説明

コハク酸生産経路の工学処理

本発明は、再生可能な生物学的供給原料からコハク酸及び/又は他の産物を効率的に生産するための生物触媒に関する。その生物触媒は、遺伝的操作及び代謝進化の両者の結果として、糖質供給原料からの、成長とカップリングしたコハク酸及び/又は他の産物の生産について非常に高い効率を有する。さらに具体的には、本発明のある種の生物触媒は、外因性遺伝物質の添加なしに、pHコントロールされた単純なバッチ発酵の間に無機塩培地において高い力価及び収量でコハク酸を生産する。本発明の遺伝的操作は、コハク酸生産経路以外の代替NADH酸化経路の排除とカップリングしたエネルギー保存戦略に関する。その生物触媒は、遺伝的改変によって抑制解除されたグルコース抑制型糖新生性ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(pck)及び遺伝的に不活性化されたホスホトランスフェラーゼ系を有する。コハク酸生産の効率の点から見て、本発明の生物触媒は、Actinobacillus succinogens及びMannheimia succiniproducensなどのコハク酸生産ルーメン細菌と機能的に等価であるが、ルーメン細菌によるコハク酸生産のために肥沃な培地が必要なこととは対照的に、その生物触媒は、糖質を有する最少塩培地中でこの高レベルのコハク酸生産を達成可能であるという一つの違いがある。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
増加したレベルのホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(pck)遺伝子転写物を含む細菌細胞であって、該転写物が活性ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PCK)をコードし、該細胞が増加したPCK活性を示す、細菌細胞。
【請求項2】
非反芻動物性細菌細胞である、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項3】
細菌が、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、グルコノバクター・アサイ(Gluconobacter asaii)、アクロモバクター・デルマーベ(Achromobacter delmarvae)、アクロモバクター・ビスコーサス(Achromobacter viscosus)、アクロモバクター・ラクティカム(Achromobacter lacticum)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アルカリゲネス・フェーカリス(Alcaligenes faecalis)、アルスロバクター・シトレウス(Arthrobacter citreus)、アルスロバクター・ツメッセンス(Arthrobacter tumescens)、アルスロバクター・パラフィネウス(Arthrobacter paraffineus)、アルスロバクター・ヒドロカーボグルタミカス(Arthrobacter hydrocarboglutamicus)、アルスロバクター・オキシダンス(Arthrobacter oxydans)、オーレオバクテリウム・サペルダエ(Aureobacterium saperdae)、アゾトバクター・インディカス(Azotobacter indicus)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)、ディバリカタム(divaricatum)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・グロボサム(Brevibacterium globosum)、ブレビバクテリウム・フスカム(Brevibacterium fuscum)、ブレビバクテリウム・ケトグルタミカム(Brevibacterium ketoglutamicum)、ブレビバクテリウム・ヘルコルム(Brevibacterium helcolum)、ブレビバクテリウム・プシルム(Brevibacterium pusillum)、ブレビバクテリウム・テスタセウム(Brevibacterium testaceum)、ブレビバクテリウム・ロゼウム(Brevibacterium roseum)、ブレビバクテリウム・インマリオフィリウム(Brevibacterium immariophilium)、ブレビバクテリウム・リネンス(Brevibacterium linens)、ブレビバクテリウム・プロトファルミエ(Brevibacterium protopharmiae)、コリネバクテリウム・アセトフィラム(Corynebacterium acetophilum)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・カルナエ(Corynebacterium callunae)、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム(Corynebacterium acetoacidophilum)、コリネバクテリウム・アセトグルタミカム(Corynebacterium acetoglutamicum)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エルビニア・アミロボーラ(Erwinia amylovora)、エルビニア・カルトボーラ(Erwinia carotovora)、エルビニア・ヘルビコーラ(Erwinia herbicola)、エルビニア・クリザンセミ(Erwinia chrysanthemi)、フラボバクテリウム・ペレグリナム(Flavobacterium peregrinum)、フラボバクテリウム・フカタム(Flavobacterium fucatum)、フラボバクテリウム・アウランティナム(Flavobacterium aurantinum)、フラボバクテリウム・レナヌム(Flavobacterium rhenanum)、フラボバクテリウム・セワネンセ(Flavobacterium sewanense)、フラボバクテリウム・ブレベ(Flavobacterium breve)、フラボバクテリウム・メニンゴセプティカム(Flavobacterium meningosepticum)、ミクロコッカス(Micrococcus)種CCM825、モルガネラ・モルガニ(Morganella morganii)、ノカルディア・オパカ(Nocardia opaca)、ノカルディア・ルゴーサ(Nocardia rugosa)、プラノコッカス・ユーシナタス(Planococcus eucinatus)、プロテウス・レットゲリ(Proteus rettgeri)、プロピオニバクテリウム・シャーマニ(Propionibacterium shermanii)、シュードモナス・シンキサンタ(Pseudomonas synxantha)、シュードモナス・アゾトフォルマンス(Pseudomonas azotoformans)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・オバリス(Pseudomonas ovalis)、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、シュードモナス・アシドボランス(Pseudomonas acidovolans)、シュードモナス・ムシドレンス(Pseudomonas mucidolens)、シュードモナス・テルトステロニ(Pseudomonas testosteroni)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)、ロドコッカス(Rhodococcus)種ATCC15592、ロドコッカス(Rhodococcus)種ATCC19070、スポロサルシナ・ウレア(Sporosarcina ureae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ビブリオ・メッシュニコビ(Vibrio metschnikovii)、ビブリオ・チロゲネス(Vibrio tyrogenes)、アクチノマドゥラ・マドゥラ(Actinomadura madurae)、アクチノマイセス・ビオラセオクロモゲネス(Actinomyces violaceochromogenes)、キタサトスポリア・パルロサ(Kitasatosporia parulosa)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・フラベラス(Streptomyces flavelus)、ストレプトマイセス・グリセオラス(Streptomyces griseolus)、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)、ストレプトマイセス・オリバセウス(Streptomyces olivaceus)、ストレプトマイセス・タナシエンシス(Streptomyces tanashiensis)、ストレプトマイセス・バージニエ(Streptomyces virginiae)、ストレプトマイセス・アンチビオティカス(Streptomyces antibioticus)、ストレプトマイセス・カカオイ(Streptomyces cacaoi)、ストレプトマイセス・ラベンデュレ(Streptomyces lavendulae)、ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)、アエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・チアミノリティカス(Bacillus thiaminolyticus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリキファシエンス(Bacillus amyloliquifaciens)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、エシェリキア・フロインディ(Escherichia freundii)、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム(Microbacterium ammoniaphilum)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、サルモネア・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、サルモネラ・ショットムレリ(Salmonella schottmulleri)、またはキサントモナス・シトリ(Xanthomonas citri)である、請求項1記載の細菌株。
【請求項4】
前記増加したレベルのpck転写物が、pck遺伝子のネイティブな調節配列から、pckの転写を増加させる変更された調節配列への置換に起因する、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項5】
前記調節配列が、前記pck遺伝子のプロモーター領域中にある、請求項4記載の細菌細胞。
【請求項6】
前記増加したレベルの前記pck転写物が、pck遺伝子のプロモーター領域中の1または複数の突然変異に起因する、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項7】
前記1または複数の突然変異が、pck遺伝子開始コドン上流の68位でのヌクレオチドAからヌクレオチドGへの置換を含む点突然変異である、請求項6記載の細菌細胞。
【請求項8】
増加したレベルの前記pck転写物が、ネイティブなプロモーター配列から外因性プロモーター配列への置換に起因する、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項9】
外因性プロモーターが、構成性プロモーターである、請求項8記載の細菌細胞。
【請求項10】
外因性プロモーターが、誘導性プロモーターである、請求項8記載の細菌細胞。
【請求項11】
誘導性プロモーターが、lacプロモーターである、請求項8記載の細菌細胞。
【請求項12】
PEP依存性ホスホトランスフェラーゼ系の機能を破壊する1または複数の遺伝的改変をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項13】
前記遺伝的改変が、PEP依存性ホスホトランスフェラーゼ系の構造成分をコードする1または複数の遺伝子中にある、請求項12記載の細菌細胞。
【請求項14】
前記遺伝的改変が、PEP依存性ホスホトランスフェラーゼ系の発現をレギュレーションするタンパク質をコードする1または複数の遺伝子中にある、請求項12記載の細菌細胞。
【請求項15】
前記遺伝的改変が、ptsG、ptsH、ptsI、crrおよびcrpから成る群より選択される1または複数の遺伝子中にある、請求項12記載の細菌細胞。
【請求項16】
(a)PEP依存性ホスホトランスフェラーゼ系の機能を破壊する1または複数の遺伝的改変;および(b)糖輸送体をコードする1または複数の遺伝子の発現をアップレギュレーションする1または複数の遺伝的改変をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項17】
前記糖輸送体が、ATP結合カセット輸送体のメンバーである、請求項16記載の細菌細胞。
【請求項18】
前記糖輸送体が、MFS(major facilitator super family)のメンバーである、請求項16記載の細菌細胞。
【請求項19】
発酵経路に関与する1または複数の遺伝子における遺伝子発現の不活性化へと導く遺伝的改変をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項20】
adhE、ldhA、focA、pflA、ack、pta、pdh、mgsA、tdcD、tdcEおよびpoxBから成る群より選択される1または複数の遺伝子における遺伝子発現の不活性化へと導く遺伝的改変をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項21】
(a)PEP依存性ホスホトランスフェラーゼ系の機能を破壊する1または複数の遺伝的改変;および(b)発酵経路に関与する1または複数の遺伝子における突然変異をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項22】
(a)ptsG、ptsH、ptsI、crrおよびcrpから成る群より選択される1または複数の遺伝子における遺伝的改変;ならびに(b)adhE、ldhA、focA、pflA、ack、pta、pdh、mgsA、tdcD、tdcEおよびpoxBから成る群より選択される1または複数の遺伝子における遺伝子発現の不活性化へと導く遺伝的改変をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項23】
TCA回路の作動に関連する1または複数の遺伝子における遺伝的改変をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項24】
mdh、fumA、fumB、fumC、frdABCD、acceAB、acnAB、icd、iclR、aspC、およびscfAから成る群より選択される1または複数の遺伝子における遺伝的改変をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項25】
(a)ptsG、ptsH、ptsI、crrおよびcrpから成る群より選択される1または複数の遺伝子における遺伝的改変;(b)adhE、ldhA、focA、pflA、ack、pta、pdh、mgsA、tdcD、tdcEおよびpoxBから成る群より選択される1または複数の遺伝子における遺伝子発現の不活性化へと導く遺伝的改変;ならびに(c)mdh、fumA、fumB、fumC、frdABCD、acceAB、acnAB、icd、iclR、aspC、およびscfAから成る群より選択される1または複数の遺伝子における遺伝的改変をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項26】
ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、NADH依存性リンゴ酸酵素およびNADPH依存性リンゴ酸酵素から成る群より選択される1または複数の遺伝子における遺伝的改変をさらに含む、請求項1記載の細菌株。
【請求項27】
外因性ピルビン酸カルボキシラーゼをさらに含む、請求項1記載の細菌株。
【請求項28】
ピルビン酸カルボキシラーゼが、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)またはソルガム・ブルガレ(Sorghum vulgare)またはリゾピウム・エトリ(Rhizopium etli)由来である、請求項27記載の細菌株。
【請求項29】
XZ320、XZ332、XZ3431、XZ468、XZ469、XZ470、XZ613、XZ615、XZ616、XZ618、XZ620、XZ647、XZ7121、またはXZ723である、遺伝的に改変された細菌細胞。
【請求項30】
(a)不活性化されたldhA;(b)不活性化されたfocA;(c)不活性化されたpflB;(d)不活性化されたackA;(e)不活性化されたmgsA;(f)不活性化されたadhE;(g)不活性化されたtdcD;(h)不活性化されたtdcE;(i)不活性化されたaspC;(j)不活性化されたsfcA;(k)不活性化されたptsH;(l)不活性化されたcitDおよび(m)アップレギュレーションされたpckを含むエシェリキア・コリ(Escherichia coli)細菌株。
【請求項31】
前記細菌株が、2%〜20%(w/v)のグルコースを含む最小塩培地中でグルコース1molあたり少なくとも0.1molのコハク酸を生産する、請求項29または30記載の細菌細胞。
【請求項32】
(a)請求項1記載の細菌株を培養すること;
(b)炭素源を提供すること;
(c)該細菌に該炭素源を代謝させること;および
(d)コハク酸を単離すること
を含む、コハク酸を生産する方法。
【請求項33】
前記細菌株が、嫌気性条件、好気性条件、微好気性条件またはその組み合わせで培養される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記細菌株が、最少塩成長培地中で培養される、請求項32記載の方法。
【請求項35】
前記最少塩成長培地が、2%〜20%(w/v)の炭素源を含む、請求項32記載の方法。
【請求項36】
前記炭素源が、グルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース(arbinose)、ガラクトース、マンノース、ラムノース、スクロース、セロビオース、ヘミセルロース、グリセロールまたはその組み合わせである、請求項32記載の方法。
【請求項37】
前記培養が、バッチプロセスまたは流加プロセスである、請求項32記載の方法。
【請求項38】
前記培養が、連続プロセスである、請求項32記載の方法。
【請求項39】
gldA遺伝子における突然変異をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項40】
dhaKLMオペロンにおける突然変異をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項41】
(a)gldAにおける突然変異;および(b)dhaKLMオペロンにおける突然変異をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項42】
(a)gldAにおける突然変異;(b)dhaKLMオペロンにおける突然変異;および(c)ホスホトランスフェラーゼ系におけるタンパク質をコードする1または複数の遺伝子における突然変異をさらに含む。請求項1記載の細菌細胞。
【請求項43】
(a)gldAにおける突然変異;(b)dhaKLMオペロンにおける突然変異;(c)ホスホトランスフェラーゼ系におけるタンパク質をコードする1または複数の遺伝子における突然変異;および(d)発酵経路に関与するタンパク質をコードする1または複数の遺伝子における突然変異をさらに含む、請求項1記載の細菌細胞。
【請求項44】
前記pck転写物が内因性pck転写物である、請求項1〜30または39〜43のいずれか一項記載の細菌細胞。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−522515(P2012−522515A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503732(P2012−503732)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/029728
【国際公開番号】WO2010/115067
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(507371168)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド (38)
【Fターム(参考)】