コネクタ嵌合用治具、電気接続装置及びコネクタ嵌合方法
【課題】互いに隣接するコネクタを低操作力で効率良く相手側コネクタに嵌合させる。
【解決手段】複数のコネクタC2を各々含むコネクタ列L1、L2の各コネクタC2にコネクタC1を嵌合させるコネクタ嵌合用治具30A。この治具30Aは、各列L1、L2のコネクタC1、C2を各々嵌合させる第1嵌合用案内部31及び第2嵌合用案内部32を備える。第1嵌合用案内部31は、治具30Aを両コネクタ列L1、L2の隙間に挿入する往路操作に伴いコネクタC1、C2が嵌合するように軸部14、24を案内し、治具30Aを引き出す復路操作では、コネクタC1、C2の嵌合状態を維持する。第2嵌合用案内部32は、往路操作に伴いコネクタC2の軸部24を受け入れ、往路操作後、第2コネクタ列L2のコネクタC2に仮嵌合されるコネクタC1の軸部14を受け入れ、復路操作に伴いコネクタC1、C2が嵌合するように軸部14、24を案内する。
【解決手段】複数のコネクタC2を各々含むコネクタ列L1、L2の各コネクタC2にコネクタC1を嵌合させるコネクタ嵌合用治具30A。この治具30Aは、各列L1、L2のコネクタC1、C2を各々嵌合させる第1嵌合用案内部31及び第2嵌合用案内部32を備える。第1嵌合用案内部31は、治具30Aを両コネクタ列L1、L2の隙間に挿入する往路操作に伴いコネクタC1、C2が嵌合するように軸部14、24を案内し、治具30Aを引き出す復路操作では、コネクタC1、C2の嵌合状態を維持する。第2嵌合用案内部32は、往路操作に伴いコネクタC2の軸部24を受け入れ、往路操作後、第2コネクタ列L2のコネクタC2に仮嵌合されるコネクタC1の軸部14を受け入れ、復路操作に伴いコネクタC1、C2が嵌合するように軸部14、24を案内する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの嵌合作業に用いられるコネクタ嵌合治具、このコネクタ嵌合治具を含む電気接続装置及び前記コネクタ嵌合治具を用いたコネクタ嵌合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ同士の嵌合により電気的接続を行う電気接続装置として、例えば特許文献1に記載されるように、スライダのスライド操作によりコネクタ同士を嵌合させるものが知られている。この電気接続装置は、複数のコネクタ本体(分割コネクタ)、これらコネクタ本体が二列に配列された状態で保持されるホルダ、及びこのホルダに支持されるスライダを備えた第1コネクタと、前記ホルダが挿入可能なフード部が形成されたハウジングを有する第2コネクタとを含む。第1コネクタの各コネクタ本体には、その側面にガイドピン(軸部)が備えられており、スライダには前記ガイドピンを案内するガイド溝が形成されている。
【0003】
そして、コネクタ同士を嵌合する際には、前記コネクタ本体と共に第1コネクタのホルダを第2コネクタの前記フード部に嵌合、係止し、この状態でスライダをスライドさせて前記ガイドピンをガイド溝に沿って案内しつつコネクタ嵌合方向に移動させることで、第1コネクタ(各コネクタ本体)を第2コネクタに嵌合させる。つまり、この電気接続装置は、各列に並んだ複数のコネクタ本体をスライダのスライド操作に伴い順次第2コネクタに嵌合させることで、比較的小さい操作力でコネクタ同士の嵌合を行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−195612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような電気接続装置の構造は、例えば車両に配索されるワイヤハーネスと電気接続箱(J/B)等、コネクタ同士の嵌合作業の作業性を向上させる上で有用であるが、次のような欠点がある。
【0006】
(1)この電気接続装置では、スライダのスライド操作に伴い、複数のコネクタ本体のうち各列の互いに隣接する2つのコネクタ本体が同時に第2コネクタに嵌合するため、操作力を低減させる上で十分とは言えない。
【0007】
(2)コネクタ本体のハウジング、ホルダ及びスライダを個別に成形した上で、これらを組み立てる必要があるため製造コストがかかる。また、コネクタ本体のハウジングに加えてホルダやスライダを含むため電気接続装置の大型化が助長される。
【0008】
(3)車両のワイヤハーネスなどは、一旦車両に配索されると、スライダを操作してコネクタ嵌合作業を再度行うことは希であるため、コネクタ嵌合後はスライダが無駄になる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、互いに隣接して並ぶ相手側コネクタに対して低操作力で効率良くコネクタを嵌合させることができ、加えて、電気接続装置の製造コストの低廉化及び小型化にも寄与する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のコネクタ嵌合用治具は、側面に軸部を備える第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備える第2相手側コネクタを有する電気ユニットの前記第1相手側コネクタ及び前記第2相手側コネクタと、前記第1相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタ及び前記第2相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタと、を互いに嵌合させるためのコネクタ嵌合用治具であって、コネクタ嵌合方向と直交する操作方向に沿って前記両相手側コネクタの隙間に挿入することが可能な形状を有し、かつ、前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとを嵌合させるための第1嵌合用案内部及び前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを嵌合させるための第2嵌合用案内部を備えており、前記第1嵌合用案内部は、前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとが所定の仮嵌合状態とされ、かつこの状態で前記隙間に当該コネクタ嵌合用治具が挿入される往路操作に伴い当該第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部を受け入れつつ前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該各コネクタの各軸部を案内する一方で、当該コネクタ嵌合後、前記隙間から当該コネクタ嵌合用治具が引き出される復路操作に伴い、前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの嵌合状態を維持しつつ当該両コネクタの軸部から離脱することが可能な形状を有し、前記第2嵌合用案内部は、前記往路操作に伴い前記第2相手側コネクタの軸部を受け入れるとともに当該往路操作の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとが前記仮嵌合状態とされることで当該第2コネクタの前記軸部を受け入れ、かつ前記復路操作に伴い、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該両コネクタの軸部を案内しながら当該各軸部から離脱することが可能な形状を有するものである。
【0011】
そして、本発明のコネクタ嵌合方法は、側面に軸部を備える第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備える第2相手側コネクタを有する電気ユニットを準備する電気ユニット準備工程と、前記第1相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタを準備する第1コネクタ準備工程と、前記第2相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタを準備する第2コネクタ準備工程と、請求項1乃至5の何れか一項に記載されたコネクタ嵌合用治具を準備する治具準備工程と、前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとを、これらが完全な嵌合状態に至る前の仮嵌合状態とする第1嵌合準備工程と、コネクタ嵌合方向と直交する操作方向に沿って前記電気ユニットの前記第1相手側コネクタと前記第2相手側コネクタとの隙間に前記コネクタ嵌合用治具を挿入する往路操作を行い、この往路操作に伴い前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部を前記第1嵌合用案内部に受け入れつつ案内することで当該コネクタ同士を嵌合させる第1コネクタ嵌合工程と、この第1コネクタ嵌合工程の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを前記仮嵌合状態にするとともに前記第2コネクタの前記軸部を第2嵌合用案内部内に受け入れさせる第2嵌合準備工程と、この第2嵌合準備工程の後、前記第1相手側コネクタと前記第2相手側コネクタとの隙間から引き抜き方向に前記コネクタ嵌合用治具を移動させる復路操作を行い、この復路操作に伴い前記第2コネクタ及び第2相手側コネクタの各軸部を前記第2嵌合用案内部により案内することで当該コネクタ同士を嵌合させるとともに各コネクタの軸部から当該コネクタ嵌合用治具を離脱させる第2コネクタ嵌合工程と、を含むものである。
【0012】
このコネクタ嵌合用治具及びコネクタ嵌合方法によれば、電気ユニットの第1相手側コネクタと第2相手側コネクタとの隙間にコネクタ嵌合用治具を挿入する往路操作に伴い第1コネクタと第1相手側コネクタとを嵌合させ、前記隙間から引き抜き方向にコネクタ嵌合用治具を移動させる復路操作に伴い、第2コネクタと第2相手側コネクタとを嵌合させる。つまり、コネクタ嵌合用治具の一度の往復操作に伴い、互いに隣接する相手側コネクタへのコネクタの嵌合(第1相手側コネクタと第1コネクタとの嵌合及び第2相手側コネクタと第2コネクタとの嵌合)を個別に行うことができる。従って、スライダの操作により複数のコネクタ同士の嵌合が同時に行われる従来装置や従来方法(特許文献1)に比べると、電気ユニットの互いに隣接する相手側コネクタに対してより低い操作力でコネクタを嵌合させることが可能となる。また、コネクタ同士の嵌合後は、各コネクタからコネクタ嵌合用治具を取り外すことができるため、各コネクタに軸部さえ設けられていれば、従来のようなホルダやスライダに相当する部材を組み込む必要がなくなる。
【0013】
このコネクタ嵌合用治具において、より具体的には、前記第1嵌合用案内部は、前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部に対してそれぞれコネクタ嵌合方向の外側から当接する一対の案内面を含み、これら案内面のうち、前記第1相手側コネクタ側に位置する案内面が前記往路操作の方向と平行に形成される一方、両案内面の間隔が前記往路操作の方向の前方側である治具先端側から治具後端側に向かって狭くなるように前記第1コネクタ側に位置する案内面が形成されており、前記第2嵌合用案内部は、前記第2コネクタ及び第2相手側コネクタの各軸部に対してそれぞれコネクタ嵌合方向の外側から当接する一対の案内面を含み、これら案内面のうち、前記第2相手側コネクタ側に位置する案内面が前記往路操作の方向と平行に形成される一方、両案内面の間隔が治具後端側から治具先端側に向かって狭くなるように第2コネクタ側に位置する案内面が形成されている。
【0014】
この構成によれば、コネクタ嵌合用治具を往路操作すると、第1コネクタ及び第1相手側コネクタの軸部が第1嵌合用案内部の各案内面に沿ってそれぞれ案内されて当該コネクタ同士がコネクタ嵌合方向の互いに接近する方向に相対的に変位する。一方、コネクタ嵌合用治具を復路操作すると、第2コネクタ及び第2相手側コネクタの軸具が第2嵌合用案内部の各案内面に沿ってそれぞれ案内されて当該コネクタ同士がコネクタ嵌合方向の互いに接近する方向に相対的に変位する。従って、コネクタ嵌合用治具の往路操作に伴い第1コネクタと第1相手側コネクタとを完全な嵌合状態にすることができ、復路操作に伴い第2コネクタと第2相手側コネクタとを完全な嵌合状態にすることができる。
【0015】
なお、前記第1相手側コネクタ及び前記第2相手側コネクタが、これら相手側コネクタの並び方向に並ぶ両側面にそれぞれ前記軸部を備え、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタが、それらの側面のうち前記相手側コネクタの前記両側面に対応する側面に前記軸部を備えるものである場合には、上記のコネクタ嵌合用治具は、前記操作方向に沿って前記両相手側コネクタの隙間に挿入することが可能な形状を有しかつ前記操作方向と直交する方向に並ぶように前記第1嵌合用案内部及び前記第2嵌合用案内部を備える中央案内部と、この中央案内部に対して前記第1嵌合用案内部の側に並びかつ当該第1嵌合用案内部と同等の嵌合用案内部を備え、前記第1相手側コネクタ及び前記第1コネクタの前記軸部を前記中央案内部の前記第1嵌合用案内部と協働して当該第1相手側コネクタ及び第1コネクタの両側の位置で案内する第1側方案内部と、前記中央案内部に対して前記第2嵌合用案内部の側に並びかつ当該第2嵌合用案内部と同等の嵌合用案内部を備え、前記第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの各軸部を前記中央案内部の前記第2嵌合用案内部と協働して当該第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの両側の位置で案内する第2側方案内部と、を備えているのが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1相手側コネクタ及び第1コネクタの各軸部を当該コネクタの両側の位置でそれぞれ案内し、また、第2相手側コネクタ及び第2コネクタの各軸部を当該コネクタの両側の位置でそれぞれ案内するので、コネクタ同士の姿勢が適正に保たれてコネクタ嵌合の際に拗れが生じ難くなる。そのため、コネクタ嵌合用治具の往路操作及び復路操作に伴いコネクタ同士をより円滑に嵌合させることが可能となる。
【0017】
この場合、前記往路操作の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを前記仮嵌合状態とするために前記第2コネクタの軸部をコネクタ嵌合方向に沿って前記2嵌合用案内部に導入することが可能な軸導入部を備えているのがより好ましい。
【0018】
この構成によれば、第2相手側コネクタ及び第2コネクタの各軸部を当該コネクタの両側の位置でそれぞれ案内するようにしながらも、前記往路操作の後、第2相手側コネクタに対して第2コネクタを仮嵌合させる際に、第2コネクタの軸部を容易に前記2嵌合用案内部に導入することが可能となる。
【0019】
なお、前記電気ユニットが、コネクタ接続方向と直交する所定のコネクタ配列方向に並び、それぞれ同じ側の側面に前記軸部を備えた複数の前記第1相手側コネクタを含む第1コネクタ列と、この第1コネクタ列と平行に並び、それぞれ第1コネクタ側の側面に前記軸部を備えた複数の前記第2相手側コネクタを含む第2コネクタ列とを備えるものである場合には、前記第1嵌合用案内部は、前記往路操作に伴い前記第1コネクタ列の一端側から順に全ての前記第1相手側コネクタと前記第1コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該第1コネクタ列に含まれる前記第1相手側コネクタ及び前記第1コネクタの各軸部を案内し、前記第2嵌合用案内部は、前記復路操作に伴い前記第2コネクタ列の一端側から順に全ての前記第2相手側コネクタと前記第2コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該第2コネクタ列に含まれる前記第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの各軸部を案内することが可能に形成されているのが好適である。
【0020】
この構成によれば、コネクタ嵌合用治具の往路操作及び復路操作に伴い、各コネクタ列の複数組みのコネクタ同士を低操作力で効率的に嵌合させることが可能となる。
【0021】
一方、本発明の電気接続装置は、コネクタ同士の嵌合によって電気接続を行う電気接続装置であって、側面に軸部を備えた第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備えた第2相手側コネクタを備える電気ユニットと、前記第1相手側コネクタに嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタと、前記第2相手側コネクタに嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタと、前記第1コネクタを前記第1相手側コネクタに嵌合させるとともに前記第2コネクタを前記第2相手側コネクタに嵌合させるためのコネクタ嵌合用治具と、を備え、当該コネクタ嵌合用治具として、上記のコネクタ嵌合用治具を備えているものである。
【0022】
このような電気接続装置によれば、電気ユニットの第1相手側コネクタと第2相手側コネクタとの隙間にコネクタ嵌合用治具を挿入する往路操作に伴い第1コネクタと第1相手側コネクタとを嵌合させ、前記隙間から引き抜き方向にコネクタ嵌合用治具を移動させる復路操作に伴い、第2コネクタと第2相手側コネクタとを嵌合させることができる。つまり、コネクタ嵌合用治具の一度の往復操作に伴い、互いに隣接する相手側コネクタへのコネクタの嵌合(第1相手側コネクタと第1コネクタとの嵌合及び第2相手側コネクタと第2コネクタとの嵌合)を個別に行うことができる。従って、スライダの操作により複数のコネクタ同士の嵌合が同時に行われる従来の電気接続装置(特許文献1)に比べると、電気ユニットの互いに隣接する相手側コネクタに対してより低操作力でコネクタを嵌合させることが可能となる。
【0023】
なお、この電気接続装置においては、ピニオン部材とこのピニオン部材を回転可能に支持する支持部材と前記ピニオン部材を回転操作するためのハンドルとを備えた嵌合補助具をさらに備え、前記コネクタ嵌合用治具は、前記操作方向と平行な方向に延びるラック部を備え、前記電気ユニットは、前記嵌合補助具を着脱可能に固定することが可能な固定部を備え、この固定部は、前記両相手側コネクタの隙間に挿入させることが可能な位置に前記コネクタ嵌合用治具が配置されかつ前記ラック部に前記ピニオン部材が噛合する状態で前記嵌合補助具を固定することが可能に形成されているのが好適である。
【0024】
この構成によれば、嵌合補助具のハンドル操作に伴い円滑かつ迅速にコネクタ嵌合用治具を往路操作及び復路操作させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、コネクタ嵌合用治具の往復操作に伴い、電気ユニットの互いに隣接する相手側コネクタへのコネクタの嵌合を個別に行うことができるため、従来に比べて、当該コネクタ嵌合作業をより低操作力で行うことが可能となる。しかも、従来のようなホルダやスライダに相当する部材を別途製作して組み込む必要もないため、当該電気ユニットを含む電気接続装置の製造コストの低廉化及び小型化にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる電気接続装置(第1実施形態)を示す斜視図である。
【図2】コネクタ嵌合用治具を示す斜視図である。
【図3】コネクタ嵌合用治具を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)、(c)はそれぞれ側面図である。
【図4】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図であり、(a)は、電気接続装置の斜視図であり、(b)は、(a)のA矢視図である。
【図5】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図であり、(a)は、電気接続装置の斜視図であり、(b)は、(a)のB矢視図である。
【図6】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図であり、(a)は、電気接続装置の斜視図であり、(b)は、(a)のC矢視図である。
【図7】電気接続装置おけるコネクタ嵌合作業の説明図(図6(b)と同じ側から電気接続装置を見た図)である。
【図8】図4の電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部による第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図9】電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部による第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図10】図5の電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部の第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図11】図6の電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部による第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図12】電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部による第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図13】電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部による第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図14】本発明にかかる電気接続装置(第2実施形態)を示す斜視図である。
【図15】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図である。
【図16】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図である。
【図17】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図である。
【図18】本発明にかかる電気接続装置(第3実施形態)を示す斜視図である。
【図19】嵌合補助具とその取り付け構造(固定部)を示す電気ユニットの斜視図であり、(a)は嵌合補助具の取り付け前の状態、(b)嵌合補助具を取り付けた状態をそれぞれ示す。
【図20】嵌合補助具とその固定部の構造を示す電気ユニットの断面図である。
【図21】変形例にかかるコネクタ嵌合用治具を示す斜視図(斜視分解図)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0028】
<第1の実施形態>
図1は、本発明にかかる電気接続装置を概略的に示している。同図に示すように、電気接続装置は、複数の配線材側コネクタC1と、これら配線材側コネクタC1が嵌合される複数の基板側コネクタC2を備える電気ユニット1と、配線材側コネクタC1と前記基板側コネクタC2とを嵌合させるためのコネクタ嵌合用治具30Aとを含む。
【0029】
配線材側コネクタC1は、雌型の複数の端子(図略)と、これら端子を保持する、絶縁性の樹脂材料からなる略直方体状のコネクタハウジング10(以下、ハウジング10と略す)とを有する。ハウジング10には、コネクタ嵌合方向に貫通する複数の端子収容室12が形成されており、各端子収容室12内にそれぞれ前記端子が保持されるとともに、当該端子につながる電線2がハウジング10の後側に導出されている。同図では、電線2は1本だけ示されており、他は省略している。
【0030】
前記電気ユニット1は、ケーシング1aと、その内側に配置される回路基板(図略)と、複数の前記基板側コネクタC2とを含む。
【0031】
前記基板側コネクタC2は、前記配線材側コネクタC1の前記雌型の端子に嵌合可能な複数の雄型の端子22と、配線材側コネクタC1の前記ハウジング10が嵌合可能な嵌合用凹部を有しかつ前記端子を保持する、絶縁性の樹脂材料からなる略直方体状のコネクタハウジング20(以下、ハウジング20と略す)とを含む。各基板側コネクタC2は、前記回路基板に実装されており、それぞれ前記ケーシング1aに形成される開口部から外部に露出している。図示の例では、電気ユニット1は6個の基板側コネクタC2を有している。これら基板側コネクタC2は3個ずつ整列した状態で二列に配列されており、これによって電気ユニット1には二つのコネクタ列(第1コネクタ列L1、第2コネクタ列L2と称す)が設けられている。なお、電気ユニット1は、各配線材側コネクタC1のハウジング10と前記ケーシング1aとが同一材料により一体に成型されることにより、各配線材側コネクタC1のハウジング10がケーシング1aに一体化されていてもよい。
【0032】
この電気接続装置において、基板側コネクタC2と配線材側コネクタC1との接続は、配線材側コネクタC1を基板側コネクタC2の前記嵌合用凹部に対向させ、配線材側コネクタC1をその先端側から嵌合用凹部に差し込んで両ハウジング10、20を互いに嵌合させることにより行われるが、コネクタC1、C2の各ハウジング10、20には、このコネクタ同士の嵌合を、前記コネクタ嵌合用治具30Aを用いて行うための軸部(カムフォロア)が備えられている。
【0033】
具体的には、各基板側コネクタC2は、前記ハウジング20のうちコネクタ列L1、L2の互いに向かい合う側の側面に軸部24を備えている。配線材側コネクタC1は、対応する基板側コネクタC2に嵌合したときに当該基板側コネクタC2の軸部24と同じ側に位置するようにハウジング10の側面に軸部14を備えている。なお、各コネクタC1、C2の軸部14、24は、ハウジング10、20の幅方向中央位置で互いにコネクタ嵌合方向(図1では上下方向)に一列に並ぶように核ハウジング10、20に備えられている。
【0034】
前記コネクタ嵌合用治具30A(以下、治具30Aと略す)は、図1〜図3に示すように、一軸方向に延びる細長い略角柱状をなし、その長手方向の一端側である先端側からコネクタ嵌合方向と直交する方向(図1中の一点矢印方向)に沿って両コネクタ列L1、L2の各基板側コネクタC2の隙間に挿入することが可能な形状を有する。
【0035】
前記治具30Aは、その長手方向と直交する方向を幅方向として、当該幅方向の一方側(図2(a)では下側)に第1コネクタ列L1の基板側コネクタC2と配線材側コネクタC1とを嵌合するための第1嵌合用案内部31を備え、他方側に前記第2コネクタ列L2の基板側コネクタC2と配線材側コネクタC1とを嵌合するための第2嵌合用案内部32を備える。すなわち、当実施形態では、第1コネクタ列L1の基板側コネクタC2及び配線材側コネクタC1がそれぞれ本発明の第1相手側コネクタ及び第1コネクタに相当し、第2コネクタ列L2の基板側コネクタC2及び配線材側コネクタC1がそれぞれ本発明の第2相手側コネクタ及び第2コネクタに相当する。
【0036】
治具30Aの前記第1嵌合用案内部31は、治具30Aの長手方向に延びるスリット状の第1下側案内溝34と、その上側に並び、同じく前記長手方向に延びるスリット状の第1上側案内溝35(カム溝)とを備えている。第2嵌合用案内部32も同様に、治具30Aの長手方向に延びるスリット状の第2下側案内溝36と、その上側に並び、前記長手方向に延びるスリット状の第2上側案内溝37(カム溝)とを備えている。これらの案内溝34、35及び案内溝36、37は、コネクタC1、C2を嵌合させるために前記軸部14、24を案内するものであり、詳しくは、各下側案内溝34、36は、基板側コネクタC2の軸部24を、各上側案内溝35、37は、配線材側コネクタC1の軸部14をそれぞれ案内するものである。
【0037】
第1嵌合用案内部31の案内溝34、35は、第1コネクタ列L1のコネクタC1、C2同士が後記仮嵌合状態とされた状態で、治具30Aがその先端側から両コネクタ列L1、L2の基板側コネクタC2の隙間に挿入されることにより、当該挿入に伴い各コネクタC1、C2の軸部14,24を受け入れつつ当該第1コネクタ列L1のコネクタC1、C2同士が完全な嵌合状態(以下、本嵌合又は本嵌合状態という)となるように当該各軸部14、24を案内する一方、当該コネクタの本嵌合後、前記隙間から治具30Aが引き出されると、第1コネクタ列L1のコネクタC1、C2の嵌合状態を維持しつつ当該コネクタC1、C2の軸部14,24から治具30Aを離脱させることが可能な形状を有する。
【0038】
具体的には、第1嵌合用案内部31の案内溝34、35は、治具30Aの長手方向先端側にそれぞれ開いている。また、案内溝34、35のうち、第1下側案内溝34の上下の案内面34a、34bは、軸部24の直径よりも若干大きい間隔で対向し、治具30Aの長手方向に互いに平行にかつ真っ直ぐに形成されている。一方、第1上側案内溝35の上下の案内面35a、35bについては、これらの間隔が治具30Aの先端側から後端側に向かって狭くなるように当該案内面35a、35bが形成されている。具体的には、これら案内面35a、35bのうち、下側の案内面35aは第1下側案内溝34の各案内面34a、34bと平行に形成されるが、上側の案内面35bは、治具先端の一定領域でその先端側から後端側に向かって先下がり形成され、当該先端部分より後側では、下側の案内面35aと平行でかつ第1下側案内溝34の案内面34a、34b、と同等の間隔となるように形成されている。
【0039】
一方、第2嵌合用案内部32の案内溝36、37は、治具30Aがその先端側から両コネクタ列L1、L2の基板側コネクタC2の隙間に挿入されることで、第2コネクタ列L2の基板側コネクタC2の軸部24を受け入れるとともに、当該挿入後、第2コネクタ列L2のコネクタC1、C2同士が前記仮嵌合の状態とされると当該配線材側コネクタC1の軸部14を受け入れ、かつ治具30Aが前記隙間から引き出されるに伴い、第2コネクタ列L2のコネクタC1、C2が本嵌合するように当該両コネクタC1、C2の軸部14,24を案内しながら当該各軸部14、24から治具30Aを離脱させることが可能な形状を有する。
【0040】
具体的には、第2嵌合用案内部32の案内溝36、37は、治具30Aの長手方向先端側にそれぞれ開いている。また、案内溝36、37のうち、第2下側案内溝36の上下の案内面36a、36bは、軸部24の直径よりも若干大きい間隔で対向し、治具30Aの長手方向に互いに平行にかつ真っ直ぐに形成されている。一方、第2上側案内溝37の上下の案内面37a、37bについては、これらの間隔が治具30Aの先端側から後端側に向かって広くなるように当該案内面37a、37bが形成されている。具体的には、これら案内面37a、37bのうち、下側の案内面37aは第2下側案内溝36の各案内面36a、64bと平行に形成されるが、上側の案内面37bは、治具先端の一定領域でその先端側から後端側に向かって先上がり形成され、当該先端部分より後側では、下側の案内面37aと平行になるように形成されている。
【0041】
そして、治具先端での第2上側案内溝37の上下の案内面37a、37bの間隔が軸部24の直径よりも若干大きい間隔とされ、前記一定領域よりも後端側では、軸部24の直径よりも十分に大きい間隔とされている。具体的には、両コネクタ列L1、L2の間に治具30Aが挿入された状態で、基板側コネクタC2に配線材側コネクタC1を仮嵌合させつつその軸部14を治具30Aの側方から第2上側案内溝37に容易に介在させることができる間隔とされている。
【0042】
加えて、第1嵌合用案内部31の各案内溝34、35は、後述する往路操作に伴い第1コネクタ列L1の一端から順にコネクタC1、C2を一組ずつ順番に嵌合させることができ、かつ、この往路操作の操作力よりも大きいコネクタ嵌合力を生成できるように形成されており、同様に、第2嵌合用案内部32の各案内溝36、37は、後述する復路操作に伴い第2コネクタ列L2の一端から順にコネクタC1、C2を一組ずつ順番に嵌合させることができ、かつ、この往路操作の操作力よりも大きいコネクタ嵌合力を生成できるように形成されている。
【0043】
次に、上記電気接続装置におけるコネクタC1、C2の嵌合作業の要領について図面を用いて説明する。
【0044】
コネクタC1、C2の嵌合は、電気ユニット1、配線材側コネクタC1及びコネクタ嵌合用治具30Aを準備した上で(本発明の電気ユニット準備工程、第1、第2コネクタ準備工程、治具準備工程に相当する)、以下の手順に従って行う。
【0045】
(第1嵌合準備工程)
図4(a)に示すように、第1コネクタ列L1の各基板側コネクタC2の嵌合用凹部にそれぞれ配線材側コネクタC1を差し込み、これらのハウジング10、20を、それが完全な嵌合状態に至る前の仮嵌合状態にする。この仮嵌合状態は、例えば両コネクタC1、C2の端子同士が接触し始めた端子嵌合の初期状態である。
【0046】
そして、同図及び図4(b)に示すように、治具30Aの先端を両コネクタ列L1、L2の一端に位置する基板側コネクタC2の間に配置する。この際、図8(a)に示すように、第1コネクタ列L1の基板側コネクタC2の軸部24が第1嵌合用案内部31の第1下側案内溝34に、配線材側コネクタC1の軸部14が第1上側案内溝35に各々挿入され、第2コネクタ列L1の基板側コネクタC2の軸部24が第2嵌合用案内部32の第2下側案内溝36に各々挿入されるようにする。
【0047】
(第1コネクタ嵌合工程)
治具30Aをその長手方向に沿ってスライドさせ、当該治具30Aを両コネクタ列L1、L2の間に挿入する(往路操作と称する)。このように治具30Aをスライドさせると、図9(a)、(b)に示すように、各嵌合用案内部31、32の直線状の下側案内溝34、36に沿って基板側コネクタC2の軸部24が相対的に案内されることで、治具30Aが軸部24を基準として電気ユニット1に対して上下方向(コネクタ嵌合方向)に拘束される。他方この状態で、配線材側コネクタC1の軸部14が第1嵌合用案内部31の第1上側案内溝35に沿って案内される、具体的には、第1上側案内溝35の上側の案内面35bに沿って軸部14が案内されることで前記ハウジング10が下側に変位し、その結果、まず第1コネクタ列L1の一端(図9では左端)に位置するコネクタC1、C2同士が本嵌合状態となる。
【0048】
そして、さらに治具30Aをスライドさせると、これに伴い第1コネクタ列L1の各コネクタC1、C2が順次本嵌合状態となり、第1コネクタ列L1の前記一端に位置するコネクタC1、C2の各軸部14、24が各案内溝34、35の奥端部近傍に位置するところまで治具30Aをスライドさせると、図5(a)、(b)及び図10(a)、(b)に示すように、第1コネクタ列L1の全てのコネクタC1、C2が本嵌合状態となる。
【0049】
(第2嵌合準備工程)
図6(a)、(b)に示すように、第2コネクタ列L2の各基板側コネクタC2の嵌合用凹部にそれぞれ配線材側コネクタC1を差し込み、図11(a)、(b)に示すように、当該配線材側コネクタC1の軸部14を第2嵌合用案内部32の第2上側案内溝37内に介在させつつこれらコネクタC1、C2のハウジング10、20同士を第1嵌合準備工程と同様に仮嵌合状態にする。この際、上記の通り第2上側案内溝37は、上下の案内面37a、37bの間隔が軸部14の直径よりも十分に大きく設定されているため、治具30Aの側方から第2上側案内溝37へ軸部14を容易に介在させつつ配線材側コネクタC1を基板側コネクタC2に嵌合(仮嵌合)させることができる。
【0050】
(第2コネクタ嵌合工程)
治具30Aを両コネクタ列L1、L2の間から引き抜く方向にスライドさせる(復路操作と称する)。このように治具30Aをスライドさせると、往路操作時と同様に、各嵌合用案内部31、32の下側案内溝34、36に沿って相対的に軸部24が案内されることで、治具30Aが軸部24を基準として電気ユニット1に対して上下方向に拘束される。他方、この状態で、図12(b)に示すように、第2コネクタ列L2の配線材側コネクタC1の軸部14が第2嵌合用案内部32の第2上側案内溝37に沿って案内される、具体的には、治具先端の領域で第2上側案内溝37の上側の案内面37bに沿って軸部14が案内されることで前記ハウジング10が下側に変位し、その結果、まず第2コネクタ列L2の一端(図12の右端)に位置するコネクタC1、C2が本嵌合状態となるとともに、当該一端側のコネクタC1、C2の軸部14、24から治具30A(第2嵌合用案内部32)が離脱する。
【0051】
そして、さらに治具30Aをスライドさせると、第2コネクタ列L2の各コネクタC1、C2が順次本嵌合状態となるとともに、順次各コネクタC1、C2の軸部14、24から治具30A(第2嵌合用案内部32)が離脱し、最終的に、治具30Aの先端部が両コネクタ列L1、L2の間から引き出される位置まで当該治具30Aをスライドさせると、図7及び図13(b)に示すように、第2コネクタ列L2の全てのコネクタC1、C2が本嵌合状態となる。この際、第1嵌合用案内部31の第1上側案内溝35については、下側の案内面35aが上記のように第1下側案内溝34の各案内面34a、34bと平行となるように形成されている結果、図12(a)及び13(a)に示すように、第1コネクタ列L1の各配線材側コネクタC1の軸部14は、上下方向に変位することなくその位置に保たれる。つまり、治具30Aが両コネクタ列L1、L2の間から引き抜き方向にスライドしても、第1コネクタ列L1の両コネクタC1、C2の軸部14、24の位置関係は保たれる。これにより、第1コネクタ列L1の両コネクタC1、C2の嵌合状態が保たれたまま、治具30A(第1嵌合用案内部31)が第1コネクタ列L1の各コネクタC1、C2から離脱する。
【0052】
以上のような電気接続装置によれば、上述のように、治具30Aを両コネクタ列L1、L2の隙間に挿入しつつスライドさせると、第1コネクタ列L1の各コネクタC1、C2が一組ずつ個別に嵌合され、治具30Aを引き出し方向にスライドさせると、第2コネクタ列L2の各コネクタC1、C2が一組ずつ個別に嵌合させられる。そのため、スライダの操作に伴い2組のコネクタC1、C2同士が同時に嵌合される従来のこの種の電気接続装置(特許文献1)に比べると、より低い操作力でコネクタ列L1、L2の各基板側コネクタC2と配線材側コネクタC1とを嵌合させることができる。
【0053】
しかも、この電気接続装置によれば、治具30Aを一往復スライド操作することで各コネクタ列L1、L2のコネクタC1、C2の嵌合が行われるため、効率的に各コネクタ列L1、L2のコネクタC1、C2同士を嵌合させることができる。
【0054】
加えて、各コネクタ列L1、L2のコネクタC1、C2同士の嵌合後は、当該嵌合状態を保ったままで各コネクタC1、C2から治具30Aを取り外す(離脱させる)ことができるため、コネクタC1、C2については、それらのハウジング10、20に軸部14、24が形成されていれば、従来のようなスライダやホルダは不要であり、従って、その分、電気接続装置の大型化が抑制されるという利点もある。
【0055】
さらに、治具30Aについては、上記の通り両コネクタC1、C2から取り外しが可能であり、コネクタC1、C2の嵌合作業後は、他の電気ユニット1のコネクタC1、C2の嵌合作業に繰り返し使用可能である。従って、当該治具30Aが無駄になることもない。
【0056】
<第2実施形態>
図14は、第2実施形態にかかる電気接続装置を概略的に示している。第2実施形態にかかる電気接続装置の基本的な構成は、概ね第1実施形態のものと共通するため、以下の説明では、第1実施形態と共通する部分については第1実施形態のものと同一の符号を付して説明を省略し、主に第1実施形態との相違点について詳細に説明する。
【0057】
同図に示すように、第2実施形態では、コネクタC1、C2のハウジング10、20は、コネクタ列L1、L2の互いに向かい合う側面に加え、その反対側の側面にも軸部14、24を備えている。
【0058】
また、第1実施形態のコネクタ嵌合用治具30Aに代えて、同図に示すようなコネクタ嵌合用治具30Bを備えている。この治具30Bは、同図に示すように、一軸方向に延びる細長い略角柱状をなす中央案内部40と、その両側に、当該中央案内部40とそれぞれ所定間隔を隔てて並び、中央案内部40と平行に延びる第1側方案内部41及び第2側方案内部42と、これら中央案内部40及び側方案内部41、42をそれらの長手方向の一端部で互いに連結する連結部43とを備えた形状を有する。これら中央案内部40及び側方案内部41、42は同一の樹脂材料により一体に成形されている。
【0059】
前記中央案内部40は、第1実施形態の治具30Aと同等の構成を有している。すなわち、中央案内部40は、その片側に第1コネクタ列L1のコネクタC1、C2同士を嵌合させるための第1嵌合用案内部31を備え、反対側に第2コネクタ列L2のコネクタC1、C2同士を嵌合させるための第2嵌合用案内部32を備える。
【0060】
前記第1側方案内部41は、中央案内部40の前記第1嵌合用案内部31と協働して第1コネクタ列L1に属するコネクタC1、C2同士を嵌合するものである。すなわち、この第1側方案内部41は、前記コネクタC1、C2のハウジング10、20の幅寸法(第1コネクタ列L1のコネクタC2の並び方向と直交する方向の寸法)と略同じ間隔を隔てて中央案内部40の前記第1嵌合用案内部31の側に並び、第1嵌合用案内部31の案内溝34、35と同一形状の案内溝44、45を備えている。
【0061】
一方、第2側方案内部42は、中央案内部40の前記第2嵌合用案内部32と協働して第2コネクタ列L2に属するコネクタC1、C2同士を嵌合するものである。すなわち、この第2側方案内部42は、コネクタC1、C2のハウジング10、20の幅寸法と略同じ間隔を隔てて中央案内部40の前記第2嵌合用案内部32の側に並び、第2嵌合用案内部32の案内溝36、37と同一形状の案内溝46、47を備えている。
【0062】
第2実施形態の電気接続装置におけるコネクタC1、C2の嵌合作業の要領は、コネクタC1、C2の両側で軸部14、24を案内する点を除き、第1実施形態のものと共通する。すなわち、まず第1コネクタ列L1の各基板側コネクタC2の嵌合用凹部にそれぞれ配線材側コネクタC1を差し込み、これらのハウジング10、20を仮嵌合状態にした上で、図15に示すように、中央案内部40及び第1側方案内部41により第1コネクタ列L1のコネクタC1、C2を、また、中央案内部40及び第2側方案内部42により第2コネクタ列L2の基板側コネクタC2をそれぞれ挟み込むように、治具30Bの中央案内部40をその先端側から両コネクタ列L1、L2の隙間に挿入し、スライドさせる。
【0063】
このように治具30Bをスライドさせると、第1コネクタ列L1の各コネクタC1、C2の両側の位置で中央案内部40(第1嵌合用案内部31)及び第1側方案内部41により軸部14、24が案内される。具体的には、第1嵌合用案内部31及び第1側方案内部41の各下側案内溝34、44に沿って軸部24が相対的に案内されるとともに、各上側案内溝35、45に沿って軸部14が相対的に案内され、これにより、第1コネクタ列L1の一端側から順に各コネクタC1、C2が一組ずつ本嵌合状態となる(図16参照)。
【0064】
次に、図17に示すように、第2コネクタ列L2の各基板側コネクタC2の嵌合用凹部にそれぞれ配線材側コネクタC1を差し込み、これらハウジング10、20を仮嵌合状態にする。なお、第2実施形態の治具30Bのうち中央案内部40の第2嵌合用案内部32及び前記第2側方案内部42には、図14に示すように、それらの長手方向の複数の位置(当例では三箇所)に、上下方向に延びる切欠状の軸導入部50が形成されている。これら軸導入部50は、第2コネクタ列L2の隣設する基板側コネクタC2の軸部24と等間隔で形成されている。各軸導入部50は、配線材側コネクタC1の軸部14を治具30Bの上側、つまりコネクタ嵌合方向に沿って第2嵌合用案内部32及び第2側方案内部42の各上側案内溝37、47へ介在させることを許容する形状を有する。従って、第2コネクタ列L2の基板側コネクタC2に配線材側コネクタC1を嵌合(仮嵌合)させる際には、前記軸導入部50に軸部14を挿入しながら当該軸部14を各上側案内溝37、47へ介在させつつ当該コネクタC1、C2を嵌合させる。
【0065】
その後、治具30Bの中央案内部40を両コネクタ列L1、L2の間から引き抜く方向にスライドさせる。このように治具30Aをスライドさせると、第2コネクタ列L2の各コネクタC1、C2の両側の位置で中央案内部40(第2嵌合用案内部32)及び第2側方案内部42により軸部14、24が案内される。具体的には、第2嵌合用案内部32及び第2側方案内部42の各下側案内溝36、46に沿って軸部24が相対的に案内されるとともに、各上側案内溝37、47に沿って軸部14が相対的に案内される。これにより、中央案内部40の先端部が両コネクタ列L1、L2の間から引き出される位置まで当該治具30Bをスライドさせると、第2コネクタ列L2の一端側から順に各コネクタC1、C2が一組ずつ本嵌合状態となる。
【0066】
以上のような第2実施形態の電気接続装置によれば、第1実施形態のものと同等の作用効果を享受しながら、各コネクタC1、C2をより円滑に嵌合させることが可能となる。すなわち、配線材側コネクタC1のハウジング10がその幅方向両側の位置でそれぞれ軸部14を介してコネクタ嵌合方向に案内されるためハウジング10の姿勢が安定し易く、ハウジング10に拗れが生じ難くい。従って、コネクタC1、C2同士の嵌合をより円滑に進めることが可能になる。
【0067】
<第3実施形態>
図18は、第3実施形態にかかる電気接続装置を概略的に示している。第3実施形態にかかる電気接続装置の基本的な構成は、概ね第1実施形態のものと共通するため、以下の説明では、第1実施形態と共通する構成については第1実施形態のものと同一の符号を付して説明を省略し、主に第1実施形態との相違点について詳細に説明する。
【0068】
第3実施形態にかかる電気接続装置は、治具30Aをスライドさせるための嵌合補助具60をさらに備える。この嵌合補助具60は、互いに平行に並ぶ板状の一対の脚部62と、これらの間に回転可能に支持されるピニオン64と、このピニオン64を回転操作するためのハンドル65とを備えている。
【0069】
この嵌合補助具60は、電気ユニット1の前記ケーシング1aに着脱可能に構成されている。具体的には、図19(a)に示すように、嵌合補助具60の各脚部62は、その下端部から両側(図20では左右両側)に延びる延設部62aを備えた断面逆T字型の形状を有する。他方、電気ユニット1のうち基板側コネクタC2が配列される面上であってコネクタ列L1、L2の一端より外側の位置には、嵌合補助具60の各脚部62を各々固定するための固定部3が設けられている。各固定部3は、図19(a)、(b)及び図20に示すように、脚部62の前記延設部62aをコネクタ列L1、L2のコネクタ配列方向に沿って差し込むことが可能で、かつ、この差し込み状態で当該延設部62aを上下方向及び左右方向(差し込み方向と直交する方向)に拘束可能な形状を有する。
【0070】
一方、治具30Aの上面であって前記嵌合用案内部31、32の間の位置には、当該治具30Aの長手方向に延びるラック52が形成されている。このラック52は、前記嵌合補助具60のピニオン64が噛合可能な形状を有する。
【0071】
なお、嵌合補助具60の両脚部62の間隔は、治具30Aを通過させることが可能な間隔に設定されており、電気ユニット1の各固定部3は、両脚部62の間を通じて両コネクタ列L1、L2の隙間に治具30Aを挿入することが可能で、かつ前記ラック52にピニオン64が噛合する状態で前記嵌合補助具60が固定されるようにそれぞれ設けられている。
【0072】
この第3実施形態の電気接続装置では、嵌合補助具60を用いて治具30Aをスライドさせる。すなわち、この電気接続装置では、例えば電気ユニット1に嵌合補助具60を固定した状態で上記の第1嵌合準備工程、第1コネクタ嵌合工程、第2嵌合準備工程及び第2コネクタ嵌合工程に沿って作業を行う。そして、第1嵌合準備工程では、嵌合補助具60の両脚部62の間に治具30Aを挿入しつつその先端を両コネクタ列L1、L2の末端に位置する基板側コネクタC2の間に配置するとともに、治具30Aのラック52に前記嵌合補助具60のピニオン64を噛合させる。これにより、第1、第2コネクタ嵌合工程では、ハンドル65を回転させて前記治具30Aをスライドさせる。
【0073】
以上のような第3実施形態の電気接続装置によれば、第1実施形態のものと同等の作用効果に加え、ハンドル65の操作により、各コネクタC1、C2の嵌合作業をより円滑かつ迅速に行うことが可能となる。また、この嵌合補助具60は、ハンドル65がピニオン64の中心に連結されており、従って、ピニオン64の半径に対してハンドル65の回転半径を大きく設定しておくことで、少ない操作力でピニオン64に大きな回転トルクを与えることができる。従って、より低操作力で各コネクタ列L1、L2のコネクタC1、C2同士の嵌合作業を効率良く行うことが可能となる。
【0074】
なお、以上説明した電気接続装置は、本発明にかかる電気接続装置の好ましい実施形態の例示であって、電気接続装置の具体的な構成やコネクタC1、C2の具体的な嵌合方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0075】
例えば、前記治具30Aの各嵌合用案内部31、32は、コネクタC1、C2の各軸部14、24をそれぞれ案内するための案内溝34、35を個別に備えているが、これらの案内溝34、35を兼ねた単一の案内溝を備える構成であってもよい。具体的には、第1嵌合用案内部31は、第1下側案内溝34の下側の案内面34a及び第1上側案内溝35の上側の案内面35bに相当する案内面を有する単一の案内溝を備え、第2嵌合用案内部32は、第2下側案内溝36の下側の案内面36a及び第2上側案内溝37の上側の案内面37bに相当する案内面を有する単一の案内溝を備える構成であってもよい。つまり、この構成では、各嵌合用案内部31、32のそれぞれ共通の案内溝内にコネクタC1、C2の軸部14、24を介在させ、配線材側コネクタC1の軸部14を上側の案内面に沿って、基板側コネクタC2の軸部24を下側の案内面に沿ってそれぞれ相対的に案内する。このような治具30Aの構成によっても上記実施形態の電気接続装置と同等の作用効果を享受することができる。第2実施形態の治具30Bについても同様である。
【0076】
また、前記治具30Aについては、図21に示すように、第2嵌合用案内部32の一部、具体的には、治具30Aの先端部分であって第2上側案内溝37の上側の案内面37b(軸部24を押し下げる領域:図3に符号Xで示す領域)を含む部分(以下、先端部32aと称す)を、その他の部分(以下、本体部32bと称す)に対して着脱可能な構成としてもよい。この構成によれば、コネクタC1、C2の嵌合作業を以下のように進めることが可能となる。
【0077】
すなわち、まず、両コネクタ列L1、L2の全ての基板側コネクタC2に配線材側コネクタC1を差し込み、これらコネクタC1、C2を仮嵌合状態にしておく。そして、治具30Aから前記先端部32aを取り外した状態で当該治具30Aを往路操作し、これにより第1コネクタ列L1の各コネクタC1、C2を嵌合させる。この際、前記先端部32aが取り外されていることで、第2コネクタ列L2の配線材側コネクタC1の軸部14は、前記往路操作に伴い、第2嵌合用案内部32の第2上側案内溝37に受け入れられる。
【0078】
前記往路操作の後、前記先端部32aを本体部32bに装着する。そして、この状態で治具30Aを復路操作し、第2コネクタ列L2の各コネクタC1、C2を嵌合させる。
【0079】
このようなコネクタC1、C2の嵌合作業によれば、予めコネクタ列L1、L2の全ての基板側コネクタC2に配線材側コネクタC1を仮嵌合させておくことが可能となるため、当該コネクタ嵌合作業をより効率的に行うことができるようになる。
【0080】
なお、この場合には、例えば図21に示すように、先端部32aに鉤型の係合突起56を形成する一方、本体部32bに当該係合突起56が係合する係合凹部58を形成し、係合凹部58に係合突起56を圧入、係合させることで先端部32aを本体部32bに着脱可能に繋ぎ合わせるようにすればよい。勿論、これ以外の継手構造も適用である。
【符号の説明】
【0081】
1 電気ユニット
10、20 コネクタハウジング
14,24 軸部
30A、30B コネクタ嵌合用治具
31 第1嵌合用案内部
32 第2嵌合用案内部
34 第1下側案内溝
35 第1上側案内溝
36 第2下側案内溝
37 第2上側案内溝
C1 配線材側コネクタ
C2 基板側コネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの嵌合作業に用いられるコネクタ嵌合治具、このコネクタ嵌合治具を含む電気接続装置及び前記コネクタ嵌合治具を用いたコネクタ嵌合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタ同士の嵌合により電気的接続を行う電気接続装置として、例えば特許文献1に記載されるように、スライダのスライド操作によりコネクタ同士を嵌合させるものが知られている。この電気接続装置は、複数のコネクタ本体(分割コネクタ)、これらコネクタ本体が二列に配列された状態で保持されるホルダ、及びこのホルダに支持されるスライダを備えた第1コネクタと、前記ホルダが挿入可能なフード部が形成されたハウジングを有する第2コネクタとを含む。第1コネクタの各コネクタ本体には、その側面にガイドピン(軸部)が備えられており、スライダには前記ガイドピンを案内するガイド溝が形成されている。
【0003】
そして、コネクタ同士を嵌合する際には、前記コネクタ本体と共に第1コネクタのホルダを第2コネクタの前記フード部に嵌合、係止し、この状態でスライダをスライドさせて前記ガイドピンをガイド溝に沿って案内しつつコネクタ嵌合方向に移動させることで、第1コネクタ(各コネクタ本体)を第2コネクタに嵌合させる。つまり、この電気接続装置は、各列に並んだ複数のコネクタ本体をスライダのスライド操作に伴い順次第2コネクタに嵌合させることで、比較的小さい操作力でコネクタ同士の嵌合を行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−195612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような電気接続装置の構造は、例えば車両に配索されるワイヤハーネスと電気接続箱(J/B)等、コネクタ同士の嵌合作業の作業性を向上させる上で有用であるが、次のような欠点がある。
【0006】
(1)この電気接続装置では、スライダのスライド操作に伴い、複数のコネクタ本体のうち各列の互いに隣接する2つのコネクタ本体が同時に第2コネクタに嵌合するため、操作力を低減させる上で十分とは言えない。
【0007】
(2)コネクタ本体のハウジング、ホルダ及びスライダを個別に成形した上で、これらを組み立てる必要があるため製造コストがかかる。また、コネクタ本体のハウジングに加えてホルダやスライダを含むため電気接続装置の大型化が助長される。
【0008】
(3)車両のワイヤハーネスなどは、一旦車両に配索されると、スライダを操作してコネクタ嵌合作業を再度行うことは希であるため、コネクタ嵌合後はスライダが無駄になる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、互いに隣接して並ぶ相手側コネクタに対して低操作力で効率良くコネクタを嵌合させることができ、加えて、電気接続装置の製造コストの低廉化及び小型化にも寄与する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のコネクタ嵌合用治具は、側面に軸部を備える第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備える第2相手側コネクタを有する電気ユニットの前記第1相手側コネクタ及び前記第2相手側コネクタと、前記第1相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタ及び前記第2相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタと、を互いに嵌合させるためのコネクタ嵌合用治具であって、コネクタ嵌合方向と直交する操作方向に沿って前記両相手側コネクタの隙間に挿入することが可能な形状を有し、かつ、前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとを嵌合させるための第1嵌合用案内部及び前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを嵌合させるための第2嵌合用案内部を備えており、前記第1嵌合用案内部は、前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとが所定の仮嵌合状態とされ、かつこの状態で前記隙間に当該コネクタ嵌合用治具が挿入される往路操作に伴い当該第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部を受け入れつつ前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該各コネクタの各軸部を案内する一方で、当該コネクタ嵌合後、前記隙間から当該コネクタ嵌合用治具が引き出される復路操作に伴い、前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの嵌合状態を維持しつつ当該両コネクタの軸部から離脱することが可能な形状を有し、前記第2嵌合用案内部は、前記往路操作に伴い前記第2相手側コネクタの軸部を受け入れるとともに当該往路操作の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとが前記仮嵌合状態とされることで当該第2コネクタの前記軸部を受け入れ、かつ前記復路操作に伴い、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該両コネクタの軸部を案内しながら当該各軸部から離脱することが可能な形状を有するものである。
【0011】
そして、本発明のコネクタ嵌合方法は、側面に軸部を備える第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備える第2相手側コネクタを有する電気ユニットを準備する電気ユニット準備工程と、前記第1相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタを準備する第1コネクタ準備工程と、前記第2相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタを準備する第2コネクタ準備工程と、請求項1乃至5の何れか一項に記載されたコネクタ嵌合用治具を準備する治具準備工程と、前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとを、これらが完全な嵌合状態に至る前の仮嵌合状態とする第1嵌合準備工程と、コネクタ嵌合方向と直交する操作方向に沿って前記電気ユニットの前記第1相手側コネクタと前記第2相手側コネクタとの隙間に前記コネクタ嵌合用治具を挿入する往路操作を行い、この往路操作に伴い前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部を前記第1嵌合用案内部に受け入れつつ案内することで当該コネクタ同士を嵌合させる第1コネクタ嵌合工程と、この第1コネクタ嵌合工程の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを前記仮嵌合状態にするとともに前記第2コネクタの前記軸部を第2嵌合用案内部内に受け入れさせる第2嵌合準備工程と、この第2嵌合準備工程の後、前記第1相手側コネクタと前記第2相手側コネクタとの隙間から引き抜き方向に前記コネクタ嵌合用治具を移動させる復路操作を行い、この復路操作に伴い前記第2コネクタ及び第2相手側コネクタの各軸部を前記第2嵌合用案内部により案内することで当該コネクタ同士を嵌合させるとともに各コネクタの軸部から当該コネクタ嵌合用治具を離脱させる第2コネクタ嵌合工程と、を含むものである。
【0012】
このコネクタ嵌合用治具及びコネクタ嵌合方法によれば、電気ユニットの第1相手側コネクタと第2相手側コネクタとの隙間にコネクタ嵌合用治具を挿入する往路操作に伴い第1コネクタと第1相手側コネクタとを嵌合させ、前記隙間から引き抜き方向にコネクタ嵌合用治具を移動させる復路操作に伴い、第2コネクタと第2相手側コネクタとを嵌合させる。つまり、コネクタ嵌合用治具の一度の往復操作に伴い、互いに隣接する相手側コネクタへのコネクタの嵌合(第1相手側コネクタと第1コネクタとの嵌合及び第2相手側コネクタと第2コネクタとの嵌合)を個別に行うことができる。従って、スライダの操作により複数のコネクタ同士の嵌合が同時に行われる従来装置や従来方法(特許文献1)に比べると、電気ユニットの互いに隣接する相手側コネクタに対してより低い操作力でコネクタを嵌合させることが可能となる。また、コネクタ同士の嵌合後は、各コネクタからコネクタ嵌合用治具を取り外すことができるため、各コネクタに軸部さえ設けられていれば、従来のようなホルダやスライダに相当する部材を組み込む必要がなくなる。
【0013】
このコネクタ嵌合用治具において、より具体的には、前記第1嵌合用案内部は、前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部に対してそれぞれコネクタ嵌合方向の外側から当接する一対の案内面を含み、これら案内面のうち、前記第1相手側コネクタ側に位置する案内面が前記往路操作の方向と平行に形成される一方、両案内面の間隔が前記往路操作の方向の前方側である治具先端側から治具後端側に向かって狭くなるように前記第1コネクタ側に位置する案内面が形成されており、前記第2嵌合用案内部は、前記第2コネクタ及び第2相手側コネクタの各軸部に対してそれぞれコネクタ嵌合方向の外側から当接する一対の案内面を含み、これら案内面のうち、前記第2相手側コネクタ側に位置する案内面が前記往路操作の方向と平行に形成される一方、両案内面の間隔が治具後端側から治具先端側に向かって狭くなるように第2コネクタ側に位置する案内面が形成されている。
【0014】
この構成によれば、コネクタ嵌合用治具を往路操作すると、第1コネクタ及び第1相手側コネクタの軸部が第1嵌合用案内部の各案内面に沿ってそれぞれ案内されて当該コネクタ同士がコネクタ嵌合方向の互いに接近する方向に相対的に変位する。一方、コネクタ嵌合用治具を復路操作すると、第2コネクタ及び第2相手側コネクタの軸具が第2嵌合用案内部の各案内面に沿ってそれぞれ案内されて当該コネクタ同士がコネクタ嵌合方向の互いに接近する方向に相対的に変位する。従って、コネクタ嵌合用治具の往路操作に伴い第1コネクタと第1相手側コネクタとを完全な嵌合状態にすることができ、復路操作に伴い第2コネクタと第2相手側コネクタとを完全な嵌合状態にすることができる。
【0015】
なお、前記第1相手側コネクタ及び前記第2相手側コネクタが、これら相手側コネクタの並び方向に並ぶ両側面にそれぞれ前記軸部を備え、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタが、それらの側面のうち前記相手側コネクタの前記両側面に対応する側面に前記軸部を備えるものである場合には、上記のコネクタ嵌合用治具は、前記操作方向に沿って前記両相手側コネクタの隙間に挿入することが可能な形状を有しかつ前記操作方向と直交する方向に並ぶように前記第1嵌合用案内部及び前記第2嵌合用案内部を備える中央案内部と、この中央案内部に対して前記第1嵌合用案内部の側に並びかつ当該第1嵌合用案内部と同等の嵌合用案内部を備え、前記第1相手側コネクタ及び前記第1コネクタの前記軸部を前記中央案内部の前記第1嵌合用案内部と協働して当該第1相手側コネクタ及び第1コネクタの両側の位置で案内する第1側方案内部と、前記中央案内部に対して前記第2嵌合用案内部の側に並びかつ当該第2嵌合用案内部と同等の嵌合用案内部を備え、前記第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの各軸部を前記中央案内部の前記第2嵌合用案内部と協働して当該第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの両側の位置で案内する第2側方案内部と、を備えているのが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1相手側コネクタ及び第1コネクタの各軸部を当該コネクタの両側の位置でそれぞれ案内し、また、第2相手側コネクタ及び第2コネクタの各軸部を当該コネクタの両側の位置でそれぞれ案内するので、コネクタ同士の姿勢が適正に保たれてコネクタ嵌合の際に拗れが生じ難くなる。そのため、コネクタ嵌合用治具の往路操作及び復路操作に伴いコネクタ同士をより円滑に嵌合させることが可能となる。
【0017】
この場合、前記往路操作の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを前記仮嵌合状態とするために前記第2コネクタの軸部をコネクタ嵌合方向に沿って前記2嵌合用案内部に導入することが可能な軸導入部を備えているのがより好ましい。
【0018】
この構成によれば、第2相手側コネクタ及び第2コネクタの各軸部を当該コネクタの両側の位置でそれぞれ案内するようにしながらも、前記往路操作の後、第2相手側コネクタに対して第2コネクタを仮嵌合させる際に、第2コネクタの軸部を容易に前記2嵌合用案内部に導入することが可能となる。
【0019】
なお、前記電気ユニットが、コネクタ接続方向と直交する所定のコネクタ配列方向に並び、それぞれ同じ側の側面に前記軸部を備えた複数の前記第1相手側コネクタを含む第1コネクタ列と、この第1コネクタ列と平行に並び、それぞれ第1コネクタ側の側面に前記軸部を備えた複数の前記第2相手側コネクタを含む第2コネクタ列とを備えるものである場合には、前記第1嵌合用案内部は、前記往路操作に伴い前記第1コネクタ列の一端側から順に全ての前記第1相手側コネクタと前記第1コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該第1コネクタ列に含まれる前記第1相手側コネクタ及び前記第1コネクタの各軸部を案内し、前記第2嵌合用案内部は、前記復路操作に伴い前記第2コネクタ列の一端側から順に全ての前記第2相手側コネクタと前記第2コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該第2コネクタ列に含まれる前記第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの各軸部を案内することが可能に形成されているのが好適である。
【0020】
この構成によれば、コネクタ嵌合用治具の往路操作及び復路操作に伴い、各コネクタ列の複数組みのコネクタ同士を低操作力で効率的に嵌合させることが可能となる。
【0021】
一方、本発明の電気接続装置は、コネクタ同士の嵌合によって電気接続を行う電気接続装置であって、側面に軸部を備えた第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備えた第2相手側コネクタを備える電気ユニットと、前記第1相手側コネクタに嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタと、前記第2相手側コネクタに嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタと、前記第1コネクタを前記第1相手側コネクタに嵌合させるとともに前記第2コネクタを前記第2相手側コネクタに嵌合させるためのコネクタ嵌合用治具と、を備え、当該コネクタ嵌合用治具として、上記のコネクタ嵌合用治具を備えているものである。
【0022】
このような電気接続装置によれば、電気ユニットの第1相手側コネクタと第2相手側コネクタとの隙間にコネクタ嵌合用治具を挿入する往路操作に伴い第1コネクタと第1相手側コネクタとを嵌合させ、前記隙間から引き抜き方向にコネクタ嵌合用治具を移動させる復路操作に伴い、第2コネクタと第2相手側コネクタとを嵌合させることができる。つまり、コネクタ嵌合用治具の一度の往復操作に伴い、互いに隣接する相手側コネクタへのコネクタの嵌合(第1相手側コネクタと第1コネクタとの嵌合及び第2相手側コネクタと第2コネクタとの嵌合)を個別に行うことができる。従って、スライダの操作により複数のコネクタ同士の嵌合が同時に行われる従来の電気接続装置(特許文献1)に比べると、電気ユニットの互いに隣接する相手側コネクタに対してより低操作力でコネクタを嵌合させることが可能となる。
【0023】
なお、この電気接続装置においては、ピニオン部材とこのピニオン部材を回転可能に支持する支持部材と前記ピニオン部材を回転操作するためのハンドルとを備えた嵌合補助具をさらに備え、前記コネクタ嵌合用治具は、前記操作方向と平行な方向に延びるラック部を備え、前記電気ユニットは、前記嵌合補助具を着脱可能に固定することが可能な固定部を備え、この固定部は、前記両相手側コネクタの隙間に挿入させることが可能な位置に前記コネクタ嵌合用治具が配置されかつ前記ラック部に前記ピニオン部材が噛合する状態で前記嵌合補助具を固定することが可能に形成されているのが好適である。
【0024】
この構成によれば、嵌合補助具のハンドル操作に伴い円滑かつ迅速にコネクタ嵌合用治具を往路操作及び復路操作させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、コネクタ嵌合用治具の往復操作に伴い、電気ユニットの互いに隣接する相手側コネクタへのコネクタの嵌合を個別に行うことができるため、従来に比べて、当該コネクタ嵌合作業をより低操作力で行うことが可能となる。しかも、従来のようなホルダやスライダに相当する部材を別途製作して組み込む必要もないため、当該電気ユニットを含む電気接続装置の製造コストの低廉化及び小型化にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる電気接続装置(第1実施形態)を示す斜視図である。
【図2】コネクタ嵌合用治具を示す斜視図である。
【図3】コネクタ嵌合用治具を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)、(c)はそれぞれ側面図である。
【図4】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図であり、(a)は、電気接続装置の斜視図であり、(b)は、(a)のA矢視図である。
【図5】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図であり、(a)は、電気接続装置の斜視図であり、(b)は、(a)のB矢視図である。
【図6】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図であり、(a)は、電気接続装置の斜視図であり、(b)は、(a)のC矢視図である。
【図7】電気接続装置おけるコネクタ嵌合作業の説明図(図6(b)と同じ側から電気接続装置を見た図)である。
【図8】図4の電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部による第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図9】電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部による第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図10】図5の電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部の第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図11】図6の電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部による第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図12】電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部による第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図13】電気接続装置のコネクタ嵌合状態を示す模式図であり、(a)は、第1嵌合用案内部による第1コネクタ列のコネクタ嵌合状態を、(b)は、第2嵌合用案内部による第2コネクタ列のコネクタ嵌合状態をそれぞれ模式的に示している。
【図14】本発明にかかる電気接続装置(第2実施形態)を示す斜視図である。
【図15】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図である。
【図16】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図である。
【図17】電気接続装置におけるコネクタ嵌合作業の説明図である。
【図18】本発明にかかる電気接続装置(第3実施形態)を示す斜視図である。
【図19】嵌合補助具とその取り付け構造(固定部)を示す電気ユニットの斜視図であり、(a)は嵌合補助具の取り付け前の状態、(b)嵌合補助具を取り付けた状態をそれぞれ示す。
【図20】嵌合補助具とその固定部の構造を示す電気ユニットの断面図である。
【図21】変形例にかかるコネクタ嵌合用治具を示す斜視図(斜視分解図)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0028】
<第1の実施形態>
図1は、本発明にかかる電気接続装置を概略的に示している。同図に示すように、電気接続装置は、複数の配線材側コネクタC1と、これら配線材側コネクタC1が嵌合される複数の基板側コネクタC2を備える電気ユニット1と、配線材側コネクタC1と前記基板側コネクタC2とを嵌合させるためのコネクタ嵌合用治具30Aとを含む。
【0029】
配線材側コネクタC1は、雌型の複数の端子(図略)と、これら端子を保持する、絶縁性の樹脂材料からなる略直方体状のコネクタハウジング10(以下、ハウジング10と略す)とを有する。ハウジング10には、コネクタ嵌合方向に貫通する複数の端子収容室12が形成されており、各端子収容室12内にそれぞれ前記端子が保持されるとともに、当該端子につながる電線2がハウジング10の後側に導出されている。同図では、電線2は1本だけ示されており、他は省略している。
【0030】
前記電気ユニット1は、ケーシング1aと、その内側に配置される回路基板(図略)と、複数の前記基板側コネクタC2とを含む。
【0031】
前記基板側コネクタC2は、前記配線材側コネクタC1の前記雌型の端子に嵌合可能な複数の雄型の端子22と、配線材側コネクタC1の前記ハウジング10が嵌合可能な嵌合用凹部を有しかつ前記端子を保持する、絶縁性の樹脂材料からなる略直方体状のコネクタハウジング20(以下、ハウジング20と略す)とを含む。各基板側コネクタC2は、前記回路基板に実装されており、それぞれ前記ケーシング1aに形成される開口部から外部に露出している。図示の例では、電気ユニット1は6個の基板側コネクタC2を有している。これら基板側コネクタC2は3個ずつ整列した状態で二列に配列されており、これによって電気ユニット1には二つのコネクタ列(第1コネクタ列L1、第2コネクタ列L2と称す)が設けられている。なお、電気ユニット1は、各配線材側コネクタC1のハウジング10と前記ケーシング1aとが同一材料により一体に成型されることにより、各配線材側コネクタC1のハウジング10がケーシング1aに一体化されていてもよい。
【0032】
この電気接続装置において、基板側コネクタC2と配線材側コネクタC1との接続は、配線材側コネクタC1を基板側コネクタC2の前記嵌合用凹部に対向させ、配線材側コネクタC1をその先端側から嵌合用凹部に差し込んで両ハウジング10、20を互いに嵌合させることにより行われるが、コネクタC1、C2の各ハウジング10、20には、このコネクタ同士の嵌合を、前記コネクタ嵌合用治具30Aを用いて行うための軸部(カムフォロア)が備えられている。
【0033】
具体的には、各基板側コネクタC2は、前記ハウジング20のうちコネクタ列L1、L2の互いに向かい合う側の側面に軸部24を備えている。配線材側コネクタC1は、対応する基板側コネクタC2に嵌合したときに当該基板側コネクタC2の軸部24と同じ側に位置するようにハウジング10の側面に軸部14を備えている。なお、各コネクタC1、C2の軸部14、24は、ハウジング10、20の幅方向中央位置で互いにコネクタ嵌合方向(図1では上下方向)に一列に並ぶように核ハウジング10、20に備えられている。
【0034】
前記コネクタ嵌合用治具30A(以下、治具30Aと略す)は、図1〜図3に示すように、一軸方向に延びる細長い略角柱状をなし、その長手方向の一端側である先端側からコネクタ嵌合方向と直交する方向(図1中の一点矢印方向)に沿って両コネクタ列L1、L2の各基板側コネクタC2の隙間に挿入することが可能な形状を有する。
【0035】
前記治具30Aは、その長手方向と直交する方向を幅方向として、当該幅方向の一方側(図2(a)では下側)に第1コネクタ列L1の基板側コネクタC2と配線材側コネクタC1とを嵌合するための第1嵌合用案内部31を備え、他方側に前記第2コネクタ列L2の基板側コネクタC2と配線材側コネクタC1とを嵌合するための第2嵌合用案内部32を備える。すなわち、当実施形態では、第1コネクタ列L1の基板側コネクタC2及び配線材側コネクタC1がそれぞれ本発明の第1相手側コネクタ及び第1コネクタに相当し、第2コネクタ列L2の基板側コネクタC2及び配線材側コネクタC1がそれぞれ本発明の第2相手側コネクタ及び第2コネクタに相当する。
【0036】
治具30Aの前記第1嵌合用案内部31は、治具30Aの長手方向に延びるスリット状の第1下側案内溝34と、その上側に並び、同じく前記長手方向に延びるスリット状の第1上側案内溝35(カム溝)とを備えている。第2嵌合用案内部32も同様に、治具30Aの長手方向に延びるスリット状の第2下側案内溝36と、その上側に並び、前記長手方向に延びるスリット状の第2上側案内溝37(カム溝)とを備えている。これらの案内溝34、35及び案内溝36、37は、コネクタC1、C2を嵌合させるために前記軸部14、24を案内するものであり、詳しくは、各下側案内溝34、36は、基板側コネクタC2の軸部24を、各上側案内溝35、37は、配線材側コネクタC1の軸部14をそれぞれ案内するものである。
【0037】
第1嵌合用案内部31の案内溝34、35は、第1コネクタ列L1のコネクタC1、C2同士が後記仮嵌合状態とされた状態で、治具30Aがその先端側から両コネクタ列L1、L2の基板側コネクタC2の隙間に挿入されることにより、当該挿入に伴い各コネクタC1、C2の軸部14,24を受け入れつつ当該第1コネクタ列L1のコネクタC1、C2同士が完全な嵌合状態(以下、本嵌合又は本嵌合状態という)となるように当該各軸部14、24を案内する一方、当該コネクタの本嵌合後、前記隙間から治具30Aが引き出されると、第1コネクタ列L1のコネクタC1、C2の嵌合状態を維持しつつ当該コネクタC1、C2の軸部14,24から治具30Aを離脱させることが可能な形状を有する。
【0038】
具体的には、第1嵌合用案内部31の案内溝34、35は、治具30Aの長手方向先端側にそれぞれ開いている。また、案内溝34、35のうち、第1下側案内溝34の上下の案内面34a、34bは、軸部24の直径よりも若干大きい間隔で対向し、治具30Aの長手方向に互いに平行にかつ真っ直ぐに形成されている。一方、第1上側案内溝35の上下の案内面35a、35bについては、これらの間隔が治具30Aの先端側から後端側に向かって狭くなるように当該案内面35a、35bが形成されている。具体的には、これら案内面35a、35bのうち、下側の案内面35aは第1下側案内溝34の各案内面34a、34bと平行に形成されるが、上側の案内面35bは、治具先端の一定領域でその先端側から後端側に向かって先下がり形成され、当該先端部分より後側では、下側の案内面35aと平行でかつ第1下側案内溝34の案内面34a、34b、と同等の間隔となるように形成されている。
【0039】
一方、第2嵌合用案内部32の案内溝36、37は、治具30Aがその先端側から両コネクタ列L1、L2の基板側コネクタC2の隙間に挿入されることで、第2コネクタ列L2の基板側コネクタC2の軸部24を受け入れるとともに、当該挿入後、第2コネクタ列L2のコネクタC1、C2同士が前記仮嵌合の状態とされると当該配線材側コネクタC1の軸部14を受け入れ、かつ治具30Aが前記隙間から引き出されるに伴い、第2コネクタ列L2のコネクタC1、C2が本嵌合するように当該両コネクタC1、C2の軸部14,24を案内しながら当該各軸部14、24から治具30Aを離脱させることが可能な形状を有する。
【0040】
具体的には、第2嵌合用案内部32の案内溝36、37は、治具30Aの長手方向先端側にそれぞれ開いている。また、案内溝36、37のうち、第2下側案内溝36の上下の案内面36a、36bは、軸部24の直径よりも若干大きい間隔で対向し、治具30Aの長手方向に互いに平行にかつ真っ直ぐに形成されている。一方、第2上側案内溝37の上下の案内面37a、37bについては、これらの間隔が治具30Aの先端側から後端側に向かって広くなるように当該案内面37a、37bが形成されている。具体的には、これら案内面37a、37bのうち、下側の案内面37aは第2下側案内溝36の各案内面36a、64bと平行に形成されるが、上側の案内面37bは、治具先端の一定領域でその先端側から後端側に向かって先上がり形成され、当該先端部分より後側では、下側の案内面37aと平行になるように形成されている。
【0041】
そして、治具先端での第2上側案内溝37の上下の案内面37a、37bの間隔が軸部24の直径よりも若干大きい間隔とされ、前記一定領域よりも後端側では、軸部24の直径よりも十分に大きい間隔とされている。具体的には、両コネクタ列L1、L2の間に治具30Aが挿入された状態で、基板側コネクタC2に配線材側コネクタC1を仮嵌合させつつその軸部14を治具30Aの側方から第2上側案内溝37に容易に介在させることができる間隔とされている。
【0042】
加えて、第1嵌合用案内部31の各案内溝34、35は、後述する往路操作に伴い第1コネクタ列L1の一端から順にコネクタC1、C2を一組ずつ順番に嵌合させることができ、かつ、この往路操作の操作力よりも大きいコネクタ嵌合力を生成できるように形成されており、同様に、第2嵌合用案内部32の各案内溝36、37は、後述する復路操作に伴い第2コネクタ列L2の一端から順にコネクタC1、C2を一組ずつ順番に嵌合させることができ、かつ、この往路操作の操作力よりも大きいコネクタ嵌合力を生成できるように形成されている。
【0043】
次に、上記電気接続装置におけるコネクタC1、C2の嵌合作業の要領について図面を用いて説明する。
【0044】
コネクタC1、C2の嵌合は、電気ユニット1、配線材側コネクタC1及びコネクタ嵌合用治具30Aを準備した上で(本発明の電気ユニット準備工程、第1、第2コネクタ準備工程、治具準備工程に相当する)、以下の手順に従って行う。
【0045】
(第1嵌合準備工程)
図4(a)に示すように、第1コネクタ列L1の各基板側コネクタC2の嵌合用凹部にそれぞれ配線材側コネクタC1を差し込み、これらのハウジング10、20を、それが完全な嵌合状態に至る前の仮嵌合状態にする。この仮嵌合状態は、例えば両コネクタC1、C2の端子同士が接触し始めた端子嵌合の初期状態である。
【0046】
そして、同図及び図4(b)に示すように、治具30Aの先端を両コネクタ列L1、L2の一端に位置する基板側コネクタC2の間に配置する。この際、図8(a)に示すように、第1コネクタ列L1の基板側コネクタC2の軸部24が第1嵌合用案内部31の第1下側案内溝34に、配線材側コネクタC1の軸部14が第1上側案内溝35に各々挿入され、第2コネクタ列L1の基板側コネクタC2の軸部24が第2嵌合用案内部32の第2下側案内溝36に各々挿入されるようにする。
【0047】
(第1コネクタ嵌合工程)
治具30Aをその長手方向に沿ってスライドさせ、当該治具30Aを両コネクタ列L1、L2の間に挿入する(往路操作と称する)。このように治具30Aをスライドさせると、図9(a)、(b)に示すように、各嵌合用案内部31、32の直線状の下側案内溝34、36に沿って基板側コネクタC2の軸部24が相対的に案内されることで、治具30Aが軸部24を基準として電気ユニット1に対して上下方向(コネクタ嵌合方向)に拘束される。他方この状態で、配線材側コネクタC1の軸部14が第1嵌合用案内部31の第1上側案内溝35に沿って案内される、具体的には、第1上側案内溝35の上側の案内面35bに沿って軸部14が案内されることで前記ハウジング10が下側に変位し、その結果、まず第1コネクタ列L1の一端(図9では左端)に位置するコネクタC1、C2同士が本嵌合状態となる。
【0048】
そして、さらに治具30Aをスライドさせると、これに伴い第1コネクタ列L1の各コネクタC1、C2が順次本嵌合状態となり、第1コネクタ列L1の前記一端に位置するコネクタC1、C2の各軸部14、24が各案内溝34、35の奥端部近傍に位置するところまで治具30Aをスライドさせると、図5(a)、(b)及び図10(a)、(b)に示すように、第1コネクタ列L1の全てのコネクタC1、C2が本嵌合状態となる。
【0049】
(第2嵌合準備工程)
図6(a)、(b)に示すように、第2コネクタ列L2の各基板側コネクタC2の嵌合用凹部にそれぞれ配線材側コネクタC1を差し込み、図11(a)、(b)に示すように、当該配線材側コネクタC1の軸部14を第2嵌合用案内部32の第2上側案内溝37内に介在させつつこれらコネクタC1、C2のハウジング10、20同士を第1嵌合準備工程と同様に仮嵌合状態にする。この際、上記の通り第2上側案内溝37は、上下の案内面37a、37bの間隔が軸部14の直径よりも十分に大きく設定されているため、治具30Aの側方から第2上側案内溝37へ軸部14を容易に介在させつつ配線材側コネクタC1を基板側コネクタC2に嵌合(仮嵌合)させることができる。
【0050】
(第2コネクタ嵌合工程)
治具30Aを両コネクタ列L1、L2の間から引き抜く方向にスライドさせる(復路操作と称する)。このように治具30Aをスライドさせると、往路操作時と同様に、各嵌合用案内部31、32の下側案内溝34、36に沿って相対的に軸部24が案内されることで、治具30Aが軸部24を基準として電気ユニット1に対して上下方向に拘束される。他方、この状態で、図12(b)に示すように、第2コネクタ列L2の配線材側コネクタC1の軸部14が第2嵌合用案内部32の第2上側案内溝37に沿って案内される、具体的には、治具先端の領域で第2上側案内溝37の上側の案内面37bに沿って軸部14が案内されることで前記ハウジング10が下側に変位し、その結果、まず第2コネクタ列L2の一端(図12の右端)に位置するコネクタC1、C2が本嵌合状態となるとともに、当該一端側のコネクタC1、C2の軸部14、24から治具30A(第2嵌合用案内部32)が離脱する。
【0051】
そして、さらに治具30Aをスライドさせると、第2コネクタ列L2の各コネクタC1、C2が順次本嵌合状態となるとともに、順次各コネクタC1、C2の軸部14、24から治具30A(第2嵌合用案内部32)が離脱し、最終的に、治具30Aの先端部が両コネクタ列L1、L2の間から引き出される位置まで当該治具30Aをスライドさせると、図7及び図13(b)に示すように、第2コネクタ列L2の全てのコネクタC1、C2が本嵌合状態となる。この際、第1嵌合用案内部31の第1上側案内溝35については、下側の案内面35aが上記のように第1下側案内溝34の各案内面34a、34bと平行となるように形成されている結果、図12(a)及び13(a)に示すように、第1コネクタ列L1の各配線材側コネクタC1の軸部14は、上下方向に変位することなくその位置に保たれる。つまり、治具30Aが両コネクタ列L1、L2の間から引き抜き方向にスライドしても、第1コネクタ列L1の両コネクタC1、C2の軸部14、24の位置関係は保たれる。これにより、第1コネクタ列L1の両コネクタC1、C2の嵌合状態が保たれたまま、治具30A(第1嵌合用案内部31)が第1コネクタ列L1の各コネクタC1、C2から離脱する。
【0052】
以上のような電気接続装置によれば、上述のように、治具30Aを両コネクタ列L1、L2の隙間に挿入しつつスライドさせると、第1コネクタ列L1の各コネクタC1、C2が一組ずつ個別に嵌合され、治具30Aを引き出し方向にスライドさせると、第2コネクタ列L2の各コネクタC1、C2が一組ずつ個別に嵌合させられる。そのため、スライダの操作に伴い2組のコネクタC1、C2同士が同時に嵌合される従来のこの種の電気接続装置(特許文献1)に比べると、より低い操作力でコネクタ列L1、L2の各基板側コネクタC2と配線材側コネクタC1とを嵌合させることができる。
【0053】
しかも、この電気接続装置によれば、治具30Aを一往復スライド操作することで各コネクタ列L1、L2のコネクタC1、C2の嵌合が行われるため、効率的に各コネクタ列L1、L2のコネクタC1、C2同士を嵌合させることができる。
【0054】
加えて、各コネクタ列L1、L2のコネクタC1、C2同士の嵌合後は、当該嵌合状態を保ったままで各コネクタC1、C2から治具30Aを取り外す(離脱させる)ことができるため、コネクタC1、C2については、それらのハウジング10、20に軸部14、24が形成されていれば、従来のようなスライダやホルダは不要であり、従って、その分、電気接続装置の大型化が抑制されるという利点もある。
【0055】
さらに、治具30Aについては、上記の通り両コネクタC1、C2から取り外しが可能であり、コネクタC1、C2の嵌合作業後は、他の電気ユニット1のコネクタC1、C2の嵌合作業に繰り返し使用可能である。従って、当該治具30Aが無駄になることもない。
【0056】
<第2実施形態>
図14は、第2実施形態にかかる電気接続装置を概略的に示している。第2実施形態にかかる電気接続装置の基本的な構成は、概ね第1実施形態のものと共通するため、以下の説明では、第1実施形態と共通する部分については第1実施形態のものと同一の符号を付して説明を省略し、主に第1実施形態との相違点について詳細に説明する。
【0057】
同図に示すように、第2実施形態では、コネクタC1、C2のハウジング10、20は、コネクタ列L1、L2の互いに向かい合う側面に加え、その反対側の側面にも軸部14、24を備えている。
【0058】
また、第1実施形態のコネクタ嵌合用治具30Aに代えて、同図に示すようなコネクタ嵌合用治具30Bを備えている。この治具30Bは、同図に示すように、一軸方向に延びる細長い略角柱状をなす中央案内部40と、その両側に、当該中央案内部40とそれぞれ所定間隔を隔てて並び、中央案内部40と平行に延びる第1側方案内部41及び第2側方案内部42と、これら中央案内部40及び側方案内部41、42をそれらの長手方向の一端部で互いに連結する連結部43とを備えた形状を有する。これら中央案内部40及び側方案内部41、42は同一の樹脂材料により一体に成形されている。
【0059】
前記中央案内部40は、第1実施形態の治具30Aと同等の構成を有している。すなわち、中央案内部40は、その片側に第1コネクタ列L1のコネクタC1、C2同士を嵌合させるための第1嵌合用案内部31を備え、反対側に第2コネクタ列L2のコネクタC1、C2同士を嵌合させるための第2嵌合用案内部32を備える。
【0060】
前記第1側方案内部41は、中央案内部40の前記第1嵌合用案内部31と協働して第1コネクタ列L1に属するコネクタC1、C2同士を嵌合するものである。すなわち、この第1側方案内部41は、前記コネクタC1、C2のハウジング10、20の幅寸法(第1コネクタ列L1のコネクタC2の並び方向と直交する方向の寸法)と略同じ間隔を隔てて中央案内部40の前記第1嵌合用案内部31の側に並び、第1嵌合用案内部31の案内溝34、35と同一形状の案内溝44、45を備えている。
【0061】
一方、第2側方案内部42は、中央案内部40の前記第2嵌合用案内部32と協働して第2コネクタ列L2に属するコネクタC1、C2同士を嵌合するものである。すなわち、この第2側方案内部42は、コネクタC1、C2のハウジング10、20の幅寸法と略同じ間隔を隔てて中央案内部40の前記第2嵌合用案内部32の側に並び、第2嵌合用案内部32の案内溝36、37と同一形状の案内溝46、47を備えている。
【0062】
第2実施形態の電気接続装置におけるコネクタC1、C2の嵌合作業の要領は、コネクタC1、C2の両側で軸部14、24を案内する点を除き、第1実施形態のものと共通する。すなわち、まず第1コネクタ列L1の各基板側コネクタC2の嵌合用凹部にそれぞれ配線材側コネクタC1を差し込み、これらのハウジング10、20を仮嵌合状態にした上で、図15に示すように、中央案内部40及び第1側方案内部41により第1コネクタ列L1のコネクタC1、C2を、また、中央案内部40及び第2側方案内部42により第2コネクタ列L2の基板側コネクタC2をそれぞれ挟み込むように、治具30Bの中央案内部40をその先端側から両コネクタ列L1、L2の隙間に挿入し、スライドさせる。
【0063】
このように治具30Bをスライドさせると、第1コネクタ列L1の各コネクタC1、C2の両側の位置で中央案内部40(第1嵌合用案内部31)及び第1側方案内部41により軸部14、24が案内される。具体的には、第1嵌合用案内部31及び第1側方案内部41の各下側案内溝34、44に沿って軸部24が相対的に案内されるとともに、各上側案内溝35、45に沿って軸部14が相対的に案内され、これにより、第1コネクタ列L1の一端側から順に各コネクタC1、C2が一組ずつ本嵌合状態となる(図16参照)。
【0064】
次に、図17に示すように、第2コネクタ列L2の各基板側コネクタC2の嵌合用凹部にそれぞれ配線材側コネクタC1を差し込み、これらハウジング10、20を仮嵌合状態にする。なお、第2実施形態の治具30Bのうち中央案内部40の第2嵌合用案内部32及び前記第2側方案内部42には、図14に示すように、それらの長手方向の複数の位置(当例では三箇所)に、上下方向に延びる切欠状の軸導入部50が形成されている。これら軸導入部50は、第2コネクタ列L2の隣設する基板側コネクタC2の軸部24と等間隔で形成されている。各軸導入部50は、配線材側コネクタC1の軸部14を治具30Bの上側、つまりコネクタ嵌合方向に沿って第2嵌合用案内部32及び第2側方案内部42の各上側案内溝37、47へ介在させることを許容する形状を有する。従って、第2コネクタ列L2の基板側コネクタC2に配線材側コネクタC1を嵌合(仮嵌合)させる際には、前記軸導入部50に軸部14を挿入しながら当該軸部14を各上側案内溝37、47へ介在させつつ当該コネクタC1、C2を嵌合させる。
【0065】
その後、治具30Bの中央案内部40を両コネクタ列L1、L2の間から引き抜く方向にスライドさせる。このように治具30Aをスライドさせると、第2コネクタ列L2の各コネクタC1、C2の両側の位置で中央案内部40(第2嵌合用案内部32)及び第2側方案内部42により軸部14、24が案内される。具体的には、第2嵌合用案内部32及び第2側方案内部42の各下側案内溝36、46に沿って軸部24が相対的に案内されるとともに、各上側案内溝37、47に沿って軸部14が相対的に案内される。これにより、中央案内部40の先端部が両コネクタ列L1、L2の間から引き出される位置まで当該治具30Bをスライドさせると、第2コネクタ列L2の一端側から順に各コネクタC1、C2が一組ずつ本嵌合状態となる。
【0066】
以上のような第2実施形態の電気接続装置によれば、第1実施形態のものと同等の作用効果を享受しながら、各コネクタC1、C2をより円滑に嵌合させることが可能となる。すなわち、配線材側コネクタC1のハウジング10がその幅方向両側の位置でそれぞれ軸部14を介してコネクタ嵌合方向に案内されるためハウジング10の姿勢が安定し易く、ハウジング10に拗れが生じ難くい。従って、コネクタC1、C2同士の嵌合をより円滑に進めることが可能になる。
【0067】
<第3実施形態>
図18は、第3実施形態にかかる電気接続装置を概略的に示している。第3実施形態にかかる電気接続装置の基本的な構成は、概ね第1実施形態のものと共通するため、以下の説明では、第1実施形態と共通する構成については第1実施形態のものと同一の符号を付して説明を省略し、主に第1実施形態との相違点について詳細に説明する。
【0068】
第3実施形態にかかる電気接続装置は、治具30Aをスライドさせるための嵌合補助具60をさらに備える。この嵌合補助具60は、互いに平行に並ぶ板状の一対の脚部62と、これらの間に回転可能に支持されるピニオン64と、このピニオン64を回転操作するためのハンドル65とを備えている。
【0069】
この嵌合補助具60は、電気ユニット1の前記ケーシング1aに着脱可能に構成されている。具体的には、図19(a)に示すように、嵌合補助具60の各脚部62は、その下端部から両側(図20では左右両側)に延びる延設部62aを備えた断面逆T字型の形状を有する。他方、電気ユニット1のうち基板側コネクタC2が配列される面上であってコネクタ列L1、L2の一端より外側の位置には、嵌合補助具60の各脚部62を各々固定するための固定部3が設けられている。各固定部3は、図19(a)、(b)及び図20に示すように、脚部62の前記延設部62aをコネクタ列L1、L2のコネクタ配列方向に沿って差し込むことが可能で、かつ、この差し込み状態で当該延設部62aを上下方向及び左右方向(差し込み方向と直交する方向)に拘束可能な形状を有する。
【0070】
一方、治具30Aの上面であって前記嵌合用案内部31、32の間の位置には、当該治具30Aの長手方向に延びるラック52が形成されている。このラック52は、前記嵌合補助具60のピニオン64が噛合可能な形状を有する。
【0071】
なお、嵌合補助具60の両脚部62の間隔は、治具30Aを通過させることが可能な間隔に設定されており、電気ユニット1の各固定部3は、両脚部62の間を通じて両コネクタ列L1、L2の隙間に治具30Aを挿入することが可能で、かつ前記ラック52にピニオン64が噛合する状態で前記嵌合補助具60が固定されるようにそれぞれ設けられている。
【0072】
この第3実施形態の電気接続装置では、嵌合補助具60を用いて治具30Aをスライドさせる。すなわち、この電気接続装置では、例えば電気ユニット1に嵌合補助具60を固定した状態で上記の第1嵌合準備工程、第1コネクタ嵌合工程、第2嵌合準備工程及び第2コネクタ嵌合工程に沿って作業を行う。そして、第1嵌合準備工程では、嵌合補助具60の両脚部62の間に治具30Aを挿入しつつその先端を両コネクタ列L1、L2の末端に位置する基板側コネクタC2の間に配置するとともに、治具30Aのラック52に前記嵌合補助具60のピニオン64を噛合させる。これにより、第1、第2コネクタ嵌合工程では、ハンドル65を回転させて前記治具30Aをスライドさせる。
【0073】
以上のような第3実施形態の電気接続装置によれば、第1実施形態のものと同等の作用効果に加え、ハンドル65の操作により、各コネクタC1、C2の嵌合作業をより円滑かつ迅速に行うことが可能となる。また、この嵌合補助具60は、ハンドル65がピニオン64の中心に連結されており、従って、ピニオン64の半径に対してハンドル65の回転半径を大きく設定しておくことで、少ない操作力でピニオン64に大きな回転トルクを与えることができる。従って、より低操作力で各コネクタ列L1、L2のコネクタC1、C2同士の嵌合作業を効率良く行うことが可能となる。
【0074】
なお、以上説明した電気接続装置は、本発明にかかる電気接続装置の好ましい実施形態の例示であって、電気接続装置の具体的な構成やコネクタC1、C2の具体的な嵌合方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0075】
例えば、前記治具30Aの各嵌合用案内部31、32は、コネクタC1、C2の各軸部14、24をそれぞれ案内するための案内溝34、35を個別に備えているが、これらの案内溝34、35を兼ねた単一の案内溝を備える構成であってもよい。具体的には、第1嵌合用案内部31は、第1下側案内溝34の下側の案内面34a及び第1上側案内溝35の上側の案内面35bに相当する案内面を有する単一の案内溝を備え、第2嵌合用案内部32は、第2下側案内溝36の下側の案内面36a及び第2上側案内溝37の上側の案内面37bに相当する案内面を有する単一の案内溝を備える構成であってもよい。つまり、この構成では、各嵌合用案内部31、32のそれぞれ共通の案内溝内にコネクタC1、C2の軸部14、24を介在させ、配線材側コネクタC1の軸部14を上側の案内面に沿って、基板側コネクタC2の軸部24を下側の案内面に沿ってそれぞれ相対的に案内する。このような治具30Aの構成によっても上記実施形態の電気接続装置と同等の作用効果を享受することができる。第2実施形態の治具30Bについても同様である。
【0076】
また、前記治具30Aについては、図21に示すように、第2嵌合用案内部32の一部、具体的には、治具30Aの先端部分であって第2上側案内溝37の上側の案内面37b(軸部24を押し下げる領域:図3に符号Xで示す領域)を含む部分(以下、先端部32aと称す)を、その他の部分(以下、本体部32bと称す)に対して着脱可能な構成としてもよい。この構成によれば、コネクタC1、C2の嵌合作業を以下のように進めることが可能となる。
【0077】
すなわち、まず、両コネクタ列L1、L2の全ての基板側コネクタC2に配線材側コネクタC1を差し込み、これらコネクタC1、C2を仮嵌合状態にしておく。そして、治具30Aから前記先端部32aを取り外した状態で当該治具30Aを往路操作し、これにより第1コネクタ列L1の各コネクタC1、C2を嵌合させる。この際、前記先端部32aが取り外されていることで、第2コネクタ列L2の配線材側コネクタC1の軸部14は、前記往路操作に伴い、第2嵌合用案内部32の第2上側案内溝37に受け入れられる。
【0078】
前記往路操作の後、前記先端部32aを本体部32bに装着する。そして、この状態で治具30Aを復路操作し、第2コネクタ列L2の各コネクタC1、C2を嵌合させる。
【0079】
このようなコネクタC1、C2の嵌合作業によれば、予めコネクタ列L1、L2の全ての基板側コネクタC2に配線材側コネクタC1を仮嵌合させておくことが可能となるため、当該コネクタ嵌合作業をより効率的に行うことができるようになる。
【0080】
なお、この場合には、例えば図21に示すように、先端部32aに鉤型の係合突起56を形成する一方、本体部32bに当該係合突起56が係合する係合凹部58を形成し、係合凹部58に係合突起56を圧入、係合させることで先端部32aを本体部32bに着脱可能に繋ぎ合わせるようにすればよい。勿論、これ以外の継手構造も適用である。
【符号の説明】
【0081】
1 電気ユニット
10、20 コネクタハウジング
14,24 軸部
30A、30B コネクタ嵌合用治具
31 第1嵌合用案内部
32 第2嵌合用案内部
34 第1下側案内溝
35 第1上側案内溝
36 第2下側案内溝
37 第2上側案内溝
C1 配線材側コネクタ
C2 基板側コネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に軸部を備える第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備える第2相手側コネクタを有する電気ユニットの前記第1相手側コネクタ及び前記第2相手側コネクタと、前記第1相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタ及び前記第2相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタと、を互いに嵌合させるためのコネクタ嵌合用治具であって、
コネクタ嵌合方向と直交する操作方向に沿って前記両相手側コネクタの隙間に挿入することが可能な形状を有し、かつ、前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとを嵌合させるための第1嵌合用案内部及び前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを嵌合させるための第2嵌合用案内部を備えており、
前記第1嵌合用案内部は、前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとが所定の仮嵌合状態とされ、かつこの状態で前記隙間に当該コネクタ嵌合用治具が挿入される往路操作に伴い当該第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部を受け入れつつ前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該各コネクタの各軸部を案内する一方で、当該コネクタ嵌合後、前記隙間から当該コネクタ嵌合用治具が引き出される復路操作に伴い、前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの嵌合状態を維持しつつ当該両コネクタの軸部から離脱することが可能な形状を有し、
前記第2嵌合用案内部は、前記往路操作に伴い前記第2相手側コネクタの軸部を受け入れるとともに当該往路操作の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとが前記仮嵌合状態とされることで当該第2コネクタの前記軸部を受け入れ、かつ前記復路操作に伴い、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該両コネクタの軸部を案内しながら当該各軸部から離脱することが可能な形状を有することを特徴とするコネクタ嵌合用治具。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ嵌合用治具において、
前記第1嵌合用案内部は、前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部に対してそれぞれコネクタ嵌合方向の外側から当接する一対の案内面を含み、これら案内面のうち、前記第1相手側コネクタ側に位置する案内面が前記往路操作の方向と平行に形成される一方、両案内面の間隔が前記往路操作の方向の前方側である治具先端側から治具後端側に向かって狭くなるように前記第1コネクタ側に位置する案内面が形成されており、
前記第2嵌合用案内部は、前記第2コネクタ及び第2相手側コネクタの各軸部に対してそれぞれコネクタ嵌合方向の外側から当接する一対の案内面を含み、これら案内面のうち、前記第2相手側コネクタ側に位置する案内面が前記往路操作の方向と平行に形成される一方、両案内面の間隔が治具後端側から治具先端側に向かって狭くなるように第2コネクタ側に位置する案内面が形成されていることを特徴とするコネクタ嵌合用治具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコネクタ嵌合用治具において、
前記第1相手側コネクタ及び前記第2相手側コネクタは、これら相手側コネクタの並び方向に並ぶ両側面にそれぞれ前記軸部を備え、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタは、それらの側面のうち前記相手側コネクタの前記両側面に対応する側面に前記軸部を備えるものであって、
前記操作方向に沿って前記両相手側コネクタの隙間に挿入することが可能な形状を有しかつ前記操作方向と直交する方向に並ぶように前記第1嵌合用案内部及び前記第2嵌合用案内部を備える中央案内部と、
この中央案内部に対して前記第1嵌合用案内部の側に並びかつ当該第1嵌合用案内部と同等の嵌合用案内部を備え、前記第1相手側コネクタ及び前記第1コネクタの前記軸部を前記中央案内部の前記第1嵌合用案内部と協働して当該第1相手側コネクタ及び第1コネクタの両側の位置で案内する第1側方案内部と、
前記中央案内部に対して前記第2嵌合用案内部の側に並びかつ当該第2嵌合用案内部と同等の嵌合用案内部を備え、前記第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの各軸部を前記中央案内部の前記第2嵌合用案内部と協働して当該第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの両側の位置で案内する第2側方案内部と、を備えていることを特徴とするコネクタ嵌合用治具。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のコネクタ嵌合用治具において、
前記往路操作の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを前記仮嵌合状態とするために前記第2コネクタの軸部をコネクタ嵌合方向に沿って前記2嵌合用案内部に導入することが可能な軸導入部を備えていることを特徴とするコネクタ嵌合用治具。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載のコネクタ嵌合用治具において、
前記電気ユニットは、コネクタ接続方向と直交する所定のコネクタ配列方向に並び、それぞれ同じ側の側面に前記軸部を備えた複数の前記第1相手側コネクタを含む第1コネクタ列と、この第1コネクタ列と平行に並び、それぞれ第1コネクタ側の側面に前記軸部を備えた複数の前記第2相手側コネクタを含む第2コネクタ列とを備えるものであって、
前記第1嵌合用案内部は、前記往路操作に伴い前記第1コネクタ列の一端側から順に全ての前記第1相手側コネクタと前記第1コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該第1コネクタ列に含まれる前記第1相手側コネクタ及び前記第1コネクタの各軸部を案内し、
前記第2嵌合用案内部は、前記復路操作に伴い前記第2コネクタ列の一端側から順に全ての前記第2相手側コネクタと前記第2コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該第2コネクタ列に含まれる前記第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの各軸部を案内することが可能に形成されていることを特徴とするコネクタ嵌合用治具。
【請求項6】
コネクタ同士の嵌合によって電気接続を行う電気接続装置であって、
側面に軸部を備えた第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備えた第2相手側コネクタを備える電気ユニットと、
前記第1相手側コネクタに嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタと、
前記第2相手側コネクタに嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタと、
前記第1コネクタを前記第1相手側コネクタに嵌合させるとともに前記第2コネクタを前記第2相手側コネクタに嵌合させるためのコネクタ嵌合用治具と、を備え、
当該コネクタ嵌合用治具として、請求項1乃至5の何れか一項に記載のコネクタ嵌合用治具を備えていることを特徴とする電気接続装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気接続装置において、
ピニオン部材とこのピニオン部材を回転可能に支持する支持部材と前記ピニオン部材を回転操作するためのハンドルとを備えた嵌合補助具をさらに備え、
前記コネクタ嵌合用治具は、前記操作方向と平行な方向に延びるラック部を備え、
前記電気ユニットは、前記嵌合補助具を着脱可能に固定することが可能な固定部を備え、
この固定部は、前記両相手側コネクタの隙間に挿入させることが可能な位置に前記コネクタ嵌合用治具が配置されかつ前記ラック部に前記ピニオン部材が噛合する状態で前記嵌合補助具を固定することが可能に形成されていることを特徴とする電気接続装置。
【請求項8】
コネクタ同士を嵌合させる方法であって、
側面に軸部を備える第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備える第2相手側コネクタを有する電気ユニットを準備する電気ユニット準備工程と、
前記第1相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタを準備する第1コネクタ準備工程と、
前記第2相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタを準備する第2コネクタ準備工程と、
請求項1乃至5の何れか一項に記載されたコネクタ嵌合用治具を準備する治具準備工程と、
前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとを、これらが完全な嵌合状態に至る前の仮嵌合状態とする第1嵌合準備工程と、
コネクタ嵌合方向と直交する操作方向に沿って前記電気ユニットの前記第1相手側コネクタと前記第2相手側コネクタとの隙間に前記コネクタ嵌合用治具を挿入する往路操作を行い、この往路操作に伴い前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部を前記第1嵌合用案内部に受け入れつつ案内することで当該コネクタ同士を嵌合させる第1コネクタ嵌合工程と、
この第1コネクタ嵌合工程の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを前記仮嵌合状態にするとともに前記第2コネクタの前記軸部を第2嵌合用案内部内に受け入れさせる第2嵌合準備工程と、
この第2嵌合準備工程の後、前記第1相手側コネクタと前記第2相手側コネクタとの隙間から引き抜き方向に前記コネクタ嵌合用治具を移動させる復路操作を行い、この復路操作に伴い前記第2コネクタ及び第2相手側コネクタの各軸部を前記第2嵌合用案内部により案内することで当該コネクタ同士を嵌合させるとともに各コネクタの軸部から当該コネクタ嵌合用治具を離脱させる第2コネクタ嵌合工程と、を含むことを特徴とするコネクタ嵌合方法。
【請求項1】
側面に軸部を備える第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備える第2相手側コネクタを有する電気ユニットの前記第1相手側コネクタ及び前記第2相手側コネクタと、前記第1相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタ及び前記第2相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタと、を互いに嵌合させるためのコネクタ嵌合用治具であって、
コネクタ嵌合方向と直交する操作方向に沿って前記両相手側コネクタの隙間に挿入することが可能な形状を有し、かつ、前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとを嵌合させるための第1嵌合用案内部及び前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを嵌合させるための第2嵌合用案内部を備えており、
前記第1嵌合用案内部は、前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとが所定の仮嵌合状態とされ、かつこの状態で前記隙間に当該コネクタ嵌合用治具が挿入される往路操作に伴い当該第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部を受け入れつつ前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該各コネクタの各軸部を案内する一方で、当該コネクタ嵌合後、前記隙間から当該コネクタ嵌合用治具が引き出される復路操作に伴い、前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの嵌合状態を維持しつつ当該両コネクタの軸部から離脱することが可能な形状を有し、
前記第2嵌合用案内部は、前記往路操作に伴い前記第2相手側コネクタの軸部を受け入れるとともに当該往路操作の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとが前記仮嵌合状態とされることで当該第2コネクタの前記軸部を受け入れ、かつ前記復路操作に伴い、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該両コネクタの軸部を案内しながら当該各軸部から離脱することが可能な形状を有することを特徴とするコネクタ嵌合用治具。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ嵌合用治具において、
前記第1嵌合用案内部は、前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部に対してそれぞれコネクタ嵌合方向の外側から当接する一対の案内面を含み、これら案内面のうち、前記第1相手側コネクタ側に位置する案内面が前記往路操作の方向と平行に形成される一方、両案内面の間隔が前記往路操作の方向の前方側である治具先端側から治具後端側に向かって狭くなるように前記第1コネクタ側に位置する案内面が形成されており、
前記第2嵌合用案内部は、前記第2コネクタ及び第2相手側コネクタの各軸部に対してそれぞれコネクタ嵌合方向の外側から当接する一対の案内面を含み、これら案内面のうち、前記第2相手側コネクタ側に位置する案内面が前記往路操作の方向と平行に形成される一方、両案内面の間隔が治具後端側から治具先端側に向かって狭くなるように第2コネクタ側に位置する案内面が形成されていることを特徴とするコネクタ嵌合用治具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコネクタ嵌合用治具において、
前記第1相手側コネクタ及び前記第2相手側コネクタは、これら相手側コネクタの並び方向に並ぶ両側面にそれぞれ前記軸部を備え、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタは、それらの側面のうち前記相手側コネクタの前記両側面に対応する側面に前記軸部を備えるものであって、
前記操作方向に沿って前記両相手側コネクタの隙間に挿入することが可能な形状を有しかつ前記操作方向と直交する方向に並ぶように前記第1嵌合用案内部及び前記第2嵌合用案内部を備える中央案内部と、
この中央案内部に対して前記第1嵌合用案内部の側に並びかつ当該第1嵌合用案内部と同等の嵌合用案内部を備え、前記第1相手側コネクタ及び前記第1コネクタの前記軸部を前記中央案内部の前記第1嵌合用案内部と協働して当該第1相手側コネクタ及び第1コネクタの両側の位置で案内する第1側方案内部と、
前記中央案内部に対して前記第2嵌合用案内部の側に並びかつ当該第2嵌合用案内部と同等の嵌合用案内部を備え、前記第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの各軸部を前記中央案内部の前記第2嵌合用案内部と協働して当該第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの両側の位置で案内する第2側方案内部と、を備えていることを特徴とするコネクタ嵌合用治具。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のコネクタ嵌合用治具において、
前記往路操作の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを前記仮嵌合状態とするために前記第2コネクタの軸部をコネクタ嵌合方向に沿って前記2嵌合用案内部に導入することが可能な軸導入部を備えていることを特徴とするコネクタ嵌合用治具。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載のコネクタ嵌合用治具において、
前記電気ユニットは、コネクタ接続方向と直交する所定のコネクタ配列方向に並び、それぞれ同じ側の側面に前記軸部を備えた複数の前記第1相手側コネクタを含む第1コネクタ列と、この第1コネクタ列と平行に並び、それぞれ第1コネクタ側の側面に前記軸部を備えた複数の前記第2相手側コネクタを含む第2コネクタ列とを備えるものであって、
前記第1嵌合用案内部は、前記往路操作に伴い前記第1コネクタ列の一端側から順に全ての前記第1相手側コネクタと前記第1コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該第1コネクタ列に含まれる前記第1相手側コネクタ及び前記第1コネクタの各軸部を案内し、
前記第2嵌合用案内部は、前記復路操作に伴い前記第2コネクタ列の一端側から順に全ての前記第2相手側コネクタと前記第2コネクタとが完全な嵌合状態となるように当該第2コネクタ列に含まれる前記第2相手側コネクタ及び前記第2コネクタの各軸部を案内することが可能に形成されていることを特徴とするコネクタ嵌合用治具。
【請求項6】
コネクタ同士の嵌合によって電気接続を行う電気接続装置であって、
側面に軸部を備えた第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備えた第2相手側コネクタを備える電気ユニットと、
前記第1相手側コネクタに嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタと、
前記第2相手側コネクタに嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタと、
前記第1コネクタを前記第1相手側コネクタに嵌合させるとともに前記第2コネクタを前記第2相手側コネクタに嵌合させるためのコネクタ嵌合用治具と、を備え、
当該コネクタ嵌合用治具として、請求項1乃至5の何れか一項に記載のコネクタ嵌合用治具を備えていることを特徴とする電気接続装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電気接続装置において、
ピニオン部材とこのピニオン部材を回転可能に支持する支持部材と前記ピニオン部材を回転操作するためのハンドルとを備えた嵌合補助具をさらに備え、
前記コネクタ嵌合用治具は、前記操作方向と平行な方向に延びるラック部を備え、
前記電気ユニットは、前記嵌合補助具を着脱可能に固定することが可能な固定部を備え、
この固定部は、前記両相手側コネクタの隙間に挿入させることが可能な位置に前記コネクタ嵌合用治具が配置されかつ前記ラック部に前記ピニオン部材が噛合する状態で前記嵌合補助具を固定することが可能に形成されていることを特徴とする電気接続装置。
【請求項8】
コネクタ同士を嵌合させる方法であって、
側面に軸部を備える第1相手側コネクタ及びこの第1相手側コネクタに隣設され、前記第1相手側コネクタ側の側面に軸部を備える第2相手側コネクタを有する電気ユニットを準備する電気ユニット準備工程と、
前記第1相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第1相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第1コネクタを準備する第1コネクタ準備工程と、
前記第2相手側コネクタと嵌合可能な形状を有しかつ当該第2相手側コネクタと同じ側の側面に軸部を備える第2コネクタを準備する第2コネクタ準備工程と、
請求項1乃至5の何れか一項に記載されたコネクタ嵌合用治具を準備する治具準備工程と、
前記第1コネクタと前記第1相手側コネクタとを、これらが完全な嵌合状態に至る前の仮嵌合状態とする第1嵌合準備工程と、
コネクタ嵌合方向と直交する操作方向に沿って前記電気ユニットの前記第1相手側コネクタと前記第2相手側コネクタとの隙間に前記コネクタ嵌合用治具を挿入する往路操作を行い、この往路操作に伴い前記第1コネクタ及び第1相手側コネクタの各軸部を前記第1嵌合用案内部に受け入れつつ案内することで当該コネクタ同士を嵌合させる第1コネクタ嵌合工程と、
この第1コネクタ嵌合工程の後、前記第2コネクタと前記第2相手側コネクタとを前記仮嵌合状態にするとともに前記第2コネクタの前記軸部を第2嵌合用案内部内に受け入れさせる第2嵌合準備工程と、
この第2嵌合準備工程の後、前記第1相手側コネクタと前記第2相手側コネクタとの隙間から引き抜き方向に前記コネクタ嵌合用治具を移動させる復路操作を行い、この復路操作に伴い前記第2コネクタ及び第2相手側コネクタの各軸部を前記第2嵌合用案内部により案内することで当該コネクタ同士を嵌合させるとともに各コネクタの軸部から当該コネクタ嵌合用治具を離脱させる第2コネクタ嵌合工程と、を含むことを特徴とするコネクタ嵌合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−51138(P2013−51138A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188718(P2011−188718)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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