説明

コネクタ

【課題】 ケーブルとコネクタとを接続する際、圧着部材が動かず、又回転しないようにして、接続の信頼性を向上することができるコネクタを提供する。
【解決手段】 主外部導体20aに設けられる筒状の結線部22は、シールド電線30のシールド線33と圧着される。圧着部材20bは、結線部と協働してシールド線を挟持する。圧着部材には、シールド外筒部21と結線部の間に上下の蓋部23が設けられる。両蓋部は、後述する開口を被覆する。主外部導体の内部には、信号コンタクト10の信号線接続部11とシールド電線の信号線31が位置するので、上下方向から圧着用治具が挿入可能なように2箇所の開口が設けられる。圧着部材の蓋部には、係止部23bと一対の位置決め部23aが設けられる。係止部23bと係合する被係止部22aと、位置決め部23aと係合する被位置決め部41が、主外部導体に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルと接続するコネクタに関し、詳しく述べると、ケーブルとコネクタのコンタクトとの接続及びシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の同軸コネクタについて本出願前に頒布された刊行物を引用して説明する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図5と図6に示すように、同軸コネクタ104は、図中左半部がコネクタのプラグ部141、右半部が同軸コード101との接続部142であり、中心導体接続体105と外部導体接続体106とかしめ管107とから構成される。
【0004】
中心導体接続体105は、絶縁プッシュ151にて中心と軸方向の位置出しが行われ、接続部142は所定長さの円管形で、同軸コード101の中心導体102を挿入して圧着接続させるが、この挿入突き当たり位置近くの直径方向に貫通孔152が設けられる。
【0005】
外部導体接続体106は、中心導体102を同軸に囲む円筒状で、中心導体102の接続位置では前記貫通孔152と同方向に対向して円形の開口161が明けられ、同軸コード101との接続は、外部導体103と略同内径に細められた挿通孔162の外部面に、外部導体103を圧着接続させる構造とされる。
【0006】
かしめ管107は、外部導体103に重ねて、外部からかしめて圧着接続させ、かしめ部分以外は外部導体接続体106に外接して、少なくとも開口161を塞ぎ、遮蔽する形状に長く延ばされる。
【0007】
接続作業は、図6,7の圧着作業図に示すように、端末の各部を所定寸法に露出、端末処理させた同軸コード101を用い、かしめ管107を同軸コード101にはめてから、挿通孔162に中心導体102を通し、先端を中心導体接続体105の円管形部分に挿入させて行き、開口161から目視し、貫通孔152が中心導体102により塞がれる位置から突き当たるまでに進ませてから、圧着工具108を両開口161から接続部に当て支え、確実に接続させる。作業後も開口161から目視して、かしめ具合、及び貫通孔152が確実に中心導体102により塞がれていることを確認検査する。
【0008】
外部導体103の接続は、中心導体102を進ませる際に、挿通孔162の外部面に外部導体103を被せながら一緒に進ませれば、外部導体103は所定長さが被さり、中心導体102の接続の後に、前以って通しておいたかしめ管107を外部導体103に重なる所定位置に戻し、圧着工具181を用いてかしめ管107を六角形に変形するまでかしめる。これにより、外部導体接続体106に外部導体103は確実に圧着接続される。
【0009】
かしめ管107は所定位置に戻せば、片側は延びており、外部導体接続体106に外接して、開口161を塞いで、遮蔽する状態となる。
【0010】
【特許文献1】実開平2−69484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記従来の同軸コネクタでは、外部導体接続体106と同軸コード101等の全体が円筒状に構成されている。したがって、中心導体102と中心導体接続体105との圧着接続、及び、外部導体103と外部導体接続体106との圧着接続は、かしめ管107が動くこと及び回転に起因して、信頼性に欠ける。
【0012】
そこで、本発明は、前記従来の同軸コネクタの欠点を改良し、ケーブルとコネクタとを接続する際、厚着部材が抜け落ちることがなく、又回転しないようにして、接続の信頼性を向上することができるコネクタを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するため、次の手段を採用する。
【0014】
1.ケーブル30と接続するコネクタ1において、前記コネクタは、前記ケーブルの芯線31と接続する端子部11を備えるコンタクト10と、前記コンタクトを保持するハウジング40と、前記ケーブルのシールド線33と接続する結線部22を備える主外部導体20aと、前記シールド線を前記結線部と協働して挟持し、かつ、前記主外部導体に対して前記コンタクトの軸方向に装着される圧着部材20bとを有し、前記主外部導体は、前記コンタクトの端子部と対向し、前記コンタクトの軸方向と直交する方向に少なくとも一つの開口50と、少なくとも一つの被係止部22a,22a´とを有し、前記圧着部材は、前記開口を被覆する蓋部23と少なくとも一つの係止部23b,23´とを有し、前記圧着部材を前記主外部導体に装着した際、前記被係止部と前記係止部とが係合することにより、前記圧着部材が前記主外部導体への装着方向と反対方向への移動が阻止されるコネクタ。
【0015】
2.前記圧着部材は、位置決め部23aを有し、前記位置決め部と係合する被位置決め部41が前記ハウジング又は前記主外部導体の少なくとも一方に設けられる前記1記載のコネクタ。
【発明の効果】
【0016】
明細書の説明から明らかなように、本発明は、次の効果を奏する。
【0017】
圧着部材は係止部と位置決め部とを有し、ハウジング又は主外部導体の少なくとも一方に被位置決め部が設けられているので、ケーブルとコネクタとを接続する際、圧着部材が抜け落ちることがなく、又回転しない。したがって、シールド線の圧着接続の信頼性が、向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の一実施例の同軸コネクタについて図1〜図4を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の同軸コネクタ1の信号コンタクト10の信号線接続部11とシールド電線30の信号線31とが、また、主外部導体20aの結線部22とシールド電線30のシールド線33とが、それぞれ圧着により接続される前の状態を示す正面図である。
【0020】
図2は、同状態の断面図である。
【0021】
同軸コネクタ1の中心に配設される信号コンタクト10は、絶縁体製のハウジング40内にそのコンタクト保持部12によって位置決めされて保持される。ハウジング40は、シールド外筒部21により被覆される。外部導体20(図3参照)は、主外部導体20aと、後述する圧着部材20bとから構成される。主外部導体20aは、シールド外筒部21と結線部22とを有する。
【0022】
主外部導体20aには、被係止部22a、22a´が設けられる。主外部導体20aに設けられる筒状の結線部22は、シールド電線30のシールド線33と圧着される。圧着部材20bは、結線部22と協働してシールド線33を挟持する。圧着部材20bには、上下の蓋部23が設けられる。両蓋部23は、結線部22と協働してシールド線33を挟持する円筒部分から延設され、略平板状に形成され、後述する開口50を被覆する。
【0023】
従来の同軸コネクタでは、外部導体接続体の開口をシールドすること等のために、外部導体接続体の全周を被覆する必要がある。これに対して、本発明では、圧着部材の蓋部は、開口のみを被覆する。したがって、構造が簡素である。
【0024】
主外部導体20aの内部には、信号コンタクト10の信号線接続部11とシールド電線30の信号線31が位置するので、上下方向から圧着用治具が挿入されることができるように2箇所の開口50が設けられる。開口50は、半田付けの場合には、1箇所で足りる。なお、シールド電線30の信号線31は、内被32により被覆される。
【0025】
また、圧着部材20bの両蓋部23には、係止部23b、23b´と一対の位置決め部23aが設けられる。位置決め部23aと係合する被位置決め部41は、シールド外筒部21に設けられるが、ハウジング40に設けることもでき、更に、ハウジング40とシールド外筒部21の両方に設けることもできる。
【0026】
図1,2の状態において、圧着部材20bを同軸コネクタ1の信号コンタクト10の軸方向(図の右方向)に移動させると、圧着部材20bの係止部23b、23b´と主外部導体20aの被係止部22a、22a´とが係合し、又、圧着部材20bの一対の位置決め部23aはシールド外筒部21の一対の被位置決め部41と係合し、図3,4の状態に至る。
【0027】
係止部23b、23b´と被係止部22a、22a´とが係合することにより、圧着部材20bが主外部導体20aに保持され、軸方向における装着方向とは反対側への移動を阻止される。すなわち、圧着部材20bが主外部導体20aから抜け落ちない。又、装着方向への移動は、位置決め部23aと被位置決め部41とにより阻止される。位置決め部23aと被位置決め部41とが係合することにより、軸方向と直交する方向で主外部導体20aから遠ざかる方向への蓋部23の移動が阻止される。すなわち、蓋部23の浮きが防止される。又、圧着部材20bが回転する回転方向への移動も防止される。
【0028】
係止部23b、23b´と被係止部22a、22a´は図2で上下に両方設けたが、上のみ、すなわち係止部23bと被係止部22aだけでも良いし、下側にのみ設けても良い。
【0029】
図3,4の状態において、圧着用治具によってシールド電線30の信号線31と信号コンタクト10の信号線接続部11とを図2の上下の矢印方向に圧着して接続する。次に、同一の圧着用治具又は他の圧着用治具によってシールド電線30のシールド線33と主外部導体20aの結線部22とを図4の矢印方向に圧着して接続する。
【0030】
結線部22は凹部22bを有するので、シールド線33を圧着した際、シールド線33が凹部22bに入り込み、接続の信頼性及び保持強度に優れる。又、爪部22cがシールド電線30の被覆に食い込むので、電線の保持強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1の同軸コネクタとシールド電線とが圧着により接続される前の状態を示す正面図である。
【図2】同状態の一部を断面にした側面図である。
【図3】本発明の実施例1の同軸コネクタとシールド電線とが圧着により接続された後の状態を示す正面図である。
【図4】同状態の側面断面図である。
【図5】従来の同軸コネクタの断面図である。
【図6】同コネクタにおける中心導体を圧着作業するときの断面図である。
【図7】同コネクタにおける外部導体を圧着作業するときの断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 同軸コネクタ
10 信号コンタクト
11 信号線接続部
12 コンタクト保持部
20 外部導体
20a 主外部導体
20b 圧着部材
21 シールド外筒部
22 結線部
22a,22a´ 被係止部
22b 凹部
22c 爪部
23 蓋部
23a 位置決め部
23b,23b´ 係止部
30 シールド電線
31 信号線
32 内被
33 シールド線
40 ハウジング
41 被位置決め部
50 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルと接続するコネクタにおいて、
前記コネクタは、前記ケーブルの芯線と接続する端子部を備えるコンタクトと、前記コンタクトを保持するハウジングと、前記ケーブルのシールド線と接続する結線部を備える主外部導体と、前記シールド線を前記結線部と協働して挟持し、かつ、前記主外部導体に対して前記コンタクトの軸方向に装着される圧着部材とを有し、
前記主外部導体は、前記コンタクトの端子部と対向し、前記コンタクトの軸方向と直交する方向に少なくとも一つの開口と、少なくとも一つの被係止部とを有し、
前記圧着部材は、前記開口を被覆する蓋部と少なくとも一つの係止部とを有し、
前記圧着部材を前記主外部導体に装着した際、前記被係止部と前記係止部とが係合することにより、前記圧着部材が前記主外部導体への装着方向と反対方向への移動が阻止されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記圧着部材は、位置決め部を有し、前記位置決め部と係合する被位置決め部が前記ハウジング又は前記主外部導体の少なくとも一方に設けられることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−66149(P2008−66149A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243387(P2006−243387)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)