303、および、記憶装置304から構成されている。なお、信号制御部301、振動制御部302、および、高さ調整部303の各機能(後述する)をプログラム化してROMなどの記憶装置に記憶させておき、当該プログラムをコンピュータによって処理することで、昇降制御部300を実現するようにしてもよい。
【0024】
図3において、信号制御部301は、操作入力部20L,20Rに設けられた方向入力装置21、第1スイッチ22、および、第2スイッチ23から出力された信号を、基台部35内に設けられた通信装置310を介して本体部10へ送信する。また、信号制御部301は、通信装置310を介して本体部10から送信されてきた各種信号を受信し、受信した信号に応じて各種制御信号を生成して振動制御部302または高さ調整部303へ出力する。ここで、本体部10から信号制御部301へ送信される信号としては、プレイヤによってゲーム装置1が提供するゲームの開始が指示されたときに送信される遊技開始信号、ゲーム実行中において、バイブレータ36L,36Rを振動させる強さおよび時間を指定する振動発生信号、および、ゲーム装置1が提供するゲームが終了したときに送信される遊技終了信号などがある。
【0025】
振動制御部302は、信号制御部301から出力された振動発生信号によって示される振動の強さ及び振動時間に従って、バイブレータ36L,36Rを振動させるための振動制御信号を生成し、振動駆動回路311へ出力する。振動駆動回路311は、振動制御部302から出力された振動制御信号に基づいて、バイブレータ36L,36Rを駆動する。高さ調整部303は、前述した接触センサ21aから出力される接触信号、着座センサ39から出力される着座信号、および、圧力センサ37L,37Rから出力される圧力値データを受信し、これらの信号およびデータと、記憶装置304に記憶されているデータ(後述する)とに基づいて、背もたれ部32内部に設けられた昇降装置のモータを駆動制御するためのモータ制御信号を生成する。また、着座センサ39から着座信号が出力された場合は、当該着座信号を信号制御部301へ出力する。肘掛駆動回路312は、高さ調整部303によって生成されたモータ制御信号に従って上記昇降装置が備えるモータ320を駆動し、肘掛部34L,34Rを上方または下方へ移動させる。
【0026】
以上の構成を備えるゲーム装置1において、座席30に設けられた肘掛部34L,34Rの高さを調整する際の、昇降制御部300における処理の流れについて、図4から図6のフローチャートを参照して説明する。ここで、図4は、信号制御部301で実行される信号制御処理の流れを示すフローチャートであり、図5は、上記信号制御処理において実行される手動調整制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。また、図6は、高さ調整部303で実行される肘掛部34L,34Rの高さ調整処理を示すフローチャートである。
【0027】
まず、図4において、信号制御部301は、ゲーム装置1の電源が投入されると、本体部10から遊技開始信号が出力されたか否かを判断する(ステップS1)。ここで、遊技開始信号は、例えば、本体部10の画像表示装置11の画面に『ゲームを開始する場合は、第1スイッチを押してください』などのメッセージが表示されているときに、プレイヤによって第1スイッチ22が押され、信号制御部301を介して通信装置310から第1スイッチ22のオン信号を受信したときに、本体部10から出力されるようにしてもよい。そして、本体部10から遊技開始信号を受信しない場合は、ステップS1の判断結果がNOとなって、遊技開始信号を受信するまで待機状態となる。
【0028】
信号制御部301が、通信装置310を介して本体部10から遊技開始信号を受信すると、次に信号制御部301は、高さ調整部303から着座信号を受信したか否かを判断する(ステップS2)。高さ調整部303から着座信号を受信していなければ、ステップS2の判断結果がNOとなって着座信号を受信するまで、待機状態となる。一方、高さ調整部303から着座信号を受信した場合は、ステップS2の判断結果がYESとなって、信号制御部301は、受信した着座信号を、通信装置310を介して本体部10へ送信する(ステップS3)。
【0029】
ここで、本体部10においては、遊技開始信号を昇降制御部300へ送信してから予め定められた時間(たとえば10秒間)が経過しても、昇降制御部300から着座信号を受信しなかった場合、画像表示装置11に『シートに座ってください』などのメッセージを表示させるようにしてもよい。また、本体部10は、昇降制御部300から着座信号を受信すると、画像表示装置11に『ジョイスティックを握ってください』といったメッセージを表示するようにしてもよい。これは、後述するように、高さ調整部303が肘掛部34L,34Rの高さ調整を開始する条件の中に、方向入力装置21のスティック部分内部に設けられた接触センサ21aから接触信号が出力されることが含まれているため、プレイヤに方向入力装置21に触れることを促すためである。
【0030】
また、後述するが、高さ調整部303は、信号制御部301へ着座信号を出力後、接触センサ21aおよび圧力センサ36L,36Rからの出力信号に基づいて、肘掛部34L,34Rの高さ位置調整を開始する。この間(すなわちステップS3で着座信号を本体部10へ送信した後)、信号制御部301においては、高さ調整部303から自動調整完了信号が出力されたか否かを判断する(ステップS4)。この自動調整完了信号は、高さ調整部303において肘掛部34L,34Rの高さ位置調整が完了すると、高さ調整部303から信号制御部301へ出力される信号である。そして、信号制御部301は、自動調整完了信号を受信していない場合は、ステップS4における判断結果がNOとなり、自動調整完了信号が出力されるまで待機状態となる。一方、自動調整完了信号を受信すると、ステップS4の判断結果がYESとなり、当該自動調整完了信号を、通信装置310を介して本体部10へ送信する(ステップS5)。そして、この自動調整完了信号を本体部10が受信すると、本体部10は、画像表示装置11に『肘掛の高さが現状で良ければ、第1スイッチを、高さを変更する場合は第2スイッチを押してください』といったメッセージを表示する。
【0031】
信号制御部301は、ステップS5で自動調整完了信号を本体部10へ送信した後、第1スイッチ22または第2スイッチ23のいずれかからオン信号が出力されるまで待機状態となる(ステップS6,S7)。すなわち、第1スイッチ22からオン信号が出力されなければステップS6の判断結果がNOとなり、ステップS7へ移行する。そして、第2スイッチ23からオン信号が出力されなければ、ステップS7の判断結果がNOとなってステップS6へ戻る。このように、信号制御部301は、プレイヤによって第1スイッチ22または第2スイッチ23が押されるまで、ステップS6とS7の処理を繰り返し行う。そして、第2スイッチ23が押された場合は、ステップS7の判断結果がYESとなって、手動調整制御処理を開始する(ステップS8)。この手動調整制御処理は、プレイヤが方向入力装置21を傾動操作した方向に従って、肘掛部34L,34Rの高さ位置の調整を制御する処理であり、後に図5を参照して詳しく説明する。
【0032】
そして、信号制御部301が、ステップS8の手動調整制御処理を終えると、通信装置310を介して本体部10へ調整完了信号を送信する(ステップS9)。本体部10がこの調整完了信号を受信すると、本体部10において、ゲーム装置1がプレイヤに提供するゲームが開始される。一方、第1スイッチ22が押された場合は、ステップS6の判断結果がYESとなって、信号制御部301は、上述したステップS8の手動調整制御処理を行うことなくステップS9へ移行し、通信装置310を介して調整完了信号を本体部10へ送信する。
【0033】
ステップS9で調整完了信号を送信すると、信号制御部301は、本体部10から振動発生信号を受信したか否かを判断し(ステップS10)、受信しなかった場合は、判断結果がNOとなって、次に、本体部10から遊技終了信号を受信したか否かを判断する(ステップS11)。そして、遊技終了信号を受信していなかった場合は、ステップS11の判断結果がNOとなり、ステップS10へ戻る。以下、信号制御部301は、本体部10から振動発生信号または遊技終了信号を受信するまで、ステップS10およびS11の処理を繰り返し行い、これらの信号の受信待ち状態となる。
【0034】
そして、本体部10から振動発生信号を受信すると、ステップS10における判断結果がYESとなって、信号制御部301は、受信した振動発生信号を振動制御部302へ出力する(ステップS12)。これにより、振動制御部302は、振動制御信号に含まれている振動強度および振動時間でバイブレータ36L,36Rを駆動するための振動制御信号を生成して振動駆動回路311へ出力する。よって、バイブレータ36L,36Rは、本体部10から指示された振動強度で、指示された時間、振動することとなる。ステップS12の処理を終えると、信号制御部301は、再びステップS10の処理へ戻る。
【0035】
また、本体部10から遊技終了信号を受信すると、ステップS11における判断結果がYESとなって、信号制御部301は、高さ調整部303へ初期位置信号を出力する(ステップS13)。この初期位置信号は、高さ調整部303に対し、肘掛部34L,34Rを初期位置(図2において破線で示す位置)に戻すよう指示する信号である。そして、ステップS13の処理を終えると、信号制御部301は、図4に示す信号制御処理を終了する。
【0036】
次に図5を参照して、図4のステップS8で実行される手動調整制御処理の内容について説明する。上述した図4のステップS7において、第2スイッチ23が操作されると、ステップS7の判断結果がYESとなって、図5に示す手動調整制御処理が開始される。まず、信号制御部301は、通信装置310を介して本体部10へ手動調整開始信号を送信する(ステップS20)。ここで、本体部10において、昇降制御部300から手動調整開始信号を受信した場合、画像表示装置11に、例えば、『肘掛を上げるときはジョイスティックを前に、下げるときは後ろに操作してください。位置が決まりましたら第1スイッチを押してください』といったメッセージを表示するようにしてもよい。
【0037】
そして、信号制御部301は、プレイヤが方向入力装置21のスティック部分を前方向に傾動させたことにより、方向入力装置21から前方を指示する信号(以下、前方指示信号という)が出力されたか否かを判断する(ステップS21)。前方指示信号が出力された場合は、ステップS21の判断結果がYESとなり、信号制御部301は、高さ調整部303に対して上昇信号を出力し(ステップS22)、その後、ステップS21へ戻る。また、方向入力装置21から前方指示信号が出力されなかった場合は、ステップS21の判断結果がNOとなり、信号制御部301は、プレイヤが方向入力装置21のスティック部分を後ろ方向に傾動させたことにより、方向入力装置21から後方を指示する信号(以下、後方指示信号という)が出力されたか否かを判断する(ステップS23)。後方指示信号が出力された場合は、ステップS23の判断結果がYESとなり、信号制御部301は、高さ調整部303に対して下降信号を出力し(ステップS24)、その後、ステップS21へ戻る。なお、高さ調整部303が上述した上昇信号および下降信号を受信したときに行う処理については後述する。
【0038】
これに対して、方向入力装置21から前方指示信号および後方指示信号のいずれも出力されなかった場合は、ステップS21およびS23における判断結果がいずれもNOとなり、この場合、信号制御部301は、プレイヤが第1スイッチ22を操作したか否か、すなわち、第1スイッチ22からオン信号が出力されたか否かを判断する(ステップS25)。ここで、第1スイッチ22からオン信号が出力されていなかった場合は、ステップS25の判断結果がNOとなってステップS21の処理へ戻る。一方、第1スイッチ22からオン信号が出力された場合は、ステップS25の判断結果がYESとなって、信号制御部301は、図5に示す手動調整制御処理を終了し、図4のステップS9へ移行して、調整完了信号を本体部10へ送信する。
【0039】
次に、図6を参照して、高さ調整部303において実行される高さ調整処理の内容について説明する。まず、高さ調整部303は、着座センサ39から着座信号が出力されたか否かを判断する(ステップS30)。そして、着座信号を受信しない場合は、ステップS30の判断結果がNOとなって、着座信号を受信するまで待機状態となる。着座センサ39から着座信号が出力されると、ステップS30の判断結果がYESとなり、高さ調整部303は、信号制御部301へ着座信号を出力する(ステップS31)。なお、この着座信号は、信号制御部301によって本体部10へ送信されることは、既に説明したとおりである(図4,ステップS2,S3参照)。
【0040】
そして、ステップS31の処理を終えると、高さ調整部303は、接触センサ21aおよび圧力センサ37L,37Rの出力信号に基づいて肘掛部34L,34Rの高さ調整を開始する。すなわち、まず、接触センサ21aから接触信号が出力されているか否かを判断し(ステップS32)、接触信号を受信しない場合は、ステップS32の判断結果がNOとなって、接触信号を受信するまで待機状態となる。そして、プレイヤの手などが、方向入力装置21のスティック部分に接触するなどして、接触センサ21aから接触信号が出力されると、ステップS32の判断結果がYESとなって、高さ調整部303は、肘掛駆動回路312に対して肘掛部34L,34Rが上昇するように、背もたれ部32内に設けられた昇降装置のモータ320を駆動させるための制御信号(以下、上昇制御信号という)を出力する(ステップS33)。これにより、肘掛駆動回路312は高さ調整部303から駆動を停止させるための制御信号(以下、停止制御信号という)が出力されるまで、モータ320を駆動して肘掛部34L,34Rを初期位置から上昇させる。
【0041】
次に高さ調整部303は、圧力センサ37L,37Rから出力される圧力値データと、記憶装置304に記憶されている基準圧力値とを比較し、圧力値データによって示される値が、基準圧力値と一致するか否かを判断する(ステップS34)。ここで、記憶装置304に記憶されている基準圧力値は、プレイヤが方向入力装置21に触れている状態で、最も操作がしやすく、肩などが疲れにくい前腕部の角度となるときに、圧力センサ37L,37Rに加えられる圧力を測定によって求めた値である。そして、圧力センサ37L,37Rから出力される圧力値データと、記憶装置304に記憶されている基準圧力値とが一致すると、ステップS34の判断結果がYESとなり、高さ調整部303は、肘掛駆動回路312に対して停止信号を出力する(ステップS35)。これにより、肘掛駆動回路312は、背もたれ部32内に設けられた昇降装置のモータの駆動を停止し、肘掛部34L,34Rの上昇が停止する。
【0042】
次いで高さ調整部303は、信号制御部301へ自動調整完了信号を出力し(ステップS36)、その後、信号制御部301から初期位置信号、上昇信号、または、下降信号のいずれかが出力されるか否かを判断する(ステップS37〜S39)。ここで、例えば、信号制御部301において、図5に示した手動調整制御処理が行われ、高さ調整部303に対して上昇信号が出力された場合、図6のステップS38における判断結果がYESとなって、高さ調整部303は、肘掛駆動回路312に対して上昇制御信号を出力する(ステップS40)。これにより、肘掛駆動回路312は、背もたれ部32の内部に設けられた昇降装置のモータを駆動して肘掛部34L,34Rを上昇させる。また、信号制御部301から下降信号が出力された場合は、図6のステップS39における判断結果がYESとなって、高さ調整部303は、肘掛駆動回路312に対して肘掛部34L,34Rを下降させるための制御信号(以下、下降制御信号という)を出力する(ステップS41)。これにより、肘掛駆動回路312は、背もたれ部32の内部に設けられた昇降装置のモータを駆動して肘掛部34L,34Rを下降させる。また、信号制御部301が本体部10から遊技終了信号を受信し、高さ調整部303に対して初期位置信号を出力した場合、図6のステップS37における判断結果がYESとなって、高さ調整部303は、肘掛駆動回路312に対して肘掛部34L,34Rを初期位置まで下降させるための制御信号(以下、初期位置復帰信号という)を出力する(ステップS42)。これにより、肘掛駆動回路312は、背もたれ部32の内部に設けられた昇降装置のモータを駆動して肘掛部34L,34Rを初期位置まで下降させる。そして、高さ調整部303は、ステップS42の処理を終えると、図6に示す高さ調整処理を終了する。
【0043】
なお、信号制御部301から初期位置信号、上昇信号、および、下降信号のいずれも出力されなかった場合は、図6のステップS39における判断結果がNOとなって、高さ調整部303は、肘掛駆動回路312に対して停止信号を出力する(ステップS43)。これにより、肘掛駆動回路312は、背もたれ部32の内部に設けられた昇降装置のモータの駆動を停止して、当該停止信号を受信する直前の位置で、肘掛部34L,34Rの上昇または下降を停止させる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のゲーム装置1における座席30は、プレイヤが前腕部を肘掛部34L,34Rに載置した状態で方向入力装置21、第1スイッチ22、および、第2スイッチ23を操作することができる位置に肘掛部34L,34Rが設けられているため、ゲームのプレー中における腕の重みによるプレイヤの疲労を軽減することができる。また肘掛部34L,34Rの上面すなわちプレイヤの前腕部の載置面に、断面が曲線を描く溝DL,DRを設けたので、プレイヤの前腕部の安定が増すとともに、プレイヤの前腕部との接触面積が増して肘掛部34L,34Rの内部に設けられたバイブレータ36L,36Rによって発生した振動をより確実に伝えることができる。
【0045】
また、プレイヤが座席30の着座部31に着座し、方向入力装置21のスティック部分に触れると、肘掛部34L,34Rが初期位置から上昇して、適切な位置で停止するため、肘掛部34L,34Rの高さをプレイヤの体格に合せた位置に自動的に調整することが可能となる。さらに、肘掛部34L,34Rの高さは、プレイヤ自身によって手動調整することができるため、自動的に調整された肘掛部34L,34Rの高さを、より自分の好みに合った高さに修正することができる。また、この手動調整は、方向入力装置21によって行われるため、肘掛部34L,34Rの高さを調整するためのスイッチなどを別途設ける必要がない。
【0046】
なお、上述したゲーム装置1においては、以下のような構成を採用することも可能である。
(1)本実施形態では、操作入力部20L,20Rを、肘掛部34L,34Rとは別体に設けていたが、図7に示すように、操作入力装置21、および、第1,第2スイッチ22,23をそれぞれ肘掛部34L,34Rの先端側に、直接設けてもよい。
【0047】
(2)本実施形態では、接触センサ21aを方向入力装置21のスティック部の内部に設けていたが、第1のスイッチ22または第2のスイッチ23を押すことによって出力されるオン信号を、接触センサ21aから出力される接触信号の代わりに用いてもよい。また、接触センサ21aからの接触信号と、第1のスイッチ22または第2のスイッチ23からのオン信号との双方が出力されたことを条件に、肘掛部34L,34Rの自動調整を開始するようにしてもよい。
【0048】
(3)本体部10内に昇降制御部300の機能を持たせて、本体部10から、各種センサおよび操作入力部20L,20Rからの信号に基づいて、背もたれ部32内に設けられた昇降装置を制御するようにしてもよい。
【0049】
(4)本実施形態では、上述した実施形態では、肘掛部34L,34Rは、背もたれ部32の左右両側に設けていたが、左側または右側のいずれか一方のみに設けてもよい。また、肘掛部34L,34Rを、背もたれ部32の左右両側に設ける場合であっても、圧力センサおよび接触センサは、いずれか一方の肘掛部の内部に設けるようにしてもよい。
【0050】
(5)図5に示した手動調整制御処理においては、方向入力装置21から出力される信号に従って肘掛部34L,34Rの高さ調整を行っていたが、方向入力装置21の代わりに、例えば、第1スイッチ22からオン信号が出力された場合は、肘掛部34L,34Rを上昇させ、第2スイッチ23からオン信号が出力された場合は、肘掛部34L,34Rを下降させることによって、手動調整を可能にしてもよい。
【0051】
(6)本実施形態では、肘掛部34L,34Rの高さ調整を実行する過程で、本体部10の画像表示装置11にプレイヤに対して種々のメッセージを表示するため、本体部10と昇降制御部300との間で各種信号のやり取りを行っていたが、座席30単体で肘掛部34L,34Rの高さ調整を行うようにしてもよい。この場合、図4に示す信号制御処理のステップS1〜S3,S5,S9の処理を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態におけるゲーム装置の外観を示す斜視図である。
【図2】同ゲーム装置が備える座席の側面を示す側面図である。
【図3】同ゲーム装置が備える座席の肘掛部の高さを制御する昇降制御部およびその周辺装置の構成を示すブロック図である。
【図4】同昇降制御部を構成する信号制御部により実行される信号制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】同昇降制御部を構成する信号制御部により実行される手動調整制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】同昇降制御部を構成する高さ調整部により実行される高さ調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態におけるゲーム装置が備える操作入力部を、座席の先端側に設けた場合における、ゲーム装置の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
10 本体部
11 画像表示装置
20L,20R 操作入力部
21 方向入力装置
21a 接触センサ
22 第1スイッチ
23 第2スイッチ
30 座席
34L,34R 肘掛部
36L,36R バイブレータ
37L,37R 圧力センサ
39 着座センサ
300 昇降制御部
301 信号制御部
302 振動制御部
303 高さ調整部
304 記憶装置
310 通信装置
311 振動駆動回路
312 肘掛駆動回路
320 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームの状況を表示する画像表示装置と、プレイヤの操作に応じた操作入力信号を前記ゲーム装置へ出力する操作入力手段とを備え、該操作入力手段に対して行われた前記プレイヤの操作に応じて前記ゲームの状況を制御するゲーム装置に設けられ、肘掛部を有するとともに前記プレイヤが前記画像表示装置の画面に対向して着座するゲーム装置用座席であって、
前記肘掛部は、前記プレイヤが前記肘掛部に前腕部を載置した状態で、前記操作入力手段の操作が可能な位置に設けられ、
前記肘掛部の内部に、前記画像表示装置に表示されたゲーム状況に応じて前記ゲーム装置から出力される振動発生信号に従って振動を発生させる振動発生手段を設けた
ことを具備することを特徴とするゲーム装置用座席。
【請求項2】
前記肘掛部は、
前記プレイヤの前腕部が載置される載置面に、断面が曲線を描く溝を有することを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置用座席。
【請求項3】
前記肘掛部を上下方向へ移動させる昇降手段と、
前記操作入力手段に前記遊技者が接触したときに、接触検出信号を出力する接触検出手段と、
前記肘掛部内部に設けられ、前記肘掛部に加えられた圧力を検出し、該検出した圧力に対応する圧力検出信号を出力する圧力検出手段と、
前記接触検出手段から出力された接触検出信号および前記圧力検出手段から出力検出信号に基づいて前記昇降手段を制御し、前記肘掛部の高さ位置を調節する高さ調節手段と
を具備することを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置用座席。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−325750(P2007−325750A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159284(P2006−159284)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】