説明

ゲーム装置

【課題】レースの競争感が失われることを防止可能なゲーム装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るゲーム装置30は、プレイヤによって操作される操作手段(35、61、63、65等)と、競争相手である他のゲーム装置30との間で通信接続を確立する第1通信部75と、制御装置76とを含む。制御装置76は、所定の条件が成立した場合に、レースゲーム開始前の段階において、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値と、他のゲーム装置30の他のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値とを揃えるレベル調整処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットなどのネットワークを介して接続された複数のゲーム装置間で共通のゲームを実行可能なゲームシステムが知られている。例えば特許文献1には、複数のゲーム装置の各々のプレイヤが、自分のレース車両を操作して他のプレイヤと順位を競うレースゲームを実行可能なゲームシステムが開示されている。
【0003】
特許文献1における各ゲーム装置は、当該ゲーム装置のプレイヤが操作するレース車両(自車両)が、競争相手のレース車両(敵車両)から遅れを取った場合は、当該自車両が先行する敵車両に追いつけるように、自車両の速度を一時的に高めることで、ハンデ調整を行っている。これにより、レースの競争感が損なわれることを防止するという具合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−103048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自車両の能力レベルと敵車両の能力レベルとの差が大きい場合には、上記速度制御を行ったとしても、能力レベルの低い方の車両は、能力レベルの高い方の車両に勝つことはできない。つまりは、レースを開始する前の段階で勝負付けが済んでしまっているので、レースの競争感が失われるという問題がある。
そして、インターネットなどのネットワークを介して接続された複数のゲーム装置間では、ある程度車両の能力レベルが近い相手とマッチングさせることで上記問題を回避させることもある程度は可能であるが、同じ遊技施設内で行われる店内対戦などの場合には、対戦相手の選択の余地がほとんどなく、対戦相手との車両能力レベルの差が大きくてレースの競争感が失われる場合が多く生じてしまうことが問題となっている。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、レースの競争感が失われることを防止可能なゲーム装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を以下に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために以下では図面の参照符号を便宜的に括弧書きで付記するが、本発明を図示の形態に限定する趣旨ではない。
【0007】
本発明に係るゲーム装置は、車両を走行させて着順を競うレースゲームを実行するーム装置(30)であって、プレイヤによって操作される操作手段(35、61、63、65等)と、競争相手である他のプレイヤが操作する他のゲーム装置との間で通信接続を確立して、前記操作手段の操作に基づく操作情報、および、プレイヤが操作する車両の能力レベルに関する情報を含むゲームデータを送受信する通信手段(75)と、当該ゲーム装置の前記ゲームデータ、および、前記通信手段で受信した他のゲーム装置の前記ゲームデータに基づいて、前記他のゲーム装置との間で共通のレースゲームを実行するゲーム制御手段(76)と、を備え、前記ゲーム制御手段(76)は、所定の条件が成立した場合に、レースゲーム開始前の段階において、当該ゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルと、前記他のゲーム装置の他のプレイヤが操作する車両の能力レベルと、を揃えるレベル調整処理を実行することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ゲーム制御手段は、所定の条件が成立した場合に、レースゲーム開始前の段階において、当該ゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルと、競争相手である他のプレイヤが操作する車両の能力レベルと、を揃えるレベル調整処理を実行するので、元の能力レベルが低い車両であっても、元の能力レベルが高い車両と互角の状態(同じ能力レベル)でレースを行うことができる。したがって、車両間の能力レベルの差が大きい場合であっても、レースゲームの開始前に勝負付けが済んでしまって、当該レースゲームの競争感が失われることを防止できるという利点がある。
【0009】
本発明に係るゲーム装置の態様として、前記レベル調整処理は、前記他のゲーム装置と当該ゲーム装置のうちの一つが共通の能力レベルを決定する親機となり、その他が共通の能力レベルを前記親機から受信する子機となって実行され、前記ゲーム制御手段は、当該ゲーム装置の前記ゲームデータ、および、前記通信手段で受信した前記他のゲーム装置の前記ゲームデータに基づいて、前記レベル調整処理が必要であるか否かを判定し、前記レベル調整処理が必要であると判定した場合は、当該ゲーム装置のプレイヤに対してレベル調整を行うか否かを選択させ、当該ゲーム装置が、前記親機であるときは、当該ゲーム装置のプレイヤの選択結果(レベル調整選択結果)と、前記通信手段で受信した他のゲーム装置の他のプレイヤの選択結果(レベル調整選択結果)とに基づいて、前記レベル調整処理を実行するか否かを決定する一方、当該ゲーム装置が、前記子機であるときは、当該ゲーム装置のプレイヤの選択結果(レベル調整選択結果)を、前記通信手段を介して前記親機へ送信する態様であってもよい。
【0010】
より具体的には、当該ゲーム装置が前記親機である場合、前記ゲーム制御手段は、能力レベルが最も低い車両を操作するプレイヤの選択結果(レベル調整選択結果)が、前記レベル調整を行うことを示すものであれば前記レベル調整処理を実行して、前記共通の能力レベルを示す情報を、前記通信手段を介して前記子機へ送信する一方、能力レベルが最も低い車両を操作するプレイヤの選択結果(レベル調整選択結果)が、前記レベル調整を行わないことを示すものであれば、前記レベル調整処理を実行しないことを示す情報を、前記通信手段を介して前記子機へ送信する。この態様では、弱者側の意思が尊重されるので、当該ゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルが、競争相手の車両の能力レベルより低い場合であっても、当該ゲーム装置のプレイヤがレベル調整を希望すれば、競争相手の車両と互角の状態(同じ能力レベル)でレースを行うことができる。
【0011】
また、前記ゲーム制御手段は、当該ゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルと、前記他のゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルとの間の差が、所定範囲以上の場合は、前記レベル調整処理が必要であると判定する。「所定範囲」の具体的な値は任意に設定可能であり、例えば車両間の能力レベルの差が「1」以上の場合は、レベル調整処理が必要であると判定される態様であってもよい。
【0012】
さらに、本発明に係るゲーム装置の他の態様として、前記ゲーム制御手段は、当該ゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルと、前記他のゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルとの間の差が、所定範囲以上であることを前記所定の条件とし、前記所定の条件が成立すると、前記レベル調整処理を実行する態様であってもよい。この態様では、車両間の能力レベルの差が所定範囲以上である場合は、各プレイヤの意思とは無関係に、自動的にレベル調整処理が実行されるという具合である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るゲームシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】ゲーム装置の外観を示す斜視図である。
【図3】ゲーム装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】フロントサーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】データベースサーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】ゲーム装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】レース中において、表示部に表示されるゲーム映像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<A:実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係るゲームシステム100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、ゲームシステム100は、複数の店舗(遊技施設)BLと、各店舗BLと通信可能なフロントサーバ10と、フロントサーバ10と通信可能なデータベースサーバ20とを含んで構成される。
【0015】
各店舗BLは、複数のゲーム装置30とルータ40とを備え、当該店舗BL内の各ゲーム装置30は、ルータ40を経由してWAN(Wide Area Network)と接続されている。WANとして、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を可能とするものが使用される。典型的には、インターネットが使用される。
また、フロントサーバ10は、ルータ50を経由してWANと接続される。これにより、ネットワーク(WAN)上の各装置(フロントサーバ10、ゲーム装置30)同士は、ルータ(40,50)を介して相互に通信が可能となる。したがって、各ゲーム装置30は、フロントサーバ10、自店舗BL内の他のゲーム装置30、および、他店舗BL内の各ゲーム装置30と通信可能である。
【0016】
ゲームシステム100で実現されるゲームは、各ゲーム装置30のプレイヤによる操作に応じて、当該プレイヤに割り当てられたオブジェクトが当該ゲーム装置30の画面上で動作することでゲームの状況が変化するタイプのゲームであり、具体的には、カーレースをテーマとしたゲームである。
【0017】
図2は、ある1つのゲーム装置30の外観を示す斜視図である。他のゲーム装置30も同様の構成である。図2に示すように、ゲーム装置30は、プレイヤが着席する座席部31と、座席部31の前方に配置された本体部32と、表示部33とを含んで構成される。
【0018】
座席部31の左側面には、支持台34が連結され、当該支持台34の上面には、シフトレバー35が操作可能に装着されている。本体部32には、操作用ハンドル61、アクセルペダル63、ブレーキペダル65の他、各種の操作用ボタン(不図示)やコイン投入口(不図示)が設けられている。本実施形態において、ゲーム装置30で展開されるゲームにプレイヤが参加するためには、当該ゲーム装置30のコイン投入口にコイン(硬貨)を投入することが要求される。本実施形態では、1枚のコインの消費と引き換えに(つまりは課金を条件に)、1回のゲームが開始される。なお、ゲームを開始するための課金の条件は任意であり、例えば2枚以上のコインの消費と引き換えに、1回のゲームが開始される態様であってもよい。
【0019】
表示部33は、ゲームの進行状況および結果などを表示する手段であり、その表示面が、座席部31に着席したプレイヤと向かい合うように、本体部32の上面に設けられている。表示部33は、例えば液晶表示装置で構成される。また、座席部31には、着席したプレイヤの頭部と、表示部33との間にレンズが位置するように設定された3Dメガネ36が、当該座席部31と一体に設けられている。座席部31に着席したプレイヤは、3Dメガネ36のレンズ越しに表示部33に表示された映像を見ることができ、右目に入射される映像と左目に入射される映像との視差によって、表示部33に表示された映像を立体的に認識できる。本実施形態では、プレイヤは、本体部32に設けられた操作用ボタン(不図示)を操作することで、2D表示と3D表示とを切り替えることができる。
【0020】
図3は、ゲーム装置30の電気的構成を示すブロック図である。図3に示すように、ゲーム装置30は、表示部33と、操作情報生成部71と、受付部72と、コインセンサ73と、記憶部74と、第1通信部75と、制御装置76とを含んで構成される。
操作情報生成部71は、プレイヤによる操作の内容を特定する操作情報を生成する手段である。操作情報生成部71は、前述のシフトレバー35、操作用ハンドル61、アクセルペダル63、ブレーキペダル65(以上は図2参照)、各種の操作用ボタン(不図示)などのプレイヤによって操作される操作手段に接続される。例えばプレイヤが操作用ハンドル61を所定の方向に所定量だけ回転させる操作を行うと、操作情報生成部71は、その操作内容を特定する情報を操作情報として生成して制御装置76へ送信するといった具合である。
【0021】
受付部72は、プレイヤによるID入力を受け付けるとともに、その入力されたIDを制御装置76へ送信する手段である。本実施形態では、各プレイヤは、当該プレイヤを特定可能な情報であるIDが記録された可搬型の媒体を用いてゲームを行うことができる。ここでは、詳細な説明は省略するが、プレイヤは、所定の登録操作を行うことで、IDを取得する。そして、その取得したIDが、可搬型の媒体に書き込まれるといった具合である。本実施形態では、可搬型の媒体としてICカードが採用され、ICカードに記録されたプレイヤのIDを読み取る公知の読取器が受付部72として採用される。
コインセンサ73は、コイン投入口に投入されたコインを検出するための手段である。
【0022】
記憶部74は、各種のデータを記憶するための手段であり、書き換え可能なメモリで構成される。第1通信部75は、有線または無線の通信インターフェイスであり、制御装置76の制御の下、所定のプロトコルに従って、ルータ40(図1参照)との間で通信を行う。制御装置76は、コンピュータであって、所定のプログラムに従って各種の制御処理を実行してゲーム装置全体を統括的に制御する。なお、制御装置76は、プログラムが記憶された不揮発性メモリ(ROMやフラッシュメモリ)、あるいはハードディスクなどを含んで構成される。
【0023】
図4は、フロントサーバ10の電気的構成を示すブロック図である。図4に示すように、フロントサーバ10は、第2通信部12と、第3通信部14と、制御装置16とを含んで構成される。第2通信部12は、有線または無線の通信インターフェイスであり、制御装置16の制御の下、所定のプロトコルに従って、ルータ50(図1参照)との間で通信を行う。また、第3通信部14は、有線または無線の通信インターフェイスであり、制御装置16の制御の下、所定のプロトコルに従って、データベースサーバ20との間で通信を行う。制御装置16は、コンピュータであって、各種の制御処理を実行してフロントサーバ全体を統括的に制御する。
【0024】
図5は、データベースサーバ20の電気的構成を示すブロック図である。図5に示すように、データベースサーバ20は、データベース部22と、第4通信部24と、制御装置26とを含んで構成される。データベース部22には、登録を行ったプレイヤごとに、対応するデータが記憶される。データベース部22に記憶されるデータとしては、例えばプレイヤのID、ID登録時に設定した認証用の暗証番号、プレイデータなどがある。プレイデータは、プレイヤが今までにプレイしたゲームの成績、プレイ回数、今までに取得したポイント数、プレイヤが所有しているレース車両の台数、種類および能力レベル値などを示す情報の集合である。後述するように、本実施形態では、1回のゲームが終わるたびに、その結果に応じた値のポイントがプレイヤに付与される。プレイヤが所有するレース車両の能力レベル値は、当該レース車両で一度もレースを行っていない初期の状態では所定の値に設定され、プレイを重ねて獲得したポイントの累積値に応じて増大していく。そして、レース車両の能力レベル値が高いほど、レースにおいて有利になるという具合である。
第4通信部24は、有線または無線の通信インターフェイスであり、制御装置26の制御の下、所定のプロトコルに従って、フロントサーバ10との間で通信を行う。
制御装置26は、コンピュータであって、各種の制御処理を実行してデータベースサーバ全体を統括的に制御する。
【0025】
次に、プレイヤが、自分のIDが記録されたICカードを用いてカーレースゲームを実行するための手順について説明する。まず、プレイヤは、自分がゲームを行おうとしているゲーム装置30のコイン投入口にコインを投入し、ICカードを受付部72にかざしてIDを入力する。制御装置76は、コイン投入口にコインが投入されたことを示すコイン検出信号をコインセンサ73から受信し、かつ、入力されたIDを受付部72から受信すると、暗証番号の入力を促す画面を表示するように表示部33を制御する。これを見て、プレイヤは、ゲーム装置30の本体部32に設けられた操作ボタン(不図示)を操作することで、ID登録時に予め設定した認証用の暗証番号を入力する。このとき、操作情報生成部71は、プレイヤが入力した暗証番号を示す操作情報を生成して制御装置76へ送信するという具合である。
【0026】
制御装置76は、プレイヤにより入力された暗証番号を認識すると、フロントサーバ10に対して、入力されたIDに対応する正規の暗証番号を要求することを示す暗証番号要求信号を送信するように制御する。当該暗証番号要求信号を受信したフロントサーバ10の制御装置16は、データベースサーバ20に対して、当該暗証番号要求信号を転送する。当該暗証番号要求信号を受信したデータベースサーバ20の制御装置26は、当該IDに対応する正規の暗証番号をデータベース部22から読み出し、その読み出した正規の暗証番号をフロントサーバ10へ送信するように制御する。フロントサーバ10の制御装置16は、データベースサーバ20から正規の暗証番号を受信すると、暗証番号を要求してきたゲーム装置30への応答として、その受信した正規の暗証番号を送信するように制御する。
【0027】
制御装置76は、フロントサーバ10から正規の暗証番号を受信すると、その受信した正規の暗証番号と、プレイヤにより入力された暗証番号が一致しているか否かを判定する。制御装置76は、プレイヤにより入力された暗証番号が正規の暗証番号と一致すれば、正当なプレイヤであることを認証する。
【0028】
制御装置76は、正当なプレイヤであることを認証すると、フロントサーバ10に対して、当該プレイヤのIDに対応するプレイデータを要求することを示すプレイデータ要求信号を送信するように制御する。当該プレイデータ要求信号を受信したフロントサーバ10の制御装置16は、データベースサーバ20に対して、当該プレイデータ要求信号を転送する。当該プレイデータ要求信号を受信したデータベースサーバ20の制御装置26は、当該プレイヤのIDに対応するプレイデータをデータベース部22から読み出し、その読み出したプレイデータをフロントサーバ10へ送信するように制御する。フロントサーバ10の制御装置16は、当該プレイヤのIDに対応するプレイデータをデータベースサーバ20から受信すると、プレイデータ要求信号を送信してきたゲーム装置30への応答として、その受信したプレイデータを送信するように制御する。ゲーム装置30の制御装置76は、フロントサーバ10からプレイデータを受信すると、その受信したプレイデータを、入力されたプレイヤのIDと対応付けて記憶部74に保存するという具合である。
【0029】
プレイヤの認証と、プレイデータの読み出しが終わると、制御装置76は、ゲームのモードを選択することを促す画面を表示するように表示部33を制御する。本実施形態では、「1位でゴール」「レース中に20台を抜く」などといった様々なミッションに挑戦する「チャレンジモード」、同じ店舗BL内の2以上のプレイヤ同士が対戦する「店内対戦モード」、全店舗BL内のプレイヤのうちレベルが比較的近いプレイヤ同士が1対1で対戦する「全国対戦モード」、一人で走行時間を短くする事に挑戦する「タイムアタックモード」、期間限定で開催される「イベントモード」等があり、これらのモードのうちの何れかを選択することを促す画面が表示部33に表示される。これを見て、プレイヤは、本体部32に設けられた操作用ハンドル61を操作することで、何れかひとつのモードを選択する。このとき、操作情報生成部71は、プレイヤの操作内容を特定する操作情報(ここではプレイヤがどのモードを選択したのかを示す情報)を生成して制御装置76へ送信するという具合である。そして、制御装置76は、プレイヤが選択したモードに応じて、ゲームの進行を制御する。
【0030】
ここでは、「店内対戦モード」が選択された場合を想定して、ゲーム装置30の動作を説明する。図6は、「店内対戦モード」が選択されたときのゲーム装置30の動作を説明するためのフローチャートである。以下、図6を参照しながら、具体的に説明する。
ゲーム装置30は起動時に、店舗BL内のローカルエリアネットワーク内に対して、自機を認識させるための筐体情報を発信して店舗BL内の他のゲーム装置30へ自機の情報を知らせているので、店舗内対戦可能なゲーム装置30を相互に認識している。
最初のステップS101では、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤが「店内対戦モード」を選択したことを検知すると、店内対戦モードを開始すると同時に、店内対戦マッチングが受付されているか否かを店舗BL内のローカルエリアネットワーク内で探索し、先に受付状態にあるゲーム装置30が存在する場合には、そのゲーム装置30に対してエントリ要求を送信して自機を登録してもらう。一方、受付状態にあるゲーム装置30が存在しない場合は、自身が親機となって受付状態を開始して制限時間まで、他のゲーム装置30が登録してくるのを待つ。すなわち、同じ店舗BL内の他のゲーム装置30に対して、店内対戦への参加を受け付けるエントリ受付要求を送信する。本実施形態では、エントリ受付要求を送信する際には、当該ゲーム装置30を特定可能な情報も併せて送信される。
【0031】
同じ店舗BL内の他のゲーム装置30は、同じ店舗BL内のゲーム装置30から送信されたエントリ受付要求を受信すると、所定期間の間、プレイヤからの店内対戦のエントリ操作を受け付ける状態になり、その間にエントリ操作を受け付けると、エントリ受付要求を送信してきたゲーム装置30にエントリ要求信号を送信する。このようにして、エントリ受付要求を送信したゲーム装置30は親機となって、エントリ要求を送信してきた各ゲーム装置30との間で店内対戦を行うためのマッチング処理を実行する。そして、マッチング処理が終わると、店舗BL内で対戦を行う各ゲーム装置30に対して、マッチング結果を通知する。マッチング結果の通知に際しては、各ゲーム装置30に対して競争相手となるべきゲーム装置30を特定可能な情報が通知される。また、マッチング処理では、親機が共通の能力レベル値(後述)を決定することになる。
【0032】
親機となるゲーム装置30の制御装置76は、ステップS101でエントリ受付要求を送信した後、エントリ要求を受信したか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102の結果が肯定の場合、つまり、エントリ要求を受信した場合は、制御装置76は、次のステップS103へ進み、記憶部74に保存したプレイデータを参照しながら、当該ゲーム装置30のプレイヤに対して、今回のレースで使用するレース車両を選択することを促す車セレクト画面を表示するように表示部33を制御する。本実施形態では、ID登録を行ったプレイヤが、最初にゲームを行う場合(過去のプレイ回数が0回の場合)は、19種類のレース車両の中から、自分の好きなレース車両を選択することを促す画面が車セレクト画面として表示される。一方、過去のプレイ回数が1回以上の場合は、最初に自分が選択したレース車両やゲーム中に新しく手に入れたレース車両の中から何れかを選択することを促す画面が車セレクト画面として表示されるといった具合である。車セレクト画面を見て、プレイヤは、本体部32に設けられた操作用ボタン(不図示)を操作することで、今回のレースで使用するレース車両を選択する。このとき、操作情報生成部71は、プレイヤの操作内容を特定する操作情報(ここではプレイヤが選択したレース車両を示す情報)を生成して制御装置76へ送信するという具合である。制御装置76は、受信した操作情報に基づいて、今回のレースでプレイヤが使用するレース車両を決定し、次のステップS104へ進む。
【0033】
ステップS104では、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤに対して、予め用意された複数種類のコースのうち今回のコースの舞台となるコースを選択することを促すコースセレクト画面を表示するように表示部33を制御する。コースセレクト画面を見て、当該ゲーム装置30のプレイヤは、本体部32に設けられた操作用ボタン(不図示)を操作することで、複数種類のコースのうちの何れかを選択する。このとき、操作情報生成部71は、プレイヤの操作内容を特定する操作情報(プレイヤが選択したコースを示す情報)を生成して制御装置76へ送信するという具合である。制御装置76は、受信した操作情報に基づいて、今回のレースの舞台となるコースを決定し、次のステップS105へ進む。
【0034】
ステップS105では、制御装置76は、ミッションモードとして、オートマチックモード(AT)およびマニュアルモード(MT)のうちの何れかを選択することを促すAT/MT選択画面を表示するように表示部33を制御する。AT/MT選択画面を見て、当該ゲーム装置のプレイヤは、本体部32に設けられた操作用ボタン(不図示)を操作することで、オートマチックモード(AT)およびマニュアルモード(MT)のうちの何れかを選択する。このとき、操作情報生成部71は、プレイヤの操作内容を特定する操作情報(プレイヤが選択したミッションモードを示す情報)を生成して制御装置76へ送信するという具合である。制御装置76は、受信した操作情報に基づいて、今回のレースでプレイヤが選択したミッションモードを決定し、次のステップS106へ進む。
【0035】
ステップS106では、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤに対して、自分が選択したレース車両の能力レベル値を所定の複数のパラメータ(項目)に割り振ることで当該レース車両の仕様を調整するセッティングを行うことを促すセッティング画面を表示するように表示部33を制御する。本実施形態では、グリップとパワーの2種類のパラメータが採用されているが、これに限らず、パラメータの種類や数は任意である。レース車両の能力レベル値を、グリップよりもパワーに多く配分した場合は、パワーに重点を置いた仕様となる。例えば能力レベル値が50であって、そのうちの30をパワーに割り振り、残りの20をグリップに割り振るような場合である。また、レース車両の能力レベル値を、パワーよりもグリップに多く配分した場合は、カーブでのコーナリングの安定性に重点を置いた仕様になる。例えば能力レベル値が50であって、そのうちの20をパワーに割り振り、残りの30をグリップに割り振るような場合である。
【0036】
ただし、能力レベル値の割り振りが極端に偏ることを防止するために、本実施形態では、一方のみ(例えばパワーのみ)に割り振られる量が所定量(ここでは「5」)を超えると、そのパラメータへの能力レベル値の割り振りが一時的に禁止され、他方のパラメータ(グリップ)への能力レベル値の割り振りのみが許容される。その後、他方のパラメータ(グリップ)に割り振られる量が所定量(ここでは「5」)に到達すると、それまで能力レベル値の割り振りが禁止されていた一方のパラメータ(パワー)への能力レベル値の割り振りが再び許容されるように設定されている。セッティング画面を見て、当該ゲーム装置30のプレイヤは、本体部32に設けられた操作用ボタン(不図示)を操作することで、自分の選んだレース車両のセッティングを行う。このとき、操作情報生成部71は、プレイヤの操作内容を特定した操作情報(ここではプレイヤが行ったセッティングの内容を示す情報)を生成して制御装置76へ送信するという具合である。制御装置76は、受信した操作情報に基づいて、プレイヤが今回のレースで使用するレース車両の仕様を決定し、次のステップS107へ進む。
【0037】
ステップS107では、制御装置76は、同じ店舗BL内での競争を行う他のゲーム装置30との間で共通のカーレースゲームを開始するために必要な準備処理を実行する。より具体的には、制御装置76は、同じ店舗BL内での競争を行う他のゲーム装置30との間で通信接続を確立して、共通のカーレースゲームを実行するために必要なゲームデータを相互に送受信する。ゲームデータには、各ゲーム装置30のプレイヤが選択したレース車両の種類、その能力レベル値、および、選択したコースを指定する情報などが含まれる。これにより、同じ店舗BL内での競争を行う各ゲーム装置30の制御装置76は、競争相手となる他のゲーム装置30のプレイヤが選択したレース車両の種類、その能力レベル値、および、選択したコースなどを把握することができる。
【0038】
次に、制御装置76は、当該ゲーム装置30のゲームデータ、および、競争相手となる他のゲーム装置30のゲームデータに基づいて、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値と、他のゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値とを揃えるレベル調整処理が必要であるか否かを判定する(ステップS108)。より具体的には、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値と、他のゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値との間の差が、所定範囲以上である場合は、レベル調整処理が必要であると判定する。なお、「所定範囲」の具体的な値は、任意に設定可能であり、例えばレース車両間の能力レベル値の差が「1」以上であれば、レベル調整処理が必要であると判定される態様であってもよい。
【0039】
上記ステップ108の結果が肯定の場合、つまり、レベル調整処理が必要であると判定した場合は、能力レベル値が最も低いレース車両を操作するプレイヤが使用するゲーム装置30の制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤに対して、レベル調整を行うか否かを選択させる(ステップS109)。より具体的には、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤに対して、レベル調整を行うか否かを選択することを促す画面を表示するように表示部33を制御する。これを見て、当該ゲーム装置30のプレイヤは、本体部32に設けられた操作用ボタン(不図示)を操作することで、レベル調整を行うか否かを選択する。このとき、操作情報生成部71は、プレイヤの操作内容を特定する操作情報(プレイヤの選択結果を示す情報)を生成して制御装置76へ送信するという具合である。説明の便宜上、このときのプレイヤの選択結果を「レベル調整選択結果」と呼ぶ。制御装置76は、受信した操作情報に基づいてプレイヤのレベル調整選択結果を把握し、次のステップS110へ進む。一方、上記ステップS108の結果が否定の場合、つまり、レベル調整処理が必要ではないと判定した場合は、後述のステップS120へ進む。
【0040】
ステップS110では、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤに対して、後方ブースト機能を付加するか否かを選択させる(ステップS110)。より具体的には、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤに対して、後方ブースト機能を付加するか否かを選択することを促す画面を表示するように表示部33を制御する。これを見て、当該ゲーム装置30のプレイヤは、本体部32に設けられた操作用ボタン(不図示)を操作することで、後方ブースト機能を付加するか否かを選択する。このとき、操作情報生成部71は、プレイヤの操作内容を特定する操作情報(プレイヤの選択結果を示す情報)を生成して制御装置76へ送信するという具合である。制御装置76は、受信した操作情報に基づいてプレイヤの選択結果を把握し、プレイヤが後方ブースト機能を付加することを選択した場合は後方ブースト機能を付加する一方、プレイヤが後方ブースト機能を付加することを選択しなかった場合は後方ブースと機能を付加する。なお、「後方ブースト機能」とは、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両(自車両)が、競争相手のレース車両(敵車両)の後方を走行する場合は、当該自車両が先行する敵車両に追いつけるように、自車両の速度を一時的に高める機能のことであり、従来公知の内容と同様である。
【0041】
ステップS110の後、制御装置76は、当該ゲーム装置30が親機であるか否かを判定する(ステップS111)。ステップS111の結果が肯定の場合、つまり、当該ゲーム装置30が親機である場合は、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤのレベル調整選択結果と、第1通信部75を介して受信した他のゲーム装置30のプレイヤのレベル調整選択結果とに基づいて、レベル調整処理を実行するか否かを決定する(ステップS112)。本実施形態では、親機であるゲーム装置30の制御装置76は、能力レベル値が最も低いレース車両を操作するプレイヤのレベル調整選択結果に応じて、レベル調整を行うか否かを決定する。より具体的には、制御装置76は、能力レベル値が最も低いレース車両を操作するプレイヤのレベル調整選択結果が、レベル調整を行うことを示すものである場合は、レベル調整処理を実行することを決定する一方、当該レベル調整選択結果が、レベル調整を行わないことを示すものである場合は、レベル調整を実行しないことを決定するという具合である。
【0042】
ステップS112の結果が肯定の場合、つまり、レベル調整処理を実行することを決定した場合、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値、および、競争相手となる他のゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値に基づいて、レベル調整処理後に設定されるべき各レース車両の共通の能力レベル値を決定し、その決定した共通の能力レベル値を子機へ送信する(ステップS113)。より具体的には、制御装置76は、同じ店舗BL内での競争を行う各ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両のうち最も能力レベル値の高いレース車両の能力レベル値を、共通の能力レベル値として決定し、その決定した共通の能力レベル値を子機へ送信するように第1通信部75を制御するという具合である。
【0043】
ステップS113の後、親機であるゲーム装置30の制御装置76は、レベル調整処理を実行する(ステップS114)。より具体的には、制御装置76は、同じ店舗BL内での競争を行う各レース車両の能力レベル値を、上記ステップS114で決定した共通の能力レベル値に揃えるという具合である。ステップS114の後、制御装置76は、各レース車両の情報を表示するように表示部33を制御する(ステップS115)。より具体的には、制御装置76は、競争を行う各レース車両の能力レベル値を表示するように表示部33を制御する。ここでは、競争を行う各レース車両の能力レベル値が、共通の能力レベル値に揃えられたことが表示されるという具合である。
【0044】
上述のステップS112の結果が否定の場合、つまり、レベル調整処理を実行しないことを決定した場合は、親機であるゲーム装置30の制御装置76は、レベル調整処理を実行しないことを示す不実施情報を子機へ送信する(ステップS116)。ステップS116の後、制御装置76は、各レース車両の情報を表示するように表示部33を制御する(ステップS115)。ここでは、競争を行う各レース車両の元の能力レベル値(レベル調整が行われていない状態の能力レベル値)が、そのまま表示されるという具合である。
【0045】
一方、ステップS111の結果が否定の場合、つまり、当該ゲーム装置30が子機である場合は、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤのレベル調整選択結果を、親機であるゲーム装置30へ送信するように第1通信部75を制御する(ステップS117)。ステップS117の後、子機であるゲーム装置30の制御装置76は、親機から共通の能力レベル値を受信したか否かを判定する(ステップS118)。
【0046】
ステップS118の結果が肯定の場合、子機であるゲーム装置30の制御装置76は、親機から受信した共通の能力レベル値に基づいてレベル調整処理を実行する(ステップS114)。より具体的には、制御装置76は、競争を行う各レース車両の能力レベル値を、親機から受信した共通の能力レベル値に揃えるという具合である。ステップS114の後、制御装置76は、各レース車両の情報を表示するように表示部33を制御する(ステップS115)。ここでは、競争を行う各レース車両の能力レベル値が、共通の能力レベル値に揃えられたことが表示されるという具合である。
【0047】
ステップS118の結果が否定の場合、子機であるゲーム装置30の制御装置76は、親機から不実施情報を受信したか否かを判定する(ステップS119)。ステップS119の結果が肯定の場合、子機であるゲーム装置30の制御装置76は、レベル調整処理を実行することなく、各レース車両の情報を表示するように表示部33を制御する(ステップS115)。ここでは、競争を行う各レース車両の元の能力レベル値(レベル調整が行われていない状態の能力レベル値)が、そのまま表示されるという具合である。
【0048】
上述のステップS115の後、あるいは、上述のステップS108の結果が否定の場合(つまりレベル調整処理が必要ではないと判定した場合)、制御装置76は、カーレースゲームを開始するように制御する(ステップS120)。同じ店舗BL内のゲーム装置30間で共通のカーレースゲームが実行されるとき、子機となったゲーム装置30の制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤの操作内容(ハンドル、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジ等の操作)の結果である車両の座標情報や車両状態(操作結果情報)を、親機となったゲーム装置30やその他の子機に対して送信する。一方、親機となったゲーム装置30の制御装置76も、子機となったゲーム装置30に対して、親機のゲーム装置30のプレイヤの操作内容の結果である車両の座標情報や車両状態(操作結果情報)を送信する。各ゲーム装置30の制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤの操作結果情報と他のゲーム装置30のプレイヤの操作結果情報とに基づいて、各プレイヤが操作するレース車両をゲーム画面上で動作させるとともに、それらのレース車両の動きに応じてゲームの状況を変化させるように制御する。これにより、各プレイヤが操作するオブジェクト(レース車両)がコース映像上を移動しながら競争するカーレースゲームが実現される。
【0049】
図7は、レース中において、表示部33に表示されるゲーム映像の一例を示す図である。図7に示すように、表示部33には、ゲーム装置30のプレイヤによって操作されるオブジェクトであるレース車両の映像101が、コース映像102と重ね合わされて表示される。コース映像102は、プレイヤが選択したレース車両の映像101を基準として一定範囲が描画されるように制御される。また、その描画範囲に含まれる他のレース車両の映像もコース映像102内に表示され得る。なお、カーレースゲームにおけるレース車両の制御は、周知のカーレースゲームと同様である。
【0050】
図7に示すように、コース映像102には、タコメータ(回転速度計)103、スピードメータ104、ダメージメータ105、位置関係表示用オブジェクト106などが適宜に表示される。ダメージメータ105は、当該ゲーム装置30のプレイヤのレース車両が、他のレース車両やコースの外壁などに衝突することで受けたダメージの程度を示すダメージデータを示すものである。制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の走行中に当該レース車両が受けたダメージの程度を示すダメージデータを管理し、そのダメージデータが基準値を超えると、ダメージメータ105の表示が上限値を超えるように表示部33を制御するとともに、レース車両がクラッシュ(大破)する映像を表示するように表示部33を制御する。レース車両がクラッシュすると、当該レース車両は、クラッシュ映像が表示されている期間、走行不能となる。
【0051】
図7に示す位置関係表示用オブジェクト106は、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両に対応する略矩形の第1オブジェクト106aと、競争相手のレース車両に対応する略矩形の第2オブジェクト106bとを含む。制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤのレース車両が先頭であるならば、直後を走行する他の競争相手のレース車両を第2オブジェクト106bとして表示部33に表示し、当該ゲーム装置30のプレイヤのレース車両よりも先行する車両があるならば、直前を走行する他の競争相手のレース車両を第2オブジェクト106bとして表示部33に表示するように表示部33を制御する。
【0052】
また、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両と、競争相手のレース車両とのコース上の距離に応じて、第1オブジェクト106aの表示位置と第2オブジェクト106bの表示位置との鉛直方向の間隔を変更する。図7では、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両と、競争相手のレース車両とのコース上の距離が殆ど無いような状態が例示されている。当該ゲーム装置30のプレイヤは、位置関係表示用オブジェクト106を見ることで、自分が操作するレース車両と、競争相手のレース車両との位置関係を把握することができるという具合である。
【0053】
レースゲームが終了すると、制御装置76は、競争を行った他のゲーム装置30との間の通信接続を切断して、当該レースゲームの結果(成績)、付与されるべきポイント数、レースゲーム終了時点でのレース車両の能力レベル値などを表示するように表示部33を制御する(ステップS121)。また、制御装置76は、ゲームの結果を当該ゲーム装置30のプレイヤのIDとともにフロントサーバ10へ送信する。フロントサーバ10の制御装置16は、ゲーム装置30から受信したIDとゲーム結果をデータベースサーバ20へ送信するように制御する。そして、データベースサーバ20の制御部26は、フロントサーバ10から受信したIDとゲーム結果をデータベースサーバ20へ送信するように制御する。そして、データベースサーバ20の制御部26は、フロントサーバ10から受信したIDとゲーム結果とをデータベース部22に記録するように制御する。これにより、データベース部22のデータが更新されていくという具合である。
【0054】
ステップS121の後、制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤにゲームの継続を希望するか否かを問い合わせる(ステップS122)。より具体的には、制御装置76は、ゲームの継続を希望する場合は所定期間内(例えば10秒以内)に1コインを投入することを促す画面を表示するように、表示部33を制御する。これを見て、プレイヤは、自分の意思に応じた操作を行うという具合である。例えばゲームの継続を希望する場合は、プレイヤは、コイン投入口に1枚のコインを投入する。制御装置76は、所定期間内に、コイン投入口に1枚のコインが投入されたことを示すコイン検出信号をコインセンサから受信すると、プレイヤがゲームの継続を希望したことを検知する。
【0055】
ステップS122の結果が否定の場合、つまり、プレイヤがゲームの継続を希望しなかった場合は、そのままゲーム終了となる。一方、ステップS122の結果が肯定の場合、つまり、プレイヤがゲームの継続を希望した場合は、制御装置76は、再び「店内対戦モード」でゲームを実行するように制御する。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態では、各ゲーム装置30の制御装置76は、所定の条件が成立した場合(ここでは、店内対戦を行うレース車両間にレベル差があり、且つ最も能力レベル値が低いレース車両を操作するプレイヤがレベル調整を希望した場合)に、レースゲーム開始前の段階において、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値と、競争相手である他のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値とを揃えるレベル調整処理を実行するので、元の能力レベル値が低いレース車両であっても、元の能力レベル値が高いレース車両と互角の状態(同じ能力レベル値)でレースを行うことができる。したがって、レース車両間のレベル差が大きい場合であっても、レースゲームの開始前に勝負付けが済んでしまって、当該レースゲームの競争感が失われることを防止できるという利点がある。
【0057】
また、上述したように、本実施形態では、レベル調整処理が必要な場合は、能力レベル値が最も低いレース車両を操作するプレイヤの意思に応じて、レベル調整処理を実行するか否かが決定される。つまり、本実施形態では、弱者側の意思が尊重されるので、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値が、競争相手のレース車両の能力レベル値より低い場合であっても、当該ゲーム装置30のプレイヤがレベル調整を希望すれば、競争相手のレース車両と互角の状態(同じ能力レベル値)でレースを行うことができる。
【0058】
<B:変形例>
以上の実施形態には様々な変形が加えられる。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は併合され得る。
【0059】
(1)変形例1
上述の実施形態では、レベル調整処理が必要であると判定された場合は、各ゲーム装置30のプレイヤのレベル調整選択結果(レベル調整を行うか否かの選択結果)に基づいて、レベル調整処理を実行するか否かが決定されているが、これに限らず、例えばレベル調整処理が必要であると判定された場合は、各ゲーム装置30のプレイヤの意思とは無関係に、自動的にレベル調整処理が実行される態様であってもよい。
【0060】
要するに、ゲーム装置30の制御装置76は、所定の条件が成立した場合に、レースゲーム開始前の段階において、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値と、競争相手である他のゲーム装置30の他のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値とを揃えるレベル調整処理を実行するものであればよい。上記態様においては、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値と、他のゲーム装置30の他のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値との間の差が、前述の所定範囲以上であることが「所定の条件」であり、当該所定の条件が成立すると、レベル調整処理を実行するという具合である。
【0061】
(2)変形例2
上述の実施形態では、レベル調整処理が必要な場合は、能力レベル値が最も低いレース車両を操作するプレイヤの意思に応じて、レベル調整処理を実行するか否かが決定されているが、これに限らず、レベル調整処理を実行するか否かの決定方法は任意であり、例えば多数決で決定してもよいし、一人でもレベル調整を希望するプレイヤがいれば、レベル調整処理を実行する態様であってもよい。要するに、各ゲーム装置30のプレイヤのレベル調整選択結果に基づいて、レベル調整処理を実行するか否かが決定される態様であればよい。
【0062】
(3)変形例3
上述の実施形態では、レベル調整処理を実行する場合、親機であるゲーム装置30の制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値、および、競争相手となる他のゲーム装置30の他のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値に基づいて、共通の能力レベル値を決定し、その決定した共通の能力レベル値を子機へ送信しているが、これに限らず、例えば親機および子機の各々のゲーム装置30が、同じ方法で共通の能力レベル値を決定する態様であってもよい。
【0063】
この態様では、親機であるゲーム装置30の制御装置76は、レベル調整処理を実行することを決定した場合は、そのことを示す決定情報を生成して子機へ送信する。決定情報を送信した後、親機であるゲーム装置30の制御装置76は、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値、および、競争相手となる他のゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値に基づいて、共通の能力レベル値を決定する。そして、その決定した共通の能力レベル値を用いてレベル調整処理を実行するという具合である。
一方、子機であるゲーム装置30の制御装置76は、親機から決定情報を受信すると、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値、および、他のゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値に基づいて、共通の能力レベル値を決定する。そして、その決定した共通の能力レベル値を用いてレベル調整処理を実行するという具合である。
【0064】
(4)変形例4
上述の実施形態では、レベル調整処理の実行が決定された場合は、同じ店舗BL内での競争を行う各レース車両のうち最も能力レベル値の高いレース車両の能力レベル値が、共通の能力レベル値として決定される態様が例示されているが、これに限らず、共通の能力レベル値の決定方法は任意である。例えば各レース車両の能力レベル値の平均値が、共通の能力レベル値として決定される態様であってもよい。
【0065】
(5)変形例5
上述の実施形態では、図6のステップS107の準備処理の後、親機および子機の各々が、当該ゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値、および、競争相手となる他のゲーム装置30のプレイヤが操作するレース車両の能力レベル値に基づいて、レベル調整処理が必要であるか否かを判定しているが、これに限らず、例えば親機のみがレベル調整処理の必要の有無を判定し、その判定結果を子機へ送信する態様であってもよい。
【0066】
(6)変形例6
上述のレベル調整処理が実行されるとき、同じ店舗BL内での競争を行う各レース車両のセッティング内容も、共通のセッティング内容に揃えられる態様であってもよい。例えば、競争を行う各レース車両のうち能力レベル値が最も高いレース車両のセッティング内容を共通のセッティング内容として決定し、各レース車両のセッティング内容を、当該共通のセッティング内容に揃えることもできる。さらに、親機および子機の各々が、共通の能力レベル値の範囲内で、パワー・グリップを割り振ることができるようにしてもよい。この場合、パワー・グリップを割り振る制御関数は同一のコードなので、各機のレース車両の能力レベルは同じになる。
なお、共通のセッティング内容の決定方法は任意である。また、これとは反対に、各レース車両のセッティング内容は個別に設定される態様であってもよい。
【0067】
(7)変形例7
上述の実施形態では、ゲームシステム100で実現されるゲームがカーレースゲームである態様が例示されているが、これに限らず、ゲームシステム100で実現されるゲームの種類は任意である。
【符号の説明】
【0068】
10……フロントサーバ、12……第2通信部、14……第3通信部、16……制御装置、20……データベースサーバ、22……データベース部、24……第4通信部、26……制御装置、30……ゲーム装置、31……座席部、32……本体部、33……表示部、34……支持台、35……シフトレバー、36……3Dメガネ、40,50……ルータ、61……操作用ハンドル、63……アクセルペダル、65……ブレーキペダル、71……操作情報生成部、72……受付部、73……コインセンサ、74……記憶部、75……第1通信部、76……制御装置、100……ゲームシステム、101……レース車両の映像、102……コース映像、103……タコメータ、104……スピードメータ、105……ダメージメータ、106a……第1オブジェクト、106b……第2オブジェクト。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を走行させて着順を競うレースゲームを実行するゲーム装置であって、
プレイヤによって操作される操作手段と、
競争相手である他のプレイヤが操作する他のゲーム装置との間で通信接続を確立して、前記操作手段の操作に基づく操作情報、および、プレイヤが操作する車両の能力レベルに関する情報を含むゲームデータを送受信する通信手段と、
当該ゲーム装置の前記ゲームデータ、および、前記通信手段で受信した他のゲーム装置の前記ゲームデータに基づいて、前記他のゲーム装置との間で共通のレースゲームを実行するゲーム制御手段と、を備え、
前記ゲーム制御手段は、所定の条件が成立した場合に、レースゲーム開始前の段階において、当該ゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルと、前記他のゲーム装置の他のプレイヤが操作する車両の能力レベルとを揃えるレベル調整処理を実行する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記レベル調整処理は、前記他のゲーム装置と当該ゲーム装置のうちの一つが共通の能力レベルを決定する親機となり、その他が共通の能力レベルを前記親機から受信する子機となって実行され、
前記ゲーム制御手段は、
当該ゲーム装置の前記ゲームデータ、および、前記通信手段で受信した前記他のゲーム装置の前記ゲームデータに基づいて、前記レベル調整処理が必要であるか否かを判定し、前記レベル調整処理が必要であると判定した場合は、当該ゲーム装置のプレイヤに対してレベル調整を行うか否かを選択させ、
当該ゲーム装置が、前記親機であるときは、当該ゲーム装置のプレイヤの選択結果と、前記通信手段で受信した他のゲーム装置のプレイヤの選択結果とに基づいて、前記レベル調整処理を実行するか否かを決定する一方、
当該ゲーム装置が、前記子機であるときは、当該ゲーム装置のプレイヤの選択結果を、前記通信手段を介して前記親機へ送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
当該ゲーム装置が前記親機である場合、前記ゲーム制御手段は、
能力レベルが最も低い車両を操作するプレイヤの選択結果が、前記レベル調整を行うことを示すものであれば前記レベル調整処理を実行することを決定し、前記共通の能力レベルを示す情報を、前記通信手段を介して前記子機へ送信する一方、
能力レベルが最も低い車両を操作するプレイヤの選択結果が、前記レベル調整を行わないことを示すものであれば、前記レベル調整処理を実行しないことを示す情報を、前記通信手段を介して前記子機へ送信する、
ことを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記ゲーム制御手段は、
当該ゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルと、前記他のゲーム装置の他のプレイヤが操作する車両の能力レベルとの間の差が、所定範囲以上の場合は、前記レベル調整処理が必要であると判定する、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記ゲーム制御手段は、
当該ゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルと、前記他のゲーム装置のプレイヤが操作する車両の能力レベルとの間の差が、所定範囲以上になることを前記所定の条件とし、前記所定の条件が成立すると、前記レベル調整処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−81154(P2012−81154A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231199(P2010−231199)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】