コネクタ構造及びそれを備えたコネクタ部材、呼吸用温湿度交換器、エルボ部材、気管チューブ
【課題】人工呼吸回路を構成する気管チューブの患者遠位側に配置されるコネクタ構造に関して、酸素供給チューブが誤接続されて患者の呼吸気管内及び肺内圧が上昇することがないように、呼気困難の発生が防止可能とされるコネクタ構造及び人工呼吸用部材を提供すること。
【解決手段】人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において、気管チューブ6と前記人工呼吸機器との間を呼吸気が流通可能に接続するコネクタ構造であって、前記人工呼吸機器側に設けられ、筒状に形成された第1の接続部12と、前記第1の接続部12に設けられ前記気管チューブ6との間に呼吸気が流通自在に形成された第1の流路12Aとを備え、前記酸素供給チューブが前記第1の流路12Aに接続されることにより前記気管チューブ6の内部が外気に対して閉塞されるのを防止する閉塞防止手段15を備えていることを特徴とする。
【解決手段】人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において、気管チューブ6と前記人工呼吸機器との間を呼吸気が流通可能に接続するコネクタ構造であって、前記人工呼吸機器側に設けられ、筒状に形成された第1の接続部12と、前記第1の接続部12に設けられ前記気管チューブ6との間に呼吸気が流通自在に形成された第1の流路12Aとを備え、前記酸素供給チューブが前記第1の流路12Aに接続されることにより前記気管チューブ6の内部が外気に対して閉塞されるのを防止する閉塞防止手段15を備えていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、呼吸気管に挿管される気管チューブ又は気管切開チューブ、特にカフ付気管チューブが酸素供給チューブとともに人工呼吸回路において用いられ、患者遠位側に配置されるコネクタ構造及びこの構造を用いた人工呼吸用部材に関し、流路に酸素供給チューブが誤って接続されて患者が呼気困難となることによって気圧外傷(バロトラウマ)が発生するのを防止して患者の安全を確保可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、呼吸管理が必要な患者に対して、カフ付気管チューブ(気管チューブ、気管切開チューブ、以下、気管チューブという)を挿管することによる呼吸管理が広く行なわれており、人工呼吸回路を用いた人工呼吸において呼吸気管内の圧力上昇を防止するために、例えば、特許文献1が開示されている。
【0003】
図1は、人工呼吸回路1を用いて患者Kの気管K1に気管チューブ6を挿管して呼吸管理を行う場合の例を示す図であり、人工呼吸機器2に接続された呼吸回路4と気管チューブ6との間を呼吸用温湿度交換器(以下、人工鼻という)又はL字形に形成されたエルボ部材等の人工呼吸用部材5と、気管チューブ6の患者遠位側に接続されたコネクタ部材10とを介して呼吸可能に接続され、必要に応じて人工呼吸用部材5に酸素供給チューブ7を接続して酸素(酸素が付加された空気を含む)が供給自在とされている。
【0004】
この酸素供給チューブ7から供給される酸素は所定の圧力で加圧されているが、患者Kが呼気する際には人工呼吸機器2側に呼気とともに移動して外気に排出されるため、気管K1内の圧力は所定の圧力以上に高くならないようになっている。
【0005】
図2は、気管チューブ6と、上記人工呼吸回路1における人工呼吸用部材5が人工鼻20の場合の接続例を示す図であり、気管チューブ6の患者遠位側の開口部にはコネクタ部材10が接続され、コネクタ部材10の患者遠位側に位置する第1の接続部12の外周面12Bにはテーパ部が形成されて、このテーパ部が人工鼻20の患者側プラグ(人工呼吸機器側の接続部)24に挿入されて、コネクタ部材10と人工鼻20が接続されるようになっている。また、人工鼻20の患者遠位側には第1の接続部22が形成されて呼吸回路4の接続部(人工呼吸機器側の接続部)が接続されるようになっている。
【0006】
図3は、気管チューブ6と、上記人工呼吸回路1における人工呼吸用部材5がエルボ部材30の場合の接続例を示す図であり、気管チューブ6の患者遠位側に接続されたコネクタ部材10の第1の接続部12のテーパ部がエルボ部材30の患者側プラグ(人工呼吸機器側の接続部)34に挿入されて、コネクタ部材10とエルボ部材30が接続されるようになっており、エルボ部材30の患者遠位側の第1の接続部32に呼吸回路4が接続されるようになっている。
一般的に、コネクタ部材10の第1の接続部12、人工鼻20の第1の接続部22、エルボ部材30の第1の接続部32は、15M円錐接合(ISO 5361)のコネクタ構造が形成されている。
【0007】
また、図4(A)、(B)に示した酸素チューブ70A、70Bは、酸素供給チューブ7の詳細を示す図であり、酸素チューブ70Aは、酸素が移送されるチューブ本体71の先端に移動可能なホルダ74を有し、酸素供給チューブ70Bはホルダ74に代えて拡径自在とされ可撓性を有するホルダ76を有している。ホルダ74、ホルダ76は、ともにその内周面が人工鼻20の酸素供給プラグ26又はエルボ部材30の酸素供給プラグ36の外形を保持するようになっている。
【特許文献1】特開2005−288045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記人工呼吸回路により人工呼吸をする場合、緊急の措置や検査等により患者を移動させる際に、時間的余裕の不足や作業不慣れに起因して酸素供給プラグから取り外された酸素供給チューブが、例えば、図5(A)、(B)に示したように、気管チューブ6に接続されたコネクタ部材10の接続部12の内周面12Cに、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ部74、76が誤って挿入されることにより流路12Aが閉塞され、気管チューブ6の内方と外気との間が閉塞され、その結果、患者Kが呼気困難となって肺内圧が上昇することにより気圧外傷になる虞があるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、人工呼吸回路を構成する気管チューブの患者遠位側に配置されるコネクタ構造に関して、酸素供給チューブが誤接続されて患者の呼吸気管内及び肺内圧が上昇することがないように、呼気困難の発生が防止可能とされるコネクタ構造及びこの構造を用いた気管チューブ、コネクタ部材、人工鼻、エルボ部材等の人工呼吸用部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、患者遠位側に配置されるとともに前記人工呼吸機器側の接続部と接続自在とされる第1の接続部と、前記第1の接続部に形成された孔の内周面により画成され、前記気管チューブ側に連通される第1の流路とを備えたコネクタ構造であって、前記酸素供給チューブが前記第1の流路に接続されることによって前記気管チューブ側が外気に対して閉塞されるのを防止する閉塞防止手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係るコネクタ構造によれば、コネクタ構造が閉塞防止手段を備えているので、酸素供給チューブがコネクタ構造の第1の流路に接続されることによって、気管チューブ内が外気に対して閉塞されることがない。その結果、気管チューブ内の呼気が排出不能となる呼気困難の発生が防止されるとともに、酸素供給チューブから供給された酸素により気管チューブ内の圧力が所定の値以上に上昇するのが防止される。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のコネクタ構造であって、前記閉塞防止手段は、前記第1の流路に形成され、前記酸素供給チューブが前記第1の流路に接続されるのを防止する接続防止壁部により構成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係るコネクタ構造によれば、コネクタ構造の第1の流路に接続防止壁部が形成されて酸素供給チューブが前記流路に挿入されるのが防止される。その結果、第1の流路が酸素供給チューブによって閉塞されることがなく、呼気が気管チューブ内から外気に排出可能とされる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1記載のコネクタ構造であって、前記閉塞防止手段は、前記第1の流路に形成され、前記酸素供給チューブの外周面との間に通気路を構成可能とする形状部により構成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係るコネクタ構造によれば、第1の接続部の流路に酸素供給チューブの外周面との間に通気路を構成可能とする形状部が形成されているので、たとえコネクタ構造の第1の接続部の流路に誤って酸素供給チューブが挿入されても、第1の接続部の内周面と酸素供給チューブの外周面との間には通気路が確保される。その結果、気管チューブ内が外気に対して閉塞されることが防止されて、気管チューブ内の呼気を外気に確実に排出させることができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項3記載のコネクタ構造であって、前記形状部は、前記内周面に形成され、前記第1の接続部の軸線方向に延在して形成された凸条形状部であることを特徴とする。
【0017】
この発明に係るコネクタ構造によれば、第1の流路を画成する孔の内周面に、前記内周面における第1の接続部の軸線方向に延在する凸形状部が形成されているので、この凸条形状部により酸素供給チューブの外周面が前記内周面から離間されて、酸素供給チューブの外周面と前記内周面の間に前記軸線方向に延在する通気路が形成される。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項3記載のコネクタ構造であって、前記形状部は、前記内周面に形成され、前記内周面における前記軸線方向と交差する方向に延在して形成された凸条形状部であることを特徴とする。
【0019】
この発明に係るコネクタ構造によれば、例えば、ねじ山のようにリード角を有した螺旋状の凸形状部が第1の接続部の内周面における軸線方向と交差して形成されているので、誤って挿入された酸素供給チューブを第1の流路の内周側に保持させ易く、酸素供給チューブの外周面と前記内周面との間に内周面の全周又は広い範囲にわたって通気路を形成することが可能とされる。したがって、呼気を安定して排出することができる。
【0020】
請求項6に係る発明は、請求項3記載のコネクタ構造であって、前記形状部は、前記内周面に形成され、前記気管チューブ側から外気に連通される凹溝形状部により構成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明に係るコネクタ構造によれば、第1の接続部の内周面に凹溝形状部が形成されるので第1の接続部に酸素供給チューブが誤接続された場合に、酸素供給チューブの外周面と凹溝形状部の間に確実に通気路が形成される。
【0022】
請求項7に係る発明は、気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置されるコネクタ部材であって、請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えていることを特徴とする。
【0023】
請求項8に係る発明は、気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置される呼吸用温湿度交換器であって、請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えていることを特徴とする。
【0024】
請求項9に係る発明は、気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置されるエルボ部材であって、請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項10に係る発明は、人工呼吸回路において用いられ、呼吸気管に挿管自在とされる気管チューブであって、請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えたことを特徴とする。
【0026】
この発明に係るコネクタ部材、呼吸用温湿度交換器、エルボ部材、気管チューブによれば、請求項1から請求項6に記載のいずれかのコネクタ構造を備えているので、第1の流路に酸素供給チューブの接続部が誤って第1の流路に挿入されることが防止され、また、誤って酸素チューブが挿入された場合であっても気管チューブ内から外気に連通する通気路を確保することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明に係るコネクタ構造及び人工呼吸用部材によれば、閉塞防止手段を備えていて気管チューブ側と外気とを連通可能とする通気路が確保されるので、この通気路を通じて患者の呼気が外気に確実に流通可能とされる。その結果、酸素供給チューブが誤接続されることによって呼気困難の発生が確実に防止されて、それに起因する気圧外傷(バロトラウマ)の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図6は、この発明の第1の実施形態に係るコネクタ部材を示す図であり、符号10はコネクタ部材を、符号6はカフ付気管チューブ(以下、気管チューブという)を示している。
【0029】
コネクタ部材10は、図1に示した人工呼吸機器2と、人工呼吸機器2による人工呼吸気に酸素を供給する酸素供給チューブ7とを備えた人工呼吸回路1において用いられ、患者Kの気管K1に挿管された気管チューブ6の患者遠位側(人工呼吸機器2側)に挿入して配置され、図2に示した人工鼻20又は図3に示したエルボ部材30等の人工呼吸用部材5とともに気管チューブ6と人工呼吸機器2に接続された呼吸回路4との間に介されて、気管チューブ6と人工呼吸機器2の間を流通自在に接続するものである。
【0030】
人工鼻20又はエルボ部材30には、必要に応じて酸素供給チューブ7が接続自在とされており、酸素供給チューブ7は、例えば、前述の酸素供給チューブ70Aでは、図2に例示した人工鼻20の酸素供給プラグ26の孔に挿入される管路72と、酸素供給プラグ26に管路72を固定、保持するためのホルダ部74と、塩化ビニル等からなり可撓性を有する酸素供給チューブ本体71とから構成されており、ホルダ74は、ストッパ73に規制された範囲内で軸線方向に移動自在とされ、酸素供給チューブ70Bでは、ホルダ部74に代えて先端側が拡径されるとともに径方向に拡径可能な可撓性を有するホルダ部76を有し、図3に例示したエルボ部材30の酸素供給プラグ36を保持可能とされている。
【0031】
人工鼻20は、ハウジング21と、ハウジング21の患者遠位側に配置されハウジング21と一体とされるとともに内方に第1の流路22Aが形成された第1の接続部22と、患者側プラグ24と、酸素供給プラグ26と、ハウジング21内に収納される湿熱蓄積体27とを備えており、患者遠位側の第1の接続部22には呼吸回路4の患者側接合部とが接続可能とされ、酸素供給プラグ26には酸素供給チューブ7(図2の例では、酸素供給チューブ70A)が接続自在とされている。
【0032】
エルボ部材30は、L字形に形成され内部に流路31Aが形成されたハウジング31と、ハウジング31の患者遠位側に一体に形成された第1の接続部32と、患者遠位側に配置されハウジング31と一体とされるとともに内方に第1の流路32Aが形成された第1の接続部32と、患者側プラグ34と、酸素供給プラグ36とを備えており、酸素供給プラグ26には酸素供給チューブ7(図3の例では、酸素供給チューブ70B)が接続自在とされている。
【0033】
上記人工鼻20の第1の接続部22、及びエルボ部材30の第1の接続部32は、例えば、ISO 5361 「麻酔及び呼吸器具−気管チューブ及びコネクタ」、JIS T 7221「気管チューブ及びコネクタ」の規格が適用された15M円錐接合の雄テーパ形状に形成されてそれぞれ呼吸回路4に接続可能とされている。患者側プラグ24、34は、軸線O2を軸線として外周面24B、34Bの先端側がわずかに縮径されたテーパ形状とされるとともに内周面24C,34Cの先端側がわずかに拡径されたテーパ形状とされた、例えば、いわゆる22M/15F円錐同軸接合(ISO 5361、以下同じ)とされている。
【0034】
第1の実施形態に係るコネクタ部材10は、図6に示すように、第1の接続部12と、第2の接続部13とを備え、第1の接続部12は患者遠位側に配置されるとともに内方には第1の接続部12の軸線方向に第1の流路12Aを画成する孔が形成され、この孔を形成する第1の接続部12の内周面12Cは患者遠位側の開口部がわずかに拡径されるテーパ形状に形成されている。
また、この実施形態に係るコネクタ部材10において、第1の接続部12と、第1の接続部12の内方に形成される第1の流路12Aとは、コネクタ構造を構成している。
【0035】
第2の接続部13は、気管チューブ6側に配置されて、外周面13Bは、気管チューブ6側がわずかに縮径されたテーパ形状とされるとともに内方には第2の流路13Aを画成する孔が第2の接続部13の軸線方向に形成され、第2の流路13Aは、第1の流路12Aと連通可能に接続されていて、第1の接続部12の患者遠位側の開口部と、第2の接続部13の気管チューブ6側の開口部との間には呼吸気が流通可能とされている。
また、第2の接続部13に基端側(第1の接続部12側)には、長方形の長手方向の両端部が円弧状とされた壁部10Hが第2の接続部13の径方向外方に延出して形成されている。
【0036】
この実施形態において、第1の接続部12は、15M円錐接合の雄テーパ形状とされて、呼吸回路4の患者側プラグや、人工鼻20の患者側プラグ24又はエルボ部材30の患者側プラグ34に挿入、接続可能とされている。
【0037】
また、第1の実施形態のコネクタ部材10は、凸条形状部15備えており、凸条形状部15は、第1の接続部12の内周面12Cに第1の接続部12の軸線O1方向に延在して形成される軸方向凸条形状部15Aと、軸方向凸条形状部15Aに継続して第1の流路12Aの底面12Dにその径方向内方に向って第2の流路13Aに到達するまで形成される径方向凸条形状部15Bとから構成されており、凸条形状部15は、軸線O1に対称な位置に2本形成されている。
【0038】
したがって、この実施形態に係るコネクタ構造によれば、第1の接続部12の第1の流路12Aに、酸素供給チューブ70A、70Bが誤って挿入された場合であっても、ホルダ74、76が軸方向凸条形状部15Aによって内周面12Bから離間されて内周面12Bとホルダ74、76の外周面74B、76Bとの間に隙間が形成されるので、気管チューブ6内から外気に連通する通気路Pが形成されて気管チューブ6内が外気に対して閉塞されるのが防止される。その結果、患者Kの呼気が気管チューブ6内から外気に確実に排出されて、気管チューブ6内の圧力が所定の値以上に上昇することが防止される。
【0039】
また、第1の接続部12の底面12Dに径方向凸条形状部15Bが形成されているので、ホルダ74、76が第1の流路12Aの長さに比較して長く形成され、ホルダ74、76の端面が底面12D側に当接する場合であっても、底面12Dとホルダ74、76との間に隙間が形成されて、第1の流路12Aと第2の流路13Aとが連通する通気路Pが確保される。
【0040】
次に、この発明の第2の実施形態を説明する。
図7は、第2の実施形態を示す図である。
なお、上記の第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施の形態が、前述した第1の実施形態と異なる点は、第1の接続部12の内周面12Cに形成された軸方向凸条形状部15Aが第1の流路12Aの開口部から底面12Dまでの間の一部のみに形成されている点である。
【0041】
その結果、この実施形態に係るコネクタ構造によれば、第1の流路12Aに、酸素供給チューブ70A、70Bが誤って挿入された場合に、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ74、76の外周面74B、76Bと第1の流路12Aの内周面の間に大きな面積を有する通気路が形成可能とされるので、気管チューブ6内の呼気が外気に容易に排出可能とされる。
【0042】
次に、この発明の第3の実施形態を説明する。
図8は、第3の実施形態を示す図である。なお、上記第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施の形態が、前述した第1の実施形態と異なる点は、第1の接続部12の内周面12Cに形成された軸方向凸条形状部15Aに代えて、内周面12Cにおける軸線O1方向に対して所定の角度を以って軸線O1と交差する方向に延在し、所定のリード角で軸線方向に進む軸方向凸条形状部16が形成されている点である。この軸方向凸条形状部16は、流路12Aの開口部から底面12Dに至るまでの間に90°捩れるように形成されている。
【0043】
この実施形態に係るコネクタ構造によれば、第1の流路12Aに酸素供給チューブ70A、70Bが誤って挿入された場合に、それぞれ周方向に90°にわたって捩れながら軸線O1方向に延在する軸方向凸条形状部15Aが、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ74、76が第1の流路12Aの内周側に安定して保持され、ホルダ74、76の外周面74B、76Bの周囲に径方向に略同一とされる幅の隙間が形成されるので、気管チューブ6の内方と外気との間に安定した通気路Pが形成される。なお、図8においては、便宜のため、流路12Aの開口部から底面12Dに至るまでの間にわたって軸方向凸条形状部15Aが形成されていない部分を網掛けとして通気路Pとしているが、通気路は、軸方向凸条形状部15Aの上方及び下方にも形成されるので、軸方向凸条形状部15Aの周方向の厚みを除く部分全体にわたることはいうまでもない。
その結果、気管チューブ6内の呼気を充分に排出することができる。
【0044】
次に、この発明の第4の実施形態を説明する。
図9は、第4の実施形態を示す図である。
なお、上記の第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施の形態においては、第1の接続部12の内方に形成される内周面12Bに凹溝形状部17が形成されており、凹溝形状部17は、第1の接続部12の内周面12Cに軸線O1方向に沿って延在する軸方向凹溝形状部17Aと、この軸方向凹溝形状部17Aに継続して形成され底面12Dにおいて第2の流路13Aに到達するまで径方向内方に延在する径方向凹溝形状部17Bとを備えており、凹溝形状部17は、軸線O1に対象とされる対向する位置に2本形成されている。
【0045】
この実施形態に係るコネクタ構造によれば、酸素供給チューブ70A、70Bが第1の接続部12の第1の流路12Aに誤って挿入された場合に、第1の接続部12の内周面12Cに軸方向凹溝形状部17Aが形成されるので第1の接続部12に酸素供給チューブ70A、70Bが誤接続された場合でも、内周面12Cと酸素供給チューブ70A、70Bの接続部との間に確実に通気路Pが形成される。
また、第1の接続部12の底面12Dに径方向凹溝形状部17Bが形成されているので、底面12Dにホルダ74、76が当接した場合であっても、ホルダ74、76との間に凹溝形状部による通気路が形成される。
【0046】
次に、この発明の第5の実施形態を説明する。
図10は、第5の実施形態を示す図である。
なお、上記の第4の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施の形態が、前述した第4の実施形態と異なる点は、第1の接続部12の内周面12Cに形成された軸方向凹溝形状部17Aに代えて、内周面12Cにおける軸線O1方向に対して所定の角度を以って軸線O1と交差する方向に延在し、所定のリード角で軸線方向に進む軸方向凹溝形状部17Aが形成されている点である。この軸方向凹溝形状部17Aは、流路12Aの開口部から底面12Dに至るまでの間に90°捩れるように形成されている。
【0047】
この実施形態に係るコネクタ構造によれば、酸素供給チューブ70A、70Bが、第1の流路12Aに、誤って挿入された場合に、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ74、76の外周面74B、76Bの外方に軸方向凹溝形状部17Aが確実に形成されるので、気管チューブ6の内方と外気との間に安定した通気路Pが形成される。その結果、気管チューブ6内の呼気が充分に排出可能とされる。
【0048】
次に、この発明の第6の実施形態を説明する。
図11は、第6の実施形態を示す図であり、第1の接続部12の第1の流路12Aを構成する内周面12Cを軸線O1方向からみた図である。
なお、図11で示した部分以外は、上記の第1の実施の形態と同一であるため、その説明を省略する。
この実施の形態が、前述した第1の実施形態と異なる点は、第1の流路12Aを構成する内周面12Cが、2点鎖線で示した軸線O1を中心とした円形状12fと一致せず軸線O1からの距離が円形状12fよりも大きく形成される部分(形状部)を有している点である。
【0049】
この実施形態に係るコネクタ構造によれば、第1の接続部12の内周面12Cを構成する形状が軸線O1を構成する形状よりも大きく形成されているので、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ74、76が、誤って第1の流路12Aに挿入されたときに、ホルダ74、76の外周面74B、76Bと前記内周面との間に通気路Pが形成される。
その結果、通気路Pを通じて、機関チューブ6内が外気に対して連通されるとともに、ホルダ74、76が流路12Aに固定され難いために第1の流路12Aの閉塞が抑制される。
なお、上記円形状12fと一致せずに軸線O1からの距離が円形状12fよりも大きく形成される部分については、他の形状を採用することも可能であるし、軸線O1に対象であることは必要とされないことはいうまでもない。
【0050】
次に、この発明の第7の実施形態を説明する。
図12は、第7の実施形態を示す図である。
なお、上記の第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施の形態が、前述した第1の実施形態と異なる点は、第1の接続部12の内周面12Cに、軸線方向凸状形状部15Aに代えて、内周面12Cに軸線O1方向に延在し、内周面12Cから内周側に伸びる接続防止壁部19が形成されている点であり、その結果、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ74、76が第1の流路12Aに挿入されるのを確実に防止することができる。
【0051】
この実施形態のコネクタ構造によれば、第1の流路12Aに酸素供給チューブ70A、70Bが挿入不可能とされるので、酸素供給チューブ70A、70Bによる第1の流路12Aの閉塞を確実に防止することができる。
なお、接続防止壁部19を底面12Dに設けて、例えば、第1の流路12Aの開口部に向って立設させる構成とすることも可能である。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記第1の実施形態においては、コネクタ構造を、気管チューブ6の患者遠位側に接続されるコネクタ部材10の第1の接続部に用いる場合について説明したが、このコネクタ構造を、人工鼻20の患者遠位側の第1の接続部22や、エルボ部材30の患者遠位側の第1の接続部32に対して用いることも可能である。
【0053】
また、上記第1から第5の実施の形態においては、第1の接続部12の内周面12Cに、それぞれ2本の凸条形状部15、16、又は凹溝形状部17、18が形成される場合について説明したが、これら形状部は1本以上を形成されていればよく任意の数の形状部を形成することも可能である。
また、凸条形状部15、16が、底面12Dから第1の流路12Aの開口部まで延在して形成される場合について説明したが、底面12Dから開口部までの範囲の必要な位置にのみ凸形状部15、16を設けることも可能である。
【0054】
また、上記第1から第5の実施の形態においては、底面12Dに形成した径方向凸条形状部15B、16B、又は径方向凹溝形状部17B、18Bが、内周面12Cから第2の流路13Aに直線的に伸びる場合について説明したが、螺旋等の曲線状に形成されていてもよい。
また、酸素供給チューブ70A、70Bが第1の流路12Aに誤って挿入された場合に、酸素供給チューブ70A、70Bが底面12Dに到達しない程度に第1の流路12Aの軸線O1方向の長さが充分に確保されている場合には、径方向凸条形状部15B、16B、又は径方向凹溝形状部17B、18Bを形成させない構成とすることも可能である。
【0055】
また、上記実施の形態においては、コネクタ部材10の第1の接続部12及び第2の接続部13、人工鼻20の接続部22、エルボ部材30の接続部32がともに円筒形状とされる場合について説明したが、上述のISO規格以外の接続構成に対しても用いることが可能である。
【0056】
また、上記第1から第5の実施の形態において、2本の形状部が同一の場合について説明したが、凸条形状部15、16、凹溝形状部17、18を任意に組合せて用いてもよく、またこれらと第6の実施形態に係る形状部とを組合せることも可能である。
また、上記第7の実施の形態において、接続防止壁部19が、第1の流路12Aの底面12Dから開口部に亙って形成された1つの平板状に形成された壁部として構成された場合について説明したが、接続防止壁部19の長さ、位置、形状、数量、例えば軸線O1に対する配置等は、任意に設定可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】人工呼吸回路の構成の例を示す図である。
【図2】図1における人工呼吸回路に用いられる人工鼻とその接続例を示す図である。
【図3】図1における人工呼吸回路に用いられるエルボ部材とその接続例を示す図である。
【図4】人工呼吸回路において用いる酸素供給チューブの例を示す図である。
【図5】気管チューブの遠位側に配置されたコネクタ部材に対して酸素供給チューブを誤接続した場合の例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係るコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【符号の説明】
【0058】
K 患者
K1 呼吸気管
P 通気路
1 人工呼吸回路
2 人工呼吸機器
4 呼吸回路
5 人工呼吸用部材
6 気管チューブ
7 酸素供給チューブ
10 コネクタ部材
12 第1の接続部
12A 第1の流路
12C 内周面
13 第2の接続部
13A 第2の流路
15、16 凸条形状部
17、18 凹溝形状部
19 接続防止壁部
20 人工鼻
30 エルボ部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、呼吸気管に挿管される気管チューブ又は気管切開チューブ、特にカフ付気管チューブが酸素供給チューブとともに人工呼吸回路において用いられ、患者遠位側に配置されるコネクタ構造及びこの構造を用いた人工呼吸用部材に関し、流路に酸素供給チューブが誤って接続されて患者が呼気困難となることによって気圧外傷(バロトラウマ)が発生するのを防止して患者の安全を確保可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、呼吸管理が必要な患者に対して、カフ付気管チューブ(気管チューブ、気管切開チューブ、以下、気管チューブという)を挿管することによる呼吸管理が広く行なわれており、人工呼吸回路を用いた人工呼吸において呼吸気管内の圧力上昇を防止するために、例えば、特許文献1が開示されている。
【0003】
図1は、人工呼吸回路1を用いて患者Kの気管K1に気管チューブ6を挿管して呼吸管理を行う場合の例を示す図であり、人工呼吸機器2に接続された呼吸回路4と気管チューブ6との間を呼吸用温湿度交換器(以下、人工鼻という)又はL字形に形成されたエルボ部材等の人工呼吸用部材5と、気管チューブ6の患者遠位側に接続されたコネクタ部材10とを介して呼吸可能に接続され、必要に応じて人工呼吸用部材5に酸素供給チューブ7を接続して酸素(酸素が付加された空気を含む)が供給自在とされている。
【0004】
この酸素供給チューブ7から供給される酸素は所定の圧力で加圧されているが、患者Kが呼気する際には人工呼吸機器2側に呼気とともに移動して外気に排出されるため、気管K1内の圧力は所定の圧力以上に高くならないようになっている。
【0005】
図2は、気管チューブ6と、上記人工呼吸回路1における人工呼吸用部材5が人工鼻20の場合の接続例を示す図であり、気管チューブ6の患者遠位側の開口部にはコネクタ部材10が接続され、コネクタ部材10の患者遠位側に位置する第1の接続部12の外周面12Bにはテーパ部が形成されて、このテーパ部が人工鼻20の患者側プラグ(人工呼吸機器側の接続部)24に挿入されて、コネクタ部材10と人工鼻20が接続されるようになっている。また、人工鼻20の患者遠位側には第1の接続部22が形成されて呼吸回路4の接続部(人工呼吸機器側の接続部)が接続されるようになっている。
【0006】
図3は、気管チューブ6と、上記人工呼吸回路1における人工呼吸用部材5がエルボ部材30の場合の接続例を示す図であり、気管チューブ6の患者遠位側に接続されたコネクタ部材10の第1の接続部12のテーパ部がエルボ部材30の患者側プラグ(人工呼吸機器側の接続部)34に挿入されて、コネクタ部材10とエルボ部材30が接続されるようになっており、エルボ部材30の患者遠位側の第1の接続部32に呼吸回路4が接続されるようになっている。
一般的に、コネクタ部材10の第1の接続部12、人工鼻20の第1の接続部22、エルボ部材30の第1の接続部32は、15M円錐接合(ISO 5361)のコネクタ構造が形成されている。
【0007】
また、図4(A)、(B)に示した酸素チューブ70A、70Bは、酸素供給チューブ7の詳細を示す図であり、酸素チューブ70Aは、酸素が移送されるチューブ本体71の先端に移動可能なホルダ74を有し、酸素供給チューブ70Bはホルダ74に代えて拡径自在とされ可撓性を有するホルダ76を有している。ホルダ74、ホルダ76は、ともにその内周面が人工鼻20の酸素供給プラグ26又はエルボ部材30の酸素供給プラグ36の外形を保持するようになっている。
【特許文献1】特開2005−288045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記人工呼吸回路により人工呼吸をする場合、緊急の措置や検査等により患者を移動させる際に、時間的余裕の不足や作業不慣れに起因して酸素供給プラグから取り外された酸素供給チューブが、例えば、図5(A)、(B)に示したように、気管チューブ6に接続されたコネクタ部材10の接続部12の内周面12Cに、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ部74、76が誤って挿入されることにより流路12Aが閉塞され、気管チューブ6の内方と外気との間が閉塞され、その結果、患者Kが呼気困難となって肺内圧が上昇することにより気圧外傷になる虞があるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、人工呼吸回路を構成する気管チューブの患者遠位側に配置されるコネクタ構造に関して、酸素供給チューブが誤接続されて患者の呼吸気管内及び肺内圧が上昇することがないように、呼気困難の発生が防止可能とされるコネクタ構造及びこの構造を用いた気管チューブ、コネクタ部材、人工鼻、エルボ部材等の人工呼吸用部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、患者遠位側に配置されるとともに前記人工呼吸機器側の接続部と接続自在とされる第1の接続部と、前記第1の接続部に形成された孔の内周面により画成され、前記気管チューブ側に連通される第1の流路とを備えたコネクタ構造であって、前記酸素供給チューブが前記第1の流路に接続されることによって前記気管チューブ側が外気に対して閉塞されるのを防止する閉塞防止手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係るコネクタ構造によれば、コネクタ構造が閉塞防止手段を備えているので、酸素供給チューブがコネクタ構造の第1の流路に接続されることによって、気管チューブ内が外気に対して閉塞されることがない。その結果、気管チューブ内の呼気が排出不能となる呼気困難の発生が防止されるとともに、酸素供給チューブから供給された酸素により気管チューブ内の圧力が所定の値以上に上昇するのが防止される。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のコネクタ構造であって、前記閉塞防止手段は、前記第1の流路に形成され、前記酸素供給チューブが前記第1の流路に接続されるのを防止する接続防止壁部により構成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係るコネクタ構造によれば、コネクタ構造の第1の流路に接続防止壁部が形成されて酸素供給チューブが前記流路に挿入されるのが防止される。その結果、第1の流路が酸素供給チューブによって閉塞されることがなく、呼気が気管チューブ内から外気に排出可能とされる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1記載のコネクタ構造であって、前記閉塞防止手段は、前記第1の流路に形成され、前記酸素供給チューブの外周面との間に通気路を構成可能とする形状部により構成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係るコネクタ構造によれば、第1の接続部の流路に酸素供給チューブの外周面との間に通気路を構成可能とする形状部が形成されているので、たとえコネクタ構造の第1の接続部の流路に誤って酸素供給チューブが挿入されても、第1の接続部の内周面と酸素供給チューブの外周面との間には通気路が確保される。その結果、気管チューブ内が外気に対して閉塞されることが防止されて、気管チューブ内の呼気を外気に確実に排出させることができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項3記載のコネクタ構造であって、前記形状部は、前記内周面に形成され、前記第1の接続部の軸線方向に延在して形成された凸条形状部であることを特徴とする。
【0017】
この発明に係るコネクタ構造によれば、第1の流路を画成する孔の内周面に、前記内周面における第1の接続部の軸線方向に延在する凸形状部が形成されているので、この凸条形状部により酸素供給チューブの外周面が前記内周面から離間されて、酸素供給チューブの外周面と前記内周面の間に前記軸線方向に延在する通気路が形成される。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項3記載のコネクタ構造であって、前記形状部は、前記内周面に形成され、前記内周面における前記軸線方向と交差する方向に延在して形成された凸条形状部であることを特徴とする。
【0019】
この発明に係るコネクタ構造によれば、例えば、ねじ山のようにリード角を有した螺旋状の凸形状部が第1の接続部の内周面における軸線方向と交差して形成されているので、誤って挿入された酸素供給チューブを第1の流路の内周側に保持させ易く、酸素供給チューブの外周面と前記内周面との間に内周面の全周又は広い範囲にわたって通気路を形成することが可能とされる。したがって、呼気を安定して排出することができる。
【0020】
請求項6に係る発明は、請求項3記載のコネクタ構造であって、前記形状部は、前記内周面に形成され、前記気管チューブ側から外気に連通される凹溝形状部により構成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明に係るコネクタ構造によれば、第1の接続部の内周面に凹溝形状部が形成されるので第1の接続部に酸素供給チューブが誤接続された場合に、酸素供給チューブの外周面と凹溝形状部の間に確実に通気路が形成される。
【0022】
請求項7に係る発明は、気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置されるコネクタ部材であって、請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えていることを特徴とする。
【0023】
請求項8に係る発明は、気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置される呼吸用温湿度交換器であって、請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えていることを特徴とする。
【0024】
請求項9に係る発明は、気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置されるエルボ部材であって、請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項10に係る発明は、人工呼吸回路において用いられ、呼吸気管に挿管自在とされる気管チューブであって、請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えたことを特徴とする。
【0026】
この発明に係るコネクタ部材、呼吸用温湿度交換器、エルボ部材、気管チューブによれば、請求項1から請求項6に記載のいずれかのコネクタ構造を備えているので、第1の流路に酸素供給チューブの接続部が誤って第1の流路に挿入されることが防止され、また、誤って酸素チューブが挿入された場合であっても気管チューブ内から外気に連通する通気路を確保することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明に係るコネクタ構造及び人工呼吸用部材によれば、閉塞防止手段を備えていて気管チューブ側と外気とを連通可能とする通気路が確保されるので、この通気路を通じて患者の呼気が外気に確実に流通可能とされる。その結果、酸素供給チューブが誤接続されることによって呼気困難の発生が確実に防止されて、それに起因する気圧外傷(バロトラウマ)の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図6は、この発明の第1の実施形態に係るコネクタ部材を示す図であり、符号10はコネクタ部材を、符号6はカフ付気管チューブ(以下、気管チューブという)を示している。
【0029】
コネクタ部材10は、図1に示した人工呼吸機器2と、人工呼吸機器2による人工呼吸気に酸素を供給する酸素供給チューブ7とを備えた人工呼吸回路1において用いられ、患者Kの気管K1に挿管された気管チューブ6の患者遠位側(人工呼吸機器2側)に挿入して配置され、図2に示した人工鼻20又は図3に示したエルボ部材30等の人工呼吸用部材5とともに気管チューブ6と人工呼吸機器2に接続された呼吸回路4との間に介されて、気管チューブ6と人工呼吸機器2の間を流通自在に接続するものである。
【0030】
人工鼻20又はエルボ部材30には、必要に応じて酸素供給チューブ7が接続自在とされており、酸素供給チューブ7は、例えば、前述の酸素供給チューブ70Aでは、図2に例示した人工鼻20の酸素供給プラグ26の孔に挿入される管路72と、酸素供給プラグ26に管路72を固定、保持するためのホルダ部74と、塩化ビニル等からなり可撓性を有する酸素供給チューブ本体71とから構成されており、ホルダ74は、ストッパ73に規制された範囲内で軸線方向に移動自在とされ、酸素供給チューブ70Bでは、ホルダ部74に代えて先端側が拡径されるとともに径方向に拡径可能な可撓性を有するホルダ部76を有し、図3に例示したエルボ部材30の酸素供給プラグ36を保持可能とされている。
【0031】
人工鼻20は、ハウジング21と、ハウジング21の患者遠位側に配置されハウジング21と一体とされるとともに内方に第1の流路22Aが形成された第1の接続部22と、患者側プラグ24と、酸素供給プラグ26と、ハウジング21内に収納される湿熱蓄積体27とを備えており、患者遠位側の第1の接続部22には呼吸回路4の患者側接合部とが接続可能とされ、酸素供給プラグ26には酸素供給チューブ7(図2の例では、酸素供給チューブ70A)が接続自在とされている。
【0032】
エルボ部材30は、L字形に形成され内部に流路31Aが形成されたハウジング31と、ハウジング31の患者遠位側に一体に形成された第1の接続部32と、患者遠位側に配置されハウジング31と一体とされるとともに内方に第1の流路32Aが形成された第1の接続部32と、患者側プラグ34と、酸素供給プラグ36とを備えており、酸素供給プラグ26には酸素供給チューブ7(図3の例では、酸素供給チューブ70B)が接続自在とされている。
【0033】
上記人工鼻20の第1の接続部22、及びエルボ部材30の第1の接続部32は、例えば、ISO 5361 「麻酔及び呼吸器具−気管チューブ及びコネクタ」、JIS T 7221「気管チューブ及びコネクタ」の規格が適用された15M円錐接合の雄テーパ形状に形成されてそれぞれ呼吸回路4に接続可能とされている。患者側プラグ24、34は、軸線O2を軸線として外周面24B、34Bの先端側がわずかに縮径されたテーパ形状とされるとともに内周面24C,34Cの先端側がわずかに拡径されたテーパ形状とされた、例えば、いわゆる22M/15F円錐同軸接合(ISO 5361、以下同じ)とされている。
【0034】
第1の実施形態に係るコネクタ部材10は、図6に示すように、第1の接続部12と、第2の接続部13とを備え、第1の接続部12は患者遠位側に配置されるとともに内方には第1の接続部12の軸線方向に第1の流路12Aを画成する孔が形成され、この孔を形成する第1の接続部12の内周面12Cは患者遠位側の開口部がわずかに拡径されるテーパ形状に形成されている。
また、この実施形態に係るコネクタ部材10において、第1の接続部12と、第1の接続部12の内方に形成される第1の流路12Aとは、コネクタ構造を構成している。
【0035】
第2の接続部13は、気管チューブ6側に配置されて、外周面13Bは、気管チューブ6側がわずかに縮径されたテーパ形状とされるとともに内方には第2の流路13Aを画成する孔が第2の接続部13の軸線方向に形成され、第2の流路13Aは、第1の流路12Aと連通可能に接続されていて、第1の接続部12の患者遠位側の開口部と、第2の接続部13の気管チューブ6側の開口部との間には呼吸気が流通可能とされている。
また、第2の接続部13に基端側(第1の接続部12側)には、長方形の長手方向の両端部が円弧状とされた壁部10Hが第2の接続部13の径方向外方に延出して形成されている。
【0036】
この実施形態において、第1の接続部12は、15M円錐接合の雄テーパ形状とされて、呼吸回路4の患者側プラグや、人工鼻20の患者側プラグ24又はエルボ部材30の患者側プラグ34に挿入、接続可能とされている。
【0037】
また、第1の実施形態のコネクタ部材10は、凸条形状部15備えており、凸条形状部15は、第1の接続部12の内周面12Cに第1の接続部12の軸線O1方向に延在して形成される軸方向凸条形状部15Aと、軸方向凸条形状部15Aに継続して第1の流路12Aの底面12Dにその径方向内方に向って第2の流路13Aに到達するまで形成される径方向凸条形状部15Bとから構成されており、凸条形状部15は、軸線O1に対称な位置に2本形成されている。
【0038】
したがって、この実施形態に係るコネクタ構造によれば、第1の接続部12の第1の流路12Aに、酸素供給チューブ70A、70Bが誤って挿入された場合であっても、ホルダ74、76が軸方向凸条形状部15Aによって内周面12Bから離間されて内周面12Bとホルダ74、76の外周面74B、76Bとの間に隙間が形成されるので、気管チューブ6内から外気に連通する通気路Pが形成されて気管チューブ6内が外気に対して閉塞されるのが防止される。その結果、患者Kの呼気が気管チューブ6内から外気に確実に排出されて、気管チューブ6内の圧力が所定の値以上に上昇することが防止される。
【0039】
また、第1の接続部12の底面12Dに径方向凸条形状部15Bが形成されているので、ホルダ74、76が第1の流路12Aの長さに比較して長く形成され、ホルダ74、76の端面が底面12D側に当接する場合であっても、底面12Dとホルダ74、76との間に隙間が形成されて、第1の流路12Aと第2の流路13Aとが連通する通気路Pが確保される。
【0040】
次に、この発明の第2の実施形態を説明する。
図7は、第2の実施形態を示す図である。
なお、上記の第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施の形態が、前述した第1の実施形態と異なる点は、第1の接続部12の内周面12Cに形成された軸方向凸条形状部15Aが第1の流路12Aの開口部から底面12Dまでの間の一部のみに形成されている点である。
【0041】
その結果、この実施形態に係るコネクタ構造によれば、第1の流路12Aに、酸素供給チューブ70A、70Bが誤って挿入された場合に、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ74、76の外周面74B、76Bと第1の流路12Aの内周面の間に大きな面積を有する通気路が形成可能とされるので、気管チューブ6内の呼気が外気に容易に排出可能とされる。
【0042】
次に、この発明の第3の実施形態を説明する。
図8は、第3の実施形態を示す図である。なお、上記第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施の形態が、前述した第1の実施形態と異なる点は、第1の接続部12の内周面12Cに形成された軸方向凸条形状部15Aに代えて、内周面12Cにおける軸線O1方向に対して所定の角度を以って軸線O1と交差する方向に延在し、所定のリード角で軸線方向に進む軸方向凸条形状部16が形成されている点である。この軸方向凸条形状部16は、流路12Aの開口部から底面12Dに至るまでの間に90°捩れるように形成されている。
【0043】
この実施形態に係るコネクタ構造によれば、第1の流路12Aに酸素供給チューブ70A、70Bが誤って挿入された場合に、それぞれ周方向に90°にわたって捩れながら軸線O1方向に延在する軸方向凸条形状部15Aが、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ74、76が第1の流路12Aの内周側に安定して保持され、ホルダ74、76の外周面74B、76Bの周囲に径方向に略同一とされる幅の隙間が形成されるので、気管チューブ6の内方と外気との間に安定した通気路Pが形成される。なお、図8においては、便宜のため、流路12Aの開口部から底面12Dに至るまでの間にわたって軸方向凸条形状部15Aが形成されていない部分を網掛けとして通気路Pとしているが、通気路は、軸方向凸条形状部15Aの上方及び下方にも形成されるので、軸方向凸条形状部15Aの周方向の厚みを除く部分全体にわたることはいうまでもない。
その結果、気管チューブ6内の呼気を充分に排出することができる。
【0044】
次に、この発明の第4の実施形態を説明する。
図9は、第4の実施形態を示す図である。
なお、上記の第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施の形態においては、第1の接続部12の内方に形成される内周面12Bに凹溝形状部17が形成されており、凹溝形状部17は、第1の接続部12の内周面12Cに軸線O1方向に沿って延在する軸方向凹溝形状部17Aと、この軸方向凹溝形状部17Aに継続して形成され底面12Dにおいて第2の流路13Aに到達するまで径方向内方に延在する径方向凹溝形状部17Bとを備えており、凹溝形状部17は、軸線O1に対象とされる対向する位置に2本形成されている。
【0045】
この実施形態に係るコネクタ構造によれば、酸素供給チューブ70A、70Bが第1の接続部12の第1の流路12Aに誤って挿入された場合に、第1の接続部12の内周面12Cに軸方向凹溝形状部17Aが形成されるので第1の接続部12に酸素供給チューブ70A、70Bが誤接続された場合でも、内周面12Cと酸素供給チューブ70A、70Bの接続部との間に確実に通気路Pが形成される。
また、第1の接続部12の底面12Dに径方向凹溝形状部17Bが形成されているので、底面12Dにホルダ74、76が当接した場合であっても、ホルダ74、76との間に凹溝形状部による通気路が形成される。
【0046】
次に、この発明の第5の実施形態を説明する。
図10は、第5の実施形態を示す図である。
なお、上記の第4の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施の形態が、前述した第4の実施形態と異なる点は、第1の接続部12の内周面12Cに形成された軸方向凹溝形状部17Aに代えて、内周面12Cにおける軸線O1方向に対して所定の角度を以って軸線O1と交差する方向に延在し、所定のリード角で軸線方向に進む軸方向凹溝形状部17Aが形成されている点である。この軸方向凹溝形状部17Aは、流路12Aの開口部から底面12Dに至るまでの間に90°捩れるように形成されている。
【0047】
この実施形態に係るコネクタ構造によれば、酸素供給チューブ70A、70Bが、第1の流路12Aに、誤って挿入された場合に、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ74、76の外周面74B、76Bの外方に軸方向凹溝形状部17Aが確実に形成されるので、気管チューブ6の内方と外気との間に安定した通気路Pが形成される。その結果、気管チューブ6内の呼気が充分に排出可能とされる。
【0048】
次に、この発明の第6の実施形態を説明する。
図11は、第6の実施形態を示す図であり、第1の接続部12の第1の流路12Aを構成する内周面12Cを軸線O1方向からみた図である。
なお、図11で示した部分以外は、上記の第1の実施の形態と同一であるため、その説明を省略する。
この実施の形態が、前述した第1の実施形態と異なる点は、第1の流路12Aを構成する内周面12Cが、2点鎖線で示した軸線O1を中心とした円形状12fと一致せず軸線O1からの距離が円形状12fよりも大きく形成される部分(形状部)を有している点である。
【0049】
この実施形態に係るコネクタ構造によれば、第1の接続部12の内周面12Cを構成する形状が軸線O1を構成する形状よりも大きく形成されているので、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ74、76が、誤って第1の流路12Aに挿入されたときに、ホルダ74、76の外周面74B、76Bと前記内周面との間に通気路Pが形成される。
その結果、通気路Pを通じて、機関チューブ6内が外気に対して連通されるとともに、ホルダ74、76が流路12Aに固定され難いために第1の流路12Aの閉塞が抑制される。
なお、上記円形状12fと一致せずに軸線O1からの距離が円形状12fよりも大きく形成される部分については、他の形状を採用することも可能であるし、軸線O1に対象であることは必要とされないことはいうまでもない。
【0050】
次に、この発明の第7の実施形態を説明する。
図12は、第7の実施形態を示す図である。
なお、上記の第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
この実施の形態が、前述した第1の実施形態と異なる点は、第1の接続部12の内周面12Cに、軸線方向凸状形状部15Aに代えて、内周面12Cに軸線O1方向に延在し、内周面12Cから内周側に伸びる接続防止壁部19が形成されている点であり、その結果、酸素供給チューブ70A、70Bのホルダ74、76が第1の流路12Aに挿入されるのを確実に防止することができる。
【0051】
この実施形態のコネクタ構造によれば、第1の流路12Aに酸素供給チューブ70A、70Bが挿入不可能とされるので、酸素供給チューブ70A、70Bによる第1の流路12Aの閉塞を確実に防止することができる。
なお、接続防止壁部19を底面12Dに設けて、例えば、第1の流路12Aの開口部に向って立設させる構成とすることも可能である。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記第1の実施形態においては、コネクタ構造を、気管チューブ6の患者遠位側に接続されるコネクタ部材10の第1の接続部に用いる場合について説明したが、このコネクタ構造を、人工鼻20の患者遠位側の第1の接続部22や、エルボ部材30の患者遠位側の第1の接続部32に対して用いることも可能である。
【0053】
また、上記第1から第5の実施の形態においては、第1の接続部12の内周面12Cに、それぞれ2本の凸条形状部15、16、又は凹溝形状部17、18が形成される場合について説明したが、これら形状部は1本以上を形成されていればよく任意の数の形状部を形成することも可能である。
また、凸条形状部15、16が、底面12Dから第1の流路12Aの開口部まで延在して形成される場合について説明したが、底面12Dから開口部までの範囲の必要な位置にのみ凸形状部15、16を設けることも可能である。
【0054】
また、上記第1から第5の実施の形態においては、底面12Dに形成した径方向凸条形状部15B、16B、又は径方向凹溝形状部17B、18Bが、内周面12Cから第2の流路13Aに直線的に伸びる場合について説明したが、螺旋等の曲線状に形成されていてもよい。
また、酸素供給チューブ70A、70Bが第1の流路12Aに誤って挿入された場合に、酸素供給チューブ70A、70Bが底面12Dに到達しない程度に第1の流路12Aの軸線O1方向の長さが充分に確保されている場合には、径方向凸条形状部15B、16B、又は径方向凹溝形状部17B、18Bを形成させない構成とすることも可能である。
【0055】
また、上記実施の形態においては、コネクタ部材10の第1の接続部12及び第2の接続部13、人工鼻20の接続部22、エルボ部材30の接続部32がともに円筒形状とされる場合について説明したが、上述のISO規格以外の接続構成に対しても用いることが可能である。
【0056】
また、上記第1から第5の実施の形態において、2本の形状部が同一の場合について説明したが、凸条形状部15、16、凹溝形状部17、18を任意に組合せて用いてもよく、またこれらと第6の実施形態に係る形状部とを組合せることも可能である。
また、上記第7の実施の形態において、接続防止壁部19が、第1の流路12Aの底面12Dから開口部に亙って形成された1つの平板状に形成された壁部として構成された場合について説明したが、接続防止壁部19の長さ、位置、形状、数量、例えば軸線O1に対する配置等は、任意に設定可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】人工呼吸回路の構成の例を示す図である。
【図2】図1における人工呼吸回路に用いられる人工鼻とその接続例を示す図である。
【図3】図1における人工呼吸回路に用いられるエルボ部材とその接続例を示す図である。
【図4】人工呼吸回路において用いる酸素供給チューブの例を示す図である。
【図5】気管チューブの遠位側に配置されたコネクタ部材に対して酸素供給チューブを誤接続した場合の例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係るコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【図12】本発明の第7の実施形態に係るコネクタ構造を用いたコネクタ部材を示す図であり、(A)は縦断面図を、(B)は第1の接続部のコネクタ構造を患者遠位側からみた図である。
【符号の説明】
【0058】
K 患者
K1 呼吸気管
P 通気路
1 人工呼吸回路
2 人工呼吸機器
4 呼吸回路
5 人工呼吸用部材
6 気管チューブ
7 酸素供給チューブ
10 コネクタ部材
12 第1の接続部
12A 第1の流路
12C 内周面
13 第2の接続部
13A 第2の流路
15、16 凸条形状部
17、18 凹溝形状部
19 接続防止壁部
20 人工鼻
30 エルボ部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、患者遠位側に配置されるとともに前記人工呼吸機器側の接続部と接続自在とされる第1の接続部と、
前記第1の接続部に形成された孔の内周面により画成され、前記気管チューブ側に連通される第1の流路とを備えたコネクタ構造であって、
前記酸素供給チューブが前記第1の流路に接続されることによって前記気管チューブ側が外気に対して閉塞されるのを防止する閉塞防止手段を備えていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ構造であって、
前記閉塞防止手段は、
前記第1の流路に形成され、前記酸素供給チューブが前記第1の流路に接続されるのを防止する接続防止壁部により構成されていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項3】
請求項1記載のコネクタ構造であって、
前記閉塞防止手段は、
前記第1の流路に形成され、前記酸素供給チューブの外周面との間に通気路を構成可能とする形状部により構成されていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタ構造であって、
前記形状部は、
前記内周面に形成され、前記第1の接続部の軸線方向に延在して形成された凸条形状部であることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項5】
請求項3記載のコネクタ構造であって、
前記形状部は、
前記内周面に形成され、前記内周面における前記軸線方向と交差する方向に延在して形成された凸条形状部であることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項6】
請求項3記載のコネクタ構造であって、
前記形状部は、
前記内周面に形成され、前記気管チューブ側から外気に連通される凹溝形状部により構成されていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項7】
気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置されるコネクタ部材であって、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えていることを特徴とするコネクタ部材。
【請求項8】
気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置される呼吸用温湿度交換器であって、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えていることを特徴とする呼吸用温湿度交換器。
【請求項9】
気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置されるエルボ部材であって、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えたことを特徴とするエルボ部材。
【請求項10】
人工呼吸回路において用いられ、呼吸気管に挿管自在とされる気管チューブであって、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えたことを特徴とする気管チューブ。
【請求項1】
気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、患者遠位側に配置されるとともに前記人工呼吸機器側の接続部と接続自在とされる第1の接続部と、
前記第1の接続部に形成された孔の内周面により画成され、前記気管チューブ側に連通される第1の流路とを備えたコネクタ構造であって、
前記酸素供給チューブが前記第1の流路に接続されることによって前記気管チューブ側が外気に対して閉塞されるのを防止する閉塞防止手段を備えていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ構造であって、
前記閉塞防止手段は、
前記第1の流路に形成され、前記酸素供給チューブが前記第1の流路に接続されるのを防止する接続防止壁部により構成されていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項3】
請求項1記載のコネクタ構造であって、
前記閉塞防止手段は、
前記第1の流路に形成され、前記酸素供給チューブの外周面との間に通気路を構成可能とする形状部により構成されていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項4】
請求項3記載のコネクタ構造であって、
前記形状部は、
前記内周面に形成され、前記第1の接続部の軸線方向に延在して形成された凸条形状部であることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項5】
請求項3記載のコネクタ構造であって、
前記形状部は、
前記内周面に形成され、前記内周面における前記軸線方向と交差する方向に延在して形成された凸条形状部であることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項6】
請求項3記載のコネクタ構造であって、
前記形状部は、
前記内周面に形成され、前記気管チューブ側から外気に連通される凹溝形状部により構成されていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項7】
気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置されるコネクタ部材であって、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えていることを特徴とするコネクタ部材。
【請求項8】
気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置される呼吸用温湿度交換器であって、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えていることを特徴とする呼吸用温湿度交換器。
【請求項9】
気管挿管自在とされる気管チューブと、人工呼吸機器と、人工呼吸に酸素を供給する酸素供給チューブとを備えた人工呼吸回路において用いられ、気管チューブと、人工呼吸機器との間の患者遠位側に配置されるエルボ部材であって、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えたことを特徴とするエルボ部材。
【請求項10】
人工呼吸回路において用いられ、呼吸気管に挿管自在とされる気管チューブであって、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ構造を備えたことを特徴とする気管チューブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−125809(P2008−125809A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314106(P2006−314106)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000200677)泉工医科工業株式会社 (56)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000200677)泉工医科工業株式会社 (56)
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