説明

コドラッグのコントロールデリバリ用ポリマー性ゲルシステム

【課題】医薬的活性化合物を必要な生物学的組織へ放出する、注入可能、インプラント可能、挿入可能又は適用可能な改良されたドラッグデリバリ組成物を提供する。
【解決手段】コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグを、ヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する医薬組成物であり、コドラッグは
(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに
(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、
上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本件の関連出願)本出願は、米国仮出願第60/349241号(2002年1月18日出願)を基礎として優先権主張するものであり、その明細書の全てをここで資料として使用する。
本発明は新規なドラッグデリバリシステムに関する。特に本発明はインプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能な、生物組織中でヒドロゲルを形成するドラッグデリバリ組成物、及びそのような治療が必要な生物組織の治療をするために組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬が有効に働くためには、(1)特定の濃度が、(2)特定の期間、(3)特定の部位で保持されなければならない。全身的に適用される薬は最初の2つの目的(1)及び(2)を達成するが、不充分であり毒性副作用の可能性を有する。放出制御配合物の局所投与は、薬をより有効に使用でき、副作用を減少させてこれら全ての目的(1)〜(3)を達成できる。
しかし、生物組織への薬化合物の局所投与には、多くの問題、中でも治療が必要な組織へ薬を効果的に投与する問題及び種々の効果のある治療薬のin vivoでの不安定性の問題がある。幾つかの治療薬はin vitroでめざましい兆候を示すが、in vivoでは代表的である水性環境中では安定でない。
オイル等の非水性キャリア中の特定の治療薬を、(生体内の)特定の部位へ導入することが可能でるが、これら治療法には更なる制限がある。幾つかの非水性媒体は、全ての患者集団に許容されるものではない。患者の中には落花生油等の特定の非水性キャリアに特に敏感であるからである。更に非水性液体キャリアの使用では、親水性であるが比較的水溶液中で不安定である薬の投与の問題を解決できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、医薬的活性化合物をこれら治療が必要な生物学的組織へ放出する、注入可能、インプラント可能、挿入可能又は適用可能な改良されたドラッグデリバリ組成物であり、一般的に標的患者集団に耐容性のよい組成物が求められている。
これら及び他の課題は、下記の通り本発明により達成された。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、1以上の薬化合物を生物学的組織へ供給することが必要な患者の治療のための、新規なインプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能な組成物を提供する。本発明の組成物は、コドラッグをin vivoでヒドロゲルを形成する化合物との混合物として含有する。
本発明者らは、コドラッグが生体内の(living)生物学的組織中でヒドロゲルを形成する化合物と組み合わせた場合、得られる組成物は、インプラント、注入(注射)、挿入、又は適用前に、最初にヒドロゲルを形成しなくても、生体内生物学的組織中又はその上に直接注入されることが出来ることを発見した。本発明者らは、コドラッグをヒドロゲル形成化合物と組み合わせた場合、得られる組成物は実質的に水を含まず、連結部(関節)又はその周囲等の生物組織中又は上へ、挿入され、注入され、又はインプラントされることができ、そこでヒドロゲル形成化合物は周囲の生物組織からの水で膨張しヒドロゲルを形成することを見いだした。本発明者らは又、注入(注射)、インプラント、挿入、又は適用前に水和されたヒドロゲル形成化合物と組み合わせたコドラッグ組成物も開発した。
【0005】
医薬的に許容できる化合物の放出速度は、組成物中で使用されるコドラッグ又はヒドロゲル形成化合物を変えることにより、及び/又は得られるヒドロゲルの多孔度(porosity)を調整することにより制御できる。ヒドロゲルの多孔度は、ヒドロゲル形成化合物及びコドラッグの相対濃度の調整により選べる。この方法で、当業者は医薬的活性化合物を生体内の生物学的組織中又は上へ長期間徐々に放出することのできる、生物学的に許容された組成物を調製できる。一方、本発明のコドラッグは、系(システム)からの医薬的活性化合物の放出がヒドロゲル中へのコドラッグの溶解により大きく左右されるがヒドロゲルを通過する医薬的活性化合物の拡散に左右されないように、ヒドロゲル形成化合物と配合される。このような系中では、ヒドロゲルを通過する薬分子又はイオンの拡散係数は、実質的に水を通過するものと同一である。又、本発明の他の系では、ヒドロゲル形成化合物は、ドラッグデリバリ組成物の水和速度を増加させ、薬放出速度を増加させるように働いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1はTA−5FUコドラッグ/ヒアルロン酸(HA)組成物(TC−32)からのトリアムシノロンアセトニド(TA)及び5−フルオロウラシル(5FU)の長期間の放出グラフ(平均放出プロファイル)である。
【図2】図2はケトロラク−ケトロラクコドラッグ/HA組成物からのケトロラクの長期間の放出グラフ(平均放出速度プロファイル)である。
【図3】図3はジクロフェナク−ジクロフェナクコドラッグ/HA組成物からのジクロフェナクの長期間の放出グラフ(ジクロフェナク平均放出速度プロファイル)である。
【図4】図4は、皮下用配合物のin vitroでのモルヒネ放出プロファイルのグラフである。
【図5】図5は、関節内用配合物のin vitroでのモルヒネ放出プロファイルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグを、ヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する医薬組成物であり、コドラッグは(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生する医薬組成物を提供する。
【0008】
例えば第一構成成分は、鎮痛剤、抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗増殖剤、抗緑内障剤、免疫調節剤、細胞輸送/移動阻害剤、サイトカイン及びペプチド/蛋白質、α−ブロッカー剤、抗アンドロゲン剤、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド、抗血管形成薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、並びに代謝拮抗物質の群から選ばれてもよい。
【0009】
例えば第二構成成分は、鎮痛剤、抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗増殖剤、抗緑内障剤、免疫調節剤、細胞輸送/移動阻害剤、サイトカイン及びペプチド/蛋白質、α−ブロッカー剤、抗アンドロゲン剤、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド、抗血管形成薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、並びに代謝拮抗物質の群から選ばれてもよい。
【0010】
例えばコドラッグは、構造式:R1−L−(R2nであってもよい(但し、第一構成成分はR1であり;第二構成成分はR2であり;R1及びR2はそれぞれ独立して、鎮痛剤、抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗増殖剤、抗緑内障剤、免疫調節剤、細胞輸送/移動阻害剤、サイトカイン及びペプチド/蛋白質、α−ブロッカー剤、抗アンドロゲン剤、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド、抗血管形成薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、並びに代謝拮抗物質の群から選ばれる化合物の残基を表し;nは1〜4の整数であり;Lは直接結合又は結合基である。)。
【0011】
又、コドラッグは構造式:R1−(L−R2nでもよい(但し、第一構成成分はR1であり;第二構成成分はR2であり;R1及びR2はそれぞれ独立して、鎮痛剤、抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗増殖剤、抗緑内障剤、免疫調節剤、細胞輸送/移動阻害剤、サイトカイン及びペプチド/蛋白質、α−ブロッカー剤、抗アンドロゲン剤、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド、抗血管形成薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、並びに代謝拮抗物質の群から選ばれる化合物の残基を表し;nは1〜4の整数であり;Lは直接結合又は結合基である。)。
【0012】
又、コドラッグは構造式:(R1−L)m2(L2−R3nでもよい(但し、第一構成成分はR1であり;第二構成成分はR2であり;第三構成成分はR3であり;R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、鎮痛剤、抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗増殖剤、抗緑内障剤、免疫調節剤、細胞輸送/移動阻害剤、サイトカイン及びペプチド/蛋白質、α−ブロッカー剤、抗アンドロゲン剤、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド、抗血管形成薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、並びに代謝拮抗物質の群から選ばれる化合物の残基を表し;mは1〜4の整数であり;nは1〜4の整数であり;L及びL2はそれぞれ独立して、直接結合又は結合基である。)。
【0013】
例えば、R1及び/又はR2は、ジクロフェナク、エトドラック、ケトロラク、インドメタシン、サリチル酸、スリンダク、トルメチン、ナブメトン、ピロキシカム、アセトアミノフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、アスピリン、コリンマグネシウムトリサルチレート、ジフルニサル、メクロフェナム酸、メフェナム酸、フェニルブタゾン、若しくはそのアナログ、誘導体又はそれらの塩の残基でもよい。
又、R1は、アリトレチノイン(9−シス−レチノイン酸);アミホスチン;bexarotene(4−[1−(5,6,7,8−テトラヒドロ−3,5,5,8,8−ペンタメチル−2−ナフタレニル)エテニル]安息香酸);ブレオマイシン;カペシタビン(5’−デオキシ−5−フルオロ−シチジン);クロラムブシル;ブレオマイシン;BCNU;クラドリビン;シタラビン;ダウノルビシン;ドセタキセル;ドキソルビシン;エピルビシン;エストラムスチン;エトポシド;エキセメスタン(6−メチレンアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオン);フルダラビン;5−フルオロウラシル;ゲムシタビン;ヒドロキシウレア;イダルビシン;イリノテカン;メルファラン;メトトレキサート;ミトキサントロン;パクリタキセル;ペントスタチン;ストレプトゾシン;テモゾールアミド;テニポシド;トムデックス;トポテカン;バルルビシン(N−トリフルオロアセチルアドリアマイシン−14−バレレート);又はビノレルビン;若しくはそのアナログ、誘導体又はそれらの塩の残基でもよい。
【0014】
例えば、R2は下式で表される化合物の残基でもよい:
【化1】

但し、R1は=O、−OH、又は−(CH21〜4Clであり;
R2はH、C1〜4アルキル、Cl又はBrであり;
R4はH、F、又はClであり;
R5はH、F、Cl、CH3、又は−CHOであり;
R6はH、OH、又はClであり;
R7はH、OH、CH3、O−COCH3、O(CO)OCH2CH3、O−(CO)−2−フラニル、又はO−C(O)−(CH22CH3であり;
R8はH、CH3、OH、=CH2、又はR7及びR8は共に、隣接した炭素原子と結合して下記化合物を形成し:
【化2】

R9はCH3、CH2OH、CH2O(CO)CH3、CH2−O−C1〜4アルキル、CH2Cl、−OCH2Cl、−CH2−N−(N’−メチル)ピペラジニル、−CH2−O−(CO)−CH2−N(Et)2、エチル、CH2SH、CH2O(CO)C1〜4アルキル、CH2(CO)C(2−プロピル)−NH(CO)C65、又は−S−CH2−Fであり;
【化3】

で表される結合は二重結合又は一重結合のいずれかである。
【0015】
例えば、R2は、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニソン、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノル、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾル、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフプレドネート、エノクソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロンアセテート、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカソン、ホルモコルタル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、ハイドロコルチゾン、ロテプレドノール・エタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニソン、メチルプレドニゾロン、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニソン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトル、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、若しくはそのアナログ、誘導体又はそれらの塩の残基でもよい。
【0016】
第一構成成分は第二構成成分と同じでもよい。又、第一構成成分は第二構成成分と異なってもよい。
例えば、医薬組成物に含有される水は15重量%未満てもよい。
好ましくは医薬組成物に含有される水は10重量%未満、更に好ましくは約5重量%以下でもよい。
例えば、医薬組成物は約5重量%〜約90重量%のコドラッグを含有してもよい。医薬組成物は、例えば約30重量%〜約80重量%のコドラッグ、更に好ましくは約50重量%〜約70重量%のコドラッグを含有してもよい。
【0017】
本発明のヒドロゲル形成化合物は、物理ゲルを形成してもよい。又、ヒドロゲル形成化合物はヒアルロン酸又はその誘導体でもよい。本発明のヒドロゲル形成化合物は化学ゲルを形成してもよい。本発明の医薬組成物は、インプラント、注入(注射)、挿入、又は適用前に水和されてもよい。
本発明の組成物は、インプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能な、ペレット、錠剤、商標カプレット、又はカプセル形状でもよい。又、組成物はインプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能なペレット形状でもよい。
【0018】
ペレットの直径は、例えば約0.1mm〜約5.0mm、好ましくは約0.5mm〜約2.4mm、更に好ましくは約0.8mm〜約2.0mmである。ペレットの長さは、例えば約0.3mm〜約3.0mm、好ましくは約0.3mm〜約2.5mm、更に好ましくは約0.7mm〜約2mmである。例えば、ペレットは、標準サイズの針、例えば、16又は18ゲージ針で適用されるサイズでも良い。
ペレットの重さは、例えば約0.5g〜約5.0g、好ましくは約1.0g〜約2.0gである。
【0019】
本発明の医薬組成物は、更に医薬的に許容できる、キャリア、賦形剤、溶媒、アジュバント、添加剤、希釈剤、分散剤及び界面活性剤の群から選ばれた少なくとも一種を含有してもよい。上記医薬的に許容できるキャリアは、例えば生体適合性ポリマーを含有してもよい。上記(生体適合性)ポリマーはコラーゲン、カルボキシビニルポリマー(商品名carbopol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ(無水物)、ポリ乳酸、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、及びポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)の群から選ばれてもよい。上記医薬的に許容できる添加剤は、アルギン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及びCaHPO4の群から選ばれてもよい。
【0020】
本発明の医薬組成物は、インプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能な単回投薬形状でもよい。例えば、医薬組成物は、インプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能な部分投薬形状でもよい。例えば、1を超える部分投薬形状がインプラントされ、注入され、挿入され、又は適用されて、コドラッグの少なくとも1の構成成分の治療的有効量を供給してもよい。単回投薬又は部分投薬形状は、インプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能な、ペレット、錠剤、商標カプレット、又はカプセル形状でもよい。適用されるペレット、錠剤、商標カプレット、又はカプセルの数及びサイズは、それぞれのユニット中に含まれるコドラッグ量、コドラッグの少なくとも1の構成成分の治療的有効量、治療される病気、障害、又は症状、連結部(関節)又は組織等の種々のファクターに依存する。
例えば約5〜約40個のユニット、好ましくは約10〜約30ユニットが連結部又は組織中に又は上に適用されてもよい。
【0021】
本発明の医薬組成物は体内に置かれた場合に水和して薬を放出して、薬の放出速度がヒドロゲル中のコドラッグの溶解により制御されてもよい。例えば、医薬組成物は体内に置かれた場合に水和して薬を放出して、ヒドロゲルを通過する薬分子又はイオンの拡散係数は、周囲の体液を通過する薬分子又はイオンの拡散係数と実質的に同一であってもよい。
例えば、ヒドロゲル形成化合物は、組成物中のコドラッグの約30%〜約50%が放出される前に分散されても良い。
【0022】
第一及び第二構成成分は、第一構成成分の官能基と第二構成成分の官能基との間に形成された共有結合を通して直接結合されていてもよい。又第一及び第二構成成分は、第一及び第二構成成分にその官能基を通して共有結合している結合基を介して互いに結合していてもよい。
例えば、第一構成成分はNSAID薬でもよい。例えば、第二構成成分は鎮痛剤でもよい。例えば、第一構成成分はジクロフェナク又はケトロラクで、第二構成成分はモルヒネでもよい。
【0023】
ある態様では、第一構成成分は抗増殖剤で第二構成成分はNSAID薬である場合、第一構成成分はフロクスウリジンではなく、第一構成成分が5−フルオロウラシルである場合には第二構成成分はフルルビプロフェン又はインドメタシンではない。
別の態様では、第一構成成分は抗増殖剤で第二構成成分はコルチコステロイド剤であり、抗増殖剤が5−フルオロウラシルである場合には、コルチコステロイドはフルオシノロンアセトニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デソキシメタゾン、又はハイドロコルチゾン−17−ブチレートではなく、抗増殖剤は1−β−アラビノフラノシルシトシン誘導体ではない。
【0024】
例えば、コドラッグ又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグは、ヒドロゲル形成化合物中に粒子として分散してもよい。
又、コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグは、ヒドロゲル形成化合物中に溶解されていてもよい。
【0025】
本発明は、又コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグを、ヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する組成物中の少なくとも1の構成成分の治療的有効量を必要な患者へ与える治療方法であり、コドラッグは(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生する方法を提供する。
例えば、上記治療的有効量は、患者へ鎮痛性、抗炎症性、抗生物質効果、抗真菌性、抗ウィルス性及び/又は抗増殖性効果を引き起こすのに有効な量でもよい。
【0026】
例えば、本発明の医薬組成物の適用方法として、コドラッグ配合物を滑膜性連結、線維性連結、若しくは軟骨性連結、又は上記連結の周囲の組織へインプラントすることが挙げられる。又本発明の医薬組成物の適用方法として、コドラッグ配合物を滑膜性連結又は上記連結の周囲の組織へ注入することが挙げられる。又、本発明の医薬組成物の適用方法として、コドラッグ配合物を滑膜性連結、線維性連結、若しくは軟骨性連結、又は上記連結の周囲の組織へ挿入することが挙げられる。滑膜性連結は、例えば顎、肩、膝、肘、股、足首、手首、指、又はつま先の関節部であってもよい。線維性連結は、例えば歯、歯槽(顎堤;alveoli)、又は脛腓靱帯結合であってもよい。軟骨性連結は、例えば椎間板でもよい。例えば、本発明の医薬組成物の適用方法として、コドラッグ配合物を包(嚢)又は腱鞘へインプラント、注入、又は挿入することも挙げられる。
【0027】
本発明の生物学的活性剤を患者へ適用する方法は、少なくとも1の生物学的活性成分の適用のため、コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグをヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する医薬組成物を、患者へインプラント、注入、又は挿入することを含み;コドラッグは(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生し;上記組成物は、滑膜性連結、線維性連結、若しくは軟骨性連結、又は上記連結の周囲の組織へインプラントされる方法である。
【0028】
本発明の治療が必要な患者の細胞増殖の防止方法は、少なくとも1の生物学的活性成分の適用のため、コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグをヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する医薬組成物を、患者へインプラント、注入、又は挿入することを含み;コドラッグは(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生し;上記組成物は、コドラッグ、又はその医薬的に許容できる塩の少なくとも1の構成成分の治療的有効量を含有する方法である。
【0029】
本発明の治療が必要な患者の炎症の防止方法は、少なくとも1の生物学的活性成分の適用のため、コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグをヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する医薬組成物を、患者へインプラントすることを含み;コドラッグは(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生し;組成物はコドラッグ、又はその医薬的に許容できる塩の少なくとも1の構成成分の治療的有効量を含有する方法である。
上記方法は、本発明の医薬組成物を滑膜性連結、線維性連結、若しくは軟骨性連結、又は上記連結の周囲の組織へインプラント、注入、又は挿入することを含んでもよい。
例えば、患者は自己免疫疾患、痛み、又は炎症を治療されてもよい。自己免疫疾患として、慢性関節リューマチが挙げられる。
【0030】
本発明は又、コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグを提供し;コドラッグは(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生し;コドラッグとヒドロゲル形成化合物と組み合わせる医薬組成物の製造方法を提供する。
本発明の医薬組成物の製造方法は、コドラッグを含有する粉体をヒドロゲル形成化合物と組み合わせることを含んでもよい。
【0031】
本発明のコドラッグの少なくとも1の構成成分は、単独でも自己免疫疾患の治療に有効でもよい。又、コドラッグの少なくとも1の構成成分は、単独でも慢性関節リューマチ又は変形性関節炎の治療に有効でもよい。又、コドラッグの少なくとも1の構成成分は、単独でも痛みの処置に有効でもよい。又、コドラッグの少なくとも1の構成成分は、単独でも炎症の治療に有効でもよい。
本発明の構成成分は、例えばステロイドでもよい。
第一構成成分は、例えばモルヒネでもよい。第二構成(成分)は、例えばビタミンE又はエタクリン酸でもよい。
【0032】
本発明の医薬組成物は、更に生体適合性ポリマーを含有してもよい。上記生体適合性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)でもよい。
例えば、医薬組成物は1を超えるヒドロゲル形成化合物を含有してもよい。例えば、医薬組成物は1を超えるポリマーを含有してもよい。
【0033】
本発明は又、モルヒネへ共有結合したジクロフェナクのコドラッグ、ヒアルロン酸、及びポリ(エチレングリコール)を含有する医薬組成物をも提供する。
例えば、コドラッグは医薬組成物中に約5重量%〜約90重量%で含有され、ヒアルロン酸又はその誘導体は医薬組成物中に約10重量%〜約90重量%で含有され、生体適合性ポリマーは医薬組成物中に約0重量%〜約50重量%で含有されてもよい。
更に又本発明は、本発明の医薬組成物を含有する注入用ペレットであり、in vivoでヒドロゲルを形成するペレットをも提供する。
本発明は又、本発明の医薬組成物を、自己免疫疾患、痛み、又は炎症の治療又は予防のための組成物の(文字及び/又は図示された)使用説明書、及び任意で副作用及び薬−薬相互作用の可能性の注意書きとを組み合わせて含むキットを提供する。
【0034】
本発明のヒドロゲル形成化合物は、好ましくは平均分子量が約5.0×105ドルトン;更に好ましくは分子量1.5×105〜3×106ドルトン;特に好ましくは3×105〜2.6×106ドルトンを有するヒアルロン酸(HA)であり;最も好ましくはHAの分子量は3.5×105〜1×106ドルトンである。ここで、「HA」はヒアルロン酸及びヒアルロン酸のいかなる塩をも意味する。好ましくは、本発明の組成物に使用されるHAは、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0035】
例えば、本発明の医薬組成物は、手術前、手術中、又は手術後に適用できる。例えば、医薬組成物は手術前後の1〜5日にわたり適用できる。上記手術は、例えば関節鏡検査、内視鏡検査、又は腹腔鏡検査等を含む。医薬組成物は、例えば関節鏡、内視鏡、又は腹腔鏡のチャネルを通して導入できる。
【0036】
I.定義
「ED50」は、その反応又は効果の最大値の50%を生じる薬の濃度を言う。
「IC50」は、生物学的活性の50%を抑制する薬の投薬量を言う。
「LD50」は、被験体の死亡率が50%である薬の投薬量を言う。
「治療指数」は、LD50/ED50で定義される薬の治療指数を言う。
ここで使用される「活性」は治療的又は薬理的活性を言う。
【0037】
「自己免疫疾患」は病気の標的が「自己」又は「自己抗原である疾患である。自己抗原を対象とするT細胞免疫を含む多くの病気があり、例えば(限定されるものではないが)多発性硬化症(MS)、I型糖尿病、及び慢性関節リューマチ(RA)が挙げられる。他の自己免疫疾患として、ヴェーゲナー肉芽腫症、クローン病及び全身性エリテマトーデス(狼瘡)が挙げられるがこれらに限定されない。
ここで使用される「生体適合性」物質は、医学的に許容できない毒性のある又は生物学的機能に有害な効果を有さないものである。
「生物学的組織」とは、生物有機体中の組織をいう。この言葉は、筋肉、腱、包(嚢、bursae)、靱帯、結合組織、骨髄、腹部器官組織等の軟組織、並びに骨及び軟骨等の骨格組織を含む。本発明では、生物学的組織は例えば顎、つま先、指、膝、肘、肩、股、又は手首の関節部等の滑膜性連結でもよい。
【0038】
ここで、「コドラッグ」とは、少なくとも1の他の構成成分(第一構成成分と同一又は異なる)に化学的に結合している第一構成成分をいう。個々の構成成分は、同一の成分の医薬的活性形態又はそのプロドラッグとして縮合に先だって再生される。構成成分はエステル、アミド、カルバメート、カーボネート、環状ケタール、チオエステル、チオアミド、チオカルバメート、チオカーボネート、ザンテート及びリン酸エステル結合等の可逆的な共有結合を介して互いに結合し、体内の目的部位でそれらが開裂して、薬化合物の活性体を再生してもよい。
【0039】
ここで使用される用語「構成成分」は、上記記載のように本発明のコドラッグを形成するように結合されている2以上の医薬的活性成分を言う。本発明では、同一の構成成分の2つの分子が結合されて二量体(対称面を有しても有さなくても良い)を形成してもよい。成分の遊離、非縮合形態に関する場合、「構成成分」は、他の医薬的活性成分と結合してコドラッグを形成する前、又はコドラッグが加水分解されて2以上の構成成分間の結合が除去された後のいずれかの場合での医薬的活性成分を言う。この場合、構成成分は、縮合前の同一成分の医薬的活性形態又はそのコドラッグと化学的に同一である。
【0040】
「薬」は、治療が必要な生物学的組織の処置のための医薬的活性化合物を言う。例えば本発明の適切な薬として、水溶性医薬、水反応性(labile)医薬、及び水溶性かつ水反応性医薬が挙げられる。
【0041】
ここで「ヒドロゲル形成化合物」は、溶媒(水等)を吸収し、溶解は検知されずに急速に膨潤し、可逆的変形可能な三次元網目構造を保つ材料を言う。「ヒドロゲル形成化合物」は、水和体及び非水和体の両方(即ち、化合物がヒドロゲルの性質を獲得する前及び後)の両方に使用される。ヒドロゲル形成化合物は、非架橋又は架橋のいずれでもよい。非架橋ヒドロゲル形成化合物は、水を吸収できるが疎水性及び親水性領域の存在により溶解しない。親水性ポリマー(水溶性ポリマーを含む。)の共有的架橋網目構造は、従来水和状態でヒドロゲルであるとされてきた。多くの水性ヒドロゲルは、例えばソフトコンタクトレンズ、外傷治療、及びドラッグデリバリ等の種々の生体臨床医学用途に使用されている。ヒドロゲルの合成、特徴化、及び組成は例えば、Sawhneyら「光重合化ポリ(エチレングリコール)−コ−ポリ(α−ヒドロキシ酸)ジアクリレートマクロマーベースの生物分解性ヒドロゲル」Macromolecules、26:581−587(1993)に記載されている。
【0042】
ヒドロゲルは、グリコサミノグリカン、多糖類、及び蛋白質等の天然ポリマーから形成できる。ヒドロゲル形成に使用されるのに適切な親水性ポリマー系材料として、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(電解質錯体)、加水分解可能な結合で架橋されたポリ(ビニルアセテート)、水膨潤性N−ビニルラクタム多糖類、天然ガム、寒天、アガロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、フコイダン、ファーセレラン、ラミナラン、イバラノリ、キリンサイ、アラビアゴム、ガッチゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、イナゴマメガム、アラビノガラクタン、ペクチン、アミロペクチン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ハイドロプロピルメチルセルロース、プロピレングリコール等のポリオールで架橋されたカルボキシメチルセルロースガム又はアルギナートガム等の親水性コロイド、並びにそれらの塩及び誘導体が挙げられる。ヒドロゲルとして従来公知の幾つかの配合物は、Etesによる米国特許第3640741号、Hartopによる第3865108号、Denzingerらによる第3992562号、Manningらによる第4002173号、Arnoldによる第4014335号、Michaelsによる第4207893号明細書、並びに「一般的ポリマーハンドブック」(Scott and Roff、Eds.)Chemical Rubber Company、Cleveland、Ohioに記載されている。
【0043】
ヒドロゲルは、ヒドロゲル形成分子を一緒に保持する架橋力の性質によって化学ゲル又は物理ゲルに分類できる。化学ゲルは固定点の共有性架橋を有し、物理ゲルは三次元網目構造を有し、その中でポリマー鎖は非共有性相互作用を通して結合区域を形成する。適切なヒドロゲル形成化合物としてヒアルロン酸(HA)が挙げられる。ヒアルロン酸は天然の、N−アセチル−グルコサミン及びD−グルクロン酸の繰り返し二糖ユニットからなる。1mg/ml水以上の濃度で個々のポリマー分子の拡大により三次元網目構造を形成する高粘度ムコ多糖であり、濃度1mg/ml未満では、ヒアルロン酸は単分子として存在する。
【0044】
HAは、臍帯を含む多くの生体系中、硝子体液中、及び滑液中に存在する。HAは、軟結合組織中(そこではHAは細胞外マトリックスの主要構成要素である)及び眼の硝子体中で最大濃度を示す。HAは又、ヒアリン軟骨中、(関節、包(嚢、bursa)、又は滑膜性関節液(腱鞘の膜から分泌される透明粘着性滑液))中、及び皮膚組織(真皮及び表皮の両方)中に存在する。ヒト体内中のヒアルロン酸濃度は、ヒト血漿中1μg/ml未満から臍帯中約4mg/mlまでの範囲である。ヒアルロン酸は、連結の潤滑及び組織中の水バランスの調整等の多くの重要な役割を果たし、リソソームヒアルロニダーゼ、β−グルクロニダーゼ、及びβ−n−アセチルグルコサミニダーゼの局部的分解又はリンパ液ドレナージのいずれかによって組織から除去される。
【0045】
「薬」及び「医薬」は、ここでは同意であり、当分野で使用される意味である。
ここで使用される「医薬的に許容できるキャリア」とは、液体フィラー(filter)、希釈剤、賦形剤、溶媒又は封入材料等の医薬的に許容できる材料、組成物又は媒体(vehicle)を言い、体の1つの器官又は一部から体の別の器官又は一部へ目的の調整物質を運び輸送するものに使用される。それぞれのキャリアは配合物の他の成分と共存でき、患者に有害でない意味で「適合性」がある必要がある。医薬的に許容できるキャリアに使用できる材料の例として、(1)乳糖、ブドウ糖及びショ糖等の糖類;(2)コーンスターチ及び馬鈴薯澱粉等の澱粉;(3)カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセテートのナトリウム塩等のセルロース及びその誘導体;(4)粉末化トラガカント;(5)モルト;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバター及び座薬ワックス等の賦形剤;(9)落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油等の油;(10)プロピレングリコール等のグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール等のポリオール;(12)オレイン酸エチルエステル及びラウリン酸エチルエステル等のエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等張食塩水;(18)エチルアルコール;(19)リン酸塩緩衝溶液;並びに(20)医薬配合物で使用される他の非毒性かつ共存性の物質、が挙げられる。
【0046】
「医薬的に許容できる塩」は、酸性(ヒドロキサム酸又はカルボン酸等)基で形成されるカチオン性塩、又は塩基性(アミノ又はグアニジノ等)基で形成されるアニオン性塩を言う。これらの塩は当分野で公知である。例えば、国際公開第87/05297号(ここで、資料として使用する。)を参照。これらの塩は当業者に公知の方法で製造できる。当業者は、溶解性、安定性、配合容易性、費用等を改良するためにそれらの中から1の塩を選ぶことが出来るのは当然である。それらの塩の決定及び最適化は、当業者の実施の範囲内である。医薬的に許容できる塩自身が医薬的活性を持っていても良い。好ましいアニオンとして、ハライド(クロリド等)、スルホネート、カルボキシレート、ホスフェート、治療的活性カルボキシレート等が挙げられる。
【0047】
「生理学的条件」は、例えばin vivo等の有機的生物中の条件を言う。生理学的条件として、体腔及び器官の酸性及び塩基性環境、酵素的開裂、新陳代謝及び他の生物学的プロセスが挙げられ、好ましくはほ乳類等の脊椎動物中の生理学的条件を言う。
「プロドラッグ」は、生理的条件下で本発明の治療的に活性な薬剤に転換される化合物を表すために使用される。プロドラッグを製造する通常の方法では、エステル等の選択成分を含ませて、それらが生理的条件下で加水分解され、プロドラッグを活性な生物学的成分へ転換する。又、本発明のプロドラッグはホスト動物の酵素活性作用によっても転換される。プロドラッグは代表的には、生物学的活性成分の化学的修飾により形成できる。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製の従来の手順は、例えば「プロドラッグ設計」ed.H.Bundgaard、Elsevier、1985に記載されている。
【0048】
本発明のコドラッグに関して、「構成成分の残基」とは、それを通してその構成成分が他の構成成分へ結合している官能基から分離した構成成分に構造的に由来するコドラッグの部分を言う。例えば、官能基が−NH2であり、構成基が他の構成成分とアミド(−NH−CO−)結合を形成する場合、構成成分の残基はアミドの−NH−を含む構成成分の部分であり、アミド結合が形成された時に失われた水素(H)は含まない。この意味で、ここで使用する「残基(residue)」はペプチド中のアミノ酸の残基を表すためにペプチド及び蛋白質化学分野で使用される「残基(residue)」の意味に似ている。
【0049】
「徐放性放出」とは、本発明の目的のため、治療的に活性な薬品が薬品の治療的に有効なレベル(但し、毒性レベル以下)が長期間保持されるように制御された速度で配合物から放出されることを意味する。期間は約数時間から2週間でもよいが制限されるものではなく、従って、例えば2週間投与形体でもよい。
「被験体」は、ヒト及び(ヒト以外の)動物の両方を言う。
【0050】
「症状」は、幾つか又は全ての症状を表す。症状が「緩和」された場合、それら症状(連結(関節)部の痛みの程度又は連結(関節)部の炎症性細胞の量等)の程度が減少したことを表す。本発明は、特定のレベル量に限られない。重要なことであるが、本発明(の効果)は、症状を完全に消滅させることには限られない。
【0051】
「治療又は予防法」、「治療法」及び「予防法」がある病気、障害、又は症状に関して使用された場合、これら病気、障害、又は症状に関係する徴候及び/又は影響からの回復、予防、又は軽減を意味する。
【0052】
「予防」は、当業者で使用されており、(痛み等の)局所的反復、癌等の病気、心不全等の複合症候群又は他の医学的状態等の症状に対して使用された場合、当分野で容易に理解されるものであり、組成物を投与されない被験体に比べ、被験体中の医学的症状の兆候の頻度が減少するかその発現が遅れる組成物の投与を含む。従って、癌の予防とは、例えば非予防治療集団に比べて予防治療を受けている患者集団中の癌性増殖の検出数を減少させ、及び/又は非治療コントロール集団に対して、治療集団で検出可能な癌性増殖の発現を統計学的に及び/又は臨床的に有意の量で遅延させることを含む。感染の予防としては、例えば非治療コントロール集団に対して、治療集団の感染診断者数を減少させ、及び/又は非治療コントロール集団に対して、治療集団の感染の兆候の発現を遅延させることを含む。痛みの予防とは、例えば非治療コントロール集団に対して、治療集団の被験体により体験される痛みの感覚の頻度を減少させ又は遅延させることを含む。
【0053】
「治療処置」は;病気、障害、又は症状の回復、緩和、向上、減少、進行の抑制、又は防止;病気、障害、又は症状の安定化(例えば、その発達の阻止);並びに病気、障害、又は症状1以上の症状の軽減(例えば病気、障害、及び/又は症状の退行の発生)を言う。
「治療」は、病気、障害、又は症状の、反転、緩和、回復、減少、抑制、防止(prevention)、安定化、予防(prophylaxis)、軽減、又は養生を言う。例えば病気症状として、痛み及び炎症が挙げられるがこれらに限定されるものではない。例えば病気症状として、変形性関節炎、慢性関節リューマチ、新形成、病原菌感染、及び血管形成が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0054】
ここで「治療的有効量」とは、医学的治療に適用できる合理的危険性/受益性割合での、目的の治療効果を達成するために効果的な本発明の化合物を含有する化合物、材料、又は組成物量を言う。
本発明の方法で治療される「患者」又は「被験体」は、ヒト又は非ヒト動物のいずれをもいう。治療を受ける患者は、治療を必要としている動物であり、霊長類、特にヒト、ウマ、ウシ、ブタ、及びヒツジ、家禽並びに一般的な愛玩動物等の他の哺乳動物が挙げられる。
ここで「ユニット」は、個々のペレット、錠剤、商標カプレット、カプセル等を言う。
【0055】
小さな有機分子上の「置換」又は「置換基」は、一般的に、例えば鎖又は環の員原子以外の鎖又は環上の位置の、水素以外の成分により占められる多価の原子上の結合成分(valency)をいう。これら成分として、ここで記載されるもの及び当分野で公知のものが挙げられ、例えば、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アジド、ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、ケトン又はアシル等)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート又はチオホルメート等)、アルコキシル、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、アミン、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、シリル、エーテル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニル、ヘテロアラルキル、アラルキル、アリール又はヘテロアリールが挙げられる。アリール、ヘテロアリール、多環式、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキル、シクロアルキル、複素環、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニル等のある種の置換基は、適切であれば、それ自身が置換されてもよいことは当業者には明らかである。どのような可能な有機化合物の置換基によっても、本発明の範囲が制限されるものではない。「置換」又は「で置換された」とは、これらの置換は置換された原子及び置換基の許される原子価の範囲内で起こり、転位、環化、脱離、加水分解等による変形を自然発生的には受けない安定な化合物が、置換により生じることは当然である。
【0056】
「アミン」及び「アミノ」は当分野で理解されるとおりであり、非置換及び置換されたアミンの両方、並びにアンモニウム塩をいい、例えば、下記一般式で表されてもよい:
【化4】

但し、R9、R10及びR’10は、それぞれ独立して水素又は炭化水素置換基を表し、R9及びR10はN原子に結合して一緒に環構造中に4〜8原子を有する複素環を形成しても良い。好ましくは、R9、R10及びR’10のいずれもアシルではなく、例えばR9、R10及びR’10は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環式脂肪族系及び複素環脂肪族系から選ばれてもよい。ここで「アルキルアミン」は、それに結合した少なくとも1の置換された又は非置換のアルキル基を有する上記記載のアミン基をいう。正に荷電したアミノ基(R’10が存在する等)は、「アンモニウム」基という。アンモニウム基以外のアミノ基中で、アミンは好ましくは塩基性(例えば、その共役酸は7を超えるpKaを有する)である。
【0057】
「アミド(amido又はamide)」は、下記一般式で表される成分等のアミノ−置換されたカルボニルとして当分野で理解されるとおりである:
【化5】

但し、R9及びR10は上記記載のとおりである。本発明のアミドはイミドを含んでも良い。通常上記式の酸素原子がイオウ原子に置換された場合、式は「チオアミド」を表す。
【0058】
「カルボニル」は、下記一般式で表される成分等の当分野で理解されるとおりである:
【化6】

但し、Xは単なる結合、又は酸素原子若しくはイオウ原子を表し、R11は水素、炭化水素置換基又は医薬的に許容できる塩を表し、R’11は水素又は炭化水素置換基を表す。Xが酸素原子でR11又はR’11が水素でない場合、式は「エステル」である。Xが酸素原子でありR11が上記記載である場合、成分はここではカルボキシル基をいい、特にR11が水素の場合、式は「カルボン酸」を表す。Xは酸素原子でありR’11が水素である場合、式は「ホルメート」を表す。一般的に、上記式の酸素原子がイオウ原子で置換された場合、式は「チオカルボニル」基を表す。Xがイオウ原子でありR11又はR’11が水素でない場合、式は「チオエステル」を表す。Xがイオウ原子でR11が水素の場合、式は「チオカルボン酸」を表す。Xがイオウ原子でR’11が水素の場合、式は「チオホルメート」を表す。一方、Xが結合でありR11が水素原子でなくカルボニルが炭化水素に結合している場合、上記式は「ケトン」基を表す。Xが結合でありR11が水素でありカルボニルが炭化水素に結合している場合、上記式は「アルデヒド」又は「ホルミル」基を表す。
【0059】
「カルバメート」は下記一般構造を有する基を言う。
【化7】

但し、Rは水素又は炭化水素置換基を表す。
「チオカルバメート」は、カルボニルの酸素原子がイオウ原子で置換されている上記基の変種を言う。
【0060】
「カーボネート」は下記一般構造を有する基を言う。
【化8】

「チオカーボネート」はカルボニルの酸素原子がイオウ原子で置換された上記構成の一種を言う。
【0061】
「環状ケタール」は、下記構成の一種を有する成分等の2つの酸素原子を有する環状脂肪族系基をいう:
【化9】

但し、C1上に表されているもののような置換基は、その代わりに又は更に、C2又はC3等の環上の他の位置に存在しても良く、及び/又は2つの置換基はその環の同一の位置に存在しても良い。3炭素原子(C1、C2及びC3)中の2つの炭素原子は、環構造中に4〜8原子を有する他の環構造中に共に含まれても良い。
【0062】
「リン酸エステル」は下記一般構造を有する基をいう。
【化10】

但し、酸素原子に結合しているそれぞれの基は水素、炭化水素又は対イオン(ナトリウム等)又は上記記載の他の置換基である。
【0063】
環状リン酸エステルは下記一般式構造を有する。
【化11】

但し、C1上に表されているもののような置換基は、その代わりに又は更に、C2又はC3等の環上の他の位置に存在しても良く、及び/又は2つの置換基はその環の同一の位置に存在しても良い。3炭素原子(C1、C2及びC3)中の2つの炭素原子は、環構造中に4〜8原子を有する他の環構造中に共に含まれても良い。
【0064】
「グアニジノ」は下記一般構造を有する基をいう。
【化12】

但し、それぞれのRは、独立してそれぞれの位置で、水素又は炭化水素置換基でもよい。2つのRは共に1つの環を形成しても良い。従って、一般的な構造は、1つの環又は多環式構造の一部でもよい。
【0065】
「アミジン」は下記一般式で表される塩基性基である;
【化13】

但し、それぞれのRは、独立してそれぞれの位置で、水素又は炭化水素置換基でもよい。2つのRは一緒に環を形成しても良い。
【0066】
「炭化水素置換基」は少なくとも1のC−H結合を有する成分であり、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、炭素環式脂肪族系及び複素環脂肪族系基等の基が挙げられる。
【0067】
「ヘテロ原子」は、ボロン、リン、ケイ素、窒素原子、イオウ原子又は酸素原子等の多価の非炭素原子を言い、好ましくは窒素原子、イオウ原子又は酸素原子をいう。1を超えるヘテロ原子を含有する基は、異なるヘテロ原子を含んでいても良い。
【0068】
「複素環式脂肪族環」は、炭素原子及び1〜約4ヘテロ原子を環中に含む非芳香族系飽和又は不飽和環であり、2つのヘテロ原子が環中で隣接することはなく、好ましくはヘテロ原子に結合している環中の炭素原子は、それに結合しているヒドロキシル、アミノ又はチオール基を有さない。複素環式脂肪族環は単環式、又は縮合若しくは架橋して二環式となっている環系である。単環式複素環式脂肪族環は約4〜約10員原子(炭素及びヘテロ原子)、好ましくは4〜7、更に好ましくは5〜6員原子を環中に有する。二環式複素環式脂肪族環は、8〜12員原子、好ましくは9又は10員原子を環中に有する。複素環式脂肪族環は、非置換でも環上で1〜約4置換基で置換されてもよい。好ましい複素環式脂肪族環置換基として、ハロ、シアノ、低級アルキル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、フェニル、フェノキシ又は又はそれらの組み合わせが挙げられる。更に好ましい置換基には、ハロ及びハロアルキルが挙げられる。複素環基として、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、ヒダントイン、オキサゾリン、イミダゾリントリオン、トリアゾリノン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、キノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオレン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、ラクトン、ラクタム、例えばアゼチジノン及びピロリジノン、スルタム、スルトン等が挙げられる。好ましい複素環式脂肪族環として、ピペラジル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル及びピペリジルが挙げられる。複素環は又多環式でもよい。
【0069】
「ヘテロアルキル」は、炭素原子及び少なくとも1のヘテロ原子からなる飽和又は不飽和鎖であり、2つのヘテロ原子が隣接することはない。ヘテロアルキル鎖は、鎖中に1〜18、好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6、最も好ましくは1〜4員原子(炭素及びヘテロ原子)を含む。ヘテロアルキル鎖は直鎖状でも分岐状でもよい。好ましい分岐状ヘテロアルキルは、1又は2の分岐、好ましくは1の分岐を有する。好ましいヘテロアルキルは飽和である。不飽和ヘテロアルキルは1以上の二重結合及び/又は1以上の三重結合を有する。好ましい不飽和ヘテロアルキルは1若しくは2の二重結合又は1の三重結合、更に好ましくは1の二重結合を有する。ヘテロアルキル鎖は、特記されない限り非置換又は、1〜約4置換基で置換されてもよい。好ましいヘテロアルキルは非置換である。好ましいヘテロアルキル置換基として、ハロ、アリール(フェニル、トリル、アルコキシフェニル、アルコキシカルボニルフェニル、ハロフェニル等)、複素環、ヘテロアリールが挙げられる。下記の置換基で置換されたアルキル鎖は、例えばヘテロアルキル:アルコキシ(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ等)、アリーロキシ(フェノキシ、クロロフェノキシ、トリロキシ、メトキシフェノキシ、ベンジロキシ、アルコキシカルボニルフェノキシ、アシロキシフェノキシ等)、アシロキシ(プロピオニロキシ、ベンゾイロキシ、アセトキシ等)、カルバモイロキシ、カルボキシ、メルカプト、アルキルチオ、アシルチオ、アリールチオ(フェニルチオ、クロロフェニルチオ、アルキルフェニルチオ、アルコキシフェニルチオ、ベンジルチオ、アルコキシカルボニルフェニルチオ等)、アミノ(アミノ、モノ−及びジ−C1〜C3アルキルアミノ、メチルフェニルアミノ、メチルベンジルアミノ、C1〜C3アルキルアミド、カルバマミド、ウレイド、グアニジノ等)である。
【0070】
「ザンテート」は下記一般構造を有する基を言う。
【化14】

但し、Rは炭化水素置換基を表す。
【0071】
II.コドラッグの例示
本発明のコドラッグは、直接又は結合基を介し共有結合された2以上の構成成分により形成されても良い。残基間の共有結合として、下記結合構造が挙げられる:
【化15】

但し、ZはO、N、−CH2−、−CH2−O−又は−CH2−S−であり、YはO、又はNであり、XはO又はSである。
個々の構成成分の開裂速度は、結合タイプ、構成成分の選択及びコドラッグの物理的形状により調節できる。選択された結合タイプの不安定性(開裂反応性)は酵素特定的である。例えば本発明の結合は、エステラーゼ存在下で選択的に不安定でもよい。又本発明の結合は、例えば酸又は塩基触媒性加水分解等に対して化学的に不安定でも良い。
好ましくは本発明の結合基Lには糖、還元糖、ピロリン酸エステル又はリン酸エステル基は含まれない。
【0072】
生理学的に不安定な結合とは、生理学的流体中でみられるものと近似した条件下で不安定な結合を言う。上記結合は、直接結合(例えば、エステル、アミド、カルバメート、カーボネート、環状ケタール、チオエステル、チオアミド、チオカルバメート、チオカーボネート、ザンテート、リン酸エステル、スルホン酸エステル又はスルファミン酸エステル、の結合)でもよく、結合基(例えば、C1−C12ジアルコール、C1−C12ヒドロキシカルボン酸、C1−C12ヒドロキシアルキルアミン、C1−C12ジ(カルボン)酸、C1−C12アミノ酸又はC1−C12ジアミン)でもよい。特に好ましい結合は、直接の、アミド、エステル、カーボネート、カルバメート及びスルファミン酸エステル結合、並びにそれらの、コハク酸、サリチル酸、ジグリコール酸、oxa acid、オキザメチレン(oxamethylene)及びハライドを介した結合である。結合は、一般的に約6〜約8のpHである生理学的条件下で不安定である。結合の不安定性は、結合の特別なタイプ、生理学的流体の厳密なpH及びイオン強度、並びにin vivoでの加水分解反応を触媒しやすい酵素の存在又は非存在に依存する。一般的に、in vivoでの結合の不安定性は、コドラッグが生理学的流体中に可溶化されていない場合の結合の安定性に対して測定される。本発明のコドラッグが生理学的流体中で比較的安定である場合でも、それらが単体であるか非生理的流体(例えば、アセトン等の非水性溶媒)中に溶解されている場合と比較して、それらはin vivoで(自然分泌性又は擬似性のいずれかの生理学的流体中に溶解された場合はin vitroで)比較的加水分解を受けやすい。そのため、不安定な結合とは、コドラッグが水溶液中に溶解された時に、(加水分解)反応が進み、上記構成成分を含む加水分解物を生成できるものである。
【0073】
本発明のドラッグデリバリ手段の製造用コドラッグは、下記合成スキームで表される方法の一種で合成できる。一般的に、第一及び第二構成成分が直接結合される場合、第一成分は第二成分と、生理学的条件下で不安定な結合を形成するために適当な条件で縮合される。又、一方、他方、又は両方の成分上にある反応性基をブロック(保護)することが必要な場合もある。構成成分が、オキザメチレン、コハク酸又はジグリコール酸等の結合基を通して共有結合している場合、最初に第一構成成分を結合基と縮合することが有利である。又、アセトニトリル等の適切な溶媒中で;EDCI(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド)及びDCC(DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド)を含むカルボジイミド等の適切な触媒の存在下で;縮合水若しくは他の反応生成物の留去をするための適切な条件(例えば、還流又はモレキュラーシーブ)下で;又はこれら2以上の組み合わせで、反応を行なうことが有利な場合もある。第一構成成分を結合基と縮合した後、結合された第一成分及び結合基は次に構成成分と縮合される。(第1分との縮合と)同様に、アセトニトリル等の適切な溶媒中で;EDCI及びDCCを含むカルボジイミド等の適切な触媒の存在下で;縮合水若しくは他の反応生成物の留去をするための適切な条件(例えば、還流又はモレキュラーシーブ)下で;又はこれら2以上の組み合わせで、反応を行なうことが有利な場合もある。1以上の活性基がブロックされる場合、選択的条件下で保護基を脱離することが有利であるが、保護基及びブロックされた基を有する加水分解物が生理学的に害のない場合には、ブロックされた活性基をそのままにしておくことも有利である。
【0074】
当業者であれば、ジ(カルボン)酸、ジアルコール、アミノ酸等が適切な結合基として記載されていれば、他の結合基も本発明の範囲内であると認識できる。例えば、本発明のコドラッグの加水分解物にジカルボン酸が含まれる場合、結合を形成するために実際に使用される試薬は、例えば、コハク酸クロリド等のアシルハライドが使用できる。当業者は他の可能な酸、アルコール、アミノ、スルファト及びスルファモイル誘導体も、対応する結合を形成する試薬として使用できることが認識できる。
【0075】
第一及び第二構成成分が共有結合を介して直接結合される場合、結合基を加えるステップの必要がない場合を除き本質的に同一のプロセスが実施できる。第一構成成分及び第二構成成分は、共有結合を形成するために適切な条件下で簡単に結合される。又、一方、他方、又は両方の構成成分上にある活性基を保護することが必要な場合もある。これらにおいて、アセトニトリル等の適切な溶媒を使用し;EDCI及びDCCを含むカルボジイミド等の、直接結合を形成するのに適切な触媒の存在下で;又は縮合水若しくは他の反応副生成物の除去(例えば、還流)をするための適切な条件下で;行なうことが有利な場合もある。
【0076】
当業者は、多くの場合に第一及び第二成分はそれらの元の形で直接結合されるが、活性基の反応性を高めるためにそれらを誘導体化できることが理解できる。例えば、第一成分が酸であり第二成分がアルコール(即ち、遊離水酸基を有する)の場合、第一成分は誘導体化されて、酸クロリド又は酸ブロマイド等の対応する酸ハライドを形成してもよい。当業者は、本発明のコドラッグ製造用に従来法により誘導体化した出発材料を使用して、本発明のコドラッグの収率を上昇させ、製造費用を低下させ、純度を改良するための他の可能性があることも理解できる。
【0077】
本発明の反応スキーム例として下記スキーム1〜4を示す。これらスキームを一般化するには、医薬的に許容できる結合基を介して直接的又は間接的に、類似又は異なる官能基を有する別の治療薬へ共有結合を形成できる少なくとも1の官能基を有する他の治療薬で置き換えればよい。当業者は又、他の適切な結合基を使用してもこれらのスキームを一般化出来ることが認識できる。
【0078】
スキーム1
1−COOH+R2−OH→R1−COO−R2=R1−L−R2
但し、Lはエステル結合基−COO−であり、R1及びR2はそれぞれ第一及び第二構成成分の残基又は薬理的成分である。
スキーム2
1−COOH+R2−NH2→R1−CONH−R2=R1−L−R2
但し、Lはアミド結合基−CONH−であり、R1及びR2は上記と同意である。
【0079】
スキーム3
ステップ1:R1−COOH+HO−L−CO−Prot→R1−COO−L−CO−Prot
但し、Protは適切な可逆的な保護基である。
ステップ2:R1−COO−L−CO−Prot→R1−COO−L−COOH
ステップ3:R1−COO−L−COOH+R2−OH→R1−COO−L−COOR2
但し、R1、L及びR2は上記と同意である。
【0080】
スキーム4
【化16】

但し、R1及びR2は上記と同意であり;Gは直接結合、C1〜C4アルキレン、C2〜C4アルケニレン、C2〜C4アルキニレン又は1,2−縮合環であり;Gは無水物基と共に環状無水物を形成する。適切な無水物として、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水ジグリコール酸及び無水フタル酸が挙げられる。
【0081】
本発明のコドラッグ組成物に使用される適切な医薬化合物として、抗炎症剤、鎮痛薬、抗血管形成剤、抗ウィルス剤、及び抗生物質が挙げられる。例えば本発明のコドラッグは水−不安定であり、水溶液及び生物学的組織中の短い半減期のために静脈注射又は経口による投与可能性は非常に限られていてもよい。
適切なコドラッグ濃度は、医薬組成物の約1重量%〜約99重量%である。本発明のコドラッグ濃度は、例えば医薬組成物の約5重量%〜約90重量%である。コドラッグ濃度は好ましくは医薬組成物の約10重量%〜約85重量%、更に好ましくは約30重量%〜約80重量%、特に好ましくは約50重量%〜約70重量%である。
【0082】
本発明の組成物は、賦形剤、フィラー、キャリア等の1以上の生物学的不活性又は良性(無害)添加剤を含有してもよい。適切な不活性又は良性(無害)添加剤としてステアリン酸マグネシウム、アルギン酸ナトリウム、CaHPO4等が挙げられる。これら添加剤は、水中に溶解した場合に、例えば約7.0〜約7.6、好ましくは約7.4のpHを有する緩衝液を形成する化合物又は塩を含有してもよい。本発明では、これら添加剤は、例えば医薬組成物の約0重量%〜約50重量%、好ましくは組成物の約10重量%以下で構成しても良い。
【0083】
本発明の組成物はヒアルロン酸等の1以上のヒドロゲル形成化合物を含有する。適切なヒドロゲル形成化合物は、生物分解性ゲル、好ましくは非毒性である物理ゲルを形成するものである。例えば本発明のヒドロゲル形成化合物は物理ゲル−形成化合物である。例えば、ヒドロゲル形成化合物としてヒアルロン酸が挙げられる。
【0084】
本発明の組成物は、生物組織の中に又は上に注入される前に実質的に水を排除してもよい。「実質的に水を排除する」とは、生体内の生物学的組織の中に又は上に注入される前に、本発明の組成物は約15重量%未満の水しか含有しないことを意味する。本発明の組成物は、好ましくは約12重量%未満の水しか含有しない。本発明の組成物は、更に好ましくは約10重量%未満の水しか含有しない。しかし、当業者には、コドラッグの結晶体を使用してもよく、これら結晶体は結晶マトリックスの一部として1以上の等モルの水を含有する場合があることを認識できる。化合物の結晶体の一部である水を、結晶水という。ヒドロゲル形成化合物及びコドラッグ混合物中の水割合を計算する場合、結晶水がコドラッグの分子量中に含まれると適宜みなされるため、結晶水は計算に含まれない。
本発明の組成物は好ましくは、インプラント、注入(注射)、挿入、又は適用前に水和されるまで水を実質的に排除される。
【0085】
本発明の組成物は、種々の物理的形状として製造でき、粉末、圧縮錠剤、商標カプレット、及びカプセルが挙げられる。組成物は、公知の方法で、粉末、錠剤、商標カプレット又はカプセルとして製造でき、例えば、乾燥粉末の混合や、ヒドロゲル形成化合物及びコドラッグの溶液を比較的揮発性溶媒中で調製し、次に溶媒を留去、凍結乾燥又はスプレー乾燥する方法が挙げられる。例えば本発明のヒドロゲル形成化合物は、乾燥粉末としてコドラッグと組み合わせてブレンドされてもよい。
【0086】
本発明の組成物は、当業者がコドラッグでの治療が必要な患者へ適宜投与できる、単回投薬形状や、部分(複数回)投薬形状等のどのような投薬形状で製造されてもよい。単回投薬形状中の本発明の組成物量は、一般的に約0.001g〜約1.0g、好ましくは約0.002g〜約0.008gの間で選択される。但し、腹膜腔等の特定の組織中又はその上へのインプラント、注入(注射)、挿入、又は適用には約10gまでのより高い投薬(量)が選択され、指関節又は手首関節等の小関節のためには約1mg程度のより低い投薬(量)が選択されてもよい。コドラッグのヒドロゲル形成化合物に対する割合は、コドラッグの放出特性を最適化するように選択される。
【0087】
本発明の治療的組成物のインプラント、注入(注射)、挿入、又は適用は、一般的に当業者に公知の方法により行うことが出来る。一般的に、使用される治療的組成物の量は、治療される身体の特定の部位に依存する。いくつかの治療では、必要な部位での炎症を抑制するのには単回投薬でしばしば充分である。しかし、(例えば、関節炎症等により)持続性又は慢性疼痛を訴える場合、反復投与が悪影響無しに使用できる。局所投与は、良く確立した技術、即ち、効果的に配合物を押し出し、かつ(組織への)侵入操作を最小化することのできるゲージサイズを有する針を使用したシリンジ経由が好ましい。
【0088】
III.構成成分の例示
構成成分は、1以上の官能基を有する生物学的活性成分であり、その官能基はそれら構成成分(二量体、三量体等となる)、他の生物学的活性成分又は(結合基が使用された場合には)結合基と加水分解可能な結合を形成する。構成成分として例えば、モルヒネ、リドカイン、ベンゾジアゼパム、トラマドール及び関連する化合物等の鎮痛剤;抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド);ジクロフェナク、ナプロキセン、ケトロラク、フルルビプロフェン及びインドメタシン等の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);抗生物質;フルコナゾール及び関連化合物等の抗真菌剤;フォスカルネットナトリウム、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ジデオキシイノシン(ddI)、ジデオキシシチジン(ddC)等の抗ウィルス剤;5−フルオロウラシル(5FU)、アドリアマイシン及びその関連化合物等の抗増殖剤;ムラミールジペプチド及び関連化合物等の免疫調節剤;コルヒチン、ビンクリスチン、サイトカラシン(cytochalsian)B及び関連化合物等の細胞輸送/移動阻害剤;シクロスポリン、インシュリン、成長因子又は成長ホルモン等のサイトカイン及びペプチド/蛋白質等が挙げられる。
【0089】
抗増殖剤として、アンスラサイクリン類、ビンカアルカロイド類、プリン類アナログ、ピリミジンアナログ類、ピリミジン生合成阻害剤、及び/又はアルキル化剤、及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。本発明の1以上の構成成分に適切な抗増殖剤として:アドリアマイシン、アリトレチノイン(9−シス−レチノイン酸);アミホスチン;アラビノシル−5−アザシトシン、アラビノシル・シトシン、5−アザ−2’−デオキシシチジン、;6−アザシチジン;6−アザウリジン;アザリビン;6−アザシチジン;5−アザ−2’−デオキシシチジン;bexarotene(4−[1−(5,6,7,8−テトラヒドロ−3,5,5,8,8−ペンタメチル−2−ナフタレニル)エテニル]安息香酸);ブレオマイシン;カペシタビン(5’−デオキシ−5−フルオロ−シチジン);クロラムブシル;クラドリビン;シタラビン;シクロシチジン;ダウノルビシン;3−デアザウリジン;2’−デオキシ−5−フルオロウリジン;5’−デオキシ−5−フルオロウリジン;ドセタキセル;ドキソルビシン;エピルビシン;エストラムスチン;エトポシド;エキセメスタン(6−メチレンアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオン);フルダラビン;リン酸フルダラビン;フルオロシトシン;5−フルオロウラシル(5FU);5−フルオロウリジン;5−フルオロ−2’−デオキシウリジン(FUDR);ゲムシタビン;ヒドロキシウレア;イダルビシン;イリノテカン;メルファラン;メトトレキサート;6−メルカプトプリン;ミトキサントロン;パクリタキセル;ペントスタチン;N−フォスフォノアセチル−L−アスパラギン酸;プレドニムスチン;ピラゾフリン(pyrazofurin);ストレプトゾシン;テモゾールアミド;テニポシド;6−チオグアニン;トムデックス;トポテカン;5−トリフルオロメチル−2’−デオキシウリジン;バルルビシン(N−トリフルオロアセチルアドリアマイシン−14−バレレート);ビノレルビン;他の改質ヌクレオチド及びヌクレオシド、及び/又はアナログ、誘導体、及び上記記載の塩が挙げられる。好ましい抗増殖剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、メトトレキサート及び5FU、及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩である。これらの抗増殖剤は、それぞれ1以上の上記記載の官能基を有し、従ってそれら全ては、同一又は異なる官能基を有する1以上の;同一の抗増殖剤、異なる抗増殖剤又は異なる医薬的活性化合物に、直接的又は医薬的に許容できる結合基を通して間接的に結合されることが出来る。
【0090】
本発明の1以上の構成成分として使用される適切なコルチコステロイドとして:21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニソン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノル、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾル、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフプレドネート、エノクソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロンアセテート、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカソン、ホルモコルタル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、ハイドロコルチゾン、ロテプレドノール・エタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニソン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセポネート(aceponate)、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニソン、プレドニバル、プレドニリデン、rimexolone、rofleponide、チキソコルトル、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。これらのコルチコステロイド成分は、それぞれ1以上の上記記載の官能基を有し、従ってそれら全ては、1以上の同一のコルチコステロイド、異なるコルチコステロイド又は異なる医薬的活性成分と結合することが出来る。
【0091】
本発明のコドラッグ製造用に好ましいコルチコステロイド成分として下式の成分が挙げられる:
【化17】

但し、R1は=O、−OH又は−(CH21〜4Clであり;
R2はH、C1〜4アルキル、Cl又はBrであり;
R4はH、F又はClであり;
R5はH、F、Cl、CH3又は−CHOであり;
R6はH、OH又はClであり;
R7はH、OH、CH3、O−COCH3、O(CO)OCH2CH3、O−(CO)−2−フラニル又はO−C(O)−(CH22CH3であり;
R8はH、CH3、OH、=CH2であるか、R7及びR8は共に隣接した炭素原子と結合して下記化合物を形成し:
【化18】

R9はCH3、CH2OH、CH2O(CO)CH3、CH2−O−C1〜4アルキル、CH2Cl、−OCH2Cl、−CH2−N−(N’−メチル)ピペラジニル、−CH2−O−(CO)−CH2−N(Et)2、エチル、CH2SH、CH2O(CO)C1〜4アルキル、CH2(CO)C(2−プロピル)−NH(CO)C65又は−S−CH2−Fであり;
【化19】

で表される結合は二重結合又は一重結合のいずれかである。
当業者は、本発明のコルチコステロイド化合物の種類は、エストロゲン又はアンドロゲンを含まないステロイドの特定の(distinct)種類であることが理解できる。
【0092】
適切なβ−ラクタム抗生物質の例として、アモキシシリン、アンピシリン、アミルペニシリン、アパルシリン、アジドシリン、アズロシリン、アズトレオナム、バカンピシリン、ベンジルペニシリン酸、ビアペネム、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セファゼドン(cefazedone)、セファゾリン、セフブペラゾン、セフカペン・ピボキシル、セフクリジン、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフェタメト、セフィキシム、セフメノキシム、セフメタゾール、セフミノクス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォキシチン、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフポドキシム・プロキセチル、セフプロジル、セフロキサジン、セフソロジン、セフタジジム、セフテラム、セフテゾール、セフチブテン、セフチオフル、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム、セフゾナム、セファセトリル酸、セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロスポリンC、セファロチン、セファマイシン、セファピリン酸、セフラジン、クロメトシリン、クロクサシリン、シクラシリン、ジクロクサシリン、フェンベニシリン、フロモキセフ、フロキサシリン、ヘタシリン、イミペネム、レナンピシリン、ロラカルベフ、メロペネム、メタンピシリン、モクサラクタム、ノルカルジシン(norcardicin)類(例えば、ノルカルジシンA)、オキサシリン、パニペネム、ペニシリンG、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンS、ペニシリンV、フェネチシリン、ピペラシリン、ピバンピシリン、ピブセファレキシン、プロピシリン、スルベニシリン、スルタミシリン、タランピシリン、テモシリン、チカルシリン及びtigemonam並びに/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。上記β−ラクタム抗生物質はそれぞれ1以上の官能基を有し、その官能基は、少なくとも1の官能基を有する少なくとも1の他の医薬効果的な成分と、直接的に又は不安定結合基を通して共有結合を形成することが出来る。
【0093】
更に本発明の構成成分の適切な抗生物質として:メトロニダゾール、シプロフロキサシン、アミカシン、トブラマイシン、キノロン類等、及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。
【0094】
2として適切な非ステロイド抗炎症性(NSAID)化合物は1以上の官能基を有し、その官能基はR1上の官能基又は結合基と反応して結合を形成できる。R2が有する官能基の例として、ヒドロキシ基、アミン基、カルボキシレート基(カルボン酸及びエステルを含む)、酸無水物基、チオール基、スルホニルハライド基等が挙げられる。好ましい官能基は、−OH、−NH2、−CO2H(−CO2-を含む)基である(但し、ダッシュは、抗増殖剤の残基への結合を表す。)。
【0095】
1以上の本発明の構成成分に適切なNSAID薬として:アセトアミノフェン、アスピリン、コリンマグネシウムトリサルチレート、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラック、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、ケトプロフェン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナプロキセン、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、フェニルブタゾン、サリチル酸、スリンダク、及びトルメチン、及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。上記NSAID薬はそれぞれ1以上の官能基を有し、その官能基は1以上の官能基を有する他の成分と直接結合又は間接的結合を形成することが出来る。従ってそれら全ては、1以上の同一のNSAID、異なるNSAID又は異なる医薬的活性成分に結合されることが出来る。本発明のコドラッグの製造に好ましいNSAIDは、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ナプロキセン及びケトプロフェンである。好ましい塩としてナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。
【0096】
本発明の1以上の構成成分に適切な鎮痛剤として:ベンゾジアゼパム、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デスモルヒネ(desmorphine)、デゾシン、ジヒドロモルヒネ、ジメフェプタノール(dimepbeptanol)、エプタゾシン、エチルモルヒネ、フェンタニル、グラフェニン、ヒドロモルホン、isoladol、ケトベニドン(ketobenidone)、p−lactophetide、レボルファノール、リドカイン、メプタジノール(moptazinol)、メタゾシン、メペリジン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ノルレボルファノール、ノルモルヒネ、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、フェンペリジン(phenperidine)、フェニルラミドール(phenylramidol)、プロポキシフェン、トラマドール及びviminol並びに及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。上記鎮痛剤はそれぞれ1以上の上記記載の官能基を有し、それら全ては、1以上の同一の鎮痛剤、異なる鎮痛剤又は異なる医薬的活性成分に結合されることが出来る鎮痛剤である。
【0097】
本発明の1以上の構成成分に適切な抗アンドロゲン剤として:黄体化ホルモン−放出ホルモン(LHRH)アゴニスト又はプロゲステロン剤、ビカルタミド、ビフルラノル(bifluranol)、シプロテロン、フルタミド、ニルタミド、オサテロン、オキセンドロン等、及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。これら抗アンドロゲン剤はそれぞれ1以上の上記記載の官能基を有し、それら全ては、1以上の同一の抗アンドロゲン剤、異なる抗アンドロゲン剤又は異なる医薬的活性成分に結合されることが出来る抗アンドロゲン剤である。
【0098】
本発明の1以上の構成成分に適切なα−ブロッカー剤として、naftopidol並びにフェノキシベンザミン及びプラゾシンのアナログ、及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。これらα−ブロッカー剤はそれぞれ1以上の上記記載の官能基を有し、それら全ては、1以上の同一のα−ブロッカー剤、異なるα−ブロッカー剤又は異なる医薬的活性成分に結合されることが出来るα−ブロッカー剤である。
【0099】
本発明の1以上の構成成分に適切な抗コリン作動薬として、ビペリデン、プロサイクリジン、塩酸トリヘキシフェニジル、アトロピン、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム等、及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。これら抗コリン作動薬はそれぞれ1以上の上記記載の官能基を有し、それら全ては、1以上の同一の抗コリン作動薬、異なる抗コリン作動薬又は異なる医薬的活性成分に結合されることが出来る抗コリン作動薬である。
【0100】
本発明の1以上の構成成分に適切なアドレナリン作動薬として、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、チモロール等、及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。これらアドレナリン作動薬はそれぞれ1以上の上記記載の官能基を有し、それら全ては、1以上の同一のアドレナリン作動薬、異なるアドレナリン作動薬又は異なる医薬的活性成分に結合されることが出来るアドレナリン作動薬である。
【0101】
本発明の1以上の構成成分に適切な局所麻酔薬として、ambucaine、ベンゾカイン、ブタンベン、プロカイン、オキシブプロカイン、テトラカイン等、及び/又はそのアナログ、誘導体又はそれらの塩が挙げられる。これら局所麻酔薬はそれぞれ1以上の上記記載の官能基を有し、それら全ては、1以上の同一の局所麻酔薬、異なる局所麻酔薬又は異なる医薬的活性成分に結合されることが出来る局所麻酔薬である。
【0102】
本発明のコドラッグは;懸濁液又はゲル中に懸濁された粒子の形状で注入され、挿入され、又はインプラントされ;ポリマーマトリックス中に溶解されて注入され、挿入され、又はインプラントされ;ローション、クリーム又はスプレー等で表皮的に適用され;膀胱(bladder)、前立腺(prostrate)、骨転移、脳、若しくは他の腫瘍部位又は腫瘍切除された部位の中又は周囲に注入され;人工補装具(即ち、可撓性膝若しくは股関節部)又はステント中に組み込まれ;人工補装具、骨ねじ、金属板等上に被覆され;耳内に適用され;局所性疼痛症状又は痛みを伴う症状に適用され;ガーゼ、包装用品、包帯又は手当用品中に含浸させて使用できる。
【0103】
本発明の生物学的活性成分、塩、又は組成物の治療的有効量は、例えば24時間以上、好ましくは72、100、250、500時間以上、更に好ましくは750時間以上、局所的量を供給する量である。局所的量は、例えば1週間以上、好ましくは2週間以上、更に好ましくは3週間以上供給されてもよい。局所的量は、例えば1月以上、好ましくは2月以上、更に好ましくは6月以上供給されてもよい。
本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬(量)レベルは、特定の患者に対して目的とする治療効果を達成でき、患者へ毒性を示さない活性成分及び組成物の量を得るために変化(調整)できる。
【0104】
選択される投薬量レベルは、本発明のドラッグデリバリ手段中で使用される特定のコドラッグの構成薬又はそれらのエステル、塩、若しくはアミドの活性度、投与時間、使用された特別なコドラッグ(及び/又はその構成薬)の排出速度、治療持続性、他の生物学的活性成分、使用された特別なコドラッグと組み合わせて使用される材料、年齢、人種、性別、体重、症状、体全体の健康及び治療される患者の医薬的治療歴等の種々の因子及び医師等に公知の類似因子に依存する。
当業者である医師又は獣医は、必要なコドラッグの有効量を容易に決定し処方できる。例えば、医師又は獣医は、ドラッグデリバリ手段中に使用される本発明のコドラッグの服用量を、目的とする治療用効果を得るために必要な量より低いレベルで開始し、目的とする効果が得られるまで投薬量を徐々に増加できる。
【0105】
IV.組成物の例示
本発明のドラッグデリバリ手段は、針、カニューレ、カテーテル等の外科的手段を介するインプラント等のインプラントに適している。投薬の適用容易性及び均一性のためには、投薬ユニット形状で本発明の組成物を配合することが好ましい。ここで使用される「投薬ユニット形状」とは、ユニット的な投薬に適切な物理的に分離したユニットを意味し、それぞれのユニットは、目的とする治療的効果を生じるように計算された活性成分の予定量を必要な医薬用キャリアと共に含む。これら投薬ユニット形状の例として、spacer、ペレット、及びそれらの分離複合体が挙げられる。
【0106】
本発明のドラッグデリバリ手段は、ユニット投薬形状で好適に提供でき、当業者に公知の方法により製造できる。単回投薬形状を形成するために材料と組み合わせることのできるコドラッグ量は、一般的に治療用効果を生じる(コドラッグから放出される)活性成分量から決定される。
上記ドラッグデリバリ手段は、例えば単回投薬形状若しくは部分投薬形状で提供されてもよく、インプラント、注入(注射)、挿入、又は適用前に水和されることもできる。
これら手段の製造方法は、コドラッグを媒体材料及び、任意で、1以上の補助成分を組み合わせることを含んでも良い。例えば、配合物は、コドラッグを、液体媒体若しくは微細に粉砕された固体媒体又はこれらの両方と均一・密接に組み合わせ、必要なら製品を成形して製造できる。
【0107】
本発明のコドラッグは遊離体として製造されてもよく、鉱酸、カルボン酸、水酸化アンモニウム又はアミン塩等の塩として製造されてもよい。上記コドラッグは、非結晶状態又は結晶体として製造してもよく、無水物又は水和物としてもよい。上記コドラッグは、エステル等のプロドラッグであってもよい。それぞれの場合、コドラッグが生理学的条件以外の一定の条件下で安定であり、生理学的条件下で分解して、上記記載の同一又は異なる第一及び第二構成成分を形成できる。
【0108】
上記のとおり、本発明のコドラッグは、アミノ又はアルキルアミノ等の塩基性官能基を含有してもよく、従って医薬的に許容できる酸と共に医薬的に許容できる塩を形成できる。ここで「医薬的に許容できる塩」とは、比較的非毒性の、本発明のコドラッグの無機及び有機酸付加塩である。これらの塩は、in situで本発明のコドラッグを最終的分離又は精製することで、又は独立して(in situではなく)本発明の精製コドラッグをその遊離塩基形態で適切な有機又は無機酸と反応させ、次に生成塩を分離することで製造できる。代表的な塩として、臭化水素酸、塩酸、硫酸塩、亜硫酸塩、ギ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、バレレート、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、ホスホン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メタンスルホン酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩及びラウリルスルホン酸塩等が挙げられる(例えば、Bergeら(1977)「医薬塩」、J.Pharm.Sci.66:1−19参照)。
【0109】
本発明のコドラッグの医薬的に許容できる塩として、例えば非毒性の有機又は無機酸からの、コドラッグの従来の非毒性の塩又は4級アンモニウム塩が挙げられる。従来の非毒性の塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸から得られる塩;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サルチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸等の有機酸から得られる塩が挙げられる。
【0110】
又、本発明のコドラッグは、1以上の酸性官能基を含有してもよく、従って、医薬的に許容できる塩基と共に医薬的に許容できる塩を形成できる。ここで「医薬的に許容できる塩」とは、比較的非毒性の、本発明のコドラッグの無機及び有機塩基付加塩である。これらの塩は、同様にin situで本発明のコドラッグを最終的分離又は精製するか、独立して本発明の精製コドラッグをその遊離酸形態で;医薬的に許容できる金属カチオンの水酸化物、カーボネート、バイカーボネート等の適切な塩基;アンモニア;又は医薬的に許容できる有機第1級、第2級又は第3級アミン;と独立して反応させることで製造できる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩としてリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩等が挙げられる。塩基付加塩の形成に使用される代表的な有機アミンとして、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等が挙げられる(例えば、Bergeら、supra参照)。
【0111】
本発明の医薬組成物は更にポリマーを含有してもよい。ポリマーは、非生物分解性でも生物分解性でもよい。生物分解性ポリマーとして、無水物ポリマー、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸、ポリオルソエステル、ポリアルキルシアノアクリレート又はそれらの誘導体及びコポリマーが挙げられる。非生物分解性ポリマーとして、ポリウレタン、ポリシリコーン、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)(EVA)、ポリビニルアルコール、又はそれらの誘導体及びコポリマーが挙げられる。
【0112】
他の適切なポリマーとして、ポリ(エチレングリコール)、コラーゲン、カルボキシビニルポリマー(商品名carbopol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、ポリカルボン酸、ポリアルキルアクリレート、セルロースエーテル、シリコーン、ポリ(dl−ラクチド−コ−グリコリド)、種々のEudragrits(例えば、NE30D、RS PO及びRL PO)、ポリアルキル−アルキルアクリレートコポリマー、ポリエステル−ポリウレタンブロックコポリマー、ポリエーテル−ポリウレタンブロックコポリマー、ポリジオキサノン、ポリ−(β−ヒドロキシブチレート)、ポリカプロラクトン、PEO−PLAコポリマーが挙げられる。上記例は例示のためであり本発明を限定するものではない。
【0113】
医薬的に許容できる抗酸化剤として:(1)アスコルビン酸、システイン塩酸、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の水溶性抗酸化剤;(2)アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロール等の油溶性抗酸化剤;及び(3)クエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等の金属キレート化剤が挙げられる。
【0114】
適用される手段は例えば、これら領域への付随的な侵入的挿入の必要なしに、目的とする活動位置へのコドラッグの連続的供給を与える。むしろ、手段は体内に留まり、コドラッグの患部への連続的供給源として働くことが出来る。例えば、本発明の手段は、コドラッグが消耗しつくされるまで、日、週間、月(例えば約3月〜約6月)又は年(例えば約1年〜約20年、好ましくは約5年〜約10年)の特定期間にかけて、薬の長時間放出を可能とする。
【0115】
例えば、コドラッグは徐々に生理学的流体中に溶解するが、溶解時には比較的素早く少なくとも1の医薬的活性化合物へと解離する。例えば、コドラッグの溶解速度は約0.001μg/日〜約100μg/日である。コドラッグの溶解速度は好ましくは約0.01〜約1μg/日である。コドラッグの溶解速度は更に好ましくは約0.1μg/日である。
米国特許第5773019号、米国特許第6001386号、及び米国特許第6051576号には、インプラント可能は放出制御手段及び薬が記載されており、ここでその全体を資料として使用する。
【0116】
低溶解性医薬コドラッグに関しての使用で、用語「低溶解性」は、血漿、リンパ液、腹水等の生物学的流体中の医薬コドラッグの溶解性を言う。一般的に、「低溶解性」とは、医薬コドラッグが、約5〜約8の範囲のpHを有する水溶液中、特に血液、血漿等の生理的溶液中に非常に僅かにしか溶解しないことを言う。本発明の低溶解性コドラッグの溶解度は、例えば約1mg/ml未満、好ましくは約100μg/ml未満、更に好ましくは約20μg/ml未満、特に好ましくは約15μg/ml未満、最も好ましくは約10μg/ml未満である。溶解性は、特記されない限り1995 USPで規定された手順で、水中で温度25℃で測定される。これは、僅かに溶解性(約10mg/ml〜約1mg/ml)、非常に僅かに溶解性(約1mg/ml〜約0.1mg/ml)、難溶性又は不溶性の(約0.1mg/ml未満)化合物である化合物を含む。
【0117】
均等物
当業者は、通常の実施技術を使用するのみで、ここに記載された本発明の特定の生物学的活性成分、方法、希釈剤、ポリマー及び塩の種々の均等物を認識し、確認できる。これらの均等物は本発明の範囲内である。
【実施例】
【0118】
本発明は更に下記により詳細に説明されるが、下記実施例は具体例であり、それにより本発明を限定するものではない。
又、本明細書の記載は本発明の骨子を説明するためのものであり本発明を限定するものではない。当業者は、明細書及び請求の範囲に記載された本発明の範囲内であれば他の態様も可能であることは容易に理解できる。
ここで記載された、特許明細書、特許出願及び非特許文献の全ての資料は、明白にここで資料として使用する。
下記実施例では、生物活性剤は医薬的活性化合物と同義で使用される。
【0119】
実施例
下記実施例は関節部等の局所に適用されてデリバリ中不反応のままに留まることのできる、水反応性生物活性剤注入用ドラッグデリバリシステムを例示するためのものである。ヒアルロン酸は滑膜性連結流体の天然成分であるため、媒体の例示である。
乾燥ヒアルロン酸粉末、生物活性剤、及び他の賦形剤を含有する錠剤を調製した。それぞれの錠剤を連結部へ注入後、ヒアルロン酸は周囲の生物学的流体中で膨潤し、内部に生物活性剤を含む物理ゲルを形成した。
錠剤からの活性剤の放出プロファイルを下記in vitro試験で測定したところ、錠剤成分に依存して、放出持続時間は約60〜約200時間に変化することが判明した。
【0120】
実施例1
ヒアルロン酸ナトリウム(900mg)を、TC−32(トリアムシノロンアセトニド及び5−フルオロウラシルのコドラッグ、108mg)並びにステアリン酸マグネシウム(5mg)と組み合わせ、ブレンドを形成した。このブレンドを使用して50mgマス及び4.5mm直径の錠剤を手動圧縮成形した。次にそれぞれの錠剤をpH7.4の0.1Mリン酸バッファ0.5mlを含む透析チューブ中へ加えた。放出試験をそれぞれ封印された透析チューブ100mlの0.1Mリン酸バッファ(pH7.4、透析液)中において37℃で開始した。透析液サンプルを、部分的又は全体的に透析液を新しいバッファと交換することにより定期的に取り出した。透析液中へ放出されたTC−32又はその加水分解副生物(TA及び5−FU)量を、HPLC分析で定量的に測定した。
【0121】
実施例2
ヒアルロン酸ナトリウム(200mg)を、アルギン酸ナトリウム(80mg)、CaHPO4(80mg)、TC−32(40mg)、及びステアリン酸マグネシウム(2.0mg)と組み合わせ、ブレンドを形成した。50mgマス及び4.5mm直径の錠剤を手動圧縮成形した。次にそれぞれの錠剤をpH7.4の0.1Mリン酸バッファ1.0mlを含む透析チューブ中へ加えた。放出試験をそれぞれ封印された透析チューブ100mlの0.1Mリン酸バッファ(pH7.4、透析液)中において37℃で開始した。透析液中へ放出されたTC−32又はその加水分解副生物(TA及び5−FU)量を、HPLC分析で定量的に測定した(図1参照)。
【0122】
実施例3
ヒアルロン酸ナトリウム(350mg)を、CaHPO4(150mg)、TC−32(50mg)、及びステアリン酸マグネシウム(2.5mg)と組み合わせ、ブレンドを形成した。このブレンドを使用して50mgマス及び4.5mm直径の錠剤を手動圧縮成形した。次にそれぞれの錠剤をpH7.4の0.1Mリン酸バッファ1.0mlを含む透析チューブ中へ加えた。放出試験をそれぞれ封印された透析チューブ100mlの0.1Mリン酸バッファ(pH7.4、透析液)中において37℃で開始した。透析液サンプルを、部分的又は全体的に透析液を新しいバッファと交換することにより定期的に取り出した。透析液中へ放出されたTC−32量を、HPLC分析で定量的に測定した。
【0123】
実施例4
270.3mgのHA、30.1mgのコドラッグ5−TC−112.1(ケトロラクがジオキソロン成分を介して共有的にケトロラクへ結合しているコドラッグ)及び1.5mgのステアリン酸マグネシウムを完全に混合し、ブレンドを形成した。25mg、3.0mm直径の錠剤を手動圧縮成形した。次に錠剤をそれぞれのpH7.4の0.1Mリン酸バッファ1.0mlを含む透析チューブ中へ加えた。放出試験をそれぞれ封印された透析チューブ100mlの0.1Mリン酸バッファ(pH7.4)中に置くことにより37℃で行なった。サンプルを、部分的又は全体的に透析液を新しいバッファと交換することにより定期的に取り出した。媒体中へ放出された薬(コドラッグの加水分解生成物)を、HPLC分析で測定した(図2参照)。
【0124】
実施例5
100mgのHA及び100mgのコドラッグ5−TC−152.1(ジクロフェナクがジオキソロン成分を介して共有的にジクロフェナクへ結合しているコドラッグ)を完全に混合し、ブレンドを形成した。上記ブレンドをスラッグして1つの1.25cm錠剤とし、砕いて小粒子とし、1.0mgのステアリン酸マグネシウムと混合した。手動圧縮成形して8.0mg、2.0mm直径のペレットを調製した。次に錠剤(ペレット)をそれぞれのpH7.4の0.1Mリン酸バッファ1.0mlを含む透析チューブ中へ加えた。放出試験をそれぞれ封印された透析チューブ100mlの0.1Mリン酸バッファ(pH7.4)中に置くことにより37℃で行なった。サンプルを、部分的又は全体的に透析液を新しいバッファと交換することにより定期的に取り出した。媒体中へ放出された薬(薬の加水分解生成物)を、HPLC分析で測定した(図3参照)。
【0125】
実施例6:ペレット組成物及び調製
異なる組成物を種々の割合で含有する粒状体及びペレットの多数の異なるバッチを行なった。選択した16の配合物の配合(重量%)を下記表に示す。
【表1】

【0126】
一般的に、個々の配合の組成物(モルヒネ−ジクロフェナクマレイン酸(MDM)、HA及び/又は他の賦形剤)を完全に混合し90%エタノールを添加して粒子化し、次に空気乾燥した。乾燥粒子を、目的とする粒子サイズまで(目視判断)粉砕し、必要な場合には粒状体には含まれていない組成物を混合し、0.2重量%ステアリン酸マグネシウムとブレンドした。上記混合物を使用して、ペレットを、0.9mmパンチ及びダイセットを備えた手動ペレット圧縮機により製造した。ペレットの平均重量は、1.6mgであった。
【0127】
放出試験
それぞれのペレットを1.0ml放出媒体を含む透析バッグ中に入れ、そのバッグを封印した。次にそのバッグを10ml放出媒体中に浸漬した。放出試験は37℃で行なった。初期のサンプルは1日二回採取し、後期のサンプルは1日一回採取した。それぞれの採取後に全放出媒体を入れ替えた。放出媒体中のモルヒネ、ジクロフェナク、及びMDMの量をHPLCで測定した。未反応のMDMは放出媒体中に検出されなかった。その重い蛋白質結合のために、放出媒体中のジクロフェナク量の定量は困難であった;放出プロファイル中にはジクロフェナクデータは検出できなかった。
【0128】
血漿及び0.1Mリン酸バッファ(pH7.4)の1:1比の混合物からなる放出媒体を、皮下の動物実験用配合物評価のために使用した(図4)。下記表にそれら組成(重量%)を示す。
【表2】

図4に示される結果より、D以外の全ての配合物では、75%を超えるモルヒネが二日以内に放出されたことが明らかである。配合物Cをラットのパイロット皮下試験用に選択した。
【0129】
血漿及び2.5mg/mlHAを含有する0.1Mリン酸バッファ(pH7.4)の1〜9混合物をin vitro放出実験で使用し、関節内(IA)動物実験(図5)用に設計された配合物を評価した。配合用組成物を下記表に示す。
【表3】

【0130】
血漿と異なり、滑液は市販されていないが、血漿中の大部分の蛋白質濃度が滑液中よりも約10倍高いことは確認できる。一方、血漿中にHAが含まれていないが、滑液は高いHA濃度(>2.5mg/ml)を有する。
図5の放出プロファイルは配合物F、G及びH間に放出の顕著な相違を示さない。全配合モルヒネの74%を超える量が、7日間で放出媒体中に検出された。モルヒネの約60%が配合物Eから同じ期間中に放出された。PEGの分子量は、放出プロファイルには影響しなかった(配合物F及びHの比較)。配合物HをIA動物実験用に選択した。
【0131】
実施例7:
ビーグル犬の単回関節内注入後のMDMの薬物動態及び毒性の測定をするために、パイロット実験を行なった。
実験は、ビーグル犬メス6頭の1集団を使用した。第1日に(7/23/02)それぞれの犬をアトロピン及びメデトミジンの組み合わせで軽く鎮静・麻酔し、右後膝関節部位の全ての毛を刈り込み、次の殺菌操作に適切なように洗浄した。約20mgのMDMペレットを含有するガラス瓶をSponsorから殺菌状態で入手した。第1日に、ペレットを無菌技術を使用して個々のカテーテル中に充填した。投薬直前に、ペレットを20cm、18ゲージシードインプラント針中へ移した。それぞれの犬の右後脚を完全に延ばし、膝蓋骨上の腱を触診した。針を関節中に導入し、スタイレットをペレットを供給するために前進させた。スタイレットの除去後、0.5mLの洗浄用食塩水をインプラント針を通して供給した。
【0132】
動物を実験中毎日の臨床的観察及び投薬及び解剖前の体重測定によりモニターした。サンプルを、処置前及び解剖前に臨床的病理学的分析(血液学、血清化学、凝固、及び尿分析)用にそれぞれの動物から採取した。凝固プロファイルでのMDMの有効性をさらに探知するために、このパラメーター用サンプルも又、投薬後1、4、及び24時間で採取した。薬物動態学のために、血液を投薬後5、15、30分、1、2、4、及び24時間、並びに4、8、及び11日後にそれぞれの動物(残っている動物)から採取した。サンプルは採取後実際に出来るだけ早く加工し(一般的に5分以内)生物分析化学部へ分析のために送った。4、8、及び11日に、それぞれの時点で2頭の動物を安楽死させ、滑液を採取し、部分解剖を行なった。滑液を同様に生物分析化学部へ分析のために送った。関節の肉眼での解剖状態を記録し、それぞれの動物の処置された関節及び比較対照用関節を、固定剤中に将来の分析用に保存した。
【0133】
MDMペレットの注入を、実験計画に従いそれぞれの動物へ第1日目に行なった。動物へ適用された実際のMDMペレット重量であり、Sponsorから受領したそれぞれのガラス瓶の包装上に記載された値を下記に示す。
【表4】

【0134】
第1日の臨床的観察では、全ての犬の顔に皮膚紅斑がみられるのみであった。これは、鎮静化に対するありうる反応と考えられた。更に、2頭の犬は右後脚に僅かな膨潤を示した(第4〜8日にかけて動物No.1004;第4〜11日にかけて動物No.1005)。処置の結果、体重又は臨床的病理学的パラメーター(血液学、血清化学、凝固、及び尿分析)のめざましい変化は見られなかった。部分的肉眼検死解剖ではただ2頭の犬のみに(変化が)見られた。第8日に動物No.1003は、後膝関節インプラント部位に赤い病巣と黄褐色の病徴を示し、第8日に動物No.1004はインプラント部位中の骨格筋肉に斑紋状病巣を示した。
【0135】
血漿サンプルのモルヒネ、ジクロフェナク、及びコドラッグ濃度分析は、下記を示した:犬中のモルヒネは、投薬後5分(初期)から第8日(後期)まで(注:予備処理したサンプル中に存在するモルヒネ濃度のいくつかは、検出最低レベル近くであり、アッセイ中でのキャリーオーバーを原因とする)検出できた。ジクロフェナクも又、投薬後5〜15分から第11日まで血漿中で検出できた。コドラッグは1頭の犬(動物No.1002)の血漿中で投薬後15分から2時間検出された;しかし、その結果はアッセイ最低限界に近かった。
【0136】
ジクロフェナク及びコドラッグは、第4日の両方の犬(動物No.1001及び1002)の滑液中に存在した。モルヒネも又動物No.1001の滑液中で検出された。モルヒネ、ジクロフェナク及びコドラッグは動物No.1003の第8日の滑液中で検出されたが;ジクロフェナクのみが動物No.1004の第8日の滑液中で検出された。コドラッグでなくジクロフェナクが動物No.1005及び1006の第11日の滑液中で検出された。モルヒネも又、動物No.1005の滑液中で検出された。
結論として、MDMペレットのメスビーグル犬の後膝関節への注入は、このパイロット実験では成功した。この操作は犬による耐容性が良好であり、血漿及び滑液分析は検知可能なレベルのモルヒネ、ジクロフェナク及びコドラッグを示した。
【0137】
上記実施例は、本発明の組成物がTC−32等の生物学的活性化合物を徐々に長期間水性環境へ放出することを示した。当業者はこの原則が、一般的に水−溶解度、水−不安定性等の違う種々の薬に適用できることを認めることができる。
当業者は上記実施例が当業者が実施するための具体例としてのみ提示され、本発明を限定するものではないことを認める。当業者は更に、他の態様も本発明の範囲内で可能であることを認める。ここに記載された全ての資料をここで資料として使用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグを、ヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する医薬組成物であり、コドラッグは
(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに
(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、
上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生する医薬組成物。
【請求項2】
第一構成成分は、鎮痛剤、抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗増殖剤、抗緑内障剤、免疫調節剤、細胞輸送/移動阻害剤、サイトカイン及びペプチド/蛋白質、α−ブロッカー剤、抗アンドロゲン剤、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド、抗血管形成薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、並びに代謝拮抗物質の群から選ばれる請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
第二構成成分は、鎮痛剤、抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗増殖剤、抗緑内障剤、免疫調節剤、細胞輸送/移動阻害剤、サイトカイン及びペプチド/蛋白質、α−ブロッカー剤、抗アンドロゲン剤、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド、抗血管形成薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、並びに代謝拮抗物質の群から選ばれる請求項2の医薬組成物。
【請求項4】
コドラッグが構造式:R1−L−(R2nで表される請求項1の医薬組成物;但し、第一構成成分はR1であり;第二構成成分はR2であり;R1及びR2はそれぞれ独立して、鎮痛剤、抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗増殖剤、抗緑内障剤、免疫調節剤、細胞輸送/移動阻害剤、サイトカイン及びペプチド/蛋白質、α−ブロッカー剤、抗アンドロゲン剤、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド、抗血管形成薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、並びに代謝拮抗物質の群から選ばれる化合物の残基を表し;nは1〜4の整数であり;Lは直接結合又は結合基である。
【請求項5】
コドラッグが構造式:R1−(L−R2nで表される請求項1の医薬組成物;但し、第一構成成分はR1であり;第二構成成分はR2であり;R1及びR2はそれぞれ独立して、鎮痛剤、抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗増殖剤、抗緑内障剤、免疫調節剤、細胞輸送/移動阻害剤、サイトカイン及びペプチド/蛋白質、α−ブロッカー剤、抗アンドロゲン剤、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド、抗血管形成薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、並びに代謝拮抗物質の群から選ばれる化合物の残基を表し;nは1〜4の整数であり;Lは直接結合又は結合基である。
【請求項6】
コドラッグが構造式:(R1−L)m2(L2−R3nで表される請求項1の医薬組成物;但し、第一構成成分はR1であり;第二構成成分はR2であり;第三構成成分はR3であり;R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、鎮痛剤、抗炎症性ステロイド剤(コルチコステロイド)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、抗生物質、抗真菌剤、抗ウィルス剤、抗増殖剤、抗緑内障剤、免疫調節剤、細胞輸送/移動阻害剤、サイトカイン及びペプチド/蛋白質、α−ブロッカー剤、抗アンドロゲン剤、抗コリン作動薬、アドレナリン作動薬、プリン作動薬、ドーパミン作動薬、局所麻酔薬、バニロイド、抗血管形成薬、亜酸化窒素阻害剤、抗アポトーシス剤、マクロファージ活性化阻害剤、並びに代謝拮抗物質の群から選ばれる化合物の残基を表し;mは1〜4の整数であり;nは1〜4の整数であり;L及びL2はそれぞれ独立して、直接結合又は結合基である。
【請求項7】
1は、ジクロフェナク、エトドラック、ケトロラク、インドメタシン、サリチル酸、スリンダク、トルメチン、ナブメトン、ピロキシカム、アセトアミノフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、アスピリン、コリンマグネシウムトリサルチレート、ジフルニサル、メクロフェナム酸、メフェナム酸、フェニルブタゾン、又はそれらの塩の残基である請求項4,5,又は6の医薬組成物。
【請求項8】
2は、ジクロフェナク、エトドラック、ケトロラク、インドメタシン、サリチル酸、スリンダク、トルメチン、ナブメトン、ピロキシカム、アセトアミノフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、アスピリン、コリンマグネシウムトリサルチレート、ジフルニサル、メクロフェナム酸、メフェナム酸、フェニルブタゾン、又はそれらの塩の残基である請求項4,5,又は6の医薬組成物。
【請求項9】
1は、アリトレチノイン(9−シス−レチノイン酸);アミホスチン;bexarotene(4−[1−(5,6,7,8−テトラヒドロ−3,5,5,8,8−ペンタメチル−2−ナフタレニル)エテニル]安息香酸);ブレオマイシン;カペシタビン(5'−デオキシ−5−フルオロ−シチジン);クロラムブシル;ブレオマイシン;BCNU;クラドリビン;シタラビン;ダウノルビシン;ドセタキセル;ドキソルビシン;エピルビシン;エストラムスチン;エトポシド;エキセメスタン(6−メチレンアンドロスタ−1,4−ジエン−3,17−ジオン);フルダラビン;5−フルオロウラシル;ゲムシタビン;ヒドロキシウレア;イダルビシン;イリノテカン;メルファラン;メトトレキサート;ミトキサントロン;パクリタキセル;ペントスタチン;ストレプトゾシン;テモゾールアミド;テニポシド;トムデックス;トポテカン;バルルビシン(N−トリフルオロアセチルアドリアマイシン−14−バレレート);又はビノレルビンの残基である請求項4,5,又は6の医薬組成物。
【請求項10】
2は下式で表される化合物の残基である請求項4,5,又は6の医薬組成物:
【化1】

但し、R1は=O、−OH、又は−(CH21〜4Clであり;
R2はH、C1〜4アルキル、Cl又はBrであり;
R4はH、F、又はClであり;
R5はH、F、Cl、CH3、又は−CHOであり;
R6はH、OH、又はClであり;
R7はH、OH、CH3、O−COCH3、O(CO)OCH2CH3、O−(CO)−2−フラニル、又はO−C(O)−(CH22CH3であり;
R8はH、CH3、OH、=CH2、又はR7及びR8は共に、隣接した炭素原子と結合して下記化合物を形成し:
【化2】

R9はCH3、CH2OH、CH2O(CO)CH3、CH2−O−C1〜4アルキル、CH2Cl、−OCH2Cl、−CH2−N−(N'−メチル)ピペラジニル、−CH2−O−(CO)−CH2−N(Et)2、エチル、CH2SH、CH2O(CO)C1〜4アルキル、CH2(CO)C(2−プロピル)−NH(CO)C65、又は−S−CH2−Fであり;
【化3】

で表される結合は二重結合又は一重結合のいずれかである。
【請求項11】
2は、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニソン、クロベタゾール、クロコルトロン、クロプレドノル(cloprednol)、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾル(cortivazol)、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフプレドネート(difuprednate)、エノクソロン、フルアザコルト(fluazacort)、フルクロロニド(flucloronide)、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロンアセテート、フルプレドニデンアセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカソン、ホルモコルタル(formocortal)、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、ハイドロコルチゾン、ロテプレドノール・エタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニソン、メチルプレドニゾロン、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニソン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン(rimexolone)、チキソコルトル(tixocortol)、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド(benetonide)、トリアムシノロンヘキサアセトニド、並びにそれらの塩、の残基である請求項4,5,又は6の医薬組成物。
【請求項12】
第一構成成分は第二構成成分と同じである請求項1の医薬組成物。
【請求項13】
第一構成成分は第二構成成分と異なる請求項1の医薬組成物。
【請求項14】
医薬組成物に含有される水は15重量%未満である請求項1の医薬組成物。
【請求項15】
医薬組成物に含有される水は10重量%未満である請求項1又は14の医薬組成物。
【請求項16】
医薬組成物は約5重量%〜約90重量%のコドラッグを含有する請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項17】
ヒドロゲル形成化合物は物理ゲルを形成する請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項18】
医薬組成物はインプラント、注入(注射)、挿入、又は適用前に水和される請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項19】
上記ヒドロゲル形成化合物はヒアルロン酸又はその誘導体である請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項20】
上記組成物は、インプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能な単回投薬形状である請求項1の医薬組成物。
【請求項21】
上記組成物は、インプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能な部分(partial)投薬形状である請求項1の医薬組成物。
【請求項22】
組成物は、インプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能な、ペレット、錠剤、商標カプレット、又はカプセル形状である請求項1〜6、20及び21いずれか1項の医薬組成物。
【請求項23】
組成物は、インプラント可能、注入可能、挿入可能又は適用可能なペレット形状である請求項22の医薬組成物。
【請求項24】
上記ペレットは、直径約0.1mm〜約5.0mmである請求項23の医薬組成物。
【請求項25】
上記ペレットは、長さ約0.3mm〜約3.0mmである請求項23の医薬組成物。
【請求項26】
上記ペレットは18ゲージ針適用のためのサイズである請求項23の医薬組成物。
【請求項27】
上記ペレットは、重さ約0.5g〜約5gである請求項23の医薬組成物。
【請求項28】
更に、医薬的に許容できる、キャリア、賦形剤、溶媒、アジュバント、添加剤、希釈剤、分散剤及び界面活性剤の群から選ばれた少なくとも一種を含有する請求項1〜6又は16いずれか1項の医薬組成物。
【請求項29】
上記医薬的に許容できるキャリアは生体適合性ポリマーを含有する請求項28の医薬組成物。
【請求項30】
上記ポリマーは、コラーゲン、カルボキシビニルポリマー(商品名carbopol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ(無水物)、ポリ乳酸、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、及びポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)の群から選ばれる請求項29の医薬組成物。
【請求項31】
上記医薬的に許容できる添加剤は、アルギン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、及びCaHPO4の群から選ばれる請求項28の医薬組成物。
【請求項32】
体内に置かれた場合に水和されて薬を放出し、薬の放出速度がヒドロゲル中のコドラッグの溶解により制御される請求項1の医薬組成物。
【請求項33】
体内に置かれた場合に水和されて薬を放出し、ヒドロゲルを通過する薬分子又はイオンの拡散係数は、周囲の体液を通過する薬分子又はイオンの拡散係数と実質的に同一である請求項1の医薬組成物。
【請求項34】
第一及び第二構成成分は、第一構成成分の官能基と第二構成成分の官能基との間に形成された共有結合を通して直接結合されている請求項1の医薬組成物。
【請求項35】
第一及び第二構成成分は、第一及び第二構成成分にその官能基により共有結合している結合基を介して互いに結合している請求項1の医薬組成物。
【請求項36】
第一構成成分はNSAID薬である請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項37】
第二構成成分は鎮痛剤である請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項38】
第一構成成分はジクロフェナク又はケトロラクであり、第二構成成分はモルヒネである請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項39】
第一構成成分は抗増殖剤で第二構成成分はNSAID薬であり、第一構成成分はフロクスウリジンではなく、第一構成成分が5−フルオロウラシルである場合には第二構成成分はフルルビプロフェン又はインドメタシンではない請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項40】
第一構成成分は抗増殖剤で第二構成成分はコルチコステロイド剤であり、抗増殖剤が5−フルオロウラシルである場合には、コルチコステロイドはフルオシノロンアセトニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デソキシメタゾン、又はハイドロコルチゾン−17−ブチレートではなく、抗増殖剤は1−β−アラビノフラノシルシトシン誘導体ではない請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項41】
コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグは、ヒドロゲル形成化合物中の粒子として分散している請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項42】
コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグは、ヒドロゲル形成化合物中に溶解されている請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項43】
コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグを、ヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する組成物中の少なくとも1の構成成分の治療的有効量を必要な患者へ与える治療方法であり、コドラッグは
(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに
(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、
上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生する方法。
【請求項44】
上記治療的有効量は、患者へ鎮痛性、抗炎症性、抗生物質効果、抗真菌性、抗ウィルス性及び/又は抗増殖性効果を引き起こすのに有効な量である請求項43の方法。
【請求項45】
コドラッグ組成物を滑膜性連結、線維性連結、若しくは軟骨性連結、又は上記連結(関節)の周囲の組織へインプラントすることを含む請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物の適用方法。
【請求項46】
コドラッグ組成物を滑膜性連結、線維性連結、若しくは軟骨性連結、又は上記連結(関節)の周囲の組織へ注入することを含む請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物の適用方法。
【請求項47】
約5〜約40個のペレットの、錠剤、商標カプレット、又はカプセルが滑膜性連結、線維性連結、若しくは軟骨性連結、又は上記連結(関節)の周囲の組織へ適用される請求項43、45又は46の方法。
【請求項48】
少なくとも1の生物学的活性成分の適用のため、コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグをヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する医薬組成物を、患者へインプラント、注入、又は挿入することを含む、生物学的活性剤を患者へ適用する方法であり;
コドラッグは(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生し;
上記組成物は、滑膜性連結、線維性連結、若しくは軟骨性連結、又は上記連結(関節)の周囲の組織へインプラントされ、注入され、挿入され、又は適用されるためのものである方法。
【請求項49】
少なくとも1の生物学的活性成分の適用のため、コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグをヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する医薬組成物を、患者へインプラント、注入、又は挿入することを含む、治療が必要な患者の細胞増殖の防止方法であり;
コドラッグは(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生し;
上記組成物は、コドラッグ、又はその医薬的に許容できる塩の少なくとも1の構成成分の治療的有効量を含有する方法。
【請求項50】
少なくとも1の生物学的活性成分の適用のため、コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグをヒドロゲル形成化合物との混合物として含有する医薬組成物を、患者へインプラント、注入、又は挿入することを含む、治療が必要な患者の炎症防止方法であり;
コドラッグは(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生し;
組成物はコドラッグ、又はその医薬的に許容できる塩の少なくとも1の構成成分の治療的有効量を含有する方法。
【請求項51】
滑膜性連結は顎、肩、膝、肘、股、足首、手首、指、又はつま先の関節部である請求項45又は46の方法。
【請求項52】
患者は自己免疫疾患、痛み、又は炎症の治療をされる請求項43の方法。
【請求項53】
自己免疫疾患は慢性関節リューマチである請求項52の方法。
【請求項54】
コドラッグ、又は医薬的に許容できるそれらの塩若しくはプロドラッグを提供し;コドラッグは
(a)少なくとも2の構成成分(それぞれの成分は生物学的活性化合物又はそれらのプロドラッグの残基であり、第一構成成分及び第二構成成分を含有する。)、並びに
(b)少なくとも2の構成成分に共有結合してコドラッグを形成する結合を含有し、上記結合は生理的条件下で開裂して構成成分を再生し;
コドラッグとヒドロゲル形成化合物とを組み合わせる医薬組成物の製造方法。
【請求項55】
コドラッグを含有する粉体をヒドロゲル形成化合物と組み合わせることを含む請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物の製造方法。
【請求項56】
コドラッグの少なくとも1の構成成分が、単独でも自己免疫疾患の治療に有効である請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項57】
コドラッグの少なくとも1の構成成分が、単独でも慢性関節リューマチ又は変形性関節炎の治療に有効である請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項58】
コドラッグの少なくとも1の構成成分が、単独でも痛みの処置に有効である請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項59】
コドラッグの少なくとも1の構成成分が、単独でも炎症の治療に有効である請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項60】
構成成分はステロイドである請求項1〜6いずれか1項の医薬組成物。
【請求項61】
更に生体適合性ポリマーを含有する請求項1〜6及び20いずれか1項の医薬組成物。
【請求項62】
コドラッグは医薬組成物中に約5重量%〜約90重量%で含有され、ヒドロゲル形成化合物は医薬組成物中に約10重量%〜約90重量%で含有され、生体適合性ポリマーは医薬組成物中に約0重量%〜約50重量%で含有される請求項61の医薬組成物。
【請求項63】
組成物は水を実質的に含まない請求項62の医薬組成物。
【請求項64】
生体適合性ポリマーは、コラーゲン、カルボキシビニルポリマー(商品名carbopol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ(無水物)、ポリ乳酸、ポリ(エチレングリコール)、及びポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)の群から選ばれる請求項62の医薬組成物。
【請求項65】
ポリ(エチレングリコール)、ヒアルロン酸、及びモルヒネへ共有結合したジクロフェナクのコドラッグ、を含有する医薬組成物。
【請求項66】
ジクロフェナク−モルヒネコドラッグは医薬組成物中に約5重量%〜約90重量%で含有され、ヒアルロン酸又はその誘導体は医薬組成物中に約10重量%〜約90重量%で含有され、ポリ(エチレングリコール)は医薬組成物中に約0重量%〜約50重量%で含有される請求項65の医薬組成物。
【請求項67】
組成物は1を超えるヒドロゲル形成化合物を含有する請求項1の医薬組成物。
【請求項68】
組成物は1を超えるポリマーを含有する請求項1の医薬組成物。
【請求項69】
請求項1〜6又は65〜66のいずれか1項の医薬組成物を含有する注入用ペレットであり、in vivoでヒドロゲルを形成するペレット。
【請求項70】
医薬組成物はインプラント、注入、挿入、又は適用の前に水和される、請求項43、45、46、48、49、及び50いずれか1項の方法。
【請求項71】
請求項1〜6、18及び64〜65いずれか1項の医薬組成物を、自己免疫疾患、痛み、又は炎症の治療又は予防のための組成物の(文字及び/又は図示された)使用説明書、及び任意で副作用及び薬−薬相互作用の可能性の注意書きとを組み合わせて含むキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−180383(P2012−180383A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145841(P2012−145841)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2003−561571(P2003−561571)の分割
【原出願日】平成15年1月21日(2003.1.21)
【出願人】(501224877)シヴィダ・インコーポレイテッド (15)
【Fターム(参考)】