説明

ゲーム連動型エネルギ利用管理システムとこのシステムに用いられるユーザ参加型ゲームプログラム

【課題】ゲーム感覚で省エネルギ意識を持続させ、省エネルギ行動に結びつけるゲーム連動型エネルギ利用管理システム及びこのシステムに用いられるユーザ参加型ゲームプログラムを提供する。
【解決手段】各ユーザ宅に設置されているエネルギ利用システムに設けられた利用実績情報生成部からおくられてくるエネルギ利用に関する利用実績情報をネットワーク経由で受け取って管理するエネルギ利用実績管理部が備えられ、この利用実績情報に基づいて各ユーザのエネルギ利用評価値が算定され、ユーザによって選択されたゲームアプリケーションの実行時において当該ゲームの遂行のために有益な付加価値がエネルギ利用評価値に応じて算定され、この付加価値をゲームアプリケーションの実行時にゲーム条件として組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム連動型エネルギ利用管理システムとこのシステムに利用されるユーザ参加型ゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギ利用機器を用いてエネルギ消費を行うユーザに対して省エネルギ意識を高める目的で、エネルギ使用状況を視覚化して、ユーザの省エネルギ行動を高めるような試みがなされている。例えば、特許文献1には、エネルギ消費量測定手段によって対象エネルギ消費者の日毎のエネルギ消費量を示す測定データ(日毎のエネルギ消費量データ)が記憶手段に記録されるとともに、対象エネルギ消費者のエネルギ消費領域に係る気温、又は当該気温として参照可能な地域の気温のデータが記憶手段2に記録され、データ作成対象日を特定する所定の情報(以下、「データ作成対象日特定情報」と記載)が与えられると、当該情報によって特定されるデータ作成対象日に係るエネルギ消費量データと気温データとを記憶手段から抽出し、夫々対象エネルギ消費量データ及び対象気温データとして読み出すことができる省エネ行動支援システムが記載されている。さらにこの省エネ行動支援システムでは、視覚用データ生成手段が、別途記憶手段2から標準エネルギ消費量気温感度データを読み出して標準気温感度曲線を作成し、この曲線と同一グラフ上に、記憶手段から読み出された対象エネルギ消費量データ及び対象気温データによって特定される対象気温感度点をプロットし、視覚用データを生成する。つまり、この技術では、エネルギ消費者としてのユーザが、視覚用データに基づいて自己のエネルギ消費傾向を詳細に認識することができることで、効果的な省エネ行動を実践することを期待されている。
【0003】
しかしながら、ユーザが省エネルギに対する意識を持ち続けるには、単にエネルギ使用状態の可視化だけでは難しく、例えば、ゲーム感覚で、つまり遊び心でもって省エネルギを実行するような方策が必要であることがわかってきた。
【0004】
ゲームプログラムの分野では、現実世界のイベントの影響がキャラクタに反映されるようなユーザ参加型ゲームが知られている。例えば特許文献2によるゲームプログラムでは、現実世界のリアルなイベントが対象選手キャラクタの能力に反映されるように、現実世界において話題性のある選手のイベント情報が対象選手キャラクタの能力を決定づける。このようなゲームでは、ゲームにおけるキャラクタの能力算定に、当該キャラクタに対応する現実世界のキャラクタの才能やそのキャラクタに対して発生したイベント内容を利用しているだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−225826号公報(段落番号〔0041−0089〕、図2、図8)
【特許文献2】特開2010−99294号公報(段落番号〔0043−0157〕、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記実情に鑑み、本発明の課題は、ゲーム感覚で省エネルギ意識を持続させ、省エネルギ行動に結びつけるゲーム連動型エネルギ利用管理システム及びこのシステムに用いられるユーザ参加型ゲームプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によるゲーム連動型エネルギ利用管理システムは、各ユーザ宅に設置されているエネルギ利用システムに設けられた利用実績情報生成部からおくられてくるエネルギ利用に関する利用実績情報をネットワーク経由で受け取って管理するエネルギ利用実績管理部と、前記利用実績情報に基づいて各ユーザのエネルギ利用評価値を算定する評価値算定部と、ユーザによって選択されたゲームアプリケーションの実行時において当該ゲームの遂行のために有益な付加価値を前記エネルギ利用評価値に応じて算定する付加価値算定部と、前記付加価値を前記ゲームアプリケーションの実行時にゲーム条件として組み込まれるようにフォーマットして前記ゲームアプリケーションに与えるフォーマット部とからなる。
【0008】
この構成では、各ユーザ宅における水、ガス、電気などのエネルギ利用の状況を示す利用実績情報が利用実績情報生成部によって作成され、ネットワークを通じてサーバ側システムのエネルギ利用実績管理部で一元管理される。なお、このネットワークが家庭LAN等であれば、このエネルギ利用システムは1つのユーザ宅に閉じられたシステムとなる。しかしながら、このネットワークが、多数のユーザ宅の利用実績情報生成部とサーバ側のエネルギ利用実績管理部とを結ぶインターネットなどのWANであれば、このエネルギ利用システムは地域全体に及ぶ広域ユーザ管理システムとなる。エネルギ利用実績管理部で管理されているユーザ毎のエネルギ利用実績に基づいてエネルギ利用の評価を行い、どの程度の省エネルギ意識をもってユーザが行動しているかを算定する。このシステムでは、このエネルギ利用評価値はさらにゲームアプリケーションの実行時において当該ゲームの遂行のために有益な付加価値に変換することができる。この付加価値はユーザが行うゲームアプリケーションの実行時に利用可能なアイテムやリソースなどのゲーム条件として当該ゲームアプリケーションが取り扱うことができるフォーマットで当該ゲームアプリケーションに与えられる。従って、ユーザは省エネルギを意識したエネルギ利用を行っていれば、ゲームの実行において、ゲーム進行上有利となるアイテムやリソースを付加的にもつことができるようにゲーム条件が設定される。ユーザはゲームにおいて有利となるように、現実世界において省エネルギを心がけることになる。
【0009】
コンピュータゲームの形態として、スタンドアローンタイプとネットワークタイプとがある。スタンドアローンタイプでは、ゲームアプリケーションがゲーム実行機にインストールされると、アンインストールされるまで、そのゲームアプリケーションを使い続けることができる。ネットワークタイプでは、ゲームを行う時は、ゲームアプリケーションをネットワークを通じてダウンロードして実行することになる。本発明はこの両方のゲーム形態に適用可能である。従って、本発明の好適な1つの形態では、ユーザの要求に基づいて前記ゲームアプリケーションをユーザのゲーム実行機にネットワーク経由で送り込むゲーム管理部が備えられ、前記ゲームアプリケーションは前記フォーマットされた付加価値とともに当該ユーザのゲーム実行機に送りこまれる。この構成では、ユーザがゲームを行う時には、このシステムのサーバにアクセスし、ゲームアプリケーションとともに当該ゲームのゲーム条件となる付加価値をゲーム実行機(パソコン、スマートフォンなど)にダウンロードする。また、他の形態の1つでは、前記ゲームアプリケーションはユーザのゲーム実行機にインストールされており、前記フォーマットされた付加価値は前記ゲームアプリケーションの実行時に当該ゲーム実行機にダウンロードされる。この構成では、ユーザがゲームを行う時には、そのゲーム実行の初期設定時にこのシステムのサーバにアクセスし、当該ゲームのゲーム条件となる付加価値だけがダウンロードされる。いずれの場合でも、ゲーム実行機での実行時には特典アイテムやボーナスポイントなどの形の付加価値がゲーム条件として設定されるので、省エネルギを熱心に実行していることでエネルギ利用評価値の高いユーザは有利な条件でゲームを行うことができる。
【0010】
特に、このゲームが参加型ゲームで、他の多くのユーザと競争するような場合、ゲームの進行とともにユーザの省エネルギ意識が高い状態で維持できる。従って、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記ゲームアプリケーションが参加型ゲームであり、前記付加価値はユーザのアバター(ユーザの分身となるキャラクタ)がゲーム遂行のために有利に働くリソース(ボーナスポイントや特典アイテムなど)となるように構成されている。
【0011】
各ユーザのエネルギ利用評価値は、種々の形態で求めることができる。例えば、このサーバ側のエネルギ利用実績管理部が多くのユーザ宅と結ばれているようなシステムでは、類似する家族構成と部屋構成をもつユーザ間の偏差値に基づいて算定してもよいし、特許文献1に示されているようなエネルギ消費性向を視覚化した図表へのアクセス回数による省エネルギ関心度に基づいて算定してもよい。しかしながら、エネルギ消費は個々の事情にかなり左右されることを考慮すると、ユーザ毎に省エネルギ目標を立ててこの目標を達成することが重要である。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記エネルギ利用評価値を、省エネ目標値に対する達成率としている。
【0012】
上述したゲーム連動型エネルギ利用管理システムに用いられるユーザ参加型ゲームプログラムも本願発明の対象となっている。そのような本発明のゲームブログラムは、ユーザのアバターに与えられたゲームリソース量を用いてゲーム進行を行うユーザ参加型ゲームプログラムであって、ゲーム進行を管理するゲーム進行管理機能と、ユーザ宅に設置されているエネルギ利用システムの利用実績情報に基づいて算定されたエネルギ利用評価値から当該ユーザに対して割り当てられる付加的ゲームリソース量をネットワーク経由で取得するデータ取得機能と、ゲームルールによって決定される基本ゲームリソース量に前記付加的ゲームリソース量を加算するゲーム条件設定機能とを、コンピュータに実現させる。このゲームプログラムは、現実世界において生じた省エネルギに関する事象に、影響されるように構成されている。詳しくは、ユーザ宅に設置されているエネルギ利用システムの利用実績情報に基づいて算定されたエネルギ利用評価値に基づいて、ユーザのアバターがゲーム遂行のために有利に働く付加的なゲームリソース量、例えばボーナスポイントや特典アイテムなどを獲得する。つまり、このゲームプログラムは、ユーザ(ゲーム実行者)の日頃の省エネルギ意識が当該ゲームにおいてユーザのアバターを助ける種々のリソースを大きくするので、ユーザに対してゲーム感覚で省エネルギ意識を持続させ、省エネルギ行動に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるゲーム連動型エネルギ利用管理システムの基本原理を図解する模式図である。
【図2】本発明によるゲーム連動型エネルギ利用管理システムの1つの実施形態における機能ブロック図である。
【図3】図2のゲーム連動型エネルギ利用管理システムにおける制御の流れを示すタイムチャート図である。
【図4】本発明によるユーザ参加型ゲームプログラムにおける付加的ゲームリソース量の算定過程を図解する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明によるゲーム連動型エネルギ利用管理システムの具体的な実施形態を説明する前に、その基本原理を図1の模式図を用いて説明する。
図1では、ユーザ側つまりクライアント側と、エネルギ供給管理側つまりサーバ側とに区分けされている。クライアント側では、ユーザ宅におけるエネルギ利用が示されている。一般家庭でのエネルギ利用としては、ガス、電気、水(水の供給にも多くのエネルギが消費されるのでここでは水の使用もエネルギ利用に含ませている)などが挙げられるが、ここでは、ガス、電気、水などのエネルギの少なくとも1つのエネルギ利用実績が管理されるとする。このエネルギ利用実績管理では、気温などの環境条件とともに日時毎のエネルギ利用がデータ化され、利用実績情報としてネットワークを通じてサーバ側に送られる。サーバ側には、各ユーザ宅から送られてくる利用実績情報を抽出可能に格納する利用実績データベースが設置されている。利用実績情報にはユーザを識別する識別情報としてユーザID(図ではUIDと示されている)がリンクしており、利用実績データベースからユーザ別で日時単位のエネルギ利用実績を抽出することができる。さらには、特定条件を満たすユーザ群、例えば家族構成や部屋構成などの類似するユーザ群を抽出してそのユーザ群の平均値などの統計値を演算することができる。従って、ユーザ毎にエネルギ利用に関する評価を行うことができ、例えば省エネルギ偏差値などの形態でエネルギ利用評価値を算定する。
【0015】
さらにこのサーバは、このユーザ毎に算定されたエネルギ利用評価値に基づいて、ユーザに対する特典またはご褒美としての付加価値を算定して、各ユーザに割り与えることができる。この付加価値は、例えば商品購入ポイントのようなもので、ユーザが割り得感を与えるものである。本発明では、この付加価値をゲーム条件化してゲームの遂行において利用できるように構成している。つまり、この付加価値を、ゲームにおける特典としてボーナスポイントやボーナスキャラクタといったゲームポイントに変換する。
【0016】
ユーザがこの型エネルギ利用管理システムに連動するゲームをユーザが所有するゲーム機上で実行すると、上述したゲームポイントがネットワークを通じてユーザのゲーム機に送り込まれ、ボーナスポイントやボーナスキャラクタといった形で利用することができ、ゲームを優位に遂行することができる。
【0017】
次に、上述した基本原理で機能するゲーム連動型エネルギ利用管理システムの実施形態を図2の機能ブロック図を用いて説明する。
この実施形態では、ユーザ宅には、ガス、電気、水などのエネルギの少なくとも1つのエネルギ利用実績を一括管理するエネルギ利用実績管理部1が備えられている。このエネルギ利用実績管理部1には通信機能が備えられており、インターネット等の通信回線を経由して、ガス供給会社が管理する顧客サービス中央センタの管理サーバシステム内に構築されているゲーム連動型エネルギ管理システム2と接続可能である。エネルギ利用実績管理部1は、ガス機器や電気機器で消費されたガスや電気を集計して利用実績情報を生成し、エネルギ管理システム2に送る。
【0018】
エネルギ管理システム2は、利用実績データベース20、入出力部21、ユーザ管理部22、ユーザ別エネルギ利用管理部23、ゲーム管理部24、表示情報作成部25を備えている。
利用実績データベース20は、ユーザ宅に設置されたエネルギ利用実績管理部1から送られてくるエネルギ利用に関する利用実績情報を、ユーザ別、日時別、エネルギ別などの検索条件に応じて抽出可能に格納する。入出力部21は、ネットワークを通じてクライアントとの間でデータ交換をする機能を有し、この実施形態ではWEBサーバの機能も有し、種々のインターネットプロトコルに基づいてクライアントのWEBブラウザを通じての各種データの送受信が可能である。ユーザ管理部22は、各ユーザの識別をユーザIDとパスワードとを用いて行い、特にWEBページを通じてアクセスしてくるユーザに対してGUIを通じてそのログイン管理を行うログイン管理部22aを有する。このログイン管理部22aはユーザのログイン回数も管理している。ユーザ別エネルギ利用管理部23は、利用実績データベース20にユーザIDでリンクした状態で格納された利用実績情報を用いて、ユーザ別エネルギ利用実績の統計的処理やその実績評価処理を行う。特に、利用実績情報に基づいて各ユーザのエネルギ利用評価値を算定するために、評価値算定部23aを有する。算定された各ユーザのエネルギ利用評価値はユーザIDでリンクされ、利用実績データベース20に格納される。これにより、ユーザ別エネルギ利用管理部23は、要求に応じて、各ユーザの利用実績情報やエネルギ利用評価値を即座に提供することができる。このエネルギ利用評価値の一つは、各ユーザ宅における省エネ目標値に対する達成率である。省エネ目標値は、ユーザがエネルギ管理システム2の該当WEBページにアクセスして、ユーザ独自で設定することができるが、エネルギ管理システム2側で設定してもよい。
【0019】
ゲーム管理部24は、このエネルギ管理システム2と連動することができるゲームアプリケーションとにゲーム条件等のデータの付与や更新を行うために、付加価値算定部24aとフォーマット部24bとを有する。付加価値算定部24aは、ユーザによって選択されたゲームアプリケーションの実行時において当該ゲームの遂行のために有益な付加価値をエネルギ利用評価値に応じて算定する。フォーマット部24bは、付加価値算定部24aで算定された付加価値をゲームアプリケーションの実行時にゲーム条件として組み込まれるようにフォーマットしてゲームアプリケーションに与える。例えば、算定された付加価値をゲーム用付加価値(ゲームリソースやゲームキャラクタ)に変換する。さらには、ゲームアプリケーションを実行するゲーム実行機4はパソコンやスマートフォンなど複数種あるので、フォーマット部24bは、それぞれのゲームプラットフォームに対応したフォーマットに適応するようにゲーム条件を変換する機能も有する。
【0020】
表示情報作成部25はユーザ別エネルギ利用管理部23によって算定されるユーザ別エネルギ利用実績を、グラフ化などの視覚化を行ってユーザが理解し易い表示形態に変換し、ユーザに与える。
【0021】
この実施形態でのゲーム実行機4は、ゲーム画面を表示するモニタ5を有するとともに、エネルギ管理システム2と連動するゲームアプリケーション41が既にインストールされている。これに代えて、ユーザがゲームを実行する度にエネルギ管理システム2からダウンロードする形態を採用してもよい。ゲーム実行機4は、一般的なゲーム実行機と同様に、インストールされたゲームアプリケーション41を実行するアプリケーション実行部40やゲーム条件設定部42を備えている。アプリケーション実行部40はゲームアプリケーション41、つまりゲームプログラムを実行するための環境であり、ゲーム実行機4がパソコンであれば、そのパソコンに組み込まれているOSが実質的にその機能を果たす。ゲーム進行を管理する機能はゲームプログラム本体(ゲームアプリケーション41)に含まれており、ゲーム条件設定部42はデータ取得機能とゲーム条件設定機能を含んでいる。データ取得機能は、各ユーザ宅に設置されているエネルギ利用システムのエネルギ利用実績管理部1による利用実績情報に基づいて算定されたエネルギ利用評価値から当該ユーザに対して割り当てられる付加的ゲームリソース量をネットワーク経由で取得する機能である。ゲーム条件設定機能は、ゲームプログラムによって規定されるゲームルールによって決定される基本ゲームリソース量に付加的ゲームリソース量を加算する。
【0022】
上述したように構成されたゲーム連動型エネルギ利用管理システムにおける制御の流れを図3のタイムチャートを用いて説明する。
定期的に、あるいはユーザ管理部22からの要求に応じて、各ユーザ宅に設置されている燃料電池コージェネレーションシステムに付属する利用実績管理部1がクライアントとして、ユーザIDを用いてユーザ管理サーバであるエネルギ管理システム2にアクセスし、ユーザ管理部22によるログイン制御をうける(#21)。ログインが完了すると、利用実績管理部1からガスや電気などのエネルギ利用機器の使用状況を表す利用実績情報がユーザ別エネルギ利用管理部23に送信される(#22)。ユーザ別エネルギ利用管理部23は受け取った利用実績情報をユーザ別に管理可能なように利用実績データベース20に格納する(#23)。
【0023】
ユーザが自宅のエネルギ利用機器の使用状況等をチェックしたいときには、パソコンやスマートフォン等でエネルギ管理システム2にアクセスし、表示情報作成部25に対してエネルギ利用実績の表示を要求する(#31)。表示情報作成部25は検索条件を設定して利用実績データベース20に該当実績データを要求し(#32)、当該ユーザの利用実績情報を抽出する(#33)。表示情報作成部25は抽出された利用実績情報を用いて必要となるデータ可視化処理を行い、その表示情報をユーザに送信する(#34)。これにより、当該ユーザの利用実績情報が適切な可視化表示形態でパソコンやスマートフォンの表示画面に表示される(#35)。
【0024】
エネルギ管理システム2の評価値算定部23aは、定期的に、例えば月単位に、利用実績データベース20にアクセスし(#41)、家族構成や部屋数などの所定条件を満たすユーザ群の月単位の利用実績情報を抽出する(#42)。抽出された利用実績情報を統計処理し、省エネルギの観点からユーザ毎の評価値を算定し、その評価値を利用実績データベース20に格納する(#43)。なお、この評価値をエネルギ利用実績の表示要求の際に表示情報に付加してもよい。
【0025】
ユーザがこのエネルギ管理システム2と連動するゲームをゲーム実行機4において行う際には、まずゲーム実行機4がエネルギ管理システム2にアクセスしてゲームのダウンロードを要求することで(#52)、ゲーム管理部24が当該ゲーム実行機4にゲームアプリケーションを送信する(#53)。予めゲーム実行機4にゲームアプリケーションがインストールされている場合にはこのステップ#52と#53は省略される。
【0026】
アプリケーション実行部40によってゲームアプリケーションが実行されると、まずエネルギ管理システム2にゲーム条件が要求される(#54)。ゲーム条件の要求を受け取ると、付加価値算定部24aが、当該ユーザのユーザIDを用いてこのユーザ宅に与えられている評価値の抽出を利用実績データベース20に要求する(#55)。利用実績データベース20から抽出された評価値はゲームのためのゲーム評価値に変換されるために付加価値算定部に転送される(#56)。さらに当該ゲーム評価値は、フォーマット部24bによって、ゲーム実行機4で実行されているゲームに利用されるリソースポイント数などのボーナスポイントに変換され(#57)、基本的なリソースポイント数とともにゲーム条件としてゲーム実行機4に送信される(#58)。ゲーム実行機4に送られたゲーム条件は、ゲーム条件設定部42によって設定され、ゲームが開始する(#60)。ゲームが終了すると、終了時のリソースポイントなどのゲーム条件が次回のゲームに持ち越されるような場合には、そのゲーム条件がエネルギ管理システム2のゲーム管理部24にアップロードされる(#61)。
【0027】
次に、このエネルギ管理システム2に連動するゲームアプリケーション(ゲームプログラム)の一例を図4の模式図を用いて説明する。このゲームアプリケーションは、ユーザが一人の開拓者(アバター)となって、土地を開拓し、町を育てていくというテーマを有し、1日に一度、10分程度ゲームを行うことを想定している。他のユーザも参加でき、他のユーザのアバターとともに町を育てていきます。開拓のために必要なアイテムや、町を育てるために必要な基本エネルギとしてガス、電気、水があり、この基本エネルギ(ゲーム上ではリソースポイントで表される)を有効に利用することで、農地、商店、工場が発展していきます。したがって、基本エネルギのリソースポイントがゲームを遂行していく上で重要となります。このリソースポイントは、現実世界でのユーザの省エネルギ意識の維持、ないしは実際の省エネルギの達成度によって影響されます。つまり、図4に模式的に示されているように、利用実績データベース20に格納されている各ユーザの利用実績情報は、評価値変換により各ユーザ別の評価値となり、さらにその評価値はゲーム付加価値に変換される。このゲーム付加価値がフォーマット変換を通じて、リソースポイントのボーナスポイントになる。図4の例では、このユーザの現実世界での省エネルギ挙動により、ボーナス水ポイントが200、ボーナスガスポイントが100、ボーナス電気ポイントが100与えられている。このボーナスリソースポイントはゲームの基本値(基本ポイント:図4では1000)に加算され、実際のゲームで利用可能となる。なお、このボーナスリソースポイントは現実世界での省エネルギ挙動だけではなく、ユーザがエネルギ管理システム2にログインして、自分の利用実績を確認するような行為も、そのログイン回数を通じてボーナスリソースポイントが付与される評価となる。これにより、各ユーザは、ゲーム感覚で省エネルギ意識を持続し、実際の省エネルギ行動をとるようになるといった好ましい結果が得られる。
【0028】
上述した実施の形態では、エネルギ利用実績管理部1(クライアント側)と、エネルギ利用管理部23(サーバ側)とがインターネットなどのネットワークで接続され、多数クライアント・サーバシステムが構築されていた。これに代えて、エネルギ利用実績管理部1とエネルギ利用管理部23とを家庭LANで接続して、スタンドアローンシステムとして各ユーザ宅にこのシステムを設置してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1:エネルギ利用実績管理部
2:エネルギ管理システム
20:利用実績データベース
22:ユーザ管理部
22a:ログイン管理部
23:ユーザ別エネルギ利用管理部
23a:評価値算定部
24:ゲーム管理部
24a:付加価値算定部
24b:フォーマット部
25:表示情報作成部
4:ゲーム実行機
40:アプリケーション実行部
41:ゲームアプリケーション
42:ゲーム条件設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ユーザ宅に設置されているエネルギ利用システムに設けられた利用実績情報生成部からおくられてくるエネルギ利用に関する利用実績情報をネットワーク経由で受け取って管理するエネルギ利用実績管理部と、
前記利用実績情報に基づいて各ユーザのエネルギ利用評価値を算定する評価値算定部と、
ユーザによって選択されたゲームアプリケーションの実行時において当該ゲームの遂行のために有益な付加価値を前記エネルギ利用評価値に応じて算定する付加価値算定部と、
前記付加価値を前記ゲームアプリケーションの実行時にゲーム条件として組み込まれるようにフォーマットして前記ゲームアプリケーションに与えるフォーマット部と、
からなるゲーム連動型エネルギ利用管理システム。
【請求項2】
ユーザの要求に基づいて前記ゲームアプリケーションをユーザのゲーム実行機にネットワーク経由で送り込むゲーム管理部が備えられ、前記ゲームアプリケーションは前記フォーマットされた付加価値とともに当該ユーザのゲーム実行機に送りこまれる請求項1に記載のゲーム連動型エネルギ利用管理システム。
【請求項3】
前記ゲームアプリケーションはユーザのゲーム実行機にインストールされており、前記フォーマットされた付加価値は前記ゲームアプリケーションの実行時に当該ゲーム実行機にダウンロードされる請求項1に記載のゲーム連動型エネルギ利用管理システム。
【請求項4】
前記エネルギ利用評価値は、省エネ目標値に対する達成率である請求項1から3のいずれか一項に記載のゲーム連動型エネルギ利用管理システム。
【請求項5】
前記ゲームアプリケーションが参加型ゲームであり、前記付加価値はユーザのアバターがゲーム遂行のために有利に働くリソースである請求項1から4のいずれか一項に記載のゲーム連動型エネルギ利用管理システム。
【請求項6】
ユーザのアバターに与えられたゲームリソース量を用いてゲーム進行を行うユーザ参加型ゲームプログラムであって、ゲーム進行を管理するゲーム進行管理機能と、ユーザ宅に設置されているエネルギ利用システムの利用実績情報に基づいて算定されたエネルギ利用評価値から当該ユーザに対して割り当てられる付加的ゲームリソース量をネットワーク経由で取得するデータ取得機能と、ゲームルールによって決定される基本ゲームリソース量に前記付加的ゲームリソース量を加算するゲーム条件設定機能とを、コンピュータに実現させるユーザ参加型ゲームプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−61717(P2013−61717A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198366(P2011−198366)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)