説明

コイン判別装置及び貯金箱

【課題】集中的に配置された検出センサにより、シュートにて拘束されたコインを判別する。
【解決手段】コイン判別装置100は、第1ケース120及び第2ケース130と、第1ケース120と第2ケース130とにより挟まれる、断面がコの字型のシュート110とで構成される。シュート110には、下に行くに従って両側が狭くなる傾斜部114、115を有する。この傾斜部114、115の少なくとも一方としてコイン退避部材131が設けられる。コイン退避部材131は、モータにより動作され、当接面131AにコインCが当接された当接状態と当接状態を解放した状態とを切換える。板116及び当接面131Aに当接されて拘束されたコインCの近傍に集中的に配置された検出センサにより、コインCの種類が判別される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数類のコインの種別を自動的に判別するコイン判別装置及びそのコイン判別装置を用いた貯金箱に関する。
【背景技術】
【0002】
コイン(日本国硬貨など)の外径ごとに自動的に選別するための選別機構として、コインを転がすコイン通路の側壁にコインサイズに応じて異なる大きさの開口部を備えた倒れ込み孔を並設した「振り落とし方式」や、さらに原始的な方式として、コイン通路の底にコインサイズに応じて開口部の長さが異なる落下孔を並べて設けた「落とし穴方式」が知られている。
このようなコイン判別装置の一例として、特許文献1(特開2004−54790号公報)は、小型のコイン判別装置を開示する。
【0003】
このコイン判別装置は、一端側を投入口とし他端側を吐出口とするシュートに対し、このシュート内へ通過させるコインの外径差からコインを判別する外径選別手段が設けられていることを特徴とするコイン判別装置であって、この外径選別手段は、径大コインと径小コインとの比較において径大コインの外周部には係合してシュートを通過不能にさせるが径小コインの外周部には非係合のまま通過させるゲートストッパと、このゲートストッパで停止したコインを検出するコイン検出部と、必要に応じて上記ゲートストッパとコインとの係合を解除させることによりコインをシュートの吐出口へ通すストッパ外し機構とを有していることを特徴とする。
【0004】
このコイン判別装置によると、コイン種をその外径で判別するものとしたうえで、その小型化が図れ、構造を簡潔にできる。
さらに、実開昭62−46976号公報(特許文献2)は、簡単な構成で誤動作が少ない硬貨判別装置を開示する。この硬貨判別装置は、硬貨通路内を通過する硬貨が所定位置に到達した状態で該硬貨を検出する位置および検出しない位置にそれぞれ配設された第1の検出素子および第2の検出素子から成るタイミング決定手段と、上記所定位置に位置している硬貨の形状を光学的に検出する形状判別手段とを具備し、上記第1、第2の検出素子により硬貨が上記所定位置に到達したことを検出したタイミングにて上記形状判別手段により該硬貨の形状を判別することを特徴とする。
【0005】
この硬貨判別装置によれば、光学的な形状判別手段を用いて硬貨通路内を移動通過中の硬貨の形状判別が確実に行なえ、簡単な構成で信頼性が高いのみならず、機械的な判別装置に比べて、設置条件が厳しくなく、硬貨投入口から落下ポイントまでの設計の自由度が高く、硬貨の詰まり等のトラブルが無く、誤動作も生じにくく、価格も極めて安価となる。
【特許文献1】特開2004−54790号公報
【特許文献2】実開昭62−46976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されたコイン判別装置は、検出センサの配置がコインの流れ方向に広がってしまうという問題点がある。一方、特許文献2に開示された硬貨判別装置は、検出センサの配置が集中的に配置できるもの、コインの形状(径や穴の有無)を判別する検出センサとは別にコインを判別するタイミングを決定するためのタイミング決定手段(2つのセンサ)が必要になるという問題点がある。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、コインを移動させることなく、コインの形状を検出するセンサを集中的に配置することができる、コイン判別装置を提供することを目的とする。さらに、このようなコイン判別装置を用いた貯金箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係るコイン判別装置は、第1に、シュートに通路幅が次第に狭くなってコインを拘束するコイン拘束部を形成し、このコイン拘束部にコインの外径差で種別を判別する複数の検出センサを設け、前記コイン拘束部でコインの外周面と当接する当接面を通路から退避可能な可動部材に形成していることを特徴とする。
第2に、前記コイン拘束部は通路中心線を挟んで両側で傾斜した一対の当接面を有し、一方の当接面を形成している前記可動部材を通路からコイン肉厚方向に退避可能にしていることを特徴とする。
【0008】
第3に、前記検出センサは、コインの孔部の有無を検出する中央用検出センサと、コインの外周部の有無を検出する複数の外周用検出センサと、規格外の小径コインを検出する小径用検出センサとを有することを特徴とする。
第4に、前記検出センサは、前記複数の外周用検出センサを中央用検出センサの上方に直線状に配置し、前記小径用検出センサを中央用検出センサから前記外周用検出センサの配列と交差する方向に配置していることを特徴とする。
これにより、略同位置でコインを拘束しつつその外径差を拡大できるため、十分な精度を保ったまま検出センサを集中的に配置できると同時に、拘束したコインの種別を判別した後、拘束されたコインを通路から退避可能な可動部材を備えているため、特許文献2のようにコイン判別のタイミングを決定するセンサが不要となる。
【0009】
また、通路中心部に検出センサを設置できると同時に、一方の当接面を形成している前記可動部材を通路の脇に設置できるため、コイン判別装置全体をコンパクトにすることができる。
さらに、3種類の検出センサを備えることで、規格外のものも含めたコインの種別を確実に判別することができる。
そして、検出センサをコインの外径差が最も拡大される通路中心部付近に集中して配置できる。
【0010】
また、本発明に係る貯金箱は、運動動作可能に設けられた動作部材と、前述したコイン判別装置と、このコイン判別装置で判別されたコイン判別信号を音声信号に変換する音声応答手段と、前記コイン判別装置で判別されたコイン判別信号を前記動作部材及び前記可動部材の動作信号に変換する動作応答手段とを有することを特徴とする。
これにより、貯金箱に投入されたコインを判別し、動作と音声で知らせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るコイン判別装置は、コインを移動させることなく、コインの形状を検出するセンサを集中的に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<コイン判別装置>
以下に、本実施形態に係るコイン判別装置100について説明する。図1にコイン判別装置100の分解斜視図を、図2にコイン判別装置100の正面図(第1ケース120を外した状態)を、図3にコイン判別装置100の左側面図をそれぞれ示す。
<コイン判別装置の構造上の特徴>
このコイン判別装置100の構造上の特徴は、(1)コインCの径の違いを、集中的に配置された検出センサで検出するために、コインCの進行方向である下に行くに従ってコインCが通過する通路幅が狭くなってコインCを拘束するコイン拘束部101を有する点、(2)このコイン拘束部101でコインCの外周面と当接する当接面131Aを構成する左右の部材の少なくとも一方の部材が、判別後のコインCをこのコイン判別装置100の通路から退避させる可動部材(後述するコイン退避部材131)としても機能する点、の少なくとも2つある。このコイン退避部材131は、例えば乾電池で動作するモータにより、コインCの面に垂直な方向(つまりコインCの肉厚方向)に進行及び退行するように動作する。なお、上述した(2)の特徴であるコイン退避部材131により、当接面を構成する左右の部材の双方が構成されていても構わない。なお、コイン拘束部101は、後述する板116と、これに対向するコイン退避部材131の当接面131Aとからなる。
【0013】
図1及び図2に示すように、このコイン退避部材131が、コイン判別装置100の傾斜部114と傾斜部115との間隙(コインCの肉厚に対応する間隙)を覆うように進行しているときには、コインCに当接する板116及びコイン退避部材131の当接面131AにてコインCを拘束してコインCの種別が判別される。このコイン退避部材131が、コイン判別装置100の傾斜部114と傾斜部115との間隙を覆わないように退行しているときには、当接面131AへのコインCの当接が解放されてコインCは拘束されないでさらに下方に落ちる。すなわち、コイン退避部材131がコイン判別装置100の傾斜部114、115の間隙を覆っているときに、板116及びコイン退避部材131の当接面131AがコインCを拘束する。
<コイン判別装置の構造>
図1に示すように、このコイン判別装置100は、第1ケース120及び第2ケース130と、第1ケース120と第2ケース130とで挟まれるシュート110とで構成される。なお、コインCを判別位置まで誘導する「シュート」という意味では、シュート110だけではなく、シュート110と上述したコイン退避部材131とを組み合わせた構成が対応する。この図1においては、第1ケース120、第2ケース130及びシュート110の構造をわかりやすくするために、各々を異なる角度で見た場合の斜視図を1つの斜視図としている。このため、これらの3つの部材は1つの方向から見た斜視図ではない(すなわち、これらの3つの部材を示す斜視図の方位角及び俯角は同じでない)。
【0014】
図1に示すように、シュート110は、大略的には、平板112(第2ケース130側)と平板113(第1ケース側)とをコインCの厚み程度だけ間隙を空けて重ねた部材であって、その下方が左右ともに傾斜されてカットされている。平板112と平板113とはその側面の一方において、平板112に傾斜部114が連なり、平板113に傾斜部115が連なっている。この平板112と平板113との間隔がコインCの厚み程度だけ空けているのと同様に、傾斜部114と傾斜部115との間隔もコインCの厚み程度だけ空けてある。
【0015】
これらの3つの部材が組み合わせられると、傾斜部114の端面と傾斜部115の端面は、コイン退避部材131の当接面131Aに対向する。このように対向しているときに、コイン退避部材131の当接面131A及び板116がコインCを拘束することになる。傾斜部114の端面と傾斜部115の端面がコイン退避部材131の当接面131Aに対向していないと、コインCは板116及びコイン退避部材131の当接面131Aに拘束されないでさらに下方に落ちて、コイン拘束部101から退避する。
一方、このシュート110の反対側側面は、このようなコインCの厚み程度の隙間が開放されて形成されておらず、平板112と平板113とは板111により連結され、傾斜部114、115は板116により連結されて閉じられている。このような構造であるため、このシュート110を鉛直上方から見ると、断面がコの字型の形状になっている。
【0016】
さらに、このシュート110には、検出センサ用のL字型の開口部117を備える。これは、このコイン判別装置100にコインCが到達してコイン拘束部101で拘束されているときに、第2ケース130のさらに表面側に設けられた投光光源からの光(例えば、赤外線(infrared radiation))を、第1ケース120のさらに背面側に設けられた検出センサ(受光センサ、特に赤外線が用いられる場合にIRセンサと呼ばれる場合もある)へ到達させるための開口部である(コインCにより遮光されていない場合)。なお、後述するように、この検出センサはL型に配置されているため、開口部117もL型になる。
【0017】
第1ケース120には、平板120Aと、その平板120Aに立設され第2ケース130のリブ130B及び130Cと接合されるリブ120B及びリブ120Cとを備える。平板120Aには、コイン退避部材131自体が当接面131Aを形成するときに(コイン退避部材131が傾斜部114と傾斜部115との間隙を覆うように進行したときに)通り抜ける開口部121を備える。さらに、平板120Aは、検出センサ用の穴部122A〜穴部122Fを備える。
第2ケース130には、平板130Aと、その平板130Aに立設され第1ケース120のリブ120B及び120Cと接合されるリブ130B及びリブ130Cとを備える。平板130Aには、コイン退避部材131用の開口部(図1ではコイン退避部材131の影になり隠れている)を備える。さらに、平板130Aは、投光光源用の穴部132A〜穴部132Fを備える。
【0018】
平板120Aに設けられた検出センサ用の穴部122A〜穴部122Fの各々の穴部の位置と、平板130Aに設けられた投光光源用の穴部132A〜穴部132Fの各々の穴部の位置とは、シュート110を第1ケース120と第2ケース130とで挟み込んでコイン判別装置100を組み上げたときに、開口部117を介して各々の光軸が一致する。なお、傾斜部114、115の角度θは、約103度である。
次に、図3に示すコイン判別装置100の左側面図を用いて、さらに投光光源及び検出センサについて説明する。なお、投光光源と検出センサの配置は表裏逆でも構わない。また、第5検出センサ123Eを中央用検出センサと、第1〜第4検出センサ123A〜123Dを外周用検出センサと、第6検出センサ123Fを小径用検出センサとする。
【0019】
第1ケース120においては、穴部122Aには第1検出センサ123Aが、穴部122Bには第2検出センサ123Bが、穴部122Cには第3検出センサ123Cが、穴部122Dには第4検出センサ123Dが、穴部122Eには第5検出センサ123Eが、さらに穴部122Eの幅方向に平行な位置に設けられた穴部には第6検出センサ123Fが、それぞれ設けられる。
第2ケース130においては、穴部132Aには第1投光光源133Aが、穴部132Bには第2投光光源133Bが、穴部132Cには第3投光光源133Cが、さらに穴部132Dに対応する穴部には第4投光光源133D(図示しない)が、さらに穴部132Eに対応する穴部には第5投光光源133E(図示しない)が、さらに穴部132Eの幅方向に平行な位置に設けられた穴部には第6投光光源133F(図示しない)が、それぞれ設けられる。
【0020】
図3に示すように、コイン退避部材131が傾斜部114よりも矢示A方向に進行している(傾斜部114と傾斜部115との間隙を覆うように進行している)ときに、このコイン退避部材131の当接面131A及び板116がコインCを拘束し、コイン退避部材131が傾斜部114よりも矢示B方向に進行している(傾斜部114と傾斜部115との間隙を覆わないように退行している)ときに、コインCは板116及びコイン退避部材131の当接面131Aに拘束されないでコインCがさらに下方に落ちる。なお、図3のコイン退避部材131の位置(実線及び一点鎖線)は必要最小限の動作距離になるように示している。すなわち、コイン退避部材131は矢示A方向に進行して、第1ケース120に設けられた開口部121を通り過ぎても構わない。
<コイン判別装置の動作>
以上のような構造を備えたコイン判別装置100の動作について説明する。なお、投入されるコインCは、現在日本で使用される硬貨である1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の6種類の硬貨及びこれらの6種類の硬貨の中で最も小さい径の1円硬貨よりもさらに小さい径の硬貨(例えば、1セントコイン)のうちのいずれかであるとする。
【0021】
コインC(上記の7種類のうちのいずれか1枚)をコイン判別装置100に投入する(例えば図2のコインC(1)の位置)。このとき、コイン判別装置100はコイン判別を完了していないので、コイン退避部材131が図3の矢示A方向に進行されている。
コインCは、コイン判別装置100の板116及びコイン退避部材131の当接面131Aに沿って下降してコイン拘束部101に拘束される(例えば図2のコインC(2)の位置)する。コインCの外径の大きさによって、どの位置まで下降するのかが決まる。図4の左から順に500円硬貨、10円硬貨、100円硬貨、5円硬貨、50円硬貨、1円硬貨、1セントコインの場合にどこまで下降するのかを示す。なお、図4における、黒丸は検出センサが受光していない状態(コインCにより投光光源の光線が遮光されている状態)を示し、白丸は検出センサが受光している状態(コインCにより投光光源の光線が遮光されていない状態)を示す。
【0022】
図4に示すように、無孔の500円硬貨(φ26.5mm)の場合、第1検出センサ123A、第2検出センサ123B、第3検出センサ123C、第4検出センサ123D、第5検出センサ123E及び第6検出センサ123Fの全ての検出センサが、投光光源の光線を受光していない。
無孔の10円硬貨(φ23.5mm)の場合、第1検出センサ123Aのみが投光光源の光線を受光し、第2検出センサ123B、第3検出センサ123C、第4検出センサ123D、第5検出センサ123E及び第6検出センサ123Fが、投光光源の光線を受光していない。
【0023】
無孔の100円硬貨(φ22.5mm)の場合、第1検出センサ123A及び第2検出センサ123Bが投光光源の光線を受光し、第3検出センサ123C、第4検出センサ123D、第5検出センサ123E及び第6検出センサ123Fが、投光光源の光線を受光していない。
有孔の5円硬貨(φ22mm)の場合、第1検出センサ123A及び第2検出センサ123Bに加えて硬貨の中心の穴の位置に合致する第5検出センサ123Eが投光光源の光線を受光し、第3検出センサ123C、第4検出センサ123D及び第6検出センサ123Fが、投光光源の光線を受光していない。
【0024】
同じ有孔であっても50円硬貨(φ21mm)の場合、5円硬貨よりも径が小さいのでさらに下方まで降下して硬貨の中心の穴の位置に合致する検出センサがなくなり、第1検出センサ123A、第2検出センサ123B及び第3検出センサ123Cが投光光源の光線を受光し、第4検出センサ123D、第5検出センサ123E及び第6検出センサ123Fが、投光光源の光線を受光していない。
無孔の1円硬貨(φ20mm)の場合、第1検出センサ123A、第2検出センサ123B、第3検出センサ123C及び第4検出センサ123Dが投光光源の光線を受光し、第5検出センサ123E及び第6検出センサ123Fが、投光光源の光線を受光していない。
【0025】
さらに、1円硬貨よりも径が小さい1セントコイン(φ19.05mm)の場合、第1検出センサ123A、第2検出センサ123B、第3検出センサ123C、第4検出センサ123D及び第6検出センサ123Fが投光光源の光線を受光し、第5検出センサ123Eが、投光光源の光線を受光していない。
なお、コインCがコイン判別装置100に到達していない場合、第1検出センサ123A、第2検出センサ123B、第3検出センサ123C、第4検出センサ123D、第5検出センサ123E及び第6検出センサ123Fの全ての検出センサが、投光光源の光線を受光する。
【0026】
このように、6個の検出センサからの信号の組み合わせで6種類の日本国硬貨及び1セントコインの種別を判別できる。
なお、コインCの外径差に基づいて、図4に示すように検出センサの位置が定められるが、これらの検出センサの位置について記述する。図4に示す下辺Dを12mmとして、この下辺Dを水平基準位置とすると、第1検出センサ123Aの中心位置が下辺Dから43.9mm、第2検出センサ123Bの中心位置が下辺Dから36.7mm、第3検出センサ123Cの中心位置が下辺Dから32.6mm、第4検出センサ123Dの中心位置が下辺Dから29.6mm、第5検出センサ123E及び第6検出センサ123Fの中心位置が下辺Dから24mmである。
【0027】
コインCが判別位置(図2におけるコインC(1)の位置)に到着した後にコインCの種別が判別できると(図4のいずれかの受光パターンになると)、電気回路がモータを作動させて、コイン判別装置100のコイン退避部材131が、コイン判別装置100の傾斜部114と傾斜部115との間隙を当接面131Aで塞がないように退行される。これにより、コイン拘束部101によるコインCの拘束が継続できなくなり、判別位置(コインC(2)の位置)のコインCがさらに下方に落ちて(コインC(3)の位置)、コイン拘束部101からコインCが退避される。
【0028】
なお、傾斜部114及び傾斜部115の傾きは図2の一点鎖線で示すように、さらにコインCの進行中心側に切れ込んでいても構わないし、コイン退避部材131の動作を阻害しなければ他の形状であっても構わない。
以上のようにして、本実施形態に係るコイン判別装置100によると、コインCの周縁を板116及び当接面131Aに当接させて拘束して、複数の検出センサで径及び中心孔の有無を判別する。このようにコイン拘束部101で拘束させるので、検出センサを集中的に配置できる。さらに、コイン判別が終わると、当接面の一方はコインCの周縁に当接している状態から当接しない状態に動作されて、コインCがさらに下方に落とされて、コイン拘束部101から退避される。このため、拘束させたコインCをコイン判別装置100から退避させるための特段の部材を必要としない。
<コイン判別装置の変形例>
上述したコイン判別装置100において、板116及び当接面131Aに周縁が当接して拘束されたコインCが進行するように、左右の当接面の少なくとも一方(コイン退避部材131)をコインCが当接した状態から退避させるように説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、コイン退避部材は、コイン退避部材131の当接面131Aがほぼ鉛直下方に向くように揺動させて、コインCが当接面131Aに当接した状態から退避させるものであっても構わないし、コイン退避部材131をコインCから遠ざけるように水平方向にスライドしてコインCが当接面131Aに当接した状態から退避させるものであっても構わない。すなわち、コイン退避部材は、コインCが当接している当接面131Aの作用点をコインCから逃がすように、当接面131Aを構成要素とするコイン退避部材131を動作させるものであればよい。
<コイン判別装置の一適用例としての貯金箱>
図5に、本実施形態に係るコイン判別装置100を備えた貯金箱1の外形図を、図6に図1の貯金箱1のカバー1B(このカバー1Bは背面側のカバーであって、表面側のカバー1Aと対になっているカバーであるが図示していない)を外して、背面から見た透視図を、それぞれ示す。
【0029】
これらの図1及び図2に示すように、貯金箱1は招き猫を模したものとしてあり、この招き猫の頭頂部6から少し後の部分にコインC用の入金口部5が設けられ、またこの入金口部5の真下部であって招き猫の腹部に相当する部分の内部に、入金口部5に連通するコインケース200が設けられている。この貯金箱1は、カバー1A及びカバー1Bと、これらのカバーで覆われた内部機構とで構成される。カバー1A、カバー1B及び内部機構とは、複数のステー等でネジ止め等されている。
この貯金箱1においては、入金口部5とコインケース200との上下方向に縦置きされ、コインCが重力により到達される、上述したコイン判別装置100が設けられている。コインケース200には、貯金箱1の底面である面にコイン排出口210が設けられており、例えばネジ式のキャップでコインケース200の内部を外部と遮断している。
【0030】
また、この貯金箱1の模写対象である招き猫の目の部分は、この貯金箱1の入金口部5から投入されたコインCがコインケース200に到達すると、例えば目2及び/又は目3が上下に動作する。さらに、この貯金箱1の模写対象である招き猫の右前足4の部分は、コインケース200に入金口部5から投入されたコインCがコインケース200に到達すると、例えば前方に約90度回転して倒れた後に元の位置に逆回転するように動作する。さらに、この貯金箱1には、音声応答手段(スピーカ)7を備えている。スピーカ7は、IC素子に予め記憶させた音声を電気回路の指示により出力する。
【0031】
このような動作は、図示しない電源(乾電池)により作動されるモータ及びそのモータに連動して動作する各種の動作部材8(ギヤ機構やリンク機構)により実現される。なお、このような動作は、動作応答手段9によって、コイン判別装置100において、コインCの種別が判別されたときに、コイン判別装置100からコインCを退避させる部材(後述するコイン退避部材131)を動作させるときに行なわれる。このため、コインCをこの貯金箱1の入金口部5から投入してコインCが日本国硬貨である(1セントコインや金属片やメダル等でない)と判別されると、コインCがコインケース200に到達するとともに、招き猫を模した貯金箱1の各部がコミカルに動作する。
【0032】
以上のようにして、本実施形態に係るコイン判別装置を適用した貯金箱によると、コインの種類を判別する検出センサを集中的に配置でき、貯金箱内部の検出回路を取り纏めることができる。
なお、本実施形態に係るコイン判別装置の適用は、上述した貯金箱に留まらないことはいうまでもない。さらに、本実施形態に係るコイン判別装置で判別できるコインは日本国硬貨に限定されるものではない。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るコイン判別装置の分解斜視図である。
【図2】図1のコイン判別装置の正面図である。
【図3】図1のコイン判別装置の左側面図である。
【図4】コイン拘束部の状態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るコイン判別装置を備えた貯金箱の外形図である。
【図6】図5の貯金箱の背面から見た透視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 貯金箱
5 入金口部
100 コイン判別装置
110 シュート
120 第1ケース
130 第2ケース
131 コイン退避部材(可動部材)
131A 当接面
200 コインケース
210 コイン排出口
C コイン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュートに通路幅が次第に狭くなってコインを拘束するコイン拘束部を形成し、このコイン拘束部にコインの外径差で種別を判別する複数の検出センサを設け、前記コイン拘束部でコインの外周面と当接する当接面を通路から退避可能な可動部材に形成していることを特徴とするコイン判別装置。
【請求項2】
前記コイン拘束部は通路中心線を挟んで両側で傾斜した一対の当接面を有し、一方の当接面を形成している前記可動部材を通路からコイン肉厚方向に退避可能にしていることを特徴とする請求項1に記載のコイン判別装置。
【請求項3】
前記検出センサは、コインの孔部の有無を検出する中央用検出センサと、コインの外周部の有無を検出する複数の外周用検出センサと、規格外の小径コインを検出する小径用検出センサとを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコイン判別装置。
【請求項4】
前記検出センサは、前記複数の外周用検出センサを中央用検出センサの上方に直線状に配置し、前記小径用検出センサを中央用検出センサから前記外周用検出センサの配列と交差する方向に配置していることを特徴とする請求項3に記載のコイン判別装置。
【請求項5】
運動動作可能に設けられた動作部材と、前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のコイン判別装置と、このコイン判別装置で判別されたコイン判別信号を音声信号に変換する音声応答手段と、前記コイン判別装置で判別されたコイン判別信号を前記動作部材及び前記可動部材の動作信号に変換する動作応答手段とを有することを特徴とする貯金箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−26922(P2010−26922A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189905(P2008−189905)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(392028686)株式会社ヤマサン (2)
【Fターム(参考)】