説明

コネクタ

【課題】嵌合・離脱方向における小型化を図る。
【解決手段】コネクタAは、第1ハウジング10の外側面12に形成された操作部13と、操作部13を構成し、第1ハウジング10を第2ハウジング40に向かって押す操作が可能な嵌合用指当て部14,15と、操作部13を構成し、第1ハウジング10を第2ハウジング40から引き離す操作が可能であって、嵌合用指当て部14,15との位置関係が両ハウジング10,40の嵌合・離脱方向と交差する上下方向へ位置ずれし、且つ嵌合・離脱方向において重なるように配置された離脱用指当て部27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対のハウジングの嵌合時及び離脱時における操作性の向上を図るための操作部を備えたコネクタが開示されている。操作部は、一方のハウジングの外面に形成され、嵌合用の指当て部と離脱用の指当て部とを備えて構成されている。嵌合用指当て部は、両ハウジングの嵌合方向に対して斜めをなし、指を当てることにより、一方のハウジングを他方のハウジングに向かって押す操作が可能な形態である。離脱用指当て部は、両ハウジングの嵌合方向に対して斜めをなし、指を当てることにより、一方のハウジングを他方のハウジングから離間させるように引く操作が可能な形態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−367731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコネクタでは、嵌合用指当て部と離脱用指当て部が、両ハウジングの嵌合・離脱方向と平行に並ぶように配置されていた。そのため、ハウジングは、嵌合・離脱方向において大型化することが懸念される。特に、操作部が形成されているハウジングを、相手側ハウジングのフード部内に嵌入する形態の場合、操作部を形成可能な領域は、嵌合状態においてフード部の外部に露出する範囲に限定されるため、十分な大きさの操作部を形成しようとすると、ハウジングを嵌合・離脱方向において大型化しなければならない。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、嵌合・離脱方向における小型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、第1ハウジングと、前記第1ハウジングに対して嵌合及び離脱が可能な第2ハウジングと、前記第1ハウジングの外面に形成された操作部と、前記操作部を構成し、前記第1ハウジングを前記第2ハウジングに向かって押す操作が可能な嵌合用指当て部と、前記操作部を構成し、前記第1ハウジングを前記第2ハウジングから引き離す操作が可能であって、前記嵌合用指当て部との位置関係が前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合・離脱方向と交差する方向へ位置ずれし、且つ前記嵌合・離脱方向において重なるように配置された離脱用指当て部とを備えているところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記嵌合・離脱方向において、前記嵌合用指当て部と前記離脱用指当て部のうち一方の前記指当て部の全体が、他方の前記指当て部の形成領域の範囲内に納まっているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記嵌合用指当て部は、前記第1ハウジングの前記外面を基準とする突出寸法が、嵌合方向最後端において最小であり且つ嵌合方向最前端において最大である嵌合用操作面を有し、前記離脱用指当て部は、前記第1ハウジングの前記外面を基準とする突出寸法が、嵌合方向最前端において最小であり且つ嵌合方向最後端において最大である離脱用操作面を有し、前記第1ハウジングの前記外面を基準とする突出寸法に関して、前記嵌合用操作面と前記離脱用操作面のうち一方の前記操作面の最小突出寸法が、他方の前記操作面の最大突出寸法と同じか、それよりも大きい寸法とされているところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記嵌合用指当て部と前記離脱用指当て部のうち一方の前記指当て部が、前記嵌合・離脱方向と交差する方向に間隔を空けて対をなすように設けられ、他方の前記指当て部が、前記対をなす一方の指当て部の間に挟まれるように配置され、且つ前記他方の指当て部に対する操作方向へ膨らむように湾曲した曲面状をなしているところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記第2ハウジングが、第1ハウジングの一部を収容可能なフード部を有しており、前記操作部の全体が、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合した状態において前記第1ハウジングの前記外面のうち前記フード部の外部へ露出する領域に配置されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
嵌合用指当て部と離脱用指当て部を、両ハウジングの嵌合・離脱方向と交差する方向に位置ずれし、且つ嵌合・離脱方向において重なるように配置したので、嵌合・離脱方向における操作部の形成領域が小さくて済む。これにより、嵌合・離脱方向における第1ハウジングの小型化を図ることができる。
【0011】
<請求項2の発明>
本発明では、嵌合・離脱方向において、嵌合用指当て部と離脱用指当て部のうち一方の指当て部の全体が、他方の指当て部の形成領域の範囲内に納まっているので、一方の指当て部が他方の指当て部の形成範囲からはみ出している場合に比べると、操作部が小型化されている。
【0012】
<請求項3の発明>
第1ハウジングの外面を基準とする突出寸法に関して、嵌合用操作面と離脱用操作面のうち一方の操作面の最小突出寸法が、他方の操作面の最大突出寸法よりも小さい場合、他方の操作面のうち突出寸法が最大となる端部が、一方の操作面よりも突出した状態となる。そのため、一方の操作面を押し操作したときに、他方の操作面の突出部分に指が当たると、作業者が違和感を覚えることが懸念される。これに対し、本発明では、一方の操作面の最小突出寸法を、他方の操作面の最大突出寸法と同じか、それよりも大きい寸法としたので、他方の操作面が一方の操作面よりも突出した状態になることはない。したがって、一方の操作面を押し操作したときに、他方の操作面の突出部分に指が当たることがなく、作業者は違和感を覚えずに済む。
【0013】
<請求項4の発明>
他方の指当て部は、対をなす一方の指当て部の間に挟まれるように配置され、しかも曲面状をなしているので、指を安定して当てることができる。したがって、第1ハウジングの外面と交差する方向において、他方の指当て部における指との当接代を小さくしても、他方の指当て部に対する操作を容易且つ確実に行うことができる。
【0014】
<請求項5の発明>
操作部の全体が、両ハウジングの正規嵌合時にフード部の外部へ露出する領域に配置されているので、操作部の一部がフード部内に隠れる場合に比べると、操作性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1の第1ハウジングの正面図
【図2】第1ハウジングの側面図
【図3】第1ハウジングの背面図
【図4】第1ハウジングの平面図
【図5】図2のX−X線断面図
【図6】第1ハウジングと第2ハウジングを嵌合した状態をあらわす側面図
【図7】第1ハウジングと第2ハウジングを嵌合した状態をあらわす平面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1〜図7を参照して説明する。本実施形態のコネクタAは、嵌合・離脱が可能な第1ハウジング10と第2ハウジング40とを備えて構成されている。尚、以下の説明において、上下方向と左右方向は、いずれも両ハウジング10,40の嵌合・離脱方向と略直角に交差する方向を意味し、上下方向と左右方向は互いに直角な方向である。
【0017】
第1ハウジング10は、合成樹脂製であり、全体としてブロック状をなし、図1,3に示すように、その内部には複数の端子収容室11が形成され、各端子収容室11内には、夫々、後方(図2,4,6,7における右方)から周知形態の雌端子金具(図示省略)が挿入されている。第1ハウジング10の左右両外側面12(本発明の構成要件である第1ハウジングの外面)には、第2ハウジング40との嵌合、及び第2ハウジング40からの離脱を行う際の作業性の向上を図る手段として、左右対称な一対の操作部13が形成されている。
【0018】
第2ハウジング40は、合成樹脂製であり、図6,7に示すように、端子保持部41と、端子保持部41の外周縁から第2ハウジング40の前方(図6,7における右方)へ突出する角筒状のフード部42とを備えて構成されている。第2ハウジング40は、回路基板Pの表面に載置された状態で固定されている。第2ハウジング40には、L字形に屈曲した形態の複数の雄端子金具43が取り付けられている。雄端子金具43は、端子保持部41に貫通される端子接続部44(図示省略)と、図6に示すように回路基板Pに接続される基板接続部45と備える周知の形態の端子である。
【0019】
第1ハウジング10を第2ハウジング40に嵌合する際には、操作部13に指を当てて操作部13を後方から押すように操作することにより、第1ハウジング10をフード部42内に押し込む。第2ハウジング40に嵌合されている第1ハウジング10を外す際には、操作部13に指を当てて操作部13を後方へ引っ張るように、又は後方へ押すように操作して、第1ハウジング10をフード部42から離脱させる。
【0020】
次に、操作部13の詳細な形態を説明する。図2,4に示すように、嵌合・離脱方向における操作部13の形成領域Sは、外側面12のうち第2ハウジング40に対する第1ハウジング10の嵌合方向後端部であり、両ハウジング10,40が正規嵌合したときにフード部42から突出する露出領域S(本発明の構成要件である第1ハウジングと第2ハウジング40が正規嵌合した状態において第1ハウジングの外面のうちフード部42の外部へ露出する領域)と合致している。したがって、嵌合・離脱方向において、操作部13の前端の位置は、両ハウジング10,40を正規嵌合したときにフード部42の開口端縁とほぼ同じ位置となる。また、上下方向における操作部13の形成領域は、外側面12の下端から上端に至る全高範囲に亘っている。
【0021】
図2に示すように、各操作部13は、夫々、上下非対称であって上下に間隔を空けて配置された一対の嵌合用指当て部14,15(本発明の構成要件である一方の指当て部)と、上下方向において一対の嵌合用指当て部14,15の間に挟まれるように配置されるとともに嵌合用指当て部14,15に隣接した形態の1つの離脱用指当て部27(本発明の構成要件である他方の指当て部)とを備えて構成されている。つまり、操作部13は、2つの嵌合用指当て部14,15と1つの離脱用指当て部27を上下方向に並ぶように配置した形態である。また、図4,5に示すように、操作部13は、第1ハウジング10の外側面12から突出した形態となっている。
【0022】
図1〜5に示すように、上側の嵌合用指当て部14は、第1段部16と第2段部18と第3段部20とを備えて構成されている。第1段部16は、外側面12の後端縁に沿うように上下方向に細長く形成されている。上下方向における第1段部16の形成領域は、外側面12の上端から、外側面12の上下方向における中央よりも少し下方の位置に亘っている。第1段部16は、外側面12に対して一段高くなるように突出しており、外側面12と平行な第1段差面17を有する。第1段差面17(第1段部16)の下端縁は、弧状をなしているとともに、後方に向かって低くなるように傾斜している。
【0023】
第2段部18は、第1段部16の前端縁に沿って上下方向に長く形成されている。上下方向における第2段部18の形成領域は、外側面12の上端から、第1段部16の下端よりも少し上方の位置に亘っている。第2段部18は、第1段差面17に対して一段高くなるように突出しており、外側面12及び第1段差面17と平行な第2段差面19を有する。
【0024】
第3段部20は、第2段部18の前端縁に沿うように形成されている。上下方向における第3段部20の形成領域は、外側面12の上端から、第2段部18の下端よりも少し上方の位置に亘っている。第3段部20は、第2段差面19に対して一段高くなるように突出しており、外側面12、第1段差面17及び第2段差面19と平行な第3段差面21を有する。
【0025】
図1〜3に示すように、下側の嵌合用指当て部15は、第4段部22と第5段部24とを備えて構成されている。第4段部22は、外側面12の後端縁に沿うように上下方向に細長く形成されている。上下方向における第4段部22の形成領域は、外側面12の下端から、第1段部16の下端位置(外側面12の上下方向における中央よりも少し下方の位置)に亘っている。嵌合・離脱方向における第4段差部22の形成領域は、第1段差部と同じである。第4段部22は、外側面12に対して一段高くなるように突出している。第4段差部22は、外側面12と平行であって、外側面12を基準とする突出高さが第1段差面17と同じ寸法である第4段差面23を有する。第4段差面23(第4段部22)の上端縁は、弧状をなしているとともに、後方に向かって高くなるように傾斜している。
【0026】
第5段部24は、第4段部22の前端縁に沿って上下方向に長く形成されている。上下方向における第5段部24の形成領域は、外側面12の下端から、第4段部22の上端よりも少し下方の位置に亘っている。嵌合・離脱方向における第5段差部の形成領域は、第2段差部と同じである。第5段部24は、第4段差面23に対して一段高くなるように突出している。第5段部24は、外側面12及び第4段差面23と平行であって、外側面12を基準とする突出高さが第2段差面19と同じ寸法である第5段差面25を有する。
【0027】
第1段差面17と、第1段差面17と第2段差面19を繋ぐ第2段部18の後面と、第2段差面19と、第2段差面19と第3段差面21を繋ぐ第3段部20の後面と、第3段差面21と、第4段差面23と、第4段差面23と第5段差面25を繋ぐ第5段部24の後面と、第5段差面25は、嵌合用指当て部14,15を押し操作するときに、作業者の指を当てて、操作部13に嵌合方向の操作力を付与するための嵌合用操作面26を構成している。嵌合用操作面26は、上下2つに分かれた階段状をなしている。外側面12を基準とする嵌合用操作面26(嵌合用指当て部14,15)の突出寸法は、外側面12における嵌合方向最後端(第1段差面17及び第4段差面23の後端縁)において最小であり、外側面12における嵌合方向最前端(第3段差面21の前端縁)において最大となっている。
【0028】
図2に示すように、離脱用指当て部27は、外側面12上において、離脱方向前方(嵌合方向における後方)へ膨らむように湾曲した弧状領域に沿って細長く延びた形状とされている。この離脱用指当て部27が形成されている領域は、上側の嵌合用指当て部14の下端縁と下側の嵌合用指当て部15の上端縁とに沿った領域である。つまり、離脱用指当て部27は、その全領域に亘って、上側の嵌合用指当て部14の下端縁と下側の嵌合用指当て部15の上端縁とに繋がっている。嵌合・離脱方向において、嵌合用指当て部14,15の形成領域Sの全体と離脱用指当て部27の形成領域Sの全体とは、完全に重なって(合致して)いる。
【0029】
離脱用指当て部27は、第1ハウジング10を第2ハウジング40から離脱するときに、作業者が指を当てて、操作部13に離脱方向の操作力を付与するための離脱用操作面28と、離脱操作のときに指が上下方向に位置ずれするのを規制するための上下一対の非対称な規制面29,30とを有している。
【0030】
上下方向における離脱用操作面28の形成領域は、第1段部16の前端縁の下端から、第4段部22の前端縁の上端に至る範囲である。離脱用操作面28の後端縁は、第1段差面17の下端縁及び第4段差面23の上端縁に連なっている。外側面12を基準とする離脱用操作面28の突出寸法(高さ寸法)は、離脱方向前方に向かって上り勾配となるように傾斜している。また、離脱用操作面28は、滑らかに連続する曲面状をなしている。
【0031】
また、外側面12を基準とする嵌合用操作面26の突出寸法と離脱用操作面28の突出寸法との関係は、次の通りである。図5に示すように、嵌合用操作面26の最小突出寸法H(つまり、第1段差面16の突出寸法)は、離脱用操作面28の最大突出寸法H(つまり、離脱用操作面28の後端縁の突出寸法)と同じ寸法であり、したがって、離脱用操作面28の最小突出寸法(つまり、離脱用操作面28の前端縁の突出寸法)よりも大きい。当然、嵌合用操作面26の最大突出寸法(つまり、第3段差面21の突出寸法)は、離脱用操作面28の最大突出寸法Hより大きい。
【0032】
図2に示すように、上下方向における上側の規制面29の形成領域は、第1段部16の前端縁の下端から外側面12の上端に至る範囲である。上側の規制面29の上端縁は、第2段差面19と第3段差面21の下端縁に連なっている。外側面12を基準とする上側の規制面29の突出寸法(高さ寸法)は、上方に向かって上り勾配となるように傾斜している。上下方向における下側の規制面30の形成領域は、第4段部22の前端縁の上端から外側面12の下端に至る範囲である。下側の規制面30の下端縁は、第5段差面25に連なっている。外側面12を基準とする下側の規制面30の突出寸法(高さ寸法)は、下方に向かって上り勾配となるように傾斜している。
【0033】
両ハウジング10,40を嵌合する際には、嵌合用操作面26に指を当てて、嵌合用指当て部14,15を第1ハウジング10の後方から押し操作する。嵌合状態の両ハウジング10,40を離脱する際には、離脱用操作面28に指を当てて、離脱用指当て部27を後方へ引っ張る操作、又は前方から押す操作を行う。離脱の際には、離脱用操作面28に当てた指が、上下一対の規制面29,30によって上下方向に位置決めされ、また、離脱用操作面28と規制面29,30は、全体として滑らかに連続する湾曲面となっている。したがって、離脱用指当て部27を操作する指の位置が安定し、操作性に優れている。
【0034】
上述のように、本実施形態のコネクタAは、第1ハウジング10の外側面12に形成した操作部13が、第1ハウジング10を第2ハウジング40に向かって押す操作が可能な嵌合用指当て部14,15と、第1ハウジング10を第2ハウジング40から引き離す操作が可能な離脱用指当て部27とによって構成し、嵌合用指当て部14,15と離脱用指当て部27が両ハウジング10,40の嵌合・離脱方向と交差する方向へ位置ずれし、且つ嵌合・離脱方向において嵌合用指当て部14,15と離脱用指当て部27が重なるように配置されている。この構成によれば、嵌合・離脱方向における操作部13の形成領域が小さくて済むので、嵌合・離脱方向における第1ハウジング10の小型化を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態のコネクタAは、嵌合・離脱方向において、嵌合用指当て部14,15と離脱用指当て部27のうち一方の指当て部の全体が、他方の指当て部の形成領域の範囲内に納まっている。具体的には、嵌合・離脱方向において、嵌合用指当て部14,15の形成領域Sの全体と離脱用指当て部27の形成領域Sの全体とは、完全に重なって(合致して)いる。この構成によれば、一方の指当て部が他方の指当て部の形成範囲からはみ出している場合に比べると、操作部13が小型化されている。
【0036】
また、嵌合用指当て部14,15は、第1ハウジング10の外側面12を基準とする突出寸法が、嵌合方向最後端において最小であり且つ嵌合方向最前端において最大である嵌合用操作面26を有する。一方、離脱用指当て部27は、第1ハウジング10の外側面12を基準とする突出寸法が、嵌合方向最前端において最小であり且つ嵌合方向最後端において最大である離脱用操作面28を有する。そして、第1ハウジング10の外側面12を基準とする突出寸法に関して、嵌合用操作面26の最小突出寸法Hが、離脱用操作面28の最大突出寸法Hと同じ寸法とされている。
【0037】
この構成の技術的意義は、次の通りである。もし、第1ハウジング10の外側面12を基準とする突出寸法に関して、嵌合用操作面26と離脱用操作面28のうち一方の操作面の最小突出寸法が、他方の操作面の最大突出寸法よりも小さい場合、他方の操作面のうち突出寸法が最大となる端部が、一方の操作面よりも突出した状態となる。そのため、一方の操作面を押し操作したときに、他方の操作面の突出部分に指が当たると、作業者が違和感を覚えることが懸念される。
【0038】
これに対し、本実施形態では、嵌合用操作面26(一方の操作面)の最小突出寸法Hを、離脱用操作面28(他方の操作面)の最大突出寸法Hと同じ寸法としたので、他方の操作面が一方の操作面よりも突出した状態になることはない。したがって、一方の操作面を押し操作したときに、他方の操作面の突出部分に指が当たることがなく、作業者は違和感を覚えずに済む。
【0039】
また、嵌合用指当て部14,15が、嵌合・離脱方向と交差する上下方向に間隔を空けて対をなすように設けられ、離脱用指当て部27が、対をなす嵌合用指当て部14,15の間に挟まれるように配置され、且つ離脱用指当て部27に対する操作方向へ膨らむように湾曲した曲面状をなしている。この構成によれば、指を安定して離脱用指当て部27に当てることができる。したがって、第1ハウジング10の外側面12と交差する上下方向において、離脱用指当て部27における指との当接代を小さくしても、離脱用指当て部27に対する操作を容易且つ確実に行うことができる。
【0040】
また、第2ハウジング40は、第1ハウジング10の一部を収容可能なフード部42を有しており、操作部13の全体が、両ハウジング10,40が正規嵌合した状態において第1ハウジング10の外側面12のうちフード部42の外部へ露出する領域(露出領域S)に配置されている。この構成によれば、操作部の一部がフード部内に隠れる場合に比べて、操作性に優れている。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、一対の嵌合用指当て部の間に1つの離脱用指当て部を挟むように配置したが、一対の離脱用指当て部の間に1つの嵌合用指当て部を挟むように配置してもよい。
(2)上記実施形態では、2つの嵌合用指当て部と1つの離脱用指当て部とによって1つの操作部を構成したが、1つの操作部を構成する嵌合用指当て部と離脱用指当て部の数の組み合わせは、任意に設定することができる。
(3)上記実施形態では、嵌合・離脱方向において、嵌合用指当て部の形成領域の全体と離脱用指当て部の形成領域の全体とが完全に重なる(合致する)ようにしたが、重なりの形態としては、嵌合用指当て部の形成領域の全体と離脱用指当て部の形成領域の一部とが重なる形態、嵌合用指当て部の形成領域の一部と離脱用指当て部の形成領域の全体とが重なる形態、嵌合用指当て部の形成領域の一部と離脱用指当て部の形成領域の一部とが重なる形態のいずれでもよい。嵌合用指当て部の形成領域の一部と離脱用指当て部の形成領域の一部が重なる場合、嵌合用指当て部は、離脱用指当て部よりも前方へ位置ずれした形態と、離脱用指当て部よりも後方へ位置ずれした形態のいずれとしてもよい。
(4)上記実施形態では、嵌合・離脱方向において、操作部の前端の位置が、両ハウジングを正規嵌合したときにフード部の開口端縁とほぼ同じ位置となるようにしたが、両ハウジングが正規嵌合したときに、操作部の前端の位置が、第1ハウジングを基準とした場合にフード部の開口端縁よりも後方に離間した位置(第2ハウジングを基準にした場合には、前方に離間した位置)となるようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、嵌合用操作面を階段状にしたが、嵌合用操作面は、滑らかに連続する傾斜面にしてもよい。
(6)上記実施形態では、離脱用操作面を滑らかに連続する傾斜面としたが、離脱用操作面は、階段状にしてもよい。
(7)上記実施形態では、操作部の形成されている第1ハウジングが、第2ハウジングのフード部内に嵌入するようにしたが、第2ハウジングが、操作部の形成されている第1ハウジングのフード部内に嵌入する形態でもよい。
(8)上記実施形態では、操作部を第1ハウジングの外面(外側面)から突出する形態としたが、操作部は、その全体又は一部が、第1ハウジングの外面を凹ませた形態であってもよい。
(9)上記実施形態では、第1ハウジングの外面(外側面)において、離脱用操作面を、湾曲した弧状領域に沿った細長い形状としたが、離脱用指当て部は、直線状や方形状等、弧状以外の形状であってもよい。
(10)上記実施形態では、第1ハウジングの外面を基準とする嵌合用操作面の最小突出寸法を、離脱用操作面の最大突出寸法と同じ寸法にしたが、嵌合用操作面の最小突出寸法は、離脱用操作面の最大突出寸法より小さくてもよく、離脱用操作面の最大突出寸法より大きくてもよい。
(11)上記実施形態では、第1ハウジングの外面を基準とする嵌合用操作面の最大突出寸法を、離脱用操作面の最大突出寸法より大きい寸法にしたが、嵌合用操作面の最大突出寸法は、離脱用操作面の最大突出寸法と同じでもよく、離脱用操作面の最大突出寸法より小さくてもよい。
(12)上記実施形態では、第1ハウジングの外面を基準とする嵌合用操作面の最小突出寸法を、離脱用操作面の最小突出寸法より大きい寸法にしたが、嵌合用操作面の最小突出寸法は、離脱用操作面の最小突出寸法より小さくてもよく、離脱用操作面の最小突出寸法と同じ寸法でもよい。
(13)上記実施形態では、第1ハウジングの外面を基準とする嵌合用操作面の最大突出寸法を、離脱用操作面の最小突出寸法より大きい寸法にしたが、嵌合用操作面の最大突出寸法は、離脱用操作面の最小突出寸法より小さくてもよく、離脱用操作面の最小突出寸法と同じ寸法でもよい。
【符号の説明】
【0042】
A…コネクタ
10…第1ハウジング
12…外側面(第1ハウジングの外面)
13…操作部
14,15…嵌合用指当て部(一方の指当て部)
26…嵌合用操作面
27…離脱用指当て部(他方の指当て部)
28…離脱用操作面
40…第2ハウジング
42…フード部
H…嵌合用操作面の最小突出寸法
H…離脱用操作面の最大突出寸法
S…嵌合・離脱方向における指当て部の形成領域
S…露出領域(第1ハウジングと第2ハウジングが正規嵌合した状態において第1ハウジングの外面のうちフード部の外部へ露出する領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジングと、
前記第1ハウジングに対して嵌合及び離脱が可能な第2ハウジングと、
前記第1ハウジングの外面に形成された操作部と、
前記操作部を構成し、前記第1ハウジングを前記第2ハウジングに向かって押す操作が可能な嵌合用指当て部と、
前記操作部を構成し、前記第1ハウジングを前記第2ハウジングから引き離す操作が可能であって、前記嵌合用指当て部との位置関係が前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合・離脱方向と交差する方向へ位置ずれし、且つ前記嵌合・離脱方向において重なるように配置された離脱用指当て部とを備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記嵌合・離脱方向において、前記嵌合用指当て部と前記離脱用指当て部のうち一方の前記指当て部の全体が、他方の前記指当て部の形成領域の範囲内に納まっていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記嵌合用指当て部は、前記第1ハウジングの前記外面を基準とする突出寸法が、嵌合方向最後端において最小であり且つ嵌合方向最前端において最大である嵌合用操作面を有し、
前記離脱用指当て部は、前記第1ハウジングの前記外面を基準とする突出寸法が、嵌合方向最前端において最小であり且つ嵌合方向最後端において最大である離脱用操作面を有し、
前記第1ハウジングの前記外面を基準とする突出寸法に関して、前記嵌合用操作面と前記離脱用操作面のうち一方の前記操作面の最小突出寸法が、他方の前記操作面の最大突出寸法と同じか、それよりも大きい寸法とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記嵌合用指当て部と前記離脱用指当て部のうち一方の前記指当て部が、前記嵌合・離脱方向と交差する方向に間隔を空けて対をなすように設けられ、
他方の前記指当て部が、前記対をなす一方の指当て部の間に挟まれるように配置され、且つ前記他方の指当て部に対する操作方向へ膨らむように湾曲した曲面状をなしていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第2ハウジングが、第1ハウジングの一部を収容可能なフード部を有しており、
前記操作部の全体が、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合した状態において前記第1ハウジングの前記外面のうち前記フード部の外部へ露出する領域に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−114989(P2013−114989A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262150(P2011−262150)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】