説明

コネクタ用カバー

【課題】コネクタが嵌合されていないときには防塵機能を発揮し、コネクタが嵌合されたときにはコネクタの不意な離脱を防ぐコネクタカバーを提供する。
【解決手段】レセプタクル1の開放端部12を覆うプレート22と、そのプレート22から突出するアーム24a,24bとを備え、その開放端部12にプラグが嵌入されたときの、そのプラグのラッチレバーとボディとの隙間よりも、そのアーム24a,24bの厚さが小さいコネクタ用カバー14を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ用の解放された端部を覆うカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタや光ファイバコネクタの露出している端部を塵等からによる汚染を防ぐために、その端部を覆うカバーを使用することが望ましい。このようなコネクタ用のカバーとしては、種々のカバーが使用されている。コネクタ用カバーは、コネクタの露出している端部を覆って汚染を防ぐことに加え、他の機能を併せ持つことがある。
【0003】
具体的には、特許文献1に「コネクタのロックレバーのへたりを防止する突部を有するコネクタ用防塵カバー」が記載されている。また、特許文献2には、「カバー部材のシーリング表面とプラグコネクタのカップリングナットとの間の摩擦結合により、プラグコネクタが長軸方向に外れるのを防いでいるダストカバー」が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−263070号公報
【特許文献2】米国特許5030120号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コネクタ用カバーはそれが他のコネクタと嵌合されるまではコネクタの露出している端部を覆って防塵機能を発揮するが、一度コネクタが嵌合されると露出した端部が塞がれるため、防塵機能は必要とされない。使用されていないコネクタ用カバーは紛失しやすく、また、コネクタに一体的に設けられているときは紛失の恐れはないがそのコネクタや他のコネクタの操作に邪魔になる。一方、嵌合状態のコネクタは、不意の操作によってその嵌合状態が解除され、電気的または光学的接続特性を不安定にすることがある。
【0006】
本発明は、コネクタが嵌合されていないときには防塵機能を発揮し、コネクタが嵌合されたときにはコネクタの不意な離脱を防ぐコネクタカバーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その1実施形態において、レセプタクルの開放端部を覆うプレートと、そのプレートから突出するアームとを備え、その開放端部にプラグが嵌入されたときの、そのプラグのラッチレバーとボディとの隙間よりも、そのアームの厚さが小さいコネクタ用カバーを提供する。
【0008】
本発明は、他の実施形態において、レセプタクルの開放端部を覆うプレートと、そのプレートから突出するアームとを備え、その開放端部に嵌入されるプラグのボディとラッチレバーとの間にそのアームが挿入されて、そのラッチレバーの変位を規制するコネクタ用カバーを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の1実施形態によれば、レセプタクルの開放端部を覆うことが可能なコネクタ用カバーが、レセプタクルに嵌合しているプラグのラッチレバーの変位を規制して、嵌合しているプラグが不意に離脱することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明によるコネクタ用カバーは、コネクタが嵌合されていないときには、そのコネクタの開放端部を覆って防塵機能を発揮し、他のコネクタと嵌合したときには、その嵌合したコネクタのラッチレバーの変位をコネクタカバーのアームによって規制して、不意のコネクタ離脱を防ぐものである。このコネクタ用カバーが適用されるコネクタは、一般にレセプタクルやソケットと呼ばれ、その嵌合端部に嵌合相手のコネクタを受容する雌型コネクタである。このようなコネクタは配線盤や装置等に予め設置され、必要に応じて嵌合相手のコネクタがその開放端部に挿入されて電気的または光学的接続が達成される。そのため、嵌合相手と接続されるまでの間、その開放端部を塵や損傷から防ぐために、カバーが開放端部を覆う。
【0011】
以下に本発明によるコネクタ用カバーを、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の1実施形態に係るコネクタ用カバーを備えたコネクタ1を示す斜視図である。図2は図1に示すコネクタのコネクタ用カバーが閉じた状態を示す斜視図である。このコネクタ1は、レセプタクルと呼ばれるタイプのコネクタであり、プラグと呼ばれるタイプのコネクタ2(後述)をハウジングに受容する。
【0012】
レセプタクル1は、ハウジング10と、ケーブル固定部11とを備える。ハウジング10は略直方体の形状を有し、その嵌合方向前端に開放端部12を備え、開放端部12の上部にカバー14を備える。ハウジング10は更に、レセプタクル1を配線盤等に固定するためのラッチアーム16を開放端部の両側に備える。ハウジング10は任意の材料、例えば各種のプラスチック材料や金属材料、から形成することができる。開放端部12は嵌合相手のコネクタ2を受容する大きさを有する開口部(空所)であり、内部には図示しないコンタクトを1または複数有する。ケーブル固定部11はケーブルとコンタクトとを電気的および機械的に接続する部分であり、ケーブルがケーブル孔11aに挿入される。ケーブルの固定には各種の公知の方法、例えば略U字型のコンタクトにケーブルを圧接する方法や半田付け等、が使用できる。開放端部12の両側壁18には、プラグ2と係合する係止孔20が設けられている。
【0013】
カバー14はプレート22と、アーム24a、24bと、複数のヒンジ26とを備える。プレート22は略矩形の板状部材で、開放端部12を概略覆う大きさ及び形状を有する。アーム24a、24bは、プレート22の両端部付近で、開放端部12を覆うプレート22の表面から略垂直に突出している。
【0014】
ヒンジ26は、カバー14が開放端部12を覆う閉塞位置(図2参照)と、後述の操作禁止位置(図3参照)との間で変位できるように可撓性を持たせた部分である。ヒンジ26の長さは、カバー14が開放端部12を覆い、かつ、後述のように操作禁止位置に配置できるような長さに設定される。カバー14が開放端部12を覆う工程においては、ヒンジ26が撓んでカバー14の回動を許容する。カバー14が閉塞位置にあるときは、アーム24a、24bは開放端部12内に挿入される。これらのアーム24a、24bが開放端部12の内壁と接し、その摩擦力によってカバー14が開放端部12を覆った状態から不意に外れることを防止する。カバー14をより確実に固定するために、少なくとも一方のアーム24a、24bが嵌入されるスロット(図示せず)を開放端部12の内部に設けることが出来る。スロットに嵌入されたアームは、スロットの内壁間で狭持される。それぞれのアーム24a、24bの外側もしくは内側の表面には、更に突起28を設けることが出来る。この突起28はアームがスロットに嵌入されたときに多少変形し、カバー14がより強固に閉塞位置に固定される。
【0015】
本実施形態では、一方のアーム24bのみがスロットに嵌入される構造となっている。スロットにアーム24bが届くように、アーム24bはアーム24aよりも長くなっているが、両方のアーム24a、24bに対応させてスロットを設けても良い。両方のアーム24a、24bを同じ長さにすることもできる。
【0016】
別の態様として、スロットに加えてもしくはスロットを設ける代わりに、アーム24a、24bの突起28と係合できる係止部を開放端部12の内部に設けてもよい。この場合も、一方のアームのみが係止部と係合するようにしてもよいし、両方のアームが係止部と係合するようにしてもよい。
【0017】
本実施形態ではアームがプレートの両端部付近にそれぞれ設けられているが、一方の端部付近にのみ設けることも出来る。また、アームの位置はプレートの長手方向端部付近に限定されず、プラグ2の形状に合わせて任意の場所に配置することができる。
【0018】
カバー14はハウジング10とは別部品として形成し、任意の方法でハウジングに取付けることができる。ハウジング10とカバー14を一体として成形するとコスト面でのメリットを享受でき、別部品として成形すると材料選択や設計面でのより大きい自由度を享受できる。
【0019】
本実施形態のようなレセプタクル1は、典型的には配線盤などに取り付けて使用される。レセプタクルは、配線盤の板面に設けられた開口に嵌入される。なお、レセプタクル1の取り付けには、ラッチアーム16の他に公知の各種の方法、例えばネジ止め、を利用することができる。
【0020】
図3および図4はレセプタクル1とプラグ2とが勘合した状態を示す斜視図である。プラグ2はボディ40とケーブル固定部41とラッチレバー42とを有する。ボディ40は、さらに図示しないコンタクトとを備える。ラッチレバー42は、ボディ40の後端付近の両側壁から、嵌合方向へ延出する。ラッチレバー42先端には、レセプタクル1の係止孔20と係合する係止部(図示せず)が、ラッチレバー42の外側表面に設けられている。コンタクトは、プラグ2がレセプタクル1と勘合したときにレセプタクル1側のコンタクトと電気的接触をとり、かつケーブル固定部41のケーブル孔41aに挿入されたケーブルに対して電気的および機械的に接続されている。
【0021】
プラグ2がレセプタクル1に嵌合した後、レセプタクル1のカバー14をプラグ2に被せることでカバー14が操作禁止位置に配置される。操作禁止位置では、プレート22がプラグ2のボディ40の上表面と概略平行になっている。アーム24a、24bの間隔は、プラグ2のボディ40の幅と略同一に設定されており、またアームの厚さがボディ40とラッチレバー42との嵌合状態での隙間とほぼ同じか、小さく設定されている。そのため、カバー14をプラグ2に被せると、両アーム24a、24bがプラグ2のボディ40とラッチレバー42との間に挿入される。アームの24a、24bの厚さは、更に、ラッチレバー42の変位を許容しない程度の厚さ、もしくはラッチレバー42の図示しない係止片がレセプタクルの係止孔20との係合を解除しない程度の変位しかラッチレバー42に許容しない厚さに設定されている。このため、カバー14を操作禁止位置に配置すると、プラグ2のラッチレバー42が不意に操作されても、プラグ2とレセプタクル1との係合状態が不完全となり、電気的接続状態が不安定になることを防止する。また、プレート22がボディ40の上表面と概略平行になっているので、操作禁止位置にカバー14を配しても、コネクタの厚さの増大を最小限にすることができる。
【0022】
本実施形態では、カバー14が操作禁止位置にラッチレバーの上面44側から配されたときに、突起28がラッチレバー42の下面46から突出するようにアームの長さと突起28の位置が設定されている。このようにすると、突起28がラッチレバー42の下面46に係止され、カバー14が不意に操作禁止位置から外れることを効果的に防止する。他の方法として、ラッチレバー42のボディ40と対抗する面に突片または凹所を設け、それらと突起28とを係合させることでも、同様の効果を得ることができる。さらなる他の方法として、突起28をアーム24a、24bの内側表面(他方のアームと対向している面)に配置し、突起28がボディ40に対して係止するようにすることもできる。また、この係止状態をより確実にするために、アーム24a、24b間の距離が基端部241a、241bよりもその先端部242a、242bで狭くなるように、アーム24a、24bをプレート22に対する鉛直方向から傾いて設けることが出来る。このようにすると、アーム24a、24bが弾性的にラッチレバー42に対して押し付けられてラッチレバー42とアーム24a、24bとの係止力を増大させることができる。アーム24a、24bとボディ40とが係止する場合は、同様にアーム24a、24b間の距離が基端部241a、241bよりもその先端部242a、242bで広くなるように、アーム24a、24bをプレート22に対する鉛直方向から傾いて設けることができる。
【0023】
本実施形態ではラッチレバー42がプラグ2の後端付近から嵌合方向へ延出しているが、プラグ2の前端付近から嵌合方向とは逆方向へ延出するものでも良い。また、ラッチレバー42がプラグ2の上下に配置されていてもよいし、ラッチレバーが1本のみでもよい。
【0024】
上述の実施形態では電気接続用のコネクタについて説明したが、本発明は電気接続用コネクタに限られるものではなく、光ファイバ用コネクタ等の他のコネクタに対しても適用できる。また、レセプタクルとして所謂雌型コネクタを例示しているが、本発明は2つのプラグ型コネクタを整列して結合させるカップリングに対しても適用でき、本明細書ではレセプタクルはカップリングも含むものとして解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の1実施形態に係るカバーを有するコネクタの斜視図である。
【図2】カバーが閉塞位置にある図1のコネクタの斜視図である。
【図3】レセプタクルとプラグとが嵌合した状態の斜視図である。
【図4】図3のコネクタを斜め下方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 コネクタ(レセプタクル)
2 コネクタ(プラグ)
10 ハウジング
12 開放端部
14 カバー
22 プレート
24 アーム
26 ヒンジ
28 突起
40 ボディ
42 ラッチレバー
46 下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レセプタクルの開放端部を覆うプレートと、
該プレートから突出するアームと、を備え、
前記開放端部にプラグが嵌入されたときの、前記プラグのラッチレバーとボディとの隙間よりも、前記アームの厚さが小さいコネクタ用カバー。
【請求項2】
レセプタクルの開放端部を覆うプレートと、
該プレートから突出するアームと、を備え、
前記開放端部に嵌入されるプラグのボディとラッチレバーとの間に前記アームが挿入されて、該ラッチレバーの変位を規制するコネクタ用カバー。
【請求項3】
前記アームの表面に突起を更に備えた請求項1または2に記載のコネクタ用カバー。
【請求項4】
前記プレートの両方の端部付近それぞれにアームが配された請求項3に記載のコネクタ用カバー。
【請求項5】
前記アーム間の距離が前記プラグの幅と略同一である請求項4に記載のコネクタ用カバー。
【請求項6】
前記レセプタクルと前記プラグとが嵌合され、前記カバーが操作禁止位置に配されたときに、前記アームの表面に配された突起が前記プラグと係止する請求項5記載のコネクタ用カバー。
【請求項7】
前記カバーがヒンジをさらに備え、レセプタクルのハウジングと一体に形成されている請求項5記載のコネクタ用カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−181851(P2009−181851A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20763(P2008−20763)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】