説明

ゲーム装置

【課題】ゲームとして合理的かつ自然に制御することができるゲーム装置を提供する。
【解決手段】画面上に表示されるキャラクターと移動体の動きを制御するゲーム装置である。移動体が移動する移動体予定軌跡と、移動体予定軌跡とは異なるダミー予定軌跡とを算出する移動体予定軌跡算出手段と、移動体予定軌跡算出手段により算出された移動体予定軌跡又はダミー予定軌跡に基づいてキャラクターの行動予定を算出するキャラクター行動予定算出手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲーム装置に関し、特に、キャラクターが移動体を使って行うゲームを実行するゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャラクターが移動体を使って行うゲームとして、球技の試合をシミュレートしたボールゲームが知られている。例えば、サッカーをシミュレートしたサッカーゲームや、野球をシミュレートした野球ゲーム等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−301264号公報
【特許文献2】特開2010−057841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなゲームにおいては、プレイヤの操作の負担を軽減するために一定の処理についてはプレイヤの操作を介さずに、移動体の動きにあわせてキャラクターの動きを自動的に決定して処理するようにしている。
【0005】
本発明の目的は、ゲームとして合理的かつ自然に制御することができるゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によるゲーム装置は、画面上に表示されるキャラクターと移動体の動きを制御するゲーム装置であって、前記移動体が移動する移動体予定軌跡と、前記移動体予定軌跡とは異なるダミー予定軌跡とを算出する移動体予定軌跡算出手段と、前記移動体予定軌跡算出手段により算出された前記移動体予定軌跡又は前記ダミー予定軌跡に基づいて前記キャラクターの行動予定を算出するキャラクター行動予定算出手段とを有することを特徴とする。
【0007】
上述したゲーム装置において、前記移動体予定軌跡算出手段は、前記移動体予定軌跡に基づいて前記ダミー予定軌跡を算出するようにしてもよい。
【0008】
上述したゲーム装置において、前記キャラクターのインパクトとは異なるダミーインパクトを生成するダミーインパクト生成手段を更に有し、前記移動体予定軌跡算出手段は、前記キャラクターのインパクトに基づいて前記移動体予定軌跡を算出し、前記ダミーインパクトに基づいて前記ダミー予定軌跡を算出するようにしてもよい。
【0009】
上述したゲーム装置において、前記ダミー予定軌跡を前記移動体予定軌跡に切り換える予定軌跡切換手段を更に有し、前記キャラクター行動予定算出手段は、最初は、前記ダミー予定軌跡に基づいて前記キャラクターの行動予定を算出し、前記予定軌跡切換手段による切り換え後は、前記移動体予定軌跡に基づいて前記キャラクターの行動予定を算出するようにしてもよい。
【0010】
上述したゲーム装置において、前記予定軌跡切換手段は、前記キャラクターに関連するパラメータに基づいて切り換えるようにしてもよい。
【0011】
上述したゲーム装置において、前記予定軌跡切換手段は、前記ダミー予定軌跡に関連するパラメータに基づいて切り換えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上の通り、本発明によれば、画面上に表示されるキャラクターと移動体の動きを制御するゲーム装置が、移動体が移動する移動体予定軌跡と、移動体予定軌跡とは異なるダミー予定軌跡とを算出する移動体予定軌跡算出手段と、移動体予定軌跡算出手段により算出された移動体予定軌跡又はダミー予定軌跡に基づいてキャラクターの行動予定を算出するキャラクター行動予定算出手段とを有するようにしたので、ゲームとして合理的かつ自然に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態によるカードゲーム装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるカードゲーム装置における端末装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるカードゲーム装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態によるカードゲーム装置の端末装置における選手カード配置パネルを示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるカードゲーム装置の端末装置における選手カード配置パネルが取り付けられた筐体の縦断面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるカードゲーム装置の端末装置における選手カード配置パネル及び操作部を示すブロック図である。
【図7】本発明の一実施形態によるカードゲーム装置におけるAIシステムのブロック図である。
【図8】サッカーゲームにおける実軌道のみによる選手AIの動作の具体例の説明図である。
【図9】サッカーゲームにおける実軌道とダミー軌道による選手AIの動作の具体例の説明図(その1)である。
【図10】サッカーゲームにおける実軌道とダミー軌道による選手AIの動作の具体例の説明図(その2)である。
【図11】本発明の一実施形態における、ダミー軌道から実軌道に切り換える方法の一具体例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態における、ダミー軌道から実軌道に切り換える方法の他の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[一実施形態]
本発明の一実施形態によるカードゲーム装置について図面を用いて説明する。
【0015】
(カードゲーム装置)
本実施形態によるカードゲーム装置の全体構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態によるカードゲーム装置の全体構成を示す斜視図である。図2は本実施形態によるカードゲーム装置において各プレイヤが操作する端末装置を示す斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示されるように、カードゲーム装置10は、2台の大型パネルディスプレイ12と、大型パネルディスプレイ12の表示制御を行うメイン制御部14と、メイン制御部14と通信可能に接続された複数の端末装置16a〜16hとから構成されている。
【0017】
本実施例のカードゲーム装置10では、サッカーゲームを行う。なお、カードゲーム装置10は、サッカーゲーム以外のスポーツ競技、例えば、野球やラグビー、アメリカンフットボール、ホッケーなどのチームで対戦する競技等にも適用することができる。
【0018】
大型パネルディスプレイ12は、サッカー場の全体画像、全席の試合ダイジェスト、全席の試合結果などの画像が表示される。初めてゲームに参加するプレイヤは、最初にゲームに必要なスタートセット(アイテム)を購入して端末装置16a〜16hに着席する。
【0019】
このスタートセットには、練習結果や試合結果等を記録する記録媒体として使用されるICカード(メモリカード)18と、各サッカー選手の写真が印刷された11枚の選手カード20とが含まれる。
【0020】
選手カード20は、後述するように表面に夫々異なる選手の写真が印刷され、裏面には表面に印刷された選手個人を識別するためのデータパターン(識別コード)が記録されている。
【0021】
ICカード18は、少なくとも当該プレイヤが所有する選手カード20の種類及びカードデータに対応する選手のスキル及び過去のゲーム結果が記憶されている。そのため、ICカード18に記憶された情報を読み取ることによりゲームに必要なデータが得られると共に、プレイヤ22がゲームに参加する資格を有していることを確認することができる。
【0022】
端末装置16a〜16hは、夫々同一構成であるので、ここでは端末装置16aについて説明する。端末装置16aは、プレイヤ22が所有する選手カード20を載置するための選手カード配置パネル24と、プレイヤ22が作ったサッカーチームの練習や試合の画像が表示されるモニタ26と、ICカード18が挿入されるICカードリードライト28と、ゲーム終了後に選手カードが払い出されるカード発行部30とが設けられている。
【0023】
選手カード配置パネル24の左側には、作戦メニューを選択指示するための作戦指示釦32a〜32cが設けられ、選手カード配置パネル24の右側には、選手パワー等を指示する入力釦34a,34bが設けられている。
【0024】
プレイヤ22は、作戦指示釦32a〜32cを操作することにより、練習や試合中に選手に指示を与えられる。プレイヤ22は、作戦指示釦32a〜32cを操作して、例えば、サイド攻撃など戦術の指示を行ったり、ゴールへのシュートを指示したり、モニタ26に表示される試合場面のカメラを切り替えたりできる。
【0025】
(カードゲーム装置のシステム構成)
本実施形態によるカードゲーム装置のシステム構成について図3を用いて説明する。図3は本実施形態によるカードゲーム装置のシステム構成を示すブロック図である。
【0026】
メイン制御部14は、LAN(Local Area Network)38のハブ40を介して大型パネルディスプレイ12を表示制御するための大型パネル制御部36と、各端末装置16a〜16hと、外部ネットワーク(図示せず)と接続されている。
【0027】
大型パネル制御部36は、CPU42、メモリ(RAM)44、入出力インターフェース46、サウンド回路48、グラフィック表示回路50を有する。
【0028】
メモリ(RAM)44には、大型パネルディスプレイ12に表示される各種画像データ、例えば、サッカー場の全体画像や各選手のプレイ画像、あるいは現在試合中のダイジェストシーン、あるいは過去の試合のゴールシーン等、及び、大型パネルディスプレイ12に表示される各種画像データを選別して優先順位を決めて順次表示させる制御プログラムが格納されている。
【0029】
入出力インターフェース46は、メイン制御部14及び大型パネルディスプレイ12を操作するためのスイッチ52が接続されている。
【0030】
サウンド回路48は、大型パネルディスプレイ12に表示される各種画像に応じた音声を出力するサウンドアンプ54に接続されている。
【0031】
グラフィック表示回路50は、CPU42からの制御信号により選択された画像(例えば、サッカー場の全体画像や各選手のプレイ画像、あるいは現在試合中のダイジェストシーン、あるいは過去の試合のゴールシーン等)を大型パネルディスプレイ12に表示させる。
【0032】
各端末装置16a〜16hは、CPU62、メモリ(RAM)64、入出力インターフェース66、サウンド回路68、グラフィック表示回路70を有する。
【0033】
メモリ(RAM)64には、モニタ26に表示される各種画像データ(例えば、各種ゲーム選択画像や各選手のプレイ画像等)、及び制御プログラムが格納されている。
【0034】
入出力インターフェース66は、メイン制御部14の他にICカードリードライト28、選手カード20の裏面に記憶されたカードデータを読み取るためのイメージセンサ56及びモニタ26を操作するためのスイッチ72が接続されている。
【0035】
サウンド回路68は、モニタ26に表示される各種画像に応じた音声を出力するサウンドアンプ74に接続されている。
【0036】
グラフィック表示回路50は、CPU62からの制御信号により選択された画像をモニタ26に表示させる。
【0037】
(選手カード配置パネル)
次に、端末装置16aにおける選手カード配置パネル24について図4及び図5を用いて説明する。図4は選手カード配置パネル24の平面図である。図5は選手カード配置パネル24が取り付けられた筐体76の縦断面図である。
【0038】
選手カード配置パネル24は、筐体76の上面開口76aを塞ぐように取り付けられた透明なガラス板78と、ガラス板78の上面に積層された薄いプレイフィールド用シート80とから構成されている。
【0039】
選手カード20は、プレイフィールド用シート80の上面に載置される。そして、筐体76の内部には、選手カード配置パネル24に載置された選手カード20の裏面に赤外線(不可視光)を照射する光源82と、光源82から発光された光から可視光を除去する第1フィルタ84と、選手カード配置パネル24上に載置された選手カード20の裏面に記憶されたカードデータのパターンを撮像するイメージセンサ56と、選手カード20の裏面で反射した反射光を上方へ反射させる第1反射板86と、第1反射板86で反射した反射光(不可視光)をイメージセンサ56に導く第2反射板88と、反射板86,88で反射した反射光に含まれる外乱光(可視光)を除去する第2フィルタ90とが取り付けられている。
【0040】
光源82は、赤外線あるいは紫外線のような肉眼で見えない不可視光を発光する発光ダイオード(LED)からなる。もちろん、光源82から可視光が発光されないときは第1フィルタ84を除くことができる。
【0041】
第1反射板86は、水平に設けられた選手カード配置パネル24に対して所定の傾斜角度αで傾斜するように筐体76の下側傾斜部76bに支持されている。また、第2反射板88は、第1反射板86の取付角度に応じた傾斜角度で取り付けられている。
【0042】
筐体76は、下側傾斜部76bを有するため、プレイヤ22が着席したとき、プレイヤ22の足が下側傾斜部76bの下方に挿入させることができる。そのため、プレイヤ22は、選手カード配置パネル24上に選手カード20を並べる際に選手カード配置パネル24の奥の位置まで手を伸ばすことが可能になり、選手カード配置パネル24の全面のどこでも選手カード20を載置させることができる。
【0043】
密閉された筐体76の内部からは、光源82から可視光をカットされた赤外線(不可視光)が選手カード配置パネル24に照射されているため、選手カード配置パネル24を上からみても筐体76の内部を覗くことはできない。
【0044】
図6は端末装置16aの選手カード配置パネル24及び操作部を拡大して示す平面図である。
【0045】
図6に示されるように、筐体76の上面には、選手カード配置パネル24と、プレイヤが操作する作戦指示釦32a〜32c及び入力釦34a,34bが設けられている。選手カード配置パネル24の上面には、レギュラー選手となる選手カード20を配置するための出場選手カード配置領域92と、控えの選手となる選手カード20を配置するためのサブ選手カード配置領域94とが形成されている。
【0046】
また、プレイヤ22は、手持ちの選手カード20の中から出場選手カード配置領域92の11枚の選手カード20を配置することができ、サブ選手カード配置領域94には5枚までの選手カード20を控えの選手として配置させることができる。
【0047】
また、作戦指示釦32aはモニタ26に表示されたメニュー画像上のカーソルを上方向へ移動させるセレクト釦、作戦指示釦32bは決定釦、作戦指示釦32cはモニタ26に表示されたメニュー画像上のカーソルを下方向へ移動させるセレクト釦として操作される。
【0048】
また、入力釦34aは出場選手カード配置領域92に並べられた選手カード20のパラメータを全力レベルに変更するための操作釦であり、入力釦34bは出場選手カード配置領域92に並べられた選手カード20のパラメータを体力温存レベルに変更するための操作釦である。
【0049】
また、ICカード18は、練習に応じたチーム能力(成長値)、他チームとの対戦成績(試合結果)、試合結果に応じて獲得したタイトルなどの各データが記憶されている。そして、プレイヤ22は、ゲーム開始する前に、ICカード18をICカードリードライト28に挿入してICカード18に記憶されている各データを端末装置16に読み込ませる。
【0050】
(サッカーゲーム処理の概要)
本実施形態のカードゲーム装置により実行されるサッカーゲームの概要について説明する。
【0051】
初めてゲームに参加するプレイヤは、ゲームに必要なスタートセットを購入して端末装置16a〜16hに着席する。スタートセットにはICカード(メモリカード)18と11枚の選手カード20とが含まれる。
【0052】
プレイヤは、端末装置16a〜16hにコインと投入し、スタートボタンを押してゲームを開始する。プレイヤは選手カード配置パネル24上に選手カード20を載置して自分のクラブチームを作成する。
【0053】
プレイヤは、端末装置16a〜16hを操作して、対戦するプレイヤを決定し、そのプレイヤのクラブチームとサッカーゲームを行う。サッカーゲームは、前半戦、ハーフタイム、後半戦と続いて、試合を実行する。
【0054】
本実施形態のサッカーゲームでは、プレイヤが各選手に対して個々の動作指示をするのではなく、作戦指示釦32a〜32cや入力釦34a,34bを用いて全体的な作戦や戦術を指示する。
【0055】
プレイヤ22は、作戦指示釦32a〜32cを操作することにより、練習や試合中に選手に指示を与える。例えば、作戦指示釦32a〜32cを操作して、サイド攻撃など戦術の指示を行ったり、ゴールへのシュートを指示したり、モニタ26に表示される試合場面のカメラを切り替えたりできる。
【0056】
サッカーゲームにおけるボールの動きや各選手の動きは、プレイヤが指示した作成や戦術にしたがって、カードゲーム装置がAI(Artificial Intelligence:人工知能)制御する。人工知能技術を利用して、フィールド上を動くボールに対して、敵味方の各選手が合理的で自然な動きをして、サッカーゲームが進行する。
【0057】
(サッカーゲームのAIシステム)
本実施形態のカードゲーム装置におけるAIシステムについて図7を用いて説明する。図7はサッカーゲームを実行するAIシステムを示すブロック図である。
【0058】
サッカーゲームを実行するAIシステムは、例えば、カードゲーム装置10のメイン制御部14内に構築される。また、カードゲーム装置10の端末装置16a〜16h内に構築してもよい。
【0059】
図7に示すように、サッカーゲームを実行するAIシステム100は、選手AIモジュール110と、ボールエンジン120から構成される。
【0060】
選手AIモジュール110は、ゲームプログラム中、選手の思考を司る部分である。選手AIモジュール110は、各選手の動きを決定する。ボールエンジン120は、ゲームプログラム中、ボールの物理演算、軌道管理などを行う部分である。ボールエンジン120は、ボールの軌道を決定する。
【0061】
選手AIモジュール110とボールエンジン120は独立して動作する。ボールエンジン120によるボール軌道演算により将来のボールの位置を取得して、選手AIモジュール110が、そのボールの位置を目標としてAI思考して、適切な行動を起こす。
【0062】
各モジュールの詳細を説明する前に用語の定義について説明する。
【0063】
実軌道とは、プレイヤのインパクト等により、実際にボールが描く軌道である。
【0064】
ダミー軌道とは、実際にボールが描く軌道ではないが、ダミーとしてゲーム装置が提供する仮想的な軌道である。
【0065】
インパクトとは、ボールが打ち出されるプレイヤの行為全般のことである。投げる、打つ、捕る等の行為がこれに相当する。本実施形態のようなサッカーゲームの場合には、キック、ヘディング、パンチ、キャッチ、スロー等である。
【0066】
(選手AIモジュール)
選手AIモジュール110は各選手の動きを決定するモジュールである。選手AIモジュール110内には、サッカーゲームにエントリーされた各選手について、選手Aモジュール111、選手Bモジュール112、選手Cモジュール113、選手Dモジュール114、…、が設けられる。選手A、選手B、選手C、選手D、…は、それぞれの選手モジュール111、112、113、114、…により動きが決定される。
【0067】
(ボールエンジン)
ボールエンジン120は、ボールの動きを決定するモジュールである。ボールエンジン120内には、インパクト予約モジュール130と、軌道計算モジュール140と、軌道情報管理モジュール150と、リアルタイム演算モジュール160が設けられている。
【0068】
インパクト予約モジュール130は、各選手モジュール111、112、113、114、…からのインパクト予約を受け付けるモジュールである。実インパクト予約受付モジュール132と、ダミーインパクト作成モジュール134を有する。
【0069】
実インパクト予約受付モジュール132は、各選手AIモジュール111、112、113、114、…によるインパクト予定時間、位置、目標位置等の情報を受け取る。複数の選手AIモジュール111、112、113、114、…からのインパクト予約があった場合には、それらのインパクト予約に優先順位をつけ、序列化して保持する。現在の時刻が、インパクト予約が指定したインパクト予定時刻に達した場合、そのインパクトを実行するために軌道計算モジュール140にインパクト情報を提供する。ダミーインパクト作成モジュール134は、実インパクト予約受付モジュール132が受け付けた実インパクトのダミーとなるダミーインパクトを作成する。
【0070】
例えば、実インパクトがボールにカーブをかけるキックの場合には、実インパクトと強さや方向、タイミングは同じであるがボールにカーブを掛けないキックのダミーインパクトを生成する。また、フェイントキックなどの場合には実インパクトと異なる方向、強さ、タイミングのダミーインパクトを生成する。
【0071】
軌道計算モジュール140は、指定された情報どおりに発射位置から目標位置までボールが到達できるようなボール軌道を計算するモジュールである。実軌道計算モジュール142と、ダミー軌道計算モジュール144を有する。実軌道計算モジュール142は、実インパクト予約受付モジュール132からのインパクト情報に基づいてボールの実軌道を計算する。ダミー軌道計算モジュール144は、ダミーインパクト作成モジュール134により作成されたダミーインパクトの情報に基づいてダミーとなるボールのダミー軌道を計算する。軌道計算が完了すると、実軌道計算モジュール142、ダミー軌道計算モジュール144は、軌道情報管理モジュール150に軌道情報を格納する。
【0072】
例えば、実インパクトがボールにカーブをかけるキックであり、ダミーインパクトが実インパクトと強さや方向、タイミングは同じであるがボールにカーブを掛けないキックのダミーインパクトの場合には、実軌道計算モジュール142は、ボールがカーブする軌道を計算するが、ダミー軌道計算モジュール144は、ボールがカーブしないダミーの軌道を計算する。
【0073】
フェイントキックの場合には、実軌道計算モジュール142は、インパクトを行う選手AIが意図した方向のボール軌道を計算するが、ダミー軌道計算モジュール144は、フェイントを行う強さ、方向、タイミングの軌道を計算する。
【0074】
軌道情報管理モジュール150は、ボールの軌道情報を管理し、現在から終端地点(ボールの最終到達地点)までの全てのポイントにおける到達時間、位置、速度などの情報を管理する。軌道情報管理モジュール150は、実軌道情報管理モジュール152と、ダミー軌道計算モジュール154を有する。実軌道情報管理モジュール152は、ボールの実軌道の情報を管理し、現在から終端地点(ボールの最終到達地点)までの全てのポイントにおける到達時間、位置、速度などの情報を管理する。ダミー軌道情報管理モジュール154は、ボールのダミー軌道の情報を管理し、現在から終端地点(ボールの最終到達地点)までの全てのポイントにおける到達時間、位置、速度などの情報を管理する。
【0075】
リアルタイム演算モジュール160は、所定時間の経過毎にボールやキャラクター等の位置を毎回計算するモジュールである。ボールの現在位置を軌道情報管理モジュール150から取得し、ボール位置座標の更新を行う。ゴールポスト等の障害物との衝突などを検知した場合には、軌道計算モジュール140に再計算を促す。
【0076】
(実軌道のみによる選手AIの動作の具体例)
本具体例について図8を用いて説明する。本具体例は、選手(キャラクター)のインパクトにより実軌道のみを計算するものである。
【0077】
ボールPを保持しているキャラクターAが、ボールPを位置P0に向かってキックするインパクトを実行したとする。インパクト予約受付モジュール130の実インパクト予約受付モジュール132は、このインパクトの予定時間、位置、目標位置等の情報を受け取り、このインパクトを実行するために軌道計算モジュール140にインパクト情報を提供する。
【0078】
軌道計算モジュール140の実軌道計算モジュール142は、実インパクト予約受付モジュール132からのインパクト情報に基づいて、キャラクターAにより蹴られたボールPの実軌道Lを計算する。
【0079】
選手Bの選手AIモジュール112は、計算された実軌道Lに基づいて、AI思考し、どの位置でボールPに達するのが適切かを決定し、その決定に基づいて選手Aを行動させる。AI思考の際には、ゴールGの位置も考慮する。
【0080】
例えば、図8に示すように、選手AIは、位置Pnで実軌道Lに達するのが適切であると判断し、その判断に基づいて選手Aを行動させる。
【0081】
本具体例では、キャラクターのインパクトによる実軌道のみを計算している。図8に示すように、味方同士の素直なパスのような場合には、実軌道のみであっても、各選手は自然な動きをする。
【0082】
しかしながら、ゴール前のフリーキックのように相手側選手を騙すことを目的とするキックの場合、実軌道のみであると、各選手の動きは不自然になってしまうという問題があった。
【0083】
例えば、ゴールの右側を狙う方向でキックしながら、ボールにカーブを掛けて、ゴールの左側に達するような高度なフリーキックの場合である。このフリーキックの実軌道は、ボールがカーブして狙った方向と反対側のゴールの左側に達する軌道となる。実軌道のみを用いて制御すると、各選手は、キック直後から、この実軌道に基づいて変化球に騙されずに動作することになり、極めて不自然となる。
【0084】
本実施形態では、実軌道の他にダミー軌道を併用することにより、このような選手の不自然な動作を解消しようとする。
【0085】
(実軌道とダミー軌道による選手AIの動作の具体例)
本具体例について図9及び図10を用いて説明する。本具体例は、キャラクターのインパクトによる実軌道と共に、実軌道に基づくダミー軌道を用いて、選手AIの自然な動作を実現するものである。
【0086】
ボールPを保持しているキャラクターAが、ボールPをゴールGに向かってキックするインパクトを実行したとする。キャラクターAのキックの方向は、ゴールGの右端の位置Q0に向いているが、ボールにカーブをかけるキックであるので、実際にはボールPはゴールGの左端の位置P0に達する。
【0087】
インパクト予約受付モジュール130の実インパクト予約受付モジュール132は、このインパクトの予定時間、位置、目標位置等の情報を受け取り、このインパクトを実行するために軌道計算モジュール140にインパクト情報を提供する。
【0088】
同時に、インパクト予約受付モジュール130のダミーインパクト作成モジュール134は、ボールにカーブをかけるキックである実インパクトに対して、実インパクトと強さや方向は同じであるがボールにカーブを掛けないキックのダミーインパクトを生成する。
【0089】
軌道計算モジュール140の実軌道計算モジュール142は、実インパクトに基づいて実軌道Lを計算する。実軌道Lは、実インパクトに基づいて、キックした位置からカーブしてゴールGの左端の位置P0に達する軌道となる。
【0090】
同時に、軌道計算モジュール140のダミー軌道計算モジュール144は、ダミーインパクトに基づいてダミー軌道Mを計算する。ダミー軌道Mは、ダミーインパクトに基づいて、キックした位置からカーブすることなく直進して位置Q0に達する軌道となる。
【0091】
他の選手、例えば、図9に示したゴールキーパであるキャラクターBは、実軌道又はダミー軌道に基づいて、AI思考し、どのように行動してゴールを阻止するが適切かを決定し、その決定に基づいてキャラクターBを行動させる。
【0092】
図10を用いて、キャラクターBの時系列の行動の具体例について説明する。
【0093】
まず、図10(a)に示すように、キャラクターAがフリーキックによりボールPをゴールGの右端に向かってキックする。キャラクターBは、いかなるシュートにも対応するように正面を向いているが、キャラクターAのキックの向きからダミー軌道Mを予想している。
【0094】
続いて時間が経過すると、図10(b)に示すように、ボールPが移動するが、その移動距離では実軌道Lとダミー軌道Mは同じであるため、キャラクターBは自分が予想するダミー軌道Mに基づいて動作し、ダミー軌道Mの終点位置の方に向く。
【0095】
続いて更に時間が経過すると、図10(c)に示すように、ボールPは実軌道Mに沿って移動し、ダミー軌道Mのボールのダミー位置Qから離れる。しかし、ボールPの位置は、ダミー位置Qから大きくは離れていないため、キャラクターBはボールPの位置が予想から離れていることに気付かず、依然としてダミー軌道Mに基づいて動作し、ダミー軌道Mの終点位置の方に向いている。
【0096】
続いて更に時間が経過すると、図10(d)に示すように、ボールPは実軌道Mに沿って更に移動し、ゴールGの左端の位置P0に到達しようとする。キャラクターBは、ボールPの位置がダミー軌道Mから大きく離れたので、実軌道Lに気づき、ダミー軌道Mから実軌道Lに切り換える。キャラクターBは、切り換えた実軌道Lに基づいて動作し、実軌道Lの終点位置P0の方に向いてボールPを処理しようとする。図10(d)では、実軌道Lに切り替わった時には、ボールPがゴールGに達しており、キャラクターBであるゴールキーパはゴールを阻止することができなかった。
【0097】
このようにして、キャラクターBの動作として、キャラクターAのフリーキックに騙された自然な動作を実現できる。
【0098】
(実軌道の求め方)
次に、軌道計算モジュール140の実軌道計算モジュール142による実軌道の計算方法について説明する。
【0099】
キャラクターによるキック等のインパクトは、インパクト作成モジュール130の実インパクト予約受付モジュール132による受け付けられる。
【0100】
実インパクトのインパクト予約データとして、例えば、次のようなものがある。
(a)インパクト時間(何秒後にインパクトするのか)
(b)インパクト位置
(c)狙い位置
(d)インパクト位置から狙い位置までの到達時間
(e)ボールのバウンド数
(f)縦軸回転量(カーブ、シュート)
(g)横軸回転量(バックスピン、ドライブ)
(h)乱流によるブレ量
(i)摩擦係数
これらデータから実軌道Lは決定される。打ち出し位置からの相対的な目標位置をp、空気抵抗をR、ボール質量をM、滞空時間をT、重力加速度をGとしたとき、ボールの初速vは、例えば、次式で表される。
【0101】
【数1】

【0102】
この式に更にボール回転、摩擦係数などの諸条件も加味して初速vを決定する。この初速vにより打ち出されたボールPを、通常の物理演算に従って計算することで実軌道Lが決定される。
【0103】
(ダミー軌道の求め方)
次に、軌道計算モジュール140のダミー軌道計算モジュール144によるダミー軌道の計算方法について説明する。
【0104】
キャラクターの実インパクトに対して、インパクト予約受付モジュール130のダミーインパクト作成モジュール134は、ダミーインパクトを作成する。
【0105】
ダミーインパクトのインパクト予約データは、実インパクトと同様に、例えば、次のようなものから構成される。
(a)インパクト時間(何秒後にインパクトするのか)
(b)インパクト位置
(c)狙い位置
(d)インパクト位置から狙い位置までの到達時間
(e)ボールのバウンド数
(f)縦軸回転量(カーブ、シュート)
(g)横軸回転量(バックスピン、ドライブ)
(h)乱流によるブレ量
(i)摩擦係数
ダミーインパクトのインパクト予約データは、次の点で実インパクトと異なる。ダミーの種類と変更するパラメータの具体例を次に示す。
(a)ダミーなし(変更パラメータなし)
(b)無回転変化球(乱流によるブレ量を変更)
(c)フェイント(狙い位置を変更)
(d)時間差フェイント(インパクト時間、インパクト位置を変更)
(e)変化球(縦軸回転量、横軸回転量を変更)
(f)気候の変化(乱流によるブレ量、摩擦係数を変更)
ダミー軌道は、ダミーインパクトに基づいて、実軌道と同様の計算により、初速vを求める。更にボール回転、摩擦係数などの諸条件も加味して初速vを決定する。この初速vにより打ち出されたボールPを、通常の物理演算に従って計算することでダミー軌道Mが決定される。
【0106】
(ダミー軌道の運用方法)
本実施形態では、上述したように、実軌道の他にダミー軌道を用いてサッカーゲームの制御を実行する。その際の運用方法の具体例について説明する。
【0107】
一具体例は、実軌道を中心に運用する方法である。
【0108】
通常時は実軌道のみを作成し、実軌道に基づいて運用する。そして、特定のインパクトが行われたときのみ、実軌道とダミー軌道の両方を作成する。ダミー軌道は次のインパクトの発生まで存在する。
【0109】
ダミー軌道を発生させる特定のインパクトの具体例を次に示す。
(a)フリーキック
(b)ペナルティキック
(c)フェイントドリブル
(d)ループシュート
(e)スルー(ボールに触れると見せかけて、実際はボールに触れないプレイ)
各選手AIは必ず実軌道情報を取得する。各選手AIはダミー軌道の有無を検知し、ダミー軌道が存在している場合には、ダミー軌道情報も取得する。
【0110】
他の具体例は、常に実軌道とダミー軌道を用いて運用する方法である。
【0111】
この方法では、インパクトが発生すると、必ずダミーインパクトが作成される。実インパクトに基づく実軌道と、ダミーインパクトに基づくダミー軌道とが作成され、これらに基づいて運用する。各選手AIはインパクト毎に常に実軌道情報とダミー軌道情報とを共に取得する。
【0112】
(ダミー軌道と実軌道の切り換え方法(その1))
次に、ダミー軌道と実軌道の切り換え方法の一具体例について図11を用いて説明する。図11は本実施形態においてダミー軌道から実軌道に切り換える方法の一具体例を示すフローチャートである。
【0113】
選手Aがボールをキックする等のインパクトを実行したときの選手B、選手Cの動作について説明する。他の選手D、E、…、についても同様である。
【0114】
選手Aがインパクトを実行すると(ステップS10)、インパクト予約受付モジュール130の実インパクト予約受付モジュール132は、このインパクトの予定時間、位置、目標位置等の情報を受け取り(ステップS11)、このインパクトを実行するために軌道計算モジュール140にインパクト情報を提供する。
【0115】
インパクト予約受付モジュール130のダミーインパクト作成モジュール134は、実インパクトに対するダミーインパクトを生成し(ステップS12)、軌道計算モジュール140にダミーインパクト情報を提供する。
【0116】
軌道計算モジュール140の実軌道計算モジュール142は、実インパクトに基づいて実軌道を計算する(ステップS13)。また、軌道計算モジュール140のダミー軌道計算モジュール144は、ダミーインパクトに基づいてダミー軌道を計算する(ステップS14)。
【0117】
軌道情報管理モジュール150からは実軌道情報とダミー軌道情報とが選手AIモジュール110に出力される(ステップS15)。
【0118】
選手Bについては、選手AIモジュール110の選手Bモジュール112が軌道情報管理モジュール150からのダミー軌道情報を取得する(ステップS16)。選手Bモジュール112は、ダミー軌道情報に基づいて将来のボールの位置を予測して、そのボールの位置を目標としてAI思考して、選手Bの行動を制御する(ステップS17)。
【0119】
同様に、選手Cについては、選手AIモジュール110の選手Cモジュール113が軌道情報管理モジュール150からのダミー軌道情報を取得する(ステップS18)。選手Cモジュール113は、ダミー軌道情報に基づいて将来のボールの位置を予測して、そのボールの位置を目標としてAI思考して、選手Cの行動を制御する(ステップS19)。
【0120】
次に、選手Bについて、ダミー軌道から実軌道への切り換え条件を満足したか否か判断する(ステップS20)。
【0121】
ダミー軌道から実軌道への切り換える切り換え条件のパラメータの具体例を次に示す。
[A]軌道情報に関連するパラメータ
(a)インパクトからの経過時間
(b)ダミー軌道のボール位置と実軌道のボール位置との間の距離
(c)ダミー軌道のボール移動方向と実軌道のボール移動方向との間の角度差
(d)ダミー軌道のボール移動方向と実軌道のボール移動方向との間の速度差
(e)インパクト開始時のボール位置と現在の実軌道におけるボール位置との間の距離
(f)他のインパクトによる軌道情報の更新情報
[B]選手(キャラクター)に関連するパラメータ
(a)選手の能力値(経験値、基礎能力値、疲労度)
(b)選手のポジション(ゴールキーパ、ディフェンダ、ミッドフィールダ、フォワード)
(c)選手の現在位置(インパクト位置からの距離)
(d)ダミー軌道のボール現在位置と各選手との間の距離
(e)実軌道のボール現在位置との各選手との間の距離
ダミー軌道から実軌道への切り換え条件を満足していないと判断されると、ステップS16に戻り、ステップS16、ステップS17を実行し、ステップS20において再度判断する。
【0122】
ダミー軌道から実軌道への切り換え条件を満足していると判断されると、選手AIモジュール110の選手Bモジュール112が軌道情報管理モジュール150からの実軌道情報を取得する(ステップS21)。選手Bモジュール112は、実軌道情報に基づいて将来のボールの位置を予測して、そのボールの位置を目標としてAI思考して、選手Bの行動を制御する(ステップS22)。
【0123】
同様に、選手Cについて、ダミー軌道から実軌道への切り換え条件を満足したか否か判断する(ステップS23)。
【0124】
ダミー軌道から実軌道への切り換え条件を満足していないと判断されると、ステップS18に戻り、ステップS18、ステップS19を実行し、ステップS23において再度判断される。
【0125】
ダミー軌道から実軌道への切り換え条件を満足していると判断されると、選手AIモジュール110の選手Cモジュール113が軌道情報管理モジュール150からの実軌道情報を取得する(ステップS24)。選手Cモジュール113は、実軌道情報に基づいて将来のボールの位置を予測して、そのボールの位置を目標としてAI思考して、選手Bの行動を制御する(ステップS25)。
【0126】
本具体例では、選手によりダミー軌道から実軌道への切り換えタイミングが異なり、各選手の動作を合理的かつ自然に制御することができる。
【0127】
(ダミー軌道と実軌道の切り換え方法(その2))
次に、ダミー軌道と実軌道の切り換え方法の他の具体例について図12を用いて説明する。図12は本実施形態においてダミー軌道から実軌道に切り換える方法の他の具体例を示すフローチャートである。
【0128】
図11に示す一具体例におけるステップと同様のステップには同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0129】
本具体例では、ダミー軌道から実軌道への切り換え条件の判断方法が異なる。ステップS26において、全選手について、ダミー軌道から実軌道への切り換え条件を満足したか否か判断する(ステップS26)。
【0130】
ダミー軌道から実軌道への切り換える切り換え条件のパラメータの具体例を次に示す。
[A]軌道情報に関連するパラメータ
(a)インパクトからの経過時間
(b)ダミー軌道のボール位置と実軌道のボール位置との間の距離
(c)ダミー軌道のボール移動方向と実軌道のボール移動方向との間の角度差
(d)ダミー軌道のボール移動方向と実軌道のボール移動方向との間の速度差
(e)インパクト開始時のボール位置と現在の実軌道におけるボール位置との間の距離
(f)他のインパクトによる軌道情報の更新情報
[B]選手(キャラクター)に関連するパラメータ
(a)全選手の平均能力値(経験値、基礎能力値)
(b)選手のポジション(ゴールキーパ、ディフェンダ、ミッドフィールダ、フォワード)
(c)全選手の現在位置(インパクト位置からの距離)
ダミー軌道から実軌道への切り換え条件を満足していないと判断されると、選手Bについて、ステップS16に戻り、ステップS16、ステップS17を実行し、選手Cについて、ステップS18に戻り、ステップS18、ステップS19を実行し、ステップS26において再度判断される。
【0131】
ダミー軌道から実軌道への切り換え条件を満足していると判断されると、選手Bについて、選手AIモジュール110の選手Bモジュール112が軌道情報管理モジュール150からの実軌道情報を取得する(ステップS21)。選手Bモジュール112は、実軌道情報に基づいて将来のボールの位置を予測して、そのボールの位置を目標としてAI思考して、選手Bの行動を制御する(ステップS22)。
【0132】
同様に、選手Cについて、選手AIモジュール110の選手Cモジュール113が軌道情報管理モジュール150からの実軌道情報を取得する(ステップS24)。選手Cモジュール113は、実軌道情報に基づいて将来のボールの位置を予測して、そのボールの位置を目標としてAI思考して、選手Bの行動を制御する(ステップS25)。
【0133】
本具体例では、全選手についてダミー軌道から実軌道への切り換えが同時に行われる。
【0134】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0135】
例えば、上記実施形態では、本発明をサッカーをシミュレートしたサッカーゲームに適用したが、他のゲーム、例えば、野球をシミュレートした野球ゲームや、ラグビー、アメリカンフットボール、ホッケーなどのスポーツ競技をシミュレートしたスポーツゲーム等にも適用することができる。
【0136】
また、上記実施形態では、ひとつの実軌道に対してひとつのダミー軌道を作成したが、ひとつの実軌道に対して複数のダミー軌道を作成するようにしてもよい。
【0137】
例えば、敵を騙すようなキックの場合、味方は騙される必要がない。しかし、イレギュラーなバウンドが起きるような場合には、敵味方関係なく騙される必要がある。そのような特性の異なる軌道を同時に持つ必要がある場合には複数のダミー軌道を作成するようにする。また、選手ごとに異なった騙されかたを見せる必要がある場合にも同様に複数のダミー軌道を作成するようにする。
【符号の説明】
【0138】
10…カードゲーム装置
12…大型パネルディスプレイ
14…メイン制御部
16a〜16h…端末装置
18…ICカード
20…選手カード
22…プレイヤ
24…選手カード配置パネル
26…モニタ
28…ICカードリードライト
30…カード発行部
32a〜32c…作戦指示釦
34a、34b…入力釦
36…大型パネル制御部
42、62…CPU
44、64…メモリ(RAM)
46、66…入出力インターフェース
48、68…サウンド回路
50、70…グラフィック表示回路
52、72…スイッチ
54、74…サウンドアンプ
56…イメージセンサ
76…筐体
78…ガラス板
80…プレイフィールド用シート
82…光源
84…第1フィルタ
86…第1反射板
88…第2反射板
90…第2フィルタ
92…出場選手カード配置領域
94…サブ選手カード配置領域
100…AIシステム
110…選手AIモジュール
111…選手Aモジュール
112…選手Bモジュール
113…選手Cモジュール
114…選手Dモジュール
120…ボールエンジン
130…インパクト予約モジュール
132…実インパクト予約受付モジュール
134…ダミーインパクト作成モジュール
140…軌道計算モジュール
142…実軌道計算モジュール
144…ダミー軌道計算モジュール
150…軌道情報管理モジュール
152…実軌道情報管理モジュール
154…ダミー軌道計算モジュール
160…リアルタイム演算モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上に表示されるキャラクターと移動体の動きを制御するゲーム装置であって、
前記移動体が移動する移動体予定軌跡と、前記移動体予定軌跡とは異なるダミー予定軌跡とを算出する移動体予定軌跡算出手段と、
前記移動体予定軌跡算出手段により算出された前記移動体予定軌跡又は前記ダミー予定軌跡に基づいて前記キャラクターの行動予定を算出するキャラクター行動予定算出手段と
を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1記載のゲーム装置において、
前記キャラクターのインパクトとは異なるダミーインパクトを生成するダミーインパクト生成手段を更に有し、
前記移動体予定軌跡算出手段は、前記キャラクターのインパクトに基づいて前記移動体予定軌跡を算出し、前記ダミーインパクトに基づいて前記ダミー予定軌跡を算出する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のゲーム装置において、
前記ダミー予定軌跡を前記移動体予定軌跡に切り換える予定軌跡切換手段を更に有し、
前記キャラクター行動予定算出手段は、最初は、前記ダミー予定軌跡に基づいて前記キャラクターの行動予定を算出し、前記予定軌跡切換手段による切り換え後は、前記移動体予定軌跡に基づいて前記キャラクターの行動予定を算出する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゲーム装置において、
前記予定軌跡切換手段は、前記キャラクターに関連するパラメータに基づいて切り換えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゲーム装置において、
前記予定軌跡切換手段は、前記ダミー予定軌跡に関連するパラメータに基づいて切り換えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
コンピュータを、画面上に表示されるキャラクターと移動体の動きを制御するゲーム装置として機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記移動体が移動する移動体予定軌跡と、前記移動体予定軌跡とは異なるダミー予定軌跡とを算出する移動体予定軌跡算出手段、
前記移動体予定軌跡算出手段により算出された前記移動体予定軌跡又は前記ダミー予定軌跡に基づいて前記キャラクターの行動予定を算出するキャラクター行動予定算出手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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