説明

コイル装置

【課題】リード線と端子金具との接続部分を保護しつつコストを低減することが可能なコイル装置を提供する。
【解決手段】コイル装置10は、巻き線11がボビン20に巻回されてなるコイル12と、前記コイル12から引き出されたリード線13に接続される端子金具30とを有し、前記ボビン20には、前記端子金具30が保持されるコネクタ部23が一体に形成され、前記コネクタ部23には、前記リード線13と前記端子金具30との接続部分を覆うカバー40が取り付けられるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、巻き線がボビンに巻回されてなるコイルを有するコイル装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このコイル装置は、コイルから引き出されたリード線に接続される端子金具を有し、端子金具を収容するコネクタ部は、ボビンに一体に設けられている。コイル装置は、コネクタ部に端子金具を収容した後、リード線と端子金具とを接続し、その後、コイルとコネクタ部との周りにモールド成形によって外装部を形成することにより製造される。この外装部により、外部に露出していたリード線と端子金具との接続部分が保護されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−247604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように、外装部をモールド成形することは高コストであるため、リード線と端子金具との接続部分を保護しつつ低コスト化を図りたいという要望があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、リード線と端子金具との接続部分を保護しつつコストを低減することが可能なコイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコイル装置は、巻き線がボビンに巻回されてなるコイルと、前記コイルから引き出されたリード線に接続される端子金具とを有し、前記ボビンには、前記端子金具が保持されるコネクタ部が一体に形成され、前記コネクタ部には、前記リード線と前記端子金具との接続部分を覆うカバーが取り付けられるものである。
このような構成によれば、外装部をモールド成形することなく、端子金具とリード線との接続部分を保護することができるから、リード線と端子金具との接続部分を保護しつつコストを低減することができる。
【0007】
また、前記端子金具は、前記コネクタ部に圧入されて保持されるものとしてもよい。
また、前記カバーは、前記コネクタ部を側方から抱き込むようにして前記コネクタ部に係合する一対の係合片を有しているものとしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リード線と端子金具との接続部分を保護しつつコストを低減することが可能なコイル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1に係るコイル装置の背面図
【図2】同上面図
【図3】カバーの斜視図
【図4】コイル装置の一部拡大側面図
【図5】同一部拡大正面図
【図6】図5のB−B断面図
【図7】カバーを取り付ける様子を表す図1のA−A位置の断面図
【図8】実施形態2に係るコイル装置の背面図
【図9】同上面図
【図10】カバーの斜視図
【図11】コイル装置の一部拡大側面図
【図12】同一部拡大正面図
【図13】図12のD−D断面図
【図14】カバーを取り付ける様子を表す図8のC−C位置の断面図
【図15】カバーを取り付けた状態を表す図8のC−C位置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1について、図1〜図7を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態に係るコイル装置10は、自動車のオートマチック・トランスミッションのミッションケース内に設けられ、油圧弁の開閉を行うためのソレノイド装置を構成するものである。コイル装置10は、巻き線11がボビン20に巻回されてなるコイル12と、コイル12から引き出されたリード線13に接続される端子金具30とを有している。以下、各構成部材において、図1の上側を上方、下側を下方、また図2の上側を前方、下側を後方として説明する。
【0011】
ボビン20は、絶縁性を有する合成樹脂製であり、円筒状をなすボビン本体21と、ボビン本体21の軸方向の両端から径方向の外側に張り出す一対のフランジ22とを有している。
ボビン本体21の外周には、巻き線11が巻き付けられている。巻き線11は、導電性に優れた金属製(例えば銅製)の細線からなる。ボビン本体21に巻回された巻き線11は、図示しない保護部材によって周りを覆われている。保護部材は、例えば内周面に接着層(粘着層)を有するテープ材であり、テープ材は幾重にも巻き付けられる。
【0012】
ボビン20には、端子金具30が保持されるコネクタ部23が一体に設けられている。コネクタ部23は、ボビン20のフランジ22部に突出して設けられ、コイル12から引き出されたリード線13が保持されるリード線保持部23Aと、端子金具30が装着される端子装着部23Bと、外部回路の端末である外部コネクタ(図示せず)が嵌合可能なコネクタ嵌合部23Cとを有している。
【0013】
リード線保持部23Aは、ボビン20のフランジ22からボビン20の軸方向に突出する形状をなしている(図4参照)。リード線保持部23Aの幅方向の側面には、リード線13を端子装着部23B側に導くガイド溝24が形成されている。
【0014】
端子装着部23Bは、リード線保持部23Aの突出端寄りの位置からボビン20の径方向外側へ突出する形状をなしている(図6参照)。端子装着部23Bの幅寸法は、リード線保持部23Aおよびコネクタ部23の幅寸法よりも小さい寸法とされ、その幅方向の両角部には端子嵌合凹部25が凹み形成されている。端子装着部23Bには、後述する端子金具30の一部分が嵌合するようになっている。
【0015】
コネクタ嵌合部23Cは、端子装着部23Bの突出端からボビン20の軸方向に突出する形状をなしている。コネクタ嵌合部23Cは前方へ開口する形状をなし、前方から外部コネクタ(図示せず)が嵌合可能とされている。コネクタ嵌合部23Cの奥壁には、端子金具30のコネクタ側接続部32を圧入可能な圧入孔26が形成されている。圧入孔26は、コネクタ嵌合部23Cの幅方向に一対が並んで形成されている。
【0016】
端子金具30は、コネクタ部23の圧入孔26に圧入されて保持されている。端子金具30は、コイル12のリード線13に対応して一対備えられている。各端子金具30は、リード線13に接続されるコイル側接続部31と、外部コネクタの外部端子(図示せず)に接続されるコネクタ側接続部32と、これらの間を連結する連結部33と、から構成されている。
【0017】
コネクタ側接続部32は、連結部33の端部から連結部33に対して垂直方向に突出する形状をなし、圧入孔26に圧入されてその先端がコネクタ嵌合部23C内に突出している。
【0018】
コイル側接続部31は、連結部33の端部から前方に突出した後、側方に屈曲された形状をなしている。コイル側接続部31は、端子金具30がコネクタ部23に保持された状態では、一部分がコネクタ部23の端子嵌合凹部25に嵌合して端子装着部23B内に収まり、他の部分は端子装着部23Bから側方に突出した状態になる(図7参照)。なお、端子金具30のコイル側接続部31のうち端子装着部23Bから側方に突出する部分(接続片34と称する)に対してリード線13が接続される。接続片34は、端子装着部23Bからの突出方向の幅寸法が長い略矩形の板状をなしている。一対の接続片34は、その板面が端子装着部23Bの前面と略平行をなす向き(端子装着部23Bの側面と略垂直をなす向き)端子装着部23Bから両側方に張り出している。
【0019】
さて、コネクタ部23には、リード線13と端子金具30との接続部分を覆うカバー40が取り付けられている。カバー40は、端子金具30の圧入方向後方に組み付けられるものであり、端子金具30の後方を覆う後壁41、側方を覆う一対の側壁42、および前方を覆う前壁43を有している。
【0020】
後壁41は、コネクタ部23に装着された端子金具30の後方の全体を覆う略方形の板状をなしている。後壁41の上下方向寸法は、コネクタ部23のうち端子装着部23Bおよびコネクタ嵌合部23Cの上下方向寸法と同等とされ、また幅方向寸法は、コネクタ嵌合部23Cの幅寸法と同等とされている。
【0021】
後壁41の前面(端子装着部23Bおよびコネクタ嵌合部23Cとの対向面)には、端子金具30の一部分が収容される端子収容凹部44が形成されている。端子収容凹部44は、後壁41の幅方向中央部において後方に凹んだ形状をなしている。端子収容凹部44には、端子金具30の連結部33が収容され、この連結部33は、後壁41により、上方、下方および後方を覆われている。
【0022】
側壁42および前壁43は、コネクタ部23の端子装着部23Bを側方から抱き込むようにして端子装着部23Bに係合するようになっており、本発明の係合片を構成している(図7参照)。側壁42および前壁43は、後壁41の幅方向の両端縁にヒンジ45を介して連結され、ヒンジ45を中心に回動し得るようになっている。詳しくは、側壁42および前壁43は、リード線13と端子金具30との接続部分の側方および前方を覆う閉じ状態と、接続部分を開放する開き状態との間を回動し得るようになっている。
【0023】
側壁42および前壁43は断面L字状をなして連なり、その壁厚寸法は、後壁41の壁厚寸法よりも小さく、側壁42から前壁43まで略一定とされている。また、側壁42および前壁43の高さ寸法(コイル12の径方向に沿う方向の寸法)は、コネクタ部23の端子装着部23Bの高さ寸法と同等の寸法とされている(図6参照)。
【0024】
側壁42は、端子装着部23Bの側面の略全体を覆う上下方向に長い略長方形の板状をなしている。側壁42は、閉じ状態では、その壁面が後壁41の壁面に略垂直をなしている。
【0025】
前壁43は、各側壁42の前端縁(ヒンジ45とは反対側の端縁)から端子装着部23Bの幅方向の中央へ向かって略垂直に立ち上がる壁状をなしている。各前壁43の幅寸法は、後壁41の幅寸法の略半分よりも若干小さい寸法とされ、閉じ状態では、その大部分が後壁41と対向した状態になる。
【0026】
前壁43には、後述するコネクタ側爪部27との干渉を回避するカバー側逃がし部46が形成されている。カバー側逃がし部46は各前壁43に1ずつ、端子装着部23Bの前方に重なる部分に形成されている。2つのカバー側逃がし部46のうち一方のカバー側逃がし部46は、一方の前壁43の上側部分に、他方のカバー側逃がし部46は他方の前壁43の下側部分に設けられ、すなわち2つのカバー側逃がし部46は上下左右にずれた位置に設けられている。各カバー側逃がし部46は、略矩形をなして前壁43を壁厚方向に開口する孔であり、後述するコネクタ側爪部27が嵌合可能とされている。
【0027】
カバー側逃がし部46の孔縁部には、カバー側爪部47が設けられている(図7参照)。カバー側爪部47は、各カバー側逃がし部46の孔縁部のうち側壁42とは反対側の縁に設けられている。カバー側爪部47は、前壁43の後面側(端子装着部23Bとの対向面側)に突出するとともに、各カバー側逃がし部46の孔縁部からカバー側逃がし部46内に突出する形状をなしている。なお、各前壁43は、カバー側爪部47が設けられた部分が他の部分よりも側壁42とは反対側に突出した形状をなしている。
【0028】
カバー側爪部47は、前壁43が閉じられた状態では、後述するコネクタ側爪部27と前後方向に対向して係合するとともに、後述するコネクタ側逃がし部26に嵌合するようになっている。
【0029】
コネクタ部23の端子装着部23Bには、カバー側爪部47との干渉を回避するコネクタ側逃がし部26が形成されている。コネクタ側逃がし部26は、端子装着部23Bの前面に凹み形成された凹部であり、端子装着部23Bの幅方向に長い溝状をなしている。コネクタ側逃がし部26は、端子装着部23Bの上側位置および下側位置(それぞれカバー側爪部47と対応する高さ位置)に一対設けられ、互いに略平行をなしている(図5参照)。
【0030】
また、コネクタ部23の端子装着部23Bには、カバー側爪部47と係合するコネクタ側爪部27が設けられている。コネクタ側爪部27は、端子装着部23Bの幅方向の一端と他端とに一ずつ、上下方向に離れた位置に設けられている。一対のコネクタ側爪部27は、一対のコネクタ側逃がし部26の一端と他端とから、それぞれコネクタ側逃がし部26の前方へ立ち上がるとともに、コネクタ側逃がし部26と対向する側へ突出する形状をなしている。
【0031】
カバー側爪部47とコネクタ側爪部27とが係合した状態では、互いの対向面は端子装着部23Bの前面(カバー40の前壁43の後面)と、前後方向の位置が揃った状態になる。なお、前壁43が開き状態から閉じ状態に至る間に、カバー側爪部47とコネクタ側爪部27とが接触する面には、ほぼ等しい勾配の傾斜をなして両爪部47,27の係合を案内する案内面48,28が形成されている。またカバー側爪部47とコネクタ側爪部27とが係合した状態では、コネクタ側爪部27は、カバー40の前壁43の前壁43から前方に突出することなく、その前面がカバー40の前面とほぼ面一で連なるようになっている。
【0032】
次に、上記のコネクタ装置の製造方法の一例を説明する。
まず、コネクタ部23とボビン20とが一体化した成形品を製造し、次いで端子金具30をコネクタ部23に保持させる。このとき、端子金具30のコネクタ側接続部32をコネクタ部23の圧入孔28に圧入する。そして、コイル側接続部31の一部分を端子嵌合凹部25に収容するとともに、連結部33を端子装着部23Bの後面に沿わせた状態にする。
【0033】
次に、ボビン20に巻き線11を巻き付けるとともに、その外周にテープ材を巻き付ける。また、リード線13をリード線保持部23Aのガイド溝24に嵌め込んで端子装着部23B側へ引き出した状態にし、リード線13と端子金具30の接続片34とを溶着して各端子金具30とコイル12とを電気的に接続する。
【0034】
その後、コネクタ部23にカバー40を取り付ける。側壁42および前壁43を開き状態にしたカバー40をコネクタ部23の後側に装着した後、側壁42および前壁43を閉じ方向に回動させる。すると、カバー側爪部47の案内面48とコネクタ側爪部27の案内面28がと当接し、カバー側爪部47がコネクタ側爪部27を乗り越える側に案内されるとともに、コネクタ側爪部27が端子装着部23Bの幅方向外側にわずかに弾性変位し、やがて、カバー側爪部47がコネクタ側逃がし部26に嵌まるとともにコネクタ側爪部27がカバー側逃がし部46に嵌まり、カバー側爪部47とコネクタ側爪部27とが係合した状態になる。こうして、カバー40がコネクタ部23に取り付けられ、リード線13と端子金具30との接続部分が、カバー40により周囲を覆われた状態になる。また、カバー40により、端子金具30のコネクタ部23からの離脱が確実に防止された状態になる。
【0035】
上記のように構成された実施形態1によれば、以下の効果を奏する。
コネクタ部23には、リード線13と端子金具30との接続部分を覆うカバー40が取り付けられているから、従来のように外装部をモールド成形することなく、端子金具30とリード線13との接続部分を保護することができる。したがって、端子金具30とリード線13との接続部分を保護しつつコストを低減することができる。
【0036】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2に係るコイル装置10を図8〜図15によって説明する。
本実施形態のコイル装置50は、カバー51の形状が異なる点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0037】
本実施形態のコイル装置50は、実施形態1と同様、巻き線11がボビン20に巻回されてなるコイル12と、コイル12から引き出されたリード線13が接続される端子金具30とを有し、ボビン20には、端子金具30が保持されるコネクタ部23が一体に成形されている。
【0038】
そして、コネクタ部23には、実施形態1と同様、リード線13と端子金具30との接続部分を覆うカバー51が取り付けられている。カバー51は、端子金具30の圧入方向後方に組み付けられるものであり、端子金具30の後方を覆う後壁52、側方を覆う一対の側壁53、および端子装着部23Bに係合する一対の係合片54を有している。
【0039】
後壁52は、実施形態1と同様、コネクタ部23に装着された端子金具30の後方の略全体を覆う略同形・同大の略方形の板状をなし、その前面(端子装着部23Bおよびコネクタ嵌合部23Cとの対向面)には、端子金具30の一部分が収容される端子収容凹部58が形成されている(図13参照)。
【0040】
また、後壁52の略中央位置には窓部55が形成されている(図2参照)。窓部55は、後壁52の幅方向に長い矩形状をなして後壁52を壁厚方向に貫通している。窓部55は、端子収容凹部58に連なって設けられ、その長さ方向の幅寸法は、端子収容凹部58の幅寸法と同等の寸法とされている(図14参照)。
【0041】
側壁53は、後壁52の幅方向の両端縁から前方へ略垂直に立ち上がる壁状をなしている。側壁53の上下方向の寸法は、コネクタ部23の端子装着部23Bおよびコネクタ嵌合部23Cの上下方向の寸法と同等の寸法とされている。
【0042】
係合片54は、カバー51の幅方向に一対が対向して設けられ、コネクタ部23の端子装着部23Bを側方から抱き込むようにして端子装着部23Bに係合する。係合片54は、後壁52のうち窓部55の長さ方向の両端縁から片持ち状をなして前方へ突出し、その突出端は側壁53よりも前方の位置に達している(図14参照)。一対の係合片54は、その中心に関して対称な形状をなし、互いに離間・接近方向に弾性変位可能とされている。
【0043】
各係合片54は、後壁52から前方へ突出する脚部54Aと、脚部54Aの先端から内側(側壁53とは反対側)へ突出するカバー側爪部54Bとを有している。カバー側爪部54Bは、脚部54Aに対して略垂直方向に突出している。カバー側爪部54Bの後面は、側壁53の前端縁と前後方向の位置がほぼ等しい位置となっている。また、係合片54が端子装着部23Bに係合した状態では、その前面が端子装着部23Bの前面と面一に連なるようになっている。
【0044】
コネクタ部23の端子装着部23Bには、係合片54のカバー側爪部54Bが係合するコネクタ側爪部56が形成されている。コネクタ側爪部56は、端子装着部23Bの前面に凹み形成された凹部の底面であり、端子装着部23Bの幅方向の両端に一対が設けられている(図13参照)。一対のコネクタ側爪部56は、それぞれ端子装着部23Bの上端寄りの位置(端子嵌合凹部25よりも上側の位置)に設けられている。
【0045】
また、端子装着部23Bには、カバー側爪部54Bをコネクタ側爪部56に案内する案内溝57が形成されている。案内溝57は、端子装着部23Bの両側面に凹み形成され、端子装着部23Bの後端からコネクタ側爪部56まで前後方向に延びている。案内溝57の深さ寸法は、係合片54の脚部54Aの厚さ寸法と同等の寸法とされている。
【0046】
次に、上記のコイル装置50の製造方法の一例を説明する。
まず、実施形態1と同様、コネクタ部23とボビン20とが一体化した成形品を製造し、端子金具30をコネクタ部23に保持させ、ボビン20に巻き線11を巻き付けた後、リード線13と端子金具30の接続片34とを接続する。
【0047】
次いで、コネクタ部23にカバー51を取り付ける。コネクタ部23に対して後方からカバー51を押し込むと、係合片54のカバー側爪部54Bが端子装着部23Bの案内溝57に嵌まって脚部54Aが開き方向に弾性変位し、さらにカバー51を押し込むと、カバー側爪部54Bが案内溝57に案内されてやがてコネクタ側爪部56に嵌合し、ほぼ同時に脚部54Aが弾性復帰する。こうしてカバー側爪部54Bとコネクタ側爪部56とが係合し、カバー51がコネクタ部23に取り付けられた状態に保持される。
【0048】
以上のように本実施形態においては、コネクタ部23には、リード線13と端子金具30との接続部分を覆うカバー51が取り付けられているから、実施形態1と同様に、従来のように外装部をモールド成形することなく、端子金具30とリード線13との接続部分を保護することができ、もって、端子金具30とリード線13との接続部分を保護しつつコストを低減することができる。
【0049】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0050】
(1)上記実施形態では、端子金具30は、コネクタ部23に圧入されて保持されているが、これに限らず、例えば端子金具を圧入することなくコネクタ部に収容し、カバーを取り付けることによって端子金具をコネクタ部に保持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10,50…コイル装置
11…巻き線
12…コイル
13…リード線
20…ボビン
23…コネクタ部
30…端子金具
40…カバー
42…側壁(係合片)
43…前壁(係合片)
54…係合片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き線がボビンに巻回されてなるコイルと、前記コイルから引き出されたリード線に接続される端子金具とを有し、
前記ボビンには、前記端子金具が保持されるコネクタ部が一体に形成され、
前記コネクタ部には、前記リード線と前記端子金具との接続部分を覆うカバーが取り付けられるコイル装置。
【請求項2】
前記端子金具は、前記コネクタ部に圧入されて保持される請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記カバーは、前記コネクタ部を側方から抱き込むようにして前記コネクタ部に係合する一対の係合片を有している請求項1または請求項2に記載のコイル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−219123(P2010−219123A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61291(P2009−61291)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】