説明

コエンザイムQ−10と抗酸化剤とを含む組成物

【課題】抗酸化活性を取り入れ且つ維持し得る形状の還元CoQ−10を提供する方法及び組成物の提供。
【解決手段】コエンザイムQ−10(CoQ10)の還元型若しくはCoQ10またはこの両方と、アントシアニン抽出物、メラニンまたは少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物である抗酸化剤との組成物の提供。また、当該組成物は低レベルのCoQ−10に関連する種々の症状を、その治療が必要な個体に投与することによって処置するに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願とのクロスリファレンス
本出願は、本明細書中、そのいずれもが全ての目的に関してその全体を参照として含まれる、米国仮特許出願番号第61/083,994号、2008年7月28日出願(代理人整理番号OMCA−028/PROV)に米国特許法119(e)のもと恩典を請求する、2009年7月28日出願(代理人整理番号OMCA−028/US)の“Sesame Seed Derived Pigments”なる題名の米国特許出願シリアル番号第12/510,395の優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、一般的にコエンザイムQ−10(CoQ10)の還元型と、アントシアニン抽出物、メラニンまたは少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物である抗酸化剤との特徴的な組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
CoQ−10(コエンザイムQ10)は、脂溶性キノン、ビタミンKに構造的に似たベンゾキノンであり、通常、ユビキノンとして公知である。CoQ−10は殆どの有機体に見いだされ、細胞エネルギーの産生に必須である。CoQ−10(2,3ジメチル−5メチル−6−デカプレニルベンゾキノン)は、肉及び魚介類に少量見いだされる内生抗酸化剤である。CoQ−10は全てのヒト細胞でみられるが、CoQ−10の最高濃度は心臓、肝臓、腎臓及び膵臓で見られる。通常、これは多くの哺乳類種の臓器にみられる。
【0003】
CoQ−10はミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官の膜内にあるので、重要な栄養素である。好気性(酸素)代謝プロセスを経て栄養素の分解に由来するプロトンを往復運転で運ぶことによって、細胞エネルギー、即ちATPを産生する能力のため、ミトコンドリアは細胞の「発電所」としても公知である。CoQ−10は抗酸化剤としての二次的な役割ももつ。ATP合成に関与しているため、CoQ−10は体内の殆ど全ての細胞の機能に影響を及ぼすので、全てのヒト組織及び臓器の健康に必須となっている。特にCoQ−10は、最も代謝的に活性である細胞:心臓、免疫系、歯肉及び胃粘膜に影響を与える。
【0004】
CoQ−10は、水などの殆どの親水性溶媒には少ししか溶解しない。従って、CoQ−10は錠剤中、または懸濁液としてなど、粉末形で投与されることが多い。しかしながら、これらの方法によるCoQ−10の送達では、個体に対する材料の生物学的利用性を制限する。
【0005】
幾つかの臨床試験から、CoQ−10は、血圧及びコレステロールレベルを維持するのに有効であることが知見された。さらにCoQ−10は、心臓血管の健康を促進することも知見された。CoQ−10は、特定の種類の癌などの種々の疾患を阻止するのに必須成分として指摘された。これらの事実は、CoQ−10を補うことが個人の福利に極めて重要であると多くの者に信じ込ませている。
【0006】
還元ベンゾキノン類は、酸素または脂質ラジカルの有効な還元剤であることは公知である。研究によっては、還元(reduced)CoQ−10(ユビキノール)は有効な抗酸化剤であることが示されている。実際、還元CoQ−10は、抗酸化活性の複雑な連鎖の一部として機能しているようにみえる。明らかに還元CoQ−10は、これらの抗酸化剤が生理学的システムに存在する酸素またはカルボニルラジカルにより酸化される時に形成されるアルファ−トコフェロール及びアスコルビン酸塩のラジカルの還元に重要な役割を果たしている。トコフェリルラジカルまたは外部アスコルビン酸塩ラジカルの直接的還元のための公知の酵素はないが、CoQ−10を還元し得、このようにして還元されたCoQ−10が続いてトコフェリルまたはアスコルビン酸塩ラジカルを還元してトコフェロールまたはアスコルビン酸塩を提供し得る酵素が全ての膜にある。脂質または酸素ラジカルとの相互作用により形成したセミキノンは直ちに自動酸化されて、超酸化物(superoxide)ラジカルを形成するため、CoQ−10を還元するための酵素の助けなくしては、還元CoQ−10は、非常に有用な抗酸化剤ではないだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、抗酸化活性を取り入れ且つ維持し得る形状の還元CoQ−10を提供する方法及び組成物に対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、意外にも、コエンザイムQ−10(CoQ−10)及び/または還元CoQ−10と、アントシアニン抽出物、メラニン、少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物またはその混合物である抗酸化剤との組成物を提供する。
【0009】
本発明の組成物はさらに、種々のキャリヤ及び、追加の好適な抗酸化剤及び/またはビタミン類などの添加剤を含むことができる。
【0010】
本発明はさらに、ミトコンドリア関連疾患及び疾病、パーキンソン病、プレーター−ウィリー(Prater−Willey)症候群、片頭痛または頭痛などの低レベルのCoQ−10に関連する種々の症状を、その治療が必要な個体に本明細書中に開示の組成物のいずれかの有効量を投与することによって処置するための方法を提供する。
さらに別の側面では、本発明は本明細書中に開示される包装済み栄養補助食品も提供する。
【0011】
複数の態様について開示しているが、以下の詳細な記載から当業者には本発明のさらに他の態様も明らかになるだろう。理解されるように、本発明は、全て本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、種々の明らかな側面で変形が可能である。従って、詳細な記載は、事実上説明的であって、限定的とみなすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1の還元CoQ−10を示す。
【図2】図2は、実施例2の還元CoQ−10対酸化型のCoQ−10の割合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
明細書及び特許請求の範囲において、「〜を包含する(including)」及び「〜を含む(comprising)」なる用語は無制限の用語であり、「〜を含むが、これらに限定されない」を意味するものと解釈すべきである。これらの用語は、「〜から本質的になる(consisting essentially of)」及び「〜からなる(consisting of)」のより制限的な用語を包含する。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「a」、「an」及び「the」なる単数形は、状況が明確に別なものを示さない限り、複数形を包含することに留意しなければならない。同様に、「a」(または「an」)、「一つ以上の」及び「少なくとも一つの」なる用語は、本明細書中、交換可能に使用することができる。「〜を含む」、「〜を包含する」、「〜を特徴とする」及び「〜をもつ」なる用語は、交換可能に使用できることも留意すべきである。
【0015】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する業界の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味をもつ。本明細書中に特記される全ての刊行物及び特許は、本発明との関連で使用されるかもしれない刊行物に報告されている化学物質、器具、統計分析及び方法論を記載且つ開示しているものなど全ての目的に関してその全体を参照として含む。本明細書中で引用した全ての参照文献は、当業者のレベルを示すものとしてみなされるべきである。本発明が先行発明を理由として前記開示に先行しないと解釈されるべきではない。
【0016】
本明細書中で使用するように、「患者(subject)」とは哺乳類及び非哺乳類を意味する。「哺乳類」とは、ヒト、非ヒト霊長類動物、たとえばチンパンジー及び他の類人猿及び猿種;家畜、たとえば牛、馬、羊、山羊及びブタ;家畜、たとえばウサギ、イヌ及び猫;齧歯類などの研究動物、たとえばラット、マウス及びモルモットなどの哺乳類種の任意の構成員を意味するが、これらに限定されない。非哺乳類の例としては、鳥などが挙げられるが、これらに限定されない。「患者」なる用語は、特定の年齢及び性別を意味しない。
【0017】
本明細書中で使用するように、「〜を投与する」または「投与」は、体内、好ましくは体循環に本発明の組成物を導入するための任意の手段を包含する。経口、頬、舌下、肺、経皮、経粘膜的、並びに皮下、腹腔内、静脈内及び筋肉内注射が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
「キャリヤ」なる用語は、本発明の組成物を投与するために使用し得る任意の材料、液体または個体を包含するものとする。これは、エマルション、懸濁液、液体及び食品を挙げることができ、本明細書中に記載される。
本発明の組成物は、薬理的に許容可能な方法により治療的有効量で投与することができる。
【0019】
「治療的有効量」なる用語は、疾病を処置するために患者に投与する際に、かかる疾病の処置をもたらすのに十分な化合物の量を意味するものとする。「治療的有効量」は、化合物、処置する疾病の状態、重篤度または処置される疾病、患者の年齢及び相対的な健康状態、投与経路及び形態、担当の医師または獣医師の判断、並びに他の因子に依存して変動する。
【0020】
本発明の目的に関して、「〜を処置する(treating)」または「処置」は、疾病、症状または疾患と闘う目的に関して患者の管理及びケアについて記載する。この用語は、予防的(preventative)、即ち予防(prophylactic)及び緩和処置のいずれをも包含する。処置は、徴候若しくは合併症の始まりの予防、徴候若しくは合併症の緩和、または疾病、症状若しくは疾患を除去するための本発明の化合物の投与を包含する。
【0021】
化合物は治療的有効量で患者に投与する。化合物は、単独でまたは薬理的に許容可能な組成物の一部として投与することができる。さらに化合物または組成物は、たとえばボーラス注入により全てを一度に、たとえば一連の錠剤によって複数回で、またはたとえば経皮的な送達を使用することによってある期間にわたって実質的に均一に送達することができる。さらに化合物の用量(dose)は経時で変動することができる。化合物は、即効型製剤、徐放性製剤またはその組み合わせを使用して投与することができる。「徐放性(controlled release)」なる用語は、持続放出、遅延放出及びその組み合わせを包含する。
【0022】
「薬理学的に許容可能な」なる用語は、連邦政府若しくは州政府の監督官庁により承認されるか、または動物、特にヒトに使用するために米国薬局方若しくは他の一般的に承認された薬局方に列記されたものを意味する。
【0023】
「キャリヤ」なる用語は、その療法が行われる希釈剤、補助剤、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような薬理学的キャリヤとしては、滅菌の液体、たとえば水及びオイル、たとえば石油、動物、植物若しくは合成起源のもの、たとえばピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ごま油など、ポリエチレングリコール類、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒であることができる。好適な薬理学的賦形剤としては、でんぷん、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。所望により組成物は、少量の湿潤剤若しくは乳化剤、またはpH緩衝剤、たとえば酢酸塩、クエン酸塩若しくはリン酸塩などを含むこともできる。抗菌剤、たとえばベンジルアルコールまたはメチルパラベン類;抗酸化剤、たとえばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート化剤、たとえばエチレンジアミン四酢酸;及び張性を調節するための薬剤、たとえば塩化ナトリウムまたはデキストロースも考えられる。本製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジまたは複数回投与用バイアルに封入することができる。
【0024】
これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放性製剤などの形状をとることができる。本組成物は、トリグリセリド、微結晶質セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンなどの従来のバインダー及びキャリヤと共に、座薬として配合することができる。経口製剤は、薬理学等級のマンニトール、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準のキャリヤを含むことができる。好適な薬理学的キャリヤの例は、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”、E.W.Martinに記載されている。そのような組成物は、患者に適切な投与形を提供するために、好適量のキャリヤと一緒に、好ましくは純粋形で治療的有効量の治療薬を含むだろう。製剤は、投与形態に合っていなければならない。
【0025】
特定の疾患または症状の処置で有効であろう本発明の組成物の量は、疾患または症状の性質に依存し、標準の臨床技術により決定することができる。製剤で使用すべき詳細な用量は、投与経路、及び疾病または疾患の重篤度にも依存し、医師の判断及び患者の環境に従って決定すべきである。有効な用量は、in−vitroまたは動物モデル試験バイオアッセイまたはシステムから誘導した用量−応答曲線から外挿法により推定することができる。
【0026】
上記列挙の用量の投与は繰り返すことができる。一態様において、上記列挙の用量は、1週間に1〜7回投与することができる。処置期間は、患者の臨床的向上及び治療に対する反応性に依存する。
【0027】
本発明は、本発明の医薬組成物の一種以上の成分を充填した一種以上の容器を含む医薬パックまたはキットも提供する。場合によりそのような(単数または複数種類の)容器には、医薬品または生物学的製品の製造、使用若しくは販売を管理している政府機関により規定された形式の告示を付けることができ、この告示はヒトへの投与に関し製造、使用若しくは販売の政府機関による承認を示す。
【0028】
「食品(food)」または「食品生産物(food product)」は患者により消費され得る任意の固体または液体の食用の物質を指す。そのような食品生産物としては、焼いてある食品、スナック食品(キャンディ、ガム、チョコレートバー(candy bar)など)、乳製品(アイスクリーム、ヨーグルト)及び飲料(ソーダ、ミルク、コーヒー、紅茶など)並びに飲料ミックス(beverage mix)が挙げられる。
【0029】
本発明は意外にも、アントシアニン、メラニン、少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物またはその混合物である抗酸化剤とのコエンザイムQ−10(CoQ−10)及び/または還元CoQ−10の溶液を提供する。本発明の組成物は、上記の任意の方法で送達することができる。
【0030】
一態様では、抗酸化剤は、CoQ−10または還元CoQ−10の安定化剤としてのアントシアニン抽出物などのアントシアニンである。
【0031】
一側面において、本発明は、アントシアニン抽出物と少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ安定化化合物(stabilizing compound)とを含む安定化(stabilized)アントシアニン抽出組成物を提供する。安定化化合物の好適な例としては、(還元)グルタチオン、ジヒドロリポ酸、システイン、酵母抽出物及びその混合物が挙げられる。
【0032】
本明細書中で使用する「アントシアニン」なる用語は、グリコシル化アントシアニン(アントシアノシド:anthocyanoside)並びにアントシアノシドのアグリコン(アントシアニジン:anthocyanidin)のいずれをも包含することを目的とする。本明細書を通して、アグリコンアントシニジンを指すことも多いが、他に記載しない限り、限定するものと決して理解すべきでない。いずれの用語も使用する場合には、他に記載しない限り、用語は交換可能に使用され、グリコシル化材料並びにアグリコン材料を包含することを目的とする。
アントシアニジン類、アントシアニンのアグリコン成分は、式IIに示される基本構造をもつ。
【0033】
【化1】

【0034】
【表1】

式中、R〜Rはアントシアニジンの代表例を提供する。
【0035】
アントシアニンのグリコシル化形は、アントシアニジン類よりもより水溶性が高く、且つ安定である。アントシアノシド類は、これらが含有するグリコシル単位の数により分類される。モノグリコシド類は一個の糖部分を有し、これは主にアグリコンの3−ヒドロキシル基に結合する。ジグリコシド類は通常、3及び5ヒドロキシル位置、場所により、3及び7ヒドロキシル位置に二つの単糖類を有する。トリグリコシド類は、通常、3位置に二単位とC−5かC−7位置に一単位の結合をもつ。3’、4’及び/または5’位置におけるグリコシル化も可能である。
【0036】
アントシアニン類の最も一般的な糖としては、単糖類グルコース、ラムノース、ガラクトース、アラビノース及びキシロースが挙げられる。アントシアニン類に最も頻繁に知見される二糖類及び三糖類は、ルチノース、ソホロース、サンブビオース及びグルコルチノースである。
【0037】
アントシアニン類は、一つ以上のヒドロキシルによりカルボン酸でアシル化することができる。酸は単糖類の6位置に通常結合するが、単糖類の2、3及び4位置も可能である。一般的な脂肪酸としては、マロン酸、酢酸、リンゴ酸、コハク酸及びシュウ酸が挙げられる。一般的な芳香族フェノール酸及び脂肪族ジカルボン酸としては、クマリン酸(coumaric)、コーヒー酸、シナピン酸、フェルラ酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸及び没食子酸が挙げられる。
【0038】
「抽出物」なる用語は、たとえば記載の好適な植物源から日常的な単離法により植物源、たとえば葉、小枝、木の皮、根、茎、種、花、ベリー(berry)、果実から得られるアントシアニン材料を意味することを目的とするが、本明細書中に記載のものに限定されない。当業者に公知のアントシアニン類の種々の抽出法がある。これらの方法の幾つかについては、たとえば米国特許第5,817,354号;同第5,200,186号;同第5,912,363号;同第4,211,577号;同第4,302,200号(本明細書中、それぞれ参照として含まれる)に記載されている。
【0039】
好適なアントシアニン含有植物の例としては、ヒロハカエデ(Acer macrophyllum)、ノルウェーカエデ(Acer platanoides)、アセロラ、アジュガ・レプタンス(Ajuga reptans)、リンゴ、アプリコット、チシマキクイチゴ(Artict bramble)、アボカド、バナナ、メギ(barberry)、大麦、ベゴニア・セムペリフィオレンス(Begonia semperfiorens)、ヒナギク(Bellis perennis)、シラン(Bletilla striata)、コケモモ、黒豆(black beans)、クロダイズ(black soybeans)、ブラックポテト、ブルーポテト及び紫ポテト、クロイチゴ(blackberry)、ブルーベリー、クロマメノキ(bog whortleberry)、ボイセンベリー(boysenberry)、ソバ、カカオ、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、カナリアサード(canarygrass)、コーケイジャン・ブルーベリー(Caucasian blueberry)、ロウバイ(Chimonanthus praecox)、セロリ、セイヨウシザクラ(Cerasus avium)、サクランボ、セイヨウバクチノキ(cherry laurel)、チコリ、チャイブ、サイフリボク、セイヨウサンシュ(Cornelian cherry)、ヤグルマギク、シャリントウ、カウベリー、クランベリー、ガンコウラン、キク、オシャグジダケ(Cynomorium coccineum)、ダリア(Dahlia variabilis)、セイヨウニワトコ(danewort)、ディアベリー、デンドロビウム、ゴゼンタチバナ(dwarf dogwood)、ムラサキバレンギク(Echinacea purpea)、ナス、ニワトコ、ソラマメ、ヤツデ(Fatsia japonica)、フェイジョア、イチジク、ニンニク、ガーベラ、薬用ニンジン、アーティチョーク(Globe artichoke)、グズベリー、ブドウ、グァバ、サンザシ、ハイビスカスまたはローゼル(roselle)、ハイビスカス・サブダイファ(Hibiscus Sabdaiffa)、ハイブッシュ・ブルーベリー(highbush blueberry)、タチアオイ、スイカズラ、マルバアサガオ(Ipomoea purpurea)、ノハナショウブ(Iris ensata)、ムラサキフトモモ(Java plum)、キクイモ(Jerusalem artichoke)、インドマンゴスチン、レリオカトレヤ(Laeliocattleya)、レンズ豆、ローガンベリー、ルピナス、レイシ、トウモロコシ、マンゴー、マンゴスチン、マキ(maqui)、ストック(Matthiola incana)、ヒマラヤの青いケシ(meconopsis)、メトロシデロス・エクスケルサ(Metrosideros excelsa)、雑穀、ナナカマド(mountain ash berry)、クワノキ、ギンバイカ(myrtle berry)、オリーブ、タマネギ、オレンジ、オーナメンタル・チェリー(ornamental cherry)、パッションフルーツ、エンドウ、もも、ピーナッツ、ナシ、シソ(perilla)、ペチュニア、胡蝶蘭(Phalaenopsis)、ファルサ(Phalsa)、ファルビティス(Pharbitis)、パイナップル、ピスタチオ、プラム、ザクロ、ヨシ(Phragmites australis)、紫ニンジン、メルメロ、コケモモ(rabbiteye blueberry)、ハツカダイコン、アカスグリ及びクロスグリ、レッドラズベリー及びブラックラズベリー、レッドキャベツ、コメ、ルバーブ、ローズヒップ、ライ麦、サフラン、サラセニア、シープベリー、ソフロニチス・コクシネア(Sophronitis coccinea)、モロコシ、スパークルベリー(sparkleberry)、イチゴ、フラガダ・ベスカ(Fragada Vesca)、サトウキビ、ヒマワリ、セイヨウシザクラ(sweet cherry)、サツマイモ、コダチトマト、タマリンド、タロイモ、タルトチェリー(tart cherry)、チューリップ・グレイギー(Tulip greigii)、カブ、睡蓮、タニウツギ(Weigela)、小麦、野生米、バーベナ・ヒブリダ(Verbena hybrida)、ヤムイモ並びにその混合物からなる群から選択される果実、野菜、花及び他の植物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
文献的には数千ものアントシアニン抽出物があるが、その全ては本明細書の範囲内に含まれるものと理解すべきであり、特に重要なアントシアニン抽出物の好適例としては、コケモモ抽出物、クロフサスグリ抽出物、クランベリー抽出物、クロダイス抽出物、カウベリー抽出物、ブルーベリー抽出物及びその二種以上の混合物が挙げられる。
【0041】
通常、抽出物は種々の方法により濃縮して、アントシアニンが豊富な溶液を得る。たとえば、限外濾過を使用して、分画分子量により不都合な成分を除去することができる。濾過由来の保持物(retentate)は液体として貯蔵することができるか、またはたとえば噴霧乾燥、凍結乾燥、気流乾燥(flash drying)、流動床乾燥、リング乾燥(ring drying)、トレー乾燥(tray drying)、真空乾燥、高周波乾燥(radio frequency drying)またはマイクロ波乾燥によりさらに粉末にして濃縮することができる。最後には、抽出物は少なくとも10重量%のアントシアニン含有量を含むべきである。市販のアントシアニンは、たとえばArtemis International(Fort Wayne、インディアナ州)などの供給先から得ることができる。市販品として得られるアントシアニン抽出物は、少なくとも10重量%のアントシアニン含有量を含むべきである。従って、抽出物は(単数または複数種類の)アントシアニンと、他のフラビノイド(flavinoid)、糖などの他の植物材料を含む。
【0042】
アントシアニン抽出物はさらに、当業界で公知の一つ以上の方法、たとえばクロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、結晶化、アフィニティークロマトグラフィー、分配クロマトグラフィーなどにより精製することができる。特定の(単数または複数種類の)アントシアニンの同定は、当業者に公知の方法により実施することができ、その例としては、H NMR、化学分解、クロマトグラフィー及び分光法、特に単離したアントシアニン化合物をキャラクタリゼーションするための同種核または異種核二次元NMR法が挙げられる。
【0043】
「精製した」または「単離した」なる用語は、上記のアントシアニン抽出物から一種以上のアントシアニンを精製及び/または単離するために参照として使用される。当業界で公知の慣用法を使用して、アントシアニン抽出物の種々の成分を精製材料に分離することができる。本発明の一側面において、抽出物の(単数または複数種類の)アントシアニンは当業界で公知の方法により実質的に精製且つ単離される。精製化合物の純度は通常少なくとも約90重量%であり、好ましくは少なくとも約95重量%であり、最も好ましくは少なくとも約99重量%であり、より好ましくは少なくとも約99.9重量%(たとえば約100重量%)である。
【0044】
本発明に従って、アントシアニン抽出物は、ペオニジン、シアニジン、ペラルゴニジン、デルフィンルジン(delphinldin)、ペチュニジン、マルビジン、アピゲニンジン(apigenindin)、アウラチニジン(auratinidin)、カペンシニジン、エウロピニジン、ヒルスチジン、6−ヒドロキシシアニジン、ルテオリニジン、5−メチルシアニジン、プルケリジン(pulchellidin)、ロシニジン(rosinidin)、トリセトニジン(tricetnidin)、その誘導体及び混合物からなる群から選択される一種以上のアントシアニン及び/またはアントシアニジンを含む。一態様において、アントシアニン及びアントシアニジンは、シアニジン、ペオニジン、マルビジン、ペチュニジン、デルフィニジン(delphinidin)、そのグルコシド誘導体及び混合物からなる群から選択される。さらに別の態様では、抽出物は少なくとも一種のシアニジンベースのアントシアニンを含む。
【0045】
本明細書中で使用される「アントシアニン」なる用語は、単量体のアントシアニンを指すだけでなく、アントシアニンの二量体及び重合体の(即ち3〜20個のアントシアニンモノマー残基を含む)形並びに、ロイコアントシアニジン類(フラバン−3,4−ジオール類としても公知)を指す。アントシアニンは、置換基(たとえばアルキル、アルコキシ基など)を含むことができ、特に上記のように、O−グリコシル化することができる。
【0046】
本組成物中のアントシアニンは、単一のアントシアニンであり得るか、またはアントシアニンの混合物を含むことができる。特にアントシアニンは、マルビジン、シアニジン、デルフィニジン、パエオニジン(paeonidin)、ペラルゴニジン及びペチュニジン並びにそのグリコシドからなる群から選択される。典型例はマルビン(malvin)(マルビジンジグリコシド)クロリドであり、これは精製形で市販されている。あるいは、アントシアニンは、上記のようなブドウ、ブラックキャロット、赤キャベツ、ブラックベリー、ブラックカレント(blackcurrent)、クランベリーなどのアントシアニン含有植物を抽出することによって得ることができる。
【0047】
一側面において、安定化(stabilized)化合物対アントシアニン抽出物の比は、約0.1〜約10、特に約0.5〜約5であり、特に約1〜約1である。
さらに別の側面において、安定化アントシアニン抽出物はアントシアノシドである。
さらに別の側面において、安定化アントシアニン抽出物はアントシアニジンである。
【0048】
本発明の他の側面において、安定化アントシアニン抽出物は、ペラルゴニジン、ペオニジン、シアニジン、マルビジン、ペチュニジン、デルフィニジンのグリコシドである一種以上のアントシアノシドを包含する。
【0049】
一態様において、メラニンは抗酸化剤として使用することができる。メラニンは、植物、動物及び原生生物に見られる種類の化合物であり、主に色素として機能する。色素の種類は、アミノ酸のチロシンの誘導体である。生物学的メラニンの最も一般的な形は、ユーメラニンであり、これは、ジヒドロキシインドール、ジヒドロキシインドールカルボン酸及びその還元型の茶−黒ポリマーである。メラニンのもう一つの一般的な形はフェオメラニン(pheomelanin)であり、これはベンゾチアジン単位の赤−茶ポリマーである。他の一般的なメラニンとしては、セピアメラニン(sepiamelanin)類、ニューロメラニン(neuromelanin)類及びアロメラニン(allomelanin)類が挙げられる。
【0050】
別の側面では、ごま抽出物(メラニン)を抗酸化剤として使用することができ、これは水溶液中、0.04mg/ml未満の濃度で500nmで約0.1〜約0.16の吸光度のUV−VISスペクトルをもつことを特徴とする。
【0051】
ごま抽出物は、約264〜約5400ダルトン、特に約264〜約2000ダルトン、さらに特に約400〜約1600ダルトン、特に約264〜約1600ダルトン、さらに約532〜約1064ダルトンの範囲の分子量をもち、全ての範囲は約264〜約5400ダルトンである。
【0052】
ごま抽出物、還元メラニン色素は、還元メラニンの元素組成によって特徴つけることができる。還元メラニンの炭素含有量は約35重量%〜約57重量%であり、還元メラニンの水素含有量は約5重量%〜約10重量%であり、窒素含有量は約5〜約10重量%である。存在する場合には、還元メラニンの酸素含有量は約33重量%〜約37重量%である。
一側面において、(存在する場合には)還元メラニンの窒素含有量は約5重量%〜約10重量%である。
別の側面では、(存在する場合には)還元メラニンの硫黄含有量は約1重量%未満である。
【0053】
本発明で有用な黒ごま種子は、植物Sesamum indicum由来の種子である。一般に、還元メラニン色素は、メラニンを含有する特にごま種子由来の種子殻(seed shell)または外皮(hull)から誘導される。あるいは、ごま植物の小枝、皮、枝、葉及び/または根を、メラニンを得るための出発物質に使用することができる。黒ごま種子の種子殻または外皮は、還元メラニンを提供するのに使用される所望のメラニンに最も富んでいる。
【0054】
一側面において、還元メラニンは、3400cm−1(フェノール−OH伸縮)、約2950cm−1(脂肪族伸縮)、約1600〜約1650cm−1(芳香族C=C伸縮)、約1380〜約1400cm−1(フェノールC−OH、インドール及びフェノールNH伸縮)、約1260cm−1(フェノールCOH)及び約1170cm−1(C=O伸縮)に特有の吸収を示す赤外線スペクトルを有する。
【0055】
ごま抽出物は以下のようにして製造することができる。本方法は、高温で塩基水溶液(aqueous base)と粉末化ごま種子とを混合し、続いて得られた混合物を室温に冷却することを包含する。得られた混合物を濾過し、水で濯いで濾液を得る。この濾液を酸水溶液(aqueous acid)で処理し、ガスの発生が停止するまで還元剤を濾液に加えると、ごま抽出物が形成する。
【0056】
塩基水溶液中の塩基の濃度は約0.5重量パーセント〜約2重量パーセントである。好適な塩基としては、アミン及び種々の金属の水酸化物、たとえば水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが挙げられる。通常、塩基水溶液対ごま種子の比は重量ベースで約5:1であり、通常、第一段階の高温は約40℃〜約80℃、たとえば60℃である。この混合物は通常、約0.5時間〜約5時間、たとえば3時間加熱する。
【0057】
プロセスの処理済み濾液は、還元剤を添加する前にかき混ぜる(たとえば攪拌または超音波にかける)。好適な還元剤としては、ジヒドロリポ酸、水素化ホウ素ナトリウムまたは−SH基をもつ他の還元剤が挙げられる。還元剤は、約10℃〜約35℃、特に約25℃の温度で濾液に添加する。
【0058】
本発明はまた、還元メラニン色素(ごま抽出物)を製造するための別法を提供する。本方法は、室温以下で塩基水溶液と粉末化ごま種子との混合を包含する。この混合物を濾過し、水で濯いで濾液を得る。この濾液を室温以下でpH約7〜約1に酸水溶液で処理する。得られた還元メラニン色素を集める。
【0059】
この段階での塩基水溶液中の塩基濃度は約0.5重量パーセント〜約2重量パーセント(約10を超えるpH、たとえば約10〜約14、たとえばpH約12)である。好適な塩基としては、アミン及び種々の金属の水酸化物、たとえば水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが挙げられる。通常、塩基水溶液対ごま種子の比は重量ベースで約5:1であり、通常、混合物の温度は約35℃未満、たとえば25℃に保持される。段階a)の混合物は通常、約0.5時間〜約48時間、たとえば24時間混合する。
【0060】
酸水溶液は、任意の有機酸または鉱酸、たとえば酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、またはリン酸であり得、酸が約15容積%である。濾液の温度は、酸溶液の添加中及びその後に、約35℃未満、たとえば25℃に保持する。通常、pHはpH7未満、特にpH1まで下げる。
得られた還元メラニン色素は、種々の方法、たとえば濾過または遠心分離により集めることができる。
【0061】
還元メラニンを製造する好適な手順は、本明細書中、そのいずれもが参照として含まれる、2009年7月28日出願の米国特許出願第12/510,395号及び2008年7月28日出願の米国仮特許出願第61/083,994号に知見することができる。
【0062】
さらに別の側面では、安定化化合物(抗酸化剤ともいう)の好適な例としては、酵母抽出物(たとえばビール酵母)、ジヒドロリポ酸、ジヒドロリポ酸の塩、たとえばアミノ酸塩、システイン、システインの誘導体、たとえばN−アセチルシステイン、グルタチオン、グルタチオンの塩、SH−プロテイナーゼ、たとえばパパイン、ブロメライン、フィシン、キモパパイン(ehymopapain)及びその混合物、SH−メタロプロテイナーゼ、システイン含有ペプチド、グルタチオン含有ペプチド、発酵牡蠣抽出物(fermented oyster extract)、発酵豆腐、チオール化キトサン、チオール化ゼラチンまたはその混合物が挙げられる。
【0063】
−SH保持化合物の一例としては、ジヒドロリポ酸がある。ジヒドロリポ酸(DHLA)は、細胞代謝の構成成分である。DHLAは、ラジカル種の影響を受けやすい二つのチオール残基をもつので、生体分子に対して酸化防止機能を提供する。酸化還元(レドックス反応)は、供与体から受容体へ電子の移動を伴う。供与体が電子を失うと、供与体はその還元型から酸化型へ変形する。受容体が電子を得ると、受容体はその酸化型から還元型へ変化する。
【0064】
ジヒドロリポ酸は、リポ酸(チオクト酸)の還元(電子が加わった)形である。DHLAが酸化される(電子が除去される)と、リポ酸が生成する。DHLAはR若しくはSエナンチオマーであり得るか、ラセミであり得ると理解すべきである。同様に、リポ酸もエナンチオマー的に純粋であるか、またはラセミであり得る。
【0065】
【化2】

【0066】
【化3】

【0067】
「コエンザイムQ10」または「ユビキノン」(CoQ−10)なる用語は、ミトコンドリア製造における電子伝達、即ちチトクローム系を経るコハク酸塩または還元ニコチンアデニンジヌクレオチド(NADH)の酸化に関与する脂質溶解性ベンゾキノン類の一群を記載するために本明細書中で使用する。化合物は、コエンザイムQ(式中、nは1〜12である)またはユビキノン(x)(ここで、xは側鎖内の炭素原子の総数を示し、5の任意の倍数であり得る)として表すことができる。特性の違いは、鎖長の差による。特に、本発明に用いられるユビキノンは、ユビキノールとして公知のコエンザイムQ10の還元型である。従って、CoQ−10なる用語は、nが1〜12の全ての変化形を包含する。同様に、還元CoQ−10もnが1〜12である全ての変化形を包含する。
【0068】
「ユビキノール」なる用語は、本発明に従った組成物中の活性成分として使用されるコエンザイムQの還元型を記載するために本明細書中で使用する。ユビキノールにおいて、コエンザイムQのキノン環は、化合物の構造が以下に記載のように見えるように還元されている。一側面において、ユビキノールは、nは好ましくは10であり、コエンザイムQ10から誘導される。本明細書中において、CoQ−10と還元CoQ−10を参照する場合には、nが上記のものである全ての可能な誘導体を指すものと理解すべきである。
【0069】
【化4】

【0070】
【化5】

【0071】
特定の理論に限定されるものではないが、本明細書に記載の抗酸化剤、例えばアントシアニン類、メラニン若しくはごま種子抽出物、少なくとも一つの−SH基をもつ化合物またはその混合物の有効濃度は、実質的に全てのユビキノンをユビキノールに転換するものと考えられる。他の態様では、DHLAの有効濃度は、ユビキノールがユビキノンに酸化されないようにするか、あるいは本発明に従った組成物の貯蔵の間にユビキノールから酸化されてしまったユビキノンを減少させるのを助ける。
【0072】
本発明の製剤は、還元CoQ−10及び/または追加の抗酸化剤の量を増加させることが必要な個体において、かかる還元CoQ−10及び/または追加の抗酸化剤の量を増加させるのに有効な栄養補助食品(dietary supplement)と考えられる。
本発明の製剤は、化粧品でも使用することができる。
【0073】
あるいは本発明の製剤は、栄養補給食品(nutraceutical)とも考えられる。「栄養補給」なる用語は、当業界で認められており、疾患を予防するかもしれない食品に知見される特殊な化学化合物を記載するために用いられる。還元CoQ−10及び抗酸化剤はそのような化合物である。
【0074】
本発明の製剤は、CoQ−10の生物学的利用能を安定化させ易くするか、若しくは促進させ易くするために種々の成分をさらに含むか、または個体の日常の食事への追加の栄養素として機能することができる。好適な添加剤としては、ビタミン類及び生物学的に許容可能なミネラルを挙げることができる。ビタミン類の非限定的な例としては、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及び葉酸が挙げられる。ミネラルの非限定的な例としては、鉄、カルシウム、マグネシウム、カリウム、銅、クロム、亜鉛、モリブデン、ヨウ素、ホウ素、セレン、マンガン、その誘導体またはその組み合わせが挙げられる。これらのビタミン類及びミネラルは、任意の供給源またはその組み合わせ由来であり得、これらに限定されない。非限定的なビタミンBの例としては、チアミン、ナイアシン、ピリドキシン、リボフラビン、シアノコバラミン、ビオチン、パテント酸またはその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
存在する場合には、(単数または複数種類の)ビタミンは、約5mg〜約500mgの範囲の量で本発明の組成物中に存在する。特に(単数または複数種類の)ビタミンは、約10mg〜約400mgの範囲の量で存在する。特に、(単数または複数種類の)ビタミンは、約250mg〜約400mgで存在する。最も具体的には、(単数または複数種類の)ビタミンは、約10mg〜約50mgの範囲の量で存在する。たとえば、ビタミンBは通常約1ミリグラム〜約10ミリグラムの範囲の量で含まれ、即ちB12約3マイクログラム〜約50マイクログラムである。葉酸は、たとえば通常、約50〜約400マイクログラムの範囲で含まれ、ビオチンは通常約25〜約700マイクログラムの範囲で含まれ、シアノコバラミンは約3マイクログラム〜約50マイクログラムの範囲で含まれる。
【0076】
存在する場合には、(単数または複数種類の)ミネラルは、本発明の組成物中に約25mg〜約1000mgの範囲の量で存在する。特に(単数または複数種類の)ミネラルは、約25mg〜約500mgの範囲で本組成物中に存在する。さらに特に、(単数または複数種類の)ミネラルは、約100mg〜約600mgの範囲の量で本組成物中に存在する。
【0077】
種々の添加剤を本組成物中に配合することができる。本組成物の追加の添加剤としては、リン脂質、L−カルニチン、でんぷん、糖、脂肪、抗酸化剤、アミノ酸、タンパク質、フレーバー剤、着色料、(単数または複数種類の)加水分解でんぷん及びその誘導体またはその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書中で使用するように、「リン脂質」なる用語は当業界で認められており、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、並びにホスファチジン酸、セラミド、セレブロシド、スフィンゴミエリン及びカルジオリピンを指す。
【0079】
本明細書中で使用するように、「抗酸化剤」なる用語は当業界で認められており、化合物の酸化変質を防いだり、遅延させたりする合成または天然物質を指す。本明細書中で記載のアントシアニン類、−SH基含有分子及び/またはごま抽出物をさらに含む、典型的な抗酸化剤としては、トコフェノール類、フラボノイド、カテキン、スーパーオキシドジムスターゼ、レシチン、ガンマオリザノール;ビタミン類、たとえばビタミンA、C(アスコルビン酸)及びE並びにベータ−カロテン;天然成分、たとえばローズマリー及びサンザシ抽出物に見られるカモソール(camosol)、カルノシン酸(carnosic acid)及びロスマノール(rosmanol)、プロアントシアニジン類、たとえばブドウ種子または松樹皮抽出部中に見られるもの、並びに緑茶抽出物が挙げられる。
【0080】
本明細書で使用する「フラボノイド」なる用語は当業界で認められており、身体をガンから守ることを助けると考えられている多くの食品に見られるこれらの植物色素を包含することを目的とする。これらはたとえば、エピガロカテキンガレート(epi−gallo cathechin gallate:EGCG)、エピガロカテキン(EGC)及びエピカテキン(EC)が挙げられる。
【0081】
任意の剤形及びその組み合わせが本発明で検討される。そのような剤形の例としては、チュアブル錠、エリキシル、液体、溶液、懸濁液、エマルション、カプセル、ソフトゼラチンカプセル、ハードゼラチンカプセル、カプレット(caplet)、ロゼンジ、チュアブルロゼンジ、座剤、クリーム、局所適用剤(topical)、摂取可能な投薬形態(ingestible)、注射剤、注入剤、ヘルスバー(health bar)、菓子、動物飼料、シリアル、シリアルコーティング及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。上記剤形の製造は、当業者に周知である。
【0082】
たとえばヘルスバーは、上記製剤と賦形剤(たとえばバインダー、充填剤、香料、着色料など)とを、可塑性の塊の稠度(plastic mass consistency)となるまで混合して製造することができるが、これに限定されない。次いで塊を引き延ばすか、型に入れて、「キャンディーバー」形状に形成し、そして乾燥または固めて最終製品を形成する。
【0083】
CoQ−10は、種々の生化学的経路に関係し、CoQ−10を産生する体内能力に当然影響するスタチン薬剤に関連するような、心血管疾患の処置に好適である。CoQ−10は種々の歯周病にも関係していた。さらに、CoQ−10は、アセチルコエンザイムA産生の不能、神経障害、たとえばパーキンソン病及びプラダー−ウィリー症候群(Prater−Willey syndrome)、偏頭痛及び頭痛などのミトコンドリアに関連する疾患及び障害に関係していた。従って、本発明は、かかる疾患の状態や症状の一つ以上を処置することができる組成物を提供する。
【0084】
以下の1〜34まで列挙した段落は、本発明の種々の側面を提供する。一態様において、第一段落(1)において、本発明は、還元コエンザイムQ10とアントシアニン抽出物とを含む、還元コエンザイムQ−10(CoQ−10)組成物を提供する。
2.還元コエンザイムQ10、酸化コエンザイムQ10とアントシアニン抽出物とを含む組成物。
3.少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物をさらに含む、段落1または2に記載の組成物。
4.少なくとも一つの−SH基をもつ前記化合物が酵母抽出物、DHLA、DHLAの誘導体、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、段落3に記載の組成物。
5.前記アントシアニン抽出物がコケモモ抽出物、クロフサスグリ抽出物、クランベリー抽出物、クロダイス抽出物、カウベリー抽出物、ブルーベリー抽出物またはその二種以上の混合物である、段落1〜4のいずれかに記載の組成物。
6.アントシアニン抽出物と還元コエンザイムQ10とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させるための方法。
7.アントシアニン抽出物、還元コエンザイムQ10と少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させるための方法。
8.少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ前記化合物が、酵母抽出物、DHLA、DHLAの誘導体、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、段落7に記載の方法。
9.前記アントシアニン抽出物が、コケモモ抽出物、クロフサスグリ抽出物、クランベリー抽出物、クロダイス抽出物、カウベリー抽出物、ブルーベリー抽出物またはその二種以上の混合物である、段落6〜8のいずれかに記載の方法。
10.還元コエンザイムQ10とメラニンとを含む組成物であって、但し前記メラニンは還元ごま種子抽出物ではない、前記組成物。
11.還元コエンザイムQ10、酸化コエンザイムQ10とメラニンとを含む組成物であって、但し前記メラニンは還元ごま種子抽出物ではない、前記組成物。
12.少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物をさらに含む、段落10または11のいずれかに記載の組成物。
13.少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ前記化合物が酵母抽出物、DHLA、DHLAの誘導体、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、段落12に記載の組成物。
14.前記メラニンがごま種子外皮に由来する、段落10〜13のいずれかに記載の組成物。
15.メラニンと還元コエンザイムQ10とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させる方法。
16.メラニン、還元コエンザイムQ10と、少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させる方法。
17.少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ前記化合物が、酵母抽出物、DHLA、DHLAの誘導体、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、段落16に記載の方法。
18.前記メラニンがごま種子外皮に由来する、段落15〜17のいずれかに記載の方法。
19.還元コエンザイムQ10と、少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを含む組成物であって、但し前記−SH含有基はDHLAではない、前記組成物。
20.還元コエンザイムQ10、酸化コエンザイムQ10と、少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを含む組成物であって、但し前記−SH含有基はDHLAではない、前記組成物。
21.少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ前記化合物が酵母抽出物、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、段落19または20のいずれかに記載の組成物。
22.メラニンまたはアントシアニン抽出物をさらに含む、段落19〜21に記載の組成物。
23.前記アントシアニン抽出物がコケモモ抽出物、クロフサスグリ抽出物、クランベリー抽出物、クロダイス抽出物、カウベリー抽出物、ブルーベリー抽出物またはその二種以上の混合物である、段落22に記載の組成物。
24.前記メラニンがごま種子外皮に由来する、段落22に記載の組成物。
25.少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物と還元コエンザイムQ10とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させる方法。
26.メラニン、還元コエンザイムQ10と少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させる方法。
27.アントシアニン抽出物、還元コエンザイムQ10と少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させる方法。
28.少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ前記化合物が酵母抽出物、DHLA、DHLAの誘導体、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、段落25〜27のいずれかに記載の方法。
29.前記メラニンがごま種子外皮に由来する、段落26または28に記載の方法。
30.前記アントシアニン抽出物がコケモモ抽出物、クロフサスグリ抽出物、クランベリー抽出物、クロダイス抽出物、カウベリー抽出物、ブルーベリー抽出物またはその二種以上の混合物である、段落27または28に記載の方法。
31.還元コエンザイムQ10の割合が少なくとも95重量%である、段落1、10または19のいずれかに記載の組成物。
32.非還元(non−reduced)コエンザイムQ10の量はHPLCにより検出できない、段落1、10または19のいずれかに記載の組成物。
33.還元コエンザイムQ10の割合が約20重量%〜99.99重量%であり、非還元コエンザイムQ10の割合が約80重量%〜約0.01重量%である、段落2、11または20のいずれかに記載の組成物。たとえば、例示的な範囲としては、100%をベースとして還元コエンザイムQ10約20〜99.99%(重量)で、残余はコエンザイムQ10であり、還元コエンザイムQ10約50%、約60%、約80%、約90%及び約95%で、残余がコエンザイムQ10である。
34.還元コエンザイムQ10の割合が約20重量%〜99.99重量%であり、非還元コエンザイムQ10の割合が約80重量%〜約0.01重量%である、段落6〜9、15〜18または25〜30のいずれかに記載の方法。
以下の実施例は、例示的なものであり、限定的と考えるべきではない。
【実施例1】
【0085】
還元型90%を含むCoQ10の製造
インキュベーション:攪拌下、41.3Lの無水エタノールをガラス反応器に添加し、5.5kgの酸化型CoQ10(6.25mol)及び3.44kg のDHLA (16.5mol)をこの反応器中で混合した。反応混合物を45℃に加熱して、CoQ10が完全に溶解したら、反応系を20分間保持し、次いでごま色素(米国特許出願第12/510,395号に従って製造したごま色素;水中、0.05g/mlNaOH、ごま色素0.05g/ml含有)の0.344L溶液をゆっくりと添加した。色素溶液の添加が完了した後、反応器を封止し、温度変化なく1時間保持した。次いで温度を1時間以内で40℃に下げ、40℃で20時間保持した。
【0086】
冷却プロセス:40℃でのインキュベーションが完了したら、2.06kgの純水(pure water)を添加し、混合物を1時間攪拌した。この反応混合物の温度を3時間以内で20℃に下げ、20℃で2時間保持した。次いで反応混合物の温度を1時間以内で15℃に下げ、1時間保持した。
【0087】
冷却プロセス後、還元CoQ10を溶液から分離した。1時間以内で迅速に濾過した後、フィルターケーキを4.13Lの冷却95%エタノールで洗浄した。このフィルターケーキを窒素雰囲気下、4時間乾燥し、次いで約25℃及び1000Paで真空乾燥して、完全にエタノールを除去した。還元CoQ10の収量は5.3kgであり、HPLCにより測定したユビキノールの純度は図1に示すように98.64%であった。HPLC条件は以下の通りであった。
器具類:Waters 600ポンプ、717オートサンプラー及び2996DAD付き。
移動相:エタノール:メタノール=25:75。
UV−検出:210nm。
カラム:シンメトリーRP−1C18(waters)3.9mm×150mm,5μm。
流速:1.0ml/分。
温度:25℃。
注入容積:0.5μl。
【実施例2】
【0088】
還元型50%を含むQH10の製造
実施例1のQH10を出発物質として採用し、次いでエタノール−水系から酸化型CoQ10で再結晶した。還元型50%のQH10を製造した。
【0089】
ガラス反応器に、41.3Lの無水エタノールを添加し、次いで3.06kgの還元型CoQ10(実施例1由来)及び2.24kgの酸化型CoQ10をこの反応器中で混合した。混合物を45℃に加熱して、CoQ10を完全に溶解させた。反応混合物を20分間平衡に保持し、次いで純水2.06kgをゆっくりと攪拌下、1時間以内で添加した。この反応混合物を3時間以内で20℃に下げ、20℃で2時間保持し、次いで1時間以内に15℃に下げ、15℃で1時間保持した。CoQ10結晶を溶液から分離した。1時間以内に濾過した後、フィルターケーキを4.13Lの冷却95%エタノールで洗浄した。このフィルターケーキを窒素雰囲気下、4時間乾燥し、次いで約25℃及び1000Paで真空乾燥して、完全にエタノールを除去した。HPLCにより測定し、5.1kgのユビキノール56.9%/CoQ10 43.1%が図2に述べるように得られた。HPLC条件は実施例1で提供したものと同一であった。
【0090】
安定性試験1
以下の実施例は、市販の還元CoQ10と比較したときの、実施例1及び2のQH10粉末の優れた安定性を示す。
【0091】
市販の還元CoQ10粉末は周囲空気中で安定ではない。通常、空気に暴露すると材料が酸化して、重量ベースでCoQ10の還元型が20%未満になってしまう。意外にも、本発明は周囲空気中でかなり安定であるQH10粉末を提供する。
【0092】
以下に記載のように、実施例1のQH10粉末は少量のDHLAと痕跡量(0.25重量%未満)のごま色素(メラニン)を含んでいた。以下の試験では、本発明のQH10粉末と、(DHLAを除去することにより)DHLAを含まないQH10とを比較した。
【0093】
サンプル調製:
(1)実施例1のQH10粉末。DHLA含有量0.9%;
(2)DLHAを含まない完全還元粉末。出発物質としての実施例1のQH10粉末、DHLAをエタノールで再結晶により除去した。DHLAは0.1重量%未満であった。
(3)DHLAを含まない完全還元粉末。出発物質としての実施例2のQH10粉末、DHLAはエタノールで再結晶により除去した。DHLAは0.1重量%未満であった。
【0094】
処理:
この三つのサンプルは、15日間、周囲空気に暴露した容器内に保持し、次いでCoQ10の還元型の残存比をHPLCで測定した。HPLC条件は実施例1と同一であった。
【0095】
【表2】

【0096】
安定性試験2
この実施例は、アントシアニンのQ10に対する優れた還元能力を示した。
【0097】
処理:
100mgの酸化型コエンザイムQ10を500mg/1000mgコケモモ抽出物(Omya−Peralta GmbH;ロット番号:BB0823−1、約36%アントシアニン含有)と混合し、次いで無水エタノール50mlを添加した。この反応混合物を約30分間超音波処理し、次いで反応器を封止し、周囲条件で5日間貯蔵した。
還元コエンザイムQ10を実施例1に記載の通りHPLC分析により測定した。
【0098】
【表3】

【0099】
安定性試験3
この実施例は、アントシアニンによるQH−10(還元coQ10)の優れた安定性を示した。
【0100】
処理:
コエンザイムQ10の還元型50mg(Q10の還元型97%純度)を50mgの保護剤と混合し、次いで50mlの無水エタノールを添加した。この反応混合物を約30分間超音波処理し、次いで反応器を封止し、周囲条件で16時間貯蔵した。還元コエンザイムQ10を実施例1に記載の通りHPLC分析により測定した。
【0101】
保護剤:
コケモモ抽出物(Omya−Peralta GmbH;ロット番号:BB0823−1、約36%アントシアニン含有)。
【0102】
クロフサスグリ抽出物(Omya−Peralta GmbH;ロット番号:BC6006、約36%アントシアニン含有)。
【0103】
【表4】

【0104】
還元ごま(メラニン)の実施例
水酸化ナトリウム5gを500mlの脱イオン水に溶解し、次いで100gの粉末化黒ごま種子に添加した。この混合物を攪拌し、60℃に加熱した。反応混合物を60℃に3時間保持し、次いで室温に冷却した。黒い混合物を濾過し、フィルターケーキを100mlの脱イオン水で洗浄した。濾液と濯ぎ溶液とを酸水溶液(pH約1)で処理した。溶液を25℃の温度で10分間超音波処理した。反応温度を25以下に保持しながら、水素化ホウ素カリウムをゆっくりと添加した。ガスの発生が停止するまで、この混合物を約25分間置いておいた。水素化ホウ素カリウムは、DHLAなどの他の還元剤で置き換えることができる。水素化ホウ素カリウムは水洗により除去することができる。DHLAは生成物をエタノールで洗浄することにより除去することができる。
【0105】
本発明を好ましい態様を参照して説明したが、当業者には本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、形態及び細目を変えることができることは理解されよう。背景を含めた本明細書中で引用した全ての参考文献は、本明細書中、その全体が参照として含まれる。当業者には日常的実験を使用するだけで、本明細書中に具体的に記載された本発明の具体的な態様に対する多くの等価物を確かめることができるだろう。かかる等価物は以下の請求の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元コエンザイムQ10とアントシアニン抽出物とを含む組成物。
【請求項2】
還元コエンザイムQ10、酸化コエンザイムQ10とアントシアニン抽出物とを含む組成物。
【請求項3】
少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも一つの−SH基をもつ前記化合物が酵母抽出物、DHLA、DHLAの誘導体、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アントシアニン抽出物がコケモモ抽出物、クロフサスグリ抽出物、クランベリー抽出物、クロダイス抽出物、カウベリー抽出物、ブルーベリー抽出物またはその二種以上の混合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
アントシアニン抽出物と還元コエンザイムQ10とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させるための方法。
【請求項7】
アントシアニン抽出物、還元コエンザイムQ10と少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させるための方法。
【請求項8】
少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ前記化合物が、酵母抽出物、DHLA、DHLAの誘導体、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アントシアニン抽出物が、コケモモ抽出物、クロフサスグリ抽出物、クランベリー抽出物、クロダイス抽出物、カウベリー抽出物、ブルーベリー抽出物またはその二種以上の混合物である、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
還元コエンザイムQ10とメラニンとを含む組成物であって、前記メラニンは還元ごま種子抽出物ではない、前記組成物。
【請求項11】
還元コエンザイムQ10、酸化コエンザイムQ10及びメラニンとを含む組成物であって、前記メラニンは還元ごま種子抽出物ではない、前記組成物。
【請求項12】
少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物をさらに含む、請求項10または11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ前記化合物が酵母抽出物、DHLA、DHLAの誘導体、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記メラニンがごま種子外皮に由来する、請求項10〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
メラニンと還元コエンザイムQ10とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させる方法。
【請求項16】
メラニン、還元コエンザイムQ10と、少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させる方法。
【請求項17】
少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ前記化合物が、酵母抽出物、DHLA、DHLAの誘導体、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記メラニンがごま種子外皮に由来する、請求項15〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
還元コエンザイムQ10と、少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを含む組成物であって、前記−SH含有基はDHLAではない、前記組成物。
【請求項20】
還元コエンザイムQ10、酸化コエンザイムQ10と、少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを含む組成物であって、前記−SH含有基はDHLAではない、前記組成物。
【請求項21】
少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ前記化合物が酵母抽出物、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、請求項19または20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
メラニンまたはアントシアニン抽出物をさらに含む、請求項19〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記アントシアニン抽出物がコケモモ抽出物、クロフサスグリ抽出物、クランベリー抽出物、クロダイス抽出物、カウベリー抽出物、ブルーベリー抽出物またはその二種以上の混合物である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記メラニンがごま種子外皮に由来する、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物と還元コエンザイムQ10とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させる方法。
【請求項26】
メラニン、還元コエンザイムQ10と少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させる方法。
【請求項27】
アントシアニン抽出物、還元コエンザイムQ10と少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ化合物とを混合する段階を含む、還元コエンザイムQ10を安定化させる方法。
【請求項28】
少なくとも一つのチオール(−SH)基をもつ前記化合物が酵母抽出物、DHLA、DHLAの誘導体、システイン、システインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの誘導体、チオール基含有タンパク質、またはその混合物である、請求項25〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記メラニンがごま種子外皮に由来する、請求項26または28に記載の方法。
【請求項30】
前記アントシアニン抽出物がコケモモ抽出物、クロフサスグリ抽出物、クランベリー抽出物、クロダイス抽出物、カウベリー抽出物、ブルーベリー抽出物またはその二種以上の混合物である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項31】
還元コエンザイムQ10の割合が少なくとも95重量%である、請求項1、10または19のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
非還元コエンザイムQ10の量はHPLCにより検出できない、請求項1、10または19のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
還元コエンザイムQ10の割合が20重量%〜99.99重量%であり、非還元コエンザイムQ10の割合が80重量%〜0.01重量%である、請求項2、11または20のいずれかに記載の組成物。
【請求項34】
還元コエンザイムQ10の割合が20重量%〜99.99重量%であり、非還元コエンザイムQ10の割合が80重量%〜0.01重量%である、請求項6〜9、15〜18または25〜30のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−57674(P2011−57674A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197607(P2010−197607)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(507128344)オムニカ ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】