説明

コマ玩具遊戯台、及び、コマ玩具遊戯台セット

【課題】遊戯者が一人で遊ぶ場合にも、複数の遊戯者がコマ玩具同士を衝突させて遊ぶ場合と同様のスリル感や面白みを得ることができるコマ玩具遊戯台、及び、コマ玩具遊戯台セットを提供する。
【解決手段】遊戯面11上に回転盤18を配置し、回転盤18を電動モータによって回転駆動する。回転盤18と、対戦コマ玩具3の接地軸26に、相互に引き合う永久磁石23,27をそれぞれ設ける。対戦コマ玩具3を永久磁石27,23で回転盤18に係合させ、その状態で回転盤18を電動モータで回転される。対戦コマ玩具3は、遊戯者のコマ玩具30との衝突等によって所定値以上の外力を受けたときに回転盤18から離れて遊戯面11上を自由に動くようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コマ玩具を回して遊ぶためのコマ玩具遊戯台と、コマ玩具を含むコマ玩具遊戯台セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のコマ玩具を衝突させて遊ぶためのコマ玩具遊戯台が知られている。このコマ玩具遊戯台は、一般に、コマ玩具を回すためのすり鉢状の遊戯面を有し、その遊戯面に放たれた複数のコマ玩具が中央部へと移動するように形成されている。このコマ玩具遊戯台を用いる遊びでは、遊戯面の中央部へと移動したコマ玩具同士を衝突させ、相手のコマ玩具を倒したり、遊戯台から弾き飛ばしたりして勝負を決する。
ところが、このようなコマ玩具遊戯台を用いる場合には、遊戯相手との対戦が主であり、遊戯者が一人の場合には、最初に回したコマ玩具と後から回したコマ玩具の回転力に当然ながら差が生じ、対戦前にコマ玩具間に優劣が発生してしまう。
【0003】
そこで、遊戯面上にモータによって回転する擬似ゴマを設置し、遊戯面上に放った自分のコマ玩具を擬似ゴマに衝突させて遊べるようにしたコマ玩具遊戯台が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
このコマ玩具遊戯台は、遊戯面上にモータ動力によって回転する回転軸が突設され、その回転軸に擬似ゴマが一体回転可能に取り付けられるとともに、擬似コマや遊戯面の周囲のフェンス等に、遊戯者のコマ玩具の衝突を検出するためのセンサが設けられている。そして、これらのセンサの検出信号は表示装置やスピーカを制御する制御装置に入力され、制御装置は、センサの検出信号に基づいて表示装置やスピーカの出力を制御するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4543100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のコマ玩具遊戯台においては、遊戯面に突設された回転軸に擬似コマが固定されているため、遊戯者がコマ玩具を衝突させても擬似ゴマが倒れたり、弾き飛ばされたりすることがなく、複数の遊戯者がコマ玩具同士を衝突させて遊ぶ場合と比較して、スリル感や遊びの面白みの面で差が大きくなる。
【0006】
そこでこの発明は、遊戯者が一人で遊ぶ場合にも、複数の遊戯者がコマ玩具同士を衝突させて遊ぶ場合と同様のスリル感や面白みを得ることができるコマ玩具遊戯台、及び、コマ玩具遊戯台セットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るコマ玩具遊戯台は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、コマ玩具を回すための遊戯面と、この遊戯面上、若しくは、この遊戯面に連続する凹部内に設けられた回転出力部と、この回転出力部に回転動力を付与する回転力付与手段と、前記コマ玩具に作用する外力が所定値を超えない間、前記コマ玩具と前記回転出力部を係合状態に維持する係合手段と、を備えていることを特徴とするものである。
これにより、コマ玩具を回転出力部に係合させた状態で回転力付与手段が作動すると、回転力付与手段の動力によって回転出力部が回転し、回転出力部の回転がコマ玩具に伝達されるようになる。コマ玩具はこれによって回転を開始し、このコマ玩具に遊戯者が別のコマ玩具を衝突させて遊ぶことが可能になる。こうして回転を開始したコマ玩具は、遊戯者のコマ玩具との衝突等によって所定値を超える外力が作用すると、係合手段の係合が外れ、遊戯面上を自由に動くようになる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係るコマ玩具遊戯台において、前記係合手段は、前記回転出力部と前記コマ玩具の接地軸にそれぞれ設けられ、相互に吸引される磁気吸着部材によって構成されていることを特徴とするものである。
これにより、コマ玩具の接地軸と回転出力部は、磁気吸着部材の力によって係合状態が維持され、コマ玩具に所定値を超える外力が作用すると、両者の係合状態が解除されるようになる。
なお、磁気吸着部材は、コマ玩具の接地軸側と回転出力部側が共に永久磁石である場合のほか、一方が永久磁石、他方が金属等の磁性部材であっても良い。
【0009】
また、この発明に係るコマ玩具遊戯台セットは、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項3に係る発明は、コマ玩具を回すための遊戯面と、この遊戯面上、若しくは、この遊戯面に連続する凹部内に設けられた回転出力部と、この回転出力部に回転動力を付与する回転力付与手段と、一人遊び用対戦コマ玩具と、この一人遊び用対戦コマ玩具に作用する外力が所定値を超えない間、この一人遊び用対戦コマ玩具と前記回転出力部を係合状態に維持する係合手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のコマ玩具遊戯台セットにおいて、前記係合手段は、前記回転出力部と前記一人遊び用対戦コマ玩具の接地軸にそれぞれ設けられ、相互に吸引される磁気吸着部材によって構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項3または4に記載のコマ玩具遊戯台セットにおいて、前記一人遊び用対戦コマ玩具は、軸方向高さを調整可能な軸長可変手段が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、コマ玩具を回転出力部に係合させた状態で回転力付与手段を作動させることにより、係合手段を介して回転出力部に係合されたコマ玩具を回転させることができるとともに、そのコマ玩具に所定値を超える外力が作用したときには、係合手段による係合が解除されてそのコマ玩具が遊戯面上を自由に移動するようになるため、遊戯者が別のコマ玩具を遊戯面上で回して一人で遊ぶ場合に、コマ玩具同士を遊戯面上で衝突させて、相手コマ玩具を倒したり、弾き飛ばしたりすることができる。
また、この発明によれば、対戦用のコマ玩具は遊戯面上で回転力付与手段の回転力を係合手段を介して付与されるため、遊戯者のコマ玩具を投入する時点で回転力が落ちることがなく、対戦前にコマ玩具間で優劣が生じず、遊びとしての面白みを損なうことがない。
したがって、この発明によれば、複数の遊戯者がコマ玩具同士を衝突させて遊ぶ場合と同様のスリル感や面白みを得ることができる。
【0013】
請求項2,4に係る発明によれば、コマ玩具の接地軸と回転出力部が磁気吸着部材の吸着力によって係合状態に維持されるため、極めて簡単な構造によってコマ玩具の接地軸と回転出力部の係合と、外力に応じたその解除を実現することができる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、一人遊び用対戦コマ玩具に軸長可変手段が設けられているため、一人遊び用対戦コマ玩具の重心高さや外周の攻撃面の高さを変化させ、一人遊び用対戦コマ玩具に対する攻略を難しくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の第1の実施形態のコマ玩具遊戯台セットの斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施形態のコマ玩具遊戯台の平面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態のコマ玩具遊戯台セットの平面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態のコマ玩具遊戯台セットの図3のA−A断面に対応する断面図である。
【図5】この発明の第1の実施形態のコマ玩具遊戯台セットの図4と同様の断面図である。
【図6】この発明の第2の実施形態の一人遊び用対戦コマ玩具の模式的な分解斜視図である。
【図7】この発明の第2の実施形態のコマ玩具遊戯台セットの図4と同様の断面図である。
【図8】この発明の第2の実施形態のコマ玩具遊戯台セットの図4と同様の断面図である。
【図9】この発明の第3の実施形態のコマ玩具遊戯台セットの図4と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、特別に断らない限り、「上」「下」については、設置時における鉛直方向の上下を意味するものとする。
最初に、図1〜図5に示す第1の実施形態について説明する。
図1,図3は、この実施形態に係るコマ玩具遊戯台セット1を示す図である。これらの図に示すように、コマ玩具遊戯台セット1は、コマ玩具遊戯台2と、そのコマ玩具遊戯台2上で用いる一人遊び用対戦コマ玩具3(以下、「対戦コマ玩具3」と呼ぶ。)と、を備えている。なお、図3において、30は、遊戯者が回して遊ぶコマ玩具である。
【0017】
図2は、コマ玩具遊戯台2の平面図である。図1〜図3に示すように、コマ玩具遊戯台2は、平面視が略円形状のベースブロック10を備え、そのベースブロック10の上面には、すり鉢状に中央部が窪んだ遊戯面11が設けられている。また、ベースブロック10の外周縁部には、コマ玩具3,30の外側への跳ね出しを規制するフェンスとして機能する3つの隆起壁12が円周方向に離間して設けられるとともに、隣接する2つの隆起壁12の間に、後述する電動ユニット13のスイッチ操作部14が設けられている。
【0018】
ところで、遊戯面11は、周縁領域とその内側に配置される中央領域が別体部材によって形成されている。周縁領域はベースブロック10に一体に形成され、中央領域は電動ユニット13と一体の円盤状の底壁ブロック15によって形成されている。ベースブロック10の上面中央には円形状の開口16が形成され、その開口16の内側に底壁ブロック15が嵌合されている。
【0019】
電動ユニット13は、図2に示すように、回転力付与手段である電動モータ17と、図示しない電池収納部と、電動モータ17によって回転駆動される回転盤18(回転出力部)と、電動モータ17の正転駆動、逆転駆動、作動停止を切換え操作するための上記のスイッチ操作部14と、を備えている。また、電動ユニット13のケーシングは、図2に示すように一辺が長い略直方体状に形成され、その長尺方向の一端側の上面に上記の底壁ブロック15が設けられるとともに、他端部にスイッチ操作部14が設けられている。電動ユニット13は、ベースブロック10の内側に同ベースブロック10の半径方向に沿うように配置され、底壁ブロック15とスイッチ操作部14がベースブロック10の外面から外側に露出している。
【0020】
図4,図5は、図3のA−A断面に対応する断面を示すものである。これらの図にも示すように、底壁ブロック15の上面中央には、円形状の凹部19が設けられ、その凹部19に回転盤18が回転可能に収容されている。回転盤18には下方に突出する軸20が設けられ、その軸20が図2に示すギヤ機構等の動力伝達機構21を介して電動モータ17の出力軸に連係されている。したがって、回転盤18は電動モータ17の動力を受けて回転し、スイッチ操作部14の操作に応じて正転、逆転、停止の状態が適宜切換えられるようになっている。
回転盤18は、その上面の中央に緩やかなテーパ状の窪み部22が形成されている。また、回転板18は、外壁ブロック15と同様に外形が樹脂材料によって形成されているが、その内部には短軸円柱状の永久磁石23がN,Sの一方の磁極を上に向けるようにして設けられている。
【0021】
一方、対戦コマ玩具3は、外周面に複数の凹凸部が設けられた大径胴部24と、その大径胴部24の下端に接続され、大径胴部24よりも小径の小径胴部25と、小径胴部25の下端に接続され、回転盤18を含む遊戯面11上に接地する接地軸26と、を備えている。接地軸26は、下端の軸先26aが緩やかなテーパ状に形成され、その軸先26aのテーパ面が回転盤18側の窪み部22のテーパ形状と合致するようになっている。また、接地軸26は外形が樹脂材料によって形成されているが、その内部には、短軸円筒状の永久磁石27と、円板状の金属プレート28が設けられている。永久磁石27はS,Nの一方の磁極(回転盤18側の永久磁石23の上面側の磁極と逆の磁極)を下に向けるようにして接地軸26内に設けられ、金属プレート28は永久磁石27の磁力を下方に向けるように永久磁石27の上面に接して設けられている。
【0022】
この対戦コマ玩具3は、図4に示すように、接地軸26の軸先26aを回転盤18の窪み部22内に載せることにより、永久磁石27,23の相互に引き合う磁力によって回転盤18に対して係合状態とされる。この永久磁石27,23の磁力による対戦コマ玩具3と回転盤18の係合は、対戦コマ玩具3に所定値を超える外力(永久磁石27,23の磁着を引き離すだけ力)が作用するまで維持される。
この実施形態においては、対戦コマ玩具3と回転盤18の永久磁石27,23が係合手段を構成している。また、この実施形態の例では、対戦コマ玩具3の接地軸26と回転盤18に永久磁石27,23を設けるようにしているが、対戦コマ玩具3の接地軸26と回転盤18の一方に永久磁石を設け、他方に鉄等の永久磁石以外の磁性材料を設けるようにしても良い。なお、この明細書において、磁気吸着部材とは、永久磁石の他、永久磁石と組み合わせて用いられる場合には、鉄等の永久磁石以外の磁性材料も含むものとする。
【0023】
図4,図5に示すコマ玩具30は、遊戯面11上で対戦コマ玩具3に衝突させて遊ぶものであり、対戦相手のコマ玩具を攻撃する機能を備えた上層部材31と、コマ玩具30の高さを決める機能を備えた中層部材32と、遊戯面11上でコマ玩具30の移動態様を決める機能を備えた下層部材33(接地軸)とから成り、これらの各部材31,32,33が遊戯者の好みに応じて適宜別仕様の部材と交換できるようになっている。
【0024】
以上の構成のこのコマ玩具遊戯台セット1によって、遊戯者が一人で遊ぶ場合には、対戦コマ玩具3をコマ玩具遊戯台2の遊戯面11上に配置し、対戦コマ玩具3の接地軸26を回転盤18上の窪み部22内に挿入して、接地軸26の軸先26aを回転盤18に対して永久磁石27,23の磁力によって吸着させる(係合させる)。このとき、対戦コマ玩具3は、軸先26aと窪み部22との係合と、永久磁石27,23の磁力によって起立状態に維持される。
【0025】
遊戯者はこの状態から電動ユニット13のスイッチ操作部14を停止位置から正転位置、または、逆転位置に操作し、回転力付与手段である電動モータ17を回転駆動させる。こうして電動モータ17が回転駆動されると、動力伝達機構21を介してその回転が回転盤18に伝達され、さらに回転盤18の回転が対戦コマ玩具3に対して永久磁石27,23の磁力を通して伝達される。この結果、対戦コマ玩具3は電動モータ17の動力によって遊戯面11の中央で回転することになる。
なお、スイッチ操作部14による電動モータ17の正転と逆転の切換え、遊戯者の用いるコマ玩具30の回転方向に応じて適宜選択する。
【0026】
遊戯者は、この状態において、自分のコマ玩具30を専用装置で回転させて遊戯面11上に放ち、図3,図4に示すように、自分のコマ玩具30を対戦コマ玩具3に衝突させる。このときの衝突は、遊戯面11がすり鉢状であることから、コマ玩具30が遊戯面11の内面に沿って自然に中央に移動することによって起こる。
こうして、コマ玩具30が対戦コマ玩具3に衝突すると、図3,図5に示すように、そのときの衝突の態様に応じて両者が遊戯面11上で弾かれる。このとき、対戦コマ玩具3は、遊戯者のコマ玩具30から受ける衝撃(外力)によって永久磁石27,23による回転盤18との係合が外れ、遊戯面11上の回転盤18の外側領域を自由に移動するようになる。この後は、複数の遊戯者がコマ玩具同士を衝突させて遊ぶ場合と同様に、対戦コマ玩具3と遊戯者のコマ玩具30のどちらかが倒れて止まるか、コマ玩具遊戯台2の外に弾き出されることによって勝負が決せられる。
【0027】
なお、遊戯者のコマ玩具30と対戦コマ玩具3が遊戯面11上で衝突を繰り返す間に、対戦コマ玩具3が中央の回転盤18の窪み部22に再び載ると、対戦コマ玩具3と回転盤18が永久磁石27,23の吸着力によって再度係合され、対戦コマ玩具3の回転が回転盤18を通して増速されることになる。
【0028】
以上のように、このコマ玩具遊戯台セット1(コマ玩具遊戯台2)においては、回転力付与手段である電動モータ17によって回転出力部である回転盤18を遊戯面11上で回転させ、対戦コマ玩具3の接地軸26と回転盤18を永久磁石27,23の磁着力によって係合させることにより、遊戯者のコマ玩具30との衝突によって対戦コマ玩具3に所定値以上の外力が作用したときに、永久磁石27,23による対戦コマ玩具3と回転盤18との係合が外れ、対戦コマ玩具3が遊戯面11上を自由に移動するようになっている。このため、このコマ玩具遊戯台セット1(コマ玩具遊戯台2)では、複数の遊戯者がコマ玩具を衝突させ合って遊ぶ場合と同様に、コマ玩具3,30同士を遊戯面11上で衝突させて、コマ玩具3,30を倒したり、弾き飛ばしたりすることができ、十分なスリル感と面白みを得ることができる。
さらに、このコマ玩具遊戯台セット1(コマ玩具遊戯台2)の場合、遊戯者が自分のコマ玩具30を投入する時点で、対戦コマ玩具3が遊戯面11上で永久磁石27,23を介して回転盤18の回転力を受け続けているため、対戦前に両コマ玩具3,30の回転力に優劣が生じることがなく、遊びとしての面白みを損なうことがない。
【0029】
また、この実施形態のコマ玩具遊戯台セット1(コマ玩具遊戯台2)においては、対戦コマ玩具3の接地軸26と回転盤18を永久磁石27,23の磁着力によって係合状態に維持できるようにしているため、極めて簡単な構造でありながら、対戦コマ玩具3と回転盤18の係合と外力に応じたその解除を容易に実現することができる。特に、この実施形態のように、永久磁石27,23等の磁気吸着部材を対戦コマ玩具3の接地軸26と回転盤18の内部に設けるようにした場合には、外観に影響を及ぼすことがないため、デザインの自由度を高めることができるという利点もある。
【0030】
さらに、この実施形態のコマ玩具遊戯台セット1(コマ玩具遊戯台2)の場合、回転盤18と対戦コマ玩具3が永久磁石27,23の磁着力によって相互に係合されるとともに、回転盤18が遊戯面11の一部を成すように遊戯面11の底部で常時外側に露出するようになっているため、対戦コマ玩具3の回転開始時だけでなく、遊戯中に対戦コマ玩具3が回転盤18上に再度載った場合にも対戦コマ玩具3を増速して、遊戯の面白みをさらに増すことができる。
【0031】
つづいて、図6〜図8に示す第2の実施形態について説明する。この実施形態のコマ玩具遊戯台セット101は、一人遊び用対戦コマ玩具103(以下、「対戦コマ玩具103」と呼ぶ。)の構造だけが第1の実施形態のものと異なり、コマ玩具遊戯台2の構造は同様とされている。なお、後の第3の実施形態の説明も含め、以下では、第1の実施形態と同一部分と同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
【0032】
この実施形態の対戦コマ玩具103は、第1の実施形態のものと同様に、大径胴部24の下端に小径胴部25が設けられ、小径胴部25の下端に接地軸126が設けられているが、小径胴部25と設置軸126の間には、接地軸126の実質的な軸方向高さを調整するための軸長可変機構40(軸長可変手段)が設けられている。この実施形態の軸長可変機構40は、接地軸126の実質的な軸方向長さを2段階に切換えられるようになっている。
【0033】
図6は、軸長可変機構40の概略的な仕組みを説明するための図であり、図7は、接地軸126の実質的な軸長を短くしたときの図4に対応する断面図であり、図8は、接地軸126の実質的な軸長を長くしたときの図4に対応する断面図である。
図6に示すように、接地軸126は円筒状の周壁41を備え、その周壁41の上部が小径胴部25の下面に設けられた嵌合孔42に挿入されるようになっている。接地軸126の周壁41の外面には、対称位置から相反方向に突出する係止爪43の対が設けられている。この係止爪43の対は、軸方向に所定間隔離間して3段設けられている。以下では、各段の係止爪43を区別のする場合に、最上部の係止爪43を上段係止爪43aと呼び、最下部の係止爪43を下段係止爪43c、中間部の係止爪43を中段係止爪43bと呼ぶものとする。
【0034】
また、小径胴部25の下面の嵌合孔42は、接地軸26の周壁41の一般部に対応する円形部に、係止爪43の対に対応する爪挿入部44が連続して設けられている。そして、小径胴部25の下面には、小径胴部25に対して規定角度範囲で回動可能にリング状のロック操作部材45が取り付けられている。ロック操作部材45の内周側の開口46の縁部には、係止爪43の対の挿入を許容する一対の切欠き部47が設けられている。ロック操作部材45は、一対の切欠き部47の位置が小径胴部25側の一対の爪挿入部44の位置と合致するように回転させたロック解除位置と、一対の切欠き部47の位置が小径胴部25側の一対の爪挿入部44の位置からずれるように回転させたロック解除位置と、に選択的に回動操作できるようになっている。
この実施形態では、接地軸の3段の係止爪43(43a,43b,43c)と、小径胴部25の下面の嵌合孔42と爪挿入部44と、切欠き部47を有するロック操作部材45とによって軸長可変機構40が構成されている。
【0035】
図7に示すように、対戦コマ玩具103の接地軸126の実質的な軸長を短くする場合には、ロック操作部材45をロック解除位置に回動操作し、その状態で接地軸126の周壁41を小径胴部25の嵌合孔42内に押し入れ、周壁41を所定量押し込んだところで、ロック操作部材45をロック位置に回動操作する。これにより、接地軸126の周壁41の中段係止爪43bと下段係止爪43cがロック操作部材45を上下で挟み込むようにして当接し、接地軸126がその状態で小径胴部25に固定されることになる。
【0036】
また、この状態から、図8に示すように、対戦コマ玩具103の接地軸126の実質的な軸長を長くする場合には、ロック操作部材45をロック解除位置に回動操作し、その状態で接地軸126の周壁41を小径胴部25の嵌合孔42から引き出し、周壁41を所定量引き出したところで、ロック操作部材45をロック位置に回動操作する。これにより、接地軸126の周壁41の上段係止爪43aと中段係止爪43bがロック操作部材45を上下で挟み込むようにして当接し、接地軸126がその状態で小径胴部25に固定されることになる。
【0037】
この実施形態では、以上のように対戦コマ玩具103の接地軸126の実質的な軸長が軸長可変機構40によって調整可能とされているため、対戦コマ玩具103の重心高さや外周の攻撃面(凹凸部)の高さを適宜変化させ、対戦コマ玩具103に対する攻略を難しくし、面白みが長期亙って失われないようにすることができる。
ここで説明した軸長可変機構は一例であり、他の構造も当然採用することができる。また、接地軸126の軸長の調整段も3段階以上であっても無段階であっても良い。
【0038】
図9は、この発明の第3の実施形態を示すものである。
この実施形態のコマ玩具遊戯台セット201は、コマ玩具遊戯台202の遊戯面211の中央に、上下に貫通する貫通孔50が設けられ、その貫通孔50の下方に、図示しない電動モータ(回転力付与手段)の動力によって回転する一対の摩擦ローラ51A,51Bが離間して配置されている。
【0039】
また、一人遊び用対戦コマ玩具203(以下、「対戦コマ玩具203」と呼ぶ。)は、貫通孔50に対して上方から落ち込み(挿入)可能な接地軸226を備え、その接地軸226には、接地軸226が貫通孔50内に落ち込んだときに、一対の摩擦ローラ51A,51Bの外周面間に嵌入される円柱状の軸先部52が設けられている。摩擦ローラ51A,51Bは、例えば、外周面に摩擦抵抗の大きいゴム部材を取り付けたローラ等を用いることができる。また、摩擦ローラ51A,51Bはそれぞれ電動モータによって相反方向に回転駆動されるようになっている。
【0040】
軸先部52は、一対の摩擦ローラ51A,51Bの外周面間に嵌入され、その状態で摩擦ローラ51A,51Bが電動モータによって回転駆動されると、摩擦ローラ51A,51Bから一定方向の回転力を受ける。対戦コマ玩具203は、これによって回転することになる。また、対戦コマ玩具203は、こうして接地軸226が貫通孔50に落ち込んだ状態で回転を開始すると、小径胴部25または接地軸226の付根部が貫通孔50の上縁部から上方に跳ね上げられるような反力受けることになる。これにより、対戦コマ玩具203は遊戯面11上に飛び出し、回転しながら遊戯面11の上を自由に移動するようになる。
【0041】
したがって、この実施形態のコマ玩具遊戯台セット201の場合も、複数の遊戯者がコマ玩具を衝突させ合って遊ぶ場合と同様に、コマ玩具同士を遊戯面11上で衝突させて、コマ玩具を倒したり、弾き飛ばしたりすることができ、十分なスリル感と面白みを得ることができる。
この実施形態の場合、係合手段は、摩擦ローラ51A,51Bと対戦コマ玩具203の軸先部52によって構成されている。
【0042】
また、この実施形態の貫通孔50には、板ばね等によって閉じ方向に付勢されたスライド式のシャッターを設け、対戦コマ玩具203が貫通孔50から飛び出した後に、貫通孔50がシャッターによって閉じられるようにしても良い。
また、貫通孔50部分にシャッターを設けずに、遊戯中に、対戦コマ玩具203に限らず遊戯者のコマ玩具が貫通孔50内に落ち込んだときにも摩擦ローラ51A,51Bによって同様に増速されるようにしても良い。
【0043】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1,101,201…コマ玩具遊戯台セット
2,201…コマ玩具遊戯台
3,103,203…一人遊び用対戦コマ玩具(コマ玩具)
11…遊戯面
17…電動モータ(回転力付与手段)
18…回転盤(回転出力部)
23,27…永久磁石(磁気吸着部材、係合手段)
26,126,226…接地軸
40…軸長可変機構(軸長可変手段)
51A,51B…摩擦ローラ(係合手段)
52…軸先部(係合手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コマ玩具を回すための遊戯面と、
この遊戯面上、若しくは、この遊戯面に連続する凹部内に設けられた回転出力部と、
この回転出力部に回転動力を付与する回転力付与手段と、
前記コマ玩具に作用する外力が所定値を超えない間、前記コマ玩具と前記回転出力部を係合状態に維持する係合手段と、を備えていることを特徴とするコマ玩具遊戯台。
【請求項2】
前記係合手段は、前記回転出力部と前記コマ玩具の接地軸にそれぞれ設けられ、相互に吸引される磁気吸着部材によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具遊戯台。
【請求項3】
コマ玩具を回すための遊戯面と、
この遊戯面上、若しくは、この遊戯面に連続する凹部内に設けられた回転出力部と、
この回転出力部に回転動力を付与する回転力付与手段と、
一人遊び用対戦コマ玩具と、
この一人遊び用対戦コマ玩具に作用する外力が所定値を超えない間、この一人遊び用対戦コマ玩具と前記回転出力部を係合状態に維持する係合手段と、を備えていることを特徴とするコマ玩具遊戯台セット。
【請求項4】
前記係合手段は、前記回転出力部と前記一人遊び用対戦コマ玩具の接地軸にそれぞれ設けられ、相互に吸引される磁気吸着部材によって構成されていることを特徴とする請求項3に記載のコマ玩具遊戯台セット。
【請求項5】
前記一人遊び用対戦コマ玩具は、軸方向高さを調整可能な軸長可変手段が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載のコマ玩具遊戯台セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−284(P2013−284A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133439(P2011−133439)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【出願人】(591056846)株式会社東京ユニーク (15)
【Fターム(参考)】