説明

コミュニケーション確立方法及び装置及びプログラム

【課題】 距離の近い受信対象者にはより早くメッセージを伝えることを可能とし、また、メッセージの認識漏れを低減する。
【解決手段】本発明は、発信端末装置において、発信者から振動センサに振動が与えられると、その振動を検出し、センタ装置に検出された信号に応じた情報とユーザIDを含む信号を送信する。センタ装置は、ユーザIDに基づいてユーザの位置を特定し、受信者対象の端末装置と該発信端末装置間の最大距離dを最小にし、該最大距離d内に存在する未送信の受信対象者を特定し、応答の要求と距離レベル情報を送信する。このとき、最大距離dを所定の値を越えるまで増加させて受信者対象を特定する。受信対象者の端末装置は、応答の要求と距離レベル情報を受信し、距離レベル情報に応じた強さの振動を発生、または、減衰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コミュニケーション確立方法及び装置及びプログラムに係り、特に、トランシーバのように携帯可能なディスプレイが具備されていない端末機器による会話のような不特定向けの発信を行うようなコミュニケーションを誘発するためのサービスにおけるコミュニケーション確立方法及び装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コミュニケーションの開始には、電話番号、メールアドレスなどによってコミュニケーションの相手を特定して効率的にアクセスする明示的直接的アクセスと、新たな出会いや相手の状況に合わせてコミュニケーション選択可能な相手を選択する緩やかなアクセスがある。
【0003】
本発明は穏やかなアクセスを対象としている。
【0004】
その一例として、古くからある緩やかなアクセスとして無線トランシーバがある。
発信者が誰かに呼びかけをして、受信対象者から応答反応があることによって会話が始まる。相手は存在を知られないまま終わることも、コミュニケーションを徐々に開始することも、途中でコミュニケーションを打ち切ってそのまま追跡されずに消えることも可能である。しかし、無線トランシーバは、相手が決まった後の会話が電話等に比べて制限が多いなどの問題や、相手との物理的な距離感が使えないという課題がある。
【0005】
そこで近年、無線と類似する携帯電話と融合したサービスとして、プッシュ・トゥ・トーク(push-to-talk、PTT)サービスが存在した。これも複数のメンバを対象とした、距離を越えたコミュニケーションを可能にする。しかし、物理的な距離感をコミュニケーションに活かすことができない。これに対し、上記を組合せて、PTTサービスの拡張として、メンバの位置情報を地図で表示できる機能を有するものも登場している(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかし、ディスプレイが必要なサービスは、端末の設計やデザインの自由度を下げ、コストを上げ、故障リスクを上げるという問題や地図が苦手な利用者や視力弱者への配慮が難しいという問題もある。
【0007】
また、事前に参加者の位置が具体的に表示されすぎるというプライバシの課題もある。
事前にメンバの位置を表示する場合、相手の都合の反映が難しい。または、事前に位置情報の発信を許可するか否かの確認フェーズが必要となり手順が面倒となる。
【0008】
しかし、新たなサービスとして、互いの正確な位置を伝えることなく距離感だけを伝達し、匿名のコミュニケーション参加者を募り、近くにいる参加者ほど有利にコミュニケーションに参加可能になるシステムが求められている。
【0009】
またその際、その対象は、子供であったり、老人であったり、サービス毎に多様な層が存在し、アクティビティや視覚の問題、もしくはデザインやコストなどの理由等で、ディスプレイを使いたくないという要求もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−182612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のように、このように、相手との物理的な距離感を感じ、かつ、細かな視覚情報の利用を必須とせず、さらに、受信対象者が存在を示して反応するか、相手に対して全くの存在を伝えないかを、自由に選択可能な従来技術は存在しなかった。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、距離の近い受信対象者にはより早くメッセージを伝えることを可能とし、また、メッセージの認識漏れを低減し、選択的コミュニケーションが可能なコミュニケーション確立方法及び装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明(請求項1)は、複数の端末装置と、1つ以上のセンタ装置と、それらをつなぐ広域の有線や無線のネットワークからなるシステムにおけるコミュニケーション確立方法であって、
発信者の端末装置は、
発信者から振動センサに一定レベル以上の振動が与えられると、その振動を検出し、通信手段を介して前記センタ装置に検出された信号に応じた情報とユーザIDを含む信号を送信し、
センタは、
前記発信者の端末装置からの前記信号を受信すると、前記ユーザIDに基づいてユーザの位置を特定し、受信者対象の端末装置と該発信者の端末装置間の最大距離dを最小にし、該最大距離d内に存在する未送信の受信対象者を特定し、該受信対象者の端末装置に対して、同時または、逐次、応答の要求と距離レベル情報を送信し、該最大距離に応じた該受信対象者の端末装置からの応答を待機し、該最大距離を所定の値を越えるまで増加させ、
前記受信対象者の端末装置は、
前記応答の要求と前記距離レベル情報を受信し、
前記距離レベル情報に応じた強さの振動を発生、または、減衰させる。
【0014】
また、本発明(請求項2)は、前記受信対象者の端末装置において、
前記距離レベル情報に応じた強さの振動を発生、または、減衰させることと平行して、
前記距離レベル情報に応じて強さの音を、該距離レベル情報に応じた回数、または、該距離レベルの情報に応じた発生間隔、のいずれかまたは、全ての組合せで出力する。
【0015】
また、本発明(請求項3)は、前記受信対象者の端末装置において、
前記センタ装置から前記応答要求を受信すると、前記距離レベル情報に応じた振動を発生させる前に、発光手段により発光させる。
【0016】
また、本発明(請求項4)は、前記センタ装置において、
方向検出手段により、前記発信者の端末と前記受信対象者の端末の方向検出を行い、
検出された方向に限定して前記応答要求を送信する。
【0017】
また、本発明(請求項5)は、前記受信対象者の端末装置において、
前記センタ装置から前記応答要求を受信すると、
複数のスピーカから、発信者の方向から音が近づき、発信者のいる場所の反対側に遠ざかる、または、発信者がいる反対方向から音が近づき、該発信者のいる方向に遠ざかるドップラー効果を再現した音を出力する。
【0018】
また、本発明(請求項6)は、前記センタ装置において、
前記距離レベル情報に応じた強さの振動を発生、または、減衰させることと平行して、
前記距離レベル情報に応じて強さの音を、該距離レベル情報に応じた回数、または、該距離レベルの情報に応じた発生間隔、のいずれかまたは、全ての組合せで出力し、
前記受信対象者の端末装置において、
前記センタ装置から受信した音を再生する。
【発明の効果】
【0019】
上記のように本発明によれば、発信者も受信対象者も互いの場所情報は明かさずに、距離感と方向で、およびそれに付随するメッセージなどによってコミュニケーションをはじめることが可能になる。
【0020】
発信者は、P2P通信の確立許諾の意思表明があった人と個別に通信を確立することが可能になる。受信対象者は、自らの存在自体を隠すことも、可能になる。
【0021】
このように、新たな、かつ、緩やかなコミュニケーションの誘発が可能になる。
【0022】
応用として、自動応答などの設定を使えば、応答を見ることで、周囲の人の近さの分布を知ることも可能になる。
【0023】
ディスプレイを使わないで、距離感を使ったコミュニケーションを実現できるので、
視覚弱者でも子供でも使え、デザインも自由度が高く、コストを下げ信頼性を上げることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のシステム構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるシーケンスチャートである。
【図3】本発明の第3の実施の形態におけるシーケンスチャートである。
【図4】ドップラー音を説明するための図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態における複数のスピーカを内蔵した例である。
【図6】本発明の第1の実施例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態におけるシステム構成を示す。
【0027】
同図に示すシステムは、複数の端末装置1100,1200、1つのセンタシステム1900、これらを接続する有線または無線のネットワーク1800から構成される。
【0028】
端末装置についてはN台の装置があるが、本実施の形態では、発信者A側端末装置1100、受信者B側端末装置1200として説明する。また、端末装置1100,1200は同様の構成を有するので、以下では端末装置1100の構成についてのみ説明する。
【0029】
端末装置1100は、通信部1101、制御部1102、照明部1190、音響部1191、振動センサ1192、入力部1193を有する。なお、図示しないが、自装置の位置を検索するための位置情報検索機能(例えば、GPS)を有し、取得した位置情報を通信部1101を介してセンタシステム1900に登録するものとする。
【0030】
センタシステム1900は、制御部1910、通信部1920、ユーザ位置管理DB1930、グループ管理DB1940を有する。グループ管理DB1940には、ユーザのグループIDとユーザIDが対応付けられた情報が格納されている。なお、ユーザ位置管理DB1930は、発信者A側端末装置1100及び発信者B側端末装置1200から登録された位置情報を格納しており、位置情報を受信する度に更新される。
【0031】
なお、上記の構成は、以下の各実施の形態に共通するものとする。
【0032】
以下に上記の構成における動作を以下のケース毎に説明する。
【0033】
<第1の実施の形態>
図2は、本発明の第1の実施の形態におけるシーケンスチャートである。
【0034】
発信者Aが、発信者A側端末装置1100の振動センサ1192に入力部1193から一定レベル以上の振動を与えると、振動センサ1102は、その振動を検出し(ステップ101)、それに応じた情報(メッセージや位置情報、最大距離等)とユーザIDを含む信号を通信部1101、ネットワーク1800を介してセンタ1900に送信する(ステップ102)。
【0035】
センタシステム1900の通信部1920は、その信号を受信し(ステップ103)、制御部1910において、ユーザIDに基づいてユーザ位置管理DB1930を参照し、ユーザの位置を特定する(ステップ014)。なお、本実施の形態では、ユーザ位置管理DB1930からユーザの位置を取得しているが、この例に限定されることなく、発信側A端末装置1100からユーザIDと共に位置情報をセンタ1900に送信してもよい。
【0036】
センタシステム1900の制御部1910は、予め登録されているユーザIDに基づいて、ユーザID位置管理DB1930を参照して、受信対象者の端末装置1200と発信側A端末装置1100との間の距離を求め、取得したユーザの位置情報に基づいて、発信者位置と受信対象者の最大距離dを最小にし(ステップ105)、発信者とその最大距離d内に存在する未送信の受信対象者を特定する(ステップ106)。ここで、未送信の受信対象者を特定する場合に、例えば、距離レベル1の場合に全員に送り、距離レベル2の場合は5km以内の全員から距離レベル1で送った人を除いた全員に送る。距離レベル3の場合は10km以内の全員から距離レベル1,2まで送った人を除いた全員に送る、等の処理を行う。だれに送ったかを管理するために、フラグや一時的に保持されるテーブルを用いることが可能である。
【0037】
通信部1920は、特定された受信対象者の端末装置1200に対して、同時もしくは逐次に、応答の要求と距離レベルを発信する(ステップ107)。距離レベルとして、例えば、
・距離レベル1:1km以内
・距離レベル2:1〜5km以内
・距離レベル3:5〜10km以内
・距離レベル4:10km以上
のように予め設定されているものとする。
【0038】
制御部1910は、発信者との最大距離dに応じたWAITを行う(ステップ107)。一般的に、WAIT時間は定数、もしくは、距離に応じた定数を用いるものとする。最大距離dを増加によって広げる処理を発信者との最大距離dが指定の値を越えるまで繰り返す(ステップ108)。
【0039】
受信者B側端末1200は、通信部1201においてセンタシステム1900からの応答要求を受信する(ステップ109)。制御部1202は、応答要求に含まれる距離レベルに応じた強さの振動を発生させ、距離レベルに応じて振動の強さを減衰させる(ステップ110)。例えば、予め以下のように、予めメモリ(図示せず)に距離レベルと振動の強さを設定しておき、当該距離レベルに応じた振動を発生させる。
【0040】
・距離レベル1:振動強度…3
・距離レベル2:振動強度…2
・距離レベル3:振動強度…1
・距離レベル4:振動強度…0
音響部1291により応答要求に含まれるメッセージの再生を行う(ステップ111)。タイムアウトであれば当該通信を終了し、タイムアウト前に(ステップ112、No)、振動センサ1292が反応振動を検出した場合は(ステップ113、Yes)、要求を送信する(ステップ114)。
【0041】
これにより、距離の近い受信対象者にはより早くメッセージを伝えることが可能になり、
近い人ほど早く(有利に)メッセージに反応が可能になる。また、遠くに居ても参加の表明を排除しないような距離感を活用したサービスの提供が可能になる。
【0042】
<第2の実施の形態>
本実施の形態では、受信者B側の端末装置1200において応答要求を受信した際に、音を介して受信者Bに通知する方法について説明する。
【0043】
受信者B側の端末装置1200は、応答要求を受信すると、制御部1202は、バイブレーション機能に対して距離レベルに応じた振動を発生、減衰を行うが、これに加えて、音響部1291に対して音を発生させるよう指示する。このとき、制御部1202は距離レベルを音響部1291に転送することで、音響部1291は当該距離レベルに応じて音の強さを増幅させる、または、減衰させる。または、音を複数回発生させ、発信者と受信対象者との距離(距離レベル)に応じて、その複数回の音の発生間隔を長くすること、もしくは、それらを組み合わせることも可能である。
【0044】
例えば、以下のように、メモリに設定しておくことにより制御が可能となる。
【0045】
・距離レベル1:振動強度…3、音量…3、回数…6、音発生間隔…1秒
・距離レベル2:振動強度…2、音量…2、回数…4、音発生間隔…3秒
・距離レベル3:振動強度…1、音量…1、回数…3、音発生間隔…4秒
・距離レベル4:振動強度…0、音量…1、回数…2、音発生間隔…5秒
これにより、受信対象者は、例えば、振動と共に鈴の音がし、発信者との距離が近ければ、鈴の音が間断なく鳴り、発信者との距離が遠ければ、鈴の音が鳴って静まってから、また、鈴の音が鳴って静まる、ということを繰り返すことで、音でも距離感を伝達することが可能となる。
【0046】
<第3の実施の形態>
本実施の形態では、距離レベルに応じて照明部1290を用いて発光させる例を説明する。
【0047】
図3は、本発明の第3の実施の形態におけるシーケンスチャートである。図2と同様の動作については同じステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0048】
受信者B側の端末装置1200は、応答要求を受信すると、制御部1202は、まず、照明部1290に発光させ(ステップ201)、次に、前述の第2の実施の形態に示した動作を行う。
【0049】
これにより、受信対象者には、雷のイメージで、まず、光が届き、次に振動や音が届くことで、直感的に緊急性を理解し、また、それに続く振動や音を受信することに対する注意を払うことが容易になり、認知漏れを少なくすることができる。
【0050】
<第4の実施の形態>
本実施の形態では、受信対象者の存在方角を限定する動作について説明する。
【0051】
センタ1900は、発信者A側端末装置1100と各受信対象者1200,1300,1400、…の方向検出を行い、受信対象者の特定の際に、方角を限定して応答の要求を送出する。
【0052】
この際、発信者側の端末装置1100が、自分自身と端末装置の位置関係から、限定する方角を決定することや、端末自身を床面などで滑らせる(フリック入力する)ことで、限定する方角を決定する。
【0053】
これにより、距離感と方角を使ったコミュニケーション確立を実現する。
【0054】
<第5の実施の形態>
本実施の形態では、前述の実施の形態にドップラー効果を加えた場合について説明する。
【0055】
受信対象者の端末装置1200は、応答要求を受信した場合に、音響部1291において距離レベルに応じた音を発生させる。このとき、前述の第4の実施の形態の方法により、センタ1900にて、発信者A側端末装置1100と各受信対象者1200、1300、1400、…の端末装置の方向検出を行い、その方向情報を対象者端末に距離とともに伝達する。受信対象者の端末1200(1300,1400、…)の音響部1291では発信者の方向から音が近づき、発信者の反対側に遠ざかる音、または、近づく音を、ドップラー効果を再現した音を発生する。なお、音響部1291には、予め距離レベル及び方向情報に基づいて、ドップラー効果音を生成する機構を備えるものとする。ドップラー音とは、図4に示すように、発生源が近づく場合には波の振動が詰められて周波数が高くなり、逆に遠ざかる場合は振動が伸ばされて低くなる。なお、ドップラー音は、予め録音されたもの、もしくは、その場で生成したものを音響部1291から出力するものとする。
【0056】
これによって、受信対象者は、日常でケガ人の方向に向かう救急車がそばを通った状況と同じ効果音を得て、直感的に、要求者のいる方向を把握することが可能になる。もしくは、風が自分を通り抜けていく感覚を、風上から風下に向かって風鈴の音が通り過ぎていく感覚などを味わうことが可能になる。
【0057】
これにより、受信対象者は日常でけが人の方向に向かう救急車が傍を通った状況と同じ効果音を得て、直感的に、要求者のいる方向を把握ことが可能になる。もしくは、風が自分を通り抜けていく感覚を、風上から風下に向かって風鈴の音が通り過ぎていく感覚などを味わうことが可能となる。
【0058】
また、複数のメッセージが同時に来ても区別が容易である。例えば、図5に示すように、当該機器を具備した杖に、複数のスピーカが内蔵されるように構成することで、それによって方角を認識することが可能となる。図5の例では、時区間1では近づく方向に最も近いスピーカDから波形αの前半を出力し、時区間2では遠ざかる方向に最も近いスピーカBから波形αの後半を出力する。
【0059】
<第6の実施の形態>
本実施の形態では、センタ1900から送信された音を再生する場合について説明する。
【0060】
センタ1900は、上記実施の形態では、端末側で音の生成と制御を行う例を示したが、本実施の形態では、これら端末側の制御をセンタ1900側で行い、端末1200では、音響部1291でセンタ1900から取得した音を再生する。
【0061】
センタ1900は、上記の端末側で行っていた、距離レベル及び方向情報を端末が受信した際に、端末に音を出力する、発光させる、ドップラー効果音の生成・再生を行わせるための制御信号を各対象者の端末に送信する。
【0062】
これにより、受信対象者の端末装置1200は、これらの制御信号を受信して、照明部1290、音響部1291、バイブレーション機能が起動される。
【0063】
これにより、受信対象者の端末に限定されない多様な音をメッセージとして伝達することが可能になる。例えば、緊急時通報の「誰か、助けて!」という発信者の音声そのものなどを送信することが容易になる。
【実施例】
【0064】
<第1の実施例>
本実施例では、修学旅行に本発明を適用した例を示す。
【0065】
修学旅行において、携帯電話のGPS機能で先生が生徒の行動を監視すると、生徒は、監視をいやがって携帯電話の電源を切ってしまうという問題がある。しかし、本発明を利用すれば、生徒にとっては、位置の詳細情報を先生に監視されることなく、気軽に先生からの距離感を理解しながら必要に応じてコミュニケーションを行うことが可能になる。また、先生も生徒も距離感を楽しんだ、コミュニケーションの創出が可能になる。
【0066】
例えば、図6において、発信者が先生で、受信対象者が生徒のグループA班、B班、C班、D班、E班だったとする。図6では、距離レベル1が1km、距離レベル2が5km、レベル3が10km、レベル4がそれ以上とする。
【0067】
A班は距離レベル1内に、B班は距離レベル2内に、C班、D班は距離レベル3内に
E班は距離レベル4内に今存在する。
【0068】
このとき、先生の所持する端末1100の入力部1193から任意の方法もしくは録音でメッセージ「元気か〜!?」を入力し、振動を与えてセンタ1900に送信する。センタ1900はその要求を受け取り、まず、距離レベル1内の対象者A班を特定し、A班の持つ端末装置にメッセージ「元気か〜!?」と距離レベル=1を送る。この時刻をT0とする。メッセージを受信したA班の端末は、距離レベル=1に対応し「元気か〜!?」を連続で3回再生する。
【0069】
次に、距離レベル2内の対象者B班を特定し、T0+3秒後に、B班の持つ端末装置にメッセージ「元気か〜!?」と距離レベル=2を送る。メッセージを受信したB班の端末は、距離レベル=2に対応し「元気か〜!?」を1秒間隔で3回再生する。
【0070】
次に、距離レベル3内の対象者C班、D班を特定し、T0+6秒後に、C班、D班の持つ各端末装置にメッセージ「元気か〜!?」と距離レベル=3を送る。
【0071】
メッセージを受信したB班の端末は、距離レベル=3に対応し「元気か〜!?」を2秒間隔で3回再生する。
【0072】
最後に、距離レベル4内の対象者E班を特定し、T0+9秒後に、E班の持つ各端末装置にメッセージ「元気か〜!?」と距離レベル=4を送る。メッセージを受信したE班の端末は、距離レベル=4に対応し「元気か〜!?」を3秒間隔で3回再生する。
【0073】
このようにして、メッセージは、近い順に早く届くことで、応答メッセージを送信することも近い班は早くできる。また、各班は先生からのメッセージ「元気か〜!?」が連続する際の間隔の広がりで、先生の位置との距離感を確認することができる。
【0074】
この際、第3の実施の形態に示したように、T0のタイミングで全ての端末が発光して注意喚起しても良い。
【0075】
また、第4の実施の形態で示したように、先生は端末を北側にフリック(滑らせる)ことで北側だけに限定してメッセージを届けても良い。その場合には、北側から外れるB班とD班にはメッセージが届かない。
【0076】
先生への返答については、たとえば、A班は、先生を含む全員に「A班元気だよ〜」というメッセージを同じ仕組みで伝達することも可能だし、第5の実施の形態を適用して、先生の方角を確認できた場合には、第4の実施の形態を適用してその方向にだけ返答を返すことも可能になる。
【0077】
<第2の実施例>
本実施例では、緊急時のメッセージ発出に本発明を利用した場合について説明する。
【0078】
例えば、急に体調が悪化したとし、近くの誰かに救援を求めたいとする。このとき本発明を使えば、幅広い対象者に助けを求めることが可能になる。
【0079】
このとき、入力部1193から急病人の所持する端末1100で任意の方法もしくは録音でメッセージ「誰か、助けてくれ〜!?」を入力して、振動を与えると、センタ1900はその要求を受け取り、まず、距離レベル1内の対象者群を特定し、その対象者群の持つ端末装置にメッセージ「誰か、助けてくれ〜!?」と距離レベル=1を送る。この時刻をT0とする。
メッセージを受信した各端末は、距離レベル=1に対応し「誰か、助けてくれ〜!?」を連続で3回再生する。
【0080】
次に、距離レベル2内の対象者群を特定し、T0+3秒後に、その対象者群の持つ端末装置にメッセージ「誰か、助けてくれ〜!?」と距離レベル=2を送る。
メッセージを受信した各端末は、距離レベル=2に対応し「誰か、助けてくれ〜!?」を1秒間隔で3回再生する。
【0081】
上記の処理を必要に応じて繰り返す。この場合、近くにいる人が優先的に反応することが可能になる。
【0082】
このように緊急事態では、メッセージ「誰か、助けてくれ〜!?」と共に、発信者の位置やユーザIDなどを通知しても構わない。
【0083】
このような場合、近くにいると自ら判断して、かつそのSOSに反応できる人が、その場に駆けつけることを可能にする。さらに、近くにいても、それを無視することも可能で、無視したことについても誰にも攻められることは無く、遠くにいる場合には、その状況(たとえば人口密度の低い地域にいるとか)に応じて駆けつけたり、コミュニケーションを確立したり選択することが可能になる。
【0084】
また、その際に近寄るためや、誰かが近づいてきているかを確認するために、本方式を活用することも可能である。
【0085】
例えば、救援者が「どっちに居るんだ!?」というメッセージを同様の枠組みで返却した場合に、(もしくは最初から)第5の実施の形態に示したように、発信者の存在方向を伝達できる仕組みを使うことが可能である。
【0086】
また、第3の実施の形態を使って、最初に光を伝達することで、緊急メッセージの注意喚起することも可能になる。
【0087】
その他にも、待ち合わせ、フィールドでのオリエンテーリング、鬼ごっこなどのゲームでも本発明を活用することが可能である。
【0088】
受信対象者は緊急メッセージのように不特定多数でも、修学旅行生のように特定のグループや条件に属するメンバであっても構わない。
【0089】
メッセージの入力装置は、特に問わず、他の既存の技術を活用して構わない。
【0090】
最大の到達距離や、繰り返し間隔などは、応用の特性に合わせて変化させて構わない。
また、発信者側が指定しても構わない。
【0091】
発信者位置については定期的にセンタ側で捕捉しても構わないし、メッセージと共にセンタに送信しても構わない。
【0092】
上記の端末装置及びセンタの構成要素の動作をプログラムとして構築し、端末装置及びセンタ装置として利用されるコンピュータにインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることも可能である。
【0093】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1100 発信者A側端末装置
1200 受信者B側端末装置
1101,1201 通信部
1102,1202 制御部
1190,1290 照明部
1191,1291 音響部
1192,1292 振動センサ
1193,1293 入力部
1800 有線または無線ネットワーク
1900 センタシステム
1910 制御部
1920 通信部
1930 ユーザ位置管理DB
1940 グループ管理DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置と、1つ以上のセンタ装置と、それらをつなぐ広域の有線や無線のネットワークからなるシステムにおけるコミュニケーション確立方法であって、
発信者の端末装置は、
発信者から振動センサに一定レベル以上の振動が与えられると、その振動を検出し、通信手段を介して前記センタ装置に検出された信号に応じた情報とユーザIDを含む信号を送信し、
センタは、
前記発信者の端末装置からの前記信号を受信すると、前記ユーザIDに基づいてユーザの位置を特定し、受信者対象の端末装置と該発信者の端末装置間の最大距離dを最小にし、該最大距離d内に存在する未送信の受信対象者を特定し、該受信対象者の端末装置に対して、同時または、逐次、応答の要求と距離レベル情報を送信し、該最大距離に応じた該受信対象者の端末装置からの応答を待機し、該最大距離を所定の値を越えるまで増加させ、
前記受信対象者の端末装置は、
前記応答の要求と前記距離レベル情報を受信し、
前記距離レベル情報に応じた強さの振動を発生、または、減衰させる
ことを特徴とするコミュニケーション確立方法。
【請求項2】
前記受信対象者の端末装置において、
前記距離レベル情報に応じた強さの振動を発生、または、減衰させることと平行して、
前記距離レベル情報に応じて強さの音を、該距離レベル情報に応じた回数、または、該距離レベルの情報に応じた発生間隔、のいずれかまたは、全ての組合せで出力する
請求項1記載のコミュニケーション確立方法。
【請求項3】
前記受信対象者の端末装置において、
前記センタ装置から前記応答要求を受信すると、前記距離レベル情報に応じた振動を発生させる前に、発光手段により発光させる
請求項1または2記載のコミュニケーション確立方法。
【請求項4】
前記センタ装置において、
方向検出手段により、前記発信者の端末と前記受信対象者の端末の方向検出を行い、
検出された方向に限定して前記応答要求を送信する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコミュニケーション確立方法。
【請求項5】
前記受信対象者の端末装置において、
前記センタ装置から前記応答要求を受信すると、
複数のスピーカから、発信者の方向から音が近づき、発信者のいる場所の反対側に遠ざかる、または、発信者がいる反対方向から音が近づき、該発信者のいる方向に遠ざかるドップラー効果を再現した音を出力する
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコミュニケーション確立方法。
【請求項6】
前記センタ装置において、
前記距離レベル情報に応じた強さの振動を発生、または、減衰させることと平行して、
前記距離レベル情報に応じて強さの音を、該距離レベル情報に応じた回数、または、該距離レベルの情報に応じた発生間隔、のいずれかまたは、全ての組合せで出力し、
前記受信対象者の端末装置において、
前記センタ装置から受信した音を再生する
請求項1記載のコミュニケーション確立方法。
【請求項7】
複数の端末装置と、1つ以上のセンタ装置と、それらをつなぐ広域の有線や無線のネットワークからなるコミュニケーション確立システムであって、
発信者の端末装置は、
発信者から一定レベル以上の振動が与えられると、その振動を検出する振動センサと、
前記センタに検出された信号に応じた情報とユーザIDを含む信号を送信する通信手段と、を有し、
前記センタ装置は、
前記発信者の端末装置からの前記信号を受信すると、前記ユーザIDに基づいてユーザの位置を特定する手段と、
受信者対象の端末装置と該発信者の端末装置間の最大距離dを最小にし、該最大距離に応じた該受信対象者の端末装置からの応答を待機し、該最大距離を所定の値を越えるまで増加させながら、該最大距離d内に存在する未送信の受信対象者の端末を特定する受信対象者特定手段と、
前記受信対象者の端末装置に対して、同時または、逐次、応答の要求と距離レベル情報を送信する距離レベル情報送信手段と、を有し、
前記受信対象者の端末装置は、
前記応答の要求と前記距離レベル情報を受信距離レベル情報受信手段と、
前記距離レベル情報に応じた強さの振動を発生、または、減衰させる振動発生手段と、
を有することを特徴とするコミュニケーション確立システム。
【請求項8】
前記受信対象者の端末装置は、
前記振動発生手段と連動して、
前記距離レベル情報に応じて強さの音を、該距離レベル情報に応じた回数、または、該距離レベルの情報に応じた発生間隔、のいずれかまたは、全ての組合せで出力する音連動手段を更に有する請求項7記載のコミュニケーション確立システム。
【請求項9】
前記受信対象者の端末装置は、
前記センタ装置から前記応答要求を受信すると、前記距離レベル情報に応じた振動を発生させる前に、発光させる発光手段を更に有する請求項7または8記載のコミュニケーション確立システム。
【請求項10】
前記センタ装置は、
前記発信者の端末と前記受信対象者の端末の方向検出を行う方向検出手段を更に有し、
前記距離レベル送信手段は、
前記方向検出手段で検出された方向に限定して前記応答要求を送信する
請求項7乃至9のいずれか1項に記載のコミュニケーション確立システム。
【請求項11】
前記受信対象者の端末装置は、
発信者の方向から音が近づき、発信者のいる場所の反対側に遠ざかる、または、発信者がいる反対方向から音が近づき、該発信者のいる方向に遠ざかるドップラー効果を再現した音を出力する複数のスピーカを有する
請求項7乃至10のいずれか1項に記載のコミュニケーション確立システム。
【請求項12】
前記センタ装置は、
前記距離レベル情報に応じた強さの振動を発生、または、減衰させることに連動して、
前記距離レベル情報に応じて強さの音を、該距離レベル情報に応じた回数、または、該距離レベルの情報に応じた発生間隔、のいずれかまたは、全ての組合せで出力する音出力手段を有し、
前記受信対象者の端末装置は、
前記センタ装置から受信した音を再生する音再生手段を有する
請求項7記載のコミュニケーション確立システム。
【請求項13】
請求項7乃至12のいずれか1項に記載のコミュニケーション確立システムにおける端末装置またはセンタ装置の各手段として機能させるためのコミュニケーション確立プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−21571(P2013−21571A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154330(P2011−154330)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)
【Fターム(参考)】