説明

コプレーナフィルタ及びその形成方法

【課題】設計精度確保が容易な構造で、共振器における最大電流密度を低減し、電力損失の増大を回避すると共に、導体が超伝導材料で構成された場合においても超伝導状態の破壊を防止することができるコプレーナフィルタ及びその形成方法を提供する。
【解決手段】誘電体基板とその誘電体基板上に形成された中心導体および地導体よりなるコプレーナ共振器と、この共振器と結合部を介して結合されたコプレーナ型入出力端子部とを備えたコプレーナフィルタにおいて、コプレーナ共振器の地導体間隔および中心導体線路幅の一方を入出力端子部の対応する地導体間隔又は中心導体線路幅より大きくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィルタに関し、特に、移動通信、衛星通信、固定マイクロ波通信その他の通信技術分野において信号の送受信に利用されるフィルタの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロ波通信の送受信に適用されるフィルタとして、コプレーナ線路を用いたコプレーナフィルタが提案されている。コプレーナ線路の概念を図11を参照して説明する。
図11において、1は誘電体基板、2は中心導体、3aは第1地導体、3bは第2地導体を示す。中心導体2、第1地導体3aおよび第2地導体3bの3者は、誘電体基板1の共通の表面に互いに平行で共面状態に形成される。誘導性結合部を構成するに際してビアホールを必要としないことを始めとして、特性インピーダンスを変えずに小型化が可能であり、その設計の自由度は大きい。中心導体2の幅をwとし、中心導体2と第1地導体3aおよび第2地導体3bとの間の間隔をそれぞれsとしている。中心導体2の中心導体線路幅wと、第1地導体3aと第2地導体3bとの間の地導体間隔d(w+2s)とにより、コプレーナ線路の特性インピーダンスが決定される。
【0003】
図12を参照してコプレーナフィルタの従来例を説明する。
このコプレーナフィルタは、1/4波長に相当する電気長の中心導体2を誘電体基板1の表面に形成している。この誘電体基板1の同一表面において中心導体2の両側には、それぞれ間隔sを有して、第1地導体3aと第2地導体3bを中心導体2に対して平行に形成している。
信号が入力される第1入出力端子部4aの中心導体2と容量結合する中心導体R1は、容量結合の結合を強くする目的でお互いが櫛歯状に形成されギャップg1の間隔を空けて対抗して配置され、第1容量性結合部6aを構成する。第1容量性結合部6aの櫛歯と一体に形成される中心導体R1の他方の端は、短絡線路導体7aによって、第1地導体3aと第2地導体3bに接続され、第1誘導性結合部8aが構成される。この第1容量性結合部6aと第1誘導性結合部8aの結合点間をつなぐ中心導体R1によって第1共振器5aが構成される。
【0004】
短絡線路導体7aが接続される第1地導体3aと第2地導体3bの両側には、第1誘導性結合部8aの結合度を上げる目的で切り込み部20が形成され、見かけ上短絡線路導体7aが延長された形になっている。第1誘導性結合部8aを形成する中心導体2の中央部から更にXR2の長さ中心導体2が延長されて中心導体R2が短絡線路導体7aと一体に形成される。中心導体R2が長さXR2の長さ形成されたあと、ギャップg2の間隔を空けて入出力端子部4aと同一幅を持つ中心導体R3が長さXR3の長さ形成される。この中心導体R2と中心導体R3とのギャップg2によって第2容量性結合部6bが形成される。この第2容量性結合部6bと第1誘導性結合部8aの結合点間をつなぐ中心導体R2によって第2共振器5bが構成される。
【0005】
中心導体R3の他方の端は、短絡線路導体7bによって、中心導体R3が地導体3aと地導体3bに接続され、第2誘導性結合部8bが構成される。短絡線路導体7bが接続される地導体3aと地導体3bの両側には切り込み部21が形成され、見かけ上短絡線路導体7bが延長された形になっている。この第2誘導性結合部8bと第2容量性結合部6cの結合点間をつなぐ中心導体R3によって第3共振器5cが構成される。
第2誘導性結合部8bを形成する中心導体2の中央部から更にXR4の長さ中心導体R4が延長されて、中心導体R4が短絡線路導体7bと一体に形成される。中心導体R4の他方の端は、第2入出力端子部4bと容量結合する。中心導体R4と第2入出力端子部4bとは、容量結合の結合を強くする目的でお互いが櫛歯状に形成されギャップg3の間隔を空けて対抗して配置され、第3容量性結合部6cを構成する。この第2誘導性結合部8bと第3容量性結合部6cとの結合点を結ぶ中心導体R4によって第4共振器5dが構成される。
【0006】
第1共振器5aと第2共振器5bと第3共振器5cと第4共振器5dとが順次直列結合され1/4波長4段コプレーナフィルタが構成されている。
コプレーナ線路の特性インピーダンスは、上述した通り、中心導体の幅wおよび第1地導体3aと第2地導体3bとの間の地導体間隔d(w+2s)により決定されるが、一般に、従来のコプレーナフィルタを構成する共振器5a、5b、5c、5dの特性インピーダンスは、設計の容易性から入出力端子部4に接続される各種デバイスの特性インピーダンスと同一の50Ωで設計されている(非特許文献1 参照)。
このように従来においてコプレーナフィルタを製造するには、一般に特性インピーダンスが50Ωで入出力端子部の地導体間隔d1及び中心導体線路幅w1と共振器の地導体間隔
及び中心導体線路幅wとをそれぞれ同一として、目的とするフィルタ特性を満たすように設計し、誘電体基板上の導体被膜に対し、エッチング処理する。この結果得られたコプレーナフィルタに電力を供給し、超伝導状態が破壊しない最大の入力電力を決定していた。すなわちフィルタが出来た後でないと最大の入力電力レベルが決められなかった。
【非特許文献1】H.Suzuki,Z.Ma,Y.Kobayashi,K.Satoh,S.Narahashi and T.Nojima,“A low-loss 5GHz bandpass filter using HTS quarter-wavelength coplanar waveguide resonators,”IEICE Trans.Electron.,vol.E-85-C,No.3,pp.714-719,March 2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図13は従来のコプレーナフィルタの電流密度分布を示す図である。以下に説明するがこの図から理解される様に第1誘導性結合部8aと第2誘導性結合部8bの縁線9において電流密度が最大となり、これが電力損失を増大させる要因となっていた。
図13はコプレーナ線路の長さ方向をX軸位置に取り、これに直交する方向をY軸位置に取り、各座標の電流密度を縦軸に表現したものである。コプレーナ線路の入力から約8.5mmの位置にある第1誘導性結合部8aと、同じく入力から約20mmの位置にある第2誘導性結合部8bにおいて電流密度が約2200A/mと最大になる。図14に第1誘導性結合部8aの電流密度分布を拡大した図を示す。図14に示すX軸位置は図12に示す第1入出力端子部4aの信号の入力端を原点0とした長さであり、8.892mmの位置は短絡線路導体7a上にあり図12の線アで示す部分である。すなわち、短絡線路導体7aの右辺から入力側へ0.014mm戻ったX軸位置が図14の8.892mmの位置になる。図14はこの位置から出力側へ0.1mmの範囲の電流密度分布を表している。短絡線路導体7aと第1地導体3aが接合される角部αと短絡線路導体7aと中心導体R2が接する角部βの2箇所で特に電流密度が大きく、また、誘導性結合部8の結合度を高める目的で設けられた第1地導体3aの矩形状の切り込み部20の角部γに電流が集中している様子が分かる。このような電流集中のピークは短絡線路導体7aの幅の中心を中心線として線対称の位置関係にある各角部α、β、γにおいても発生するが、特にこの角部α、β、γの3箇所が大きい。もちろん第2地導体3bの側でも同じ傾向が見られ、中心導体R2側の角部の電流集中の方が大きい。
【0008】
従来のフィルタにおいて、この誘導性結合部の結合度を高める方法として短絡線路導体7aの幅を細くするか、又は地導体3に切れ込みを入れて短絡線路導体の実質上の長さを長くする方法が取られていた。これらの方法によると、誘導性結合部を構成する短絡線路導体の角部において電流集中が見られ、導体が超伝導材料で構成されるフィルタにおいては、たとえ共振器が臨界温度以下に冷却されていたとしても、臨界電流密度を超える電流集中が発生することによって超伝導状態が破壊されるといった問題があった。
また、短絡線路導体7a,7bの形状構造が微細、或いは複雑となり、設計精度の確保が困難になる課題があった。
【0009】
この発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、設計精度確保が容易な構造で、共振器における最大電流密度を低減し、電力損失の増大を回避すると共に、導体が超伝導材料で構成された場合においても超伝導状態の破壊を防止することができるコプレーナフィルタを提供することを目的とするものである。
また、従来の製造方法においては、コプレーナフィルタの製造後にフィルタ入力信号電力を決定するものであって、予め決められた入力信号電力に対し、所望特性のフィルタを作ることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明では、誘電体基板とその誘電体基板上に形成された中心導体および地導体よりなるコプレーナ共振器と、この共振器と結合部を介して結合されたコプレーナ型入出力端子部とを備えたコプレーナフィルタにおいて、コプレーナ共振器の地導体間隔および中心導体線路幅の一方は入出力端子部の対応する地導体間隔又は中心導体線路幅より大きくした。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、共振器における電流密度を極めて効率的に緩和し電力損失を抑制することができ、導体が超伝導材料で構成された場合においては、超伝導状態の破壊を防止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
【実施例1】
【0013】
この発明の第1の実施の形態を図3を参照して説明する。図3はこの実施の形態の1/4波長4段コプレーナフィルタを示す図である。図3は、図12で説明した従来のコプレーナフィルタの構成、即ち、4段の共振器から1/4波長4段コプレーナフィルタを構成している点は同一である。異なる点は、コプレーナフィルタを構成する共振器の最大電流密度を下げる目的で共振器の中心導体2の幅wと地導体3aと地導体3bの間の地導体間隔dの寸法をいずれかの値に選定するようにしたものである。従来技術で説明した図12と異なっている部分だけ説明する。信号が入力される第1入出力端子部4aの特性インピーダンスは接続されるデバイスの特性インピーダンスとの整合を図る観点から、例えば50Ωに設定している。第1入出力端子部4aの特性インピーダンスを50Ωにするために、この例では第1入出力端子部4aの中心導体幅を0.218mm、地導体間隔を0.4mmに設定している。第1入出力端子部4aから第2入出力端子部4bの間の共振器が配置される部分の地導体間隔dが0.4mmより大きく、最大1.78mm以下の範囲の値に設定してある。つまり、第1入出力端子部4aおよび第2入出力端子部4bの地導体間隔よりも共振器における地導体間隔の方が大とされてある。第1入出力端子部4aの次に構成される第1容量性結合部6aの容量結合端部51は、広げられた地導体間隔に合わせて、地導体方向に幅が拡張されている。容量結合端部51と対向して同形状の容量結合端部61が形成され、第1容量性結合部6aが構成される。第1容量性結合部6aを構成する容量結合端部61の中央部分(地導体間隔dの中央)から第1入出力端子部4aと同一の幅の中心導体R1が長さXR5形成される。XR5の長さ延長された中心導体R1の他方の端は、短絡線路導体7aによって、中心導体R1が第1地導体3aと第2地導体3bとに接続され、第1誘導性結合部8aが構成される。これら、第1容量性結合部6aと第1誘導性結合部8aの結合点間をつなぐ中心導体R1によって第1共振器5aが構成される。
【0014】
この第1の実施の形態は、誘導性結合部の結合度を高める目的で従来技術で用いられていた地導体部への切り込み形状を形成していない。すなわち、中心導体R1と地導体3a,3bとの間隔S2と、誘電性結合部8a,8bを構成する短絡線路導体7a,7bの長さLとが等しく形成され、地導体部分に矩形状の切り込み部が形成されない。
言い換えれば、短絡線路導体7aと地導体3aとは直角に接続され、その接続点の地導体側の縁は中心導体R1と平行に第1容量性結合部6aの位置まで延長されている。
この結果、短絡線路導体7aが製造の容易な単純な形状で出来ていて、電流が流れる線路上に形成される角部が少なくなっている。第1共振器5a以降の構成は、容量性結合部の結合端部の形状と誘導性結合部を形成する短絡線路導体と地導体部の接合部分に切り込み形状が形成されていない部分が異なるだけで、図12で説明した1/4波長4段コプレーナフィルタの構成と同一である。したがって、簡単に接続関係だけ説明する。
【0015】
第1共振器5aの後には、第1誘導性結合部8aと第2容量性結合部6bとその結合点間をつなぐ中心導体R2によって第2共振器5bが構成される。第2共振器5bの後には、第2容量性結合部6bと第2誘導性結合部8bとの結合点間をつなぐ中心導体R3によって第3共振器5cが構成される。第3共振器5cの後には、第2誘導性結合部8bと第3容量性結合部6cとその結合点間をつなぐ中心導体R4によって第4共振器5dが構成される。第4共振器の後は、第3容量性結合部6cを形成する地導体方向に幅の広い容量結合端部62とギャップg3を隔てて対向して形成される容量結合端部52と一体に形成される第2入出力端子部4bの構成となる。第2入出力端子部4bは、接続される外部デバイスとの特性インピーダンスの整合を取る目的で、中心導体幅wを0.218mm、地導体間隔dを0.4mmに設定し特性インピーダンスを50Ωにしている。
【0016】
この図3に示す構成の1/4波長4段コプレーナフィルタを構成する単一共振器において、共振器の中心導体線路幅wと共振器の地導体間隔dとの比kに対する最大電流密度との関係を、地導体間隔dをパラメータにシミュレーションした結果を図1に示す。このシミュレーションは、誘電性結合部の地導体部分の矩形状の切り込みは無い状態で行なった結果である。シミュレーションの条件は入力が電圧1Vppの正弦波、周波数5GHzで行った。図1の横軸は地導体間隔dに対する中心導体線路幅wの比k=w/d(以下kと略す)を示している。この例では、地導体間隔dをパラメータとして0.4、0.545、0.764、1.055、1.780mmの5水準でシミュレーションしている。したがって、図1の例では地導体間隔dが1.780mmの時を最大の中心導体線路幅とした。その範囲において0.035mmから1.744mm(地導体間隔dが1.780mmのとき)を可変範囲とした。地導体間隔dを一定として、中心導体線路幅wを大きくして行くと最大電流密度は二次曲線のような凹みを持つ形状の特性を示す。
【0017】
図1の中に細線でプロットしたデータは、中心導体幅wをw=0.218mm一定とした場合のデータである。地導体間隔dを0.4mmとするとk=0.54であり、このポイントを1.0として最大電流密度を規格化している。地導体間隔dを0.545mmとするとk=0.4で電流密度は約0.83に減少する。更に地導体間隔dを0.764mmとするとk=0.29で電流密度は約0.69に減少する。地導体間隔dを1.055mmとするとk=0.2で電流密度は約0.56に減少する。地導体間隔dを1.78mmとするとk=0.12で電流密度は約0.4に減少する。
このように中心導体線路幅wが一定であれば、地導体間隔dが大きい程、共振器の最大電流密度が低下する。
【0018】
更に詳しく図1を説明する。地導体間隔dが0.4mmのときにk=0.54で特性インピーダンスが50Ωになり、このポイントを最大電流密度1.0に規格化してある。最大電流密度が最小となるところから+10%の範囲を使用領域と設定すると、地導体間隔d=0.4mmのときは、最大電流密度が1.1以下になるkの範囲が0.20から0.73の範囲になる。
次に地導体間隔dが0.545mmのときは、k=0.47で最大電流密度が0.83で最小になる。したがって、+10%の範囲は最大電流密度が0.91を示すk=0.19からk=0.71が使用領域になる。
【0019】
次に地導体間隔dが0.764mmのときは、k=0.4で最大電流密度が0.68で最小になる。したがって、+10%の範囲は最大電流密度が0.75を示すk=0.13からk=0.76が使用領域になる。
次に地導体間隔dが1.055mmのときは、k=0.4で最大電流密度が0.55で最小になる。したがって、+10%の範囲は最大電流密度が0.61を示すk=0.11からk=0.75が使用領域になる。
次に地導体間隔dが1.780mmの時を見てみると、k=0.41で最大電流密度が最小になりこのときの最大電流密度が0.37で最小になる。この+10%の範囲は最大電流密度が0.41を示すk=0.12からk=0.70が使用領域になる。
【0020】
以上の結果から今回検討した地導体間隔dが0.4から1.78mmの範囲においては、k=0.20からk=0.70の範囲において、最大電流密度を最小値から+10%以下の値にすることが出来る。
このようにkの変化に対し最大電流密度が実質的に変化しない範囲における中央部と対応して、地導体間隔dと中心導体線路幅wとを設定する。このように設定された地導体間隔dと中心導体線路幅wとを、目的とするフィルタ特性を満たすように誘電体基板上の導体に対しエッチング処理をすることによりコプレーナフィルタを製造する。
【0021】
また、このkに対して最大電流密度が実質的に変化しない関係を求めて置くことで、要求仕様に合わせて簡単にフィルタを形成することが可能となる。
図1の中の太線は、共振器の特性インピーダンスZ0をZ0=50Ω一定とした点を結んだ線である。地導体間隔dが0.4mmのとき特性インピーダンスZ0を50Ωとする中心導体線路幅wはw=0.218mmであり、このポイントを最大電流密度1.0と規格化してある。地導体間隔dが0.545mmのときに特性インピーダンスZ0を50Ωとする中心導体線路幅wはw=0.325mmであり、電流密度は約0.84である。地導体間隔dが0.764mmのときに特性インピーダンスZ0を50Ωとする中心導体線路幅wはw=0.482mmであり、電流密度は約0.70である。地導体間隔dが1.055mmのときに特性インピーダンスZ0を50Ωとする中心導体線路幅wはw=0.707mmであり、電流密度は約0.56である。地導体間隔dが1.78mmのときに特性インピーダンスZ0を50Ωとする中心導体線路幅wはw=1.308mmであり、電流密度は約0.4である。
【0022】
このように共振器の特性インピーダンスZ0を例えば50Ω一定とした場合、中心導体線路幅wが大きい程、共振器の最大電流密度を低下させることが出来る。
最大電流密度の低減は、共振器における導体損失を低減させる効果もある。図2に共振器の無負荷Q値との関係を示す。図2の横軸は地導体間隔dに対する中心導体線路幅wの比k=w/d、縦軸は地導体間隔d=0.4mmの特性インピーダンス50Ωにおける無負荷Q値を基準1.0に規格化した値である。kが概ね0.25から0.55の範囲において、共振器の無負荷Q値が最大となる。コプレーナフィルタに対して低挿入損失性を要求する場合には、共振器の無負荷Q値が最大になる地導体間隔に対する中心導体線路幅の比kを設定するように構成するようにしてもよい。
【0023】
次に地導体間隔dと中心導体線路幅wとの比と特性インピーダンスとの関係について説明する。一般に分布定数線路上の電流と電圧の関係式は、
【数1】



【0024】
、V:進行波の電流値、電圧値
Ir、Vr:反射波の電流値、電圧値
γ:伝搬定数
α:減衰定数
β:位相定数
Z:特性インピーダンス
R:直列抵抗
L:直列インダクタンス
G:並列コンダクタンス
C:静電容量
で表され、分布定数線路上の電流値は特性インピーダンスに逆比例する。また、コプレーナ型線路における特性インピーダンスは、
【数2】



と表される。ここで、εeffはコプレーナ型線路の実効比誘電率、ηは自由空間の波動インピーダンス、K(k)は第1種完全楕円積分であり、’は微分を表す。
【0025】
更に、
【数3】



と表され、特性インピーダンスZは、kおよび誘電体基板の誘電率εと誘電体基板厚hで決定される。このように地導体間隔dと中心導体線路幅wとの比を適当に変えることで特性インピーダンスを可変することができる。
【実施例2】
【0026】
以上のことを勘案して、この発明の他の実施の形態を説明する。コプレーナフィルタを構成する共振器の最大電流密度を下げる目的で、共振器の特性インピーダンスを大きくした場合の検討を行なった。例えば、50Ωの特性インピーダンスを有する第1入出力端子部4aに100Ωの特性インピーダンスを有する共振器を組み合わせた場合である。先に説明した図3は、第1入出力端子部4aの特性インピーダンスが50Ωで、共振器の特性インピーダンスを100Ωとした場合の1/4波長4段コプレーナフィルタの構成を示している。第1入出力端子部4aの地導体間隔dを0.4mm、中心導体線路幅wを0.218mmとし、共振器の地導体間隔dを1.780mm、中心導体線路幅wを0.218mmとしている。
【0027】
この1/4波長4段コプレーナフィルタの実施例2における電流密度分布のシミュレーション結果を示す。図4はコプレーナ線路の長さ方向をX軸位置に取り、これに直交する方向をY軸位置に取り、各座標の電流密度を縦軸に表現したものである。コプレーナ線路の入力から約8.0mmの位置にある第1誘導性結合部8aと、同じく入力から約22mmの位置にある第2誘導性結合部8bにおいて電流密度が最大になる。その電流密度のピークは約1200A/mを示している。図5に第1誘導性結合部8aの電流密度分布を拡大した図を示す。図5に示すX軸位置は図3に示す第1入出力端子部4aの信号の入力端を原点0とした長さであり、8.159mmの位置は短絡線路導体7a上にあり図3の線イで示す部分である。すなわち、短絡線路導体7aの右辺から入力側へ約0.02mm戻ったX軸位置が図5の8.159mmの位置になる。図5はこの位置から出力側へ約0.1mmの範囲の電流密度分布を表している。短絡線路導体7aと中心導体R2が接する角部β1に電流が集中している様子が分かる。この角部β1に対向する角部β2でも電流密度の集中が見られるが、β1部分よりも小さい。(図5においては、図14とほぼ同範囲の電流密度分布を表す関係から電流の集中する角部α1を図示していない。)従来技術の説明で同じ第1誘導性結合部8aの電流密度分布を図14に示した。この図14とこの実施例2の第1誘導性結合部8aの電流密度分布を比較すると、まず電流密度のピークを示す山の数がこの例の場合の方が少ない。また、そのピークの値が約1200A/mと小さく約55%の大きさに抑えられている。ピークを示す山の数が少ない理由は、従来技術にあった地導体部の矩形状の切り込みがこの例では存在しないので、電流が集中する角部の数が減ったことによる。また、電流密度のピークが下がったのは、共振器の特性インピーダンスを100Ωと大きくした効果である。
【0028】
このように各共振器における電流密度の低減が図られ、最大電流密度も図13および図14と比較して約45%低減し、電力換算で約70%の低減となる。
尚、共振器の特性インピーダンスを100Ωとしたことで、第1入出力端子部4aと第2入出力端子部4bとで特性インピーダンスの不整合が発生する。これについては、第1入出力端子部4aでは、第1入出力端子部4aの後に接続される第1容量性結合部6aがインピーダンス変換器として働くことで、反射損失の発生を防いでいる。同じく第2入出力端子部4bでは第3容量性結合部6cがインピーダンス変換器として働く。図16に図3に示すコプレーナフィルタの周波数特性を示す。横軸は周波数で縦軸は利得である。図16の破線はフィルタの通過帯域を表し、実線は通過帯域中の信号の反射量を示す。帯域通過幅内の最大の反射が約-30dBと十分小さいことから特性インピーダンスの不整合によるロスは発生していないことが分かる。
【0029】
また、第1入出力端子部4a、第2入出力端子部4bの特性インピーダンス50Ωに対して、共振器の特性インピーダンスを100Ωとして説明したが、この発明は、この特性インピーダンスの組み合わせに限定されるものでは無い。たとえば、入出力端子部の特性インピーダンス50Ωに対して、共振器の特性インピーダンスを150Ωにすることも地導体間隔dと中心導体線路幅wとの比kを適当に変えることで容易にできる。図15に地導体間隔dに対する中心導体線路幅wの比k=w/dを変えた時の特性インピーダンスの変化の様子を示す。図15の横軸は対数軸でkを表し、縦軸は特性インピーダンスZ0である。kが0.54から0.65の範囲で特性インピーダンスが50Ω、kが0.1前後で特性インピーダンスが100Ω、kを0.01にすると特性インピーダンスを140Ω以上にすることが出来る。
【0030】
このようにkを小さくすれば、特性インピーダンスを大きくすることが可能である。しかし、単純に特性インピーダンスを大きくすれば最大電流密度が低減できる訳では無い。先に説明した図1に示すように、kが概ね0.25から0.55の範囲で最大電流密度が最小になる。したがって、kを小さくして特性インピーダンスを大きくすれば良いと言うことではない。図1からkが凡そ0.1以下から急激に最大電流密度が大きくなる。また、図15からk=0.1前後は特性インピーダンスが100Ω程度を示すことから、特性インピーダンスを100Ω以上にしても最大電流密度低減の効果は少ない。kを約0.08以上、インピーダンスで100Ω以下に設定するのが妥当である。
【0031】
また、この実施例では4つの共振器を直列に接続した例で説明したが、共振器の数は4つに限定されない。共振器は1段でもフィルタの機能を果たすことが出来る。例えば共振器が1段の場合は、図16に示した周波数特性の実線で示す反射特性が急激に減衰している部分が一箇所だけになり、破線で示す通過帯域特性も反射特性が急激に減衰している周波数で急峻なピークを持つ細い山状の特性となる。このように通過帯域は狭くなるがフィルタとしての機能を持つ。共振器1段で構成したフィルタの一例を図17に示す。第1容量性結合部6aを構成する容量結合端部51と容量結合端部61の形状が図3と異なっている。これは第1容量性結合部6aの結合の強さを図3の第1容量性結合部6aよりも弱くした例を示している。容量性結合部の結合の度合いが弱い場合には、このように第1入出力端子部4aと中心導体R1のそれぞれの端部が容量結合端部を兼ねることもある。それ以外の構成は図3と同一であり、対応する部分の参照符号を図3と同一とすることで説明を省略する。
【0032】
ここで入出力端子部と共振器との結合形態について簡単に述べる。図17の第2入出力端子部4bと短絡線路導体7aの間は、ギャップg4が介在しているが短絡線路導体7aの電流密度が高く、ここを流れる電流による磁界結合が支配的となり誘導性結合で結合している。すなわち、入出力端子部との結合は、その結合の強さの設計の兼ね合いによって設定されるものであり、容量性結合でも誘導性結合でもどちらでも構わない。
更に、この実施の形態において、中心導体2および第1、第2地導体を例えばランタン系、イットリウム系、ビスマス系、タリウム系その他の高温超電導体で形成して超伝導コプレーナフィルタを構成した場合、最大電流密度を低減することができたことから、高温超伝導体の臨界電流を超える電流が流れる恐れは少なくなり、超伝導コプレーナフィルタが破壊されることなく、超伝導コプレーナフィルタの低損失効果を充分に発揮することができる。
【0033】
[第2の実施の形態]
次に特性インピーダンスを一定として、共振器の中心導体線路幅wを入出力端子部の中心導体線路幅よりも拡大して電流密度の低減を検討した。
図6は、信号の入力端子である第1入出力端子部4aから各共振器と、信号の出力端子である第2入出力端子部4bまでの特性インピーダンスを50Ω一定とし、各共振器を構成する中心導体線路幅wを広げた例である。この例は先に説明した図3に示した1/4波長4段コプレーナフィルタと全く同じ構成で、特性インピーダンスが50Ω一定であることと、共振器を形成する中心導体線路幅wが広くなっている点のみ異なる。異なっている部分だけ説明する。図3で説明した共振器を形成する中心導体線路幅wは0.218mmに対し、この例では1.164mmにしている。
【0034】
この1/4波長4段コプレーナフィルタの第3の実施の形態の電流密度分布を、図7に示す。図7はコプレーナ線路の長さ方向をX軸位置に取り、これに直交する方向をY軸位置に取り、各座標の電流密度を縦軸に表現したものである。コプレーナ線路の入力から約10mmの位置にある第1誘導性結合部8aと、同じく入力から約25mmの位置にある第2誘導性結合部8bにおいて電流密度が最大になる。その電流密度のピークは約1100A/mを示している。図8に第1誘導性結合部8aの電流密度分布を拡大した図を示す。図5に示すX軸位置は図3に示す入出力端子部4aの信号の入力端を原点0とした長さであり、10.437mmの位置は短絡線路導体7a上にあり図6の線ウで示す部分である。すなわち、短絡線路導体7aの右辺から入力側へ約0.02mm戻ったX軸位置が図8の10.437mmの位置になる。図8はこの位置から出力側へ0.1mmの範囲の電流密度分布を表している。短絡線路導体7aと中心導体R2が接する角部β1に電流が集中している様子が分かる。そのピークは約1100A/mである。この角部β1に対向する角部β2でも電流密度の集中が見られるが、β1部分よりも小さい。(図8においては、図14とほぼ同範囲の電流密度分布を表す関係から電流の集中する角部α1を図示していない。)従来技術の説明で同じ第1誘導性結合部8aの電流密度分布を図14に示した。この図14とこの第2の実施の形態の第1誘導性結合部8aの電流密度分布を比較すると、まず電流密度のピークを示す山の数がこの例の場合の方が少ない。また、そのピークの値が約1100A/mと小さく約50%の大きさに抑えられている。ピークを示す山の数が少ない理由は、従来技術にあった地導体部の矩形状の切り込みがこの例では存在しないことによる。また、電流密度のピークが下がったのは、中心導体線路幅wを大きくした効果である。
【0035】
このように特性インピーダンスを50Ω一定とした場合でも、中心導体線路幅wを広げることで各共振器における電流密度の低減が図られ、最大電流密度も図13および図14と比較して約50%低減し、電力換算で約75%の低減となる。
特性インピーダンスを一定とした場合の中心導体線路幅に対する最大電流密度を図9に示す。横軸は中心導体線路幅wであり、縦軸は中心導体線路幅が1.16mmの50Ω線路における最大電流密度で規格化した各特性インピーダンス線路の最大電流密度を示している。特性インピーダンスは20、40、50、60、70、80、100、150Ωをパラメータとして特性が示されている。中心導体線路幅wを広げることで、最大電流密度は低減する特性を示す。
【0036】
また、一般的に特性インピーダンスは50Ωが用いられるので第1入出力端子部4aから第2入出力端子部4bまでの特性インピーダンンスを50Ωとしたときに、第1入出力端子部4aよりも拡張できる中心導体線路幅の範囲を図15から求めてみる。第1入出力端子部4aの地導体間隔dが0.4mm、中心導体線路幅wが0.218mmで第1入出力端子部4aのkはk=0.54となるので、共振器のkを図15から0.54<k≦0.65の範囲に設定することで、中心導体線路幅を広げたことによる電流密度低減効果を得ることが出来る。
以上述べたようにこの発明によれば、共振器の地導体間隔及び中心導体線路幅が入出力端子部の地導体間隔と中心導体線路幅と同一に形成される従来技術によるコプレーナフィルタの最大電流密度よりも電流密度を下げることが可能となる。
【0037】
尚、この発明の説明を地導体間隔dの最大値を1.780mm、中心導体線路幅wの最大値を1.308mmで行なったが、この発明はこの数値に限定されるものではない。この発明によれば、地導体間隔dと中心導体線路幅wとの比w/dによって好適なフィルタ設計が可能となるので、その大きさに左右されない事は言うまでもないことである。
この発明のコプレーナフィルタの更に他の実施例を図10に示す。図10においては金属筐体10にこの発明のコプレーナフィルタ11を収容した図である。金属筐体10はこの発明によるコプレーナフィルタ11によって内部の空間がほぼ半分に分割されている。コプレーナフィルタ11を収容すると、収容されたフィルタから放射した電磁波エネルギーは金属筐体10の内表面で殆ど反射され、放射された電磁波エネルギーの大部分はフィルタにより回収され、放射損失を緩和することができる。超伝導材料を用いたコプレーナフィルタは、超伝導状態を作り出すための何らかの筐体内に収容されるのが一般的であるので、この超伝導状態を保つための筐体に図10に示す金属筐体の機能を持たせても良い。
【0038】
また、この発明は入出力端子部の特性インピーダンスおよび伝送線路内に形成される共振器の特性インピーダンスの双方を適宜に設計調整してフィルタを構成することができる伝送線路でありさえすれば、例えば、グランディッドコプレーナ型線路の如き構造の伝送線路にも同様に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明における共振器の中心導体線路幅wと地導体間隔dとの比kに対する最大電流密度との関係を示す図。
【図2】この発明による共振器の対地導体間隔信号線路幅比kと共振器の無負荷Q値との関係を示す図。
【図3】この発明の1/4波長4段コプレーナフィルタを示す図。
【図4】図3の1/4波長4段コプレーナフィルタの電流密度分布を示す図。
【図5】図3の1/4波長4段コプレーナフィルタの誘導性結合部の電流密度分布を示す図。
【図6】この発明による共振器の中心導体線路幅を広げた1/4波長4段コプレーナフィルタを示す図。
【図7】図6の1/4波長4段コプレーナフィルタの電流密度分布を示す図。
【図8】図6の1/4波長4段コプレーナフィルタの誘導性結合部の電流密度分布を示す図。
【図9】中心導体線路幅に対する最大電流密度を示す図。
【図10】金属筐体に収容したコプレーナフィルタを示す図。
【図11】コプレーナ線路の概念を示す図。
【図12】従来のコプレーナフィルタを示す図。
【図13】従来のコプレーナフィルタの電流密度分布を示す図。
【図14】従来のコプレーナフィルタの誘導性結合部の電流密度分布を示す図。
【図15】対地導体間隔中心導体線路幅比に対する特性インピーダンスを示す図。
【図16】この発明の1/4波長4段コプレーナフィルタの周波数特性を示す図。
【図17】この発明を共振器1段のフィルタに実施した場合の例を示す図。
【符号の説明】
【0040】
1 誘電体基板 2 中心導体
3a 第1地導体 3b 第2地導体
4a 第1入出力端子部 4b 第2入出力端子部
5a 第1共振器 5b 第2共振器
5c 第3共振器 5d 第4共振器
6a 第1容量性結合部 6b 第2容量性結合部
6c 第3容量性結合部 7a 短絡線路導体
7b 短絡線路導体 8a 第1誘導性結合部
8b 第2誘導性結合部 9 縁線
10 金属筐体
20,21 地導体部の矩形状の切り込み
d 地導体間隔
、g、g、g4 ギャップ
s 中心導体と第1地導体、第2地導体との間の間隔
w 中心導体線路幅
L 短絡線路導体の長さ s2 共振器の中心導体部と地導体との間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板と、上記誘電体基板の表面に形成される中心導体および地導体とにより構成した共振器および入出力端子部を有するコプレーナフィルタにおいて、
上記コプレーナフィルタのシステムで要求される条件を満たす最大電流密度を求め、
上記求められた最大電流密度及び上記コプレーナフィルタの設計容易性に基づき、誘電体基板及び地導体基板の材料に対して定められた最大電流密度と上記共振器の地導体間隔に対する中心導体幅の比に関する関係を求めて地導体間隔及び中心線路幅を決定し、上記決定した値に基づき表面に形成される中心導体及び地導体を形成したことを特徴とするコプレーナフィルタの形成方法。
【請求項2】
上記最大電流密度と上記中心導体幅の比に関する関係は、予め実測された値を記憶したデータベースを参照して関係を求めることを特徴とする請求項1記載のコプレーナフィルタの形成方法。
【請求項3】
上記求められる最大電流密度の値は、
上記共振器の最大電流密度がその最小値から+10%以下となる値であることを特徴とする請求項1および請求項2の何れかに記載のコプレーナフィルタの形成方法。
【請求項4】
上記中心導体および地導体は超伝導材料であり、上記システム条件は上記超伝導材料の臨界電流密度に基づいて決定することを特徴とする請求項1および請求項2の何れかに記載のコプレーナフィルタの形成方法。
【請求項5】
上記システム条件が最大電流密度低減に基づく場合には、
特性インピーダンス及び中心導体幅の少なくとも1つを変更することを特徴とする請求項1および請求項2の何れかに記載のコプレーナフィルタの形成方法。
【請求項6】
上記システム条件が導体損失低減に基づく場合には、
共振器の無負荷Q値に基づいて上記中心導体幅の比を変更することを特徴とする請求項1および請求項2の何れかに記載のコプレーナフィルタの形成方法。
【請求項7】
誘電体基板と、その誘電体基板上に形成された中心導体線路および地導体よりなるコプレーナ共振器と、上記共振器と結合部を介して結合されたコプレーナ型入出力端子部とを備えたコプレーナフィルタにおいて、
上記コプレーナ共振器の地導体間隔および中心導体線路幅の一方は上記入出力端子部の対応する地導体間隔又は中心導体線路幅より大きいことを特徴とするコプレーナフィルタ。
【請求項8】
上記誘導性結合部を構成する短絡線路導体の長さは上記コプレーナ共振器の地導体と中心導体線路との間の距離と同一であることを特徴とする請求項7記載のコプレーナフィルタ。
【請求項9】
上記コプレーナ共振器の地導体間隔が上記入出力端子部の地導体間隔より大であり、上記コプレーナ共振器の中心導体線路幅wと地導体間隔dとの比k=w/dが0.20≦k≦0.70であることを特徴とする請求項7および請求項8の内の何れかに記載のコプレーナフィルタ。
【請求項10】
上記コプレーナ共振器の特性インピーダンスは上記入出力端子部の特性インピーダンスより大きいことを特徴とする請求項9記載のコプレーナフィルタ。
【請求項11】
上記入出力端子部と上記コプレーナ共振器とを結合する上記結合部は、両側の特性インピーダンスを合わせるインピーダンス変換器を兼ねていることを特徴とする請求項10記載のコプレーナフィルタ。
【請求項12】
上記コプレーナ共振器の地導体間隔が上記入出力端子部の地導体間隔より大であり、上記コプレーナ共振器の中心導体線路幅と上記入出力端子部の中心導体線路幅は同一であり、上記コプレーナ共振器の特性インピーダンスは上記入出力端子部の特性インピーダンスよりも大きいことを特徴とする請求項7又は8記載のコプレーナフィルタ。
【請求項13】
上記コプレーナ共振器の中心導体線路幅は上記入出力端子部の中心導体線路幅より大であり、上記コプレーナ共振器の特性インピーダンスは上記入出力端子部の特性インピーダンスとが等しいことを特徴とする請求項7又は8記載のコプレーナフィルタ。
【請求項14】
上記入出力端子部の中心導体線路幅wと地導体間隔dとの比k=w/dが0.54であり、上記共振器の中心導体線路幅wと地導体間隔dとの比k=w/dが0.54<k≦0.65であることを特徴とする請求項13記載のコプレーナフィルタ。
【請求項15】
上記コプレーナ共振器および上記入出力端子部は超伝導材料で形成されたことを特徴とする請求項6および請求項14の内の何れかに記載のコプレーナフィルタ。
【請求項16】
上記誘電体基板、上記コプレーナ共振器および上記入出力端子部を包含する金属筐体を具備することを特徴とする請求項7および請求項15の内の何れかに記載のコプレーナフィルタ。
【請求項17】
上記コプレーナフィルタの最大電流密度は、上記コプレーナ共振器の地導体間隔及び中心導体線路幅が上記入出力端子部の対応する地導体間隔及び中心導体線路幅と同一の場合の最大電流密度を越えない値で設定されたことを特徴とする請求項7および請求項16の内の何れかに記載のコプレーナフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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