説明

コネクタ

【課題】金属性部材で構成されるコンタクトを金属性板部材で構成されたフレームに絶縁接合することで、従来の如く樹脂性部材で形成されたフレームと異なり樹脂では限界であった薄型及び薄型に伴い発生する剛性等が確保され、薄型・小型化が容易に達成できるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタは、金属性板部材に、コンタクトを絶縁接合する接合部を備えたフレームと、金属性部材で構成され、接点部と端子部を有するコンタクトと、からなり、前記接合部に絶縁膜を施し、前記コンタクトの接点部と端子部を除いた部位に絶縁膜を施し、前記絶縁膜を施した前記コンタクトの部位を、前記絶縁膜を施した接合部に接合させたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関し、詳しくは金属性部材で構成されたコンタクトを取り付けるフレームを金属性部材で形成したコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術におけるコネクタとして、金属性部材で構成されるコンタクトを絶縁性のある樹脂製ハウジング(フレーム)に、圧入又はインサート成形することでコンタクトを固定し、コネクタとしての機能、ばね性、導通、絶縁等を持たせていた。
フレームにコンタクトを圧入するためには、図11に示すように、薄く形成された樹脂製フレーム111の端子挿入口112にコンタクト113を並べた状態で一度に挿入することにより圧入固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2000−150078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術で説明した、コネクタにおいては薄型、小型化に伴い、フレームも薄型化されるため、コンタクトを圧入すると、フレーム自体が反ってしまい、又、樹脂製ハウジングの薄型・小型化に伴い、剛性、耐熱性が低下してしまい、コネクタ性能が低下するという問題がある。
【0005】
従って、更なる薄型・小型化に伴う樹脂で生成されているハウジング(フレーム)には限界があり、金属性部材で形成されているコンタクトを如何にして薄型に対応したフレームに取り付けるかに解決しなければならない課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明のコネクタは、次に示す構成にしたことである。
【0007】
(1)コネクタは、金属性部材で構成されるコンタクトを、金属性部材で構成されるフレームに絶縁接合したことである。
(2)前記絶縁接合したコンタクトの接点部が臨んでいる前記フレームの表面を覆うようにシールドカバーを被せ、該シールドカバーと前記フレームで形成される空間がメモリカードを挿入するカード挿入経路を形成する(1)に記載のコネクタ。
【0008】
(3)コネクタは、金属性板部材に、コンタクトを絶縁接合する接合部を備えたフレームと、金属性部材で構成され、接点部と端子部を有するコンタクトと、からなり、前記接合部に絶縁膜を施し、前記コンタクトの接点部と端子部を除いた部位に絶縁膜を施し、前記絶縁膜を施した前記コンタクトの部位を、前記絶縁膜を施した接合部に接合させたことである。
(4)前記絶縁接合したコンタクトの接点部が臨んでいる前記フレームの表面を覆うようにシールドカバーを被せ、該シールドカバーと前記フレームで形成される空間がメモリカードを挿入するカード挿入経路を形成する(3)に記載のコネクタ。
(5)コネクタは、金属性板部材に、コンタクトを絶縁接合するための部位を切り欠いて形成された接合部を備えたフレームと、金属性部材で構成され、接点部と端子部を有するコンタクトと、からなり、前記接合部の裏面に絶縁膜を施し、前記コンタクトの接点部と端子部を除いた部位の表面に絶縁膜を施し、前記絶縁膜を施した前記コンタクトの部位表面を、前記絶縁膜を施した接合部の裏面から前記接点部を臨ませた状態にして接合したことである。
(6)前記絶縁接合したコンタクトの接点部が臨んでいる前記フレームの表面を覆うようにシールドカバーを被せ、該シールドカバーと前記フレームで形成される空間がメモリカードを挿入するカード挿入経路を形成する(5)に記載のコネクタ。
(7)前記接合部の裏面を肉薄に形成したことを特徴とする(5)に記載のコネクタ。
(8)前記フレームの表面に絶縁膜を施したことを特徴とする(5)に記載のコネクタ。
【0009】
(9)コネクタは、金属性板部材に、コンタクトを絶縁接合するための部位を切り欠いて形成された接合部を備えたフレームと、金属性部材で構成され、接点部と端子部を有するコンタクトと、からなり、前記接合部の表面に絶縁膜を施し、前記コンタクトの接点部と端子部を除いた部位の裏面に絶縁膜を施し、前記絶縁膜を施した前記コンタクトの部位裏面を、前記絶縁膜を施した接合部の表面に接合したことである。
(10)前記絶縁接合したコンタクトの接点部が臨んでいる前記フレームの表面を覆うようにシールドカバーを被せ、該シールドカバーと前記フレームで形成される空間がメモリカードを挿入するカード挿入経路を形成する(9)に記載のコネクタ。
(11)前記接合された前記コンタクトの接点部と端子部を除く部位の表面に絶縁膜を施したことを特徴とする(9)に記載のコネクタ。
【0010】
(12)コネクタは、金属性板部材に、コンタクトを絶縁接合するための部位を切り欠いて形成された接合部を備えたフレームと、金属性部材で構成され、接点部と端子部を有するコンタクトと、からなり、前記接合部の破断面と前記コンタクトの側面との間に絶縁接着剤を充填して前記接合部に前記コンタクトを絶縁接合したことである。
(13)前記絶縁接合したコンタクトの接点部が臨んでいる前記フレームの表面を覆うようにシールドカバーを被せ、該シールドカバーと前記フレームで形成される空間がメモリカードを挿入するカード挿入経路を形成する(12)に記載のコネクタ。
(14)前記接合された前記コンタクトの接点部と端子部を除く部位の表面に絶縁膜を施し、前記フレームの表面に絶縁膜を施したことを特徴とする(12)に記載のコネクタ。
【発明の効果】
【0011】
本提案によれば、金属性部材で構成されるコンタクトをやはり金属性部材で構成されたフレームに絶縁接合することで、従来の如く樹脂性部材で形成されたフレームと異なり樹脂では限界であった薄型及び薄型に伴い発生する剛性等が確保され、薄型・小型化が容易に達成できる。
又、記述したようにフレームを金属性部材で構成することによりコネクタに必要とされる剛性(反り低減を含む)、耐熱性(特に実装時の耐熱性)、絶縁性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本願発明に係る第1実施形態のコネクタの表面側を略示的に示した斜視図である。
【図2】同、コネクタの裏面側を略示的に示した斜視図である。
【図3】同、フレームとコンタクトの絶縁膜を施す領域を斜線で示した説明図である。
【図4】同、フレームの表面側の絶縁膜を施す領域を斜線で示した説明図である。
【図5】本願発明に係る第2実施形態のコネクタの表面側を略示的に示した斜視図である。
【図6】同、コネクタの裏面側を略示的に示した斜視図である。
【図7】同、フレームとコンタクトの絶縁膜を施す領域を斜線で示した説明図である。
【図8】本願発明に係る第3実施形態のコネクタの表面側を略示的に示した斜視図である。
【図9】同、コネクタの裏面側を略示的に示した斜視図である。
【図10】同、フレームとコンタクトの接合状態を示した説明図である。
【図11】従来技術におけるフレームとコンタクトの様子を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本願発明に係るコネクタの第1実施形態について、図面を参照して以下説明する。
【0014】
本願発明の第1実施形態のコネクタは、図1乃至図4に示すように、金属性部材で構成されるコンタクトを金属性部材で構成されるフレーム12に絶縁接合した構成となっている。
【0015】
フレーム12は、金属性板部材で形成され、略四角形状に形成された左右両端部を折り曲げて左壁13及び右壁14を形成し、その後端部も折り曲げて後端壁15を形成し、この左壁13、右壁14、後端壁15で挟まれた表面17領域がメモリカード51を挿入するカード挿入経路16を形成し、且つメモリカード51の接点52と接触するコンタクト(第1のコンタクト31、第2のコンタクト41)を絶縁接合した構成となっている。
そして、左壁13及び右壁14の頂端部に亘らせるようにシールドカバー38を被せることで、シールドカバー38の裏面とカード挿入経路16との間にメモリカード51を挿入させる空間を形成する。
【0016】
このカード挿入経路16には、フレーム12の裏面18手前側に第1のコンタクト31を絶縁接合する刳り貫いて形成されたコンタクト貫通孔25を有する第1の接合部21を備え、裏面18奥側に第2のコンタクト41を絶縁接合する切り欠いて形成されたコンタクト貫通孔26を有する第2の接合部22を備えた構成になっている。
【0017】
第1の接合部21は、長方形状に刳り貫いたコンタクト貫通孔25を備え、そのコンタクト貫通孔25の周囲は板厚を薄くした第1の接合凹部23を形成する。この第1の接点凹部23には、絶縁性接着剤や絶縁テープを貼付ける(図3における斜線の部分)構成となっている。
【0018】
第1のコンタクト31は、金属性板部材を長方形のフレーム状に形成した枠体32と、枠体32の一辺から外方向に導き出された端子部33と、端子部33の反対側から枠体32に連設してフレーム状に形成した中央位置に向かってバネ性を持たせて反り返えさせた接点部34を形成する。
この枠体32の部分がコンタクト貫通孔25の縁部、即ち、第1の接合凹部23に載せることで第1のコンタクト31を装着する。
又、この枠体32の反り返る接点部34側の全面、即ち、接点部34と端子部33以外の表面35部位は、絶縁塗膜工程により絶縁膜が施される(図3における斜線の部分)。
絶縁塗膜工程は、即ち絶縁膜被膜工程で、先ず、脱脂、マスキングをして、液温30℃前後で数分間の被膜を行う。次に、被膜した部材を洗浄して、温度が約200℃で時間が約20分程度加熱して硬化させる。硬化させた部材は冷却して絶縁膜が施される。
【0019】
第2の接合部22は、長方形状に切り欠いたコンタクト貫通孔26を備え、そのコンタクト貫通孔26の周囲は板厚を薄くした第2の接合凹部24を形成する。この第2の接点凹部24には、絶縁性接着剤や絶縁テープを貼付ける(図3における斜線の部分)構成となっている。
【0020】
第2のコンタクト41は、金属性板部材を長方形のフレーム状に形成した枠体42と、枠体42の一辺から外方向に導き出された端子部43と、端子部43を設けた枠体42の対向する枠体に連設してフレーム状に形成した中央位置に向かってバネ性を持たせて反り返えさせた接点部44を形成する。
この枠体42の部分、即ち、接点部44と端子部43以外の部分がコンタクト貫通孔26の縁部、即ち、第2の接合凹部24に載せることで第2のコンタクト41を装着する。
又、この枠体42の反り返る接点部44側の全面、即ち、接点部44と端子部43以外の表面45部位は、絶縁塗膜工程により絶縁膜が施されている(図3における斜線の部分)。
【0021】
このような構成からなるフレーム12に第1及び第2のコンタクト31、41を絶縁接合して組み立て、シールドカバー38を被せることでコネクタが完成する。
先ず、図4に示すように、フレーム12の表面17には、絶縁膜が施されている(斜線の部分)。
そして、第1のコンタクト31を形成する枠体32の表面35全面に絶縁膜を施す(図3に示す斜線の部分)。同様に第2のコンタクト41を形成する枠体42の表面45全面にも絶縁膜を施す(図3に示す斜線の部分)。
次に、図3に示すように、フレーム12の裏面18側のコンタクト貫通孔26の周囲の第1の接合凹部23に絶縁テープを貼り付ける(図3の斜線の部分)。同様に、コンタクト貫通孔25の周囲の第2の接合凹部24に絶縁テープを貼り付ける(図3の斜線の部分)。
この状態で絶縁テープを貼り付けた第1の接合凹部23に絶縁膜を施した第1のコンタクト31の枠体32を装着させ、且つ絶縁テープを貼り付けた第2の接合凹部24に絶縁膜を施した第2のコンタクト41の枠体42を装着させる。
これで、金属性部材で形成されたフレーム12にやはり金属性部材で形成された第1及び第2のコンタクト31、41が電気的に絶縁された状態で取り付けることができる。そして、フレーム12の表面17側であるコネクタ貫通孔25、26から第1及び第2のコンタクト31、41の接点部34、44が臨ませて配列されている上部位置を覆うようにシールドカバー38を被せることでコネクタが完成する。
尚、第1実施形態におけるコンタクト(第1及び第2のコンタクト)を接合させるフレームにシールドカバーを被せる構造となっているが、これに限定されることなく、フレーム自体をシールドカバーも兼ねた構造のケースに形成してもよい。このケースはメモリカードの挿入口側(図1において手前側)が開口した箱状に曲げ加工又は絞り加工にて形成するようにして、メモリカードが挿入できる構造にすればよい。この場合、カバーの部分は箱状に全てを覆うような形状でなくともよく、メモリカードの両側を挿入方向に正常な接続位置まで案内できてメモリカードを挿入してコンタクトに電気的な接触が確保できる様にカード挿入経路16の両端がコ字状に折曲された構造であってもよい。
又、フレームに接合するコンタクトの接合面やコンタクトが接合されるフレーム表面は粗面にして接合面積を増加させるようにしてもよい。
更に、コンタクト(第1及び第2のコンタクト)の構造は、実施例においては長方形状のフレーム形状の枠体32を有する形状になっているがこれに限定されることなく、例えば、細長い板状部材を屈曲させて、先端側に接点部を設けた弾性片を、他端側に端子部を直線状に形成するようにしてもよい。この場合、接合面は、弾性片と端子部の間に設けた水平形状に設ければ良い。
【0022】
次に、本願発明に係るコネクタの第2実施形態について、図面を参照して以下説明する。
【0023】
本願発明の第2実施形態のコネクタは、図5乃至図7に示すように、金属性部材で構成されるコンタクトを金属性部材で構成されるフレーム12の表面にコンタクト(第1及び第2のコンタクト31、41)の裏面を絶縁接合した構成となっている。
【0024】
フレーム12は、第1実施形態で説明したフレームと同様に、金属性板部材で形成され、略四角形状に形成された左右両端部を折り曲げて左壁13及び右壁14を形成し、その後端部も折り曲げて後端壁15を形成し、この左壁13、右壁14、後端壁15で挟まれた領域がメモリカード51を挿入するカード挿入経路16を形成し、且つメモリカード51の接点52と接触するコンタクト(第1及び第2のコンタクト31、41)を絶縁接合した構成となっている。
そして、左壁13及び右壁14の頂端部を亘らせるようにシールドカバー38を被せることで、シールドカバー38の裏面とカード挿入経路16との間にメモリカード51を挿入させる空間を形成する。
【0025】
このカード挿入経路16には、表面17手前側に第1のコンタクト31の裏面に絶縁接合する刳り貫いて形成されたコンタクト貫通孔25を有する第1の接合部21を備え、表面17奥側に第2のコンタクト41を絶縁接合する切り欠いて形成されたコンタクト貫通孔26を有する第2の接合部24を備えた構成になっている。
【0026】
第1の接合部21は、長方形状に刳り貫いたコンタクト貫通孔25を備え、そのコンタクト貫通孔25の表面17周囲は、絶縁性接着剤や絶縁テープを貼付ける(図7に示す点線で囲った部分)構成となっている。
【0027】
第1のコンタクト31は、金属性板部材を長方形のフレーム状に形成した枠体32と、枠体32の一辺から外方向に導き出された端子部33と、端子部33の反対側から枠体32に連設してフレーム状に形成した中央位置に向かってバネ性を持たせて反り返えさせた接点部34を形成する。同様に、接点部34と端子部33を除いた枠体32の表面35にも絶縁塗膜工程により絶縁膜が施されている(図7の斜線の部分)。
この枠体32の裏面を第1の接合部21のコンタクト貫通孔25の縁部に載せることで第1のコンタクト31を装着する。
又、この枠体32の反り返る接点部34の反対側の裏面36は、絶縁塗膜工程により絶縁膜が施されている(図7の斜線の部分)。
【0028】
第2の接合部24は、長方形状に切り欠いたコンタクト貫通孔26を備え、そのコンタクト貫通孔26の表面17周囲は、絶縁性接着剤や絶縁テープを貼付ける構成となっている(図7に示す点線で囲った部分)。
【0029】
第2のコンタクト41は、金属性板部材を長方形のフレーム状に形成した枠体46と、枠体46の一辺から外方向に導き出された端子部と、端子を設けた枠体の対向する枠体に連設してフレーム状に形成した中央位置に向かってバネ性を持たせて反り返えさせた接点部を形成する。
この枠体の裏面を第2のコンタクト貫通孔の縁部に載せることで第2のコンタクトを装着する。
又、この枠体46の反り返る接点部44の反対側の裏面46は、絶縁塗膜工程により絶縁膜が施されている(図7の斜線の部分)。同様に、接点部44と端子部43を除いた枠体42の表面45にも絶縁塗膜工程により絶縁膜が施されている(図7の斜線の部分)。
【0030】
このような構成からなるフレーム12に第1及び第2のコンタクト31、41を絶縁接合して組み立て、シールドカバー38を被せることでコネクタが完成する。
先ず、図7に示すように、フレーム12の表面17には、絶縁膜が施されている(斜線の部分)。
そして、第1のコンタクト31を形成する枠体32の裏面36全面に絶縁膜を施す(図7の斜線部分)。同様に、第2のコンタクト41を形成する枠体42の裏面46全面にも絶縁膜を施す(図7の斜線部分)。
次に、フレーム12の表面17側の第1の接合部21のコンタクト貫通孔25の周囲に絶縁テープを貼り付ける(図7の点線で囲った部分)。同様に,コンタクト貫通孔26の周囲に絶縁テープを貼り付ける(図7の点線で囲った部分)。
この状態で絶縁テープを貼り付けたコンタクト貫通孔25の周囲に絶縁膜を施した第1のコンタクト31の枠体32の裏面36側を装着させ、且つ絶縁テープを貼り付けた第2の接合部22のコンタクト貫通孔26の周囲に絶縁膜を施した第2のコンタクト41の枠体42の裏面46側を装着させる。
これで、金属性部材で形成されたフレーム12にやはり金属性部材で形成された第1及び第2のコンタクト31、41が電気的に絶縁された状態で取り付けることができる。そして、フレーム12の表面17側にシールドカバー38を被せることでコネクタが完成する。
【0031】
次に、本願発明に係るコネクタの第3実施形態について、図面を参照して以下説明する。
【0032】
本願発明の第3実施形態のコネクタは、図8乃至図10に示すように、金属性部材で構成されるコンタクトを金属性部材で構成されるフレームに設けたコンタクト貫通孔の破断面にコンタクトの側面(破断面)を絶縁接合した構成となっている。
【0033】
フレーム12は、第1実施形態で説明したフレームと同様に金属性板部材で形成され、略四角形状に形成された左右両端部を折り曲げて左壁13及び右壁14を形成し、その後端部も折り曲げて後端壁15を形成し、この左壁13、右壁14、後端壁15で挟まれた領域がメモリカード51を挿入するカード挿入経路16を形成し、且つメモリカード51の接点52と接触するコンタクト(第1及び第2のコンタクト31、41)を絶縁接合した構成となっている。
そして、左壁13及び右壁14の頂端部に亘らせるようにシールドカバー38を被せることで、シールドカバー12の裏面とカード挿入経路16との間にメモリカード51を挿入させる空間を形成する。
【0034】
このカード挿入経路51には、手前側に第1のコンタクト31が収納できる大きさに切り欠いて形成されたコンタクト貫通孔25を有する第1の接合部21を備え、奥側に第2のコンタクト41が収納できる大きさに刳り貫いて形成されたコンタクト貫通孔26を有する第2の接合部22を備えた構成になっている。
【0035】
第1の接合部21は、端部から長方形状に切り欠いたコンタクト貫通孔25を備え、このコンタクト貫通孔25には第1のコンタクト31が収納できる大きさに形成されている。
【0036】
第1のコンタクト31は、金属性板部材を長方形のフレーム状に形成した枠体32と、枠体32の一辺から外方向に導き出された端子部33と、端子部33の反対側から枠体32に連設してフレーム状に形成した中央位置に向かってバネ性を持たせて反り返えさせた接点部34を形成する。
図10に示すように、この枠体32の側面37をコンタクト貫通孔25の破断面27に合わせ、その合わせた隙間に絶縁接着剤を充填して接着させることで第1のコンタクト31を絶縁接合する。
又、この枠体32の反り返る接点部34側の表面35は、絶縁塗膜工程により絶縁膜が施されている。
ここで、絶縁接着剤で接着する枠体32の側面37とコンタクト貫通孔25の破断面27とは略並行状態に形成されているが、これに限定されることなく、例えば、コンタクト貫通孔25の破断面27の形状を下方拡がりの形状にすることにより、下端部分への絶縁接着剤の量を多くすることができ、第1のコンタクト31の上方向への抜けを防止できる。
【0037】
第2の接合部22は、端部から長方形状に切り欠いたコンタクト貫通孔26を備え、このコンタクト貫通孔25には第2のコンタクト41が収納できる大きさに形成されている。
【0038】
第2のコンタクト41は、金属性板部材を長方形のフレーム状に形成した枠体42と、枠体42の一辺から外方向に導き出された端子部43と、端子部43を設けた枠体42の対向する枠体に連設してフレーム状に形成した中央位置に向かってバネ性を持たせて反り返えさせた接点部44を形成する。
図10に示すように、この枠体42の側面37をコンタクト貫通孔26の破断面27に合わせ、その合わせた隙間に絶縁接着剤を充填して接着させることで第2のコンタクト41を絶縁接合する。
又、この枠体42の反り返る接点部44側の表面45は、絶縁塗膜工程により絶縁膜が施されている。
ここで、絶縁接着剤で接着する枠体42の側面47とコンタクト貫通孔26の破断面28とは略並行状態に形成されているが、これに限定されることなく、例えば、コンタクト貫通孔26の破断面28の形状を下方拡がりの形状にすることにより、下端部分への絶縁接着剤の量を多くすることができ、第2のコンタクト41の上方向への抜けを防止できる。
【0039】
このような構成からなるフレーム12に第1及び第2のコンタクト31、41を絶縁接合して組み立て、シールドカバー38を被せることでコネクタが完成する。
先ず、第1のコンタクト31を形成する枠体32の表面35全面に絶縁膜を施す。同様に、第2のコンタクト41を形成する枠体42の表面45全面にも絶縁膜を施す。
次に、フレーム12の表面17全面に絶縁膜を施す。
この状態で第1の接合部21のコンタクト貫通孔25の破断面27と第1のコンタクト31の枠体32の側面37との間に絶縁接着剤を充填して接着させ、第2の接合部22のコンタクト貫通孔26の破断面28と第2のコンタクト41の枠体42の側面47との間に絶縁接着剤を充填して接着させる。
これで、金属性部材で形成されたフレーム12にやはり金属性部材で形成された第1及び第2のコンタクト31、41が電気的に絶縁された状態で取り付けることができる。そして、フレーム12の表面17側にシールドカバー38を被せることでコネクタが完成する。
このように、第3実施形態のフレームには、コンタクトをコンタクト貫通孔の破断面に合わせて絶縁接着剤を充填する、所謂、化学的な接続形態となっているが、これに限定されることなく、コンタクトとフレームを付き合わせる破断面に絶縁を施して、その付き合わせた面にプレス等をかけることで機械的に固定するようにしてもよく、付き合わせる破断面にシリコン樹脂を入れて絶縁性を担保してシリコン樹脂の弾性によって固定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
金属性部材で構成されるコンタクトをやはり金属性板部材で構成されたフレームに絶縁接合することで、従来の如く樹脂性部材で形成されたフレームと異なり樹脂では限界であった薄型及び薄型に伴い発生する剛性等が確保され、薄型・小型化が容易に達成できるコネクタを提供する。
【符号の説明】
【0041】
12 フレーム
13 左壁
14 右壁
15 後端壁
16 カード挿入経路
17 表面
18 裏面
21 第1の接合部
22 第2の接合部
23 第1の接合凹部
24 第2の接合凹部
25 コンタクト貫通孔
26 コンタクト貫通孔
27 破断面
28 破断面
31 第1のコンタクト
32 枠体
33 端子部
34 接点部
35 表面
36 裏面
37 側面
38 シールドカバー
41 第2のコンタクト
42 枠体
43 端子部
44 接点部
45 表面
46 裏面
47 側面
51 メモリカード
52 接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点部(34,44)と端子部(33,43)を有する金属性部材で構成されるコンタクト(31,41)と、
コンタクト(31,41)が装着される接合部(21,22)を有する金属性部材で構成されるフレーム(12)とから成るコネクタであって、
接合部(21,22)に装着する部位に塗膜工程により絶縁膜を施したコンタクト(31,41)を絶縁性接着剤によって接合部(21,22)に装着することで、
コンタクト(31,41)をフレーム(12)に電気的に絶縁された状態で取り付ける絶縁接合をしたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
接合部(21,22)に絶縁膜を施したことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
板厚を薄くした接合凹部(23,24)を接合部(21,22)に形成したことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項4】
接合部(21,22)には、コンタクト貫通孔(25,26)を有し、
コンタクト貫通孔(25,26)から接点部(34,44)を臨ませた状態にして、コンタクト(31,41)を、フレーム(12)の裏面(18)に設けられた接合部(21,22)に絶縁接合したことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項5】
コンタクト(31,41)を、フレーム(12)の表面(17)に設けられた接合部(21,22)に絶縁結合したことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項6】
接合部(21,22)には、コンタクト(31,41)を収納できる大きさに切り欠いて形成されたコンタクト貫通孔(25,26)を有し、
コンタクト貫通孔(25,26)の破断面と前記コンタクト(31,41)の側面との間に絶縁性接着剤を充填して、
コンタクト(31,41)をフレーム(12)に絶縁接合をしたことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項7】
接点部(34,44)が臨むフレーム(12)の表面を覆うようにシールドカバー(38)を被せ、シールドカバー(38)とフレーム(12)で形成される空間にメモリカード(51)を挿入するカード挿入経路を形成する請求項1記載のコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−9447(P2012−9447A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184136(P2011−184136)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【分割の表示】特願2008−146289(P2008−146289)の分割
【原出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】