コネクタ
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ショート端子を備えたコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ショート端子を備えたコネクタは、互いに嵌合可能な一対のコネクタハウジングのうちの一方にショート端子を設け、両コネクタハウジングが離間した状態ではショート端子が端子金具を短絡させ、両コネクタハウジングが嵌合するとショート端子による短絡が解除されるようになっている。この種のコネクタとして、本願出願人が既に出願(特願平11−138558号)したものがある。これは、図12に示すように、ショート端子102側のコネクタハウジング101にスライダ103を設け、そのスライダ103にショート端子102を一体変位可能に取り付けたものであり、スライダ103内には圧縮コイルバネ(図示せず)が収容されている。両コネクタハウジング101,104が未嵌合又は嵌合途中の状態では、スライダ103が保持片108により図12に示す短絡位置にロックされ、ショート端子102が隔壁105の切欠部106において雄端子金具107に接触して短絡状態となっている。そして、両コネクタハウジング101,104が正規嵌合状態に至ると、スライダ103のロックが解除され、圧縮コイルバネの弾力によりスライダ103が図13に示す短絡解除位置へ移動し、ショート端子102が切欠部106から外れて雄端子金具107と非接触となり、短絡が解除されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記コネクタにおいて、雄端子金具107は、コネクタハウジング101に対してその後方(図12における左方)からキャビティ109内に挿入される。一方、スライダ103とショート端子102は、予め組み付けた状態で雄端子金具107と同じく後方からコネクタハウジング101内に挿入することによって組み付けられる。また、このショート端子102の組付け時の移動経路とキャビティ109とは短絡用の切欠部106が形成されている隔壁105によって仕切られており、ショート端子102は、弾性撓みしつつこの隔壁105に対して摺接しつつ組み付けられる。
【0004】上記コネクタでは、隔壁105がスライダ103の移動方向と平行な平坦状をなしているため、組付け時のショート端子102の弾性撓み量はほぼ一定であるが、雄端子金具107の形状によっては、隔壁105が平坦にならない場合が考えられる。例えば、雄端子金具107の後端部の電線接続部107Aの上面の高さが前端部の上面よりも高い場合には、隔壁105のうちの電線接続部107Aと対応する後端部分が高くなるのである。
【0005】このような構造では、ショート端子102の組付けの際に、隔壁105の後端の高い部分を通過するときにショート端子102の弾性撓み量が過剰に大きくなって応力も増大するという問題がある。尚、応力低減の手段として、ショート端子102の移動領域の上下寸法を大きくし、後端の高い部分を乗り越えるときのショート端子102の弾性歪みを小さく抑えることが考えられる。しかしながら、そうすると、コネクタハウジング101全体として嵩高になるという新たな問題が生じることになる。また、別の問題としては、短絡位置のショート端子102が切欠部106から外れて隔壁105に沿いつつ短絡解除位置側へ移動するときには、ショート端子102が隔壁105に乗り上がるようになるので、ショート端子102の撓み量が増大し、ショート端子102が短絡解除位置に長時間位置することに起因するヘタリの発生が懸念される。
【0006】本願発明は上記事情に鑑みて創案され、組付け時におけるショート端子の弾性撓み量の増大を回避可能とすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、複数の端子金具が挿入されたコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに組み付けられるとともにその組付け時の移動経路上における短絡位置と短絡解除位置との間での移動を可能とされたショート端子とを備え、前記ショート端子が前記短絡位置にあるときには、そのショート端子が前記端子金具と接触することでこれらの端子金具を短絡状態とし、前記短絡解除位置にあるときには、前記ショート端子が前記端子金具から離間してこれらの端子金具の短絡を解除するようになっているコネクタにおいて、前記ショート端子の挿入経路が、前記端子金具の挿入方向に対し、挿入方向手前側ほど前記ショート端子が前記端子金具から離間するような斜め方向とされている構成とした。
【0008】請求項2の発明は、隔壁で仕切られた端子金具挿入空間とショート端子移動空間とを有するコネクタハウジングと、前記端子金具挿入空間に挿入される複数の端子金具と、前記ショート端子移動空間内に短絡位置と短絡解除位置との間での移動を可能に取り付けられたショート端子とを備え、前記ショート端子が前記短絡位置にあるときには、そのショート端子が前記隔壁に形成した切欠部において前記端子金具と接触することでこれらの端子金具を短絡状態とし、前記ショート端子が前記端子金具から離間して前記隔壁に沿いつつ前記短絡位置から前記短絡解除位置へ移動すると前記端子金具の短絡が解除されるようになっているコネクタにおいて、前記ショート端子の移動経路が、前記端子金具の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ前記短絡位置から前記短絡解除位置へ向かって前記ショート端子が前記端子金具から離間する形態とされている構成とした。
【0009】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記コネクタハウジングが合成樹脂製とされているとともに、前記ショート端子が合成樹脂製のスライダに一体移動可能に取り付けられており、前記コネクタハウジングに対して前記スライダを摺接させることで前記ショート端子の移動が行われるようにした構成とした。請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明において、前記短絡位置にある前記ショート端子の前記短絡解除位置側への移動を規制可能であり、且つ相手側コネクタハウジングが前記コネクタハウジングと正規嵌合するのに伴って移動規制が解除される保持手段と、前記ショート端子を前記短絡位置から前記短絡解除位置側へ付勢する付勢手段とを備えている構成とした。
【0010】請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記付勢手段は、嵌合途上にある前記相手側コネクタハウジングで弾性撓みさせられることによりその相手側コネクタハウジングに対する離脱方向への付勢力を蓄勢する構成とした。
【0011】
【発明の作用及び効果】[請求項1の発明]ショート端子を組付ける際に、組付けの当初はショート端子が端子金具から比較的遠い位置にある。したがって、ショート端子の組付け時の移動経路において、例えば、端子金具挿入空間とショート端子移動空間との間の隔壁にショート端子移動空間側へ突出する部分があっても、その突出部分を乗り越えるときのショート端子の弾性撓み量が小さくて済む。
【0012】[請求項2の発明]短絡位置のショート端子が切欠部から外れて隔壁に沿いつつ短絡解除位置側へ移動するときには、ショート端子が隔壁に乗り上がるようになるので、ショート端子の撓み量は一時的に大きくなる。しかし、ショート端子の移動経路が、端子金具の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ短絡位置から短絡解除位置へ向かってショート端子が端子金具から離間する形態とされているので、ショート端子が短絡解除位置へ移動するのに伴ってショート端子の弾性撓み量が小さくなっていく。したがって、短絡解除位置に長時間位置していてもショート端子がヘタリを生じる虞はない。
[請求項3の発明]ショート端子の移動は、スライダとコネクタハウジングとの間の合成樹脂製部品同士の摺動を伴って行われるので、移動が円滑に行われる。
【0013】[請求項4の発明]相手側コネクタハウジングが未嵌合又は半嵌合の状態ではショート端子は保持手段により短絡位置に保持され、相手側コネクタハウジングが正規嵌合すると、保持手段による移動規制が解除されてショート端子が付勢手段の付勢により短絡解除位置へ移動する。したがって、手動によるショート端子の移動操作を不要である。
[請求項5の発明]相手側コネクタハウジングの嵌合動作を半嵌合状態で止めてしまった場合には、付勢手段に蓄勢された付勢力により離脱方向へ強制的に変位させられるので、半嵌合を防止できる。ショート端子を短絡位置側から短絡解除位置側へ付勢するための付勢部材に半嵌合防止の機能を兼備させたので、部品点数の削減を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】[実施形態1]以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図10を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、雄端子金具13、スライダ20及びショート端子35を備えた雄側コネクタハウジング10と、雌端子金具42を備えた雌側コネクタハウジング40とからなり、この両コネクタハウジング10,40は互いに嵌合・離脱を可能とされている。尚、本実施形態における方向の説明では、嵌合時に各コネクタハウジング10,40における相手側のコネクタハウジング40,10と対向する面を前面とし、上下方向については図1〜図5、7、8、10、11を基準とする。
【0015】[雌側コネクタハウジング40及び雌端子金具42]まず、雌側コネクタハウジング40(本発明の構成要件である他方のコネクタハウジング)について説明すると、雌側コネクタハウジング40内には複数のキャビティ41が左右に整列して形成され、各キャビティ41には雌端子金具42が挿入されている。雌側コネクタハウジング40の上面における幅方向(左右方向)中央には、両コネクタハウジング10,40の嵌合方向(以下、単に嵌合方向という)と直交する方向に対して少し傾斜したロック用係止面43が形成されている。このロック用係止面43を挟む左右両側には嵌合方向と平行なリブ状の一対の押込部44が形成されている。また、雌側コネクタハウジング40の上面における前端縁は、前下がりとなったガイド斜面45となっている。
【0016】[雄側コネクタハウジング10及び雄端子金具13]次に、雄側コネクタハウジング10(本発明の構成要件である一方のコネクタハウジング)について説明する。雄側コネクタハウジング10は合成樹脂製であり、その前半下半分領域は、その前面に開口する嵌合凹部11となっており、ここに雌側コネクタハウジング40が収容される。また、嵌合凹部11の後方には、嵌合凹部11よりも高さの低い複数のキャビティ12(本発明の構成要件である端子金具挿入空間)が横に並列して形成され、各キャビティ12に雌端子金具42と接続可能な雄端子金具13が挿入されている。
【0017】雄側コネクタハウジング10内における幅方向中央位置には、収容空間14と嵌合凹部11との境界に沿って前方へ片持ち状に延出するロックアーム17が形成されている。このロックアーム17は、常には図1111に示すロック姿勢にあるが、外力が付与されるとロック姿勢よりも上方の図10に示すロック解除姿勢へ弾性的に傾動変位することが可能となっている。ロックアーム17の前端には、雌側コネクタハウジング40のロック用係止面43に係止されるロック用突起17Aが下向きに突出形成されている。ロック用突起17Aとロック用係止面43との係止により両コネクタハウジング10,40が離脱規制状態にロックされる。
【0018】[スライダ20及びショート端子35の収容構造]雄側コネクタハウジング10のうち嵌合凹部11及びキャビティ12よりも上方の領域は、雄側コネクタハウジング10の後面及び上面の後半分領域に開口された収容空間14とされている。この収容空間14にはスライダ20とショート端子35が収容されるようになっている。収容空間14の前端においては、雌側コネクタハウジング40の押込部44を収容空間14内へ受け入れるための左右一対の逃がし溝16が形成されている。収容空間14の下面の前半領域は嵌合凹部11に連通され、後半領域はキャビティ12との間がその隔壁18で隔絶されている。隔壁18のうちその雄端子金具13の挿入方向における先方側(キャビティ12の奥端側)部分は低背部18Aとされ、後方側(キャビティ12の入り口側)部分は嵩高部18Bとなっている。これは、雄端子金具13の後端部の電線圧着部13Aだけが他の部分よりも高くなっているからである。また、収容空間14のうち隔壁18と対応する領域は、コネクタハウジング10の後端面に開口するショート端子移動空間14Aとされている。
【0019】収容空間14の左右側壁14Bには、前後方向に延びると共に後端部にストッパ15Aの形成されたガイド溝15が形成されている。ガイド溝15は、図5R>5に示すように、その上面15Bが水平方向(キャビティ12に対する雄端子金具13の挿入方向)と平行をなしているが、下面は、雄端子金具13の挿入方向に対して前下がりに傾斜した平坦状傾斜面15Cとされている。この平坦状傾斜面15Cの傾斜方向は、雄端子金具13の挿入方向を基準とすると、挿入方向手前側(後側)ほどキャビティ12内の雄端子金具13から上方へ離間する向きである。また、収容空間14の天井面における幅方向中央には平坦状傾斜面15Cと平行な傾斜リブ15Eが形成されている。この傾斜リブ15Eと平坦状傾斜面15Cとは、スライダ20を雄端子金具13の挿入方向に対して前下がりに傾斜した方向へ移動し得るようにガイドする。尚、ストッパ15Aの後側には、コネクタハウジング10の後端面に連なる外広がりのテーパ状をなす誘導斜面15Dが形成されている。
【0020】[スライダ20]次に、スライダ20について説明する。スライダ20は、合成樹脂製であり、ロックアーム17のロック姿勢とロック解除姿勢との間の変位動作を規制・許容するのに加え、ロックアーム17を強制的にロック解除姿勢へ変位させる機能を有する。スライダ20は、その左右両側面に一対の被ガイドリブ27を有するとともに、上面における幅方向中央に被ガイド斜面28を有している。被ガイドリブ27の下面と被ガイド斜面28とは互いに平行であり、スライダ20の上面に対して前下がり状に傾斜している。かかるスライダ20は、その被ガイドリブ27の下面をコネクタハウジング10の平坦状傾斜面15Cに摺接させるととも被ガイド斜面28を傾斜リブ15Eに摺接させることにより、コネクタハウジング10に対して一定の姿勢を保ちつつ且つ雄端子金具13の挿入方向に対して前下がりに傾斜した直線経路に沿って平行移動し得るようになっている。
【0021】被ガイドリブ27がストッパ15Aに当接してスライダ20がそれ以上の後方移動を規制された位置(図11に示す)は変位規制位置とされている。この変位規制位置では、スライダ20の前端部下面の変位規制面21がロック姿勢のロックアーム17の上面に当接し、てロックアーム17のロック解除方向(上方向)への変位を規制する。また、スライダ20の前端が収容空間14の前面壁14Fに当接して前止まり状態とされた位置(図2、10に示す)は変位許容位置とされている。この変位許容位置では、変位規制面21よりも後方の撓み空間22がロックアーム17の上方に対応するので、ロックアーム17はこの撓み空間22内に進出しつつロック解除姿勢へ変位することが可能となっている。
【0022】尚、撓み空間22の前端には、変位規制面21の後端と連なる後退規制面23が形成され、スライダ20が変位許容位置にあって、ロックアーム17がロック解除姿勢に変位している状態では、後退規制面23がロックアーム17の前端面に当接することで、スライダ20の変位規制位置側(後方)への移動が阻止される(図2を参照)。
[付勢手段]また、スライダ20における撓み空間22の左右両側には一対のバネ室25が形成されており、ここに軸線を前後方向(雄端子金具13の挿入方向と平行な方向)に向けた圧縮コイルバネ26(本発明の構成要件である付勢手段)が収容されている。バネ室25の前面壁には、雌側コネクタハウジング40の押込部44の上前端部をバネ室25内に進入させるための受入溝29が形成されている。
【0023】スライダ20の下面には、前方(嵌合途上にある雌側コネクタハウジング40に向かう方向)へ片持ち状に延出する左右一対の弾性保持片30(本発明の構成要件である保持手段)が形成されている。この弾性保持片30は上方への弾性変位を可能とされ、スライダ20が変位許容位置にあるときには、弾性保持片30が嵌合凹部11の後端面上縁の受け部32に係止することにより、スライダ20の変位規制位置側への遊動が規制される。
【0024】さらに、弾性保持片30の前端部の下面には被押し上げ斜面33が形成されており、両コネクタハウジング10,40が正規嵌合状態に至るのとほぼ同時に、被押し上げ斜面33が雌側コネクタハウジング40のガイド斜面45に当接して、弾性保持片30がガイド斜面45に乗り上がりつつ受け部32から解離し、もって弾性保持片30によるスライダ20の保持機能が解除される。
[半嵌合防止手段]上記スライダ20の圧縮コイルバネ26は、雌側コネクタハウジング40の押込部44と協動することで半嵌合防止手段としても機能する。両コネクタハウジング10,40を嵌合する途中では、変位許容位置にあるスライダ20のバネ室25内に押込部44の前端が進入し、嵌合動作が進むのに伴って圧縮コイルバネ26を弾縮させるようになっている。即ち、圧縮コイルバネ26は、嵌合途上にある雌側コネクタハウジング40で弾性撓みさせられることによりその雌側コネクタハウジング40に対する離脱方向(嵌合凹部11外へ押し出す方向)への付勢力を蓄勢するようになっている。
【0025】[ショート端子35]スライダ20の下面後部には、導電性を有する板材からなるショート端子35の基端部35Aが一体移動可能に取り付けられており、スライダ20が変位許容位置にあるときにはショート端子35は短絡位置となり、スライダ20が変位規制位置にあるときにはショート端子35は短絡解除位置となる。ショート端子35には、基端部35Aの後端縁から折り返し状に延出する複数の弾性接触片35Bが各キャビティ12に対応して形成され、各弾性接触片35Bの延出端が雄端子金具13との接触部35Cとなっている。スライダ20が変位許容位置にあるときには、ショート端子35の接触部35Cがキャビティ12の隔壁18の切欠部36を介して雄端子金具13の上面に弾接した状態となり(図2、10を参照)、この状態では、雄端子金具13同士がショート端子35を介して短絡状態となる。
【0026】また、スライダ20が変位規制位置に移動するのに伴い、接触部35Cは切欠部36から外れてキャビティ12の隔壁18のうち高さの低背部18A上を摺接するようになり(図11を参照)、この状態では各雄端子金具13の短絡が解除される。尚、スライダ20が最も後方の変位規制位置にある状態においても、ショート端子35の接触部35Cは隔壁18の嵩高部18Bには至らない。
[スライダ20及びショート端子35の組付け]上記構成になるスライダ20とショート端子35は、予め組み付けた状態でコネクタハウジング10に組み付けられる。組付けに際しては、スライダ20をコネクタハウジング10の後方に位置させて被ガイドリブ27の前端をガイド溝15の誘導斜面15Dに宛い、その状態からスライダ20を斜め下向きに押し込む。すると、被ガイドリブ27の前端部が、コネクタハウジングの側壁14Bの後端部を僅かに外側へ撓ませつつ被ガイドリブ27を通過し、その後、側壁14Bが外側へ撓まされていない中央部分及び前端側部分においてガイド溝15に嵌合する。後は、被ガイドリブ27の下面が平坦状傾斜面15Cに摺接するとともに被ガイド斜面28が傾斜リブ15Eに摺接することにより、スライダ20がコネクタハウジング10に対して一定の姿勢を保ちつつ且つ雄端子金具13の挿入方向に対して前下がりに傾斜した直線経路に沿って平行移動する。
【0027】尚、被ガイドリブ27がストッパ15Aから外れた後は側壁14Bが内側へ弾性復帰し、被ガイドリブ27の後端がストッパ15Aに係止してスライダ20の抜け規制が実現されるようになる。ストッパ15Aを通過したスライダ20は、変位規制位置を経た後に変位許容位置に至り、弾性保持片30が受け部32に係止し、もってスライダ20が変位許容位置に保持される。以上により、スライダ20とショート端子35の組付けが完了する。
【0028】上記組付けに際してショート端子35が移動するショート端子移動空間14Aの下方には、キャビティ12との間の隔壁18のうち後側の嵩高部18Bが存在している。この嵩高部18Bの高さは、ショート端子35が短絡位置と短絡解除位置との間で変位する間に接触部35Cが当接する雄端子金具13の上面及び隔壁18の低背部18Aよりも高い位置となっている。したがって、組付けの際には、ショート端子35の接触部35Cが嵩高部18Bを通過することになる。
【0029】ここで、もし、ショート端子35の組付け方向が雄端子金具13の挿入方向と平行である場合には、折返し状の弾性接触片35Bを短絡位置と短絡解除位置との間で移動する際の通常の撓み量よりも大きく撓ませつつ嵩高部18Bを乗り越えさせる必要がある。しかしながら、本実施形態では、ショート端子35の組付け時の移動方向が、雄端子金具13の挿入方向に対して前下がりに傾斜した方向となっているので、弾性接触片35Bが嵩高部18Bと対応する組付け当初ではショート端子35全体が比較的上方に位置することになる。したがって、ショート端子35が嵩高部18Bを通過するときの嵩高部18Bから基端部35Aまでの上下方向の寸法は、組付けが完了してショート端子35が短絡位置又は短絡解除位置にあるときの低背部18Aから基端部35Aまでの寸法とそれほど変わりはない。よって、嵩高部18Bを通過するときの弾性接触片35Bの弾性撓み量が過剰に大きくならずに済むのである。
【0030】[両コネクタハウジング10,40の嵌合動作]両コネクタハウジング10,40を嵌合する際には、まず、雄側コネクタハウジング10においてスライダ20を変位許容位置(ショート端子35は短絡位置)に保持しておく(図2を参照)。この状態で雌側コネクタハウジング40を嵌合凹部11に嵌入すると、ロックアーム17が雌側コネクタハウジング40の上面に乗り上がりつつロック解除姿勢に変位する(図10を参照)とともに、押込部44が圧縮コイルバネ26を弾縮する(図示せず)ことで雌側コネクタハウジング40に対して嵌合凹部11からの離脱力が付与される。
【0031】したがって、嵌合途中で操作を中段すると、圧縮コイルバネ26の付勢により雌側コネクタハウジング40が嵌合凹部11外へ押し出されるので、両コネクタハウジング10,40が半嵌合状態のままになることが防止される。さて、両コネクタハウジング10,40が正規嵌合状態に至ると、ロックアーム17がロック姿勢へ弾性復帰して雌側コネクタハウジング40のロック用係止面43に係止し、もって、両コネクタハウジング10,40が離脱規制状態にロックされる(図11を参照)。また、このロック動作とともに、弾性保持片30が雌側コネクタハウジング40のガイド斜面45に乗り上がりつつ弾性変位して受け部32から解離し、弾性保持片30によるスライダ20の後退規制が解除される。
【0032】弾性保持片30が受け部32から外れると、スライダ20が圧縮コイルバネ26の付勢により、変位許容位置から変位規制位置へと後退移動する(図11R>1を参照)。スライダ20が変位規制位置に移動すると、変位規制面21がロックアーム17の上面に対して上から押さえ込むように当接するので、ロックアーム17のロック解除姿勢側への上方変位が規制され、ロック用突起17Aとロック用係止面43との係止状態が確保される。以上により、両コネクタハウジング10,40が正規嵌合状態にロックされ、嵌合動作が完了する。
【0033】さて、スライダ20が変位規制位置へ移動するのに伴い、ショート端子35は短絡解除位置へ移動するが、この移動にともなってショート端子35は上方へも変位する。即ち、基端部35Aが隔壁18から離間するようになるので、弾性接触片35Bの弾性撓み量が減少する。したがって、この短絡解除位置の状態が長期間継続されても、弾性接触片35Bがヘタリを生じ難くなっている。[両コネクタハウジング10,40の離脱動作]この嵌合ロック状態から両コネクタハウジング10,40を離脱させる際には、変位規制位置にあるスライダ20を圧縮コイルバネ26の付勢に抗して前方へ移動させ、変位許容位置に至らしめる。すると、変位規制面21によるロックアーム17の変位規制が解除されるので、ロックアーム17が圧縮コイルバネ26の弾力によりロック用係止面43の傾斜にしたがって上方へ滑り変位し、ロックアーム17とロック用係止面43とのロックが解除され、圧縮コイルバネ26の弾性復元力によって雌側コネクタハウジング40が嵌合凹部11の外へ押し出される。
【0034】そして、雌側ハウジングコネクタ40が押し出されると、弾性保持片30が受け部32に係止し、スライダ20が変位許容位置に保持される。また、ショート端子35は、低背部18Aから外れて切欠部36に至り、雄端子金具13の上面に弾性接触して短絡状態とするのである。
[実施形態の効果]
■ショート端子35の組付け方向を雄端子金具13の挿入方向に対して傾斜させ、組付けの当初はショート端子35が雄端子金具13から比較的上方へ離れた位置にあるようにした。これにより、ショート端子35の組付け時の移動経路の始端側(後端側)に隔壁18の嵩高部18Bが存在していても、その嵩高部18Bを乗り越えるときのショート端子35の弾性撓み量が小さくて済んでいる。
【0035】■短絡解除位置を、ショート端子35の組付け方向において短絡位置よりも手前側に配し、ショート端子35が短絡解除位置にあるときにはその基端部35Aが隔壁18から遠くなって弾性接触片35Bの弾性撓み量が小さくなるようにした。これにより、ショート端子35が短絡解除位置に長時間位置していてもヘタリを生じる虞はない。
■ショート端子35の移動は、スライダ20とコネクタハウジング10との間の合成樹脂製部品同士の摺動を伴って行われるので、金属製のショート端子を樹脂製のコネクタハウジングに接触させる場合に比べて、ショート端子35の移動を円滑に行うことができる。
【0036】■弾性保持片30によってスライダ20の変位規制位置側への移動を規制する状態は、両コネクタハウジング10,40が正規嵌合状態に至るのに伴って解除され、スライダ20によるロックアーム17の変位規制が自動的に行われるようになっているので、スライダ20を変位許容位置から変位規制位置へ移動させるための手動操作が不要となり、作業性に優れる。
■両コネクタハウジング10,40の嵌合動作を半嵌合状態で止めてしまった場合には、圧縮コイルバネ26に蓄勢された付勢力により離脱方向へ強制的に変位させられるので、半嵌合を防止できる。
■短絡位置のショート端子35が切欠部36から外れて隔壁18に沿いつつ短絡解除位置側へ移動するときには、ショート端子35が隔壁18に乗り上がるようになるので、ショート端子35の弾性撓み量が一時的に大きくなる。しかし、ショート端子35の移動経路が、雄端子金具13の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ短絡位置から短絡解除位置へ向かってショート端子35が雄端子金具13から離間する形態とされているので、ショート端子35が短絡解除位置へ移動するのに伴ってショート端子35の弾性撓み量が小さくなっていく。したがって、短絡解除位置に長時間位置していてもショート端子35がヘタリを生じる虞はない。
【0037】[他の実施形態]本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態ではショート端子が短絡解除位置にあるときも隔壁に弾接するようにしたが、本発明によれば、短絡解除位置ではショート端子が隔壁と非接触となるようにしてもよい。
【0038】(2)上記実施形態ではショート端子の組付け時の移動経路の途中で隔壁の一部が高くなっていてそこを乗り越えるときのショート端子の弾性撓み量の低減が図られるようにしたが、本発明は、隔壁を乗り越える場合に限らず、ショート端子の移動空間内に臨む隔壁以外の部位を乗り越えるときのショート端子の弾性撓み量の低減を図る場合にも適用することができる。
(3)上記実施形態ではショート端子が側方から視てU字形をなす場合について説明したが、本発明は、ショート端子がU字形以外の形状のものである場合にも適用することができる。
【0039】(4)上記実施形態では付勢手段に相手側コネクタハウジングの半嵌合防止機能を兼備させたが、本発明によれば、半嵌合機能を有しない構造とすることもできる。
(5)上記実施形態では相手側コネクタハウジングが正規嵌合するとショート端子が短絡位置から短絡解除位置へ自動的に移動するようにしたが、本発明によれば、相手側コネクタハウジングの嵌合動作とは連動させずにショート端子を移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における雌側コネクタハウジングの断面図
【図2】雄側コネクタハウジングの断面図
【図3】雄側コネクタハウジングの正面図
【図4】図2のX−X線断面図
【図5】ショート端子を外した状態の雄側コネクタハウジングの断面図
【図6】図5のY−Y線断面図
【図7】スライダの正面図
【図8】ショート端子を取り付けた状態のスライダの側面図
【図9】スライダの平面図
【図10】両コネクタハウジングの嵌合途中の状態を示す断面図
【図11】両コネクタハウジングの嵌合が完了した状態を示す断面図
【図12】従来例において両コネクタハウジングの嵌合前の状態を示す断面図
【図13】従来例において両コネクタハウジングを嵌合した状態を示す断面図
【符号の説明】
10…コネクタハウジング
12…キャビティ(端子金具挿入空間)
13…雄端子金具(端子金具)
14A…ショート端子移動空間
18…隔壁
20…スライダ
26…圧縮コイルバネ(付勢手段)
30…弾性保持片(保持手段)
35…ショート端子
36…切欠部
40…相手側コネクタハウジング
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ショート端子を備えたコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ショート端子を備えたコネクタは、互いに嵌合可能な一対のコネクタハウジングのうちの一方にショート端子を設け、両コネクタハウジングが離間した状態ではショート端子が端子金具を短絡させ、両コネクタハウジングが嵌合するとショート端子による短絡が解除されるようになっている。この種のコネクタとして、本願出願人が既に出願(特願平11−138558号)したものがある。これは、図12に示すように、ショート端子102側のコネクタハウジング101にスライダ103を設け、そのスライダ103にショート端子102を一体変位可能に取り付けたものであり、スライダ103内には圧縮コイルバネ(図示せず)が収容されている。両コネクタハウジング101,104が未嵌合又は嵌合途中の状態では、スライダ103が保持片108により図12に示す短絡位置にロックされ、ショート端子102が隔壁105の切欠部106において雄端子金具107に接触して短絡状態となっている。そして、両コネクタハウジング101,104が正規嵌合状態に至ると、スライダ103のロックが解除され、圧縮コイルバネの弾力によりスライダ103が図13に示す短絡解除位置へ移動し、ショート端子102が切欠部106から外れて雄端子金具107と非接触となり、短絡が解除されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記コネクタにおいて、雄端子金具107は、コネクタハウジング101に対してその後方(図12における左方)からキャビティ109内に挿入される。一方、スライダ103とショート端子102は、予め組み付けた状態で雄端子金具107と同じく後方からコネクタハウジング101内に挿入することによって組み付けられる。また、このショート端子102の組付け時の移動経路とキャビティ109とは短絡用の切欠部106が形成されている隔壁105によって仕切られており、ショート端子102は、弾性撓みしつつこの隔壁105に対して摺接しつつ組み付けられる。
【0004】上記コネクタでは、隔壁105がスライダ103の移動方向と平行な平坦状をなしているため、組付け時のショート端子102の弾性撓み量はほぼ一定であるが、雄端子金具107の形状によっては、隔壁105が平坦にならない場合が考えられる。例えば、雄端子金具107の後端部の電線接続部107Aの上面の高さが前端部の上面よりも高い場合には、隔壁105のうちの電線接続部107Aと対応する後端部分が高くなるのである。
【0005】このような構造では、ショート端子102の組付けの際に、隔壁105の後端の高い部分を通過するときにショート端子102の弾性撓み量が過剰に大きくなって応力も増大するという問題がある。尚、応力低減の手段として、ショート端子102の移動領域の上下寸法を大きくし、後端の高い部分を乗り越えるときのショート端子102の弾性歪みを小さく抑えることが考えられる。しかしながら、そうすると、コネクタハウジング101全体として嵩高になるという新たな問題が生じることになる。また、別の問題としては、短絡位置のショート端子102が切欠部106から外れて隔壁105に沿いつつ短絡解除位置側へ移動するときには、ショート端子102が隔壁105に乗り上がるようになるので、ショート端子102の撓み量が増大し、ショート端子102が短絡解除位置に長時間位置することに起因するヘタリの発生が懸念される。
【0006】本願発明は上記事情に鑑みて創案され、組付け時におけるショート端子の弾性撓み量の増大を回避可能とすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、複数の端子金具が挿入されたコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに組み付けられるとともにその組付け時の移動経路上における短絡位置と短絡解除位置との間での移動を可能とされたショート端子とを備え、前記ショート端子が前記短絡位置にあるときには、そのショート端子が前記端子金具と接触することでこれらの端子金具を短絡状態とし、前記短絡解除位置にあるときには、前記ショート端子が前記端子金具から離間してこれらの端子金具の短絡を解除するようになっているコネクタにおいて、前記ショート端子の挿入経路が、前記端子金具の挿入方向に対し、挿入方向手前側ほど前記ショート端子が前記端子金具から離間するような斜め方向とされている構成とした。
【0008】請求項2の発明は、隔壁で仕切られた端子金具挿入空間とショート端子移動空間とを有するコネクタハウジングと、前記端子金具挿入空間に挿入される複数の端子金具と、前記ショート端子移動空間内に短絡位置と短絡解除位置との間での移動を可能に取り付けられたショート端子とを備え、前記ショート端子が前記短絡位置にあるときには、そのショート端子が前記隔壁に形成した切欠部において前記端子金具と接触することでこれらの端子金具を短絡状態とし、前記ショート端子が前記端子金具から離間して前記隔壁に沿いつつ前記短絡位置から前記短絡解除位置へ移動すると前記端子金具の短絡が解除されるようになっているコネクタにおいて、前記ショート端子の移動経路が、前記端子金具の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ前記短絡位置から前記短絡解除位置へ向かって前記ショート端子が前記端子金具から離間する形態とされている構成とした。
【0009】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記コネクタハウジングが合成樹脂製とされているとともに、前記ショート端子が合成樹脂製のスライダに一体移動可能に取り付けられており、前記コネクタハウジングに対して前記スライダを摺接させることで前記ショート端子の移動が行われるようにした構成とした。請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明において、前記短絡位置にある前記ショート端子の前記短絡解除位置側への移動を規制可能であり、且つ相手側コネクタハウジングが前記コネクタハウジングと正規嵌合するのに伴って移動規制が解除される保持手段と、前記ショート端子を前記短絡位置から前記短絡解除位置側へ付勢する付勢手段とを備えている構成とした。
【0010】請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記付勢手段は、嵌合途上にある前記相手側コネクタハウジングで弾性撓みさせられることによりその相手側コネクタハウジングに対する離脱方向への付勢力を蓄勢する構成とした。
【0011】
【発明の作用及び効果】[請求項1の発明]ショート端子を組付ける際に、組付けの当初はショート端子が端子金具から比較的遠い位置にある。したがって、ショート端子の組付け時の移動経路において、例えば、端子金具挿入空間とショート端子移動空間との間の隔壁にショート端子移動空間側へ突出する部分があっても、その突出部分を乗り越えるときのショート端子の弾性撓み量が小さくて済む。
【0012】[請求項2の発明]短絡位置のショート端子が切欠部から外れて隔壁に沿いつつ短絡解除位置側へ移動するときには、ショート端子が隔壁に乗り上がるようになるので、ショート端子の撓み量は一時的に大きくなる。しかし、ショート端子の移動経路が、端子金具の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ短絡位置から短絡解除位置へ向かってショート端子が端子金具から離間する形態とされているので、ショート端子が短絡解除位置へ移動するのに伴ってショート端子の弾性撓み量が小さくなっていく。したがって、短絡解除位置に長時間位置していてもショート端子がヘタリを生じる虞はない。
[請求項3の発明]ショート端子の移動は、スライダとコネクタハウジングとの間の合成樹脂製部品同士の摺動を伴って行われるので、移動が円滑に行われる。
【0013】[請求項4の発明]相手側コネクタハウジングが未嵌合又は半嵌合の状態ではショート端子は保持手段により短絡位置に保持され、相手側コネクタハウジングが正規嵌合すると、保持手段による移動規制が解除されてショート端子が付勢手段の付勢により短絡解除位置へ移動する。したがって、手動によるショート端子の移動操作を不要である。
[請求項5の発明]相手側コネクタハウジングの嵌合動作を半嵌合状態で止めてしまった場合には、付勢手段に蓄勢された付勢力により離脱方向へ強制的に変位させられるので、半嵌合を防止できる。ショート端子を短絡位置側から短絡解除位置側へ付勢するための付勢部材に半嵌合防止の機能を兼備させたので、部品点数の削減を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】[実施形態1]以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図10を参照して説明する。本実施形態のコネクタは、雄端子金具13、スライダ20及びショート端子35を備えた雄側コネクタハウジング10と、雌端子金具42を備えた雌側コネクタハウジング40とからなり、この両コネクタハウジング10,40は互いに嵌合・離脱を可能とされている。尚、本実施形態における方向の説明では、嵌合時に各コネクタハウジング10,40における相手側のコネクタハウジング40,10と対向する面を前面とし、上下方向については図1〜図5、7、8、10、11を基準とする。
【0015】[雌側コネクタハウジング40及び雌端子金具42]まず、雌側コネクタハウジング40(本発明の構成要件である他方のコネクタハウジング)について説明すると、雌側コネクタハウジング40内には複数のキャビティ41が左右に整列して形成され、各キャビティ41には雌端子金具42が挿入されている。雌側コネクタハウジング40の上面における幅方向(左右方向)中央には、両コネクタハウジング10,40の嵌合方向(以下、単に嵌合方向という)と直交する方向に対して少し傾斜したロック用係止面43が形成されている。このロック用係止面43を挟む左右両側には嵌合方向と平行なリブ状の一対の押込部44が形成されている。また、雌側コネクタハウジング40の上面における前端縁は、前下がりとなったガイド斜面45となっている。
【0016】[雄側コネクタハウジング10及び雄端子金具13]次に、雄側コネクタハウジング10(本発明の構成要件である一方のコネクタハウジング)について説明する。雄側コネクタハウジング10は合成樹脂製であり、その前半下半分領域は、その前面に開口する嵌合凹部11となっており、ここに雌側コネクタハウジング40が収容される。また、嵌合凹部11の後方には、嵌合凹部11よりも高さの低い複数のキャビティ12(本発明の構成要件である端子金具挿入空間)が横に並列して形成され、各キャビティ12に雌端子金具42と接続可能な雄端子金具13が挿入されている。
【0017】雄側コネクタハウジング10内における幅方向中央位置には、収容空間14と嵌合凹部11との境界に沿って前方へ片持ち状に延出するロックアーム17が形成されている。このロックアーム17は、常には図1111に示すロック姿勢にあるが、外力が付与されるとロック姿勢よりも上方の図10に示すロック解除姿勢へ弾性的に傾動変位することが可能となっている。ロックアーム17の前端には、雌側コネクタハウジング40のロック用係止面43に係止されるロック用突起17Aが下向きに突出形成されている。ロック用突起17Aとロック用係止面43との係止により両コネクタハウジング10,40が離脱規制状態にロックされる。
【0018】[スライダ20及びショート端子35の収容構造]雄側コネクタハウジング10のうち嵌合凹部11及びキャビティ12よりも上方の領域は、雄側コネクタハウジング10の後面及び上面の後半分領域に開口された収容空間14とされている。この収容空間14にはスライダ20とショート端子35が収容されるようになっている。収容空間14の前端においては、雌側コネクタハウジング40の押込部44を収容空間14内へ受け入れるための左右一対の逃がし溝16が形成されている。収容空間14の下面の前半領域は嵌合凹部11に連通され、後半領域はキャビティ12との間がその隔壁18で隔絶されている。隔壁18のうちその雄端子金具13の挿入方向における先方側(キャビティ12の奥端側)部分は低背部18Aとされ、後方側(キャビティ12の入り口側)部分は嵩高部18Bとなっている。これは、雄端子金具13の後端部の電線圧着部13Aだけが他の部分よりも高くなっているからである。また、収容空間14のうち隔壁18と対応する領域は、コネクタハウジング10の後端面に開口するショート端子移動空間14Aとされている。
【0019】収容空間14の左右側壁14Bには、前後方向に延びると共に後端部にストッパ15Aの形成されたガイド溝15が形成されている。ガイド溝15は、図5R>5に示すように、その上面15Bが水平方向(キャビティ12に対する雄端子金具13の挿入方向)と平行をなしているが、下面は、雄端子金具13の挿入方向に対して前下がりに傾斜した平坦状傾斜面15Cとされている。この平坦状傾斜面15Cの傾斜方向は、雄端子金具13の挿入方向を基準とすると、挿入方向手前側(後側)ほどキャビティ12内の雄端子金具13から上方へ離間する向きである。また、収容空間14の天井面における幅方向中央には平坦状傾斜面15Cと平行な傾斜リブ15Eが形成されている。この傾斜リブ15Eと平坦状傾斜面15Cとは、スライダ20を雄端子金具13の挿入方向に対して前下がりに傾斜した方向へ移動し得るようにガイドする。尚、ストッパ15Aの後側には、コネクタハウジング10の後端面に連なる外広がりのテーパ状をなす誘導斜面15Dが形成されている。
【0020】[スライダ20]次に、スライダ20について説明する。スライダ20は、合成樹脂製であり、ロックアーム17のロック姿勢とロック解除姿勢との間の変位動作を規制・許容するのに加え、ロックアーム17を強制的にロック解除姿勢へ変位させる機能を有する。スライダ20は、その左右両側面に一対の被ガイドリブ27を有するとともに、上面における幅方向中央に被ガイド斜面28を有している。被ガイドリブ27の下面と被ガイド斜面28とは互いに平行であり、スライダ20の上面に対して前下がり状に傾斜している。かかるスライダ20は、その被ガイドリブ27の下面をコネクタハウジング10の平坦状傾斜面15Cに摺接させるととも被ガイド斜面28を傾斜リブ15Eに摺接させることにより、コネクタハウジング10に対して一定の姿勢を保ちつつ且つ雄端子金具13の挿入方向に対して前下がりに傾斜した直線経路に沿って平行移動し得るようになっている。
【0021】被ガイドリブ27がストッパ15Aに当接してスライダ20がそれ以上の後方移動を規制された位置(図11に示す)は変位規制位置とされている。この変位規制位置では、スライダ20の前端部下面の変位規制面21がロック姿勢のロックアーム17の上面に当接し、てロックアーム17のロック解除方向(上方向)への変位を規制する。また、スライダ20の前端が収容空間14の前面壁14Fに当接して前止まり状態とされた位置(図2、10に示す)は変位許容位置とされている。この変位許容位置では、変位規制面21よりも後方の撓み空間22がロックアーム17の上方に対応するので、ロックアーム17はこの撓み空間22内に進出しつつロック解除姿勢へ変位することが可能となっている。
【0022】尚、撓み空間22の前端には、変位規制面21の後端と連なる後退規制面23が形成され、スライダ20が変位許容位置にあって、ロックアーム17がロック解除姿勢に変位している状態では、後退規制面23がロックアーム17の前端面に当接することで、スライダ20の変位規制位置側(後方)への移動が阻止される(図2を参照)。
[付勢手段]また、スライダ20における撓み空間22の左右両側には一対のバネ室25が形成されており、ここに軸線を前後方向(雄端子金具13の挿入方向と平行な方向)に向けた圧縮コイルバネ26(本発明の構成要件である付勢手段)が収容されている。バネ室25の前面壁には、雌側コネクタハウジング40の押込部44の上前端部をバネ室25内に進入させるための受入溝29が形成されている。
【0023】スライダ20の下面には、前方(嵌合途上にある雌側コネクタハウジング40に向かう方向)へ片持ち状に延出する左右一対の弾性保持片30(本発明の構成要件である保持手段)が形成されている。この弾性保持片30は上方への弾性変位を可能とされ、スライダ20が変位許容位置にあるときには、弾性保持片30が嵌合凹部11の後端面上縁の受け部32に係止することにより、スライダ20の変位規制位置側への遊動が規制される。
【0024】さらに、弾性保持片30の前端部の下面には被押し上げ斜面33が形成されており、両コネクタハウジング10,40が正規嵌合状態に至るのとほぼ同時に、被押し上げ斜面33が雌側コネクタハウジング40のガイド斜面45に当接して、弾性保持片30がガイド斜面45に乗り上がりつつ受け部32から解離し、もって弾性保持片30によるスライダ20の保持機能が解除される。
[半嵌合防止手段]上記スライダ20の圧縮コイルバネ26は、雌側コネクタハウジング40の押込部44と協動することで半嵌合防止手段としても機能する。両コネクタハウジング10,40を嵌合する途中では、変位許容位置にあるスライダ20のバネ室25内に押込部44の前端が進入し、嵌合動作が進むのに伴って圧縮コイルバネ26を弾縮させるようになっている。即ち、圧縮コイルバネ26は、嵌合途上にある雌側コネクタハウジング40で弾性撓みさせられることによりその雌側コネクタハウジング40に対する離脱方向(嵌合凹部11外へ押し出す方向)への付勢力を蓄勢するようになっている。
【0025】[ショート端子35]スライダ20の下面後部には、導電性を有する板材からなるショート端子35の基端部35Aが一体移動可能に取り付けられており、スライダ20が変位許容位置にあるときにはショート端子35は短絡位置となり、スライダ20が変位規制位置にあるときにはショート端子35は短絡解除位置となる。ショート端子35には、基端部35Aの後端縁から折り返し状に延出する複数の弾性接触片35Bが各キャビティ12に対応して形成され、各弾性接触片35Bの延出端が雄端子金具13との接触部35Cとなっている。スライダ20が変位許容位置にあるときには、ショート端子35の接触部35Cがキャビティ12の隔壁18の切欠部36を介して雄端子金具13の上面に弾接した状態となり(図2、10を参照)、この状態では、雄端子金具13同士がショート端子35を介して短絡状態となる。
【0026】また、スライダ20が変位規制位置に移動するのに伴い、接触部35Cは切欠部36から外れてキャビティ12の隔壁18のうち高さの低背部18A上を摺接するようになり(図11を参照)、この状態では各雄端子金具13の短絡が解除される。尚、スライダ20が最も後方の変位規制位置にある状態においても、ショート端子35の接触部35Cは隔壁18の嵩高部18Bには至らない。
[スライダ20及びショート端子35の組付け]上記構成になるスライダ20とショート端子35は、予め組み付けた状態でコネクタハウジング10に組み付けられる。組付けに際しては、スライダ20をコネクタハウジング10の後方に位置させて被ガイドリブ27の前端をガイド溝15の誘導斜面15Dに宛い、その状態からスライダ20を斜め下向きに押し込む。すると、被ガイドリブ27の前端部が、コネクタハウジングの側壁14Bの後端部を僅かに外側へ撓ませつつ被ガイドリブ27を通過し、その後、側壁14Bが外側へ撓まされていない中央部分及び前端側部分においてガイド溝15に嵌合する。後は、被ガイドリブ27の下面が平坦状傾斜面15Cに摺接するとともに被ガイド斜面28が傾斜リブ15Eに摺接することにより、スライダ20がコネクタハウジング10に対して一定の姿勢を保ちつつ且つ雄端子金具13の挿入方向に対して前下がりに傾斜した直線経路に沿って平行移動する。
【0027】尚、被ガイドリブ27がストッパ15Aから外れた後は側壁14Bが内側へ弾性復帰し、被ガイドリブ27の後端がストッパ15Aに係止してスライダ20の抜け規制が実現されるようになる。ストッパ15Aを通過したスライダ20は、変位規制位置を経た後に変位許容位置に至り、弾性保持片30が受け部32に係止し、もってスライダ20が変位許容位置に保持される。以上により、スライダ20とショート端子35の組付けが完了する。
【0028】上記組付けに際してショート端子35が移動するショート端子移動空間14Aの下方には、キャビティ12との間の隔壁18のうち後側の嵩高部18Bが存在している。この嵩高部18Bの高さは、ショート端子35が短絡位置と短絡解除位置との間で変位する間に接触部35Cが当接する雄端子金具13の上面及び隔壁18の低背部18Aよりも高い位置となっている。したがって、組付けの際には、ショート端子35の接触部35Cが嵩高部18Bを通過することになる。
【0029】ここで、もし、ショート端子35の組付け方向が雄端子金具13の挿入方向と平行である場合には、折返し状の弾性接触片35Bを短絡位置と短絡解除位置との間で移動する際の通常の撓み量よりも大きく撓ませつつ嵩高部18Bを乗り越えさせる必要がある。しかしながら、本実施形態では、ショート端子35の組付け時の移動方向が、雄端子金具13の挿入方向に対して前下がりに傾斜した方向となっているので、弾性接触片35Bが嵩高部18Bと対応する組付け当初ではショート端子35全体が比較的上方に位置することになる。したがって、ショート端子35が嵩高部18Bを通過するときの嵩高部18Bから基端部35Aまでの上下方向の寸法は、組付けが完了してショート端子35が短絡位置又は短絡解除位置にあるときの低背部18Aから基端部35Aまでの寸法とそれほど変わりはない。よって、嵩高部18Bを通過するときの弾性接触片35Bの弾性撓み量が過剰に大きくならずに済むのである。
【0030】[両コネクタハウジング10,40の嵌合動作]両コネクタハウジング10,40を嵌合する際には、まず、雄側コネクタハウジング10においてスライダ20を変位許容位置(ショート端子35は短絡位置)に保持しておく(図2を参照)。この状態で雌側コネクタハウジング40を嵌合凹部11に嵌入すると、ロックアーム17が雌側コネクタハウジング40の上面に乗り上がりつつロック解除姿勢に変位する(図10を参照)とともに、押込部44が圧縮コイルバネ26を弾縮する(図示せず)ことで雌側コネクタハウジング40に対して嵌合凹部11からの離脱力が付与される。
【0031】したがって、嵌合途中で操作を中段すると、圧縮コイルバネ26の付勢により雌側コネクタハウジング40が嵌合凹部11外へ押し出されるので、両コネクタハウジング10,40が半嵌合状態のままになることが防止される。さて、両コネクタハウジング10,40が正規嵌合状態に至ると、ロックアーム17がロック姿勢へ弾性復帰して雌側コネクタハウジング40のロック用係止面43に係止し、もって、両コネクタハウジング10,40が離脱規制状態にロックされる(図11を参照)。また、このロック動作とともに、弾性保持片30が雌側コネクタハウジング40のガイド斜面45に乗り上がりつつ弾性変位して受け部32から解離し、弾性保持片30によるスライダ20の後退規制が解除される。
【0032】弾性保持片30が受け部32から外れると、スライダ20が圧縮コイルバネ26の付勢により、変位許容位置から変位規制位置へと後退移動する(図11R>1を参照)。スライダ20が変位規制位置に移動すると、変位規制面21がロックアーム17の上面に対して上から押さえ込むように当接するので、ロックアーム17のロック解除姿勢側への上方変位が規制され、ロック用突起17Aとロック用係止面43との係止状態が確保される。以上により、両コネクタハウジング10,40が正規嵌合状態にロックされ、嵌合動作が完了する。
【0033】さて、スライダ20が変位規制位置へ移動するのに伴い、ショート端子35は短絡解除位置へ移動するが、この移動にともなってショート端子35は上方へも変位する。即ち、基端部35Aが隔壁18から離間するようになるので、弾性接触片35Bの弾性撓み量が減少する。したがって、この短絡解除位置の状態が長期間継続されても、弾性接触片35Bがヘタリを生じ難くなっている。[両コネクタハウジング10,40の離脱動作]この嵌合ロック状態から両コネクタハウジング10,40を離脱させる際には、変位規制位置にあるスライダ20を圧縮コイルバネ26の付勢に抗して前方へ移動させ、変位許容位置に至らしめる。すると、変位規制面21によるロックアーム17の変位規制が解除されるので、ロックアーム17が圧縮コイルバネ26の弾力によりロック用係止面43の傾斜にしたがって上方へ滑り変位し、ロックアーム17とロック用係止面43とのロックが解除され、圧縮コイルバネ26の弾性復元力によって雌側コネクタハウジング40が嵌合凹部11の外へ押し出される。
【0034】そして、雌側ハウジングコネクタ40が押し出されると、弾性保持片30が受け部32に係止し、スライダ20が変位許容位置に保持される。また、ショート端子35は、低背部18Aから外れて切欠部36に至り、雄端子金具13の上面に弾性接触して短絡状態とするのである。
[実施形態の効果]
【0035】
【0036】
【0037】[他の実施形態]本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態ではショート端子が短絡解除位置にあるときも隔壁に弾接するようにしたが、本発明によれば、短絡解除位置ではショート端子が隔壁と非接触となるようにしてもよい。
【0038】(2)上記実施形態ではショート端子の組付け時の移動経路の途中で隔壁の一部が高くなっていてそこを乗り越えるときのショート端子の弾性撓み量の低減が図られるようにしたが、本発明は、隔壁を乗り越える場合に限らず、ショート端子の移動空間内に臨む隔壁以外の部位を乗り越えるときのショート端子の弾性撓み量の低減を図る場合にも適用することができる。
(3)上記実施形態ではショート端子が側方から視てU字形をなす場合について説明したが、本発明は、ショート端子がU字形以外の形状のものである場合にも適用することができる。
【0039】(4)上記実施形態では付勢手段に相手側コネクタハウジングの半嵌合防止機能を兼備させたが、本発明によれば、半嵌合機能を有しない構造とすることもできる。
(5)上記実施形態では相手側コネクタハウジングが正規嵌合するとショート端子が短絡位置から短絡解除位置へ自動的に移動するようにしたが、本発明によれば、相手側コネクタハウジングの嵌合動作とは連動させずにショート端子を移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における雌側コネクタハウジングの断面図
【図2】雄側コネクタハウジングの断面図
【図3】雄側コネクタハウジングの正面図
【図4】図2のX−X線断面図
【図5】ショート端子を外した状態の雄側コネクタハウジングの断面図
【図6】図5のY−Y線断面図
【図7】スライダの正面図
【図8】ショート端子を取り付けた状態のスライダの側面図
【図9】スライダの平面図
【図10】両コネクタハウジングの嵌合途中の状態を示す断面図
【図11】両コネクタハウジングの嵌合が完了した状態を示す断面図
【図12】従来例において両コネクタハウジングの嵌合前の状態を示す断面図
【図13】従来例において両コネクタハウジングを嵌合した状態を示す断面図
【符号の説明】
10…コネクタハウジング
12…キャビティ(端子金具挿入空間)
13…雄端子金具(端子金具)
14A…ショート端子移動空間
18…隔壁
20…スライダ
26…圧縮コイルバネ(付勢手段)
30…弾性保持片(保持手段)
35…ショート端子
36…切欠部
40…相手側コネクタハウジング
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の端子金具が挿入されたコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに組み付けられるとともにその組付け時の移動経路上における短絡位置と短絡解除位置との間での移動を可能とされたショート端子とを備え、前記ショート端子が前記短絡位置にあるときには、そのショート端子が前記端子金具と接触することでこれらの端子金具を短絡状態とし、前記短絡解除位置にあるときには、前記ショート端子が前記端子金具から離間してこれらの端子金具の短絡を解除するようになっているコネクタにおいて、前記ショート端子の挿入経路が、前記端子金具の挿入方向に対し、挿入方向手前側ほど前記ショート端子が前記端子金具から離間するような斜め方向とされていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】 隔壁で仕切られた端子金具挿入空間とショート端子移動空間とを有するコネクタハウジングと、前記端子金具挿入空間に挿入される複数の端子金具と、前記ショート端子移動空間内に短絡位置と短絡解除位置との間での移動を可能に取り付けられたショート端子とを備え、前記ショート端子が前記短絡位置にあるときには、そのショート端子が前記隔壁に形成した切欠部において前記端子金具と接触することでこれらの端子金具を短絡状態とし、前記ショート端子が前記端子金具から離間して前記隔壁に沿いつつ前記短絡位置から前記短絡解除位置へ移動すると前記端子金具の短絡が解除されるようになっているコネクタにおいて、前記ショート端子の移動経路が、前記端子金具の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ前記短絡位置から前記短絡解除位置へ向かって前記ショート端子が前記端子金具から離間する形態とされていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】 前記コネクタハウジングが合成樹脂製とされているとともに、前記ショート端子が合成樹脂製のスライダに一体移動可能に取り付けられており、前記コネクタハウジングに対して前記スライダを摺接させることで前記ショート端子の移動が行われるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】 前記短絡位置にある前記ショート端子の前記短絡解除位置側への移動を規制可能であり、且つ相手側コネクタハウジングが前記コネクタハウジングと正規嵌合するのに伴って移動規制が解除される保持手段と、前記ショート端子を前記短絡位置から前記短絡解除位置側へ付勢する付勢手段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】 前記付勢手段は、嵌合途上にある前記相手側コネクタハウジングで弾性撓みさせられることによりその相手側コネクタハウジングに対する離脱方向への付勢力を蓄勢する構成とされていることを特徴とする請求項4記載のコネクタ。
【請求項1】 複数の端子金具が挿入されたコネクタハウジングと、このコネクタハウジングに組み付けられるとともにその組付け時の移動経路上における短絡位置と短絡解除位置との間での移動を可能とされたショート端子とを備え、前記ショート端子が前記短絡位置にあるときには、そのショート端子が前記端子金具と接触することでこれらの端子金具を短絡状態とし、前記短絡解除位置にあるときには、前記ショート端子が前記端子金具から離間してこれらの端子金具の短絡を解除するようになっているコネクタにおいて、前記ショート端子の挿入経路が、前記端子金具の挿入方向に対し、挿入方向手前側ほど前記ショート端子が前記端子金具から離間するような斜め方向とされていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】 隔壁で仕切られた端子金具挿入空間とショート端子移動空間とを有するコネクタハウジングと、前記端子金具挿入空間に挿入される複数の端子金具と、前記ショート端子移動空間内に短絡位置と短絡解除位置との間での移動を可能に取り付けられたショート端子とを備え、前記ショート端子が前記短絡位置にあるときには、そのショート端子が前記隔壁に形成した切欠部において前記端子金具と接触することでこれらの端子金具を短絡状態とし、前記ショート端子が前記端子金具から離間して前記隔壁に沿いつつ前記短絡位置から前記短絡解除位置へ移動すると前記端子金具の短絡が解除されるようになっているコネクタにおいて、前記ショート端子の移動経路が、前記端子金具の挿入方向に対して斜め方向であり、且つ前記短絡位置から前記短絡解除位置へ向かって前記ショート端子が前記端子金具から離間する形態とされていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】 前記コネクタハウジングが合成樹脂製とされているとともに、前記ショート端子が合成樹脂製のスライダに一体移動可能に取り付けられており、前記コネクタハウジングに対して前記スライダを摺接させることで前記ショート端子の移動が行われるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】 前記短絡位置にある前記ショート端子の前記短絡解除位置側への移動を規制可能であり、且つ相手側コネクタハウジングが前記コネクタハウジングと正規嵌合するのに伴って移動規制が解除される保持手段と、前記ショート端子を前記短絡位置から前記短絡解除位置側へ付勢する付勢手段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】 前記付勢手段は、嵌合途上にある前記相手側コネクタハウジングで弾性撓みさせられることによりその相手側コネクタハウジングに対する離脱方向への付勢力を蓄勢する構成とされていることを特徴とする請求項4記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【特許番号】特許第3476071号(P3476071)
【登録日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【発行日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−354102
【出願日】平成11年12月14日(1999.12.14)
【公開番号】特開2001−176614(P2001−176614A)
【公開日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【審査請求日】平成14年3月22日(2002.3.22)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【参考文献】
【文献】特開 平10−321297(JP,A)
【文献】特開 平11−111390(JP,A)
【文献】実開 平3−32377(JP,U)
【登録日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【発行日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年12月14日(1999.12.14)
【公開番号】特開2001−176614(P2001−176614A)
【公開日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【審査請求日】平成14年3月22日(2002.3.22)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【参考文献】
【文献】特開 平10−321297(JP,A)
【文献】特開 平11−111390(JP,A)
【文献】実開 平3−32377(JP,U)
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