説明

コネクタ用シールドケース及び電気コネクタ

【課題】シールドケースの接合部から毛細管現象により水などが侵入するのを確実に阻止できるようにしたコネクタ用シールドケースを提供こと。
【解決手段】電気コネクタのコンタクトが装着された電気絶縁性のコネクタハウジングの外周壁に嵌装されて電磁遮蔽するコネクタ用シールドケースであって、コネクタ用シールドケース1は、所定大きさ及び肉厚の金属板材を内部に前記コネクタハウジングが嵌装される大きさの中空孔1が形成されるように管状に湾曲して金属板材の両端縁を突き合わせて、突き合わせた接合部1b'をレーザー溶接し少なくとも一方の端部を開口させた管状体状に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ用シールドケース及び電気コネクタに係り、さらに詳しくはコネクタ用シールドケースを防水構造にしたコネクタ用シールドケース及びこのシールドケースを用いた防水型の電気コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、情報端末などの電子・情報機器が急速に普及して来ている。これらの電子・情報機器は、外部機器などと接続するために様々なタイプの電気コネクタ(以下、コネクタという)が組み込まれているが、その多くがUSB規格に適合するものとなっている。このようなコネクタは、通常、外部から内部へノイズが侵入して、電子機器内の電子回路などに障害を与えるのを防ぐ、いわゆるEMI(Electro Magnetic Interference (電磁干渉))障害を除去するために、コンタクトを装着した絶縁ハウジングをシールドケースで覆い電磁遮蔽している。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、レセプタクルシェルを有するレセプタクルコネクタが記載されている。なお、このレセプタクルシェルがシールドケースとなっている。以下、図15を参照して、この特許文献1に記載されたコネクタを説明する。なお、図15はこの特許文献に記載されたレセプタクルコネクタを示し、図15Aは下面図、図15Bは下面断面図である。
【0004】
このコネクタ20は、レセプタクルコネクタ(以下、レセプタクルという)となっている。このレセプタクル20は、図15に示すように、複数のコンタクト21と、これらのコンタクトを支持するボディ22と、内側に複数のコンタクト21及びボディ22を収納したレセプタクルシェル23とで構成されている。レセプタクルシェル23は、シールドケースとなっている。ボディ22は、略直方体形状の主部24と、この主部の前面より前方へ突出する矩形状のポスト25とを有する電気絶縁性の合成樹脂成形品で形成されている。主部24及びポスト25には複数のコンタクト21がインサート成形されている。セプタクルシェル23は、耐食性を有する金属製の板材によって角筒状に形成されて、底部で板材の端縁が突き合わされて接合されている。符号23aは接合部を表している。ボディ22は、セプタクルシェル23の後端側から挿入されて、一対の切り起し片で抜け止めして固定されている。
【0005】
また、下記特許文献2にも、同様の電気コネクタが記載されている。なお、この特許文献2ではシールドケースが金属シェルと表現されている。以下、図16を参照して、この特許文献2に記載された電気コネクタを説明する。なお、図16はこの特許文献に記載されたコネクタを示し、図16Aは底面図、図16Bは金属シェルの一方端縁の斜視図、図16Cは他方端縁の斜視図、図16Dは接合部の正面図である。
【0006】
このコネクタ30は、複数の端子31が所定のピッチで並列に装着された絶縁ハウジング32の外側に金属シェル33が嵌装された構成となっている。金属シェル33は、帯状の金属板34を用い、この金属板を絶縁ハウジング32の嵌合端及び後端の部分を開口させて角筒状に屈曲成形されている。すなわち、帯状の金属板34で金属シェル33の頂部及び対向する左右の側壁を構成するとともに、金属板34の両端部を重ねた接合部35が介在する底壁を構成して、金属板34が頂部から側壁、底壁、側壁の全周に亘って無端縁状に連続している。
【0007】
接合部35は、各端部を重ねるとともに、その厚さを金属板34の厚さと略同一の厚さに形成されている。この接合部35は、一方の端部35aを金属板厚さtの半分の厚さにプレス成形した段状の接合部36aが形成される(図16B参照)と共に、他方の端部35cも同様に金属板厚さtの半分の厚さにプレスした段状の接合縁部36bを成形し(図16C参照)、これらの接合縁端部36a、36bを重ねて互いに接合されている。この接合部35の厚さが金属板34の厚さtと略同一の厚さにされている。一方の接合端縁部36a内に、プレス成形によって凸部38を設け、他方の接合端縁部36b内に、この凸部と密嵌合する穴でなる凹部37が設けて、他方の接合端縁部36b内に、凸部38と凹部37を接合端縁36a、36bを重ねる際に互いに嵌合させ両接合端縁部36a、36bを厚さ方向で圧縮することによって凸部38と凹部37をかしめ状態とし、両接合端縁部36a、36bが分離しないようにしてある。かしめた後に、接合部35の表裏に形成される接合端縁部36a、36bの端縁39と段部40の対向部に金属板34の潰した圧縮部を形成して、対向部の隙間が可及的に狭くなるようにしてある。この構成の金属シェルは、壁面に隙間がなく、しかも、外部又は内部に金属板の重合に突出部分が形成されないものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−289618号公報(段落〔0026〕〜〔0028〕、図1、図2)
【特許文献2】特許第3803837号公報(段落〔0012〕〜〔0015〕、図2、図5〜図8)
【特許文献3】特開2005−228756号公報(段落〔0033〕、〔0034〕、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1、2にみられるようなコネクタは、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、情報端末などの様々な電子・情報機器に組み込んで使用される。これらの電子・情報機器は、概ね、殆ど移動させないで使用する据え置き型と、持ち運び自在にして使用する携帯型とに大別されたものとなっている。このようなコネクタが携帯型、例えば携帯電話機など携帯電子機器に組み込まれると、据え置き型機器に比べて、その使用環境が大幅に異なり、その使用状況によっては電子機器に好ましくない環境下で使用される機会が極めて多くなる。例えば、手などの汗が伝わり、湿気、塵ゴミが多い場所や雨がかかる場所で使用され、また、こぼれた水などに浸漬され、さらに過って水中へ落下させてしまうことなど様々な態様で使用されて、しかもそれらが想定外の環境下で使用されることも多くなり、これらはいずれも電子機器にとって過酷な環境下での使用となっている。
【0010】
このために、携帯電子機器がこのような環境下に置かれるとコネクタを通して機器内に水が浸入する恐れが十分ある。例えば、上記特許文献1のコネクタは、シールドケースの接合部が板材端縁を突き合わせただけの構造になっているので、この突き合わせ部分に隙間ができ、この隙間から内部へ水滴や塵埃が侵入する恐れがある。また、このようなコネクタは、通常、半田槽に浸漬して回路配線基板などへ実装されるが、接合部に隙間があると、絶縁ハウジングが熱膨張してその隙間がさらに開き、より水などの侵入がし易くなる。この対策として、接合部をより強固な機械的結合、例えば溶接することが考えられるが、その溶接がスポット溶接であると、高い防水効果が期待できない。なお、接合部を重合して、スポット溶接すると接合部が突出し、他の防水部材、例えばパッキンとの接触が緊密になり難くなり防水効果が期待できない。
【0011】
また、上記特許文献2のコネクタの接合部は、両端部が重ねられてプレス成形され、その厚さが金属板厚と略同一に形成されたものとなっているが、この接合によっても、上記のような過酷な環境下での使用に対して十分な防水効果が発揮されない。特に、毛細管継手現象による浸水を阻止するのが難しい。この接合部は、金属板端部をそれぞれ半分の厚さにするとともに、これらの板厚の箇所に凹凸部を設けてプレス成形するので、その機械加工が極めて難しく、特殊な加工装置を必要とすると共に加工工数も掛かることになる。また、この構造の接合部では、相手方コネクタとの接続時にこじられると接離される恐れがある。
【0012】
このような環境下の使用を想定して、携帯電子機器の筐体を防水構造にしたものも知られている。しかしながら、このような電子機器は、概ね、汎用品のコネクタの使用となり、この汎用コネクタはその殆どが防水対策が講じられていなめに、コネクタ及びこのコネクタの取付け箇所から機器本体内へ水などが侵入することがある。そのために、コネクタを通して、電子機器内へ水などが浸入すると、電子回路部品に障害を与え故障の原因となる。
【0013】
携帯電子機器、特に携帯電話機は、過酷な環境下で使用されるにも拘わらず、コネクタが防水構造となっていないことから、コネクタの取付け箇所に防水カバーを装着した携帯電子機器が提案されている。例えば、上記特許文献3には、コネクタを設けた機器筐体の開口を端子保護カバーで密閉シールするようにした電子機器が記載されている。この電子機器は、携帯電話機となっている。この携帯電話機は、機器筐体にコネクタを組み込んで、コネクタ取付け穴を端子保護カバーで密閉する構成となっている。この電子機器によると、コネクタの不使用時に端子保護カバーでコネクタ取付け穴を密閉できるので、水などの侵入を阻止できるが、特殊構造の端子保護カバーが必要となると共に、この保護カバーを装着できるように機器筐体の設計変更が必須となる。このために、端子保護カバーが機器筐体から外れ紛失する恐れがあり、また、全体で機器のコスト高を招くことになる。なお、このような防水カバーは、現在、防水性を維持するために2年に一度、有償で交換するようになっている。
【0014】
また、上記特許文献1のコネクタは、防水構造のものでないが、コネクタ分野では、防水コネクタが公知であり、その防水技術は、概ね、防水パッキンを使用するものとなっている。そこで、この防水技術を上記特許文献1、2にみられるようなコネクタへ転用することが容易に考えられる。しかしながら、このような防水技術を転用しても、上記のような過酷な環境下での使用に耐え得るものとならず、特に、毛細管現象による浸水を阻止することができない。すなわち、電子・情報機器に組み込まれたコネクタは、そのコネクタの一部、特にシールドケースの先端部が電子・情報機器の筐体から露出し、この露出部分から毛細管現象により侵入する恐れがある。
【0015】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたもので、この発明の目的は、簡単な構造で確実に浸水などを阻止できるコネクタ用シールドケース及びこのシールドケースを用いた防水型の電気コネクタを提供することにある。特に、シールドケースの接合部から毛細管現象により水などが侵入するのを確実に阻止できるようにしたコネクタ用シールドケースを提供ことにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様のコネクタ用シールドケースでは、電気コネクタのコンタクトが装着された電気絶縁性のコネクタハウジングの外周壁に嵌装して電磁遮蔽するコネクタ用シールドケースであって、
前記コネクタ用シールドケースは、所定大きさ及び肉厚の金属板材を内部に前記コネクタハウジングが嵌装される大きさの中空孔が形成されるように管状に湾曲して金属板材の両端縁を突き合わせて、前記突き合わせた接合部をレーザー溶接されて少なくとも一方の端部が開口された管状体状に構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、第2の態様のコネクタ用シールドケースにおいては、前記接合部は、前記突き合わせ部分を仮止め手段で仮止めして前記レーザー溶接がされていることを特徴とする。
【0018】
また、第3の態様のコネクタ用シールドケースにおいては、前記仮止め手段は、前記両板材端縁の一方の端縁に該端縁から突出した係止突起と、他方の端縁に前記係止突起が嵌め込まれる係止溝とで構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、第4の態様のコネクタ用シールドケースにおいては、前記管状体は、前記開口と対向する他端に開口が設けられて、前記開口が接地端子を設けた奥蓋で閉鎖されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の第5の態様の電気コネクタにおいては、第1〜第4の態様のいずれかのコネクタ用シールドケースがコンタクトを装着した電気絶縁性のコネクタハウジングの外周壁に嵌装されていることを特徴とする。
【0021】
また、第6の態様の電気コネクタにおいては、前記コネクタハウジングと前記コネクタ用シールドケース間に外部から内部への水の侵入を阻止するハウジング防水手段、前記コネクタハウジングと前記コンタクト間に同様の侵入を阻止するコンタクト防水手段が設けられていることを特徴とする。
【0022】
また、第7の態様の電気コネクタにおいては、前記コンタクト防水手段は、前記コンタクトを前記コネクタハウジングにインサート成型による防水手段であり、前記ハウジング防水手段は前記コネクタハウジングと前記シールドケース間に介在させた弾性部材であることを特徴とする。
【0023】
また、第8の態様の電気コネクタにおいては、前記コネクタ用シールドケースの外壁に、コネクタを実装する機器筐体の取付け穴との間の隙間に筐体防水手段が設けられていることを特徴とする。
【0024】
また、第9の態様の電気コネクタにおいては、前記筐体防水手段は、弾性部材で構成されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、第1の態様のコネクタ用シールドケースでは、金属板材の両端縁を突き合わせて、この突き合わせた接合部がレーザー溶接されているので、接合部分の端縁が溶解されて緊密に密着し、接合部分からの水などの浸入を確実に阻止できるコネクタ用シールドケースを提供できる。特に、毛細管現象により侵入しがちな水を確実に阻止できる。また、電気コネクタに使用して、このコネクタを回路配線基板などに実装する際に、半田槽に浸漬しても、コネクタ用シールドケースの接合部が開口することがない。
【0026】
また、第2の態様のコネクタ用シールドケースによれば、接合部の突き合わせ部分が仮止めされるので、位置ズレを起すことなく正確にレーザー溶接が実施できる。
【0027】
また、第3の態様のコネクタ用シールドケースによれば、仮止め手段を係止突起と係止溝とで構成したので、簡単な金属加工により形成できる。
【0028】
また、第4の態様のコネクタ用シールドケースによれば、請求項4の発明によれば、管状体の他端に開口が奥蓋で閉鎖されるので、他端開口から管状体内へ不要物が侵入するのを阻止できると共に、この奥蓋に設けた接地端子を利用して、回路配線基板などへの固定が簡単にできる。
【0029】
また、第5の態様の電気コネクタによれば、上記の作用効果を奏するコネクタ用シールドケースを用いたので、このコネクタ用シールドケースの接合部から水などの浸入を阻止できる電気コネクタを提供できる。
【0030】
また、第6の態様の電気コネクタによれば、コネクタ用シールドケースの他に、コネクタハウジングとコネクタ用シールドケース間、及びコネクタハウジングとコンタクト間にも水の侵入を阻止する防水手段を設けたので、さらに防水効果を高めることができる。
【0031】
また、第7の態様の電気コネクタによれば、コンタクト及びハウジング防水手段を簡単な手段で構成できる。
【0032】
また、第8の態様の電気コネクタによれば、従来技術で必要としていた防水カバーなどが不要になり、コストダウンが可能になる。
【0033】
また、第9の態様の電気コネクタによれば、筐体防水手段を簡単な手段で構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るコネクタ用シールドケースの外観を示し、図1Aは前方斜視図、図1Bは後方斜視図である。
【図2】図2は図1のシールドケースの詳細図で、図2Aは正面図、図2Bは上面図、図2Cは底面図、図2Dは一方の側面図、図2Eは他方の側面図、図2Fは背面図である。
【図3】図3はシールドケースの接合部を示し、図3Aは溶接した状態の底面図、図3Bは図3Aの試作品の平面図の写真、図3Cは溶接前の接合部の拡大断面図の写真、図3Dは図3Cの溶接後の拡大断面図の写真である。
【図4】図4はレーザー溶接装置の概略図である。
【図5】図5は図1のコネクタ用シールドケースを用いた電気コネクタの外観を示し、図5Aは前方斜視図、図5Bは後方斜視図である。
【図6】図6は図5の電気コネクタの詳細図で、図6Aは正面図、図6Bは上面図、図6Cは底面図、図6Dは一側面図、図6Eは背面図である。
【図7】図7は図5のコネクタハウジングの外観を示し、図7Aは前方斜視図、図7Bは後方斜視図である。
【図8】図8は図7のコネクタハウジングの詳細図で、図8Aは正面図、図8Bは上面図、図8Cは底面図、図8Dは一方の側面図、図8Eは他方の側面図、図8Fは背面図である。
【図9】図9は本発明の他の実施形態に係る電気コネクタの外観を示し、図9Aは前方斜視図、図9Bは後方斜視図である。
【図10】図10は図9の電気コネクタの詳細図で、図10Aは正面図、図10Bは上面図、図10Cは底面図、図10Dは一方の側面図、図10Eは他方の側面図、図10Fは背面図である。
【図11】図11は図9の電気コネクタを機器筐体に取付けた状態の外観を示し、図11Aは前方斜視図、図11Bは後方斜視図である。
【図12】図12は図11の電気コネクタの詳細図で、図12Aは正面図、図12Bは上面図、図12Cは底面図、図12Dは一側面図、図12Eは背面図である。
【図13】図13は図12AのXIII―XIII線の断面図である。
【図14】図14は図12AのXIV―XIV線の断面図である。
【図15】図15は従来技術の電気コネクタを示し、図15Aは下面図、図15Bは下面断面図である。
【図16】図16は他の従来技術の電気コネクタを示し、図16Aは底面図、図16Bはシールドケースの一方端縁の斜視図、図16Cは他方端縁の斜視図、図16Dは接合部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのコネクタ用シールドケース及びこのシールドケースを用いた電気コネクタを例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0036】
本発明の実施形態に係るコネクタ用シールドケース(以下、シールドケースという)1は、各種タイプの電気コネクタに使用できるものであるが、特に、後述する電気コネクタに好適なものとなっている。そこで、まず、このシールドケースを使用するのに好適な電気コネクタの概要を参照して説明する。
【0037】
この電気コネクタ(以下、コネクタという)2は、携帯電話機などの情報端末の筐体に取付けて、図示を省略した相手方コネクタが取外し自在に接続されるコネクタであって、USB規格に適合したものとなっている。このコネクタ2は、図5、図6に示すように、複数本、例えば5本の電気良導電性のコンタクト3と、これらのコンタクトが装着される電気絶縁性のコネクタハウジング(以下、絶縁ハウジングという)4と備え、シールドケース1は、絶縁ハウジングの外周囲に嵌装して電磁遮蔽するものとなっている。このコネクタ2は、回路配線基板などに補強部材8を使用して取付けられる。
【0038】
このコネクタ2は、(a)コンタクト3と絶縁ハウジング4との間、(b)絶縁ハウジング4とシールドケース1との間、及び(c)シールドケース1の板材接合部に、それぞれ内部への水或は埃などの侵入を阻止する防水・防塵手段(以下、防水手段という)が設けられている。このコネクタは、特にシールドケースの接合部から毛細管現現象により水が浸入するのを阻止できるようにした構造に特徴がある。このコネクタは、携帯電話機などの電磁機器の筐体に取付けられると、上記(a)〜(c)の防水手段により、従来技術で必要としていたコネクタの差込口を密閉防水する防水カバーなどが不要になる。
【0039】
図1〜図2を参照して、本発明の実施形態に係るシールドケースを説明する。なお、図1は本発明の実施形態に係るコネクタ用シールドケースの外観を示し、図1Aは前方斜視図、図1Bは後方斜視図、図2は図1のシールドケースの詳細図で、図2Aは正面図、図2Bは上面図、図2Cは底面図、図2Dは一方の側面図、図2Eは他方の側面図、図2Fは背面図である。
【0040】
本発明の実施形態に係るシールドケース1は、図1、図2に示すように、一端に絶縁ハウジング4が挿入される前方の開口1と、この開口から奥へ向かって内部に絶縁ハウジング4が収容される大きさの空間1と、後方の開口1を塞ぎ回路配線基板などの接地電極に接続される端子を設けた奥蓋1eとを有し、絶縁ハウジング4より若干長い扁平な管状体からなり、金属板材、例えばステンレス板を所定の長さに切断し、湾曲加工により形成されている。すなわち、このシールドケース1は、絶縁ハウジング4の上下、左右壁面に接触する上下板部1a、1b及び左右板部1c、1dで囲まれて内部に空間(中空孔)及び両端に開口1、1を有し、後方の開口1が奥蓋1eで塞がれて、絶縁ハウジング4より若干長い扁平管状体となっている。
【0041】
上板部1aは、その表面の前方開口1側の両サイドに一対の切り起し突起1aが形成されている。また、この上板部1aは、これらの切り起し突起1aと後方の開口1間のスペース1a'に補強部材8が当接される領域となっている。左右板部1c、1dは、前方の開口1側に相手方コネクタ(図示省略)の差込みを円滑するガイド片1c、1dが形成されている。また、奥蓋1eは、上板部1aから延設及び折曲されて、後方の開口1を略塞ぐ大きさを有する板状体からなり、この板状体に一対の端子1eが形成されている。このシールドケース1は、絶縁ハウジング4より若干長くしたことにより、絶縁ハウジング4の接点支持部6が前方の開口1から若干奥へ引っ込み該接点支持部に配設されるコンタクト3の接点部が外部へ露出されず障害物などが衝突することがなく保護される(図5A参照)。
【0042】
このシールドケース1は、以下の方法で作製する。図1〜図4を参照して、この作製方法を説明する。なお、図3はシールドケースの接合部を示し、図3Aは溶接した状態の底面図、図3Bは図3Aの試作品の平面図の写真、図3Cは溶接前の接合部の拡大断面図の写真、図3Dは図3Cの溶接後の拡大断面図の写真、図4は試作レーザー溶接装置の概略図である。なお、図3C、図3Dは図3AのX―X線、Y−Y線及びZ−Z線で切断した図となっている。
【0043】
まず、図示を省略した所定肉厚の大判の金属板、例えばステンレス板を用いて、この金属板を所定形状に打ち抜きしてシールドケース加工前のシールドケース板を1枚ないし複数枚作成する。このシールドケース板は、図5に見られるシールドケース1を展開伸長した形状となっている。すなわち、このシールドケース板は、一対の対向する長辺及び短辺からなる帯状片と、この帯状片の一方の長辺から外方へ延設された奥蓋1eとを有し、帯状片の一対の対向する短辺を突き合わせて、この突き合わせた接合部1b'を仮止めする仮止め手段1bが設けられている。この仮止め手段1bは、任意のものでよいが、この実施形態では係止突起aとこの係止突起が嵌め込まれる係止溝bとで構成されている。このような仮止め手段1bを設けると、対向する短辺(縁)の切断部を突き合わせて溶接する際に、その溶接作業が正確に且つ容易にできる。
【0044】
次いで、このシールドケース板を折曲して絶縁ハウジング4に嵌装できる大きさの扁平管状体からなるシールドケース1に加工する。この加工で、仮止め手段1bにより帯状片の対向する短辺の切断面を突き合わせて仮止めする。このシールドケース1は、仮止めのままであると、絶縁ハウジング4に嵌装されると仮止めが簡単に外れてしまうので、外れないように固定する必要がある。ところが、この仮止めを単に外れないように固定するのであれば、任意の固定手段を採用してできるが、このシールドケースでは、(d)接合部の防水、及び(e)絶縁ハウジンと接合部などとの防水を効果的なものにする必要がある。すなわち、上記(d)では、特に毛細管現象により浸水しないようにしなければならず、また、上記(e)では、ハウジング本体部との間から浸水しないようにするために、接合部の内壁面に段差などが生じないようにしなければならない。したがって、上記(d)、(e)を考慮すると、固定手段は、制限されたものとなる。
【0045】
そこで、発明者らは、各種の溶接技術で検証してみた。その結果、各種の溶接技術のうち、COレーザー溶接が以下の(f)、(g)の特徴を有し、上記(d)、(e)に適合することを発見した。すなわち、COレーザー溶接は、(f)アーク溶接などと比べて溶接幅が非常に狭く、溶け込み深さをかなり深くでき、その結果、熱影響部が非常に狭い溶接が可能であること、(g)溶接部の熱変形を小さくできるので、狙った通りの接合溶接、すなわち高精度の溶接ができること、特に、溶接の熱源に波長と位相が揃っているレーザー光を用いると、溶接対象部にレーザー光を集光させることができ、小さい直径に集中的に照射でき、これによって入熱密度(パワー密度)をかなり大きくできること。また、溶接部の変形が殆どない高精度溶接ができること、などの特徴を備えている。
【0046】
ところが、一方で、このレーザー溶接は、溶接箇所に気泡や凝固割れが発生し、これが溶接欠陥となる問題を抱えている。この問題は、レーザー溶接途中の溶接部の溶融池に形成されるキーホールの形状に起因すると言われている。すなわち、COレーザー光が溶接対象金属に照射されると、このレーザー光は入熱密度が高いので、金属が急速加熱されて、金属の一部が気化して金属蒸気が飛び出し、この飛び出すときの反跳力が溶融金属の部分にできる溶融池に作用する。その結果、レーザー光が照射されている部分の先端部を押し下げて、溶融池に細長い中空部が形成され、この中空部がキーホールと呼ばれている。そして、問題の気泡は、キーホールの形状の中空部が変形、例えばくびれると発生する。すなわち、キーホールが不安定になると気泡が発生する。そのために、このレーザー溶接では、(h)キーホールの安定化が必須となる。
【0047】
そこで、上記(d)、(e)及び(f)〜(h)を考慮して、レーザー溶接装置を用いてレーザー溶接する。レーザー溶接装置は、任意のものでよいが、図4に示すように、レーザー光発生装置L1、レーザーヘッド部L2及びレーザー制御装置L3などで構成されたレーザー溶接装置Lを使用する。レーザーヘッド部L2は、コントローラL2a、スキャンヘッドL2b、ドライバーL2cなどで構成されている。なお、図4の符号L2'の部分はレーザーヘッド部を拡大した拡大図であり、また、このようなレーザー溶接装置Lは、公知であるので、詳細説明を省略する。
【0048】
このレーザー溶接装置Lを用いて、仮止めした接合部1b'に沿って溶接する。このレーザー溶接は、上記(h)が重要になる。すなわち、キーホールの安定化が必須となる。キーホールの安定化は、レーザー出力を周期的に振動させて気泡の発生を防止する。このキーホール安定化は、レーザー出力光のパルス制御によって行なう。すなわち、レーザー出力が高い部分と、低い部分とが交互に出力させるパルス制御により溶接する。高い出力は例えばpKW、低い出力をその半分程度例えば1/2pKWにし、パルス間隔を略同じ(高出力と低出力の時間比のデューティ=50%)にしてレーザー溶接する。このパルス制御溶接によると、レーザーのパルス出力の周波数(変調周波数)が所定の周波数のときにキーホールが安定して気孔が殆ど発生しない。
【0049】
このキーホール安定化は、以下の現象によるものと推定される。すなわち、パルス制御において、出力が大出力に急増するときに、キーホール内部から溶接金属が噴出し、溶融池表面に波をつくり、このときの進行波が溶融池と凝固部分の端で反射して跳ねかえる。この跳ねかえりの反射波がキーホールまで到達すると、キーホールを埋めるように流れ込む。この流れ込んだ溶融金属は、レーザー光により急速に加熱されると、金属蒸気が急に発生し、キーホールの形状が乱れるので、この乱れが生じないように反射波がキーホールに入る直前に、強いレーザー光を照射すると急速加熱によって、金属蒸気の発生量が増え、あふれ出る溶融金属の進行波を押し戻しキーホールが維持されて安定化する。
【0050】
レーザー溶接Laの結果、接合部は以下の状態になった。すなわち、図3はシールドケースの接合部を示ており、レーザー溶接前は、接合部1b'には図3Cにみられるように隙間があいているが、図3Aに示すように、接合部1b'に沿ってレーザー溶接すると、図3B、図3Dにみられるように溶接され、特に、溶接前の接合部1b'の隙間(図3C参照)が、図3Dにみられるように、隙間無く接合される。この接合部1b'の溶接Laは、図3AのX―X線、Y−Y線及びZ−Z線、すなわち接合部全体で隙間無く接合するのが好ましいが、全体でなく一部、すなわちいずれか一箇所の溶接でもよい。
【0051】
このレーザー溶接により、接合部の隙間が無くなり、水などの浸入を阻止、特に、毛細管現象による浸水を阻止することが可能になる。また、この構造の接合部では、相手方コネクタとの接続時にこじられても接離されることがない。
【0052】
上記シールドケース1は、電気コネクタに使用される。以下、図5〜図8を参照して、このシールドケースを用いた電気コネクタを説明する。なお、図5はシールドコネクタを用いた電気コネクタの外観を示し、図5Aは前方斜視図、図5Bは後方斜視図、図6は図5の電気コネクタの詳細図で、図5Aは正面図、図5Bは上面図、図5Cは底面図、図5Dは一側面図、図5Eは背面図である。
【0053】
このコネクタ2は、図5、図6に示すように、電気良導電性の複数本、例えば5本のコンタクト3と、これらのコンタクトが装着される電気絶縁性のコネクタハウジング(以下、絶縁ハウジングという)4とを備え、この絶縁ハウジングの外周囲にシールドケース1が嵌装される。
【0054】
図7、図8を参照して、絶縁ハウジングを説明する。なお、図7は絶縁ハウジングの外観を示し、図7Aは前方斜視図、図7Bは後方斜視図、図8は図7の絶縁ハウジングの詳細図で、図8Aは正面図、図8Bは上面図、図8Cは底面図、図8Dは一方の側面図、図8Eは他方の側面図、図8Fは背面図である。
【0055】
絶縁ハウジング4は、図7に示すように、内部に複数本のコンタクト3の各コンタクト固定部が取付けられると共に外壁面にシールドケース1が嵌装されるハウジング本体部5と、このハウジング本体部から前方へ所定長さ突出してコンタクトの接点部が配設される接点支持部6とを有している。ハウジング本体部5は、図7、図8に示すように、上下壁5a、5b、前後壁5c、5d及び左右側壁5e、5fで囲まれて内部が充実した略扁平直方体形状のブロックからなり、電気絶縁性の合成樹脂成型体で形成されている。上下壁5a、5b及び前後壁5c、5dは、対向する一対の長辺及び短辺を有する略矩形状の略平坦面で形成されている。左右の側壁5e、5fは、外方へ若干膨らんだ湾曲面で形成されている。このハウジング本体部5は、上下壁5a、5b及び左右側壁5e、5fの外周壁面にリング状のパッキン7が嵌入される凹み溝5が形成されている。この凹み溝5は、前壁5c側に設けられている。このパッキン7は、ゴムなどの弾性部材からなり、上記(b)の絶縁ハウジング4とシールドケース1間の隅間から水などが浸入するのを阻止する防水手段となっている。
【0056】
ハウジング本体部5の前壁5cは、図7に示すように、対向する一対の長辺及び短辺を有する略矩形状の略平坦面からなり、この平坦面から接点支持部6が外方へ所定長さ延設されている。すなわち、この接点支持部6は、平坦面の一部から略水平方向へ突設された所定の長さ及び幅長を有し比較的肉薄の板状片となっている。この板状片の裏面側には、コンタクトの接点部3a(図14参照)が配設される複数本の逆凹み溝6が形成されている。
【0057】
この絶縁ハウジング4には、複数本(5本)のコンタクト3が装着される。各コンタクト3は、同じ構成となっており、図14に示すように、相手方コネクタのコンタクトに接触接続される接点部3aと、この接点部から延設されて絶縁ハウジング4内に固定される固定部3bと、この固定部から更に延設されて回路配線基板表面の電極などに半田接続される接続部3cとを有し、電気良導電性の材料で形成されている。このコンタクト3は、任意の形状のも、例えば所定長さ及び太さの棒状体を所定の長さに切断して折曲加工したもの、或は、板状体を所定の大きさに切断して折曲加工したものを使用する。
【0058】
これらのコンタクト3は、絶縁ハウジング4にコンタクトの接点部3aが逆凹み溝6内に収容されて、コンタクトの固定部3bに防水手段が施されて装着される。防水手段は、任意の手段でよいが、絶縁ハウジング4を成型する際にコンタクトを成型樹脂内に埋設して一体成型する、いわゆるモールド成型によるのが好ましい。また、このモールド成型時には、コンタクトの固定部3bの表面を粗面、例えば凹凸面或は細溝などを付けて、成型樹脂材との接触面積を増大させることによって、いわゆる沿面距離を増大させてモールド成型すると水などの浸入を効果的に阻止できる。細溝などは、レーザー加工などにより形成する。防水手段は、モールド成型に限定されるものでなく、他の手段、例えば、絶縁ハウジングを弾性部材で作成して、その弾性部材にコンタクトを強制的に嵌入するようにしてもよい。このようにコンタクトを絶縁ハウジングにモールド成型すると、上記(a)のコンタクト3と絶縁ハウジング4間に防水手段を講じたものとなり、この間を通って水などが浸入することがない。特にコンタクトをモールド成型すると、毛細管現現象により水が侵入することもない。
【0059】
補強部材8は、図5に示すように、シールドケース1の上板部1aに当接する平坦部8aと、この平坦部の両端から下方へ所定長さ垂下して、シールドケースの左右板部1c、1dに当接する対向する垂下部8bと有し、各垂下部8bの端部に。回路配線基板などに固定する脚部8cが設けられている。この補強部材8は、所定の肉厚及び長さを有する金属製の帯状片を折曲加工により形成されている。
【0060】
コネクタ2は、複数本(5本)のコンタクト3が装着された絶縁ハウジング4の外周壁にリング状パッキン7を装着した後に、シールドケース1を嵌装して組立てる。この組立てたコネクタ2は、図示を省略した回路配線基板などに実装する。この実装を堅固にするために、補強部材8で固定するのが好ましい。また、シールドケース1の端子は、回路配線基板などの接地電極に半田接続する。このコネクタ2は、(a)コンタクト3と絶縁ハウジング4との間、(b)絶縁ハウジング4とシールドケース1との間、及び(c)シールドケース1の板材接合部がそれぞれの防水手段によりシールされるので、コネクタ2を通して内部へ浸水などするのを防止できる。特に、シールドケースの接合部は、所定のレーザー制御によりレーザー溶接されているので、この部分から毛細管現現象により浸水するのを阻止できる。従来技術で必要としていたコネクタの差込口を密閉防水する防水カバーなどが不要になる。
【0061】
図9〜図14を参照して、本発明の他の実施形態に係る電気コネクタを説明する。なお、図9は本発明の他の実施形態に係る電気コネクタの外観を示し、図9Aは前方斜視図、図9Bは後方斜視図、図10は図9の電気コネクタの詳細図で、図10Aは正面図、図10Bは上面図、図10Cは底面図、図10Dは一方の側面図、図10Eは他方の側面図、図10Fは背面図、図11は図9の電気コネクタを機器筐体に取付けた状態の外観を示し、図11Aは前方斜視図、図11Bは後方斜視図、図12は図11の電気コネクタの詳細図で、図12Aは正面図、図12Bは上面図、図12Cは底面図、図12Dは一側面図、図12Eは背面図、図13は図12AのXIII―XIII線の断面図、図14は図12AのXIV―XIV線の断面図である。
【0062】
本発明の他の実施形態に係るコネクタ2Aは、上記コネクタ2に電子機器筐体との間を防水する防水部材9を装着したものである。すなわち、このコネクタ2Aは、防水部材9を装着した以外はコネクタ2と同じであるので、共通する構成には同じ符号を付して重複説明を省略し、異なる構成について詳述する。
【0063】
コネクタ2Aは、コネクタ2のシールドケース1に電子機器筐体10A、10Bとの間を防水する防水部材9が設けた構成となっている。この防水部材9は、一端に外方へ膨出した環状鍔部9aと、この環状鍔部9aから後方へ延出したカバー部9bと有し、中心にシールドケース1が嵌入される貫通孔9を有する筒状体からなり、弾性部材、例えばゴム部材で形成されている。環状鍔部9aは、貫通孔9から外方へ所定長さ延設され所定の肉厚を有し、一対の機器筐体10A、10Bの間で形成される装着孔10a、10bに嵌入される大きさの環状体で形成されている。この環状鍔部9aは、シールドケース1の前方開口1側の外壁、すなわちシールドケース1の上下及び左右の板部1a〜1dに密着装着される。この密着をより良好にするために、貫通孔の内壁に複数本のリング状突起を設けるのが好ましい。このリング状突起により、沿面距離が増大し、浸水がし難くなる。このリング状突起を環状部の外周に設けると、機器筐体との密着が良好になり同様の効果が得られる。カバー部9bは、シールドケース1の前方開口1側外壁の残りの部分、すなわちシールドケース1の上下及び左右の板部1a〜1dに密着された環状部から後方部分を覆う。これにより、後方部分の防水ができる。
【0064】
このコネクタ2Aは、配線基板Pに実装した後に、一対の機器筐体10A、10Bの間に防水部材9が挟持されるようにして機器筐体に固定する。このコネクタ2Aによれば、図14に示すように、(a)コンタクト3と絶縁ハウジング4との間、(b)絶縁ハウジング4とシールドケース1との間(W)、(c)シールドケースの板材接合部、及びシールドケース1と筐体10A、10Bとの間(W)がそれぞれの防水手段によりシールされるので、コネクタを通して内部へ水などの浸入を阻止できる。その結果、従来技術で必要としていたコネクタの差込口を密閉防水する防水カバーなどが不要になる。
【符号の説明】
【0065】
1 コネクタ用シールドケース
1b 下板部
1b' 接合部
1b 仮止め手段
2、2A 電気コネクタ
3 コンタクト
3a 接点部
3b 固定部
4 絶縁ハウジング(コネクタハウジング)
5 ハウジング本体部
6 接点支部部
7 パッキン(弾性部材)
8 補強部材
9 防水部材
10A、10B 電気機器筐体
P 回路配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタのコンタクトが装着された電気絶縁性のコネクタハウジングの外周壁に嵌装して電磁遮蔽するコネクタ用シールドケースであって、
前記コネクタ用シールドケースは、所定大きさ及び肉厚の金属板材を内部に前記コネクタハウジングが嵌装される大きさの中空孔が形成されるように管状に湾曲して金属板材の両端縁を突き合わせて、前記突き合わせた接合部をレーザー溶接されて少なくとも一方の端部が開口された管状体状に構成されていることを特徴とするコネクタ用シールドケース。
【請求項2】
前記接合部は、前記突き合わせ部分を仮止め手段で仮止めして前記レーザー溶接がされていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ用シールドケース。
【請求項3】
前記仮止め手段は、前記両板材端縁の一方の端縁に該端縁から突出した係止突起と、他方の端縁に前記係止突起が嵌め込まれる係止溝とで構成されていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ用シールドケース。
【請求項4】
前記管状体は、前記開口と対向する他端に開口が設けられて、前記開口が接地端子を設けた奥蓋で閉鎖されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ用シールドケース。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかのコネクタ用シールドケースがコンタクトを装着した電気絶縁性のコネクタハウジングの外周壁に嵌装されていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項6】
前記コネクタハウジングと前記コネクタ用シールドケース間に外部から内部への水の侵入を阻止するハウジング防水手段、前記コネクタハウジングと前記コンタクト間に同様の侵入を阻止するコンタクト防水手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記コンタクト防水手段は、前記コンタクトを前記コネクタハウジングにインサート成型による防水手段であり、前記ハウジング防水手段は前記コネクタハウジングと前記シールドケース間に介在させた弾性部材であることを特徴とする請求項7に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記コネクタ用シールドケースの外壁に、コネクタを実装する機器筐体の取付け穴との間の隙間に筐体防水手段が設けられていることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記筐体防水手段は、弾性部材で構成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−9358(P2012−9358A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145662(P2010−145662)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】