コネクタ
【課題】少ない部品点数と省スペース性との両立が可能なコネクタを提供する。
【解決手段】ベース部10の底面を接触面として回路基板に実装されるコネクタである。ベース部10と先端突出部51の中心同士を結ぶ仮想線5を定義する。第1の周回部20は、仮想線5を軸とする円弧状に仮想線5の回りを周回する。第2の周回部30は、仮想線5を軸とする円弧状に仮想線5の回りを周回する。第1の周回部20及び第2の周回部30周回角度は約240度である。
【解決手段】ベース部10の底面を接触面として回路基板に実装されるコネクタである。ベース部10と先端突出部51の中心同士を結ぶ仮想線5を定義する。第1の周回部20は、仮想線5を軸とする円弧状に仮想線5の回りを周回する。第2の周回部30は、仮想線5を軸とする円弧状に仮想線5の回りを周回する。第1の周回部20及び第2の周回部30周回角度は約240度である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント基板に設けられて、当該プリント基板のグランドパターンや配線パターン等の導体パターンと、他のプリント基板の導体パターンやシールドケースとを相互に電気的接続するために用いられるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図32は、金属板を折り曲げて弾性を得る従来の板バネタイプのコネクタの基板への実装時の外観図である(下記特許文献1も参照)。このコネクタは、実装面813を接触面として回路基板2に半田接続等で搭載し、接点部814がシールドケース等と接触する構造であり、弾性変形部815の弾性力が接触力となる。
【0003】
図33は、コイルスプリングの圧縮によって弾性を得る従来のピンコネクタの基板への実装時の外観図である。このコネクタは、実装面813を接触面として回路基板2に半田接続等で搭載し、ピン804の先端がシールドケース等と接触する構造であり、スプリング806の弾性力が接触力となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−192962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図32の板バネタイプのコネクタは、最低1部品から構成可能である点で有利である一方、接点位置を高めようとすると基板面積の占有が大きくなる点では不利である。図33のピンコネクタは、図32の板バネタイプのコネクタと比較して、接点位置が高い場合でも基板面積を占有しない点で有利である一方、コイルスプリング及び接点としてのピンに加えてそれらを保持し回路基板へ実装するためのチューブが必要なため、少なくとも3物品による構成でコスト高になるという点では不利である。
【0006】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、少ない部品点数と省スペース性との両立が可能なコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、コネクタである。このコネクタは、
両端の接続部の間に弾性変形部を備えるコネクタであって、
前記弾性変形部は、両端の接続部の基準位置同士を結ぶ仮想線の回りを1周未満だけ周回する少なくとも1つの周回部と、前記周回部の一端から一方の前記接続部の側に延びる連絡部と、前記周回部の他端から他方の前記接続部の側に延びるもう一つの連絡部とを有する。
【0008】
前記周回部が複数個あり、各々の周回部は前記仮想線の方向についての位置が相互に異なり、隣り合う周回部の端部同士が前記連絡部によって連結されていてもよい。
【0009】
複数の前記周回部により前記仮想線を1周以上に渡って周回してもよい。
【0010】
前記仮想線の方向から見て各々の前記連絡部は前記仮想線に対する角度位置が相互に異なってもよい。
【0011】
前記仮想線の方向から見て各々の前記連絡部が前記仮想線に対して略等角度間隔で存在してもよい。
【0012】
前記周回部が前記仮想線を半周以上に渡って周回してもよい。
【0013】
一方の前記接続部は、片面が実装面となっているベース部であり、最も前記ベース部に近い前記周回部の一端から延びる前記連絡部が当該周回部と前記ベース部とを連結し、
他方の前記接続部は、前記実装面の反対側に位置し、かつ前記実装面とは反対向きの先端突出部を有する先端部であり、最も前記先端部に近い前記周回部の他端から延びる前記連絡部が当該周回部と前記先端部とを連結していてもよい。
【0014】
前記ベース部から立ち上がって前記先端部に向けて延びる突き当て部を有し、圧縮時に前記突き当て部が前記先端部の下面に突き当たってもよい。
【0015】
前記突き当て部は、前記ベース部から折り曲げられて立ち上がり、前記仮想線の方向から見て前記周回部の内側に位置してもよい。
【0016】
最も前記先端部に近い前記周回部の他端から延びる前記連絡部は他の連絡部よりも幅が広くてもよい。
【0017】
前記周回部は前記仮想線と略垂直な平面内に存在し、各々の前記連絡部は前記仮想線と略平行に前記周回部から折れ曲がって延びてもよい。
【0018】
前記周回部が前記仮想線を軸とする円弧状に前記仮想線の回りを周回してもよい。
【0019】
1枚の導電性板材の折曲げにより形成されていてもよい。
【0020】
前記仮想線は、前記両端の接続部の中心、又は接続対象物との接触部分の最小包含円の中心を相互に結んでもよい。
【0021】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、最低1部品から構成可能でありながら、周回部により十分な弾性を確保して少ない実装面積で十分な高さとすることができ、少ない部品点数と省スペース性との両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図2】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図3】同コネクタの伸長状態の正面図。
【図4】同平面図。
【図5】同底面図。
【図6】同左側面図。
【図7】同右側面図。
【図8】同背面図。
【図9】図7のX−X断面図。
【図10】同Y−Y断面図。
【図11】同Z−Z断面図。
【図12】図1のコネクタを回路基板に実装した状態の正面図。
【図13】本発明の実施の形態2に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図14】同コネクタの平面図。
【図15】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図16】本発明の実施の形態3に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図17】同コネクタの平面図。
【図18】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図19】本発明の実施の形態4に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図20】同コネクタの平面図。
【図21】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図22】本発明の実施の形態5に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図23】同コネクタの平面図。
【図24】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図25】本発明の実施の形態6に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図26】同コネクタの平面図。
【図27】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図28】本発明の実施の形態7に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図29】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図30】同コネクタの平面図。
【図31】図30のA矢視側面図。
【図32】金属板を折り曲げて弾性を得る従来の板バネタイプのコネクタの基板への実装時の外観図。
【図33】コイルスプリングの圧縮によって弾性を得る従来のピンコネクタの基板への実装時の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態1に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図2は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。図3は、同コネクタの伸長状態の正面図である。図4は同平面図、図5は同底面図、図6は同左側面図、図7は同右側面図、図8は同背面図である。図9は図7のX−X断面図、図10は同Y−Y断面図、図11は同Z−Z断面図である。
【0026】
本実施の形態のコネクタは、ベース部10と、第1の連絡部15と、第1の周回部20と、第2の連絡部25と、第2の周回部30と、第3の連絡部35と、先端部50とを備え、それらが1枚の例えばリン青銅等の導電性板材(金属板)からの打ち抜き及び折曲げ加工により形成されている。ベース部10と先端部50とが本実施の形態のコネクタの両端の接続部を成し、他の部分は擬似スプリング構造部であって弾性変形部として機能する。
【0027】
本実施の形態のコネクタにおいて、ベース部10と先端突出部51の中心同士を結ぶ直線である仮想線5を定義する。ここで、ベース部10の中心は切欠部11を考慮せずに定めており、ベース部10の実装面(底面)の最小包含円の中心を仮想線5が通過する。なお、最小包含円とは、ベース部10の底面を内側に含む円のうち最小のもので、ベース部10の底面の外形が円であればその外形が最小包含円となる。先端突出部51が相手方と面接触する場合には、同様に先端部50の接触面の最小包含円の中心を仮想線5が通過するように定めてもよい。
【0028】
ベース部10は、切欠部11を有する略円板形状で、仮想線5と略垂直に設けられる。ベース部10の底面は、図12に示すように回路基板2への実装面である。ベース部10の縁部から第1の連絡部15をなす直方形板が略垂直に折り曲げられて仮想線5と略平行に且つ一面を仮想線5側に向けて立ち上がる。第1の連絡部15の上端は略垂直に折り曲げられ、その折曲げ部から第1の周回部20が延びる。換言すれば、第1の連絡部15は、第1の周回部20の一端からベース部10の側に折れ曲がって延びる。
【0029】
第1の周回部20は、仮想線5を中心軸とする円弧状平板で、一端から後述する他端まで仮想線5の回りを周回する。周回角度は図10から明らかなように約240度である。第1の周回部20の存在する平面は、仮想線5と略垂直(ベース部10と略平行)である。第1の周回部20の他端から第2の連絡部25をなす直方形板が略垂直に折り曲げられて仮想線5と略平行且つ一面を仮想線5側に向けて先端部50の側に延びる(立ち上がる)。第2の連絡部25の上端は略垂直に折り曲げられ、その折曲げ部から第2の周回部30が延びる。換言すれば、第2の連絡部25は、第2の周回部30の一端からベース部10の側に折れ曲がって延びる。
【0030】
第2の周回部30は、仮想線5を中心軸とする円弧状平板で、一端から後述する他端まで仮想線5の回りを周回する。周回角度は図9,10から明らかなように約240度である。第2の周回部30の存在する平面は、仮想線5と略垂直(ベース部10及び第1の周回部20と略平行)である。第2の周回部30の他端から第3の連絡部35をなす直方形板が略垂直に折り曲げられて仮想線5と略平行に先端部50の側に延びる(立ち上がる)。第3の連絡部35の上端は略垂直に折り曲げられ、その折曲げ部から先端部50が延びる。第3の連絡部35は、第1の連絡部15及び第2の連絡部25よりも幅が広く形成されている。
【0031】
先端部50は、略円板形状の中央部にベース部10とは反対向きに突出した先端突出部51を有し、先端突出部51の先端が相手方(例えば他のプリント基板の導体パターンやシールドケース)との接触部となる。なお、先端突出部51は、例えば先端部50を裏側(ベース部10側)からプレスすることで形成される。
ベース部、第1の周回部20、第2の周回部30及び先端部50は、それぞれ、自身が存在する平面が互いに平行になるように配置され、第1の連絡部15、第2の連絡部25及び第3の連絡部35によって、仮想線5の方向についての位置が相互に異なって、所定の間隔になるように配置されている。なお、本実施の形態ではそれぞれの間隔が同一になっている。
【0032】
ベース部10の底面が接触面として回路基板に搭載され、先端突出部51が相手方に当接されることで、本実施の形態のコネクタは図2に示すように圧縮される。この圧縮状態では、第1の周回部20、第2の周回部30、及び先端部50の撓みに起因する応力に加え、第1の周回部20及び第2の周回部30のねじれに起因する応力が弾性力(伸長状態に戻ろうとする復元力)となって先端突出部51に相手方との接触力(接点圧力)を与える。すなわち、折曲げ部に集中して加わる撓みの応力を主に利用する薄板バネとしての特徴だけでなく、ねじれによる応力を主に利用するコイルバネとしての特徴も弾性要素として得られ、必要な弾性を確保して安定した電気接点として機能させることができる。
【0033】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0034】
(1) 第1の連絡部15と、第1の周回部20と、第2の連絡部25と、第2の周回部30と、第3の連絡部35とからなる擬似スプリング構造部が弾性変形部として機能する構成であり、従来の図32に示す板バネタイプのコネクタと比較して、基板面積の占有を大きくせずに接点位置を高めることができ、省スペース化に有利である。また、従来の図33に示すピンコネクタと同等の機能(弾性と省スペース性)を有しながら、金属板を材料とした一部品からなる一体構造を実現し、部品点数が少なくコスト面でも有利である。すなわち、省スペース・低コストというピンコネクタ・板バネコネクタ双方の利点を持たせたコネクタを実現可能である。こうしたコネクタを例えば携帯電話等の電子機器の信号接点として使用した際は、低コスト・省スペースでの製品化が可能である。
【0035】
(2) 第1の連絡部15、第2の連絡部25、第3の連絡部35は、仮想線5を軸とした周方向に角度がずれているため、コネクタ圧縮時に連絡部同士が干渉せず、コネクタとして必要な縮動範囲を十分に確保できる。また、各連絡部間の角度ずれは仮想線の方向から見て120度の等角度間隔であり、圧縮時のバランスが良好である。
【0036】
(3) 第1の周回部20及び第2の周回部30は仮想線5の回りを円弧状に周回するので、圧縮時のねじれによる応力が円弧状部分に均等に分散して加わる。このため、応力が集中する場合と比較して耐久性が高い。
【0037】
(4) 第3の連絡部35は第1の連絡部15及び第2の連絡部25よりも幅を広くしてあるため、圧縮時の先端部50の撓み量を小さくすることができ、先端突出部51が第3の連絡部35の上端よりも下になってしまうことを確実に防止できる。
【0038】
図13は、本発明の実施の形態2に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図14は、同コネクタの平面図である。図15は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。なお、本実施の形態以降、ベース部10の切欠部11は無くしている。
【0039】
本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、第1の周回部20及び第2の周回部30がそれぞれ三角形の2辺を成す直線状の2辺によって仮想線5の回りを周回する点で相違し、その他の点で一致する。本実施の形態では、実施の形態1と比較してねじれによる応力が2辺の交わる角部分に集中しやすくなるものの、その他の点では実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
【0040】
図16は、本発明の実施の形態3に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図17は、同コネクタの平面図である。図18は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、第1の周回部20及び第2の周回部30がそれぞれ略コの字型を成す直線状の3辺によって仮想線5の回りを周回する点で相違し、その他の点で一致する。本実施の形態では、実施の形態1と比較してねじれによる応力が3辺の隣り合う2辺で形成される2つの角部分に集中しやすくなるものの、その他の点では実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
【0041】
図19は、本発明の実施の形態4に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図20は、同コネクタの平面図である。図21は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、第1の周回部20及び第2の周回部30の周回角度が180度になった点で相違し、その他の点で一致する。本実施の形態では、第1の連絡部15と第3の連絡部35とが仮想線5の方向を軸とした周方向の角度において一致するため、縮動範囲確保の点では実施の形態1の方が優れる。また、第1の周回部20及び第2の周回部30の周回長さが短くなるため、ねじれ弾性の確保も実施の形態1の方が容易といえる。しかしながら、図32,33との比較においては程度の差はあるものの実施の形態1に準じた効果を奏することができる。
【0042】
図22は、本発明の実施の形態5に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図23は、同コネクタの平面図である。図24は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、第1の周回部20及び第2の周回部30の周回角度が120度となり、かつ、第3の周回部40及び第4の連絡部45を備える点で相違し、その他の点で一致する。
【0043】
第3の周回部40は、第3の連絡部35の上端の折曲げ部から延長し、仮想線5と略垂直に周回角度120度で仮想線5の回りを円弧状に周回する。第3の周回部40の他端から第4の連絡部45が略垂直に折り曲げられて仮想線5と略平行に先端部50の側に延びる(立ち上がる)。第4の連絡部45の上端は略垂直に折り曲げられ、その折曲げ部から先端部50が延びる。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0044】
図25は、本発明の実施の形態6に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図26は、同コネクタの平面図である。図27は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、ベース部10が基端部12に変わった点で相違し、その他の点で一致する。基端部12、先端部50と同様の形状であり、基端側突出部13を有する。本実施の形態のコネクタは、基端部12及び先端部50のいずれも固定せずに非固定接点として用いる両ピンタイプである。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0045】
図28は、本発明の実施の形態7に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図29は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。図30は、同コネクタの平面図である。図31は、図30のA矢視側面図である。本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、ベース部10から略垂直に立ち上がって先端部50に向けて延びる突き当て部70を有する点で相違し、その他の点で一致する。突き当て部70は、直方形板でベース部10から略垂直に折り曲げられて仮想線5と略平行に且つ一面を仮想線5側に向けて立ち上がり、上方から見て第1の周回部20及び第2の周回部30の内側かつ先端部50の下方に位置する(図30)。なお、ベース部10の切欠部11は、突き当て部70の立ち上がり元(折り曲げ起点)であり、突き当て部70の立ち上がり位置に対応して実施の形態1から形状(ないし位置)を変更している。
【0046】
突き当て部70は、図29に示すように、コネクタの圧縮時に先端部50の下面に突き当たる(当接する)。このため、コネクタ圧縮時の過度の変形を防止することができる。また、突き当て部70はベース部10から略垂直に立ち上がるため、斜めに立ち上がる場合と比較して、高い負荷が突き当て部70の先端にかかっても容易に突き当て部70が折れ曲がらないため、より高い負荷に対応可能である。また、突き当て部70の高さ(立ち上がり状態での高さ)は第2の周回部30の下面と略一致する(図31)。さらに、突き当て部70は、上方から見て第1の周回部20及び第2の周回部30の内側に入り込んで、先端部50の下面に対向するように位置する。したがって、突き当て部70を設けるに当たってコネクタを大型化する必要がなく、省スペース性は維持される。なお、突き当て部70と先端部50下面とが確実に突き当たるように、突き当て部70の先端を仮想線5側且つ先端部50と平行に折り曲げて、先端部50下面との接触面積を増やしてもよい。本実施の形態のように突き当て部70を設ける工夫は、実施の形態2〜5にも適用可能である。
【0047】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素に請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0048】
各々の周回部の周回角度は、120度、180度、及び240度に限らず、1周(360度)未満の任意の角度としてもよい。この場合も、複数の周回部で仮想線5の回りを合計1周以上するとよい。
【0049】
各々の周回部の周回角度は同一でなくてもよい。すなわち、各々の連絡部の仮想線5の方向を中心軸とした周方向の角度は、等角度間隔に限定されない。
【0050】
周回部の層数(個数)は2層又は3層に限らず、他の任意の数としてもよい。求められる高さ等に応じて周回部の層数は適宜決定すればよい。
【0051】
各々の周回部を同種類の形状とすることに限定されず、例えば、いずれかの周回部を円弧状とし、他の周回部を2辺又は3辺で周回する形状としてもよい。
【0052】
実施の形態2〜5のベース部10を、実施の形態6の基端部12に置換してもよい。
【符号の説明】
【0053】
2 回路基板
10 ベース部
15 第1の連絡部
20 第1の周回部
25 第2の連絡部
30 第2の周回部
35 第3の連絡部
50 先端部
51 先端突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント基板に設けられて、当該プリント基板のグランドパターンや配線パターン等の導体パターンと、他のプリント基板の導体パターンやシールドケースとを相互に電気的接続するために用いられるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図32は、金属板を折り曲げて弾性を得る従来の板バネタイプのコネクタの基板への実装時の外観図である(下記特許文献1も参照)。このコネクタは、実装面813を接触面として回路基板2に半田接続等で搭載し、接点部814がシールドケース等と接触する構造であり、弾性変形部815の弾性力が接触力となる。
【0003】
図33は、コイルスプリングの圧縮によって弾性を得る従来のピンコネクタの基板への実装時の外観図である。このコネクタは、実装面813を接触面として回路基板2に半田接続等で搭載し、ピン804の先端がシールドケース等と接触する構造であり、スプリング806の弾性力が接触力となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−192962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図32の板バネタイプのコネクタは、最低1部品から構成可能である点で有利である一方、接点位置を高めようとすると基板面積の占有が大きくなる点では不利である。図33のピンコネクタは、図32の板バネタイプのコネクタと比較して、接点位置が高い場合でも基板面積を占有しない点で有利である一方、コイルスプリング及び接点としてのピンに加えてそれらを保持し回路基板へ実装するためのチューブが必要なため、少なくとも3物品による構成でコスト高になるという点では不利である。
【0006】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、少ない部品点数と省スペース性との両立が可能なコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、コネクタである。このコネクタは、
両端の接続部の間に弾性変形部を備えるコネクタであって、
前記弾性変形部は、両端の接続部の基準位置同士を結ぶ仮想線の回りを1周未満だけ周回する少なくとも1つの周回部と、前記周回部の一端から一方の前記接続部の側に延びる連絡部と、前記周回部の他端から他方の前記接続部の側に延びるもう一つの連絡部とを有する。
【0008】
前記周回部が複数個あり、各々の周回部は前記仮想線の方向についての位置が相互に異なり、隣り合う周回部の端部同士が前記連絡部によって連結されていてもよい。
【0009】
複数の前記周回部により前記仮想線を1周以上に渡って周回してもよい。
【0010】
前記仮想線の方向から見て各々の前記連絡部は前記仮想線に対する角度位置が相互に異なってもよい。
【0011】
前記仮想線の方向から見て各々の前記連絡部が前記仮想線に対して略等角度間隔で存在してもよい。
【0012】
前記周回部が前記仮想線を半周以上に渡って周回してもよい。
【0013】
一方の前記接続部は、片面が実装面となっているベース部であり、最も前記ベース部に近い前記周回部の一端から延びる前記連絡部が当該周回部と前記ベース部とを連結し、
他方の前記接続部は、前記実装面の反対側に位置し、かつ前記実装面とは反対向きの先端突出部を有する先端部であり、最も前記先端部に近い前記周回部の他端から延びる前記連絡部が当該周回部と前記先端部とを連結していてもよい。
【0014】
前記ベース部から立ち上がって前記先端部に向けて延びる突き当て部を有し、圧縮時に前記突き当て部が前記先端部の下面に突き当たってもよい。
【0015】
前記突き当て部は、前記ベース部から折り曲げられて立ち上がり、前記仮想線の方向から見て前記周回部の内側に位置してもよい。
【0016】
最も前記先端部に近い前記周回部の他端から延びる前記連絡部は他の連絡部よりも幅が広くてもよい。
【0017】
前記周回部は前記仮想線と略垂直な平面内に存在し、各々の前記連絡部は前記仮想線と略平行に前記周回部から折れ曲がって延びてもよい。
【0018】
前記周回部が前記仮想線を軸とする円弧状に前記仮想線の回りを周回してもよい。
【0019】
1枚の導電性板材の折曲げにより形成されていてもよい。
【0020】
前記仮想線は、前記両端の接続部の中心、又は接続対象物との接触部分の最小包含円の中心を相互に結んでもよい。
【0021】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、最低1部品から構成可能でありながら、周回部により十分な弾性を確保して少ない実装面積で十分な高さとすることができ、少ない部品点数と省スペース性との両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図2】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図3】同コネクタの伸長状態の正面図。
【図4】同平面図。
【図5】同底面図。
【図6】同左側面図。
【図7】同右側面図。
【図8】同背面図。
【図9】図7のX−X断面図。
【図10】同Y−Y断面図。
【図11】同Z−Z断面図。
【図12】図1のコネクタを回路基板に実装した状態の正面図。
【図13】本発明の実施の形態2に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図14】同コネクタの平面図。
【図15】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図16】本発明の実施の形態3に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図17】同コネクタの平面図。
【図18】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図19】本発明の実施の形態4に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図20】同コネクタの平面図。
【図21】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図22】本発明の実施の形態5に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図23】同コネクタの平面図。
【図24】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図25】本発明の実施の形態6に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図26】同コネクタの平面図。
【図27】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図28】本発明の実施の形態7に係るコネクタの伸長状態の斜視図。
【図29】同コネクタの圧縮状態の斜視図。
【図30】同コネクタの平面図。
【図31】図30のA矢視側面図。
【図32】金属板を折り曲げて弾性を得る従来の板バネタイプのコネクタの基板への実装時の外観図。
【図33】コイルスプリングの圧縮によって弾性を得る従来のピンコネクタの基板への実装時の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態1に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図2は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。図3は、同コネクタの伸長状態の正面図である。図4は同平面図、図5は同底面図、図6は同左側面図、図7は同右側面図、図8は同背面図である。図9は図7のX−X断面図、図10は同Y−Y断面図、図11は同Z−Z断面図である。
【0026】
本実施の形態のコネクタは、ベース部10と、第1の連絡部15と、第1の周回部20と、第2の連絡部25と、第2の周回部30と、第3の連絡部35と、先端部50とを備え、それらが1枚の例えばリン青銅等の導電性板材(金属板)からの打ち抜き及び折曲げ加工により形成されている。ベース部10と先端部50とが本実施の形態のコネクタの両端の接続部を成し、他の部分は擬似スプリング構造部であって弾性変形部として機能する。
【0027】
本実施の形態のコネクタにおいて、ベース部10と先端突出部51の中心同士を結ぶ直線である仮想線5を定義する。ここで、ベース部10の中心は切欠部11を考慮せずに定めており、ベース部10の実装面(底面)の最小包含円の中心を仮想線5が通過する。なお、最小包含円とは、ベース部10の底面を内側に含む円のうち最小のもので、ベース部10の底面の外形が円であればその外形が最小包含円となる。先端突出部51が相手方と面接触する場合には、同様に先端部50の接触面の最小包含円の中心を仮想線5が通過するように定めてもよい。
【0028】
ベース部10は、切欠部11を有する略円板形状で、仮想線5と略垂直に設けられる。ベース部10の底面は、図12に示すように回路基板2への実装面である。ベース部10の縁部から第1の連絡部15をなす直方形板が略垂直に折り曲げられて仮想線5と略平行に且つ一面を仮想線5側に向けて立ち上がる。第1の連絡部15の上端は略垂直に折り曲げられ、その折曲げ部から第1の周回部20が延びる。換言すれば、第1の連絡部15は、第1の周回部20の一端からベース部10の側に折れ曲がって延びる。
【0029】
第1の周回部20は、仮想線5を中心軸とする円弧状平板で、一端から後述する他端まで仮想線5の回りを周回する。周回角度は図10から明らかなように約240度である。第1の周回部20の存在する平面は、仮想線5と略垂直(ベース部10と略平行)である。第1の周回部20の他端から第2の連絡部25をなす直方形板が略垂直に折り曲げられて仮想線5と略平行且つ一面を仮想線5側に向けて先端部50の側に延びる(立ち上がる)。第2の連絡部25の上端は略垂直に折り曲げられ、その折曲げ部から第2の周回部30が延びる。換言すれば、第2の連絡部25は、第2の周回部30の一端からベース部10の側に折れ曲がって延びる。
【0030】
第2の周回部30は、仮想線5を中心軸とする円弧状平板で、一端から後述する他端まで仮想線5の回りを周回する。周回角度は図9,10から明らかなように約240度である。第2の周回部30の存在する平面は、仮想線5と略垂直(ベース部10及び第1の周回部20と略平行)である。第2の周回部30の他端から第3の連絡部35をなす直方形板が略垂直に折り曲げられて仮想線5と略平行に先端部50の側に延びる(立ち上がる)。第3の連絡部35の上端は略垂直に折り曲げられ、その折曲げ部から先端部50が延びる。第3の連絡部35は、第1の連絡部15及び第2の連絡部25よりも幅が広く形成されている。
【0031】
先端部50は、略円板形状の中央部にベース部10とは反対向きに突出した先端突出部51を有し、先端突出部51の先端が相手方(例えば他のプリント基板の導体パターンやシールドケース)との接触部となる。なお、先端突出部51は、例えば先端部50を裏側(ベース部10側)からプレスすることで形成される。
ベース部、第1の周回部20、第2の周回部30及び先端部50は、それぞれ、自身が存在する平面が互いに平行になるように配置され、第1の連絡部15、第2の連絡部25及び第3の連絡部35によって、仮想線5の方向についての位置が相互に異なって、所定の間隔になるように配置されている。なお、本実施の形態ではそれぞれの間隔が同一になっている。
【0032】
ベース部10の底面が接触面として回路基板に搭載され、先端突出部51が相手方に当接されることで、本実施の形態のコネクタは図2に示すように圧縮される。この圧縮状態では、第1の周回部20、第2の周回部30、及び先端部50の撓みに起因する応力に加え、第1の周回部20及び第2の周回部30のねじれに起因する応力が弾性力(伸長状態に戻ろうとする復元力)となって先端突出部51に相手方との接触力(接点圧力)を与える。すなわち、折曲げ部に集中して加わる撓みの応力を主に利用する薄板バネとしての特徴だけでなく、ねじれによる応力を主に利用するコイルバネとしての特徴も弾性要素として得られ、必要な弾性を確保して安定した電気接点として機能させることができる。
【0033】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0034】
(1) 第1の連絡部15と、第1の周回部20と、第2の連絡部25と、第2の周回部30と、第3の連絡部35とからなる擬似スプリング構造部が弾性変形部として機能する構成であり、従来の図32に示す板バネタイプのコネクタと比較して、基板面積の占有を大きくせずに接点位置を高めることができ、省スペース化に有利である。また、従来の図33に示すピンコネクタと同等の機能(弾性と省スペース性)を有しながら、金属板を材料とした一部品からなる一体構造を実現し、部品点数が少なくコスト面でも有利である。すなわち、省スペース・低コストというピンコネクタ・板バネコネクタ双方の利点を持たせたコネクタを実現可能である。こうしたコネクタを例えば携帯電話等の電子機器の信号接点として使用した際は、低コスト・省スペースでの製品化が可能である。
【0035】
(2) 第1の連絡部15、第2の連絡部25、第3の連絡部35は、仮想線5を軸とした周方向に角度がずれているため、コネクタ圧縮時に連絡部同士が干渉せず、コネクタとして必要な縮動範囲を十分に確保できる。また、各連絡部間の角度ずれは仮想線の方向から見て120度の等角度間隔であり、圧縮時のバランスが良好である。
【0036】
(3) 第1の周回部20及び第2の周回部30は仮想線5の回りを円弧状に周回するので、圧縮時のねじれによる応力が円弧状部分に均等に分散して加わる。このため、応力が集中する場合と比較して耐久性が高い。
【0037】
(4) 第3の連絡部35は第1の連絡部15及び第2の連絡部25よりも幅を広くしてあるため、圧縮時の先端部50の撓み量を小さくすることができ、先端突出部51が第3の連絡部35の上端よりも下になってしまうことを確実に防止できる。
【0038】
図13は、本発明の実施の形態2に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図14は、同コネクタの平面図である。図15は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。なお、本実施の形態以降、ベース部10の切欠部11は無くしている。
【0039】
本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、第1の周回部20及び第2の周回部30がそれぞれ三角形の2辺を成す直線状の2辺によって仮想線5の回りを周回する点で相違し、その他の点で一致する。本実施の形態では、実施の形態1と比較してねじれによる応力が2辺の交わる角部分に集中しやすくなるものの、その他の点では実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
【0040】
図16は、本発明の実施の形態3に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図17は、同コネクタの平面図である。図18は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、第1の周回部20及び第2の周回部30がそれぞれ略コの字型を成す直線状の3辺によって仮想線5の回りを周回する点で相違し、その他の点で一致する。本実施の形態では、実施の形態1と比較してねじれによる応力が3辺の隣り合う2辺で形成される2つの角部分に集中しやすくなるものの、その他の点では実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
【0041】
図19は、本発明の実施の形態4に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図20は、同コネクタの平面図である。図21は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、第1の周回部20及び第2の周回部30の周回角度が180度になった点で相違し、その他の点で一致する。本実施の形態では、第1の連絡部15と第3の連絡部35とが仮想線5の方向を軸とした周方向の角度において一致するため、縮動範囲確保の点では実施の形態1の方が優れる。また、第1の周回部20及び第2の周回部30の周回長さが短くなるため、ねじれ弾性の確保も実施の形態1の方が容易といえる。しかしながら、図32,33との比較においては程度の差はあるものの実施の形態1に準じた効果を奏することができる。
【0042】
図22は、本発明の実施の形態5に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図23は、同コネクタの平面図である。図24は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、第1の周回部20及び第2の周回部30の周回角度が120度となり、かつ、第3の周回部40及び第4の連絡部45を備える点で相違し、その他の点で一致する。
【0043】
第3の周回部40は、第3の連絡部35の上端の折曲げ部から延長し、仮想線5と略垂直に周回角度120度で仮想線5の回りを円弧状に周回する。第3の周回部40の他端から第4の連絡部45が略垂直に折り曲げられて仮想線5と略平行に先端部50の側に延びる(立ち上がる)。第4の連絡部45の上端は略垂直に折り曲げられ、その折曲げ部から先端部50が延びる。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0044】
図25は、本発明の実施の形態6に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図26は、同コネクタの平面図である。図27は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、ベース部10が基端部12に変わった点で相違し、その他の点で一致する。基端部12、先端部50と同様の形状であり、基端側突出部13を有する。本実施の形態のコネクタは、基端部12及び先端部50のいずれも固定せずに非固定接点として用いる両ピンタイプである。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0045】
図28は、本発明の実施の形態7に係るコネクタの伸長状態の斜視図である。図29は、同コネクタの圧縮状態の斜視図である。図30は、同コネクタの平面図である。図31は、図30のA矢視側面図である。本実施の形態のコネクタは、実施の形態1のコネクタと比較して、ベース部10から略垂直に立ち上がって先端部50に向けて延びる突き当て部70を有する点で相違し、その他の点で一致する。突き当て部70は、直方形板でベース部10から略垂直に折り曲げられて仮想線5と略平行に且つ一面を仮想線5側に向けて立ち上がり、上方から見て第1の周回部20及び第2の周回部30の内側かつ先端部50の下方に位置する(図30)。なお、ベース部10の切欠部11は、突き当て部70の立ち上がり元(折り曲げ起点)であり、突き当て部70の立ち上がり位置に対応して実施の形態1から形状(ないし位置)を変更している。
【0046】
突き当て部70は、図29に示すように、コネクタの圧縮時に先端部50の下面に突き当たる(当接する)。このため、コネクタ圧縮時の過度の変形を防止することができる。また、突き当て部70はベース部10から略垂直に立ち上がるため、斜めに立ち上がる場合と比較して、高い負荷が突き当て部70の先端にかかっても容易に突き当て部70が折れ曲がらないため、より高い負荷に対応可能である。また、突き当て部70の高さ(立ち上がり状態での高さ)は第2の周回部30の下面と略一致する(図31)。さらに、突き当て部70は、上方から見て第1の周回部20及び第2の周回部30の内側に入り込んで、先端部50の下面に対向するように位置する。したがって、突き当て部70を設けるに当たってコネクタを大型化する必要がなく、省スペース性は維持される。なお、突き当て部70と先端部50下面とが確実に突き当たるように、突き当て部70の先端を仮想線5側且つ先端部50と平行に折り曲げて、先端部50下面との接触面積を増やしてもよい。本実施の形態のように突き当て部70を設ける工夫は、実施の形態2〜5にも適用可能である。
【0047】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素に請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0048】
各々の周回部の周回角度は、120度、180度、及び240度に限らず、1周(360度)未満の任意の角度としてもよい。この場合も、複数の周回部で仮想線5の回りを合計1周以上するとよい。
【0049】
各々の周回部の周回角度は同一でなくてもよい。すなわち、各々の連絡部の仮想線5の方向を中心軸とした周方向の角度は、等角度間隔に限定されない。
【0050】
周回部の層数(個数)は2層又は3層に限らず、他の任意の数としてもよい。求められる高さ等に応じて周回部の層数は適宜決定すればよい。
【0051】
各々の周回部を同種類の形状とすることに限定されず、例えば、いずれかの周回部を円弧状とし、他の周回部を2辺又は3辺で周回する形状としてもよい。
【0052】
実施の形態2〜5のベース部10を、実施の形態6の基端部12に置換してもよい。
【符号の説明】
【0053】
2 回路基板
10 ベース部
15 第1の連絡部
20 第1の周回部
25 第2の連絡部
30 第2の周回部
35 第3の連絡部
50 先端部
51 先端突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端の接続部の間に弾性変形部を備えるコネクタであって、
前記弾性変形部は、両端の接続部の基準位置同士を結ぶ仮想線の回りを1周未満だけ周回する少なくとも1つの周回部と、前記周回部の一端から一方の前記接続部の側に延びる連絡部と、前記周回部の他端から他方の前記接続部の側に延びるもう一つの連絡部とを有する、コネクタ。
【請求項2】
前記周回部が複数個あり、各々の周回部は前記仮想線の方向についての位置が相互に異なり、隣り合う周回部の端部同士が前記連絡部によって連結されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
複数の前記周回部により前記仮想線を1周以上に渡って周回する請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記仮想線の方向から見て各々の前記連絡部は前記仮想線に対する角度位置が相互に異なる請求項2又は3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記仮想線の方向から見て各々の前記連絡部が前記仮想線に対して略等角度間隔で存在する請求項2から4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記周回部が前記仮想線を半周以上に渡って周回する請求項1から5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
一方の前記接続部は、片面が実装面となっているベース部であり、最も前記ベース部に近い前記周回部の一端から延びる前記連絡部が当該周回部と前記ベース部とを連結し、
他方の前記接続部は、前記実装面の反対側に位置し、かつ前記実装面とは反対向きの先端突出部を有する先端部であり、最も前記先端部に近い前記周回部の他端から延びる前記連絡部が当該周回部と前記先端部とを連結している、請求項1から6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ベース部から立ち上がって前記先端部に向けて延びる突き当て部を有し、圧縮時に前記突き当て部が前記先端部の下面に突き当たる、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記突き当て部は、前記ベース部から折り曲げられて立ち上がり、前記仮想線の方向から見て前記周回部の内側に位置する、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
最も前記先端部に近い前記周回部の他端から延びる前記連絡部は他の連絡部よりも幅が広い、請求項7から9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記周回部は前記仮想線と略垂直な平面内に存在し、各々の前記連絡部は前記仮想線と略平行に前記周回部から折れ曲がって延びる、請求項1から10のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記周回部が前記仮想線を軸とする円弧状に前記仮想線の回りを周回する請求項1から11のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項13】
1枚の導電性板材の折曲げにより形成されている請求項1から12のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記仮想線は、前記両端の接続部の中心、又は接続対象物との接触部分の最小包含円の中心を相互に結ぶ、請求項1から13のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項1】
両端の接続部の間に弾性変形部を備えるコネクタであって、
前記弾性変形部は、両端の接続部の基準位置同士を結ぶ仮想線の回りを1周未満だけ周回する少なくとも1つの周回部と、前記周回部の一端から一方の前記接続部の側に延びる連絡部と、前記周回部の他端から他方の前記接続部の側に延びるもう一つの連絡部とを有する、コネクタ。
【請求項2】
前記周回部が複数個あり、各々の周回部は前記仮想線の方向についての位置が相互に異なり、隣り合う周回部の端部同士が前記連絡部によって連結されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
複数の前記周回部により前記仮想線を1周以上に渡って周回する請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記仮想線の方向から見て各々の前記連絡部は前記仮想線に対する角度位置が相互に異なる請求項2又は3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記仮想線の方向から見て各々の前記連絡部が前記仮想線に対して略等角度間隔で存在する請求項2から4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記周回部が前記仮想線を半周以上に渡って周回する請求項1から5のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
一方の前記接続部は、片面が実装面となっているベース部であり、最も前記ベース部に近い前記周回部の一端から延びる前記連絡部が当該周回部と前記ベース部とを連結し、
他方の前記接続部は、前記実装面の反対側に位置し、かつ前記実装面とは反対向きの先端突出部を有する先端部であり、最も前記先端部に近い前記周回部の他端から延びる前記連絡部が当該周回部と前記先端部とを連結している、請求項1から6のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ベース部から立ち上がって前記先端部に向けて延びる突き当て部を有し、圧縮時に前記突き当て部が前記先端部の下面に突き当たる、請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記突き当て部は、前記ベース部から折り曲げられて立ち上がり、前記仮想線の方向から見て前記周回部の内側に位置する、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
最も前記先端部に近い前記周回部の他端から延びる前記連絡部は他の連絡部よりも幅が広い、請求項7から9のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記周回部は前記仮想線と略垂直な平面内に存在し、各々の前記連絡部は前記仮想線と略平行に前記周回部から折れ曲がって延びる、請求項1から10のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記周回部が前記仮想線を軸とする円弧状に前記仮想線の回りを周回する請求項1から11のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項13】
1枚の導電性板材の折曲げにより形成されている請求項1から12のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記仮想線は、前記両端の接続部の中心、又は接続対象物との接触部分の最小包含円の中心を相互に結ぶ、請求項1から13のいずれか一項に記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2013−55035(P2013−55035A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−108942(P2012−108942)
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
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