コネクタ
【課題】コネクタハウジングを大型化することなく、ロック片に他の部材が接触することを抑制すると共に、相手側ハウジングとの嵌合作業時の引っ掛かりを抑制する。
【解決手段】雌型端子24を収容する雌側ハウジング20と、幅方向外側に弾性変形可能な一対のロック片46を幅方向両端部に有するリテーナ40とを備えたコネクタ10であって、雌側ハウジング20には、同雌側ハウジング20の両側壁20Aの内側にロック片46を収容するロック片収容部29がそれぞれ形成されており、ロック片収容部29の幅方向内側の内面には、ロック片46が弾性変形して乗り上げ、弾性復帰することで係止する仮係止突起30及び本係止突起31が形成されており、雌側ハウジング20の側壁20Aには、ロック片46の弾性変形を許容する貫通孔32が側壁20Aを貫通して形成されていることを特徴とする。
【解決手段】雌型端子24を収容する雌側ハウジング20と、幅方向外側に弾性変形可能な一対のロック片46を幅方向両端部に有するリテーナ40とを備えたコネクタ10であって、雌側ハウジング20には、同雌側ハウジング20の両側壁20Aの内側にロック片46を収容するロック片収容部29がそれぞれ形成されており、ロック片収容部29の幅方向内側の内面には、ロック片46が弾性変形して乗り上げ、弾性復帰することで係止する仮係止突起30及び本係止突起31が形成されており、雌側ハウジング20の側壁20Aには、ロック片46の弾性変形を許容する貫通孔32が側壁20Aを貫通して形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リテーナを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタハウジングに収容された端子金具を抜け止めするリテーナを備えたコネクタとして、下記特許文献1に記載のものが知られている。
このリテーナは、コネクタハウジングの底部に設けられたリテーナ挿入孔に挿入して端子金具を抜け止めする抜け止め部と、この抜け止め部の幅方向両側において幅方向外側に弾性変形可能に設けられた一対のロック片を備えている。
一対のロック片は、コネクタハウジングの幅方向両側に設けられたロック片収容部にそれぞれ収容可能に形成されている一方、ロック片収容部は、側方及び下方に開口して形成されている。そして、コネクタハウジングにリテーナが下方から組み付けられると、ロック片収容部に形成されたロック部にロック片が弾性変形して乗り上げ、ロック部を乗り越えて弾性復帰することで、ロック片がロック部に係止してリテーナがコネクタハウジングに係止される。また、ロック片は、ロック片収容部に収容されることで、コネクタハウジングの幅方向両端部における外側の側壁を構成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−229197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のコネクタによると、ロック片がコネクタハウジングの幅方向両側における外側の側壁を構成しているため、他の部材がロック片に接触し易く、組み立て作業の時などに他の部材がロック片に接触すると、ロック片が破損したり、変形したりする虞がある。
また、この種のコネクタでは、ロック片収容部の深さ寸法がロック片の板厚寸法よりも大きく形成されており、ロック片がロック片収容部内に収容されたときに、コネクタハウジングの両側面よりもロック片が外側に突出しないようになっている。このため、ロック片収容部にロック片が収容された後でも、ロック片収容部の部分がコネクタハウジングの両側面よりも僅かに凹んだ状態となり、相手側ハウジングとの嵌合作業の際に、相手側ハウジングがロック片収容部に引っかかるなどして、嵌合作業を円滑に行うことができない場合がある。
【0005】
上記の問題を解決するために、コネクタハウジングの幅方向両端部に位置する側壁よりも内側にロック片収容部を形成し、コネクタハウジングの側壁によってロック片収容部に収容されたロック片を保護することが考えられるが、側壁の内側にロック片の弾性変形を許容する撓み空間を設ける必要があり、コネクタハウジングが幅方向に大型化してしまう。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタハウジングを大型化することなく、ロック片に他の部材が接触することを抑制すると共に、相手側ハウジングとの嵌合作業時の引っ掛かりを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、端子金具を収容するコネクタハウジングと、幅方向外側に弾性変形可能な一対のロック片を幅方向両端部に有するリテーナとを備えたコネクタであって、前記コネクタハウジングには、同コネクタハウジングの幅方向両端部に位置する両側壁の内側に前記ロック片を収容するロック片収容部がそれぞれ形成されており、前記ロック片収容部における幅方向内側の内面には、前記ロック片が弾性変形して乗り上げ、弾性復帰することで係止するロック部が形成されており、前記コネクタハウジングの側壁には、前記ロック片の弾性変形を許容する貫通孔が前記側壁を貫通して形成されているところに特徴を有する。
【0008】
このような構成のコネクタによると、ロック片収容部に収容されたロック片は側壁によって保護されているので、ロック片に他の部材が接触して、ロック片が破損したり、変形したりすることを抑制することができる。また、側壁にロック片の弾性変形を許容する貫通孔が形成されているので、ロック片の撓み空間をコネクタハウジング内に別途形成する必要がなく、コネクタハウジングが大型化することを防ぐことができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記コネクタハウジングは、相手側ハウジングに設けられたハウジング収容部内に嵌合可能に形成されており、前記貫通孔を取り囲む前記側壁のうち、嵌合方向と交差する方向に前記貫通孔と隣り合う前記側壁は、前記コネクタハウジングの嵌合方向に連続して形成されている構成としてもよい。
【0010】
例えば、ロック片が収容されるロック片収容部がコネクタハウジングの幅方向両端部に露出して形成されている場合には、ロック片収容部にロック片が収容された後でも、コネクタハウジングの両側面に段差が生じる場合がある。段差が生じると、相手側ハウジング内にコネクタハウジングを嵌合させる際に、コネクタハウジングが僅かに幅方向に傾いている場合には、相手側ハウジングの開口縁部とロック収容部の段差部分とが引っかかるなどして、嵌合作業がスムースにできない虞がある。ところが、上記の構成によると、貫通孔を取り囲む側壁のうち、少なくとも嵌合方向と交差する方向に貫通孔と隣り合う側壁がコネクタハウジングの外側壁と嵌合方向に連続して形成されているので、相手側ハウジングの開口縁部と側壁とが引っかかることなく嵌合作業をスムースに行うことができる。
【0011】
前記貫通孔を囲む前記側壁のうち、前記ロック片の収容方向手前側に前記貫通孔と隣り合う前記側壁は、弾性変形した前記ロック片の外面を幅方向内側に押圧する構成としてもよい。
このような構成によると、側壁が弾性変形したロック片の外面を押圧してロック片を支持することで、ロック片が不用意に弾性変形することを抑制することができると共に、ロック片がへたることを抑制することができる。
【0012】
前記ロック部は、前記端子金具の挿抜を許容する仮係止位置に前記リテーナを保持する仮係止突起と、この仮係止突起よりもロック片収容部の奥側に形成され、前記リテーナが前記端子金具を係止して前記コネクタハウジングから前記端子金具を抜け止めする本係止位置に前記リテーナを保持する本係止突起とを備えており、前記ロック片には、前記貫通孔における前記ロック片の収容方向手前側の開口縁部と係止可能な抜け防止突起が形成されており、前記ロック片が前記仮係止突起と係止した際に、前記開口縁部によって前記抜け防止突起が前記ロック片の抜け方向に係止される構成としてもよい。
メンテナンスなどでリテーナを本係止位置から仮係止位置へ移動させる際に、大きな力が加わえられると、ロック片が本係止突起だけではなく、仮係止突起からも解除されてしまい、リテーナが勢い余ってコネクタハウジングから外れてしまう虞がある。ところが、上記のような構成によると、ロック片が仮係止突起と係止した際に、貫通孔の開口縁部によって係止突起がロック片の抜け方向に係止されることで、リテーナがコネクタハウジングから外れてしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コネクタハウジングを大型化することなく、ロック片に他の部材が接触することを抑制すると共に、相手側ハウジングとの嵌合作業時の引っ掛かりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1にかかる雌側ハウジングにリテーナが仮係止位置に保持された状態を示す側面図
【図2】実施形態1にかかる雌側ハウジングにリテーナが仮係止位置に保持された状態を示す底面図
【図3】実施形態1にかかる雌側ハウジングにリテーナが仮係止位置に保持された状態を示す縦断面図
【図4】図1のA−A線断面図
【図5】実施形態1にかかるリテーナを斜め後方から見た斜視図
【図6】実施形態1にかかるリテーナの側面図
【図7】実施形態1にかかるリテーナの背面図
【図8】実施形態1にかかる雌側ハウジングにリテーナが本係止位置に保持された状態を示す縦断面図
【図9】実施形態1にかかる雌側ハウジングにリテーナが本係止位置に保持された状態であって、図1のA−A位置の断面に相当する断面図
【図10】実施形態1にかかるリテーナが本係止突起に乗り上げた状態であって、図1のA−A位置の断面に相当する断面図
【図11】実施形態2にかかるリテーナの背面図
【図12】実施形態2における雌側ハウジングにリテーナが仮係止位置に保持された状態であって、図1のA−A位置の断面に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1乃至図10を参照して説明する。
本実施形態は、雄側ハウジングの図示しない収容部内に嵌合可能な合成樹脂製の雌側ハウジング(本発明の「コネクタハウジング」の一例)20と、この雌側ハウジング20に収容される雌型端子(本発明の「端子金具」の一例)24を抜け止めする合成樹脂製のリテーナ40とを備えたコネクタ10を例示している。
【0016】
雌側ハウジング20は、図1及び図3に示すように、大まかには前後方向に縦長なブロック状に形成されている。雌側ハウジング20の上部には前方から後方に向かって片持ち状に延びるロックアーム21が形成されている。ロックアーム21は、上下方向に弾性変形可能に形成されており、ロックアーム21の上面には、雄側ハウジングの収容部内に形成された図示しない被係止部に係止可能な係止突起21Aが形成されている。雌側ハウジング20が雄側ハウジングの収容部内に嵌合されると、ロックアーム21が弾性変形し、雌側ハウジング20と雄側ハウジングの収容部とが正規に嵌合されると、ロックアーム21が弾性復帰することで、係止突起21Aと被係止部とが係止して、雌側ハウジング20と雄側ハウジングとが嵌合状態に保持されるようになっている。
【0017】
雌側ハウジング20の内部には、図3及び4に示すように、雌側ハウジング20の幅寸法よりもやや幅狭な端子収容部22が形成されている。端子収容部22は、前後方向に貫通した形態のキャビティ23を複数有している。キャビティ23は、図4に示すように、上下方向及び幅方向に複数並んで形成されており、キャビティ23内には、図3に示すように、電線Wの端末に接続された雌型端子24が後方から収容可能とされている。
雌型端子24は、その前部が角筒状の接続部25とされ、後部が電線Wの端末に圧着されている。雌型端子24は、接続部25がキャビティ23の内壁から前方に向かって片持ち状に延びるランス26によって後方から係止されることで、キャビティ23内に抜け止めされている。
【0018】
そして、雌側ハウジング20と雄側ハウジングとが正規に嵌合されると、雄側ハウジングの収容部内に保持された図示しない雄型端子が雌型端子24の接続部25内に進入して、雌型端子24と雄型端子とが導通可能に接続されるようになっている。
【0019】
雌側ハウジング20の底面における前後方向略中央部には、図2及び図3に示すように、リテーナ装着孔27が形成されている。リテーナ装着孔27の開口部は、略U字状に形成されており、リテーナ装着孔27は、幅方向に横長な抜け止め部収容部28と、抜け止め部収容部28の両端部から後方に延びる前後方向に縦長な一対のロック片収容部29とから構成されている。
【0020】
抜け止め部収容部28は、図3に示すように、雌側ハウジング20の底面から上方に向かって凹んだ形態をなし、抜け止め部収容部28の内部空間は、端子収容部22内の各キャビティ23に連通している。
【0021】
一対のロック片収容部29は、雌側ハウジング20の幅方向両端部に位置する側壁20Aの内側に形成されている。詳しくは、ロック片収容部29は、端子収容部22と雌側ハウジング20の両側壁20Aとの間にそれぞれ形成されており、雌側ハウジング20の側面に沿った形態とされている。また、ロック片収容部29は、抜け止め部収容部28と同様に、雌側ハウジング20の底面から上方に向かって凹んだ形態をなしている。
【0022】
ロック片収容部29の幅方向内側である端子収容部22側の内面には、図1及び図4に示すように、後述するリテーナ40を仮係止位置に保持する仮係止突起(本発明の「ロック部」の一例)30と、リテーナ40を本係止位置に保持する本係止突起(本発明の「ロック部」の一例)31とがそれぞれ形成されている。仮係止突起30および本係止突起31は、いずれも端子収容部22側の内面から幅方向外側に向かって突出して形成されており、前後方向に延びた形態をなしている。
【0023】
仮係止突起30は、端子収容部22側の内面から幅方向外側に延びる仮係止面30Aを上部に有して、仮係止面30Aの外側端部から僅かに下方に延びた後、下方に延びるほど端子収容部22側に近づく形態をなしている。
本係止突起31は、仮係止突起30よりもロック片収容部29の奥側である上方に位置しており、端子収容部22側の内面から幅方向の延びる本係止面31Aを上部に有した断面略矩形状に形成されている。
【0024】
一方、リテーナ40は、抜け止め部収容部28内に嵌合可能な抜け止め部41と、一対のロック片収容部29内にそれぞれ嵌合可能な一対のロック板42とを備えて構成されている。
【0025】
抜け止め部41は、図7に示すように、背面視略U字状をなし、前後方向に貫通する略矩形状の端子挿通孔43が上下方向及び幅方向に複数形成されることで、幅方向に横長な格子状に形成されている。
【0026】
各端子挿通孔43の底面および抜け止め部41の上面には、雌側ハウジング20のキャビティ23内に挿入された雌型端子24の接続部25を後方から係止する端子係止部44が各キャビティ23に対応して複数形成されている。
【0027】
また、抜け止め部41は、端子係止部44がキャビティ23内に突出することで雌型端子24を後方から係止して、雌型端子24をキャビティ23内に抜け止めする本係止位置(図8参照)と、端子係止部44がキャビティ23内から退避して、キャビティ23への雌型端子24の挿抜を許容する仮係止位置(図3参照)との間を移動可能とされている。これにより、キャビティ23内に雌型端子24が収容された状態で、抜け止め部41が本係止位置まで嵌合されると、図8に示すように、端子係止部44によって雌型端子24の接続部25が後方から係止され、雌型端子24がランス26と端子係止部44とによって二重に係止されるようになっている。
【0028】
一対のロック板42は、図5及び図6に示すように、平板状をなし、抜け止め部41の後方に隣接して形成されている。また、ロック板42は、抜け止め部41の幅方向両端部から後方に延びる基体45と、基体45から上方に立ち上がるロック片46とを備えて構成されている。なお、図5については、紙面左手前側を後方とし、紙面右奥側を前方としている。
【0029】
基体45は、いずれも矩形平板状をなし、互いに対向した形態で抜け止め部41の後端部に一体に形成されている。
ロック片46は、基体45よりも板厚が薄い矩形平板状に形成されている。ロック片46は、基体45の上端縁における幅方向外側に一体に形成されており、基体45と連結する基端部を支点に幅方向外側に弾性変形可能とされている。また、ロック片46と抜け止め部41とが隣り合う位置には、上下に延びるスリット47が形成されており、ロック片46と抜け止め部41とは切り離された状態となっている。これにより、ロック片46を抜け止め部41と干渉させることなく、ロック片46を独立して弾性変形させることができるようになっている。
【0030】
ロック片46の上端縁には、ロック片収容部29内の仮係止突起30および本係止突起31と係止可能なロック爪48が形成されている。ロック爪48は、ロック片46の上端縁から幅方向内側に向かって突出して形成されており、ロック爪48の下面であるロック側係止面48Aは、抜け止め部41が仮係止位置に配された際に、上方から仮係止突起30の仮係止面30Aに係止して、抜け止め部41を仮係止位置に保持することができるようになっている。また、ロック側係止面48Aは、抜け止め部41が本係止位置に配された際に、上方から本係止突起31の本係止面31Aに係止して、抜け止め部41を本係止位置に保持することができるようになっている。
【0031】
また、ロック爪48は前後方向に延びた形態をなしており、ロック爪48の前後方向の長さ寸法は、仮係止突起30および本係止突起31の前後方向の長さ寸法とほぼ同じ寸法に設定されている。これにより、仮係止位置および本係止位置において、ロック側係止面48Aと仮係止面30Aおよび本係止面31Aとを前後方向に亘って面接触させることで、抜け止め部41を仮係止位置または本係止位置に確実に保持することができる。
【0032】
また、ロック片46における抜け止め部41と隣り合う側縁部には、幅方向内側に突出する補強部49が形成されている。補強部49は、ロック爪48と一体に形成されており、ロック片46が弾性変形に伴ってへたることを抑制している。
【0033】
一方、雌側ハウジング20の両側壁20Aには、前後方向に縦長な略矩形状の貫通孔32がそれぞれ形成されている。貫通孔32は、雌側ハウジング20の側壁20Aの上下方向略中央部において、側壁20Aを幅方向に貫通して形成されている。また、貫通孔32は、同貫通孔32を通して幅方向外側から仮係止突起30および本係止突起31の周辺部が視認できる位置に配されている。このため、抜け止め部41が仮係止位置に保持された状態では、貫通孔32を通してロック片46の上端部が視認可能となり、抜け止め部41が本係止位置に保持された状態では、貫通孔32を通してロック片46の基端部よりも上側の部分が視認可能となる。
すなわち、基体45とロック片46の基端部とは、仮係止位置または本係止位置のいずれの場合であっても、貫通孔32よりも下側に位置する側壁20Aの内側に配された状態となり、基体45やロック片46の基端部に他の部材が接触することを抑制することができる。これにより、ロック片46が幅方向外側に完全に露出しているものに比べて、他の部材が接触することで、ロック片46が破損したり、変形したりすることを抑制することができる。
【0034】
また、貫通孔32の上下方向に隣り合う側壁20Aは、雌側ハウジング20の嵌合方向である前後方向に連続して形成されている。すなわち、貫通孔32の上下に位置する側壁20Aには、段差がなく、雌側ハウジング20の嵌合姿勢が幅方向に僅かに傾いた状態で雌側ハウジング20を雄側ハウジングの収容部内に嵌合させる場合においても、収容部の開口縁部と雌側ハウジング20の側壁20Aとを引っ掛けることなく、嵌合作業を円滑に行うことができる。
【0035】
また、貫通孔32の内部空間は、ロック片46が弾性変形した際の撓み空間とされている。このため、抜け止め部41が仮係止位置から本係止位置へ移動する過程で、ロック爪48は本係止突起31に乗り上げてロック片46が幅方向外側に弾性変形し、貫通孔32の内部空間(撓み空間)にロック片46の先端部が進入することを許容することができる。そして、ロック爪48が本係止突起31を乗り越えると、ロック片46が弾性復帰して、ロック爪48のロック側係止面48Aと本係止突起31の本係止面31Aとが係止することで、抜け止め部41が本係止位置に保持される。
【0036】
すなわち、ロック片46の先端部が貫通孔32の内部空間(撓み空間)に収容されることで、雌側ハウジング20の側壁20Aとロック片収容部29との間に幅方向に広がる撓み空間を設けることなく、ロック片46を弾性変形させることができる。これにより、ロック片46の撓み空間を雌側ハウジング20内に別途形成する場合に比べて、雌側ハウジング20が大型化することを防ぐことができる。
【0037】
また、ロック爪48が本係止突起31に乗り上げて、ロック片46が幅方向外側に弾性変形し始めると、ロック片46が貫通孔32の下側に位置する(貫通孔32の下側に隣り合う)側壁20Aに当接した状態となる。そして、更にロック片46が弾性変形すると、貫通孔32の下側に位置する側壁20Aがロック片46の基端部における外面を幅方向内側に押圧して支持した状態となる。これにより、ロック片46が弾性変形するために必要な挿入力を所定の大きさに調整し、ロック片46が不用意に弾性変形することでリテーナ40が仮係止位置と本係止位置との間を移動することを抑制することができる。また、ロック片46がへたることを抑制することができる。
【0038】
本実施形態は、以上のような構成であって、次に、コネクタ10の組み付け方法について簡単に説明すると共に、その作用効果を説明する。
まず、雌側ハウジング20の下方から、リテーナ40をリテーナ装着孔27に嵌合させ、雌側ハウジング20に対してリテーナ40を上方に移動させる。この過程において、ロック片46のロック爪48が仮係止突起30に乗り上げ、ロック片46が同ロック片46の基端部を支点に幅方向外側に弾性変形する。このとき、ロック片46は、基体45の上縁から上方に立ち上がった形態で、かつ、スリット47によって抜け止め部41と切り離された状態となっているので、ロック片46を抜け止め部41と干渉させることなく、弾性変形させることができる。
すなわち、ロック片と抜け止め部とが一体に形成されて、ロック片が後方に拡開しつつ弾性変形する場合に比べて、ロック片46が正規の方向とは異なる方向に傾いて弾性変形することを防ぐことができる。また、ロック片46が傾くことでロック片46と仮係止突起30とが互いに摩耗しまうことを抑制することができるので、ロック片46と仮係止突起30との係止状態を安定させることができる。
【0039】
次に、仮係止突起30に乗り上げたロック爪48が仮係止突起30を乗り越えると、図4に示すように、ロック爪48のロック側係止面48Aが仮係止突起30の仮係止面30Aによって下方から係止され、抜け止め部41が仮係止位置に保持される。また、この状態において、抜け止め部41の端子係止部44は、図3に示すように、キャビティ23内から退避しており、キャビティ23に対して雌型端子24の挿抜が可能とされる。
【0040】
そして、電線Wの端末に接続された雌型端子24を後方からキャビティ23内に挿入し、雌型端子24を正規の位置まで挿入することで、雌型端子24がランス26によってキャビティ23内に抜け止めされる。
【0041】
各キャビティ23内において雌型端子24が抜け止めされたところで、リテーナ40を雌側ハウジング20に対して、更に上方へと移動させる。この過程において、ロック片46のロック爪48が本係止突起31に乗り上げ、ロック片46が同ロック片46の基端部を支点に幅方向外側に弾性変形する。このとき、ロック片46の先端部は、図10に示すように、雌側ハウジング20の貫通孔32の内部空間に収容され、ロック片46が幅方向外側に弾性変形することを許容される。また、幅方向外側に弾性変形したロック片46は、貫通孔32の下側に位置する側壁20Aによって、幅方向内側に押圧されて支持された状態となり、ロック片46が不用意に弾性変形することを抑制すると共に、ロック片46がへたることを抑制することができる。
また、ロック片46のロック爪48が仮係止突起30に乗り上げて、ロック片46が弾性変形する際も仮係止突起30の場合と同様に、ロック片46を正規の方向とは異なる方向に弾性変形してしまうことを抑制することができる。
【0042】
そして、ロック片46のロック爪48が本係止突起31を乗り越えると、図9に示すように、ロック爪48のロック側係止面48Aが本係止突起31の本係止面31Aによって下方から係止され、図8に示すように、抜け止め部41が本係止位置に保持される。また、この状態において、抜け止め部41の端子係止部44は、図8に示すように、キャビティ23内に突出して、雌型端子24の接続部25を後方から係止して、雌型端子24をキャビティ23内に抜け止めする。これにより、雌型端子24は、ランス26と端子係止部44とによって二重に係止される。
【0043】
以上のように、本実施形態によると、ロック板42における基体45及びロック片46の基端部がロック片収容部29内に収容されることで、雌側ハウジング20の側壁20Aによって他の部材から保護され、他の部材がロック片46の基端部に接触して、ロック片46が破損したり、変形したりすることを抑制することができる。
また、ロック片46を保護する雌側ハウジング20の側壁20Aに貫通孔32を形成することで、ロック片46が弾性変形することを許容し、ロック片46の撓み空間を雌側ハウジング内に別途形成する場合に比べて、雌側ハウジング20が大型化することを防ぐことができる。
更に、本実施形態によると、貫通孔32の上下に位置する雌側ハウジング20の側壁20Aを雌側ハウジング20の嵌合方向である前後方向に連続して形成しているので、雄側ハウジングの収容部内に雌側ハウジング20を嵌合させる際に、収容部の開口縁部と雌側ハウジング20とを引っ掛けることなく、嵌合作業を円滑に行うことができる。
【0044】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について図11及び図12を参照して説明する。
実施形態2は、実施形態1におけるリテーナ40のロック片46の形状を変更したものであって、上記実施形態と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、上記実施形態と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0045】
実施形態2のリテーナ140は、ロック板142のロック片146における幅方向外側面に抜け防止突起150が形成されている。抜け防止突起150は、ロック片146から幅方向外側に延びて、その外側の端部から上方に延びるほどロック片146に近づく形態をなしており、リテーナ140が雌側ハウジング20に保持された状態において、雌側ハウジング20の貫通孔32内に収容されている。また、抜け防止突起150の下側の面は、抜け止め部41が仮係止位置に配された際に、貫通孔32の下側開口縁部と係止可能とされている。つまり、ロック片146のロック爪148におけるロック側係止面148Aが仮係止突起30の仮係止面30Aによって下方から係止された際に、抜け防止突起150の下側の面が貫通孔32の下側開口縁部によって下方から係止され、リテーナ140が抜け方向に二重に係止されるようになっている。このため、メンテナンスなどでリテーナ140を本係止位置から仮係止位置へ移動させる際に、リテーナ40に対して抜け方向に大きな力が加わえられた場合においても、ロック爪148と抜け防止突起150との二箇所において、ロック片46が下方から係止され、リテーナ140が勢い余って雌側ハウジング20から外れてしまうことを抑制することができる。これにより、抜け防止突起150がロック片に形成されていないものに比べて、リテーナ140が雌側ハウジング20から脱落することを抑制することができる。
【0046】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ロック板42を抜け止め部41の後方に隣接して構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、抜け止め部41の前方にロック部を構成してもよく、抜け止め部の幅方向外側にロック部を構成してもよい。
(2)上記実施形態では、端子収容部22にキャビティ23を上下方向及び幅方向に複数並べた構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、端子収容部内にキャビティを幅方向にのみ複数並べた構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、貫通孔32を略矩形状に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、貫通孔を円形状や三角形状に構成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
10:コネクタ
20:雌側ハウジング(コネクタハウジング)
20A:側壁
24:雌型端子(端子金具)
29:ロック片収容部
30:仮係止突起(ロック部)
31:本係止突起(ロック部)
32:貫通孔
40,140:リテーナ
46,146:ロック片
150:抜け防止突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、リテーナを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタハウジングに収容された端子金具を抜け止めするリテーナを備えたコネクタとして、下記特許文献1に記載のものが知られている。
このリテーナは、コネクタハウジングの底部に設けられたリテーナ挿入孔に挿入して端子金具を抜け止めする抜け止め部と、この抜け止め部の幅方向両側において幅方向外側に弾性変形可能に設けられた一対のロック片を備えている。
一対のロック片は、コネクタハウジングの幅方向両側に設けられたロック片収容部にそれぞれ収容可能に形成されている一方、ロック片収容部は、側方及び下方に開口して形成されている。そして、コネクタハウジングにリテーナが下方から組み付けられると、ロック片収容部に形成されたロック部にロック片が弾性変形して乗り上げ、ロック部を乗り越えて弾性復帰することで、ロック片がロック部に係止してリテーナがコネクタハウジングに係止される。また、ロック片は、ロック片収容部に収容されることで、コネクタハウジングの幅方向両端部における外側の側壁を構成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−229197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のコネクタによると、ロック片がコネクタハウジングの幅方向両側における外側の側壁を構成しているため、他の部材がロック片に接触し易く、組み立て作業の時などに他の部材がロック片に接触すると、ロック片が破損したり、変形したりする虞がある。
また、この種のコネクタでは、ロック片収容部の深さ寸法がロック片の板厚寸法よりも大きく形成されており、ロック片がロック片収容部内に収容されたときに、コネクタハウジングの両側面よりもロック片が外側に突出しないようになっている。このため、ロック片収容部にロック片が収容された後でも、ロック片収容部の部分がコネクタハウジングの両側面よりも僅かに凹んだ状態となり、相手側ハウジングとの嵌合作業の際に、相手側ハウジングがロック片収容部に引っかかるなどして、嵌合作業を円滑に行うことができない場合がある。
【0005】
上記の問題を解決するために、コネクタハウジングの幅方向両端部に位置する側壁よりも内側にロック片収容部を形成し、コネクタハウジングの側壁によってロック片収容部に収容されたロック片を保護することが考えられるが、側壁の内側にロック片の弾性変形を許容する撓み空間を設ける必要があり、コネクタハウジングが幅方向に大型化してしまう。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタハウジングを大型化することなく、ロック片に他の部材が接触することを抑制すると共に、相手側ハウジングとの嵌合作業時の引っ掛かりを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として本発明は、端子金具を収容するコネクタハウジングと、幅方向外側に弾性変形可能な一対のロック片を幅方向両端部に有するリテーナとを備えたコネクタであって、前記コネクタハウジングには、同コネクタハウジングの幅方向両端部に位置する両側壁の内側に前記ロック片を収容するロック片収容部がそれぞれ形成されており、前記ロック片収容部における幅方向内側の内面には、前記ロック片が弾性変形して乗り上げ、弾性復帰することで係止するロック部が形成されており、前記コネクタハウジングの側壁には、前記ロック片の弾性変形を許容する貫通孔が前記側壁を貫通して形成されているところに特徴を有する。
【0008】
このような構成のコネクタによると、ロック片収容部に収容されたロック片は側壁によって保護されているので、ロック片に他の部材が接触して、ロック片が破損したり、変形したりすることを抑制することができる。また、側壁にロック片の弾性変形を許容する貫通孔が形成されているので、ロック片の撓み空間をコネクタハウジング内に別途形成する必要がなく、コネクタハウジングが大型化することを防ぐことができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
前記コネクタハウジングは、相手側ハウジングに設けられたハウジング収容部内に嵌合可能に形成されており、前記貫通孔を取り囲む前記側壁のうち、嵌合方向と交差する方向に前記貫通孔と隣り合う前記側壁は、前記コネクタハウジングの嵌合方向に連続して形成されている構成としてもよい。
【0010】
例えば、ロック片が収容されるロック片収容部がコネクタハウジングの幅方向両端部に露出して形成されている場合には、ロック片収容部にロック片が収容された後でも、コネクタハウジングの両側面に段差が生じる場合がある。段差が生じると、相手側ハウジング内にコネクタハウジングを嵌合させる際に、コネクタハウジングが僅かに幅方向に傾いている場合には、相手側ハウジングの開口縁部とロック収容部の段差部分とが引っかかるなどして、嵌合作業がスムースにできない虞がある。ところが、上記の構成によると、貫通孔を取り囲む側壁のうち、少なくとも嵌合方向と交差する方向に貫通孔と隣り合う側壁がコネクタハウジングの外側壁と嵌合方向に連続して形成されているので、相手側ハウジングの開口縁部と側壁とが引っかかることなく嵌合作業をスムースに行うことができる。
【0011】
前記貫通孔を囲む前記側壁のうち、前記ロック片の収容方向手前側に前記貫通孔と隣り合う前記側壁は、弾性変形した前記ロック片の外面を幅方向内側に押圧する構成としてもよい。
このような構成によると、側壁が弾性変形したロック片の外面を押圧してロック片を支持することで、ロック片が不用意に弾性変形することを抑制することができると共に、ロック片がへたることを抑制することができる。
【0012】
前記ロック部は、前記端子金具の挿抜を許容する仮係止位置に前記リテーナを保持する仮係止突起と、この仮係止突起よりもロック片収容部の奥側に形成され、前記リテーナが前記端子金具を係止して前記コネクタハウジングから前記端子金具を抜け止めする本係止位置に前記リテーナを保持する本係止突起とを備えており、前記ロック片には、前記貫通孔における前記ロック片の収容方向手前側の開口縁部と係止可能な抜け防止突起が形成されており、前記ロック片が前記仮係止突起と係止した際に、前記開口縁部によって前記抜け防止突起が前記ロック片の抜け方向に係止される構成としてもよい。
メンテナンスなどでリテーナを本係止位置から仮係止位置へ移動させる際に、大きな力が加わえられると、ロック片が本係止突起だけではなく、仮係止突起からも解除されてしまい、リテーナが勢い余ってコネクタハウジングから外れてしまう虞がある。ところが、上記のような構成によると、ロック片が仮係止突起と係止した際に、貫通孔の開口縁部によって係止突起がロック片の抜け方向に係止されることで、リテーナがコネクタハウジングから外れてしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コネクタハウジングを大型化することなく、ロック片に他の部材が接触することを抑制すると共に、相手側ハウジングとの嵌合作業時の引っ掛かりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1にかかる雌側ハウジングにリテーナが仮係止位置に保持された状態を示す側面図
【図2】実施形態1にかかる雌側ハウジングにリテーナが仮係止位置に保持された状態を示す底面図
【図3】実施形態1にかかる雌側ハウジングにリテーナが仮係止位置に保持された状態を示す縦断面図
【図4】図1のA−A線断面図
【図5】実施形態1にかかるリテーナを斜め後方から見た斜視図
【図6】実施形態1にかかるリテーナの側面図
【図7】実施形態1にかかるリテーナの背面図
【図8】実施形態1にかかる雌側ハウジングにリテーナが本係止位置に保持された状態を示す縦断面図
【図9】実施形態1にかかる雌側ハウジングにリテーナが本係止位置に保持された状態であって、図1のA−A位置の断面に相当する断面図
【図10】実施形態1にかかるリテーナが本係止突起に乗り上げた状態であって、図1のA−A位置の断面に相当する断面図
【図11】実施形態2にかかるリテーナの背面図
【図12】実施形態2における雌側ハウジングにリテーナが仮係止位置に保持された状態であって、図1のA−A位置の断面に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1乃至図10を参照して説明する。
本実施形態は、雄側ハウジングの図示しない収容部内に嵌合可能な合成樹脂製の雌側ハウジング(本発明の「コネクタハウジング」の一例)20と、この雌側ハウジング20に収容される雌型端子(本発明の「端子金具」の一例)24を抜け止めする合成樹脂製のリテーナ40とを備えたコネクタ10を例示している。
【0016】
雌側ハウジング20は、図1及び図3に示すように、大まかには前後方向に縦長なブロック状に形成されている。雌側ハウジング20の上部には前方から後方に向かって片持ち状に延びるロックアーム21が形成されている。ロックアーム21は、上下方向に弾性変形可能に形成されており、ロックアーム21の上面には、雄側ハウジングの収容部内に形成された図示しない被係止部に係止可能な係止突起21Aが形成されている。雌側ハウジング20が雄側ハウジングの収容部内に嵌合されると、ロックアーム21が弾性変形し、雌側ハウジング20と雄側ハウジングの収容部とが正規に嵌合されると、ロックアーム21が弾性復帰することで、係止突起21Aと被係止部とが係止して、雌側ハウジング20と雄側ハウジングとが嵌合状態に保持されるようになっている。
【0017】
雌側ハウジング20の内部には、図3及び4に示すように、雌側ハウジング20の幅寸法よりもやや幅狭な端子収容部22が形成されている。端子収容部22は、前後方向に貫通した形態のキャビティ23を複数有している。キャビティ23は、図4に示すように、上下方向及び幅方向に複数並んで形成されており、キャビティ23内には、図3に示すように、電線Wの端末に接続された雌型端子24が後方から収容可能とされている。
雌型端子24は、その前部が角筒状の接続部25とされ、後部が電線Wの端末に圧着されている。雌型端子24は、接続部25がキャビティ23の内壁から前方に向かって片持ち状に延びるランス26によって後方から係止されることで、キャビティ23内に抜け止めされている。
【0018】
そして、雌側ハウジング20と雄側ハウジングとが正規に嵌合されると、雄側ハウジングの収容部内に保持された図示しない雄型端子が雌型端子24の接続部25内に進入して、雌型端子24と雄型端子とが導通可能に接続されるようになっている。
【0019】
雌側ハウジング20の底面における前後方向略中央部には、図2及び図3に示すように、リテーナ装着孔27が形成されている。リテーナ装着孔27の開口部は、略U字状に形成されており、リテーナ装着孔27は、幅方向に横長な抜け止め部収容部28と、抜け止め部収容部28の両端部から後方に延びる前後方向に縦長な一対のロック片収容部29とから構成されている。
【0020】
抜け止め部収容部28は、図3に示すように、雌側ハウジング20の底面から上方に向かって凹んだ形態をなし、抜け止め部収容部28の内部空間は、端子収容部22内の各キャビティ23に連通している。
【0021】
一対のロック片収容部29は、雌側ハウジング20の幅方向両端部に位置する側壁20Aの内側に形成されている。詳しくは、ロック片収容部29は、端子収容部22と雌側ハウジング20の両側壁20Aとの間にそれぞれ形成されており、雌側ハウジング20の側面に沿った形態とされている。また、ロック片収容部29は、抜け止め部収容部28と同様に、雌側ハウジング20の底面から上方に向かって凹んだ形態をなしている。
【0022】
ロック片収容部29の幅方向内側である端子収容部22側の内面には、図1及び図4に示すように、後述するリテーナ40を仮係止位置に保持する仮係止突起(本発明の「ロック部」の一例)30と、リテーナ40を本係止位置に保持する本係止突起(本発明の「ロック部」の一例)31とがそれぞれ形成されている。仮係止突起30および本係止突起31は、いずれも端子収容部22側の内面から幅方向外側に向かって突出して形成されており、前後方向に延びた形態をなしている。
【0023】
仮係止突起30は、端子収容部22側の内面から幅方向外側に延びる仮係止面30Aを上部に有して、仮係止面30Aの外側端部から僅かに下方に延びた後、下方に延びるほど端子収容部22側に近づく形態をなしている。
本係止突起31は、仮係止突起30よりもロック片収容部29の奥側である上方に位置しており、端子収容部22側の内面から幅方向の延びる本係止面31Aを上部に有した断面略矩形状に形成されている。
【0024】
一方、リテーナ40は、抜け止め部収容部28内に嵌合可能な抜け止め部41と、一対のロック片収容部29内にそれぞれ嵌合可能な一対のロック板42とを備えて構成されている。
【0025】
抜け止め部41は、図7に示すように、背面視略U字状をなし、前後方向に貫通する略矩形状の端子挿通孔43が上下方向及び幅方向に複数形成されることで、幅方向に横長な格子状に形成されている。
【0026】
各端子挿通孔43の底面および抜け止め部41の上面には、雌側ハウジング20のキャビティ23内に挿入された雌型端子24の接続部25を後方から係止する端子係止部44が各キャビティ23に対応して複数形成されている。
【0027】
また、抜け止め部41は、端子係止部44がキャビティ23内に突出することで雌型端子24を後方から係止して、雌型端子24をキャビティ23内に抜け止めする本係止位置(図8参照)と、端子係止部44がキャビティ23内から退避して、キャビティ23への雌型端子24の挿抜を許容する仮係止位置(図3参照)との間を移動可能とされている。これにより、キャビティ23内に雌型端子24が収容された状態で、抜け止め部41が本係止位置まで嵌合されると、図8に示すように、端子係止部44によって雌型端子24の接続部25が後方から係止され、雌型端子24がランス26と端子係止部44とによって二重に係止されるようになっている。
【0028】
一対のロック板42は、図5及び図6に示すように、平板状をなし、抜け止め部41の後方に隣接して形成されている。また、ロック板42は、抜け止め部41の幅方向両端部から後方に延びる基体45と、基体45から上方に立ち上がるロック片46とを備えて構成されている。なお、図5については、紙面左手前側を後方とし、紙面右奥側を前方としている。
【0029】
基体45は、いずれも矩形平板状をなし、互いに対向した形態で抜け止め部41の後端部に一体に形成されている。
ロック片46は、基体45よりも板厚が薄い矩形平板状に形成されている。ロック片46は、基体45の上端縁における幅方向外側に一体に形成されており、基体45と連結する基端部を支点に幅方向外側に弾性変形可能とされている。また、ロック片46と抜け止め部41とが隣り合う位置には、上下に延びるスリット47が形成されており、ロック片46と抜け止め部41とは切り離された状態となっている。これにより、ロック片46を抜け止め部41と干渉させることなく、ロック片46を独立して弾性変形させることができるようになっている。
【0030】
ロック片46の上端縁には、ロック片収容部29内の仮係止突起30および本係止突起31と係止可能なロック爪48が形成されている。ロック爪48は、ロック片46の上端縁から幅方向内側に向かって突出して形成されており、ロック爪48の下面であるロック側係止面48Aは、抜け止め部41が仮係止位置に配された際に、上方から仮係止突起30の仮係止面30Aに係止して、抜け止め部41を仮係止位置に保持することができるようになっている。また、ロック側係止面48Aは、抜け止め部41が本係止位置に配された際に、上方から本係止突起31の本係止面31Aに係止して、抜け止め部41を本係止位置に保持することができるようになっている。
【0031】
また、ロック爪48は前後方向に延びた形態をなしており、ロック爪48の前後方向の長さ寸法は、仮係止突起30および本係止突起31の前後方向の長さ寸法とほぼ同じ寸法に設定されている。これにより、仮係止位置および本係止位置において、ロック側係止面48Aと仮係止面30Aおよび本係止面31Aとを前後方向に亘って面接触させることで、抜け止め部41を仮係止位置または本係止位置に確実に保持することができる。
【0032】
また、ロック片46における抜け止め部41と隣り合う側縁部には、幅方向内側に突出する補強部49が形成されている。補強部49は、ロック爪48と一体に形成されており、ロック片46が弾性変形に伴ってへたることを抑制している。
【0033】
一方、雌側ハウジング20の両側壁20Aには、前後方向に縦長な略矩形状の貫通孔32がそれぞれ形成されている。貫通孔32は、雌側ハウジング20の側壁20Aの上下方向略中央部において、側壁20Aを幅方向に貫通して形成されている。また、貫通孔32は、同貫通孔32を通して幅方向外側から仮係止突起30および本係止突起31の周辺部が視認できる位置に配されている。このため、抜け止め部41が仮係止位置に保持された状態では、貫通孔32を通してロック片46の上端部が視認可能となり、抜け止め部41が本係止位置に保持された状態では、貫通孔32を通してロック片46の基端部よりも上側の部分が視認可能となる。
すなわち、基体45とロック片46の基端部とは、仮係止位置または本係止位置のいずれの場合であっても、貫通孔32よりも下側に位置する側壁20Aの内側に配された状態となり、基体45やロック片46の基端部に他の部材が接触することを抑制することができる。これにより、ロック片46が幅方向外側に完全に露出しているものに比べて、他の部材が接触することで、ロック片46が破損したり、変形したりすることを抑制することができる。
【0034】
また、貫通孔32の上下方向に隣り合う側壁20Aは、雌側ハウジング20の嵌合方向である前後方向に連続して形成されている。すなわち、貫通孔32の上下に位置する側壁20Aには、段差がなく、雌側ハウジング20の嵌合姿勢が幅方向に僅かに傾いた状態で雌側ハウジング20を雄側ハウジングの収容部内に嵌合させる場合においても、収容部の開口縁部と雌側ハウジング20の側壁20Aとを引っ掛けることなく、嵌合作業を円滑に行うことができる。
【0035】
また、貫通孔32の内部空間は、ロック片46が弾性変形した際の撓み空間とされている。このため、抜け止め部41が仮係止位置から本係止位置へ移動する過程で、ロック爪48は本係止突起31に乗り上げてロック片46が幅方向外側に弾性変形し、貫通孔32の内部空間(撓み空間)にロック片46の先端部が進入することを許容することができる。そして、ロック爪48が本係止突起31を乗り越えると、ロック片46が弾性復帰して、ロック爪48のロック側係止面48Aと本係止突起31の本係止面31Aとが係止することで、抜け止め部41が本係止位置に保持される。
【0036】
すなわち、ロック片46の先端部が貫通孔32の内部空間(撓み空間)に収容されることで、雌側ハウジング20の側壁20Aとロック片収容部29との間に幅方向に広がる撓み空間を設けることなく、ロック片46を弾性変形させることができる。これにより、ロック片46の撓み空間を雌側ハウジング20内に別途形成する場合に比べて、雌側ハウジング20が大型化することを防ぐことができる。
【0037】
また、ロック爪48が本係止突起31に乗り上げて、ロック片46が幅方向外側に弾性変形し始めると、ロック片46が貫通孔32の下側に位置する(貫通孔32の下側に隣り合う)側壁20Aに当接した状態となる。そして、更にロック片46が弾性変形すると、貫通孔32の下側に位置する側壁20Aがロック片46の基端部における外面を幅方向内側に押圧して支持した状態となる。これにより、ロック片46が弾性変形するために必要な挿入力を所定の大きさに調整し、ロック片46が不用意に弾性変形することでリテーナ40が仮係止位置と本係止位置との間を移動することを抑制することができる。また、ロック片46がへたることを抑制することができる。
【0038】
本実施形態は、以上のような構成であって、次に、コネクタ10の組み付け方法について簡単に説明すると共に、その作用効果を説明する。
まず、雌側ハウジング20の下方から、リテーナ40をリテーナ装着孔27に嵌合させ、雌側ハウジング20に対してリテーナ40を上方に移動させる。この過程において、ロック片46のロック爪48が仮係止突起30に乗り上げ、ロック片46が同ロック片46の基端部を支点に幅方向外側に弾性変形する。このとき、ロック片46は、基体45の上縁から上方に立ち上がった形態で、かつ、スリット47によって抜け止め部41と切り離された状態となっているので、ロック片46を抜け止め部41と干渉させることなく、弾性変形させることができる。
すなわち、ロック片と抜け止め部とが一体に形成されて、ロック片が後方に拡開しつつ弾性変形する場合に比べて、ロック片46が正規の方向とは異なる方向に傾いて弾性変形することを防ぐことができる。また、ロック片46が傾くことでロック片46と仮係止突起30とが互いに摩耗しまうことを抑制することができるので、ロック片46と仮係止突起30との係止状態を安定させることができる。
【0039】
次に、仮係止突起30に乗り上げたロック爪48が仮係止突起30を乗り越えると、図4に示すように、ロック爪48のロック側係止面48Aが仮係止突起30の仮係止面30Aによって下方から係止され、抜け止め部41が仮係止位置に保持される。また、この状態において、抜け止め部41の端子係止部44は、図3に示すように、キャビティ23内から退避しており、キャビティ23に対して雌型端子24の挿抜が可能とされる。
【0040】
そして、電線Wの端末に接続された雌型端子24を後方からキャビティ23内に挿入し、雌型端子24を正規の位置まで挿入することで、雌型端子24がランス26によってキャビティ23内に抜け止めされる。
【0041】
各キャビティ23内において雌型端子24が抜け止めされたところで、リテーナ40を雌側ハウジング20に対して、更に上方へと移動させる。この過程において、ロック片46のロック爪48が本係止突起31に乗り上げ、ロック片46が同ロック片46の基端部を支点に幅方向外側に弾性変形する。このとき、ロック片46の先端部は、図10に示すように、雌側ハウジング20の貫通孔32の内部空間に収容され、ロック片46が幅方向外側に弾性変形することを許容される。また、幅方向外側に弾性変形したロック片46は、貫通孔32の下側に位置する側壁20Aによって、幅方向内側に押圧されて支持された状態となり、ロック片46が不用意に弾性変形することを抑制すると共に、ロック片46がへたることを抑制することができる。
また、ロック片46のロック爪48が仮係止突起30に乗り上げて、ロック片46が弾性変形する際も仮係止突起30の場合と同様に、ロック片46を正規の方向とは異なる方向に弾性変形してしまうことを抑制することができる。
【0042】
そして、ロック片46のロック爪48が本係止突起31を乗り越えると、図9に示すように、ロック爪48のロック側係止面48Aが本係止突起31の本係止面31Aによって下方から係止され、図8に示すように、抜け止め部41が本係止位置に保持される。また、この状態において、抜け止め部41の端子係止部44は、図8に示すように、キャビティ23内に突出して、雌型端子24の接続部25を後方から係止して、雌型端子24をキャビティ23内に抜け止めする。これにより、雌型端子24は、ランス26と端子係止部44とによって二重に係止される。
【0043】
以上のように、本実施形態によると、ロック板42における基体45及びロック片46の基端部がロック片収容部29内に収容されることで、雌側ハウジング20の側壁20Aによって他の部材から保護され、他の部材がロック片46の基端部に接触して、ロック片46が破損したり、変形したりすることを抑制することができる。
また、ロック片46を保護する雌側ハウジング20の側壁20Aに貫通孔32を形成することで、ロック片46が弾性変形することを許容し、ロック片46の撓み空間を雌側ハウジング内に別途形成する場合に比べて、雌側ハウジング20が大型化することを防ぐことができる。
更に、本実施形態によると、貫通孔32の上下に位置する雌側ハウジング20の側壁20Aを雌側ハウジング20の嵌合方向である前後方向に連続して形成しているので、雄側ハウジングの収容部内に雌側ハウジング20を嵌合させる際に、収容部の開口縁部と雌側ハウジング20とを引っ掛けることなく、嵌合作業を円滑に行うことができる。
【0044】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について図11及び図12を参照して説明する。
実施形態2は、実施形態1におけるリテーナ40のロック片46の形状を変更したものであって、上記実施形態と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、上記実施形態と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0045】
実施形態2のリテーナ140は、ロック板142のロック片146における幅方向外側面に抜け防止突起150が形成されている。抜け防止突起150は、ロック片146から幅方向外側に延びて、その外側の端部から上方に延びるほどロック片146に近づく形態をなしており、リテーナ140が雌側ハウジング20に保持された状態において、雌側ハウジング20の貫通孔32内に収容されている。また、抜け防止突起150の下側の面は、抜け止め部41が仮係止位置に配された際に、貫通孔32の下側開口縁部と係止可能とされている。つまり、ロック片146のロック爪148におけるロック側係止面148Aが仮係止突起30の仮係止面30Aによって下方から係止された際に、抜け防止突起150の下側の面が貫通孔32の下側開口縁部によって下方から係止され、リテーナ140が抜け方向に二重に係止されるようになっている。このため、メンテナンスなどでリテーナ140を本係止位置から仮係止位置へ移動させる際に、リテーナ40に対して抜け方向に大きな力が加わえられた場合においても、ロック爪148と抜け防止突起150との二箇所において、ロック片46が下方から係止され、リテーナ140が勢い余って雌側ハウジング20から外れてしまうことを抑制することができる。これにより、抜け防止突起150がロック片に形成されていないものに比べて、リテーナ140が雌側ハウジング20から脱落することを抑制することができる。
【0046】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ロック板42を抜け止め部41の後方に隣接して構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、抜け止め部41の前方にロック部を構成してもよく、抜け止め部の幅方向外側にロック部を構成してもよい。
(2)上記実施形態では、端子収容部22にキャビティ23を上下方向及び幅方向に複数並べた構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、端子収容部内にキャビティを幅方向にのみ複数並べた構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、貫通孔32を略矩形状に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、貫通孔を円形状や三角形状に構成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
10:コネクタ
20:雌側ハウジング(コネクタハウジング)
20A:側壁
24:雌型端子(端子金具)
29:ロック片収容部
30:仮係止突起(ロック部)
31:本係止突起(ロック部)
32:貫通孔
40,140:リテーナ
46,146:ロック片
150:抜け防止突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具を収容するコネクタハウジングと、幅方向外側に弾性変形可能な一対のロック片を幅方向両端部に有するリテーナとを備えたコネクタであって、
前記コネクタハウジングには、同コネクタハウジングの幅方向両端部に位置する両側壁の内側に前記ロック片を収容するロック片収容部がそれぞれ形成されており、
前記ロック片収容部における幅方向内側の内面には、前記ロック片が弾性変形して乗り上げ、弾性復帰することで係止するロック部が形成されており、
前記コネクタハウジングの側壁には、前記ロック片の弾性変形を許容する貫通孔が前記側壁を貫通して形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタハウジングは、相手側ハウジングに設けられたハウジング収容部内に嵌合可能に形成されており、
前記貫通孔を取り囲む前記側壁のうち、嵌合方向と交差する方向に前記貫通孔と隣り合う前記側壁は前記コネクタハウジングの嵌合方向に連続して形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記貫通孔を囲む前記側壁のうち、前記ロック片の収容方向手前側に前記貫通孔と隣り合う前記側壁は、弾性変形した前記ロック片の外面を幅方向内側に押圧することを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ロック部は、前記端子金具の挿抜を許容する仮係止位置に前記リテーナを保持する仮係止突起と、この仮係止突起よりもロック片収容部の奥側に形成され、前記リテーナが前記端子金具を係止して前記コネクタハウジングから前記端子金具を抜け止めする本係止位置に前記リテーナを保持する本係止突起とを備えており、
前記ロック片には、前記貫通孔における前記ロック片の収容方向手前側の開口縁部と係止可能な抜け防止突起が形成されており、
前記ロック片が前記仮係止突起と係止した際に、前記開口縁部によって前記抜け防止突起が前記ロック片の抜け方向に係止されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項1】
端子金具を収容するコネクタハウジングと、幅方向外側に弾性変形可能な一対のロック片を幅方向両端部に有するリテーナとを備えたコネクタであって、
前記コネクタハウジングには、同コネクタハウジングの幅方向両端部に位置する両側壁の内側に前記ロック片を収容するロック片収容部がそれぞれ形成されており、
前記ロック片収容部における幅方向内側の内面には、前記ロック片が弾性変形して乗り上げ、弾性復帰することで係止するロック部が形成されており、
前記コネクタハウジングの側壁には、前記ロック片の弾性変形を許容する貫通孔が前記側壁を貫通して形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタハウジングは、相手側ハウジングに設けられたハウジング収容部内に嵌合可能に形成されており、
前記貫通孔を取り囲む前記側壁のうち、嵌合方向と交差する方向に前記貫通孔と隣り合う前記側壁は前記コネクタハウジングの嵌合方向に連続して形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記貫通孔を囲む前記側壁のうち、前記ロック片の収容方向手前側に前記貫通孔と隣り合う前記側壁は、弾性変形した前記ロック片の外面を幅方向内側に押圧することを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ロック部は、前記端子金具の挿抜を許容する仮係止位置に前記リテーナを保持する仮係止突起と、この仮係止突起よりもロック片収容部の奥側に形成され、前記リテーナが前記端子金具を係止して前記コネクタハウジングから前記端子金具を抜け止めする本係止位置に前記リテーナを保持する本係止突起とを備えており、
前記ロック片には、前記貫通孔における前記ロック片の収容方向手前側の開口縁部と係止可能な抜け防止突起が形成されており、
前記ロック片が前記仮係止突起と係止した際に、前記開口縁部によって前記抜け防止突起が前記ロック片の抜け方向に係止されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−101869(P2013−101869A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245523(P2011−245523)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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