コイン検出装置およびコイン検出方法
【課題】使用されるコインを検出する場合において、より一層、不正行為に強い技術を提供する。
【解決手段】コインを検出するコイン検出装置に、検出光を照射する発光部と、発光部が照射する検出光の発光パターンを決定する信号発生回路と、検出光を受光する受光部とを設ける。信号発生回路は、検出期間Tにおいて発光部から照射される検出光の光量が互いに異なる3値以上の値のいずれかとなり、かつ、当該光量が「0」とならないように、発光パターンの周波数変調および光量変調を行う。そして、発光パターンと受光パターンとを比較することにより、受光部が受光した光が、不正治具等により模倣された光ではなく、発光部からの正常な検出光であるか否かを判定する。
【解決手段】コインを検出するコイン検出装置に、検出光を照射する発光部と、発光部が照射する検出光の発光パターンを決定する信号発生回路と、検出光を受光する受光部とを設ける。信号発生回路は、検出期間Tにおいて発光部から照射される検出光の光量が互いに異なる3値以上の値のいずれかとなり、かつ、当該光量が「0」とならないように、発光パターンの周波数変調および光量変調を行う。そして、発光パターンと受光パターンとを比較することにより、受光部が受光した光が、不正治具等により模倣された光ではなく、発光部からの正常な検出光であるか否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出光を照射することにより、遊技コインまたは貨幣等を検出する技術に関する。より詳しくは、検出の基準となる検出光の異常(不正)を判定し、不正を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スロットマシン等のゲーム機や自動販売機、両替機等において、操作者によって使用される遊技コインまたは貨幣等(以下、単に「コイン」と称する。)を検出する技術が知られている。例えば、このような遊技コインを検出する装置として、特許文献1には、発光部と受光部とを備え、コイン通路を通過するコインに向けて検出光を照射することにより、当該コインを検出するフォトセンサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−034944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載されている技術では、発光部から照射される検出光の受光・未受光の変化(デジタル的変化)を受光部で検出することにより判定しているため、不正行為対策が不十分であるという問題があった。
【0005】
例えば、不正行為者が、正規の検出光の受光部への入射を遮断しつつ、当該検出光を受光することにより当該検出光の発光パターンを検出し、検出した発光パターンで発光する発光素子を設けた不正治具を使用すると、適正なコインが投入されたと誤判定するおそれがあるという問題がある。すなわち、受光部における検出光の受光・未受光というデジタル的な現象に基づく判定では、不正行為に対して未だ脆弱であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、遊戯装置、自販機、両替機等において、操作者によって使用されるコインを検出する際に、より一層、不正行為に強い技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、検出光を照射することによりコインを検出するコイン検出装置であって、互いに異なる3値以上の値のいずれかに前記検出光の光量がランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンを決定する発光パターン決定手段と、前記発光パターン決定手段により決定された発光パターンで検出光を照射する少なくとも1つの発光手段と、入射する光に応じた受光パターンを出力する少なくとも1つの受光手段と、前記発光パターン決定手段により決定された発光パターンと、前記受光手段により出力された受光パターンとに基づいて、前記受光手段に入射する光が前記発光手段により照射された検出光であるか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るコイン検出装置であって、前記互いに異なる3値以上の値は、いずれもゼロ以外の値であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係るコイン検出装置であって、投入された物を検出する投入検出手段と、前記発光手段を点灯状態と消灯状態との間で切り替える切替手段とをさらに備え、前記切替手段は、前記投入検出手段により投入された物が検出されていないときには、前記発光手段を消灯状態にすることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係るコイン検出装置であって、前記発光手段と前記受光手段とが反射型のフォトセンサを構成していることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係るコイン検出装置であって、前記発光パターン決定手段により決定される発光パターンと、前記発光パターンで検出光を照射した場合に前記受光手段により出力される受光パターンとの間の変換パラメータを記憶する記憶手段をさらに備え、前記判定手段は、前記記憶手段に記憶されている変換パラメータに基づいて、判定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係るコイン検出装置であって、検出対象のコインを投入しつつ前記発光手段により検出光を照射して前記受光手段により出力される受光パターンを取得し、取得した前記受光パターンと前記検出光の発光パターンとに基づいて変換パラメータを求めて前記記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係るコイン検出装置であって、前記発光手段と前記受光手段とが透過型のフォトセンサを構成していることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明に係るコイン検出装置であって、前記発光パターン決定手段は、検出光の光量の変化するタイミングがランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンの周波数をランダムに変更することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9の発明は、検出光を照射することによりコインを検出するコイン検出方法であって、(a)互いに異なる3値以上の値のいずれかに前記検出光の光量がランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンを決定する工程と、(b)前記(a)工程において決定された発光パターンで発光手段により検出光を照射する工程と、(c)入射する光に応じた受光パターンを出力する受光手段により前記発光手段から照射される検出光を受光する工程と、(d)前記(a)工程において決定された発光パターンと、前記受光手段から出力される受光パターンとに基づいて、前記受光手段に入射する光が前記発光手段により照射された検出光であるか否かを判定する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし9に記載の発明は、互いに異なる3値以上の値のいずれかに検出光の光量がランダムに変化するように、検出光の発光パターンを決定することにより、検出光の光量として、ON・OFF以外の中間値が存在するため、不正防止効果が向上する。
【0017】
請求項2に記載の発明は、互いに異なる3値以上の値は、いずれもゼロ以外の値であることにより、コインが通過している間、検出光が消灯する瞬間が存在しないため、コインの通過時間を正確に検出できる。
【0018】
請求項3に記載の投入された物を検出する投入検出手段と、発光手段を点灯状態と消灯状態との間で切り替える切替手段とをさらに備え、投入検出手段により投入された物が検出されていないときには、発光手段を消灯状態にすることにより、消費電力を抑制できる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、発光パターン決定手段により決定される発光パターンと、発光パターンで検出光を照射した場合に受光手段により出力される受光パターンとの間の変換パラメータを記憶する記憶手段をさらに備え、記憶手段に記憶されている変換パラメータに基づいて、判定することにより、発光パターンと受光パターンとを直接比較する場合に比べて、精度が向上する。
【0020】
請求項6に記載の発明は、検出対象のコインを投入しつつ発光手段により検出光を照射して受光手段により出力される受光パターンを取得し、取得した受光パターンと検出光の発光パターンとに基づいて変換パラメータを求めて記憶手段に記憶させることにより、例えば、店舗ごとに異なるコインを使用する場合に、当該コインに最適な検出を行うことができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、発光手段と受光手段とが透過型のフォトセンサを構成していることにより、コインの状態に左右されることなく、検出を行うことができる。また、発光手段および受光手段の位置関係の最適化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態におけるコイン検出装置を備える遊戯装置のブロック図である。
【図2】第1の実施の形態におけるコイン検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態における信号発生回路によって決定された発光部の発光パターンを例示する図である。
【図4】第1の実施の形態における発光部および受光部の位置関係を示す図である。
【図5】コイン検出装置の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図6】第1の実施の形態におけるコイン検出装置において、投入物が投入された場合における発光部の発光パターンおよび受光部の受光パターンを例示する図である。
【図7】第1の実施の形態におけるコイン検出装置によってコインを検出する方法を示す流れ図である。
【図8】第1の実施の形態におけるコイン検出装置による調整処理の詳細を示す流れ図である。
【図9】第1の実施の形態におけるコイン検出装置による検出処理の詳細を示す流れ図である。
【図10】第1の実施の形態におけるコイン検出装置による検出処理の詳細を示す流れ図である。
【図11】第2の実施の形態におけるコイン検出装置を示す図である。
【図12】第2の実施の形態におけるコイン検出装置において、投入物が投入された場合における発光部の発光パターンおよび受光部の受光パターンを例示する図である。
【図13】第2の実施の形態におけるコイン検出装置によってコインを検出する方法を示す流れ図である。
【図14】第2の実施の形態におけるコイン検出装置による検出処理の詳細を示す流れ図である。
【図15】第2の実施の形態におけるコイン検出装置による検出処理の詳細を示す流れ図である。
【図16】第3の実施の形態におけるコイン検出装置を示す図である。
【図17】第4の実施の形態における信号発生回路によって決定された発光部の発光パターンを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0024】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1を備える遊戯装置6のブロック図である。遊戯装置6は、コイン検出装置1の他に、制御部60、入力部61、出力部62およびコイン選別部63を備えている。
【0025】
以下の説明における遊戯装置6としては、いわゆる「パチスロ機」と呼ばれる装置を想定して説明するが、遊戯装置6はこれに限定されるものではない。例えば、遊戯装置6はゲームセンター等に設置されるテレビゲーム機やクレーンゲーム機等であってもよい。さらに、コイン検出装置1が搭載される装置としては、より広範囲には、操作者によって投入されるコイン(遊戯コイン、メダル、あるいは貨幣等)によって動作する装置(遊戯機に限定されず、自販機や両替機を含む)であってもよい。
【0026】
一般に、遊戯装置6を設置する店舗(例えばパチスロ店や遊技場)では、自店舗における専用デザインのコイン(例えば、自店名やオリジナルの図柄等を刻印したコイン)を採用する場合が多い。これは、他の店舗で購入されたコインと自店舗のコインとを見分けられるようにするためである。一方で、遊戯装置6は、多くの店舗において共通に設置され運用されるため、正規に採用されているコインであれば、どの店舗のコインであっても使用可能であることが望ましい。
【0027】
以下の説明では、遊戯装置6の仕様上において、使用可能なコインを「真性コイン8」と称する。言い換えれば、真性コイン8とは、遊戯装置6において使用可能なコインとしての規格(サイズ、重さ、形状、等の条件)の範囲内のコインである。また、個々の遊戯装置6が現実に設置されている店舗に限定して使用が許可されているコインを「純真性コイン80」と称する。
【0028】
また、真性コイン8のうち、純真性コイン80以外のコインを「仮真性コイン81」と称する。すなわち、仮真性コイン81とは、遊戯装置6が設置されている店舗以外の店舗(他店舗)において正規に採用されているコイン(当該他店舗においては純真性コイン80)である。なお、遊戯装置6が設置されている店舗から見れば、仮真性コイン81は、他の店舗で購入されたコインであるから、当該コインによる遊戯は本来は許容されるべきではない。
【0029】
図1に示す制御部60は、データの演算を行うCPUや、データを記憶するメモリ等から構成される装置であり、遊戯装置6の各構成を制御する機能を有する。制御部60を備えることにより、遊戯装置6は一般的なコンピュータとしての機能を有している、
入力部61は、主に、操作者(プレイヤーや店員等)の操作に応じて、遊戯装置6が当該操作者の意図した指示を受け付ける機能を有する。具体的には、ベットボタンやリール停止ボタン等の各種ボタン類や、操作キー、設定キー、スロットレバー等が入力部61に該当する。
【0030】
出力部62は、制御部60からの制御に従って、各種情報を操作者に提供(出力)する機能を有する。具体的には、液晶パネルやLED、ランプ等の表示装置や、入賞した役を表示するリールドラム、BGMや効果音等を出力するスピーカ等が出力部62に該当する。特に、出力部62は、遊戯装置6のプレイヤーが内部に留保している遊戯コインの数を表示するコインカウンター(図示せず)を備えている。
【0031】
コイン選別部63は、遊戯装置6に投入されたコインの真偽(制御部60からの制御信号として伝達される)に応じて、当該コインを遊戯装置6の内部に設けられた貯留部(図示せず)に導くか、遊戯装置6の外部に設けられた排出部(図示せず)に導くかを選別する機能を備えている。すなわち、投入されたコインが「真」と判定された場合には、当該コインはコイン選別部63によって貯留部に案内される。一方で、投入されたコインが「偽」と判定された場合には、当該コインはコイン選別部63によって排出部に案内され、遊戯装置6の外部に排出される。
【0032】
図1に示すように、遊戯装置6はコイン検出装置1を備えており、遊戯装置6に投入された物は先述の貯留部に貯留されるまでの間に、コイン検出装置1にも投入される。ただし、遊戯装置6に投入された物であっても、コイン検出装置1の上流側に配置された検査装置(機械式センサ、磁気センサ、重量センサ等の何らかの検出器によって、真性コイン8であるか否かを検査する機能を備えた装置)によって、少なくとも真性コイン8ではないと判定された物は、コイン検出装置1に投入される前段階で排出部に向けて排出される。すなわち、遊戯装置6に投入された物のうち、先述の検査装置による検査をくぐり抜けてきた物のみがコイン検出装置1に投入される。
【0033】
図1に示すように、以下の説明では、真性コイン8以外でコイン検出装置1に投入される物を不正規投入物9と称する。不正規投入物9は、コインに限られるものではなく、真性コイン8が遊戯装置6に投入されたかのように誤認させる目的で用いられる不正治具やセル板等の物を含む。
【0034】
図2は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、コイン検出装置1は、CPU10、記憶装置11、インタフェース部12、タイマ13、投入検出部14、信号発生回路15、発光部16,17、および、受光部18,19を備えている。
【0035】
詳細は後述するが、コイン検出装置1は、検出光を照射することにより真性コイン8(より望むべきは純真性コイン80)を検出し、その旨を制御部60に伝達する装置として構成されている。なお、以下では、コイン検出装置1が真性コイン8の検出を行う期間(検出期間)において、発光部16(または発光部17)から照射される光を「検出光」と称する。
【0036】
CPU10は、記憶装置11に記憶されているプログラム110に従って動作することにより、各種データの演算を行うとともにコイン検出装置1の各構成を制御する。なお、CPU10の機能については後述する。
【0037】
記憶装置11は、プログラム110、パラメータデータ111およびサイズデータ112等の各種データを格納し記憶しておく装置である。記憶装置11は、用途や容量に応じて、ROMやRAM、ディスク装置といった様々なハードウェアから構成される。
【0038】
インタフェース部12は、遊戯装置6の制御部60とコイン検出装置1のCPU10とを接続する機能を提供するハードウェアであり、例えば、端子やソケット、コネクター等である。インタフェース部12を備えることにより、CPU10は制御部60との間でデータ通信が可能となる。特に、CPU10は、制御部60に対して、真性コイン8を検出した旨をインタフェース部12を介して伝達する。
【0039】
タイマ13は、一定の時間間隔で動作する発振器(図示せず)を備えており、主に、CPU10が時間を計測するために用いる。
【0040】
投入検出部14は、コイン検出装置1に、何らかの物体(真性コイン8または不正規投入物9)が投入されたことを検出して、検出タイミングをCPU10に伝達する機能を有している。以下、投入検出部14がCPU10に出力する信号を「投入信号」と称する。投入検出部14は、具体的には、投入物が接触することにより検出する接触センサや、投入物が光を遮断することにより検出するフォトセンサ、投入物によって変化する磁場を検出する磁気センサ等が想定される。
【0041】
投入検出部14は、少なくとも真性コイン8が投入されたときに、これを見逃さない程度の感度を有している。ただし、投入検出部14は、投入物が真性コイン8であるか、不正規投入物9であるかを区別できる程の検出精度はない。
【0042】
信号発生回路15は、CPU10からの制御信号に応じて駆動され、後述する発光信号を生成して、当該発光信号をCPU10および発光部16,17に向けて出力する。信号発生回路15は、駆動中において出力する発光信号の周波数および振幅をランダムに変更可能な回路として構成されている。
【0043】
本実施の形態におけるコイン検出装置1では、信号発生回路15が出力する発光信号は発光部16,17の発光パターンを示している。具体的には、発光信号の周波数が発光部16,17の光量を変更するタイミングを示し、発光信号の振幅が発光部16,17の光量値(より詳細には発光部16,17に供給される電流値)を示す。すなわち、コイン検出装置1では、信号発生回路15によって生成される発光信号の周波数に応じたタイミングで、発光信号の振幅に応じた光量に、発光部16,17の検出光の光量が変化する。
【0044】
従来の技術では、発光信号に相当する信号によって、照射する光の点滅タイミングを決定していた。すなわち、従来の技術は、照射される光の光量(光強度)が「0(消灯)」か「1(点灯)」のいずれかに限定(いわゆる「2値化」)されていた。そして、当該信号の周波数をランダムに変更(周波数変調)することによって、「0」と「1」との間で光量を切り替えるタイミングのみをランダムに決定していた。したがって、切り替えるタイミングが模倣されてしまえば、切り替え後の光量は既知(光量が「0」のときは切り替え後の光量は必ず「1」であり、光量が「1」のときは切り替え後の光量は必ず「0」である。)であるため、誤検出となるおそれがあった。
【0045】
本実施の形態における信号発生回路15は、互いに異なる3値以上の値のいずれかに、検出光の光量(光強度)をランダムに決定することにより、当該検出光の発光パターンを決定する機能を有している。言い換えれば、互いに異なる3つ以上の値が予め検出光の光量の候補値として準備されており、光量を変更するタイミングにおいて、信号発生回路15は、現在の光量となっている候補値以外の候補値(少なくとも2つ以上存在する)の中から、ランダムに選択した1つを変更後の光量に対応する候補値として決定する。すなわち、信号発生回路15は、主に、本発明における発光パターン決定手段に相当する。
【0046】
なお、先述のように、信号発生回路15は発光信号の周波数をランダムに変更する機能も有しているので、コイン検出装置1では、検出光の光量が変化するタイミングもランダムに決定される。
【0047】
発光部16,17は、信号発生回路15から入力される発光信号に基づいて光を照射することにより、信号発生回路15により決定された発光パターンで検出光を照射する。なお、発光部16,17は、信号発生回路15が駆動されていない間は、消灯する。
【0048】
図3は、第1の実施の形態における信号発生回路15によって決定された発光部16,17の発光パターンを例示する図である。図3に示す例では、信号発生回路15の駆動は時間t1において開始されており、時間t1から時間Tが経過した後、時間t2において信号発生回路15の駆動が停止されている。
【0049】
コイン検出装置1では、投入検出部14が投入物を検出すると、その検出タイミングが投入信号によりCPU10に伝達され、これにより、CPU10が信号発生回路15を駆動させる。そして、信号発生回路15を駆動させてから予め設定されている時間Tが経過すると、CPU10は信号発生回路15の駆動を停止させる。すなわち、検出期間は「T」となる。
【0050】
検出光の光量は、信号発生回路15により、互いに異なる3値以上の値のいずれかに、決定される。また、信号発生回路15によって決定される光量の値は「0」以外の値である。したがって、図3に示すように、検出期間の間(時間t1から時間t2までの間)において、検出光の光量は3値以上の値のいずれかにランダムに変化し、かつ、「0」となることはない。検出期間の間、検出光の光量が「0」となることがないとは、当該期間中において発光部16,17は消灯することがないことを意味する。
【0051】
なお、図3に示す例では、検出光の光量は、互いに異なる5値のうちのいずれかとなっているが、もちろん候補値の数はこれに限定されるものではない。また、図3から明らかなように、発光信号の周波数がランダムに変更されるため、検出光の光量のみならず、光量の変化のタイミングもランダムとなっている。
【0052】
図2に戻って、受光部18,19は、入射する光に応じた受光パターンをCPU10に向けて出力する。なお、第1の実施の形態における受光部18,19は、入射光の点滅(「0」か「1」か)だけでなく、入射光の点灯時の光強度(光量)を出力する必要があるため、アナログ出力可能に構成されている。
【0053】
図4は、第1の実施の形態における発光部16,17および受光部18,19の位置関係を示す図である。コイン検出装置1の内部には、図4に示すように通路1aが形成されており、コイン検出装置1に投入された真性コイン8や不正規投入物9は通路1aを図4において上方から下方へ向けて通過する。なお、図4において図示を省略しているが、投入検出部14は、通路1aにおける発光部16,17および受光部18,19の配置位置よりも上流側に配置されている。
【0054】
真性コイン8が通路1a内の所定の位置(以下、「第1位置」と称する)まで到達すると、発光部16から照射された光が真性コイン8によって反射される状態となる。コイン検出装置1では、発光部16から照射された光のうち、真性コイン8による反射光が効率よく受光部18に入射するように、発光部16と受光部18との位置関係が固定されている。
【0055】
また、真性コイン8が第1位置からさらに進行し、通路1a内の所定の位置(以下、「第2位置」と称する)まで到達すると、発光部17から照射された光が真性コイン8によって反射される状態となる。コイン検出装置1では、発光部17から照射された光のうち、真性コイン8による反射光が効率よく受光部19に入射するように、発光部17と受光部19との位置関係が固定されている。このように、発光部16と受光部18、および、発光部17と受光部19は、それぞれがいわゆる反射型のフォトセンサを構成している。
【0056】
なお、真性コイン8が第2位置からさらに進行し、通路1a内の所定の位置(以下、「第3位置」と称する)まで到達すると、発光部16から照射された光が真性コイン8によって反射されなくなる。
【0057】
また、真性コイン8が第3位置からさらに進行し、通路1a内の所定の位置(以下、「第4位置」と称する)まで到達すると、発光部17から照射された光が真性コイン8によって反射されなくなる。
【0058】
さらに、真性コイン8の第1位置と第2位置との距離(第3位置と第4位置との距離でもある)は、図4に示すように「X」であり、コイン検出装置1の設計において決定される既知の値である。
【0059】
図5は、コイン検出装置1の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図5に示す切替部100および判定部101は、CPU10がプログラム110に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0060】
切替部100は、コイン検出装置1の動作モードを切り替える機能を有している。切替部100は、状況に応じて、少なくとも3つの動作モード(検出モード、待機モードおよび調整モード、)のうちから選択した1つの動作モードを、コイン検出装置1の動作モードとして設定する。
【0061】
検出モードとは、コイン検出装置1に物が投入されたことを投入検出部14が検出したときに遷移する動作モードであり、先述の検出期間におけるコイン検出装置1の動作モードである。より詳細には、動作モードが後述する待機モードにあるときにおいて、投入検出部14からの投入信号により投入物の存在がCPU10(切替部100)に伝達されたときに、切替部100が待機モードを検出モードに切り替える。
【0062】
切替部100は、動作モードを検出モードに切り替えたときに、タイマ13を駆動して時間Tの経過を監視するとともに、信号発生回路15を駆動する。これにより、信号発生回路15は発光信号の出力を開始し、発光部16,17が検出光の照射を開始する。
【0063】
動作モードを検出モードに切り替えてから時間Tが経過すると、切替部100は動作モードを検出モードから待機モードに切り替え、信号発生回路15を停止させる。これにより、信号発生回路15から発光信号の出力が停止し、発光部16,17は消灯する。
【0064】
このように信号発生回路15は、少なくとも切替部100により、動作モードが検出モードに設定されているときにのみ駆動することになる。したがって、コイン検出装置1に対する投入物が存在しておらず、コインの検出を行う必要がないとき(検出光の照射が不要なとき)には、発光部16,17を消灯状態に切り替えることができ、例えば消費電力を抑制できる。
【0065】
待機モードとは、いわば遊戯装置6が通常動作をしているときの動作モードであり、コイン検出装置1が前述の検出モードおよび後述の調整モードにないときの動作モードである。
【0066】
調整モードとは、いわば遊戯装置6のメンテナンスモードに相当する動作モードであり、純真性コイン80を用いて、パラメータデータ111を個々の店舗用に調整する際に遷移する動作モードである。より詳細には、動作モードが待機モードにあるときにおいて、入力部61を店員が操作することにより調整モードに遷移させる指示が入力され、その旨が制御部60からインタフェース部12を介してCPU10(切替部100)に伝達されたときに、切替部100は待機モードを調整モードに切り替える。
【0067】
切替部100は、動作モードを調整モードに切り替えたときも、投入検出部14からの投入信号に応じてタイマ13を駆動して時間Tの経過を監視するとともに、信号発生回路15を駆動する。ただし、このとき切替部100は動作モードを検出モードに切り替えることはしない。さらに、信号発生回路15を駆動してから時間Tが経過すると切替部100は信号発生回路15を停止させる。
【0068】
調整モードから待機モードへの復帰(遷移)は、入力部61からの復帰指示が入力されることにより、切替部100によって実行される。すなわち、店員が入力部61を操作して調整モードを終了させる指示を入力したときに、その旨が制御部60からインタフェース部12を介して切替部100に伝達され、切替部100が調整モードを待機モードに切り替える。
【0069】
判定部101は、主に、検出モードにおいて真性コイン8を検出したか否かを示す判定データ113を作成する機能と、待機モードにおいてパラメータデータ111を更新(補正)する機能とを有している。
【0070】
まず、判定部101が真性コイン8を検出する機能について説明する。
【0071】
真性コイン8の検出は、真に発光部16,17から照射された検出光によって検出する必要があり、不正治具等により模倣された光を検出光と誤認するとコインの誤検出となる。すなわち、判定部101は、受光部18,19に入射する光が発光部16,17により照射された検出光であるか否かを判定する機能も有している。
【0072】
図6は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1において、投入物が投入された場合における発光部16の発光パターンおよび受光部18の受光パターンを例示する図である。図6では、投入物による検出光の反射光が検出光の75%の光量で受光部18に受光され、発光部16の対向壁面による検出光の反射光が検出光の25%で受光部18に受光される例を示す。なお、発光部17および受光部19についても同様であるため、発光部17および受光部19については図示および説明を省略する。
【0073】
既に図4に示した位置関係で、発光部16および受光部18を配置すると、真性コイン8や不正規投入物9が存在しない場合であっても、検出光は発光部16に対向した位置に存在する対向壁面によって反射され、その一部(図6に示す例では先述のとおり25%)が受光部18に入射する。
【0074】
また、検出光が真性コイン8に反射された場合も、その一部が受光部18に入射する。厳密に言えば、真性コイン8に反射され受光部18に入射する検出光の光量は、真性コイン8の表面状態(形状、材質、色等)によって変化する。
【0075】
しかしながら、真性コイン8の表面状態は、真性コイン8の規格によってある程度決定される。したがって、真性コイン8に反射されてから受光部18に入射する検出光の光量は、所定内の範囲の値として予測することが可能である。
【0076】
本実施の形態におけるコイン検出装置1では、このような予測により発光パターンを受光パターン(疑似受光パターン)に変換するための変換パラメータがパラメータデータ111として記憶装置11に記憶されている。具体的には、真性コイン8の表面における検出光の反射率を40%〜90%の範囲内と予測し、変換パラメータとして下限値40%、上限値90%が記憶されている。すなわち、パラメータデータ111は、検出光における光量と、当該光量の検出光の受光部18,19の出力における光量との対応関係(許容範囲を含む)を記憶したデータである。
【0077】
判定部101は、検出期間(検出モード)において、信号発生回路15から入力される発光信号(発光パターン)と、パラメータデータ111と、受光部18から入力される受光パターンとに基づいて、投入物が真性コイン8であるか否かを判定する。例えば、発光パターンをパラメータデータ111に格納されている変換パラメータに応じて疑似受光パターンに変換し、受光パターンが当該疑似受光パターンの範囲内であれば、受光部18,19に入射している光は正常な検出光であり、かつ、当該検出光により真性コイン8を検出したと判定する。
【0078】
コイン検出装置1では、発光パターンの光量および周波数がランダムに変化する。したがって、発光パターンに対する予測される受光パターンを予め作成しておくことはできず、予測される受光パターンと実際の受光パターンとを比較することはできない。しかし、真性コイン8の規格に応じて、真性コイン8の反射率の範囲をある程度絞っておくことが可能であり、随時入力される発光パターンの光量に基づいて、真性コイン8が投入されているときに予測される受光パターン(疑似受光パターン)の光量を随時求めて実際に受光された光量と比較することは可能である。
【0079】
なお、受光パターンを疑似発光パターンに変換する変換パラメータをパラメータデータ111として記憶しておき、受光パターンを疑似発光パターンに変換しつつ、実際に入力される発光パターンと比較することにより判定するように構成してもよい。あるいは、実際に入力される発光パターンおよび受光パターンから、実際の変換パラメータを求め、これとパラメータデータ111とを比較するように構成してもよい。
【0080】
一方、図6に示す時間Stは、受光部18に入射する光の光量が検出光の光量の25%から75%に増加したときに、判定部101がタイマ13を参照することにより検出可能な時間である。すなわち、検出モードにおいて、判定部101は信号発生回路15から入力される発光パターン(発光信号)と、受光部18から入力される受光パターンとを比較している。そして、判定部101は、発光パターンにおける光量に対して受光パターンにおける光量が急激に増加したときの時間として、時間Stをタイマ13から取得する。なお、時間Stは、投入物の端部が第1位置に到達した時間を示している。
【0081】
時間Stは、発光部17および受光部19についても検出可能である。すなわち、投入物の端部が第2位置に到達した時間も判定部101およびタイマ13により計測可能である。そして、投入物が第1位置に到達した時間と投入物が第2位置に到達した時間との時間差は、投入物が第1位置から第2位置に移動するのに要した時間(以下、「時間τ」と称する)である。
【0082】
先述のように、第1位置と第2位置との距離は「X」であるから、判定部101は、投入物の速度(以下、「速度V」と称する)を、以下の式1で求める。
【0083】
V=X/τ ・・・ 式1
【0084】
また、図6に示す時間Etは、受光部18に入射する光の光量が、検出光の光量の75%から25%に減少した時間として検出可能である。なお、時間Etは、投入物の端部が第3位置に到達した時間を示している。
【0085】
すなわち、時間Stと時間Etとの時間差(図6に示す時間Ct)は、投入物が第1位置から第3位置まで移動するのに要した時間を示している。そして、この時間内において、投入物は自己のサイズ(以下、「サイズW」と称する)に応じた距離だけ移動したことになる。また、このときの投入物の速度Vは、先述の式1で求まるから、判定部101は投入物のサイズWを、以下の式2で求めることができる。
【0086】
W=Ct/V=τ×(Et−St)/X ・・・ 式2
【0087】
真性コイン8のサイズは真性コイン8の規格としてサイズデータ112に格納され記憶装置11に記憶されている。判定部101は、サイズデータ112に示される真性コイン8のサイズを参照し、式2で求めた投入物のサイズWと比較することにより、当該投入物が真性コイン8であるか否かを判定する。
【0088】
なお、判定部101は、光量による判定およびサイズによる判定のいずれもが、投入物が真性コイン8であるとの判定結果である場合に、真性コイン8を検出したことを示す判定データ113(以下、「コイン検出を示す判定データ113」と称する)を作成し、記憶装置11に記憶させる。一方、光量による判定およびサイズによる判定のいずれかが、投入物が真性コイン8でないとの判定結果である場合に、真性コイン8を検出しなかったことを示す判定データ113(以下、「コイン未検出を示す判定データ113」と称する)を作成し、記憶装置11に記憶させる。
【0089】
次に、判定部101がパラメータデータ111を更新する機能について説明する。
【0090】
動作モードが調整モードである場合、調整に店員は必ず自店舗のコイン(純真性コイン80)を遊戯装置6に投入するので、コイン検出装置1に投入される物も必ず純真性コイン80である。そして、調整モードにおいても、投入検出部14が投入物(純真性コイン80)を検出すると、発光部16,17が信号発生回路15により決定された発光パターンの光を照射し、受光部18,19が入射光を受光する。
【0091】
したがって、調整モードにおいても、判定部101には、信号発生回路15から発光パターンが入力され、受光部18から受光パターンが入力される。調整モードにおいて、判定部101は、入力される発光パターンと、入力される受光パターンとに基づいて、当該発光パターンと当該受光パターンとの間の変換パラメータを求め、これに応じてパラメータデータ111を更新する。
【0092】
具体的には、図6に示す発光パラメータおよび受光パターンが入力された場合、判定部101が求める変換パラメータは「75%」となる。そして、判定部101は、求めた「75%」に基づいて、例えば70%〜80%の範囲をパラメータデータ111として更新する。
【0093】
このように、判定部101は、調整モードにおける更新により、真性コイン8の規格に応じて初期値として決められていた変換パラメータの範囲を絞り込む機能を有している。ここに示す例では、調整前において40%〜90%という50%の許容範囲が設けられていたが、調整により70%〜80%という10%の許容範囲に絞り込まれる。
【0094】
パラメータデータ111を初期値のままでコイン検出装置1を運用することは、真性コイン8の規格に合致さえしていれば、他店舗で購入された仮真性コイン81であっても、自店舗において使用を認めることになる。
【0095】
しかし、本実施の形態におけるコイン検出装置1は、自店舗に専用の純真性コイン80によって調整を行うことにより、例え真性コイン8の規格に合致している仮真性コイン81であっても、純真性コイン80と相当異なるものについては不正規投入物9と判定され、使用を抑制することが可能となる。すなわち、真性コイン8のいずれにも対応可能である一方で、純真性コイン80以外の仮真性コイン81の使用を抑制できるという効果がある。
【0096】
パチスロ機(遊戯装置6)に使用される遊戯コインは、真性コイン8の規格内であっても、表面が鏡面加工されたものや、砂地のように加工されたもの、材質の違いから黄色味や茶色味を帯びたものなどが存在するという事情がある。すなわち、この業界においては、表面状態が相当異なる真性コイン8が混在しているという状況がある。
【0097】
さらに、全国的に共通して使用される貨幣と異なり、遊戯装置6において使用される他店舗の仮真性コイン81とは、せいぜい近隣の店舗で採用されているものであり、遠方のものは使用量的にあまり深刻な問題ではないという事情がある。そこで、自店舗の純真性コイン80をデザインする際に、近隣に存在する仮真性コイン81を参考にして、コイン検出装置1がこれらと見分けることのできるデザインを採用することも可能である。
【0098】
したがって、特定の店舗において、仮真性コイン81を全て完全に排除することができないとしても、その一部でも使用を抑制できるのであれば、現状のように全ての仮真性コイン81の使用を黙認せざるを得ない状況に比べて、店舗にとっては利益があるといえる。また、このような調整を行うために、店舗において現在使用している純真性コイン80を鋳造し直す必要はない。また、遊戯装置6を店舗に設置する際に、一度だけ調整を行えば、当該装置についてその後、同じ作業は不要である。
【0099】
なお、純真性コイン80を用いた調整においては、複数回の調整を連続して実行することも可能とされている。この場合、判定部101は、複数枚の純真性コイン80を用いて連続して実行された複数回の調整で得られた変換パラメータの下限値および上限値に応じて、パラメータデータ111における許容範囲を決定する。例えば、調整が複数回繰り返されたことによって、下限値70%および上限値80%が得られた場合、例えば許容範囲として、60%〜90%の範囲をパラメータデータ111とする。
【0100】
調整により許容範囲を絞り込むと、純真性コイン80を誤って不正規投入物9と誤認する危険性が生じる。しかし、状態の異なる複数の純真性コイン80を用いて、複数回連続的に調整を行うことにより、調整による許容範囲の絞り込みを緩めることが可能であり、純真性コイン80が不正規投入物9と誤認される危険性を抑制できる。すなわち、このような調整を行うことにより、純真性コイン80において発生するバラツキに対応することができる。
【0101】
また、例えば、10円硬貨は、鋳造直後と、経年後とでは、表面の状態が大きく異なる。このように表面状態が大きく異なるものが存在するコインについて複数回の調整を行うと、結局は初期値と大差ない許容範囲の大きいパラメータデータ111が作成され、仮真性コイン81の使用抑制効果が低下することも考えられる。
【0102】
しかし、パチスロ機(遊戯装置6)に使用される遊戯コインは、店舗内において定期的に洗浄されるのが一般的であり、市場に流通する貨幣と異なり、汚れによる状態変化は少ないという特有の事情がある。また、錆たり、剥げたりする構造のものは客の手が汚れるため敬遠され、あまり採用されないという事情もある。すなわち、この業界においては、純真性コイン80の表面状態は比較的バラツキが少なく、かなり均一化されていることが期待できる。したがって、複数回の調整を行ったとしても、許容範囲が広がり過ぎる危険性は低いと考えられる。
【0103】
また、複数回の調整を行うとしても、その作業は調整モードに遷移させておいてからコインを必要枚数投入するだけである。したがって、例えば100枚程度のコインによって調整するとしても、1分も要さずに完了する。すなわち、作業は至って簡易であり、店員の負担を増大させることもない。
【0104】
以上が遊戯装置6の構成および機能の説明である。次に、コイン検出装置1によってコインを検出する方法について説明する。
【0105】
図7は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1によってコインを検出する方法を示す流れ図である。図7に示す処理は、遊戯装置6(コイン検出装置1)の電源が投入されることにより開始される。
【0106】
電源が投入されると、遊戯装置6およびコイン検出装置1は所定の初期設定を実行する。さらに、コイン検出装置1の切替部100がコイン検出装置1の動作モードを待機モードにセットし(ステップS1)、待機状態となる。
【0107】
待機状態において、コイン検出装置1のCPU10は、操作者によって調整指示入力がされるか(ステップS2)、投入物が検出されるか(ステップS6)、および、電源が断たれるか(ステップS10)を監視している。
【0108】
コイン検出装置1が待機状態にあるときに、操作者(主に店員)が入力部61を操作し、調整を行う旨の指示を入力した場合、CPU10はステップS2においてYesと判定し、切替部100が動作モードを調整モードに切り替える(ステップS3)。これにより、調整処理(ステップS4)が開始される。
【0109】
図8は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1による調整処理の詳細を示す流れ図である。なお、調整処理とは、記憶装置11に記憶されているパラメータデータ111を、純真性コイン80を用いて調整(更新)する処理である。
【0110】
調整処理が開始されると、CPU10は、純真性コイン80が投入されたか(ステップS11)、および、調整処理を終了する旨の指示入力がされたか(ステップS19)を監視する状態となる。
【0111】
ここで、純真性コイン80が投入され、投入検出部14がこれを検出したことを投入信号によりCPU10に伝達すると、切替部100はステップS11においてYesと判定し、タイマ13に時間Tを計測するようセットするとともに、信号発生回路15を駆動させる(ステップS12)。
【0112】
これにより、信号発生回路15による発光パターンの決定が開始され、発光信号の発光部16,17に向けての出力が開始され、発光部16,17が当該発光信号に応じて発光し、光の照射を開始する(ステップS13)。
【0113】
なお、調整処理においては、不正規投入物9による不正使用を防止する必要はないので、発光パターンはランダムに生成されるものでなくてもよく、比較的模倣が容易な既成の発光パターンを用いてもよい。例えば、段階的に光量が変化するような、調整処理用の特殊な発光パターンを用いてもよい。
【0114】
また、後述するように、本実施の形態における調整処理では、受光部19から出力される受光パターンは用いないので、発光部17に対しては発光信号を出力しなくてもよい。
【0115】
さらに、調整処理は比較的短時間で終了するので、その間継続的に、発光部16を点灯状態にしてもよい。すなわち、純真性コイン80が投入される度に改めてタイマ13によって時間Tを計測し、時間Tが経過する度に信号発生回路15を停止させるのではなく、調整処理中は信号発生回路15を駆動したままにしておき、調整処理を終了するときに信号発生回路15を停止させるようにしてもよい。
【0116】
次に、CPU10は受光部18を駆動するとともに、判定部101が受光部18から出力される受光パターンの監視を開始して(ステップS14)、純真性コイン80が第1位置に到達するまで待機する(ステップS15)。純真性コイン80が第1位置に到着したか否かは、先述のように、発光パターンの光量に対する受光パターンの光量が瞬間的に増大する瞬間として検出できる(時間Stを検出する要領で検出できる)。
【0117】
従来の技術のように、検出期間において検出光がON・OFFされると、たまたま検出光の光量が「0」のときに純真性コイン80が第1位置に到達すると、反射光の光量も「0」であるため、検出することができないという問題があった。しかしながら、コイン検出装置1の信号発生回路15は、検出光の発光パターンにおいて、光量を「0」とすることがないため、第1位置に到達したことを正確に検出できる。なお、第2位置、第3位置および第4位置についても同様に正確に検出できる。
【0118】
純真性コイン80が第1位置に到達すると、判定部101がステップS15においてYesと判定し、信号発生回路15から入力される発光パターンと、受光部18から入力される受光パターンとに基づいて、変換パラメータを求める(ステップS16)。さらに、判定部101は、純真性コイン80が第3位置に到達するまでステップS16を繰り返す(ステップS17)。純真性コイン80が第3位置に到着したか否かは、先述のように、発光パターンの光量に対する受光パターンの光量が瞬間的に減少する瞬間として検出できる(時間Etを検出する要領で検出できる)。
【0119】
純真性コイン80が第3位置に到達すると、判定部101がステップS17においてYesと判定し、純真性コインが第1位置から第3位置まで移動する間に求めた変換パラメータに基づいて、新たにパラメータデータ111を作成し、記憶装置11に記憶させる(ステップS18)。先述のように、パラメータデータ111においては許容範囲が儲けられているが、判定部101は、調整処理で求めたパラメータデータ111の許容範囲を、初期値のパラメータデータ111の許容範囲よりも狭く設定する。
【0120】
なお、図8に示す処理では、説明を簡略化するために、1つの純真性コイン80による調整が完了してから、次の純真性コイン80が投入されることを前提に説明している。例えば、ステップS15やステップS17のような処理を設けると、コイン検出装置1が先に投入された純真性コイン80により待機状態となり、厳密には、その間、後続の純真性コイン80に対する処理ができなくなる。
【0121】
しかし、実際の作業では、先に投入された純真性コイン80による調整の完了を待つことなく、純真性コイン80を次々と投入できるように構成することが好ましい。このように構成するためには、詳細な説明は省略するが、例えば、投入され投入検出部14により検出された順に各純真性コイン80に識別子を付与し、当該識別子に関連づけて、各純真性コイン80の状態(現在位置等)を識別するためのフラグを設け、これらのフラグにより複数の純真性コイン80の状態を管理すればよい。通路1a内でコインの追い越しは発生しないため、これにより先に投入された純真性コイン80による調整の完了を待つことなく、純真性コイン80を次々と投入した場合にも対応することできる。以下の説明においても同様である。
【0122】
操作者が入力部61を操作して、調整処理を終了させる旨の指示を入力した場合には、CPU10はステップS19においてYesと判定し、調整処理を終了して図7に示す処理に戻る。
【0123】
図7に戻ってステップS4における調整処理が終了すると、切替部100が動作モードを待機モードに切り替える(ステップS5)。これにより、コイン検出装置1は、再び待機状態となる。
【0124】
コイン検出装置1が待機状態にあるときにおいて、投入検出部14から出力される投入信号により投入物が検出されたことが伝達されると、CPU10はステップS6においてYesと判定し、切替部100が動作モードを検出モードに切り替える(ステップS7)。これにより、コイン検出装置1において検出処理(ステップS8)が開始される。
【0125】
図9および図10は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1による検出処理の詳細を示す流れ図である。なお、検出処理とは、コイン検出装置1が真性コイン8(より望むべくは純真性コイン80)を検出する処理である。
【0126】
検出処理が開始されると、切替部100が信号発生回路15の駆動を開始させる(ステップS21)。これにより、信号発生回路15が検出光の発光パターンを決定しつつ、発光信号を生成し発光部16,17に向けて出力を開始する。したがって、発光部16,17による検出光の照射が開始される(ステップS22)。
【0127】
検出光の照射が開始されると、CPU10に対して受光部18,19からの入力が開始され、判定部101による受光部18,19からの受光パターンの取得が開始される(ステップS23)。そして、コイン検出装置1は、ステップS6において検出された投入物が第1位置に到達するまで待機する(ステップS24)。先述のように、投入物が第1位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部18の受光パターンの光量が瞬間的に増大する瞬間として検出できる(時間Stを検出する要領で検出できる)。
【0128】
投入物が通路1a内の第1位置に到達すると、判定部101は、信号発生回路15から入力される発光パターン(発光部16による検出光の発光パターン)と、受光部18から入力される受光パターンと、パラメータデータ111とに基づいて、投入物が少なくとも真性コイン8であるか否かの判定を開始する(ステップS25)。
【0129】
ステップS25における判定は、受光部18が受光している光が真に発光部16から照射された検出光の反射光であるか否かを、光量の変化タイミングのみならず、光量そのものをも用いて判定することにより、検出光になりすました光(不正治具等により模倣され光)による不正遊戯等を防止する。
【0130】
特に、検出光の発光パターンは互いに異なる3値以上の値のいずれかにランダムに変化するため、従来の発光パターンに比べて不正治具等によって当該検出光を模倣することは困難である。したがって、不正防止効果が向上する。
【0131】
また、受光部18が受光している光が真に発光部16から照射された検出光の反射光であっても、発光部16と受光部18とが反射型のフォトセンサを構成することにより、真性コイン8と表面状態が異なる不正規投入物9からの反射光であれば見分けることが可能であり、誤検出をさらに防止することができる。
【0132】
特に、調整処理により、パラメータデータ111が純真性コイン80によって調整されていた場合には、真性コイン8のうちの仮真性コイン81についても見破ることが可能である。
【0133】
なお、ステップS25が実行された後は、受光部18から入力される受光パターンによる判定は、投入物が第3位置に到達し、ステップS31が実行されるまで継続される。
【0134】
ステップS25が実行されると、コイン検出装置1は、投入物が第2位置に到達するまで待機する(ステップS26)。先述のように、投入物が第2位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部19の受光パターンの光量が瞬間的に増大する瞬間として検出できる(時間Stを検出する要領で検出できる)。
【0135】
投入物が第2位置に到達すると、判定部101は、信号発生回路15から入力される発光パターン(発光部17による検出光の発光パターン)と、受光部19から入力される受光パターンと、パラメータデータ111とに基づいて、投入物が少なくとも真性コイン8であるか否かの判定を開始する(ステップS27)。
【0136】
なお、ステップS27が実行された後は、受光部19から入力される受光パターンによる判定は、投入物が第4位置に到達し、ステップS33が実行されるまで継続される。
【0137】
さらに、判定部101は、先述のように、式2を演算して投入物のサイズWを求め、サイズWとサイズデータ112とを比較することにより、サイズによる判定を行う(ステップS28)。すなわち、投入物がサイズデータ112に比べて小さすぎたり、大きすぎたりした場合は、投入物を不正規投入物9であると判定する。
【0138】
サイズによる判定が実行されると、コイン検出装置1は、投入物が第3位置に到達するまで待機する(ステップS29)。先述のように、投入物が第3位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部18の受光パターンの光量が瞬間的に減少する瞬間として検出できる(時間Etを検出する要領で検出できる)。
【0139】
投入物が第3位置に到達すると、判定部101は、受光部18から入力される受光パターンによる判定(ステップS25において開始した判定)を停止し(ステップS31)、投入物が第4位置に到達するまで待機する(ステップS32)。先述のように、投入物が第4位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部19の受光パターンの光量が瞬間的に減少する瞬間として検出できる(時間Etを検出する要領で検出できる)。
【0140】
投入物が第4位置に到達すると、判定部101は、受光部19から入力される受光パターンによる判定(ステップS27において開始した判定)を停止し(ステップS33)、これまでの判定結果に応じて判定データ113を作成し、記憶装置11に記憶させる。これにより、インタフェース部12が遊戯装置6の制御部60に判定データ113を伝達する(ステップS34)。
【0141】
なお、コイン検出装置1では、いずれかの判定において投入物が不正規投入物9であると判定された場合には、コイン未検出を示す判定データ113が作成される。一方、すべての判定において真性コイン8と判定された場合には、コイン検出を示す判定データ113が作成される。
【0142】
遊戯装置6の制御部60は、コイン検出装置1からコイン未検出を示す判定データ113が伝達された場合には、コインカウンター(出力部62)の表示をインクリメントすることなく、コイン選別部63により投入物を排出部に向けて導く。これにより、真性コイン8と判定されなかった投入物は遊戯装置6の外部に排出される。
【0143】
また、遊戯装置6の制御部60は、コイン検出装置1からコイン検出を示す判定データ113が伝達された場合には、コインカウンターをインクリメントするとともに、コイン選別部63により投入物を貯留部に向けて導く。これにより、真性コイン8を投入した場合には遊戯装置6による遊戯が可能となる。
【0144】
ステップS34を実行して判定データ113の伝達が完了すると、判定部101は、タイマ13を参照し、時間Tが経過するまで待機し(ステップS35)、時間Tが経過すると切替部100が信号発生回路15の駆動を停止する(ステップS36)。これにより、発光部16,17による検出光の照射が停止する(ステップS37)。
【0145】
ステップS37を実行すると、コイン検出装置1は、検出処理を終了して、図7に示す処理に戻る。
【0146】
図7に戻ってステップS8における検出処理が終了すると、切替部100が動作モードを待機モードに切り替える(ステップS9)。これにより、コイン検出装置1は、再び待機状態となる。
【0147】
また、コイン検出装置1が待機状態にあるときにおいて、操作者が入力部61を操作して、遊戯装置6の電源を断つと、CPU10はステップS10においてYesと判定し、処理を終了する。
【0148】
以上のように、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1は、互いに異なる3値以上の値のいずれかに検出光の光量がランダムに変化するように、当該検出光の発光パターンを決定する信号発生回路15と、信号発生回路15により決定された発光パターンで検出光を照射する発光部16,17と、入射する光に応じた受光パターンを出力する受光部18,19と、信号発生回路15により決定された発光パターンと、受光部18,19により出力された受光パターンとに基づいて、受光部18,19に入射する光が発光部16,17により照射された検出光であるか否かを判定する判定部101とを備えることにより、検出光の光量について、ON・OFF以外の中間値が存在することとなり、アナログ的にランダムに変化し模倣が困難であるため不正防止効果が向上する。
【0149】
また、互いに異なる3値以上の値は、いずれもゼロ以外の値であることにより、検出期間中において検出光の光量が「0」になることがない。したがって、投入物の端部位置を正確に検出できるため、コインの通過時間(時間τ)を正確に検出できる。
【0150】
また、投入された物を検出する投入検出部14と、発光部16,17を点灯状態と消灯状態との間で切り替える切替部100とをさらに備え、投入検出部14により投入された物が検出されていないときには、発光部16,17を消灯状態にすることにより、例えば、消費電力を抑制できる。
【0151】
また、発光部16,17と受光部18,19とが反射型のフォトセンサを構成していることにより、表面状態の違いによる検出を行うことができ、検出精度が向上する。
【0152】
また、信号発生回路15により決定される発光パターンと、当該発光パターンで検出光を照射した場合に受光部18,19により出力される受光パターンとの間の変換パラメータをパラメータデータ111として記憶装置11に記憶しておき、判定部101が記憶されている変換パラメータに基づいて、判定することにより、発光パターンと受光パターンとを直接比較する場合に比べて、精度が向上する。
【0153】
また、検出対象のコインを投入しつつ発光部16により検出光を照射して受光部18により出力される受光パターンを取得し、取得した受光パターンと検出光の発光パターンとに基づいて変換パラメータを求めてパラメータデータ111として記憶させることにより、例えば、店舗ごとに異なるコインを使用する場合に、各コインごとに最適な検出を行うことができる。
【0154】
また、信号発生回路15は、検出光の光量の変化するタイミングがランダムに変化するように、検出光の発光パターンの周波数をランダムに変更する。これにより、検出光の模倣がさらに困難になる。
【0155】
なお、第1の実施の形態では、発光部16および発光部17に共通の発生信号が信号発生回路15から入力される。しかし、発光部16および発光部17に入力する発光信号を、信号発生回路15がそれぞれ独立して生成するように構成してもよい。すなわち、異なる発光信号が、発光部16および発光部17にそれぞれ入力されるように構成してもよい。以下の実施の形態においても同様である。
【0156】
また、第1の実施の形態では、発光部16および発光部17から照射された検出光の対向壁面による反射光は、検出光の25%として説明した。しかし、例えば、対向壁面に微小ミラー等の光学素子を設置し、反射光が受光部18,19のいずれにも入射しないように構成することも可能である。その場合、対向壁面から受光部18,19に入射する反射光は検出光の0%となり、判定が容易になる。
【0157】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態におけるコイン検出装置1は、発光部16,17と受光部18,19とが、いわゆる反射型のフォトセンサを構成するように配置されていたが、これに限定されるものではない。
【0158】
図11は、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2を示す図である。第2の実施の形態におけるコイン検出装置2は、反射鏡20を新たに備えている点と、発光部16,17および受光部18,19の位置関係が第1の実施の形態におけるコイン検出装置1と異なっている。そして、コイン検出装置2もコイン検出装置1と同様に遊戯装置6に組み込まれる。以下、コイン検出装置2の説明において、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1の構成に相当する構成にはコイン検出装置1と同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0159】
図11に示すように、コイン検出装置2では、発光部17(発光部16)の対向壁面に反射鏡20が固設されている。したがって、各検出光に干渉する位置に真性コイン8が存在していないとき、反射鏡20は、発光部17から照射される検出光を受光部18に向けて反射するとともに、発光部16から照射される検出光を受光部19に向けて反射する。すなわち、コイン検出装置2では、コイン検出装置1と異なり、発光部16から照射される検出光を受光部19が受光し、発光部17から照射される検出光を受光部18が受光するように配置されている。
【0160】
一般的なフォトセンサでは、発光素子と受光素子とが一対となって市販されているため、図11のように配置することにより、市販の素子を流用しやすいため、コストを抑制できる。また、発光部16,17および受光部18,19を通路1aに対して同じ側(図11において左側)に設けることにより、共通の部材にすべての構成を固設することができ、一体的構造物として扱いやすくなり、位置調整等が容易になる。
【0161】
コイン検出装置2では、真性コイン8が通路1a内を進行してくると、真性コイン8が各検出光を遮る状態となる。すなわち、コイン検出装置2では、図11に示すように発光部16,17および受光部18,19を配置することにより、いわば遮断型のフォトセンサを構成している。
【0162】
また、図11から明らかなように、通路1a内を進行する真性コイン8によって先に遮蔽されるのは、受光部18に入射する検出光である。すなわち、判定部101が真性コイン8の第1位置を検出するのは、第1の実施の形態と同様に、受光部18から入力される受光パターンによってである。
【0163】
図12は、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2において、投入物が投入された場合における発光部16の発光パターンおよび受光部19の受光パターンを例示する図である。なお、図12に示す例では、投入物(コイン)は検出光をほぼ100%遮断する遮蔽物として扱っている。
【0164】
市場に流通しているコイン(特に遊戯コイン)は、光をほぼ100%遮断する材料で形成されているものが多い。しかし、貨幣の中には50円硬貨や5円硬貨のように空洞が形成されているコインも一部に存在する。このようなコインは検出光を当てる位置によっては通過中でも検出光を透過する状況もあり得るが、以下の説明では、真性コイン8が検出光を100%遮断するものとして説明する。すなわち、図12に示す時間Ctの間、受光パターンにおける光量はほぼ「ゼロ」である。
【0165】
図13は、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2によってコインを検出する方法を示す流れ図である。図13に示す処理は、遊戯装置6(コイン検出装置2)の電源が投入されることにより開始される。
【0166】
なお、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2は、先述のように、遮断型のフォトセンサを用いている。したがって、真性コイン8の表面によって反射された検出光を判定に用いることはないため、第1の実施の形態における調整処理(ステップS4)に相当する処理を行う意味がない。すなわち、コイン検出装置2の動作モードには調整モードに相当するモードは設けられていない。
【0167】
電源が投入されると、遊戯装置6およびコイン検出装置2は所定の初期設定を実行する。さらに、コイン検出装置2の切替部100がコイン検出装置1の動作モードを待機モードにセットし(ステップS41)、待機状態となる。
【0168】
待機状態において、コイン検出装置2のCPU10は、投入物が検出されるか(ステップS42)、および、電源が断たれるか(ステップS46)を監視している。
【0169】
コイン検出装置2が待機状態にあるときに、投入検出部14から出力される投入信号により投入物が検出されたことが伝達されると、CPU10はステップS42においてYesと判定し、切替部100が動作モードを検出モードに切り替える(ステップS43)。これにより、コイン検出装置2において検出処理(ステップS44)が開始される。
【0170】
図14および図15は、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2による検出処理の詳細を示す流れ図である。なお、本実施の形態における検出処理とは、コイン検出装置2が真性コイン8を検出する処理である。
【0171】
検出処理が開始されると、切替部100が信号発生回路15の駆動を開始させる(ステップS51)。これにより、信号発生回路15が検出光の発光パターンを決定しつつ、発光信号を生成し発光部16,17に向けて出力を開始する。したがって、発光部16,17による検出光の照射が開始される(ステップS52)。
【0172】
検出光の照射が開始されると、CPU10に対して受光部18,19からの入力が開始され、判定部101による受光部18,19からの受光パターンの取得が開始される(ステップS53)。
【0173】
次に、判定部101は、信号発生回路15から入力される発光パターン(発光部17による検出光の発光パターン)と、受光部18から入力される受光パターンと、パラメータデータ111とに基づいて、受光部18が受光している光が真に発光部17から照射された検出光であるか否かの判定を開始する(ステップS54)。
【0174】
また、ステップS54において、判定部101は、信号発生回路15から入力される発光パターン(発光部16による検出光の発光パターン)と、受光部19から入力される受光パターンと、パラメータデータ111とに基づいて、受光部19が受光している光が真に発光部16から照射された検出光であるか否かの判定も同時に開始する。
【0175】
なお、第2の実施の形態におけるパラメータデータ111は、第1の実施の形態におけるパラメータデータ111のように反射光の減衰率ではなく、照射された検出光が通路1a内を通過することによる減衰率に応じた値となる。
【0176】
また、ステップS54が実行された後は、受光部18から入力される受光パターンによる判定は、投入物が第1位置に到達し、ステップS56が実行されるまで継続される。また、受光部19から入力される受光パターンによる判定は、投入物が第2位置に到達し、ステップS58が実行されるまで継続される。
【0177】
ステップS54を実行すると、コイン検出装置2は、ステップS42において検出された投入物が第1位置に到達するまで待機する(ステップS55)。なお、第2の実施の形態において、投入物が第1位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部18の受光パターンの光量が「0」に変化する瞬間として検出できる。
【0178】
第2の実施の形態においても、検出期間において発光部16,17から照射される検出光の光量は「0」とはならない。従来の技術のように、検出期間において検出光がON・OFFされると、たまたま検出光の光量が「0」となったために受光パターンの光量が「0」となったのか、投入物の端部によって検出光が遮断されたために受光パターンの光量が「0」となったのかを正確に判断することは困難となる。
【0179】
しかしながら、コイン検出装置2の信号発生回路15は、検出光の発光パターンにおいて、光量を「0」とすることがないため、受光パターンの光量が「0」となるのは検出光が遮蔽物によって遮断された場合に限られ、正確に、投入物(あるいは真性コイン8)の位置を検出できる。
【0180】
投入物が通路1a内の第1位置に到達すると、判定部101は、ステップS54で開始した受光部18が受光している光が真に発光部17から照射された検出光であるか否かの判定を停止し(ステップS56)、投入物が第2位置に到達するまで待機する(ステップS57)。なお、投入物が第2位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部19の受光パターンの光量が瞬間的に「0」となる瞬間として検出できる。
【0181】
投入物が第2位置に到達すると、判定部101は、ステップS4で開始した受光部19が受光している光が真に発光部16から照射された検出光であるか否かの判定を停止する(ステップS58)。
【0182】
さらに、判定部101は、第1の実施の形態と同様に、式2を演算して投入物のサイズWを求め、サイズWとサイズデータ112とを比較することにより、サイズによる判定を行う(ステップS59)。すなわち、投入物がサイズデータ112に比べて小さすぎたり、大きすぎたりした場合は、投入物を不正規投入物9であると判定する。
【0183】
サイズによる判定が実行されると、コイン検出装置2は、投入物が第3位置に到達するまで待機する(ステップS61)。なお、投入物が第3位置に到達したか否かは、受光部18の受光パターンの光量が「0」から増大する瞬間として検出できる。
【0184】
投入物が第3位置に到達すると、判定部101は、受光部18が受光している光が真に発光部17から照射された検出光であるか否かの判定を再度開始し(ステップS62)、投入物が第4位置に到達するまで待機する(ステップS63)。なお、投入物が第4位置に到達したか否かは、受光部19の受光パターンの光量が「0」から増大する瞬間として検出できる。
【0185】
投入物が第4位置に到達すると、判定部101は、受光部19が受光している光が真に発光部16から照射された検出光であるか否かの判定を再度開始し(ステップS64)、時間Tが経過するまで待機する(ステップS65)。
【0186】
時間Tが経過すると、判定部101がステップS62,S64において開始した判定を停止するとともに(ステップS66)、切替部100が信号発生回路15の駆動を停止する(ステップS67)。これにより、発光部16,17による検出光の照射が停止する(ステップS68)。
【0187】
次に、判定部101は、これまでの判定結果に応じて判定データ113を作成し、記憶装置11に記憶させる。これにより、インタフェース部12が遊戯装置6の制御部60に判定データ113を伝達する(ステップS69)。
【0188】
遊戯装置6の制御部60は、コイン検出装置2からコイン未検出を示す判定データ113が伝達された場合には、コインカウンターをインクリメントすることなく、コイン選別部63により投入物を排出部に向けて導く。これにより、真性コイン8と判定されなかった投入物は遊戯装置6の外部に排出される。
【0189】
また、遊戯装置6の制御部60は、コイン検出装置2からコイン検出を示す判定データ113が伝達された場合には、コインカウンターをインクリメントするとともに、コイン選別部63により投入物を貯留部に向けて導く。これにより、真性コイン8を投入した場合には遊戯装置6による遊戯が可能となる。
【0190】
ステップS69を実行して判定データ113の伝達が完了すると、コイン検出装置2は、検出処理を終了して、図13に示す処理に戻る。
【0191】
図13に戻ってステップS44における検出処理が終了すると、切替部100が動作モードを待機モードに切り替える(ステップS45)。これにより、コイン検出装置2は、再び待機状態となる。
【0192】
また、コイン検出装置2が待機状態にあるときにおいて、操作者が入力部61を操作して、遊戯装置6の電源を断つと、CPU10はステップS46においてYesと判定し、処理を終了する。
【0193】
以上のように、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2のように、発光部16,17および受光部18,19によって、遮断型のフォトセンサを構成するようにしても、第1の実施の形態と同様の不正防止効果を得ることができる。
【0194】
また、コイン検出装置2のように、遮断型のフォトセンサを構成するように配置することにより、真性コイン8の状態に左右されることなく、検出を行うことができる。また、移動中のコインからの反射光を受光する反射型のフォトセンサを構成する場合に比べて、発光部16,17および受光部18,19の位置関係の最適化が容易である。
【0195】
<3. 第3の実施の形態>
遮断型のフォトセンサを構成する場合における発光部16,17および受光部18,19の位置関係は、第2の実施の形態に示した位置関係に限定されるものではなく、様々な変形が考えられる。
【0196】
図16は、第3の実施の形態におけるコイン検出装置3を示す図である。第3の実施の形態におけるコイン検出装置3は、反射鏡20に相当する構成を備えていないことと、発光部16,17および受光部18,19の位置関係が異なることを除いて、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2と同様である。したがって、本実施の形態におけるコイン検出装置3については、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2と異なる点について説明し、同様の点については適宜説明を省略する。
【0197】
図16に示すように、コイン検出装置3では、発光部16と受光部18とが互いに対向し、発光部17と受光部19とが互いに対向する位置関係となっている。なお、コイン検出装置3における処理は第2の実施の形態におけるコイン検出装置2と同様であるため説明を省略する。
【0198】
以上のように、第3の実施の形態におけるコイン検出装置3であっても、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0199】
<4. 第4の実施の形態>
上記実施の形態では、信号発生回路15は、検出光(検出期間に照射される光)の光量が「0」とはならないように発光パターンを決定していた。しかし、検出光の光量の値が互いに異なる3値のうちのいずれかの値となるのであれば、そのうちの1つの値に「0」を用いても、光量に「0」「1(最大値)」以外の中間値が存在するため充分に不正を抑制できる。
【0200】
図17は、第4の実施の形態における信号発生回路15によって決定された発光部16,17の発光パターンを例示する図である。なお、第4の実施の形態におけるコイン検出装置1は、信号発生回路15が生成する発光パターンにおいて、光量(光強度)が「0」となる場合がある(互いに異なる3値以上の値のうちの1つが「0」である)ことを除いて、第1の実施の形態と同様であるため、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1と同様の構成および機能については適宜説明を省略する。
【0201】
第4の実施の形態における信号発生回路15は、発光信号の周波数変調を行うことにより、発光部16,17をランダムなタイミングでON・OFFする。ただし、検出光がONされたときの検出光の光量は、図17に示すように様々である。図17に示す例では、点灯時の光量として5種類の値が登場している。
【0202】
このように、第4の実施の形態における信号発生回路15は、発光部16,17を点灯させるときの光量をランダムに変調して発光パターンを決定する。ただし、点灯時の光量としては5値に限定されるものではなく、2値以上であればよい。
【0203】
これにより、第4の実施の形態における発光パターンで発光部16,17が発光すると、少なくとも点灯後の光量は必ず「0」となるため、検出光を模倣して不正行為を企図する者にとっては、第1の実施の形態における発光パターンに比べて多少は予測しやすくなる。しかしながら、消灯後の光量は少なくとも残りの2値のうちからランダムに決定されるため、不正治具がこれを測定して検出する機能を備えていなければ発光パターンを模倣できないことに変わりはない。したがって、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1に比べれば若干劣るとしても、従来の技術に比べれば、不正を防御する効果は充分に高いといえる。
【0204】
一般的な光電素子から構成される受光部18,19は、入射光の光量変化に対して、わずかながら遅れて出力値が変化するという性質がある。そこで、図17に示すように、パルス状の発光パターンで検出光を照射し、パルス状の光が受光部18,19に入射するように構成すると、受光部18,19からもパルス状の出力が得られることになる。しかし、受光部18,19から出力されるパルスは、先述のように、発光パターンにおけるパルスから少し遅れたものとなる。
【0205】
そして、この遅れ(立ち上がり時または下がり時の遅れ)は、入射光の光量が大きいほど短時間であるという性質がある。したがって、受光部18,19の閾値を比較的低く設定するとともに、発光パターンのパルスに対する受光パターンのパルスの遅れを計測すれば、入射光の光量を再現できる。すなわち、受光部18,19から出力される受光パターンがデジタル的出力であり、受光パターンが「0」または「1」であったとしても、発光パターンに対する「1」の遅れを測定すれば、当該「1」のときの入射光の光量がわかる。
【0206】
第4の実施の形態におけるコイン検出装置1においても、点灯時の光量を出力するために、受光部18,19はアナログ的出力が可能となるように構成する。しかしながら、図17に示す発光パターンで発光部16,17を発光させることにより、従来のデジタル的出力であっても、中間値が存在する発光パターンと「0」と「1」とで表現された受光パターンとの比較は可能である。すなわち、受光部18,19は、デジタル的出力を採用することができる。
【0207】
<5. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0208】
例えば、上記実施の形態に示した各工程は、あくまでも例示であって、上記に示した順序および内容(処理)に限定されるものではなく、同様の効果が得られるのであれば、各工程の順序や内容が適宜変更されてもよい。
【0209】
また、上記実施の形態において示した機能ブロック(切替部100および判定部101)はプログラム110によりソフトウェアで実現されると説明した。しかし、これらの機能ブロックの機能の一部または全部を専用の論理回路(ハードウェア)により実現するように構成してもよい。例えば、判定部101における発光パターンと受光パターンとを比較する機能を比較回路で実現してもよい。
【0210】
また、上記実施の形態において示したハードウェアの一部をソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0211】
1,2,3 コイン検出装置
10 CPU
100 切替部
101 判定部
11 記憶装置
110 プログラム
111 パラメータデータ
112 サイズデータ
113 判定データ
13 タイマ
14 投入検出部
15 信号発生回路
16,17 発光部
18,19 受光部
20 反射鏡
6 遊戯装置
8 真性コイン
80 純真性コイン
81 仮真性コイン
9 不正規投入物
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出光を照射することにより、遊技コインまたは貨幣等を検出する技術に関する。より詳しくは、検出の基準となる検出光の異常(不正)を判定し、不正を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スロットマシン等のゲーム機や自動販売機、両替機等において、操作者によって使用される遊技コインまたは貨幣等(以下、単に「コイン」と称する。)を検出する技術が知られている。例えば、このような遊技コインを検出する装置として、特許文献1には、発光部と受光部とを備え、コイン通路を通過するコインに向けて検出光を照射することにより、当該コインを検出するフォトセンサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−034944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載されている技術では、発光部から照射される検出光の受光・未受光の変化(デジタル的変化)を受光部で検出することにより判定しているため、不正行為対策が不十分であるという問題があった。
【0005】
例えば、不正行為者が、正規の検出光の受光部への入射を遮断しつつ、当該検出光を受光することにより当該検出光の発光パターンを検出し、検出した発光パターンで発光する発光素子を設けた不正治具を使用すると、適正なコインが投入されたと誤判定するおそれがあるという問題がある。すなわち、受光部における検出光の受光・未受光というデジタル的な現象に基づく判定では、不正行為に対して未だ脆弱であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、遊戯装置、自販機、両替機等において、操作者によって使用されるコインを検出する際に、より一層、不正行為に強い技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、検出光を照射することによりコインを検出するコイン検出装置であって、互いに異なる3値以上の値のいずれかに前記検出光の光量がランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンを決定する発光パターン決定手段と、前記発光パターン決定手段により決定された発光パターンで検出光を照射する少なくとも1つの発光手段と、入射する光に応じた受光パターンを出力する少なくとも1つの受光手段と、前記発光パターン決定手段により決定された発光パターンと、前記受光手段により出力された受光パターンとに基づいて、前記受光手段に入射する光が前記発光手段により照射された検出光であるか否かを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るコイン検出装置であって、前記互いに異なる3値以上の値は、いずれもゼロ以外の値であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係るコイン検出装置であって、投入された物を検出する投入検出手段と、前記発光手段を点灯状態と消灯状態との間で切り替える切替手段とをさらに備え、前記切替手段は、前記投入検出手段により投入された物が検出されていないときには、前記発光手段を消灯状態にすることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係るコイン検出装置であって、前記発光手段と前記受光手段とが反射型のフォトセンサを構成していることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係るコイン検出装置であって、前記発光パターン決定手段により決定される発光パターンと、前記発光パターンで検出光を照射した場合に前記受光手段により出力される受光パターンとの間の変換パラメータを記憶する記憶手段をさらに備え、前記判定手段は、前記記憶手段に記憶されている変換パラメータに基づいて、判定することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係るコイン検出装置であって、検出対象のコインを投入しつつ前記発光手段により検出光を照射して前記受光手段により出力される受光パターンを取得し、取得した前記受光パターンと前記検出光の発光パターンとに基づいて変換パラメータを求めて前記記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係るコイン検出装置であって、前記発光手段と前記受光手段とが透過型のフォトセンサを構成していることを特徴とする。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明に係るコイン検出装置であって、前記発光パターン決定手段は、検出光の光量の変化するタイミングがランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンの周波数をランダムに変更することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9の発明は、検出光を照射することによりコインを検出するコイン検出方法であって、(a)互いに異なる3値以上の値のいずれかに前記検出光の光量がランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンを決定する工程と、(b)前記(a)工程において決定された発光パターンで発光手段により検出光を照射する工程と、(c)入射する光に応じた受光パターンを出力する受光手段により前記発光手段から照射される検出光を受光する工程と、(d)前記(a)工程において決定された発光パターンと、前記受光手段から出力される受光パターンとに基づいて、前記受光手段に入射する光が前記発光手段により照射された検出光であるか否かを判定する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし9に記載の発明は、互いに異なる3値以上の値のいずれかに検出光の光量がランダムに変化するように、検出光の発光パターンを決定することにより、検出光の光量として、ON・OFF以外の中間値が存在するため、不正防止効果が向上する。
【0017】
請求項2に記載の発明は、互いに異なる3値以上の値は、いずれもゼロ以外の値であることにより、コインが通過している間、検出光が消灯する瞬間が存在しないため、コインの通過時間を正確に検出できる。
【0018】
請求項3に記載の投入された物を検出する投入検出手段と、発光手段を点灯状態と消灯状態との間で切り替える切替手段とをさらに備え、投入検出手段により投入された物が検出されていないときには、発光手段を消灯状態にすることにより、消費電力を抑制できる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、発光パターン決定手段により決定される発光パターンと、発光パターンで検出光を照射した場合に受光手段により出力される受光パターンとの間の変換パラメータを記憶する記憶手段をさらに備え、記憶手段に記憶されている変換パラメータに基づいて、判定することにより、発光パターンと受光パターンとを直接比較する場合に比べて、精度が向上する。
【0020】
請求項6に記載の発明は、検出対象のコインを投入しつつ発光手段により検出光を照射して受光手段により出力される受光パターンを取得し、取得した受光パターンと検出光の発光パターンとに基づいて変換パラメータを求めて記憶手段に記憶させることにより、例えば、店舗ごとに異なるコインを使用する場合に、当該コインに最適な検出を行うことができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、発光手段と受光手段とが透過型のフォトセンサを構成していることにより、コインの状態に左右されることなく、検出を行うことができる。また、発光手段および受光手段の位置関係の最適化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態におけるコイン検出装置を備える遊戯装置のブロック図である。
【図2】第1の実施の形態におけるコイン検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態における信号発生回路によって決定された発光部の発光パターンを例示する図である。
【図4】第1の実施の形態における発光部および受光部の位置関係を示す図である。
【図5】コイン検出装置の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
【図6】第1の実施の形態におけるコイン検出装置において、投入物が投入された場合における発光部の発光パターンおよび受光部の受光パターンを例示する図である。
【図7】第1の実施の形態におけるコイン検出装置によってコインを検出する方法を示す流れ図である。
【図8】第1の実施の形態におけるコイン検出装置による調整処理の詳細を示す流れ図である。
【図9】第1の実施の形態におけるコイン検出装置による検出処理の詳細を示す流れ図である。
【図10】第1の実施の形態におけるコイン検出装置による検出処理の詳細を示す流れ図である。
【図11】第2の実施の形態におけるコイン検出装置を示す図である。
【図12】第2の実施の形態におけるコイン検出装置において、投入物が投入された場合における発光部の発光パターンおよび受光部の受光パターンを例示する図である。
【図13】第2の実施の形態におけるコイン検出装置によってコインを検出する方法を示す流れ図である。
【図14】第2の実施の形態におけるコイン検出装置による検出処理の詳細を示す流れ図である。
【図15】第2の実施の形態におけるコイン検出装置による検出処理の詳細を示す流れ図である。
【図16】第3の実施の形態におけるコイン検出装置を示す図である。
【図17】第4の実施の形態における信号発生回路によって決定された発光部の発光パターンを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0024】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1を備える遊戯装置6のブロック図である。遊戯装置6は、コイン検出装置1の他に、制御部60、入力部61、出力部62およびコイン選別部63を備えている。
【0025】
以下の説明における遊戯装置6としては、いわゆる「パチスロ機」と呼ばれる装置を想定して説明するが、遊戯装置6はこれに限定されるものではない。例えば、遊戯装置6はゲームセンター等に設置されるテレビゲーム機やクレーンゲーム機等であってもよい。さらに、コイン検出装置1が搭載される装置としては、より広範囲には、操作者によって投入されるコイン(遊戯コイン、メダル、あるいは貨幣等)によって動作する装置(遊戯機に限定されず、自販機や両替機を含む)であってもよい。
【0026】
一般に、遊戯装置6を設置する店舗(例えばパチスロ店や遊技場)では、自店舗における専用デザインのコイン(例えば、自店名やオリジナルの図柄等を刻印したコイン)を採用する場合が多い。これは、他の店舗で購入されたコインと自店舗のコインとを見分けられるようにするためである。一方で、遊戯装置6は、多くの店舗において共通に設置され運用されるため、正規に採用されているコインであれば、どの店舗のコインであっても使用可能であることが望ましい。
【0027】
以下の説明では、遊戯装置6の仕様上において、使用可能なコインを「真性コイン8」と称する。言い換えれば、真性コイン8とは、遊戯装置6において使用可能なコインとしての規格(サイズ、重さ、形状、等の条件)の範囲内のコインである。また、個々の遊戯装置6が現実に設置されている店舗に限定して使用が許可されているコインを「純真性コイン80」と称する。
【0028】
また、真性コイン8のうち、純真性コイン80以外のコインを「仮真性コイン81」と称する。すなわち、仮真性コイン81とは、遊戯装置6が設置されている店舗以外の店舗(他店舗)において正規に採用されているコイン(当該他店舗においては純真性コイン80)である。なお、遊戯装置6が設置されている店舗から見れば、仮真性コイン81は、他の店舗で購入されたコインであるから、当該コインによる遊戯は本来は許容されるべきではない。
【0029】
図1に示す制御部60は、データの演算を行うCPUや、データを記憶するメモリ等から構成される装置であり、遊戯装置6の各構成を制御する機能を有する。制御部60を備えることにより、遊戯装置6は一般的なコンピュータとしての機能を有している、
入力部61は、主に、操作者(プレイヤーや店員等)の操作に応じて、遊戯装置6が当該操作者の意図した指示を受け付ける機能を有する。具体的には、ベットボタンやリール停止ボタン等の各種ボタン類や、操作キー、設定キー、スロットレバー等が入力部61に該当する。
【0030】
出力部62は、制御部60からの制御に従って、各種情報を操作者に提供(出力)する機能を有する。具体的には、液晶パネルやLED、ランプ等の表示装置や、入賞した役を表示するリールドラム、BGMや効果音等を出力するスピーカ等が出力部62に該当する。特に、出力部62は、遊戯装置6のプレイヤーが内部に留保している遊戯コインの数を表示するコインカウンター(図示せず)を備えている。
【0031】
コイン選別部63は、遊戯装置6に投入されたコインの真偽(制御部60からの制御信号として伝達される)に応じて、当該コインを遊戯装置6の内部に設けられた貯留部(図示せず)に導くか、遊戯装置6の外部に設けられた排出部(図示せず)に導くかを選別する機能を備えている。すなわち、投入されたコインが「真」と判定された場合には、当該コインはコイン選別部63によって貯留部に案内される。一方で、投入されたコインが「偽」と判定された場合には、当該コインはコイン選別部63によって排出部に案内され、遊戯装置6の外部に排出される。
【0032】
図1に示すように、遊戯装置6はコイン検出装置1を備えており、遊戯装置6に投入された物は先述の貯留部に貯留されるまでの間に、コイン検出装置1にも投入される。ただし、遊戯装置6に投入された物であっても、コイン検出装置1の上流側に配置された検査装置(機械式センサ、磁気センサ、重量センサ等の何らかの検出器によって、真性コイン8であるか否かを検査する機能を備えた装置)によって、少なくとも真性コイン8ではないと判定された物は、コイン検出装置1に投入される前段階で排出部に向けて排出される。すなわち、遊戯装置6に投入された物のうち、先述の検査装置による検査をくぐり抜けてきた物のみがコイン検出装置1に投入される。
【0033】
図1に示すように、以下の説明では、真性コイン8以外でコイン検出装置1に投入される物を不正規投入物9と称する。不正規投入物9は、コインに限られるものではなく、真性コイン8が遊戯装置6に投入されたかのように誤認させる目的で用いられる不正治具やセル板等の物を含む。
【0034】
図2は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、コイン検出装置1は、CPU10、記憶装置11、インタフェース部12、タイマ13、投入検出部14、信号発生回路15、発光部16,17、および、受光部18,19を備えている。
【0035】
詳細は後述するが、コイン検出装置1は、検出光を照射することにより真性コイン8(より望むべきは純真性コイン80)を検出し、その旨を制御部60に伝達する装置として構成されている。なお、以下では、コイン検出装置1が真性コイン8の検出を行う期間(検出期間)において、発光部16(または発光部17)から照射される光を「検出光」と称する。
【0036】
CPU10は、記憶装置11に記憶されているプログラム110に従って動作することにより、各種データの演算を行うとともにコイン検出装置1の各構成を制御する。なお、CPU10の機能については後述する。
【0037】
記憶装置11は、プログラム110、パラメータデータ111およびサイズデータ112等の各種データを格納し記憶しておく装置である。記憶装置11は、用途や容量に応じて、ROMやRAM、ディスク装置といった様々なハードウェアから構成される。
【0038】
インタフェース部12は、遊戯装置6の制御部60とコイン検出装置1のCPU10とを接続する機能を提供するハードウェアであり、例えば、端子やソケット、コネクター等である。インタフェース部12を備えることにより、CPU10は制御部60との間でデータ通信が可能となる。特に、CPU10は、制御部60に対して、真性コイン8を検出した旨をインタフェース部12を介して伝達する。
【0039】
タイマ13は、一定の時間間隔で動作する発振器(図示せず)を備えており、主に、CPU10が時間を計測するために用いる。
【0040】
投入検出部14は、コイン検出装置1に、何らかの物体(真性コイン8または不正規投入物9)が投入されたことを検出して、検出タイミングをCPU10に伝達する機能を有している。以下、投入検出部14がCPU10に出力する信号を「投入信号」と称する。投入検出部14は、具体的には、投入物が接触することにより検出する接触センサや、投入物が光を遮断することにより検出するフォトセンサ、投入物によって変化する磁場を検出する磁気センサ等が想定される。
【0041】
投入検出部14は、少なくとも真性コイン8が投入されたときに、これを見逃さない程度の感度を有している。ただし、投入検出部14は、投入物が真性コイン8であるか、不正規投入物9であるかを区別できる程の検出精度はない。
【0042】
信号発生回路15は、CPU10からの制御信号に応じて駆動され、後述する発光信号を生成して、当該発光信号をCPU10および発光部16,17に向けて出力する。信号発生回路15は、駆動中において出力する発光信号の周波数および振幅をランダムに変更可能な回路として構成されている。
【0043】
本実施の形態におけるコイン検出装置1では、信号発生回路15が出力する発光信号は発光部16,17の発光パターンを示している。具体的には、発光信号の周波数が発光部16,17の光量を変更するタイミングを示し、発光信号の振幅が発光部16,17の光量値(より詳細には発光部16,17に供給される電流値)を示す。すなわち、コイン検出装置1では、信号発生回路15によって生成される発光信号の周波数に応じたタイミングで、発光信号の振幅に応じた光量に、発光部16,17の検出光の光量が変化する。
【0044】
従来の技術では、発光信号に相当する信号によって、照射する光の点滅タイミングを決定していた。すなわち、従来の技術は、照射される光の光量(光強度)が「0(消灯)」か「1(点灯)」のいずれかに限定(いわゆる「2値化」)されていた。そして、当該信号の周波数をランダムに変更(周波数変調)することによって、「0」と「1」との間で光量を切り替えるタイミングのみをランダムに決定していた。したがって、切り替えるタイミングが模倣されてしまえば、切り替え後の光量は既知(光量が「0」のときは切り替え後の光量は必ず「1」であり、光量が「1」のときは切り替え後の光量は必ず「0」である。)であるため、誤検出となるおそれがあった。
【0045】
本実施の形態における信号発生回路15は、互いに異なる3値以上の値のいずれかに、検出光の光量(光強度)をランダムに決定することにより、当該検出光の発光パターンを決定する機能を有している。言い換えれば、互いに異なる3つ以上の値が予め検出光の光量の候補値として準備されており、光量を変更するタイミングにおいて、信号発生回路15は、現在の光量となっている候補値以外の候補値(少なくとも2つ以上存在する)の中から、ランダムに選択した1つを変更後の光量に対応する候補値として決定する。すなわち、信号発生回路15は、主に、本発明における発光パターン決定手段に相当する。
【0046】
なお、先述のように、信号発生回路15は発光信号の周波数をランダムに変更する機能も有しているので、コイン検出装置1では、検出光の光量が変化するタイミングもランダムに決定される。
【0047】
発光部16,17は、信号発生回路15から入力される発光信号に基づいて光を照射することにより、信号発生回路15により決定された発光パターンで検出光を照射する。なお、発光部16,17は、信号発生回路15が駆動されていない間は、消灯する。
【0048】
図3は、第1の実施の形態における信号発生回路15によって決定された発光部16,17の発光パターンを例示する図である。図3に示す例では、信号発生回路15の駆動は時間t1において開始されており、時間t1から時間Tが経過した後、時間t2において信号発生回路15の駆動が停止されている。
【0049】
コイン検出装置1では、投入検出部14が投入物を検出すると、その検出タイミングが投入信号によりCPU10に伝達され、これにより、CPU10が信号発生回路15を駆動させる。そして、信号発生回路15を駆動させてから予め設定されている時間Tが経過すると、CPU10は信号発生回路15の駆動を停止させる。すなわち、検出期間は「T」となる。
【0050】
検出光の光量は、信号発生回路15により、互いに異なる3値以上の値のいずれかに、決定される。また、信号発生回路15によって決定される光量の値は「0」以外の値である。したがって、図3に示すように、検出期間の間(時間t1から時間t2までの間)において、検出光の光量は3値以上の値のいずれかにランダムに変化し、かつ、「0」となることはない。検出期間の間、検出光の光量が「0」となることがないとは、当該期間中において発光部16,17は消灯することがないことを意味する。
【0051】
なお、図3に示す例では、検出光の光量は、互いに異なる5値のうちのいずれかとなっているが、もちろん候補値の数はこれに限定されるものではない。また、図3から明らかなように、発光信号の周波数がランダムに変更されるため、検出光の光量のみならず、光量の変化のタイミングもランダムとなっている。
【0052】
図2に戻って、受光部18,19は、入射する光に応じた受光パターンをCPU10に向けて出力する。なお、第1の実施の形態における受光部18,19は、入射光の点滅(「0」か「1」か)だけでなく、入射光の点灯時の光強度(光量)を出力する必要があるため、アナログ出力可能に構成されている。
【0053】
図4は、第1の実施の形態における発光部16,17および受光部18,19の位置関係を示す図である。コイン検出装置1の内部には、図4に示すように通路1aが形成されており、コイン検出装置1に投入された真性コイン8や不正規投入物9は通路1aを図4において上方から下方へ向けて通過する。なお、図4において図示を省略しているが、投入検出部14は、通路1aにおける発光部16,17および受光部18,19の配置位置よりも上流側に配置されている。
【0054】
真性コイン8が通路1a内の所定の位置(以下、「第1位置」と称する)まで到達すると、発光部16から照射された光が真性コイン8によって反射される状態となる。コイン検出装置1では、発光部16から照射された光のうち、真性コイン8による反射光が効率よく受光部18に入射するように、発光部16と受光部18との位置関係が固定されている。
【0055】
また、真性コイン8が第1位置からさらに進行し、通路1a内の所定の位置(以下、「第2位置」と称する)まで到達すると、発光部17から照射された光が真性コイン8によって反射される状態となる。コイン検出装置1では、発光部17から照射された光のうち、真性コイン8による反射光が効率よく受光部19に入射するように、発光部17と受光部19との位置関係が固定されている。このように、発光部16と受光部18、および、発光部17と受光部19は、それぞれがいわゆる反射型のフォトセンサを構成している。
【0056】
なお、真性コイン8が第2位置からさらに進行し、通路1a内の所定の位置(以下、「第3位置」と称する)まで到達すると、発光部16から照射された光が真性コイン8によって反射されなくなる。
【0057】
また、真性コイン8が第3位置からさらに進行し、通路1a内の所定の位置(以下、「第4位置」と称する)まで到達すると、発光部17から照射された光が真性コイン8によって反射されなくなる。
【0058】
さらに、真性コイン8の第1位置と第2位置との距離(第3位置と第4位置との距離でもある)は、図4に示すように「X」であり、コイン検出装置1の設計において決定される既知の値である。
【0059】
図5は、コイン検出装置1の機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。図5に示す切替部100および判定部101は、CPU10がプログラム110に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0060】
切替部100は、コイン検出装置1の動作モードを切り替える機能を有している。切替部100は、状況に応じて、少なくとも3つの動作モード(検出モード、待機モードおよび調整モード、)のうちから選択した1つの動作モードを、コイン検出装置1の動作モードとして設定する。
【0061】
検出モードとは、コイン検出装置1に物が投入されたことを投入検出部14が検出したときに遷移する動作モードであり、先述の検出期間におけるコイン検出装置1の動作モードである。より詳細には、動作モードが後述する待機モードにあるときにおいて、投入検出部14からの投入信号により投入物の存在がCPU10(切替部100)に伝達されたときに、切替部100が待機モードを検出モードに切り替える。
【0062】
切替部100は、動作モードを検出モードに切り替えたときに、タイマ13を駆動して時間Tの経過を監視するとともに、信号発生回路15を駆動する。これにより、信号発生回路15は発光信号の出力を開始し、発光部16,17が検出光の照射を開始する。
【0063】
動作モードを検出モードに切り替えてから時間Tが経過すると、切替部100は動作モードを検出モードから待機モードに切り替え、信号発生回路15を停止させる。これにより、信号発生回路15から発光信号の出力が停止し、発光部16,17は消灯する。
【0064】
このように信号発生回路15は、少なくとも切替部100により、動作モードが検出モードに設定されているときにのみ駆動することになる。したがって、コイン検出装置1に対する投入物が存在しておらず、コインの検出を行う必要がないとき(検出光の照射が不要なとき)には、発光部16,17を消灯状態に切り替えることができ、例えば消費電力を抑制できる。
【0065】
待機モードとは、いわば遊戯装置6が通常動作をしているときの動作モードであり、コイン検出装置1が前述の検出モードおよび後述の調整モードにないときの動作モードである。
【0066】
調整モードとは、いわば遊戯装置6のメンテナンスモードに相当する動作モードであり、純真性コイン80を用いて、パラメータデータ111を個々の店舗用に調整する際に遷移する動作モードである。より詳細には、動作モードが待機モードにあるときにおいて、入力部61を店員が操作することにより調整モードに遷移させる指示が入力され、その旨が制御部60からインタフェース部12を介してCPU10(切替部100)に伝達されたときに、切替部100は待機モードを調整モードに切り替える。
【0067】
切替部100は、動作モードを調整モードに切り替えたときも、投入検出部14からの投入信号に応じてタイマ13を駆動して時間Tの経過を監視するとともに、信号発生回路15を駆動する。ただし、このとき切替部100は動作モードを検出モードに切り替えることはしない。さらに、信号発生回路15を駆動してから時間Tが経過すると切替部100は信号発生回路15を停止させる。
【0068】
調整モードから待機モードへの復帰(遷移)は、入力部61からの復帰指示が入力されることにより、切替部100によって実行される。すなわち、店員が入力部61を操作して調整モードを終了させる指示を入力したときに、その旨が制御部60からインタフェース部12を介して切替部100に伝達され、切替部100が調整モードを待機モードに切り替える。
【0069】
判定部101は、主に、検出モードにおいて真性コイン8を検出したか否かを示す判定データ113を作成する機能と、待機モードにおいてパラメータデータ111を更新(補正)する機能とを有している。
【0070】
まず、判定部101が真性コイン8を検出する機能について説明する。
【0071】
真性コイン8の検出は、真に発光部16,17から照射された検出光によって検出する必要があり、不正治具等により模倣された光を検出光と誤認するとコインの誤検出となる。すなわち、判定部101は、受光部18,19に入射する光が発光部16,17により照射された検出光であるか否かを判定する機能も有している。
【0072】
図6は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1において、投入物が投入された場合における発光部16の発光パターンおよび受光部18の受光パターンを例示する図である。図6では、投入物による検出光の反射光が検出光の75%の光量で受光部18に受光され、発光部16の対向壁面による検出光の反射光が検出光の25%で受光部18に受光される例を示す。なお、発光部17および受光部19についても同様であるため、発光部17および受光部19については図示および説明を省略する。
【0073】
既に図4に示した位置関係で、発光部16および受光部18を配置すると、真性コイン8や不正規投入物9が存在しない場合であっても、検出光は発光部16に対向した位置に存在する対向壁面によって反射され、その一部(図6に示す例では先述のとおり25%)が受光部18に入射する。
【0074】
また、検出光が真性コイン8に反射された場合も、その一部が受光部18に入射する。厳密に言えば、真性コイン8に反射され受光部18に入射する検出光の光量は、真性コイン8の表面状態(形状、材質、色等)によって変化する。
【0075】
しかしながら、真性コイン8の表面状態は、真性コイン8の規格によってある程度決定される。したがって、真性コイン8に反射されてから受光部18に入射する検出光の光量は、所定内の範囲の値として予測することが可能である。
【0076】
本実施の形態におけるコイン検出装置1では、このような予測により発光パターンを受光パターン(疑似受光パターン)に変換するための変換パラメータがパラメータデータ111として記憶装置11に記憶されている。具体的には、真性コイン8の表面における検出光の反射率を40%〜90%の範囲内と予測し、変換パラメータとして下限値40%、上限値90%が記憶されている。すなわち、パラメータデータ111は、検出光における光量と、当該光量の検出光の受光部18,19の出力における光量との対応関係(許容範囲を含む)を記憶したデータである。
【0077】
判定部101は、検出期間(検出モード)において、信号発生回路15から入力される発光信号(発光パターン)と、パラメータデータ111と、受光部18から入力される受光パターンとに基づいて、投入物が真性コイン8であるか否かを判定する。例えば、発光パターンをパラメータデータ111に格納されている変換パラメータに応じて疑似受光パターンに変換し、受光パターンが当該疑似受光パターンの範囲内であれば、受光部18,19に入射している光は正常な検出光であり、かつ、当該検出光により真性コイン8を検出したと判定する。
【0078】
コイン検出装置1では、発光パターンの光量および周波数がランダムに変化する。したがって、発光パターンに対する予測される受光パターンを予め作成しておくことはできず、予測される受光パターンと実際の受光パターンとを比較することはできない。しかし、真性コイン8の規格に応じて、真性コイン8の反射率の範囲をある程度絞っておくことが可能であり、随時入力される発光パターンの光量に基づいて、真性コイン8が投入されているときに予測される受光パターン(疑似受光パターン)の光量を随時求めて実際に受光された光量と比較することは可能である。
【0079】
なお、受光パターンを疑似発光パターンに変換する変換パラメータをパラメータデータ111として記憶しておき、受光パターンを疑似発光パターンに変換しつつ、実際に入力される発光パターンと比較することにより判定するように構成してもよい。あるいは、実際に入力される発光パターンおよび受光パターンから、実際の変換パラメータを求め、これとパラメータデータ111とを比較するように構成してもよい。
【0080】
一方、図6に示す時間Stは、受光部18に入射する光の光量が検出光の光量の25%から75%に増加したときに、判定部101がタイマ13を参照することにより検出可能な時間である。すなわち、検出モードにおいて、判定部101は信号発生回路15から入力される発光パターン(発光信号)と、受光部18から入力される受光パターンとを比較している。そして、判定部101は、発光パターンにおける光量に対して受光パターンにおける光量が急激に増加したときの時間として、時間Stをタイマ13から取得する。なお、時間Stは、投入物の端部が第1位置に到達した時間を示している。
【0081】
時間Stは、発光部17および受光部19についても検出可能である。すなわち、投入物の端部が第2位置に到達した時間も判定部101およびタイマ13により計測可能である。そして、投入物が第1位置に到達した時間と投入物が第2位置に到達した時間との時間差は、投入物が第1位置から第2位置に移動するのに要した時間(以下、「時間τ」と称する)である。
【0082】
先述のように、第1位置と第2位置との距離は「X」であるから、判定部101は、投入物の速度(以下、「速度V」と称する)を、以下の式1で求める。
【0083】
V=X/τ ・・・ 式1
【0084】
また、図6に示す時間Etは、受光部18に入射する光の光量が、検出光の光量の75%から25%に減少した時間として検出可能である。なお、時間Etは、投入物の端部が第3位置に到達した時間を示している。
【0085】
すなわち、時間Stと時間Etとの時間差(図6に示す時間Ct)は、投入物が第1位置から第3位置まで移動するのに要した時間を示している。そして、この時間内において、投入物は自己のサイズ(以下、「サイズW」と称する)に応じた距離だけ移動したことになる。また、このときの投入物の速度Vは、先述の式1で求まるから、判定部101は投入物のサイズWを、以下の式2で求めることができる。
【0086】
W=Ct/V=τ×(Et−St)/X ・・・ 式2
【0087】
真性コイン8のサイズは真性コイン8の規格としてサイズデータ112に格納され記憶装置11に記憶されている。判定部101は、サイズデータ112に示される真性コイン8のサイズを参照し、式2で求めた投入物のサイズWと比較することにより、当該投入物が真性コイン8であるか否かを判定する。
【0088】
なお、判定部101は、光量による判定およびサイズによる判定のいずれもが、投入物が真性コイン8であるとの判定結果である場合に、真性コイン8を検出したことを示す判定データ113(以下、「コイン検出を示す判定データ113」と称する)を作成し、記憶装置11に記憶させる。一方、光量による判定およびサイズによる判定のいずれかが、投入物が真性コイン8でないとの判定結果である場合に、真性コイン8を検出しなかったことを示す判定データ113(以下、「コイン未検出を示す判定データ113」と称する)を作成し、記憶装置11に記憶させる。
【0089】
次に、判定部101がパラメータデータ111を更新する機能について説明する。
【0090】
動作モードが調整モードである場合、調整に店員は必ず自店舗のコイン(純真性コイン80)を遊戯装置6に投入するので、コイン検出装置1に投入される物も必ず純真性コイン80である。そして、調整モードにおいても、投入検出部14が投入物(純真性コイン80)を検出すると、発光部16,17が信号発生回路15により決定された発光パターンの光を照射し、受光部18,19が入射光を受光する。
【0091】
したがって、調整モードにおいても、判定部101には、信号発生回路15から発光パターンが入力され、受光部18から受光パターンが入力される。調整モードにおいて、判定部101は、入力される発光パターンと、入力される受光パターンとに基づいて、当該発光パターンと当該受光パターンとの間の変換パラメータを求め、これに応じてパラメータデータ111を更新する。
【0092】
具体的には、図6に示す発光パラメータおよび受光パターンが入力された場合、判定部101が求める変換パラメータは「75%」となる。そして、判定部101は、求めた「75%」に基づいて、例えば70%〜80%の範囲をパラメータデータ111として更新する。
【0093】
このように、判定部101は、調整モードにおける更新により、真性コイン8の規格に応じて初期値として決められていた変換パラメータの範囲を絞り込む機能を有している。ここに示す例では、調整前において40%〜90%という50%の許容範囲が設けられていたが、調整により70%〜80%という10%の許容範囲に絞り込まれる。
【0094】
パラメータデータ111を初期値のままでコイン検出装置1を運用することは、真性コイン8の規格に合致さえしていれば、他店舗で購入された仮真性コイン81であっても、自店舗において使用を認めることになる。
【0095】
しかし、本実施の形態におけるコイン検出装置1は、自店舗に専用の純真性コイン80によって調整を行うことにより、例え真性コイン8の規格に合致している仮真性コイン81であっても、純真性コイン80と相当異なるものについては不正規投入物9と判定され、使用を抑制することが可能となる。すなわち、真性コイン8のいずれにも対応可能である一方で、純真性コイン80以外の仮真性コイン81の使用を抑制できるという効果がある。
【0096】
パチスロ機(遊戯装置6)に使用される遊戯コインは、真性コイン8の規格内であっても、表面が鏡面加工されたものや、砂地のように加工されたもの、材質の違いから黄色味や茶色味を帯びたものなどが存在するという事情がある。すなわち、この業界においては、表面状態が相当異なる真性コイン8が混在しているという状況がある。
【0097】
さらに、全国的に共通して使用される貨幣と異なり、遊戯装置6において使用される他店舗の仮真性コイン81とは、せいぜい近隣の店舗で採用されているものであり、遠方のものは使用量的にあまり深刻な問題ではないという事情がある。そこで、自店舗の純真性コイン80をデザインする際に、近隣に存在する仮真性コイン81を参考にして、コイン検出装置1がこれらと見分けることのできるデザインを採用することも可能である。
【0098】
したがって、特定の店舗において、仮真性コイン81を全て完全に排除することができないとしても、その一部でも使用を抑制できるのであれば、現状のように全ての仮真性コイン81の使用を黙認せざるを得ない状況に比べて、店舗にとっては利益があるといえる。また、このような調整を行うために、店舗において現在使用している純真性コイン80を鋳造し直す必要はない。また、遊戯装置6を店舗に設置する際に、一度だけ調整を行えば、当該装置についてその後、同じ作業は不要である。
【0099】
なお、純真性コイン80を用いた調整においては、複数回の調整を連続して実行することも可能とされている。この場合、判定部101は、複数枚の純真性コイン80を用いて連続して実行された複数回の調整で得られた変換パラメータの下限値および上限値に応じて、パラメータデータ111における許容範囲を決定する。例えば、調整が複数回繰り返されたことによって、下限値70%および上限値80%が得られた場合、例えば許容範囲として、60%〜90%の範囲をパラメータデータ111とする。
【0100】
調整により許容範囲を絞り込むと、純真性コイン80を誤って不正規投入物9と誤認する危険性が生じる。しかし、状態の異なる複数の純真性コイン80を用いて、複数回連続的に調整を行うことにより、調整による許容範囲の絞り込みを緩めることが可能であり、純真性コイン80が不正規投入物9と誤認される危険性を抑制できる。すなわち、このような調整を行うことにより、純真性コイン80において発生するバラツキに対応することができる。
【0101】
また、例えば、10円硬貨は、鋳造直後と、経年後とでは、表面の状態が大きく異なる。このように表面状態が大きく異なるものが存在するコインについて複数回の調整を行うと、結局は初期値と大差ない許容範囲の大きいパラメータデータ111が作成され、仮真性コイン81の使用抑制効果が低下することも考えられる。
【0102】
しかし、パチスロ機(遊戯装置6)に使用される遊戯コインは、店舗内において定期的に洗浄されるのが一般的であり、市場に流通する貨幣と異なり、汚れによる状態変化は少ないという特有の事情がある。また、錆たり、剥げたりする構造のものは客の手が汚れるため敬遠され、あまり採用されないという事情もある。すなわち、この業界においては、純真性コイン80の表面状態は比較的バラツキが少なく、かなり均一化されていることが期待できる。したがって、複数回の調整を行ったとしても、許容範囲が広がり過ぎる危険性は低いと考えられる。
【0103】
また、複数回の調整を行うとしても、その作業は調整モードに遷移させておいてからコインを必要枚数投入するだけである。したがって、例えば100枚程度のコインによって調整するとしても、1分も要さずに完了する。すなわち、作業は至って簡易であり、店員の負担を増大させることもない。
【0104】
以上が遊戯装置6の構成および機能の説明である。次に、コイン検出装置1によってコインを検出する方法について説明する。
【0105】
図7は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1によってコインを検出する方法を示す流れ図である。図7に示す処理は、遊戯装置6(コイン検出装置1)の電源が投入されることにより開始される。
【0106】
電源が投入されると、遊戯装置6およびコイン検出装置1は所定の初期設定を実行する。さらに、コイン検出装置1の切替部100がコイン検出装置1の動作モードを待機モードにセットし(ステップS1)、待機状態となる。
【0107】
待機状態において、コイン検出装置1のCPU10は、操作者によって調整指示入力がされるか(ステップS2)、投入物が検出されるか(ステップS6)、および、電源が断たれるか(ステップS10)を監視している。
【0108】
コイン検出装置1が待機状態にあるときに、操作者(主に店員)が入力部61を操作し、調整を行う旨の指示を入力した場合、CPU10はステップS2においてYesと判定し、切替部100が動作モードを調整モードに切り替える(ステップS3)。これにより、調整処理(ステップS4)が開始される。
【0109】
図8は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1による調整処理の詳細を示す流れ図である。なお、調整処理とは、記憶装置11に記憶されているパラメータデータ111を、純真性コイン80を用いて調整(更新)する処理である。
【0110】
調整処理が開始されると、CPU10は、純真性コイン80が投入されたか(ステップS11)、および、調整処理を終了する旨の指示入力がされたか(ステップS19)を監視する状態となる。
【0111】
ここで、純真性コイン80が投入され、投入検出部14がこれを検出したことを投入信号によりCPU10に伝達すると、切替部100はステップS11においてYesと判定し、タイマ13に時間Tを計測するようセットするとともに、信号発生回路15を駆動させる(ステップS12)。
【0112】
これにより、信号発生回路15による発光パターンの決定が開始され、発光信号の発光部16,17に向けての出力が開始され、発光部16,17が当該発光信号に応じて発光し、光の照射を開始する(ステップS13)。
【0113】
なお、調整処理においては、不正規投入物9による不正使用を防止する必要はないので、発光パターンはランダムに生成されるものでなくてもよく、比較的模倣が容易な既成の発光パターンを用いてもよい。例えば、段階的に光量が変化するような、調整処理用の特殊な発光パターンを用いてもよい。
【0114】
また、後述するように、本実施の形態における調整処理では、受光部19から出力される受光パターンは用いないので、発光部17に対しては発光信号を出力しなくてもよい。
【0115】
さらに、調整処理は比較的短時間で終了するので、その間継続的に、発光部16を点灯状態にしてもよい。すなわち、純真性コイン80が投入される度に改めてタイマ13によって時間Tを計測し、時間Tが経過する度に信号発生回路15を停止させるのではなく、調整処理中は信号発生回路15を駆動したままにしておき、調整処理を終了するときに信号発生回路15を停止させるようにしてもよい。
【0116】
次に、CPU10は受光部18を駆動するとともに、判定部101が受光部18から出力される受光パターンの監視を開始して(ステップS14)、純真性コイン80が第1位置に到達するまで待機する(ステップS15)。純真性コイン80が第1位置に到着したか否かは、先述のように、発光パターンの光量に対する受光パターンの光量が瞬間的に増大する瞬間として検出できる(時間Stを検出する要領で検出できる)。
【0117】
従来の技術のように、検出期間において検出光がON・OFFされると、たまたま検出光の光量が「0」のときに純真性コイン80が第1位置に到達すると、反射光の光量も「0」であるため、検出することができないという問題があった。しかしながら、コイン検出装置1の信号発生回路15は、検出光の発光パターンにおいて、光量を「0」とすることがないため、第1位置に到達したことを正確に検出できる。なお、第2位置、第3位置および第4位置についても同様に正確に検出できる。
【0118】
純真性コイン80が第1位置に到達すると、判定部101がステップS15においてYesと判定し、信号発生回路15から入力される発光パターンと、受光部18から入力される受光パターンとに基づいて、変換パラメータを求める(ステップS16)。さらに、判定部101は、純真性コイン80が第3位置に到達するまでステップS16を繰り返す(ステップS17)。純真性コイン80が第3位置に到着したか否かは、先述のように、発光パターンの光量に対する受光パターンの光量が瞬間的に減少する瞬間として検出できる(時間Etを検出する要領で検出できる)。
【0119】
純真性コイン80が第3位置に到達すると、判定部101がステップS17においてYesと判定し、純真性コインが第1位置から第3位置まで移動する間に求めた変換パラメータに基づいて、新たにパラメータデータ111を作成し、記憶装置11に記憶させる(ステップS18)。先述のように、パラメータデータ111においては許容範囲が儲けられているが、判定部101は、調整処理で求めたパラメータデータ111の許容範囲を、初期値のパラメータデータ111の許容範囲よりも狭く設定する。
【0120】
なお、図8に示す処理では、説明を簡略化するために、1つの純真性コイン80による調整が完了してから、次の純真性コイン80が投入されることを前提に説明している。例えば、ステップS15やステップS17のような処理を設けると、コイン検出装置1が先に投入された純真性コイン80により待機状態となり、厳密には、その間、後続の純真性コイン80に対する処理ができなくなる。
【0121】
しかし、実際の作業では、先に投入された純真性コイン80による調整の完了を待つことなく、純真性コイン80を次々と投入できるように構成することが好ましい。このように構成するためには、詳細な説明は省略するが、例えば、投入され投入検出部14により検出された順に各純真性コイン80に識別子を付与し、当該識別子に関連づけて、各純真性コイン80の状態(現在位置等)を識別するためのフラグを設け、これらのフラグにより複数の純真性コイン80の状態を管理すればよい。通路1a内でコインの追い越しは発生しないため、これにより先に投入された純真性コイン80による調整の完了を待つことなく、純真性コイン80を次々と投入した場合にも対応することできる。以下の説明においても同様である。
【0122】
操作者が入力部61を操作して、調整処理を終了させる旨の指示を入力した場合には、CPU10はステップS19においてYesと判定し、調整処理を終了して図7に示す処理に戻る。
【0123】
図7に戻ってステップS4における調整処理が終了すると、切替部100が動作モードを待機モードに切り替える(ステップS5)。これにより、コイン検出装置1は、再び待機状態となる。
【0124】
コイン検出装置1が待機状態にあるときにおいて、投入検出部14から出力される投入信号により投入物が検出されたことが伝達されると、CPU10はステップS6においてYesと判定し、切替部100が動作モードを検出モードに切り替える(ステップS7)。これにより、コイン検出装置1において検出処理(ステップS8)が開始される。
【0125】
図9および図10は、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1による検出処理の詳細を示す流れ図である。なお、検出処理とは、コイン検出装置1が真性コイン8(より望むべくは純真性コイン80)を検出する処理である。
【0126】
検出処理が開始されると、切替部100が信号発生回路15の駆動を開始させる(ステップS21)。これにより、信号発生回路15が検出光の発光パターンを決定しつつ、発光信号を生成し発光部16,17に向けて出力を開始する。したがって、発光部16,17による検出光の照射が開始される(ステップS22)。
【0127】
検出光の照射が開始されると、CPU10に対して受光部18,19からの入力が開始され、判定部101による受光部18,19からの受光パターンの取得が開始される(ステップS23)。そして、コイン検出装置1は、ステップS6において検出された投入物が第1位置に到達するまで待機する(ステップS24)。先述のように、投入物が第1位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部18の受光パターンの光量が瞬間的に増大する瞬間として検出できる(時間Stを検出する要領で検出できる)。
【0128】
投入物が通路1a内の第1位置に到達すると、判定部101は、信号発生回路15から入力される発光パターン(発光部16による検出光の発光パターン)と、受光部18から入力される受光パターンと、パラメータデータ111とに基づいて、投入物が少なくとも真性コイン8であるか否かの判定を開始する(ステップS25)。
【0129】
ステップS25における判定は、受光部18が受光している光が真に発光部16から照射された検出光の反射光であるか否かを、光量の変化タイミングのみならず、光量そのものをも用いて判定することにより、検出光になりすました光(不正治具等により模倣され光)による不正遊戯等を防止する。
【0130】
特に、検出光の発光パターンは互いに異なる3値以上の値のいずれかにランダムに変化するため、従来の発光パターンに比べて不正治具等によって当該検出光を模倣することは困難である。したがって、不正防止効果が向上する。
【0131】
また、受光部18が受光している光が真に発光部16から照射された検出光の反射光であっても、発光部16と受光部18とが反射型のフォトセンサを構成することにより、真性コイン8と表面状態が異なる不正規投入物9からの反射光であれば見分けることが可能であり、誤検出をさらに防止することができる。
【0132】
特に、調整処理により、パラメータデータ111が純真性コイン80によって調整されていた場合には、真性コイン8のうちの仮真性コイン81についても見破ることが可能である。
【0133】
なお、ステップS25が実行された後は、受光部18から入力される受光パターンによる判定は、投入物が第3位置に到達し、ステップS31が実行されるまで継続される。
【0134】
ステップS25が実行されると、コイン検出装置1は、投入物が第2位置に到達するまで待機する(ステップS26)。先述のように、投入物が第2位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部19の受光パターンの光量が瞬間的に増大する瞬間として検出できる(時間Stを検出する要領で検出できる)。
【0135】
投入物が第2位置に到達すると、判定部101は、信号発生回路15から入力される発光パターン(発光部17による検出光の発光パターン)と、受光部19から入力される受光パターンと、パラメータデータ111とに基づいて、投入物が少なくとも真性コイン8であるか否かの判定を開始する(ステップS27)。
【0136】
なお、ステップS27が実行された後は、受光部19から入力される受光パターンによる判定は、投入物が第4位置に到達し、ステップS33が実行されるまで継続される。
【0137】
さらに、判定部101は、先述のように、式2を演算して投入物のサイズWを求め、サイズWとサイズデータ112とを比較することにより、サイズによる判定を行う(ステップS28)。すなわち、投入物がサイズデータ112に比べて小さすぎたり、大きすぎたりした場合は、投入物を不正規投入物9であると判定する。
【0138】
サイズによる判定が実行されると、コイン検出装置1は、投入物が第3位置に到達するまで待機する(ステップS29)。先述のように、投入物が第3位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部18の受光パターンの光量が瞬間的に減少する瞬間として検出できる(時間Etを検出する要領で検出できる)。
【0139】
投入物が第3位置に到達すると、判定部101は、受光部18から入力される受光パターンによる判定(ステップS25において開始した判定)を停止し(ステップS31)、投入物が第4位置に到達するまで待機する(ステップS32)。先述のように、投入物が第4位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部19の受光パターンの光量が瞬間的に減少する瞬間として検出できる(時間Etを検出する要領で検出できる)。
【0140】
投入物が第4位置に到達すると、判定部101は、受光部19から入力される受光パターンによる判定(ステップS27において開始した判定)を停止し(ステップS33)、これまでの判定結果に応じて判定データ113を作成し、記憶装置11に記憶させる。これにより、インタフェース部12が遊戯装置6の制御部60に判定データ113を伝達する(ステップS34)。
【0141】
なお、コイン検出装置1では、いずれかの判定において投入物が不正規投入物9であると判定された場合には、コイン未検出を示す判定データ113が作成される。一方、すべての判定において真性コイン8と判定された場合には、コイン検出を示す判定データ113が作成される。
【0142】
遊戯装置6の制御部60は、コイン検出装置1からコイン未検出を示す判定データ113が伝達された場合には、コインカウンター(出力部62)の表示をインクリメントすることなく、コイン選別部63により投入物を排出部に向けて導く。これにより、真性コイン8と判定されなかった投入物は遊戯装置6の外部に排出される。
【0143】
また、遊戯装置6の制御部60は、コイン検出装置1からコイン検出を示す判定データ113が伝達された場合には、コインカウンターをインクリメントするとともに、コイン選別部63により投入物を貯留部に向けて導く。これにより、真性コイン8を投入した場合には遊戯装置6による遊戯が可能となる。
【0144】
ステップS34を実行して判定データ113の伝達が完了すると、判定部101は、タイマ13を参照し、時間Tが経過するまで待機し(ステップS35)、時間Tが経過すると切替部100が信号発生回路15の駆動を停止する(ステップS36)。これにより、発光部16,17による検出光の照射が停止する(ステップS37)。
【0145】
ステップS37を実行すると、コイン検出装置1は、検出処理を終了して、図7に示す処理に戻る。
【0146】
図7に戻ってステップS8における検出処理が終了すると、切替部100が動作モードを待機モードに切り替える(ステップS9)。これにより、コイン検出装置1は、再び待機状態となる。
【0147】
また、コイン検出装置1が待機状態にあるときにおいて、操作者が入力部61を操作して、遊戯装置6の電源を断つと、CPU10はステップS10においてYesと判定し、処理を終了する。
【0148】
以上のように、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1は、互いに異なる3値以上の値のいずれかに検出光の光量がランダムに変化するように、当該検出光の発光パターンを決定する信号発生回路15と、信号発生回路15により決定された発光パターンで検出光を照射する発光部16,17と、入射する光に応じた受光パターンを出力する受光部18,19と、信号発生回路15により決定された発光パターンと、受光部18,19により出力された受光パターンとに基づいて、受光部18,19に入射する光が発光部16,17により照射された検出光であるか否かを判定する判定部101とを備えることにより、検出光の光量について、ON・OFF以外の中間値が存在することとなり、アナログ的にランダムに変化し模倣が困難であるため不正防止効果が向上する。
【0149】
また、互いに異なる3値以上の値は、いずれもゼロ以外の値であることにより、検出期間中において検出光の光量が「0」になることがない。したがって、投入物の端部位置を正確に検出できるため、コインの通過時間(時間τ)を正確に検出できる。
【0150】
また、投入された物を検出する投入検出部14と、発光部16,17を点灯状態と消灯状態との間で切り替える切替部100とをさらに備え、投入検出部14により投入された物が検出されていないときには、発光部16,17を消灯状態にすることにより、例えば、消費電力を抑制できる。
【0151】
また、発光部16,17と受光部18,19とが反射型のフォトセンサを構成していることにより、表面状態の違いによる検出を行うことができ、検出精度が向上する。
【0152】
また、信号発生回路15により決定される発光パターンと、当該発光パターンで検出光を照射した場合に受光部18,19により出力される受光パターンとの間の変換パラメータをパラメータデータ111として記憶装置11に記憶しておき、判定部101が記憶されている変換パラメータに基づいて、判定することにより、発光パターンと受光パターンとを直接比較する場合に比べて、精度が向上する。
【0153】
また、検出対象のコインを投入しつつ発光部16により検出光を照射して受光部18により出力される受光パターンを取得し、取得した受光パターンと検出光の発光パターンとに基づいて変換パラメータを求めてパラメータデータ111として記憶させることにより、例えば、店舗ごとに異なるコインを使用する場合に、各コインごとに最適な検出を行うことができる。
【0154】
また、信号発生回路15は、検出光の光量の変化するタイミングがランダムに変化するように、検出光の発光パターンの周波数をランダムに変更する。これにより、検出光の模倣がさらに困難になる。
【0155】
なお、第1の実施の形態では、発光部16および発光部17に共通の発生信号が信号発生回路15から入力される。しかし、発光部16および発光部17に入力する発光信号を、信号発生回路15がそれぞれ独立して生成するように構成してもよい。すなわち、異なる発光信号が、発光部16および発光部17にそれぞれ入力されるように構成してもよい。以下の実施の形態においても同様である。
【0156】
また、第1の実施の形態では、発光部16および発光部17から照射された検出光の対向壁面による反射光は、検出光の25%として説明した。しかし、例えば、対向壁面に微小ミラー等の光学素子を設置し、反射光が受光部18,19のいずれにも入射しないように構成することも可能である。その場合、対向壁面から受光部18,19に入射する反射光は検出光の0%となり、判定が容易になる。
【0157】
<2. 第2の実施の形態>
第1の実施の形態におけるコイン検出装置1は、発光部16,17と受光部18,19とが、いわゆる反射型のフォトセンサを構成するように配置されていたが、これに限定されるものではない。
【0158】
図11は、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2を示す図である。第2の実施の形態におけるコイン検出装置2は、反射鏡20を新たに備えている点と、発光部16,17および受光部18,19の位置関係が第1の実施の形態におけるコイン検出装置1と異なっている。そして、コイン検出装置2もコイン検出装置1と同様に遊戯装置6に組み込まれる。以下、コイン検出装置2の説明において、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1の構成に相当する構成にはコイン検出装置1と同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0159】
図11に示すように、コイン検出装置2では、発光部17(発光部16)の対向壁面に反射鏡20が固設されている。したがって、各検出光に干渉する位置に真性コイン8が存在していないとき、反射鏡20は、発光部17から照射される検出光を受光部18に向けて反射するとともに、発光部16から照射される検出光を受光部19に向けて反射する。すなわち、コイン検出装置2では、コイン検出装置1と異なり、発光部16から照射される検出光を受光部19が受光し、発光部17から照射される検出光を受光部18が受光するように配置されている。
【0160】
一般的なフォトセンサでは、発光素子と受光素子とが一対となって市販されているため、図11のように配置することにより、市販の素子を流用しやすいため、コストを抑制できる。また、発光部16,17および受光部18,19を通路1aに対して同じ側(図11において左側)に設けることにより、共通の部材にすべての構成を固設することができ、一体的構造物として扱いやすくなり、位置調整等が容易になる。
【0161】
コイン検出装置2では、真性コイン8が通路1a内を進行してくると、真性コイン8が各検出光を遮る状態となる。すなわち、コイン検出装置2では、図11に示すように発光部16,17および受光部18,19を配置することにより、いわば遮断型のフォトセンサを構成している。
【0162】
また、図11から明らかなように、通路1a内を進行する真性コイン8によって先に遮蔽されるのは、受光部18に入射する検出光である。すなわち、判定部101が真性コイン8の第1位置を検出するのは、第1の実施の形態と同様に、受光部18から入力される受光パターンによってである。
【0163】
図12は、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2において、投入物が投入された場合における発光部16の発光パターンおよび受光部19の受光パターンを例示する図である。なお、図12に示す例では、投入物(コイン)は検出光をほぼ100%遮断する遮蔽物として扱っている。
【0164】
市場に流通しているコイン(特に遊戯コイン)は、光をほぼ100%遮断する材料で形成されているものが多い。しかし、貨幣の中には50円硬貨や5円硬貨のように空洞が形成されているコインも一部に存在する。このようなコインは検出光を当てる位置によっては通過中でも検出光を透過する状況もあり得るが、以下の説明では、真性コイン8が検出光を100%遮断するものとして説明する。すなわち、図12に示す時間Ctの間、受光パターンにおける光量はほぼ「ゼロ」である。
【0165】
図13は、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2によってコインを検出する方法を示す流れ図である。図13に示す処理は、遊戯装置6(コイン検出装置2)の電源が投入されることにより開始される。
【0166】
なお、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2は、先述のように、遮断型のフォトセンサを用いている。したがって、真性コイン8の表面によって反射された検出光を判定に用いることはないため、第1の実施の形態における調整処理(ステップS4)に相当する処理を行う意味がない。すなわち、コイン検出装置2の動作モードには調整モードに相当するモードは設けられていない。
【0167】
電源が投入されると、遊戯装置6およびコイン検出装置2は所定の初期設定を実行する。さらに、コイン検出装置2の切替部100がコイン検出装置1の動作モードを待機モードにセットし(ステップS41)、待機状態となる。
【0168】
待機状態において、コイン検出装置2のCPU10は、投入物が検出されるか(ステップS42)、および、電源が断たれるか(ステップS46)を監視している。
【0169】
コイン検出装置2が待機状態にあるときに、投入検出部14から出力される投入信号により投入物が検出されたことが伝達されると、CPU10はステップS42においてYesと判定し、切替部100が動作モードを検出モードに切り替える(ステップS43)。これにより、コイン検出装置2において検出処理(ステップS44)が開始される。
【0170】
図14および図15は、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2による検出処理の詳細を示す流れ図である。なお、本実施の形態における検出処理とは、コイン検出装置2が真性コイン8を検出する処理である。
【0171】
検出処理が開始されると、切替部100が信号発生回路15の駆動を開始させる(ステップS51)。これにより、信号発生回路15が検出光の発光パターンを決定しつつ、発光信号を生成し発光部16,17に向けて出力を開始する。したがって、発光部16,17による検出光の照射が開始される(ステップS52)。
【0172】
検出光の照射が開始されると、CPU10に対して受光部18,19からの入力が開始され、判定部101による受光部18,19からの受光パターンの取得が開始される(ステップS53)。
【0173】
次に、判定部101は、信号発生回路15から入力される発光パターン(発光部17による検出光の発光パターン)と、受光部18から入力される受光パターンと、パラメータデータ111とに基づいて、受光部18が受光している光が真に発光部17から照射された検出光であるか否かの判定を開始する(ステップS54)。
【0174】
また、ステップS54において、判定部101は、信号発生回路15から入力される発光パターン(発光部16による検出光の発光パターン)と、受光部19から入力される受光パターンと、パラメータデータ111とに基づいて、受光部19が受光している光が真に発光部16から照射された検出光であるか否かの判定も同時に開始する。
【0175】
なお、第2の実施の形態におけるパラメータデータ111は、第1の実施の形態におけるパラメータデータ111のように反射光の減衰率ではなく、照射された検出光が通路1a内を通過することによる減衰率に応じた値となる。
【0176】
また、ステップS54が実行された後は、受光部18から入力される受光パターンによる判定は、投入物が第1位置に到達し、ステップS56が実行されるまで継続される。また、受光部19から入力される受光パターンによる判定は、投入物が第2位置に到達し、ステップS58が実行されるまで継続される。
【0177】
ステップS54を実行すると、コイン検出装置2は、ステップS42において検出された投入物が第1位置に到達するまで待機する(ステップS55)。なお、第2の実施の形態において、投入物が第1位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部18の受光パターンの光量が「0」に変化する瞬間として検出できる。
【0178】
第2の実施の形態においても、検出期間において発光部16,17から照射される検出光の光量は「0」とはならない。従来の技術のように、検出期間において検出光がON・OFFされると、たまたま検出光の光量が「0」となったために受光パターンの光量が「0」となったのか、投入物の端部によって検出光が遮断されたために受光パターンの光量が「0」となったのかを正確に判断することは困難となる。
【0179】
しかしながら、コイン検出装置2の信号発生回路15は、検出光の発光パターンにおいて、光量を「0」とすることがないため、受光パターンの光量が「0」となるのは検出光が遮蔽物によって遮断された場合に限られ、正確に、投入物(あるいは真性コイン8)の位置を検出できる。
【0180】
投入物が通路1a内の第1位置に到達すると、判定部101は、ステップS54で開始した受光部18が受光している光が真に発光部17から照射された検出光であるか否かの判定を停止し(ステップS56)、投入物が第2位置に到達するまで待機する(ステップS57)。なお、投入物が第2位置に到達したか否かは、発光パターンの光量に対する受光部19の受光パターンの光量が瞬間的に「0」となる瞬間として検出できる。
【0181】
投入物が第2位置に到達すると、判定部101は、ステップS4で開始した受光部19が受光している光が真に発光部16から照射された検出光であるか否かの判定を停止する(ステップS58)。
【0182】
さらに、判定部101は、第1の実施の形態と同様に、式2を演算して投入物のサイズWを求め、サイズWとサイズデータ112とを比較することにより、サイズによる判定を行う(ステップS59)。すなわち、投入物がサイズデータ112に比べて小さすぎたり、大きすぎたりした場合は、投入物を不正規投入物9であると判定する。
【0183】
サイズによる判定が実行されると、コイン検出装置2は、投入物が第3位置に到達するまで待機する(ステップS61)。なお、投入物が第3位置に到達したか否かは、受光部18の受光パターンの光量が「0」から増大する瞬間として検出できる。
【0184】
投入物が第3位置に到達すると、判定部101は、受光部18が受光している光が真に発光部17から照射された検出光であるか否かの判定を再度開始し(ステップS62)、投入物が第4位置に到達するまで待機する(ステップS63)。なお、投入物が第4位置に到達したか否かは、受光部19の受光パターンの光量が「0」から増大する瞬間として検出できる。
【0185】
投入物が第4位置に到達すると、判定部101は、受光部19が受光している光が真に発光部16から照射された検出光であるか否かの判定を再度開始し(ステップS64)、時間Tが経過するまで待機する(ステップS65)。
【0186】
時間Tが経過すると、判定部101がステップS62,S64において開始した判定を停止するとともに(ステップS66)、切替部100が信号発生回路15の駆動を停止する(ステップS67)。これにより、発光部16,17による検出光の照射が停止する(ステップS68)。
【0187】
次に、判定部101は、これまでの判定結果に応じて判定データ113を作成し、記憶装置11に記憶させる。これにより、インタフェース部12が遊戯装置6の制御部60に判定データ113を伝達する(ステップS69)。
【0188】
遊戯装置6の制御部60は、コイン検出装置2からコイン未検出を示す判定データ113が伝達された場合には、コインカウンターをインクリメントすることなく、コイン選別部63により投入物を排出部に向けて導く。これにより、真性コイン8と判定されなかった投入物は遊戯装置6の外部に排出される。
【0189】
また、遊戯装置6の制御部60は、コイン検出装置2からコイン検出を示す判定データ113が伝達された場合には、コインカウンターをインクリメントするとともに、コイン選別部63により投入物を貯留部に向けて導く。これにより、真性コイン8を投入した場合には遊戯装置6による遊戯が可能となる。
【0190】
ステップS69を実行して判定データ113の伝達が完了すると、コイン検出装置2は、検出処理を終了して、図13に示す処理に戻る。
【0191】
図13に戻ってステップS44における検出処理が終了すると、切替部100が動作モードを待機モードに切り替える(ステップS45)。これにより、コイン検出装置2は、再び待機状態となる。
【0192】
また、コイン検出装置2が待機状態にあるときにおいて、操作者が入力部61を操作して、遊戯装置6の電源を断つと、CPU10はステップS46においてYesと判定し、処理を終了する。
【0193】
以上のように、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2のように、発光部16,17および受光部18,19によって、遮断型のフォトセンサを構成するようにしても、第1の実施の形態と同様の不正防止効果を得ることができる。
【0194】
また、コイン検出装置2のように、遮断型のフォトセンサを構成するように配置することにより、真性コイン8の状態に左右されることなく、検出を行うことができる。また、移動中のコインからの反射光を受光する反射型のフォトセンサを構成する場合に比べて、発光部16,17および受光部18,19の位置関係の最適化が容易である。
【0195】
<3. 第3の実施の形態>
遮断型のフォトセンサを構成する場合における発光部16,17および受光部18,19の位置関係は、第2の実施の形態に示した位置関係に限定されるものではなく、様々な変形が考えられる。
【0196】
図16は、第3の実施の形態におけるコイン検出装置3を示す図である。第3の実施の形態におけるコイン検出装置3は、反射鏡20に相当する構成を備えていないことと、発光部16,17および受光部18,19の位置関係が異なることを除いて、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2と同様である。したがって、本実施の形態におけるコイン検出装置3については、第2の実施の形態におけるコイン検出装置2と異なる点について説明し、同様の点については適宜説明を省略する。
【0197】
図16に示すように、コイン検出装置3では、発光部16と受光部18とが互いに対向し、発光部17と受光部19とが互いに対向する位置関係となっている。なお、コイン検出装置3における処理は第2の実施の形態におけるコイン検出装置2と同様であるため説明を省略する。
【0198】
以上のように、第3の実施の形態におけるコイン検出装置3であっても、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0199】
<4. 第4の実施の形態>
上記実施の形態では、信号発生回路15は、検出光(検出期間に照射される光)の光量が「0」とはならないように発光パターンを決定していた。しかし、検出光の光量の値が互いに異なる3値のうちのいずれかの値となるのであれば、そのうちの1つの値に「0」を用いても、光量に「0」「1(最大値)」以外の中間値が存在するため充分に不正を抑制できる。
【0200】
図17は、第4の実施の形態における信号発生回路15によって決定された発光部16,17の発光パターンを例示する図である。なお、第4の実施の形態におけるコイン検出装置1は、信号発生回路15が生成する発光パターンにおいて、光量(光強度)が「0」となる場合がある(互いに異なる3値以上の値のうちの1つが「0」である)ことを除いて、第1の実施の形態と同様であるため、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1と同様の構成および機能については適宜説明を省略する。
【0201】
第4の実施の形態における信号発生回路15は、発光信号の周波数変調を行うことにより、発光部16,17をランダムなタイミングでON・OFFする。ただし、検出光がONされたときの検出光の光量は、図17に示すように様々である。図17に示す例では、点灯時の光量として5種類の値が登場している。
【0202】
このように、第4の実施の形態における信号発生回路15は、発光部16,17を点灯させるときの光量をランダムに変調して発光パターンを決定する。ただし、点灯時の光量としては5値に限定されるものではなく、2値以上であればよい。
【0203】
これにより、第4の実施の形態における発光パターンで発光部16,17が発光すると、少なくとも点灯後の光量は必ず「0」となるため、検出光を模倣して不正行為を企図する者にとっては、第1の実施の形態における発光パターンに比べて多少は予測しやすくなる。しかしながら、消灯後の光量は少なくとも残りの2値のうちからランダムに決定されるため、不正治具がこれを測定して検出する機能を備えていなければ発光パターンを模倣できないことに変わりはない。したがって、第1の実施の形態におけるコイン検出装置1に比べれば若干劣るとしても、従来の技術に比べれば、不正を防御する効果は充分に高いといえる。
【0204】
一般的な光電素子から構成される受光部18,19は、入射光の光量変化に対して、わずかながら遅れて出力値が変化するという性質がある。そこで、図17に示すように、パルス状の発光パターンで検出光を照射し、パルス状の光が受光部18,19に入射するように構成すると、受光部18,19からもパルス状の出力が得られることになる。しかし、受光部18,19から出力されるパルスは、先述のように、発光パターンにおけるパルスから少し遅れたものとなる。
【0205】
そして、この遅れ(立ち上がり時または下がり時の遅れ)は、入射光の光量が大きいほど短時間であるという性質がある。したがって、受光部18,19の閾値を比較的低く設定するとともに、発光パターンのパルスに対する受光パターンのパルスの遅れを計測すれば、入射光の光量を再現できる。すなわち、受光部18,19から出力される受光パターンがデジタル的出力であり、受光パターンが「0」または「1」であったとしても、発光パターンに対する「1」の遅れを測定すれば、当該「1」のときの入射光の光量がわかる。
【0206】
第4の実施の形態におけるコイン検出装置1においても、点灯時の光量を出力するために、受光部18,19はアナログ的出力が可能となるように構成する。しかしながら、図17に示す発光パターンで発光部16,17を発光させることにより、従来のデジタル的出力であっても、中間値が存在する発光パターンと「0」と「1」とで表現された受光パターンとの比較は可能である。すなわち、受光部18,19は、デジタル的出力を採用することができる。
【0207】
<5. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0208】
例えば、上記実施の形態に示した各工程は、あくまでも例示であって、上記に示した順序および内容(処理)に限定されるものではなく、同様の効果が得られるのであれば、各工程の順序や内容が適宜変更されてもよい。
【0209】
また、上記実施の形態において示した機能ブロック(切替部100および判定部101)はプログラム110によりソフトウェアで実現されると説明した。しかし、これらの機能ブロックの機能の一部または全部を専用の論理回路(ハードウェア)により実現するように構成してもよい。例えば、判定部101における発光パターンと受光パターンとを比較する機能を比較回路で実現してもよい。
【0210】
また、上記実施の形態において示したハードウェアの一部をソフトウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0211】
1,2,3 コイン検出装置
10 CPU
100 切替部
101 判定部
11 記憶装置
110 プログラム
111 パラメータデータ
112 サイズデータ
113 判定データ
13 タイマ
14 投入検出部
15 信号発生回路
16,17 発光部
18,19 受光部
20 反射鏡
6 遊戯装置
8 真性コイン
80 純真性コイン
81 仮真性コイン
9 不正規投入物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出光を照射することによりコインを検出するコイン検出装置であって、
互いに異なる3値以上の値のいずれかに前記検出光の光量がランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンを決定する発光パターン決定手段と、
前記発光パターン決定手段により決定された発光パターンで検出光を照射する少なくとも1つの発光手段と、
入射する光に応じた受光パターンを出力する少なくとも1つの受光手段と、
前記発光パターン決定手段により決定された発光パターンと、前記受光手段により出力された受光パターンとに基づいて、前記受光手段に入射する光が前記発光手段により照射された検出光であるか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコイン検出装置であって、
前記互いに異なる3値以上の値は、いずれもゼロ以外の値であることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコイン検出装置であって、
投入された物を検出する投入検出手段と、
前記発光手段を点灯状態と消灯状態との間で切り替える切替手段と、
をさらに備え、
前記切替手段は、前記投入検出手段により投入された物が検出されていないときには、前記発光手段を消灯状態にすることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のコイン検出装置であって、
前記発光手段と前記受光手段とが反射型のフォトセンサを構成していることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載のコイン検出装置であって、
前記発光パターン決定手段により決定される発光パターンと、前記発光パターンで検出光を照射した場合に前記受光手段により出力される受光パターンとの間の変換パラメータを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記記憶手段に記憶されている変換パラメータに基づいて、判定することを特徴とするコイン検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載のコイン検出装置であって、
検出対象のコインを投入しつつ前記発光手段により検出光を照射して前記受光手段により出力される受光パターンを取得し、取得した前記受光パターンと前記検出光の発光パターンとに基づいて変換パラメータを求めて前記記憶手段に記憶させることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれかに記載のコイン検出装置であって、
前記発光手段と前記受光手段とが透過型のフォトセンサを構成していることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のコイン検出装置であって、
前記発光パターン決定手段は、検出光の光量の変化するタイミングがランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンの周波数をランダムに変更することを特徴とするコイン検出装置。
【請求項9】
検出光を照射することによりコインを検出するコイン検出方法であって、
(a) 互いに異なる3値以上の値のいずれかに前記検出光の光量がランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンを決定する工程と、
(b) 前記(a)工程において決定された発光パターンで発光手段により検出光を照射する工程と、
(c) 入射する光に応じた受光パターンを出力する受光手段により前記発光手段から照射される検出光を受光する工程と、
(d) 前記(a)工程において決定された発光パターンと、前記受光手段から出力される受光パターンとに基づいて、前記受光手段に入射する光が前記発光手段により照射された検出光であるか否かを判定する工程と、
を有することを特徴とするコイン検出方法。
【請求項1】
検出光を照射することによりコインを検出するコイン検出装置であって、
互いに異なる3値以上の値のいずれかに前記検出光の光量がランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンを決定する発光パターン決定手段と、
前記発光パターン決定手段により決定された発光パターンで検出光を照射する少なくとも1つの発光手段と、
入射する光に応じた受光パターンを出力する少なくとも1つの受光手段と、
前記発光パターン決定手段により決定された発光パターンと、前記受光手段により出力された受光パターンとに基づいて、前記受光手段に入射する光が前記発光手段により照射された検出光であるか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコイン検出装置であって、
前記互いに異なる3値以上の値は、いずれもゼロ以外の値であることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコイン検出装置であって、
投入された物を検出する投入検出手段と、
前記発光手段を点灯状態と消灯状態との間で切り替える切替手段と、
をさらに備え、
前記切替手段は、前記投入検出手段により投入された物が検出されていないときには、前記発光手段を消灯状態にすることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のコイン検出装置であって、
前記発光手段と前記受光手段とが反射型のフォトセンサを構成していることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載のコイン検出装置であって、
前記発光パターン決定手段により決定される発光パターンと、前記発光パターンで検出光を照射した場合に前記受光手段により出力される受光パターンとの間の変換パラメータを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記記憶手段に記憶されている変換パラメータに基づいて、判定することを特徴とするコイン検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載のコイン検出装置であって、
検出対象のコインを投入しつつ前記発光手段により検出光を照射して前記受光手段により出力される受光パターンを取得し、取得した前記受光パターンと前記検出光の発光パターンとに基づいて変換パラメータを求めて前記記憶手段に記憶させることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれかに記載のコイン検出装置であって、
前記発光手段と前記受光手段とが透過型のフォトセンサを構成していることを特徴とするコイン検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のコイン検出装置であって、
前記発光パターン決定手段は、検出光の光量の変化するタイミングがランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンの周波数をランダムに変更することを特徴とするコイン検出装置。
【請求項9】
検出光を照射することによりコインを検出するコイン検出方法であって、
(a) 互いに異なる3値以上の値のいずれかに前記検出光の光量がランダムに変化するように、前記検出光の発光パターンを決定する工程と、
(b) 前記(a)工程において決定された発光パターンで発光手段により検出光を照射する工程と、
(c) 入射する光に応じた受光パターンを出力する受光手段により前記発光手段から照射される検出光を受光する工程と、
(d) 前記(a)工程において決定された発光パターンと、前記受光手段から出力される受光パターンとに基づいて、前記受光手段に入射する光が前記発光手段により照射された検出光であるか否かを判定する工程と、
を有することを特徴とするコイン検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−100312(P2011−100312A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254653(P2009−254653)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】
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