説明

コアレス電気機械装置、コアレス電気機械装置の製造方法、移動体、及びロボット

【課題】コアレス電気機械装置の効率を良くする。
【解決手段】永久磁石と、2つの有効コイル領域と2つのコイルエンド領域とを有する電磁コイルを有しているM相のコイル群と、コイルバックヨークと、を備え、電磁コイルの有効コイル領域は、永久磁石とコイルバックヨークとの間の円筒領域に、円筒領域の円周方向に沿って環状に配置しており、永久磁石とコイルバックヨークは有効コイル領域を挟んで対向するように配置され、M相のコイル群のうちの第1の相以外の(M−1)相のコイル群に含まれる電磁コイルの第1の側のコイルエンド領域は、永久磁石側に曲がっており、第1の相とは異なる第2の相以外の(M−1)相の電磁コイルの第2の側のコイルエンド領域は、コイルバックヨーク側に曲がっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアレスの電動モーターや発電機などの電気機械装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ティースにインナーコイルとアウターコイルを巻き、アウターコイルのコイルエンド領域を外側に折り曲げている電動モーターが知られている(例えば特許文献1)。この電動モーターは、ティースとコイル(電磁コイル)とで電磁石を形成し、電磁石と永久磁石との相互作用で回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−246342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ティースを有しないコアレス電動モーターでは、電磁コイルは電磁石を形成せず、電磁コイルを流れる電流と永久磁石との間のローレンツ力、およびその反作用により回転する。かかるコアレス電動モーターでは、電磁コイルの永久磁石と反対側にコイルバックヨークを配置してコアレス電動モーターの効率を高めている。そして、永久磁石とコイルバックヨークとの間隔が短いほど、電動モーターの効率を良くすることが出来る。ここで、アウターコイルのコイルエンド領域を外側あるいはインナーコイルのコイルエンド領域を内側に折り曲げている電動モーターでは、コイルエンド領域とぶつからないようにコイルバックヨークや永久磁石を挿入するため、永久磁石とコイルバックヨークとの間隔を広げることになり、電動モーターの効率を向上し難いという問題があった。この問題を回避するために、コイルバックヨークを分割構成にすると、製造工程が複雑になる、あるいはコイルバックヨークの分割部分で磁束が不連続になるためコギングが発生しやすい、という問題があった。
【0005】
本願発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決し、コアレス電気機械装置の効率を良くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
第1と第2の部材とが互いに相対的に移動可能な円筒形状の第1と第2の部材を有するコアレス電気機械装置であって、前記第1の部材に配置された永久磁石と、前記第2の部材に配置されたM相のコイル群(Mは2以上の整数)であって、前記第1の部材を前記第2の部材に対して相対的に移動させる力を生じさせる2つの有効コイル領域と、2つのコイルエンド領域とを有している電磁コイルをそれぞれ有しているM相のコイル群と、前記第2の部材に配置されたコイルバックヨークと、を備え、前記M相のコイル群に含まれる前記M相の電磁コイルの前記有効コイル領域は、前記永久磁石と前記コイルバックヨークとの間の円筒領域に、前記有効コイル領域が軸方向に平行な方向に沿って伸びると共に、前記M相の電磁コイルの全体が前記円筒領域の円周方向に並んでおり、前記永久磁石と前記コイルバックヨークは前記有効コイル領域を挟んで対向するように配置され、前記M相のコイル群のうちの第1の相の前記電磁コイルの2つのコイルエンド領域のうち第1の側のコイルエンド領域は、前記コイルバックヨーク側に曲がっておらず、さらに、前記第1の相以外の(M−1)相のコイル群に含まれる電磁コイルの前記第1の側のコイルエンド領域は、前記永久磁石側に曲がっており、前記第1の相とは異なる第2の相のコイル群に含まれる電磁コイルの2つのコイルエンド領域のうち前記第1の側と反対側である第2の側のコイルエンド領域は、前記永久磁石側に曲がっておらず、さらに、前記第2の相以外の(M−1)相の電磁コイルの前記第2の側のコイルエンド領域は、前記コイルバックヨーク側に曲がっている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コイルエンド領域の曲げられていない側からコイルバックヨークあるいは永久磁石を挿入できるので、電磁コイルのコイルエンド領域と干渉させずに永久磁石とコイルバックヨークを配置し、永久磁石とコイルバックヨークとの間隔を最小限に狭めることができるので、コアレス電気機械装置の効率を向上させることができる。
【0008】
[適用例2]
適用例1に記載のコアレス電気機械において、前記第1の相の電磁コイルの前記第1の側のコイルエンド領域は、前記電磁コイルの有効コイル領域が配置している円筒領域を含む円筒面上に曲がらずに配置しているか、または、前記円筒面から前記永久磁石側に曲がっており、前記第2の相の電磁コイルの前記第2の側のコイルエンド領域は、前記円筒面上に曲がらずに配置しているか、または、前記円筒面から前記コイルバックヨーク側に曲がっている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、電磁コイルの第1の側からコイルバックヨークを挿入配置し、第2の側から永久磁石を挿入配置することができ、さらに、コイルバックヨークと電磁コイルの間隔および永久磁石と電磁コイルの間隔を狭くして、コアレス電気機械装置の効率を向上させることが出来る。
【0009】
[適用例3]
適用例1または2に記載のコアレス電気機械装置において、前記Mの値が3以上の場合には、 前記第1、第2の相のコイル群以外の(M−2)相のコイル群に含まれる電磁コイルの前記第1のコイルエンド領域は、前記第1の相の電磁コイルのコイルエンド領域が前記永久磁石側に曲がっている大きさよりも小さい大きさで、かつ、相毎に異なる大きさで前記永久磁石側に曲がっており、前記(M−2)相のコイル群に含まれる電磁コイルの前記第2のコイルエンド領域は、前記第2の相のコイル群に含まれる電磁コイルのコイルエンド領域が前記コイルバックヨーク側に曲がっている大きさよりも小さい大きさで、かつ前記第1の相のコイル群に含まれる電磁コイルのコイルエンド領域が曲がっている大きさが小さい相ほど大きく曲がるように相毎に異なる大きさで前記コイルバックヨーク側に曲がっている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コイルエンド領域における電磁コイル同士のぶつかりを抑制すると共に、電磁コイル同士が鎖を構成しないので、製造が容易である。
【0010】
[適用例4]
適用例1〜3のいずれか1つの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、同一の相のコイル群に含まれる隣り合う電磁コイルの有効コイル領域の間に他の相のコイル群に含まれる電磁コイルの有効領域が挿入されないように前記同一の相のコイル群に含まれる隣り合う電磁コイルが接触しており、前記電磁コイルが有する前記2つの有効コイル領域の間の幅は、前記電磁コイルの前記有効コイル領域における前記電磁コイルの幅の2(M−1)倍の大きさであり、前記2つの有効コイル領域の間に、前記他の相のコイル群に含まれる電磁コイルの有効領域を2つずつ合計2(M−1)個有している、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、電磁コイルの占積率を向上させて、コアレス電気機械装置の効率を向上させることができる。
【0011】
[適用例5]
適用例1〜3のいずれかいつの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、前記M相のコイル群のそれぞれから電磁コイルが各1つずつ集まって1つのコイルモジュールを形成しており、前記電磁コイルが有する2つの有効コイル領域の間の幅は、前記電磁コイルの前記有効コイル領域における前記電磁コイルの幅の(M−1)倍の大きさであり、前記コイルモジュールにおいて、前記M相のコイル群のうちの第1の相のコイル群に含まれる電磁コイルは、2つの有効コイル領域の間に、前記第1の相のコイル群以外の(M−1)相のコイル群に含まれる電磁コイルの2つの有効コイル領域のうちの一方の有効コイル領域を有している、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、電磁コイルの占積率を向上させて、コアレス電気機械装置の効率を向上させることができる。
【0012】
[適用例6]
第1と第2の部材とが互いに相対的に移動可能な円筒形状の第1と第2の部材を有するコアレス電気機械装置であって、前記第1の部材に配置された永久磁石と、前記第2の部材に配置されたM相のコイル群(Mは2以上の整数)であって、前記永久磁石と前記コイルバックヨークとの間の円筒領域に配置され、前記第1の部材を前記第2の部材に対して相対的に移動させる力を生じさせる2つの有効コイル領域と、2つのコイルエンド領域とを有している電磁コイルを有しているM相のコイル群と、前記第2の部材に配置されたコイルバックヨークと、を備え、前記電磁コイルは、2つのコイルエンド領域のうちの第1の側のコイルエンド領域が前記永久磁石側に曲がり、第2の側のコイルエンド領域が前記円筒領域を含む円筒面上に曲がらずに配置している第1のコイル形状有する第1形状電磁コイルと、前記第1の側のコイルエンド領域が前記コイルバックヨーク側に曲がり、第1の側のコイルエンド領域が前記円筒領域を含む円筒面上に曲がらずに配置している第2のコイル形状有する第2形状電磁コイルと、を含んでおり、1組の前記第1形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域の間に、他の2組の前記第2形状電磁コイルの2つの有効コイル領域のうちのそれぞれ1つの有効コイル領域が配置され、1組の前記第2形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域の間に、他の2組の前記第1形状電磁コイルの2つの有効コイル領域のうちのそれぞれ1つの有効コイル領域が配置されるように前記M相のコイル群の電磁コイルが配列されている、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、コイルエンド領域における電磁コイルの放射方向の数は、第1の側において、曲がっている第1形状電磁コイルと曲がっていない第2形状電磁コイルの2つで済み、第2の側においても、曲がっていない第1形状電磁コイルと曲がっている第2形状電磁コイルの2つで済みむので、コアレスモーターを小さく形成することができる。
【0013】
[適用例7]
適用例6に記載のコアレス電気機械装置において、前記Mは偶数であり、前記電磁コイルは、相毎に、前記第1形状電磁コイル又は前記第2形状電磁コイルのいずれかの形状を有し、前記第1形状電磁コイル又は第2形状電磁コイルの数は同数である、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、電磁コイルは、相毎に、第1形状電磁コイル又は第2形状電磁コイルのいずれかの形状を有し、第1形状電磁コイル又は第2形状電磁コイルの数は同数であるので、相毎の電磁コイルの電気的特性のバランスがよく、コアレス電気機械装置の効率を向上させることが出来る。
【0014】
[適用例8]
適用例6に記載のコアレス電気機械において、前記Mは奇数であり、各相の電磁コイルは、それぞれ同数の前記第1形状電磁コイルと、前記第2形状電磁コイルを含んでいる、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、相毎に同じ数の第1形状電磁コイルと、第2形状電磁コイルを含んでいるので、各相の電磁コイルの電気的特性は同じになる。したがって、相毎の電磁コイルの電気的特性のバランスがよく、コアレス電気機械装置の効率を向上させることが出来る。
【0015】
[適用例9]
適用例8に記載のコアレス電気機械装置において、前記Mは3であり、前記円筒面に第1の相、第2の相、第3の相の前記第1形状電磁コイルが順番に環状に配置されるとともに、前記第1の相の前記第2形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域が前記第2、第3の相の前記第1形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域のそれぞれ1つを挟むように配置され、前記第2の相の前記第2形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域が前記第3、第1の相の前記第1形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域のそれぞれ1つを挟むように配置され、前記第3の相の前記第2形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域が前記第1、第2の相の前記第1形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域のそれぞれ1つを挟むように配置されている、コアレス電気機械装置。
【0016】
[適用例10]
適用例6〜9のいずれか1つの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、前記電磁コイルの2つの有効コイル領域の間隔は、前記電磁コイルの前記有効コイル領域における前記電磁コイルの幅の2倍の大きさである、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、電磁コイルの占積率を高め、コアレス電気機械装置の効率を向上させることが出来る。
【0017】
[適用例11]
適用例1〜10のいずれかの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、前記各相のコイル群に含まれる電磁コイルの前記コイルエンド領域の曲がる前の形状は、同一形状であり、前記電磁コイルは同じ電気抵抗値を有している、コアレス電気機械装置。
この適用例によれば、各電磁コイルのコイルエンド領域の曲がる前の形状は同じであるので、その状態での各電磁コイルのインダクタンスは同じである。そして、コアレス電気機械装置の特性に影響を与えるインダクタンスは、主として曲がらない有効コイル領域で決まるので、コイルエンド領域の曲がった電磁コイルであっても、コアレス電気機械装置の特性に影響を与えるインダクタンスは変わらない。さらに、電気抵抗値も同じであるので、相毎の駆動力のバランスを良くすることができる。
【0018】
[適用例12]
適用例1〜11のいずれか一つの適用例に記載のコアレス電気機械装置において、
前記電磁コイルを形成している導体の材料が同じ材料であり、
前記導体の直径が同じ太さであり、
前記電磁コイルの前記導体の巻数が同じであり、
前記電磁コイルは同じ電気抵抗値を有している、コアレス電気機械装置。
【0019】
[適用例13]
適用例1〜12のいずれか一つの適用例に記載のコアレス電気機械装置を備える移動体。
【0020】
[適用例14]
適用例1〜12のいずれか一つの適用例に記載のコアレス電気機械装置を備えるロボット。
【0021】
[適用例15]
M相(Mは2以上の整数)の電磁コイルを有するコアレス電気機械装置の製造方法であって、(a)同形の電磁コイルを準備する工程と、(b)前記電磁コイルの有効コイル領域を円筒領域に沿うように曲げる工程と、(c)M相のうちの第1の相以外の(M−1)相の電磁コイルの2つのコイルエンド領域の一方を前記電磁コイルの有効コイル領域が配置される円筒領域の内周側に相毎に異なる大きさで曲げ、前記第1の相とは異なる第2の相以外の(M−1)相の電磁コイルの2つのコイルエンド領域の前記一方と反対側の他方のコイルエンド領域を前記内周側に曲げた大きさが小さいほど大きくなるように、円筒領域の外周側に曲げる工程と、(d)前記電磁コイルを相毎に内側方向に曲げたときの大きさが大きい順に配置して、前記電磁コイルの有効コイル領域が円筒領域に配置された電磁コイルを形成する工程と、(e)前記コアレス電気機械装置の軸に沿った方向のうち前記曲げられたコイルエンド領域と干渉しない方向から前記円筒面の外周側と内周側に、前記コイルバックヨークと前記永久磁石とをそれぞれ挿入して配置する工程と、を備える、コアレス電気機械装置の製造方法。
この適用例によれば、永久磁石とコイルバックヨークとの間隔を最小限に狭めたコアレス電気機械装置を容易に製造することができる。
【0022】
[適用例16]
M相(Mは2以上の整数)の電磁コイルを有するコアレス電気機械装置の製造方法であって、(a)同形の電磁コイルを準備する工程と、(b)前記電磁コイルの有効コイル領域を円筒領域に沿うように曲げる工程と、(c)M相のうちの第1の相以外の(M−1)相の電磁コイルの2つのコイルエンド領域の一方を前記電磁コイルの有効コイル領域が配置される円筒領域の内周側に相毎に異なる大きさで曲げ、前記第1の相とは異なる第2の相以外の(M−1)相の電磁コイルの2つのコイルエンド領域の前記一方と反対側の他方のコイルエンド領域を前記内周側に曲げた大きさが小さいほど大きくなるように、円筒領域の外周側に曲げる工程と、(d)前記M相の電磁コイルから各相1個合計M個の電磁コイルを用い、前記M個電磁コイルの内の第1の電磁コイルの有効コイル領域を、他の(M−1)個の電磁コイルの有効コイル領域を形成するN本の導体で形成された導体束により、隣り合う導体束が接するようにコイルサブ集合体を形成する工程と、(e)前記コイルサブ集合体P個を前記円筒片の放射方向に重ならないように、かつ隣り合うコイルサブ集合体が接するように並べて、前記電磁コイルの有効コイル領域が円筒領域に配置された電磁コイルを形成する工程と、(f)前記コアレス電気機械装置の軸に沿った方向のうち前記曲げられたコイルエンド領域と干渉しない方向から前記円筒面の外周側と内周側に、前記コイルバックヨークと前記永久磁石とをそれぞれ挿入して配置する工程と、を備える、コアレス電気機械装置の製造方法。
この適用例によれば、永久磁石とコイルバックヨークとの間隔を最小限に狭めたコアレス電気機械装置を容易に製造することができる。
【0023】
[適用例17]
M相(Mは2以上の整数)の電磁コイルを有するコアレス電気機械装置の製造方法であって、(a)同形の電磁コイルを準備する工程と、(b)前記電磁コイルの有効コイル領域を円筒領域に沿うように曲げる工程と、(c)各相の電磁コイルについて、第1の側のコイルエンド領域が前記円筒領域の外側に曲がっており、前記第1と反対側の第2の側のコイルエンド領域が前記円筒領域と同一の円筒面にあって前記円筒領域の外側または内側のどちらにも曲がっていない第1形状電磁コイルと、前記第2の側のコイルエンド領域が前記円筒領域の内側に曲がっており、前記第1の側のコイルエンド領域が前記円筒領域と同一の円筒面にあって前記円筒領域の外側または内側のどちらにも曲がっていない第2形状電磁コイルと、形成する工程と、(d)前記各相の第2形状電磁コイルを前記円筒領域に並べる工程と、(e)前記各相の第1形状電磁コイルを前記円筒領域に並べる工程と、(f)前記コアレス電気機械装置の軸に沿った方向のうち前記曲げられたコイルエンド領域と干渉しない方向から前記円筒面の外周側と内周側に、前記コイルバックヨークと前記永久磁石とをそれぞれ挿入して配置する工程と、を備える、コアレス電気機械装置の製造方法。
この適用例によれば、コイルエンド領域が薄い小型のコアレスモーターを製造することが可能となる。
【0024】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、モーターや発電装置などのコアレス電気機械装置およびその製造方法のほか、それを用いた移動体、ロボット等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施例を示す説明図である。
【図2】第1の実施例のコアレスモーター10を回転軸230と垂直な切断線で切ったときの断面を模式的に示している。
【図3】電磁コイル100A100Bを重ね合わせた状態を示す説明図である。
【図4】第1の実施例における電磁コイルの配線を模式的に示す説明図である。
【図5】電磁コイルの形成工程を示す説明図(その1)である。
【図6】電磁コイルの形成工程を示す説明図(その2)である。
【図7】電磁コイルの形成工程を示す説明図(その3)である。
【図8】電磁コイルとコイルバックヨークとの一体モジュールを形成する工程を示す説明図である。
【図9】樹脂130によるモールド工程を示す説明図である。
【図10】ローターを組み込む工程を示す説明図である。
【図11】第2の実施例を示す説明図である。
【図12】第2の実施例のコアレスモーター10を回転軸230と垂直な切断線で切ったときの断面を模式的に示している。
【図13】第2の実施例における電磁コイルの形成工程を示す説明図(その1)である。
【図14】第2の実施例における電磁コイルの形成工程を示す説明図(その2)である。
【図15】第2の実施例における電磁コイルの形成工程を示す説明図(その3)である。
【図16】電磁コイル100Aと100Bの組み立て工程を示す説明図である。
【図17】第2の実施例における電磁コイルの配線を模式的に示す説明図である。
【図18】第2の実施例における電磁コイルとコイルバックヨークとの一体モジュールを形成する工程を示す説明図である。
【図19】第3の実施例を示す説明図である。
【図20A】第4の実施例を示す説明図である。
【図20B】第4の実施例のコアレスモーター10を回転軸230に垂直な面で切ったときの断面から見た図を模式的に示す説明図である。
【図20C】第5の実施例を示す説明図である。
【図20D】第5の実施例を回転軸230と平行な面で切ったときの断面を示す説明図である。
【図20E】第6の実施例を示す説明図である。
【図21】本発明の変形例によるモーター/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。
【図22】本発明の変形例によるモーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。
【図23】本発明の変形例によるモーターを利用した双腕7軸ロボットの一例を示す説明図である。
【図24】本発明の変形例によるモーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1の実施例]
図1は、第1の実施例を示す説明図である。図1(A)は、コアレスモーター10を回転軸230と平行な面で切ったときの断面を断面と垂直な方向から見たときの図を模式的に示し、図1(B)は、コアレスモーター10を回転軸230と垂直なB−B切断線で切ったときの断面を断面と垂直な方向から見たときの図を模式的に示している。コアレスモーター10は、略円筒状のステーター15が外側に配置され、略円筒状のローター20が内側に配置されたラジアルギャップ構造のインナーローター型モーターである。ステーター15は、ケーシング110の内周に沿って配置されたコイルバックヨーク115と、コイルバックヨーク115の内側に配列された複数の電磁コイル100A、100Bと、を有している。本実施例では、電磁コイル100A、100Bを区別しない場合には、単に電磁コイル100と呼ぶ。コイルバックヨーク115は、磁性体材料で形成されており、略円筒形形状を有している。電磁コイル100Aと、100Bとは、樹脂130によりモールドされている。電磁コイル100Aと、100Bの回転軸230に沿った方向の長さは、コイルバックヨーク115の回転軸230に沿った方向の長さよりも長くなっている。すなわち、図1(A)において、電磁コイル100A、100Bの左右方向の端部は、コイルバックヨーク115と重ならない。本実施例では、コイルバックヨーク115と重なっている領域を有効コイル領域と呼び、コイルバックヨーク115と重ならない領域をコイルエンド領域と呼ぶ。本実施例では、電磁コイル100A、100Bの有効コイル領域は、同一の円筒領域に配置されるが、コイルエンド領域については、以下に説明するように、2つのコイルエンド領域のうちの一方が、円筒領域から外周側あるいは内周側に曲げられている。例えば、電磁コイル100Aについては、図1(A)に示すように右側のコイルエンド領域は円筒領域に配置されて曲げられていないが、左側のコイルエンド領域は円筒領域から外周側に曲げられている。電磁コイル100Bについては、図1(A)に示すように左側のコイルエンド領域は円筒領域に配置されて曲げられていないが、右側のコイルエンド領域は円筒領域から内周側に曲げられている。
【0027】
ステーター15には、さらに、ローター20の位相を検出する位置センサーとしての磁気センサー300が、配置されている。磁気センサー300として、例えばホール素子を有するホールセンサーを用いることができる。磁気センサー300は、電気角の駆動制御で略正弦波のセンサー信号を生成する。このセンサー信号は、電磁コイル100を駆動するための駆動信号を生成するために用いられる。したがって、磁気センサー300は、電磁コイル100A、100Bに対応して2つ設けられていることが好ましい。磁気センサー300は、回路基板310の上に配置されており、回路基板310は、ケーシング110に固定されている。本実施例では、磁気センサー300および回路基板310は、電磁コイル100Aのコイルエンド領域が外側に曲げられた側に配置されている。本実施例では、磁気センサー300とコイルエンド領域との位置関係を用いて、上述した2つのコイルエンド領域のうち磁気センサー300に近い側のコイルエンド領域を、「磁気センサー側コイルエンド領域」と呼び、磁気センサー300から遠い側のコイルエンド領域を「非磁気センサー側コイルエンド領域」と呼ぶ。
【0028】
ローター20は、中心に回転軸230を有し、その外周に複数の永久磁石200を有している。各永久磁石200は、回転軸230の中心から外部に向かう径方向(放射方向)に沿って磁化されている。なお、図1(B)において永久磁石200に付したN、Sの文字は、永久磁石200の電磁コイル100A、100B側の極性を示している。永久磁石200と電磁コイル100とは、ローター20とステーター15の対向する円筒面に対向して配置されている。ここで、永久磁石200の回転軸230に沿った方向の長さは、コイルバックヨーク115の回転軸230に沿った方向の長さと同じ長さである。すなわち、永久磁石200と、コイルバックヨーク115と、にはさまれた領域と、電磁コイル100Aまたは100Bとが重なる領域が電磁コイル100A、100Bの有効コイル領域となる。回転軸230は、ケーシング110の軸受け240で支持されている。なお、永久磁石200と回転軸230との間に磁石バックヨークを設けてもよく、永久磁石200の回転軸230に沿った方向の両端部にサイドヨークを設けても良い。磁石バックヨークやサイドヨークを用いることにより、永久磁石200の磁束の漏れを防ぐことができる。本実施例では、ケーシング110の内側に、波バネ座金260を備えている。この波バネ座金260は、永久磁石200の位置決めを行っている。但し、波バネ座金260は別の構成部品で置き換えることも可能である。
【0029】
図2は、第1の実施例のコアレスモーター10を回転軸230と垂直な切断線で切ったときの断面を模式的に示している。図2(A)は、図1(A)に示す回転軸230と垂直なA−A切断線で電磁コイル100A、100Bの磁気センサー側コイルエンド領域を切ったときの断面を示し、図2(B)は、図1(A)に示す回転軸230と垂直なB−B切断線で電磁コイル100A、100Bの有効コイル領域を切ったときの断面を示し、図2(C)は、図1(A)に示す回転軸230と垂直なC−C切断線で電磁コイル100A、100Bの非磁気センサー側コイルエンド領域を切ったときの断面を示している。なお、図2(B)は、図1(B)と同じ図面である。
【0030】
図2(B)に示すように、電磁コイル100A、100Bの有効コイル領域における回転軸230と垂直な断面(図1のB−B切断線で切った断面)では、電磁コイル100A、100Bの有効コイル領域は、いずれも同一の円筒領域に配置されている。これに対し、図2(A)に示す磁気センサー側コイルエンド領域における回転軸230と垂直な断面では、電磁コイル100Bのコイルエンド領域は、図2(B)の電磁コイル100Bの有効コイル領域が配置される円筒領域と同一の円筒領域に配置されているが、電磁コイル100Aのコイルエンド領域は、電磁コイル100Aの有効コイル領域が配置される円筒領域よりも外周側(コイルバックヨーク115側)に配置されている。また、図2(C)に示す非磁気センサー側コイルエンド領域における回転軸230と垂直な断面では、電磁コイル100Aのコイルエンド領域は、図2(B)の電磁コイル100Aの有効コイル領域が配置される円筒領域と同一の円筒領域に配置されているが、電磁コイル100Bのコイルエンド領域は、電磁コイル100Bの有効コイル領域が配置される円筒領域よりも内周側(永久磁石200側)に配置されている。
【0031】
図3は、電磁コイル100A、100Bを重ね合わせた状態を示す説明図である。図3(A)はコイルバックヨーク側から見た平面図であり、図3(B)は模式的に示した斜視図である。なお、図3(A)では、コイルバックヨーク115を記載し、図3(B)では、電磁コイル100A、100Bの形状を見やすくするために、コイルバックヨーク115を省略し、電磁コイル100Aを1つと電磁コイル100Bを2つのみ図示している。なお、実際の電磁コイル100A、100Bは円筒の側面に沿って配置されているため、磁気センサー側コイルエンド領域や非磁気センサー側コイルエンド領域は、曲面になるが、図3(B)では模式的に平面として表している。図3(A)、図3(B)に示すように、電磁コイル100Aの有効コイル領域の2つの導体の束の間に、2つの電磁コイル100Bの有効コイル領域の導体の束が収まっている。ここで、電磁コイル100は、導体を複数ターン(例えばN巻)巻くことにより形成されており、導体の束は、N本の導体を束ねたものを意味している。また、電磁コイル100Bの有効コイル領域の2つの導体の束の間に、2つの電磁コイル100Aの有効コイル領域の導体の束が収まり(図3(A)参照、なお、図3(B)では1つの電磁コイル100Aのみ記載)、電磁コイル100Aと100Bは、干渉しない。また、電磁コイル100Aの磁気センサー側コイルエンド領域は、円筒領域からコイルバックヨーク115側(円筒領域の外周側)に曲げられており、円筒領域から曲げられていない電磁コイル100Bの磁気センサー側コイルエンド領域と干渉しない。また、電磁コイル100Bの非磁気センサー側コイルエンド領域は、円筒領域からコイルバックヨーク115と反対側(円筒領域の内周側)に曲げられており、円筒領域から曲げられていない電磁コイル100Aの非磁気センサー側コイルエンド領域と干渉しない。このように、電磁コイル100Aの有効コイル領域と電磁コイル100Bの有効コイル領域とを同じ円筒領域上、一方の電磁コイルの2つの導体の束に間に他の2つの電磁コイルの導体に束を配置するとともに、電磁コイル100Aの磁気センサー側コイルエンド領域を外周側に曲げ、電磁コイル100Bの非磁気センサー側コイルエンド領域を内周側に曲げることにより、電磁コイル100Aと100Bとを、互いにぶつからないように円筒領域に配置することができる。また、本実施例では、電磁コイル100A、100Bの導体の束の幅φ1(電磁コイル100Aの有効コイル領域が配置される円筒領域に沿った方向の幅)と、有効コイル領域におけるコイル束の間隔(電磁コイル100Aの有効コイル領域が配置される円筒領域に沿った方向の間隔)L2との間にはL2≒2×φ1の関係を有している。すなわち、電磁コイル100A、100Bが配置される円筒領域は、電磁コイル100A、100Bの導体の束によりほぼ占められているので、電磁コイルの占積率を向上させ、コアレスモーター10(図1)の効率を向上させることができる。
【0032】
図4は、第1の実施例における電磁コイルの配線を模式的に示す説明図である。図4で明らかなように、電磁コイル100Aの巻線方向は、交互に時計回り、半時計回りとなっている。電磁コイル100Bについても同様である。
【0033】
図5は、電磁コイルの形成工程を示す説明図(その1)である。電磁コイル100A、100Bの有効コイル領域が配置される円筒面からコイルエンド領域を外周側あるいは内周側に曲げる前までは、電磁コイル100A、100Bを同じ工程で形成することができる。そこで、ここでは電磁コイル100Aを例にとって説明する。まず、図5(A)に示す工程では、電磁コイル用配線105を準備し、α巻きとなるように電磁コイル用配線105のほぼ真ん中から両端側をそれぞれ外側方向へ巻いていって一本の電磁コイル用配線105から2つのコイル部分100Aaと100Abを形成する。図中の矢印は巻き方向を示している。2つのコイル部分100Aaと100Abの内周は、接続部100Acによりたがいに接続されている。ここで、コイル部分100Aa、100Abを重ねたときに、接続部100Acをコイル部分100Aaの内周に沿って配線できるような長さとなるように、2つのコイル部分100Aaと100Abを巻き始めることが好ましい。なお。接続部100Acの具体的な長さは、2つのコイル部分100Aaと100Abにおける接続部100Acの引き出し位置により異なる。例えば、図5(A)に示す例では、コイル部分100Aaあるいはコイル部分100Abの内周の長さの整数倍の長さであることが好ましい。
【0034】
次に、図5(B)に示す工程では、2つのコイル部分100Aaと100Abを対面で重ね合わせて電磁コイル100Aを形成する。このとき、接続部100Acが余るので、接続部100Acをコイル部分100Aaの内周に沿うように配線する。上述のように、接続部100Acの長さがコイル部分100Aaあるいはコイル部分100Abの内周の長さの整数倍の長さであると、接続部100Acをコイル部分100Aaまたはコイル部分Abの内周に沿って過不足無く配線することができる。
【0035】
図6は、電磁コイルの形成工程を示す説明図(その2)である。図6(A)は、電磁コイル100Aを示し、図6(B)は電磁コイル100Bを示している。図6(A)の左下の図面は、左上の図面のA−A切断線で切った断面を見た図であり、図6(A)の右の図面は、左上の図面のB−B切断線で切った断面を非磁気センサー側から見た図である。図6(B)の右下の図面は、右上の図面のC−C切断線で切った断面を見た図であり、図6(B)の左の図面は、右上の図面のD−D切断線で切った断面を磁気センサー側から見た図である。ここに示す工程では、電磁コイル100Aについては、図6(A)に示すように、電磁コイル100Aを円筒領域に沿うように曲げると共に、磁気センサー側コイルエンド領域100ACE2を円筒領域の外周側に曲げ、電磁コイル100Bについては、図6(B)に示すように、電磁コイル100Bを円筒領域に沿うように曲げると共に、非磁気センサー側コイルエンド領域100BCE1を円筒領域の内周側に曲げる。
【0036】
図7は、電磁コイルの形成工程を示す説明図(その3)である。図7に示す工程では、電磁コイル100A、100Bの表面に絶縁膜101を形成する。電磁コイル100A、100Bを形成する電磁コイル用配線105(図5参照)は、絶縁被覆(図示せず)を有している。図6(A)、(B)に示す工程では、加熱しながら圧縮するので、絶縁皮膜が細り、電磁コイル100Aあるいは100Bの耐圧が低くなる。そのため、電磁コイル100A、100Bの表面に絶縁膜101を形成することにより、電磁コイル100A、100Bの耐圧を向上させる。なお、電磁コイル100Aあるいは100Bの導体(配線)の電気抵抗は極めて小さいため、1ターン毎の電圧降下は極めて小さい。したがって、ターン毎の配線の電圧は、ほぼ同じ電圧であり、各ターンを形成する配線間の耐圧が低くなっても、電流リークによる問題が生じにくい。したがって、電磁コイル用配線105の被覆を薄くして占積率を向上させることが好ましく、さらに、電磁コイル100A、100Bの表面に絶縁膜101を設けることにより、電磁コイル100A、100Bの表面の耐圧を向上させることが好ましい。
【0037】
図8は、電磁コイルとコイルバックヨークとの一体モジュールを形成する工程を示す説明図である。図8(A)に示す工程では、内金型401の外周に電磁コイル100Bを配置する。なお、図8においては、絶縁膜101の図示を省略している。内金型401は、太い円柱と、それよりやや細い円柱と、を同心でつなげた形をしており、一方(図8では右側)の太さが他方(図8では左側)の太さよりも細くなっている。この細くなった部分に、電磁コイル100Bの、内周側に曲げられた非磁気センサー側コイルエンド領域100BCE1が位置する。なお、この太い円柱と細い円柱の大きさの差は、電磁コイルの厚さと同じ厚さであることが好ましい。こうすれば、電磁コイル100Bの非磁気センサー側コイルエンド領域100BCE1の曲げの大きさを最小にでき、電磁コイル100Aとのインダクタンスの差を最小にすることができる。また、内金型401を外しやすくするため、分割構成の内金型401を採用しても良い。
【0038】
図8(B)に示す工程では、電磁コイル100Aを配置する。このとき、電磁コイル100Bの有効コイル領域の間に電磁コイル100Aの有効コイル領域が位置し、電磁コイル100Bの非磁気センサー側コイルエンド領域100BCE1の外周側に電磁コイル100Aの非磁気センサー側コイルエンド領域100ACE1が位置するように、電磁コイル100Aを配置する。
【0039】
図8(C)に示す工程では、電磁コイル100Aの外側に非磁気センサー側コイルエンド領域100ACE1側からコイルバックヨーク115を挿入する。本実施例の場合、コイルバックヨーク115の内径を、円筒領域の外径よりすこし大きい大きさまで小さくしても、電磁コイル100Aの外周側に曲げられた磁気センサー側コイルエンド領域100ACE2が邪魔にならないため、電磁コイル100A、100Bと、コイルバックヨーク115との間隔を狭く、すなわち、永久磁石200とコイルバックヨーク115との間隔を最小限に狭くすることができ、コアレスモーター10の効率を向上させることができる。また、コイルバックヨーク115を分割せず円筒形のまま挿入できるので、製造が容易である。また、コイルバックヨーク115が分割されていると、分割部分で磁束が不連続となってコギングが発生するおそれがあるが、本実施例では、コイルバックヨーク115が分割されていないので、コギングが起こりにくいという利点もある。図8(D)は、コイルバックヨーク115が挿入された状態を示す。
【0040】
図9は、樹脂130によるモールド工程を示す説明図である。図9(A)に示す工程では、図8(D)の工程に続いて外金型402〜405を配置する。外金型402、405は、円盤形状を有しており、それぞれ樹脂注入口402A、405Aを備えている。外金型403、404は、円筒形状を有している。まず、電磁コイル100A、100Bのコイルエンド領域の外周部に外金型403、404を配置する。本実施例では、コイルバックヨーク115を外部に剥き出しにするために、外金型403、404とコイルバックヨーク115とは重なっていない。なお、外金型403と404とをつなげて一体の外金型として、コイルバックヨーク115も覆うようにしてもよい。この場合、コイルバックヨーク115は外部に剥き出しとはならない。外金型403、404を配置した後、外金型402、405を配置する。
【0041】
図9(B)に示す工程では、樹脂注入口402A、405Aから樹脂130を注入し熱硬化させる。なお、図9(B)では見難くなっているが、コイルバックヨーク115と電磁コイル100A、100Bとの間にも樹脂130が充填される。樹脂130が硬化した後、外金型402〜405および内金型401を取り外す。図9(C)は、内金型401および外金型402〜405を取り外した状態を示す。
【0042】
図10は、ローターを組み込む工程を示す説明図である。樹脂モールドされた電磁コイル100A、100Bの磁気センサー側コイルエンド領域側から、軸受け240、永久磁石200が取り付けられた回転軸230、磁気センサー300が取り付けられた回路基板310、軸受け240を順に嵌めこんでいく。電磁コイル100A、100Bの磁気センサー側コイルエンド領域は、円筒領域の内周側に曲げられていないので、永久磁石200が取り付けられた回転軸230の挿入時に、円筒領域の内径よりも少し小さな大きさまで永久磁石200の外径を大きくしても、電磁コイル100A、100Bのコイルエンド領域と永久磁石200とが干渉しないので、永久磁石200と電磁コイル100A、100Bとの間隔を狭く、すなわち、永久磁石200とコイルバックヨーク115との間隔を最小限に狭くすることができ、コアレスモーター10の効率を向上させることができる。その後、ケーシング110を嵌めこんで、図1に示す電動モーターを形成することができる。
【0043】
以上、第1の実施例によれば、電磁コイル100Aの磁気センサー側コイルエンド領域100ACE2を外周側(コイルバックヨーク115側)に曲げ、電磁コイル100Bの非磁気センサー側コイルエンド領域100BCE1を内周側(永久磁石200側)に曲げているので、非磁気センサー側からコイルバックヨーク115を挿入し、磁気センサー側から永久磁石200を挿入することができる。そして、コイルバックヨーク115と電磁コイル100A、100Bの有効コイル領域との間隔を狭め、永久磁石200と、電磁コイル100A、100Bの有効コイル領域との間隔を狭めることができるので、コアレスモーター10の効率を向上させることが可能となる。また、コイルバックヨーク115を分割しないので、製造が容易となり、コギングの発生も抑制できる。
【0044】
本実施例では、電磁コイル100Aの2つの有効コイル領域の間に電磁コイル100Bの有効コイル領域を隙間無く埋め込めるので、電磁コイルの占積率を向上させて、コアレスモーター10の効率を向上させることができる。
【0045】
[第2の実施例]
図11は、第2の実施例を示す説明図である。図11(A)は、コアレスモーター10を回転軸230と平行な切断線で切ったときの断面を断面と垂直な方向から見たときの図を模式的に示し、図11(B)は、コアレスモーター10を回転軸230と垂直な切断線(図11(A)のB−B切断線)で切ったときの断面を断面と垂直な方向から見たときの図を模式的に示している。第1の実施例と比較すると、第2の実施例では、電磁コイル100A、100Bの数は半分となっている一方、第2の実施例の電磁コイル100A、100Bの1つの極の大きさは、第1の実施例の電磁コイル100A、100Bの1つの極の大きさよりも大きくなっている。また、第1の実施例では、同相の電磁コイル同士が接触するところがあるが、第2の実施例では、同相の電磁コイル同士が接触するところが無い点が異なる。すなわち、第1と第2の実施例は、電磁コイル100A、100Bの大きさ、組み合わせ方が異なっている。
【0046】
図12は、第2の実施例のコアレスモーター10を回転軸230と垂直な切断線で切ったときの断面を模式的に示している。図12(A)は、図11(A)に示す回転軸230と垂直なA−A切断線で電磁コイル100A、100Bの磁気センサー側コイルエンド領域を切ったときの断面を示し、図12(B)は、図11(A)に示す回転軸230と垂直なB−B切断線で電磁コイル100A、100Bの有効コイル領域を切ったときの断面を示し、図12(C)は、図11(A)に示す回転軸230と垂直なC−C切断線で電磁コイル100A、100Bの非磁気センサー側コイルエンド領域を切ったときの断面を示している。なお、図12(B)は、図11(B)と同じ図面である。
【0047】
図12(B)に示すように、電磁コイル100A、100Bの有効コイル領域における回転軸230と垂直な断面(図11のB−B切断線で切った断面)では、電磁コイル100Aと100Bは、同一の円筒領域に配置されている。第1の実施例では、図2(B)に示すように、隣接する電磁コイル100A同士、あるいは電磁コイル100B同士が接触しているところがあるが、第2の実施例では、同相の2つの電磁コイル100A同士、100B同士は、互いに接触していない。
【0048】
図12(A)に示す磁気センサー側コイルエンド領域における回転軸230と垂直な断面では、電磁コイル100Bのコイルエンド領域は、図12(B)の電磁コイル100Bの有効コイル領域が配置される円筒領域と同一の円筒領域に配置されているが、電磁コイル100Aのコイルエンド領域は、電磁コイル100Aの有効コイル領域が配置される円筒領域よりも外周側に配置されている。また、電磁コイル100Bと隣の電磁コイル100Bとは接触しておらず樹脂130が充填されている。電磁コイル100Aと隣の電磁コイル100Aとの間についても同様に、接触しておらず樹脂130が充填されている。なお、コイルエンド領域は、コアレスモーター10の回転力に影響を与えない領域なので、コイルエンド領域において、同相の電磁コイルの間に樹脂130が充填されていても、いなくても、コアレスモーター10の電気的特性はほとんど変わらない。
【0049】
図12(C)に示す非磁気センサー側コイルエンド領域における回転軸230と垂直な断面では、電磁コイル100Aのコイルエンド領域は、図12(B)の電磁コイル100Aの有効コイル領域が配置される円筒領域と同一の円筒領域に配置されているが、電磁コイル100Bのコイルエンド領域は、電磁コイル100Bの有効コイル領域が配置される円筒領域よりも内周側に配置されている。また、図12(A)に示すのと同様に、電磁コイル100Aと隣の電磁コイル100Aとは接触しておらず樹脂130が充填されている。電磁コイル100Bと隣の電磁コイル100Bとは、接触しておらず樹脂130が充填されている。
【0050】
図13は、第2の実施例における電磁コイルの形成工程を示す説明図(その1)である。図14は、第2の実施例における電磁コイルの形成工程を示す説明図(その2)である。図15は、第2の実施例における電磁コイルの形成工程を示す説明図(その3)である。第1の実施例では、電磁コイル100Aの有効コイル領域におけるコイル束の幅(電磁コイル100Aの有効コイル領域が配置される円筒領域に沿った方向の幅)は、2つの有効コイル領域の間隔(電磁コイル100Aの有効コイル領域が配置される円筒領域に沿った方向の間隔)のほぼ半分の大きさであったが、第2の実施例では、電磁コイル100Aの有効コイル領域におけるコイル束の幅は、2つの有効コイル領域の間隔とほぼ同じ大きさである点が異なっている。この点を除いては電磁コイル100A、100Bの形成工程は、第1の実施例における電磁コイル100A、100Bの形成工程(図5〜図7)と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
図16は、電磁コイル100Aと100Bの組み立て工程を示す説明図である。なお、図16では、絶縁膜101(図15A、図15B)の記載を省略している。また、図16(A)は、電磁コイル100A、100Bをコアレスモーター10に組み込んだときの永久磁石200側から見た平面図とA−A断面と、B−B断面と、C−C断面とを表している。図16(B)は、コイルバックヨーク115側から見た斜視図である。なお、図16(B)における斜視図において、有効コイル領域における電磁コイル100A(100B)の2つの配線の束の間隔と、電磁コイル100B(100A)の配線の束の幅はほぼ同じであるが、その比率で図示すると見難くなるため、電磁コイル100A、100Bの2つの配線の束の間隔を広げて図示している。また、図3(B)と同様に、模式的に平面で示している。電磁コイル100Bが配置される円筒領域の放射方向外周側から、電磁コイル100Bの中央部の2つの有効コイル領域の間に電磁コイル100Aの有効コイル領域が嵌り込むように、電磁コイル100Aを嵌めこむことにより電磁コイルサブアッセンブリー150(コイルサブ集合体)が形成される。電磁コイルサブアッセンブリー150は、電磁コイル100が為す円筒領域の一部を形成している。そして、電磁コイル100Aの磁気センサー側コイルエンド領域100ACE2が円筒領域から外周方向に曲げられており、電磁コイル100Bの非磁気センサー側コイルエンド領域100BCE1が円筒領域から内周方向に曲げられている。
【0052】
図17は、第2の実施例における電磁コイルの配線を模式的に示す説明図である。図4に示した第1の実施例の電磁コイルの配線と比較すると、第1の実施例では、電磁コイル100Aと100Bとが複雑に咬み合って見えるが、図17に示す第2の実施例では、電磁コイル100Aと100Bとが1極ずつで1つの電磁コイルサブアッセンブリー150を形成し、電磁コイルサブアッセンブリー150が接続されて電磁コイルが形成されているので、簡素な構成に見える点が異なっている。すなわち、第2の実施例では、電磁コイルサブアッセンブリー150を形成し、組み合わせることにより、容易にコアレスモーター10を形成することが出来る。
【0053】
図18は、第2の実施例における電磁コイルとコイルバックヨークとの一体モジュールを形成する工程を示す説明図である。図18(A)に示す工程では、内金型401の外周に電磁コイルサブアッセンブリー150を配置する。内金型401の形状は、第1の実施例と同様である。図18(B)は、全ての電磁コイルサブアッセンブリー150が配置された状態を示している。図18(C)に示す工程は、図8(C)に示す工程と同様である。図18(D)は、コイルバックヨーク115が挿入された状態を示す。その後の工程は、図9、図10に示す第1の実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
[第3の実施例]
図19は、第3の実施例を示す説明図である。第1、第2の実施例は、ステーター15の内側にローター20が配置されるインナーローター型のコアレスモーター10であったが、第3の実施例は、ステーター15の外側にローター20が配置されるアウターローター型の電動モーターである点が異なっている。第3の実施例の電磁コイル100A、100Bは、電磁コイル用配線105により、コイル配置基板311と接続されている。第3の実施例の電磁コイル100A、100Bの形状、配置は第1の実施例における電磁コイル100A、100Bの形状、配置と同様、あるいは、第2の実施例における電磁コイル100A、100Bの形状、配置と同様である。ただし、第3の実施例では、背面に磁石バックヨーク215を備えた永久磁石200が、電磁コイル100A、100Bの外周側に配置され、コイルバックヨーク115が、電磁コイル100A、100Bの内周側に配置されている。そして、製造工程において、コイルバックヨーク115は、磁気センサー側から挿入される。永久磁石200は、ローター20と一体として、非磁気センサー側から挿入される。
【0055】
[第4の実施例]
第1〜3の実施例では、電磁コイルが2相の場合を例にとり説明したが、電磁コイルは3相またはそれ以上であってもよい。図20Aは、第4の実施例を示す説明図である。図20Aは、3相の電磁コイルに、コイルバックヨーク115と永久磁石200が取り付けられた回転軸230とを挿入する様子を模式的に示している。なお、図20Aでは、樹脂130を省略している。この実施例では、電磁コイル100A〜100Cの3相の電磁コイルを備える。なお、本実施例では、電磁コイルの符号として100A、100B、100Cを用いたが、3相の電磁コイルがスター結線やデルタ結線される場合には、相として、u相、v相、w相の名前が使われる場合もあるので、電磁コイルの符号として100u、100v、100wの符号を用いてもよい。電磁コイル100A、100Bの磁気センサー側コイルエンド領域は外周側に曲げられており、電磁コイル100B、100Cの非磁気センサー側コイルエンド領域は内周側に曲げられている。ここで、電磁コイル100Bの外周側へ曲げられている曲げの大きさは、電磁コイル100Aが外周側へ曲げられている曲げの大きさよりも小さい。また、電磁コイル100Bの内周側へ曲げられている曲げの大きさは、電磁コイル100Cが内周側へ曲げられている曲げの大きさよりも小さい。コイルバックヨーク115は、非磁気センサー側コイルエンド領域側から回転軸230の軸方向に沿って挿入され、永久磁石200は、磁気センサー側コイルエンド領域側から回転軸230の軸方向に沿って挿入される。
【0056】
図20Bは、第4の実施例のコアレスモーター10を回転軸230に垂直な面で切ったときの断面から見た図を模式的に示す説明図である。ここでは、磁気センサー側のコイルエンド領域を示している。図20Bにおいては、円弧は、電磁コイルのコイルエンド領域を模式的に示しており、円弧が大きいほどコイルエンド領域がよりコイルバックヨーク215側に曲げられていることを示している。したがって、A相の電磁コイル100Aは、最も外側(コイルバックヨーク215側)に曲げられており、次いでB相の電磁コイル100Bが外側(コイルバックヨーク215側)に曲げられている。なお、C相の電磁コイル100Cについては、実際のコアレスモーター10では曲げられていないが、図示したとき電磁コイルのハッチングと重なり見難くなるのを避けるため、コイルバックヨーク215の外側に円弧を図示している。
【0057】
一般に(M+2)相(Mは自然数)の電磁コイルを有する場合、第1の相の電磁コイル(図20で言えば電磁コイル100A)の磁気センサー側コイルエンド領域は最も大きく外周側(コイルバックヨーク115側)に曲げられており、第2の相の電磁コイル(図20で言えば電磁コイル100C)の非磁気センサー側コイルエンド領域は最も大きく内周側(永久磁石200側)に曲げられている。残りのM相の電磁コイル(図20で言えば電磁コイル100A、100C以外の電磁コイル)の磁気センサー側コイルエンド領域は、相毎に異なる大きさで外周側に曲げられており、非磁気センサー側コイルエンド領域は、相毎に異なる大きさで内周側に曲げられている。このとき、残りM相の磁気センサー側コイルエンド領域の外周側に曲げられている大きさは、第1の相の電磁コイルの磁気センサー側コイルエンド領域が外周側に曲げられている大きさよりも小さい。また、非磁気センサー側コイルエンド領域の内周側に曲げられている大きさは、第2の相の電磁コイルの非磁気センサー側コイルエンド領域が内周側に曲げられている大きさよりも小さい。さらに、M相のコイルエンド領域が曲げられている大きさは、磁気センサー側コイルエンド領域において曲げられている大きさが小さいほど、非磁気センサー側コイルエンド領域において曲げられている大きさが大きい。こうすると、電磁コイルを円筒領域に配置するときに、コイルエンド領域の衝突、あるいは干渉を抑制できる。また、このような電磁コイルの形成、配置であれば、各相の電磁コイル100A〜100Cは独立して鎖状に繋がらないので、電磁コイル100A〜100Cやコアレスモーター10の製造が容易となる。
【0058】
[第5の実施例]
図20Cは、第5の実施例を示す説明図である。第5の実施例は、第4の実施例と同様に3相の電磁コイル100A〜100Cを備えている。図20Cにおいても、図20Bと同様に、円弧は、コイルエンド領域を示している。第4の実施例では、磁気センサー側のコイルエンド領域について、A相の電磁コイル100Aは、最も外側に曲げられており、次いでB相の電磁コイル100Bが外側(コイルバックヨーク215側)に曲げられており、C相の電磁コイル100Cについては、曲げられていない。これに対し、第5の実施例では、A相〜C相の電磁コイル100A〜100Cはそれぞれ4個あり、各相において2個は、外側の円弧が示すように磁気センサー側コイルエンド領域が外側に曲がっており、残る各2個の電磁コイルは、内側の円弧が示すように磁気センサー側コイルエンド領域が曲がっていない。そして、各相において、磁気センサー側コイルエンド領域が外側に曲まがっている電磁コイル(以下「第1形状電磁コイル」と呼ぶ。)と、磁気センサー側コイルエンド領域が曲がっていない電磁コイルは(以下「第2形状電磁コイル」と呼ぶ。)、同数であり、交互に配置されている。なお、第1形状電磁コイルは、非磁気センサー側コイルエンド領域が曲がっておらず、第2形状電磁コイルは、非磁気センサー側コイルエンド領域が内側に曲がっている。
【0059】
図20Dは、第5の実施例を回転軸230と平行な面で切ったときの断面を示す説明図である。図20D(A)〜(F)は、回転軸230と平行な面を30°ずつ、ずらしていったときの電磁コイルの断面を示している。左側の磁気センサー側コイルエンド領域が外側(図面上側)に曲げられている電磁コイル(第1形状電磁コイル)は、右側の非磁気センサー側コイルエンド領域は曲げられていない。一方、左側の磁気センサー側コイルエンド領域が曲げられていない電磁コイル(第2形状電磁コイル)は、右側の非磁気センサー側コイルエンド領域が内側(図面下側)に曲げられている。例えば、図20D(F)(A)に示すように電磁コイル100Aの磁気センサー側コイルエンド領域(図面左側)は、外側(図面上方)に曲げられており、非磁気センサー側コイルエンド領域(図面右側)は曲げられていない。一方、図20D(C)、(D)に示すように、電磁コイル100Aの非磁気センサー側コイルエンド領域は、内側(図面下方)に曲げられており、磁気センサー側コイルエンド領域は曲げられていない。同様に、図20D(D)(E)に示すように電磁コイル100Bの磁気センサー側コイルエンド領域は、外側に曲げられており、非磁気センサー側コイルエンド領域は曲げられていない。一方、図20D(A)、(B)に示すように、電磁コイル100Bの非磁気センサー側コイルエンド領域は、内側に曲げられており、磁気センサー側コイルエンド領域は曲げられていない。図20D(B)(C)に示すように電磁コイル100Cの磁気センサー側コイルエンド領域は、外側に曲げられており、非磁気センサー側コイルエンド領域は曲げられていない。一方、図20D(E)、(F)に示すように、電磁コイル100Cの非磁気センサー側コイルエンド領域は、内側に曲げられており、磁気センサー側コイルエンド領域は曲げられていない。ここで、磁気センサー側コイルエンド領域が外側に曲げられた電磁コイルを「第1の電磁コイル」と呼び、非磁気センサー側コイルエンド領域が内側に曲げられた電磁コイルを「第2の電磁コイル」と呼ぶ。なお、電磁コイル100A〜100Cのいずれにおいてもそれぞれ同数の第1と第2の電磁コイルを含んでいる。
【0060】
コイルエンドについて第4、第5の実施例を比較すると、第5の実施例は、さらに、以下の点に特徴がある。すなわち、第4の実施例では、円弧が三重になる部分がある。このことは、例えば、第4の実施例では、図20Aに示すように、コイルエンド領域が三重に重なる部分が生じることを意味する。これに対し、第5の実施例では、円弧は、最大でも二重にしかならない。すなわち、第5の実施例では、3相であっても図1に示す第1の実施例と同様に、コイルエンド領域の重なりは二重で済むことになる。よって、コアレスモーター10の大きさを小さくすることができる。
【0061】
第4の実施例では、A相電磁コイル100Aは、磁気センサー側コイルエンド領域がコイルバックヨーク側に曲げられ、非磁気センサー側コイルエンド領域は曲げられていない。B相電磁コイル100Bは、磁気センサー側コイルエンド領域がコイルバックヨーク側に曲げられ、非磁気センサー側コイルエンド領域は永久磁石側に曲げられている。C相電磁コイル100Cは、磁気センサー側コイルエンド領域が曲げられておらず、非磁気センサー側コイルエンド領域は永久磁石側に曲げられている。すなわち、A相〜C相は、コイルエンド領域の形状が異なる。したがって、電磁コイル100A〜100Cの電気的特性は主として有効コイル領域で決まるのでほぼ同じであるが、厳密に言えば、コイルエンド領域の形状の違いにより微妙に異なる。これに対し、第5の実施例では、コアレスモーター10は、A相からC相の各電磁コイル100A〜100Cにつき、それぞれ、第1形状電磁コイルをそれぞれ2つずつ有しており、これらの電気的特性は同一である。また、A相からC相の各電磁コイル100A〜100Cは、第2形状電磁コイルをそれぞれ2つずつ有しており、これらについても、電気的特性は同一である。すなわち、A相〜C相の電磁コイルの電気的特性は同一である。よって第5の実施例のコアレスモーターは、相間のアンバランスによるトルクの変動が起こり難く、バランスがいいので、コアレスモーターの効率を向上させることができる。
【0062】
第5の実施例のコアレスモーターは、図8以降を用いて説明した第1の実施例と同様の工程により製造することができる。図8(A)に示す工程と同様に、内金型401の外周に電磁コイル100A〜100Cが有する2つの形状の電磁コイルのうちの第2形状電磁コイルを例えばA相、B相、C相の順番に均等間隔で配置する。次いで、図8(B)に示す工程と同様に、電磁コイル100A〜100Cが有する2つの形状の電磁コイルのうちの第1形状電磁コイルの2つの有効コイル領域が、2つの第2形状電磁コイルのそれぞれ1つの有効コイル領域を挟むように配置する。例えば、電磁コイル100Cの第1形状電磁コイルの2つの有効コイル領域は、電磁コイル100Aの第2形状電磁コイルと電磁コイル100Bの第2形状電磁コイルのそれぞれ1つの有効コイル領域を挟み、電磁コイル100Aの第1形状電磁コイルの2つの有効コイル領域は、電磁コイル100Bの第2形状電磁コイルと電磁コイル100Cの第2形状電磁コイルのそれぞれ1つの有効コイル領域を挟み、電磁コイル100Bの第1形状電磁コイルの2つの有効コイル領域は、電磁コイル100Cの第2形状電磁コイルと電磁コイル100Aの第2形状電磁コイルのそれぞれ1つの有効コイル領域を挟んでいる。この構成は、逆向きに考えれば、電磁コイル100Cの第2形状電磁コイルの2つの有効コイル領域は、電磁コイル100Aの第1形状電磁コイルと電磁コイル100Bの第1形状電磁コイルのそれぞれ1つの有効コイル領域を挟み、電磁コイル100Aの第2形状電磁コイルの2つの有効コイル領域は、電磁コイル100Bの第1形状電磁コイルと電磁コイル100Cの第1形状電磁コイルのそれぞれ1つの有効コイル領域を挟み、電磁コイル100Bの第2形状電磁コイルの2つの有効コイル領域は、電磁コイル100Cの第1形状電磁コイルと電磁コイル100Aの第1形状電磁コイルのそれぞれ1つの有効コイル領域を挟んでいる構成である。なお、以降の工程は第1の実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0063】
なお、第5の実施例では、電磁コイルが3相の場合を例にとり説明したが、相の数は3相に限られず、2相以上であればよい。ここで、相の数が奇数の場合、上述した3相での説明のように、各相の電磁コイルは、それぞれ同数の第1形状電磁コイルと第2形状電磁コイルを有する。これに対し、相の数が2相の場合、例えば第1の実施例で示したように、電磁コイル100Aは第1形状電磁コイルとなり、電磁コイル100Bは第2形状電磁コイルなる。4相以上の場合、電磁コイルの形は、第1、第3相の電磁コイルは、第1形状電磁コイル、第2、第3相の電磁コイルは、第2形状電磁コイルというように、相が決まれば、第1形状電磁コイル、第2形状電磁コイルのどちらかに決まる。そして、第1形状電磁コイルとなる相の数と、第2形状電磁コイルとなる相の数は同じである。したがって、相の数がいくつであっても、各相の電磁コイルの電気的特性は全体としてみれば同一または回転対称である。よって、コアレスモーターは、相間のアンバランスによるトルクの変動が起こり難く、バランスがいいので、コアレスモーターの効率を向上させることができる。
【0064】
[第6の実施例]
図20Eは、第6の実施例を示す説明図である。第6の実施例は、電磁コイルが3相であり、かつ、第2の実施例と同様に、3相の電磁コイル100A〜100Cから、それぞれ1個の電磁コイルが集まって電磁コイルサブアッセンブリーを形成している実施例である。この実施例では、第2の実施例と同様に、電磁コイルサブアッセンブリーを形成し、組み合わせることにより、容易にコアレスモーターを形成することが出来る。
【0065】
図21は、本発明の変形例によるモーター/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。この自転車3300は、前輪にモーター3310が設けられており、サドルの下方のフレームに制御回路3320と充電池3330とが設けられている。モーター3310は、充電池3330からの電力を利用して前輪を駆動することによって、走行をアシストする。また、ブレーキ時にはモーター3310で回生された電力が充電池3330に充電される。制御回路3320は、モーターの駆動と回生とを制御する回路である。このモーター3310としては、上述した各種のコアレスモーター10を利用することが可能である。
【0066】
図22は、本発明の変形例によるモーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。このロボット3400は、第1と第2のアーム3410,3420と、モーター3430とを有している。このモーター3430は、被駆動部材としての第2のアーム3420を水平回転させる際に使用される。このモーター3430としては、上述した各種のコアレスモーター10を利用することが可能である。
【0067】
図23は、本発明の変形例によるモーターを利用した双腕7軸ロボットの一例を示す説明図である。双腕7軸ロボット3450は、関節モーター3460と、把持部モーター3470と、アーム3480と、把持部3490と、を備える。関節モーター3460は、肩関節、肘関節、手首関節に相当する位置に配置されている。関節モーター3460は、アーム3480と把持部3490とを、3次元的に動作させるため、各関節につき2つのモーターを備えている。また、把持部モーター3470は、把持部3490を開閉し、把持部3490に物を掴ませる。双腕7軸ロボット3450において、関節モーター3460あるいは把持部モーター3470として、上述した各種のコアレスモーターを利用することが可能である。
【0068】
図24は、本発明の変形例によるモーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。この鉄道車両3500は、電動モーター3510と、車輪3520とを有している。この電動モーター3510は、車輪3520を駆動する。さらに、電動モーター3510は、鉄道車両3500の制動時には発電機として利用され、電力が回生される。この電動モーター3510としては、上述した各種のコアレスモーター10を利用することができる。
【0069】
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【符号の説明】
【0070】
10…コアレスモーター
15…ステーター
20…ローター
100ACE1、2…電磁コイル100Aのコイルエンド領域
100BCE1,2…電磁コイル100Bのコイルエンド領域
100…電磁コイル
100A…電磁コイル
100B…電磁コイル
100C…電磁コイル
100Aa…コイル部分
100Ab…コイル部分
100Ac…接続部
101…絶縁膜
105…電磁コイル用配線
110…ケーシング
115…コイルバックヨーク
130…樹脂
150…電磁コイルサブアッセンブリー
200…永久磁石
215…磁石バックヨーク
230…回転軸
240…軸受け
260…波バネ座金
300…磁気センサー
310…回路基板
401…内金型
402、403、404、405…外金型
402A、405A…樹脂注入口
φ1…電磁コイルの導体の束の幅(太さ)
L2…電磁コイルの有効コイル領域におけるコイル束の間隔
3300…自転車
3310…モーター
3320…制御回路
3330…充電池
3400…ロボット
3410…第2のアーム
3420…第2のアーム
3430…モーター
3450…双腕7軸ロボット
3460…関節モーター
3470…把持部モーター
3480…アーム
3490…把持部
3500…鉄道車両
3510…電動モーター
3520…車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1と第2の部材とが互いに相対的に移動可能な円筒形状の第1と第2の部材を有するコアレス電気機械装置であって、
前記第1の部材に配置された永久磁石と、
前記第2の部材に配置されたM相のコイル群(Mは2以上の整数)であって、前記第1の部材を前記第2の部材に対して相対的に移動させる力を生じさせる2つの有効コイル領域と、2つのコイルエンド領域とを有している電磁コイルをそれぞれ有しているM相のコイル群と、
前記第2の部材に配置されたコイルバックヨークと、
を備え、
前記M相のコイル群に含まれる前記M相の電磁コイルの前記有効コイル領域は、前記永久磁石と前記コイルバックヨークとの間の円筒領域に、前記有効コイル領域が軸方向に平行な方向に沿って伸びると共に、前記M相の電磁コイルの全体が前記円筒領域の円周方向に並んでおり、
前記永久磁石と前記コイルバックヨークは前記有効コイル領域を挟んで対向するように配置され、
前記M相のコイル群のうちの第1の相の前記電磁コイルの2つのコイルエンド領域のうち第1の側のコイルエンド領域は、前記コイルバックヨーク側に曲がっておらず、さらに、前記第1の相以外の(M−1)相のコイル群に含まれる電磁コイルの前記第1の側のコイルエンド領域は、前記永久磁石側に曲がっており、
前記第1の相とは異なる第2の相のコイル群に含まれる電磁コイルの2つのコイルエンド領域のうち前記第1の側と反対側である第2の側のコイルエンド領域は、前記永久磁石側に曲がっておらず、さらに、前記第2の相以外の(M−1)相の電磁コイルの前記第2の側のコイルエンド領域は、前記コイルバックヨーク側に曲がっている、
コアレス電気機械装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコアレス電気機械において、
前記第1の相の電磁コイルの前記第1の側のコイルエンド領域は、前記電磁コイルの有効コイル領域が配置している円筒領域を含む円筒面上に曲がらずに配置しているか、または、前記円筒面から前記永久磁石側に曲がっており、
前記第2の相の電磁コイルの前記第2の側のコイルエンド領域は、前記円筒面上に曲がらずに配置しているか、または、前記円筒面から前記コイルバックヨーク側に曲がっている、コアレス電気機械装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコアレス電気機械装置において、
前記Mの値が3以上の場合には、
前記第1、第2の相のコイル群以外の(M−2)相のコイル群に含まれる電磁コイルの前記第1のコイルエンド領域は、前記第1の相の電磁コイルのコイルエンド領域が前記永久磁石側に曲がっている大きさよりも小さい大きさで、かつ、相毎に異なる大きさで前記永久磁石側に曲がっており、
前記(M−2)相のコイル群に含まれる電磁コイルの前記第2のコイルエンド領域は、前記第2の相のコイル群に含まれる電磁コイルのコイルエンド領域が前記コイルバックヨーク側に曲がっている大きさよりも小さい大きさで、かつ前記第1の相のコイル群に含まれる電磁コイルのコイルエンド領域が曲がっている大きさが小さい相ほど大きく曲がるように相毎に異なる大きさで前記コイルバックヨーク側に曲がっている、
コアレス電気機械装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項記載のコアレス電気機械装置において、
同一の相のコイル群に含まれる隣り合う電磁コイルの有効コイル領域の間に他の相のコイル群に含まれる電磁コイルの有効領域が挿入されないように前記同一の相のコイル群に含まれる隣り合う電磁コイルが接触しており、
前記電磁コイルが有する前記2つの有効コイル領域の間の幅は、前記電磁コイルの前記有効コイル領域における前記電磁コイルの幅の2(M−1)倍の大きさであり、
前記2つの有効コイル領域の間に、前記他の相のコイル群に含まれる電磁コイルの有効領域を2つずつ合計2(M−1)個有している、コアレス電気機械装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記M相のコイル群のそれぞれから電磁コイルが各1つずつ集まって1つのコイルモジュールを形成しており、
前記電磁コイルが有する2つの有効コイル領域の間の幅は、前記電磁コイルの前記有効コイル領域における前記電磁コイルの幅の(M−1)倍の大きさであり、
前記コイルモジュールにおいて、前記M相のコイル群のうちの第1の相のコイル群に含まれる電磁コイルは、2つの有効コイル領域の間に、前記第1の相のコイル群以外の(M−1)相のコイル群に含まれる電磁コイルの2つの有効コイル領域のうちの一方の有効コイル領域を有している、コアレス電気機械装置。
【請求項6】
第1と第2の部材とが互いに相対的に移動可能な円筒形状の第1と第2の部材を有するコアレス電気機械装置であって、
前記第1の部材に配置された永久磁石と、
前記第2の部材に配置されたM相のコイル群(Mは2以上の整数)であって、前記永久磁石と前記コイルバックヨークとの間の円筒領域に配置され、前記第1の部材を前記第2の部材に対して相対的に移動させる力を生じさせる2つの有効コイル領域と、2つのコイルエンド領域とを有している電磁コイルを有しているM相のコイル群と、
前記第2の部材に配置されたコイルバックヨークと、
を備え、
前記電磁コイルは、2つのコイルエンド領域のうちの第1の側のコイルエンド領域が前記永久磁石側に曲がり、第2の側のコイルエンド領域が前記円筒領域を含む円筒面上に曲がらずに配置している第1のコイル形状有する第1形状電磁コイルと、前記第1の側のコイルエンド領域が前記コイルバックヨーク側に曲がり、第1の側のコイルエンド領域が前記円筒領域を含む円筒面上に曲がらずに配置している第2のコイル形状有する第2形状電磁コイルと、を含んでおり、
1組の前記第1形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域の間に、他の2組の前記第2形状電磁コイルの2つの有効コイル領域のうちのそれぞれ1つの有効コイル領域が配置され、1組の前記第2形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域の間に、他の2組の前記第1形状電磁コイルの2つの有効コイル領域のうちのそれぞれ1つの有効コイル領域が配置されるように前記M相のコイル群の電磁コイルが配列されている、コアレス電気機械装置。
【請求項7】
請求項6に記載のコアレス電気機械装置において、
前記Mは偶数であり、
前記電磁コイルは、相毎に、前記第1形状電磁コイル又は前記第2形状電磁コイルのいずれかの形状を有し、
前記第1形状電磁コイル又は第2形状電磁コイルの数は同数である、コアレス電気機械装置。
【請求項8】
請求項6に記載のコアレス電気機械において、
前記Mは奇数であり、
各相の電磁コイルは、それぞれ同数の前記第1形状電磁コイルと、前記第2形状電磁コイルを含んでいる、コアレス電気機械装置。
【請求項9】
請求項8に記載のコアレス電気機械装置において、
前記Mは3であり、
前記円筒面に第1の相、第2の相、第3の相の前記第1形状電磁コイルが順番に環状に配置されるとともに、前記第1の相の前記第2形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域が前記第2、第3の相の前記第1形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域のそれぞれ1つを挟むように配置され、前記第2の相の前記第2形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域が前記第3、第1の相の前記第1形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域のそれぞれ1つを挟むように配置され、前記第3の相の前記第2形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域が前記第1、第2の相の前記第1形状電磁コイルの前記2つの有効コイル領域のそれぞれ1つを挟むように配置されている、コアレス電気機械装置。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記電磁コイルの2つの有効コイル領域の間隔は、前記電磁コイルの前記有効コイル領域における前記電磁コイルの幅の2倍の大きさである、コアレス電気機械装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記各相のコイル群に含まれる電磁コイルの前記コイルエンド領域の曲がる前の形状は、同一形状であり、前記電磁コイルは同じ電気抵抗値を有している、コアレス電気機械装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置において、
前記電磁コイルを形成している導体の材料が同じ材料であり、
前記導体の直径が同じ太さであり、
前記電磁コイルの前記導体の巻数が同じであり、
前記電磁コイルは同じ電気抵抗値を有している、コアレス電気機械装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置を備える移動体。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のコアレス電気機械装置を備えるロボット。
【請求項15】
M相(Mは2以上の整数)の電磁コイルを有するコアレス電気機械装置の製造方法であって、
(a)同形の電磁コイルを準備する工程と、
(b)前記電磁コイルの有効コイル領域を円筒領域に沿うように曲げる工程と、
(c)M相のうちの第1の相以外の(M−1)相の電磁コイルの2つのコイルエンド領域の一方を前記電磁コイルの有効コイル領域が配置される円筒領域の内周側に相毎に異なる大きさで曲げ、前記第1の相とは異なる第2の相以外の(M−1)相の電磁コイルの2つのコイルエンド領域の前記一方と反対側の他方のコイルエンド領域を前記内周側に曲げた大きさが小さいほど大きくなるように、円筒領域の外周側に曲げる工程と、
(d)前記電磁コイルを相毎に内側方向に曲げたときの大きさが大きい順に配置して、前記電磁コイルの有効領域が円筒領域に配置された電磁コイルを形成する工程と、
(e)前記コアレス電気機械装置の軸に沿った方向のうち前記曲げられたコイルエンド領域と干渉しない方向から前記円筒面の外周側と内周側に、前記コイルバックヨークと前記永久磁石とをそれぞれ挿入して配置する工程と、
を備える、コアレス電気機械装置の製造方法。
【請求項16】
M相(Mは2以上の整数)の電磁コイルを有するコアレス電気機械装置の製造方法であって、
(a)同形の電磁コイルを準備する工程と、
(b)前記電磁コイルの有効コイル領域を円筒領域に沿うように曲げる工程と、
(c)M相のうちの第1の相以外の(M−1)相の電磁コイルの2つのコイルエンド領域の一方を前記電磁コイルの有効コイル領域が配置される円筒領域の内周側に相毎に異なる大きさで曲げ、前記第1の相とは異なる第2の相以外の(M−1)相の電磁コイルの2つのコイルエンド領域の前記一方と反対側の他方のコイルエンド領域を前記内周側に曲げた大きさが小さいほど大きくなるように、円筒領域の外周側に曲げる工程と、
(d)前記M相の電磁コイルから各相1個合計M個の電磁コイルを用い、前記M個電磁コイルの内の第1の電磁コイルの有効コイル領域を、他の(M−1)個の電磁コイルの有効コイル領域を形成するN本の導体で形成された導体束により、隣り合う導体束が接するようにコイルサブ集合体を形成する工程と、
(e)前記コイルサブ集合体P個を前記円筒片の放射方向に重ならないように、かつ隣り合うコイルサブ集合体が接するように並べて、前記電磁コイルの有効領域が円筒領域に配置された電磁コイルを形成する工程と、
(f)前記コアレス電気機械装置の軸に沿った方向のうち前記曲げられたコイルエンド領域と干渉しない方向から前記円筒面の外周側と内周側に、前記コイルバックヨークと前記永久磁石とをそれぞれ挿入して配置する工程と、
を備える、コアレス電気機械装置の製造方法。
【請求項17】
M相(Mは2以上の整数)の電磁コイルを有するコアレス電気機械装置の製造方法であって、
(a)同形の電磁コイルを準備する工程と、
(b)前記電磁コイルの有効コイル領域を円筒領域に沿うように曲げる工程と、
(c)各相の電磁コイルについて、第1の側のコイルエンド領域が前記円筒領域の外側に曲がっており、前記第1と反対側の第2の側のコイルエンド領域が前記円筒領域と同一の円筒面にあって前記円筒領域の外側または内側のどちらにも曲がっていない第1形状電磁コイルと、前記第2の側のコイルエンド領域が前記円筒領域の内側に曲がっており、前記第1の側のコイルエンド領域が前記円筒領域と同一の円筒面にあって前記円筒領域の外側または内側のどちらにも曲がっていない第2形状電磁コイルと、形成する工程と、
(d)前記各相の第2形状電磁コイルを前記円筒領域に並べる工程と、
(e)前記各相の第1形状電磁コイルを前記円筒領域に並べる工程と、
(f)前記コアレス電気機械装置の軸に沿った方向のうち前記曲げられたコイルエンド領域と干渉しない方向から前記円筒面の外周側と内周側に、前記コイルバックヨークと前記永久磁石とをそれぞれ挿入して配置する工程と、
を備える、コアレス電気機械装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図20E】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−66335(P2013−66335A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204282(P2011−204282)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】