説明

コアシェル構造を有する粒子状ワックス化合物及びその製造方法及びその使用

【課題】 本願発明の目的は、従来の粒子において生じる不利益を少なくとも防止し又は減少させる上述した系において使用するのに適したフィラー粒子を提供し、そのような粒子の調製方法を提供することである。
【解決手段】 本願発明の複合粒子は、コアシェル構造を有する無機−有機複合粒子であって、該複合粒子が、少なくとも1つのワックスを具備する有機ベースコアと、該コアの周りに設けられる無機ベースシェルとを具備することにある。また、本願発明の複合粒子の調製方法は、少なくとも1つのワックスから成る又は少なくとも1つのワックスを具備する有機ベースの粒子が、無機ベースシェルでコートされ、有機ベースワックス粒子が、無機ベースシェルによって囲まれることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、粒子状ワックス含有複合材料(「ワックス複合物」)に関し、且つそれを調製する方法に関し、さらにその使用に関する。
【0002】
特に、本願発明は、ワックス含有コアと無機シェルを有するか、又はコアの周囲をコーティングしたコアシェル構造を有する無機−有機複合粒子に関し、さらにこれらの複合粒子を調製する方法に関し、またその使用に関する。
【0003】
さらに、本願発明は、これら複合粒子の使用、特にコーティング材料及びコーティング及びペンキ、インキ等の塗装系における使用、さらに、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニュキュア液、接着剤、シーラント等、すべての種類の分散における使用に関する。
【0004】
さらにまた、本願発明は、上述した系における充填剤又は原料としてのこれら複合粒子の使用に関する。
【0005】
さらに、本願発明は、これらの複合粒子を具備するペンキ、インキ等の塗装材料及び塗装系に関し、特に、プラスチック、発泡体及びマニュキュア液等の化粧品に関する。
【0006】
さらにまた、キャリア媒体又は分散媒体にこれらの複合粒子を具備する革新的な分散を本願発明は提供する。
【背景技術】
【0007】
塗装系及び分散系(例えばペンキ、印刷用インキのようなインキ、コーティング材を含む)及びプラスチックの力学的特性を改善するために、特に引っ掻き抵抗及び摩耗抵抗等の摩耗特性を向上させるために、例えばワックス又は無機充填剤粒子(例えば、ナノ粒子と呼ばれるもの)等の添加剤及び充填剤を混合することは、当業者にとって原則的に公知である。
【0008】
従来技術から知られる無機充填剤粒子は、所定の条件下で、それらを使用することにおいて、塗装系(例えばペンキ)の引っ掻き抵抗を改善するが、その結果として塗装膜(例えばペンキ膜)の脆性を向上させる。さらに、相対的に高い充填剤含有量は、所望の効果を達成するために必要であり、且つこれは、結果としての分散系を安定させにくくし、コスト面でも望ましくない結果を生じる。
【0009】
特開平07−138484号公報は、ワックス、オイル又は樹脂と、例えばタルク、シリカのような粉状無機材料との混合物から押出成型品を製造する方法に関する。この結合した付加成分は、ワックスとの押出処理における改善された生産能力を含む効果を有すると言われている。
【0010】
特開平06−166756号公報は、不活性液体、好ましくはハイドロフルオロカーボンにおいて0.1〜100μmの粒子径を有し、ワックスの100重量部当たり1〜20重量部の乳化剤としての疎水性シリカを使用する微細に分割されたワックス粒子のエマルジョンに関する。乳化剤としてのみ使用される疎水化シリカは、疎水性シリカの表面を、ハロゲン化アルキルシラン又はアルコキシシラン等の疎水化剤で反応させることによって得られる。
【0011】
特開2004−339515号公報は、表面改質特性を有する沈降シリカの調製方法に関し、この方法において調製されたシリカは、ペンキのつや消し材として使用されることを目的としている。表面の改質は、ポリエチレンワックスでシリカ表面を処理することによって実行され、ワックスでコートされたシリカ粒子を結果として生じる。
【0012】
韓国特許公開10−2004−0098585号公報は、その表面がポリオルガノシロキサンポリマーでコートされた沈降シリカに関し、且つそれを製造する方法に関する。表面改質シリカが、透明なコーティング材料のためのつや消し材として使用される。
【0013】
さらに、韓国特許公開10−2005−0094496号公報は、ワックス粒子とラテックス粒子との間の結合レベルを改善するための、且つ、その方法において、予めワックスエマルジョンを調製する必要性を排除することによって調製手順を簡略化するためのコアシェルポリマーラテックスの調製方法に関する。この方法において調製される調製品は、電子写真イメージ装置、特にコピー機のためのトナー組成物として用いられる。
【0014】
国際特許公開WO95/31508A1は、つや消し剤として使用されるワックスコーティングされたシリカ粒子に関する。
【0015】
ヨーロッパ特許公報1182233B1は、ワックスでシリカを覆う方法に関するもので、そこに記載されたシリカは、ペンキのつや消し剤として使用されることを意図したものである。
【0016】
ヨーロッパ特許公報1204701B1は、基板状の硬化塗膜に関し、フィラー粒子の濃度勾配がコーティングにおいて存在することを特徴とするもので、表面に接するコーティング領域において、結合するフィラー粒子の濃度が、下に置かれるコーティング領域におけるこれらの粒子の濃度より大きいことを特徴とするものである。しかしながら、この結果として、コーティングの不均等性によって、改善は、表面領域においてだけ、局所のみで達成される。
【0017】
米国特許出願公開2006−0228642A1は、内部ワックスコアと外側のラテックスシェルを有するコアシェル構造を有するポリマーラテックス粒子を調製する方法に関し、そのような粒子が、トナー組成物として使用されることが意図される。
【0018】
塗装系の力学的特性を改善するための、特に摩耗抵抗を向上させるための、ワックス含有複合粒子は、従来技術においてまだ提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開平07−13848号公報
【特許文献2】特開平06−166756号公報
【特許文献3】特開2004−339515号公報
【特許文献4】KR10−2004−0098585A
【特許文献5】KR10−2005−0094496A
【特許文献6】WO95/31508A1
【特許文献7】EP1182233B1
【特許文献8】EP1204701B1
【特許文献9】US2006/0228642A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本願発明の目的は、従来の粒子において生じる不利益を少なくとも防止し又は減少させる上述した系において使用するのに適した上述した種類のフィラー粒子を提供し、そのような粒子について対応する調製方法を提供することである。
【0021】
本願発明のさらなる目的は、最初に特定された系に結合されるときに、効果的な性能の上昇を達成し、塗装系及び分散系(例えば、ペンキ、印刷用インキ等のインキ、塗装等)及びプラスチックの機械的な特性、特にその摩耗特性の向上、特に引っ掻き抵抗及び摩耗抵抗を改善する最初に特定された種類の革新的なフィラー粒子を提供することについて考慮することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を達成するために、本願発明は、請求項1に記載されたようなコアシェル構造を有する無機−有機複合粒子を提案すると共に、利益的な具体例が、それに対応する従属孔の主題である。
【0023】
本願発明は、さらに請求項15〜28に記載されているように、本願発明の複合粒子を調製する方法を提供する。
【0024】
本願発明は、さらに関連した使用請求項に記載されているように、本願発明による複合粒子の独創的な使用を提供する(請求項29〜31)。
【0025】
さらに、本願発明は、キャリア媒体又は分散媒体に、本願発明の複合粒子を具備する分散を提供する(請求項32)。
【0026】
さらにまた、本願発明は、本願発明の複合粒子を有する塗装材料、特にペンキ、インキ、プラスチック、発泡体、特にマニュキュア剤の化粧品、接着剤、シーラントの塗装系を提供する(請求項33)。
【0027】
当然のことながら、下記する文中において、本願発明の個々の様相にのみ関連するそれらの見解が、本願発明の別の様相に、この事実が明確な陳述を要求すること無しに、等しく且つ対応して応用される。
【0028】
したがって、本願発明の第1の様相によれば、本願発明は、コアシェル構造を有する無機−有機複合粒子を提供し、その複合粒子が、少なくとも1つのワックスを具備する有機ベースコアと、該コアの周りに配される無機ベースのシェルとを有するものである。
【0029】
本願発明の第1の特徴は、内部ワックスコアと外部無機シェルを有するコアシェル構造を有する無機−有機ハイブリッド粒子又は複合粒子が提供されることである。この種の複合粒子は、今まで提供されたことがなかった。これらの粒子は、ワックスの明白な特性と、無機シェル材料の明白な特性とを、1つの構造において、又は1つの粒子において、フィラー粒子として、上述した種類の塗装材料及び塗装系へのそれらの結合で、一体化し、その結果として、力学的特性において、摩耗抵抗の向上、特に引っ掻き抵抗及び/若しくは摩耗抵抗の構造を生じる。
【0030】
従来の純粋なミネラル又は無機フィラー粒子と比較して、量において、要求される本願発明の複合粒子の量は、重量ベースで、同じ性能特性を達成するために、かなり低いものであり、その結果として、低い固有重量を生じる。さらに、本願発明の複合粒子は、上述した系に均一にしっかりと結合される。上述した系への結合、特にペンキ、インキ等の塗装材料及び塗装系への結合は、比較的低い屈折率の結果として、問題となっている系の比較的低い混濁を生じる。
【0031】
本願発明の複合粒子に関して、これらの複合粒子は、一般的に1〜1000nm、特に5〜800nm、好ましくは10〜700nm、より好ましくは20〜600nm、最も好ましくは50〜500nmの粒子サイズを有する。その粒子サイズは、例えば透過型電子顕微鏡、分析超遠心又は動的光散乱によって測定される。
【0032】
本願発明の複合粒子のワックス含有コアは、1〜400nm、特に5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲内の大きさを有することができる。
【0033】
当然のことながら、本願発明に関して、本願発明の範囲を離れることなしに、それぞれの場合又は特別な応用が、そこから派生することが必要である。
【0034】
シェルを形成する無機材料の割合に関して、この割合は、広い範囲で変化可能であり、一般的に言って、複合粒子に基づくシェルを形成する無機材料の割合は、0.5重量%〜80重量%、特に5重量%〜75重量%、好ましくは10重量%〜70重量%である。一方で、複合粒子に基づいてコアを形成する有機材料、時にワックスの割合は、一般的に99.5重量%〜20重量%、時に95重量%〜25重量%、好ましくは90重量%〜30重量%である。
【0035】
発明の複合粒子のシェルに関して、このシェルは、少なくとも付加的なドープ無機酸化物(例えば、TiO2、ZnO、Al2O3、SiO2、CeO2、Fe2O3、Fe3O4等)、水酸化物(例えば、Al[OH]3等)、水酸化酸化物(AlOOH等)、バナジウム酸化物(例えば、BiVO4又はYVO4:Bi3+、Eu3+)、タングステン酸塩(例えば、CaWO4)、アパタイト、チタネート、フッ化物(例えば、YbF3又はCaF2:Eu2+)、ゼオライト、硫酸塩(例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等のアルカリ性土類金属硫酸塩)、リン酸塩(例えば、リン酸カルシウム又はリン酸ランタン等のアルカリ土類金属リン酸塩)、硫化物(例えば、硫化カドミウム、硫化亜鉛等)、炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩)、珪酸塩(例えば、珪酸カルシウム等のアルカリ土類金属珪酸塩)、及び/若しくは、金属(例えば、銀)、又は他の混合物、又はそのような化合物の他の組合せから形成されるものであり、又は当該化合物を具備するものである。無機酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、硫酸塩、バナジウム酸塩、フッ化物、タングステン酸塩、リン酸塩、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、及び/若しくは金属の群から選択された上述したシェル材料は、それぞれの媒体において低い溶解度構造を有する。
【0036】
特に、前記シェルは、少なくとも1つの金属又は半金属の少なくとも1つの酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、又は他の金属若しくは又はそのような化合物の他の混合物若しくは組合せから形成され、又はそのような化合物を具備するものである。
【0037】
本願発明の複合粒子のシェルは、アルミニウム、珪素、亜鉛、チタン、セリウム及び/若しくは鉄の少なくとも1つの酸化物、水酸化物及び/若しくは水酸化酸化物、アルカリ土類金属硫酸塩又はリン酸ランタン、硫化カドミウム、硫化亜鉛、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属珪酸塩又は銀、他の混合物又はそれら化合物の組合せから形成され、又はそのような化合物を具備するものである。
【0038】
本願発明の複合粒子のシェルを形成するために特に好ましい例は、下記する混合物によって与えられる:TiO2、ZnO、Al2O3、SiO2、CeO2、Fe2o3、Fe3O4,、Al(OH)3、Al(O)OH、アルカリ土類金属硫酸塩(例えば、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等)、アルカリ土類金属リン酸塩(例えば、リン酸カルシウム)、リン酸ランタン、硫化カドミウム、硫化亜鉛、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等)、珪酸塩(例えば、珪酸カルシウム等)及び/若しくは銀、又はそのような化合物の混合物又は組合せ。
【0039】
前記シェルは、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化セリウム、酸化亜鉛及び/若しくは二酸化チタン、好ましくは二酸化珪素、酸化亜鉛及び/若しくは二酸化チタン、特に好ましくは二酸化珪素から形成され、又はそれらの化合物を具備することが望ましい。
【0040】
さらに、前記シェルは、(例えば、高い分散二酸化珪素又は多珪酸の形の)二酸化珪素から形成されることが望ましい。
【0041】
さらに、前記シェルは、特に沈着物として(例えば、調合に関して沈着生成物として)均一に、又は、実質的に均一層厚でコアに付加されることが望ましい。
【0042】
本願発明の複合粒子のコアに関して、このコアは、少なくとも1つのワックスから形成され、又はそのようなワックスを具備するものである。この場合、ワックスは、特に(i)天然ワックス、特に植物性、動物性及びミネラル性ワックス、(ii)化学的変性ワックス、(iii)合成ワックス及びそれらの混合物からなる群から選択されることが望ましい。
【0043】
ワックスの概念に関して、その言葉は、自然に又は人工的に又は合成的に取得され、一般的に以下の特性を有する一連の物質に関する現象論的意味であり、それは、ワックスは20℃で練り可能な状態であり、固体の状態から冷たく固い状態まで、粗い状態から微細な状態までの結晶質であり、半透明の状態から不透明の状態でるが、ガラス質ではなく、40℃以上で分解無しに溶解し、融点を少し超えると相対的に低い粘度を有するものであり、非糸引き性であり、強い温度依存性及び溶解度を示し、且つ穏やかな圧力かで磨き可能であることである。上述された特性の1つ以上が欠如するならば、この物質は、DGF(ドイツ脂肪化学協会)によれば、ワックスではない(注:DGF基準法M−I 1(75))。
【0044】
ワックスは、一般的におよそ50℃〜90℃の間、特に約200℃までの例外的な場合においてですら、おなじような合成又は天然製品(例えば。樹脂、プラスチック塊、金属石けん等)とはことなり、溶融液体の低い粘性状態までの変移が実行され、灰形成複合物から視覚的に存在しないものである。
【0045】
ワックスは、ペースト又はゲルを形成し、一般的に煤を出す炎で燃焼する。
【0046】
それらの由来によれば、前記ワックスは3つの群、いわゆる(i)植物性ワックスを含む天然ワックス(例えば、キャンデリラワックス、カールナルバワックス、ジャパンワックス、エスパルトグラスワックス、コルクワックス、グアルマワックス、胚芽米オイルワックス、サトウキビワックス、オーリクリーワックス、モンタンワックス等)、動物ワックス(例えば、蜜蝋、セラックワックス、鯨蝋、ラノリンワックス又はウールワックス、ユーロピジアルグリース等)、及びミネラルワックス(例えば、セレシン、オゾケライト、地蝋等)、(ii)硬蝋を含む化学的変性ワックス(例えば、モンタンエステルワックス、サソルワックス、水素化ホホバワックス等)、及び(iii)ポリアルキレンワックスを含む合成ワックス、ポリアルキレングリコールワックス(例えば、ポリエチレングリコールワックス)等、に分割される。
【0047】
天然の最近の(「再生可能な」)ワックスの主な成分は、長鎖脂肪アルコール、トリテルペンアルコール又はステロイドアルコールを有する長鎖脂肪酸のエステル(ワックス酸)であり、これらのワックスエステルは、また遊離型カルボキシル基及び/若しくは水酸基を含み、乳化力を有するワックス石けんと呼ばれるものを生じる。例えば褐炭又は石油から製造されるような天然化石ワックスは、主に、−フィッシャー−トロプシュ化合物又はポリアルキレンワックス(例えば、ポリエチレンワックス)から製造されたワックスのように−長鎖炭化水素を具備する。しかしながら、前者は、出所により、分岐又は脂環式炭化水素も具備することが可能である。これらの「炭化水素」ワックスは、たまにそれに続く酸化等によって、ポリオレフィンワックスの場合、カルボキシル基を有するコモノマーによって官能化される。
【0048】
ワックス概念に関するさらなる詳細について、ロンプケミエレクシコン、第10編、第6巻、1999年、ゲオルグ論文出版、シュタットガルト/ニューヨーク、4906ページ、表題「ワックス」及びそこに上げられた引用文献を参照することができ、特に、Cosm. Toil. 101, 49 (1986)、及びDGF標準化法、分冊M−ワックス及びワックス製品、第7巻、サプリメント 05/1999、シュタットガルト:科学出版社を参照することができるものであり、本明細書におけるそれらの全体像において参照することが可能である。
【0049】
本願発明によれば、ワックスが、前記シェル、特に物理的及び/若しくは化学的接着を形成する無機材料と相互作用することができる官能基を具備することが好ましい。
【0050】
前記官能基は、極性基、特に、O、N及び/若しくはSの群から選択されるヘテロ原子を含む基、好ましくは水酸基、ポリエーテル基、特にアルキレンオキシド基且つ/又はカルボキシル基、より好ましくはポリエーテル基及び/若しくは水酸基であることが望ましい。複合粒子のコアを形成するワックスの官能基は、無機シェル材料に関してワックス材料の親和性をもたらすか、上昇させ、これによって、均質であり又は一体化されたシェル材料でワックスコアのコーティングを可能にする。
【0051】
本願発明の複合粒子の有機ベースコアに関して、このコアは、(例えば、いわゆる単一の均質粒子から構成することのできる)均一又は単一コア構造であり、又は、いわゆる複数コア化合物を有する2つ以上の粒子から構成されるものであっても良い。
【0052】
本願発明の特別な例によれば、本願発明の無機−有機複合粒子の無機ベースシェルが、ポリシロキサン基によって生じる表面改質を有する表面改質構造であり、言い換えると、本願発明の複合粒子のシェル表面に、ポリシロキサン基が、物理的及び/若しくは化学的接着によって、特に化学的共有結合接着によって、付与されることが望ましい。
【0053】
ポリシロキサン基による対応する表面の改質は、それらがフィラーとして塗装材料及び塗装系に結合される時に、本願発明の複合粒子の性能特性において向上又は改善の効果を有する。特に好ましくはポリシロキサン基での表面改質は、結果として、本願発明の複合粒子を得る分散の沈着傾向及びゲル形成傾向を減少させる。さらに、乾燥され、且つ/又は硬化した塗装系の脆化が、効果的に弱められる。
【0054】
表面改質のさらなる利点は、フィラーとして分散系への本願発明の複合粒子の結合において、バイダーとの相互作用は、より良く影響を与え、且つこの方法において、透明度及び屈折率が、非表面改質粒子と比べてより改善されており、特に、屈折率において差を減少させた結果として、光散乱を十分に少なくする。
【0055】
特にポリシロキサン基による表面改質は、原則的に従来技術から当業者には公知である。これについて、出願人自身によって出願され、その全体的開示内容が包含される特許出願DE 10 2005 006 870 A1又はEP 1 690 902 A2及びDE 10 2007 030 285 A1又はPCT/EP2007/006273を参照することができる。すべての上述した公開公報は、化学的、特に供給結合の形成を介して、ポリシロキサンによる金属若しくは半金属酸化又は水酸化表面の表面改質に関するものである。
【0056】
さらに、本発明の第2の様相によれば、本が発明は、上述したようなコアシェル構造を有する本願発明の無機−有機複合粒子を調製する方法を提供するものであり、この方法において、少なくとも1つのワックスからなる又は具備する有機ベースの粒子は、無機ベースのシェルでコートされ、そして有機ベースワックス粒子は、無機ベースシェルによって囲まれる。
【0057】
上述したように、ワックスを具備する又はワックスからなる開始粒子は、1〜400nmの範囲内、特に5〜300nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内の粒子サイズで用いられ、その結果、シェルの無機ベース材料でコートされた後で、本願発明による複合粒子は、1〜1000nmの範囲内、特に5〜800nmの範囲内、好ましくは10〜700nmの範囲内、より好ましくは20〜600nmの範囲内、最も好ましくは50〜500nmの範囲内の粒子サイズを有するものである。
【0058】
結果として生じる複合粒子に基づいたシェル形成無機材料が、0.5重量%〜80重量%、5重量%〜75重量%、好ましくは10重量%〜70重量%の料で使用されるものであり、且つ/又は、コア形成有機材料、特にワックスが、99.5重量%〜20重量%、特に95重量%〜25重量%、好ましくは90重量%〜30重量%の料で、結果として生じる複合粒子に基づいて使用されるものである。
【0059】
無機シェル材料に関して、不必要な重複を避けるために、本願発明の複合粒子に関する上述した記載を参考にするべきであり、本願発明の方法に関して等しく適用されるべきである。
【0060】
使用されるワックスに関しても、不必要な重複を避けるために、本願発明の複合粒子に関する上述した記載を参考するべきであり、本願発明の調製方法に関して対応して適用するべきである。
【0061】
本願発明の調製方法に関して、シェルは、少なくとも実質的に均一にコアに適用され、且つ/又は、少なくとも実質的に均一な層厚を有し、且つこれによって、沈着反応で実現されることができる。これについては、下記に詳細において明確にされる。
【0062】
本願発明の調製方法に関して、その手順は下記するものである。最初に、ワックス粒子の分散が実施され、それに続いて、前記ワックス粒子が、無機ベースのシェル材料でコートされる。この無機ベースシェル材料は、特に沈着反応によってワックス粒子上に付着する。
【0063】
これについて、無機ベースのシェル材料の対応する前駆体が使用され、それに続いて、そのままの反応状態下(例えば、加水分解下)で、無機シェル材料を形成してワックス含有コアに付着し、特にワックス含有コアに沈着する。
【0064】
そのため、本願発明によれば、無機ベースシェル材料が、そのままの状態で、特に沈着反応の一環として形成されることが特に望ましい。例えば、無機ベースシェル材料は、少なくとも1つの珪酸エステルから、特に沈着反応の一環として、そのままの状態で形成可能である。本願発明によって意図される珪酸エステルは、例えば、単量体、オリゴマー又は重合体の有機珪酸エステル、特にC〜C10アルコール、好ましくは少なくとも2つの官能基を有するアルコキシシランを含有し、それに続いてそのままの状態で加水分解され、且つ/又は、ワックス粒子の極性基と反応し、且つこの方法において、ポリシリカ又は二酸化シリコンとして、ワックス粒子状に沈着し、シェルが前記ワックス粒子の周りに設けられるものである。それから、特にポリシロキサン基によって、上述した方法において表面改質が行われる。同様に、この方法において得られた粒子又は複合粒子の移動又は分離が行われる。
【0065】
上述された理由について、本願発明によれば、本願発明による複合粒子の無機ベースシェルは、ポリシロキサン基の適用によって表面改質が実行される。これに関する詳細は、上述した引例を参考するべきである。
【0066】
本願発明に関して、本願発明の複合粒子を製造するために、無機シェルでコートされたコア材料としての微細化されたワックスを使用することが可能である。二酸化珪素は、好ましいシェル又は外皮材料であるが、本願発明は、二酸化珪素に限定されるものではない。上述したように、本願発明の複合粒子の表面は、上述したように、ポリシロキサンによって、表面改質され、官能化される。
【0067】
本願発明の第3の様相によれば、本願発明は、フィラーとして本願発明の複合粒子を使用することを提供するものである。本願発明の複合粒子は、塗装材料及び塗装系、特にペンキ、インキ等、すべての種類の分散、発泡体、特にマニュキュア液である化粧品、接着剤、シーラントに、フィラーとして、又は含有物として、又は付加物の立場として使用されることが可能である。
【0068】
本願発明の複合粒子は、上述した系において、力学的特性の改善、特に耐摩耗性、好ましくは引っ掻き抵抗及び/若しくは摩耗抵抗の向上に貢献するために使用されることが可能である。
【0069】
さらに、本願発明の第4の様相によれば、本願発明は、キャリア媒体又は分散媒体に本願発明の複合粒子を具備する分散を提供するものである。
【0070】
さらにまた、本願発明の第5の様相によれば、本願発明は、本願発明の複合粒子を具備するペンキ、インキ等の塗装材料及び塗装系、プラスチック、発泡体、マニュキュア液等の化粧品、ニス、接着剤及びシーラントを提供するものである。
【0071】
本願発明の複合粒子について、最初に、ワックスベースのコア及び無機シェル材料を具備するコアシェル構造を有する有機−無機ベースのハイブリッド粒子又は複合粒子が提供され、上述した系に結合された時に、結果として、十分な性能向上、特に力学的特性、特に耐摩耗性、好ましくは引っ掻き抵抗及び摩耗抵抗における十分な改善が生じる。
【0072】
量において、ミネラル材料からなる従来のミネラルフィラー粒子と比較すると、本願発明の複合粒子は、十分に低い密度又は固有重量を有している。この結果は、比較されうる特性及び/若しくは効果を得るために、純粋なミネラルフィラー粒子と比較して、該当する系の力学的特性がフィラー粒子の容量比率によって決定されるので、本願発明の複合粒子の十分に低い重量特性が使用される必要がある。著しいコスト削減と同様に、これは、結果として、フィラー含有量の減少の結果として処理において改良されるより高く実行される分散を生じる。
【0073】
さらに、従来技術の純粋無機フィラー粒子は、純粋バインダーに比べて高い屈折率を有するという不具合があり、当該バインダーへのそれらの結合は、結果として混濁又は光沢の減少を生じる。この減少は、本願発明の複合粒子では観察されない。言い換えると、当該バイダー系への本願発明の複合粒子の結合は、従来のミネラルフィラー粒子と比較して、上述された理由のために、本願発明の複合粒子の十分に小さい量が要求されることから、全く懸濁を生じない。
【0074】
さらに、本願発明のフィラー粒子は、大幅な分離又は表面への蓄積無しに、特に長期間の安定性及び相安定性を有して、当該系へ安定して結合される。その結果として、性能の向上が全体としてその系にわたって均一に達成される。
【0075】
本願発見栄の複合粒子及び本願発明の分散に関する応用可能性は、極めて広い。本願発明の複合粒子の極めて高い効果と本願発明の分散の極めて高い効果の結合において応用の広い可能性は、従来技術の粒子及び分散をはるかに上回っている。
【0076】
本願発明の複合粒子及び分散は、例えば、更に加工される既存系、ペンキ、接着剤、プラスチック等への付加によって使用されることが可能である。本願発明の複合粒子又は本願発明の分散の少量の付加を介して、非常に優れた力学的抵抗が得られる。驚くべきことに、当該系、特にペンキ、プラスチック等の他の加工特性は、影響されないか、ほとんど影響されないので、これらの応用の場合、他のパラメータの新しい最適化は必要ない。
【0077】
それにより、本願発明の複合粒子及びその分散は、プラスチック、接着剤、シーラント等のすべての種類の塗装材料の使用に極めて適している。
【0078】
本願発明のさらなる具体例、改良例及び変形例は、本願発明の範囲から離れること無しに、明細書を読むことによって、当業者にとって容易に識別可能であり実現可能である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本願発明は、下記される実施例を使用して説明されるが、それはいかなる方法においても本願発明を厳粛するものではない。
【実施例1】
【0080】
ワックスコアと二酸化珪素シェルを具備するコアシェル構造を有する無機−有機複合粒子の調製
【0081】
選択された開始材料は、ポリエステル基及び側鎖としてビニルトリエトキシシラン(VTEO)(加水分解)を有するポリメチルアルキルシリコンに基づくワックスの分散であった(シリコンワックス+アリル−EO+C18オレフィン+VTEOの付加物)。その水性エマルジョンは、ワックスエマルジョン/メトキシプロパノール比率が4:1で、メトキシプロパノールで希釈され、固体に対する水の比率が22%となるように調整された。
【0082】
この混合物の100gが、40℃に加熱され、8時間以上攪拌して94.0gのTEOS(テトラエトキシシラン)と混合された。それに続く反応について、反応混合物は、2時間以上40℃で攪拌された。
【0083】
この反応段階後の粒子含有量は、30.7重量%であった。これは、ワックスコア及び二酸化珪素シェルを具備するコアシェル構造を有する無機−有機複合粒子の分散を与えた。
【実施例2】
【0084】
ポリシロキサンによる表面の改質
【0085】
実施例1から得られた粒子の官能基化及びそれらの有機溶剤への移行は、下記する方法によって実行される。
【0086】
実施例1から得られた粒子分散60gが、70gのメトキシプロパノールで希釈され、さらにpH>8まで1gのアンモニア溶液(25%濃度)で調整された。その混合物は、70℃まで加熱され、10mmolのプロピルトリメトキシシランが付加され、且つ2時間攪拌された。それから、80gのメトキシプロピルアセテートが付加され、減圧下(75℃)で溶媒混合液63gが除去された。そして、トリメトキシシリルアンカー基を有する1.22gのシリコン化合物(Mn=1000g/mol)を付加して2時間攪拌することによって、実施例1において調製された粒子の表面が、官能基化された。分散の安定性及び異なるバイダーにおける互換性を向上させるために、分散補助を付加することが可能である。分散の粒子含有量は、17重量%まで蒸留によって調整される。
【実施例3】
【0087】
適用試験
【0088】
実施例2において製造された生成物は、UV硬化クリアコート材料に付加され、引っ掻き抵抗に関するテストが実施された。この目的のために、1重量%の粒子含有量が、クリアコート材料にセットされ、標準条件下で硬化され、引っ掻き抵抗がクロックメータテストの実施によって測定された。同じ手法が、従来の純粋二酸化珪素粒子で実行された。
【0089】
クロックメータテストは、下記のように実行された。プレートが、対応するフィラー含有塗装材料でコートされ、コートされたプレートが、クロックメータ装置(モデルCM-5、ATLAS)によって引っ掻き抵抗のテストが実行された。この目的のために、コートされたプレートは、3M株式会社製の磨き布(3M磨き布)に対して再生可能に晒された(9μmの粉末度)(9ニュートンの力を加えて10往復の摩擦)。引っ掻き抵抗は、テストプレート上の晒されていない場所の光沢度と比べて晒された場所の光沢度を測定することによって評価される。光沢度は、20度の観測角度で、BYK-GARDNER製のマイクロ−TRI−光沢度測定装置を使用して測定された。その結果は、下記する表に再現される。
【0090】
【表1】

【0091】
上記結果は、十分な改善が、本願発明の粒子の結合によって、引っ掻き抵抗において達成され、この硬化を達成するために要求される量は、従来技術における純粋二酸化珪素粒子と比較して実質的に少ない。その上、上記特定された量における本願発明の粒子の結合は、塗装系の懸濁を生じないので、従来の粒子の場合、引っ掻きテスト以前の原塗装系における異なる懸濁がその結果となる。
【0092】
上記テストは、本願発明の系及び粒子の改良された性能の可能性を印象的に証明している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシェル構造を有する無機−有機複合粒子であって、該複合粒子が、少なくとも1つのワックスを具備する有機ベースコアと、該コアの周りに設けられる無機ベースシェルとを具備することを特徴とする複合粒子。
【請求項2】
前記複合粒子が、1〜1000nmの範囲内、特に5〜800nmの範囲内、好ましくは10〜700nmの範囲内、より好ましくは20〜600nmの範囲内、最も好ましくは50〜500nmの範囲内の粒子サイズを有することを特徴とする請求項1記載の複合粒子。
【請求項3】
ワックスを具備するコアは、1〜400nmの範囲内、特に5〜300nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内の大きさを有することを特徴とする請求項1又は2記載の複合粒子。
【請求項4】
前記複合粒子に基づいたシェル形成無機材料の割合が、0.5重量%〜80重量%、特に5重量%〜75重量%、好ましくは10重量%〜70重量%であること、且つ/又は、
前記複合粒子に基づいてコア形成有機材料、特にワックスの割合は、99.5重量%〜20重量%、特に95重量%〜25重量%、好ましくは90重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の複合粒子。
【請求項5】
前記シェルは、少なくとも1つのドープ無機酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、及び/若しくは、金属、その化合物の混合物又は組合せから形成されること、又は、それらの化合物を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の複合粒子。
【請求項6】
前記シェルは、少なくとも1つのドープ酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、炭酸塩、珪酸塩から形成されること、及び/若しくは、少なくとも1つの金属又は半金属、その化合物の混合物又は組合せから形成されること、又は、それらの化合物を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の複合粒子。
【請求項7】
前記シェルは、少なくとも1つのドープ酸化物、水酸化物及び/若しくはアルミニウムの水酸化酸化物、シリコン、亜鉛、チタン、セリウム及び/若しくは鉄、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩若しくはリン酸ランタン、硫化カドミウム、硫化亜鉛、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属珪酸塩若しくは銀、又は、そのような化合物の混合物又は組合せから形成されること、又はその化合物を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の複合粒子。
【請求項8】
前記シェルは、アルミニウム酸化物、二酸化珪素、酸化セリウム、酸化亜鉛及び/若しくは二酸化チタンから形成されること、好ましくは二酸化珪素、酸化亜鉛及び/若しくは二酸化チタンから形成されること、より好ましくは二酸化珪素から形成されること、又はそれらの化合物を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の複合粒子。
【請求項9】
前記シェルは、二酸化シリコンから形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の複合粒子。
【請求項10】
前記シェルは、前記コアに、沈着物として、少なくとも実質的に均一に及び/若しくは少なくとも実質的に均一な層厚を有するように適用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の複合粒子。
【請求項11】
前記コアは、少なくとも1つのワックスからなること、又は、該ワックスを具備すること、該ワックスが、(i)特に植物性、動物性及び鉱物性ワックスである天然ワックス、(ii)化学的改質ワックス、(iii)合成ワックス、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の複合粒子。
【請求項12】
前記ワックスは、前記シェルの無機材料と相互作用することのでき、特に、物理的及び/若しくは化学的結合を形成することができる官能基を具備することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の複合粒子。
【請求項13】
前記官能基は、極性基であり、特にO、N及び/若しくはSの群から選択されるヘテロ原子、好ましくはOを具備する基、好ましくは水酸基、ポリエーテル基、特にポリアルキレンオキシド基、且つ/又は、カルボキシル基であり、特に好ましくはポリエステル基及び/若しくは水酸基であることを特徴とする請求項12記載の複合粒子。
【請求項14】
前記無機−有機ベースシェルは、特にポリシロキサン基によって表面改質されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の複合粒子。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1つに記載されたコアシェル構造を有する無機−有機複合粒子を調製する方法であって、少なくとも1つのワックスから成る又は少なくとも1つのワックスを具備する有機ベースの粒子が、無機ベースシェルでコートされ、有機ベースワックス粒子が、無機ベースシェルによって囲まれることを特徴とする方法。
【請求項16】
ワックスを具備するかワックスからなり、1〜400nmの範囲内、特に5〜300nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内の粒子サイズを有する開始粒子が使用されること、且つ/又は、シェルの無機ベース材料でコートされた後、複合粒子が、結果として、1から1000nmの範囲内、特に5〜800nmの範囲内、好ましくは10〜700nmの範囲内、より好ましくは20〜600nmの範囲内、最も好ましくは50〜500nmの範囲内の粒子サイズを有することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
シェル形成無機材料は、結果として生じる複合粒子に基づいて、0.5〜80重量%、特に5〜75重量%、好ましくは10〜70重量%の量で使用されること、且つ/又は、前記コア形成有機材料は、結果として生じる複合粒子に基づいて、99.5〜20重量%、特に95〜25重量%、好ましくは90〜30重量%の量で使用されることを特徴とする請求項15又は16記載の方法。
【請求項18】
使用されるシェル形成材料は、少なくとも1つのドープ無機酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、炭酸塩、珪酸塩、及び/若しくは金属、又はそのような化合物の他の混合物又は組合せであり、特に少なくとも1つの酸化物、水酸化物、水酸化酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硫化物、炭酸塩、珪酸塩及び/若しくは少なくとも1つの金属若しくは半金属、又は少なくとも1つのその他の金属若しくはそのような化合物の他の混合物若しくは組合せ、好ましくは、少なくとも1つのドープ酸化物、水酸化物及び/若しくはアルミニウム、シリコン、亜鉛、チタン、セリウム及び/若しくは鉄の水酸化酸化物、アルカリ土類金属硫酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩若しくはリン酸ランタン、硫化カドミウム若しくは硫化亜鉛、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属珪酸塩、又は銀、又はそのような化合物のその他の混合物又は組合せ、より好ましくは、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化セリウム、酸化亜鉛及び/若しくは二酸化チタン、更に好ましくは二酸化珪素、酸化セリウム、酸化亜鉛及び/若しくは二酸化チタン、特に好ましくは二酸化珪素であることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
前記シェルは、少なくとも実質的に均一に及び/若しくは少なくとも実質的に均一の層厚を有して、前記コアに沈着によって適用されることを特徴とする請求項15〜18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
使用されるコアを形成するワックスは、(i)特に植物性、動物性、鉱物性の天然ワックス、(ii)化学的変質ワックス、(iii)合成ワックス、及びそれらの混合物からなる群から選択されるワックスであることを特徴とする請求項15〜19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
使用されるコアを形成するワックスは、前記シェルの無機材料と相互作用することができ、特にそこで物理学的及び/若しくは化学的結合を形成することのできる官能基を具備するワックスであることを特徴とする請求項15〜20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
使用されるコアを形成するワックスは、極性基、特にO、N及び/若しくはSの群から選択されるヘテロ原子、特にOを含む基を具備するワックスであることを特徴とする請求項15〜21のいずれか1つに記載の方法。
【請求項23】
使用されるコアを形成するワックスは、水酸基、ポリエーテル基、特にポリアルキレンオキシド基及び/若しくはカルボキシル基、特に好ましくはポリエーテル基及び/若しくは水酸基を具備するワックスであり、好ましくはポリエーテル基官能化ワックス及び/若しくは水酸基官能化ワックスであることを特徴とする請求項15〜22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
最初にワックス粒子の分散が実行され、それに続いて該ワックス粒子が無機ベースシェル材料でコートされ、特に無機ベース材料が、共有結合的付着でなはなく、沈着反応によって沈着されることを特徴とする請求項15〜23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
無機ベースシェル材料は、沈着反応の一環としてそのまま形成されることを特徴とする請求項15〜24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
前記無機ベースシェル材料は、少なくとも1つの珪酸エステルから、沈着反応の一環としてそのまま形成されることを特徴とする請求項24又は25記載の方法。
【請求項27】
珪酸エステル、特にC1〜C10アルコールからなる単量体、オリゴマー又は重合体の有機珪酸エステル、好ましくは少なくとも2つの官能基を有するアルコキシシランが、そのままで加水分解され、及び/若しくはワックス粒子の極性基と反応し、これによって共有結合的付着ではなくポリシリカ及び/若しくは二酸化珪素の形でワックス粒子上に、コアを囲むシェルとして沈着され、付加的にポリシロキサン基によって表面改質が実行され、且つ/又は、これによって得られた複合粒子の分離が実行されることを特徴とする請求項24〜26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
前記無機ベースシェルは、特にポリシロキサン基の付与によって表面改質されることを特徴とする15〜27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜14のいずれか1つに記載の複合粒子のフィラーとしての使用。
【請求項30】
請求項1〜14のいずれか1つに記載の複合粒子を、塗装材料及び、特にペンキ、インキ、すべての種類の分散、プラスチック、発泡体、化粧品、特にマニュキュア液、接着剤及びシーラントの塗装系に、フィラーとして使用すること。
【請求項31】
力学的特性の改善、特に耐摩耗性の向上、特に引っ掻き抵抗及び/若しくは摩耗抵抗の向上のための請求項29及び請求項30の使用。
【請求項32】
キャリア媒体若しくは分散媒体に請求項1〜14のいずれか1つに記載の複合粒子を具備する分散。
【請求項33】
請求項1〜14のいずれか1つに記載の複合粒子を具備する塗装材料及び、特にペンキ、インキ、プラスチック、発泡体、マニキュア液等の化粧品、接着剤、シーラントの塗装系。


【公表番号】特表2011−518900(P2011−518900A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505387(P2011−505387)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002215
【国際公開番号】WO2009/129907
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(596089399)ビック−ケミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【Fターム(参考)】