説明

コポリアミドと架橋ポリオレフィンとを含む組成物

下記(1)と(2)から成る組成物と、その製造方法と、その使用:(1)組成物の総重量に対して45〜95重量%の下記一般式に対応する少なくとも2つの異なる単位から成る半芳香族コポリアミド:A/X.T[ここで、Aはアミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位および式(Caジアミン).(Cb二酸)に対応する単位(ここで、aはジアミンの炭素原子数を表し、bは二酸の炭素原子数を表し、aおよびbはそれぞれ4〜36の数で表す)の中から選択され、X.TはCxジアミンとテレフタル酸との重縮合で得られる単位(ここで、xはCxジアミンの炭素原子数を表し、xは4〜36の数で表す)で表す](このコポリアミドはゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した多分散性指数(Ipで表す)が3.5以下で且つアミン鎖末端の含有量が0.020meq/g〜0.058meq/gの間にある)、(2)組成物の総重量に対して5〜55重量%の少なくとも一種の架橋ポリオレフィン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一種の半芳香族コポリアミドと、少なくとも一種の架橋ポリオレフィンとから成る組成物と、その製造方法と、その使用、特に各種製品、例えば、一般消費材、電気、電子製品、車両用品、外科器具、包装材料、スポーツ用品の製造での使用とに関するものである。
【0002】
自動車の分野では、機械特性、使用の容易さ、耐エージング特性の観点からポリアミド12や11のような材料が広く使われているが、作業温度が160℃を越えた場合、その熱機械強度は不充分になる。
【0003】
ポリアミド12および11の代わりに、11-アミノウンデカン酸、1,10-デカンジアミンおよびテレフタル酸の重縮合で得られる式11/10.Tのコポリアミドが使用でき、この場合には熱機械特性も改良され、成形の容易さと可撓性も維持できる。
【0004】
特許文献1(フランス特許第FR 2 782725号公報)には広範囲の押出成形領域で容易に顆粒化可能な原料となる架橋相と、ポリアミド相(好ましくは脂肪族)とから成る熱可塑性組成物が記載されている。
【0005】
特許文献2(米国特許第US 2008/0038499号明細書)にも自動車の送水パイプの製造で使われる特定の半芳香族コポリアミドとポリオレフィンとを含む組成物が記載されている。
【0006】
上記の組成物にはさらに使用点、特に、組成物自体の製造段階(通常はコンパウンディング時)および組成物を材料に変える時の容易さの点で改良の余地が残っている。
【0007】
特許文献3(欧州特許第EP 1505099号公報)には、60〜99.5重量%の半芳香族コポリアミドと、0.5〜40重量%の架橋ポリオレフィンとから成る組成物が記載されている。この特許に記載の組成物はコンパウンドで満足に製造できるが、この組成物を熱機械特性に優れた材料に変える段階、特に成形段階を押出し成形、共押出成形または押出ブロー成形で実行した時の性能が完全に満足なものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】フランス特許第FR 2 782725号公報
【特許文献2】米国特許第US 2008/0038499号明細書
【特許文献3】欧州特許第EP 1505099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、上記組成物から得られる材料の上記利点、特に耐熱性を維持したまま、その製造(コンパウンディング)の容易さと、成形性、特に押出し成形、共押出成形または押出ブロー成形性とが改良された組成物を見出すというニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くことに、本発明者は、上記ニーズは下記(1)と(2)から成る組成物で達成されるということを発見した:
(1)組成物の総重量に対して45〜95重量%の下記一般式に対応する少なくとも2つの異なる単位から成る半芳香族コポリアミド:
A/X.T
[ここで、
Aはアミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位および式(Caジアミン).(Cb二酸)に対応する単位(ここで、aはジアミンの炭素原子数を表し、bは二酸の炭素原子数を表し、aおよびbはそれぞれ4〜36の数を表す)の中から選択され、
X.TはCxジアミンとテレフタル酸との重縮合で得られる単位(ここで、xはCxジアミンの炭素原子数を表し、xは4〜36の数を表す)を表す]
(ただし、上記コポリアミドはゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した多分散性指数(Ipで表す)が3.5以下で且つアミン鎖末端の含有量が0.020meq/g〜0.058meq/gの間にある)
(2)組成物の総重量に対して5〜55重量%の少なくとも一種の架橋ポリオレフィン。
【0011】
本発明はさらに、上記組成物の製造方法と、その使用とにも関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の上記組成物以外の観点、対象および利点、は以下の発明の詳細な説明および実施例からより良く理解できよう。
本明細書で「〜」という記載は両端の値を含むことを意味する。
【0013】
多分散性指数
多分散性指数(polydispersity)はポリマー中の巨大分子のモル質量の分布に対する第1の観念を与える。全ての巨大分子が直鎖で、同じ長さ、従って同じモル質量を有する完全ポリマーの場合、多分散性指数Ipは1に等しい。他のモノマーの中でジアミンとジカルボンとの重縮合で得られるポリアミドの場合、予想される多分散性指数は2.0である。多分散性指数が2を越えるのは主としてポリマー鎖上に分岐鎖が存在するためである。コポリアミドの場合には、それはアミド官能基の窒素原子上に生じる。従って、これはNMR(核磁気共鳴)で第2(直鎖)芳香族アミドの比率に対する第3(分岐)芳香族アミドの比率を比較することによって定量化できる。
【0014】
本発明者は、コポリアミドを多分散性指数の関数で選択し、特に多分散性指数を3.5以下に選択することによって、組成物内でのコポリアミドの特性が改良されるということを見出した。
【0015】
この指数は当業者に公知の方法でサイズ排除クロマトグラフィまたはゲルパーミエーションクロマトグラフィによって測定される。本発明のコポリアミドの多分散性指数はゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定するのが好ましい。特に、コポリアミドに適した溶剤、例えばフッ素化溶剤、例えばヘキサフルオロイソプロパノール中で20℃〜50℃、好ましく40℃の温度で測定する。
【0016】
多分散性指数の制御はホスフィン酸を使用してポリマー合成時に実行できる。
【0017】
本発明組成物で使用するコポリアミドの多分散性指数は2〜3.5の間にあるのが好ましい。
【0018】
アミン鎖の末端
本発明者は、驚くことに、コポリアミドの多分散性指数を制御するだけでなく、所定の反応性官能基の量、さらには、コポリアミド中に存在する非反応性官能基の量を制御する必要があるということを発見した。
【0019】
鎖末端のアミン官能基の含有量はNMR(核磁気共鳴)を用いて当業者に公知の従来法で測定できる。
【0020】
アミン鎖の停止反応はコポリアミドのアミン末端官能基と反応して巨大分子の末端の反応性、特に重縮合を停止させる連鎖終端剤を使用することでコポリアミドの合成中に実行できる。
【0021】
停止反応は下記で表すことができる:
ポリアミド-NH2+R-OO2H −> ポリアミド-NH-CO-R+H20
ポリアミド-NH2+HC1 −> ポリアミド-NH3+C1-
【0022】
アミン端官能基と反応するのに適した連鎖ターミネータとしてはモノカルボン酸、酸無水物、モノハロゲン化した酸、モノエステル、モノイソシアネートまたは無機酸、例えばHC1、HNO3およびH2SO4にすることができる。
【0023】
本発明者は、優れた熱機械特性を得ることができ、それと同時に、従来の組成物と比較して製造および成形性に優れた組成物を得るという本発明の目的を達成するには、上記の多分散性指数値に加えて、アミン鎖末端の含有量を0.020〜0.058meq/gの間、好ましくは0.030〜0.050meq/gの間にしなければならない、ということを見出した。
【0024】
特に、本発明組成物に含まれるコポリアミドに要求される上記多分散性指数値およびアミン末端鎖の特定含有量値を守ることによって、得られる組成物は熱可塑性組成物の従来の成形方法、特に、押出成形、射出成形、多色成形で完全に使用可能な組成物になる。本発明組成物は特に押出成形、射出成形、押出ブロー成形で完全に使用できる。
【0025】
他の停止反応
本発明の一つの特定の変形例では、本発明組成物のコポリアミドは下記にすることができる:
(1)酸鎖末端の含有量が0.100 meq/g以下、有利には0.002〜0.080 meq/g、好ましくは0.015〜0.050meq/g、および/または
(2)未反応鎖末端の含有量は0.020meq/g以上、有利には0.030meq/g以上、好ましくは0.035〜0.200 meq/gの間にする。
【0026】
既に述べたように、鎖末端の酸基の含有量および未反応官能基の含有量はNMR(核磁気共鳴)によって当業者に公知の方法で測定される。
【0027】
コポリアミドの化学構造
本発明の第一態様では、本発明組成物は下記式の少なくとも2つの異なる単位を有する少なくとも一つのコポリアミドから成る:
A/X.T
[ここで、
Aはアミノ酸、ラクタムから得られる単位および式(Caジアミン).(Cb二酸)に対応する単位(ここで、aはジアミンの炭素原子数を表し、bは二酸の炭素原子数を表し、aおよびbは4〜36の数を表す)から得られる単位を表し、
X.Tは、Cxジアミンとテレフタル酸との重縮合から得られる単位を表し(ここで、xはCxジアミンの炭素原子数を表し、xは4〜36、有利には9か18、有利には10〜18である)
【0028】
単位Aのより詳しい意味として、Aがアミノ酸を表す場合、それは9- アミノノナン酸(A=9)、l0-アミノデカン酸(A=10)、10-アミノウンデカン酸(A=11)、12-アミノ−ドデカン酸(A=12)、11-アミノウンデカン酸(A=11)およびその誘導体、特にN-ヘプチル-11- アミノウンデカン酸から選択できる。
【0029】
アミノ酸の代わりに少なくとも2種、3種またはそれ以上のアミノ酸の混合物を用いることもできる。この場合に形成されるコポリアミドは3つ以上、4つ以上の単位を有する。
【0030】
Aがラクタムを表す場合、それはピロリジノン、2-ピペリジノン、エナンチオラクタム、カプリロラクタム、ペラルゴラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタムおよびラウリルラクタム(A=12)から選択できる。
【0031】
単位Aは10-アミノウンデカン酸(11で表す)、(11-)アミノウンデカン酸(11で表す)、l2-アミノドデカン酸(12で表す)およびラウリルラクタム(12で表す)から選択されるモノマーから得られる単位を表すのが好ましい。
【0032】
単位Aが式(Caジアミン).(Cb二酸)に対応する単位の場合、単位(Caジアミン)は直鎖か分岐された脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選択される。
【0033】
ジアミンが式H2N-(CH2)a-NH2の直鎖脂肪族の場合、(Caジアミン)モノマーはブタンジアミン(a=4)、ペンタンジアミン(a=5)、ヘキサンジアミン(a=6)、ヘプタンジアミン(a=7)、オクタンジアミン(a=8)、ノナンジアミン(a=9)、デカンジアミン(a=10)、ウンデカンジアミン(a=11)、ドデカンジアミン(a=12)、トリデカンジアミン(a=13)、テトラデカンジアミン(a=14)、ヘキサデカンジアミン(a=16)、オクタデカンジアミン(a=18)、オクタデセンジアミン(a=18)、アイコサンジアミン(a=20)、ドコサンジアミン(a=22)および脂肪酸から得られるジアミンの中から選択するのが好ましい。
【0034】
(Caジアミン)モノマーが脂環式の場合、それはビス(3,5-ジアルキル-4- アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5-ジアルキル-4- アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン(BMACMまたはMACM)、p-ビス(アミノシクロヘキシル)−メタン(PACM)およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)から選択される。また、ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ビス(メチルシクロヘキシル)、ビス(メチル−シクロヘキシル)プロパンの炭素骨格鎖を有することができる。これらの脂環式ジアミンの非限定的リストは下記文献に記載されている。
【0035】
【非特許文献1】"Cycloaliphatic Amines" (Encyclopaedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, 4th Edition (1992), pp. 386-405)
【0036】
(Caジアミン)モノマーがアルキル芳香族の場合、それは1,3-キシリレンジアミンおよび1,4-キシレンジアミンから選択をされる。
【0037】
(Cb二酸)単位自身は直鎖または分岐した脂肪族二酸、脂環式二酸および芳香族二酸から選択される。
【0038】
(Cb二酸)モノマーが直鎖および脂肪族の場合、それは琥珀酸(b=4)、ペンタン二酸(b=5)、アジピン酸(b=6)、ヘプタン二酸(b=7)、オクタン二酸(b=8)、アゼライン酸(b=9)、セバシン酸(b=10)、ウンデカン二酸(b-11)、ドデカン二酸(b=12)、ブラシル酸(b=13)、テトラデカン二酸(b=14)、ヘキサデカン二酸(b=16)、オクタデカン二酸(b=18)、オクタデセン二酸(b=18)、アイコサン二酸(b=20)、ドコサン二酸(b=22)および36個の炭素原子を含む脂肪酸の二量体の中から選択される。
【0039】
上記の脂肪酸二量体は、下記特許文献に記載のような、長い炭化水素-ベースの鎖を有する不飽和一塩基脂肪酸のオリゴマー化または重合で得られるダイマー化脂肪酸(例えばリノール酸およびオレイン酸)である。
【0040】
【特許文献4】欧州特許第EP 0 471 566号公報
【0041】
二酸が脂環式の場合、それはノルボルニル・メタン、シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ビス(メチルシクロヘキシル)、ビス(メチルシクロヘキシル)プロパンの炭素骨格鎖を有することができる。
【0042】
芳香族二酸の場合、それはテレフタル酸(Tで表す)、イソフタル酸(Iで表す)およびナフテン二酸から選択される。
【0043】
単位Aはアミノ酸、ラクタムまたはCa二酸とCbジアミンとの反応生成物に由来する脂肪族単位が好ましい。特に、単位Aは11、12、6、6.10、6.12、6.14、6.18、10.10、10.12、10.14、10.18および12.12の単位を表す。
【0044】
単位X自体はxで表す炭素数が4〜36、有利には9〜18、有利には10〜18のジアミンから得られる単位を意味する。この単位(Cxジアミン)は直鎖または分岐した脂肪族ジアミンから選択される。
【0045】
ジアミンが直鎖および脂肪族の場合、ジアミンは式H2N-(CH2)x-NH2 で表され、これはブタンジアミン(x=4)、ペンタンジアミン(x=5)、ヘキサンジアミン(x=6)、ヘプタンジアミン(x=7)、オクタンジアミン(x=8)、ノナンジアミン(x=9)、デカンジアミン(x=10)、ウンデカンジアミン(x=11)、ドデカンジアミン(x=12)、トリデカンジアミン(x=13)、テトラデカンジアミン(x=14)、ヘキサデカンジアミン(x=16)、オクタデカンジアミン(x=18)、オクタデセンジアミン(x=18)、アイコサンジアミン(x=20)、ドコサンジアミン(x=22)および脂肪酸から得られるジアミンの中から選択される。
【0046】
ジアミンが分岐した脂肪族の場合、それは主鎖上に一つ以上のメチルまたはエチル置換基を有することができる。例えば、(Cxジアミン)モノマーは2,2,4- トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、1,3-ジアミノペンタン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミンそして、2-メチル-1,8-オクタンジアミンから選択できる。
【0047】
単位Xは9〜18の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジアミンを表すのが好ましい。
より好ましくは1,10- デカンジアミン(x=10)から得られる単位を表す。
【0048】
可能な組合せの中では特に11/6.T、12/6.T、11/9.T、12/9.T、6.10/9.T、6.12/9.T、10.10/9.T、10.12/9.T、12.12/9.T、11/10.T、12/10.T、6.10/10.T、6.12/10.T、10.10/10.T、10.12/10.T、12.12/10.Tから選択される式の一つに対応するコポリアミドが重要である。
【0049】
以下のコポリアミドが好ましい:11/10.T、12/10.T、6.10/10.T、6.12/10.T、10.10/10.T、10.12/10.T、12.12/10.T。
【0050】
Xで表すジアミンとTで表すテレフタル酸のモル比率は化学量論であるのが好ましい。
【0051】
X.T単位に対するA単位のモル比は0.05〜2、好ましくは0.1〜1との間にあるのが好ましい。
【0052】
本発明の第2の態様では、コポリアミドは2つの異なる単位すなわち単位Aおよび単位X.Tだけから成る。
【0053】
本発明の第3の態様では、コポリアミドは少なくとも3つの異なる単位から成り、次の式に対応する:
A/X.T/Z、
[ここで、
単位AおよびX.Tは上記定義と同じ意味を有し、
Zはアミノ酸、ラクタムから得られる単位および式(Cdジアミン).(Ce二酸に対応する単位から得られる単位から選択される(ここで、dはジアミンの炭素原子数を表し、eは二酸の炭素原子数を表し、dおよびeはそれぞれ4〜36の数を表す)]
【0054】
Zがアミノ酸から得られる単位で表す場合、それは9-アミノノナン酸(Z=9)、10-アミノデカン酸(Z=10)、10-アミノウンデカン酸(11で表す)、l2-アミノドデカン酸(Z=12)および11-アミノウンデカン酸(Z=11)およびこれらの誘導体、特にN-ヘプチル-11-アミノウンデカン酸から選択できる。
【0055】
アミノ酸の代わりに、2種または3種以上のアミノ酸の混合物を用いることもできる。この場合に形成されるコポリアミドは少なくとも4つまたは5つ以上の単位から成る。
【0056】
Zがラクタムから得られる単位を表す場合、それはピロリジノン、2-ピペリジノン、カプロラクタム(Z=6)、エナンチオラクタム、カプリロラクタム、ペラルゴラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタムそして、ラウリルラクタム(Z=12)から選択できる。
【0057】
ラクタムの代わりに、2種、3種またはそれ以上のラクタムの混合物、一種以上のアミノ酸と一種以上のラクタムとの混合物を用いることができる。この場合、形成されたコポリアミドは少なくとも4つ、五つまたはそれ以上の単位から成る。
【0058】
可能な組合せの中で、11/9.T/12、11/9.T/6、12/9.T/6、11/10.T/12、11/10.T/6、12/10.T/6、特に11/10.T/12、11/10.T/6および12/10.T/6から選択される式の一つに対応するコポリアミドが特に重要である。
【0059】
単位Zがラクタムまたはアミノ酸から得られる単位の場合、単位Zが単位Aと同一である特定の場合は明らかに除かれる。特に、この特定の場合に考えられるコポリアミドは本発明の第2の態様で既に述べたものである。
【0060】
単位Zが式(Cdジアミン).(Ce二酸)に対応する場合、これらの単位は単位Aの定義に記載の上単位(Caジアミン).(Cb二酸)と同じ意味を有する。
【0061】
Zが単位(Cdジアミン).(Ce二酸)であるコポリアミドA/10.T/Zの全ての可能な組合せの中では、11/9.T/9.I、11/9.T/9.6、12/9.T/9.I、12/9.T/9.6、11/10.T/10.I、11/10.T/10.6、11/10.T/6.T、12/10.T/10.I、12/10.T/10.6、12/10.T/6.Tから選択される式の一つに対応するコポリアミド、好ましくは11/10.T/6.T、11/10.T/10.I、11/10.T/10.6、12/10.T/10.I、12/10.T/10.6および12/10.T/6.Tが挙げられる。
【0062】
本発明一つの有利な変形例では、ターポリマー中の単位10.Tに対する単位AおよびZの合計のモル比(すなわち(A+Z)/10.T)は0.05〜2、好ましくは0.1〜1の間にある。
【0063】
単位(Cdジアミン).(Ce二酸)の代わりに、2つまたは3つ以上の単位(Cdジアミン).(Ce二酸)の混合物または一種以上のアミノ酸および/またはラクタムと一種以上の(Cdジアミン).(Ce二酸)との混合物を用いることもできる。この場合、形成されるコポリアミドは少なくとも4つ、5つ以上の単位から成る。
【0064】
N- ヘプチル-11 アミノウンデカン酸を除いた、本発明で用いる脂肪酸二量体、および脂環式ジアミン、コモノマーまたは出発原料(アミノ酸、ジアミン、二酸)は直鎖であるのが効果的である場合でも、その全部または一部が分岐していてもよく、例えば2-メチル-1,5-ジアミノペンタンでもよく、または、部分的に不飽和でもよい。
【0065】
C18ジカルボン酸は飽和したオクタデカン二酸または不飽和を含むオクタデセン(octadecenedioic)二酸にすることができる。
【0066】
組成物中に存在するコポリアミドの含有量は組成物の総重量に対して45〜9重量%、好ましくは55〜90重量%である。
【0067】
コポリアミドは240℃以上の融点を有し、好ましくは240〜310℃、特に260〜280℃の融点を有するのが有利である。
【0068】
本発明の組成物に含まれるコポリアミドは再生可能な原料、すなわちASTM規格 D6866に従って決定されるバイオマスに由来する有機炭素から誘導される資源に由来するモノマーを含むことができる。再生可能な原料に由来するモノマーは1,10-デカンジアミンにすることができ、また、それらが存在するときには、特に11-アミノウンデカン酸、上記定義の直鎖脂肪族ジアミンおよび二酸にすることができる。
【0069】
架橋ポリオレフィン
本発明組成物は少なくとも一種の架橋ポリオレフィンを含む。この架橋ポリオレフィンはコポリアミドA/X.Tが形成するマトリックス中に分散した分散相の形をしている。
【0070】
この分散相は互いに反応可能な基を有する少なくとも2つのポリオレフィンの反応に由来する。この分散相は特に下記(1)(2)(3)の反応に由来する:
(1)不飽和エポキシドを有する化合物(A)、
(2)不飽和無水カルボン酸またはポリカルボン酸を有する化合物(B)、
(3)任意成分としての不飽和カルボン酸またはα、ω−アミノカルボン酸を有する化合物(C)
【0071】
化合物(A)
生成物(A)の例としてはエチレンと不飽和エポキシドとを含むポリマが挙げられる。本発明の最初の実施例では、(A)は不飽和エポキシドがグラフトしたポリオレフィンか、エチレンと不飽和エポキシドとのコポリマーである。
化合物(A)はエチレンと不飽和エポキシドとのコポリマーであるのが有利である。
【0072】
(a)上記の不飽和エポキシドがグラフトしたポリオレフィンで、「ポリオレフィン」という用語はオレフィン単位、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテンまたは他のα-オレフィン単位有するポリマーを意味する。その例としては下記を挙げることができる:
(1)ポリエチレン、例えばLDPE、HDPE、LLDPEまたはVLDPE、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、EPR(エチレン/プロピレン・ゴム)またはメタロセンPE(単一サイト触媒を用いて得られるコポリマー)、
(2)スチレン/エチレン−ブテン/スチレン(SEBS)ブロック共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン/イソプレン/ スチレン(SIS)ブロック共重合体、スチレン/ エチレン−プロピレン/スチレン・ブロック共重合体およびエチレン/ プロピレン/ジエン(EDPM) ブロック共重合体、
(3)エチレンと不飽和カルボン酸塩、不飽和カルボン酸エステルおよび不飽和カルボン酸のビニル・エステルの中から選択される少なくとも一つの化合物とのコポリマー。
【0073】
ポリオレフィンはLLDPE、VLDPE、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニールコポリマー、エチレン/アルキル(メタ)アクリレート・コポリマーの中から選択するのが有利である。密度は0.86〜0.965にするのが有利であり、メルトフローインデックス(MFI)は0.3〜40(g/10分、2.16kg荷重下、190℃)の間であるのが有利である。
【0074】
(b)上記のエチレンと不飽和エポキシドとのコポリマーの例としてはエチレンとアルキル(メタ)アクリレートおよび不飽和エポキシドとのコポリマーまたはエチレンと飽和カルボキシル酸のビニル・エステルおよび不飽和エポキシドとコポリマーが挙げられる。エポキシドの量はコポリマー(A)の重量の15%以下で、エチレンの量は(A)の重量の少なくとも50%である。
【0075】
(A)はエチレンとアルキル(メタ)アクリレートと不飽和エポキシドとのコポリマーであるのが有利である。
【0076】
アルキル(メタ)アクリレートのアルキルは2〜10個の炭素原子を含むのが好ましい。
【0077】
(A)のMFI(メルトフローインデックス)は例えば0.1〜50(g/10分、2.16kg荷重下、190℃)の間にすることができる。
【0078】
使用可能なアクリル酸アルキルまたはメタクリレートの例としてはメチルメタクリレート、エチアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレートおよび2- エチルヘキシル・アクリレートが挙げられる。
【0079】
使用可能な不飽和エポキシドの例としては下記のものを特に挙げることができる:
(1)脂肪族グリシジルエステルおよびエーテル、例えばアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、グリシジルマレエートおよびイタコネートおよびグリシジルアクリレートおよびメタクリレート、
(2)脂環式化合物グリシジルエステルおよびエーテル、例えば2-シクロヘキセン-l-グリシジルエーテル、シクロヘキセン-4,5-ジグリシジル・カルボキシレート、シクロヘキセン-4-グリシジル・カルボキシレート、5-ノルボルネン-2- メチル-2-グリシジル・カルボキシレートおよびエンドシス−ビシクロ(2,2,1)-5-ヘプテン−2,3-ジグリシジル・ジカルボキシレート。
【0080】
本発明の一つの有利な変形例では、化合物(A)はエチレンとアクリル酸メチルとメタクリル酸グリシジルとのコポリマーである。特にアルケマ(Arkema)社からロタダー(Lotader、登録商標)AX8900の商品名で市販の化合物を使用することができる。
【0081】
本発明の他の実施例では、、化合物(A)は2つのエポキシド官能基を有する化合物、例ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE))である。
【0082】
化合物(B)
本発明の第1最初の変形例では、化合物(B)はエチレンとカルボン酸無水物とを含むポリマーである。
化合物(B)はエチレンと不飽和無カルボン酸とのコポリマーまたは不飽和無水カルボンがグラフトしたポリオレフィンである。
既に述べたように、ポリオレフィンはオレフィン単位、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン単位を有するポリマーまたは他の任意α-オレフィンである。このポリオレフィンは、化合物(A)が不飽和エポキシドをグラフトしたポリオレフィンの場合には、特に化合物(A)で例示した上記ポリオレフィンから選択できる。
【0083】
化合物(B)の成分として使用可能な不飽和無水ジカルボン酸の例は無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸および無水テトラハイドロフタル酸である。化合物(B)はエチレンと不飽和無水カルボン酸のコポリマーであるのが有利である。
【0084】
その例としてはエチレンとアルキル(メタ)アクリレートまたは不飽和無水カルボン酸とのコポリマー、エチレンと飽和カルボキシル酸のビニル・エステルおよび不飽和無水カルボン酸物とのコポリマーが挙げられる。
【0085】
不飽和無水カルボン酸はコポリマー(B)の15重量%以下であり、エチレンはコポリマー(B)の少なくとも50重量%である。
【0086】
このコポリマーはアルキル(メタ)アクリレートをさらに含むことができ、この他のコモノマーは(B)の30重量%以下にする。
【0087】
化合物(B)はエチレンとアルキル(メタ)アクリレートと、不飽和無水カルボン酸とのコポリマーであるのが有利である。アルキル(メタ)アクリレートのアルキルは2〜10の炭素原子を含むのが好ましい。アルキルアクリレートまたはメタクリレートは化合物(A)で述べたものの中から選択できる。
【0088】
本発明の一つの有利な変形例では、化合物(B)はエチレンと、アクリル酸エチルと、無水マレイン酸とのコポリマーである。特に、アルケマ(Arkema)社からロタダー(Lotader、登録商標)4700で市販のものが使用できる。
【0089】
化合物(B)のMFI(g/10分、荷重2.16kg、190℃)は例えば0.1〜5の間にすることができる。
【0090】
本発明の第2の変形例では、化合物(B)は脂肪族、脂環式または芳香族ポリカルボン酸およびその完全または部分的酸無水の中から選択できる。
【0091】
脂肪酸の例として琥珀酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデセン琥珀酸およびブタンテトラカルボン酸を挙げることができる。
【0092】
脂環式酸の例としてはシクロペンタジカルボン酸、シクロペンタン−トリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸、メチルシクロペンタンジカルボン酸、テトラハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸およびメチルエンドメチレンテトラハイドロフタル酸が挙げられる。
【0093】
芳香族酸の例としてはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸およびピロメリト酸が挙げられる。
【0094】
酸無水物の例としては上記酸の完全または部分的な無水物が挙げられる。アジピン酸を使用するのが有利である。
【0095】
上記の第1および第2の変形例で、化合物(B)の無水マレイン酸の一部が加水分解されている場合も本発明を逸脱するものではない。
【0096】
化合物(C)
本発明の第1最初の変形例では、化合物(C)は不飽和カルボン酸から成る。
加水分解された化合物(B)の例も含まれる。
化合物(C)は例えばエチレンと不飽和カルボン酸とのコポリマー、有利にはエチレンと(メタ)アクリル酸とのコポリマーにすることができる。例としてはエチレンとアルキル(メタ)アクリレートとアクリル酸とのコポリマーにすることができる。
【0097】
本発明の有利な変形例では、化合物(C)はエチレンとアクリル酸ブチルとアクリル酸とのポリマーである。特に、バスフ(BASF)社からルカレン(Lucalene、登録商標)3110で市販のものが使用できる。
これらのコポリマーのMFI(g/l0分、荷重2.16kg、190℃)は0.1〜50の間である。
【0098】
酸の量は化合物(C)の10重量%以下、好ましくは0.5〜5重量%にすることができる。アルキル(メタ)アクリレートの量は化合物(C)の5〜40重量%にすることができる。
【0099】
本発明の第2の変形例では、化合物(C)をα、ω−アミノカルボン酸、例えばNH2(CH2)5COOH、NH2(CH2)10C00HおよびNH2(CH2)11COOH、好ましくは11-アミノウンデカン酸から選択できる。
【0100】
架橋相を形成するのに必要な(A)および(B)の比率は当業者に周知の方法で(A)および(B)に存在する反応性官能基の数によって決定される。
【0101】
いずれの場合でも、化合物(A)および(B)(必要な場合には(C))の重量比率は本発明組成物の総重量に対して5〜55%、有利には10〜45重量%である。
【0102】
本発明の一つの有利な変形例では、化合物(A)および(B)(必要な場合には(C))の重量比率は本発明組成物の総重量に対してそれぞれ下記の範囲にある:
(1)化合物(A)の重量比率は2〜15%、
(2)化合物(B)の重量比率は3〜40%、
(3)化合物(C)の重量比率は0〜12%。
【0103】
化合物(A)の重量比率は組成物の総重量に対して3〜12%、有利には4〜10%であるのが好ましい。
化合物(B)の重量比率は組成物の総重量に対して5〜38%、有利には6〜36%であるのが好ましい。
化合物(C)の重量比率は組成物の総重量に対して2〜10%、有利には3〜8%であるのが好ましい。
【0104】
(C)を含む架橋相をα、ω−アミノカルボン酸から選択する場合には、例えば、化合物(A)はエチレンとアルキル(メタ)アクリレートと不飽和エポキシドとのコポリマーであり、化合物(B)はエチレンとアルキル(メタ)アクリレートと不飽和無水カルボン酸とのコポリマーであり、酸無水物官能基とエポキシ基との間の重量比は約1である。
【0105】
α、ω−アミノカルボン酸の量は化合物(A)と(B)の重量の0.1〜3重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%である。
【0106】
不飽和カルボン酸を含む化合物(C)の場合、化合物(C)は例えばエチレンから/アルキル(メタ)アクリレート/アクリル酸のコポリマーから選択でき、化合物(C)と(B)の量は酸官能基と酸無水物官能基の数がエポキシド官能基の数にと少なくとも等しくなるように選択する。化合物(B)および(C)は(C)が(B)の20〜80重量%、好ましくは20〜50重量%となるように使用するのが有利である。
【0107】
触媒を加えた場合も本発明の範囲を逸脱するものではない。触媒は一般にエポキシと酸無水物との間の反応に対して使用する。
【0108】
(A)中に存在するエポキシ基と(B)中に存在する酸無水物または酸官能基との間の反応を加速する化合物としては特に下記が挙げられる:
(1)第三アミン、例えばジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、N-ブチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルジメチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、1-メチルイミダゾール、テトラメチルエチルヒドラジン、N,N-ジメチルピペラジン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、16〜18個の炭素原子を含む第三アミンの混合物、およびジメチル獣脂アミンとして知られる化合物、
(2)1,4-ジアザビシクロ[2.2.2] オクタン(DABCO)、
(3)第三級ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン、
(4)亜鉛アルキルジチオカルバミン酸エステル。
【0109】
これら触媒の量は(A)+(B)+(C)の重量に対して0.1〜3重量%、好ましくは0.5〜1重量%にするのが有利である。
【0110】
架橋ポリオレフィンは3つの化合物(A)(B)および(C)の反応で得るのが有利である。
【0111】
本発明組成物は組成物の総重量に対して5〜55重量%の少なくとも1種の架橋したポリオレフィンを含む。本発明組成物は組成物の総重量に対して10〜45重量%の少なくとも1種の架橋したポリオレフィンを含むのが好ましい。
【0112】
追加のポリマー
本発明組成物は追加のポリマー、特に、少なくとも一種の第3のポリマー、例えば上記の架橋ポリオレフィンおよび半芳香族ポリアミドとは異なるポリマーをさらに含むことができる。
【0113】
この第3のポリマーは半結晶質ポリアミド、非晶質ポリアミド、半結晶質コポリアミド、非晶質コポリアミド、ポリアミド-ブロック・エーテル、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、上記の架橋ポリオレフィンとは逆に架橋していないポリオレフィン(この未架橋のポリオレフィンは官能化されていてもいなくてもよい)、PTFE、ETFE、PVDFのようなフルオロポリマーおよびこれらの混合物の中から選択するのが有利である。
【0114】
非架橋のポリオレフィンとしては、「架橋ポリオレフィン」で記載した反応基とグラフトされるポリオレフィンを挙げることができる、特に、化合物(A)または(B)または(C)から作ることができるが、架橋しないで単独で使用できる。例としてはEPRおよびEPDMエラストマーが挙げられる。これらのエラストマーはコポリアミドとの相溶化を容易にするためにグラフト化することができる。さらに、アクリルエラストマー、例えばNBR、HNBR、X−NBRタイプのエラストマーにすることもできる。
【0115】
第3のポリマーは、澱粉(変性および/または配合することができる)、セルロースまたはその誘導体、酢酸セルロースまたはセルロースエーテル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリヒドロキシアルカノエートから選択することもできる。
【0116】
第3のポリマーは脂肪族ポリアミドおよびポリアミド−ブロック−エーテルから選択するのが好ましい。
【0117】
本発明組成物は第3のポリマーを組成物の総重量に対して少なくとも最大で20重量%含むことができる。
【0118】
添加剤
本発明の組成物は少なくとも一種の添加剤を含むこともできる。この添加剤はアリールアミド、繊維、光安定剤、特に紫外線安定剤および/または熱安定剤、可塑剤、着色剤、離型剤、難燃剤、充填剤、例えばタルク、ガラス繊維、ナノフィラー、顔料、金属酸化物、金属、衝撃緩衝剤、界面活性剤、光沢剤、抗酸化剤および天然ワックスおよびこれらの混合物の中から選択できる。
【0119】
本発明で使用可能な充填剤は標準的な鉱物充填剤、例えばシリカ、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、膨張グラファイト、酸化チタン、ガラスビーズ、カオリン、マグネシアおよびスラグから成る群の中から選択される充填剤を含むことができる。しかし、上記充填材に限定されるものではない。充填剤は寸法が0.20〜25mmであるのが有利であるガラス繊維から成るのが好ましい。繊維のコポリアミドに対する接着性を改良するための当業者に公知のカップリング剤、例えばシラン誘導体またはチタン酸塩を含むことができる。アニオン性の充填剤、例えばグラファイトまたはアラミド繊維(完全芳香族ポリアミド)を使用することもできる。
【0120】
充填剤の含有量は0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%にできる。
【0121】
本発明はさらに、上記定義の組成物の製造方法にも関するものである。本発明方法組成物は本発明組成物およびオプションとして他の添加剤を含む均一な混合物を得ることが可能な任意の方法、例えば溶融押出成形またはローラーブレンディングで製造できる。
【0122】
本発明組成物は全ての成分、すなわちコポリアミドと、架橋ポリオレフィンを得るための化合物、特に化合物 (A)、(B)および任意成分の(Cを一緒に溶融する「直接」プロセスで製造できる。追加のポリマーおよび/または添加剤はコポリアミドおよび他の成分例えば化合物(A)(B)および任意成分の(C)と一緒に導入するか、後で導入できる。
【0123】
本発明組成物は当業者に公知の装置、例えば二軸押出機、コニーダーまたはブレンダを用いて顆粒の形で得ることができる。
【0124】
上記方法で製造した本発明組成物をそのまま用いるか、当業者に公知の成形機、例えば射出成形機または押出機を使用してさらに変形させることができる。
【0125】
本発明はさらに、公知の成形方法、例えば射出、押出、押出ブロー成形、共押出または多色成形を用いて少なくとも一つの上記組成物から得られる材料または物品にも関するものである。
【0126】
本発明組成物の製造方法では、中間の造粒行程なしに二軸押出機を用いて、当業者に公知の装置、射出成形機または押出機へ供給することもできる。
【0127】
本発明組成物は粉末または顆粒に形成して使用することもできる。これを次の成形行程で使用して構造を作ることができる。本発明組成物だけから作られる場合には、この構造物は単一層から成る。また、少なくとも二つの層を有し、構造物を形成する各層の少なくとも一つの層が本発明組成物からなる場合には、構造物は多層構造物である。
【0128】
単一層でも多層構造でも、粉末、顆粒または構造物は、繊維の形(例えば、布または不織布)、フィルム、チューブ、フィラメント、成形物、立体物(放射−誘導式の溶融または焼結で得られる粉末焼結物)、中空物または射出成形品にすることができる。
【0129】
例えば、エレクトロニクスまたは装飾の分野で使用できるフィルムおよびシートにできる。
【0130】
本発明組成物は電気部品および電子部品、例えば封止ソレノイド、ポンプ、電話器、コンピュータ、マルチメディアシステム、自動車機器、例えばパイプ、管継手、ポンプ、エンジン排気フード下の射出成形品、外科用機器、包装材料、スポーツ機器またはレジャー用品、例えば自転車部品、サドル、ペダルの全部または一部の製造に有利に使用できる。
【0131】
特に、パイプおよび/またはコネクターの形をしている場合、自動車用部品は空気取入口用器具、冷却器具(例えば、空冷、冷却液体、その他を用いた冷却器具)、燃料または流体(例えばオイル、水、その他)を輸送または移送するための器具で使用できる。これらの器具には適切な量の従来の伝導性充填剤(例えばカーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、その他)を添加することで本発明組成物を静電気防止または伝導性にすることができる。
【0132】
本発明組成物はさらに、ガス、オイルおよびその化合物の輸送または移送、特に、オフショア(沖合)油田の輸送または移送で使用される部品(特にパイプ、チューブ、コネクター、ポンプ、その他)の全部または一部の製造で使用できる。
【0133】
本発明組成物が粉末の形をしている場合には、例えばコーティング、特に流体(水、化学物質生成物、鉱油およびガス、その他)の輸送に使用される金属部材、特に、自動車の分野で使われるエンジン排気フード下および/または工業部品、特にエンジン部品を被覆する改良された耐熱性を有するコーティングで使用できる。本発明粉末は公知の方法(例えば、どぶ漬け、噴射銃を用いた塗布)で種々の支持体上に塗布してコーティングを形成することができる。本発明粉末はさらに、高い硬化温度(すなわち180℃以上)を必要とするペイントの添加剤および/または充填剤として使用できる。この粉末は耐食組成物、耐磨耗組成物および/またはペイントで使用できる。本発明粉末はさらに、放射−誘導溶融または焼結、例えばレーザー線(「レーザー焼結」)または赤外線(「IR焼結」)を使用して物品を製造するための粉末凝集法でも使用できる。本発明粉末はさらに紙添加剤、電気泳動ゲル、多層材料のスペーサー層として、特に多層コンポジット材料のスペーサとして使用することもできる。包装、玩具、織物、自動車、電子回路、化粧品、製剤および香水での使用も可能である。
【0134】
例えば、本発明組成物から成る顆粒は押出生成によるフィラメント、パイプ、フィルムの製造および/または成形整形品の製造で使用できる。
【0135】
本発明の他の目的および利点は、例示のために示す以下の実施例からよりよく理解できよう。しかし、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0136】
A.アミン官能基の含有量を関数とする使用(製造)の比較研
組成物の形成
コポリアミドとして11-アミノウンデカン酸、1,10-デカンジアミンおよびテレフタル酸の重縮合で得られる11/10.Tモル比が0.7に等しいPA 11/10.Tを含む3つの組成物A、BおよびB'を調製した。
コポリアミドは3つの異なる合成経路で作り、本発明のコポリアミド本発明のコポリアミドPA1、比較例のコポリアミドPA2およびPA2'の3つの異なるコポリアミドとして得た。コポリアミドPA2'は特許文献3(欧州特許第EP 1505099号公報)の実施例1の条件下で製造したコポリアミド11/10.Tに対応する。これらの3つのコポリアミドの特性を[表1]に示す。
【0137】
【表1】

【0138】
固有粘度(ηで表示)はISO規格307に従って測定した。
コポリアミドPA2は、アミン鎖末端の含有量が高い点で本発明のコポリアミドPA1とは異なり、PA2'のコポリアミドはそれとは対照的にアミン鎖末端含有量が低い点で区別される。
組成物A、BおよびB'は[表2]に示す組成で二軸押出機で製造した。架橋ポリオレフィンの含有量は各組成物A、BおよびB'の総重量に対して30重量%である。
【0139】
【表2】

【0140】
組成物の製造研究
組成物A、BおよびB'は当業者に公知の方法でコンパウンディングした。[表3]に示すヘッド圧の測定値から分かるように組成物Bは容易にコンパウンディングできない。特に、ヘッド圧力およびトルクが高過ぎる。
比較例の組成物B'は自体はコンパウンディング可能である。
【0141】
【表3】

【0142】
アミン含有量および多分散性指数の関数として使用(成形)の比較研究
[表4]は異なるコポリアミドPA 11/10 .Tを示す。全ての11/10.Tモル比は0.7である([表1]参照)。
[表5]は[表2]の組成物B'と、[表2]の組成物と同じ条件下で得た組成物C〜Gの詳細である。[表5]にはさらに、組成物B'、組成物C〜GのMFI値(5kg荷重下、300℃で測定)、粘性値と、組成物B'、C〜Gから得られたパイプの形に押出し成形した時の観察結果と、ISO規格527 1BAの試験片(射出成形)での170℃での半減期値とが示してある。
プレート−プレート粘度(Pa.s)は300℃(10rad/s)で30分間実行して測定した。
半減期は破断時の伸び初期値を2で割った後の時間に対応する。
【0143】
【表4】

【0144】
【表5】

【0145】
上記結果が示すように、Ipまたはコポリアミド(PA6およびPA7)中のアミン鎖末端の含有量が本発明のコポリアミド(PA3、PA4またはPA5)の含有量より大きい値の場合、それを含む組成物は加熱時の粘性が変化し、押出し成形によって材料をパイプの形に成形することは難しく、不可能でさえある。
【0146】
さらに、コポリアミド(PA2')中のアミン鎖末端の含有量が本発明のコポリアミド(PA3、PA4またはPA5)の含有量以下の場合およびIpが本発明のコポリアミドより大きい場合には、対応する組成物B'からのパイプ形への材料の押出し成形は、特にこの組成物B'のメルトフローインデックスのために、本発明の組成物(C、DまたはE)より難しくなり、得られたパイプの外観が粗くなり、成形中にフューム(煙)が生じるのが観測される。
【0147】
さらに、170℃での半減期値に関しては、組成物B'から得た材料は本発明組成物C、DおよびEから得た材料より効率が悪い熱機械特性を有していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)と(2)から成る組成物:
(1)組成物の総重量に対して45〜95重量%の下記一般式に対応する少なくとも2つの異なる単位から成る半芳香族コポリアミド:
A/X.T
[ここで、
Aはアミノ酸から得られる単位、ラクタムから得られる単位および式(Caジアミン).(Cb二酸)に対応する単位(ここで、aはジアミンの炭素原子数を表し、bは二酸の炭素原子数を表し、aおよびbはそれぞれ4〜36の数で表す)の中から選択され、
X.TはCxジアミンとテレフタル酸との重縮合で得られる単位(ここで、xはCxジアミンの炭素原子数を表し、xは4〜36の数で表す)で表す]
(ただし、上記コポリアミドは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定した多分散性指数(Ipで表す)が3.5以下で且つアミン鎖末端の含有量が0.020meq/g〜0.058meq/gの間にある)
(2)組成物の総重量に対して5〜55重量%の少なくとも一種の架橋ポリオレフィン。
【請求項2】
コポリアミドの多分散性指数が2〜3.5の間にある請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
コポリアミドのアミン鎖末端の含有量が0.030〜0.050meq/gの間にある請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
コポリアミドの融点が240℃以上、有利には240℃〜310℃の間、好ましくは260℃〜280℃である請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
単位Aが脂肪族である請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
単位Xが9〜18の炭素原子を有するジアミンで表す請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
コポリアミドが11/10.T、12/10.T、6.10/10.T、6.12/10.T、10.10/10.T、10.12/10.T、12.12/10.T、11/10.T/12、11/10.T/6、12/10.T/6、11/10.T/10.I、11/10.T/10.6、11/10.T/6.T、12/10.T/10.I、12/10.T/10.6および12/10.T/6.Tの中から選択される請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
架橋ポリオレフィンが、不飽和エポキシドを含む化合物(A)と、不飽和無水カルボン酸を含む化合物(B)または多カルボン酸と、任意成分としての不飽和カルボン酸またはα、ω−アミノカルボン酸を含む化合物(C)とから得られる請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の総重量に対して下記比率を有する請求項8に記載の組成物:
化合物(A)の比率が2〜15重量%、
化合物(B)の比率が3〜40重量%、
化合物(C)の比率が0〜12重量%。
【請求項10】
組成物が、脂肪族ポリアミド、非架橋ポリオレフィン、フルオロポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシドおよびポリアミド-ブロック−エーテルの中から選択される少なくとも一種の追加のポリマーを最大で20重量%さらに含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
アリルアミド、繊維、光安定剤、特に紫外線安定剤および/または熱安定剤、可塑剤、着色剤、離型剤、難燃剤、タルクのような一般的充填剤、ガラス繊維、ナノフィラー、顔料、金属酸化物、金属、衝撃緩衝剤、界面活性剤、光沢剤、抗酸化剤、天然ワックスおよびこれらの混合物の中から選択される少なくとも一種の添加剤をさらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
全ての成分を溶融混合して製造することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物の、粉末、顆粒、単層構造物または多層構造の少なくとも一つの層の製造での、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
粉末、粒剤、単一層構造物または多層構造が、繊維、フィルム、パイプ、フィラメント、成形品、放射−誘導溶融または焼結を用いた粉末凝集法で得られる3次元物体、中空耐、または射出成形品の形をしている請求項13に記載の使用。
【請求項15】
塗料、コーティング材、耐食組成物、耐磨耗組成物、放射−誘導溶融または焼結で物品を製造するための粉末凝集法、製紙、電気泳動ゲル、多層複合材料、包装産業、おもちゃ産業、繊維産業、自動車両産業、電子産業、化粧品産業、医薬産業および香水産業での添加剤および/または充填剤としての請求項13または14に記載の使用。
【請求項16】
流体輸送で使用される金属部品の改良型の耐熱性を有するコーティング、エンジンフード下で使用される自動車産業および/または工業分野、エンジン要素の金属部品の耐熱性を有するコーティングでの添加剤としての、請求項14に記載の使用。

【公表番号】特表2013−501118(P2013−501118A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523369(P2012−523369)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051659
【国際公開番号】WO2011/015790
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】