説明

コットン保持用補助具

【課題】通常使用されるコットンをそのまま使用しつつ、コットンを用いた化粧料の塗布を容易に行いうるコットン保持用補助具を提供する。
【解決手段】中指と薬指を通すための指通し穴6,7が形成された本体部2と、一方が人差し指の背に当たると共に他方が小指の背に当たるよう構成されており本体部2の両側から外側に向け延出形成された一対のサポート部3,4と、本体部2の一対のサポート部3,4間に設けられコットン10が装着されるコットン装着部5とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコットン保持用補助具に係り、特に指にコットンを挟んで化粧品を塗布する際に使用するコットン保持用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、化粧料を顔に塗布する場合、コットンに化粧料を含ませた上で塗布することが行われている。図7及び図8は、通常行われているコットンの使用態様を示している。使用者PPがコットン10を使用する場合、図7に示すように掌を上に向け、その上部からコットン10を置くことにより、中指と薬指でコットン10の中央部分を支持する。
【0003】
次に、コットン10の一方の端部を人差し指で押さえると共に、他方の端部を小指で押さえる。これにより、コットン10の一端部は人差し指と中指との間に挟まれ、また他端部は薬指と小指との間に挟まれるため、安定した状態で使用者PPの手に装着される。図8は、コットン10が使用者PPの手に装着された状態を示している。
【0004】
この装着状態では、コットン10の両端部は人差し指と小指により保持されているため、コットン10がずれるようなことはない。また、コットン10の中指と薬指で支持された部分は比較的広い面積を有しており(図8参照)、またこの部分は掌の内側に位置しているため、手を顔に添えることにより容易にコットン10を顔に当てることができる。
【0005】
また、コットン10を装着した状態で、図8に示すように、中指と薬指は人差し指や小指に対して若干内側に出た状態となっている。よって、コットン10の中指と薬指で支持された部分に化粧料を含ませることにより、容易かつ確実に顔等に化粧料の塗布を行うことができる。
【0006】
しかしながら、コットン10を使用者PPの手に装着する際、人差し指と中指との間、及び薬指と小指との間にコットン10を挟み込む必要がある。このため、使用者PPは中指と薬指を伸ばしつつ、人差し指及び小指を手前に向けて少し立たせる必要がある。即ち,図7に矢印Aで示す方向に人差し指と小指を移動させる必要がある。
【0007】
このような中指と薬指を開いたままの状態を維持しつつ、人差し指と小指のみを手前に立たせる動作は、不自然で面倒な動作である。なぜならば、元々中指と薬指だけを伸ばす筋肉が存在しないため、人差し指と小指を手前に立たせようとすると中指と薬指も屈筋が働き、図7に矢印Aで示す方向に曲がろうとするからである。特に年配者の場合には、指の筋肉が衰えるため、中指と薬指を伸ばしたままの状態を維持しつつ、人差し指と小指のみを手前に立たせる動作は困難な動作となる。
【0008】
一方、このような面倒な指動作を行わないでコットン10と同様の機能を持たせた化粧用具として、筒状袋体を用いたものが提案されている。この化粧用具を用いるには、筒状袋体に人差し指,中指,及び薬指を挿入して装着し、この筒状袋体に化粧料を含浸させた上で顔等に化粧料を塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−079016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら特許文献1に開示された発明では、通常使用される矩形状のコットンと異なり、コットン生地を用いて袋体を作成しなくてはならず、またこの筒状袋体は使い捨てとなるため、コストが高くなるという問題点があった。
【0011】
また、筒状袋体には人差し指,中指,薬指が挿入されるが、3本の指の長さの差が大きくなるため、中指の両側に空間ができ不安定になる。更に、人差し指,中指,薬指が固定されておらず、また小指のみが人差し指,中指,薬指と別個の動作を行うこととなるため、依然として使用し難い構成であった。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、通常使用されるコットンをそのまま使用できると共にコットンを用いた化粧料の塗布を容易に行いうるコットン保持用補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は、第1の観点からは、
中指と薬指を通すための通し穴が形成された本体部と、
該本体部の両側からそれぞれ外側に向け延出し、一方が人差し指の背に当接し、他方が小指の背に当接する一対のサポート部と、
前記本体部の前記一対のサポート部の間に設けられ、コットンが装着されるコットン装着部とを有することを特徴とするコットン保持用補助具により解決することができる。
【発明の効果】
【0014】
開示のコットン保持用補助具を用いることにより、指に負担を掛けることなくコットンを手に装着して化粧料の塗布を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態であるコットン保持用補助具の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態であるコットン保持用補助具のサポート部に形成された傾斜面を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態であるコットン保持用補助具を使用した状態を上から見た斜視図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態であるコットン保持用補助具を使用した状態を下から見た斜視図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態であるコットン保持用補助具を用いてコットンを保持した状態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態であるコットン保持用補助具を使用した場合の効果について説明するための図である。
【図7】図7は、従来のコットンの使用方法を説明するための図である(その1)。
【図8】図8は、従来のコットンの使用方法を説明するための図である(その2)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態であるコットン保持用補助具1を示す斜視図である。このコットン保持用補助具1(以下、単に補助具1という)は、使用者PPがコットン10を用いて化粧料を顔等に塗布する際に手に装着して使用するものである。
【0018】
補助具1は装着性が良好な材料からなり、本体部2、サポート部3,4、及びコットン装着部5を一体的に形成した構成とされている。ここで、装着性が良好な材料とは、使用者PPの手に装着する際に弾性変形することにより容易に装着を行うことができ、また装着後は手に負担を掛けない材料をいう。具体的には、弾性変形可能な樹脂(エラストマー等)或いはゴム(シリコンゴム等)等の適用が考えられる。
【0019】
なお、補助具1は使用者PPの右手及び左手の双方に装着することが可能であるが、以下の説明においては補助具1を右手に装着する例について説明するものとする。
【0020】
本体部2には、中指及び薬指を通すための指通し穴6,7が形成されている。この各指通し穴6,7の直径は、人の平均的な中指及び薬指の大きさに基づき設定されている。
【0021】
また、本体部2の両側部にはサポート部3,4が形成されている。サポート部3は補助具1を装着した際に使用者PPの人差し指の背が当たる部位であり、サポート部4は補助具1を装着した際に使用者PPの小指の背が当たる部位である。
【0022】
このサポート部3,4は、人差し指及び小指の形状に対応するよう傾斜面3a,4aが形成されている。この傾斜面3a,4aを設けることにより、サポート部3,4の形状は本体部2に指を通す方向(‘図中矢印Y2方向)に行くにつれて厚さが漸次大きくなる形状となる。
【0023】
図2に示すように、各傾斜面3a,4aの水平方向に対する傾斜角度θは、5°以上40°以下(5°≦θ≦40°)に設定することが望ましい。これは、傾斜角θを5°未満にすると各指を開くことができず使用性が低下してしまう。つまり、各指を開かせるために、自力で人差し指と小指を手前に立たせなければならなくなり、筋肉への負担が大きくなる。
【0024】
一方、傾斜角θを40°以下とするのは、傾斜角θを40°を超える角度にすると、人差し指及び小指が立ち過ぎてしまうからである。人差し指及び小指が立ち過ぎてしまうということは、図7において人差し指及び小指が図中矢印Aで示す方向に大きく曲げられることと等価な状態である。よって、傾斜角θを40°を超えると指に大きな負担が掛かり、使用性が大きく悪化してしまう。また、顔への塗布時に指が立っているため、塗布し辛くなる。
【0025】
このため、傾斜角度θは、5°以上40°以下(5°≦θ≦40°)に設定することが望ましい。本発明者の実験によれば、上記傾斜角θの範囲内でも、特に傾斜角度θを20°以上30°以下(20°≦θ≦30°)に設定することにより、使用性を更に向上できることが判明している。
【0026】
コットン装着部5は、化粧料の塗布時にコットン10が装着される部位である。このコットン装着部5は、平面視で矩形状とされている。また、コットン装着部5の大きさは、図中X1,X2方向側の長さをLとし、Y1,Y2方向の長さをLとした場合、Lの長さを30mm以上40mm以下(30mm≦L≦40mm)とし、Lの長さを20mm以上60mm以下(20mm≦L≦60mm)となるよう設定している。
【0027】
の長さを30mm以上40mm以下(30mm≦L≦40mm)としたのは、使用者PPの中指と薬指を本体部2の指通し穴6,7に通した場合、各指のX1,X2の幅寸法の合計が約30mm以上40mm以下となるからである。
【0028】
また、Lの長さを20mm以上60mm以下(20mm≦L≦60mm)としたのは、一般に使用されるコットン10の最も幅が短いものが約20mmであり、一般に使用されるコットン10の最も幅が長いものが約60mmであることによる。仮に、Lの長さを60mmを越える長さにすると、コットン10が各指を完全に覆うこととなり、使用性が低下してしまう。
【0029】
上記のようにコットン装着部5の大きさを設定することにより、補助具1を使用者PPの手に装着した上でコットン10を装着すると、コットン装着部5は使用者PPの中指及び薬指の第1関節より下の部分に位置することとなる。この部位は、コットン10を用いて化粧料の塗布を行う場合、最も肌に多く当たる部位である。
【0030】
よって、コットン装着部5を上記のように構成することにより、コットン装着部5にコットン10を装着して化粧料の塗布を行った場合、肌の所望する部位に良好な状態で化粧料の塗布を行うことができる。
【0031】
次に、図3乃至図5を用いて、上記構成とされた補助具1を使用者PPの手に装着する方法、及び使用者PPの手に補助具1を装着した状態でコットン10を用いて化粧料の塗布を行う方法について説明する。
【0032】
補助具1を使用者PPの手に装着するには、先ず補助具1を補助具1のコットン装着部5が上部に位置するよう、かつ、サポート部3,4の肉薄側が使用者PP側に位置するように左手で持つ。その上で、使用者PPは右手の掌を上に向けた状態で、中指及び薬指をサポート部3に形成された指通し穴6,7に挿入する。この中指及び薬指の挿入の際、人差し指はサポート部3の傾斜面3a上に位置するようにすると共に、小指もサポート部4の傾斜面4a上に位置するようにする。
【0033】
前記のように、サポート部3,4には傾斜面3a,4aが形成されており、その形状はY2方向に行くにつれて漸次大きくなるよう構成されている。よって、中指及び薬指を指通し穴6,7に挿入することにより、特に人差し指及び小指を曲げる動作を行わなくても、自然に人差し指及び小指はサポート部3,4の傾斜面3a,4a上に案内される。
【0034】
また、前記のように補助具1は弾性変形可能な材料により形成されている。よって、中指及び薬指を指通し穴6,7に挿入する際、また人差し指及び小指がサポート部3,4に案内される際、補助具1は各指の移動に対応して適宜弾性変形を行う。このため、使用者PPの手に対する補助具1の装着処理は容易に行うことができる。
【0035】
図3は、補助具1を使用者PPの手に装着した状態(装着状態という)を上から見た図であり、図4は装着状態を下から見た図である。この装着状態において、コットン装着部5は中指と薬指を跨った状態となっている。
【0036】
補助具1が使用者PPの手に装着されると、続いてコットン10を装着する。コットン10の装着を行うには、先ず掌を上に向けた状態でコットン10をコットン装着部5の上部に載置する。この際、コットン10の略中央位置がコットン装着部5の中央位置になるようにする。
【0037】
また、コットン10のX1,X2方向の長さは、コットン装着部5の長さLよりも長く設定されている。具体的には、人差し指及び小指でサポート部3,4との間にコットン10を挟み込める長さ分だけ、コットン10のX1,X2方向の長さはコットン装着部5の長さLよりも長くなっている。よって、コットン10をコットン装着部5上に載置した状態で、コットン10の両側部(X1,X2方向側の側縁部分)は、コットン装着部5から外側に延出した状態となっている。
【0038】
上記ようにコットン装着部5にコットン10を載置すると、使用者PPは人差し指及び小指を動かすことにより、前記したコットン10のコットン装着部5から外側に延出した部分を人差し指とサポート部3との間、及び小指とサポート部4との間に挟み込む。これにより、図5に示すように、コットン装着部5は先に図8を用いて説明した従来のコットン10の装着状態と同様の装着状態で使用者PPの手に装着される。
【0039】
このコットン10の両端部を各指とサポート部3,4との間に挟み込む際、使用者PPは人差し指及び小指を動かす必要がある。しかしながら、本実施形態に係る補助具1を装着することにより、使用者PPの五指の内、中指と薬指は補助具1内に保持された状態(固定されて移動ができない状態)となっている。このように、中指と薬指が補助具1内に保持された状態では、中指及び薬指が自由に移動する従来のコットン装着方法に比べ、人差し指及び小指の移動を容易に行うことができる。この理由について説明する。
【0040】
従来のように中指及び薬指が自由に移動可能な状態では、人差し指を移動させようとすると中指がこれにつられて移動してしまう。同様に、小指を移動させようとすると、薬指がこれにつられて移動してしまう。よって、中指及び薬指の上部にコットン10を載置し、コットン10の両側部を人差し指及び小指を使って挟み込もうとしても、中指及び薬指が移動することによりコットン10も移動してしまい、これが従来におけるコットン10の装着を困難にする理由であった。
【0041】
これに対して本実施形態に係る補助具1を用いてコットン10の装着を行うことにより、中指及び薬指は補助具1により移動が規制されている。このため、人差し指及び小指を移動させても中指及び薬指は移動することはなく、コットン10はコットン装着部5に搭載された状態を維持する。このため、従来のように中指及び薬指の移動を気にすることなく、人差し指及び小指の移動ができる。よって、本実施形態に係る補助具1を用いることにより、コットン10を装着する動作を容易に行うことが可能となる。
【0042】
また、本実施形態ではコットン10として従来と全く同一のコットンを使用することができる。よって、コットンを袋状に加工する必要等はなく、コットン10のコストが上昇するようなことはない。また、本実施形態に係る補助具1は、使い捨てられるものではなく、何回も繰り返して使用することが可能なものである。よって、これによってもコスト低減を図ることができる。
【0043】
図6は、補助具1を用いたことによる効果を説明するための図である。
【0044】
同図は、従来のコットン装着方法でコットン10を装着するのに要する時間と、補助具1を用いてコットン10を装着するのに要する時間をそれぞれ測定し、これを比較した実験結果を示している。なお、図6に示す実験では、20代〜30代の女性3名をパネルとして実験を行った。
【0045】
同図に示すように、従来のコットン10の装着方法では、平均して2.27秒の装着時間を要した。これに対して本実施形態に係る補助具1を用いることにより、平均で1.93秒でコットン10を手に装着することができた。このように、本実施形態に係る補助具1を用いることによりコットン10の装着時間の短縮を図ることができることが判った。よって、この図6に示す実験結果より、本実施形態に係る補助具1を用いることにより、コットン10の装着性を向上できることが立証された。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0047】
1 (コットン保持用)補助具
2 本体部
3 サポート部
3a,3b,4a,4b 傾斜面
4 サポート部
5 コットン装着部
6,7 指通し穴
10 コットン
AA 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中指と薬指を通すための通し穴が形成された本体部と、
該本体部の両側からそれぞれ外側に向け延出し、一方が人差し指の背に当たり、他方が小指の背に当たるよう構成された一対のサポート部と、
前記本体部の前記一対のサポート部の間に設けられ、コットンが装着されるコットン装着部とを有することを特徴とするコットン保持用補助具。
【請求項2】
前記サポート部の厚さが前記本体部に指を通す方向に行くにつれて漸次大きくなるよう、前記サポート部に傾斜面を形成したことを特徴とする請求項1記載のコットン保持用補助具。
【請求項3】
前記本体部、前記サポート部、及び前記コットン装着部は、弾性変形しうる材料により一体的に形成されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のコットン保持用補助具。
【請求項4】
前記コットン装着部を矩形状とし、一方の辺の長さを30mm以上40mm以下とし、他方の辺の長さを20mm以上60mm以下としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコットン保持用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−231997(P2012−231997A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103099(P2011−103099)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)