説明

コネクタ装置

【課題】ヘッドとソケットとが結合された状態で高い接続信頼性を実現できるコネクタ装置を提供する。
【解決手段】ヘッダ20に設けられているポストには、ソケット10とヘッダ20とを電気的に接続する接続用ポスト221と、ソケット10に対してヘッダ20を位置決めする位置決め用ポスト222との2種類がある。接続用ポスト221は、接続用貫通孔131に挿入される。位置決め用ポスト222は、位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15を弾性変形させながら、基端側の嵌合部225が嵌る位置まで位置決め用貫通孔132に挿入される。舌片15は、位置決め用貫通孔132の周縁の四方から位置決め用貫通孔132内に張り出しており、位置決め用貫通孔132は、嵌合部225の外径に合わせて内径が設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに機械的に結合され且つ電気的に接続されるソケットとヘッダとからなるコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタ装置は、たとえば一対の回路基板同士を、機械的に結合し且つ電気的に接続するために用いられている。すなわち、ソケットが接続された第1の回路基板と、ヘッダが接続された第2の回路基板とは、ヘッダがソケットに結合された状態で互いに電気的に接続される。
【0003】
携帯電話機等の電子機器では、より一層の小型化、軽量化が求められており、これに伴い、電子機器内での回路基板接続用に一層の薄型化を図ったコネクタ装置が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1記載のコネクタ装置(基板接続用コネクタ組立体)では、ヘッダ(雄コネクタ)は、ヘッダ基板(雄側基体)と、ヘッダ基板の表面に複数配列されたヘッダ端子(雄側端子)としてのポスト(バンプ)とを有している。ポストは、ヘッダ基板の表面から突出する断面円形状の首部と、この首部の先端に連続する頭部とを有し、所謂マッシュルーム形状に形成されている。ソケット(雌コネクタ)は、各ポストに対応する位置にそれぞれ貫通孔(切欠)が形成されたソケット基板(雌側基体)と、貫通孔の周縁部に形成されたパッド部(雌側端子)とを有している。
【0005】
このコネクタ装置においては、貫通孔に挿通されたポストがソケットにおける貫通孔の周縁に引っ掛かることによりソケットとヘッダとを結合し、この状態でヘッダ端子とパッド部とが電気的に接続される。これにより、ポストの高さを低くしてもソケットとヘッダとを結合することができ、よって、コネクタ装置を薄型化できる。
【0006】
ここで、特許文献1には、ヘッダ基板の長手方向の両端部に、円柱状の位置決め用のボスが形成され、ソケット基板の長手方向の両端部に、位置決め用のボスが嵌合されるガイド孔が形成されることが記載されている。ガイド孔は、ソケット基板の短手方向へのボスの移動をガイドするように長孔状に形成されている。この構成では、ヘッダとソケットとを結合する際に、位置決め用のボスはガイド孔に挿通され、ヘッダとソケットとの相互の位置決めに使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−134169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記構成のコネクタ装置は、ソケット基板の短手方向においてガイド孔が位置決め用のボスの外径よりも大きく形成されているので、ボスがガイド孔の中でがたつくこととなる。すなわち、位置決めのボスは、少なくともソケット基板の短手方向においてはヘッダの移動を防止する機能はなく、コネクタ装置は、ヘッダとソケットとの間に相対的な位置ずれが生じることによって、ヘッダとソケットとの間の接続信頼性が低くなる可能性がある。
【0009】
本発明は上記事由に鑑みて為されており、ヘッドとソケットとが結合された状態で高い接続信頼性を実現できるコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコネクタ装置は、互いに機械的に結合され且つ電気的に接続されるソケットとヘッダとを備え、前記ソケットは、厚み方向に貫通する貫通孔が複数形成されたソケット基板と、導電性材料からなるパッド部とを有し、前記ヘッダは、ヘッダ基板と、導電性材料からなり前記ヘッダ基板の厚み方向の一面である第1の面上における前記貫通孔に対応する各位置に設けられた柱状のポストとを有し、前記ソケット基板は、前記パッド部が形成され前記貫通孔の周縁から前記貫通孔内に張り出した弾性を有する舌片を具備し、複数の前記ポストは、前記ソケットと前記ヘッダとを電気的に接続する接続用ポストと、前記ソケットと前記ヘッダとが結合される際に前記ソケットに対して前記ヘッダを位置決めする位置決め用ポストとを含んでおり、複数の前記貫通孔は、前記接続用ポストに対応する位置に形成された接続用貫通孔と、前記位置決め用ポストに対応する位置に形成された位置決め用貫通孔とを含んでおり、前記接続用ポストは、前記ソケットと前記ヘッダとが結合される際には、前記舌片を弾性変形させながら前記接続用貫通孔に挿入され、前記パッド部と電気的に接続され、前記位置決め用ポストは、前記第1の面から突出する嵌合部を有し、前記ソケットと前記ヘッダとが結合される際には、前記嵌合部が前記位置決め用貫通孔に嵌る位置まで、前記舌片を弾性変形させながら前記位置決め用貫通孔に挿入され、前記舌片は、前記位置決め用貫通孔の周縁の少なくとも三方から前記位置決め用貫通孔内に張り出しており、前記位置決め用貫通孔は、前記嵌合部の外径に合わせて内径が設定されていることを特徴とする。
【0011】
このコネクタ装置において、前記位置決め用ポストは、前記嵌合部の先端に連続し前記嵌合部よりも細い導入部を有していることが望ましい。
【0012】
このコネクタ装置において、前記位置決め用ポストは、先端面が中心側ほど前記第1の面から離れるように湾曲していることがより望ましい。
【0013】
このコネクタ装置において、前記接続用ポストは、前記第1の面から突出する首部と当該首部の先端に連続し前記首部よりも太い頭部とを有しており、前記ソケットと前記ヘッダとが結合される際には、少なくとも前記頭部が前記舌片を通過する位置まで前記接続用貫通孔に挿入されることがより望ましい。
【0014】
このコネクタ装置において、前記ソケット基板は、剛性を有し前記位置決め用貫通孔に対応する位置に前記位置決め用貫通孔と連通する逃し孔が形成された剛性基板を有しており、前記舌片は、前記剛性基板の一表面において前記逃し孔内に張り出しており、前記位置決め用ポストは、前記ソケットと前記ヘッダとが結合される際には、前記嵌合部が前記逃し孔に嵌る位置まで、前記一表面側から前記舌片を弾性変形させながら前記位置決め用貫通孔に挿入され、前記逃し孔は、前記嵌合部が嵌った状態で内周面と前記嵌合部との間に前記舌片を挟み込むように、前記嵌合部の外径に合わせて内径が設定されていることがより望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、ヘッドとソケットとが結合された状態で高い接続信頼性を実現できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係るコネクタ装置の構成を示し、(a)はソケットとヘッダとが分離した状態の斜視図、(b)はソケットとヘッダとが結合した状態の斜視図である。
【図2】実施形態に係るコネクタ装置の構成を示す正面図である。
【図3】実施形態に係るヘッダの構成を示す平面図である。
【図4】実施形態に係るソケットの構成を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図5】実施形態に係るコネクタ装置の結合動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態のコネクタ装置1は、図1および図2に示すように互いに機械的に結合され且つ電気的に接続されるソケット10とヘッダ20とを備えている。
【0018】
ソケット10は、一方向に長い短冊状のソケット基板11と、導電性材料からなるパッド部12(図4参照)とを有している。ヘッダ20は、一方向に長い短冊状のヘッダ基板21と、導電性材料からなりヘッダ基板21の厚み方向の一面である第1の面210上に設けられた複数のポストとを有している。ポストには、ソケット10−ヘッダ20間を電気的に接続する接続用ポスト221と、ソケット10−ヘッダ20間の位置決めを行う位置決め用ポスト222との2種類(以下、各々を特に区別しないときには単に「ポスト22」という)がある。
【0019】
以下では、ソケット基板11およびヘッダ基板21の厚み方向を上下方向、長手方向を左右方向、短手方向を前後方向として、つまり図2の上下左右を上下左右とし、紙面に直交する方向を前後方向として説明する。ただし、これらの方向はコネクタ装置1の使用時の向きを限定する趣旨ではない。
【0020】
ヘッダ基板21は、たとえばガラスエポキシ基板(FR4)などの絶縁材料からなるリジッド基板により形成されている。このヘッダ基板21において、図2に示すようにソケット基板11と対向する面(上面)が第1の面210を構成する。ポスト22は、ヘッダ基板21の第1の面210から突出する柱状に形成されている。
【0021】
接続用ポスト221は、第1の面210において左右方向に所定の間隔を空けて並ぶ複数個を1組として、前後方向に所定の間隔を空けて複数組設けられている。本実施形態のヘッダ20においては、5個を1組として2組(計10個)の接続用ポスト221が設けられている。ここで、前後方向に隣接する各組の接続用ポスト221同士は、互いに左右方向の位置がずれるように配置されている。この配置により、接続用ポスト221が配置される領域の面積を小さく抑えながらも、隣接する接続用ポスト221間の距離を比較的大きく確保することができる。
【0022】
接続用ポスト221は、第1の面210から突出する首部223と、首部223の先端に連続する首部223よりも太い頭部224とを有している。ここでは、接続用ポスト221は、首部223と頭部224との各々の第1の面210に沿う断面が円形状に形成されており、その外径が首部223よりも頭部224で大きく設定されている。すなわち、接続用ポスト221は、基端側の首部223よりも先端側の頭部224の方が太く形成されることにより、所謂マッシュルーム形状に形成されている。なお、頭部224の先端面は、中心側ほど第1の面210から離れるように湾曲したドーム型に形成されている。
【0023】
一方、位置決め用ポスト222は、第1の面210において接続用ポスト221が配置された領域の左右両側方にそれぞれ1個ずつ設けられている。つまり、接続用ポスト221は、第1の面210の長手方向において一対の位置決め用ポスト222に挟まれた領域内に、配置されている。ここで、各位置決め用ポスト222は、それぞれ第1の面210の前後方向(短手方向)の中心に配置されている。
【0024】
位置決め用ポスト222は、第1の面210から突出する嵌合部225と、嵌合部225の先端に連続する嵌合部225よりも細い導入部226とを有している。ここでは、位置決め用ポスト222は、嵌合部225と導入部226との各々の第1の面210に沿う断面が円形状に形成されており、その外径が嵌合部225よりも導入部226で小さく設定されている。すなわち、位置決め用ポスト222は、基端側の嵌合部225よりも先端側の導入部226の方が細くなる先細り形状に形成されている。
【0025】
さらに、本実施形態では、導入部226は、上述した接続用ポスト221と同様に、首部227および頭部228からなる所謂マッシュルーム形状に形成されている。頭部228の外径は嵌合部225よりも小さく、首部227よりも大きく設定されている。また、位置決め用ポスト222の先端面となる頭部228の先端面は、中心側ほど第1の面210から離れるように湾曲したドーム型に形成されている。
【0026】
また、図3に示すように、ヘッダ基板21における第1の面210上には導体パターン23が形成されており、各ポスト22はそれぞれ導体パターン23上に形成されている。導体パターン23は、ポスト22に対応する各位置に形成されたランド部231,234と、ランド部231,234から引き出された引出部232,235と、ヘッダ基板21の表裏面を貫通するスルーホール部233,236とからなる。
【0027】
接続用ポスト221が形成されるランド部231に連続する引出部232は、それぞれヘッダ基板21の前端部あるいは後端部のうちランド部231から近い方の端部まで前後方向に沿って延長されており、その先端がスルーホール部233に連続している。一方、位置決め用ポスト222が形成されるランド部234に連続する引出部235は、ヘッダ基板21の四隅のうちランド部234から近い2つの角部に向けて延長され、その先端がスルーホール部236に連続している。
【0028】
スルーホール部233,236は、ヘッダ基板21の外周端面に導電性のめっきが施されることにより、ヘッダ基板21の表裏面の導体パターン23を電気的に接続する端面スルーホール構造であって、回路基板等へのヘッダ20の実装時に用いられる。
【0029】
ソケット基板11は、図4に示すように厚み方向に貫通する貫通孔が複数形成されている。この貫通孔は、ソケット10とヘッダ20との結合時にヘッダ20のポスト22が挿通される孔であって、複数のポスト22と対応する各位置にそれぞれ形成されている。貫通孔には、接続用ポスト221に対応する位置に形成された接続用貫通孔131と、位置決め用ポスト222に対応する位置に形成された位置決め用貫通孔132との2種類(以下、各々を特に区別しないときには単に「貫通孔13」という)がある。
【0030】
つまり、ソケット基板11の厚み方向の一面において、接続用貫通孔131は接続用ポスト221と同様に2列配置され、位置決め用貫通孔132は接続用貫通孔131が形成された領域の左右両側方にそれぞれ1個ずつ形成されている。
【0031】
また、ソケット基板11は、図4に示すように剛性基板111と可撓性基板112とから構成されている。剛性基板111はたとえばステンレス鋼(SUS材)製のリジッド基板からなり、この剛性基板111のうちヘッダ基板21側になる面(図2の下面)に対して、シート状の可撓性基板112が貼り付けられることによりソケット基板11が構成される。可撓性基板112は、可撓性を有するたとえばポリイミド樹脂製の絶縁フィルムの一面に、パッド部12を含む導体パターン120が形成されたフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printedcircuits)からなる。
【0032】
なお、ここでは可撓性基板112は、剛性基板111と長手方向(左右方向)の寸法は同一であるが、剛性基板111に比べて短手方向の寸法が大きく形成されている。そのため、可撓性基板112は、剛性基板111の一表面(ヘッダ基板21側の面)に貼り付けられた状態で、余った短手方向の両端部分が剛性基板111の裏面に回り込むように、剛性基板111に対して巻き付けられている。剛性基板111は、洋白(洋銀)製であってもよい。
【0033】
貫通孔13は、可撓性基板112に形成されている。本実施形態では、可撓性基板112のうち各貫通孔13に対応する部位には、左右方向に延びるスリットと、前後方向に延びるスリットとが互いの中心で交差した十字形状のスリットが形成されている。言い換えれば、十字形状のスリットの4つの端部を通る円(スリットの外接円)の内側が貫通孔13となり、貫通孔13の周縁からは後述の舌片15が貫通孔13内に張り出すように設けられており、貫通孔13内で舌片15がスリットにて分離されている。さらに、貫通孔13のうち位置決め用貫通孔132に関しては、左右方向のスリットと前後方向のスリットとの交点部分(位置決め用貫通孔132の中心部分)に、円形状の小孔がスリットと連続するように形成されている。
【0034】
接続用貫通孔131においては、内径(つまり十字形状のスリットの一辺の長さ)は接続用ポスト221の外径(頭部224の外径)よりも大きく設定されている。一方、位置決め用貫通孔132は、位置決め用ポスト222の外径(嵌合部225の外径)に合わせて内径(つまり十字形状のスリットの一辺の長さ)が設定されている。具体的には、位置決め用貫通孔132の内径は、位置決め用ポスト222の外径(嵌合部225の外径)と略一致するように設定されている。ただし、位置決め用ポスト222は、位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15を弾性変形させながら位置決め用貫通孔132に挿入されるので、実際には、位置決め用貫通孔132の内径は、位置決め用ポスト222の外径よりも若干大きく設定される。
【0035】
剛性基板111には、それぞれ円形状に開口し、剛性基板111を厚み方向に貫通する逃し孔14が複数形成されている。各逃し孔14は、貫通孔13に対応する各位置に各貫通孔13と中心を一致させるように形成されており、各貫通孔13と連通している。ここで、各貫通孔13は各々に連通する逃し孔14と内径が略一致する。そのため、剛性基板111における各逃し孔14の周縁からは舌片15が逃し孔14内に張り出している。したがって、貫通孔13にヘッダ20のポスト22が挿通された状態では、ポスト22は貫通孔13を通して逃し孔14に挿入されることになり、逃し孔14は、ポスト22によって押し退けられた舌片15を逃す。
【0036】
導体パターン120は、可撓性基板112の厚み方向における剛性基板111とは反対側の面上に形成されている。導体パターン120は、各貫通孔13に対応する位置にそれぞれパッド部12を有し、さらに接続用貫通孔131に対応する位置に形成された各パッド部12にそれぞれ接続されたリード部121を有している。各パッド部12には、貫通孔13の周縁から貫通孔13内に張り出すように設けられた舌片15が形成されている。リード部121は、それぞれ可撓性基板112の前端縁あるいは後端縁のうちパッド部12から近い方の端縁まで前後方向に沿って延長され、可撓性基板112と共に剛性基板111の裏面側(上面側)に回り込んでいる。
【0037】
なお、位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15に形成されたパッド部12は外周形状が円弧状であるのに対し、接続用貫通孔131内に張り出した舌片15に形成されたパッド部12は外周形状が十字形状のスリットに沿った形である。
【0038】
ここにおいて、パッド部12は、導電性だけでなく弾性(形状復元性)をも有するように、材料および厚み寸法が決められている。これにより、可撓性基板112のうち少なくともパッド部12に形成された舌片15には、弾性が付与されることになる。なお、舌片15は、パッド部12によらずに可撓性基板112自体の弾性によって弾性が付与されていてもよい。
【0039】
導電性および弾性を有する材料としては、たとえば銅(Cu)、ニッケル(Ni)などがある。本実施形態では、絶縁フィルムの一面上に形成された銅パターンにニッケルあるいはニッケル系合金のめっきが施されることにより、導電性および弾性を有するパッド部12が形成されている。厚み寸法は、一例として絶縁フィルムが25μm、銅パターンが8μm、ニッケルめっきが2μmであるとするが、これらの値に限定されない。
【0040】
舌片15は、位置決め用貫通孔132については、貫通孔13の周縁の少なくとも三方から貫通孔13の中心に向けて張り出している。本実施形態では、位置決め用貫通孔132と接続用貫通孔131とのいずれについても、舌片15は十字形状のスリットにて4分割されており、貫通孔13の四方から貫通孔13の中心に向けて張り出している。
【0041】
次に、本実施形態のコネクタ装置1におけるソケット10とヘッダ20との結合方法について、図5を参照して説明する。
【0042】
ソケット10とヘッダ20とを結合する際には、ユーザは、図5(a)のように互いに分離したソケット10とヘッダ20との位置を合わせ、ヘッダ20とソケット10とに互いに近づく向きの力を加える。
【0043】
このとき、位置決め用ポスト222は、まず、図5(b)に示すように導入部226が舌片15を弾性変形させながら位置決め用貫通孔132に挿入される。ここで、位置決め用ポスト222は、上述したように基端側の嵌合部225よりも先端側の導入部226の方が細く形成されているため、位置決め用貫通孔132の中心から少しずれていても、導入部226を位置決め用貫通孔132に挿入することができる。
【0044】
しかも、導入部226の先端面(頭部228の先端面)は、中心側ほど第1の面210から離れるように湾曲したドーム型であるから、位置決め用ポスト222は、位置決め用貫通孔132から多少外れていても位置決め用貫通孔132に誘導される。つまり、導入部226は、第1の面210に沿う面内において位置決め用貫通孔132から食み出していても、ソケット10側に押し付けられれば、位置決め用貫通孔132の周縁に引っ掛かることなく位置決め用貫通孔132に導入されることになる。
【0045】
導入部226は、位置決め用貫通孔132に挿入された状態では、位置決め用貫通孔132内に四方から張り出した舌片15によって位置決め用貫通孔132の中心に付勢されるため、位置決め用ポスト222と位置決め用貫通孔132とは中心位置が合わせられる。このように、位置決め用貫通孔132に導入部226が挿入された図5(b)の状態で、ヘッダ20とソケット10とは大雑把に位置決めが為される。
【0046】
さらに、位置決め用ポスト222は、図5(c)に示すように嵌合部225が位置決め用貫通孔132に嵌る位置まで、舌片15を弾性変形させながら位置決め用貫通孔132に挿入される。ここで、位置決め用貫通孔132は、嵌合部225の外径に合わせて内径が設定されているので、図5(c)の状態では、位置決め用ポスト222は、第1の面210に沿う平面内での移動が防止されることになる。つまり、位置決め用ポスト222は、嵌合部225が位置決め用貫通孔132に挿入された状態では、前後左右へのがたつきが生じることなく、第1の面210に沿う平面内で確実に位置決めされることになる。
【0047】
図5(c)の状態において、位置決め用ポスト222は、位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15を、第1の面210に対して略垂直に跳ね上げる位置まで押し上げる。これにより、位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15は、位置決め用貫通孔132の周縁から略垂直に折り曲げられた形に塑性変形し、位置決め用貫通孔132の周縁に連続する壁を形成するので、位置決め用ポスト222の傾きを防止するガイドとなる。したがって、位置決め用ポスト222は、位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15によって、前後左右へのがたつきだけでなく、ヘッダ20がソケット10に対して傾く方向へのがたつきも防止され、より確実に位置決めされる。
【0048】
しかも、本実施形態においては、貫通孔13に連通する逃し孔14が剛性基板111に形成されており、位置決め用貫通孔132に連通する逃し孔14は位置決め用貫通孔132と内径が略一致している。つまり、位置決め用貫通孔132に連通する逃し孔14は、位置決め用ポスト222の嵌合部225の外径に合わせて内径が設定されている。厳密には、位置決め用貫通孔132に連通する逃し孔14の内径は、嵌合部225の外径に舌片15の厚みの2倍を加えた寸法に設定されている。そのため、図5(c)のように逃し孔14に嵌合部225が嵌る位置まで位置決め用ポスト222が挿入されることにより、逃し孔14は、内周面と嵌合部225の外周面との間に舌片15を挟み込むことになる。
【0049】
この状態において、位置決め用ポスト222は、位置決め用貫通孔132に挿通された状態で舌片15に対して引っ掛かる部分がなく、舌片15との間に生じる摩擦力のみで位置決め用貫通孔132から抜け止めされる。
【0050】
さらに、位置決め用貫通孔132に位置決め用ポスト222が挿通されると、位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15がパッド部12を嵌合部225の外周面に押し付けるので、位置決め用ポスト222はパッド部12と電気的に接続される。ただし、本実施形態では位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15のパッド部12には、リード部121が接続されていないため、位置決め用ポスト222はソケット10−ヘッダ20間の電気的接続には寄与しない。
【0051】
一方、接続用ポスト221は、位置決め用貫通孔132に導入部226が挿入された図5(b)の状態から、位置決め用貫通孔132に嵌合部225が嵌った図5(c)の状態にかけて、舌片15を弾性変形させながら接続用貫通孔131に挿入される。このとき、接続用ポスト221は、先端側の頭部224が舌片15を通過する(乗り越える)位置まで接続用貫通孔131に挿入される。頭部224が舌片15を通過した図5(c)の状態では、接続用貫通孔131内に張り出した舌片15がパッド部12を首部223の外周面に押し付けるので、接続用ポスト221はパッド部12と電気的に接続される。これにより、ソケット10とヘッダ20とは電気的に接続される。
【0052】
しかも、接続用ポスト221は、上述したように基端側の首部223より先端側の頭部224の方が太くなるマッシュルーム形状に形成されている。そのため、接続用ポスト221の接続用貫通孔131への挿入時に、接続用貫通孔131内に張り出した舌片15を頭部224が通過すると、舌片15がその弾性によって開口を狭めるように変形する。したがって、接続用ポスト221は、頭部224が舌片15に引っ掛かり、接続用貫通孔131から抜け止めされ、ソケット10とヘッダ20とが機械的に結合される。
【0053】
また、ソケット10とヘッダ20との結合を解除する際には、ユーザは、ヘッダ20とソケット10とに互いに離れる向きの力を加える。これにより、各ポスト22は貫通孔13から引き抜かれる。このとき、接続用ポスト221は、接続用貫通孔131内に張り出した舌片15に頭部224が引っ掛かるものの、ある程度大きな力で引き抜かれれば、舌片15が弾性変形することにより頭部224が接続用貫通孔131を通過する。位置決め用ポスト222は、上述のように舌片に対して引っ掛かる部分がなく、摩擦力のみで位置決め用貫通孔132から抜け止めされるので、摩擦力よりも大きな力で引き抜かれれば、位置決め用貫通孔132から抜ける。最終的には、図5(a)のようにソケット10とヘッダ20とは分離した状態となり、ソケット10とヘッダ20との機械的結合並びに電気的接続が解除される。
【0054】
上述した構成のコネクタ装置1は、たとえばソケット10が第1の回路基板(図示せず)に接続され、ヘッダ20が第2の回路基板(図示せず)に接続されることにより、第1および第2の回路基板同士を機械的に結合し且つ電気的に接続するために用いられる。一例として第2の回路基板はコンピュータ(図示せず)のマザーボードであって、第1の回路基板はカメラ(図示せず)に接続されており、ソケット10とヘッダ20との結合時には、コンピュータとカメラとが接続される。
【0055】
第1の回路基板は、フレキシブルプリント基板からなり、その上面側に形成された回路パターンに、ソケット基板11の導体パターン120のリード部121が接続される。第2の回路基板は、リジッド基板からなり、その上面側に形成された回路パターンに、ヘッダ基板21のスルーホール部233,236が半田付けされることにより、ヘッダ20が表面実装される。これにより、第1の回路基板に対するヘッダ20の固定と、電気的な接続とが同時に為されることになる。
【0056】
以上説明した本実施形態のコネクタ装置1によれば、ソケット10とヘッダ20との結合時には、位置決め用ポスト222は、嵌合部225が嵌る位置まで位置決め用貫通孔132に挿入されることにより、第1の面210に沿う平面内で確実に位置決めされる。つまり、位置決め用貫通孔132は、嵌合部225の外径に合わせて内径が設定されているので、嵌合部225が位置決め用貫通孔132に嵌った状態では、ソケット10に対してヘッダ20が確実に位置決めされる。
【0057】
また、嵌合部225が位置決め用貫通孔132に嵌った状態では、位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15が押し上げられて位置決め用貫通孔132の周縁に連続する壁を形成するので、位置決め用ポスト222はより確実に位置決めされることになる。要するに、舌片15は、位置決め用ポスト222の傾きを防止するガイドになるので、ソケット10に対してヘッダ20がより確実に位置決めされる。
【0058】
さらに、本実施形態においては、位置決め用貫通孔132に連通する逃し孔14も嵌合部225の外径に合わせて内径が設定されているので、逃し孔14に嵌合部225が嵌った状態では、逃し孔14は内周面と嵌合部225の外周面との間に舌片15を挟み込む。したがって、舌片15は、嵌合部225から離れる向きに倒れることがないので、位置決め用ポスト222の傾きを確実に防止でき、ソケット10に対するヘッダ20の位置決めが一層確実になる。
【0059】
結果的に、本実施形態のコネクタ装置1は、ソケット10とヘッダ20との結合時に、相互の位置決めを確実に行うことができ、ヘッダ20とソケット10との間に相対的な位置ずれが生じることはない。そのため、本実施形態においては、ソケット10とヘッダ20とは、高い接続信頼性を実現できるという利点がある。
【0060】
また、このコネクタ装置1は、位置決め用ポスト222が、嵌合部225の先端側に嵌合部225よりも細い導入部226を有しているため、ヘッダ20とソケット10とを結合する際の位置合わせが容易である。つまり、導入部226の外径は位置決め用貫通孔132の内径よりも小さいので、位置決め用ポスト222は、位置決め用貫通孔132の中心から少しずれていても、導入部226を位置決め用貫通孔132に挿入することができる。したがって、ユーザは、ヘッダ20とソケット10とを結合する際に、位置決め用ポスト222と位置決め用貫通孔132との位置を正確に合わせる必要がなく、大雑把に位置を合わせるだけでよい。導入部226が位置決め用貫通孔132に挿入されれば、舌片15によって位置決め用ポスト222と位置決め用貫通孔132とは中心位置が合わせられる。
【0061】
しかも、導入部226の先端面(頭部228の先端面)はドーム型に湾曲しているので、位置決め用ポスト222は、位置決め用貫通孔132から多少外れていても、先端が位置決め用貫通孔132の周縁に引っ掛かることなく位置決め用貫通孔132に導入される。そのため、コネクタ装置1は、位置決め用ポスト222の嵌合部225が位置決め用貫通孔132に嵌った状態ではソケット10に対するヘッダ20の位置決めを確実に行いながらも、ヘッダ20とソケット10との位置合わせが容易であるという利点がある。
【0062】
さらにまた、本実施形態では、接続用ポスト221は、基端側の首部223より先端側の頭部224の方が太く形成されているので、頭部224が舌片15を通過する位置まで接続用貫通孔131に挿入されることにより、接続用貫通孔131から抜け止めされる。そのため、接続用ポスト221は接続用貫通孔131から容易に抜けることがなく、この点でも、ヘッダ10とソケット20との接続信頼性は高くなる。
【0063】
また、接続用ポスト221は第1の面210の長手方向に複数組並んで設けられており、位置決め用ポスト222は第1の面210の短手方向の中心に設けられているので、少ない個数の位置決め用ポスト222でソケット10−ヘッダ20間の位置決めが可能になる。つまり、位置決め用ポスト222は第1の面210の短手方向の中心に設けられているので、第1の面210の短手方向において1箇所でソケット10−ヘッダ20を位置決めすることができ、且つ安定した結合状態を実現することができる。
【0064】
なお、頭部224が舌片15に引っ掛かることにより、ヘッダ20とソケット10とが機械的に結合されるので、ソケット10−ヘッダ20間の結合強度は、舌片15の弾性等によって調節することができる。したがって、上記コネクタ装置1では、ソケット10やヘッダ20の高さ寸法によらず、所望の結合強度を確保することができるので、ソケット10やヘッダ20の低背化を図ることができる。また、ソケット10−ヘッダ20の着脱作業時に、第1の面210に沿う面内でソケット10とヘッダ20とが相対的に移動させられることはないので、第1の面210に沿う面内でのコネクタ装置1の小型化を図ることができる。
【0065】
ところで、本実施形態のコネクタ装置1においては、位置決め用ポスト222は、第1の面210からの突出量(高さ寸法)が接続用ポスト221に比べて大きく設定されている(図2参照)。さらに、本実施形態では、位置決め用ポスト222の嵌合部225のみに比べると、接続用ポスト221の方が大きくなるように両者の高さ寸法(第1の面210からの突出量)が設定されている。つまり、接続用ポスト221は、位置決め用ポスト222全体より低く嵌合部225よりは高く形成されている。
【0066】
また、本実施形態においては、接続用ポスト221の首部223と位置決め用ポスト222の嵌合部225とは、ランド部231,234表面からの突出量については同一であり、ランド部231,234の厚み寸法によって第1の面210からの突出量が異なっている。すなわち、接続用ポスト221が形成されたランド部231は、位置決め用ポスト222が形成されたランド部234に比べて薄い。ここでは一例として、首部223、嵌合部225のランド部231,234からの突出量はいずれも187μm、ランド部231の厚み寸法は10μm、ランド部234の厚み寸法は47μmに設定されているが、これらの数値は適宜変更可能である。なお、導入部226における首部227の高さ寸法は、たとえば75μmに設定される。
【0067】
このように、接続用ポスト221が位置決め用ポスト222全体より第1の面210からの突出量が小さいことによって、ソケット10とヘッダ20とを結合する際には、接続用ポスト221よりも先に位置決め用ポスト222が貫通孔13に挿入される。これにより、第1の面210に沿う面内でのソケット10とヘッダ20との相対的な位置がずれた状態で、接続用ポスト221がパッド部12に接続されることを回避できる。要するに、接続用ポスト221は位置決め用ポスト222より後で貫通孔13に挿入されるので、ソケット10とヘッダ20との相対的な位置が合ってから、ソケット10−ヘッダ20間が電気的に接続される。
【0068】
次に、上述した本実施形態のコネクタ装置1の製造方法について説明する。
【0069】
作業者は、まず、ヘッダ基板21のもとになるリジッド基板の一表面(第1の面210に相当)上に、導体パターン23を形成する(回路形成工程)。この回路形成工程において、作業者は、端面スルーホール構造のスルーホール部233,236を形成するために、リジッド基板のうちヘッダ基板21の外周縁となるカットライン上に、厚み方向に貫通するスルーホールを形成する。さらに、作業者はこのスルーホールに対してめっき(たとえば無電解銅めっき)を施すことにより、スルーホールの内周面にスルーホール部233,236となるスルーホールめっきを形成する。
【0070】
それから、作業者は、導体パターン23上にめっきによりポスト22を形成するために使用する第1のレジストを、リジッド基板の一表面上に形成する(第1のレジスト形成工程)。第1のレジスト形成工程では、作業者は、リジッド基板のうちポスト22を形成する側の表面に形成された第1のレジストに、フォトリソグラフィ技術を用いてランド部231,234の各中央部を露出させる円形状に開口した成型孔を形成する。具体的には、第1のレジストは、リジッド基板上に積層され、露光、現像により所望の形状にパターニングすることができるネガ型のドライフィルムから形成される。
【0071】
その後、作業者は、電気銅(Cu)めっきを施すことにより、ランド部231,234の表面に金属材料(ここでは銅)を析出させる(第1のめっき工程)。第1のめっき工程では、第1のレジストにおける成型孔に金属材料を充填することで接続用ポスト221の首部223と、位置決め用ポスト222の嵌合部225とを形成する。それから、作業者は、ポスト22が形成された成型孔の部分を覆うように、第1のレジスト上に第2のレジストを形成する(第2のレジスト形成工程)。第2のレジスト形成工程では、作業者は、第2のレジストに、フォトリソグラフィ技術を用いて嵌合部225の中央部を露出させる円形状に開口した成型孔を形成する。この状態で、作業者は、電気銅めっきを施すことにより、嵌合部225よりも細い導入部226の首部227を形成する。
【0072】
その後、作業者は、第2のレジストのうち接続用ポスト221を覆う部分を除去し、さらに電気銅めっきを施すことにより、成型孔の外側に接続用ポスト221の頭部224および位置決め用ポスト222の頭部228を形成する(第2のめっき工程)。つまり、レジストで覆われた部分を除き成型孔の開口面から金属材料が溢れるまで銅めっきが施されることにより、金属材料のうち成型孔から溢れた部分が頭部224,228となる。
【0073】
第2のめっき工程後、作業者は、第1のレジストおよび第2のレジストを剥離する(レジスト剥離工程)。その後、作業者は、リジッド基板上に形成されているポスト22に対してニッケルめっき、金(Au)めっきを施す。
【0074】
最後に、作業者はリジッド基板から各ヘッダ基板21をそれぞれ切り出す(ダイシング工程)。このダイシング工程において、ヘッダ基板21はリジッド基板のうちスルーホールを結ぶカットラインでカットされることにより、端面スルーホール構造のスルーホール部233,236が形成される。
【0075】
なお、第1および第2のめっき工程においては、電気銅めっきとして一般的に多く用いられている可溶性電極銅めっきではなく、不溶性電極銅めっきが用いられることが望ましい。つまり、可溶性の電極(銅極板)を使用する可溶性電極銅めっきでは、めっきと共に電極の形状が変化し、形成されるポスト22の高さにばらつきが生じる可能性がある。これに対し、不溶性電極銅めっきは、通常酸化イリジウム電極を使用し、薬液で銅イオンを補充しながらめっきを行うことにより、電極の形状が変化しないため、ポスト22の高さのばらつきを低減できる利点がある。
【0076】
次に、ソケット10の製造方法について説明する。
【0077】
作業者は、まず、可撓性基板112のもとになる絶縁フィルムに貫通孔13を形成する(貫通孔形成工程)。その後、作業者は、絶縁フィルムの一面上にめっきを施すことにより、パッド部12を含む導体パターン120を形成する(パッドめっき工程)。このパッドめっき工程によって、可撓性基板112における貫通孔13に対応する部分にパッド部12による弾性が付与された舌片15が形成される。
【0078】
それから、作業者は、逃し孔14が形成された剛性基板111に可撓性基板112を巻き付けて、接着剤により可撓性基板112を剛性基板111に貼り付けることによって、ソケット10を形成する。
【0079】
以上説明したコネクタ装置1の製造方法によれば、第1のめっき工程によって、接続用ポスト221の首部223と位置決め用ポスト222の嵌合部225とを同時に形成することができる。さらに、その後の第2のめっき工程によって、接続用ポスト221の頭部224と位置決め用ポスト222の頭部228とを同時に形成することができる。
【0080】
要するに、互いに形状が異なるポスト22が、一連の製造工程の中で、一部同時に形成される。したがって、互いに形状が異なるポスト22を有するコネクタ装置1であっても、これらのポスト22を全く別々に製造する場合に比べて、工数を減らすことができ、製造方法の簡略化を図ることができる。
【0081】
ところで、上記実施形態では、ソケット基板11は、剛性基板111と可撓性基板112との2層構造であるが、この例に限らず1層構造であってもよい。すなわち、ソケット基板11は単一の基板から構成され、貫通孔13の内側部分のみ薄肉に形成されることにより舌片15が形成されてもよい。この構成では、剛性基板111に可撓性基板112を貼り付ける工程が不要になり、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0082】
また、上記実施形態では、位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15のパッド部12は、ソケット10−ヘッダ20間の電気的接続には寄与していないが、この例に限定されない。つまり、位置決め用貫通孔132内に張り出した舌片15のパッド部12にリード部121が接続され、位置決め用ポスト222が位置決め用貫通孔132に挿通された状態でソケット10−ヘッダ20間の電気的接続に寄与する構成であってもよい。このように、位置決め用ポスト222が電気的な接続に用いられることにより、接続用ポスト221の個数を減らすことができ、コネクタ装置1の更なる小型化を図ることができる。
【0083】
さらにまた、ポスト22は、断面が円形となる円柱状に限らず、たとえば断面が多角形となる角柱状など、他の形状であってもよい。ここで、位置決め用ポスト222の導入部226は、上記実施形態のようなマッシュルーム形状に限らず、たとえば第1の面210に直交する方向において第1の面210から離れるほど細くなる先細り形状であってもよい。
【0084】
各貫通孔13に対応する部位に形成されるスリットの形状についても、十字形状に限らず、たとえば3本以上のスリットを互いの中心で交差させた形状や、星形状などでもあってもよい。このような形状のスリットであっても、貫通孔13内に張り出した舌片15は、貫通孔13の周縁の少なくとも三方から貫通孔13の中心に向けて張り出すことになる。
【0085】
なお、上記実施形態にて例示したコネクタ装置1の各部の材料や寸法は一例であって、必要な機能・性能に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 コネクタ装置
10 ソケット
11 ソケット基板
12 パッド部
14 逃し孔
15 舌片
20 ヘッダ
21 ヘッダ基板
111 剛性基板
131 接続用貫通孔
132 位置決め用貫通孔
210 第1の面
221 接続用ポスト
222 位置決め用ポスト
223 首部
224 頭部
225 嵌合部
226 導入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに機械的に結合され且つ電気的に接続されるソケットとヘッダとを備え、
前記ソケットは、厚み方向に貫通する貫通孔が複数形成されたソケット基板と、導電性材料からなるパッド部とを有し、
前記ヘッダは、ヘッダ基板と、導電性材料からなり前記ヘッダ基板の厚み方向の一面である第1の面上における前記貫通孔に対応する各位置に設けられた柱状のポストとを有し、
前記ソケット基板は、前記パッド部が形成され前記貫通孔の周縁から前記貫通孔内に張り出した弾性を有する舌片を具備し、
複数の前記ポストは、前記ソケットと前記ヘッダとを電気的に接続する接続用ポストと、前記ソケットと前記ヘッダとが結合される際に前記ソケットに対して前記ヘッダを位置決めする位置決め用ポストとを含んでおり、
複数の前記貫通孔は、前記接続用ポストに対応する位置に形成された接続用貫通孔と、前記位置決め用ポストに対応する位置に形成された位置決め用貫通孔とを含んでおり、
前記接続用ポストは、前記ソケットと前記ヘッダとが結合される際には、前記舌片を弾性変形させながら前記接続用貫通孔に挿入され、前記パッド部と電気的に接続され、
前記位置決め用ポストは、前記第1の面から突出する嵌合部を有し、前記ソケットと前記ヘッダとが結合される際には、前記嵌合部が前記位置決め用貫通孔に嵌る位置まで、前記舌片を弾性変形させながら前記位置決め用貫通孔に挿入され、
前記舌片は、前記位置決め用貫通孔の周縁の少なくとも三方から前記位置決め用貫通孔内に張り出しており、
前記位置決め用貫通孔は、前記嵌合部の外径に合わせて内径が設定されていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記位置決め用ポストは、前記嵌合部の先端に連続し前記嵌合部よりも細い導入部を有していることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記位置決め用ポストは、先端面が中心側ほど前記第1の面から離れるように湾曲していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記接続用ポストは、前記第1の面から突出する首部と当該首部の先端に連続し前記首部よりも太い頭部とを有しており、前記ソケットと前記ヘッダとが結合される際には、少なくとも前記頭部が前記舌片を通過する位置まで前記接続用貫通孔に挿入されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記ソケット基板は、剛性を有し前記位置決め用貫通孔に対応する位置に前記位置決め用貫通孔と連通する逃し孔が形成された剛性基板を有しており、
前記舌片は、前記剛性基板の一表面において前記逃し孔内に張り出しており、
前記位置決め用ポストは、前記ソケットと前記ヘッダとが結合される際には、前記嵌合部が前記逃し孔に嵌る位置まで、前記一表面側から前記舌片を弾性変形させながら前記位置決め用貫通孔に挿入され、
前記逃し孔は、前記嵌合部が嵌った状態で内周面と前記嵌合部との間に前記舌片を挟み込むように、前記嵌合部の外径に合わせて内径が設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−69462(P2013−69462A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205663(P2011−205663)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】