説明

コネクタ

【課題】本発明の目的は、異物の挿入子への接触防止することができるとともに、挿入子を相手方の端子内に挿入する際の挿入力の低減を図ることができるコネクタを提供することにある。
【解決手段】コネクタ1は、相手方の端子を前方から嵌合させる棒状の挿入子2と、該挿入子2が収容される筒状の端子収容部5を有するハウジング50と、該端子収容部5の周壁55、56と挿入子2との間に設けられ、相手方の端子と挿入子2との端子嵌合方向にスライド自在な絶縁性の接触防止部材6と、該接触防止部材6を挿入子2の前端側に付勢する弾性部材7と、を備えている。接触防止部材6には、端子嵌合方向の後方に向かうに従って径方向外側に傾斜したテーパ面64aが形成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車の充電ケーブルのコネクタに用いられ、電気自動車のバッテリに接続された相手方の端子を前方から嵌合させる棒状の挿入子と、該挿入子が収容される筒状の端子収容部を有するハウジングと、該端子収容部の周壁と挿入子との間にスライド自在に設けられた接触防止部材と、該接触防止部材を挿入子の前端側に付勢する弾性部材と、を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図5〜図7に示す従来のコネクタ101は、電気自動車のバッテリに充電を行うための充電ケーブルのコネクタ(以下、充電コネクタ110と記す)を構成するものであり、相手方の端子(図示しない)を前方から嵌合させる棒状の挿入子102を有する端子部103と、該端子部103が収容される筒状の端子収容部105を有するハウジング150と、該端子収容部105の周壁151aと挿入子102との間に設けられ、相手方の端子と挿入子102との端子嵌合方向(矢印N方向)にスライド自在な絶縁性の接触防止部材106と、該接触防止部材106を挿入子102の前端側に付勢する弾性部材としてのコイルばね107と、を備えている。
【0003】
端子部103は、図6に示すように、円柱状の挿入子102と、該挿入子102に連なる鍔部131と、該鍔部131に連なり、電線(図示しない)に接続される電線圧着部132と、を備えている。挿入子102の前端部には、絶縁性の合成樹脂から構成されたキャップ104が取り付けられる。
【0004】
端子収容部105は、挿入子102が収容される筒状の第1収容部151と、鍔部131及び電線圧着部132が収容される筒状の第2収容部152と、第1収容部151と第2収容部152との間を仕切る隔壁153と、該隔壁153の縁に連なる円筒状の支持部154と、を有している。この支持部154の内側に挿入子102が挿入される。
【0005】
第1収容部151には、接触防止部材106を係止する係止部158が設けられている。この係止部158は、該接触防止部材106を前抜け防止するためのものであり、第1収容部151の内面から凸に形成されている。
【0006】
接触防止部材106は、図7に示すように、端子収容部105の周壁151aと挿入子102との間に侵入された異物(例えば指など)が挿入子102に接触するのを防止するものであり、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この接触防止部材106は挿入子102が挿入される孔部161aを有する円板部161と、該円板部161の内縁から筒状に延びて形成された内側筒部162と、円板部161の外縁から筒状に延びて形成された外側筒部163と、これら筒部162、163を連結する複数のリブ部164と、を備えている。この内側筒部162と外側筒部163とは、その長手方向の寸法(即ち、筒状の軸方向であり、端子嵌合方向)が等しく形成されている。また、接触防止部材106の前端面106aは、筒部162、163の長手方向に垂直な方向((即ち、筒状の径方向)に沿って設けられている。
【0007】
上述した構成の従来のコネクタ101は、端子収容部105の周壁151aと挿入子102との間に異物が侵入した場合、この異物の先端によって接触防止部材106が端子嵌合方向の後方側(奥側)に押され、接触防止部材106がコイルばね107を圧縮しつつ、後方側にスライドする。これにより、挿入子102が露出され、露出された挿入子102に異物が接触する可能性があった。
【0008】
以上のことから、従来のコネクタ101では、接触防止部材106が端子嵌合方向の後方側に押された際に、後方側にスライドし難くするために、コイルばね107の付勢力(ばねの反発力)を大きくし、異物が挿入子102に接触するのを防止していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来のコネクタ101は、コイルばね107の付勢力(ばねの反発力)を大きくしていたので、挿入子102を相手方の端子内に挿入する際に、コイルばね107を圧縮させるための大きな力(挿入力)が必要となるという問題があった。即ち、コイルばね107の付勢力を小さくすると、異物が挿入子102に接触する可能性があり、端絡などの問題を引き起こし、逆に、コイルばね107の付勢力を大きくすると、挿入力も大きくなって利便性が劣ってしまい、異物の接触防止、及び相手方の端子内に挿入し易さを両立させることが困難であった。
【0010】
本発明の目的は、異物が挿入子に接触するのを防止することができるとともに、挿入子を相手方の端子内に挿入する際の挿入力の低減を図ることができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の本発明は、相手方の端子を前方から嵌合させる棒状の挿入子と、該挿入子が収容される筒状の端子収容部を有するハウジングと、該端子収容部の周壁と前記挿入子との間に設けられ、前記相手方の端子と前記挿入子との端子嵌合方向にスライド自在な絶縁性の接触防止部材と、該接触防止部材を前記挿入子の前端側に付勢する弾性部材と、を備えたコネクタにおいて、前記接触防止部材には、前記端子嵌合方向の後方に向かうに従って径方向外側に傾斜したテーパ面が形成されたことを特徴とするコネクタである。
【0012】
上記構成により、端子収容部の周壁と挿入子との間に異物が侵入し、接触防止部材が端子嵌合方向の後方側に押され、接触防止部材が弾性部材を圧縮しつつ後方側にスライドした場合に、接触防止部材に形成されたテーパ面が、端子嵌合方向の後方側に向かうに従って径方向外側に傾斜しているから、異物がテーパ面上を滑って挿入子の径方向外側、つまり、挿入子から離れる方向に誘導される。
【0013】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、接触防止部材には、複数のリブ部が該接触防止部材の周方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記テーパ面が前記リブ部に形成されたことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、周方向に隣り合うリブ部間を肉抜きできるので、接触防止部材を軽量化することができるとともに、材料を節約してコネクタ製造コストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、端子収容部の周壁と挿入子との間に侵入した異物がテーパ面上を滑って挿入子から離れる方向に誘導されるので、本発明のコネクタの接触防止部材が、従来のコネクタの挿入子に対する接触防止部材の接触位置と同じ位置までスライドしても、異物を挿入子に接触させないようにできる。即ち、本発明のコネクタは、異物が挿入子に接触した際の接触防止部材の接触位置を従来のコネクタの接触位置よりも後方側とすることができ、そして、接触防止部材を接触位置の手前までスライドさせるように、弾性部材の収縮距離が大きく設定できるから、弾性部材の付勢力を小さく設定することができる。従って、異物が挿入子に接触するのを防止することができるとともに、挿入子を相手方の端子内に挿入する際の挿入力の低減を図ることができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかるコネクタの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示されたコネクタを構成する接触防止部材を示す斜視図である。
【図3】図1に示されたコネクタを備えた充電コネクタを示す正面図である。
【図4】本発明のコネクタと従来のコネクタとの動作を示す図であり、(a)は、従来のコネクタの断面図であり、(b)(c)は、本発明のコネクタの断面図である。
【図5】従来のコネクタを備えた充電コネクタの正面図である。
【図6】図5中のA−A線に沿う断面図である。
【図7】従来のコネクタを構成する接触防止部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施の形態にかかるコネクタを図1ないし図4を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、電気自動車のバッテリに充電を行うための充電ケーブルのコネクタ(以下、充電コネクタ10と記す)を構成するものであり、相手方の端子(図示しない)を前方から嵌合させる棒状の挿入子2を有する端子部3と、該端子部3が収容される筒状の端子収容部5を有するハウジング50と、該端子収容部5の周壁55と挿入子2との間に設けられ、相手方の端子と挿入子2との端子嵌合方向(矢印N方向)にスライド自在な絶縁性の接触防止部材6と、該接触防止部材6を挿入子2の前端側に付勢する弾性部材としてのコイルばね7と、を備えている。
【0018】
ここで、図1中の矢印N方向は、相手方の端子と挿入子2とが互いに近付けられて、これらが嵌合される端子嵌合方向を示している。この端子嵌合方向は、挿入子2の長手方向、及び、端子収容部5の筒状の軸方向と平行である。また、以降では、嵌合する相手方の端子側(図1中の左側)をコネクタ1の前方側と呼び、これと反対側(図1中の右側)を後方側と呼ぶことがある。
【0019】
端子部3は、図1に示すように、相手方の端子に嵌合される挿入子2と、電線(図示しない)に接続される電線圧着部32と、挿入子2と電線圧着部32の間に設けられた鍔部31と、を備えている。
【0020】
挿入子2は円柱状に形成されている。挿入子2の前端部には絶縁性の合成樹脂から構成されたキャップ4が取り付けられている。この挿入子2は、その前端面2aが端子嵌合方向(矢印N方向)に垂直である。また、挿入子2の前端面2aには、キャップ4の後述する爪部43(図4に示す)を係止する凹部21が設けられている。凹部21は挿入子2の前端面2aの中央部に設けられている。この凹部21は、挿入子2の前端面2aの内縁に連なる第1内周面22と、該第1内周面22よりも大径な第2内周面23と、第1内周面22と第2内周面23との間に設けられ、挿入子2の前端面2aと平行な面である爪受け部24と、を有している。この爪受け部24はキャップ4の後述する爪部43を係止する。
【0021】
電線圧着部32は、挿入子2の端子嵌合方向の後端に後述する鍔部31を介して連なっている。また、電線圧着部32は円筒状に形成され、その外径寸法は挿入子2よりも大きな外径寸法を有して形成されている。この電線圧着部32が、電線の端末の導体部をその凹部32a内に挿入させた状態で、図示しない圧着機で外側から多角形状に加締められることにより、端子部3と電線とが接続されている。
【0022】
鍔部31には、挿入子2側の前端面3aと、電線圧着部32側の後端面3bと、前端面3aの外縁と後端面3bの外縁との双方に連なる鍔部外側面3cと、が設けられている。
【0023】
鍔部外側面3cにはその全周に凹溝36が設けられ、この凹溝36内には図示しない防水ゴム栓(防水パッキン)が取り付けられる。この防水ゴム栓によって、端子収容部5の第2収容部52(後述する)内に水や塵等の侵入が防止される。
【0024】
キャップ4は絶縁性の合成樹脂から構成されている。このキャップ4は、図4に示すように、頭部41と、該頭部41から突出した一対のアーム42と、該一対のアーム42それぞれの先端部に設けられ、前述した挿入子2の爪受け部24に係止される爪部43と、を備えている。
【0025】
頭部41は、端子嵌合方向の前方に向かうに従って先細となるような傾斜を有して形成されている。この頭部41には、前述した挿入子2の前端面2aに重ねられる重なり面4aが設けられている。キャップ4が端子部3に取り付けられると、重なり面4aの外縁と、挿入子2の前端面2aの外縁とがフラットに連続して重なるようになっている。
【0026】
ハウジング50は絶縁性の合成樹脂から構成されている。このハウジング50は端子部3を収容する端子収容部5を有している。端子収容部5は、端子嵌合方向(矢印N方向)に沿って伸びた円筒状に形成されている。即ち、端子収容部5の端子嵌合方向に沿った両端5a、5bはそれぞれ開口されて、ハウジング50の外部と連通している。このような端子収容部5には、一端5aから他端5bに向かって端子部3が挿入される。即ち、端子収容部5には、端子部3が端子嵌合方向の後方から前方に向かって挿入される。
【0027】
この端子収容部5は、挿入子2が収容される筒状の第1収容部51と、該第1収容部51に連なり、鍔部31及び電線圧着部32が収容される筒状の第2収容部52と、第1収容部51と第2収容部52とを仕切る隔壁53と、該隔壁53の縁から端子嵌合方向の前方側に向かって伸びた円筒状の支持部54と、を有している。この支持部54の内側に挿入子2が挿入される。また、第1収容部51は第2収容部52よりも小さい内径を有して形成されている。
【0028】
第1収容部51は、第2収容部52に連なる第1周壁55と、該第1周壁55の前方側に連なる第2周壁56と、接触防止部材6の凹溝65(後述する)を係止するガイドリブ57と、接触防止部材6を係止する係止部58と、を備えている。この第1周壁55と第2周壁56との間には段差が設けられており、第2周壁56は第1周壁55よりも大きい内径を有して形成されている。
【0029】
ガイドリブ57は第1周壁55の内面から凸に形成されている。このガイドリブ57は、端子嵌合方向(矢印N方向)に沿って第1周壁55の全長に設けられている。このガイドリブ57が接触防止部材6の凹溝65(後述する)を係止することにより、接触防止部材6が挿入子2に対してその周方向に回動防止されるとともに、端子嵌合方向にスライド支持される。
【0030】
係止部58は、第1収容部51における第2周壁56と第1周壁55との境界部分に設けられている。この係止部58は第2周壁56の内面から凸に形成されている。また、係止部58は、接触防止部材6が該係止部58よりも端子嵌合方向(矢印N方向)の後方側に押し込まれ、接触防止部材6がコイルばね7を圧縮し、そして、コイルばね7によって接触防止部材6が前方側に付勢され、接触防止部材6の外側筒部63の縁63aが係止部58の後端面に当接することにより、接触防止部材6を係止する。係止部58が接触防止部材6を係止することにより、接触防止部材6が端子収容部5に対して前抜け防止される。
【0031】
接触防止部材6は絶縁性の合成樹脂から構成されている。この接触防止部材6は、図2に示すように、その中央に前述した挿入子2が挿通される孔部6aを有する円板部61と、該円板部61の内縁から筒状に端子嵌合方向(矢印N方向)の前方側に延びて形成された内側筒部62と、円板部61の外縁から筒状に端子嵌合方向の前方側に延びて形成された外側筒部63と、これら内側筒部62と外側筒部63とを連結する複数のリブ部64と、を備えている。また、内側筒部62の内径寸法、即ち孔部6aの径寸法は、挿入子2の外径寸法と略等しく形成されている。また、外側筒部63の外径寸法は、端子収容部5の第1周壁55の内径寸法と略等しく形成されている。
【0032】
外側筒部63には、前述した端子収容部5のガイドリブ57に係止される凹溝65が形成されている。この凹溝65は外側筒部63の外周面に設けられている。また、凹溝65は端子嵌合方向(矢印N方向)に沿って外側筒部63の全長に形成されている。
【0033】
複数のリブ部64は円板部61の周方向に間隔をあけて設けられている。各リブ部64はそれぞれが円板部61の径方向に沿って形成されている。即ち、周方向に隣り合うリブ部64間は肉抜きされている。
【0034】
各リブ部64の前面には、端子嵌合方向(矢印N方向)の後方側に向かうに従って径方向外側に傾斜したテーパ面64aと、該テーパ面64aの径方向外側に連なり、円板部61の表面と平行な平坦面64bと、が設けられている。内側筒部62は外側筒部63よりもその端子嵌合方向の寸法が大きく形成されている。このように、接触防止部材6に設けられたテーパ面64aは、端子嵌合方向(矢印N方向)の後方側に向かうに従って径方向外側に傾斜しているから、異物(例えば指など)がテーパ面64a上を滑って挿入子2から離れる方向に誘導される。
【0035】
コイルばね7は、やや圧縮された状態で接触防止部材6の後端面6bと端子収容部5の隔壁53の前端面53aとの間に装着されている。このコイルばね7は挿入子2に外挿されている。接触防止部材6の後端面6bがコイルばね7の前端面に対する座面であり、ハウジング50の隔壁53の前端面53aがコイルばね7の後端面に対する座面となっている。
【0036】
次に、上述した構成のコネクタ1の組み立て手順について説明する。まず、予めキャップ4を挿入子2の前端面2aに取り付け、防水ゴム栓を端子部3の鍔部31の凹溝36内に取り付け、電線の端末を電線圧着部32に圧着させ、電線と端子部3とを接続しておく。端子部3の挿入子2側を端子収容部5の他端5b側の開口に近付け、該端子収容部5の他端5bから端子部3を端子収容部5内に挿入する。防水パッキンの外面が端子収容部4の第2収容部52の内面に密着するとともに、鍔部31の前端面3aが端子収容部5の隔壁53に当接する。こうして、第1収容部51内に挿入子2を収容し、第2収容部52内に電線圧着部32及び鍔部31を収容し、端子部3を端子収容部5内に収容する。
【0037】
次に、挿入子2にコイルばね7を外挿し、接触防止部材6を円板部61側から挿入子2に挿通する。接触防止部材6がコイルばね7を圧縮し、接触防止部材6の外側筒部63の縁63aが端子収容部5の係止部58よりも端子嵌合方向の後方側に押し込まれ、そして、コイルばね7の付勢力(反発力)により接触防止部材6が挿入子2の前方側に押し戻され、接触防止部材6が係止部58に係止される。この際、コイルばね7は、接触防止部材6を端子嵌合方向の前方側、即ち挿入子2の前端側に付勢している。こうして、コネクタ1を組み立てる。
【0038】
次に、本発明の作用について説明する。図4中の符号L1は、本発明のコネクタ1及び従来のコネクタ101における接触防止部材6、106の挿入子2、102に対するスライド開始位置(以下、開始位置と記す)を示し、符号L2は、従来のコネクタ101において、異物が挿入子102に接触した際の、接触防止部材106の挿入子102に対する接触位置を示し、符号L3は、本発明のコネクタ1において、異物が挿入子2に接触した際の、接触防止部材6の挿入子2に対する接触位置を示している。また、図4(a)は、従来のコネクタ101において、異物が挿入子102に接触した状態を示し、(b)は、本発明のコネクタ1において、接触防止部材6が従来のコネクタ101の接触位置L2まで押された状態を示し、(c)は、本発明のコネクタ1において、異物が挿入子2に接触した状態を示している。
【0039】
本発明のコネクタ1は、端子収容部5の第1周壁55と挿入子2との間に異物(例えば、指など)が侵入し、接触防止部材6が端子嵌合方向(矢印N方向)の後方側に押され、コイルばね7を圧縮しつつ、接触防止部材6が後方側にスライドした場合に、接触防止部材6に形成されたテーパ面64aが、端子嵌合方向の後方側に向かうに従って径方向外側に傾斜しているから、異物がテーパ面64a上を滑って挿入子2の径方向外側、即ち、挿入子2から離れる方向に誘導されるので、接触防止部材6が、従来のコネクタ101の接触位置L2と同じ位置までスライドしても、異物を挿入子2に接触させない。即ち、図4(a)(b)に示すように、本発明のコネクタ1は、接触位置L3を従来のコネクタ101の接触位置L2よりも後方側とすることができるので、異物が挿入子2に接触するのを防止することができる。なお、図4では、コイルばね7、107が省略されている。
【0040】
また、開始位置L1から接触位置L2までの距離X1は、従来のコネクタ101のコイルばね107の収縮距離を示し、開始位置L1から接触位置L3までの距離X2は、本発明のコネクタ1のコイルばね7の収縮距離を示している。このように、従来のコイルばね107の収縮距離である距離X1よりも、本発明のコイルばね7の収縮距離である距離X2が大きく、距離X2が距離X1よりも大きくなった分、本発明のコネクタ1は、コイルばね7の収縮距離が大きく設定できるから、コイルばね7の付勢力を小さく設定することができる。従って、挿入子2を相手方の端子内に挿入する際の挿入力の低減を図ることができる。
【0041】
また、周方向に隣り合うリブ部64間を肉抜きできるので、接触防止部材6を軽量化することができるとともに、材料を節約してコネクタ製造コストの低減を図ることができる。
【0042】
なお、接触防止部材6にはリブ部64が設けられているが、本発明はこれに限ったものではなく、リブ部64はなくても良い。即ち、周方向に隣り合うリブ部64間を中実に形成し、その前面にテーパ面64aが形成されていてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態のコネクタ1は、電気自動車のバッテリに充電を行うための充電ケーブル用コネクタに適用されるものであるが、本発明はこれに限ったものではなく、電線と、電線あるいは電気装置とを接続するためのコネクタに適用することもできる。
【0044】
また、コイルばね7は挿入子2に外挿されているが、本発明はこれに限ったものではなく、挿入子2に内挿されていてもよく、挿入子2と隣接して平行に設けられていても良い。コイルばね7は、接触防止部材6を端子嵌合方向の前端側に付勢できるものであればよく、その形態や材質はとくに限定されない。
【0045】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 コネクタ
2 挿入子
5 端子収容部
6 接触防止部材
7 コイルばね(弾性部材)
50 ハウジング
55 周壁(第1周壁)
64 リブ部
64a テーパ面
N 端子嵌合方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方の端子を前方から嵌合させる棒状の挿入子と、
該挿入子が収容される筒状の端子収容部を有するハウジングと、
該端子収容部の周壁と前記挿入子との間に設けられ、前記相手方の端子と前記挿入子との端子嵌合方向にスライド自在な絶縁性の接触防止部材と、
該接触防止部材を前記挿入子の前端側に付勢する弾性部材と、を備えたコネクタにおいて、
前記接触防止部材には、前記端子嵌合方向の後方に向かうに従って径方向外側に傾斜したテーパ面が形成されたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記接触防止部材には、複数のリブ部が該接触防止部材の周方向に沿って間隔をあけて設けられ、
前記テーパ面が前記リブ部に形成されたことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−93113(P2013−93113A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232805(P2011−232805)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】