コネクタ
【課題】 回路基板等に対して共通のコネクタを使ってフラット配線材とディスクリート線の双方を接続できるようにする。
【解決手段】 端子5が装着されたディスクリート線3および導体6aが末端で露出するフラット配線材6をハウジング20により一体に保持した配線材側コネクタC1と、端子5に対応する相手側端子12Bおよび導体6aに対応する相手側端子12Aをハウジング10内に保持した基板側コネクタC2とからなる。ハウジング20は、ディスクリート線3が一列に、かつこの列とフラット配線材6とが互いに平行な状態で上下に並ぶように各線3,6を保持する。一方、ハウジング10は、端子5に対応する配列で端子12Bを、導体6aに対応する配列で端子12Aを保持する。そして、両ハウジング10,20の嵌合により各ディスクリート線3の端子5に端子12Bが、フラット配線材6の各導体6aに端子12Aがそれぞれ接触するように構成されている。
【解決手段】 端子5が装着されたディスクリート線3および導体6aが末端で露出するフラット配線材6をハウジング20により一体に保持した配線材側コネクタC1と、端子5に対応する相手側端子12Bおよび導体6aに対応する相手側端子12Aをハウジング10内に保持した基板側コネクタC2とからなる。ハウジング20は、ディスクリート線3が一列に、かつこの列とフラット配線材6とが互いに平行な状態で上下に並ぶように各線3,6を保持する。一方、ハウジング10は、端子5に対応する配列で端子12Bを、導体6aに対応する配列で端子12Aを保持する。そして、両ハウジング10,20の嵌合により各ディスクリート線3の端子5に端子12Bが、フラット配線材6の各導体6aに端子12Aがそれぞれ接触するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平角導体を並設したフラットケーブル、リボン電線、FPC(Flexible Printed Circuit)等のフラット配線材とディスクリート線を共通のコネクタで回路基板等に対して電気的に接続できるようにするコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、配線材を介して回路基板同士を電気的に接続することが行われている。使用される配線材の線種としてはディスクリート線や、フラットケーブル、リボン電線、FPC(Flexible Printed Circuit)等のフラット配線材が一般的であり、それぞれ使用目的に応じて使い分けられている。例えば使用電圧が高い場合にはディスクリート線が用いられ、また多数の信号線をまとめて少ないスペースに配索することが要求される場合にはフラット配線材が使用されることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、配線材を介して回路基板同士を電気的に接続する場合、実際には共通の回路基板に対してフラット配線材とディスクリート線の双方を接続するケースが多く、この場合、従来は、配線材の種類毎にコネクタを設けて回路基板に接続するのが一般的であった。
【0004】
しかし、このように配線材の種類毎にコネクタを使って配線材を回路基板に接続する場合には、配線材毎にコネクタの設計、製造が必要となり設計等の負担が大きく、また、部品としてのコネクタハウジング等の管理面での煩雑さもある。さらに、回路基板に対する配線材の接続等の作業も配線材毎に行う必要があり作業性が悪い。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、回路基板等に対して共通のコネクタを使ってフラット配線材とディスクリート線の双方を接続できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するために、本発明の請求項1に係るコネクタは、 末端部分に第1端子を装着したディスクリート線の前記第1端子を収納可能な複数の収納部と末端部分で導体を外部露出させたフラット配線材の前記末端部分を収納可能な収納部とを備えた第1ハウジングを有し、かつ前記収納部に前記第1端子およびフラット配線材をそれぞれ収納することにより前記第1ハウジングにより複数のディスクリート線およびフラット配線材を一体に保持した第1コネクタと、前記第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングを有し、かつこの第2ハウジングに前記第1端子に嵌合可能な第2端子およびフラット配線材の前記導体に嵌合可能な第3端子を保持した第2コネクタとからなり、前記第1ハウジングは、前記複数のディスクリート線が一列に並び、かつその列と前記フラット配線材とが互いに平行な状態でその列と直交する方向に並ぶように前記ディスクリート線およびフラット配線材を保持する一方、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングに収納された第1端子に対応する配列で前記第2端子を保持するとともに第1ハウジングに収納されたフラット配線材の前記導体に対応する配列で前記第3端子を保持し、前記両ハウジングを互いに嵌合させるとディスクリート線に装着された前記第1端子に第2端子が嵌合するとともにフラット配線材の前記導体に第3端子が嵌合するように構成されているものである。
【0007】
このようなコネクタによれば、例えば第2コネクタを実装型コネクタとして回路基板に実装し、第1コネクタの第1ハウジングと第2コネクタの第2ハウジングとを嵌合させて両コネクタを接続すれば、各ディスクリート線が第1端子および第2端子を介して基板上回路に電気的に接続される一方、フラット配線材の各導体が第3端子を介して基板上回路に電気的に接続されることとなる。従って、ディスクリート線およびフラット配線材の双方を共通の第2コネクタを用いて回路基板に対してまとめて接続することが可能となる。
【0008】
このコネクタにおいて、前記第1端子はその先端にタブ状の接触片を持つ一方、前記第2端子および第3端子はそれぞれ接触片と支持片とを具備する共通した形状の接続部分を有し、これら接触片と支持片との間に前記第1端子のタブ状の接触片およびフラット配線材の導体を挟持するように構成され、前記第1ハウジングと第2ハウジングを互いに嵌合させると、第1端子の前記タブ状の接触片が第2端子の接触片と支持片との間に挿入されて接触片同士が接触する一方、フラット配線材の末端部分が第3端子の接触片と支持片との間に挿入されて前記導体が前記接触片に接触するように構成されているのが好ましい(請求項2)。
【0009】
このような構成によれば、第2コネクタ側の第2端子および第3端子の少なくとも主要部分(接続部分)が共通化されるので、第2,第3端子の設計負担が軽減される等のメリットがある。また、第2ハウジングの端子収納室の共通化を図ることも可能となるため、第2ハウジングのハウジング構造の簡素化を進めることも可能となる。
【0010】
この場合、前記第2端子と第3端子とが共通の形状であれば(請求項3)、第2,第3端子の設計負担が軽減されるばかりでなく金型の共通化を図ることができ、また組付け作業性が向上するというメリットがある。
【0011】
また、請求項2又は3に記載のコネクタにおいて、前記第2ハウジングは、その本体部分に対して脱着可能な板状の支持部材を有し、この支持部材上に前記フラット配線材の末端部分を重ねた状態でフラット配線材と前記支持部材とが一体に第2ハウジングに挿着されることにより、前記導体の露出部分をコネクタ接続方向に突出させ、かつこの突出部分を前記支持部材により支持した状態で前記フラット配線材を保持するように構成されるとともに、前記第1端子の収納部に対応する箇所に前記支持部材の突出部分と同形状の端子支持部を備え、この端子支持部により第2ハウジングに保持された各第1端子の前記タブ状の接触片をコネクタ接続方向に突出させた状態で支持するように構成され、前記第1ハウジングと第2ハウジングとを互いに嵌合させると、第1端子の前記タブ状の接触片と端子支持部とが一体に前記第2端子の接触片と支持片との間に挿入される一方、フラット配線材の末端部分と前記支持部材とが一体に前記第3端子の接触片と支持片との間に挿入されるように構成されているのが好ましい(請求項4)。
【0012】
この構成によれば、第1端子の接触片の変形等を防止して各第2端子の接触片をより確実に第1端子に接触させることが可能となる。フラット配線材についても同様に、その末端部分の変形等を防止して各第3端子の接触片を確実にフラット配線材の各導体に接触させることが可能となる。
【0013】
なお、請求項1乃至4に記載のコネクタにおいて、前記第1ハウジングは、各第1端子の配列ピッチがフラット配線材の前記導体の配列ピッチと等しくなるように前記第1端子を保持し、前記第2ハウジングは、前記第2端子の配列および第3端子の配列が共にフラット配線材の配列ピッチと等しくなるように第2,第3端子を保持し、さらにこの第2ハウジングに嵌合可能な第3ハウジングにより前記フラット配線材を前記導体の配列方向と直交する方向に並べて保持した第3コネクタの前記第3ハウジングを前記第2ハウジングに嵌合させることにより、この第3コネクタの各フラット配線材の導体に対して第2端子および第3端子がそれぞれ接触し得るように構成されているのが好ましい(請求項5)。
【0014】
この構成によれば、ディスクリート線およびフラット配線材を保持した第1コネクタ、又は複数のフラット配線材を保持した第3コネクタのいずれについても共通の第2コネクタを使っての接続が可能となるため、合理的なコネクタ構成となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1〜5に係るコネクタによると、回路基板等に対してディスクリート線とフラット配線材の双方を共通のコネクタを用いてまとめで接続することが可能となる。従って、ディスクリート線とフラット配線材のそれぞれについて個別のコネクタを用いる場合のように、配線材毎にコネクタの設計をする必要がなくなりコネクタの設計負担が軽減される。また、部品としてのコネクタハウジング等の管理負担も軽減される。さらに回路基板等に対するディスクリート線およびフラット配線材の接続作業等も一回の作業で行うことが可能となるため作業性も向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るコネクタの実施形態を説明する斜視概略図であり、端子等を一部引き出した状態で示している。この図において、C2は基板側コネクタ(第2コネクタ)で、回路基板Pの表面に実装された状態で固定されている。また、C1は配線材側コネクタ(第1コネクタ)で、配線材としてディスクリート線5とフラット配線材6の2種類の配線材を一体に保持し、これらの配線材を回路基板Pに接続するように構成されている。
【0018】
基板側コネクタC2は、配線材側コネクタC1の嵌合用凹部10aを具備する幅方向に細長のコネクタハウジング10(以下、ハウジング10と略す)を有している。
【0019】
このハウジング10には、図2および図3に示すように、多数の端子収納室13が幅方向(図2では左右方向)に並列に、かつ上下2段に形成されている。同図に示すように、上下の端子収納室13は互いに半ピッチずれた状態で交互に設けられており、これによってハウジング全体として端子収納室13が千鳥状の配列となっている。
【0020】
各端子収納室13にはそれぞれ端子が収納されている。これらの端子収納室13のうち下段に収納される端子12A(第3端子)と上段に収納される端子12B(第2端子)とは、共に、上下に撓み変位可能な接続用撓み片14a(接触片)とその下側の支持片14bとからなるコ字形の共通した接続部分を前側(図3では左端)にもつ雌型の端子で、接続部分の後側にはそれぞれ半田付け用の脚部14cを備えている。そして、ハウジング10の後側から差し込まれることにより各端子収納室13に対してそれぞれ収納され、脚部14cが回路基板Pの固定用ランドに半田付けされることにより基板上回路(パターン)にそれぞれ電気的に接続されている。なお、これらの端子12A,12Bのうち上段の端子収納室13に収納される端子12Bは下段に収納される端子12Aよりも脚部14cが上下に長く形成されており、これによって回路基板Pへの半田付けが可能となっている。
【0021】
ハウジング10の幅方向両端部分には、さらに基板側コネクタC2(ハウジング10)を回路基板Pに固定するための固定金具15A,15Bが挿着されている。
【0022】
これらの固定金具15A,15Bは、図1、図2および図4(固定金具15Aのみ図示)に示すように脚部16を有しており、これら脚部16が回路基板Pに半田付けされることにより回路基板Pに対してハウジング10が固定されている。
【0023】
各固定金具15A,15Bには、フック17aを前端に具備し、かつハウジング10内でその幅方向に撓み変位可能な係止片17(図4参照)がそれぞれ一体に形成されており、コネクタ嵌合時にはこの係止片17が配線材側コネクタC1の後記ハウジング20に係合することによって両コネクタを嵌合状態にロックするように構成されている。つまり、これら固定金具15A,15Bがコネクタのロック機能を兼ね備えた構成となっている。
【0024】
なお、固定金具15A,15Bの各係止片17は、図2に示すように上下にオフセットされている。これはハウジング10内に各固定金具15A,15Bをコンパクトに収めるための工夫であり、これにより後述するように基板側コネクタC2の幅方向の省スペース化が図られている。
【0025】
一方、配線材側コネクタC1は、図1および図5に示すように幅方向に細長のコネクタハウジング20(以下、ハウジング20と略す)を有している。このハウジング20は上下二段構造となっており、上段には複数の端子収納室22(第1端子の収納部)が幅方向に並列に設けられ、ディスクリート線3の先端に装着された端子5(第1端子)が各端子収納室22に収納されている。一方、下段には、前後方向(コネクタ接続方向)に貫通する幅方向に細長の差込孔23(フラット配線材の収納部)が形成され、フラット配線材6の末端部分が後述するリテーナ25と共にこの差込孔23に挿入されている。
【0026】
ハウジング20の前側、すなわちコネクタ接続方向の前端面には、上段の端子収納室22の並びに対応して一対の舌片状の支持部24a,24bが設けられている。これら支持部24a,24bのうち上段の支持部24a(端子支持部)はハウジング20に一体形成されている。一方、下段の支持部24bは、図5に示すようにハウジング20の本体部分とは別体に設けられ、かつ同本体部分に脱着可能に構成された板状の部材であるリテーナ25(支持部材)が前記本体部分に挿着されることにより構成されている。なお、説明の便宜上、「リテーナ25」はハウジング20の本体部分から取外された状態の呼び名とし、同本体部分に装着された状態では「支持部24b」と呼ぶこととし、また、図面中は何れか一方の符号を示し他方の符号を括弧書きで示すことにする。
【0027】
これらの支持部24a,24bはそれぞれハウジング20に保持される電線の末端部分をハウジング20の本体部分からコネクタ接続方向に突出させた状態でその下側から支持するものである。具体的に説明すると、上段の支持部24aは、ディスクリート線3に装着されて各端子収納室22に収納されている端子5の後記接触片5bを支持するもので、支持部24aの上面には、図5および図6(a)に示すようにそれぞれ上向きに開き、かつ端子収納室22内と連通する複数の支持溝26が幅方向に並設されている。また、各支持溝26の前端壁26aには、端子5の接触片5bの浮き上がりを防止するための突起27が後向き(図6では左向き)に突設されている。
【0028】
一方、下段の支持部24b(リテーナ25)は、上記差込孔23に挿入されるフラット配線材6の末端部分を支持するもので、その上面には、フラット配線材6を支持する平坦な支持面32と、同配線材6を前後方向に拘束する突部33,36(前側突部33、後側突部36)と、同配線材6を左右方向(幅方向)に拘束するための一対の側方突部35と、フラット配線材6の先端浮き上がり防止用の一対の押え部34とが設けられている。
【0029】
なお、これら支持部24a,24bのうち、上段の支持部24aの側面には図1および図5に示すようにその側面に基板側コネクタC2の前記固定金具15B(フック17a)に対応する係止部28が一体形成されており、また、下段の支持部24a(リテーナ25)の側面には前記固定金具15A(フック17a)に対応する係止部28(図11に示す)が一体形成されている。
【0030】
前記ディスクリート線3は、例えば撚線の外周に被覆(絶縁層)が形成された単線で、上述のようにその先端には端子5が装着されている。
【0031】
端子5は、図7(a)に示すように、ディスクリート線3を保持するための電線保持部5aとその先端側に設けられるタブ状の接触片5bとを備えた雄型端子である。
【0032】
電線保持部5aには、端子5の底板40の両側に立ち上がる一対のワイヤーバレル42と一対のインシュレーションバレル44とが前後に並べて設けられている。
【0033】
接触片5bは、前記底板40に連続して前後方向に延びる連結部47と、その両側から立ち上がって前記各バレル42,44にそれぞれ並ぶ前後方向に細長の互いに平行な一対の単位接触片46a,46bとを備えた断面コ字型の形状に形成されている。また、各単位接触片46a,46bの外側であって、その基端部には端子5を前記ハウジング20に係止するためのフック48が一体形成されている。
【0034】
ディスクリート線3への端子5の装着は、同図に示すようにディスクリート線3の末端部分において被覆が除去されることにより導体3aが外部露出され、この導体3aの部分に対してワイヤーバレル42が、その後側の被覆部分にインシュレーションバレル44がそれぞれ圧着されることにより行われている。ここで、ワイヤーバレル42については、導通性能および保持力を確保するためにワイヤーバレル42の先端が導体3aに食い込むように強固に圧着されている(加締される)。一方、インシュレーションバレル44は、その先端同士が向かい合うように被覆部分の外側からディスクリート線3を抱え込ませ、その圧着部分が扁平になるように圧着されている。具体的には、図8(a)に示すように、クリンプハイトh(圧着成型高さ)よりもクリンプワイドw(圧着成型幅)が十分に大きくなり、かつクリンプハイトhがディスクリート線3の直径d(図8(b)参照)よりも小さくなるようにディスクリート線3に対してインシュレーションバレル44が圧着されている。これによりディスクリート線3を含む電線保持部5aの全体が扁平にされている。
【0035】
そして、このようにディスクリート線3の先端に装着された端子5が各端子収納室22に収納されている。端子収納室22への端子5の収納は、図7(b)に示すように端子5を横向き、すなわち図1および図6に示すようにインシュレーションバレル34のクリンプハイトhの方向が端子収納室22の並び方向(幅方向)に向くように端子5を横向きにし、この状態で端子5をハウジング20の後方から端子収納室22に挿入することにより行われている。詳細には、端子5を端子収納室22に挿入しつつその先端(接触片5b)を端子収納室22から前方に突出させて支持部24aの支持溝26に介挿し、さらに接触片5bの先端が支持溝26の前端壁26aに当接する位置まで端子5をハウジング20に対して差込む。このようにすると、図6(b)に示すように、支持溝26の前端壁26aに形成された突起27が接触片5bの両単位接触片46a,46bの間に挿入されるとともに、各単位接触片46a,46bに形成されたフック48が端子収納室22の出口(前方側開口)縁部に係合する。これによって端子5のうち接触片5bがコネクタ接続方向に突出した状態で外部露出され、かつ突起27により接触片5bの先端が上下方向に拘束された状態で、端子5がディスクリート線3と共にハウジング20に収納、保持される。
【0036】
なお、このハウジング20の端子収納室22は、ほぼ上下、左右が対称な断面形状となっており、端子5が左右何れの向き、つまり端子5におけるディスクリート線3の保持面側が端子収納室22の並び方向の一方側又は他方側の何れを向いた状態でも端子5を挿着し得るようになっている(図9参照)。また、支持部24aも、同図に示すように、端子収納室22に対して端子5が上記の何れの向きで挿入された場合でも接触片5bの上下方向の変位を適切に拘束して、単位接触片46a,46bのうち上側に位置するものの高さ位置を一定に保ち得るように突起27等が形成されており、その結果、何れの向きで端子収納室22に端子5が挿入された場合でも、単位接触片46a,46bの何れか一方に対して相手側の端子12が確実に接触し得るようになっている。
【0037】
一方、フラット配線材6は、例えば複数の平角導体が幅方向に一定ピッチで並ぶフラットケーブルからなり、図10に示すようにその末端が処理されることにより各平角導体6a(以下、導体6aという)が外部露出されており、その末端部分の幅方向両端にはリテーナ25(支持部24b)の前記側方突部35に対応する切欠き8が形成されている。また、フラット配線材6の末端部分においてその裏側、つまり導体6aの露出する側とは反対側には撓み防止および位置決めの双方の用途を兼ねた補強板7が積層固定されている。
【0038】
フラット配線材6のハウジング20への挿着は次のようして行われている。まず、導体6aの露出面を上向きにした状態で、該配線材6をハウジング20の後側から差込孔23に差込み、導体6aの露出部分をハウジング20の前方に引き出してフラット配線材6の末端部分をリテーナ25に重ね合わせる(図6(a)に破線で示す)。具体的には、フラット配線材6の端末をリテーナ25の両押え部34と支持面32との間に挿入しつつ補強板7を前後の突部33,36の間に嵌め込むことにより、フラット配線材6の末端部分をリテーナ25の支持面32に重ね合わせる。このようにフラット配線材6をリテーナ25bに重ね合わせた状態では、前後の突部33、36および側方突部35により補強板7が前後左右に拘束され、これによりフラット配線材6が前後左右に位置決めされ、また押え部34により末端部分の浮き上がりが防止される。
【0039】
そして、この状態でフラット配線材6と一体にリテーナ25をその後側(後側突部36側)からハウジング20の前記差込孔23に挿入する。このようにすると、図6(b)に示すように、リテーナ25の裏面に形成されたフック37がハウジング20の本体部分に形成された係止孔30に挿入されてリテーナ25が同本体部分に係合して一体化、つまりハウジング20の前記支持部24bが構成され、フラット配線材6の末端部分が同図に示すようにディスクリート線3(端子5)の列の下側にこの列と平行に並んだ状態で保持される。
【0040】
このようにしてフラット配線材が、その末端の導体6aの露出部分をハウジング20の本体部分からコネクタ接続方向に突出させ、かつ支持部24bによりその下側から支持された状態でハウジング20に挿着される。
【0041】
なお、詳しく図示していないが、この配線材側コネクタC1では、前記端子5の配列ピッチがフラット配線材6の前記導体6aの配列ピッチと等しく、かつ各端子5とフラット配線材6の各導体6aとが幅方向に半ピッチずれるようにハウジング20等が構成されており、これによって配線材側コネクタ全体として端子5とフラット配線材6の導体6aとが千鳥状の配列となっている。そして、相手側となる基板側コネクタC2のハウジング10については、上記端子5に対応するように上段の端子12Bが、またフラット配線材6の導体6aの配列に対応して下段の端子12Aがそれぞれ配列され得るように上下の各端子収納室13が形成されており、その結果、上下の端子12A,12Bの接続部分がフラット配線材6の導体6aと等ピッチで並び、かつ上下の端子12A,12Bの配列が幅方向に互いに半ピッチずれた千鳥状の配列となっている。
【0042】
上記のようなコネクタC1、C2の構成において、ディスクリート線3およびフラット配線材6をそれぞれ回路基板Pに接続するには、図11(a),図12(a),13(a)に示すように、配線材側コネクタC1を基板側コネクタC2の前記嵌合用凹部10aに対向させ、配線材側コネクタC1の両支持部24a,24bの部分をその先端側から嵌合用凹部10aに差し込む。詳しくは、基板側コネクタC2に収納された上下二段の端子12のうち、上段の端子12Bの接続用撓み片14aと支持片14bとの間に配線材側コネクタC1の上側の支持部24aを、同じく下段の端子12Aの接続用撓み片14aと支持片14bとの間に配線材側コネクタC1の下側の支持部24bを差込みながら両コネクタC1,C2のハウジング同士を嵌合させる。このようにすると、ハウジング20が差し込まれるに伴い基板側コネクタC2の前記係止片17が外側に押し広げられ、両コネクタC1,C2が完全な嵌合状態となると、図13(b)に示すように係止片17のフック17aがハウジング20の係止部28に係合し、その結果、両コネクタC1,C2が嵌合状態にロックされる。
【0043】
そして、このようにコネクタC1,C2が完全な嵌合状態となると、図11(b)に示すように、各ディスクリート線3に装着された端子5の接触片5bに対して相手側端子12Bの接続用撓み片14aがそれぞれ接触し、正確には単位接触片36a,36bのうち上側に位置する単位接触片36a(又は36b)に対して相手側端子12Bの接続用撓み片14aがそれぞれ接触し、この接触により、各ディスクリート線3がそれぞれ対応する相手側端子12Bを介して回路基板Pの回路に接続されることとなる。また、図12(b)に示すように、フラット配線材6の各導体6aに対して相手側端子12Aの接続用撓み片14aがそれぞれ接触し、この接触によりフラット配線材6の各導体6aがそれぞれ対応する相手側端子12Aを介して回路基板Pの回路に接続されることとなる。
【0044】
この際、端子5の接触片5bが端子支持部24aにより、フラット配線材6の末端部分が端子支持部24bによりそれぞれ接続用撓み片14aの接触側とは反対側から支持されていることにより、端子5および導体6aが接続用撓み片14aおよび支持部14bの間に挟持(嵌合)された状態でも、端子5(接触片5b)やフラット配線材6(末端部分)の変形が有効に防止され、その結果、端子5および導体6aに対して各接続用撓み片14aが確実に接触することとなる。
【0045】
以上のような本発明に係るコネクタによると、ディスクリート線3とフラット配線材6の異なる線種の配線材を共通の基板側コネクタC2を用いて回路基板Pに対して接続することが可能となる。従って、ディスクリート線とフラット配線材のそれぞれについて個別のコネクタを用いる場合のように、配線材毎にコネクタの設計、製造等をする必要がなく、コネクタの設計等負担が軽減され、部品としてのコネクタハウジングの管理負担も軽減される。また、回路基板Pに対するディスクリート線3およびフラット配線材6の接続作業も、上記の通り基板側コネクタC2に対して配線材側コネクタC1を結合する一回の作業で行うことができるので、回路基板Pに対する配線材の接続等の作業性も良くなるというメリットがある。
【0046】
なお、この実施形態では、回路基板Pに実装された基板側コネクタC2に対してディスクリート線3とフラット配線材6の双方を保持した配線材側コネクタC1を結合することによりディスクリート線3およびフラット配線材6を回路基板Pに電気的接続するようにしているが、例えばフラット配線材6を上下二段に保持した以下のような配線材側コネクタC3(第3コネクタ)を用いることで、上記基板側コネクタC2をそのまま使って両フラット配線材6を回路基板Pに接続することもできる。
【0047】
図14,図15は、そのような上下二段にフラット配線材6を保持する配線材側コネクタC3の構成について説明する図である。なお、配線材側コネクタC3の構成は上記配線材側コネクタC1の構成と基本的に共通するため、以下の説明において、上述した配線材側コネクタC1と共通する部分については同一符号を付すことにより詳細説明を省略する。
【0048】
この配線材側コネクタC3のハウジング20(第3ハウジング)には、前記端子収納室22は設けられておらず、図15(a)に示すように差込孔23が上下二段に設けられ、各差込孔23に対してそれぞれ同一構成の上記リテーナ25が挿着されるようになっている。そして、配線材側コネクタC1の場合と同様にして、フラット配線材6とリテーナ25とが各差込孔23に対して一体的に挿着されることにより、図15(b)に示すように、二本のフラット配線材6が互いに平行な状態で上下二段に並び、かつ導体6aの露出部分が各リテーナ25により構成される支持部24a,24bによって支持された状態でハウジング20に保持されている。
【0049】
なお、この配線材側コネクタC3では、上下のフラット配線材6が、互いに導体6aの配列の半ピッチ分だけ幅方向にずれて保持されるようにハウジング20等が構成されており、これにより導体6aの配列が配線材側コネクタ全体として千鳥状の配列となっている。
【0050】
このような配線材側コネクタC3の構成によると、同コネクタC3を基板側コネクタC2の前記嵌合用凹部10aに対向させ、両支持部24a,24bの部分をその先端側から嵌合用凹部10aに差し込むと、基板側コネクタC2に収納された上下二段の端子12A,12Bのうち、上段の端子12Bの接続用撓み片14aと支持片14bとの間に配線材側コネクタC3のうち上段に保持されたフラット配線材6が差込まれる一方、下段の端子12Aの接続用撓み片14aと支持片14bとの間に配線材側コネクタC1の下段のフラット配線材6が差込まれる。この際、基板側コネクタC2の上下の端子12A,12Bは上述したように共にフラット配線材6の導体6aと等ピッチで配列されているため、配線材側コネクタC3の上段のフラット配線材6の各導体6aに対して基板側コネクタC2の上段の端子12Bの接続用撓み片14aが、配線材側コネクタC3の下段のフラット配線材6の各導体6aに対して基板側コネクタC2の下段の端子12Aの接続用撓み片14aがそれぞれ接触し、この接触により各フラット配線材6がそれぞれ対応する相手側端子12A,12Bを介して回路基板Pの回路に接続されることとなる。
【0051】
このように、上記実施形態のコネクタによると、ディスクリート線3およびフラット配線材6を回路基板Pに接続する場合だけではなく、2本のフラット配線材6を回路基板Pに接続する場合にも基板側コネクタC2をそのまま使用することができる。従って、基板側コネクタC2を共通化した合理的なコネクタ構成で回路基板Pに対する配線材の接続用途を広げることができるという利点がある。
【0052】
なお、上記実施形態のコネクタによると、さらに次ぎのような特徴もある。
【0053】
まず、配線材側コネクタC1における端子5の保持構造に関し、上記のようにインシュレーションバレル34のクリンプハイトhがクリンプワイドwよりも小さい(ディスクリート線3の直径dよりも小さい)扁平状態となるように端子5をディスクリート線3に装着し、さらにインシュレーションバレル34のクリンプハイトhが端子収納室22の並び方向に向くように端子5を横向きにした状態でハウジング20に収納するように構成しているので、換言すればインシュレーションバレル34のクリンプハイトhの方向に端子5を並べた状態でハウジング20に対して該端子5を収納するように配線材側コネクタC1を構成しているので、端子5の配列を効果的に狭ピッチ化することができ、その結果、複雑な端子構造を採ることなくフラット配線材6の導体6aと等ピッチで端子5をハウジング20に収納できる。すなわち、従来では、端子のインシュレーションバレルはディスクリート線の断面形状をほぼ維持しつつその被覆外側から抱え込むように圧着されており、そのため端子間ピッチの設定に際してはインシュレーションバレルのクリンプワイドによる制約を受け易く狭ピッチ化が難しい。これに対して、上記のように配線材側コネクタC1の構成によると、インシュレーションバレル34のクリンプハイトhの方向に端子5を並べるため端子間ピッチの設定に際してクリンプワイドwによる制約を受けることがなく、しかも、クリンプハイトhがクリンプワイドwよりも小さくなる扁平な状態でディスクリート線3に対してインシュレーションバレル34が圧着されているため、端子配列方向の占有スペースが効果的に縮小され、その結果、端子配列の狭ピッチ化が達成される。従って、複雑な端子構造を採ることなく端子5をフラット配線材6の導体6aと等ピッチで配列した状態でハウジング20内に収納できる。
【0054】
また、この配線材側コネクタC1では、図9に示したように、端子5が左右何れの何れの向き、つまり端子5のうちディスクリート線3の保持面側が端子収納室22の並び方向の一方側又は他方側の何れを向いた状態であっても端子5を端子収納室22に収納できるようにハウジング20が形成されているので、配線材側コネクタC1の組立に際してその作業性を向上させることができるとともに誤作業の発生を効果的に防止することができる。
【0055】
さらに、端子5の接触片5bが上記のように一対の単位接触片36a,36bを備えた断面コ字型の形状である点を利用し、支持部24に突起27を設けてこれを単位接触片36a,36bの間に挿入させることにより接触片5bを上下方向に拘束してその浮き上がりを防止するように構成しているで、コネクタ嵌合時には相手側端子12の接続用撓み片14aと支持片14bとの間にスムーズ、かつ確実に接触片5bを差し込んで接触片5bを接続用撓み片14aに接触させることができる。従って、端子同士の接触信頼性を高めることができるという効果もある。
【0056】
一方、基板側コネクタC2についても次のような効果がある。すなわち、上記の基板側コネクタC2では、固定金具15A,15Bにそれぞれ係止片17を設け、これら係止片17を配線材側コネクタC1のハウジング20に係合させるように構成しているが、当実施形態では、図2に示すように各係止片17が上下にオフセットされている結果、基板側コネクタC2の省スペース化が達成されるという効果がある。詳しく説明すると、基板側コネクタC2のハウジング10では、同図に示すように上段の端子収納室13の並びが下段の端子収納室13の並びに対して左側にずれた配列となっており、このずれに応じて、左側の固定金具15Aでは下段の端子収納室13の並びに係止片17が設けられ、右側の固定金具15Bの係止片17では上段の端子収納室13の並びに係止片17が設けられている。つまり、上記のような端子収納室13の左右方向のずれにより上段の端子収納室13の並びではハウジング10の右方端部に、下段の端子収納室13の並びではハウジング10の左方端部にそれぞれデッドスペースができる。そこで、この配線材側コネクタC1では、このデッドスペースに係止片17が位置するように各固定金具15A,15Bに係止片17を設けることによって、係止片17の撓み代を十分に確保しながら両固定金具15A,15Bをハウジング内にコンパクトに収納し得るようになっている。従って、この点で基板側コネクタC2の省スペース化が達成されている。
【0057】
なお、以上説明した基板側コネクタC2および配線材側コネクタC1は、本発明に係るコネクタの実施形態の一例であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0058】
例えば、上記の実施形態では、ディスクリート線3およびフラット配線材6を回路基板Pに接続する場合のコネクタ構成として本発明を適用しているが、勿論、ディスクリート線同士、フラット配線材同士を接続するコネクタ構成、あるいはディスクリート線とフラット配線材とを接続するコネクタ構成として本発明を適用することもできる。
【0059】
また、上記実施形態では、配線材側コネクタC1の端子5の配列をフラット配線材6の導体6aと等ピッチとしているが必ずしもこれに従う必要はなく、異なるピッチで配列するようにしてもよい。但し、端子5をフラット配線材6の導体6aと等ピッチで配列する構成によると、図14,図15を用いて説明したように、上下二段にフラット配線材6を保持した配線材側コネクタC3を共通の基板側コネクタC2を使って接続することが可能となるというメリットがある。
【0060】
また、実施形態では、基板側コネクタC2の端子12A,12Bとして共通したコ字型の接続部分(接続用撓み片14a、支持部14b)をもつ端子を使用しているが、勿論、端子12A,12Bとして互いに異なる形状の接続部分をもつ端子を使用してもよい。但し、実施形態のような共通の構成とすれば、端子12A,12Bの設計負担を軽減することができ、また、ハウジング10における端子収納室13の形状も共通化されるため、ハウジング10の設計、製造が容易になるというメリットがある。この場合、可能な場合には端子12A,12Bの全体を共通の形状とするのが好ましい。
【0061】
なお、この実施形態において「ディスクリート線」とは、単芯線、撚線、丸線、角線等、あらゆる独立した形態の電線であればよく、また導電性メッキ処理等の有無も問わないものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るコネクタを示す斜視図(一部分解図)である。
【図2】基板側コネクタの断面図である。
【図3】基板側コネクタの断面図である((a)は図2のA−A線断面図で、(b)は図2のB−B線断面図である)。
【図4】基板側コネクタに挿着される固定金具を示す斜視図である。
【図5】配線材側コネクタのハウジングを示す図である((a)はハウジング本体とこれに挿着リテーナをハウジング本体の後方側から視た斜視図で、(b)はハウジング本体を前方側から視た斜視図である)。
【図6】配線材側コネクタのハウジングとこれに到着される端子(ディスクリート線に装着されたもの)、フラット配線材およびリテーナを示した断面図である((a)はハウジングに端子、フラット配線材およびリテーナが挿着される前、(b)はハウジングに端子、フラット配線材およびリテーナが挿着された状態を示している)。
【図7】ディスクリート線とその末端に装着される端子を示す斜視図である((a)は装着前、(b)は装着後の状態である)。
【図8】(a)はディスクリート線に装着された端子のうちインシュレーションバレルの圧着部分を示す断面模式図で、(b)は端子装着前のディスクリート線を示す断面模式図である。
【図9】配線材側コネクタにおける支持部の縦断面図(端子収納室に収納された端子の向きを説明する図)である。
【図10】フラット配線材の末端部分を示す平面略図である。
【図11】基板側コネクタと配線材側コネクタとの接続過程を説明する縦断面図(配線材側コネクタの端子収納室部分での縦断面図)である((a)は接続前の状態、(b)は接続完了状態をそれぞれ示している)。
【図12】基板側コネクタと配線材側コネクタとの接続過程を説明する縦断面図(配線材側コネクタの端子収納室壁部分での縦断面図)である((a)は接続前の状態、(b)は接続完了状態をそれぞれ示している)。
【図13】基板側コネクタと配線材側コネクタとの接続過程を説明する平断面図(配線材側コネクタのフラット配線材支持部分での平断面図)である((a)は接続前の状態、(b)は接続完了状態をそれぞれ示している)。
【図14】基板側コネクタに接続可能な配線材側コネクタの他の例を示す斜視図および斜視分解図である。
【図15】図14の配線材側コネクタを示す縦断面図である((a)は分解図、(b)は組立図である)。
【符号の説明】
【0063】
C1 配線材側コネクタ(第1コネクタ)
C2 基板側コネクタ(第2コネクタ)
P 回路基板
3 ディスクリート線
5 端子(第1端子)
6 フラット配線材
6a 平角導体
10,20 コネクタハウジング
12A 端子(第3端子)
12B 端子(第2端子)
【技術分野】
【0001】
本発明は、平角導体を並設したフラットケーブル、リボン電線、FPC(Flexible Printed Circuit)等のフラット配線材とディスクリート線を共通のコネクタで回路基板等に対して電気的に接続できるようにするコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、配線材を介して回路基板同士を電気的に接続することが行われている。使用される配線材の線種としてはディスクリート線や、フラットケーブル、リボン電線、FPC(Flexible Printed Circuit)等のフラット配線材が一般的であり、それぞれ使用目的に応じて使い分けられている。例えば使用電圧が高い場合にはディスクリート線が用いられ、また多数の信号線をまとめて少ないスペースに配索することが要求される場合にはフラット配線材が使用されることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、配線材を介して回路基板同士を電気的に接続する場合、実際には共通の回路基板に対してフラット配線材とディスクリート線の双方を接続するケースが多く、この場合、従来は、配線材の種類毎にコネクタを設けて回路基板に接続するのが一般的であった。
【0004】
しかし、このように配線材の種類毎にコネクタを使って配線材を回路基板に接続する場合には、配線材毎にコネクタの設計、製造が必要となり設計等の負担が大きく、また、部品としてのコネクタハウジング等の管理面での煩雑さもある。さらに、回路基板に対する配線材の接続等の作業も配線材毎に行う必要があり作業性が悪い。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、回路基板等に対して共通のコネクタを使ってフラット配線材とディスクリート線の双方を接続できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するために、本発明の請求項1に係るコネクタは、 末端部分に第1端子を装着したディスクリート線の前記第1端子を収納可能な複数の収納部と末端部分で導体を外部露出させたフラット配線材の前記末端部分を収納可能な収納部とを備えた第1ハウジングを有し、かつ前記収納部に前記第1端子およびフラット配線材をそれぞれ収納することにより前記第1ハウジングにより複数のディスクリート線およびフラット配線材を一体に保持した第1コネクタと、前記第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングを有し、かつこの第2ハウジングに前記第1端子に嵌合可能な第2端子およびフラット配線材の前記導体に嵌合可能な第3端子を保持した第2コネクタとからなり、前記第1ハウジングは、前記複数のディスクリート線が一列に並び、かつその列と前記フラット配線材とが互いに平行な状態でその列と直交する方向に並ぶように前記ディスクリート線およびフラット配線材を保持する一方、前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングに収納された第1端子に対応する配列で前記第2端子を保持するとともに第1ハウジングに収納されたフラット配線材の前記導体に対応する配列で前記第3端子を保持し、前記両ハウジングを互いに嵌合させるとディスクリート線に装着された前記第1端子に第2端子が嵌合するとともにフラット配線材の前記導体に第3端子が嵌合するように構成されているものである。
【0007】
このようなコネクタによれば、例えば第2コネクタを実装型コネクタとして回路基板に実装し、第1コネクタの第1ハウジングと第2コネクタの第2ハウジングとを嵌合させて両コネクタを接続すれば、各ディスクリート線が第1端子および第2端子を介して基板上回路に電気的に接続される一方、フラット配線材の各導体が第3端子を介して基板上回路に電気的に接続されることとなる。従って、ディスクリート線およびフラット配線材の双方を共通の第2コネクタを用いて回路基板に対してまとめて接続することが可能となる。
【0008】
このコネクタにおいて、前記第1端子はその先端にタブ状の接触片を持つ一方、前記第2端子および第3端子はそれぞれ接触片と支持片とを具備する共通した形状の接続部分を有し、これら接触片と支持片との間に前記第1端子のタブ状の接触片およびフラット配線材の導体を挟持するように構成され、前記第1ハウジングと第2ハウジングを互いに嵌合させると、第1端子の前記タブ状の接触片が第2端子の接触片と支持片との間に挿入されて接触片同士が接触する一方、フラット配線材の末端部分が第3端子の接触片と支持片との間に挿入されて前記導体が前記接触片に接触するように構成されているのが好ましい(請求項2)。
【0009】
このような構成によれば、第2コネクタ側の第2端子および第3端子の少なくとも主要部分(接続部分)が共通化されるので、第2,第3端子の設計負担が軽減される等のメリットがある。また、第2ハウジングの端子収納室の共通化を図ることも可能となるため、第2ハウジングのハウジング構造の簡素化を進めることも可能となる。
【0010】
この場合、前記第2端子と第3端子とが共通の形状であれば(請求項3)、第2,第3端子の設計負担が軽減されるばかりでなく金型の共通化を図ることができ、また組付け作業性が向上するというメリットがある。
【0011】
また、請求項2又は3に記載のコネクタにおいて、前記第2ハウジングは、その本体部分に対して脱着可能な板状の支持部材を有し、この支持部材上に前記フラット配線材の末端部分を重ねた状態でフラット配線材と前記支持部材とが一体に第2ハウジングに挿着されることにより、前記導体の露出部分をコネクタ接続方向に突出させ、かつこの突出部分を前記支持部材により支持した状態で前記フラット配線材を保持するように構成されるとともに、前記第1端子の収納部に対応する箇所に前記支持部材の突出部分と同形状の端子支持部を備え、この端子支持部により第2ハウジングに保持された各第1端子の前記タブ状の接触片をコネクタ接続方向に突出させた状態で支持するように構成され、前記第1ハウジングと第2ハウジングとを互いに嵌合させると、第1端子の前記タブ状の接触片と端子支持部とが一体に前記第2端子の接触片と支持片との間に挿入される一方、フラット配線材の末端部分と前記支持部材とが一体に前記第3端子の接触片と支持片との間に挿入されるように構成されているのが好ましい(請求項4)。
【0012】
この構成によれば、第1端子の接触片の変形等を防止して各第2端子の接触片をより確実に第1端子に接触させることが可能となる。フラット配線材についても同様に、その末端部分の変形等を防止して各第3端子の接触片を確実にフラット配線材の各導体に接触させることが可能となる。
【0013】
なお、請求項1乃至4に記載のコネクタにおいて、前記第1ハウジングは、各第1端子の配列ピッチがフラット配線材の前記導体の配列ピッチと等しくなるように前記第1端子を保持し、前記第2ハウジングは、前記第2端子の配列および第3端子の配列が共にフラット配線材の配列ピッチと等しくなるように第2,第3端子を保持し、さらにこの第2ハウジングに嵌合可能な第3ハウジングにより前記フラット配線材を前記導体の配列方向と直交する方向に並べて保持した第3コネクタの前記第3ハウジングを前記第2ハウジングに嵌合させることにより、この第3コネクタの各フラット配線材の導体に対して第2端子および第3端子がそれぞれ接触し得るように構成されているのが好ましい(請求項5)。
【0014】
この構成によれば、ディスクリート線およびフラット配線材を保持した第1コネクタ、又は複数のフラット配線材を保持した第3コネクタのいずれについても共通の第2コネクタを使っての接続が可能となるため、合理的なコネクタ構成となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1〜5に係るコネクタによると、回路基板等に対してディスクリート線とフラット配線材の双方を共通のコネクタを用いてまとめで接続することが可能となる。従って、ディスクリート線とフラット配線材のそれぞれについて個別のコネクタを用いる場合のように、配線材毎にコネクタの設計をする必要がなくなりコネクタの設計負担が軽減される。また、部品としてのコネクタハウジング等の管理負担も軽減される。さらに回路基板等に対するディスクリート線およびフラット配線材の接続作業等も一回の作業で行うことが可能となるため作業性も向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るコネクタの実施形態を説明する斜視概略図であり、端子等を一部引き出した状態で示している。この図において、C2は基板側コネクタ(第2コネクタ)で、回路基板Pの表面に実装された状態で固定されている。また、C1は配線材側コネクタ(第1コネクタ)で、配線材としてディスクリート線5とフラット配線材6の2種類の配線材を一体に保持し、これらの配線材を回路基板Pに接続するように構成されている。
【0018】
基板側コネクタC2は、配線材側コネクタC1の嵌合用凹部10aを具備する幅方向に細長のコネクタハウジング10(以下、ハウジング10と略す)を有している。
【0019】
このハウジング10には、図2および図3に示すように、多数の端子収納室13が幅方向(図2では左右方向)に並列に、かつ上下2段に形成されている。同図に示すように、上下の端子収納室13は互いに半ピッチずれた状態で交互に設けられており、これによってハウジング全体として端子収納室13が千鳥状の配列となっている。
【0020】
各端子収納室13にはそれぞれ端子が収納されている。これらの端子収納室13のうち下段に収納される端子12A(第3端子)と上段に収納される端子12B(第2端子)とは、共に、上下に撓み変位可能な接続用撓み片14a(接触片)とその下側の支持片14bとからなるコ字形の共通した接続部分を前側(図3では左端)にもつ雌型の端子で、接続部分の後側にはそれぞれ半田付け用の脚部14cを備えている。そして、ハウジング10の後側から差し込まれることにより各端子収納室13に対してそれぞれ収納され、脚部14cが回路基板Pの固定用ランドに半田付けされることにより基板上回路(パターン)にそれぞれ電気的に接続されている。なお、これらの端子12A,12Bのうち上段の端子収納室13に収納される端子12Bは下段に収納される端子12Aよりも脚部14cが上下に長く形成されており、これによって回路基板Pへの半田付けが可能となっている。
【0021】
ハウジング10の幅方向両端部分には、さらに基板側コネクタC2(ハウジング10)を回路基板Pに固定するための固定金具15A,15Bが挿着されている。
【0022】
これらの固定金具15A,15Bは、図1、図2および図4(固定金具15Aのみ図示)に示すように脚部16を有しており、これら脚部16が回路基板Pに半田付けされることにより回路基板Pに対してハウジング10が固定されている。
【0023】
各固定金具15A,15Bには、フック17aを前端に具備し、かつハウジング10内でその幅方向に撓み変位可能な係止片17(図4参照)がそれぞれ一体に形成されており、コネクタ嵌合時にはこの係止片17が配線材側コネクタC1の後記ハウジング20に係合することによって両コネクタを嵌合状態にロックするように構成されている。つまり、これら固定金具15A,15Bがコネクタのロック機能を兼ね備えた構成となっている。
【0024】
なお、固定金具15A,15Bの各係止片17は、図2に示すように上下にオフセットされている。これはハウジング10内に各固定金具15A,15Bをコンパクトに収めるための工夫であり、これにより後述するように基板側コネクタC2の幅方向の省スペース化が図られている。
【0025】
一方、配線材側コネクタC1は、図1および図5に示すように幅方向に細長のコネクタハウジング20(以下、ハウジング20と略す)を有している。このハウジング20は上下二段構造となっており、上段には複数の端子収納室22(第1端子の収納部)が幅方向に並列に設けられ、ディスクリート線3の先端に装着された端子5(第1端子)が各端子収納室22に収納されている。一方、下段には、前後方向(コネクタ接続方向)に貫通する幅方向に細長の差込孔23(フラット配線材の収納部)が形成され、フラット配線材6の末端部分が後述するリテーナ25と共にこの差込孔23に挿入されている。
【0026】
ハウジング20の前側、すなわちコネクタ接続方向の前端面には、上段の端子収納室22の並びに対応して一対の舌片状の支持部24a,24bが設けられている。これら支持部24a,24bのうち上段の支持部24a(端子支持部)はハウジング20に一体形成されている。一方、下段の支持部24bは、図5に示すようにハウジング20の本体部分とは別体に設けられ、かつ同本体部分に脱着可能に構成された板状の部材であるリテーナ25(支持部材)が前記本体部分に挿着されることにより構成されている。なお、説明の便宜上、「リテーナ25」はハウジング20の本体部分から取外された状態の呼び名とし、同本体部分に装着された状態では「支持部24b」と呼ぶこととし、また、図面中は何れか一方の符号を示し他方の符号を括弧書きで示すことにする。
【0027】
これらの支持部24a,24bはそれぞれハウジング20に保持される電線の末端部分をハウジング20の本体部分からコネクタ接続方向に突出させた状態でその下側から支持するものである。具体的に説明すると、上段の支持部24aは、ディスクリート線3に装着されて各端子収納室22に収納されている端子5の後記接触片5bを支持するもので、支持部24aの上面には、図5および図6(a)に示すようにそれぞれ上向きに開き、かつ端子収納室22内と連通する複数の支持溝26が幅方向に並設されている。また、各支持溝26の前端壁26aには、端子5の接触片5bの浮き上がりを防止するための突起27が後向き(図6では左向き)に突設されている。
【0028】
一方、下段の支持部24b(リテーナ25)は、上記差込孔23に挿入されるフラット配線材6の末端部分を支持するもので、その上面には、フラット配線材6を支持する平坦な支持面32と、同配線材6を前後方向に拘束する突部33,36(前側突部33、後側突部36)と、同配線材6を左右方向(幅方向)に拘束するための一対の側方突部35と、フラット配線材6の先端浮き上がり防止用の一対の押え部34とが設けられている。
【0029】
なお、これら支持部24a,24bのうち、上段の支持部24aの側面には図1および図5に示すようにその側面に基板側コネクタC2の前記固定金具15B(フック17a)に対応する係止部28が一体形成されており、また、下段の支持部24a(リテーナ25)の側面には前記固定金具15A(フック17a)に対応する係止部28(図11に示す)が一体形成されている。
【0030】
前記ディスクリート線3は、例えば撚線の外周に被覆(絶縁層)が形成された単線で、上述のようにその先端には端子5が装着されている。
【0031】
端子5は、図7(a)に示すように、ディスクリート線3を保持するための電線保持部5aとその先端側に設けられるタブ状の接触片5bとを備えた雄型端子である。
【0032】
電線保持部5aには、端子5の底板40の両側に立ち上がる一対のワイヤーバレル42と一対のインシュレーションバレル44とが前後に並べて設けられている。
【0033】
接触片5bは、前記底板40に連続して前後方向に延びる連結部47と、その両側から立ち上がって前記各バレル42,44にそれぞれ並ぶ前後方向に細長の互いに平行な一対の単位接触片46a,46bとを備えた断面コ字型の形状に形成されている。また、各単位接触片46a,46bの外側であって、その基端部には端子5を前記ハウジング20に係止するためのフック48が一体形成されている。
【0034】
ディスクリート線3への端子5の装着は、同図に示すようにディスクリート線3の末端部分において被覆が除去されることにより導体3aが外部露出され、この導体3aの部分に対してワイヤーバレル42が、その後側の被覆部分にインシュレーションバレル44がそれぞれ圧着されることにより行われている。ここで、ワイヤーバレル42については、導通性能および保持力を確保するためにワイヤーバレル42の先端が導体3aに食い込むように強固に圧着されている(加締される)。一方、インシュレーションバレル44は、その先端同士が向かい合うように被覆部分の外側からディスクリート線3を抱え込ませ、その圧着部分が扁平になるように圧着されている。具体的には、図8(a)に示すように、クリンプハイトh(圧着成型高さ)よりもクリンプワイドw(圧着成型幅)が十分に大きくなり、かつクリンプハイトhがディスクリート線3の直径d(図8(b)参照)よりも小さくなるようにディスクリート線3に対してインシュレーションバレル44が圧着されている。これによりディスクリート線3を含む電線保持部5aの全体が扁平にされている。
【0035】
そして、このようにディスクリート線3の先端に装着された端子5が各端子収納室22に収納されている。端子収納室22への端子5の収納は、図7(b)に示すように端子5を横向き、すなわち図1および図6に示すようにインシュレーションバレル34のクリンプハイトhの方向が端子収納室22の並び方向(幅方向)に向くように端子5を横向きにし、この状態で端子5をハウジング20の後方から端子収納室22に挿入することにより行われている。詳細には、端子5を端子収納室22に挿入しつつその先端(接触片5b)を端子収納室22から前方に突出させて支持部24aの支持溝26に介挿し、さらに接触片5bの先端が支持溝26の前端壁26aに当接する位置まで端子5をハウジング20に対して差込む。このようにすると、図6(b)に示すように、支持溝26の前端壁26aに形成された突起27が接触片5bの両単位接触片46a,46bの間に挿入されるとともに、各単位接触片46a,46bに形成されたフック48が端子収納室22の出口(前方側開口)縁部に係合する。これによって端子5のうち接触片5bがコネクタ接続方向に突出した状態で外部露出され、かつ突起27により接触片5bの先端が上下方向に拘束された状態で、端子5がディスクリート線3と共にハウジング20に収納、保持される。
【0036】
なお、このハウジング20の端子収納室22は、ほぼ上下、左右が対称な断面形状となっており、端子5が左右何れの向き、つまり端子5におけるディスクリート線3の保持面側が端子収納室22の並び方向の一方側又は他方側の何れを向いた状態でも端子5を挿着し得るようになっている(図9参照)。また、支持部24aも、同図に示すように、端子収納室22に対して端子5が上記の何れの向きで挿入された場合でも接触片5bの上下方向の変位を適切に拘束して、単位接触片46a,46bのうち上側に位置するものの高さ位置を一定に保ち得るように突起27等が形成されており、その結果、何れの向きで端子収納室22に端子5が挿入された場合でも、単位接触片46a,46bの何れか一方に対して相手側の端子12が確実に接触し得るようになっている。
【0037】
一方、フラット配線材6は、例えば複数の平角導体が幅方向に一定ピッチで並ぶフラットケーブルからなり、図10に示すようにその末端が処理されることにより各平角導体6a(以下、導体6aという)が外部露出されており、その末端部分の幅方向両端にはリテーナ25(支持部24b)の前記側方突部35に対応する切欠き8が形成されている。また、フラット配線材6の末端部分においてその裏側、つまり導体6aの露出する側とは反対側には撓み防止および位置決めの双方の用途を兼ねた補強板7が積層固定されている。
【0038】
フラット配線材6のハウジング20への挿着は次のようして行われている。まず、導体6aの露出面を上向きにした状態で、該配線材6をハウジング20の後側から差込孔23に差込み、導体6aの露出部分をハウジング20の前方に引き出してフラット配線材6の末端部分をリテーナ25に重ね合わせる(図6(a)に破線で示す)。具体的には、フラット配線材6の端末をリテーナ25の両押え部34と支持面32との間に挿入しつつ補強板7を前後の突部33,36の間に嵌め込むことにより、フラット配線材6の末端部分をリテーナ25の支持面32に重ね合わせる。このようにフラット配線材6をリテーナ25bに重ね合わせた状態では、前後の突部33、36および側方突部35により補強板7が前後左右に拘束され、これによりフラット配線材6が前後左右に位置決めされ、また押え部34により末端部分の浮き上がりが防止される。
【0039】
そして、この状態でフラット配線材6と一体にリテーナ25をその後側(後側突部36側)からハウジング20の前記差込孔23に挿入する。このようにすると、図6(b)に示すように、リテーナ25の裏面に形成されたフック37がハウジング20の本体部分に形成された係止孔30に挿入されてリテーナ25が同本体部分に係合して一体化、つまりハウジング20の前記支持部24bが構成され、フラット配線材6の末端部分が同図に示すようにディスクリート線3(端子5)の列の下側にこの列と平行に並んだ状態で保持される。
【0040】
このようにしてフラット配線材が、その末端の導体6aの露出部分をハウジング20の本体部分からコネクタ接続方向に突出させ、かつ支持部24bによりその下側から支持された状態でハウジング20に挿着される。
【0041】
なお、詳しく図示していないが、この配線材側コネクタC1では、前記端子5の配列ピッチがフラット配線材6の前記導体6aの配列ピッチと等しく、かつ各端子5とフラット配線材6の各導体6aとが幅方向に半ピッチずれるようにハウジング20等が構成されており、これによって配線材側コネクタ全体として端子5とフラット配線材6の導体6aとが千鳥状の配列となっている。そして、相手側となる基板側コネクタC2のハウジング10については、上記端子5に対応するように上段の端子12Bが、またフラット配線材6の導体6aの配列に対応して下段の端子12Aがそれぞれ配列され得るように上下の各端子収納室13が形成されており、その結果、上下の端子12A,12Bの接続部分がフラット配線材6の導体6aと等ピッチで並び、かつ上下の端子12A,12Bの配列が幅方向に互いに半ピッチずれた千鳥状の配列となっている。
【0042】
上記のようなコネクタC1、C2の構成において、ディスクリート線3およびフラット配線材6をそれぞれ回路基板Pに接続するには、図11(a),図12(a),13(a)に示すように、配線材側コネクタC1を基板側コネクタC2の前記嵌合用凹部10aに対向させ、配線材側コネクタC1の両支持部24a,24bの部分をその先端側から嵌合用凹部10aに差し込む。詳しくは、基板側コネクタC2に収納された上下二段の端子12のうち、上段の端子12Bの接続用撓み片14aと支持片14bとの間に配線材側コネクタC1の上側の支持部24aを、同じく下段の端子12Aの接続用撓み片14aと支持片14bとの間に配線材側コネクタC1の下側の支持部24bを差込みながら両コネクタC1,C2のハウジング同士を嵌合させる。このようにすると、ハウジング20が差し込まれるに伴い基板側コネクタC2の前記係止片17が外側に押し広げられ、両コネクタC1,C2が完全な嵌合状態となると、図13(b)に示すように係止片17のフック17aがハウジング20の係止部28に係合し、その結果、両コネクタC1,C2が嵌合状態にロックされる。
【0043】
そして、このようにコネクタC1,C2が完全な嵌合状態となると、図11(b)に示すように、各ディスクリート線3に装着された端子5の接触片5bに対して相手側端子12Bの接続用撓み片14aがそれぞれ接触し、正確には単位接触片36a,36bのうち上側に位置する単位接触片36a(又は36b)に対して相手側端子12Bの接続用撓み片14aがそれぞれ接触し、この接触により、各ディスクリート線3がそれぞれ対応する相手側端子12Bを介して回路基板Pの回路に接続されることとなる。また、図12(b)に示すように、フラット配線材6の各導体6aに対して相手側端子12Aの接続用撓み片14aがそれぞれ接触し、この接触によりフラット配線材6の各導体6aがそれぞれ対応する相手側端子12Aを介して回路基板Pの回路に接続されることとなる。
【0044】
この際、端子5の接触片5bが端子支持部24aにより、フラット配線材6の末端部分が端子支持部24bによりそれぞれ接続用撓み片14aの接触側とは反対側から支持されていることにより、端子5および導体6aが接続用撓み片14aおよび支持部14bの間に挟持(嵌合)された状態でも、端子5(接触片5b)やフラット配線材6(末端部分)の変形が有効に防止され、その結果、端子5および導体6aに対して各接続用撓み片14aが確実に接触することとなる。
【0045】
以上のような本発明に係るコネクタによると、ディスクリート線3とフラット配線材6の異なる線種の配線材を共通の基板側コネクタC2を用いて回路基板Pに対して接続することが可能となる。従って、ディスクリート線とフラット配線材のそれぞれについて個別のコネクタを用いる場合のように、配線材毎にコネクタの設計、製造等をする必要がなく、コネクタの設計等負担が軽減され、部品としてのコネクタハウジングの管理負担も軽減される。また、回路基板Pに対するディスクリート線3およびフラット配線材6の接続作業も、上記の通り基板側コネクタC2に対して配線材側コネクタC1を結合する一回の作業で行うことができるので、回路基板Pに対する配線材の接続等の作業性も良くなるというメリットがある。
【0046】
なお、この実施形態では、回路基板Pに実装された基板側コネクタC2に対してディスクリート線3とフラット配線材6の双方を保持した配線材側コネクタC1を結合することによりディスクリート線3およびフラット配線材6を回路基板Pに電気的接続するようにしているが、例えばフラット配線材6を上下二段に保持した以下のような配線材側コネクタC3(第3コネクタ)を用いることで、上記基板側コネクタC2をそのまま使って両フラット配線材6を回路基板Pに接続することもできる。
【0047】
図14,図15は、そのような上下二段にフラット配線材6を保持する配線材側コネクタC3の構成について説明する図である。なお、配線材側コネクタC3の構成は上記配線材側コネクタC1の構成と基本的に共通するため、以下の説明において、上述した配線材側コネクタC1と共通する部分については同一符号を付すことにより詳細説明を省略する。
【0048】
この配線材側コネクタC3のハウジング20(第3ハウジング)には、前記端子収納室22は設けられておらず、図15(a)に示すように差込孔23が上下二段に設けられ、各差込孔23に対してそれぞれ同一構成の上記リテーナ25が挿着されるようになっている。そして、配線材側コネクタC1の場合と同様にして、フラット配線材6とリテーナ25とが各差込孔23に対して一体的に挿着されることにより、図15(b)に示すように、二本のフラット配線材6が互いに平行な状態で上下二段に並び、かつ導体6aの露出部分が各リテーナ25により構成される支持部24a,24bによって支持された状態でハウジング20に保持されている。
【0049】
なお、この配線材側コネクタC3では、上下のフラット配線材6が、互いに導体6aの配列の半ピッチ分だけ幅方向にずれて保持されるようにハウジング20等が構成されており、これにより導体6aの配列が配線材側コネクタ全体として千鳥状の配列となっている。
【0050】
このような配線材側コネクタC3の構成によると、同コネクタC3を基板側コネクタC2の前記嵌合用凹部10aに対向させ、両支持部24a,24bの部分をその先端側から嵌合用凹部10aに差し込むと、基板側コネクタC2に収納された上下二段の端子12A,12Bのうち、上段の端子12Bの接続用撓み片14aと支持片14bとの間に配線材側コネクタC3のうち上段に保持されたフラット配線材6が差込まれる一方、下段の端子12Aの接続用撓み片14aと支持片14bとの間に配線材側コネクタC1の下段のフラット配線材6が差込まれる。この際、基板側コネクタC2の上下の端子12A,12Bは上述したように共にフラット配線材6の導体6aと等ピッチで配列されているため、配線材側コネクタC3の上段のフラット配線材6の各導体6aに対して基板側コネクタC2の上段の端子12Bの接続用撓み片14aが、配線材側コネクタC3の下段のフラット配線材6の各導体6aに対して基板側コネクタC2の下段の端子12Aの接続用撓み片14aがそれぞれ接触し、この接触により各フラット配線材6がそれぞれ対応する相手側端子12A,12Bを介して回路基板Pの回路に接続されることとなる。
【0051】
このように、上記実施形態のコネクタによると、ディスクリート線3およびフラット配線材6を回路基板Pに接続する場合だけではなく、2本のフラット配線材6を回路基板Pに接続する場合にも基板側コネクタC2をそのまま使用することができる。従って、基板側コネクタC2を共通化した合理的なコネクタ構成で回路基板Pに対する配線材の接続用途を広げることができるという利点がある。
【0052】
なお、上記実施形態のコネクタによると、さらに次ぎのような特徴もある。
【0053】
まず、配線材側コネクタC1における端子5の保持構造に関し、上記のようにインシュレーションバレル34のクリンプハイトhがクリンプワイドwよりも小さい(ディスクリート線3の直径dよりも小さい)扁平状態となるように端子5をディスクリート線3に装着し、さらにインシュレーションバレル34のクリンプハイトhが端子収納室22の並び方向に向くように端子5を横向きにした状態でハウジング20に収納するように構成しているので、換言すればインシュレーションバレル34のクリンプハイトhの方向に端子5を並べた状態でハウジング20に対して該端子5を収納するように配線材側コネクタC1を構成しているので、端子5の配列を効果的に狭ピッチ化することができ、その結果、複雑な端子構造を採ることなくフラット配線材6の導体6aと等ピッチで端子5をハウジング20に収納できる。すなわち、従来では、端子のインシュレーションバレルはディスクリート線の断面形状をほぼ維持しつつその被覆外側から抱え込むように圧着されており、そのため端子間ピッチの設定に際してはインシュレーションバレルのクリンプワイドによる制約を受け易く狭ピッチ化が難しい。これに対して、上記のように配線材側コネクタC1の構成によると、インシュレーションバレル34のクリンプハイトhの方向に端子5を並べるため端子間ピッチの設定に際してクリンプワイドwによる制約を受けることがなく、しかも、クリンプハイトhがクリンプワイドwよりも小さくなる扁平な状態でディスクリート線3に対してインシュレーションバレル34が圧着されているため、端子配列方向の占有スペースが効果的に縮小され、その結果、端子配列の狭ピッチ化が達成される。従って、複雑な端子構造を採ることなく端子5をフラット配線材6の導体6aと等ピッチで配列した状態でハウジング20内に収納できる。
【0054】
また、この配線材側コネクタC1では、図9に示したように、端子5が左右何れの何れの向き、つまり端子5のうちディスクリート線3の保持面側が端子収納室22の並び方向の一方側又は他方側の何れを向いた状態であっても端子5を端子収納室22に収納できるようにハウジング20が形成されているので、配線材側コネクタC1の組立に際してその作業性を向上させることができるとともに誤作業の発生を効果的に防止することができる。
【0055】
さらに、端子5の接触片5bが上記のように一対の単位接触片36a,36bを備えた断面コ字型の形状である点を利用し、支持部24に突起27を設けてこれを単位接触片36a,36bの間に挿入させることにより接触片5bを上下方向に拘束してその浮き上がりを防止するように構成しているで、コネクタ嵌合時には相手側端子12の接続用撓み片14aと支持片14bとの間にスムーズ、かつ確実に接触片5bを差し込んで接触片5bを接続用撓み片14aに接触させることができる。従って、端子同士の接触信頼性を高めることができるという効果もある。
【0056】
一方、基板側コネクタC2についても次のような効果がある。すなわち、上記の基板側コネクタC2では、固定金具15A,15Bにそれぞれ係止片17を設け、これら係止片17を配線材側コネクタC1のハウジング20に係合させるように構成しているが、当実施形態では、図2に示すように各係止片17が上下にオフセットされている結果、基板側コネクタC2の省スペース化が達成されるという効果がある。詳しく説明すると、基板側コネクタC2のハウジング10では、同図に示すように上段の端子収納室13の並びが下段の端子収納室13の並びに対して左側にずれた配列となっており、このずれに応じて、左側の固定金具15Aでは下段の端子収納室13の並びに係止片17が設けられ、右側の固定金具15Bの係止片17では上段の端子収納室13の並びに係止片17が設けられている。つまり、上記のような端子収納室13の左右方向のずれにより上段の端子収納室13の並びではハウジング10の右方端部に、下段の端子収納室13の並びではハウジング10の左方端部にそれぞれデッドスペースができる。そこで、この配線材側コネクタC1では、このデッドスペースに係止片17が位置するように各固定金具15A,15Bに係止片17を設けることによって、係止片17の撓み代を十分に確保しながら両固定金具15A,15Bをハウジング内にコンパクトに収納し得るようになっている。従って、この点で基板側コネクタC2の省スペース化が達成されている。
【0057】
なお、以上説明した基板側コネクタC2および配線材側コネクタC1は、本発明に係るコネクタの実施形態の一例であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0058】
例えば、上記の実施形態では、ディスクリート線3およびフラット配線材6を回路基板Pに接続する場合のコネクタ構成として本発明を適用しているが、勿論、ディスクリート線同士、フラット配線材同士を接続するコネクタ構成、あるいはディスクリート線とフラット配線材とを接続するコネクタ構成として本発明を適用することもできる。
【0059】
また、上記実施形態では、配線材側コネクタC1の端子5の配列をフラット配線材6の導体6aと等ピッチとしているが必ずしもこれに従う必要はなく、異なるピッチで配列するようにしてもよい。但し、端子5をフラット配線材6の導体6aと等ピッチで配列する構成によると、図14,図15を用いて説明したように、上下二段にフラット配線材6を保持した配線材側コネクタC3を共通の基板側コネクタC2を使って接続することが可能となるというメリットがある。
【0060】
また、実施形態では、基板側コネクタC2の端子12A,12Bとして共通したコ字型の接続部分(接続用撓み片14a、支持部14b)をもつ端子を使用しているが、勿論、端子12A,12Bとして互いに異なる形状の接続部分をもつ端子を使用してもよい。但し、実施形態のような共通の構成とすれば、端子12A,12Bの設計負担を軽減することができ、また、ハウジング10における端子収納室13の形状も共通化されるため、ハウジング10の設計、製造が容易になるというメリットがある。この場合、可能な場合には端子12A,12Bの全体を共通の形状とするのが好ましい。
【0061】
なお、この実施形態において「ディスクリート線」とは、単芯線、撚線、丸線、角線等、あらゆる独立した形態の電線であればよく、また導電性メッキ処理等の有無も問わないものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るコネクタを示す斜視図(一部分解図)である。
【図2】基板側コネクタの断面図である。
【図3】基板側コネクタの断面図である((a)は図2のA−A線断面図で、(b)は図2のB−B線断面図である)。
【図4】基板側コネクタに挿着される固定金具を示す斜視図である。
【図5】配線材側コネクタのハウジングを示す図である((a)はハウジング本体とこれに挿着リテーナをハウジング本体の後方側から視た斜視図で、(b)はハウジング本体を前方側から視た斜視図である)。
【図6】配線材側コネクタのハウジングとこれに到着される端子(ディスクリート線に装着されたもの)、フラット配線材およびリテーナを示した断面図である((a)はハウジングに端子、フラット配線材およびリテーナが挿着される前、(b)はハウジングに端子、フラット配線材およびリテーナが挿着された状態を示している)。
【図7】ディスクリート線とその末端に装着される端子を示す斜視図である((a)は装着前、(b)は装着後の状態である)。
【図8】(a)はディスクリート線に装着された端子のうちインシュレーションバレルの圧着部分を示す断面模式図で、(b)は端子装着前のディスクリート線を示す断面模式図である。
【図9】配線材側コネクタにおける支持部の縦断面図(端子収納室に収納された端子の向きを説明する図)である。
【図10】フラット配線材の末端部分を示す平面略図である。
【図11】基板側コネクタと配線材側コネクタとの接続過程を説明する縦断面図(配線材側コネクタの端子収納室部分での縦断面図)である((a)は接続前の状態、(b)は接続完了状態をそれぞれ示している)。
【図12】基板側コネクタと配線材側コネクタとの接続過程を説明する縦断面図(配線材側コネクタの端子収納室壁部分での縦断面図)である((a)は接続前の状態、(b)は接続完了状態をそれぞれ示している)。
【図13】基板側コネクタと配線材側コネクタとの接続過程を説明する平断面図(配線材側コネクタのフラット配線材支持部分での平断面図)である((a)は接続前の状態、(b)は接続完了状態をそれぞれ示している)。
【図14】基板側コネクタに接続可能な配線材側コネクタの他の例を示す斜視図および斜視分解図である。
【図15】図14の配線材側コネクタを示す縦断面図である((a)は分解図、(b)は組立図である)。
【符号の説明】
【0063】
C1 配線材側コネクタ(第1コネクタ)
C2 基板側コネクタ(第2コネクタ)
P 回路基板
3 ディスクリート線
5 端子(第1端子)
6 フラット配線材
6a 平角導体
10,20 コネクタハウジング
12A 端子(第3端子)
12B 端子(第2端子)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端部分に第1端子を装着したディスクリート線の前記第1端子を収納可能な複数の収納部と末端部分で導体を外部露出させたフラット配線材の前記末端部分を収納可能な収納部とを備えた第1ハウジングを有し、かつ前記収納部に前記第1端子およびフラット配線材をそれぞれ収納することにより前記第1ハウジングにより複数のディスクリート線およびフラット配線材を一体に保持した第1コネクタと、前記第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングを有し、かつこの第2ハウジングに前記第1端子に嵌合可能な第2端子およびフラット配線材の前記導体に嵌合可能な第3端子を保持した第2コネクタとからなり、
前記第1ハウジングは、前記複数のディスクリート線が一列に並び、かつその列と前記フラット配線材とが互いに平行な状態でその列と直交する方向に並ぶように前記ディスクリート線およびフラット配線材を保持する一方、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングに収納された第1端子に対応する配列で前記第2端子を保持するとともに第1ハウジングに収納されたフラット配線材の前記導体に対応する配列で前記第3端子を保持し、
前記両ハウジングを互いに嵌合させるとディスクリート線に装着された前記第1端子に第2端子が嵌合するとともにフラット配線材の前記導体に第3端子が嵌合するように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記第1端子はその先端にタブ状の接触片を持つ一方、前記第2端子および第3端子はそれぞれ接触片と支持片とを具備する共通した形状の接続部分を有し、これら接触片と支持片との間に前記第1端子のタブ状の接触片およびフラット配線材の導体を挟持するように構成され、
前記第1ハウジングと第2ハウジングを互いに嵌合させると、第1端子の前記タブ状の接触片が第2端子の接触片と支持片との間に挿入されて接触片同士が接触する一方、フラット配線材の末端部分が第3端子の接触片と支持片との間に挿入されて前記導体が前記接触片に接触するように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタにおいて、
前記第2端子と第3端子とが共通の形状を有していることを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のコネクタにおいて、
前記第2ハウジングは、その本体部分に対して脱着可能な板状の支持部材を有し、この支持部材上に前記フラット配線材の末端部分を重ねた状態でフラット配線材と前記支持部材とが一体に第2ハウジングに挿着されることにより、前記導体の露出部分をコネクタ接続方向に突出させ、かつこの突出部分を前記支持部材により支持した状態で前記フラット配線材を保持するように構成されるとともに、前記第1端子の収納部に対応する箇所に前記支持部材の突出部分と同形状の端子支持部を備え、この端子支持部により第2ハウジングに保持された各第1端子の前記タブ状の接触片をコネクタ接続方向に突出させた状態で支持するように構成され、
前記第1ハウジングと第2ハウジングとを互いに嵌合させると、第1端子の前記タブ状の接触片と端子支持部とが一体に前記第2端子の接触片と支持片との間に挿入される一方、フラット配線材の末端部分と前記支持部材とが一体に前記第3端子の接触片と支持片との間に挿入されるように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載のコネクタにおいて、
前記第1ハウジングは、各第1端子の配列ピッチがフラット配線材の前記導体の配列ピッチと等しくなるように前記第1端子を保持し、
前記第2ハウジングは、前記第2端子の配列および第3端子の配列が共にフラット配線材の配列ピッチと等しくなるように第2,第3端子を保持し、さらにこの第2ハウジングに嵌合可能な第3ハウジングにより前記フラット配線材を前記導体の配列方向と直交する方向に並べて保持した第3コネクタの前記第3ハウジングを前記第2ハウジングに嵌合させることにより、この第3コネクタの各フラット配線材の導体に対して第2端子および第3端子がそれぞれ接触し得るように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項1】
末端部分に第1端子を装着したディスクリート線の前記第1端子を収納可能な複数の収納部と末端部分で導体を外部露出させたフラット配線材の前記末端部分を収納可能な収納部とを備えた第1ハウジングを有し、かつ前記収納部に前記第1端子およびフラット配線材をそれぞれ収納することにより前記第1ハウジングにより複数のディスクリート線およびフラット配線材を一体に保持した第1コネクタと、前記第1ハウジングに嵌合可能な第2ハウジングを有し、かつこの第2ハウジングに前記第1端子に嵌合可能な第2端子およびフラット配線材の前記導体に嵌合可能な第3端子を保持した第2コネクタとからなり、
前記第1ハウジングは、前記複数のディスクリート線が一列に並び、かつその列と前記フラット配線材とが互いに平行な状態でその列と直交する方向に並ぶように前記ディスクリート線およびフラット配線材を保持する一方、
前記第2ハウジングは、前記第1ハウジングに収納された第1端子に対応する配列で前記第2端子を保持するとともに第1ハウジングに収納されたフラット配線材の前記導体に対応する配列で前記第3端子を保持し、
前記両ハウジングを互いに嵌合させるとディスクリート線に装着された前記第1端子に第2端子が嵌合するとともにフラット配線材の前記導体に第3端子が嵌合するように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記第1端子はその先端にタブ状の接触片を持つ一方、前記第2端子および第3端子はそれぞれ接触片と支持片とを具備する共通した形状の接続部分を有し、これら接触片と支持片との間に前記第1端子のタブ状の接触片およびフラット配線材の導体を挟持するように構成され、
前記第1ハウジングと第2ハウジングを互いに嵌合させると、第1端子の前記タブ状の接触片が第2端子の接触片と支持片との間に挿入されて接触片同士が接触する一方、フラット配線材の末端部分が第3端子の接触片と支持片との間に挿入されて前記導体が前記接触片に接触するように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタにおいて、
前記第2端子と第3端子とが共通の形状を有していることを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のコネクタにおいて、
前記第2ハウジングは、その本体部分に対して脱着可能な板状の支持部材を有し、この支持部材上に前記フラット配線材の末端部分を重ねた状態でフラット配線材と前記支持部材とが一体に第2ハウジングに挿着されることにより、前記導体の露出部分をコネクタ接続方向に突出させ、かつこの突出部分を前記支持部材により支持した状態で前記フラット配線材を保持するように構成されるとともに、前記第1端子の収納部に対応する箇所に前記支持部材の突出部分と同形状の端子支持部を備え、この端子支持部により第2ハウジングに保持された各第1端子の前記タブ状の接触片をコネクタ接続方向に突出させた状態で支持するように構成され、
前記第1ハウジングと第2ハウジングとを互いに嵌合させると、第1端子の前記タブ状の接触片と端子支持部とが一体に前記第2端子の接触片と支持片との間に挿入される一方、フラット配線材の末端部分と前記支持部材とが一体に前記第3端子の接触片と支持片との間に挿入されるように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載のコネクタにおいて、
前記第1ハウジングは、各第1端子の配列ピッチがフラット配線材の前記導体の配列ピッチと等しくなるように前記第1端子を保持し、
前記第2ハウジングは、前記第2端子の配列および第3端子の配列が共にフラット配線材の配列ピッチと等しくなるように第2,第3端子を保持し、さらにこの第2ハウジングに嵌合可能な第3ハウジングにより前記フラット配線材を前記導体の配列方向と直交する方向に並べて保持した第3コネクタの前記第3ハウジングを前記第2ハウジングに嵌合させることにより、この第3コネクタの各フラット配線材の導体に対して第2端子および第3端子がそれぞれ接触し得るように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−12717(P2006−12717A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191284(P2004−191284)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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