説明

コアスパンヤーン及びストレッチ織物

【課題】優れたコアスパンヤーン及びストレッチ織物の提供。
【解決手段】
二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアヤーン。ポリエステルフィラメントのデニールは約20から約150、エラストマー繊維のデニールは20から140である。ポリエステルフィラメントはヤーン全重量に対し約2重量%から約60重量%、エラストマー繊維はヤーン全重量に対し約1重量%から約40重量%である。エラストマー繊維は二成分ポリエステルフィラメントより高いドラフトを有し得る。ポリエステルフィラメントはポリ(トリメチレンテレフタレート)並びにポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(テトラメチレンテレフタレート)からなる群から選択される少なくとも一種のポリマーを含み、エラストマー繊維はスパンデックスである。ヤーンは、少なくとも一種の短繊維の被覆を含み得る。本発明はまた、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維の織物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアスパンヤーン並びにそれから製造される織物に関する。さらに詳しくは、本発明はポリ(トリメチレンテレフタレート)及びポリ(エチレンテレフタレート)並びにスパンデックスを含むエラストマー繊維を含むコアスパンヤーン、又は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)及びポリ(テトラメチレンテレフタレート)並びにスパンデックスを含むエラストマー繊維を含むコアスパンヤーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコアスパンスパンデックスヤーンを用いて製造されるストレッチ織物は一般的に、伸縮性が強すぎる。本明細書において使用されるとおり、コアスパンヤーンとは、多数の成分ヤーンからなり、そのうちの一本以上が複合糸の中心軸に永久的に固定されて、残りのヤーンは被覆ヤーンとして働いているヤーンを意味する。したがって、弾性繊維の収縮及びその結果生じる織物の圧縮を避けるため、ヒートセットが必要である。ヒートセットなしでは、仕上げ作業又は家庭での洗濯後に高度の収縮及び粗末な外観が生じる。しかしながら、必要となるヒートセット工程には、時間及び費用を要し、また、伸び率(elongation)及び伸び(growth)への影響、及び織物幅の安定等の多くの副次的な影響をもたらす。
【0003】
二成分ポリエステルフィラメントは特許文献1に開示され、二成分ポリエステルフィラメントを含むストレッチ織物は、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に開示されている。これらの特許各々の開示は引用により本明細書中に組み込まれる。しかしながら、これらの特許文献中に開示された織物は、裸の二成分ポリエステルを用いており、合成物的な感触及び外観が強い。この望ましくない合成物的な特性は、織物を二つの別々の染色工程に付して染色することによってのみ克服することができる。これは面倒な方法であり、織物の弾性を損ない得る。また、これはデニム織物に限定されている。
【0004】
中心に二成分ポリエステルフィラメントを有するコアスパンヤーン及びそれから製造される織物は、特許文献5に開示されている。この特許出願公報の開示は全体として、引用により本願明細書に組み込まれる。当該特許出願公報において開示されたヤーンを用いて製造された織物は、外観、手触り、において改善され、また、二成分ポリエステルフィラメントは短繊維により被覆されているものの、依然として「グリニング効果」を有している。本技術分野において、グリニングは、織物の傷であって、外部繊維を通じて内部繊維が見えるものを意味する。例えば、短繊維により被覆されている二成分ポリエステルフィラメントが、短繊維の被覆を通して見えてしまう場合がある。さらに、織物の伸び率に限界があり、より高い伸縮性を得るための伸びの調整は織物構造によって行うしかなく、これにより「柔らかすぎる」織物になる。
【特許文献1】米国特許第3671379号明細書
【特許文献2】米国特許第5922433号明細書
【特許文献3】米国特許第7143790号明細書
【特許文献4】米国特許第6782923号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0179810号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一の側面によると、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアスパンヤーンが提供される。ポリエステルフィラメントは、約20から約150デニールであり、エラストマー繊維は約20から140デニールである。
【0006】
本発明の他の側面によると、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアスパンヤーンが提供される。ポリエステルフィラメントは、約20から約150デニールであり、エラストマー繊維は約20から140デニールである。ポリエステルフィラメントは、ヤーン全体の重量に対して約2重量パーセントから約60重量パーセントであり、エラストマー繊維は、ヤーン全体の重量に対して約1重量パーセントから約40重量パーセントである。
【0007】
本発明のさらに他の側面によると、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアスパンヤーンが提供される。エラストマー繊維は二成分ポリエステルフィラメントよりも高いドラフトを有する。
【0008】
本発明のさらに他の側面によると、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアスパンヤーンが提供される。ポリエステルフィラメントは、ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(トリメチレンテレフタレート)を含み、当該エラストマー繊維はスパンデックスである。
【0009】
本発明のさらに他の側面によると、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアスパンヤーンが提供される。ポリエステルフィラメントはポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(トリメチレンテレフタレート)を含み、エラストマー繊維はスパンデックスである。ヤーンは少なくとも一種の短繊維の被覆を含む。
【0010】
本発明のさらに他の側面によると、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアスパンヤーンが提供される。ポリエステルフィラメントはポリ(トリメチレンテレフタレート)及びポリ(テトラメチレンテレフタレート)を含み、エラストマー繊維はスパンデックスである。ヤーンは少なくとも一種の短繊維の被覆を含む。
【0011】
本発明のさらに他の側面によると、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアスパンヤーンを含むストレッチ織物が提供される。ポリエステルフィラメントは約20から約150デニールであり、エラストマー繊維は20から140デニールである。
【0012】
本開示は、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含みうる二成分フィラメントコアスパンヤーンに関する。二成分ポリエステルフィラメントは、ポリ(トリメチレンテレフタレート)並びに、ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(テトラメチレンテレフタレート)からなる群から選択される少なくとも一種のポリマーを含み得る。二成分ポリエステルフィラメントのデニールは、20から150の範囲にあるべきである。
【0013】
エラストマー繊維は好ましくは、20から140デニールの裸のスパンデックスである。
【0014】
本開示の他の側面によると、二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維には異なるドラフトを与える。「ドラフト」は、延伸による、繊維の繊維方向の密度の低下をいう。ドラフトを行う際、細くする程度はドラフトを実行するアウトプット及びインプットの機械部品の表面速度の比として計算される。二成分ポリエステルフィラメントは当初の長さの約1.01から約1.30倍にドラフトされ、裸のスパンデックスは当初の長さの約2.50から4.50倍にドラフトされる。
【0015】
本発明の他の側面によると、ヤーンは、二成分フィラメント及びエラストマーヤーンを有する複合ヤーンを形成する被覆を含む。被覆は硬いヤーンの短繊維(硬繊維)であってよい。「硬いヤーン(hard yarn)」とは、ポリエステル、綿、ナイロン、ビスコースレーヨン、又は羊毛などの比較的に非弾性のヤーンを意味する。被覆は、Ne4からNe60の範囲にある。本明細書において使用されるとおり、Neは、840ヤードあたり1ポンドとして、単位長さあたりの重量を表す間接的な体系である。綿、ビスコースレーヨン、ウール、ポリエステル及びそれらの混合を用いることができる。一般的に、使用し得る短繊維については、それにより得られる利益に影響がない限り、特に制限はない。
【0016】
ヤーンを製造する装置は図1及び2に示す。これらの図に示すとおり、一対のフィードローラー6上に設置された二成分フィラメント4の管2又は他の供給源が提供される。エラストマー繊維10の管又は他の供給源8は、一対のフィードローラー12上に設置される。二成分ポリエステルフィラメント4及びエラストマー繊維10(スパンデックス)は、ガイドローラー14によって混ぜ合わされ、制御され、そこから混合された二成分ポリエステルとスパンデックスがフロントローラー16に供給される。粗紡の管18又は硬繊維20がバックローラー一式22を通じ、フロントローラー16へと供給される。混合されたスパンデックス10及び二成分ポリエステルフィラメント4は硬繊維20と共に、フロントローラー16からスネルワイヤ24を通じ、通常の紡績装置26へと供給される。本技術において周知のとおり、紡績装置26はスピンドル28、回転リング30及びバルーン制御リング32を有しうる。混合された二成分ポリエステルフィラメントとスパンデックスと硬繊維は紡績工程の間に紡績装置において一体にコア紡績され、二成分ポリエステルフィラメントとスパンデックスは硬繊維で被覆され成分ヤーンを形成する。
【0017】
二成分ポリエステルフィラメントとスパンデックスの両者は図示の通り、反時計方向に巻きを解かれる。二成分ポリエステル4のドラフトはフィードローラー6及びフロントローラー16の表面供給比により制御される。スパンデックス10のドラフトはそのフィードローラー12及びフロントローラー16の表面速度により制御される。二成分フィラメントのフィードローラー6の速度及びスパンデックスのフィードローラー12の速度は別々に調節することができ、望ましいドラフト又は伸縮比が得られる。
【0018】
二成分ポリエステルのドラフト比は約1.01から1.3の間である。この比は裸の二成分ポリエステルの被覆の安定性に基づいて定められたものであり、織られた織物の伸縮性とは関係ない。スパンデックスのドラフト比は約2.5から約4.5である。この比は得られる織物について要求される伸縮性に従って定められる。
【0019】
二成分ポリエステルとスパンデックスは混合され、適切に配置されたガイドローラー14により制御され、適切な被覆が達成される。従来知られているコア二成分ポリエステルヤーン又は裸の二成分ポリエステルフィラメントから作られたストレッチ織物と比較して、同等又はそれより高い織物伸縮レベルを達成するため、例えばコアの150デニール二成分ポリエステルフィラメントの代わりに、単に75デニールの二成分ポリエステルフィラメント及び40デニールのスパンデックスを用いるだけでよい。一般的に二成分ポリエステルの割合は従来のコア二成分ポリエステルフィラメントヤーンよりも低いため、裸のポリエステルフィラメントの被覆を改善するために特別の技術を用いる必要がない。
【0020】
コアヤーン紡績工程の間に生じうる一般的なヤーンの欠陥は、二成分ポリエステルフィラメント又はスパンデックスが何らかの理由で破断し、ガイドローラーへと供給されないことである。このような欠陥は、コップ全体を終えた後糸又はヤーン破断の後に手によるチェックにおいて気付かれるのみである。早期の段階でこの問題の認識を提供する一の方法は、図3及び4に示すとおり、二成分フィラメント4及びスパンデックス繊維10のためのターニングローラー34及び36を提供することである。これらの図に示されている通り、二成分フィラメント4のためのターニングローラー34はフィードローラー6及びフロントローラー16の間に設置され、スパンデックス10のためのターニングローラー36は同様にフィードローラー12及びフロントローラー16の間に設置される。もし二成分ポリエステルフィラメント4又はスパンデックス10のいずれかが破断した場合、それぞれターニングローラー34又は36が回転を止め、作業者に破断が生じたこと及びその問題が解決するまで作業を停止するべきことの指摘を提供する。ターニングローラーを除き、図3及び4の装置の残部は、ガイドローラー14が省略されうることを除き、図1及び2の装置と同じである。
【0021】
コア紡績装置の他の態様を図5及び6に示す。これらの図において、二成分ポリエステルフィラメント及びスパンデックスは別の装置において一体に混合され、紡績装置中への供給のためにフィードローラー42上に設置された管40において提供される。この場合、混合された二成分フィラメント及びスパンデックスは単一のターニングローラー44を経てフロントローラー16へ供給される。粗紡糸又は硬繊維はバックローラー22からフロントローラー16へ供給され、そのポイントにおいて二組の繊維が紡績装置26へと送られる。二成分ポリエステルフィラメントとスパンデックスがフィードローラーへ付される前に巻かれる場合、そのような二成分ポリエステルフィラメント及びスパンデックスはそれら各々の望ましいドラフトで一体として巻かれる。しかしながら、この場合、フィードローラー42及びフロントローラー16の表面速度比により制御される1.01から1.1のドラフトが行われうる。
【0022】
コアスパン二成分ポリエステルフィラメント及びスパンデックスヤーンは、当該コアスパンヤーンを横糸方向に、縦糸方向に、ならびに縦糸及び横糸方向にそれぞれ用いることにより、横糸伸縮性、縦糸伸縮性、又は、二方向伸縮性に設計されたストレッチ織物を提供するために用いることができる。ストレッチ織物は、4oz./sq.yd.から16oz./sq.yd.の織物横糸を有し得る。本明細書に記載のヤーンは、平織り、Z−ツイル、S−ツイル、サテン、サティーン、並びにデニム、パンツ、及びシャツのような製品で用いられるいかなる他の一般的な構造を有するいかなる織物にも適している。織物構造は、従来知られているコアスパンデックスヤーン又は二成分ポリエステルフィラメントから作られるストレッチ織物と同様にデザインされる。しかしながら、伸縮性を得るためにオープン構造を有する必要はない。本明細書に記載のヤーンを用いたデニムのストレッチ織物の場合、織物にはヒートセットアップは不要であり、7%未満の収縮、20%以上の伸び率及び4%未満の伸びである良好な寸法安定性が維持される。
【0023】
本開示のヤーンを用いた、例えば横糸ストレッチの、後染ストレッチ織物は、7%未満の低い収縮、20%以上の良好な伸び率、4%未満の伸びを、織物表面に生じる「ホワイトスポット」数が許容範囲にあるままで達成しうる。また、本発明のヤーンを用いた二方向ストレッチ織物において、二段階染色工程の使用は不要である。なぜなら、グリンニングの問題なしに、縦糸方向及び横糸方向に15%を超える快適な伸縮性が達成できるからである。
【0024】
以下の例は本開示のヤーン及び種々の織物の製造におけるその使用の可能性を例証するものである。
【実施例1】
【0025】
例1−デニム横糸ストレッチ織物
本例は下記表1に記載の横糸ストレッチデニム織物を示す。織物No.1は、本開示に従ったものであり、コア二成分ポリエステル及びスパンデックススパンヤーンを横糸に用いており、他方、織物No.2及び織物No.3は以前から知られているそれぞれコア二成分ポリエステルフィラメント及び裸の二成分ポリエステルフィラメントを用いたストレッチ織物である。注目されるとおり、本発明の織物No.1は織物No.2及びNo.3に比べより良好な伸び率を有し、また100%綿の感触を有する。織物No.1は、ヒートセット工程なしで良好な寸法変化率(−6.2%)、良好な伸び率(20%)及び伸び(2.5%)を達成した。他の特性は表1にまとめてある。
【0026】
【表1】

【実施例2】
【0027】
例2−一工程染色横糸ストレッチ織物
本例は、単一工程の方法により染色された横糸ストレッチ織物を例証する。表2に示すとおり、織物No.4は本開示による、コア二成分ポリエステルフィラメント及びスパンデックスである横糸を用いた織物である。織物No.5は一般的なストレッチ織物であって、横糸はコア二成分ポリエステルフィラメントのみである。両方の横糸は綿の被覆を有し、一工程染色方法に付された。注目されるとおり、本開示に従った織物No.4は21.6%の横糸伸び率を達成し、1.9%の伸び及び3.5%の良好な安定性を有していた。裸の二成分ポリエステルフィラメント又はコア二成分ポリエステルフィラメントスパンヤーンの使用に比べた一つの有意な長所は、裸のポリエステルフィラメントの暴露が改善されたことである。図7aに示したとおり、織物No.4上には裸のポリエステルは見られない。他方、図7bは、織物No.5における裸のポリエステルフィラメントの暴露を示す。本発明のヤーンを用いることにより、費用がかさむ二工程染色方法の必要性がなくなる。
【0028】
【表2】

【実施例3】
【0029】
例3−二方向ストレッチデニム織物
本例は表3に示す二方向ストレッチデニム織物における本発明によるヤーンの使用の優位性を示す。織物No.6は本発明によるヤーンを用いており、コア二成分ポリエステルフィラメント及びスパンデックススパンヤーンを横糸方向及び縦糸方向の両者に含む。織物No.7は、従来から知られているストレッチ織物と同様に、コア二成分ポリエステルフィラメントのみを縦糸及び横糸に含む。表に示されたとおり、織物No.6はより高い伸縮力(29%)を横糸方向に有する。さらに、従来から知られているコア二成分ポリエステルフィラメントスパンヤーンの縦糸における裸のポリエステルの暴露の問題は、ポリエステルの割合がはるかに低いため織物No.6においては問題とならない。本例において、裸のポリエステルの暴露は、本発明のヤーンを用いた仕上織物には見られなかった。織物の特性を表3にまとめる。
【0030】
【表3】

【実施例4】
【0031】
例4−デニールの組み合わせが異なる二方向ストレッチデニム織物
本例は、スパンデックス/二成分フィラメントのデニール及び(必要であれば)ドラフトを調整することにより、所望の伸縮性を得るための、本発明のヤーンを用いた織物の有効性を示す。織物No.8−11の各々における縦糸ヤーンは本発明によるものであり、番手がNe7であるコア二成分ポリエステルフィラメント及びスパンデックススパンヤーンである。各織物の横糸は、番手がNe8である異なるデニールを有するフィラメント/スパンデックスヤーンである。それらは:
・織物No.8:本発明による75デニールフィラメント及び70デニールスパンデックス
・織物No.9:本発明による75デニールフィラメント及び40デニールスパンデックス
・織物No.10:本発明による150デニールフィラメント及び40デニールスパンデックス
・織物No.11:150デニールフィラメント(従来から知られているストレッチ織物)
【0032】
織物の特性は表4にまとめる。仕上げの後、本発明による織物No.8、9及び10は、良好な回復性のある(2.4%未満の伸び)21%から27%の範囲の適度な伸縮性を有する。コア二成分ポリエステルフィラメントのみを有する、従来の織物No.11については、伸縮力ははるかに低く、15%である。縦糸はすべてにおいて同じであるため、伸び率は18%、伸びは1.4%から2.0%の間、とほぼ同じであった。これは、本発明のヤーンを用いたいかなる応用においても、オープンエンド構造を用いることなく、所望の伸縮力を得ることができることを示している。
【0033】
【表4】

【実施例5】
【0034】
本例は表5に示す、一工程染色方法を経た二方向ストレッチ織物における本発明のヤーンの使用を示す。本例は、縦糸及び横糸の両方において番手がNe10であるコア二成分ポリエステルフィラメント及びスパンデックスを用いた織物を例証する。一工程染色方法のみを用いるだけで、仕上げ織物は許容範囲のグリニング効果のまま、良好な外観を有している。図8(a)は本例の織物No.12の正面を示し、図8(b)は織物No.12の裏面外観を示す。注目されるように、裏、前と共に顕著なグリニングの兆候が観られない。これは、縦糸及び横糸の伸び率がそれぞれ15.1%及び16.6%をもったまま達成された。仕上げ織物の他の特性は表5に示す。
【0035】
【表5】

【0036】
種々の態様を示し記述してきたが、種々の改変、置換を加えることができる。したがって、これらの態様は例示として記述され、限定を加えるものではないと解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】コア紡績装置の一態様の概略側面図。
【図2】図1のコア紡績装置の概略正面図。
【図3】コア紡績装置の第二の態様の概略側面図。
【図4】図3のコア紡績装置の概略正面図。
【図5】コア紡績装置の第三の態様の概略側面図。
【図6】図5のコア紡績装置の概略正面図。
【図7(a)】表2で言及されている織物No.4の裏面のイメージ。
【図7(b)】表2で言及されている織物No.5の裏面図。
【図8(a)】本明細書に記載のとおり製造した織物の正面図。
【図8(b)】図8aに示した織物の裏面図。
【符号の説明】
【0038】
2 二成分フィラメントの管又はその他の供給源
4 二成分フィラメント
6 フィードローラー
8 エラストマー繊維の管又はその他の供給源
10 エラストマー繊維
12 フィードローラー
14 ガイドローラー
16 フロントローラー
18 粗紡又は硬繊維の管
20 粗紡又は硬繊維
22 バックローラー
24 スネイルワイヤー
26 紡績装置
28 スピンドル
30 回転リング
32 バルーン制御リング
34 二成分フィラメント用ターニングローラー
36 スパンデックス用ターニングローラー
40 紡績装置
42 フィードローラー
44 単一ターニングローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアスパンヤーンであって、当該ポリエステルフィラメントが約20から150デニールであり、当該エラストマー繊維が20から140デニールである、上記コアスパンヤーン。
【請求項2】
ポリエステルフィラメントがヤーンの全重量に基づいて約2重量パーセントから約60重量パーセントであり、エラストマー繊維がヤーンの全重量に基づいて約1重量パーセントから約40重量パーセントである、請求項1に記載のヤーン。
【請求項3】
エラストマー繊維が二成分ポリエステルフィラメントよりも高いドラフトを有する、請求項2に記載のヤーン。
【請求項4】
二成分ポリエステルフィラメントがその当初の長さから1.01から約1.3倍ドラフトされ、エラストマー繊維がその当初の長さから2.5倍から4.5倍ドラフトされている、請求項3に記載のヤーン。
【請求項5】
ポリエステルフィラメントがポリ(トリメチレンテレフタレート)並びにポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(テトラメチレンテレフタレート)からなる群から選択される少なくとも一種のポリマーを含み、エラストマー繊維がスパンデックスである、請求項1に記載のヤーン。
【請求項6】
少なくとも1種の短繊維の被覆をさらに含む、請求項5に記載のヤーン。
【請求項7】
当該短繊維が、綿、ビスコースレイヨン、羊毛、ポリエステル及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載のヤーン。
【請求項8】
英式綿番手(Ne)が約4から約60である少なくとも一種の硬繊維の被覆を含む、請求項6に記載のヤーン。
【請求項9】
二成分ポリエステルフィラメントがその当初の長さから約1.01から約1.3倍ドラフトされ、エラストマーヤーンがその当初の長さから約2.5倍から約4.5倍ドラフトされている、請求項6に記載のヤーン。
【請求項10】
請求項2に記載のコアスパンヤーンを横糸及び/又は縦糸に含むストレッチ織物。
【請求項11】
織物が、平織り、綾織り、又はサテン織物である、請求項10に記載のストレッチ織物。
【請求項12】
織物がデニムであり、後染織物の一工程染色方法を経たものである、請求項11に記載のストレッチ織物。
【請求項13】
横糸及び/又は縦糸伸び率が約10%から約35%の間である、請求項12に記載のストレッチ織物。
【請求項14】
二成分ポリエステルフィラメントのグリニング効果が実質的に存在しない、請求項13に記載のストレッチ織物。
【請求項15】
二成分ポリエステルフィラメント及びエラストマー繊維を含むコアスパンヤーンであって、当該二成分ポリエステルフィラメントがその当初の長さから約1.01倍から約1.3倍ドラフトされ、エラストマー繊維がその当初の長さから約2.5倍から約4.5倍ドラフトされている、上記コアスパンヤーン。
【請求項16】
少なくとも一種の短繊維の被覆をさらに含む、請求項15に記載のヤーン。
【請求項17】
短繊維が、綿、ビスコースレイヨン、羊毛、ポリエステル及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載のヤーン。
【請求項18】
横糸及び/又は縦糸に請求項17に記載のヤーンを含むストレッチ織物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【公開番号】特開2009−1951(P2009−1951A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261452(P2007−261452)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(507333063)セントラル テキスタイルズ(エイチケー)リミテッド (1)
【Fターム(参考)】