説明

コバラミン分析方法

本発明は、アポTCの少なくとも40倍を超えるホロTC特異性を有するホロTC特異的結合パートナーおよび試料中のホロTCを分析するための分析方法であって、前記試料を、ホロTC特異的結合パートナーと接触させる工程、および、ホロTCおよび前記特異的結合パートナーの合成共役物を検出する工程を含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物試料、特に、哺乳類由来の試料中のホロトランスコバラミン(ホロTC)を分析するための方法、および、この分析で使用するトランスコバラミン(TC)特異的結合パートナー(sbp’s)ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホロTCは、コバラミンとその血清運搬タンパク質であるトランスコバラミンとの複合体である。
【0003】
コバラミンまたはビタミンB12は、食物中に発見されたビタミンB複合体の一部を形成する水溶性ビタミンである。その核となる分子は、コバルト原子を取り囲む4つのピロールユニットのコリン環からなる。コバラミンは、動物により合成することができない唯一のビタミンであって、腸内で食物から吸収しなければならない。コバラミンは、微生物、特に、嫌気性菌および酵母菌により合成される。
【0004】
コバラミンは、ビボでは、補酵素として機能し、コバラミン酵素は、三つの型の反応を触媒する事が知られている。前記反応は、(i)分子内転移、例えば、L−メチルマロニルCoAからのスクシニルCoAの形成、(ii)メチル化、例えば、ホモシステインのメチル化によるメチオニンの形成、および(iii)ある微生物における、リボヌクレオチドのデオキシリボヌクレオチドへの還元の反応である。また、コバラミン欠乏により、サイトカインおよび増殖因子調節を阻害することも考えられている(例えば、非特許文献1および2)。
【0005】
消化の過程では、調理または胃の酸環境により食物中に放出されたコバラミンは、ハプトコリンと呼ばれる唾液タンパク質に捕捉され、複合体を形成する。なお、以下、ハプトコリンは、HCと表す(しかし、当該技術分野では、総称して、R−バインダーまたはトランスコバラミンIおよびIIとも呼ぶこともある)。膵酵素は、回腸中で、前記コバラミン−ハプトコリン複合体、ホロハプトコリン(ホロHC)を消化し、ついで、コバラミンを放出し、そのコバラミンは、胃粘膜から分泌される内因子と呼ばれるタンパク質と結合し、さらなる複合体を形成する。前記コバラミン−内因子複合体は、末端回腸上皮の特異的レセプターと結合すると、すぐに、放出因子により解離され、そして、前記コバラミンは、回腸の膜を通じて能動的に輸送され、血流中に分泌され、その運搬タンパク質であるトランスコバラミン(TC)と結合する。
【0006】
TCは、従来、トランスコバラミンII(TCII)と称されていたと認識すべきである。本願明細書で使用するTC、アポTCおよびホロTCは、それぞれ、TCII、アポ−TCIIおよびホロ−TCIIを意味する
コバラミンは、検出可能な量では、遊離形態で血中を循環しない。約99%のコバラミンは、HC、TCおよびアルブミンのいずれか一つと結合している。
【0007】
目的とする組織にコバラミンを輸送する責任を担うタンパク質が、TCである。TCは、重要なトレースタンパク質であり、それなしでは、コバラミンは細胞膜を通過することができない。この重要な代謝機能にも関わらず、血清中の約6〜25%のコバラミンだけがTCに結合するのであって、多くは、HCにより運ばれる。TCは、主として、血清、精液および脳脊髄液(cerebro-spinal fluid)に見出されている45kDaの単一鎖のポリペプチドである。コバラミン結合TC(ホロTC)は、細胞膜上の特異的レセプターに付着し、いったん結合すると、前記ホロTCの複合体は、飲作用により細胞内に取り込まれる。
【0008】
TCは、肝臓、脈管内皮、腸細胞(enterocyte)、マクロファージおよび繊維芽細胞により合成され、主としてアポTCの形態で、すなわち、結合したコバラミンがない状態で循環する。このものの半減期は、ほぼ90分と短い。
【0009】
ヒトTCのアミノ酸配列は、以下のようであると考えられている。
MRHLGAFLFL LGVLGALTEM CEIPEMDSHL VEKLGQHLLP WMDRLSLEHL NPSIYVGLRL SSLQAGTKED LYLHSLKLGY QQCLLGSAFS EDDGDCQGKP SMGQLALYLL ALRANCEFVR GHKGDRLVSQ LKWFLEDEKR AIGHDHKGHP HTSYYQYGLG ILALCLHQKR VHDSVVDKLL YAVEPFHQGH HSVDTAAMAG LAFTCLKRSN FNPGRRQRIT MAIRTVREEI LKAQTPEGHF GNVYSTPLAL QFLMTSPMG AELGTACLKA RVALLASLQD GAFQNALMIS QLLPVLNHKT YIDLIFPDCL APRVMLEPAA ETIPQTQEII SVTLQVLSLL PPYRQSISVL AGSTVEDVLK KAHELGGFTY ETQASSSGPY LTSVMGKAAG EREFWQLLRD PNTPLLQGIA DYRPKDGETI ELRLVSW(配列番号1)
下線を付した最初から18番目のアミノ酸は、血液中を循環する成熟タンパク質には見出されていないリーダー配列である。加えて、複数の既知の多型がある。259番目のプロリン(前記下線部分)をアルギニンに置換した多型(配列番号2)が、最も一般的で、配列表に示すように十分に等しい。その他に記載されている多型は、M198T、I219L、Q234RおよびS376Lである。
【0010】
コバラミンは食物から吸収しなければならないため、結果として、例えば、胃腸炎または胃萎縮をもたらす状況等の胃機能障害、若しくは、機能性ハプトコリン、内因子、放出因子、TCまたはTCレセプターを生産できなくなるあらゆる健康状態によって、コバラミンの吸収障害および欠乏症となりうる。
【0011】
ある個体群の部分群、例えば、高齢、妊娠した女性、慢性または急性の胃腸疾患を有する患者、自己免疫疾患に苦しむそのような個体、悪性貧血の家族歴を持つ個体およびAIDS患者は、特に、コバラミン欠乏症に陥りやすい。
【0012】
コバラミン欠乏症の臨床症状は、多様でありかつ多数である。しかし、根本的には、貧血、巨赤芽球の造血(haematopoiesis)および神経系統の機能的構造的な疾患に伴って生じる。コバラミン欠乏症と診断された個体の約60%は貧血症であるが、しかし、多くの場合、神経症状が、観測される唯一の臨床症状である。約10%の患者は、精神医学的な症状を示し、かつ、約40%は、神経的および精神医学的の両方の症状を示す。
【0013】
コバラミン欠乏症の早期診断が、患者の予後良好を保証するために重要である。なぜならば、コバラミン欠乏症の徴候、特に、神経精神への影響は、早急に発見し、コバラミン治療により軽減しなければ、回復不能だからである。
【0014】
それゆえ、コバラミン欠乏症にかかる可能性がある個体であるか否かを明らかにするという観点から、適切かつ効果的な方法で、個体のコバラミンレベルを的確に評価することが望まれている。細胞にコバラミンを運搬する責任を担うのは、TCであるため、生体試料のホロTC含有量は、トータルのコバラミン含有量を用いて行うよりも、コバラミン欠乏症のよい指標となる。
【0015】
ホロTCは、低濃度で体液中に存在するため、以前の分析方法では、一般に、完全に満足しているわけではない。血清ホロTCIIのレベルが、正常範囲の下端である患者は、通常、血清ホロTCII濃度が約30×10−12Mであり、固体基質、例えば、シリカ上のTCの物理吸収に基づく慣用的な分析方法では、検出限界が、約40×10−12Mである。それゆえ、このような分析方法は、ホロ−TCIIの評価は相対的にほとんど価値がない(例えば、非特許文献3参照)。
【0016】
特許文献1に、TCIIまたはホロ−TCII特異的結合パートナー(sbp’s)を、ホロ−TCIIの分析方法に使用することが提案され、自動操作およびハイスループット分析ラボラトリーの要件をより簡単に適合できるホロ−TCII分析方法が記載されている。
【0017】
ここで、本発明者等は、ホロTC特有のエピトープを発見して、sbp’sを生み出した。前記sbp’sは、アポTCとホロTCとの区別に優れる。さらに、ホロTCエピトープの環状ペプチド“ミモトープ”擬態を作製することにより、自動化およびハイスループット分析に使用しやすいホロTCIIの分析方法を可能にするsbp’sを作製できる。
【0018】
主な自動プラットホーム、例えば、Centaur(登録商標)(バイエル、ドイツ)、Elecsys(登録商標)(ロシュ)またはAxsym(登録商標)(アボット)に容易に適応できる分析方法とするために、ホロTCのためのsbp’sが必要である。しかしながら、今のところは、このような分析に必要なアポTCとホロTCとを区別するsbp’sは、いまだ開示されていない。TC特異的結合パートナーを利用する分析方法は、自動化には適しているが、分離、および、ホロTC含有量を測定するための余分な工程を必要とし、前記方法を自動化することを困難にし、前記分析を首尾よく行うことができる市販のプラットホームの種類を減らす。
【0019】
ヒトTCに親和性を有するポリクロナール抗体に関する文献報告が少しだけある(例えば、非特許文献4、5、6および7参照)。ヒトTCに親和性を有するモノクロナール抗対に関する文献が同じくほんの少しだけある(例えば、非特許文献8および9参照)。これらの著者は、アポTCとホロTCとを区別するバインダーを見出したことについて、誰も主張していない。クアドロスは、アポTCへのコバラミンの結合を阻害する抗体を使用し、細胞にコバラミンを輸送する研究をした(例えば、非特許文献10参照)。
【0020】
実際、アポ型のトランスコバラミンとホロ型のトランスコバラミンとの間の物理化学的特徴の違いが十分であり、前記型の一方だけが特異的な抗体またはその他のsbp’sの発現が可能であるか、完全に明確になっているわけではない。実は、野生型ホロTCレポーターが、アポTCと高い親和力で結合するという報告もある(例えば、非特許文献11参照)。さらに、ホロTC非特異的抗体が、実際には、そのようなsbp’sを生み出すことはできない可能性があるという提案報告もある。
【特許文献1】国際公開第00/17659号パンフレット
【非特許文献1】Miller、Nutrition Reviews 60: 142-144 (2002)
【非特許文献2】Scalabrino et al. J. Neuroimmunology 127: 37-42 (2002)
【非特許文献3】Wickramasinghe et al. J Clin Path 49: 755-758 (1996)
【非特許文献4】Morelli et al. J Lab Clin Med 89 : 645-652 (1976)
【非特許文献5】vanKapel et al. Biochem Biophys Acta 676 : 307-13 (1981)
【非特許文献6】Quadros et al. J Biol Chem 261: 15455-60 (1986)
【非特許文献7】Nexo et al Clin Chem, 46 : 1643-9 (2000)
【非特許文献8】Carmel et al. Proc Soc Exp Biol Med 188: 77-81 (1988)
【非特許文献9】McLean et al Blood 89 : 235-242 (1997)
【非特許文献10】Biochem Biophys Res Comm 222: 149-154 (1996)
【非特許文献11】Nexo et al. Biochem Biophys Acta 628: 190-200 (1980)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
抗体等のsbp’s(すなわち、特異的に結合するリガンド)は、本発明のような分析への使用の適性に非常に重要である2つの特有の特徴を有する。これは、それらの親和性および特異性である。抗体に対する親和性は、約10から約1011−1の範囲であり、その他のsbp’sは、同様の範囲の親和性を示す。高親和性の抗体(>10−1)は、診断分析の分野に極めて好ましい。なぜならば、低濃度での検体の捕捉を可能にするからである。
【0022】
高親和性のsbpを特定の検体に対して見出すことができるかどうかは、検体の表面電荷およびトポロジーに本質的には依存する。適当なモチーフ(エピトープ)が存在する場合、このモチーフに対応する抗体、ペプチド、DNA/RNAオリゴマーまたは有機化学バインダーを、標準的な方法により生み出すことができる。すなわち、例えば、いったん特定のエピトープに対する高い親和性の抗体を同定すると、これにより、このエピトープに対して親和性を有するその他のタイプのsbp’sが見出されることを示す。前記親和性は、前記エピトープの内在的な性質および前記エピトープと前記sbpの結合部位(パラトープということもある)との間の一致の割合に依存する。
【0023】
sbp’sにより示される第2の重要な特徴は、特異性である。これは、検査する試料中に見出されるその他の分子ではなくて、その結合パートナーを認識するsbpの能力である。これは、このエピトープは、前記検体分子に対してどの程度特有であるのか、前記sbpの結合部位は、どのくらい正確に一致しているのかを、sbpにより認識される分子のエピトープに主として依存する。前記検体の電荷およびトポロジーの高度に一致する結合領域には、高親和性および高特異性spb’sの双方を必要とするため、高特異性を有するsbp'sは、主として、高親和性をも有する。
【0024】
sbp’sを識別することによる方法は、主として、その結合パートナーに対して非常に高い親和性を有するsbp’sを同定するために、ますますストリンジェントな条件下で繰り返される一連のスクリーニングに依存する。これにより、非常に強力に結合するsbp’sを特定し、最も強力な結合リガンドが、最も特異的であり、最高の識別力を示すであろうと推測される。
【課題を解決するための手段】
【0025】
通常の技術とは対照的に、我々は、親和性の乏しい抗体を選択し、これらを調査した。意外なことに、この方法により、アポTCよりもホロTCに対してよい特異性を示す抗体が特定された。これらの抗体は、ホロTC分析に使用でき、 “ミモトープ”、すなわち、特異的なホロTCエピトープの擬態の同定に使用できる。前記ミモトープから、高親和性および高特異性を有するリガンドを含む、さらなるホロTC特異的リガンドを生み出すことができる。前記抗体および前記ミモトープから生み出したものを順番に使用して、前記特異性を比較するホロTCに関するエピトープを(実験的または計算により)同定してもよい。
【0026】
同定した第1の抗体は、本願明細書中で“3C4”と呼び、アポTCよりもホロTCに対して少なくとも70倍の特異性を示す。前記“3C4”抗体は、比較的親和性が弱い(Ka<10−1)。
【0027】
したがって、第1の形態において、本発明は、アポTCの少なくとも40倍を超えるホロTC特異性を有するホロTC特異的結合パートナーを提供する。前記特異性は、好ましくは少なくとも50倍、最も好ましくは少なくとも70倍(例えば、100倍以上)である。
【0028】
前記sbpは、野生型アポ/ホロTCと組換えアポ/ホロTCの双方の場合における前記アポ/ホロの識別力を示すことが好ましい。最も好ましくは、ヒト野生型アポTCとホロTC間の特異性が、少なくとも、組換えアポTCとホロTCとの間と同程度であることである。
【0029】
我々は、少なくとも7つのエピトープがヒトTCに存在し、これらのうちの少なくとも1つ(ここでは、エピトープ4と呼ぶ)が、ホロTCに発生し、アポTCには発生しないことを見出している。さらに、エピトープ4は、非還元(すなわち非変性)タンパク質にのみ存在し、還元(変性)タンパク質には存在しないことを見出している。これは、エピトープ4が、立体配座または不連続エピトープであることを示す。
【0030】
不連続エピトープは、タンパク質の一次(線形)配列では広く間隔が開いているが、タンパク質を折畳んだ場合、近接してまとまる残基からなる抗原領域である。このようなエピトープは、前記タンパク質のアミノ酸配列の知識からは、推定、予測またはモデルをつくることはできない。なぜならば、これらは、アミノ酸配列と相関性を有していないからである。このようなエピトープは、タンパク質の3次元構造においてのみ存在する。
【0031】
構造特異的エピトープを含むアミノ酸の組成および配列は、現在、前記タンパク質の結晶構造の知識からのみ推定できる。しかしながら、ヒトホロTCまたはTCの結晶構造、または、任意の種由来のコバラミン運搬タンパク質の結晶構造は決定されていない。ヒトTCの結晶化についての予備報告だけが、発表されており、その中では、ヒトTCは、X−線回折分析にあまり適さない非対称の2つの独立した分子として結晶化することが示されている(Garau et al, Acta Cryst. D57 : 1890−2 (2001)参照)。すなわち、TCに構造特異的な抗体の正確なエピトープを決定することは、現在、可能ではない。さらに、これらの予備データは、正確、高解像度のヒトTCの結晶構造を、現在の方法で生み出すことは不可能であることを示す。
【0032】
しかしながら、本発明者等は、驚くべきことに、本願明細書に記載のとおり、TC配列の特定のアミノ酸およびアミノ酸配列を同定し、エピトープ4のエピトープ領域を提供可能にした。
【0033】
それゆえ、さらなる形態において、本発明は、ヒトTCの以下の領域I、IIまたはIIIの少なくとも1つにおける少なくとも一箇所に結合するホロTC特異的結合パートナーを提供する。
I)Leu39ないしLys77およびThr265ないしLys269
II)Ile161ないしVal243
III)Arg271ないしAsp297(または、好ましくはLys296)。
【0034】
好ましくは、前記ホロTC特異的結合パートナーが、領域IおよびIIのそれぞれ、領域IIおよびIIIのそれぞれ、または、領域IおよびIIIのそれぞれに結合することである。最も好ましくは、前記特異的結合パートナーが、領域I、IIおよびIIIのそれぞれに結合することである。
【0035】
最も一般的なヒトTCの配列において、領域IないしIIIが、以下の配列を有すると思われる。
PWDRLSLE HLNPSIYVGL RLSSLQAGTK EDLYLHSLKおよびTACL(それぞれ、配列番号3および4)
II ILALCLHQKR VHDSVVDKLL YAVEPFHQGH HSVDTAAMAG LAFTCLKRSN FNPGRRQRIT MAIRTVREEI LKAQTPEGHF GNV(配列番号5)
III RVALLASLQD GAFQNALMIS QLLPVLN(配列番号6)
重要であると考えるアミノ酸残基に、下線を施した。
【0036】
より好ましくは、前記領域IないしIIIが、以下の配列を有することである。
【0037】
最も一般的なヒトTC配列において、これらの領域が、以下の配列を有する。
PWDRLSLE HLNPYVGL RLSSLQAGTK DLYHSLKおよびTACL
II ILALCLHQKR VDSVDKL YAVEPFHQGH HSVDTAAMAG LAFTCLKRSN FNPGRRQRIT MAIRTVREEI LKAQTPEGF GNV
III RVALSLD GAFNALIS QLLPVL(配列番号7)
重要であると考えるアミノ酸残基に、下線を施した。
【0038】
結合パートナーまたはリガンドが、TCのようなタンパク質の領域に結合すると記載されている場合、これは、前記結合パートナーと前記領域における少なくとも1つのアミノ酸との間に、少なくとも一つの相互作用があることを示す。リガンド結合に寄与することは、領域全てのアミノ酸には珍しいが、好ましくは、結合が、その領域における前記リガンドと少なくとも2つのアミノ酸とが相互作用することを示し、より好ましくは、その領域(例えば、8または10)における3、4、5またはそれ以上のアミノ酸が、前記リガンドと相互作用することである。相互作用は、例えば、前記タンパク質と結晶化または形作られたときの前記リガンドの構造を調べることにより、測定できる。一般的には、約0.5nm未満の距離が、相互作用を示していると考えられる。
【0039】
好ましくは、TC特異的結合リガンドが、下線を付した重要な残基のうちの少なくとも1つの残基によって、前記領域IないしIIIと相互作用することである。より好ましくは、TC特異的結合リガンドが、下線を付した極めて重要な残基のうちの少なくとも1つの残基によって、前記領域IないしIIIと相互作用することである。最も好ましくは、前記相互作用の少なくとも半分が、前記重要な残基または極めて重要な残基とである。
【0040】
ヒトTCの結晶構造を欠く場合、TCのミモトープ擬態対するエピトープ4は、3C4抗体を用いて生み出す。ジスルフィド制限ペプチドのファージ提示ライブラリを、ホロTC特異的モノクロナール抗体(mAb)3C4でスクリーニングし、2つの類似のモチーフを形成する一連の特異的なペプチドを同定した(実施例4参照)。前記ペプチドは、mAb 3C4に特異的であった。これらは、ホロTC上のその他のエピトープに向けられたmAbと結合せず、mAb 3C4との結合は、ホロTCによってブロックされた。すなわち、これらは、前記ホロTC特異的エピトープ4の真の擬態、および競合相手であることを示した(実施例5参照)。
【0041】
本願明細書に記載のミモトープのようなペプチドは、当該分野で十分知られている、アミノ酸を自然に発生する標準的な生化学の単一の文字コードで記載される。これらのうち、本発明に特に重要な意味を持つのは、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リジン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、スレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、およびチロシン(Y)である。
【0042】
前記ミモトープは、下記のモチーフ
SXYX WD X
ここで、X=F、G、L
=F、L、R
=L、P、Q
=M、Q、Y
=D、F
=M、R(配列番号8)
または、前記モチーフが、SFFYSLCYCW(配列番号9)を有する制限ペプチドで構成され、細胞またはファージの表面に任意に付着している。
【0043】
このようなミモトープおよび特にそのポリハプテン構築物は、適当なラベルを持つことができるので、ホロTC競合アッセイに有用である。また、前記ミモトープは、アポTCよりもホロTCに対して特異性を有するその他のホロTC特異的結合パートナーを同定するために使用してもよく、任意で、ホロTCに対して高い親和性を有するその他のホロTC特異的結合パートナーを同定するために使用してもよい。
【0044】
それゆえ、本発明は、モチーフ
SXYX WD X
ここで、X=F、G、L
=F、L、R
=L、P、Q
=M、Q、Y
=D、F
=M、R
または、モチーフ
SFFYSLCYCW
を含む制限ペプチドミモトープ(好ましくはラベルされている)であって、細胞またはファージの表面に任意に付着しており、または2以上(例えば、2、3、4、5または6)のこのようなミモトープの構築物の使用を含むホロTCの分析方法を提供する。このような分析方法は、ホロTCを、ホロTC特異的結合パートナーに予め結合させ、残りの結合部位を、前記ミモトープにより検出する方法とすることができる。好ましくは、前記分析方法は、前記ミモトープまたはその構築物が、ホロTCに対して特異的に結合するリガンド上の特異的結合部位に対してホロTCの競合相手として機能する競合アッセイである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
このような分析方法において、前記sbpは、一般的に、結合されているか、または結合可能である。
【0046】
概して、このような分析は、ヒト対象または動物対象由来の試料を、限られた数の結合部位を有する限られた量のホロTC特異的結合パートナーと接触させることを含む。ついで、前記試料由来のホロTCと前記ミモトープまたはミモトープ構築物とは、これらの部位と結合するために競合する。ついで、前記結合部位または非結合部位を分離し(例えば、架橋または析出剤による析出、sbp固定化基質の洗浄、ろ過、磁選、遠心分離、例えば、pH等の条件の変化等)、結合部分および非結合部分を得ることが好ましい。ついで、前記試料中のホロTCを、前記結合部位に結合するか、または、非結合部位に結合せずに残っているミモトープまたはミモトープポリハプテンの量を測定し、これを、前記試料中に存在するホロTCの量と関連づけることにより測定できる。前記sbpと結合するミモトープの量が多ければ多いほど、前記試料中のホロTCの量はより少なく表される。前記結合または非結合ミモトープまたはミモトープ構築物を、結合および非結合フラクションの分離なく検出可能である場合、例えば、凝集促進剤の添加に伴う光透過率の変化、または、前記ホロTCsbp、前記ミモトープまたは構築物が蛍光標識され蛍光偏光の変化等により検出可能である場合、前記分析方法は、結合および非結合フラクションの分離を伴う必要性はない。
【0047】
本発明の全ての関連した形態において、ホロTC濃度の評価のための適当な試料は、あらゆるホロTCを含む試料、例えば、体液または組織試料、それらから調製した試料等である。好ましくは、前記試料が、例えば、精液、脳脊髄液または羊水等の体液であり、より好ましくは、血液から生成された試料であり、特に好ましくは血清試料である。
【0048】
ホロTCの分析を含む本発明の全ての形態において、特異的結合パートナーとしては、抗体、単一鎖抗体、抗体フラグメント、抗体構築物、オリゴペプチド(例えば、制限環状ペプチド)、オリゴヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNAアプタマー)、小有機分子等が適当であり、これらは、固定されていてもよいし、固定化可能であってもよい。特異的結合パートナー(例えば、このような分析用)は、抗体であることが好ましく、特に好ましくは、モノクロナール抗体ならびにそのフラグメントおよび構築物(例えば、FABフラグメント)であり、さらに特に好ましくは、前記したモノクロナール抗体3C4、そのフラグメントおよびその構築物である。また、好ましいsbpとしては、オリゴヌクレオチドアプタマー(すなわち、短く、好ましくは、制限された二重鎖またはより一般的には単一鎖DNAまたはRNAの配列)である。ある場合において、これらのアプタマーの特異性が、一般的に好ましい値よりも低程度の値であってもよい。例えば、これらが、少なくとも8倍、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも15倍アポTCよりもホロTCに対して特異性を示すことである。明らかに、前記した通りより高い特異性を有するアプタマーが好ましい。
【0049】
特に好ましいsbpは、リンカーにより単一ポリペプチドに結合し、単一DNA配列によりコードされた完全な抗体の重鎖および軽鎖の可変領域を含む単一鎖の抗体フラグメントである。これらは、完全な抗体をコードするmRNAから、当該分野において既知の技術により調製できる。このようなscFvは、完全な抗体よりも極めて短いため、より密接に配置でき、より高い結合部位密度を有する構築物を形成できることから有利である。また、これらは、E. Coliおよび/またはバクテリオファージにおいて発現できるため、哺乳類の細胞系で発現させるよりも、より簡単に、大量につくることができ、遺伝子組換えおよび最適化の影響をより受けやすい。scFvは、簡単に配列でき、TC2および3C4に対応するscFvの配列は、実施例11で示す(表6)。これらのscFvは、対応する抗体全体と比較した場合、同様の特異性を有することが分かった(実施例11)。
【0050】
TC2および3C4と領域を同等に結合するscFvを同定することに加えて、3C4に対応するscFvは、変異およびスクリーニングにより2回目の親和性熟成を行う(実施例13参照)。すなわち、抗体TC2の使用が示唆するように、単一鎖の抗体フラグメントscFv_TC2、または親和性を熟成させた同等物を使用することが同様に好ましく、抗体3C4の使用が示唆するように、単一鎖の抗体フラグメントScFv_3C4、または親和性を熟成させた同等物を使用することが同様に好ましい。
【0051】
前記単一鎖抗体フラグメントは、本願明細書に記載のあらゆる方法により、検出するために標識されていてもよい。それらが標識される場合、前記標識を、前記結合領域を介してscFvに連結することが好ましい。最も好ましくは、前記標識を、機能側鎖を介して前記結合領域に連結することであり、特には、前記側鎖が、システインのSH基またはチロシンのOH基である。
【0052】
すなわち、本発明は、本願明細書の実施例に記載の各抗体に対応する単一鎖の抗体、特に、本願明細書に記載するエピトープ4および5に対して特異的なscFvをさらに提供する。最も好ましくは、表6に示すTC2_ScFVならびに3C4_ScFv、および、表9および10に示す親和性を熟成させた同等物である。
【0053】
3C4_ScFvの結合特性を改善するために、遺伝子組換えおよび最適化を行った(親和性成熟)。個々のクローンのサイズが、10−10のランダム変異導入ライブラリをつくり、当該分野で既知の技術を用い、バクテリオファージ上で発現させた。scFv 3C4の親和性成熟により、より高い親和性を有する新規のscFvクローンが12個得られ、ホロTCに対する親和性を保持していた(表9)。最高のscFvクローンに、2回目の突然変異を行い、ライブラリ構築物から9つの新規のscFvを選択したところ、1番目に作製したライブラリで最もよいscFv(表10のクローン3.10E5)よりも、より高い親和性を有するものが6つあった。実施例15に記載するように、親和性の熟成は、既知の技術を使用することにより行った。
【0054】
モノクロナール抗体の単一鎖の抗体フラグメントは、標準的な操作を用いて、構築できる(例えば、McCafferty J, Hoogenboom HR, and Chiswell DJ (ed.) (1996) Antibody Engineering - A practical approach, IRL Press, Oxford, UK)。便宜上、例えば、mRNA調製に、QuicPrep(登録商標)mRNA精製キット、および、E.Coliの可溶性タンパク質としてscFv抗体発現用Expression Module(Amersham Biosciences)といった市販のキットを使用してもよい。既知の技術および市販のキットを使用することにより、本願明細書に記載のいかなる完全なIgG抗体からscFvを生成するための典型的な方法は、実施例12に記載した。
【0055】
上記したミモトープの使用を含む分析に適している特異的結合パートナーは、本願明細書に記載するように、エピトープ4と重複するエピトープに特異的であることが好ましい。このようなリガンドは、通常、エピトープ4に特異的である。
【0056】
本願明細書に記載のあらゆるリガンドの固定化方法は、当該分野で既知であり、アミド、ジスルフィドまたはアミノ結合の形成(例えば、カルボジイミドカップリング剤を使用することにより)といった共有結合、金へのチオールの吸着といった物理化学的吸着、固定化した特異的結合パートナーのカップリング(例えば、ビオチンおよびストレプトアビジンまたはネズミmAbを捕獲するためのヤギ抗マウス抗体)および不溶性抗体沈殿の形成を含む。固定化リガンドは、基質に予め結合してもよいし、適当な結合パートナーを担持した基質または析出剤の添加により、分析の間に固定化してもよい。
【0057】
本願明細書に記載の特異的結合リガンドを固定化するために適当な基質は既知であり、ガラス等の表面または高分子の表面、とりわけ、ディッシュ、マイクロタイター分析用プレートまたはシート、特にそのウェルの内部、SPRスライド、AFMスライド等の表面、ガラスのビーズまたは高分子ビーズ等の表面、セルロースまたは高分子膜といった膜、さらに、ある条件下で膨張または可溶性であるが、ろ過またはサイズ排除クロマトグラフィーといった技術によって析出または分離できる樹脂およびデンドリマーといった高分子があげられる。基質として最も好ましくは、Bangs−Laboratories(例えば、Estapor(登録商標)EMI−100/40)社製のもの、SPRチップ(例えば、Biacore社製)等の磁化高分子ビーズおよびマイクロタイタープレートの表面である。
【0058】
本願明細書に記載の標識の種類は、当該分野で既知の多くのいずれの方法による検出のために標識してもよい。このような標識方法としては、蛍光標識(例えば、蛍光発光、ローダミン、緑色蛍光タンパク質等)、ルシフェラーゼのようなタンパク質または化学発光剤(ルミノール(3−アミノフタルヒドラジド)または近赤外ルミネセンス金属アザトリフェニリン複合体等)による発光標識、色素といった作用物質の吸収光または反射光での色標識、酵素標識(例えば、アルカリペルオキシダーゼ)、トリチウム、炭素−14または放射性ヨウ素での放射性同位体標識、シンチレーション剤の使用の有無、および、磁気標識、特に、フェロオキシド標識されたデキストランといった常磁性体基質での磁気標識等があげられる。また、シンチレーション近傍アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー転移法も適している。磁気、発光および蛍光法、特に、化学発光法が好ましい。
【0059】
検出法が、酸化剤といった補基質の添加を必要とする場合、これを適当な段階で添加する。一般的には、前記標識と同時または適当な洗浄工程の後に添加する。あるいは、本願明細書に記載の種類が、自身の質量により標識されるものであってもよい。このような場合、例えば、当該分野でよく知られた技術であって、通常、Biacoreのような業者のSPR機材を利用する表面プラズモン共鳴(SPR)によりこれらを検出してもよい。その他の物理的な標識方法としては、力を利用した顕微鏡(例えば、原子力顕微鏡(AFM)または化学力顕微鏡)の“チップ”との結合があげられる。この場合、チップのたわみの変化により、結合を検出する。
【0060】
本発明のいずれかの形態において使用する場合、本願明細書に記載のミモトープおよびその他のペプチドは、固相ペプチド合成のような方法により形成される合成ペプチドであってもよいし、もしくは、ファージの表面上の提示またはバクテリアといった生合成により形成されてもよい。前記ペプチド(例えば、ミモトープ)を生合成する場合、これらは、生合成細胞、ファージ、有機体等から分泌されてもよいし、その表面上に提示されてもよい。表面提示の場合、前記ペプチドは、通常、ファージ上に提示される(例えば、ファージ被覆タンパク質の全てまたは一部に共役して付着する)。このようなペプチド(例えば、ミモトープまたはエピトープ領域の共役物)は、前記ファージの表面から開裂することによるか、若しくは、ファージ全体、提示したペプチドを含むファージの部分または小部分を使用することにより本発明の方法に使用してもよい。前記ペプチドを免疫応答の発生に使用する場合、前記ペプチドを分離した免疫原性担体に共役させる必要がなく、免疫システムを誘発できることから、ファージ全体を使用することが有利である。
【0061】
さらなる形態において、本発明は、ホロTC特異的結合パートナーを特定する方法であって、アポTCの少なくとも40倍を超えるホロTC特異性を有し、少なくとも50倍、好ましくは少なくとも70倍、最も好ましくは100倍以上であり、前記ペプチドミモトープ、その構築物またはその共役物で、特異的なバインダーの可能性があるライブラリをスクリーニングすることを含む方法を提供する。このような方法は、下記の実施例1および2においてホロTCを使用すると記載しているのと同様に、通常、“パンニング”アッセイの形態を取るが、前記ミモトープは、ホロTCのエピトープ4と同等のエピトープに相当し、それゆえ、同定されるバインダーの多くは、アポTCよりもホロTCに対して特異的に結合するという利点を有する。適当なバインダーは、下記の実施例1および2に記載するように、mAbs、そのフラグメントまたはその構築物を含む。同様の技術であることが明らかであれば、下記の実施例4に記載した方法と同様にして、例えば、小有機分子、アプタマー、またはオリゴペプチド等のその他の種類のスクリーニングを簡単および型どおりに変更できる(例えば、ペプチドファージ提示ライブラリの使用)。同様に、このようなミモトープその構築物を標準的なハイスループットアッセイ法に使用し、特異的なホロTCバインダーを、市販されているような合成ペプチド、オリゴヌクレオチドまたは小有機分子のライブラリから同定してもよい。
【0062】
アプタマーは、前記ミモトープに対するスクリーニングにより特定可能なsbpの好ましい種である。このようなDNAまたはRNAアプタマーを同定する場合、前記アポTCを超えるホロTC特異性を有することが好ましく、その値が、少なくとも8倍、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも10倍であることが好ましい。
【0063】
さらなる形態において、本発明は、哺乳類、または、好ましくは哺乳類以外の対象(例えば、鳥、魚または昆虫)において、ヒトホロTC特異的抗体を誘導する方法であって、前記対象に、前記ミモトープ若しくはその免疫原性構築物および/または共役物(特に、BSAといった適当なタンパク質と共役させたポリ−ハプテン構築物)を投与することを含む方法を提供する。好ましくは、前記対象が鳥である。ニワトリが特に適当である。前記ミモトープ、その構築物またはその共役物は、免疫原性であり、好ましくは、免疫応答を誘導するためにミモトープの複数のコピーを有することである。このような方法は、通常、前記ミモトープの適当な抗原構築物を投与し、適当な期間、免疫反応を生じさせる。状況に応じて、1以上の追加抗原投与量の同一またはその他のミモトープ構築物を投与し、そして、前ポリクロナール抗体抽出物の形または好ましくは抗体分泌細胞の形で、記対象から抗体を抽出し、ついで、当該分野で既知の方法を用いて培養してもよい。この方法の形態において、ヒトホロTCII若しくはそのフラグメントまたは構築物を、哺乳類以外の対象の初期免疫処置、または、1以上のブースター免疫処置、若しくは双方に使用してもよい。
【0064】
また、ホロTC特異的結合パートナーを、本願明細書に記載のエピトープ4のエピトープ領域I、IIおよびIIIのうちの少なくとも1つを発現するように設計したペプチド共役物を使用することにより識別してもよい。このようなペプチドは、ヒトホロTCからの配列に準ずる;
I)Leu39ないしLys77およびThr265ないしLys269
II)Ile161ないしVal243
III)Arg271ないしAsp297(または好ましくはLys296)
前記領域は、通常、前記配列を有する。
【0065】
すなわち、適当なペプチド共役物は、通常、適当なリンカー配列に挟まれた、配列I、IIまたはIII、若しくは、そのフラグメントを有し、前記領域の望ましい3次元構造を示す。好ましくは、配列IおよびII、配列IIおよびIIIまたは配列IおよびIIIの全て若しくは一部が、リンカー配列の間に存在することである。より好ましくは、配列I、IIおよびIIIの3つ全てが、全部または部分的に、リンカー配列の間、および、フランキング配列の一方の末端または双方の末端で前記共役物に少なくとも1箇所(任意の順序で)存在する。全てのリンカーおよび/またはフランキング配列が、システイン残基といった架橋可能な部分を含み、前記ペプチド共役物の3次元構造を制御可能であってもよい。前記共役物は、また、領域I−IIIに加えて、若しくは、これらの領域の全てまたは1以上に代えて、前記ミモトープ配列を含んでいてもよい。適当な配列は、化学的に合成されてもよいし、または、より一般的には、本願明細書に記載のミモトープの発現方法と類似の方法により細胞またはファージで発現させることである。
【0066】
領域IないしIIIのいずれかの部分を使用する場合、これらの部分が、本願明細書の前記に記載した重要な残基、または、好ましくは極めて重要な残基のいくつかを含むことである。好ましくは、これらの残基の少なくとも半分が、前記配列におけるそれらの位置に相当する前記共役物の位置に存在することである。
【0067】
前記ペプチド共役物は、さらに、分析においてそれらを使用し、ホロTC特異的結合パートナーの識別する本発明の形態を形成する。すなわち、前記ペプチド共役物(およびそれらの構築物、標識された相当物等)は、特異的なバインダーを識別する方法、分析方法および免疫反応を誘導する方法を含む本発明の適当な形態において、前記ミモトープの代わりとなりうる。
【0068】
よりさらなる形態において、本発明は、試料(例えば、生体由来の液体試料)中のホロTCを分析するための分析方法を提供する。前記方法は、ホロTC特異的結合パートナーを前記試料と接触させる工程、および、得られたホロTCと前記特異的結合パートナーとの共役物を検出する工程を含み、前記特異的結合パートナーが、アポTCと比較して少なくとも40倍ホロTCに対して特異性を有し、好ましくは少なくとも50倍、より好ましくは70倍(例えば、下記の実施例6参照)の特異性を有することである。
【0069】
この方法において、診断検査において慣用されているように、前記共役物の検出は、直接であってもよいし、または間接的であってもよいし、定量、半定量又は定性であってもよい。すなわち、直接的な検出は、非共役ホロTCおよびsbpの特性と相違する前記共役物の特性による物であってもよい(例えば、質量または放射発光、吸収または反射特性)。間接的な検出としては、例えば、ホロTC:sbp共役物と競合して形成される接合体を検出することによるか、または、さらなるリガンド(例えば、標識されたリガンド)とホロTC:sbp共役物との共役物を検出することによるか、もしくは、前記試料から前記共役物を分離し、コバラミンを放出し、前記放出されたコバラミンを検出することによる。定性および半定量的な検出としては、前記試料に存在するホロTCの量が、予め測定した濃度限界よりも上か下かどうか、若しくは、選択した標準における濃度よりも高いか低いかどうかを測定することを含む。例えば、試料の供給源が、ホロTC欠乏を患うか、そうでないかを単に指摘するようなものである。
【0070】
前記分析は、ホロTC量の定量的な測定を含むことが望ましく、任意で、全TC量および/または全コバラミン量の測定を含むことである。この分析方法で使用する特異的結合パートナーは、また、モチーフ
SXYX WD X
ここで、X=F、G、L
= F、L、R
= L、P、Q
= M、Q、Y
=D、F
=M、R
または、モチーフ
SFFYSLCYCW
を含む制限ペプチドに対する特異的結合パートナーであってもよく、好ましくは、前記パートナーである。特には、モノクロナール抗体またはフラグメントまたは構築物若しくはこのような特異性を有するDNA/RNAアプタマーであってもよい。さらには、この方法に使用する前記ホロTCsbpは、アポTCおよびホロTCの双方に対して親和性を有するその他のsbpとの先の結合により、ホロTCとの結合を妨げてもよいし、好ましくは妨げることである。好ましい形態において、前記特異的結合パートナーは、本願明細書に記載のTCのエピトープ4と部分的に重複するエピトープに特異性を有するモノクロナール抗体、もしくは、このような抗体のフラグメントまたは構築物である。特に、このような抗体が、エピトープ4に特異的であり、例えば、前記TC上の領域I−IIIのうち、いずれか一つ、いずれか二つ、または3つ全てに結合してもよい。最も好ましくは、このような抗体、フラグメントまたは構築物が、本願明細書に記載の抗体3C4(または対応するscFv)、若しくは、そのフラグメントまたは構築物である。適当な特異的結合パートナーは、本願明細書に記載の通り、TC、前記ミモトープ、または領域I、IIおよび/またはIIIの適当な構築物との結合のための選択に基づき、慣用的な技術により特定してもよい。
【0071】
前記ホロTCsbp選択過程は、通常、(i)ホロTCおよび/または前記ミモトープまたはその構築物と結合する能力を選択し、(ii)ホロTCおよびアポTCについて必要な特異性を有さないsbpの候補を除外する。また、前記sbp選択過程は、ハプトコリンまたはその他の血清タンパク質と結合するsbpの候補を除外することを含むことが望ましい。本発明のホロTC分析において、前記sbpと接触させる前に、HCまたは他の血液タンパク質から分離されたTCを必要となるためである。
【0072】
したがって、本発明のホロTCsbpは、アポTCと比較して、前記ミモトープまたは構築物に対して、少なくとも40倍の特異性を有するsbpが好ましく、特には少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも70倍である。前記ホロTCsbpは、また、その他のコバラミン結合タンパク質のホロ型よりもホロTCに対して、少なくとも50倍の選択性を有することが好ましく、好ましくは少なくとも70倍、より好ましくは100倍である。
【0073】
本発明の分析方法において、前記ホロTC特異的結合パートナーは、ホロTCを捕獲するために使用してもよいし、第2のリガンドにより予め捕獲されたホロTCを識別するために使用してもよい。
【0074】
前記ホロTCsbpを、ホロTCを捕獲するために使用する場合、通常、前記固定化剤または沈殿剤の使用により適当な基質上に固定化するか、固定化可能である。このような基質、薬剤および固定化方法は、当該分野でよく知られており、その方法としては、前記した方法があげられる。ついで、前記ホロTC特異的結合パートナーにより捕獲されたホロTCを、第2の標識された(任意)リガンドと接触させることにより識別してもよい。このような第2のリガンドは、ホロTCに対して特異的であってもよいが、通常、TC(アポおよびホロの双方)に特異的であって、結合ホロTCにより提示される如何なるエピトープと結合してもよい。あるいは、前記第2のリガンドを使用して、捕獲したホロTCと、第2のリガンドに対して特異性を有する標識された第3のリガンドとを結合してもよい。ついで、このような第3のリガンドは、例えば、後で添加してもよいし、同時に添加してもよい。検出が、質量感受技術またはSPRといった屈折率感知技術により行われる場合、前記リガンドは、その自身の質量により単に“標識”されていてもよい。
【0075】
この“特異的な捕獲”技術を利用する典型的な分析方法は、
対象(例えば、ヒト患者または動物、特に哺乳類)由来の液体試料を、固体化または固定化可能なホロTC特異的結合パートナーと接触させて、ホロTC:sbp共役物を形成する工程、
前記特異的結合パートナーを、TCまたはホロTCに対する第2のリガンドと接触させ、前記第2のリガンドを、前記結合したホロTCと結合させ、ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物を形成する工程、
前記ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物から結合していない第2のリガンドを分離し、任意で、前記ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物の濃度を上昇させる工程、
任意で、前記ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物を基質から解離する、および/または、ホロTC:第2のリガンド共役物を前記sbpから解離する工程であって、前記解離が、前記液体試料の体積未満の体積の液体中に解離することが好ましい、
任意で、補基質または第3のリガンドを添加し、前記ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物またはホロTC:第2のリガンド共役物の検出を容易にする工程、
ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物またはホロTC:第2のリガンド共役物を検出する工程、および
ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物またはホロTC:第2のリガンド共役物の検出量を、前記液体試料中のホロTCの濃度と関連付けて、前記液体試料中に存在するホロTCの定量、半定量または定性測定を行い、任意で、前記液体試料中に存在するホロTCを、前記対象におけるコバラミン欠乏の有無を関連づける工程を含む。
【0076】
本願明細書に記載の好ましいホロTC用アッセイは、捕獲抗体としてmAb 3C4、および、検出sbpとして非重複、高親和性抗体(実施例6.3)またはアプタマー(実施例14)に基づいて構築した。この分析の精度は、市販のホロTC用アッセイ、HoloTC RIA(登録商標)(Axis−Shield社製、Norway)と比較することにより検証した(実施例7)。前記市販のアッセイは、異なる原理に基づく。つまり、全TC(アポTC+ホロTC)の固相捕獲と、ホロTCに結合したコバラミンの解離後
競合タンパク質競合放射免疫測定という原理である(Ulleland et al、Clin Chem 48:526−32(2002))。本発明の分析方法は、前記市販のアッセイとr=0.96であり、十分な相関性があった。
【0077】
3C4のようなホロTC特異的sbpの結合は、ホロTCに存在し、任意で、アポTCにも存在するある特定の部分的に重複するエピトープに特異的なsbpの先の結合により妨げられる。このsbpを妨げる例としては、本願明細書に記載のエピトープ5に特異的なsbp、および、特に、下記のモノクロナール抗体TC2があげられる。さらなる例としては、本願明細書に記載の領域IないしIIIの少なくとも一つに結合するリガンドである。これらのTC特異的sbpによりホロTCの結合の阻止を使用することは、本発明のホロTC特異的sbpのさらなる特徴を示す。
【0078】
本発明のさらなる側面を形成する好ましい分析方法において、ホロTCsbp(任意で標識されている)を、予め、固定化されたまたは固定化可能な第2のリガンドによる捕獲前、同時または後、ホロTC用検出リガンドとして使用する。このような第2のリガンドは、また、前記アッセイの特異性を増加させるために、ホロTCに特異的であってもよいが、より好ましくは、ホロTCおよびアポTCの双方に結合することである。好ましくは、このような第2のリガンドは、ホロTCsbpの親和性よりもTCに対して著しい親和性を有することである。この親和性は、例えば、少なくとも10−1であり、または少なくとも10−1であり、好ましくは少なくとも1010−1であり、より好ましくは1011−1以上である。特に好ましくは、前記TC捕獲リガンドが、ホロTCsbpのアポTCを超えるホロTC特異性の著しい低下を生じないものである。より好ましくは、前記捕獲リガンドが、ホロTCsbpのホロTC親和性の著しい低下を生じないものであるべきである。この好ましい捕獲リガンドとしては、エピトープと結合し、前記エピトープとの部分的な重複がなく、前記ホロTCsbpと結合するものがあげられる。好ましくは、ホロTCsbpが結合する前記エピトープの構造変化を生じさせるように結合しないものである。好ましい捕獲リガンドは、前記ホロTCsbpの特異性が、少なくとも40倍以下に下がらないもの、好ましくは少なくとも50倍、特には少なくとも70倍以下に下がらないものである。通常、好ましい捕獲リガンドは、本願明細書に記載の領域IないしIIIのいずれにも結合しない。
【0079】
本発明のこの形態に基づく典型的なアッセイは、
既知の体積の動物対象(特に、哺乳動物、好ましくはヒト患者)由来の液体試料を、TCに対して特異性を有する捕獲リガンド(mAb、scFvまたはDNA/RNAアプタマーを固定化または固定化可能)と接触させ、TC:捕獲リガンド共役物を形成する工程、
任意で、TC:捕獲リガンド共役物のすべてを実質的に含むフラクションを、TC:捕獲リガンド共役物を実質的には含まないフラクションと分離し、任意で、既知の換算体積とする工程、
前記TC:捕獲リガンド共役物を、(好ましくは標識した)ホロTC特異的結合パートナー(例えば、前記mAb、アプタマー、特異的結合ペプチド等、特に、mAb 3C4または対応するscFv)と接触させて、sbp:ホロTC:捕獲リカンド共役物を得る工程、
任意で、結合していないホロTCsbpを、前記sbp:ホロTC捕獲リガンド共役物と分離する工程、
任意で、補基質または第3のリガンドを添加し、前記結合ホロTCsbpの検出を促進する工程、
前記結合ホロTCを検出する工程、
前記検出した結合ホロTCsbpを前記体積と関連付け、前記液体試料に存在するホロTCの定量、半定量または定性指標を得て、任意で、前記液体試料中に存在するホロTCと、対象におけるコバラミン欠乏の有無とを関連付ける工程を含んでいてもよい。
【0080】
前記液体試料は、必要に応じて、前処理をして、試料中のTC濃度を増加させる、および/または、HC(特に、ホロHC)、必要に応じて、アルブミンを除去または減少させてもよい。通常、これは、HCまたはTCが結合する基質への試料の適用、基質と液相の分離、および、(前記基質がTCと結合した場合)基質からのTCの解離を含み、新たな液体試料、好ましくは既知の少量の液体試料を形成してもよい。このHCの減少は、最終的なホロTCの検出工程が、前記ホロTCから解離したコバラミンの検出を含む場合、特に重要である。
【0081】
これらの方法の工程は、このようなアッセイにおける当業者にとって明白な方法に適当に変更してもよい。例えば、前記ホロTC特異的バインダーと前記ホロTCとの接触を、前記捕獲リガンドでの前記TCの捕獲の前に行うというように、適当に変更してもよい。
【0082】
本発明の分析方法に使用する捕獲リガンドは、いずれのホロTC特異的バインダーにより結合するエピトープ(例えば、本願明細書に記載のエピトープ4)以外の1以上のTCエピトープを結合するリガンドが適当である。さらには、前記捕獲リガンドは、ホロTC特異的エピトープのいずれとも重複していないエピトープと結合することが好ましい。前記した通り、少なくとも7つのTCエピトープが識別され、そのうちの少なくとも4つが、ホロTC特異的エピトープ4と重複しない。好ましくは、特に、いずれかのホロTC特異的バインダーと接触させる前に、前記液体試料を前記捕獲リガンドと接触させる場合、前記捕獲リガンドは、エピトープと、または、ホロTC特異的バインダーの結合が、阻害でもなく、ホロTC特異性を低下させない形式で、結合するべきである。
【0083】
前記捕獲リガンドは、ホロTC特異的エピトープの構造に実質的な変化を生じさせないように、結合することが好ましい。これらは、通常、本願明細書に記載の領域IないしIIIのいずれとも結合しないと考えられる。
【0084】
mAb 3C4の結合または特異性に著しい阻害効果を有さないモノクロナール抗体は、下記の実施例に記載のように識別する。このような抗体は、本発明の分析方法における捕獲リガンドとしての使用に非常に適している。特に、本願明細書に記載のエピトープ2に結合するリガンドは、本発明の分析方法における捕獲リガンドとしての使用に非常に適している。エピトープ2に対するモノクロナール抗体リガンドが同定され、非常に適している。最も好ましい捕獲リガンドは、小リガンド(scFv等)であり、好ましくは、TCに対して高親和性を有するものである。小リガンドを、より集中して基質に結合させて、さらなる集中効果をもたらすことにより、分析感度を増加させてもよい。抗体フラグメント、小ペプチドバインダー(特に、制限ペプチド)および小有機分子は、全て好ましい小リガンドである。エピトープ2に対して生ずるmAbフラグメント(およびscFv)が最も好ましい。また、適当なものとしては、このような小リガンドの複数の繰り返しを含み、化学結合および/または、比較的小リンカーによる接続された構築物であってもよい。
【0085】
液体試料中に存在するホロTCを、TC特異的捕獲リガンドにより捕獲し、ホロTCを検出するためにホロTC特異的リガント(好ましくは標識された)と接触させる場合、前記捕獲TCを、(前、同時、または好ましくは後に)前記捕獲リガンドにより捕獲された全TCを測定するためにTC検出リガンドと接触させてもよいし、および/または、前記捕獲リガンドにより捕獲されたアポTCを測定するためにアポTC検出リガンドと接触させてもよい。このようにして測定された前記TCおよび/またはアポTC量を、流体試料の前記TCおよび/またはアポTC量と関連付けてもよいし、前記TCのホロTC飽和レベルを測定するために使用してもよいし、または、ホロTCの測定量と比較して内部標準または検定として使用してもよい。
【0086】
適当なTC検出リガンドは、好ましくは、標識されたTC特異的結合パートナーであり、例えば、mAb、アプタマー等であり、前記した通り、捕獲リガンドにより結合したエピトープ(例えば、本願明細書に記載のエピトープ2)またはいずれのホロTC特異的結合リガンドにより結合したエピトープ(例えば、本願明細書に記載のエピトープ4)のどちらとも部分的に重複しないTCのエピトープに対して特異的であることが好ましい。また、適当なTC検出リガンドとしては、本願明細書に記載のエピトープ1、3、6および7に対して生ずるmAbおよび、そのフラグメントならびに構築物があげられ、任意で、当該分野で十分知られ、前述のような方法で標識されていてもよい。
【0087】
TC検出リガンドの標識は、ホロTC特異的バインダーの標識と同一であってもよいし、異なっていてもよい。SPRのような方法を用いて検出する場合、通常、連続して、双方の標識は質量により検出される。このような光度検出(蛍光、発光等)のような方法を使用する場合、前記標識は、区別できることが好ましく(例えば、励起および/または検出波長により)、同時または連続して検出してもよい。
【0088】
適当なアポTC検出リガンドは、ホロTCよりもアポTCに対して特異的結合親和性を有するリガンド(例えば、コバラミンまたはコバラミン共役物、任意でシグナル付与基と共役するもの)であってもよいが、ホロTC特異的バインダー(例えば、領域IないしIIIのいずれか一つ)に結合するエピトープと部分的に重複するエピトープを結合するリガンドが好ましい。このようなリガンドを利用する分析は、通常、液体試料由来の捕獲されたTCをホロTC特異的バインダーと結合する工程、続いて、アポTCおよびホロTCの双方に存在するが、ホロTC特異的バインダーに結合したエピトープと部分的に重複するエピトープに特異的なアポTC検出リガンドと、捕獲したTCと接触させる工程、および、前記ホロTC特異的バインダーおよび前記アポ検出リガンドを検出する工程を含む。このようなアポTC検出リガンドは、予め結合したホロTC特異的バインダーの存在により、ホロTCとの結合を実質的には回避し、アポTCの対応するエピトープと自由に結合できる。このため、流体試料中に存在するアポTCの量を示すシグナルが得られる。
【0089】
TC検出リガンドと同様に、アポTC検出リガンドの標識は、ホロTC特異的バインダーの標識と同一であってもよいし、異なっていてもよい。SPRのような方法を検出に使用する場合、双方の標識を、通常、連続して、質量により検出する。このような光度検出(蛍光、発光等)方法を使用する場合、前記標識は、区別できることが好ましく(例えば、励起および/または検出波長により)、同時または連続して検出してもよい。2つのリガンドを検出するために使用する方法が、区別できないシグナルを与える場合、連続検出を使用することが好ましく、2つのリガンドからのシグナルを区別できる場合、同時検出を使用することが好ましい。
【0090】
さらに、非常に好ましい本発明の分析方法は、抗体検出として、mAb 3C4を利用することである(実施例6および17)。このようなアプローチは、少なくとも2つの利点を有する。(i)捕獲sbp(例えば、抗体)として、より高いTC親和性を有するmAbまたはアプタマーを使用することにより、試料中の実質的に全てのTCを、捕獲および集めることができる;(ii)検出抗体としてmAb 3C4を使用することにより、mAb 3C4の機能的な親和性が増加する。前記3C4に対するKDを評価した結果、>100nMであった。しかしながら、モノクロナール抗体が、二価であるため、両方の結合部位を利用することにより解離速度(off−rate)を低くし、また、機能的KD(親和力)が低下する。mAb 3C4の場合、mAb 3C4を、捕獲抗体よりむしろ検出抗体として使用した場合、前記解離速度が、2×10−3−1から、2×10−4−1に減少した。前記した通り、適当な捕獲抗体は、ホロTCに対するmAb 3C4の親和性または特異性に影響を及ぼさないmAbであることが好ましい。我々は、エピトープ2に対する抗体は、これらの要求を最も満足することを見出した。本願明細書に記載したアプタマーb974−3t1は、mAb 3C4と部分的に重複するが、この重複は、mAb 3C4の親和性または特異性に影響を及ぼすのに十分ではなく、充分な親和性が保持され、このアッセイの必要条件を満たしていた(実施例16および17参照)。
【0091】
また、同一アッセイにおけるホロTCおよびアポTCの同時測定は、エピトープ4および5に対する抗体を利用して実証した(実施例8および9)。これらのエピトープは、ホロTCと完全に重複している。一方、エピトープ4は、アポTCに存在していない。すなわち、アポTCおよびホロTCの混合物を含む試料に、まず、エピトープ4と結合するmAb 3C4、ついで、エピトープ5と結合し、異なるシグナルを付与するリガンドと共役する抗体を有するmAb Tc2を添加することにより、アポTCおよびホロTCの双方を同一の試料で直接測定できる。あるいは、検出前に、前記アポTCおよびホロTCを、まず、非重複リガンド(特に、アプタマーまたはモノクロナール抗体)の、好ましくは、エピトープ2の結合により捕獲して集めてもよい。ホロTCにのみ存在するエピトープと結合することによりアポTCおよびホロTCに存在する1つのエピトープの“阻止(blocking)”によりアポTCを検出する場合、このような阻止は、完全である必要はない。特定の条件下での前記ホロTCの結合が、既知の割合の前記結合部位をふさぐか、または、全アポTCレベルと比較すると、明らかになった部位の数が問題にならない程度である場合、通常のデータが得られる。好ましくは、ホロTCの部位の80%以上が、前記ホロTCの結合より遮られていることが好ましく、より好ましくは90%以上、最も好ましくは少なくとも95%である。
【0092】
さらには、同一のアッセイにおけるホロTCおよび全TCの同時測定を、エピトープ4および6に対する抗体(実施例10)およびアプタマーb974−3t1(図12、実施例17)を利用して実証した。これらのエピトープは、エピトープ2と重複していないか、1つも重複していない。すなわち、アポTCおよびホロTCの混合物に、まず、エピトープ4と結合するmAb 3C4、ついで、エピトープ6と結合し、異なるシグナルを付与するリガンドと共役する抗体を有するmAb 3C12に添加することにより、アポTCおよびホロTCの双方を、同一の試料で直接測定できる。同一のアッセイにおけるホロTCおよび全TCの同時測定は、また、捕獲sbpとしてb974−3t1を使用し、mAb 3C4(エピトープ4)およびmAb 4−7(エピトープ2B)を用いたホロTCおよび全TCを検出することにより達成できる。
【0093】
さらなる側面において、本発明は、本発明の分析方法に使用するキットを提供する。前記キットは、任意で標識されているかまたは固定化されているホロTC特異的結合パートナーであって、アポTCの少なくとも40倍を超える(例えば、50倍以上)ホロTC特異性を有する特異的結合パートナー;好ましくは、任意で標識されているかまたは固定化されているTC結合リガンド(任意);既知濃度の複数のホロTC溶液(任意);および前記分析方法の使用説明書(任意)を含む。
【0094】
以下の限定されない実施例を参照することにより、そして、添付図面を参照することにより、本発明をさらに説明する。
【0095】
図1aは、SPR“センサグラム(sensogram)”であり、エピトープ2特異的mAbによりチップに固定したホロTCへのmAb 3C4の結合(871RU)、および、アポTCの結合がないこと(0RU)を示す;
図1bは、捕獲リガンドとしてmAb 5H2(エピトープ2)である場合の図1に相当する。ホロTCへのmAb 3C4の結合(185RU)およびアポTCとの結合がないこと(0RU)を示す;
図2は、野生型ホロTCおよびアポTCに対する本願明細書に記載の様々な抗体の親和性および特異性を示す;
図3aは、本願明細書に記載のエピトープマッピング法により作成したTCの“エピトープマップ”を示す;
図3bは、本願明細書に記載のエピトープマッピング法により作成したTCの修正“エピトープマップ”を示す;
図3cは、本願明細書に記載のエピトープマッピング法により作成したTCのさらなる修正“エピトープマップ”を示す;
図4aは、捕獲抗体として抗体3C4を利用し、本願明細書に記載のホロTC分析方法に、ホロTCの標準溶液を適用した結果を示す;
図4bは、捕獲抗体として抗体3C4を利用し、吸光検出を使用した本願明細書に記載のホロTC分析方法に、ホロTCの標準溶液を適用した結果を示す;
図4cは、捕獲抗体としてホロTC特異的単一鎖抗体を利用し、本願明細書に記載のホロTC分析方法に、ホロTCの標準溶液を適用した結果を示す;
図4dは、捕獲抗体として抗体3C4を利用し、発光検出を使用した本願明細書に記載のホロTC分析方法に、ホロTCの標準溶液を適用した結果を示す;
図5aは、本発明の分析方法において、ホロTCおよびアポTCの標準混合物から得られた標準曲線を示し、捕獲抗体上のホロTCに結合した検出リガンドmAb 3C4の量を示す;
図5bは、捕獲抗体上のホロTCに結合した検出リガンドとしてのmAb 3C4の量を示す図5aと同等の曲線であって、捕獲抗体は、mAb TC7である;
図6aは、本願明細書に記載の分析方法と市販のホロTCアッセイとの比較を示す;
図6bは、本願明細書に記載の分析方法と市販のホロTCアッセイとのさらなる比較を示す;
図7aは、エピトープ4(3C4)およびエピトープ5(5C2)に対して特異的な抗体の、ホロTCおよびアポTCの固定化混合物への連続的な結合を示す;
図7bは、前記捕獲リガンドが、mAb TC7である以外は、図7aと同一の結合を示す;
図8は、既知の割合で固定化したホロTCおよびアポTCに対するエピトープ4(3C4)および6(3C12)への相対的な結合を示すTCコバラミン飽和標準曲線を示す;
図9は、エピトープ4(3C4)およびエピトープ6(3C12)に対して特異的な抗体の、固定化したホロTCおよびアポTCの混合物への連続的な結合を示す;
図10は、種々の濃度での多糖ヘパリンにより生じるTCと本願明細書に記載の様々なmAbとの間の結合阻害を示す;
図11は、SPR“sensogram”であって、mAb 3C4によりチップに固定化したホロTCと、アプタマーb974−3t1の結合を示す。ホロTCに代えてアポTCを使用した場合、mAb 3C4がアポTCを認識しないため(それゆえ、捕獲できない)、応答が見られない;
図12は、アプタマーb974−3t1により捕獲されたホロTCおよびアポTCと、エピトープ4(3C4)およびエピトープ2B(4−7)に特異的な抗体との連続的な結合を示す(下向きの矢印は、注入時期を示す)。捕獲されたアポTCに3C4を注入した場合、エピトープ4が存在しないため、応答が見られない;
図13aは、ヒトTCのエピトープ4の構造を示す;
図13bは、ヒトTCのヘパリン結合部位の構造を示す;
図14は、ホロTCで特定された様々なエピトープの模式図を示す;
図15aは、3C4のパラトープとホロTCの好ましいエピトープ領域との間の相互作用を示す;
図15bは、前記3C4の拡張パラトープと、ホロTCのエピトープ領域との間の相互作用を示す。
【実施例1】
【0096】
ヒトトランスコバラミンおよびヒトホロトランスコバラミンに特異的なマウスモノクロナール抗体の開発
1.1)免疫付与
BALB/c雌マウスに、AdjuPrime Immune modulator(Pierce、IL、USA)と混合した組換えヒトホロTCを20μg腹腔内(i.p.)へ注入し、その後、4週間隔で、20μgの2ブースター注入した。
【0097】
1.2)融合
最終ブースター4日後、脾臓を除去し、PEG(Boehringer Mannheim、Germany)を用いて、脾細胞を、HAT(Hypoxanthine、Aminopterin、Thymidine;Sigma)感受性プラズマ細胞種OUR1(X63−Ag8.653のサブクローン)と融合した。融合生成物を、HATを含む培地(10%CPSR3(Sigma)を加えたDMEM/Ham’s F12(Invitrogen))を入れた5×96Fトレイ(Nunc)にプレートした。1週間後、融合生成物に、HT(sigma)を含む培地を与えた。
【0098】
1.3)初期スクリーニング
2週間後、ハイブリドーマを、固相キャプチャーアッセイを用いてスクリーニングした。前記細胞培地を、ヒツジ抗−マウスIgG抗体(Merck−Estapor、France)で被覆した1μmの磁化ビーズの1%(w/v)懸濁液10μLと混合し、室温で1時間保持した。前記マウスモノクロナール抗体を結合した磁化ビーズを、磁石を用いて単離し、1mLのリン酸緩衝液(pH7.2、0.15M NaClおよび1mg/mLウシ血清アルブミン)で4回洗浄した。洗浄したビーズを、57Co−標識コバラミン(ICN、USA)で前処理し、血清中のアポTCを、57Co−標識ホロTCに替えたプール血清(Scantibodies、USA)100μLに懸濁した。前記混合物を室温で30分間保持し、前記ビーズを、磁石を用いて単離した。前記ビーズに関連した放射能を、ガンマカウンターで計測した。
【0099】
1.4)クローニング
抗−TC抗体陽性のウェルを、Balb/c腹膜フィーダー細胞(ウェルあたり10000)を予め撒いた96ウェルトレイ(Nunc)で、限界希釈によりクローニングした。陽性クローンを選択し、100%のサブクローンが、特異的な抗体を産生するまで再クローニングした。細胞のストックを、液体窒素で10%DMSO(Sigma)を含むCPSR3(Sigma)中で凍結した。
【0100】
1.5)2次スクリーニング
細胞培地からの抗体を、前記磁化ビーズで単離した。10μLの抗体被覆ビーズを、前記したとおり、組換えヒトアポTCまたはホロTC濃度を増加させた存在下で、57Coで予め標識した血清と混合した。
【0101】
前述のように調製し、以下の抗体を発現するマウスキメラ細胞系を、Axis−Shield ASAの名において、欧州細胞カルチャーコレクション((ECACC)、Porton−Down、Salisbury、Wiltshire、SP4 OJG、UK)に預けた。
【0102】
【表1】

【0103】
本願明細書で使用する場合、前記エピトープの番号は、対応する抗体に結合したTCおよび/またはホロTCのエピトープの表示に使用する。
【実施例2】
【0104】
選択したモノクロナール抗体の親和性および特異性
前記モノクロナール抗体の親和性および特異性を、Biacore(登録商標)装置(Biacore、Sweden)を用いて表面プラズモン共鳴により評価した。
【0105】
2.1)ウサギ抗−マウスIgGポリクロナール抗体またはマウスモノクロナール抗体の、デキストラン被覆CM5チップへの固定化
デキストラン被覆CM5チップ(Biacore、Sweden)のカルボキシル化表面を、業者が提供したプロトコルに従って活性化した。つまり、0.05M N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)/0.2M N−エチル−N’−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)を、カルボキシル化したチップに、10μL/分で7分間注入し、ついで、10mM酢酸緩衝液(pH5.0)に50μg/mLとなるように溶解したウサギ抗−マウスIgGポリクロナール抗体を、10μL/分で7分間注入し、最後に、前記チップに、1Mエタノールアミンを10μL/分で7分間を注入することによりブロッキングした。前記デキストラン被覆チップマウスモノクロナール抗体の固定化は、同様にして行った。
【0106】
2.2)マウスモノクロナール抗体の、ウサギ抗−マウスIgG被覆デキストランチップとの結合
生成された状態で入手できないマウスモノクロナール抗体、すなわち、デキストラン被覆チップ上に直接固定化できないマウスモノクロナール抗体(実施例2.1)を、ウサギ抗−マウスIgG被覆デキストランチップと結合した。抗体を、0.01M HEPES緩衝液(pH7.4、0.15M)、0.003M EDTAおよび0.005%(v/v)界面活性剤P20(HBS−EP)で、約50μg/mLとなるように希釈し、前記チップに5μL/分で3分間注入した。モノクロナール抗体の結合をリアルタイムで追跡し、結合した質量をsensorgramで、RU(屈折単位(refractive units))で記録した。
【0107】
2.3)アポTCおよびホロTCのマウスモノクロナール抗体との結合
アポTCおよびホロTCを、異なる濃度にHBS−EPで希釈し、マウスモノクロナール抗体を固定化したチップに、5μL/分で3分間注入した。異なる濃度のアポTCおよびホロTCの結合のオンとオフとを記録し、親和定数を評価した(表1)。この方法により得られる典型的なセンサグラムを、図1aおよび1bに示す。
【0108】
2.4)エピトープマッピング
前記エピトープ特異性パターンを、17つのmAbのパネルで特徴づけ、機能的なエピトープマップを作成した(表1)。抗体をホロTCまたはアポTCと二つ組で結合させた。第1のmAbを、実施例2.1に記載したデキストラン被覆チップ上に固定化するか、または、前記抗−マウスIgGチップに固定化した。後者の場合、ついで、1:10で希釈したマウス血清を、前記抗−マウスIgGチップの結合部位を過剰飽和させるために注入した。ホロTCまたはアポTCを注入し、第1のmAb、続いて第2のmAbを結合させた。全てのmAbを可能な全ての順列で組み合わせ、同時に結合できないか、または第1の抗体により障害が生じた結合は、それぞれ、完全、部分重複とみなした。重複データに基づき、ついで、エピトープマップを構築した(図3a)。ついで、下記実施例17の結果に基づき、このエピトープマップを図3bに示すように拡張した。ついで、前記エピトープマップを拡張し、図3cに示すように、実施例18および19に記載のエピトープ領域に適応させた。表2は、各種類のエピトープに結合する抗体のデータを示す。
【0109】
エピトープ4および5に対するモノクロナール抗体は、アポTCとの結合の相違にのみ分離できる。前記エピトープがホロTCと完全に重複したのに対し、エピトープ4はアポTCで認められなかった(または、非常に弱く認められた)ため、アポTCと完全に分離した。
【0110】
TCは、内因性多糖ヘパリンに対する結合部位を有することが知られている。また、ホロTCと種々のmAbとの間の相互作用に対する平均分子量12000Daの非分画ヘパリンの阻害効果を試験した。図3bに示すように、前記ヘパリン結合部位が、エピトープ6と大きく、エピトープ4と若干、そして、エピトープ2Aとはより小さい度合いで重複することが分かった。
【0111】
さらに、エピトープ6抗体3C12の精製製品を用いた実験では、このエピトープが、エピトープ1および2と部分的に重複することが明らかになった。
【0112】
Fares Namour博士により、親切にも、TC遺伝子のエクソン内に隠れたスプライシング部位を有し、発現したTCにおいて27アミノ酸(117−144)欠如を生じるTC欠乏患者由来の血液試料が提供された。前記変異TCは、mAb3−9で認識されたが、mAb2−2では認識されなかった。これは、エピトープ2が、配列117−144と著しく重複することを示す。共通のTC多型P259Rは、前記いずれの抗体による認識にも影響を及ぼさなかった。
【0113】
【表2】

−New York大学からの抗体
丸括弧内の抗体は、mAb#1と部分的に重複する。
【0114】
【表3】

−New York大学からの抗体(Ulleland et al、Clin Chem48:526−32;(2002))、比較目的を含む。
KDは、ホロTCに対する値である。
エピトープ2は、ヘパリン(前記参照)およびアプタマーb974−3t1(実施例15および表11参照)で得られた結果に基づき、2つのサブグループAおよびB再分割した。
アポTCに対するKd値が高く、アポTC製品中に微量(<1%)のホロTCが存在することにより、特異性が70倍より多いことを明白に確認できなかった。
【実施例3】
【0115】
血清中のモノクロナール抗体の特異性
3.1)ヤギ抗−マウスIgG被覆磁化粒子へのモノクロナール抗体の固定化
モノクロナール抗体を、約7μg/mLとなるように、1mg/mL BSAを含むPBS(pH7.4)に希釈し、0.2%(w/v)ウサギ抗−マウスIgG被覆磁化粒子(直径0.8μm)(Merck Eurolab、France)と、1時間、室温で混合した。ついで、ビーズを磁石を用いて単離し、1mg/mL BSAを含む冷PBSで3回洗浄し、1mg/mL BSAを含むPBSに懸濁した。
【0116】
3.2)固定化モノクロナール抗体への野生型ホロTCの結合
磁化ビーズに結合したモノクロナール抗体(3.1)10μLを、57Co−コバラミン(約50fmol;ICN、USA)で前処理し、全てのアポTCを、57Co−標識ホロTCに替えた血清100μLと混合し、そして、室温で1時間保持した。ついで、ビーズを、磁石を用いて沈殿させ、1mg/mL BSAを含む冷PBSで2回洗浄し、磁石による沈殿後、ガンマカウンターで計測した。
【0117】
3.3)固定化モノクロナール抗体への野生型アポTCの結合
磁化粒子に結合したモノクロナール抗体(3.1)10μLを、100μLの血清と混合し、室温で1時間保持した。ついで、ビーズを、磁石を用いて沈殿させ、上清を取った。前記ビーズを、1mg/mL BSAを含む冷PBSで2回洗浄し、磁石による沈殿後、1mg/mL BSAおよび57Co−コバラミン(約50fmol)を含むPBS100μLに懸濁し、室温で1時間保持し、磁石により前記ビーズを沈殿させた後、1mg/mL BSAを含むPBSで2回洗浄し、ガンマカウンターで計測した。前記血清上清に存在するアポTC量を評価するために、これらを57Co−コバラミン(約50fmol)で処理し、ついで、高親和性抗TC抗体で被覆した磁化ビーズ10μL処理した。前記磁化ビーズの量は、血清試料中の実質的にすべてのTCを結合する能力を有する(Ulleland et al、Clin Chem 48:526−32;2002参照)。前記ビーズを、磁石を用いて沈殿させ、ガンマカウンターで計測した。
【0118】
3.4)野生型ホロTCに対するモノクロナール抗体の特異性
前記モノクロナール抗体によるホロTCおよびアポTCの結合を、モノクロナール抗ヒトTC抗体の結合と比較した。前記モノクロナール抗ヒトTC抗体の結合は、血清からホロTCおよびアポTCを定量的に除去して予め確認した(Ulleland et al、Clin Chem48:526−32;2002参照)。その結果を、図2に示す。エピトープ4に対して特異的なモノクロナール抗体は、ホロTCに結合したが、検出可能な量のアポTCとは結合しなかった。その他のエピトープに対する抗体は、ホロTCおよびアポTCの双方に結合した。
【実施例4】
【0119】
mAb 3C4でのファージ提示ペプチドライブラリのバイオパンニング
ジスルフィド環化した13merのペプチドライブラリ(Cosmix Molecular Biologicals GmbH、Germany)を選別した。充分な可変性(>10変異)のペプチドライブラリであって、好ましくは自由度が制限されているものを使用した。
【0120】
4.1)mAb 3C4のカップリング手順
Dynal(登録商標)カルボキシビーズ20μLを、0.005%Tween20を含むPBS(PBST)1mLで3回洗浄した。ビーズの活性化は、100μLの0.5M EDC/0.1M NHSで、10分間、室温で行った。4μgのmAb 3C4を、100μLの酢酸緩衝液(pH4.0)中で、45分間、室温で前記ビーズに固定化した。ブロッキングは、PBSに溶解した100mMのエタノールアミンで行った。ブロッキング後、前記ビーズを、PBSで3回洗浄した。
【0121】
4.2)パンニング手順
各ライブラリの約1012のパッケージされたファージミドを、20μLの3C4−被覆ビーズで、時間インキュベートした。コントロールとして、対象のないカルボキシビーズ20μLを使用した。インキュベート後、ビーズを、PBSTで洗浄した。充填したファージミドの溶出を、グリシン−HCl(pH2.2(Gly))で、10分間行った後、すぐに、Tris−HCl(pH8.0(Tris))で中和した。結合したファージ粒子の増幅および精製は、標準的な手順に従って行った。つまり、1mLのファージを、1mLのログフェーズのE.Coli細胞に移した。振とうすることなく30分間培養した後、37℃で振とうしながら30分間さらに培養した。1000gで10分間遠心し、1mLの2TY−培地(16gトリプシン、10g酵母エキスおよび1Lあたり5gのNaCl、pH7.0、滅菌)に懸濁し、バクテリアを、100μg/mLアンピシリンおよび1%グルコースを含む大きな四角プレートにプレートした。30℃で一晩プレートを培養した。次の日、10mLの2TYを加え、プレートの細胞をばらばらにした。100μg/mLアンピシリンおよび1%グルコースを含む2TY50mLに、100〜500μL加え、37℃で、OD600が約0、5になるまで約2時間生育させた。10倍過剰のヘルパーファージ、例えば、M13ファージを加え、37℃で30分間、振とうすることなく培養した後、振とうしながら30分培養した。1000gで遠心し、100μg/mLアンピシリンおよび50μg/mLカナマイシンを含む2TY 50mLに細胞を懸濁した。30℃で1晩培養し、2500gで15分間回転し、上清を新しいチューブに移して、そこに、1/5体積の20%PEG、2.5M NaClを加えた。氷上で1時間培養し、2500gで15分間遠心して、ペレットを1mLのPBSに懸濁し、12000gで2分間回転して残りのバクテリアを除去し、上清を新しいチューブに移して、そのうちの100μLを次の段階の選別に使用した。第2段階のパンニング後、定量的な濃縮が、すでに観察された。第2および第3段階からのクローンをシーケンスした。様々なクローンが、何度も生じており、2つのモチーフを形成する、全部で7つの異なる配列が得られた。
モチーフ1(配列番号10〜14):
CSYXWDXCS
CSは、骨格の部分であり、
=F、G、L
=L、P、Q
=D、F
=F、L、R
=M、Q、Y
=M、R
モチーフ2:
CSFFYSLCYCWCS(配列番号15)
4.3)ELISAによるスクリーニング
マイクロタイタープレートを、100μLの1μg/mL mAb 3C4、または、無関係のコントロール抗体で、PBS中で、4℃で一晩被覆した。残りの結合部位を、PBS中の20mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)で1時間ブロッキングした。一部のウェルは、BSAのみで被覆した。モノクロナールパッケジファージミドを、ウェルあたり1010ないし10cfuの濃度でPBSに添加し、1時間培養した。プラスミド調製物を遠心し、凝集物を除去した。ウェルを、0.1%Tween−20を含むPBSで6回洗浄し、PBSで3回洗浄した。結合したファージを検出するために、抗M12抗体(例えば、ファルマシア)を結合したホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)100μLをPBSで1/5000に希釈し、各ウェルに加え、室温で1時間培養した。ELISAプレートを、0.1%Tween−20を含むPBSで5回洗浄し、PBSで3回洗浄した。Hを追加したクエン酸(pH4.0)に溶解した色素基質o−フェニルジアミンを加え、その発色反応を、2M HSOの添加により、2〜5分後に停止させた。結果を、下記の表3に示す。
【0122】
【表4】

下線を施したアミノ酸は、保存され、かつ、前記ライブラリの骨格部分である。
【実施例5】
【0123】
表面プラズモン共鳴により選択したファージの特異性の評価
抗体は、実施例2に記載の通り、デキストラン被覆CM5チップに共有結合により固定した。ファージを、HBS−EP中で10倍希釈し、10μL/分で3分間注入した。結合したファージミドの量を、リアルタイムで記録し、応答単位(RU)で表した。ホロTCによるブロッキングを評価するために、10μL/分で3分間のファージミドを注入する前に、1μMのホロTCを、10μL/分で5分間注入した。阻害は、ホロTCで前処理した3C4に結合したファージミドのRUの数を、前処理を行わなかった結合RUの数で割って、100をかけることにより算出した。
【0124】
【表5】

RU:応答単位 n.d.:測定不可
【0125】
【表6】

New York大学からの抗体(Ulleland et al、Clin Chem48:526−32;(2002))。比較目的としての使用。
【実施例6】
【0126】
ホロTCの直接測定用アッセイ
6.1)モノクロナール抗体3−9のヨウ素化
IODO−GEN(登録商標)プレコートヨウ素化チューブ(Pierce、USA)および取扱説明書を用いて、mAb 3−9を125Iで標識した。つまり、濃縮IODO−GEN(登録商標)ヨウ素化試薬を50μg含むチューブを、1mLの0.025M Tris、0.4M NaCl、pH7.4(Tris)でリンスした。ついで、Trisに溶解した50μgの抗体を加え、室温で5分間、培養した。Trisに溶解した10mg/mLチロシンを50μL加え、5分間培養し、ついで、前記混合物を、10mLの0.01Mリン酸緩衝液、0.3M NaCl、0.01%メルチオレートおよび1mg/mL BSA、pH7.3で平衡にしたNAP−5カラムでクロマトグラフした。
【0127】
6.2)磁化ビーズへのホロTC特異的mAb 3C4の固定化
4mgのEstapor(登録商標)EMI−100/40(0.83μmの磁化ビーズ)を、氷冷した0.05MのMES緩衝液(pH6.0(MES))4mLで3回洗浄した。活性化は、42mLの0.063M EDC/0.33Mスルホン化NHSで、室温で15分間行った。活性化したビーズを、30mLのMESで2回リンスした。2.8mgのmAb 3C4を、室温で2時間、6.8mLのMES中で固定化した。ブロッキングは、5mg/mL BSA、0.05Mエタノールアミン(PBS)で行った。ブロッキング後、ビーズをPBSで3回洗浄し、40mLのPBSに懸濁した。
【0128】
6.3)捕獲抗体としてmAb 3C4を用いたホロTCアッセイ
800μLの血清を、800μLのPBSと混合し、ついで、mAb 3C4被覆磁化ビーズを50μL加えた。室温で1時間の培養後、ビーズを、磁気ラックを用いて分離し、1mg/mL BSA(PBA)を含むPBS400μLで3回洗浄し、400μLのPBAに懸濁した。ついで、50000cpmの125Iで標識したmAb 3−9を加え、室温で1時間培養した。ビーズを前記磁気ラックで分離し、400μLのPBAで3回洗浄し、ガンマカウンターで計測した。標準曲線を、組換えヒトホロTCで作成したキャリブレータを用いて構築し、前記試料と並行して行った。一般的な標準曲線を図4に示す。
【0129】
6.4)検出抗体としてmAb 3C4を用いたホロTCアッセイ
結合の様子を、表面プラズモン共鳴を用いてリアルタイムで追跡した。Biacoreの装置(Biacore(登録商標)、Sweden)で行った。TCのエピトープ2に対する抗−ヒトTCモノクロナール抗体を、前記実施例2.1に記載のとおり、デキストラン被覆CM5チップに固定化した。18ng/μLのホロTCおよびアポTCを15μL注入した後、前記抗体を固定化したチップを前記装置に入れた。ホロTCとアポTCとの割合は、0:100〜100:0に変化させたが、常に、全体量は同一の18mg/mLとなるようにした。ついで、50ng/μLのmAb 3C4を5μL注入し、結合した抗体の量を、センサグラムで記録した。図5aは、一般的な標準曲線を示す。図5bは、前記エピトープ2に対する捕獲リガンドが、mAb TC7である場合に同様にして得られた曲線である。
【0130】
6.5)ホースラディッシュペルオキシダーゼとモノクロナール抗体3−11の共役
mAb 3−11を、EZ−Link(登録商標)マレイミド活性化HRPキット(Pierce、USA)および取扱説明書を用いて、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)と共役させた。つまり、PBSに溶解したmAb 3−11を、25倍のモル濃度過剰のSATA(N−スクシンイミジル S−アセチルチオアセテート)(DMF(ジメチルホルムアミド))で改質し、30分後、90倍のモル濃度過剰のヒドロキシルアミンで、室温で2時間、脱保護した。チオール化した抗体を脱塩し、ついで、8倍過剰のEZ−Link(登録商標)マレイミド活性化HRPと、室温で1時間反応させた。前記共役物を、100倍過剰体積量のPBSで3回透析した。
【0131】
6.6)アルカリフォスファターゼと抗体3−11の共役
mAb 3−11を、EZ−Link(登録商標)スルホン化−NHS−LC−ビオチン化キット(Pierce、USA)および取扱説明書を用いて、ビオチン化した。つまり、PBSに溶解した10nmolのmAb 3−11を、20倍モル濃度過剰のスルホン化−NHS−LC−ビオチン(脱イオン水)と混合した。氷上で2時間保持し、ついで、PBSで平衡化したゲルろ過カラムでタンパク質を精製した。最後に、ビオチン化した抗体を、ストレプトアビジン−共役アルカリフォスファターゼ(Jackson Immuno Research Laboratories, Inc、USA)と結合させた。
【0132】
6.7)捕獲抗体としてmAb 3C4を用いたホロTC非同異性サンドイッチアッセイ
Maxisorbプレート(NUNC−Immuno(登録商標)、Denmark)を、PBSに溶解した10μg/mL mAb 3C4で、4℃で一晩被覆し、ついで、PBSに溶解した10mg/mL BSAで、室温で2時間、ブロッキングした。各ウェルに、血清を50μLおよびPBSを50μL加え、室温で30分間培養した。200μLのPBA+0.05%Tween(PBA+)で3回洗浄した後、100μLのHRP−共役mAb 3−11(実施例6.5参照)を加え、前記混合物を、室温で30分間培養した。各ウェルを200μLのPBA+で3回洗浄し、200μLのHRP−基質、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;Kirkegaard&PerryLaboratories、USA)を加え、10分間培養した。前記反応物を、100μLの0.12M HClで急冷し、その着色を450nmで測定した。典型的な標準曲線を図4Bに示した。
【0133】
6.8)捕獲抗体としてscFv 3C4を用いたホロTC非同異性サンドイッチアッセイ
Maxisorbプレート(NUNC−Immuno(登録商標)、Denmark)を、PBSに溶解した10μg/mL 抗−his−tag mAb(abcam、UK)で、4℃で一晩被覆し、ついで、10mg/mL PBS(PBS中)で、室温で2時間、ブロッキングした。各ウェルに、ホロTCを50μLおよびPBSを50μL加え、室温で30分間培養した。200μLのPBA+0.05%Tween(PBA+)で3回洗浄した後、100μLのHRP−共役mAb 3−11(実施例6.5参照)を加え、前記混合物を、室温で30分間培養した。各ウェルを200μLのPBA+で3回洗浄し、100μLのHRP−基質、TMB(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン;Kirkegaard&PerryLaboratories、USA)を加え、10分間培養した。前記反応物を、100μLの0.12M HClで急冷し、その着色を450nmで測定した。野生型および2つの人工変異体を用いた場合の典型的な標準曲線を図4Cに示す。
【0134】
6.9)捕獲抗体としてmAb 3C4を用いたホロTC非同異性ビーズアッセイ
50μLの血清および50μLのPBSを、mAb 3C4被覆磁化ビーズ10μLと混合した。室温で20分間培養した後、ビーズを、磁気ラックを用いて分離し、200μLのPBA+で6回洗浄し、100μLのAP−共役mAb 3−11に懸濁した。20分後、ビーズを前記磁気ラックで分離し、PBA+で6回洗浄し、Lumiphos(登録商標)Plus基質(Aureon Biosystems GmbH、Austria)を加え、ルミノメータで読み取った。典型的な標準曲線を図4Dに示す。
【実施例7】
【0135】
市販のアッセイとの比較分析
市販のホロTC用アッセイHoloTC RIA(登録商標)で測定してホロTC値が14pMから139pMの範囲である15個の血清試料を、実施例6.3に記載のホロTCアッセイにより定量した。2つの方法により得られた値を比較したところ、よい相関性を示した(r=0.96)(図6a)。
【0136】
市販のホロTC用アッセイHoloTC RIA(登録商標)で測定してホロTC値が24pmol/Lから148pmol/Lの範囲である24個の血清試料を、実施例6.7に記載のホロTCアッセイにより定量した。2つの方法により得られた値を比較したところ、よい相関性を示した(r=0.98)(図6B)。
【実施例8】
【0137】
ホロTCおよびアポTCのデュアルアッセイ
結合の様子を、表面プラズモン共鳴を用いてリアルタイムで追跡した。Biacore装置(Biacore(登録商標)、Sweden)で行った。前記捕獲抗体(TCのエピトープ2に対する高親和性抗−ヒトTCモノクロナール抗体)を、実施例2.1に記載のとおりに、デキストラン被覆CM5チップに固定化した。前記抗体を固定化したチップを、前記装置に導入し、その後、ホロTCおよびアポTCの混合物を15μL注入した。TCの全体量は、一定の18ng/μLとして、ホロTCとアポTCの相対量を変化させた。結合したホロTCの量は、400ng/μLのホロTC特異的抗体mAb 3C4を60μL注入することにより測定した。結合したmAb 3C4の量を、センサグラムで記録した。前記チップに洗浄処理を施し、ついで、25ng/μLのmAb TC2を5μL注入することにより、結合したアポTCの量を測定した。mAb TC2はTCに対して特異的であるが、ホロTC上のmAb 3C4と完全に重複する。すなわち、mAb 3C4に注入後、アポTCフラクションのみを検出する。図7aおよび7bは、第1の抗体により捕獲されたアポTCとホロTCとの相関関係、および、結合したmAb 3C4およびTCの量を示す。mAb 3C4は、低親和性抗体であるため、ホロTCの完全な閉塞は困難であることが分かった。一方、ホロTCだけで、全TCの6〜25%を構成するため、>90%閉塞は十分である。図7bにおいて、第1の抗体はTC7である。
【実施例9】
【0138】
ホロTCおよびアポTCのデュアルアッセイ
エピトープ4または5との重複がない抗−ヒトTC特異的モノクロナール抗体、例えば、エピトープ2に対する抗体を、前記実施例2.1に記載のとおりに、磁化ビーズに固定化した。分取した血清または血漿(100〜500μL)を、1/10の体積の前記固定化抗体および、任意でPBS(>100μL)と混合し、室温で30分間培養した。前記ビーズを、磁石を用いて沈殿させ、PBSで2回洗浄し、1mg/mLのBSAを含むPBSで懸濁した。シグナル付与基と共役させた過剰のmAb 3C4を加え、30分間培養し、ついで、前記ビーズを沈殿させ、上述のように洗浄し、1mg/mLのBSAを含むPBSで懸濁させた。異なるシグナル付与基と共役させた過剰のmAb TC2を加え、前記混合物を室温で30分間培養した。ビーズを沈殿させ、上述のように洗浄した。最後に、結合したmAb 3C4およびTC2を、それらの個々のシグナル付与基を用いて測定し、前記ホロTCおよびアポTC濃度を、標準曲線に書き加えることにより決定した。
【実施例10】
【0139】
ホロTCおよび全TC:TC飽和のデュアルアッセイ
結合の様子を、表面プラズモン共鳴を用いてリアルタイムで追跡した。Biacore装置(Biacore(登録商標)、Sweden)で行った。前記捕獲抗体(TCのエピトープ2に対する高親和性抗−ヒトTCモノクロナール抗体)を、実施例2.1に記載のとおり、デキストラン被覆CM5に固定化した。前記抗体を固定化したチップを、前記装置に導入し、その後、ホロTCおよびアポTCの混合物を15μL注入した。TCの全体の濃度は、一定の18ng/μLとして、ホロTCとアポTCの相対量を変化させた。400ng/μLのホロTC特異的抗体mAb 3C4を60μL注入することにより、結合したホロTCの量を測定した。結合したmAb 3C4の量を、センサグラムで記録した。前記チップに洗浄処理を施し、ついで、結合したTCの全体量を、100ng/μLのmAb 3C12を15μL注入することにより測定した。mAb 3C12はTCに対して特異的であり、エピトープ2および4と重複がないエピトープ6と結合する(図3)。mAb 3C4および3C12を、前記固定化ホロTC/アポTCと結合させることにより、ホロTCおよび全TCの双方の量を、絶対値又は飽和水準として測定し、表すことができる。図8は、TC飽和に対する典型的な標準曲線を示す。図9は、前記試料中における、ホロTCおよび全TCへの抗体3C4および3C12の結合を、それぞれ示す。
【0140】
表6は、モノクロナール抗体TC2および3C4の単一鎖Fv抗体フラグメントの配列である。
【0141】
VH配列は大文字で、続くリンカー配列を小文字で、最後にVL配列を小文字で示した。
【実施例11】
【0142】
mAb TC2および3C4に対応する単一鎖抗体フラグメント
TC2および3C4に対応する単一鎖抗体を作成し、シークエンスした。その配列を、表6に示す。各scFvに関して、重鎖可変領域(VH)を大文字で示し、続くリンカー配列を小文字で示し、さらに続く軽鎖可変領域(VL)を大文字で示した。表6に示す配列を有するscFvは、SPRチップを固定化し、結合定数を、実施例2に記載の方法を用いて、対応する全てのIgG抗体の結合定数と比較した。得られた結果を表7に示す。表7に示すように、scFvの特異性は、対応する全ての抗体の特異性と同等であった。
【0143】
(表6)−scFvの配列
TC2_ScFv
CAGGTGCAGCTGAAACAGTCAGGACCTGGCCTACTGCAGCCCTCCCAGAGCCTGTCCATCACCTGCACAGTCTCTGGTTTCTCATTAACTTACTATGGTGTACACTGGGTTCGCCAGTCTCCAGTAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGGAGTGATATGGAGTGGTGGAGACACAGACTATGATACAACTTTCATATCCAGACTGAGCATCAGCAAGGACAATTCCAAGGGCCAAGTTTTCTTTAAGATGACCAGTCTGCAAACTGATGACACAGCCATATATTACTGTGCCAGAGGAAGGACCTATGGTATCCACTTTGACTACTGGGGCCAAGGCACCACTCTCACAGTCTCCTCAggtggaggcggttcaggcggaggtggatccggcggtggcggatcgGACATTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCCCTGGCTGTGTCAGTAGGAGAGAAGGTCACTATGAGCTGCAAATCCAGTCAGAGTCTGTTCAACAGTAGAACCCGAAAGAACTACTTGGCTTGGTACCAGCAGAAACCAGGGCAGTCTCCTAAAGTTCTGATCTACTGGGCATCCACTAGGGAATCTGGGGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTGTGCAGGCTGAAGACCTGGCAATTTATTACTGCAAGCAATTTTATGATCTGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACGG(配列番号16)
3C4_ScFv
GAGGTGCAGCTTCAGGAGTCGGGACCTGGCCTGGTGAAACCTTCTCAGTCTCTGTCCCTCATCTGCACTGTCACTGGCTACTCAATCACCAGTGATTATGCCTGGAACTGGATCCGGCAGTTTCCAGGAAACAAACTGGAGTGGATGGGCTACATAAGCTACAGTGGTTCCACTAGCTACAACCCATCTCTCAAAAGTCGAATCTCTATCACTCGAGACACATCCAAGAACCAGTTCTTCCTGCAGTTGAATTCTGTGACTACTGAGGACACAGCCACATATTACTGTGCAAGACCCTATTACTACGGTATTAGGGGGTTTGCTTACTGGGGCCAAGGGACTCTGGTCACTGTCTCTGCAggtggaggcggttcaggcggaggtggatccggcggtggcggatcgGACATCCAGATGACTCAGTCTCCAGCCTCCCTATCTGCATCTGTGGGAGAAACTGTCACCATCACATGTCGAGCAAGTGAAAATATTTACAGTTATTTAGCATGGTATCAGCAGATACAGGGAAAATCTCCTCAGCTCCTGGTCTATAATTCAAAAACCTTAGCAGAAGGTGTGCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCAGGCACACAGTTTTCTCTGAAGATCAACAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGGGAGTTATTACTGTCAACATCATTATGTTACTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGGAAATAAAACGG(配列番号17)
(表7)scFvのアミノ酸配列
TC2_ScFv
QVQLKQSGPGLLQPSQSLSITCTVSGFSLTYYGVHWVRQSPVKGLEWLGVIWSGGDTDYDTTFISRLSISKDNSKGQVFFKMTSLQTDDTAIYYCARGRTYGIHFDYWGQGTTLTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMSQSPSSLAVSVGEKVTMSCKSSQSLFNSRTRKNYLAWYQQKPGQSPKVLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLT,ISSVQAEDLAIYYCKQFYDLWTFGGGTKLEIKR(配列番号18)
3C4_ScFv
EVQLQESGPGLVKPSQSLSLICTVTGYSITSDYAWNWIRQFPGNKLEWMGYISYSGSTSYNPSLKSRISITRDTSKNQFFLQLNSVTTEDTATYYCARPYYYGIRGFAYWGQGTLVTVSAGGGGSGGGGSGGGGSDIQMTQSPASLSASVGETVTITCRASENIYSYLAWYQQIQGKSPQLLVYNSKTLAEGVPSRFSGSGSGTQFSLKINSLQPEDFGSYYCQHHYVTPYTFGGGTKLEIKR(配列番号19)
【0144】
【表7】

【実施例12】
【0145】
市販の方法を用いたmRNAからの単一鎖抗体フラグメントの調製
12.1)mRNAの調製
純粋なmRNAを、QuickPrep(登録商標)mRNA精製キット(Amersham Biosciences)およびその取扱説明書を用いて、ハイブリドーマ細胞から調製した。
【0146】
12.2)cDNAへの変換
前記mRNAを、鋳型として使用し、cDNAを調製した。ランダムヘキサマープライマーを使用し、cDNA合成を準備し、cDNA:mRNAヘテロ二本鎖を、First−Strand cDNA合成キット(Amersham Biosciences)および取扱説明書を用いて合成した。
【0147】
12.3)VおよびV遺伝子のPCR
cDNA:mRNAヘテロ二本鎖を熱変性した。そして、軽および重プライマーミックス(Amersham Biosciences)由来のVおよびVドメインを増幅するために設計した特異的なプライマー存在下で、前記cDNA鎖PCRの鋳型として使用した。あるいは、文献(例えば、前記McCafferty)に公表されているこのようなプライマーを、標準的な合成方法により調製してもよい。
【0148】
12.4)増幅したVおよびV遺伝子の精製
増幅したVおよびV鎖PCRフラグメントを、2%低融点アガロースゲルで電気泳動により分離精製し、エチレンブロマイド染色した。前記VおよびVバンドを慎重に切断し、前記PCR産物を、S.N.A.P.(登録商標)ゲル精製キット(Invitrogen、cat.no. K1999−25)または類似の市販の製品で回収した。
【0149】
12.5)VおよびV遺伝子のscFv遺伝子へのアセンブリ
前記VおよびV鎖ドメインを、前記リンカーフラグメント(GGGS)を用いて結合し、完全なscFv配列を得た。前記リンカーは、VおよびVドメインが、それらの抗原結合構造を保持するのに充分な柔軟性に富み、VおよびVドメインを連結する。その他のリンカーはよく知られ、約15アミノ酸を含む。
【0150】
12.6)PCR増幅、切断およびファージミドとのライゲーション
前記scFv抗体を、制限酵素(Sfi IおよびNot I(Promega))部位を組み込んだプライマーを用いて増幅した。増幅したDNAを、実施例12.4のように精製し、これらの酵素で切断し、最後に、ファージミドpCANTAB−5E(Amersham Biosciences)にサブクローンした。
【0151】
12.7)溶性抗体のトランスフォーメーションおよび発現
前記scFv遺伝子を含むベクターを、エレクトロポレーションによりE.Coli細胞に導入し、前記ベクターが感染した細胞だけが生育する条件下で、細胞を生育した。好ましくは、E.Coli株を選択し、ペリプラズムスペース(例えば、HB2151)に合成したタンパク質を移すことである。
【0152】
合成したscFv抗体の精製を単純にするために、実施例12.6のscFv遺伝子を、前記抗体のC末端に“tag”を導入する発現ベクター(例えば、pCANTAB6;his−tag)にサブクローンしてもよい。前記“tag”はモノクロナール抗体により認識され、アフィニティークロマトグラフィー精製に使用してもよい。
【0153】
12.8)バクテリオファージ表面のscFv抗体のトランスフォーメーションおよび発現
scFv遺伝子を含む前記ベクターpCANTAB5Eを、E.Coli(例えば、TG1)のサプレッサ株に導入し、前記ファージ表面に前記scFv抗体を提示させる。scFv抗体を提示するファージ粒子を、基本的には実施例4.2に記載の通りに調製した。
【実施例13】
【0154】
ファージ提示を用いたscFv 3C4の親和性熟成
バクテリオファージの表面に提示したscFvライブラリ構築するために、基本的には実施例12の工程に従った。しかしながら、PCR突然変異方法は、工程12.6で取り入れた。いくつかのこのような方法が記載されているが、V−遺伝子全体に変異をランダムに誘導する変異性PCR(例えば、Genemorph(登録商標)ラダム突然変異キット、Stratagene、USA)またはチェーン−シャッフリング(例えば、Fragment Induced Diversity、FIND(登録商標)、Alligator Bioscience AB、Sweden)といった非局在突然変異手段が一般的に認識されている。後者の場合、前記鎖(表6)をシャッフルするために、少なくとも2つの異なるscFv抗体クローンを必要とする。ついで、前記ミュータントライブラリのバイオパンニングは、より高い親和性を有するクローンを選択するために行われる。
【0155】
13.1)変異性PCR増幅
scFv抗体DNAを、抗体V遺伝子用配列プライマーおよびTaqポリメラーゼを使用して、Taqポリメラーゼの適合度を減少させ、0.5〜2.0mM MnClの存在下、PCR増幅した。増幅したDNAを精製し、切断し、そして、実施例12に記載の通りサブクローンした。
【0156】
13.2)チェーン−シャッフリング(FIND(登録商標)、Alligator Bioscience AB)
少なくとも2つの異なるscFv抗体DNAを、エキソヌクレアーゼ(例えば、BAL31;Fermentas Life Sciences、Lithuania)で断片化し、一本鎖フラグメントの個体群を作成した。前記ssDNAフラグメントを、フェノール抽出/エタノール沈降により精製した後、実施例2.4に記載のとおり電気泳動した。前記ssDNAフラグメントを再構築し、前記フラグメントの3’および5’末をアニールするプライマー配列を用いてPCRにより増幅した。前記アニールされたscFVを精製し、実施例12に記載の通りサブクローンした。
【0157】
13.3)ミュータントライブラリのバイオパンニング
得られたライブラリは、個々のクローンの大きさが10〜10であった。ホロ−TCを実施例6.6に記載したようにビオチン化し、ストレプトアビジン被覆ビーズ(Dynabeads(登録商標)、Dynal Biotech、Norway)と結合させた。バイオパンニングは、基本的には実施例4.2に記載したように行った。ホロTC特異性に影響を及ぼすことを確実にするために、少なくとも100倍過剰のアポTC存在下で、バイオパンニングを行った。あるいは、ライブラリを過剰のアポTC固定化磁化ビーズで前処理した。
【0158】
13.4)ELISAスクリーニング
個々のファージ抗体クローンを、基本的には実施例4.3に記載のとおりにホロTC被覆マイクロタイタープレートを用いてELISAによりスクリーニングした。前記プレートは、ビオチン化したホロTCをスプレプトアビジン被覆マイクロタイターウェル(NUNC(登録商標)、Denmark)上に固定化することにより調製した。選択したファージ抗体を、実施例12.7に記載のとおり、形質転換し、溶性scFv抗体として発現させた。
【0159】
13.5)選択scFv抗体の評価
選択scFv抗体を、基本的には実施例2に記載のとおり表面プラズモン共鳴により評価した。精製した抗体調製物を、ホロTCを固定化したチップに注入した。前記ホロTCチップは、実施例2.1に記載の通りに調製したチップにホロTCを結合させるか、または、ストレプトアビジン被覆SAチップ(Biacore、Sweden)に、ビオチン化したホロTC結合させることにより調製した。得られた結果を、表9および10に示す。
【0160】
【表8】

【0161】
【表9】

【0162】
報告されているkoff値は、表9に示す値よりも一般的に高い。なぜならば、結合した抗原の量が、3500RUと比較して500RUとこの実験よりも低く、あまり再結合が起こらなかったためである。
【実施例14】
【0163】
scFv抗体の全長抗体型への再構成
標準的な組換えDNA手段(例えば、McCafferty J、Hoogenboom HRおよびChiswell DJ(ed.)(1996)Antibody Engineering−A practical approach、IRL Press、Oxford、UK)を用いて、cDNAクローンからのscFvを、マウスまたはヒト遺伝子定常領域に結合させることにより、前記scFv抗体フラグメントを、全長抗体に再構築した。キメラ重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子を、強力なウィルスプロモータ(例えば、hCMV−MIE)の制御下におき、抗体の短期間および安定した発現のために、細胞系COS−1(ATCC#CRL1650)または骨髄種細胞系NSO(ATCC#85110503)と共にトランスフェクションした。哺乳類IgG Fc(例えば、リウマチ因子)に対する自己抗体を妨げる危険性を最小限にするために、このような抗体にあまり感染しないIgG3型に再構築した。
【0164】
14.1)COS−1細胞のトランスフェクション
前記COS−1細胞を、トランスフェクションの前日に、ペトリ皿に配置した。発現させる遺伝子を含むプラスミドDNAを、例えば、Fugene(Roche)を用いて、前記細胞にトランスフェクトし、3日後、前記培地から抗体を回収した。
【0165】
14.2)NS0細胞のトランスフェクション
プラスミドDNAを、約10E7のNS0細胞に、氷上でエバポレーションによりトランスフェクトした。ついで、細胞を、トランスフェクトした細胞だけが生存可能な選択培地で成育させた。トランスフェクション後3週間で、抗体を細胞培地から回収した。
【実施例15】
【0166】
アプタマーb974−3t1のエピトープマッピング
18,000Daのアプタマーb974−3t1のエピトープ特異性を測定した。
【0167】
15.1)種々の抗−ヒトTC mAbに固定化したホロTCへのアプタマーの結合
10つの異なる抗−ヒトTC抗体のアレイを、ウサギ抗−マウスIgGで予め被覆したデキストラン被覆チップに固定化した。前記操作は、実施例2.2に記載の通りに行った。ホロTC(15μL、0.4μM)を注入し、前記mAbに結合させた後、アプタマーb974−3t1(15μL、1μM)を注入した。
【0168】
15.2)種々の抗−ヒトTC mAbの存在下および非存在下における固定化アプタマーによるホロTCの結合
アプタマーb974−3t1を、ストレプトアビジン被覆磁化粒子(0.8μm)に、実施例3.1と類似の方法で固定化した。なお、前記実施例において、前記抗−マウスIgG被覆粒子をストレプトアビジン粒子に替えた。ついで、実施例3.2に記載のとおり、9つの異なるTC特異性抗体存在下で、前記粒子に野生型ホロTCを捕獲させた。5H2および3C4を100μg/mLで試験した以外は、全ての抗体は10μg/mLとした。
【0169】
【表10】

【0170】
表11に示すように、アプタマーb974−3t1は、エプトープ6抗体および一部のエピトープ2抗体(2A)と完全またはほぼ完全に重複した。mAb3−9および5H2の一部の範囲では、あいまいな結果が得られた。前記アプタマーおよびmAbの双方は、1つの組み合わせではホロTCと同時に結合したが、他方ではそうではなかった。しかしながら、表現形式が、結合効率に影響を及ぼすことは珍しいことではない。同時に結合することは、少なくとも1つの実験において確認されたため、完全に重複するものは除いた。
【0171】
エピトープ6とアプタマーの強力な重複に基づいて、ヘパリンとの重複もまた極めて強力である(図3のエピトープマップおよび図10の阻害データ参照)。
【実施例16】
【0172】
ホロTC特異的抗体3C4によるホロTCの捕獲およびアプタマーb974−3t1による検出
結合の様子を、表面プラズモン共鳴を用いてリアルタイムで追跡した。Biacore装置(Biacore(登録商標)、Sweden)で行った。モノクロナール抗体3C4を、前記実施例2.1に記載のとおり、デキストラン被覆CM5チップに固定化した。前記抗体を固定化したチップを導入し、その後、0.4MホロTCまたはアポTCを15μL、続いて、15μLの1μmアプタマーb974−3t1を注入した。前記アプタマーは、約10RUのレベルまで捕獲したホロTCに結合し、捕獲したホロTCのRUあたり結合したアプタマーは、39mRUであった(図11、上部曲線)。アポTCは、ホロTCに特異的なmAb 3C4により捕獲されなかったため、アプタマーは、この第2のケースのいずれにおいても結合しなかった(図11、下部曲線)。
【実施例17】
【0173】
固定化したTC特異的アプタマーb974−3t1によるアポTCおよびホロTCの捕獲、mAb 3C4を用いた結合したホロTCの検出、エピトープ2抗体mAb4−7による全TC(アポTCおよびホロTC)の検出
17.1)ストレプトアビジン被覆SAチップへのアプタマーの固定化
ビオチン化アプタマーb974−3t1を、ストレプトアビジン被覆SAチップ(Biacore、Sweden)に固定化した。前記アプタマーを、0.01M HEPES緩衝液、pH7.4、0.15M NaCl、2mM CaClおよび2mM MgCl(HBS−P+)を加えた0.005%(v/v)界面活性剤P20で、約18μg/mLに希釈し、5μL/分で7分間チップに注入した。アプタマーの結合をリアルタイムで追跡し、結合した質量をセンサグラムでRU(応答単位)で記録した。前記アプタマーを約1500RUで前記チップに固定化した。
【0174】
17.2)固定化したアプタマーへのアポTCおよびホロTCの結合
アポTCおよびホロTCをHBS−P+で、約18μg/mLに希釈し、前記固定化したアプタマーを備えたチップに、5μL/分で7分間注入した。結合した質量を、センサグラムで記録した。
【0175】
17.3)TCおよびホロTCに特異的なモノクロナール抗体による結合したアポTCおよびホロTCの検出
ホロTCに特異的なモノクロナール抗体mAb 3C4を、HBS−P+に50μg/mLに希釈し、捕獲アポTCおよびホロTCを有するチップに、5μL/分で1分間注入した。その後、TCに特異性を有するが、ホロTCには特異性を有さず、mAb 3C4と重複しないエピトープを有するモノクロナール抗体を、5μL/分で1分間注入した。各mAbの結合した質量を、センサグラムで記録した。
【0176】
図12は、前記固定化したアプタマーによるアポTCおよびホロTCの捕獲、その後の、捕獲されたTCへのmAb 3C4および4−7の結合を示す典型的なセンサグラムを示す。図中の矢印は、TCの注入(inj.)、mAb 3C4の注入(3C4)、mAb4−7の注入(4−7)および洗浄(w)を示す。mAb 3C4は、捕獲されたホロTCにのみ結合し、mAb4−7は、アポTCおよびホロTCと同等によく結合した(表12)。図12に示すように、アプタマーb974−3t1は、アポTCよりもホロTCに対してわずかに特異性を示した(すなわち、ホロ型であった場合、前記チップに結合したTCの量がより多かった)。これは、約3倍と推測された。
【0177】
【表11】

【実施例18】
【0178】
ヒトトランスコバラミン3次元構造の初期予測
HMMSTR/Rosetta予測サーバを用いてシミュレーションを行った。前記HMMSTR/Rosettaサーバは、前記配列からタンパク質の構造:3つの状態(H、E、L)の形式の2次構造、バックボーンねじれ角(phi、psi)の形式の局部構造、コンテキストシンボル(ストランドおよびβターン)の形式の超二次構造、および座標形式の3次元構造を予測する。(C.Bystoff、V.Thorsson、D.Baker)HMMSTRは、配列構造モチーフのI−サイトライブラリに基づく隠れマルコフモデルである。I−サイトは、クエリーにおいて局在構造モチーフを予測し、ついで、これらをRosettaにより使用し、3次元構造を発生させる。Rosettaは、Kim Simons、David Baker、Ingo RudzinskiおよびCharles Kooperbergにより開発されたモンテカルロフラグメントインサートプロテインフォールディングプログラム(Monte Carlo Fragment Insertion protein folding program)である(Simons et al、1997)。前記ヒトトランスコバラミンのアミノ酸配列は、Swissprot ID番号P20062から取得した。
【0179】
図13は、予測したアポトランスコバラミンの欠失変異体(実施例2.4)の3次元構造を、リボン形式で示す。図13の上図には、mAb 3C4エピトープを備えたTCの正面を示す(実施例19参照)。前記エピトープは、赤色の球形で示す。図13の下図は、仮のヘパリン結合部位を備えたTCの背面を示す。前記ヘパリン結合部位は、球形で示す。
【0180】
27個のアミノ酸欠失の予測した空間近接および仮想ヘパリン結合部位は、前記欠失変異体と重複するエピトープ2に対する抗体が、ヘパリンおよびアプタマーb974−3t1により阻害され、これらが、ヘパリン結合部位に結合するという我々の実験的所見により裏付けられた(実施例2および13)。さらに、エピトープ6に対する抗体は、ヘパリンおよびアプタマーb974−3t1により阻害され、そして、エピトープ1および2抗体により、ある程度まで阻害されるため、前記3次元構造は、エピトープ6が前記ヘパリン結合部位を広げることを示す。
【0181】
図14は、前記ホロTC構造の漫画を、3面ピラミッドとして示し、実験データに基づく異なる抗体エピトープの局在性を示す。
【実施例19】
【0182】
ホロTC上のmAb 3C4のエピトープの初期予測
アポTCとコバラミンのドッキングおよびホロTCとmAb 3C4のドッキングのシミュレーションを、Cambridge Proteomics Ltdにより彼らが所有する独自のシミュレーション技術を用いて行った。アポトランスコバラミンのアミノ酸配列は、Swissprot ID番号P20062から取得した。前記鎖は、最初は、不規則に形付けられていた。前記それぞれのシステイン残基のイオウが、2.038±0.05Åの距離に到達する場合、システイン21ならびに267、83ならびに96、116ならびに309、および165ならびに205との間に形成されていると知られていたジスルフィド結合(SN Fedosov et al、J Biol Chem 1999;274:26015−20)が、形成されるようにプログラムした。前記3次元のコバラミン構造は、PDB登録番号1BMT(メチオニン合成酵素B12結合領域)から取得し、TCと反応する前に水で緩和した。文献で報告されているように、コバラミンの結合により、TCに著しい構造変化が生じた(E Hippe、Biochem Biophys Acta 1970;208:337−9)。
【0183】
我々は、前記mAb 3C4のCDR領域のアミノ酸配列(表7)を決定したように、初期構造は、ヒトIgG1モデルに挿入したmAb 3C4 CDR配列に基づいて行った(EA Padlan、Mol Immunol 1994;31:169−217)。可変領域は、最初、不規則に形作られていた。
【0184】
mAb 3C4とホロTCとの間の相互作用をシミュレーションすると、初期配向は、ホロTCのC165−C205とC末端(320−427)との間に示される抗体の結合領域を不規則に選択した。抗体とホロTCとの当初の距離は、10Åを超え、前記溶液のイオン強度は、50とした。
【0185】
全てのシミュレーションは、Intel Xeonプロセッサーを搭載したリナックスワークステーションで行った。
【0186】
前記エピトープは、ホロTCのアミノ酸として定義した。予測した複合体は、前記抗体のアミノ酸から<5Åに位置していた。36のアミノ酸はこれらの要件を満たしており、アミノ酸39−77+265−269、161−243および271−297(表13A)にわたる3つの個別の領域で分けることができる。近接したアミノ酸を含む前記エピトープを定義するアミノ酸残基の数は、68である(表13B)。前記エピトープは、前記タンパク質のトンネル付近に位置している(図13)。前記トンネルの一方の面には、コバラミンが結合する。
【0187】
前記抗体において、前記エピトープおよび拡張エピトープに対応するアミノ酸は、それぞれ、32および39であり、前記パラトープおよび拡張パラトープを構成していた。前記アミノ酸は、2つの領域、つまり、パラトープおよび拡張パラトープのVL鎖の14残基ならびに16残基およびVH鎖の18残基ならびに23残基のそれぞれに分けることができる(表14AおよびB)。
【0188】
前記パラトープ(抗体)と前記エピトープ(ホロTC)との間の相互作用および含まれる残基を、図15Aに示す。対応する拡張パラトープと拡張エピトープとの間の相互作用を、図15Bに示す。
【0189】
【表12】

【0190】
【表13】

【0191】
【表14】

【0192】
【表15】

【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1a】図1aは、SPR“センサグラム(sensogram)”であり、エピトープ2特異的mAbによりチップに固定したホロTCへのmAb 3C4の結合(871RU)、および、アポTCの結合がないこと(0RU)を示す。
【図1b】図1bは、捕獲リガンドとしてmAb 5H2(エピトープ2)である場合の図1に相当する。
【図2】図2は、野生型ホロTCおよびアポTCに対する本願明細書に記載の様々な抗体の親和性および特異性を示す。
【図3a】図3aは、本願明細書に記載のエピトープマッピング法により作成したTCの“エピトープマップ”を示す。
【図3b】図3bは、本願明細書に記載のエピトープマッピング法により作成したTCの修正“エピトープマップ”を示す。
【図3c】図3cは、本願明細書に記載のエピトープマッピング法により作成したTCのさらなる修正“エピトープマップ”を示す。
【図4a】図4aは、捕獲抗体として抗体3C4を利用し、本願明細書に記載のホロTC分析方法に、ホロTCの標準溶液を適用した結果を示す。
【図4b】図4bは、捕獲抗体として抗体3C4を利用し、吸光検出を使用した本願明細書に記載のホロTC分析方法に、ホロTCの標準溶液を適用した結果を示す。
【図4c】図4cは、捕獲抗体としてホロTCに特異的な単一鎖抗体を利用し、本願明細書に記載のホロTC分析方法に、ホロTCの標準溶液を適用した結果を示す。
【図4d】図4dは、捕獲抗体としてホロTCに特異的な単一鎖抗体を利用し、発光検出を使用した本願明細書に記載のホロTC分析方法に、ホロTCの標準溶液を適用した結果を示す。
【図5】図5aは、本発明の分析方法において、ホロTCおよびアポTCの標準混合物から得られた標準曲線を示し、捕獲抗体上のホロTCに結合した検出リガンドとしてのmAb 3C4の量を示し、図5bは、捕獲抗体上のホロTCに結合した検出リガンドとしてのmAb 3C4の量を示す図5aと同等の曲線であって、捕獲抗体は、mAb TC7である。
【図6】図6aは、本願明細書に記載の分析方法と市販のホロTCアッセイとの比較を示し、図6bは、本願明細書に記載の分析方法と市販のホロTCアッセイとのさらなる比較を示す。
【図7】図7aは、エピトープ4(3C4)およびエピトープ5(5C2)に対して特異的な抗体の、ホロTCおよびアポTCの固定化混合物への連続的な結合を示し、図7bは、前記捕獲リガンドが、mAb TC7である以外は、図7aに示す物と同一の結合を示す。
【図8】図8は、既知の割合で固定化したホロTCおよびアポTCに対するエピトープ4(3C4)および6(3C12)への相対的な結合を示すTCコバラミン飽和標準曲線を示す。
【図9】図9は、エピトープ4(3C4)およびエピトープ6(3C12)に対して特異的な抗体の、固定化したホロTCおよびアポTCの混合物への連続的な結合を示す。
【図10】図10は、種々の濃度での多糖ヘパリンにより生じた、TCと本願明細書に記載の様々なmAbとの間の結合阻害を示す。
【図11】図11は、mAb 3C4によりチップに結合したホロTCと、アプタマーb974−3t1の結合を示すSPR“sensogram”を示す。
【図12】図12は、アプタマーb974−3t1により捕獲されたホロTCおよびアポTCと、エピトープ4(3C4)およびエピトープ2B(4−7)に対して特異的な抗体との連続的な結合を示す(下向きの矢印は、注入時期を示す)。
【図13a】図13aは、ヒトTCのエピトープ4の構造を示す。
【図13b】図13bは、ヒトTCのヘパリン結合部位の構造を示す。
【図14】図14は、ホロTC上に識別された様々なエピトープの模式図を示す。
【図15】図15aは、3C4のパラトープとホロTCの好ましいエピトープ領域との間の相互作用を示し、図15bは、前記3C4の拡張パラトープと、ホロTCのエピトープ領域との間の相互作用を示す。
【配列表フリーテキスト】
【0194】
配列番号3 ヒトTCの結合領域Iのアミノ酸配列
配列番号4 ヒトTCの結合領域Iのアミノ酸配列
配列番号5 ヒトTCの結合領域IIのアミノ酸配列
配列番号6 ヒトTCの結合領域IIIのアミノ酸配列
配列番号7 ヒトTCの好ましい結合領域IIのアミノ酸配列
配列番号8 ミモトープ
配列番号9 ミモトープ
配列番号10 ミモトープ
配列番号11 ミモトープ
配列番号12 ミモトープ
配列番号13 ミモトープ
配列番号14 ミモトープ
配列番号15 ミモトープ
配列番号16 単一鎖抗体構築物TC2_scFv
配列番号17 単一鎖抗体構築物3C4_scFv
配列番号18 単一鎖抗体構築物TC2_scFv
配列番号19 単一鎖抗体構築物3C4_scFv


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アポTCの少なくとも40倍を超えるホロTC特異性を有するホロTC特異的結合パートナー。
【請求項2】
モチーフ SXYX WD X
(ここで、X=F、G、L
=F、L、R
=L、P、Q
=M、Q、Y
=D、F
=M、R)
または、モチーフ SFFYSLCYCWを含む制限ペプチドの少なくとも一つに対して、アポTCと比較して少なくとも40倍の親和性を有する請求項1に記載の特異的結合パートナー。
【請求項3】
ヒトTCの領域I、IIまたはIIIの少なくとも一つにおける少なくとも一つの箇所に結合する請求項1または2記載の特異的結合パートナー。
I)Leu39ないしLys77およびThr265ないしLys269
II)Ile161ないしVal243
III)Arg271ないしAsp297
【請求項4】
前記特異的結合パートナーとホロTCとの結合が、ホロTCおよびアポTCの双方の重複する部位に特異的に結合するパートナーにより阻害される請求項1から3のいずれかに記載の特異的結合パートナー。
【請求項5】
前記特異的結合パートナーが、抗体、単一鎖抗体、抗体フラグメント、抗体構築物、オリゴペプチド、DNAアプタマー、RNAアプタマー、オリゴヌクレオチドまたは小有機分子である請求項1から4のいずれかに記載の特異的結合パートナー。
【請求項6】
前記特異的結合パートナーが、欧州細胞カルチャーコレクションにアクセッションNo.02110741で預けられた抗体3C4である請求項1記載の特異的結合パートナー。
【請求項7】
試料中のホロTCを分析するための分析方法であって、前記試料を、ホロTC特異的結合パートナーと接触させる工程、および、ホロTCおよび前記特異的結合パートナーの合成共役物を検出する工程を含み、前記特異的結合パートナーが、請求項1から5のいずれかに記載の特異的結合パートナーである方法。
【請求項8】
前記ホロTCと特異的結合パートナーとの共役物を、前記共役物の特性により直接検出する請求項7記載の方法。
【請求項9】
競合を形成するさらなる共役物を検出することによるか、または、前記特異的結合パートナー、ホロTCおよびさらなるリガンドの共役物を検出することにより、前記ホロTCと特異的結合パートナーとの共役物を間接的に検出する請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記ホロTC特異的結合パートナーが、固定されているか、または固定化可能であり、それを用いて、ホロTCを捕獲する請求項7から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ホロTC特異的結合パートナーを用いて、固定化されているかまたは固定化可能な第2のリガンドにより捕獲されたホロTCを検出する請求項7から9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
モチーフ SXYX WD X
ここで、X=F、G、L
=F、L、R
=L、P、Q
=M、Q、Y
=D、F
=M、R
またはモチーフ SFFYSLCYCW
を含む制限ペプチドミモトープ、または、2以上のこれらのミモトープの構築物を使用することを含む請求項7から11のいずれかに記載のホロTC分析方法。
【請求項13】
前記ミモトープを、前記ホロTC特異的結合パートナーとの結合におけるホロTCに対する競争相手として使用する請求項12記載の方法。
【請求項14】
下記の工程を含む請求項7記載の方法。
i)対象の液体試料を、固定化されているかまたは固定化可能なホロTC特異的結合パートナーと接触させ、ホロTC:sbp共役物を形成する工程、
ii)前記特異的結合パートナーを、TCまたはホロTCに対する第2のリガンドと接触させ、前記第2のリガンドを結合したホロTCと結合させて、sbp:ホロTC:第2のリガンド共役物を形成する工程、
iii)結合していない第2のリガンドを、前記sbp:ホロTC:第2のリガンド共役物から分離する工程、
iv)ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物を、固定化されている状態から解離する工程、および/または、前記sbpからホロTC:第2のリガンド共役物を解離する工程(任意)、
v)ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物またはホロTC:第2のリガンド共役物の検出を促進するために、補基質または第3のリガンドを加える工程(任意)、
vi)ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物またはホロTC:第2のリガンド共役物を検出する工程、および
vii)ホロTC:sbp:第2のリガンド共役物またはホロTC:第2のリガンド共役物の検出量を、前記液体試料中のホロTC濃度と相関させて、液体試料中に存在するホロTCを測定する工程。
【請求項15】
さらに、前記液体試料中に存在するホロTCの濃度を、前記対象のコバラミン欠乏の有無と関連付ける工程を含む請求項14記載の方法。
【請求項16】
さらに、アポTCまたは全TCを測定することを含む請求項7から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ホロTC特異的結合パートナーを特定するための方法であって、前記特異的結合パートナーは、アポTCの少なくとも40倍を超えるホロTC特異性を有し、請求項2記載のペプチドミモトープ、その構築物、請求項3記載の領域IないしIIIの少なくとも1つの構築物で、潜在的な特異的なバインダーのライブラリをスクリーニングすることを含む方法。
【請求項18】
哺乳類または哺乳類でない対象にヒト−ホロTC特異的抗体を誘導する方法であって、請求項2記載のモチーフ、または、請求項3記載の領域IないしIIIの少なくとも一つを含む免疫原基質を、前記対象に投与することを含む方法。
【請求項19】
請求項7から15のいずれかに記載の分析方法に使用するキットであって、任意で標識されているか、または、固定化されたホロTC特異的結合パートナーであって、アポTCの少なくとも40倍を超えるホロTC特異性を有するホロTC特異的結合パートナーを含むキット。
【請求項20】
前記特異的結合パートナーが、請求項1から6のいずれかに記載の特異的結合パートナーである請求項19記載のキット。
【請求項21】
さらに、任意で標識化されているか、または、固定化されているTC結合リガンドを含む請求項19または20記載のキット。
【請求項22】
さらに、既知濃度のホロTC溶液を複数含む請求項19から21のいずれかに記載のキット。
【請求項23】
さらに、前記分析方法を実施するための説明書を含む請求項19から22のいずれかに記載のキット。
【請求項24】
さらに、既知濃度のアポTC溶液を複数含む請求項19から23のいずれかに記載のキット。

【図2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−516408(P2007−516408A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510259(P2005−510259)
【出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005167
【国際公開番号】WO2004/048414
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(502301425)アクシス−シールド エイエスエイ (6)
【Fターム(参考)】