説明

コネクタ付き光ファイバケーブル、コネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法

【課題】構造が簡単で、コネクタ全長を抑えることができ、フェルールと光ファイバケーブルとの間の機械的強度を低コストで容易に確保できる技術の開発。
【解決手段】光ファイバケーブル1先端部に、その端末から突出された光ファイバ2が内挿固定されたフェルール30の後端部32b、フェルール30からその後側に離隔配置した光ファイバケーブル1先端部、及びこれらを収容した熱収縮チューブ41を、熱収縮チューブ41の加熱収縮と該チューブ内側に配置した熱溶融性の接着材42の溶融後固化によって一体化した補強部40を形成した光コネクタ20を組み立てたコネクタ付き光ファイバケーブル10、その組立方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブル先端部に光コネクタが組み立てられたコネクタ付き光ファイバケーブル、及びその組立方法(コネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インドア光ファイバケーブル、ドロップ光ファイバケーブルに代表されるタイトバッファ形光ファイバケーブル(以下、光ファイバケーブル、又は単にケーブルとも言う)への光コネクタの取り付けは、いわゆる現場組立形光コネクタを用いる方法、若しくは空のファイバ孔が貫通するフェルールを有する工場組み立てタイプの光コネクタを組み立てる方法が採られている。
現場組立形光コネクタは、フェルールに予め内挿固定した短尺の光ファイバ(以下、内蔵光ファイバ)を有するものである。この現場組立形光コネクタは、内蔵光ファイバのフェルール前端面(接合端面)に位置する前端とは反対の後端に、ケーブル端末の外被覆を除去して露出させた光ファイバ先端を突き合わせ接続してケーブル先端に組み立てられる(例えば特許文献1)。
工場組立てタイプの光コネクタは、ケーブル端末の外被覆を除去して露出させた光ファイバを、フェルールを貫通するファイバ孔に内挿固定した後、前記フェルールを収容するハウジングを組み立ててケーブル端末に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−145951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現場組立形光コネクタのケーブル先端部への組み立ては、工場組み立てタイプの光コネクタを用いる場合に比べて、光ファイバ同士の接続点が1点増加する、接続点をコネクタ内部に収容する構造のためコネクタ全長が長くなる、コネクタ構造が複雑となりコスト高となる等の不満があった。また、現場組立形光コネクタは、ケーブル外被覆端末を引き留める引留手段を有することも構造の複雑化、コスト高の要因となっている。
一方、工場組み立てタイプの光コネクタは、光ファイバ同士の接続点を収容する必要が無く、現場組立形光コネクタに比べて構造が単純で、低コストである。しかしながら、工場組み立てタイプの光コネクタをケーブル先端部に組み立てた場合は、光ファイバケーブルの光ファイバにフェルールとケーブル外被覆先端との間に延在する部分があり、該部分の機械的強度が低いという問題がある。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて、構造が簡単で、コネクタ全長を抑えることができ、フェルールと光ファイバケーブルとの間の機械的強度を低コストで容易に確保できるコネクタ付き光ファイバケーブル、コネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、光ファイバケーブル先端部に、その端末から突出された光ファイバが内挿固定されたフェルールを有する光コネクタが組み立てられ、前記光コネクタに、前記フェルールの後端部、その後側に離隔配置した光ファイバケーブル先端部、およびこれらを収容しかつ熱溶融性の接着材を内部に配置した熱収縮チューブを、前記熱収縮チューブを加熱収縮させ内部の接着材を溶融後固化させることによって一体化した補強部を形成したコネクタ付き光ファイバケーブルを提供する。
第2の発明は、前記フェルールの後端部に、前記熱収縮チューブの引き抜き抵抗を増大する凸部が形成されている第1の発明のコネクタ付き光ファイバケーブルを提供する。
第3の発明は、前記熱収縮チューブの軸線方向に沿って延在する抗張力繊維が、熱収縮チューブの内側に配置あるいは熱収縮チューブに埋め込まれて、前記熱収縮チューブ周方向の複数箇所に概ね均等配置されている第1または2の発明のコネクタ付き光ファイバケーブルを提供する。
第4の発明は、光ファイバケーブル端末から突出させた光ファイバをフェルールに内挿固定し、内挿固定した前記フェルールの後端部と、その後側に離隔配置した光ファイバケーブル先端部とを、予め熱溶融性の接着材を内部に配置した熱収縮チューブに収容し、収容した前記熱収縮チューブを加熱収縮させて前記熱収縮チューブ内の前記接着材を溶融後固化させることで、前記フェルールの後端部と光ファイバケーブル先端部と前記熱収縮チューブとが一体化した補強部を形成するステップを含むコネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法を提供する。
第5の発明は、前記フェルールの後端部に、前記熱収縮チューブの引き抜き抵抗を増大する凸部が形成されている第4の発明のコネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法を提供する。
第6の発明は、前記熱収縮チューブとして、その軸線方向に沿って延在する抗張力繊維が、熱収縮チューブの内側に配置あるいは熱収縮チューブに埋め込まれて、前記熱収縮チューブ周方向の複数箇所に概ね均等配置されているものを用い、前記フェルールの後端部と光ファイバケーブル先端部とを、これらの周囲に前記抗張力繊維が配置されるようにして、前記熱収縮チューブの内側に収容し、該熱収縮チューブを加熱収縮させる第5の発明のコネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法を提供する。
第7の発明は、前記熱収縮チューブとして、その長手方向中央部内面に沿うリング状に前記接着材が設けられたものを用い、前記接着材の内側に、前記フェルールの後端部と光ファイバケーブル先端部とを収容して前記熱収縮チューブを加熱収縮させる第4〜6のいずれか1つひとつの発明のコネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光ファイバケーブル端末に組み立てた光コネクタ内に設けられる補強部は、フェルール後端部と光ファイバケーブル先端部と熱収縮チューブとを一体化した構成であるため、フェルール後端部と光ファイバケーブル先端部との間の機械的強度を容易に確保できる。補強部は構造が単純であり、低コストで簡単に組み立てることができる。さらに、前記補強部は、小型化も容易であるため、コネクタのサイズに影響を与えることを回避できる。
また、前記光コネクタは、光ファイバケーブル端末から突出させた光ファイバをフェルールに直接内挿固定した構造であるため、光ファイバの接続点を収容する必要が無い。この光コネクタは、光ファイバケーブルを引き留める引留手段が不要であり、光ファイバ同士を突き合わせ接続した接続点を収容する構成の現場組立形光コネクタに比べて構造が単純で、コネクタ全長を抑えることができ、低コスト化も容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の1実施形態のコネクタ付き光ファイバケーブルの光コネクタ付近の構造を示す斜視図である。
【図2】図1の光コネクタの構造を示す断面図である。
【図3】図1の光コネクタの構造を示す分解斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、本発明に係る実施形態のコネクタ付き光ファイバケーブル組立方法のフェルール取り付け工程を説明する図である。
【図5】本発明に係る実施形態のコネクタ付き光ファイバケーブル組立方法のフェルール取り付け工程を説明する図である。
【図6】本発明に係る実施形態のコネクタ付き光ファイバケーブル組立方法の補強部形成工程に用いる接着材付き熱収縮チューブの一例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る実施形態のコネクタ付き光ファイバケーブル組立方法の補強部形成工程を説明する図である。
【図8】本発明に係る実施形態のコネクタ付き光ファイバケーブル組立方法の補強部形成工程に用いる熱板の一例を示す斜視図である。
【図9】(a)〜(c)は、本発明に係る実施形態のコネクタ付き光ファイバケーブル組立方法の補強部形成工程に用いる接着材付き熱収縮チューブの他の例を示す斜視図である。
【図10】図1のコネクタ付き光ファイバケーブルの光ファイバケーブルの構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図3に示すように、ここで説明する実施形態のコネクタ付き光ファイバケーブル10は、光ファイバケーブル1の先端部に光コネクタ20を組み立てたものである。
【0010】
図10に示すように、光ファイバケーブル1は、タイトバッファ形光ファイバケーブルであり、光ファイバ2と、可撓性を有する線状の抗張力体3とを互いに並行になるように合成樹脂製の外被4によって一括被覆した構成のものである。
抗張力体3としては、例えばアラミド繊維等の抗張力繊維からなるものや、鋼線等を挙げることができる。抗張力体3は、光ファイバ2の両側に光ファイバ2に沿って延在配置されている。
光ファイバ2は、裸光ファイバ2aの外周面(側面)を被覆2bで覆った構成の被覆付き光ファイバである。この光ファイバ2としては、例えば光ファイバ心線や光ファイバ素線等が挙げられる。裸光ファイバ2aは、例えば石英系光ファイバである。また、被覆2bは、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆である。
この光ファイバケーブル1としては、インドアケーブル、ドロップケーブル等が挙げられる。
【0011】
図2、図3に示すように、光コネクタ20は、光ファイバケーブル1端末から突出された光ファイバ2が内挿固定されたフェルール30をスリーブ状のハウジング21に収容した概略構成となっている。
図示例の光コネクタ20は、具体的には、SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector。JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ)のハウジング21、つまみ22(カップリング)、ブーツ23を用いて組み立てられている。また、この光コネクタ20は、ハウジング21内に、フェルール30をコネクタ前側(図2左側)へ弾性付勢するスプリング26を有している。
【0012】
前記ハウジング21は、その前側部分を構成するプラグフレーム24後端部に、スリーブ状のストップリング25の前端部を嵌合(内嵌め)して組み付けたものである。図示例の光コネクタ20のプラグフレーム24は角筒状、ストップリング25は円筒状に形成されている。
前記つまみ22は、角筒状であり、ハウジング21に外挿して、ハウジング21の軸線方向に若干の可動範囲を確保してスライド移動可能に組み付けられている。
【0013】
前記フェルール30は、単心光コネクタ(ここではSC形光コネクタ)用のフェルールであり、キャピラリ状のフェルール本体31に、スリーブ状のフランジ部品32を固定した構成になっている。
前記フェルール本体31の形成材料としては、例えば、ジルコニア等のセラミック、ガラスを採用できる。また、このフェルール本体31には、円筒状の該フェルール本体31の中心軸線と同軸に延在する微細孔であるファイバ孔31aが貫設されている。
【0014】
図2〜図4(a)、(b)に示すように、前記フランジ部品32は、例えば金属製の一体成形品であるが、金属製のものに限定されず例えば硬質のプラスチック製のもの等も採用可能である。このフランジ部品32は、フェルール本体31前端の接合端面31bとは反対の後端部に外挿固定された固定リング部32aと、該固定リング部32aから後側(フェルール本体31の接合端面31bとは反対の側)へ延出するスリーブ部32bとを有する。スリーブ部32bは、前記固定リング部32aと同軸の内側孔32cを有する筒状に形成されている。また、前記固定リング部32aの前端部(スリーブ部32bとは反対側の端部)には、その外周全周にわたって突出するフランジ部32dが周設されている。このフランジ部32dは、フェルール30のフランジ部として機能するものである。
【0015】
図2に示すように、光ファイバケーブル1端末(先端)から突出された光ファイバ2は、具体的には、光ファイバ2の先端部に口出しされた裸光ファイバ2aをフェルール本体31のファイバ孔31aに内挿固定し、光ファイバ2の被覆2bによって覆われた部分(被覆部)をフランジ部品32のスリーブ部32bの内側孔32cに内挿固定している。光ファイバ2は、例えば、フェルール30のファイバ孔31a及び内側孔32cに充填した接着材によって、フェルール30に対して接着固定される。光ファイバ2は、ファイバ孔31a及び内側孔32cからなるフェルール30のファイバ内挿孔33に内挿固定される。
また、フェルール本体31の接合端面31bには研磨が施されている。光ファイバ2の裸光ファイバ2aの先端(前端)面は、フェルール本体31の接合端面31bに位置合わせされている。裸光ファイバ2aの先端面は、フェルール本体31の接合端面31bと連続する面に研磨されている。
【0016】
光コネクタ20のブーツ23は、ストップリング25外周に組み付けられたスリーブ状取付部23aと、この前側スリーブ部23aから、前記ストップリング25後方(プラグフレーム24とは反対の側)へ延出する柔軟性のテーパ筒部23bとを有する。テーパ筒部23bは、前側スリーブ部23aから後側へ行くにしたがって先細りのテーパ状に形成されている。
光ファイバケーブル1は、ブーツ23のテーパ筒部23b内側に引き通され、光コネクタ20のハウジング21内に引き込まれている。光ファイバケーブル1の先端部は、フェルール30(具体的にはフランジ部品32のスリーブ部32b後端)からその後側に離隔させて配置されている。
【0017】
図2に示すように、前記光コネクタ20は、ハウジング21内に、フェルール30のフランジ部品32のスリーブ部32bと、光ファイバケーブル1の先端部と、これらを収容した熱収縮チューブ41とを、前記熱収縮チューブ41内側に充填された接着材42によって一体化してなる補強部40を有する。
前記熱収縮チューブ41は、その軸線方向一端部をフェルール30のフランジ部品32のスリーブ部32b(以下、フェルール30の後側スリーブ部32bとも言う)に外挿固定し、軸線方向他端部を光ファイバケーブル1の先端部に外挿固定して設けられている。
【0018】
フェルール30のフランジ部品32のスリーブ部32bの外周には、前記熱収縮チューブ41の引き抜き抵抗を増大する凸部32eが突設されている。図2〜図4(a)、(b)に例示する前記凸部32eは、前記スリーブ部32b外周の周方向に沿って延在するフランジ状に形成されている。また、前記凸部32eは、前記スリーブ部32bの軸線方向の複数箇所に形成されている。
フェルール30の後側スリーブ部32bに外挿固定された前記熱収縮チューブ41は、スリーブ部32b外周の前記凸部32eの存在による凹凸形状に沿う凹凸形状をなして、スリーブ部32b外周に圧接している。このため、フェルール30の後側スリーブ部32bに外挿固定された前記熱収縮チューブ41は、スリーブ部32bからその軸線方向の抜き去り力が高められており、スリーブ部32bに対するその軸線方向の位置ずれが防止されている。
【0019】
接着材42(具体的には接着材42が固化してなる樹脂)は、フェルール30の後側スリーブ部32b(フェルール30の後端部)と、その後側に離隔させて配置された光ファイバケーブル1の先端部との間に充填されている。光ファイバケーブル1から突出する光ファイバ2のうち、フェルール30と光ファイバケーブル1(外被4によって被覆された被覆部)との間に延在する部分(以下、中間延在部2cとも言う)は、接着材42中に埋設、一体化されている。
【0020】
接着材42としては、ホットメルト樹脂からなる熱溶融性接着材を好適に使用できる。
この実施形態においては、接着材42としてホットメルト樹脂からなる熱溶融性接着材を用いている。
ホットメルト樹脂としては、例えば、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリアミド、エチレン―アクリル酸エステル共重合体などを挙げることができる。
【0021】
光ファイバケーブル1の光ファイバ2の中間延在部2cを接着材42が固化してなる樹脂中に埋設、一体化した構成は、例えば光ファイバケーブル1の光コネクタ20から後側へ延出した部分から作用する引っ張り力や、コネクタ嵌合時のフェルール30のプッシュバックに伴う変位力といった外力が中間延在部2cに集中的に作用することを回避できる。その結果、中間延在部2cの座屈、断線等を生じにくくし、機械的耐久性を向上できるといった利点がある。
また、この構成は、中間延在部2cを埋設、一体化した樹脂に若干の変形が可能である。このため、例えば、光ファイバケーブル1の光コネクタ20に対するサイドプル(光コネクタ20のハウジング21の軸線に垂直の仮想垂直面に沿う方向への引っ張り)などによって、補強部40に曲げ力が与えられたときには、補強部40が適宜弾性変形する。これにより、ハウジング21の局所的な応力集中による破壊を防ぐことができる。
【0022】
光コネクタ20のスプリング26は、補強部40に外挿して、ストップリング25前端とフェルール30のフランジ部32dとの間に介挿されている。
フェルール30のフランジ部32dは、スプリング26の弾性付勢力によって、プラグフレーム24内面に突設されたストッパ突起24aにその後側(図2右側)から当接されている。フェルール30は、フランジ部32dがプラグフレーム24のストッパ突起24aに当接する位置から、スプリング26の弾性付勢力に抗して、コネクタ後側へ押し込み(プッシュバック)可能である。
フェルール30は、フランジ部32dがプラグフレーム24のストッパ突起24aに当接する位置がハウジング21に対する前進限界位置となっている。
【0023】
コネクタ付き光ファイバケーブル10の組み立て(コネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法)は、まず、図5に示すように、光ファイバケーブル1端末から突出させた光ファイバ2の先端部にフェルール30を取り付けるフェルール取り付け工程を行う。このフェルール取り付け工程は、前記光ファイバ2をフェルール30のファイバ内挿孔33に内挿して、接着固定等によってフェルール30に固定する。
図4(a)、(b)に示すように、光ファイバケーブル1の先端部は、フェルール30(具体的にはフランジ部品32のスリーブ部32b後端)からその後側に離隔させて配置されるようにする。光ファイバケーブル1は、その端末から突出させた光ファイバ2の突出長に、フェルール30のファイバ内挿孔33全長よりも長い長さを確保することで、フェルール30後端から後側に離隔した位置に配置できる。光ファイバケーブル1の先端部とフェルール30後端との間には、1mm以上の離隔距離Cを確保することが好ましい。
【0024】
なお、フェルール取り付け工程において、光コネクタ20の組み立てに用いる、ストップリング25、ブーツ23、スプリング26、接着材付き熱収縮チューブ43(後述)は、光ファイバケーブル1に外挿して、作業の邪魔にならないように、光ファイバケーブル1先端部から離隔した位置に配置しておく。
但し、ストップリング25、ブーツ23、スプリング26、接着材付き熱収縮チューブ43(後述)は、フェルール取り付け工程後の工程において、順次、光ファイバケーブル1の先端部とは反対側の端部(後端部)から光ファイバケーブル1に外挿して光コネクタ20の組み立てに使用しても良い。
【0025】
フェルール取り付け工程が完了したら、次に、フェルール30の後側スリーブ部32bと、光ファイバケーブル1の先端部とを熱収縮チューブ41の内側に収容し、前記補強部40を形成する工程(補強部形成工程)を行う。
図6に示すように、この補強部形成工程(補強部を形成するステップ)では、円筒状の熱収縮チューブ41の長手方向中央部内面に沿って、熱溶融性接着材42をリング状に設けてなる接着材付き熱収縮チューブ43を用いる。熱溶融性接着材42は、加熱溶融させたホットメルト樹脂の熱収縮チューブ41内面への塗布、あるいはホットメルト樹脂を予めリング状に成形した樹脂リングの熱収縮チューブ41内側への嵌め込み、熱溶着、別途接着材を用いた接着固定等によって熱収縮チューブ41内に設けられる。熱収縮チューブ41内にその内面に沿うリング状に設けた熱溶融性接着材42を、以下、リング状接着材層42aとも言う。
【0026】
熱収縮チューブ41としては、熱収縮性の樹脂からなるものが使用され、例えば100〜160℃で収縮するポリオレフィンなどが使用できる。
熱溶融性接着材42としては、熱収縮チューブ41の収縮温度において溶融するものを用いる。この溶融温度は、例えば100〜160℃である。
【0027】
この補強部形成工程では、光ファイバケーブル1に外挿されている接着材付き熱収縮チューブ43を光ファイバケーブル1長手方向に沿って移動して、図7に示すように、フェルール30の後側スリーブ部32bと光ファイバケーブル1の先端部とに接着材付き熱収縮チューブ43を被せる(外挿する)。また、このとき、接着材付き熱収縮チューブ43は、リング状接着材層42aを中間延在部2c全体に被せるように配置する。接着材付き熱収縮チューブ43は、中間延在部2c全体に被せることができるサイズに形成したリング状接着材層42aを有するものを用いる。
図7に示す図示例の接着材付き熱収縮チューブ43のリング状接着材層42aは、熱収縮チューブ41軸線方向の寸法が、中間延在部2cの軸線方向寸法に比べて若干長く、かつ、熱収縮チューブ41の軸線方向の寸法に比べて短く形成されている。熱収縮チューブ41は、その軸線方向において、中央部のみに形成されたリング状接着材層42aを介して両側に、リング状接着材層42aに覆われていない内面を有する。
【0028】
補強部形成工程は、次いで、接着材付き熱収縮チューブ43を熱収縮チューブ41の収縮温度以上の温度に加熱する。これにより、熱収縮チューブ41を収縮させるとともに、フェルール30の後側スリーブ部32bと光ファイバケーブル1の先端部との間を、溶融させた熱溶融性接着材42によって埋め込む。光ファイバケーブル1の光ファイバ2の中間延在部2cは熱溶融性接着材42中に埋め込まれる。
次いで、空冷等によって接着材付き熱収縮チューブ43を熱溶融性接着材42の溶融温度よりも低い温度まで降温し、熱溶融性接着材42を固化させる。これにより、フェルール30の後側スリーブ部32bと、光ファイバケーブル1の先端部と、熱収縮チューブ41とを熱溶融性接着材42によって固着して一体化した補強部40を形成できる。補強部40の形成によって補強部形成工程は完了する。なお、形成された補強部40には、光ファイバケーブル1の光ファイバ2の中間延在部2cも熱溶融性接着材42によって一体化されている。
【0029】
熱収縮チューブ41は、加熱収縮によって、フェルール30の後側スリーブ部32bと、光ファイバケーブル1の先端部とにそれぞれ圧着状態となる。
また、補強部形成工程において、接着材付き熱収縮チューブ43は、フェルール30の後側スリーブ部32bに外挿する部分の内面、及び光ファイバケーブル1先端部に外挿する部分の内面に、例えばエポキシ系接着材等の液状の接着材を塗布して使用することも可能である。この液状接着材は、熱収縮チューブ41の長手方向における、中央部のリング状接着材層42aを介して両側の内面(リング状接着材層42aに覆われていない内面)に塗布する。これにより、フェルール30の後側スリーブ部32b、及び光ファイバケーブル1先端部に対する熱収縮チューブ41の固定力を高めることができる。
【0030】
図7に例示したように、補強部形成工程において、接着材付き熱収縮チューブ43は、リング状接着材層42aの軸線方向両端の端面付近(軸線方向の両端部)の一方を、フェルール30の後側スリーブ部32b、他方を光ファイバケーブル1先端部に外挿した状態で加熱することが、補強部40の形状安定化の点で好ましい。
接着材付き熱収縮チューブ43は、例えば、リング状接着材層42aを中間延在部2cのみに外挿した状態に配置して加熱することも可能である。但し、図7のフェルール30の後側スリーブ部32b、及び光ファイバケーブル1先端部に対する接着材付き熱収縮チューブ43の配置の場合は、リング状接着材層42aを中間延在部2cのみに外挿した場合に比べて、接着材付き熱収縮チューブ43の加熱によって形成される補強部40の形状を安定化させることができる。また、接着材付き熱収縮チューブ43は、図7に例示したように、リング状接着材層42aの軸線方向一端部を、フェルール30の後側スリーブ部32bの後端部、他端部を光ファイバケーブル1の外被4の先端面付近に外挿した状態で加熱することが、補強部40の形状安定化の点で好ましい。
【0031】
この原因は、さらなる検証を要する所であるが、その一因として、熱収縮チューブ41の加熱収縮に伴う熱収縮チューブ41内側からの脱気性が想定される。
リング状接着材層42aを中間延在部2cのみに外挿した場合は、接着材付き熱収縮チューブ43を加熱して熱収縮チューブ41を収縮させたときに、フェルール30の後側スリーブ部32b及び光ファイバケーブル1先端部に熱収縮チューブ41が圧着状態となった後も、熱収縮チューブ41の中間延在部2cに外挿した部分の収縮が進行する。フェルール30の後側スリーブ部32b及び光ファイバケーブル1先端部に熱収縮チューブ41が圧着状態となれば、熱収縮チューブ41内側からの脱気性が低下するので、それ以降に熱収縮チューブ41の中間延在部2cに外挿した部分の収縮が進行すると、熱収縮チューブ41内側で高圧になった空気が熱収縮チューブ41を部分的に強制的に押し広げて移動する現象が生じる。そして、この現象が、補強部40の形状を不安定にする原因のひとつと考えられる。
【0032】
これに対して、図7の配置の場合は、接着材付き熱収縮チューブ43を加熱して熱収縮チューブ41を収縮させたときに、フェルール30の後側スリーブ部32b及び光ファイバケーブル1先端部からの熱収縮チューブ41の距離が遠い分、フェルール30の後側スリーブ部32b及び光ファイバケーブル1先端部に熱収縮チューブ41が圧着状態となる前に、熱収縮チューブ41の中間延在部2cに外挿した部分の収縮がある程度進行している。フェルール30の後側スリーブ部32b及び光ファイバケーブル1先端部に熱収縮チューブ41が圧着状態となったときには、リング状接着材層42aを中間延在部2cのみに外挿した場合に比べて、熱収縮チューブ41の中間延在部2cに外挿した部分の収縮は大きく進行している。このため、図7の配置の場合は、フェルール30の後側スリーブ部32b及び光ファイバケーブル1先端部に熱収縮チューブ41が圧着状態となる前に、熱収縮チューブ41の中間延在部2cに外挿した部分の収縮によって、該部分の内側の空気がすでにある程度押し出されている。したがって、図7の配置の場合は、リング状接着材層42aを中間延在部2cのみに外挿した場合に比べて、熱収縮チューブ41内側で高圧になった空気が熱収縮チューブ41を部分的に強制的に押し広げて移動する現象の発生が抑えられ、補強部40の形状安定性を高めることができると思われる。
【0033】
接着材付き熱収縮チューブ43の加熱は、例えばその全体を一様に加熱することも可能であるが、例えば、図8に例示する熱板50を用いて行うことも可能である。
図8に例示した熱板50は、細長板状の金属板51の片面の長手方向中央部に、該片面の長手方向に直交する幅方向に沿って電熱線52を取り付けたものである。この熱板50は、電熱線52に通電して金属板51を加熱することで、金属板51の長手方向中央部から長手方向両端へ向かって熱を伝搬できる。
【0034】
この熱板50を用いた接着材付き熱収縮チューブ43の加熱は、金属板51の長手方向を細長形状の熱収縮チューブ41の軸線方向(長手方向)に揃えて、金属板51の電熱線52が配置されている裏面とは反対の表面を熱収縮チューブ41の外周面に当接させる。また、熱板50は、金属板51表面を熱収縮チューブ41の外周面に当接させる際に、金属板51の長手方向中央部の電熱線52の配置位置を、熱収縮チューブ41の中間延在部2cに外挿した部分の軸線方向中央部に位置合わせする。これにより、電熱線52に通電して金属板51を加熱することで、接着材付き熱収縮チューブ43の加熱が、熱収縮チューブ41の中間延在部2cに外挿した部分の軸線方向中央部から軸線方向両端に向かって進行する。その結果、リング状接着材層42aの溶融、熱収縮チューブ41の収縮が、熱収縮チューブ41の中間延在部2cに外挿した部分の軸線方向中央部から軸線方向両端に向かって進行することになり、熱収縮チューブ41内側からの空気の円滑な排出に有効に寄与する。
【0035】
図8に例示した熱板50は、細長板状の金属板51を用いた構成であるが、例えば細長板状の金属板51にかえて、熱収縮チューブ41外周に概ね合致する曲率で湾曲する円弧板状の金属板を用いた構成も採用可能である。
【0036】
接着材付き熱収縮チューブ43の熱収縮チューブ41は、後の工程で組み立てる光コネクタ20のハウジング21の後端(ストップリング25後端)から後側に突出しないように、その長さ、及び光ファイバケーブル1に対する外挿位置を調整しておく。
図2において、熱収縮チューブ41(補強部40の一部を構成する熱収縮チューブ41)は、フェルール30側の前端とは反対の後端が、ストップリング25の長手方向中央部に位置する。熱収縮チューブ41としては、例えば、その後端がストップリング25後端から後側に突出しない範囲で、図2の例に比べて長さを長くして、後端をストップリング25後端付近に位置させることも可能である。
【0037】
補強部形成工程が完了したら、光コネクタ20のハウジング21を組み立ててハウジング21内にフェルール30を収容する(ハウジング組み立て工程)。
このハウジング組み立て工程では、フェルール30をプラグフレーム24に内挿するともに、光ファイバケーブル1に外挿されているストップリング25、ブーツ23、スプリング26を光ファイバケーブル1長手方向に沿って前側(フェルール30側)へ移動し、ストップリング25の前端部をプラグフレーム24に嵌合(具体的には内嵌め)して組み付け、ハウジング21を組み立てる。
図3に示すように、プラグフレーム24後端部両側には、ストップリング25の前端部両側に突設されている係合突起25aが嵌め込まれる係止孔24bが形成されている。ストップリング25は、その前端部をプラグフレーム24内側に該プラグフレーム24の後端から挿入し、前端部両側の係合突起25aを、プラグフレーム24後端部両側の係止孔24bに嵌め込んでプラグフレーム24に嵌合、固定される。
また、このハウジング組み立て工程では、ハウジング21の組み立て後に、つまみ22をハウジング21にその前側から外挿して組み付ける。
【0038】
また、このハウジング組み立て工程では、ハウジング21の組み立てが完了した状態(つまみ22を組み付けていない状態)、あるいはつまみ22の組み付けも完了した状態にて、フェルール本体31先端(前端)の研磨を行う(研磨工程)。これにより、フェルール本体31の接合端面31bとともに、フェルール本体31に内挿固定された光ファイバ2の先端面をも、接合端面31bと連続する研磨面とする。
【0039】
ブーツ23は、予めストップリング25に組み付けた状態で光ファイバケーブル1に外挿して、ハウジング組み立て工程にてストップリング25とともに前側に移動させるか、ストップリング25に組み付けていない状態で光ファイバケーブル1に外挿して、ハウジング組み立て工程にてストップリング25に組み付ける。
【0040】
研磨工程を含むハウジング組み立て工程が完了すれば、コネクタ付き光ファイバケーブル10の組み立てが完了する。
【0041】
前記コネクタ付き光ファイバケーブル10は、光コネクタ20内の補強部40が、フェルール30の後側スリーブ部32bと光ファイバケーブル1先端部と熱収縮チューブ41とを一体化した構成であるため、フェルール30の後側スリーブ部32bと光ファイバケーブル1先端部との間の機械的強度を容易に確保できる。補強部40は構造が単純であり、低コストで簡単に組み立てることができる。さらに、前記補強部40は、小型化も容易であるため、コネクタのサイズに影響を与えることを回避できる。図示例のように、コネクタ付き光ファイバケーブル10の光コネクタ20は、SC形光コネクタのハウジングを用いて組み立てることが可能である。
また、前記光コネクタ20は、光ファイバケーブル1端末から突出させた光ファイバ2をフェルール30に直接内挿固定した構造であるため、現場組立形光コネクタに比べて光ファイバの接続点が少ない。この光コネクタ20は、前記接続点を収容する必要が無く、光ファイバケーブルを引き留める引留手段も不要であるため、構造が単純で、コネクタ全長を抑えることができ、低コスト化も容易に実現できる。
【0042】
前記コネクタ付き光ファイバケーブル10の光ファイバケーブル1は、光コネクタ20のブーツ23に遊挿されており、ブーツ23に対してその軸線方向に移動可能になっている。前記光ファイバケーブル1は、ハウジング21に対して、その軸線方向に移動可能である。このため、コネクタ付き光ファイバケーブル10は、例えば、光ファイバケーブル1に光コネクタ20に対してその後方への引っ張り力が作用したとき、光ファイバケーブル1とフェルール30と補強部40とが一体的に、光コネクタ20のハウジング21に対してその後方へ変位する。また、コネクタ付き光ファイバケーブル10は、光コネクタ20のコネクタ嵌合時にフェルール30がプッシュバックしたときも、光ファイバケーブル1とフェルール30と補強部40とが一体的に、光コネクタ20のハウジング21に対してその後方へ変位する。
【0043】
コネクタ付き光ファイバケーブル10は、フェルール30と光ファイバケーブル1との間が補強部40によってしっかりと連結、一体化されている。このため、コネクタ付き光ファイバケーブル10は、光ファイバケーブル1に光コネクタ20に対してその後方への引っ張り力が作用したときや、フェルール30がプッシュバックしたときに、光ファイバケーブル1の光ファイバ2の中間延在部2cに引っ張りや曲げ等の力が集中的に作用することを回避できる。したがって、光ファイバケーブル1の光ファイバ2の中間延在部2cを引っ張り等の外力によって傷めてしまうことを防ぐことができる。
このコネクタ付き光ファイバケーブル10は、補強部40に高い機械的強度を確保できるため、例えばドロップケーブル等の比較的強い引っ張り力が作用する使用条件であっても、光特性を安定に確保できるとともに、充分な耐久性も得られる。
【0044】
図9(a)、(b)、(c)は、接着材付き熱収縮チューブ43の変形例を示す断面斜視図である。
図9(a)、(b)、(c)に示すように、接着材付き熱収縮チューブ43としては、熱収縮チューブ41の軸線方向に延在する抗張力繊維44を、熱収縮チューブ41の周方向に概ね均等配置した構成も採用可能である。
前記抗張力繊維44としては、例えばアラミド繊維を好適に用いることができるが、これに限定されず、例えばガラス繊維、炭素繊維なども使用できる。
【0045】
図9(a)に例示した接着材付き熱収縮チューブ43(図中符号43Aを付記する)は、前記抗張力繊維44を熱収縮チューブ41とリング状接着材層42aとの間に挟み込んで、熱収縮チューブ41にその軸線方向に沿って延在する向きで設けたものである。抗張力繊維44は、円筒状の熱収縮チューブ41の中心軸線を介して対向する両側に設けられている。
図9(b)に例示した接着材付き熱収縮チューブ43(図中符号43Bを付記する)は、図9(a)に例示した接着材付き熱収縮チューブ43Aの抗張力繊維44の本数を多くして、抗張力繊維44を、円筒状の熱収縮チューブ41の周方向の複数箇所に概ね均等配置したものである。
図9(c)に例示した接着材付き熱収縮チューブ43(図中符号43Cを付記する)は、熱収縮チューブとして、既述の熱収縮チューブ41にその軸線方向に沿って延在する抗張力繊維44が埋め込まれた構成の熱収縮チューブ41Aを採用したものである。抗張力繊維44は、円筒状の熱収縮チューブ41Aの周方向の複数箇所に概ね均等配置されている。
【0046】
抗張力繊維44を設けた構成の接着材付き熱収縮チューブ43を用いて形成した補強部40は、前記抗張力繊維44がコネクタ前後方向(ハウジング21の軸線方向)に沿って延在する構成となっている。抗張力繊維44を熱収縮チューブ41内側に配置した構成の接着材付き熱収縮チューブ43A又は43Bを用いて形成した補強部40は、加熱収縮した熱収縮チューブ41内の熱溶融性接着材42中に抗張力繊維44が埋め込まれて一体化された構成となっている。
抗張力繊維44を設けた構成の接着材付き熱収縮チューブ43を用いて形成した補強部40は、前記抗張力繊維44が該補強部40に作用する引っ張り力や曲げ力といった外力に対する強度を高める機能を果たす。
【0047】
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば光コネクタの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。光コネクタを組み立てる具体的手順も、光コネクタの具体的構成に応じて改変可能である。光コネクタとしては、フェルール及び該フェルールを収容するハウジングを有するが、つまみを有していないものも採用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…光ファイバケーブル、2…光ファイバ、2a…裸光ファイバ、2b…被覆、2c…中間延在部、10…コネクタ付き光ファイバケーブル、20…光コネクタ、21…ハウジング、30…フェルール、31…フェルール本体、31a…ファイバ孔、31b…接合端面、32…フランジ部品、32b…フェルールの後端部(フランジ部品のスリーブ部)、40…補強部、41、41A…熱収縮チューブ、42…接着材、熱溶融性接着材、42a…熱溶融性接着材(リング状接着材層)、43、43A、43B、43C…接着材付き熱収縮チューブ、44…抗張力繊維。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブル先端部に、その端末から突出された光ファイバが内挿固定されたフェルールを有する光コネクタが組み立てられ、
前記光コネクタに、前記フェルールの後端部、その後側に離隔配置した光ファイバケーブル先端部、およびこれらを収容しかつ熱溶融性の接着材を内部に配置した熱収縮チューブを、前記熱収縮チューブを加熱収縮させ内部の接着材を溶融後固化させることによって一体化した補強部を形成したコネクタ付き光ファイバケーブル。
【請求項2】
前記フェルールの後端部に、前記熱収縮チューブの引き抜き抵抗を増大する凸部が形成されている請求項1に記載のコネクタ付き光ファイバケーブル。
【請求項3】
前記熱収縮チューブの軸線方向に沿って延在する抗張力繊維が、熱収縮チューブの内側に配置あるいは熱収縮チューブに埋め込まれて、前記熱収縮チューブ周方向の複数箇所に概ね均等配置されている請求項1または2に記載のコネクタ付き光ファイバケーブル。
【請求項4】
光ファイバケーブル端末から突出させた光ファイバをフェルールに内挿固定し、
内挿固定した前記フェルールの後端部と、その後側に離隔配置した光ファイバケーブル先端部とを、予め熱溶融性の接着材を内部に配置した熱収縮チューブに収容し、
収容した前記熱収縮チューブを加熱収縮させて前記熱収縮チューブ内の前記接着材を溶融後固化させることで、前記フェルールの後端部と光ファイバケーブル先端部と前記熱収縮チューブとが一体化した補強部を形成する
ステップを含むコネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法。
【請求項5】
前記フェルールの後端部に、前記熱収縮チューブの引き抜き抵抗を増大する凸部が形成されている請求項4に記載のコネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法。
【請求項6】
前記熱収縮チューブとして、その軸線方向に沿って延在する抗張力繊維が、熱収縮チューブの内側に配置あるいは熱収縮チューブに埋め込まれて、前記熱収縮チューブ周方向の複数箇所に概ね均等配置されているものを用い、前記フェルールの後端部と光ファイバケーブル先端部とを、これらの周囲に前記抗張力繊維が配置されるようにして、前記熱収縮チューブの内側に収容し、該熱収縮チューブを加熱収縮させる請求項4又は5に記載のコネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法。
【請求項7】
前記熱収縮チューブとして、その長手方向中央部内面に沿うリング状に前記接着材が設けられたものを用い、前記接着材の内側に、前記フェルールの後端部と光ファイバケーブル先端部とを収容して前記熱収縮チューブを加熱収縮させる請求項4〜6のいずれか1項に記載のコネクタ付き光ファイバケーブルの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−114001(P2013−114001A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259495(P2011−259495)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】