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コイル巻き磁気リング
説明

コイル巻き磁気リング

【課題】磁気リングを垂直ホールの中に電気分解によって堆積する必要のないコイル巻き磁気リングの製造工程を提供する。
【解決手段】磁気リング170は、U形状上部172およびU形状下部174によって形成され、各上部および下部は、2つの垂直アーム176、178、180、182を備えている。各垂直アームは、プリント回路基板4のそれぞれのホールの中に挿入され、上部の各アームは、それぞれのホールの中で、下部の対応したアームの上に、水平方向に重ね合わされて、これにより、磁気リングのこれらの2つの部分の間の磁気連続性を確保している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル巻き磁気リング、特に、プリント回路基板で作られたコイル巻き磁気リングに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路基板(PCB)は、電気素子のセットの電気接続として使用されるキャリアである。このプリント回路基板は、一般に、層状、または積層板の形をしている。このプリント回路基板は、単一の層、または多層のプリント回路基板として作ることができる。単一層のプリント回路基板は、ただ1つのメタライズ層を有し、このメタライズ層の中に、種々の異なる電気素子を互いに電気的に接続しているプリント導電トラックが存在する。一方、多層プリント回路基板は、複数のメタライズ層を有し、少なくとも2層、また、4層または6層よりも多いことが望ましい。本明細書における以下の記述は、主として、これらの多層プリント回路基板に関するものである。
【0003】
1つのメタライズ層は、プリント回路基板を形成している複数の層状の板の中の1つの層であり、この中に、1つ以上の導電トラックが作られ、この導電トラックは、種々の異なる電気素子を互いに電気的に接続している。この層は、平坦であり、層状の板の面に平行に広がっている。一般に、メタライズ層は、導電材料(典型的に、銅等の金属)の均一層を堆積させ、その後、この均一層をエッチングして、導電トラックだけを残すことにより得ることができる。
【0004】
プリント回路基板の異なるメタライズ層は、電気絶縁材料からなっている絶縁層によって、機械的に互いに隔てられている。この絶縁材料は、高い絶縁耐力(典型的には、3MV/mより大きく、また、10MV/mより大きいことが望ましい)を有する。例えば、電気絶縁材料は、エポキシ樹脂、および/またはグラスファイバーでできている。この絶縁層は、一般的に、他の層と結合された際に粘稠にならない材料からなる強固な板の形をしている。例えば、この絶縁層は、既に非可逆的な熱硬化を経た熱硬化性樹脂からなっている。
【0005】
多層プリント回路基板の異なる層は、「予備含浸させた」層として公知(一般的には、「プリプレグ」層として公知)の接着層によって、互いに自由度なく結合されている。
【0006】
予備含浸させた層は、一般的に、布等の強化成分に予備含浸させた、熱硬化性樹脂によって構成されている。樹脂は、典型的にはエポキシ樹脂である。プリント回路基板の製造工程において、熱硬化性樹脂の変性は、非可逆重合を伴うこととなる。この非可逆重合は、予備含浸させた材料を、硬くかつ強固な材料に変換することにより、プリント回路基板の異なる層を非可逆的に結合させる。各変性は、予備含浸させた層が高温に加熱され、高圧で圧縮されたときに行われる。ここで、高温とは、温度100℃よりも高く、また150℃よりも高いことが望ましい。高圧とは、0.3MPaよりも高い圧力であり、典型的には、1MPaよりも高い圧力である。
【0007】
異なるメタライズ層の導電トラックは、絶縁層を貫通している導電パッドによって電気的に接続することができる。この導電パッドは、一般的に「ヴィアホール」として知られている。ヴィアホールは、通常、層の平面に対して垂直方向に延びている。これらのヴィアホールを作るには、いくつかの異なる方法がある。最も一般的な1つの方法は、1つまたは複数の絶縁層を貫通するホール(孔)を作り、その後、これらのホールの内部壁を、金属でコーティングする方法である。このようにして作られたホールは、メタライズホールと呼ばれる。
【0008】
ヴィアホールは、プリント回路基板の全ての層を貫通している必要はない。従って、プリント回路基板の1つの外部の面だけに開口しているブラインドホールがある。現在では、また、例えば、HDI(高密度集積)技術等の公知の技術によって、「埋め込み」ヴィアホールを作ることも可能である。埋め込みヴィアホールは、プリント回路基板のいずれの外部の面に対しても、開口していない。例えば、埋め込みヴィアホールは、プリント回路基板の中に埋め込まれたメタライズ層の中に作られた導電トラックを、電気的に接続している。
[従来技術]
【0009】
従来技術のコイル巻き磁気リングは、プリント回路基板と磁気リングとを備えている。プリント回路基板は、
・電気絶縁層によって互いに機械的に隔てられた複数のメタライズ層の、垂直方向に沿ったスタックと、
・第1の垂直巻線軸に沿って延びている少なくとも1つの第1のコイルであって、このコイルの巻線は、それぞれのメタライズ層の中に作られた導電トラックによって形成され、導電トラックは、電気絶縁層の中の少なくとも1つを貫通しているパッドによって互いに電気的に接続されている、少なくとも1つの第1のコイルと、
・プリント回路基板を1つの側から他の側に交差している第1および第2の垂直ホールであって、第1のホールは、第1の垂直軸に沿って延びている、第1および第2の垂直ホールとを備えている。
【0010】
上記したコイル巻き磁気リングは、例えば、磁界センサを作るために使用される。
【0011】
特に、従来のコイル巻き磁気リングでは、磁気リングは、垂直ホールの中に電気分解によって堆積されている。
【0012】
従来技術は、下記の特許文献から知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第EP0917163A2号明細書
【特許文献2】フランス国特許第FR2379229A1号明細書
【特許文献3】欧州特許第EP1168387A2号明細書
【特許文献4】フランス国特許第FR2877163A1号明細書
【特許文献5】米国特許第7372261号明細書
【特許文献6】国際特許出願第WO2008/016198号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記で述べたコイル巻き磁気リングの製造工程を改善することを目指している。本発明の1つの目的は、コイル巻き磁気リングであり、この磁気リングは、U形状上部およびU形状下部によって形成され、各上部および下部は、プリント回路基板のそれぞれのホールに挿入された2つの垂直アームを備えている。上部の各アームは、それぞれのホールの中で、対応した下部のアームの上に、水平方向に重ね合わされている。これにより、磁気リングのこれら2つの部分の間の磁気連続性が確立される。
【0015】
上記のコイル巻き磁気リングにおいては、ホールの中に適合させている2つのU状部分によって磁気リングを作ることにより、磁気リングの製造工程が改善される。これは、電気分解の工程によって、この磁気リングを堆積させる必要がないということを意味している。
【0016】
さらに、この結果、ホールの垂直壁とそれに対向したアームの面との間に間隙が生ずる。この間隙により、プリント回路基板によって磁気リングの上に働く機械応力を低減させることができる。磁気リングに与えられるいかなる機械的応力も、磁気歪によって磁気特性を劣化させる。従って、この種のコイル巻き磁気リングによって、例えば、これを使用した磁界センサの精度を改善することができる。
【0017】
このコイル巻き磁気リングの実施形態は、次に示す特徴の中の1つ以上を備えることができる。
・垂直アームが重ね合わされている方向に対する横方向寸法(すなわち、メタライズ層の平面に平行な方向への寸法)は、ホールまたはこれらのホールの中に収容されているリジッドガイドの、対応した横方向寸法と比較して、少なくとも5μm小さく、これにより、ホールまたはリジッドガイドの垂直壁と、それに対向する磁気リングの垂直面との間に間隙が形成される。
・ホールは、長円形をしており、同じ配列水平軸に沿って延びている。また各「U」形の部分は、本質的に、巻線軸に平行な垂直平面に沿って延びている。
・下部および上部のアームの重ね合わされた部分の間に電気絶縁材料を挿入することにより、これらのアームを、互いに電気的に絶縁している。
・リングは、第2の垂直巻線軸の周りに巻かれた第2のコイルを有し、この第2のコイルの巻線は、メタライズ層の中に作られた導電トラックによって形成され、この導電トラックは、電気絶縁層の中の少なくとも1つを貫通しているパッドによって、互いに電気的に接続され、第2のホールは、第2の巻線軸に沿って延びている。また、前記第1および第2のコイルは、
− 第1のメタライズ層の中に作られ、第1の垂直巻線軸の周りに1つの方向に巻かれ、第2の垂直巻線軸の周りに反対の方向に巻かれている第1の導電トラックと、
− 第2のメタライズ層の中に作られ、第1の垂直巻線軸の周りに1つの方向に巻かれ、第2の垂直巻線軸の周りに反対の方向に巻かれている第2の導電トラックと、
− 絶縁層の中の少なくとも1つを貫通し、第1および第2の導電トラックを互いに電気的に接続し、これにより、第1および第2の導電トラックが給電されたときには、電流は、第1のコイルの中では1つの方向に、また第2のコイルの中では反対方向に流れるようにしている、第1のパッドとを備えている。
・第1および第2のメタライズ層の中に作られた第1および第2のコイルの導電トラックを、メタライズ層に平行な平面の中で重ね合わせることにより、X軸およびY軸に関して2つの軸対称性を有するパタンを形成する。これらX軸およびY軸は、互いに直交し、メタライズ層と平行であり、重ね合わされたメタライズ層のそれぞれの1つまたは複数の導電トラックは、X軸またはY軸に関する軸対称性を有さない。
【0018】
コイル巻き磁気リングのこれらの実施形態は、更に、以下の利点を有する。
− 大きな(すなわち、5μmまたは100μmより大きい)間隙が存在しているため、磁気リングを組み立てる際に、磁気リングに加えられる機械応力を防ぐことができる。
− 本質的に垂直平面に沿って延びているU形状部分を使用することにより、コイル巻き磁気リングを製造している際に、この磁気材料に働く機械応力(折り曲げ応力等)を低減させることができる。
− U形状部分のアームの間に電気絶縁材料のストリップが存在し、それを介してU形状部分のアームが重ね合わされることにより、このコイル巻き磁気リングの渦電流による損失を減少させることができる。
− 各コイルの巻線を、同じ導電トラックによって作ることにより、ヴィアホールの数を低減させ、従って、製造を容易にすることができる。
− 導電トラックが同じ平面の中で重ね合わされたときに、導電トラックが軸対称性を有するパタンを形成するように、これらの導電トラックを配列することにより、これらのコイルによって生成される磁界の均一性を増加させ、また、特別な注意を払わずに作成した従来のコイルと比較して、偏倚を減少させることができる。
【0019】
本発明は、以下の記述から、より明確に理解されると思う。これらの記述は、添付の図面を参考にして、単に、非限定的な例として示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】磁界センサの斜視図である。
【図2】図1のセンサのコイルを作るための、種々の異なるメタライズ層の上でエッチングされた導電トラックを示す図である。
【図3】図1のセンサのコイルを作るための、種々の異なるメタライズ層の上でエッチングされた導電トラックを示す図である。
【図4】図1のセンサのコイルを作るための、種々の異なるメタライズ層の上でエッチングされた導電トラックを示す図である。
【図5】図1のセンサのコイルを作るための、種々の異なるメタライズ層の上でエッチングされた導電トラックを示す図である。
【図6】図3および図4に示す導電トラックの平面の上での重ね合わせを示す図である。
【図7】図1のセンサの中で使用されているコイル巻き磁気リングの分解図の斜視図である。
【図8】図1のセンサの中で使用されているコイル巻き磁気リングの組立図の斜視図である。
【図9】図7および図8に示すコイル巻き磁気リングの詳細図である。
【図10】交流電圧発生器の斜視図である。
【図11】図10に示す電圧発生器のプリント回路基板の導電トラックを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
各図において、同一の要素には、同一の符号を使用している。
【0022】
以下において、当業者に公知の特徴および機能については、詳細に記述しない。
【0023】
図1は、フラックスゲートセンサ2を示す。このセンサ2は、外部磁界Tの方向、また必要であれば、強度を測定することができる。更に具体的には、センサ2は、磁界Tの3つの独立なX方向、Y方向、およびZ方向への射影に対応した成分TX、TY、およびTZを測定する。ここで、X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交している。Z方向は、垂直な方向であり、X方向およびY方向は、水平面を規定している。
【0024】
フラックスゲートセンサは、公知である。フラックスゲートセンサの機能に関しては、例えば、特許文献5に記載されている。従って、本明細書では、本発明の理解に必要な特徴についてだけ、詳細に記述する。
【0025】
センサ2は、多層プリント回路基板4を有する。典型的には、プリント回路基板4は、2層または5層より多くのメタライズ層を有し、また、10層より多くのメタライズ層を有することが望ましい。ここでは、プリント回路基板4は、10層のメタライズ層を有している。図を簡単にするために、図1には、回路4の1つの層だけを示してある。メタライズ層は、Z方向に互いに1層ずつ上に重ねてスタックされている。Z方向の最上層のメタライズ層は、プリント回路基板の上面に対応し、最下層のメタライズ層は、プリント回路基板の下面に対応している。
【0026】
プリント回路基板4は、水平環状キャビティの中に収容された磁気リング6を有する。この磁気リング6は、プリント回路基板の上面と下面との間に位置している。磁気リング6は、典型的には、静的な比透磁率(すなわち、直流における透磁率)が1000より大きな、また望ましくは、10,000より大きな磁気材料でできている。この磁気材料は、例えば、ミューメタル、または市販品「Vitrovac(登録商標)6025」として知られている磁性体金属である。
【0027】
磁気リング6は、プリント回路基板4とは無関係に製造され、プリント回路基板の製造過程でキャビティの中に挿入される。この目的のために、磁気リング6の横方向寸法(すなわち、この場合には、垂直平面に沿ったリングの寸法)は、キャビティの対応した横方向寸法よりも、少なくとも5μm小さく、また、少なくとも100μm小さいことが望ましい。従って、キャビティの壁とキャビティの壁に対向した磁気リング6の面との間に間隙が形成される。この間隙によって、磁気リングは、プリント回路基板4によって機械応力を受けることがない。これにより、センサ2の精度が高くなる。この理由は、磁気リング6に加えられるいずれの機械応力も、磁気歪によって磁気リングの磁気特性を変化させ、従って、磁界Tの測定値に対する擾乱が与えられるからである。
【0028】
ここで、磁気リング6は、X方向に平行な2つの磁気バー8および9と、Y方向に平行な2つの磁気バー11および12とを有する。これらのバーの端部は、磁気材料でできた角によって互いに接続され、磁気リング6が形成されている。
【0029】
磁気リング6を飽和させるために、プリント回路基板4の中に、4つの励振コイル14〜17が作られている。これらの励振コイルには、励振周波数fexHで、同じ励振電流iexHが流される。典型的には、励振周波数fexHは、300Hzより高く、また、10kHzより高いことが望ましい。ここで、コイル14〜17は、それぞれ、バー11、8、12、および9の周りに巻かれている。
【0030】
コイル14〜17は、互いに直列接続され、電流iexHが流されたときに、同じ方向の励振磁界BexHを生成する。各コイル14〜17は、それぞれ、磁気リング6の上と下に配置されたプリント回路基板の2つのメタライズ層の中に作られた導電トラックによって形成されている。導電トラックの端部は、垂直ヴィアホールによって互いに接続され、コイル14〜17の巻線を形成している。水平軸に沿って延びているこのようなコイルの実施形態は、例えば、特許文献6の中に記載されている。
【0031】
プリント回路基板4はまた、それぞれ、バー11、8、12、および9の周りに巻かれた4つの測定コイル20〜23を有し、これらのバーの中の磁界を測定するようになっている。これらのコイル20〜23のそれぞれによって測定された磁界の測定値を、それぞれ、M1、M2、M3、およびM4とする。これらの測定値は、次の関係式で与えられる。
1=TY−BexH
2=TX+BexH
3=TY+BexH
4=TX−BexH
【0032】
これらの関係は、次に示す条件の下で与えられる。
− 励振磁界BexHは、反時計方向に回転する。
− 成分TXおよびTYは、それぞれ、X方向、およびY方向に向いている。
【0033】
コイル20〜23は、それぞれ、励振コイル14〜17の周りに巻かれている。これらのコイル20〜23は、メタライズ層の中に作られた導電トラックによって形成されている。これらのメタライズ層は、励振コイルの導電トラックを作るのに使用するメタライズ層の上と下とに位置している。
【0034】
この実施形態においては、4つの補償コイル26〜29もまた、それぞれ、測定コイル20〜23の周りに巻かれ、それぞれ、バー11、8、12、および9の中の磁界を相殺する。従って、成分TXおよびTYの測定値は、これらのコイル26〜29の中を流れる補償電流icHの強度から導出することができる。
【0035】
これらのコイル26〜29は、メタライズ層の中に作られた導電トラックによって形成される。これらのメタライズ層は、測定コイルの導電トラックを作るのに使用するメタライズ層の上と下とに位置している。
【0036】
この実施形態は、ゼロ磁界のもとで動作させるので、これにより、X方向とY方向との測定値の間の磁気結合をなくすことができる。この磁気結合は、他の場合には、生ずる可能性がある。
【0037】
プリント回路基板4はまた、成分TZを測定するための垂直コイルを有する。「垂直コイル」という用語は、垂直軸の周りに巻かれて、垂直軸の方向に沿って延びているコイルのことを言っている。これらのコイルについて、図2〜図5を参照して詳細に説明する。図1では、それらを概略的に示している。
【0038】
具体的には、2つのホール30および32が、それぞれ、垂直軸34および36に沿って、片側から他の側へ、プリント回路基板4と交わっている。これらのホール30および32は、それぞれ、垂直磁気リングのそれぞれのアームを受け入れるようになっている。図を簡単にするために、この垂直磁気リングは、図1には示されていない。
【0039】
プリント回路基板は、これらのホール30および32の周りに、2つの励振コイル38および39を備えている。励振コイル38および39は、それらに周波数fexvの励振電流iexvが流れたときに、垂直磁気リングを飽和させることができる、励振磁界Bexvを生成することができる。例えば、電流iexv、および周波数fexvは、それぞれ、電流iexH、および周波数fexHに等しくすることができる
【0040】
垂直測定コイル40は、2つのホール30および32の周囲を囲んでいる。このコイル40は、垂直磁気リングの中の磁界を測定するためのコイルである。
【0041】
最後に、垂直補償コイル42もまた、プリント回路基板4の中に作られる。このコイルは、ホール30および32の周囲を囲んでいる。上記で述べたように、このコイルは、このコイルに補償電流icvが流れたときに、垂直磁気リングの中の磁界を相殺する機能を有する。
【0042】
これらのコイル38、39、40、および42の巻線は、プリント回路基板4のメタライズ層の中に作られた導電トラックによって形成されている。これらの導電トラックは、垂直ヴィアホールによって互いに接続され、同じコイルの巻線を互いに電気的に接続している。
【0043】
最後に、センサ2は、電子処理ユニット50を有する。電子処理ユニット50は、励振コイルおよび補償コイルに対する給電を制御し、また、測定コイルからの信号を処理して、磁界Tの測定値を得ることができる。磁界Tの各成分の測定値は、測定コイルの両端における励振周波数の高調波の電圧振幅から得られる。図を簡単にするために、ユニット50とコイルとの間の電気接続は、図には示していない。
【0044】
これらのコイル38、39、40、および42については、図2〜図6を参照して、次に詳細に説明する。
【0045】
図2〜図5は、それぞれ、上部メタライズ層、偶数番目の中間メタライズ層、奇数番目の中間メタライズ層、および下部メタライズ層の中に作られた導電トラックを示す。上部メタライズ層は、コイル38〜40、および42の上端部を形成する導電トラックを含んでいる。下部メタライズ層は、コイル38〜40、および42の下端部を形成する導電トラックを含んでいる。
【0046】
中間メタライズ層は、上部メタライズ層と下部メタライズ層との間に位置している。中間メタライズ層は、各コイルの巻線の重要な部分を形成する導電トラックを含んでいる。ここで、中間メタライズ層は、偶数番目のメタライズ層と奇数番目のメタライズ層とが、交互にスタックされている。偶数番目のメタライズ層は、全てが互いに同一のものであり、従って、これらの偶数番目のメタライズ層の中の1つのだけが示されている。同様に、奇数番目のメタライズ層は、全てが互いに同一のものであり、従って、図4を参照して、これらの奇数番目のメタライズ層の中の1つのだけについて、詳細に説明する。中間メタライズ層の数は、2より大きく、さらに4または8より大きいことが望ましい。
【0047】
これらのメタライズ層の各々は、ホール30および32と交わっている。これらの層の断面は、各メタライズ層に関して同一である。ここで、ホール30および32は、長円形状をしており、同じ軸52に沿って延びている。軸52は、ホール30、32に対する対称軸でもある。ホール30および32はまた、軸52に垂直な別の軸54に関して対称である。軸52および軸54は、点Oにおいて交わっている。以下の記述では、符号52および54は、それらが属するメタライズ層に関わらず、同一の対称軸を示している。
【0048】
この実施形態においては、各コイル38、39、40、および42は、下方向コイルと上方向コイルとを含んでいる。下方向コイルと上方向コイルとを使用して1つのコイルを形成することにより、このコイルを、プリント回路基板の同一の面から給電する接続パッドを実現することが可能になる。
【0049】
下方向コイルは、上面から下面へ下降する方向に、ホール30、32の片方または両方の周りに巻かれている。その逆に、上方向コイルは、同じホールの周りに、下面から上面に、上昇する方向に巻かれている。同じコイルの下方向コイルと上方向コイルとは、直列に接続され、それによって、これらのコイルを流れる電流は、ホール30、32の片方または両方の周りを、常に同じ方向に取り巻いている。
【0050】
以下の記述において、「接続された」という用語は、電気接続されている状態を表している。
【0051】
コイル38および29は、それぞれ、ホール30および32の周りに、反対の方向に巻かれている。コイル40および42は、コイル38および39の周りに、従って、ホール30および32の周りに巻かれている。コイル42は、コイル40の周りに巻かれている。
【0052】
図2〜図5において、導電トラックの終端に位置する円は、下降ヴィアホールを示している。下降ヴィアホールは、この導電トラックを、直ぐ下のメタライズ層の導電トラックに接続している。一方、導電トラックの終端に位置する塗りつぶしたドットは、上昇ヴィアホールの終端を示している。上昇ヴィアホールは、この導電トラックを、直ぐ上のメタライズ層の導電トラックに接続している。従って、円は、ヴィアホールの上端に対応し、ドットは、この同じヴィアホールの下端に対応している。
【0053】
図2は、コイル38および39に給電するための接続パッド56および58を示す。これらのパッドは、どちらも軸54の上にあって、軸52の両側に位置している。
【0054】
上部メタライズ層はまた、接続パッド60および62を有し、これらパッドの間に接続された測定コイル40は、垂直磁気リング内部に存在する磁界を表す電圧を生成する。
【0055】
この上部メタライズ層はまた、補償コイル42に給電するための接続パッド64および66を有する。
【0056】
パッド56は、導電トラック70によってに下降ヴィアホール68接続されている。導電トラック70は、ホール30の周りを、外部から内部に向かって、時計方向に巻かれている。ここで、このトラックは、ヴィアホール68に到達する前に複数回周回する巻線を形成している。
【0057】
パッド58は、導電トラック74によって下降ヴィアホール72に接続されている。導電トラック74は、点Oに関して導電トラック70と中心対称である。
【0058】
パッド60、62、64、および66は、それぞれ、下降ヴィアホール78、80、82、および84に接続されている。
【0059】
図3は、偶数番目のメタライズ層を示す。このメタライズ層の中では、コイル38および39の下方向コイルの巻線は、単一の導電トラック90によって形成されている。同様に、コイル38および29の上方向コイルの巻線は、単一の導電トラック92によって形成されている。導電トラック90は、
− 上昇ヴィアホール94から出発し、内部から外部へ、時計方向に、ホール30の周りに巻かれている。
− 下降ヴィアホール96に向かって、外部から内部へ、反時計方向に、ホール32の周りに巻かれている。
【0060】
導電トラック92は、一定の間隔すなわち距離で、導電トラック90に沿って延びている。従って、導電トラック92は、
− 下降ヴィアホール98から出発し、内部から外部へ、時計方向に、ホール30の周りに巻かれている。
− 上昇ヴィアホール100に向かって、外部から内部へ、反時計方向に、ホール32の周りに巻かれている。
【0061】
ここで、トラック90および92は、それぞれ、ホール30および32の周りに複数回周回する巻線を形成している。
【0062】
このメタライズ層の中では、コイル50の下方向コイルおよび上方向コイルの巻線は、ただ2つの導電トラック(それぞれ、102および104)によって形成されている。トラック102は、上昇ヴィアホール106から下降ヴィアホール108まで、外部から内部に向かって、反時計方向に、導電トラック90および92の周りに巻かれている。トラック104は、下降ヴィアホール110から上昇ヴィアホール112まで、外部から内部に向かって、反時計方向に、トラック90および92の周りに巻かれている。トラック102および104は、ホール30および32の周りに複数回周回する巻線を形成している。
【0063】
コイル42の下方向コイルおよび上方向コイルの巻線は、ただ2つの導電トラック(それぞれ、114および116)だけで形成されている。トラック114および116は、トラック102および104の周りに巻かれている。更に具体的には、トラック114は、上昇ヴィアホール118から下降ヴィアホール120に向かって、時計方向に巻かれている。トラック116は、上昇ヴィアホール124から下降ヴィアホール122へ、反時計方向に、トラック102および104の周りに巻かれている。この例では、トラック114および116は、それぞれ、このメタライズ層の中で、半周だけの巻線を形成している。
【0064】
ヴィアホール106、108、110、112、118、120、および124は、全て、軸54の上に配列されている。
【0065】
このメタライズ層の中の各コイルの上方向コイルおよび下方向コイルの導電トラックは、点Oに関して中心対称である。しかし軸対称ではない。
【0066】
図4は、図3のメタライズ層の直ぐ下に位置する奇数番目のメタライズ層の中に作られた導電トラックを示す。従って、以前の図に示した下降ヴィアホールの終端は、この図でも再び示されている。従って、これらの終端は、同じ符号を有する。
【0067】
コイル38および29の下方向コイルおよび上方向コイルの巻線は、2つの導電トラック130および132だけで形成されている。導電トラック130は、ヴィアホール96から下降ヴィアホール136へと延びている。トラック132は、ヴィアホール98から下降ヴィアホール138に向かって延びている。
【0068】
コイル40の下方向コイルおよび上方向コイルの巻線は、2つの導電トラック140および142だけで形成されている。トラック140は、ヴィアホール108から下降ヴィアホール144へと延びている。トラック142は、ヴィアホール110から下降ヴィアホール146へと延びている。
【0069】
最後に、コイル142の下方向コイルおよび上方向コイルの巻線は、2つの導電トラック150および152だけで形成されている。トラック150は、ヴィアホール120から下降ヴィアホール154まで延びている。またトラック152は、ヴィアホール122から下降ヴィアホール156まで延びている。
【0070】
トラック130、132、140、142、150、および152は、軸52に関する軸対称性から、それぞれ、トラック92、90、104、102、116、および114から導き出すことができる。トラック130、132、140、142、150、および152もまた、軸54に関する軸対称性から、それぞれ、トラック90、92、102、104、114、および116から導き出すことができる。従って、これらのトラックの構造は、ここでは詳細に記述してはいない。また、図3に示した場合のように、各コイルのトラックは、点Oに関して中心対称ではあるが、軸対称ではないという点に注意すべきである。
【0071】
ヴィアホール108、110、120、122、144、146、154、および156は、軸54の上に配列されている。
【0072】
図5は、下部メタライズ層を示す。下部メタライズ層は、各コイルの下方向コイルおよび上方向コイルを互いに接続するための導電トラックを備えている。ここで、下方向コイルおよび上方向コイルは、互いに接続されており、これにより、下方向コイルおよび上方向コイルが給電されるときには、そこを通る電流は、同一の方向に流れる。説明を簡単にするために、このメタライズ層は、図4に示す奇数番目のメタライズ層の直ぐ下に位置すると仮定する。従って、この図は、上記で述べた下降ヴィアホールの下端を示している。
【0073】
コイル38および39は、導電トラック160を含んでいる。導電トラック160は、ヴィアホール136から出発して、内部から外部に向かって、時計方向に、ホール30の周りに巻かれている。その後に、ヴィアホール138まで、外部から内部に向かって、反時計方向に、ホール32の周りに巻かれている。このトラック160は、点Oに関して中心対称性を有する。トラック160は、ホール30、32の周りに複数回周回する巻線を形成している。
【0074】
導電トラック162は、測定コイル40のヴィアホール144と146とを接続している。導電トラック164は、補償コイル42のヴィアホール154と156とを接続している。
【0075】
中間メタライズ層のトラック90、92、または130、132は、それら自体は、軸対称性を有することができない。その理由は、これらのトラックは、ホール30および32の周りを反対の方向に巻かれているからである。
【0076】
また、中間メタライズ層の中の、2つの導電トラック102、104のセット、または2つの導電トラック140、142のセットも、いずれの軸対称性も有してはいない。実際、下方向コイルおよび上方向コイルのトラックは、同一のメタライズ層の中に作られており、これにより、これらのトラックは、互いにオフセットされる必要がある。この状況はまた、トラック90および92、130および132、114および116、および、150および152の場合にも当てはまる。
【0077】
ここで述べるコイルの目的の1つは、コイルの対称性を増加させて、それぞれのコイルの巻線軸に沿った磁界の均一性を改善することと、理想的なコイルと比較して観測される偏倚を低減することである。この目的のために、ここで説明している、各偶数番目および奇数番目のメタライズ層の導電トラックは、これらの導電トラックが水平面の上で重ね合わされる際に、新しい対称軸が生まれるように配置されている。偶数番目および奇数番目のメタライズ層の重ね合わせは、図6に示されている。この重ね合わせによって、それぞれ、軸52および軸54に関する2つの軸対称性が生まれる。これにより、ワイヤコイルと比較した偏倚を低減するとともに、巻線軸に沿った磁界の均一性を増加させることができる。偶数番目および奇数番目のメタライズ層のトラックが重ね合わされている中で、図6は、その中の1つのトラックを示している。
【0078】
最後に、ここで記載されている特定の場合には、上部メタライズ層の直ぐ下に位置する偶数番目のメタライズ層は、奇数番目のメタライズ層と重ね合わされた際には、完全な軸対称性は有していない。実際、この偶数番目のメタライズ層の中では、ヴィアホール106、112、118、および124は、それぞれヴィアホール80、78、84、および82の終端と対応をとるために、軸54から僅かにオフセットしている。しかしながら、この偶数番目のメタライズ層を除いて、他の全ての偶数番目の中間メタライズ層は、奇数番目のメタライズ層の中のいずれの1つと重ね合わされる際にも、2つの完全な軸対称性を有する。
【0079】
図7および図8は、成分TZを測定するためのセンサ2のコイル巻き磁気リングを示す。これらの図において、センサ2の他の部分は、図示していない。更に具体的には、このコイル巻き磁気リングは、プリント回路基板4のホール30および32の中に収容されている磁気リング170を有する。図7は、コイル巻き磁気リングの分解図であり、図8は、この同じコイル巻き磁気リングの組立図である。磁気リング170は、U形状上部172およびU形状下部174から形成されている。これら下部および上部は、それぞれ2つの垂直アーム(それぞれ176および178と、180および182)を有し、これらの垂直アームは、水平アーム(それぞれ、184および186)によって接続され、U形状の底部を形成している。
【0080】
部分172および174は、磁気材料からできた板から切り出され、その磁気材料の静的な比透磁率は、1000よりも大きく、また10,000よりも大きいことが望ましい。例えば、磁気材料は、ミューメタル、または市販品「Vitrovac(登録商標)」6025として知られている磁性体金属である。従って、製造時に磁気材料に加えられる機械応力が低減される。特に、これにより、磁気材料をU形状に折り曲げる必要がなくなる。部分172および174は、本質的に、軸52が通っている垂直YZ平面に沿って延びている。これらの部分172、174のそれぞれの幅は、この垂直平面上の幅である。部分172および174の厚さの方向は、この垂直平面に垂直な方向である。厚さは、典型的に、250μmよりも薄く、また、100μmまたは25μmよりも薄いことが望ましい。
【0081】
アーム176、178は、それぞれ、ホール30および32に、プリント回路基板4の上面から挿入される。逆に、アーム180および182は、それぞれ、ホール30および32の中に、下面から挿入される。
【0082】
図3に示すように、この特定の場合には、アーム176および180は、ホール30の中で、X方向に互いに重ね合わされており、これにより磁気連続性が得られる。例えば、アーム176および180は、それらの垂直方向の長さの1/3より多くの部分が重ね合わされている。アーム178、182も、ホール32の中で同様に重ね合わされている。
【0083】
アームの横方向寸法は、ホールの垂直壁とホールの垂直壁に対向したアームの面との間に間隙を作るために、ホールの対応した横方向寸法より、少なくとも5μmは小さく、また少なくとも100μm小さいことが望ましい。更に具体的には、アームの横方向寸法は、磁気リング170の最も厚い部分とホールの垂直壁との間の間隙Jが5μmより大きくなるように選択される。リング180の最も厚い部分は、アームがX方向に互いに重ね合わされている場所である。この間隙が存在することによって、磁気リング170は機械応力を受けることなく、これにより、センサ2の精度が増加する。
【0084】
図10は、磁気リング202を動かすことにより交流電圧を生成する電圧発生器200を示す。ここでは、本発明を理解するため必要な成分だけが示されている。従って、例えば、この発生器の磁気リングまたは電子制御リングを動かす要素は、示されていない。
【0085】
リング202は、互いに反対の極性の磁石をパス206に沿って並べた磁石204を含んでいる。パス206は、垂直回転軸208を中心とする水平の円である。204Nは、N極が上を向いている磁石を示している。また、204Sは、S極が上を向いている磁石を示している。
【0086】
磁石204は、パス206全体にわたって、磁石204Nおよび204Sが交互に置かれている。1つの磁石204Sは、それぞれの2つの磁石204Nの間に置かれている。例えば、パス206に沿って、6個よりも多くの数の磁石204が設けられている。
【0087】
電圧発生器はまた、コイル212の配列を有し、これにより、各磁石204によって生成された磁界を電圧に変換することができる。これらのコイル212は、この目的のために、磁石204の配列に対向して設置されている。コイル212は、パス206に沿って、互いに隣同士に配置されている。これらのコイルは、全て同一のコイルであるが、それらは、それらのそれぞれの垂直巻線軸の周りに、時にはある方向、時には別の方向に巻かれている。外部から内部に向かって時計方向に巻かれているコイル212は、212Aで示されている。反対方向に巻かれているコイル212は、212Bで示されている。コイル212Aと212Bとは、パス206に沿って交互に配置されている。従って、コイル212Bは、それぞれのコイル212Aの間に位置している。
【0088】
コイル212の横方向の配置は、コイル212Aが磁石204Nと対向しているときには、直ぐ隣に隣接した上流および下流のコイル212Bが、それぞれ、磁石204Sに対向するようになされている。磁石204Sは、この磁石204Nから直ぐ上流および下流に位置している。同様に、コイル212Aが磁石204Sと対向しているときには、直ぐ隣に隣接した上流および下流のコイル212Bは、それぞれ、磁石204Nに対向しており、磁石204Nは、この磁石204Sから直ぐ上流および下流に位置している。「下流」および「上流」という用語は、磁石204が、コイル212に対して軸208の周りを回転する、その回転方向Sに対するものである。従って、コイル212が磁石204と対向しているときには、コイル212は、本質的に、この磁石の磁束に対して敏感であり、隣接した磁石の磁束に対しては敏感ではない。
【0089】
各コイルは、多層プリント回路基板214の導電トラックによって形成され、2つの層(図11)が、垂直ヴィアホールによって互いに接続されている。図を簡単にするために、図10には、プリント回路基板214は示していない。
【0090】
これらの導電トラックは、上部メタライズ層および下部メタライズ層の間に配置されている。
【0091】
使用する垂直ヴィアホールの数を低減させるために、コイル212は、ペアに組み分けされている。各ペアは、コイル212Aと、S方向の直ぐ隣に隣接したコイル212Bとを有する。各ペアでは、コイル212Bは、コイル212Aに対して上流にある。
【0092】
上部メタライズ層の中では、同じペアのコイル212Aおよび212Bの巻線は、単一の導電トラック216によって形成されている。トラック216は、
− 下降ヴィアホールから出発して、内部から外部に向かって、反時計方向に、コイル212Bの巻線軸の周りに巻かれている。
− 別の上昇ヴィアホールまで、外部から内部に向かって、時計方向に、コイル212Aの巻線軸の周りに巻かれている。
【0093】
ここで、トラック216は、各巻線軸の周りに、複数回周回する巻線を形成している。例えば、トラック216は、上記で述べたトラック90と同じトラックである。
【0094】
下部メタライズ層の中のコイル212Bの巻線は、導電トラック218によって形成されている。トラック218は、上昇ヴィアホールの下端まで、外部から内部に向かって、時計方向に、コイル212Bの巻線軸の周りに巻かれている。トラック218はまた、外部から内部に向かって、時計方向に、直ぐ上流のペアのコイル212Aの巻線軸の周りに巻かれている。
【0095】
このペアのコイル212Aの下部メタライズ層の中の巻線は、導電トラック218によって形成されている。導電トラック218はまた、直ぐ下流のペアのコイル212Bの巻線も形成している。
【0096】
従って、トラック218は、2つの隣接したペアのコイル212Aおよび212Bの巻線を、同時に形成している。トラック218はまた、これらの隣接したペアのコイルを直列に接続し、これにより、1つのコイル212の巻線の中を流れる電流は、上部メタライズ層および下部メタライズ層の両方の中で常に同じ方向に回転する。この直列接続によって、各コイルが磁石204に対向するときに各コイルによって生成される電圧を加え合わせることが可能になる。トラック218の場合も、上記で述べたトラック130の場合と同様であるが、ある角度ピッチだけオフセットしている。この角度ピッチは、コイル212の連続した2つの垂直巻線軸と中心208との間の角度に等しい。
【0097】
図11は、プリント回路基板214の上部メタライズ層を示す。この図では、ヴィアホールの上端は、円で示されている。これらの上端は、全てが軸208を中心とする同じ円の上に配列されている。上部メタライズ層の導電トラック216は、軸220および222に関して2つの軸対称性を有する。軸220および222は、互いに直交しており、上部メタライズ層の平面に含まれている。
【0098】
さらに、この実施形態においては、導電トラック216および218を水平面の上で重ね合わせることにより、回転対称を示すパタンが形成されている。更に具体的には、このパタンは、コイル212の連続した2つの垂直巻線軸の間の角度距離に等しい角度ピッチの回転に対して、不変である。
【0099】
この動作の際には、コイルペアのコイル212Aが磁石204Nと対向してるときに、コイル212Aは、電圧Uを生成する。同時に、同じペアのコイル212Bは磁石204Sと対向し、従ってまた、電圧Uを生成する。コイル212の各ペアの中で、同じ現象が生ずる。コイルのこれらのペアは、直列接続されているので、各ペアによって生成される電圧2Uが加算されて、はるかに大きな電圧になる。磁気リング202がプリント回路基板214に対して相対的に移動すると、これまで磁石204Nと対向していたコイル212は、次の磁石204Sと対向する位置に動く。従って、このコイル212Aは、全ての他のコイルと同様に、電圧Uを生成する。従って、プリント回路基板214を磁気リング202に対して回転させることにより、交流電圧が生成される。
【0100】
他の多くの実施形態が可能である。例えば、プリント回路基板の厚さを増大させるために、上記で述べたようにして作られた、複数のプリント回路基板を、1つずつ、垂直方向に積み上げてスタックを作ることができる。このスタックを作る際に、これらのプリント回路基板は、各コイルの巻線の巻く方向を維持するように、互いに接続される。このように、複数の多層プリント回路基板を重ね合わせることにより、磁気リングの長さ/幅比と共に、センサの巻線数を増加させることができる。
【0101】
導電トラックは、メタライズ層の中でエッチングによって、またはこのメタライズ層の中で堆積させることによって作ることができる。
【0102】
単純化した変形においては、単一の励振コイルを使用して、磁気リング全体の中の励振磁界を生成させることができる。
【0103】
種々の異なるコイルを形成する導電トラックは、補償コイル42の場合について示したように、ホール30および32の周りに半周するだけの巻き線で作ることができる。半周とは、巻線軸の周りに1回だけ半周するということである。別の変形では、上方向コイルは省略される。
【0104】
プリント回路基板はまた、導電トラックを有する中間メタライズ層を備えている。この場合、導電トラックは、水平面の中で重ね合わされる際に、2つの軸対称性を示さないパタンを有するようにすることもできる
【0105】
図2および図5を参照して説明したメタライズ層は、省略することができる。この場合には、コイルとの電気接続は、中間層の上で直接に行うことができる。
【0106】
各中間層の中では、トラック96および98は、合体させることができる。この場合には、下方向コイルだけのコイルを得られ、かつよい対称性を得ることができる。
【0107】
1つの変形として、3層よりも多くのメタライズ層の導電トラックを重ね合わせて、2つの軸対称性を有するパタンを得ることができる。
【0108】
軸対称性を有するパタンを形成するために重ね合わせるメタライズ層は、メタライズ層のスタックの中で、互いに直ぐ隣に隣接するメタライズ層である必要はない。
【0109】
垂直磁気リングを、平行な2つの磁気バーと置換することができる。これらのバーは、磁気リングの場合とは異なり、大きな空隙によって、磁気的に互いに分離されている。この場合には、励振コイルの巻線は、それぞれ、これらのバーの軸34および36の周りに、同じ方向に巻かれている。この構成においても、偶数番目および奇数番目のメタライズ層の導電トラックは、それらが水平面の上で重ね合わされたときに、2つの軸対称性を有するパタンを示すように配置される。
【0110】
本明細書の中に記述した励振コイルの具体的な巻き線はまた、これを使用して、水平で平行な巻線軸の周りに巻かれ、これらの軸に沿って延びている励振コイルを実現することができる。上記したように、これにより、水平磁気リングのアームの間、または平行に設置され、互いに磁気的に分離されている水平磁気バーの間に位置する、垂直ヴィアホールの数を減少させることができる。
【0111】
コイル巻き磁気コアのU形状部分は、ストリップまたはワイヤを折り曲げることにより作ることができる。この場合には、ストリップまたはワイヤは、ホール30および32を通って1回以上周回する巻線を形成するように巻かれることが望ましい。
【0112】
複数のU形状部分を、プリント回路基板の同じ面からホールの中に挿入して、水平方向への磁気リングの厚さを増加させることができる。
【0113】
垂直アーム176、178は、リジッドガイドの中に収容することができる。例えば、このガイドは、25℃におけるヤング率が、5GPaより大きな、また望ましくは、50GPaより大きな材料、またはそれらの材料の組み合わせでできている。このリジッドガイドによって、ホール30、32の中に垂直アームを挿入するのが容易になる。この場合には、垂直アームとこのガイドとの間の間隙は、上記で述べた垂直アームとホール30、32の壁との間の間隙に対応している。このガイドによって、磁気素子のより有効な位置決めも可能になる。このガイドは、典型的には、各垂直アームを受け入れるためにU形状の水平断面を有する。
【0114】
1つの変形として、U形状部分のアームの間に誘電体絶縁材料が挿入されている。誘電体絶縁材料は、重ね合わされて、U形状部分のアームを互いに電気的に分離している。このようにするために、電気絶縁材料からU形状部分を切り出して、このU形状絶縁部分を、U形状上部172およびU形状下部174の間に挿入することができる。別の可能な方法は、上部172と下部174が重なり合う所の外部表面の上に、粘稠液体または接着剤を塗るか、または挿入することである。別の解決策は、アームの表面を電気絶縁性に処理することである。この処理は、「パシベーション」として知られている。
【0115】
U形状部分の垂直アームの中の1つは、コイルが巻かれていないホールの中に収容することもできる
【0116】
磁石および巻線212が位置しているパスは、必ずしも、円形である必要はない。例えば、1つの変形として、直線であっても良い。
【0117】
電圧発生器のプリント回路基板の下部メタライズ層にある巻線は、上部メタライズ層の中に作られている巻線と同じものである必要はない。例えば、下部メタライズ層の中の巻線数は、上部メタライズ層の中の巻線数と比較して、少なくても良いし、多くても良い。
【0118】
プリント回路基板214は、追加的な巻線が形成されている1つ以上のメタライズ層を備えることができる。
【符号の説明】
【0119】
2 フラックスゲート センサ
4 多層プリント 回路基板
6 磁気リング
8、9、11、12 磁気バー
14、15、16、17 励振コイル
20、21、22、23 測定コイル
26、27、28、29 補償コイル
30、32 ホール
34、36 垂直軸
38、39 励振コイル
40 垂直測定コイル
42 垂直補償コイル
50 電子処理ユニット
52、54 軸
56、58、60、62、64、66 接続パッド
68、72、78、80、82、84 下降ヴィアホール
70、74 導電トラック
90、92 導電トラック
96、98 下降ヴィアホール
94、100 上昇ヴィアホール
102、104、114、116 導電トラック
106、112、118、124 上昇ヴィアホール
108、110、120、122 下降ヴィアホール
130、132 導電トラック
136、138 下降ヴィアホール
140、142、150、152 導電トラック
144、146、154、156 下降ヴィアホール
160、162、164 導電トラック
170 磁気リング
172 U形状上部
174 U形状下部
176、178、180、182 垂直アーム
184、186 水平アーム
200 電圧発生器
202 磁気リング
204 磁石
204N N極が上向きの磁石
204S S極が上向きの磁石
206 パス
208 垂直回転軸
212 コイル
212A 時計方向巻きコイル
212B 反時計方向巻きコイル
214 多層プリント回路基板
216、218 導電トラック
220、222 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板(4)と磁気リング(170)とを備えるコイル巻き磁気リングであって、
前記プリント回路基板(4)は、
電気絶縁層によって互いに隔てられた、複数のメタライズ層の、垂直方向に沿ったスタックと、
第1の垂直巻線軸(34)に沿って延びている少なくとも1つの第1のコイル(38)であって、このコイルの巻線は、それぞれのメタライズ層の中に作られ、前記電気絶縁層の中の少なくとも1つを貫通しているパッドによって互いに電気的に接続されている導電トラック(90、92、130、132)によって形成されている、少なくとも1つの第1のコイル(38)と、
1つの側から他の側へ、前記プリント回路基板と交わっている、第1および第2の垂直ホール(30、32)であって、前記第1のホール(30)は前記第1の垂直軸(34)に沿って延びている、第1および第2の垂直ホール(30、32)とを備え、
前記磁気リングは、U形状上部(172)およびU形状下部(174)によって形成され、各上部および下部は、2つの垂直アーム(176、178、180、182)を備え、前記各垂直アームは、前記プリント回路基板のそれぞれのホールに挿入され、前記上部の各アームは、前記それぞれのホールの中で、前記下部の対応したアームの上に、水平方向に重ね合わされ、前記磁気リングのこれらの2つの部分の間の磁気連続性を確立していることを特徴とする磁気リング。
【請求項2】
前記垂直アーム(176、178、180、182)の前記重ね合わせの横方向寸法、すなわち、前記メタライズ層の平面に平行な方向への寸法は、前記ホール(30、32)、またはこれらのホールの中に収容されたリジッドガイドの対応した横方向寸法よりも、少なくとも5μm小さく、これにより、前記ホールまたは前記リジッドガイドの垂直壁と、それに対向する前記磁気リングの垂直面との間に間隙を形成していることを特徴とする、請求項1に記載の磁気リング。
【請求項3】
前記ホール(30、32)は、長円形であり、同じ配列水平軸に沿って延びており、
各「U」形状部(172、174)は、本質的に、前記巻線軸に平行な垂直平面に沿って延びていることを特徴とする、請求項1または2に記載の磁気リング。
【請求項4】
前記下部および上部の前記重ね合わされたアームの間に電気絶縁材料が挿入され、これにより前記下部および上部は、互いに電気絶縁されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気リング。
【請求項5】
前記リングは、第2の垂直巻線軸(36)の周りに巻かれている第2のコイル(39)を有し、前記第2のコイルの巻線は、前記メタライズ層の中に作られた導電トラックによって形成され、前記導電トラックは、前記電気絶縁層の中の少なくとも1つを貫通しているパッドによって、互いに電気的に接続され、
前記第2のホール(32)は、前記第2の巻線軸に沿って延びており、
前記第1および第2のコイルは、
第1のメタライズ層の中に作られ、前記第1の垂直巻線軸(34)の周りに1つの方向に巻かれ、前記第2の垂直巻線軸(36)の周りに反対の方向に巻かれている、同じ第1の導電トラックと、
第2のメタライズ層の中に作られ、前記第1の垂直巻線軸(34)の周りに1つの方向に巻かれ、前記第2の垂直巻線軸の周りに反対の方向に巻かれている、同じ第2の導電トラック(130)と、
前記絶縁層の中の少なくとも1つを貫通し、前記第1および第2の導電トラックを互いに電気的に接続し、これにより、前記第1および第2の導電トラックが給電されるときには、電流は、前記第1のコイルの中では1つの方向に、また前記第2のコイルの中では反対方向に流れるようにしている、第1のパッド(96)とを備えていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気リング。
【請求項6】
第1および第2のメタライズ層の中に作られた前記第1および第2のコイル(38、39)の前記導電トラック(90、92、130、132)を、前記メタライズ層に平行な平面の中で重ね合わせることにより、X軸およびY軸に関して2つの軸対称性を有するパタンを形成し、これらX軸およびY軸は、互いに直交し、前記メタライズ層に平行であり、前記重ね合わされたメタライズ層のそれぞれの前記1つまたは複数の導電トラックは、それら自体としては、前記X軸またはY軸に関する軸対称性を有さないことを特徴とする、請求項5に記載の磁気リング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−65850(P2013−65850A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−196447(P2012−196447)
【出願日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【出願人】(510132347)コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ (51)
【Fターム(参考)】