説明

コネクタ

【課題】アクチュエータの不用意な回動を防止する一方で、多芯化が進んだとしてもアクチュエータが撓むことなく適切な姿勢を保持可能なコネクタを提供すること。
【解決手段】コネクタ1は、回転被支持部、第1被支持部及び第2被支持部を有すると共に、開位置と閉位置との間で変位可能なアクチュエータ5と、複数のコンタクト3と、回転支持部430を有するハウジング4とを備えている。コネクタ1は、更に、第1被支持部に対して上側から当接する第1支持部材と、第2被支持部に対して下側から当接する第2支持部材とを備えている。アクチュエータ5が開位置から閉位置に変位するとき、回転被支持部が回転支持部430を下側に押圧することにより、アクチュエータ5は上方に向かう反力を受け、それによって、第2被支持部が一時的に第2支持部材から離れると共に第1被支持部が第1支持部材を一時的に上方へ押し上げるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉操作可能なアクチュエータを備えるコネクタに関する。かかるコネクタの接続対象物は、FPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat
Cable)のようなシート状又は板状の嵌合部を有する接続対象物や、それらの端部に保持部材を取り付けてなる接続対象物である。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタとしては、例えば、特許文献1に開示されたものがある(図26参照)。特許文献1のコネクタのアクチュエータは、両端に第1の軸を有すると共にそれら第1の軸の間に第2の軸を有している。第1の軸はハウジングに設けられた第1支持部分にて下側から支持されており、第2の軸はコンタクトと一体形成された弾性を有する第2支持部分で上側から支持されている。第1の軸の回動中心と第2の軸の回動中心とがオフセットしており、第2の軸の移動が第2支持部分で弾性的に阻止されていることから、特許文献1のコネクタにおいてはアクチュエータの不用意な回動が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−193045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多芯化が進むと、アクチュエータのピッチ方向の長さが長くなってくる。その場合、特許文献1のコネクタでは、アクチュエータが撓みやすく、適切な姿勢を保持できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、アクチュエータの不用意な回動を防止する一方で、多芯化が進んだとしてもアクチュエータが撓むことなく適切な姿勢を保持可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、第1のコネクタとして、
挿入された接続対象物と接続するコネクタであって、
回転被支持部、第1被支持部及び第2被支持部を有すると共に、前記接続対象物を挿入可能とする開位置と前記コネクタと前記接続対象物との接続状態を維持する閉位置との間で変位可能なアクチュエータと、
複数のコンタクトと、
前記回転被支持部に対応する回転支持部を有すると共に前記コンタクトをピッチ方向に列設保持するハウジングと、
前記第1被支持部に対応する第1支持部材であって、前記ハウジングに保持されると共に前記アクチュエータが前記開位置にあるとき及び前記閉位置のあるときの双方において前記第1被支持部に対して上側から当接する第1支持部材と、
前記第2被支持部に対応する第2支持部材であって、前記ハウジングに保持されると共に前記アクチュエータが前記開位置にあるとき及び前記閉位置のあるときの双方において前記第2被支持部に対して下側から当接する第2支持部材と
を備えており、
前記アクチュエータが前記開位置から前記閉位置に変位するとき、前記回転被支持部が前記回転支持部を下側に押圧することにより、前記アクチュエータは上方に向かう反力を受け、それによって、前記第2被支持部が一時的に前記第2支持部材から離れると共に前記第1被支持部が前記第1支持部材を一時的に上方へ押し上げるように構成されている
コネクタが得られる。
【0007】
本発明によれば、第2のコネクタとして、第1のコネクタであって、
前記回転被支持部は、前記ピッチ方向において、前記アクチュエータの両端から外側に突出しており、
前記第1被支持部及び前記第2被支持部は、前記ピッチ方向において、前記回転被支持部間に位置している
コネクタが得られる。
【0008】
本発明によれば、第3のコネクタとして、第1又は第2のコネクタであって、
前記第1支持部材及び前記第1被支持部の組と、前記第2支持部材及び前記第2被支持部の組とはいずれも複数組形成されている
コネクタが得られる。
【0009】
本発明によれば、第4のコネクタとして、第1乃至第3のいずれかのコネクタであって、
前記アクチュエータは、前記開位置にあるとき、前記ハウジングの上面から上方又は斜め上方に突出しており、
前記アクチュエータが前記開位置にあるとき、前記回転被支持部が前記回転支持部に当接している
コネクタが得られる。
【0010】
本発明によれば、第5のコネクタとして、第4のコネクタであって、
前記開位置にあるアクチュエータは、ハウジングに対して直立した状態を経て閉位置まで操作され、
前記直立した状態においては、前記第1被支持部は下方へ一時的に変位して前記第1支持部材から離れると共に、前記第2被支持部は下方へ一時的に変位して前記第2支持部材を押圧する
コネクタが得られる。
【0011】
本発明によれば、第6のコネクタとして、第1乃至第5のいずれかのコネクタであって、
前記コンタクトは、第1コンタクトと第2コンタクトとからなり、
前記第1支持部材は、前記第1コンタクトと一体形成されており、
前記第2支持部材は、前記第2コンタクトと一体形成されている
コネクタが得られる。
【0012】
本発明によれば、第7のコネクタとして、第6のコネクタであって、
前記第1コンタクトは、第1接触部を有しており、
前記第2コンタクトは、第2接触部を有しており、
前記第1接触部及び前記第2接触部が前記接続対象物に対して下側から接触するように、前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトは設けられている
コネクタが得られる。
【0013】
本発明によれば、第8のコネクタとして、第1乃至第7のいずれかのコネクタであって、
前記第2支持部材は、前記ハウジングの後端側においてハウジングに保持されると共に前記ハウジングの前端側に延びており、
前記第2支持部材には、前記第2被支持部の前方において上方に向かうように延びる第2係止部が設けられている
コネクタが得られる。
【0014】
本発明によれば、第9のコネクタとして、第1乃至第8のいずれかのコネクタであって、
前記第1支持部材は、前記ハウジングの後端側においてハウジングに保持されると共に前記ハウジングの前端側に延びており、
前記第1支持部材には、前記第1被支持部の前方において下方に向かうように延びる第1係止部が設けられている
コネクタ。
【0015】
本発明によれば、第10のコネクタとして、第1乃至第9のいずれかのコネクタであって、
前記アクチュエータは、前記閉位置と前記開位置との間での変位を操作するための操作部を有しており、
前記第1被支持部及び前記第2被支持部は、前記ピッチ方向と直交する平面内において、前記操作部から分離された断面を有している
コネクタが得られる。
【0016】
本発明によれば、第11のコネクタとして、第1乃至第10のいずれかのコネクタであって、
前記回転被支持部は、前記ピッチ方向と直交する平面内において、角を丸められた四角形形状の断面を有している
コネクタが得られる。
【0017】
本発明によれば、第12のコネクタとして、第1乃至第11のいずれかのコネクタであって、
前記接続対象物は、前記コネクタに挿入される嵌合部を有しており、
前記嵌合部の前記ピッチ方向の両端には相手側ロック部が設けられており、
前記コネクタは、前記接続対象物と前記コネクタの前記接続状態を前記相手側ロック部と共にロックするロック部を備えている
コネクタが得られる。
【0018】
本発明によれば、第13のコネクタとして、第12のコネクタであって、
前記コネクタは、基板に接続固定されるホールドダウンを備えており、
前記ロック部は、前記ホールドダウンと一体に形成されている
コネクタが得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、アクチュエータが開位置にあるときと閉位置にあるときの双方の状態を第1支持部材と第2支持部材で支持することにより維持していることから、アクチュエータが撓むことなく、適切な姿勢の維持を行うことができる。
【0020】
また、本発明によれば、アクチュエータの閉位置及び開位置間の回動(変位)に際してはアクチュエータの回動被支持部がハウジングの回動支持部を下側に押圧することにより、アクチュエータが上方に向かう反力を受け、それによって、第1被支持部が第1支持部材を一時的に上方へ押し上げるように構成されていることから、アクチュエータの不用意な回動を防止することができると共にアクチュエータの操作者はクリック感を得ることができる。
【0021】
上述したアクチュエータの適切な姿勢の維持とアクチュエータの不用意な回動防止は、アクチュエータの回動中に第2被支持部が一時的に第2支持部材から離れるように構成されていることから、両立可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態によるコネクタの正面側斜視図である。
【図2】図1のコネクタの挿入口付近において一点鎖線の円で囲まれた部分の拡大図である。
【図3】図1のコネクタの背面側斜視図である。
【図4】図1のコネクタに接続されるプラグコネクタ(接続対象物)の上面図である。
【図5】図4のプラグコネクタの底面図である。
【図6】図1のコネクタに用いられるホールドダウンの斜視図である。
【図7】図1のコネクタに用いられるアクチュエータの斜視図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】図7のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図7のアクチュエータの側面図である。
【図11】図8の記載に第2被支持部と回転被支持部との位置を重ね合わせた透視図である。
【図12】図1のXII−XII線に沿った断面図である。アクチュエータは開位置にある。
【図13】図1のXIII−XIII線に沿った断面図である。アクチュエータは開位置にある。
【図14】図1のXIV−XIV線に沿った断面図である。アクチュエータは開位置にある。
【図15】図12のアクチュエータを前方に倒した状態を表した図である。
【図16】図13のアクチュエータを前方に倒した状態を表した図である。
【図17】図14のアクチュエータを前方に倒した状態を表した図である。
【図18】図15のアクチュエータを更に前方に倒した状態を表した図である。
【図19】図16のアクチュエータを更に前方に倒した状態を表した図である。
【図20】図17のアクチュエータを更に前方に倒した状態を表した図である。
【図21】図18のアクチュエータを完全に倒した状態を表した図である。アクチュエータは閉位置にある。
【図22】図19のアクチュエータを完全に倒した状態を表した図である。アクチュエータは閉位置にある。
【図23】図20のアクチュエータを完全に倒した状態を表した図である。アクチュエータは閉位置にある。
【図24】プラグコネクタが挿入されたときの閉位置の状態を表した断面図である。なお、図に示される断面は、図21と同じものである。
【図25】プラグコネクタが挿入されたときの閉位置の状態を表した断面図である。なお、図に示される断面は、図22と同じものである。
【図26】特許文献1に開示されたコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態によるコネクタについて説明する。図1乃至図3に示されるように、本実施の形態によるコネクタ1は、Y方向(ピッチ方向)に細長い略直方体形状を有している。コネクタ1は、基板(図示せず)に取り付けられ図4及び図5に示されるプラグコネクタ(接続対象物)2と接続される。コネクタ1は、複数のコンタクト3と、コンタクト3を保持するハウジング4と、ハウジング4に取り付けられ且つコンタクト3に支持されているアクチュエータ5と、ホールドダウン6とを備えている。コネクタ1の前端11には挿入口14が設けられている。プラグコネクタ2は、挿入口14からコネクタ1の後端12に向けて挿入される。なお、以下、コネクタ1の各部を説明するに際しては、図24及び図25を参照するときを除き、プラグコネクタ2が挿入/接続されていない状態を説明する。
【0024】
図4及び図5に示されるように、本実施の形態によるコネクタ1に接続されるプラグコネクタ2は、FPC/FFC21の端部に設けられているものであり、コネクタ1の挿入口14に挿入される嵌合部20を有している。嵌合部20のY方向両側には両側に突出した相手側ロック部22が設けられている。相手側ロック部22近傍にはグランド接続部24が設けられている。
【0025】
図1乃至図3に示されるように、ハウジング4は、Y方向に長い略直方体形状の本体部400を有している。本体部400には、上部401と、底部402と、上記コネクタ1の前端11でもある前端403と、コネクタ1の後端12でもある後端404が形成されている。底部402には、複数のコンタクト3をY方向に列設保持するコンタクト保持溝420がY方向に並んで形成されている。ハウジング4の上部401の前端11側の一部は、アクチュエータ5を取り付けるために後端404に向けて略コの字に凹むように形成されている。当該コの字に凹まされた部分のY方向両側には、アクチュエータ5の回転被支持部530(後述)に対応する回転支持部430が形成されている。図1及び図14をも更に参照すると、回転支持部430は、前端403側の側面441と、後端404側の側面442と、底面450とを有する溝形状を有している。
【0026】
図1、図3及び図6に示されるように、ホールドダウン6はコネクタ1を基板(図示せず)に接続固定するものである。本実施の形態によるホールドダウン6は、ハウジング4の後端404のY方向両端付近に形成されたホールドダウン保持部470から前端403に向けて挿入されることにより、ハウジング4に取り付けられる。ホールドダウン6は、半田付け部61と、グランドコンタクト62と、ロック部69とを有している。半田付け部61は、ホールドダウン6の上部から下向き(−Z方向)に延びる部位と連続して形成される部位であって、Y方向においてコネクタ1から離れる方向に延びる部位である。グランドコンタクト62は、ホールドダウン6の上部から斜め下向きに前方(X方向)へ向かって延びている。コネクタ1とプラグコネクタ2とを接続した際、ホールドダウン6のグランドコンタクト62と、プラグコネクタ2のグランド接続部24とは電気的に接続される。ロック部69は、ホールドダウン6を構成する金属板に一体に形成された孔であり、プラグコネクタ2の相手側ロック部22と係止することにより、コネクタ1とプラグコネクタ2との接続状態をロックする。本実施の形態においては、ロック部69をホールドダウン6と一体に形成し且つホールドダウン6を半田付け部61により基板(図示せず)に固定することとしていることから、プラグコネクタ2の抜け止めを確実にすることができる。
【0027】
図7乃至図11に示されるように、アクチュエータ5は、Y方向に長い略板状の本体部500を有している。本体部500には、操作部501と、回動部502と、プラグコネクタ2を押圧するための押圧部503が形成されている。本実施の形態によるアクチュエータ5は、後述する開位置(図12乃至図14参照)と閉位置(図21乃至図23参照)との間で変位可能に構成されている。
【0028】
操作部501は、上記開位置と閉位置との間におけるアクチュエータ5の変位を操作するためのものである。操作部501の下部には凹部504が形成されており、閉位置にあるアクチュエータ5を起こす操作(即ち、開位置へ変位させる操作)を容易にしている。
【0029】
回動部502は、第1被支持部510と、第2被支持部520と、回転被支持部530とを備えている。回動部502は、複数の仕切り部505を備えており、全体として略櫛形状を有している。図8においては、Y方向において隣接する仕切り部505の間には第1被支持部510又は第2被支持部520のいずれかが設けられている。回転被支持部530は、本体部500のY方向の両端から外向きに突出している。即ち、本実施の形態においては、第1被支持部510と第2被支持部520とは、Y方向において2つの回転被支持部530の間に位置している。
【0030】
図7及び図8に示されるように、第1被支持部510は、XZ断面形状において、平面形状を有する被押圧部511と、曲面形状を有する押圧部512と、平面形状を有する被押圧部513とを有している。回動部502においては、X方向において隣接する仕切り部505との間は第1被支持部510のみによって接続されており、第1被支持部510と操作部501との間には第1コンタクト収容部514(後述)としての空間が形成されている。即ち、図8によく示されるように、XZ平面内においては、第1被支持部510は、操作部501から分離された断面を有している。
【0031】
図7及び図9に示されるように、第2被支持部520は、XZ断面形状において、鈍角を有する被支持部521と、平面形状を有する押圧部522と、平面形状を有する被支持部523とを有している。第1被支持部510と同様に、図9においては、回動部502においては、X方向において隣接する仕切り部505の間は第2被支持部520のみによって接続されており、第2被支持部520と操作部501との間には空間524が形成されている。即ち、図9によく示されるように、XZ平面内においては、第2被支持部520は、操作部501から分離された断面を有している。
【0032】
図7及び図10に示されるように、回転被支持部530は、XZ平面内において角を丸められた略四角形状の断面を有している。詳しくは、回転被支持部530は、XZ平面内において、ハウジング4の回転支持部430の側面442及び底面450(図14参照)と接する2か所の当接部531と、平面形状を有する第1側面532と、丸められた角の形状を有する押圧部533と、平面形状を有する第2側面534とを有している。従って、回転被支持部530の回転中心から2か所の当接部531までの距離は、回転中心から2か所の側面(第1側面532と第2側面534)までの距離より長い。
【0033】
図11に示されるように、本実施の形態による第1被支持部510と、第2被支持部520と、回転被支持部530とはY方向から見た場合に互いに異なる位置に設けられている。
【0034】
図1、図12及び図13に示されるように、コンタクト3は、第1コンタクト310と、第2コンタクト320とからなる。本実施の形態によるコネクタ1においては、第1コンタクト310と第2コンタクト320とは、2対1の割合で使用されている。
【0035】
図12に示されるように、第1コンタクト310は、ハウジング4に圧入される圧入部340と、圧入部340の上方から前方(+X方向)へ延びる第1腕部311と、圧入部340の下方から前方へ延びている下側腕部330とを備えており、前方に向けて2股に分かれる形状(横に倒した略U字形状)を有している。第1腕部311には、第1腕部311と連続して形成され上方に湾曲した第1当接部312(第1支持部材)と、第1当接部312の先端において下方に向かうように延びる第1係止部313とが形成されている。下側腕部330の先端付近には、凸状に形成された第1接触部331が形成されている。圧入部340の下方後端からは後方(−X方向)へ向けて延びる固定部350が設けられており、当該固定部350は、基板(図示せず)上の信号パターン(図示せず)に半田付け等される。
【0036】
図13に示されるように、第2コンタクト320は、第1コンタクト310と一部共通する構造を有している。即ち、第2コンタクト320は、ハウジング4に圧入される圧入部340と、圧入部340の上方から前方(+X方向)へ延びている第2腕部321と、圧入部340の下方から前方へ延びている下側腕部330とを備えており、前方に向けて2股に分かれる形状(横に倒した略U字形状)を有している。第2腕部321には、第2腕部321と連続して形成され下方に湾曲した第2当接部322(第2支持部材)と、第2当接部322の先端において上方に向かうように延びる第2係止部323とが形成されている。下側腕部330の先端付近には、凸状に形成された第2接触部332が形成されている。圧入部340の下方後端からは後方へ向けて延びる固定部350が設けられている。本実施の形態においては、第1コンタクト310の第1腕部311及び第2コンタクト320の第2腕部321以外の部位は、共通の構造を有している。
【0037】
以上のようなコネクタ1において、アクチュエータ5による開位置から閉位置までの回動操作は以下のように行われる。
【0038】
図12乃至図14に示されるように、アクチュエータ5が開位置にあるとき、アクチュエータ5はハウジング4の上面から斜め上方に突出しており、プラグコネクタ2はコネクタ1の挿入口14に挿入可能となる。第1被支持部510の被押圧部511は、第1コンタクト310の第1当接部312と当接し且つ下方に押圧されている(図12参照)。第2被支持部520の被支持部521は、第2コンタクト320の第2当接部322に支持されている(図13参照)。回転被支持部530の2つの当接部531は、回転支持部430の側面442と底面450と接触している(図14参照)。開位置においては、第1被支持部510が第1コンタクト310の第1当接部312から下向きに力を受ける一方で、第2被支持部520が第2コンタクト320の第2当接部322に支持されることにより、アクチュエータ5が支持される。即ち、開位置にあるアクチュエータ5は、第1コンタクト310と第2コンタクト320とによって保持されている。なお、かかる保持の仕方を考慮すると回転被支持部530は回転支持部430から離れていても(浮いていても)よく、開位置において、第1コンタクト310及び第2コンタクト320のみによって保持されていることとしてもよい。しかし、図の状態において上方から意図しない力がアクチュエータ5に対して加わると、第2被支持部520を下方から支持する第2コンタクト320に大きな負荷がかかる損傷するおそれがあるため、回転被支持部530は回転支持部430に支持されていることが好ましい。
【0039】
図15乃至図17に示されるように、開位置にある状態から前方へ起こされたアクチュエータ5は、ハウジング4に対して直立した状態を経て閉位置まで操作される。アクチュエータ5が直立した状態においては、第1被支持部510は下方へ一時的に変位して第1当接部312から離れ、両者は互いに接していない(図15参照)。一方、第2被支持部520も下方へ一時的に変位し、第2当接部322を押圧する(図16参照)。回転被支持部530の第1側面532は、回転支持部430の底面450と接している(図17参照)。なお、回転被支持部530の第1側面532が、回転支持部430の底面450と接触せず、第2被支持部520が第2当接部322と当接することのみによってアクチュエータ5が支持されることとしてもよい。
【0040】
図18乃至図20に示されるように、アクチュエータ5を更に前方へ倒した状態においては、回転被支持部530の押圧部533が回転支持部430の底面450の一部である被押圧部460を押圧する。このとき、アクチュエータ5は、被押圧部460からの反力を受ける(図20参照)。当該反力により、第1被支持部510の押圧部512は、第1コンタクト310の第1当接部312を上向きに押圧し、第1コンタクト310の第1腕部311が変形する(図18参照)。一方、第2被支持部520は、上方へ一時的に変位して第2当接部322から離れ、両者は互いに接していない(図19参照)。本実施の形態においては、第1コンタクト310が変形するために必要な力をアクチュエータ5に対して加えなければアクチュエータ5が更に前方へ倒れることがない。これにより、アクチュエータ5の不用意な閉位置への移動が防止され、且つアクチュエータ5が図18乃至図20に示される位置を超えて前方へ倒された際に操作者はクリック感を得る。上述したように、当該クリック感は、第1被支持部510が第1コンタクト310を押圧することによって得ているものである。本実施の形態においては、第1被支持部510が第1コンタクト310を押圧する際、回転被支持部530の押圧部533が固定面(回転支持部430の被押圧部460)を押圧することにより受ける反力を利用していることから、第1コンタクト310の第1当接部312を確実に押圧することができ、クリック感を得ることができる。換言すると、第1被支持部510によって第1コンタクト310を押圧する際、第2被支持部520を使用して変位する部位(第2コンタクト320の第2当接部322)を押圧するようには構成していないため、回転被支持部530の押圧部533が回転支持部430の被押圧部460から受ける反力の全てが第1被支持部510を介して第1コンタクト310へ伝達される。従って、本実施の形態においては、図18乃至図20に示される状態においては、回転被支持部530及び回転支持部430と、第1被支持部510及び第1コンタクト310との2か所のみが接触し、第2被支持部520が第2コンタクト320から一時的に離れていることが必要である。
【0041】
図21乃至図23に示されるように、アクチュエータ2をX方向と平行になるまで倒された状態、即ち、アクチュエータ5の閉位置においては、第1被支持部510は第1コンタクト310の第1当接部312と接触し、第2被支持部520は、第2コンタクト320の第2当接部322と接触している。回転被支持部530は、回転支持部430から僅かに離れている。即ち、閉位置においては、アクチュエータ5は、第1コンタクト310と第2コンタクト320とのみによって支持されている。ただし、アクチュエータ5に対して上方から意図しない力が加わった場合に第2コンタクト320の損傷を防ぐため、回転被支持部530と回転支持部430とが接触していてもよい。プラグコネクタ2は、閉位置においてコネクタ1に保持され、接続状態が維持される。
【0042】
詳しくは、図24及び図25に示されるように、アクチュエータ2が閉位置にあり、且つコネクタ1とプラグコネクタ2とが嵌合状態にある際、アクチュエータ5の押圧部503がプラグコネクタ2の嵌合部20からの反力を受けることによって、第1被支持部510は第1コンタクト310を上向きに押圧する(図24参照)。更に、第1コンタクト310及び第2コンタクト320の第1接触部331及び第2接触部332もプラグコネクタ2の嵌合部20からの反力を受け下向きに変形する(図24及び図25参照)。この際、嵌合部20の下部に設けられた信号導体26が、対応する第1接触部331又は第2接触部332と接触し電気的に接続される。本実施の形態によるコネクタ1とプラグコネクタ2の嵌合部20とは、第1コンタクト310の第1腕部311と、(第1コンタクト310及び第2コンタクト320の)下側腕部330とによって上下から加わる力によって接続状態が維持されている。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態においては開位置においては、少なくとも第1被支持部510及び第1コンタクト310と、第2被支持部520及び第2コンタクト320との2か所が接触しており(図12乃至図14参照)、その後、アクチュエータ5の回動(変位)に伴って、少なくとも第2被支持部520及び第2コンタクト320が接触し(図15乃至図17参照)、更に、回転被支持部530及び回転支持部430と、第1被支持部510及び第1コンタクト310との2か所のみが接触し(図18乃至図20参照)、閉位置においては、少なくとも第1被支持部510及び第1コンタクト310と、第2被支持部520及び第2コンタクト320との2か所が接触する(図21乃至図23参照)。特に、開位置及び閉位置の双方の位置において、第1コンタクト310が第1被支持部510に上側から接触すると共に(図12及び図21参照)、第2コンタクト320が第2被支持部520に下側から接触することとし(図13及び図22参照)、第1コンタクト310によって上方から押圧する一方で第2コンタクト320によって下方からアクチュエータ5を支持することとしているため、アクチュエータ5が撓むことなく、適切な姿勢の維持を行うことができる。
【0044】
また、第1コンタクト310の第1係止部313と、第2コンタクト320の第2係止部323とが設けられていることにより、開位置から閉位置の回動操作の全てに亘ってアクチュエータ5が前方へ抜け落ちることが防止される。
【0045】
なお、図1に示されるように、本実施の形態においては、第1被支持部510及び第1コンタクト310の組と、第2被支持部520及び第2コンタクト320の組は、複数形成され、前者の組と後者の組とは2対1の割合で使用されているが、この割合は、クリック感の強さや、アクチュエータ5によってプラグコネクタ2(図4参照)を押圧するために必要な力等を考慮して適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 コネクタ
2 プラグコネクタ(接続対象物)
3 コンタクト
4 ハウジング
5 アクチュエータ
6 ホールドダウン
11 前端
12 後端
14 挿入口
20 嵌合部
21 FPC
22 相手側ロック部
24 グランド接続部
26 信号導体
61 半田付け部
62 グランドコンタクト
69 ロック部
310 第1コンタクト
311 第1腕部
312 第1当接部(第1支持部材)
313 第1係止部
320 第2コンタクト
321 第2腕部
322 第2当接部(第2支持部材)
323 第2係止部
330 下側腕部
331 第1接触部
332 第2接触部
340 圧入部
350 固定部
400 本体部
401 上部
402 底部
403 前端
404 後端
420 コンタクト保持溝
430 回転支持部
441、442 側面
450 底面
460 被押圧部
470 ホールドダウン保持部
500 本体部
501 操作部
502 回動部
503 押圧部
504 凹部
505 仕切り部
510 第1被支持部
511 被押圧部
512 押圧部
513 被押圧部
514 第1コンタクト収容部
520 第2被支持部
521 被支持部
522 押圧部
523 被支持部
524 空間
530 回転被支持部
531 当接部
532 第1側面
533 押圧部
534 第2側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入された接続対象物と接続するコネクタであって、
回転被支持部、第1被支持部及び第2被支持部を有すると共に、前記接続対象物を挿入可能とする開位置と前記コネクタと前記接続対象物との接続状態を維持する閉位置との間で変位可能なアクチュエータと、
複数のコンタクトと、
前記回転被支持部に対応する回転支持部を有すると共に前記コンタクトをピッチ方向に列設保持するハウジングと、
前記第1被支持部に対応する第1支持部材であって、前記ハウジングに保持されると共に前記アクチュエータが前記開位置にあるとき及び前記閉位置のあるときの双方において前記第1被支持部に対して上側から当接する第1支持部材と、
前記第2被支持部に対応する第2支持部材であって、前記ハウジングに保持されると共に前記アクチュエータが前記開位置にあるとき及び前記閉位置のあるときの双方において前記第2被支持部に対して下側から当接する第2支持部材と
を備えており、
前記アクチュエータが前記開位置から前記閉位置に変位するとき、前記回転被支持部が前記回転支持部を下側に押圧することにより、前記アクチュエータは上方に向かう反力を受け、それによって、前記第2被支持部が一時的に前記第2支持部材から離れると共に前記第1被支持部が前記第1支持部材を一時的に上方へ押し上げるように構成されている
コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記回転被支持部は、前記ピッチ方向において、前記アクチュエータの両端から外側に突出しており、
前記第1被支持部及び前記第2被支持部は、前記ピッチ方向において、前記回転被支持部間に位置している
コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタであって、
前記第1支持部材及び前記第1被支持部の組と、前記第2支持部材及び前記第2被支持部の組とはいずれも複数組形成されている
コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコネクタであって、
前記アクチュエータは、前記開位置にあるとき、前記ハウジングの上面から上方又は斜め上方に突出しており、
前記アクチュエータが前記開位置にあるとき、前記回転被支持部が前記回転支持部に当接している
コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタであって、
前記開位置にあるアクチュエータは、ハウジングに対して直立した状態を経て閉位置まで変位し、
前記直立した状態においては、前記第1被支持部は下方へ一時的に変位して前記第1支持部材から離れると共に、前記第2被支持部は下方へ一時的に変位して前記第2支持部材を押圧する
コネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のコネクタであって、
前記コンタクトは、第1コンタクトと第2コンタクトとからなり、
前記第1支持部材は、前記第1コンタクトと一体形成されており、
前記第2支持部材は、前記第2コンタクトと一体形成されている
コネクタ。
【請求項7】
請求項6記載のコネクタであって、
前記第1コンタクトは、第1接触部を有しており、
前記第2コンタクトは、第2接触部を有しており、
前記第1接触部及び前記第2接触部が前記接続対象物に対して下側から接触するように、前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトは設けられている
コネクタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のコネクタであって、
前記第2支持部材は、前記ハウジングの後端側においてハウジングに保持されると共に前記ハウジングの前端側に延びており、
前記第2支持部材には、前記第2被支持部の前方において上方に向かうように延びる第2係止部が設けられている
コネクタ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のコネクタであって、
前記第1支持部材は、前記ハウジングの後端側においてハウジングに保持されると共に前記ハウジングの前端側に延びており、
前記第1支持部材には、前記第1被支持部の前方において下方に向かうように延びる第1係止部が設けられている
コネクタ。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のコネクタであって、
前記アクチュエータは、前記閉位置と前記開位置との間での変位を操作するための操作部を有しており、
前記第1被支持部及び前記第2被支持部は、前記ピッチ方向と直交する平面内において、前記操作部から分離された断面を有している
コネクタ。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のコネクタであって、
前記回転被支持部は、前記ピッチ方向と直交する平面内において、角を丸められた四角形形状の断面を有している
コネクタ。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のコネクタであって、
前記接続対象物は、前記コネクタに挿入される嵌合部を有しており、
前記嵌合部の前記ピッチ方向の両端には相手側ロック部が設けられており、
前記コネクタは、前記接続対象物と前記コネクタの前記接続状態を前記相手側ロック部と共にロックするロック部を備えている
コネクタ。
【請求項13】
請求項12記載のコネクタであって、
前記コネクタは、基板に接続固定されるホールドダウンを備えており、
前記ロック部は、前記ホールドダウンと一体に形成されている
コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−98025(P2013−98025A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240042(P2011−240042)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】