説明

コネクタ

【課題】 ハウジング内で端子金具ががたつくことのないコネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】 コネクタ1のハウジング2の端子収容孔21内には、端子金具3が収容されている。端子金具3の前方部には相手側端子62と嵌合する接続部31が形成され、その後方には電線4の芯線41にかしめられるワイヤーバレル32が設けられ、更にその後方には電線4の絶縁被覆42にかしめられるインシュレーションバレル33が設けられている。端子金具3のインシュレーションバレル33の後方には、一対の当接片34が形成され、当接片34は撓みながら端子収容孔21に収容され、端子金具3が端子収容孔21に収容された状態で、端子収容孔21の内壁を内方から押圧して、端子収容孔21内における端子金具3のがたつきを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に端子が収容されたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電線に接続された端子金具を、ハウジングの端子収容孔に後方から挿入したコネクタが広く知られている(例えば、特許文献1。)。これは、端子金具の前方において相手側端子と嵌合することにより、電線と相手側端子との間の電気的な接続を行っている。
この種のコネクタは、電線に端子金具の後方部をかしめて接続した後にハウジング内に挿入するため、通常、電線にかしめられた端子金具のバレルとハウジングの端子収容孔との間には隙間が形成される。従って、この隙間に起因して、例えばコネクタを車両等に搭載すると、車両の振動等によって端子金具の後方部が端子収容孔内においてがたつくため、前方にある相手側端子との接触部分も振動する。これによって、相手側端子との接触部分が相手側端子と擦れ合うことにより磨耗し、その電気抵抗が増大することがあった。
【特許文献1】 特開平9−153386号公報(第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ハウジング内で端子金具ががたつくことのないコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、ハウジング、および前記ハウジングの端子収容孔内に収容され、相手側端子と嵌合する接続部と、前記接続部の後方に形成され、電線の芯線にかしめられるワイヤーバレルと、前記ワイヤーバレルの更に後方に設けられ、電線の絶縁被覆にかしめられるインシュレーションバレルとを有する端子金具を備えたコネクタにおいて、前記端子金具は、前記接続部の後方において、撓みながら前記端子収容孔に収容され、前記端子収容孔の内壁に対して内方から押圧することにより、前記端子収容孔内におけるそのがたつきを防止する当接片を有することを特徴とするコネクタとした。
【0005】
請求項2の発明は、前記当接片は前記インシュレーションバレルよりも後方に形成されたことを特徴とする請求項1記載のコネクタとした。
【0006】
請求項3の発明は、前記当接片および前記端子収容孔の内壁のうちのいずれかには、突起が形成され、前記当接片は前記突起を介して前記端子収容孔を押圧することを特徴とする請求項1記載のコネクタとした。
【発明の効果】
【0007】
<請求項1の発明>
端子金具は、接続部の後方において、撓みながら端子収容孔に収容され、端子収容孔の内壁に対して内方から押圧することにより、端子収容孔内におけるそのがたつきを防止する当接片を有することにより、がたつきによるその接続部の磨耗を防ぐことができる。
【0008】
<請求項2の発明>
当接片がインシュレーションバレルよりも後方に形成されたことにより、端子金具をハウジングに後方から挿入する場合、当接片が端子収容孔を押圧した状態で端子金具を移動させる距離を短くできるため、端子金具をハウジング内に挿入する作業性を向上させることができる。
【0009】
<請求項3の発明>
当接片および端子収容孔の内壁のうちのいずれかには、突起が形成され、当接片が突起を介して端子収容孔を押圧することにより、当接片と端子収容孔との間の接触面積を減少させることができる。これにより、端子金具をハウジングに収容する時に発生する摺動抵抗を低減するために、接触部位の面性状を形成しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を図1乃至図3によって説明する。図1および図2においては、左方を前方とする。尚、図1および図2において、端子金具3の細部構成については、下方のもののみ符号を記載する。図1は本発明によるコネクタ1が、相手側コネクタ6と嵌合しているところを示している。コネクタ1は合成樹脂材料によって一体成形されたハウジング2を備えており、その内部には上下二段にそれぞれ複数の端子収容孔21が形成されている。各々の端子収容孔21の下面には、後述するように、挿入された端子金具3と係合してその抜け止めを行うため、上下方向に撓み可能なランス22が形成されている。また、端子収容孔21のそれぞれの前端部を閉じる壁には、相手側コネクタ6のハウジング61内に収容された相手側端子62が、挿入される挿入孔23が設けられている。更に、それぞれの端子収容孔21には、後述するようにリテーナ5を装着するリテーナ装着孔21aが形成されている。
【0011】
端子収容孔21内に収容される端子金具3は、それぞれ導電性を有する金属板をプレス曲げして形成され、その前方には相手側端子62が嵌合して、電気的に連結される接続部31が設けられている。接続部31には相手側端子62と接触して電気的に導通する舌片31aと、端子金具3の端子収容孔21への挿入完了時に、上述したハウジング2のランス22と係合する係合孔31bを有している。接続部31の後方には、一対のかしめ片により構成され、電線4の芯線41にかしめられるワイヤーバレル32が一体に形成されている。また、ワイヤーバレル32の後方には、インシュレーションバレル33が一体に設けられており、これは前後方向に互い違いに形成された一対のかしめ片によって構成され、電線4の芯線41の外周を取り巻く絶縁被覆42にかしめられる。
【0012】
更に、端子金具3のインシュレーションバレル33の後方には、下方に延びるように一対の当接片34が一体に形成されている。図3(A)に示すように、端子金具3を端子収容孔21内に挿入する前において、一対の当接片34は下方に向けて互いに斜めに開いており、その位置における端子金具3の断面形状は略台形をしている。当接片34のそれぞれの側面および下面には、外方に突出した突起35が1個づつ形成されている。突起35は端子金具3のプレス成形時に、絞り加工によって形成されている。また、端子金具3の上面にも、前後方向において当接片34と対応する位置に突起35が1個形成されている。
【0013】
以下、コネクタ1の組付け方法について説明する。最初に、絶縁被覆42が剥脱されて露出した芯線41に、端子金具3のワイヤーバレル32をかしめて電気的に接続する。また、絶縁被覆42にもインシュレーションバレル33を同様にかしめて端子金具3と電線4とを連結する。これにより、当接片34は電線4の絶縁被覆42の外周面に接して、これを覆うように装着される(図3(A)示)。
【0014】
次に、電線4に接続された端子金具3を、ハウジング2の端子収容孔21内に後方より挿入していく。端子金具3は、接続部31が端子収容孔21内のランス22を下方に撓ませながら進入し、その挿入が完了すると、ランス22は上方に復帰して、接続部31の係合孔31bと係合して端子金具3の抜け止めを行う。更に、ハウジング2のリテーナ装着孔21aに、下方よりリテーナ5が装着され、端子金具3の接続部31の後端と係合することにより、端子金具3の抜け止めを完全にする。その後、端子金具3が収容されたコネクタ1を、相手側コネクタ6と嵌合させることにより、相手側端子62と電線4とが導通する。
【0015】
端子金具3の端子収容孔21への後方からの挿入によって、電線4の外周面に装着された当接片34は、端子収容孔21の内壁によって内方へと撓まされ、この状態で端子収容孔21内をその内壁と摺接しながら前方に移動する。端子収容孔21内への端子金具3の挿入が完了すると、当接片34は端子収容孔21内において、突起35を介してその4つの内壁を内方から(外方に向けて)押圧している(図1および図3(B)示)。すなわち、図3(B)に示すように、当接片34は端子収容孔21と電線4との間で挟圧され、端子金具3の端子収容孔21内におけるがたつきを防止し、がたつきによるその接続部31の相手側端子62との摺接による磨耗を防ぐことができる。
【0016】
また、当接片34がインシュレーションバレル33よりも後方に形成されたことにより、端子金具3をハウジング2に後方から挿入する場合、当接片34が端子収容孔21を押圧した状態で移動する距離を短くできるため、端子金具3を端子収容孔21内に挿入する作業性を向上させることができる。
【0017】
また、当接片34には突起35が形成され、当接片34が突起35を介して端子収容孔21を押圧することにより、当接片34と端子収容孔21との間の接触面積を減少させることができる。従って、端子金具3をハウジング2に収容する時に発生する摺動抵抗を低減するために、端子金具3の面性状を形成しやすくなる。
【0018】
<他の実施形態>
本発明は上述の記載および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、以下の記載のもの以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)当接片は端子金具にいくつ形成してもよい。
(2)当接片は接続部の後方であれば、端子金具のどこに設けてもよい。
(3)突起は端子収容孔の内壁に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本実施形態によるコネクタが相手側コネクタと嵌合したところを示す断面図である。
【図2】 図1に示したコネクタの、端子収容孔に収容する前の端子金具を示す側面図である。
【図3】 図1に示したコネクタの、端子収容孔に収容する前の当接片を示す後方図(A)、および端子収容孔に収容した状態の当接片を示す後方図(B)である。
【符号の説明】
【0020】
1…コネクタ
2…ハウジング
3…端子金具
4…電線
21…端子収容孔
31…接続部
32…ワイヤーバレル
33…インシュレーションバレル
34…当接片
35…突起
41…芯線
42…絶縁被覆
62…相手側端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、および
前記ハウジングの端子収容孔内に収容され、相手側端子と嵌合する接続部と、前記接続部の後方に形成され、電線の芯線にかしめられるワイヤーバレルと、前記ワイヤーバレルの更に後方に設けられ、電線の絶縁被覆にかしめられるインシュレーションバレルとを有する端子金具を備えたコネクタにおいて、
前記端子金具は、前記接続部の後方において、撓みながら前記端子収容孔に収容され、前記端子収容孔の内壁に対して内方から押圧することにより、前記端子収容孔内におけるそのがたつきを防止する当接片を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記当接片は前記インシュレーションバレルよりも後方に形成されたことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記当接片および前記端子収容孔の内壁のうちのいずれかには、突起が形成され、前記当接片は前記突起を介して前記端子収容孔を押圧することを特徴とする請求項1記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−100234(P2006−100234A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313089(P2004−313089)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】