コネクタ
【課題】基板に対して確実に実装できるコネクタを提供する。
【解決手段】プラグコネクタ5(コネクタ)は、金属板M上に絶縁層Iを形成し、絶縁層I上に複数の導電パターンeを形成することで、金属板Mを複数のコンタクトとして機能させつつ、プラグ側基板4(基板)に搭載されて用いられるものである。金属板Mの対向部M22の、プラグ側基板4に対向する面である基板対向面M22aには、プラグ側基板4に向かって膨らみ出る膨出部24が複数形成されている。複数の導電パターンeは、複数の膨出部24に対して夫々重なるように形成されている。
【解決手段】プラグコネクタ5(コネクタ)は、金属板M上に絶縁層Iを形成し、絶縁層I上に複数の導電パターンeを形成することで、金属板Mを複数のコンタクトとして機能させつつ、プラグ側基板4(基板)に搭載されて用いられるものである。金属板Mの対向部M22の、プラグ側基板4に対向する面である基板対向面M22aには、プラグ側基板4に向かって膨らみ出る膨出部24が複数形成されている。複数の導電パターンeは、複数の膨出部24に対して夫々重なるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、本願の図14に示すように、金属板である基材100の一面に絶縁層を形成し、絶縁層上に金属鍍金を形成することで導体部を形成したコネクタ101を開示している。このコネクタ101は、基材100の底部100aをプリント配線基板102に実装することで、プリント配線基板102に対して取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−228612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のコネクタ101には、基板に対する実装に関し、改善の余地が残されていた。
【0005】
本願発明の目的は、基板に対して確実に実装できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の観点によれば、金属板上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に複数の導電パターンを形成することで、前記金属板を複数のコンタクトとして機能させつつ、基板に搭載されて用いられるコネクタであって、前記金属板の、前記基板に対向する面である基板対向面には、前記基板に向かって膨らみ出る膨出部が形成されており、前記複数の導電パターンのうち少なくとも何れかの導電パターンは、前記膨出部に対して重なるように形成されている、コネクタが提供される。
好ましくは、前記膨出部は、略球面状に膨らみ出ている。
好ましくは、前記膨出部の頂部は、略平坦状に形成されている。
好ましくは、前記基板対向面は、前記膨出部を除いて、絶縁被覆されている。
好ましくは、前記膨出部は複数形成されており、前記複数の膨出部は、千鳥配置されている。
本願発明の第2の観点によれば、金属板上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に複数の導電パターンを形成することで、前記金属板を複数のコンタクトとして機能させつつ、基板に搭載されて用いられるコネクタであって、前記金属板の、前記基板に対向する面である基板対向面には、前記基板に向かって膨らみ出る膨出部が複数形成されており、前記複数の導電パターンは、前記複数の膨出部に対して夫々重なるように形成されている。
好ましくは、前記基板対向面は、前記複数の膨出部を除いて、絶縁被覆されている。
好ましくは、前記複数の膨出部は、千鳥配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、平坦な基板に対して、平坦な基板対向面から接続部を膨らみ出すことで、対向面に付加する絶縁被膜の厚さで接続部が埋没することを防止したり、基板面との間に隙間を生むことでハンダブリッジを抑止することなどで確実な基板への実装が可能となる。また、前記複数の導電パターン間で短絡することなく、且つ、狭ピッチで実装できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、レセプタクルコネクタからプラグコネクタを取り外した状態の斜視図である。(第1実施形態)
【図2】図2は、レセプタクルコネクタの斜視図である。(第1実施形態)
【図3】図3は、レセプタクルコネクタの一部切り欠き斜視図である。(第1実施形態)
【図4】図4は、図2のIV-IV線矢視断面図である。(第1実施形態)
【図5】図5は、プラグコネクタの斜視図である。(第1実施形態)
【図6】図6は、プラグコネクタから絶縁シートを取り外した状態の斜視図である。(第1実施形態)
【図7】図7は、プラグコネクタから絶縁シートを取り外した状態の平面図である。(第1実施形態)
【図8】図8は、図6のVIII-VIII線矢視断面図である。(第1実施形態)
【図9】図9は、図8のA部拡大図である。(第1実施形態)
【図10】図10は、プラグ側基板に取り付けられたプラグコネクタの断面図である。(第1実施形態)
【図11】図11は、レセプタクルコネクタとプラグコネクタの嵌合状態を示す断面図である。(第1実施形態)
【図12】図12は、プラグコネクタの斜視図である。(第2実施形態)
【図13】図13は、プラグコネクタから絶縁シートを取り外した状態の斜視図である。(第2実施形態)
【図14】図14は、特許文献1の図8に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1〜図11を参照して、本願発明の第1実施形態を説明する。各図において、断面以外に施されている細かいハッチングは、導電パターンをイメージしたものである。
【0010】
(コネクタユニット1)
図1に示すように、コネクタユニット1は、レセプタクル側基板2(第1基板)に搭載されて用いられるレセプタクルコネクタ3(第1コネクタ、第1ハウジングレスコネクタ)と、プラグ側基板4(基板、第2基板、図10を併せて参照)に搭載されて用いられるプラグコネクタ5(コネクタ、第2コネクタ、第2ハウジングレスコネクタ)と、によって構成されており、図11に示すようにプラグコネクタ5をレセプタクルコネクタ3に嵌合させることでレセプタクル側基板2とプラグ側基板4とを電気的に接続するものである。
【0011】
図1に示すように、レセプタクルコネクタ3は、金属板M上に絶縁層Iを形成し、絶縁層I上に複数の導電パターンcを形成することで、金属板Mを複数のコンタクトとして機能させている。本実施形態においてレセプタクルコネクタ3は、樹脂製のハウジングを有さない所謂ハウジングレスコネクタとして構成されている。
【0012】
(レセプタクルコネクタ3)
図2〜図4に示すように、レセプタクルコネクタ3は、櫛状に並べられてコンタクトの一部として機能する複数の片持ち梁6と、複数の片持ち梁6を取り囲む外枠体7と、を備えて構成されている。図3に示すように、複数の片持ち梁6は、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aの面方向に沿って2列になって並んでいる。
【0013】
ここで、図3を参照して、「ピッチ方向」、「ピッチ直交方向」、「高さ方向」を定義する。「ピッチ方向」とは、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aの面方向に含まれる方向であって、多数の片持ち梁6が並べられている方向を意味する。「ピッチ方向」のうちレセプタクルコネクタ3の中央に近づく方向を「ピッチ中央方向」と定義し、レセプタクルコネクタ3の中央から離れる方向を「ピッチ反中央方向」と定義する。「ピッチ直交方向」とは、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aの面方向に含まれる方向であって、ピッチ方向に対して直交する方向である。「ピッチ直交方向」のうちレセプタクルコネクタ3の中央に近づく方向を「ピッチ直交中央方向」と定義し、レセプタクルコネクタ3の中央から離れる方向を「ピッチ直交反中央方向」と定義する。「高さ方向」とは、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aに対して直交する方向である。「高さ方向」のうちレセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aに近づく方向を「基板近接方向」と定義し、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aから離れる方向を「基板離間方向」と定義する。なお、これら「ピッチ方向」「ピッチ直交方向」「高さ方向」等は、図1に示すように、プラグコネクタ5に対してもそのまま適用されるものとする。
【0014】
(外枠体7)
図2〜図4に示すように、外枠体7は、天板8と、一対の側板9と、を備えている。
【0015】
(外枠体7:天板8)
図3に示すように、天板8は、複数の片持ち梁6を挟んでレセプタクル側基板2と反対側に配置されており、レセプタクル側基板2に対して略平行である。天板8は、プラグコネクタ5が挿入される挿入開口ユニット10を有している。挿入開口ユニット10は、一対の挿入開口11によって構成されている。即ち、天板8には、一対の挿入開口11が形成されている。換言すれば、天板8は、各挿入開口11を取り囲むように形成されている。一対の挿入開口11は、ピッチ直交方向に並んで配置されている。各挿入開口11は、ピッチ方向に長細く形成されている。天板8は、各挿入開口11を取り囲む切れ目のない周縁12を有している。そして、各周縁12には、基板近接方向に垂れ下がるように湾曲する第1湾曲部13と一対の第2湾曲部14が形成されている。第1湾曲部13は、挿入開口11から見てピッチ直交反中央方向側に形成されている。一対の第2湾曲部14は、挿入開口11から見てピッチ反中央方向側に形成されている。第1湾曲部13は、第1湾曲面13aを有している。第2湾曲部14は、第2湾曲面14aを有している。
【0016】
(外枠体7:側板9)
図3に示すように、一対の側板9は、複数の片持ち梁6をレセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aの面方向において挟むように配置されている。一対の側板9は、天板8のピッチ直交方向の端部に接続しており、基板近接方向に延びて形成されている。一対の側板9は、レセプタクル側基板2に対して略直交している。図2に示すように、各側板9のピッチ方向の端部の下端には、レセプタクルコネクタ3をレセプタクル側基板2にハンダ付けするためのホールドダウン15が形成されている。各ホールドダウン15は、各側板9に接続しつつ、側板9からピッチ直交中央方向に向かって折り曲げられて形成されている。
【0017】
(片持ち梁6)
図4に示すように、各片持ち梁6は、レセプタクル側基板2から離れるように延びて形成されている。詳しくは、各片持ち梁6は、外枠体7の各側板9の下端部9aに接続しつつピッチ直交中央方向に向かって延びる直線部6aと、直線部6aに接続しつつ基板離間方向、ピッチ直交反中央方向、基板近接方向へ順番に向かうように湾曲する湾曲部6bと、によって構成されている。この湾曲部6bの存在により、各片持ち梁6は、レセプタクル側基板2から離れるように延びて形成されていると言及することができる。そして、各片持ち梁6のうちレセプタクル側基板2から最も離れた部分である頂部6cは、天板8によって覆われている。具体的には、各片持ち梁6の頂部6cは、天板8のうち一対の挿入開口11を仕切る部分としての天板中央部8aによって覆われている。
【0018】
(導電パターンc)
以上の構成のレセプタクルコネクタ3には、図1及び図2に示すように、複数の導電パターンcが形成されている。各導電パターンcは、各片持ち梁6に対応するように形成されている。即ち、導電パターンcの本数と、片持ち梁6の本数は同じである。
【0019】
図3及び図4に示すように、各導電パターンcは、各片持ち梁6と、側板9と、天板8と、に跨るように形成されている。詳しくは、各導電パターンcは、各片持ち梁6の湾曲部6bから天板8の第1湾曲部13にかけて形成されている。図4に示すように、各導電パターンcは、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aに形成した電極パッド2bにハンダ付けされる。
【0020】
(ホールドダウンパターンd)
図2に示すように、レセプタクルコネクタ3には、複数のホールドダウンパターンdが形成されている。各ホールドダウンパターンdは、各ホールドダウン15と、側板9と、に跨るように形成されている。各ホールドダウン15は、各ホールドダウンパターンdが、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aに形成したホールドダウン用パッド2cにハンダ付けされることにより、レセプタクル側基板2に固定される。
【0021】
(プラグコネクタ5)
次に、図1及び図5〜図10に基づいて、プラグコネクタ5を説明する。図1に示すプラグコネクタ5は、金属板M上に絶縁層Iを形成し、絶縁層I上に複数の導電パターンeを形成することで、金属板Mを複数のコンタクトとして機能させている。本実施形態においてプラグコネクタ5は、樹脂製のハウジングを有さない所謂ハウジングレスコネクタとして構成されている。
【0022】
詳しくは、図5に示すように、プラグコネクタ5は、プラグコネクタ本体20と、絶縁シート21と、によって構成されている。
【0023】
(プラグコネクタ本体20)
プラグコネクタ本体20は、金属板Mと絶縁層I、複数の導電パターンeを有している。
【0024】
金属板Mは、プラグ側基板4に対向する対向部M22と、一対のU字部M23と、によって構成されている(図10も併せて参照)。
【0025】
図7及び図8に示すように、金属板Mの対向部M22の、プラグ側基板4に対向する面である基板対向面M22aには、プラグ側基板4に向かって膨らみ出る膨出部24が複数形成されている。各膨出部24は、プラグ側基板4に向かって略球面状に膨らみ出ている。また、図9に示すように、各膨出部24の頂部24aは、略平坦状に形成されている。即ち、各膨出部24の頂部24aには、直径Dの略円状平面が形成されている。そして、複数の膨出部24は、図6及び図7に示すように、略千鳥状に配置されている。
【0026】
図5及び図6に示すように、各U字部M23は、対向部M22のピッチ直交方向の端部から基板近接方向(レセプタクル側基板2に近づく方向、以下同様。)に延び、ピッチ直交中央方向に向かって湾曲し、その後、基板離間方向(レセプタクル側基板2から離れる方向、以下同様。)に延びるように略U字状に形成されている。
【0027】
絶縁層Iは、金属板M上に形成されている。絶縁層Iは、金属板Mの二面のうち、基板対向面M22aを含む面上に形成されている。絶縁層Iは、例えばポリイミドやアラミドによって形成される。また、これに代えて、絶縁層Iを金属板M自体の酸化膜として形成してもよい。
【0028】
複数の導電パターンeは、絶縁層I上に形成されている。複数の導電パターンeと、金属板Mと、の間に絶縁層Iが介在することで、複数の導電パターンeは、相互に電気的に絶縁された状態となっている。複数の導電パターンeは、図2に示す複数の片持ち梁6(導電パターンc)に対応するように形成されている。即ち、導電パターンeの本数と、片持ち梁6(導電パターンc)の本数は同じである。
【0029】
図8に示すように、各導電パターンeは、一方のU字部M23と対向部M22とに跨るように形成されている。また、各導電パターンeは、各膨出部24に至るまで延びており、各膨出部24に対して重なるように形成されている。この結果、対向部M22において、各導電パターンeは、プラグ側基板4側に膨らみ出ることになる。そして、図10に示すように、各導電パターンeは、プラグ側基板4のコネクタ搭載面4aの電極パッド4bにハンダ付けされる。具体的には、各導電パターンeは、各膨出部24において、プラグ側基板4のコネクタ搭載面4aの電極パッド4bにハンダ付けされる。
【0030】
(絶縁シート21)
図5及び図6に示すように、絶縁シート21は、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aを被覆している。換言すれば、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aは、絶縁シート21により絶縁被覆されている。詳しくは、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aは、複数の膨出部24を除いて、絶縁シート21により絶縁被覆されている。換言すれば、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aが絶縁シート21により絶縁被覆された図5の状態で、複数の膨出部24は外部に露出した状態となっている。更には、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aが絶縁シート21により絶縁被覆された図5の状態で、複数の膨出部24が絶縁シート21を貫通してプラグ側基板4側に突出するように、複数の膨出部24は、プラグ側基板4に向かって十分に膨らみ出ている。絶縁シート21は、例えばポリイミドやアラミドで形成されている。
【0031】
(作動)
次に、コネクタユニット1の作動を説明する。先ず、図4に示すようにレセプタクルコネクタ3をレセプタクル側基板2に搭載し、図10に示すようにプラグコネクタ5をプラグ側基板4に搭載する。次に、図11に示すように、プラグコネクタ5の各U字部M23を、レセプタクルコネクタ3の各挿入開口11に挿入する。挿入開口11の周縁12には、第1湾曲部13と第2湾曲部14が形成されているので、プラグコネクタ5の各U字部M23は、レセプタクルコネクタ3の各挿入開口11へ挿入し易い。プラグコネクタ5の各U字部M23をレセプタクルコネクタ3の各挿入開口11へ挿入する際、プラグコネクタ5の各U字部M23は、各片持ち梁6の湾曲部6bをピッチ直交中央方向へと押し退ける。そして、各片持ち梁6は、自己弾性復元力によりプラグコネクタ5の各U字部M23に対して強力に接触し、この接触により、レセプタクルコネクタ3の各導電パターンcと、プラグコネクタ5の各導電パターンeと、の導通が実現される。
【0032】
(製造方法)
ここで、レセプタクルコネクタ3の製造方法を説明する。先ず、金属板の一方の面に絶縁層を形成する。次に、この絶縁層上に所望の導電パターンc及びホールドダウンパターンdを形成する。そして、不要な部分をパンチ加工などで取り除き、折り曲げ加工を実施することにより、図2に示すようなレセプタクルコネクタ3が完成する。
【0033】
プラグコネクタ5の製造方法は、上記レセプタクルコネクタ3の製造方法と同じであるからその説明を割愛する。
【0034】
以上に本願発明の第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態の特長は以下の通りである。
【0035】
即ち、プラグコネクタ5(コネクタ)は、金属板M上に絶縁層Iを形成し、絶縁層I上に複数の導電パターンeを形成することで、金属板Mを複数のコンタクトとして機能させつつ、プラグ側基板4(基板)に搭載されて用いられるものである。金属板Mの対向部M22の、プラグ側基板4に対向する面である基板対向面M22aには、プラグ側基板4に向かって膨らみ出る膨出部24が複数形成されている。複数の導電パターンeは、複数の膨出部24に対して夫々重なるように形成されている。以上の構成によれば、複数の導電パターンeをプラグ側基板4に対してメリハリよく接触させることができるので、プラグコネクタ5をプラグ側基板4に対して確実に実装することが可能となる。また、複数の導電パターンe間で短絡することなく、且つ、狭ピッチで実装できるようになる。
【0036】
なお、この種のコネクタにおいて、導電パターン自体を部分的に膨らみ出すような技術的発想は従来、存在していなかった。というのは、従来発想だと、そのまま実装すると隣接端子が短絡する虞があり、隣接端子と短絡しないようにするため絶縁処理を施すと、基板実装部分とコネクタ実装部分が接触しない(距離が長くなる)ため確実に実装できない虞があった。これに対し、本実施形態では、絶縁処理を施した上で、実装部分を膨らませることで、隣接端子との短絡を防ぎつつ、基板実装部分とコネクタ実装部分を接触させ(近づかせ)確実に実装させることを可能とした。
【0037】
また、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aは、複数の膨出部24を除いて、絶縁被覆されている。以上の構成によれば、隣り合う導電パターンe間での意に反する短絡を効果的に抑制できる。
【0038】
また、複数の膨出部24は、千鳥配置されている。以上の構成によれば、各膨出部24を大きな面積で形成することが可能となる。
【0039】
以上に本願発明の第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態は、以下のように変更できる。
【0040】
上記第1実施形態では、対向部M22を絶縁被覆するために、対向部M22上に絶縁シート21を貼り付けることとした。しかし、これに代えて、対向部M22上に絶縁塗料を塗布したり、対向部M22上に酸化シリコンなどの絶縁材を蒸着させることで、対向部M22を絶縁被覆することとしてもよい。
【0041】
また、上記第1実施形態において、レセプタクルコネクタ3及びプラグコネクタ5は、何れも、樹脂製のハウジングを備えない所謂ハウジングレスコネクタとした。しかし、これに代えて、レセプタクルコネクタ3及びプラグコネクタ5は、樹脂製のハウジングを備えていてもよい。
【0042】
(第2実施形態)
次に、図12及び図13を参照しつつ、本願発明の第2実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0043】
本実施形態におけるプラグコネクタ5では、対向部M22の基板対向面M22aに、プラグ側基板4に向かって膨らみ出る膨出部24が複数形成されている。膨出部24の個数は、導電パターンeの本数の半分である。複数の膨出部24は、略千鳥状に配置されている。そして、複数の導電パターンeのうち半数の導電パターンeは、各膨出部24に対して重なるように形成されている。この結果、対向部M22において、複数の導電パターンeのうち半数の導電パターンeは、プラグ側基板4側に膨らみ出ることになる。そして、複数の導電パターンeは、プラグ側基板4のコネクタ搭載面4aの電極パッド4bにハンダ付けされる。具体的には、複数の導電パターンeのうち半数の導電パターンeは、各膨出部24において、プラグ側基板4のコネクタ搭載面4aの電極パッド4bにハンダ付けされる。また、複数の導電パターンeのうち残りの半数の導電パターンeは、金属板Mの対向部M22とU字部M23の境界で湾曲する湾曲部e1において、プラグ側基板4の第2湾曲面14aの電極パッド4bにハンダ付けされる。なお、絶縁シート21には、湾曲部e1を外部へ露出されるためのハンダ付け窓部35が形成されている。
【0044】
以上に、本願発明の第1及び第2の実施形態を説明したが、第1及び第2実施形態は、以下のように変更できる。
【0045】
即ち、上記第1及び第2実施形態において、膨出部24はプラグコネクタ5に形成されているものとしたが、これに代えて、レセプタクルコネクタ3にも膨出部24を形成してもよい。また、膨出部24は、導電パターンe(又は導電パターンc)と同じ数だけ形成するのが好ましいが、必ずしも同数である必要はない。従って、例えば、1本の導電パターンeを2つ以上の膨出部24に対して重なるように構成してもよい。これによれば、1本の導電パターンeを、プラグ側基板4のコネクタ搭載面4aに形成された複数の電極パッド4bに同時に接触させることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 コネクタユニット
2 レセプタクル側基板
2a コネクタ搭載面
2b 電極パッド
2c ホールドダウン用パッド
3 レセプタクルコネクタ
4 プラグ側基板(基板)
4a コネクタ搭載面
4b 電極パッド
5 プラグコネクタ(コネクタ)
6 片持ち梁
6a 直線部
6b 湾曲部
6c 頂部
7 外枠体
8 天板
8a 天板中央部
9 側板
9a 下端部
10 挿入開口ユニット
11 挿入開口
12 周縁
13 第1湾曲部
13a 第1湾曲面
14 第2湾曲部
14a 第2湾曲面
15 ホールドダウン
20 プラグコネクタ本体
21 絶縁シート
24 膨出部
24a 頂部
35 ハンダ付け窓部
c 導電パターン
D 直径
d ホールドダウンパターン
e 導電パターン
e1 湾曲部
M 金属板
M22 対向部
M22a 基板対向面
M23 U字部
I 絶縁層
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、特許文献1は、本願の図14に示すように、金属板である基材100の一面に絶縁層を形成し、絶縁層上に金属鍍金を形成することで導体部を形成したコネクタ101を開示している。このコネクタ101は、基材100の底部100aをプリント配線基板102に実装することで、プリント配線基板102に対して取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−228612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のコネクタ101には、基板に対する実装に関し、改善の余地が残されていた。
【0005】
本願発明の目的は、基板に対して確実に実装できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の第1の観点によれば、金属板上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に複数の導電パターンを形成することで、前記金属板を複数のコンタクトとして機能させつつ、基板に搭載されて用いられるコネクタであって、前記金属板の、前記基板に対向する面である基板対向面には、前記基板に向かって膨らみ出る膨出部が形成されており、前記複数の導電パターンのうち少なくとも何れかの導電パターンは、前記膨出部に対して重なるように形成されている、コネクタが提供される。
好ましくは、前記膨出部は、略球面状に膨らみ出ている。
好ましくは、前記膨出部の頂部は、略平坦状に形成されている。
好ましくは、前記基板対向面は、前記膨出部を除いて、絶縁被覆されている。
好ましくは、前記膨出部は複数形成されており、前記複数の膨出部は、千鳥配置されている。
本願発明の第2の観点によれば、金属板上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に複数の導電パターンを形成することで、前記金属板を複数のコンタクトとして機能させつつ、基板に搭載されて用いられるコネクタであって、前記金属板の、前記基板に対向する面である基板対向面には、前記基板に向かって膨らみ出る膨出部が複数形成されており、前記複数の導電パターンは、前記複数の膨出部に対して夫々重なるように形成されている。
好ましくは、前記基板対向面は、前記複数の膨出部を除いて、絶縁被覆されている。
好ましくは、前記複数の膨出部は、千鳥配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、平坦な基板に対して、平坦な基板対向面から接続部を膨らみ出すことで、対向面に付加する絶縁被膜の厚さで接続部が埋没することを防止したり、基板面との間に隙間を生むことでハンダブリッジを抑止することなどで確実な基板への実装が可能となる。また、前記複数の導電パターン間で短絡することなく、且つ、狭ピッチで実装できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、レセプタクルコネクタからプラグコネクタを取り外した状態の斜視図である。(第1実施形態)
【図2】図2は、レセプタクルコネクタの斜視図である。(第1実施形態)
【図3】図3は、レセプタクルコネクタの一部切り欠き斜視図である。(第1実施形態)
【図4】図4は、図2のIV-IV線矢視断面図である。(第1実施形態)
【図5】図5は、プラグコネクタの斜視図である。(第1実施形態)
【図6】図6は、プラグコネクタから絶縁シートを取り外した状態の斜視図である。(第1実施形態)
【図7】図7は、プラグコネクタから絶縁シートを取り外した状態の平面図である。(第1実施形態)
【図8】図8は、図6のVIII-VIII線矢視断面図である。(第1実施形態)
【図9】図9は、図8のA部拡大図である。(第1実施形態)
【図10】図10は、プラグ側基板に取り付けられたプラグコネクタの断面図である。(第1実施形態)
【図11】図11は、レセプタクルコネクタとプラグコネクタの嵌合状態を示す断面図である。(第1実施形態)
【図12】図12は、プラグコネクタの斜視図である。(第2実施形態)
【図13】図13は、プラグコネクタから絶縁シートを取り外した状態の斜視図である。(第2実施形態)
【図14】図14は、特許文献1の図8に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1〜図11を参照して、本願発明の第1実施形態を説明する。各図において、断面以外に施されている細かいハッチングは、導電パターンをイメージしたものである。
【0010】
(コネクタユニット1)
図1に示すように、コネクタユニット1は、レセプタクル側基板2(第1基板)に搭載されて用いられるレセプタクルコネクタ3(第1コネクタ、第1ハウジングレスコネクタ)と、プラグ側基板4(基板、第2基板、図10を併せて参照)に搭載されて用いられるプラグコネクタ5(コネクタ、第2コネクタ、第2ハウジングレスコネクタ)と、によって構成されており、図11に示すようにプラグコネクタ5をレセプタクルコネクタ3に嵌合させることでレセプタクル側基板2とプラグ側基板4とを電気的に接続するものである。
【0011】
図1に示すように、レセプタクルコネクタ3は、金属板M上に絶縁層Iを形成し、絶縁層I上に複数の導電パターンcを形成することで、金属板Mを複数のコンタクトとして機能させている。本実施形態においてレセプタクルコネクタ3は、樹脂製のハウジングを有さない所謂ハウジングレスコネクタとして構成されている。
【0012】
(レセプタクルコネクタ3)
図2〜図4に示すように、レセプタクルコネクタ3は、櫛状に並べられてコンタクトの一部として機能する複数の片持ち梁6と、複数の片持ち梁6を取り囲む外枠体7と、を備えて構成されている。図3に示すように、複数の片持ち梁6は、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aの面方向に沿って2列になって並んでいる。
【0013】
ここで、図3を参照して、「ピッチ方向」、「ピッチ直交方向」、「高さ方向」を定義する。「ピッチ方向」とは、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aの面方向に含まれる方向であって、多数の片持ち梁6が並べられている方向を意味する。「ピッチ方向」のうちレセプタクルコネクタ3の中央に近づく方向を「ピッチ中央方向」と定義し、レセプタクルコネクタ3の中央から離れる方向を「ピッチ反中央方向」と定義する。「ピッチ直交方向」とは、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aの面方向に含まれる方向であって、ピッチ方向に対して直交する方向である。「ピッチ直交方向」のうちレセプタクルコネクタ3の中央に近づく方向を「ピッチ直交中央方向」と定義し、レセプタクルコネクタ3の中央から離れる方向を「ピッチ直交反中央方向」と定義する。「高さ方向」とは、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aに対して直交する方向である。「高さ方向」のうちレセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aに近づく方向を「基板近接方向」と定義し、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aから離れる方向を「基板離間方向」と定義する。なお、これら「ピッチ方向」「ピッチ直交方向」「高さ方向」等は、図1に示すように、プラグコネクタ5に対してもそのまま適用されるものとする。
【0014】
(外枠体7)
図2〜図4に示すように、外枠体7は、天板8と、一対の側板9と、を備えている。
【0015】
(外枠体7:天板8)
図3に示すように、天板8は、複数の片持ち梁6を挟んでレセプタクル側基板2と反対側に配置されており、レセプタクル側基板2に対して略平行である。天板8は、プラグコネクタ5が挿入される挿入開口ユニット10を有している。挿入開口ユニット10は、一対の挿入開口11によって構成されている。即ち、天板8には、一対の挿入開口11が形成されている。換言すれば、天板8は、各挿入開口11を取り囲むように形成されている。一対の挿入開口11は、ピッチ直交方向に並んで配置されている。各挿入開口11は、ピッチ方向に長細く形成されている。天板8は、各挿入開口11を取り囲む切れ目のない周縁12を有している。そして、各周縁12には、基板近接方向に垂れ下がるように湾曲する第1湾曲部13と一対の第2湾曲部14が形成されている。第1湾曲部13は、挿入開口11から見てピッチ直交反中央方向側に形成されている。一対の第2湾曲部14は、挿入開口11から見てピッチ反中央方向側に形成されている。第1湾曲部13は、第1湾曲面13aを有している。第2湾曲部14は、第2湾曲面14aを有している。
【0016】
(外枠体7:側板9)
図3に示すように、一対の側板9は、複数の片持ち梁6をレセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aの面方向において挟むように配置されている。一対の側板9は、天板8のピッチ直交方向の端部に接続しており、基板近接方向に延びて形成されている。一対の側板9は、レセプタクル側基板2に対して略直交している。図2に示すように、各側板9のピッチ方向の端部の下端には、レセプタクルコネクタ3をレセプタクル側基板2にハンダ付けするためのホールドダウン15が形成されている。各ホールドダウン15は、各側板9に接続しつつ、側板9からピッチ直交中央方向に向かって折り曲げられて形成されている。
【0017】
(片持ち梁6)
図4に示すように、各片持ち梁6は、レセプタクル側基板2から離れるように延びて形成されている。詳しくは、各片持ち梁6は、外枠体7の各側板9の下端部9aに接続しつつピッチ直交中央方向に向かって延びる直線部6aと、直線部6aに接続しつつ基板離間方向、ピッチ直交反中央方向、基板近接方向へ順番に向かうように湾曲する湾曲部6bと、によって構成されている。この湾曲部6bの存在により、各片持ち梁6は、レセプタクル側基板2から離れるように延びて形成されていると言及することができる。そして、各片持ち梁6のうちレセプタクル側基板2から最も離れた部分である頂部6cは、天板8によって覆われている。具体的には、各片持ち梁6の頂部6cは、天板8のうち一対の挿入開口11を仕切る部分としての天板中央部8aによって覆われている。
【0018】
(導電パターンc)
以上の構成のレセプタクルコネクタ3には、図1及び図2に示すように、複数の導電パターンcが形成されている。各導電パターンcは、各片持ち梁6に対応するように形成されている。即ち、導電パターンcの本数と、片持ち梁6の本数は同じである。
【0019】
図3及び図4に示すように、各導電パターンcは、各片持ち梁6と、側板9と、天板8と、に跨るように形成されている。詳しくは、各導電パターンcは、各片持ち梁6の湾曲部6bから天板8の第1湾曲部13にかけて形成されている。図4に示すように、各導電パターンcは、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aに形成した電極パッド2bにハンダ付けされる。
【0020】
(ホールドダウンパターンd)
図2に示すように、レセプタクルコネクタ3には、複数のホールドダウンパターンdが形成されている。各ホールドダウンパターンdは、各ホールドダウン15と、側板9と、に跨るように形成されている。各ホールドダウン15は、各ホールドダウンパターンdが、レセプタクル側基板2のコネクタ搭載面2aに形成したホールドダウン用パッド2cにハンダ付けされることにより、レセプタクル側基板2に固定される。
【0021】
(プラグコネクタ5)
次に、図1及び図5〜図10に基づいて、プラグコネクタ5を説明する。図1に示すプラグコネクタ5は、金属板M上に絶縁層Iを形成し、絶縁層I上に複数の導電パターンeを形成することで、金属板Mを複数のコンタクトとして機能させている。本実施形態においてプラグコネクタ5は、樹脂製のハウジングを有さない所謂ハウジングレスコネクタとして構成されている。
【0022】
詳しくは、図5に示すように、プラグコネクタ5は、プラグコネクタ本体20と、絶縁シート21と、によって構成されている。
【0023】
(プラグコネクタ本体20)
プラグコネクタ本体20は、金属板Mと絶縁層I、複数の導電パターンeを有している。
【0024】
金属板Mは、プラグ側基板4に対向する対向部M22と、一対のU字部M23と、によって構成されている(図10も併せて参照)。
【0025】
図7及び図8に示すように、金属板Mの対向部M22の、プラグ側基板4に対向する面である基板対向面M22aには、プラグ側基板4に向かって膨らみ出る膨出部24が複数形成されている。各膨出部24は、プラグ側基板4に向かって略球面状に膨らみ出ている。また、図9に示すように、各膨出部24の頂部24aは、略平坦状に形成されている。即ち、各膨出部24の頂部24aには、直径Dの略円状平面が形成されている。そして、複数の膨出部24は、図6及び図7に示すように、略千鳥状に配置されている。
【0026】
図5及び図6に示すように、各U字部M23は、対向部M22のピッチ直交方向の端部から基板近接方向(レセプタクル側基板2に近づく方向、以下同様。)に延び、ピッチ直交中央方向に向かって湾曲し、その後、基板離間方向(レセプタクル側基板2から離れる方向、以下同様。)に延びるように略U字状に形成されている。
【0027】
絶縁層Iは、金属板M上に形成されている。絶縁層Iは、金属板Mの二面のうち、基板対向面M22aを含む面上に形成されている。絶縁層Iは、例えばポリイミドやアラミドによって形成される。また、これに代えて、絶縁層Iを金属板M自体の酸化膜として形成してもよい。
【0028】
複数の導電パターンeは、絶縁層I上に形成されている。複数の導電パターンeと、金属板Mと、の間に絶縁層Iが介在することで、複数の導電パターンeは、相互に電気的に絶縁された状態となっている。複数の導電パターンeは、図2に示す複数の片持ち梁6(導電パターンc)に対応するように形成されている。即ち、導電パターンeの本数と、片持ち梁6(導電パターンc)の本数は同じである。
【0029】
図8に示すように、各導電パターンeは、一方のU字部M23と対向部M22とに跨るように形成されている。また、各導電パターンeは、各膨出部24に至るまで延びており、各膨出部24に対して重なるように形成されている。この結果、対向部M22において、各導電パターンeは、プラグ側基板4側に膨らみ出ることになる。そして、図10に示すように、各導電パターンeは、プラグ側基板4のコネクタ搭載面4aの電極パッド4bにハンダ付けされる。具体的には、各導電パターンeは、各膨出部24において、プラグ側基板4のコネクタ搭載面4aの電極パッド4bにハンダ付けされる。
【0030】
(絶縁シート21)
図5及び図6に示すように、絶縁シート21は、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aを被覆している。換言すれば、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aは、絶縁シート21により絶縁被覆されている。詳しくは、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aは、複数の膨出部24を除いて、絶縁シート21により絶縁被覆されている。換言すれば、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aが絶縁シート21により絶縁被覆された図5の状態で、複数の膨出部24は外部に露出した状態となっている。更には、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aが絶縁シート21により絶縁被覆された図5の状態で、複数の膨出部24が絶縁シート21を貫通してプラグ側基板4側に突出するように、複数の膨出部24は、プラグ側基板4に向かって十分に膨らみ出ている。絶縁シート21は、例えばポリイミドやアラミドで形成されている。
【0031】
(作動)
次に、コネクタユニット1の作動を説明する。先ず、図4に示すようにレセプタクルコネクタ3をレセプタクル側基板2に搭載し、図10に示すようにプラグコネクタ5をプラグ側基板4に搭載する。次に、図11に示すように、プラグコネクタ5の各U字部M23を、レセプタクルコネクタ3の各挿入開口11に挿入する。挿入開口11の周縁12には、第1湾曲部13と第2湾曲部14が形成されているので、プラグコネクタ5の各U字部M23は、レセプタクルコネクタ3の各挿入開口11へ挿入し易い。プラグコネクタ5の各U字部M23をレセプタクルコネクタ3の各挿入開口11へ挿入する際、プラグコネクタ5の各U字部M23は、各片持ち梁6の湾曲部6bをピッチ直交中央方向へと押し退ける。そして、各片持ち梁6は、自己弾性復元力によりプラグコネクタ5の各U字部M23に対して強力に接触し、この接触により、レセプタクルコネクタ3の各導電パターンcと、プラグコネクタ5の各導電パターンeと、の導通が実現される。
【0032】
(製造方法)
ここで、レセプタクルコネクタ3の製造方法を説明する。先ず、金属板の一方の面に絶縁層を形成する。次に、この絶縁層上に所望の導電パターンc及びホールドダウンパターンdを形成する。そして、不要な部分をパンチ加工などで取り除き、折り曲げ加工を実施することにより、図2に示すようなレセプタクルコネクタ3が完成する。
【0033】
プラグコネクタ5の製造方法は、上記レセプタクルコネクタ3の製造方法と同じであるからその説明を割愛する。
【0034】
以上に本願発明の第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態の特長は以下の通りである。
【0035】
即ち、プラグコネクタ5(コネクタ)は、金属板M上に絶縁層Iを形成し、絶縁層I上に複数の導電パターンeを形成することで、金属板Mを複数のコンタクトとして機能させつつ、プラグ側基板4(基板)に搭載されて用いられるものである。金属板Mの対向部M22の、プラグ側基板4に対向する面である基板対向面M22aには、プラグ側基板4に向かって膨らみ出る膨出部24が複数形成されている。複数の導電パターンeは、複数の膨出部24に対して夫々重なるように形成されている。以上の構成によれば、複数の導電パターンeをプラグ側基板4に対してメリハリよく接触させることができるので、プラグコネクタ5をプラグ側基板4に対して確実に実装することが可能となる。また、複数の導電パターンe間で短絡することなく、且つ、狭ピッチで実装できるようになる。
【0036】
なお、この種のコネクタにおいて、導電パターン自体を部分的に膨らみ出すような技術的発想は従来、存在していなかった。というのは、従来発想だと、そのまま実装すると隣接端子が短絡する虞があり、隣接端子と短絡しないようにするため絶縁処理を施すと、基板実装部分とコネクタ実装部分が接触しない(距離が長くなる)ため確実に実装できない虞があった。これに対し、本実施形態では、絶縁処理を施した上で、実装部分を膨らませることで、隣接端子との短絡を防ぎつつ、基板実装部分とコネクタ実装部分を接触させ(近づかせ)確実に実装させることを可能とした。
【0037】
また、金属板Mの対向部M22の基板対向面M22aは、複数の膨出部24を除いて、絶縁被覆されている。以上の構成によれば、隣り合う導電パターンe間での意に反する短絡を効果的に抑制できる。
【0038】
また、複数の膨出部24は、千鳥配置されている。以上の構成によれば、各膨出部24を大きな面積で形成することが可能となる。
【0039】
以上に本願発明の第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態は、以下のように変更できる。
【0040】
上記第1実施形態では、対向部M22を絶縁被覆するために、対向部M22上に絶縁シート21を貼り付けることとした。しかし、これに代えて、対向部M22上に絶縁塗料を塗布したり、対向部M22上に酸化シリコンなどの絶縁材を蒸着させることで、対向部M22を絶縁被覆することとしてもよい。
【0041】
また、上記第1実施形態において、レセプタクルコネクタ3及びプラグコネクタ5は、何れも、樹脂製のハウジングを備えない所謂ハウジングレスコネクタとした。しかし、これに代えて、レセプタクルコネクタ3及びプラグコネクタ5は、樹脂製のハウジングを備えていてもよい。
【0042】
(第2実施形態)
次に、図12及び図13を参照しつつ、本願発明の第2実施形態を説明する。ここでは、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は適宜省略する。また、上記第1実施形態の各構成要素に対応する構成要素には原則として同一の符号を付すこととする。
【0043】
本実施形態におけるプラグコネクタ5では、対向部M22の基板対向面M22aに、プラグ側基板4に向かって膨らみ出る膨出部24が複数形成されている。膨出部24の個数は、導電パターンeの本数の半分である。複数の膨出部24は、略千鳥状に配置されている。そして、複数の導電パターンeのうち半数の導電パターンeは、各膨出部24に対して重なるように形成されている。この結果、対向部M22において、複数の導電パターンeのうち半数の導電パターンeは、プラグ側基板4側に膨らみ出ることになる。そして、複数の導電パターンeは、プラグ側基板4のコネクタ搭載面4aの電極パッド4bにハンダ付けされる。具体的には、複数の導電パターンeのうち半数の導電パターンeは、各膨出部24において、プラグ側基板4のコネクタ搭載面4aの電極パッド4bにハンダ付けされる。また、複数の導電パターンeのうち残りの半数の導電パターンeは、金属板Mの対向部M22とU字部M23の境界で湾曲する湾曲部e1において、プラグ側基板4の第2湾曲面14aの電極パッド4bにハンダ付けされる。なお、絶縁シート21には、湾曲部e1を外部へ露出されるためのハンダ付け窓部35が形成されている。
【0044】
以上に、本願発明の第1及び第2の実施形態を説明したが、第1及び第2実施形態は、以下のように変更できる。
【0045】
即ち、上記第1及び第2実施形態において、膨出部24はプラグコネクタ5に形成されているものとしたが、これに代えて、レセプタクルコネクタ3にも膨出部24を形成してもよい。また、膨出部24は、導電パターンe(又は導電パターンc)と同じ数だけ形成するのが好ましいが、必ずしも同数である必要はない。従って、例えば、1本の導電パターンeを2つ以上の膨出部24に対して重なるように構成してもよい。これによれば、1本の導電パターンeを、プラグ側基板4のコネクタ搭載面4aに形成された複数の電極パッド4bに同時に接触させることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 コネクタユニット
2 レセプタクル側基板
2a コネクタ搭載面
2b 電極パッド
2c ホールドダウン用パッド
3 レセプタクルコネクタ
4 プラグ側基板(基板)
4a コネクタ搭載面
4b 電極パッド
5 プラグコネクタ(コネクタ)
6 片持ち梁
6a 直線部
6b 湾曲部
6c 頂部
7 外枠体
8 天板
8a 天板中央部
9 側板
9a 下端部
10 挿入開口ユニット
11 挿入開口
12 周縁
13 第1湾曲部
13a 第1湾曲面
14 第2湾曲部
14a 第2湾曲面
15 ホールドダウン
20 プラグコネクタ本体
21 絶縁シート
24 膨出部
24a 頂部
35 ハンダ付け窓部
c 導電パターン
D 直径
d ホールドダウンパターン
e 導電パターン
e1 湾曲部
M 金属板
M22 対向部
M22a 基板対向面
M23 U字部
I 絶縁層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に複数の導電パターンを形成することで、前記金属板を複数のコンタクトとして機能させつつ、基板に搭載されて用いられるコネクタであって、
前記金属板の、前記基板に対向する面である基板対向面には、前記基板に向かって膨らみ出る膨出部が形成されており、
前記複数の導電パターンのうち少なくとも何れかの導電パターンは、前記膨出部に対して重なるように形成されている、
コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記膨出部は、略球面状に膨らみ出ている、
コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記膨出部の頂部は、略平坦状に形成されている、
コネクタ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のコネクタであって、
前記基板対向面は、前記膨出部を除いて、絶縁被覆されている、
コネクタ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のコネクタであって、
前記膨出部は複数形成されており、
前記複数の膨出部は、千鳥配置されている、
コネクタ。
【請求項6】
金属板上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に複数の導電パターンを形成することで、前記金属板を複数のコンタクトとして機能させつつ、基板に搭載されて用いられるコネクタであって、
前記金属板の、前記基板に対向する面である基板対向面には、前記基板に向かって膨らみ出る膨出部が複数形成されており、
前記複数の導電パターンは、前記複数の膨出部に対して夫々重なるように形成されている、
コネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記基板対向面は、前記複数の膨出部を除いて、絶縁被覆されている、
コネクタ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のコネクタであって、
前記複数の膨出部は、千鳥配置されている、
コネクタ。
【請求項1】
金属板上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に複数の導電パターンを形成することで、前記金属板を複数のコンタクトとして機能させつつ、基板に搭載されて用いられるコネクタであって、
前記金属板の、前記基板に対向する面である基板対向面には、前記基板に向かって膨らみ出る膨出部が形成されており、
前記複数の導電パターンのうち少なくとも何れかの導電パターンは、前記膨出部に対して重なるように形成されている、
コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記膨出部は、略球面状に膨らみ出ている、
コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記膨出部の頂部は、略平坦状に形成されている、
コネクタ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のコネクタであって、
前記基板対向面は、前記膨出部を除いて、絶縁被覆されている、
コネクタ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のコネクタであって、
前記膨出部は複数形成されており、
前記複数の膨出部は、千鳥配置されている、
コネクタ。
【請求項6】
金属板上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に複数の導電パターンを形成することで、前記金属板を複数のコンタクトとして機能させつつ、基板に搭載されて用いられるコネクタであって、
前記金属板の、前記基板に対向する面である基板対向面には、前記基板に向かって膨らみ出る膨出部が複数形成されており、
前記複数の導電パターンは、前記複数の膨出部に対して夫々重なるように形成されている、
コネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記基板対向面は、前記複数の膨出部を除いて、絶縁被覆されている、
コネクタ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のコネクタであって、
前記複数の膨出部は、千鳥配置されている、
コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−114950(P2013−114950A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261304(P2011−261304)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
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