説明

ゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム

【課題】ゲーム記憶媒体の手渡しの流通を促すと共に、このゲーム記憶媒体を起点として各ユーザの情報の収集・管理を可能とするシステムの実現。
【解決手段】ゲームプログラムの格納領域とデータセーブ領域を内蔵したロムカード18と、サーバ12〜16とからなるゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム10。ゲームプログラムは、初回起動時の日時情報とMACアドレスとを組み合わせたロムカードIDを生成し、データセーブ領域に格納する手段と、同領域に格納された前ユーザのメッセージをゲーム機20のディスプレイに表示させる手段と、次のユーザに対するメッセージの入力画面を表示させると共に、入力されたメッセージをデータセーブ領域に格納する手段と、現ユーザのゲームデータ、ロムカードID、Webサイトに接続するためのURL等を含むQRコードをディスプレイに表示させる手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムに係り、特に、ゲームプログラムを格納した記憶媒体を用いてプレイした歴代ユーザの情報を各ユーザ間で共有可能とすることにより、ゲーム終了後に当該ゲーム記憶媒体を次のユーザに手渡すことをユーザに促すと共に、このゲーム記憶媒体の流通過程を通じて各ユーザの情報を収集可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Nintendo DS(登録商標)を初めとする携帯型ゲーム機が、子供はもちろん大人の間にまで広く普及してきており、英会話やビジネスマナーの習得等、それまでのゲーム機の枠を超えた分野にまで用途が拡大している。
このようなゲーム機は、非特許文献1に示すように、ゲーム機本体にロムカセットまたはロムカードと称するゲーム記憶媒体を挿入することにより、当該ゲーム記憶媒体に格納されたゲームプログラム(学習用プログラムを含む)が起動し、固有のゲームプレーヤーとしての機能を発揮する。そしてユーザは、このゲーム記憶媒体を交換することにより、同一のゲーム機を用いて他のゲームを楽しむことが可能となる。
【非特許文献1】任天堂ホームページ/DS本体インターネットURL:http://www.nintendo.co.jp/ds/ds/index.html検索日:平成20年9月20日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のゲーム機の利用方法はあくまでも個々のユーザ毎に閉ざされた世界であり、各ユーザは自分好みのゲーム記憶媒体を購入し、これを自分のゲーム機で飽きるまで何度もプレイするのが一般的な利用方法であった。もちろん、友人間でゲーム記憶媒体を交換し合ったり、ネットオークションや仲介業者を通じて不要なゲーム記憶媒体を他人に譲ることはあっても、積極的にゲーム記憶媒体を次の人に手渡そうという動機付けは存在しなかった。
【0004】
一方、ゲームの内容にもよるが、占いゲームや性格診断ゲームなどの場合にはゲーム結果にユーザの本当の姿が反映されることがあり、これらは有益なマーケティングデータとして利用可能な筈であるが、これまでのゲーム機の利用方法では、このような情報をうまく収集することができなかった。
【0005】
この発明は、このような従来の状況に鑑みて案出されたものであり、ゲーム記憶媒体のユーザ間における手渡しの流通を促すと共に、このゲーム記憶媒体を起点として各ユーザのゲーム結果や属性情報の収集・保存・公開を可能とするシステムの実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムは、ゲームプログラムの格納領域とデータセーブ領域を内蔵し、ゲーム機に対して着脱自在に装着される可搬性を備えたゲーム記憶媒体と、サーバとからなるシステムであって、上記ゲームプログラムは、上記データセーブ領域をチェックし、媒体識別コードが記録されているか否かを判定する手段と、媒体識別コードが記録されていない場合に、当該ゲームプログラムの初回起動時の日時情報と、初回起動時に用いられたゲーム機のMACアドレスとを組み合わせた媒体識別コードを生成する手段と、この媒体識別コードを上記データセーブ領域に格納する手段と、上記データセーブ領域に前ユーザからのメッセージデータが格納されている場合に、これをゲーム機のディスプレイに表示させる手段と、次のユーザに対するメッセージを入力するための画面を上記ディスプレイに表示させる手段と、上記画面を通じて入力されたメッセージを、上記データセーブ領域に格納する手段と、ゲーム終了後に、少なくとも現ユーザのゲームデータ、上記データセーブ領域に記録された媒体識別コード及び上記サーバに接続するためのURLをゲーム機のディスプレイに表示させるデータ表示手段とを備え、上記サーバは、ユーザの通信端末から送信されたゲームデータ及び媒体識別コードを、当該ユーザに関連付けて所定の記憶手段に格納する手段と、上記ゲームデータを所定のアルゴリズムに投入して当該ユーザの特性を判定する手段と、当該ユーザの特性判定結果を記載した画面を生成し、ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムは、請求項1のシステムであって、さらに上記ゲームプログラムのデータ表示手段が、ユーザのゲームデータ及び媒体識別コードを上記サーバに接続するためのURLに付加情報として組み入れた後、このURLをQRコードに変換し、このQRコードをゲーム機のディスプレイに表示させることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムは、請求項1または2のシステムであって、さらに、上記前ユーザからのメッセージには次のユーザの特性に関する評価情報(長所、短所、適職等)が含まれており、上記ゲームプログラムは、上記ゲームデータを所定のアルゴリズムに投入して現ユーザの特性(長所、短所、適職等)を判定する手段と、このゲームデータに基づいて判定した現ユーザの特性と前ユーザからのメッセージに含まれていた評価情報とを比較し、両者間の一致度を算出する手段と、この一致度に対応したコメントを記載した画面を生成し、上記ディスプレイに表示させる手段を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムは、請求項1または3のシステムであって、さらに、上記前ユーザからのメッセージには次のユーザの特性に関する評価情報が含まれており、上記ゲームプログラムのデータ表示手段は、現ユーザのゲームデータ、上記データセーブ領域に記録された媒体識別コード、上記サーバに接続するためのURLと共に、前ユーザからのメッセージをゲーム機のディスプレイに表示させ、上記サーバは、ユーザの通信端末から送信されたゲームデータに基づいて判定した当該ユーザの特性と、同じくユーザの通信端末から送信された前ユーザからのメッセージに含まれていた評価情報とを比較し、両者間の一致度を算出する手段と、この一致度を記載した画面を生成し、ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムは、請求項1〜4のシステムであって、さらに上記サーバが、媒体識別コードをキーにして上記記憶手段を検索し、当該ゲーム記憶媒体を用いてゲームを行った歴代ユーザの人数を算出する手段と、この歴代ユーザの人数を記載した画面を生成し、ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムは、請求項1、3〜5のシステムであって、さらに上記ゲームプログラムが、ゲーム機のディスプレイにユーザのニックネームを入力する画面を表示させる手段と、この画面を通じて入力されたニックネームを上記のデータセーブ領域に格納する手段とを備え、上記ゲームプログラムのデータ表示手段が、現ユーザのゲームデータ、媒体識別コード、上記サーバに接続するためのURLと共に、ユーザのニックネームをゲーム機のディスプレイに表示させ、上記サーバが、ユーザの通信端末から送信されたニックネームを上記の記憶手段に格納する手段と、当該ユーザ及び歴代ユーザのニックネームを記載した画面を生成し、ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項7に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムは、請求項1〜6のシステムであって、さらに上記サーバが、上記ユーザの通信端末に対してユーザの属性情報を入力するための画面を送信する手段と、この画面を通じてユーザの属性情報が送信された場合に、これを上記の記憶手段に格納する手段と、上記媒体識別コードをキーにして上記記憶手段を検索し、当該ゲーム記憶媒体を用いてゲームを行った歴代ユーザの属性情報を抽出する手段と、この歴代ユーザの属性情報を表示する画面を生成し、上記ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項8に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムは、請求項7のシステムであって、さらに上記属性情報が各ユーザの居住地域情報を含んでおり、上記サーバが、歴代ユーザの各地域ごとの分布状況を示すチャートを含む画面を生成する手段と、この画面を上記ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項9に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムは、請求項1〜8のシステムであって、さらに上記サーバが、上記記憶手段を参照して媒体識別コード別の歴代ユーザ数をカウントし、ゲーム記憶媒体毎のランキングを算出する手段と、このランキングが表示された画面を生成し、ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴としている。
【0015】
請求項10に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムは、請求項1〜9のシステムであって、さらに上記サーバが、各ユーザのゲームデータに基づく特性やユーザの属性に対応した多数のアバターの画像ファイルを格納しておく記憶手段と、各ユーザの特性や属性に基づいて対応のアバター画像を特定する手段と、当該ユーザ及び歴代ユーザのアバターを表示した画面を生成し、上記通信端末に送信する手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムによれば、ゲームプログラムによって、本来的に固体識別コードを有さないゲーム記憶媒体に媒体識別コードが付与されると共に、ゲーム終了後にはゲーム結果を表すゲームデータと共に媒体識別コードがゲーム機のディスプレイに表示されるため、ユーザの通信端末を介してこの媒体識別コードが送信された場合には、この媒体識別コードに基づいて当該ゲーム記憶媒体に関与した各ユーザの情報をサーバ側で管理することが可能となる。
しかも、サーバはゲームデータに基づいて各ユーザの特性(ユーザの性格や能力の診断結果や全国ランキング、偏差値等)を判定し、これをユーザに提供する機能を備えているため、ゲームを終了したユーザをサーバに誘引し、媒体識別コードやゲームデータ、ユーザの属性情報を収集することが可能となる。
さらに、前ユーザからのメッセージがゲーム機のディスプレイに表示されると共に、次のユーザに対するメッセージをデータセーブ領域に残すことができるため、ゲーム終了後にゲーム記憶媒体を次のユーザに手渡す動機付けをユーザに与えることができる。そして、このゲーム記憶媒体の流通が盛んになるに従い、より多くのユーザ情報がサーバ側に蓄積されるようになる。
【0017】
請求項2に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムによれば、サーバへのアクセス用のURLにゲームデータや媒体識別コードを付加情報として組み入れたURL全体がQRコード化され、ゲーム機のディスプレイに表示されるため、ユーザはこれを携帯電話のカメラで撮影し、携帯電話に搭載されたQRコード変換機能を利用することにより、簡単にサーバに接続すると共に、ゲームデータや媒体識別コードをサーバ側に自動的に引き渡すことが可能となる。
【0018】
請求項3に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムによれば、前ユーザによる自己の特性に対する評価と、自己のゲーム結果から導かれた特性との一致度がゲームプログラムによって算出され、これを反映させたコメントがゲーム機のディスプレイに表示されるため、ユーザ間における親密度や信頼度が顕在化され、ゲーム記憶媒体をユーザ間でやり取りする際の興趣を高めることができる。
【0019】
請求項4に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムによれば、前ユーザによる自己の特性に対する評価と、自己のゲーム結果から導かれた特性との一致度がサーバによって算出され、これが記載された画面がユーザの通信端末に送信されるため、ユーザ間における親密度や信頼度が顕在化され、ゲーム記憶媒体をユーザ間でやり取りする際の興趣を高めることができる。
【0020】
請求項5に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムによれば、当該ゲーム記憶媒体を利用した歴代ユーザの人数がユーザに対して提示されるため、ゲーム終了後に同ゲーム記憶媒体を次のユーザに手渡す動機付けをユーザに与えることができる。
【0021】
請求項6に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムによれば、ゲームのプレイ時にユーザがニックネームをゲーム機に入力しておけば、以後、当該ニックネームが各歴代ユーザに対して公開されることとなり、同一のゲーム記憶媒体を利用したユーザ間に親近感や仲間意識を持たせることが可能となる。この結果、ゲーム終了後に同ゲーム記憶媒体を次のユーザに手渡し、仲間を増やそうという動機付けをユーザに与えることができる。
【0022】
請求項7に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムによれば、サーバを通じて各ユーザの属性情報(年代、性別、都道府県、職業等)を収集可能となり、サーバ側により有用な情報を蓄積することが可能となる。また、この属性情報は歴代ユーザに対しても公開されるため、同一のゲーム記憶媒体で繋がったユーザ間の親近感や興味を高めたり、好奇心を刺激することが可能となり、ひいてはゲーム記憶媒体を次のユーザに手渡そうという動機付けを強化することができる。
【0023】
請求項8に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムによれば、ユーザは、自己が利用したゲーム記憶媒体の地理的な来歴を実感することが可能となり、ひいてはゲーム記憶媒体を次のユーザに手渡そうという動機付けを強化することができる。
【0024】
請求項9に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムによれば、サーバによってゲーム記憶媒体毎のランキングが各ユーザに提示されるため、同じゲーム記憶媒体を利用した歴代ユーザ間の結束を固めると同時に、他のゲーム記憶媒体を利用したユーザに対する対抗心を刺激することが可能となり、ひいてはゲーム記憶媒体を次のユーザに手渡そうという動機付けを強化することができる。
【0025】
請求項10に記載したゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムによれば、サーバによって歴代ユーザのアバターが表示されるため、同一のゲーム記憶媒体で繋がったユーザ間の親近感や興味をより高めることが可能となり、ひいてはゲーム記憶媒体を次のユーザに手渡そうという動機付けを強化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、この発明に係るゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム10の全体構成を示す模式図であり、携帯用Webサーバ12と、DBサーバ14と、PC用Webサーバ16と、ユーザが所持するロムカード(ゲーム記憶媒体)18と、携帯型のゲーム機20と、携帯電話22と、パソコン24とを備えている。
【0027】
携帯用Webサーバ12とPC用Webサーバ16とは論理的な区分であり、同一のサーバコンピュータによって両者を構成することもできる。
【0028】
DBサーバ14は、DBMS(データベース管理システム)を内蔵しており、このDBMSによってユーザDB26、ロムカードDB28、アバターDB30、アバター画像記憶部32を管理している。
【0029】
ユーザDB26には、図2に示すように、ユーザID、パスワード、ロムカードID、ニックネーム、プレイ日時、ユーザ登録日時、アバターNo、ゲームデータ、適職、適職度、世渡り力、性別、年代、都道府県、現職種、PCメールアドレス、プロフィール、前ユーザ、サプライズメッセージ等のデータ項目を備えたレコードが格納されている。
【0030】
ロムカードDB28には、図3に示すように、ロムカードID(媒体識別コード)、チーム名、チームリーダー、初回起動日時等のデータ項目を備えたレコードが格納されている。「チームリーダー」の項目には、当該ロムカード18を最初に起動させてゲームをプレイした初代ユーザのニックネームが記録される。また、「チーム名」の項目には、このチームリーダーの「ニックネーム+組」の文字列が記録される。
【0031】
アバターDB30には、図4に示すように、アバターNo、画像ファイル、適応性別、適応職種、適応適職度等のデータ項目を備えたレコードが格納されている。画像ファイルのデータ項目には、対応するアバターの画像ファイルがフルパスで記述されている。また、アバター画像記憶部32には、多数のアバター用画像データが、男女別、職種別、適職度別に格納されている。
【0032】
ユーザの携帯電話22は、QRコードの読み取り機能を備えたカメラと、インターネット接続機能と、Webブラウザプログラムを備えている。また、ユーザのパソコン24は、インターネット接続機能と、Webブラウザプログラムを備えている。
【0033】
ロムカード18は、図5に示すように、固有のゲームプログラムが格納されたプログラム格納領域34と、データの書き込みが可能なデータセーブ領域36を備えている。また、ゲーム機20は、入力装置(タッチパネル及び入力スイッチ)38と、ディスプレイ40と、ゲーム処理部42を備えている。
【0034】
ロムカード18をゲーム機20のカードスロットに装着すると、プログラム格納領域34に格納されたゲームプログラムがゲーム機20のメインメモリにロードされ、これに従ってゲーム機20のCPUが動作することにより、ゲーム処理部42が生成される。
【0035】
以下、図6及び図7のフローチャートに従い、ゲーム機20における処理手順を説明する。
まず、ユーザがロムカード18をゲーム機20のカードスロットに装着させて電源をONにすると、ゲームプログラムが起動し(図6のS10)、上記のようにゲーム処理部42が生成される。
【0036】
つぎにゲーム処理部42は、データセーブ領域36をチェックし(S12)、ロムカードIDが登録済みであるか否かを判定する(S14)。ここでまだカードIDが未登録である場合には、ゲーム処理部42によってロムカードIDが新たに生成され、データセーブ領域36に格納される(S16)。
【0037】
このロムカードIDは、ゲーム機20の固体識別番号であるMACアドレスに、当該ゲームプログラムが最初に起動された日時情報を付加することによって生成される。本来、ロムカード18自体にはユニークな識別番号が付与されていないが、このシステム10においては各ロムカード18がユーザ間を転々流通していく履歴を管理する必要があるため、個々のロムカード18を識別することが不可欠である。
そこで、上記のようにゲーム機20のMACアドレスに初回起動時の日時情報を付加することにより、ユニークな識別IDを生成する機能をゲーム処理部42に持たせている。
【0038】
なお、ゲーム機20のMACアドレス自体はユニーク性を備えているが、同じゲーム機に同種の異なるロムカード18が装着される場合も想定されるため、ゲーム機のMACアドレスのみではロムカード18の固体識別コードとして機能し得ない。
【0039】
つぎにゲーム処理部42は、ニックネーム入力画面をディスプレイ40に表示させる(S18)。この画面を通じてユーザが自己のニックネーム(例えば「ヨワテツ」)を入力すると、ゲーム処理部42はこれをデータセーブ領域36に登録する(S20)。
【0040】
上記のS14においてロムカードIDが登録済みであると判定された場合、すなわち現ユーザが2人目以降のユーザである場合、ゲーム処理部42はデータセーブ領域36に前ユーザからのサプライズメッセージが登録されているか否かをチェックする(S22)。
そして、サプライズメッセージの登録がある場合には、図8(a)に示すように、受取人の名前(ニックネーム)の確認画面をディスプレイ40に表示させる(S24)。
画面中の「ヨワテツ」という名前は、前ユーザによって入力されたサプライズメッセージの中から、ゲーム処理部42によって抽出されたものである。
【0041】
これに対しユーザが「はい」をタッチすると、ゲーム処理部42は現ユーザをサプライズメッセージの正当な受取人であると認定し(S26/Y)、図8(b)に示すように、サプライズメッセージ画面がディスプレイ40に表示される(S28)。
ここでは、「ヨワテツ(男)さんへ/面白いことを考えるけど/話し下手だから/イラストレーターがぴったり!/モモより」という前ユーザからのサプライズメッセージが表示されている。
このメッセージは、前ユーザによる現ユーザの特性に対する評価、すなわち長所(面白いことを考えるけど)、短所(話し下手だから)、適職(イラストレーターがぴったり!)の組合せから構成されている。
【0042】
これに対しユーザが「身に沁みた!」または「なんだとう!」の何れかのボタンをタッチすると、ゲーム処理部42により、「ヨワテツ」が現ユーザのニックネームとしてデータセーブ領域36に登録される(S20)。
【0043】
一方、図8(a)の確認画面においてユーザが「いいえ」をタッチすると、ゲーム処理部42は現ユーザをサプライズメッセージの正当な受取人ではないものと認定し(S26/N)、当該サプライズメッセージをデータセーブ領域36から削除すると共に(S30)、ニックネーム入力画面をディスプレイ40に表示させ(S18)、現ユーザのニックネームの入力を促す。この画面を通じてユーザが自己のニックネームを入力すると、ゲーム処理部42はこれをデータセーブ領域36に登録する(S20)。
【0044】
つぎにゲーム処理部42は、本来のゲームをスタートさせる(図7のS32)。ここではユーザの適職や適職度、世渡り力(何れもユーザの特性の一種)を診断するためのゲームが展開されるものとする。具体的には、予め設定された数十問の設問についてユーザに回答させると共に、性格や特性、スキルを診断するのに役立つ幾つかのミニゲームを行わせる。上記設問の幾つかが男性用と女性用に別れているため、ユーザの回答行動によって自然にユーザの性別がわかる仕組みとなっている。ただし、上記のニックネーム入力画面において、ユーザの性別を明示的に入力させることもできる。
【0045】
すべてのゲームメニューが消化された時点でゲームオーバーとなり(S34)、ゲーム処理部42はゲームデータ(設問に対する回答パターン及びミニゲームの得点等)をロムカード18のデータセーブ領域36に格納する(S36)。
【0046】
つぎにゲーム処理部42はデータセーブ領域36をチェックし、前ユーザからのサプライズメッセージが登録されている場合には(S38)、実際のゲーム結果から導かれる現ユーザの特性(長所、短所、適職)と、サプライズメッセージに込められた現ユーザに対する前ユーザの評価(長所、短所、適職)との一致度を判定する(S40)。
【0047】
以下に、この一致度の判定方法を例示する。
まず、ユーザに対して出題される設問には、以下のように予めH(Human)、C(Creative)、E(Engineer)、B(Business)の型分類コードが関連付けられている。これらの型分類コードは、ユーザに対しては非表示である。
[設問の具体例]
Q1:電子工作のような細かい作業が得意だ。→(E)
Q2:体を使うより頭を使う仕事が好きだ。→(B)
Q3:できるだけ多くの人と話をしてみたい。→(H)
Q4:ちょっとしたことでも自分なりの工夫をしたい。→(C)
Q5:家の設計図などを描くのが好きだ。→(E)



Q50:自分の希望を書類にするのが得意だ。→(B)
【0048】
つぎに、各設問についてユーザがYESと回答した場合には1ポイントが対応の型分類コードに付与される。そして、ユーザの全回答におけるポイントが最も高い型分類コードと最も低い型分類コードを算出し、これに基づいて当該ユーザの長所及び短所の型が特定される。
【0049】
例えば、長所については図9に示すように、H型のポイントが一番高いユーザは、長所:H型と認定される。同様に、C型のポイントが一番高いユーザは長所:C型と、E型のポイントが一番高いユーザは長所:E型と、B型のポイントが一番高いユーザは長所:B型と認定される。各長所の型には、それぞれ複数の長所テキストが関連付けられている。
【0050】
また、短所については図10に示すように、H型のポイントが一番低いユーザは、短所:H型と認定される。同様に、C型のポイントが一番低いユーザは短所:C型と、E型のポイントが一番低いユーザは短所:E型と、B型のポイントが一番低いユーザは短所:B型と認定される。各短所の型にはそれぞれ複数の短所テキストが関連付けられている。
【0051】
つぎにゲーム処理部42は、型分類コード毎のポイント数を所定のアルゴリズムに投入することにより、当該ユーザに最も適した職種(適職)を特定する。
図11に示すように、各職種には、予め上位の分類項目となる職種分類が関連付けられている。
【0052】
つぎにゲーム処理部42は、図12の対応テーブルを参照し、現ユーザに対するコメントを特定する。
例えば、前ユーザのサプライズメッセージの内容が「面白いことを考えるけど(長所:C型)、話し下手だから(短所:B型)、イラストレーター(職種分類:クリエーター系)がぴったり!」というものであり、現ユーザのゲーム結果から「長所:C型」、「短所:B型」、「適職:コピーライター」が特性として導かれた場合、長所の型が一致(○)すると共に、短所の型も一致し(○)、職種自体は不一致であるが職種分類が一致(△)しているため、図12の対応テーブルにこの「○、○、△」を当てはめると、コメントNo.002「○○さんの予想がだいぶ当たっているようね。」が特定される。この○○の部分には、前ユーザのニックネームが代入される。
【0053】
これに対し、同じサプライズメッセージに対して、現ユーザのゲーム結果から仮に「長所:B型」、「短所:H型」、「適職:コンサルタント」が属性として導かれた場合、長所の型が不一致(×)であると共に、短所の型も不一致であり(×)、職種及び職種分類も不一致(×)であるため、図12の対応テーブルにこの「×、×、×」を当てはめると、コメントNo.012「○○さん、あなたのことを全くわかっていないようね。」が特定される。
【0054】
つぎにゲーム処理部42は、上記の一致度に対応したコメントが記述された画面を生成し、ディスプレイ40に表示させる(S42)。
図13はその一例を示すものであり、まずサプライズメッセージ確認画面を表示させて、前ユーザからのサプライズメッセージを思い出させた後(図13(a))、一致度に対応したコメント(「モモ」さんの予想がだいぶ当たっていたようね。)が記述された画面が表示される(図13(b))。
【0055】
つぎにゲーム処理部42はQRコード44を生成し、ゲーム機20のディスプレイ40に表示させる(S44)。このQRコード44には、以下の情報が含まれている。
(1)携帯用Webサーバ12にアクセスするためのURL
(2)ロムカードID
(3)ユーザのニックネーム
(4)ユーザの性別
(5)ユーザのゲームデータ
(6)プレイ日時
(7)前ユーザの名前
(8)前ユーザからのサプライズメッセージ
上記の(2)〜(8)は、付加情報として(1)のURLの末尾に組み入れられた形で、QRコード化されている。
【0056】
つぎに、図14のフローチャートに従い、ユーザの携帯電話22と携帯用Webサーバ12間における処理の手順を説明する。
まずユーザは、ゲーム機20のディスプレイ40に表示されたQRコード44を携帯電話22のカメラで撮影し、携帯電話22のディスプレイに上記のURLを表示させる(S30)。
つぎに、ユーザがこのURLを選択した状態で実行ボタンを押下すると、携帯電話22のWebブラウザが起動し、インターネット46を介して携帯用Webサーバ12に接続する(S31)。この際、携帯電話22から携帯用Webサーバ12に対して、ロムカードID、ユーザのニックネーム、ゲームデータ等が送信される。
【0057】
これに対し携帯用Webサーバ12は、送信されたユーザのニックネーム、ゲームデータ、ロムカードID、性別、プレイ日時等を、ユーザIDに関連付けてユーザDB26に登録する(S32)。このユーザIDは、携帯用Webサーバ12によって自動的に採番されるユニークな識別コードである。
【0058】
つぎに携帯用Webサーバ12は、ゲームデータを所定の診断アルゴリズムに投入することにより、当該ユーザの適職及びその適職度(パーセンテージ)、さらに世渡り力を判定する(S33)。これらの診断結果は、ユーザDB26の適職、適職度、世渡り力の各データ項目に登録される(S34)。
【0059】
つぎに携帯用Webサーバ12は、アバターDB30を参照し、当該ユーザの性別、適職、適職度にマッチしたアバターNoを割り出し、ユーザDBのアバターNo項目に登録する(S35)。
【0060】
つぎに携帯用Webサーバ12は、対応のアバター画像、ユーザのニックネーム、適職等が記述された診断結果画面(携帯電話用のHTMLファイル)を生成し、携帯電話22に送信する(S36)。
【0061】
この結果、携帯電話22のディスプレイには、図15に示すように、診断結果画面50が表示される(S37)。この画面50では、ユーザの適職(コピーライター、作詞、作曲等)や世渡り力の全国順位(3,400人中152位)といったゲームデータに基づく診断結果が、ユーザのニックネーム及びアバター画像51と共に表示されている。
また、この画面50にはPCメールアドレスを入力する欄52が設けられている。
【0062】
これに対し、ユーザが自己のPCメールアドレスを入力して「登録する」ボタン53を選択すると、携帯電話22から携帯用Webサーバ12に対して、PCメールアドレスが送信される(S38)。
【0063】
これを受けた携帯Webサーバ12は、PCメールアドレスをユーザDB26のPCメールアドレス項目に登録すると共に(S39)、PC用Webサーバ16への誘導メールを生成し、当該PCメールアドレス宛に送信する(S40)。この誘導メールの本文には、PC用Webサーバ16に接続するためのURLが記述されている。このURLにはまた、ユーザを特定するための情報も含まれている。
【0064】
以下、図16のフローチャートに従い、ユーザのパソコン24とPC用Webサーバ16間における処理の手順を説明する。
まずユーザは、パソコン24で受信した誘導メールを開封し、同メールの本文に記載されたURLを表示させる(S50)。
【0065】
つぎにユーザが当該URLをクリックすると、パソコン24上のWebブラウザが起動し、インターネット46を介してPC用Webサーバ16に自動的に接続する(S51)。
これに対しPC用Webサーバ16は、パソコン24から送信された情報に基づいてユーザを特定し、当該ユーザ専用の追加属性情報入力画面(パソコン用のHTMLファイル)を生成した後、パソコン24に送信する(S52)。
【0066】
この結果、図17に示すように、パソコン24のディスプレイに追加情報入力画面60が表示される(S53)。
この画面60には、ユーザのニックネームとアバター画像51他に、当該ユーザの所属チーム名である「ノムラ組」が表示されている。
この所属チーム名は、上記の通りユーザが利用したロムカード18を最初に起動させた初代ユーザのニックネームに因んでおり、同ロムカード18を利用した歴代のユーザには、等しく「ノムラ組」が表示されることとなる。
このチーム名は、DBサーバ14のロムカードDB28に格納されている。
【0067】
上記の追加情報入力画面60には、ユーザの年代、都道府県、現職種を選択入力するための属性情報入力欄61が設けられている。これに対しユーザは、自己の年代(例えば「20代」)、居住都道府県(例えば「東京」)、現職種(例えば「営業」)を選択入力する。
【0068】
また、上記の追加情報入力画面60には、パスワード入力欄62も設けられている。これに対しユーザは、任意のパスワードを入力し、登録ボタン63をクリックする。
この結果、ユーザが入力した年代情報、都道府県情報、現職種情報、パスワードが、PC用Webサーバ16に送信される(S54)。
【0069】
これを受けたPC用Webサーバ16は、ユーザの年代情報、都道府県情報、現職種情報、パスワードを、ユーザDB26に登録する(S55)。
つぎにPC用Webサーバ16は、ユーザDB26、ロムカードDB28、アバターDB30及びアバター画像記憶部32を参照し(S56)、当該ユーザ専用のポータル画面を生成し、ユーザのPCに送信する(S57)。
この結果、図18に示すように、パソコン24のディスプレイにポータル画面70が表示される(S58)。
【0070】
この画面70には、「ノムラ組 バトン追跡」という履歴情報表示欄71が設けられており、歴代ユーザのアバター画像51、都道府県、年代、ニックネーム、プレイ日時が表示されている。
各ユーザのニックネームをクリックすると、別ウィンドウが開いて当該ユーザのプロフィールやゲームデータに基づく判定結果データ(適職、適職度、世渡り力ポイント)が表示される。
【0071】
また、各ユーザのアバター画像51間には、「理解度/(33%)」や「理解度/(83%)」のように、理解度のパーセンテージが表示されている。
これは、前ユーザからのサプライズメッセージと、当該ユーザのゲーム結果との一致度を表すものであり、例えば前ユーザである「モモ」さんの予想と現ユーザである「ヨワテツ」さんのゲーム結果との一致度が83%であったことを示している。
【0072】
この理解度のパーセンテージは、PC用Webサーバ16が現ユーザのゲーム結果データを所定の算出アルゴリズムに投入することにより、導かれる。
例えば、現ユーザの長所、短所、適職に対する前ユーザの評価と、実際のゲーム結果に基づく現ユーザの長所、短所、適職との一致度が「○、○、○」である場合には理解度=100%となり、「×、×、×」である場合には理解度=0%とされる。これに対し、「○、×、×」の場合には、○が一つであるため理解度=33%となり、「○、○、△」の場合には○(33%)+○(33%)+△(17%)=83%とされる。
これはあくまでも一例であり、他の計算式にゲームデータを代入することにより、理解度を算出することもできる。
【0073】
このパーセンテージをユーザがクリックすると、Webブラウザの別ウィンドウが立ち上がり、上記算出の過程を示す情報(前ユーザのサプライズメッセージの内容、現ユーザのゲーム結果等)が表示される(図示省略)。
【0074】
この画面70にはまた、「現在、503名がプレイ完了!」のように、同じロムカード18を利用した歴代ユーザの総数も表示されている。これは、PC用Webサーバ16がユーザDB26を参照し、当該ユーザと同じロムカードIDを備えたユーザの数をカウントすることによって導かれる。
【0075】
この画面70上では、スペースの都合上3名のアバター画像51のみが表示されているが、「もっと見る」のアンカーテキスト72をクリックすることにより、別ウィンドウが開き、歴代チームメイト全員の情報が順次表示される(図示省略)。
また、「都道府県別の移動分布の表示」のアンカーテキスト73をクリックすると、図19に示すように、当該ロムカード18を手にした歴代ユーザの都道府県別の分布チャート74を備えた画面75が表示される。このチャート74を閲覧することにより、自分の手元に来るまでに、日本全国を転々流通して来たことをユーザは実感することができる。
【0076】
また、ユーザがポータル画面70において「バトン追跡ランキングの表示」のアンカーテキスト76をクリックすると、PC用Webサーバ16はユーザDB26を参照してチーム毎の歴代ユーザ数をカウントし、上位所定数のチーム名及びユーザ数が記載された別ウィンドウ77を表示させる。
【0077】
一旦会員登録を行ったユーザは、以後、いつでもPC用Webサーバ16にアクセスし、ポータル画面70を通じて自分の所属チームの現状(所属ユーザ数、バトン追跡ランキング、新規チームメイトの属性やゲームデータに基づく特性、アバター、ユーザ間の理解度等)を確認することができる。
【0078】
ユーザは、「世渡り力」のアンカーテキスト78や「診断詳細」のアンカーテキスト79をクリックし、自己のゲームデータに対するより詳細な分析結果の表示をリクエストすることもできる。
これを受けたPC用Webサーバ16は、ユーザのゲームデータを所定のアルゴリズムに投入して詳細な分析処理を実行し、その結果を表示する画面を生成した後、ユーザのパソコン24に送信する。図20は、世渡り力の分析結果画面80を示しており、世渡り力のポイントやその内訳等が記載されている。また、図21は適職診断の分析結果画面82を示すものであり、ユーザの適職や適職度が列挙されている。
【0079】
ユーザが「プロフィール」のアンカーテキスト83をクリックすると、図示は省略したが、ユーザプロフィール編集画面が表示される。ユーザは、このユーザプロフィール編集画面を通じて自己紹介文を入力することができ、入力されたテキストは、PC用Webサーバ16によってユーザDB26に格納される。
【0080】
以上のように、各ユーザはPC用Webサーバ16上のサイトを訪問することにより、自分のゲームデータに対するより詳細な分析結果の他に、当該ロムカード18でプレイしてきた歴代ユーザの存在、及び各ユーザのプロフィールや属性、特性(適職、適職度、世渡り力)、アバターを確認することができ、所属チーム毎のランキングも表示されるため、同じチームに所属しているという一体感や仲間意識が醸成される。
この結果、「自分のところでバトン(ロムカード18)を途絶えさせてはいけない!」、「つぎのユーザに渡さなくては!」という義務感や動機付けが生じ、ロムカード18の流通を促すことが期待できる。
【0081】
ユーザDB26には、ロムカード18の流通に伴い、各ユーザのゲームデータが所定の属性情報と関連付けられた状態で蓄積されていくため、システムの運用者はこれをマーケティングデータとして有効活用することが可能となる。もちろん、ユーザは最初から終わりまで実名を明かす必要がないため、個人情報が不当に侵害されるおそれもない。
【0082】
このシステムでは、ロムカード18自体は無料で所定数(例えば日本全国で5,000本)が配布され、その後、ユーザからユーザへロムカード18が手渡しで伝播していくことが予定されている。したがって、この伝播状況(都道府県、年代、職種毎の伝播性)を分析することによっても、何らかの有益な知見が得られるものと期待できる。
【0083】
上記においては、ゲーム終了後にゲーム処理部42によってQRコード44が生成され、ゲーム機20のディスプレイ40に表示される例を示したが、この発明はこれに限定されるものではない。
例えば、QRコードの代わりに、PC用Webサーバ16にアクセスするためのURLと、ゲームデータ及びニックネーム等を暗号化した文字列が、ゲーム処理部42によってディスプレイ40に表示されるように構成してもよい。
【0084】
この場合、ユーザはパソコン24のWebブラウザ上で上記のURLを入力してPC用Webサーバ16にアクセスし、暗号化された文字列及び自己のPCメールアドレスを入力する。
つぎに、PC用Webサーバ16から送信された誘導メール中のURLをクリックすると、上記と同様の追加情報入力画面60がパソコン24のディスプレイに表示される。
【0085】
現ユーザは、ロムカード18内に次のユーザに対するサプライズメッセージを残すことができる。以下、図22のフローチャートに従い、サプライズメッセージの登録処理について説明する。
【0086】
まず、現ユーザがゲーム機20のディスプレイ40に表示されたゲームメニュー(図示省略)中から「サプライズメッセージの登録」を選択すると、これを受け付けたゲーム処理部42は(S60)、図23(a)に示すように、サプライズメッセージの受取人(次のユーザ)の名前入力画面をディスプレイ40に表示させる(S61)。
これに対しユーザが50音のキーボードをタッチして受取人の名前(ニックネーム)を入力し、決定ボタンをタッチすると、ゲーム処理部42はこれをゲーム機20のメモリに格納する(S62)。
【0087】
つぎにゲーム処理部42は、図23(b)に示すように、サプライズメッセージの受取人の性別選択画面をディスプレイ40に表示させる(S63)。
これに対しユーザが「男性」または「女性」の何れかのボタンをタッチすると、ゲーム処理部42は選択された性別をゲーム機20のメモリに格納する(S64)。
【0088】
つぎにゲーム処理部42は、図23(c)に示すように、受取人の長所選択画面をディスプレイ40に表示させる(S65)。
この長所選択画面には、図9に示されたのと同様の長所テキストが複数列挙されており、ユーザはこの長所テキストのリスト中から受取人の長所として最も適当と考えるものをタッチして選択入力する。一画面中では6つの長所テキストが表示されているが、ユーザは上下のスクロールボタンをタッチし、別の長所テキスト群を表示させることにより、最適の長所テキストを選択することができる。
ゲーム処理部42は、ユーザが選択した長所テキストをゲーム機20のメモリに格納する(S66)。
【0089】
つぎにゲーム処理部42は、図24(a)に示すように、受取人の短所選択画面をディスプレイ40に表示させる(S67)。
この短所選択画面には、図10に示されたのと同様の短所テキストが複数列挙されており、ユーザはこの短所テキストのリスト中から受取人の短所として最も適当と考えるものをタッチして選択入力する。この場合もユーザは、上下のスクロールボタンをタッチして他の短所テキスト群を表示させることにより、最適の短所テキストを選択することができる。
ゲーム処理部42は、ユーザが選択した短所テキストをゲーム機20のメモリに格納する(S68)。
【0090】
つぎにゲーム処理部42は、図24(b)に示すように、受取人の適職選択画面をディスプレイ40に表示させる(S69)。
この適職選択画面には、図11に示されたのと同様の職種が複数列挙されており、ユーザはこの職種リスト中から受取人の適職と思われるものをタッチして選択入力する。この場合もユーザは、上下のスクロールボタンをタッチして他の職種群を表示させることができる。
ゲーム処理部42は、ユーザが選択した職種をゲーム機20のメモリに格納する(S70)。
【0091】
つぎにゲーム処理部42は、図24(c)に示すように、ユーザが選択入力したデータに基づいてサプライズメッセージの確認画面を生成し、ディスプレイ40に表示させる(S71)。
【0092】
これに対しユーザが「はい」をタッチして確認すると、ゲーム処理部42はサプライズメッセージに係る選択入力データを、ロムカード18のデータセーブ領域36に登録する(S72)。
最後にゲーム処理部42は、ロムカード18内に登録されていた現ユーザのゲームデータを削除する(S73)。
【0093】
このサプライズメッセージが登録されたロムカード18を現ユーザが次のユーザに手渡し、このユーザが自己のゲーム機20に装着させると、図8に示したのと同様のサプライズメッセージ画面がディスプレイ40に表示され、前ユーザによる自己の特性に対する評価を認識することが可能となる。
【0094】
このように、次のユーザの特性に関するサプライズメッセージをロムカード18内に登録した以上、現ユーザは次のユーザに対して当該ロムカード18を是が非でも手渡そうと努めるようになり、ロムカード18の手渡しによる流通を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】この発明に係るゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】ユーザDBに格納されたレコードのデータ項目を示す図である。
【図3】ロムカードDBに格納されたレコードのデータ項目を示す図である。
【図4】アバターDBに格納されたレコードのデータ項目を示す図である。
【図5】ロムカード及びゲーム機の機能構成を示すブロック図である。
【図6】ゲーム機における処理手順を示すフローチャートである。
【図7】ゲーム機における処理手順を示すフローチャートである。
【図8】ゲーム機のディスプレイに表示された受取人の名前確認画面及びサプライズメッセージ画面を示す図である。
【図9】長所の型と長所メッセージとの関係を示す説明図である。
【図10】短所の型と短所メッセージとの関係を示す説明図である。
【図11】職種と職種分類との関係を示す説明図である。
【図12】前ユーザの評価及びゲーム結果との間における一致度と、コメントとの対応関係を定義した対応テーブルの一例を示す説明図である。
【図13】サプライズメッセージ確認画面及び前ユーザの評価とゲーム結果との一致度に対応したコメントが記述された画面を示す図である。
【図14】ユーザの携帯電話と携帯用Webサーバ間における処理手順を示すフローチャートである。
【図15】携帯電話のディスプレイに表示された診断結果画面を示す図である。
【図16】ユーザのパソコンとPC用Webサーバ間における処理手順を示すフローチャートである。
【図17】パソコンのディスプレイに表示された追加情報入力画面を示す図である。
【図18】パソコンのディスプレイに表示されたユーザ固有のポータル画面を示す図である。
【図19】パソコンのディスプレイに表示された歴代ユーザの都道府県別の分布チャートを備えた画面を示す図である。
【図20】パソコンのディスプレイに表示された世渡り力の分析結果画面を示す図である。
【図21】パソコンのディスプレイに表示された適職診断の分析結果画面を示す図である。
【図22】サプライズメッセージの登録に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図23】サプライズメッセージの受取人の名前入力画面、性別選択画面及び長所選択画面を示す図である。
【図24】サプライズメッセージの受取人の短所選択画面、適職選択画面及びサプライズメッセージの確認画面を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
10 ゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム
12 携帯用Webサーバ
14 DBサーバ
16 PC用Webサーバ
18 ロムカード
20 ゲーム機
22 携帯電話
24 パソコン
26 ユーザDB
28 ロムカードDB
30 アバターDB
32 アバター画像記憶部
34 プログラム格納領域
36 データセーブ領域
40 ディスプレイ
42 ゲーム処理部
44 QRコード
46 インターネット
50 診断結果画面
51 アバター画像
52 メールアドレス入力欄
60 追加情報入力画面
61 属性情報入力欄
62 パスワード入力欄
63 登録ボタン
70 ポータル画面
71 履歴情報表示欄
74 歴代ユーザの都道府県別の分布チャート
80 世渡り力の分析結果画面
82 適職診断の分析結果画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームプログラムの格納領域とデータセーブ領域を内蔵し、ゲーム機に対して着脱自在に装着される可搬性を備えたゲーム記憶媒体と、サーバとからなるシステムであって、
上記ゲームプログラムは、上記データセーブ領域をチェックし、媒体識別コードが記録されているか否かを判定する手段と、
媒体識別コードが記録されていない場合に、当該ゲームプログラムの初回起動時の日時情報と、初回起動時に用いられたゲーム機のMACアドレスとを組み合わせた媒体識別コードを生成する手段と、
この媒体識別コードを上記データセーブ領域に格納する手段と、
上記データセーブ領域に前ユーザからのメッセージデータが格納されている場合に、これをゲーム機のディスプレイに表示させる手段と、
次のユーザに対するメッセージを入力するための画面を上記ディスプレイに表示させる手段と、
上記画面を通じて入力されたメッセージを、上記データセーブ領域に格納する手段と、
ゲーム終了後に、少なくとも現ユーザのゲームデータ、上記データセーブ領域に記録された媒体識別コード及び上記サーバに接続するためのURLをゲーム機のディスプレイに表示させるデータ表示手段とを備え、
上記サーバは、ユーザの通信端末から送信されたゲームデータ及び媒体識別コードを、当該ユーザに関連付けて所定の記憶手段に格納する手段と、
上記ゲームデータを所定のアルゴリズムに投入して当該ユーザの特性を判定する手段と、
当該ユーザの特性判定結果を記載した画面を生成し、ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴とするゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム。
【請求項2】
上記ゲームプログラムのデータ表示手段は、ユーザのゲームデータ及び媒体識別コードを上記サーバに接続するためのURLに付加情報として組み入れた後、このURLをQRコードに変換し、このQRコードをゲーム機のディスプレイに表示させることを特徴とする請求項1に記載のゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム。
【請求項3】
上記前ユーザからのメッセージには、次のユーザの特性に関する評価情報が含まれており、
上記ゲームプログラムは、上記ゲームデータを所定のアルゴリズムに投入して現ユーザの特性を判定する手段と、
このゲームデータに基づいて判定した現ユーザの特性と前ユーザからのメッセージに含まれていた評価情報とを比較し、両者間の一致度を算出する手段と、
この一致度に対応したコメントを記載した画面を生成し、上記ディスプレイに表示させる手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム。
【請求項4】
上記前ユーザからのメッセージには、次のユーザの特性に関する評価情報が含まれており、
上記ゲームプログラムのデータ表示手段は、現ユーザのゲームデータ、媒体識別コード、上記サーバに接続するためのURLと共に、前ユーザからのメッセージをゲーム機のディスプレイに表示させ、
上記サーバは、ユーザの通信端末から送信されたゲームデータに基づいて判定した当該ユーザの特性と、同じくユーザの通信端末から送信された前ユーザからのメッセージに含まれていた評価情報とを比較し、両者間の一致度を算出する手段と、
この一致度を記載した画面を生成し、ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴とする請求項1または3に記載のゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム。
【請求項5】
上記サーバは、媒体識別コードをキーにして上記記憶手段を検索し、当該ゲーム記憶媒体を用いてゲームを行った歴代ユーザの人数を算出する手段と、
この歴代ユーザの人数を記載した画面を生成し、ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム。
【請求項6】
上記ゲームプログラムは、ゲーム機のディスプレイにユーザのニックネームを入力する画面を表示させる手段と、
この画面を通じて入力されたニックネームを上記のデータセーブ領域に格納する手段とを備え、
上記ゲームプログラムのデータ表示手段は、現ユーザのゲームデータ、媒体識別コード、上記サーバに接続するためのURLと共に、ユーザのニックネームをゲーム機のディスプレイに表示させ、
上記サーバは、ユーザの通信端末から送信されたニックネームを上記の記憶手段に格納する手段と、
当該ユーザ及び歴代ユーザのニックネームを記載した画面を生成し、ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴とする請求項1、3〜5の何れかに記載のゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム。
【請求項7】
上記サーバは、上記ユーザの通信端末に対してユーザの属性情報を入力するための画面を送信する手段と、
この画面を通じてユーザの属性情報が送信された場合に、これを上記の記憶手段に格納する手段と、
上記媒体識別コードをキーにして上記記憶手段を検索し、当該ゲーム記憶媒体を用いてゲームを行った歴代ユーザの属性情報を抽出する手段と、
この歴代ユーザの属性情報を表示する画面を生成し、上記ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム。
【請求項8】
上記属性情報が、各ユーザの居住地域情報を含んでおり、
上記サーバは、歴代ユーザの地域ごとの分布状況を示すチャートを含む画面を生成する手段と、
この画面を上記ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載のゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム。
【請求項9】
上記サーバが、上記記憶手段を参照して媒体識別コード別の歴代ユーザ数をカウントし、ゲーム記憶媒体毎のランキングを算出する手段と、
このランキングが表示された画面を生成し、ユーザの通信端末に送信する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム。
【請求項10】
上記サーバが、各ユーザのゲームデータに基づく特性やユーザの属性に対応した多数のアバターの画像ファイルを格納しておく記憶手段と、
各ユーザの特性や属性に基づいて対応のアバター画像を特定する手段と、
当該ユーザ及び歴代ユーザのアバターを表示した画面を生成し、上記通信端末に送信する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載のゲーム記憶媒体の伝播履歴情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−75585(P2010−75585A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249566(P2008−249566)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】