説明

コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出する方法

【課題】 コムギゲノムを遺伝的背景として、そこに導入された外来染色体を検出するための方法を提供する。
【解決手段】 オオムギEST配列に基づいて開発されたプライマー対の中から、コムギ連に属する10近縁種由来の外来染色体を検出し得る多数のプライマー対を見出した。本発明の外来染色体を検出する方法は、プライマー対としてオオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対を用い、鋳型DNAとして被検コムギ個体のゲノムDNAを用いてDNA断片を増幅する増幅工程と、増幅工程によって増幅されるDNA断片を確認するための増幅断片確認工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コムギやオオムギのようないくつかの重要な穀物が属する分類学上のコムギ連(Triticeae)は、世界中に広く分散しており、非常に多くの遺伝的変異を保有している。この変異は育種プログラムに広く利用でき、実質的に胚培養法(embryo rescue technique)によりこの連の様々な種間雑種を作ることが可能である。例えば、高次倍数性のコムギにおいて外来染色体やその一部を有する系統が作製され、それらのいくつかは現実の育種プログラムに使用されている(例えば、非特許文献1参照)。このような系統の作製過程において、外来染色体やその一部を正確に検出するための技術は必須である。
【0003】
例えば、従来から、コムギに導入された外来染色体を検出する方法として、実際に染色体標本を作製し、その数や形態を観察する方法が用いられている。
【0004】
また、外来染色体やその一部を検出するための方法として、PCRを用いて外来染色体や外来染色体断片を検出する方法が用いられている。上記PCRを用いる方法としては、特許文献1および非特許文献2に記載の方法を挙げることができる。
【0005】
例えば、特許文献1には、オオムギ1H染色体由来の核酸マーカーをコムギの背景で検出するための新規なプライマー対が開示されている。ここで用いられているプライマー対は、オオムギ1H染色体長腕上に位置する6つの核酸マーカーに基づいて設計されたプライマー対である。上記プライマー対は、コムギのゲノムDNAを鋳型にした場合と、オオムギのゲノムDNAを鋳型とした場合とで、増幅効果に相違(多型)がみられるプライマー対である。
【0006】
また、非特許文献2において、Hernandezらは、オオムギおよびコムギのSSR(simple sequence repeat)マーカーをHordeum chilenseに適用できるかどうかを検討した。その結果、上記SSRマーカーが、コムギの遺伝的背景に導入されたH. chilenseの染色体を分析するために有用であることを示した。
【特許文献1】特開2003−111593公報(平成15年(2003)4月15日公開)
【非特許文献1】Friebe B, Jiang J, Raupp WJ, McIntosh RA, and Gill BS (1996) Characterization of wheat-alien translocations conferring resistance to diseases and pests: current status. Euphytica 91:59-87.
【非特許文献2】Hernandez P, Laurie DA, Martin A, Snape JW (2002) Utility of barley and wheat simple sequence repeat (SSR) markers for genetic analysis of Hordeum chilense and tritordeum. Theor Appl Genet 104: 735-739.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、現在のところ、コムギの染色体に導入されるコムギ近縁種の染色体またはその一部を検出するための簡便な方法は存在しない。そのため、コムギ近縁種由来の外来染色体を導入することによってコムギを育種する場合には、導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出するために、多くの時間と作業を必要とする。
【0008】
例えば、上記染色体標本を作製して染色体の数や形態を観察する方法では、標本の作製や観察に時間がかかるとともに、導入された外来染色体を正確に検出することは困難である。
【0009】
また、特許文献1に記載されているプライマー対は、コムギの遺伝的背景に導入されるオオムギの1H染色体長腕に由来する核酸マーカーを検出するために開発されたものである。
【0010】
また、上記非特許文献2には、オオムギおよびコムギのSSRマーカーが、コムギの遺伝的背景に導入されたH. chilenseの染色体を分析するため適用できることが記載されているにすぎない。
【0011】
つまり、特許文献1および非特許文献2に記載の方法は、コムギの遺伝的背景に導入される特定の外来染色体を検出するためのものである。
【0012】
以上のような状況の下、コムギの染色体に導入されたコムギ近縁種の染色体またはその一部を検出するためには、コムギ近縁種のゲノム配列に基づいてプライマーを設計し、それを用いたPCR法によって外来染色体を検出する方法が考え得るが、現在のところ、オオムギなどの特定の栽培種以外のコムギ近縁種のゲノム配列に関する情報はほとんどないために、コムギ近縁種のなかでも野生種由来の外来染色体を検出することが可能な特異的プライマーを設計することは困難である。また、コムギ近縁野生種のゲノム配列情報を蓄積するためには多くの時間と費用が必要である。さらに、コムギ近縁野生種のゲノム配列情報が蓄積されたとしても、個々の種について、特異的プライマーを設計することが必要である。
【0013】
一方、不特定のコムギ近縁種由来の外来染色体を検出できる方法が開発できれば、検出対象のコムギ近縁種ごとに特異的プライマーを設計する必要がなく、時間や費用を大幅に減らすことができ、非常に効率的である。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コムギに導入された、不特定のコムギ近縁種由来の外来染色体を検出し得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題に鑑み、本発明者は、オオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対に着目し、当該プライマー対を用いることによってコムギに導入された不特定のコムギ近縁種由来の外来染色体を検出することができるか否かを検討し、コムギとコムギ近縁種との間に、増幅断片に多型を生じるプライマー対を多数見出し、これらをマーカー群として用いることにより、コムギに導入されたコムギ近縁種由来の染色体を簡便かつ効率的に検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
即ち、本発明の外来染色体を検出する方法は、コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出する方法であって、プライマー対としてオオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対を用い、鋳型DNAとして被検コムギ個体のゲノムDNAを用いてDNA断片を増幅する増幅工程と、該増幅工程によって増幅される該DNA断片を確認するための増幅断片確認工程と、を含み、該コムギ近縁種にはHordeum vulgareは含まれないことを特徴としている。
【0017】
本発明の外来染色体を検出する方法では、前記オオムギEST配列が、配列番号1〜984に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであることが好ましい。
【0018】
本発明の外来染色体を検出する方法では、前記コムギ近縁種が、Hordeum bulbosum、Hordeum chilense、Hordeum bogdanii、Dasypyrum villosum、Elymus ciliaris、Psathyrostachys huashanica、Leymus racemosus、Leymus mollis、Secale cereale、およびThinopyrum elongatumからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
本発明の外来染色体を検出する方法では、前記プライマー対は、コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合にはDNA断片が増幅されず、前記コムギ近縁種の少なくともいずれか1種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合にはDNA断片が増幅されるものであることが好ましい。
【0020】
本発明の外来染色体を検出する方法では、前記プライマー対は、配列番号985〜2294に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対であることが好ましい。
【0021】
本発明の外来染色体を検出する方法では、前記プライマー対は、コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合にはDNA断片が増幅され、前記コムギ近縁種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合にはDNA断片が増幅されないものであることが好ましい。
【0022】
本発明の外来染色体を検出する方法では、前記プライマー対は、配列番号2295〜2298に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対であることが好ましい。
【0023】
本発明の外来染色体を検出する方法では、前記プライマー対は、コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合にはDNA断片が増幅され、前記コムギ近縁種の少なくともいずれか1種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合にもDNA断片が増幅されるものであることが好ましい。
【0024】
本発明の外来染色体を検出する方法では、前記プライマー対は、配列番号2300〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対であることが好ましい。
【0025】
本発明の外来染色体を検出する方法では、コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合に増幅される前記DNA断片と、前記コムギ近縁種の少なくともいずれか1種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合に増幅される前記DNA断片とが、区別可能な長さのものであることが好ましい。
【0026】
本発明の外来染色体を検出する方法では、コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合に増幅される前記DNA断片と、前記コムギ近縁種の少なくともいずれか1種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合に増幅される前記DNA断片とが、区別不可能な長さのものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の外来染色体を検出する方法を用いることにより、コムギゲノムを遺伝的背景として、そこに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を迅速かつ正確に検出することが可能になるという効果を奏する。
【0028】
また、本発明の外来染色体を検出する方法を用いることにより、コムギの育種を大幅に効率化できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
(1)外来染色体を検出する方法
本発明は、コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出する方法を提供する。
【0031】
つまり、本発明の外来染色体を検出する方法は、コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出する方法であって、プライマー対としてオオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対を用い、鋳型DNAとして被検コムギ個体のゲノムDNAを用いてDNA断片を増幅する増幅工程と、増幅工程によって増幅されるDNA断片を確認するための増幅断片確認工程と、を含み、上記コムギ近縁種にはHordeum vulgareは含まれないことを特徴としている。
【0032】
本明細書において「オオムギ」とは、Hordeum vulgareを意味する。
【0033】
本発明において、プライマー対の設計に用いられるオオムギEST配列は、上記オオムギ由来のcDNAの塩基配列の一部であればよい。オオムギEST配列、すなわちオオムギcDNAの塩基配列は、公知の分子生物学的手法を用いることにより取得することができる。
【0034】
例えば、発明者らは、数種類のオオムギ品種の葉からmRNAを調製し、公知の方法によりcDNAライブラリーを作製した。これらのcDNAが挿入されたプラスミドを鋳型とし、挿入部位の両外側のプラスミド部分の塩基配列をプライマーとして両側とも1回のシークエンス解析で読んだ塩基配列を品質調整し、ベクター配列を取り除くことによりオオムギEST配列を取得している。ただし、これに限定されるものではない。
【0035】
発明者らは、現在約24万個のオオムギEST配列をデータベース化している。なお、発明者らが取得しているオオムギEST配列は、1つのcDNAクローンについて、5’側および3’側から読んだ2つの塩基配列が対応している。本発明で用いているオオムギEST配列は上記約24万個のオオムギEST配列の一部である。
【0036】
本発明において用いられるプライマー対は、オオムギEST配列に基づいて設計されるものであればよい。オオムギEST配列に基づいて設計されるプライマー対とは、オオムギEST配列の一部からなるフォワードプライマーと、オオムギEST配列の相補配列の一部からなるリバースプライマーとが1対になったものが意図される。
【0037】
例えば、発明者らは、独自に取得した上記オオムギEST配列に基づいて、プライマー設計ソフトウエアPrimer3を用いて各々のESTについてプライマー対を設計している。これらのプライマー対は、同一のアニーリング温度条件下のPCRによってDNA断片が増幅されるように設計されている。その結果、個々のプライマー対ごとにPCR条件を最適化する必要がなく、同一条件下で同時にPCRを実施できるため、非常に有用である。
【0038】
また、上述したように本発明に用いるプライマー対は、オオムギEST配列に基づいて設計されており、当該オオムギにはH. vulgareが含まれている。したがって、本発明に用いるプライマー対を用いて、H. vulgare由来の外来染色体を検出できることは当然であるといえる。したがって、H. vulgare由来の外来染色体を検出することは、本発明の目的には含まれないものとする。
【0039】
本明細書において「コムギ」とは、外来染色体の受容体であり、育種対象として選択されるコムギ栽培種およびコムギ栽培種に外来染色体の一部を導入した植物を意味する。具体的には、Triticum aestivum、Triticum durum、Triticum monococcum、ライコムギ(Triticale)などを挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0040】
また、本明細書において「コムギ近縁種」とは、外来染色体の供与体として機能し得る種であって、当該種からコムギのゲノムに染色体またはその一部が添加された場合に、その結果生じるコムギとの雑種系統が生存可能である種を意味する。なお、オオムギ、ライムギまたはトウモロコシなどのイネ科作物はコムギとの雑種を形成するので、これらイネ科作物も広い意味でのコムギ近縁種に含まれるものとする。ただし、本発明に係る外来染色体を検出する方法においては、「コムギ近縁種」にHordeum vulgareは含まれない。以下本明細書において、「コムギ近縁種」の用語は、Hordeum vulgareを除く上記定義の種の意で使用されるものとする。
【0041】
コムギ近縁種としては、具体的には、Hordeum bulbosum、Hordeum chilense、Hordeum bogdanii、Dasypyrum villosum、Elymus ciliaris、Psathyrostachys huashanica、Leymus racemosus、Leymus mollis、Secale cereale、およびThinopyrum elongatumなどに代表されるコムギ連を形成する栽培種および野生種から選択される少なくとも1つの種であることが好ましい。
【0042】
また、上記コムギ近縁種から上記コムギに導入される外来染色体は、コムギ近縁種の染色体に由来するものであればよく、特に限定されるものではない。具体的には、コムギ近縁種の各染色体もしくはその一部、または複数の染色体もしくはそれらの一部であってもよい。
【0043】
本発明の外来染色体を検出する方法は、プライマー対としてオオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対を用い、鋳型DNAとして被検コムギ個体のゲノムDNAを用いてDNA断片を増幅する増幅工程と、該増幅工程によって増幅される該DNA断片を確認するための増幅断片確認工程と、を含む。以下に上記増幅工程および増幅断片確認工程に関して説明する。
【0044】
<増幅工程>
増幅工程とは、プライマー対としてオオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対を用い、鋳型DNAとして被検コムギ個体のゲノムDNAを用いてDNA断片を増幅する工程である。
【0045】
本明細書中で「被検コムギ個体」とは、コムギ、コムギ近縁種、または当該コムギ近縁種由来の染色体もしくはその一部を含み得るコムギを意図する。コムギおよびコムギ近縁種は、本明細書中にて対照個体として用いられる。また、コムギ近縁種由来の染色体もしくはその一部を含み得るコムギは、育種目的に作製された外来染色体を含み得る個体を指す。なお、上記外来染色体を含み得る個体の作成方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いて作製することが可能である。具体的には、Friebe等の方法(Friebe B. et al. Euphytica (1996)91:59-87)にしたがって作製することが可能である。
【0046】
上記増幅工程に用いるプライマー対としては、オオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対を用いることが好ましい。上記オオムギEST配列は、特に限定されないが、配列番号1〜984に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであることが好ましい。更に、上記プライマー対としては、以下に記載する(a)、(b)、(c)、(d)および(e)に記載のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対であることが好ましい。なお、上記(c)に記載のプライマー対は、以下に示す(d)および(e)を含む。
【0047】
(a)コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合には、DNA断片が増幅されず、コムギ近縁種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合には、DNA断片が増幅されるプライマー対。
【0048】
(b)コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合には、DNA断片が増幅され、コムギ近縁種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合には、DNA断片が増幅されないプライマー対。
【0049】
(c)コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合には、DNA断片が増幅され、コムギ近縁種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合にも、DNA断片が増幅されるプライマー対。
【0050】
(d)コムギのゲノムDNAを鋳型として増幅されたDNA断片と、コムギ近縁種のゲノムDNAを鋳型として増幅されたDNA断片とが、区別可能な長さのものであるプライマー対。
【0051】
(e)コムギのゲノムDNAを鋳型として増幅されたDNA断片と、コムギ近縁種のゲノムDNAを鋳型として増幅されたDNA断片とが、区別不可能な長さのものであるプライマー対。
【0052】
上記(a)、(b)、(c)、(d)および(e)に記載のプライマー対を選択するための方法は、特に限定されるものではないが、PCR法など公知の方法を用いることが可能である。その具体的な方法としては、後述するPCR法を用いることが可能である。
【0053】
具体的に、上記(a)に記載のプライマー対としては、配列番号985〜2294に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対を挙げることができる。
【0054】
上記(b)に記載のプライマー対としては、配列番号2295〜2298に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対を挙げることができる。
【0055】
上記(c)に記載のプライマー対としては、配列番号2300〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対を挙げることができる。
【0056】
上記(d)に記載のプライマー対としては、配列番号2695〜2842に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対を挙げることができる。
【0057】
上記(e)に記載のプライマー対としては、配列番号2843〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対を挙げることができる。
【0058】
(a)、(b)、(c)、(d)および(e)に記載のプライマー対として挙げた配列番号985〜2952に示される塩基配列によって示されるプライマーのうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対とは、後述する実施例において、本発明者が、コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出し得ることを確認したプライマー対である。また、これらのプライマー対は、本発明者らによって開発されたオオムギEST配列に基づいて設計された10336対のPCRプライマー対(Sato K, Nankaku N, Yano K, Takeda K (2003) Large scale development of barley EST markers. Ikushugaku Kenkyu, 5 (suppl. 1): 93.)の一部である。
【0059】
なお、配列番号985〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる各プライマー対は、それぞれ配列番号1〜984に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドによって示されるオオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対である(後述する表2−1〜33参照)。
【0060】
上記プライマー対は、オオムギEST配列に相当するDNA配列を認識するものであって、同一のアニーリング温度条件下のPCRによってDNA断片が増幅されるように設計されている。その結果、同一条件下で多数のPCRを同時に実施できるため、解析に長い時間を必要とせず、非常に有用である。
【0061】
本発明に用いるプライマー対は上記性質を有しているために、増幅工程で用いられるプライマー対は、(a)、(b)、(c)、(d)および(e)に記載されているそれぞれのプライマー対の中から、それぞれ1対以上のプライマー対を選択して用いることが好ましい。なお、このとき選択されるプライマー対の数は多いほど好ましい。最も好ましくは、配列番号985〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の全てを用いることが好ましい。本発明の方法の増幅工程において多数のプライマー対をプライマー対群として用いれば、従来のように外来染色体の由来に応じてプライマー対を選択することが不要となり、コムギに導入された外来染色体の由来にかかわらず、外来染色体が挿入されているか否かを迅速かつ正確に判断することが可能となる。
【0062】
例えば、96穴プレートに(a)、(b)、(d)および(e)に記載のプライマー対の中から、それぞれ24プライマー対ずつを選択して備えることも可能である。この場合、DNA断片の増幅結果と後述する表2とを比較することによって、目的の外来染色体が導入されているか否かを判定することができる。さらに、外来染色体の由来が不明な場合でも、その由来を推測できる。
【0063】
なお、上記(b)に記載のプライマー対は、増幅工程における対照として用いられ得る。即ち、増幅工程において被検コムギ個体としてコムギ近縁種由来の染色体もしくはその一部を含み得るコムギを用いた場合、PCRが正常に行われれば上記(b)に記載のプライマー対によってDNA断片が増幅される。上記(a)、(b)、(c)、(d)および(e)に記載のプライマー対、より具体的には、配列番号985〜2952に示される塩基配列によって示されるプライマーのうち配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対は、上述したように同一のPCR条件下でDNA断片が増幅されるように設計されている。したがって、上記(b)に記載のプライマー対によってDNA断片が増幅されていることが確認できれば、その他のプライマー対を用いて同時に実施されるPCRも正常に行われていることを意味する。
【0064】
また、上記プライマー対は、公知の方法によって合成して取得することが可能である。合成手法は、特に限定されるものではなく、公知の手法を適宜用いることが可能である。
【0065】
また、上記増幅工程に用いる鋳型DNAとしては、被検コムギ個体由来のゲノムDNAを含むものであって、上記プライマー対によって特異的領域が増幅され得るものであればよく、精製された形態のものでもよいし、未精製の形態のものであってもよい。このとき、上記鋳型DNA中には、上記被検コムギ個体由来のゲノムDNAではない別のDNA断片が含まれていてもよい。
【0066】
上記鋳型DNAを精製する場合には、公知の方法を適宜用いて精製することが可能である。例えば、CTAB法(Murray HG et al. Nuc Acid Res (1980) 8: 4321-4325.参照)またはMurray等の方法(Nucleic Acids Res.,8:p4321-4325,1980参照)など公知のゲノムDNA抽出法を用いることが可能である。
【0067】
また、上記増幅工程を行うための方法は、特に限定されるものではなく、上記プライマー対によって鋳型DNA中の特定領域が増幅されることが可能であればよい。
【0068】
例えば、上記増幅工程は、PCR法によって行われることが好ましい。
【0069】
上記増幅工程としてPCR法を用いる場合、その反応条件は、特に限定されるものではなく、上記プライマー対によって鋳型DNA中の特定領域が増幅されることが可能であればよい。例えば、94℃にて2分間の変性反応を行った後、94℃にて30秒間の変性反応、65℃にて30秒間(1サイクル毎に1℃ずつ温度を低下)のアニーリング反応および72℃にて2分間の伸長反応からなる反応サイクルを5サイクル行い、続いて、94℃にて30秒間の変性反応、60℃にて30秒間のアニーリング反応および72℃にて2分間の伸長反応(最後の伸長反応は72℃にて7分間)からなる反応サイクルを35サイクル行うという反応条件を挙げることができる。
【0070】
配列番号985〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対は、アニーリング温度がほぼ同じであるため、上記PCRの反応条件によって、同時に複数の種類のプライマー対を用いてPCRを行うことが可能である。その結果、PCRに必要な時間を短縮することが可能であるとともに、PCRを行うためのPCR装置の必要数を減少させることが可能である。
【0071】
<増幅断片確認工程>
増幅断片確認工程とは、上記増幅工程によって増幅されるDNA断片を確認するための工程である。
【0072】
ここで「確認する」とは、上記増幅工程によって増幅されるDNA断片の有無を検出することを意図する。
【0073】
増幅断片確認工程は、特に限定されるものではないが、上記増幅工程において増幅されるDNA断片の有無を検出することが可能であり、増幅されるDNA断片が複数である場合には、当該DNA断片が複数存在することを検出することが可能であればよい。
【0074】
例えば、増幅断片確認工程としては、電気泳動法などを適宜用いることが可能である。
【0075】
電気泳動法を用いる場合、泳動ゲルとしては特に限定されるものではなく、アガロースゲル、アクリルアミドゲル等、電気泳動するDNA断片の長さに応じて公知の泳動ゲルを適宜用いることが可能である。この場合、電気泳動された増幅DNA断片の検出方法も、特に限定されるものではなく、公知の手法を適宜用いることが可能である。例えば、電気泳動した後の泳動ゲルを臭化エチジウムによって染色し、その後当該ゲルに紫外線を照射することによって、DNA断片を可視化してもよい。
【0076】
また、電気泳動法を用いる場合、増幅DNA断片が長い場合には、電気泳動する前に、制限酵素によって増幅DNA断片を分解して短くした後、電気泳動することも可能である。このように、制限酵素によって分解することによって、容易に増幅DNA断片の有無を泳動ゲル上にて確認することが可能である。また、区別不可能な長さのDNA断片が複数増幅され、当該DNA断片が制限酵素によって切断し得るものと切断し得ないものとの混合物である場合、制限酵素によって切断されたDNA断片と切断されないDNA断片の両方を泳動ゲル上にて確認することによって、上記DNA断片が混合物であることが理解される。なお、上記制限酵素としては、特に限定されるものではなく、上記増幅DNA断片の有無を容易に検出できる程度の長さに分解することが可能なものであればよく、公知の制限酵素を適宜用いることが可能である。
【0077】
また、上記増幅DNA断片を制限酵素によって分解することにより、複数の分解断片を生じるが、当該分解断片の長さも特に限定されることはなく、電気泳動法によって検出可能な長さであればよい。
【0078】
上記増幅工程において(a)に記載のプライマー対を用いた場合、増幅断片確認工程にてDNA断片が増幅されれば、被検コムギ個体のゲノムDNA中にコムギ近縁種由来の当該DNA断片が存在することを示している。また、上記増幅工程において(b)に記載のプライマー対を用いた場合、増幅断片確認工程にてDNA断片が増幅される場合には、被検コムギ個体のゲノムDNA中にコムギ由来の当該DNA断片が存在することを示している。また、上記増幅工程において(d)に記載のプライマー対を用いた場合、増幅断片確認工程にて区別可能な長さのDNA断片が複数増幅される場合には、被検コムギ個体のゲノムDNA中にコムギおよびコムギ近縁種由来のDNA断片が存在することを示している。つまり複数のDNA断片の各々が、コムギまたはコムギ近縁種に由来するものである。なお、「区別可能な長さのDNA断片」とは、電気泳動法などにおいて、長さの違いが目視で区別できる程度の長さのDNA断片を意図する。
【0079】
また、増幅工程において、プライマー対として(e)に記載のプライマー対を用いた場合、区別不可能な長さのDNA断片が複数増幅され得る。なお、「区別不可能な長さのDNA断片」とは、電気泳動法などにおいて、長さの違いが目視で区別できない長さのDNA断片を意図する。増幅工程において、プライマー対として上記(e)に記載のプライマー対を用い、鋳型DNAとして上記コムギ近縁種由来の染色体もしくはその一部を含み得るコムギのゲノムDNAを用いれば、増幅断片確認工程にて検出される1本のDNA断片が、以下の1)〜3)のいずれのものであるのか判別することができない。
1)コムギのゲノムDNA由来のDNA断片。
2)コムギ近縁種のゲノムDNA由来のDNA断片。
3)コムギおよびコムギ近縁種のゲノムDNA由来のDNA断片の混合物。
【0080】
この場合、コムギ由来のDNA断片とコムギ近縁種由来のDNA断片とを任意の制限酵素によって切断することによって生じるDNA断片の間に長さの違いがあれば、上記DNA断片が、1)〜3)のいずれのものであるか判別することが可能となる。以上のように、DNA断片の由来を確認することを目的として、制限酵素処理を行うことも可能である。この場合も、上記制限酵素は特に限定されるものではなく、DNA断片の切断に違いを生じ得るものを適宜選択すればよい。なお、上記制限酵素としては、コムギ由来のDNA断片またはコムギ近縁種由来のDNA断片のいずれか一方を切断するものであってもよい。
【0081】
(2)外来染色体検出器具およびキット
本発明の外来染色体を検出する方法は、以下に示す器具およびキットを用いることによって実施することができる。上記外来染色体検出器具は、特に限定されるものではないが、例えば、アレイ形態の外来染色体検出器具を挙げることができる。例えば、以下の(I)または(II)の形態の外来染色体検出器具を提供することが可能となる。
【0082】
(I)コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出するための器具であって、オオムギEST配列に基づいて作製された1対以上のプライマー対が、上記プライマー対の各々によって認識される被検コムギ個体由来のゲノムDNA中の特定の領域を増幅可能であるように支持体上に固定化されている外来染色体検出器具。
【0083】
(II)コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体の発現を検出するための器具であって、オオムギEST配列に基づいて作製された1対以上のプライマー対によって増幅されるコムギまたはコムギ近縁種のゲノムDNA断片またはcDNA断片が固定化されている外来染色体検出器具。
【0084】
また、外来染色体検出キットとしては、以下の(III)の形態の外来染色体検出キットを提供することが可能となる。
【0085】
(III)コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出するキットであって、プライマー対としてオオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対を含んでなる外来染色体検出キット。
【0086】
以下に上記(I)および(II)に記載の外来染色体検出器具、および上記(III)に記載の外来染色体検出キットについて説明する。
【0087】
<I:外来染色体検出器具>
ここに示す外来染色体検出器具は、支持体上にオオムギEST配列に基づいて作製された1対以上のプライマー対が、上記プライマー対の各々によって認識される被検コムギ個体由来のゲノムDNA中の特定の領域を増幅可能であるように固定化されているものであればよい。
【0088】
上記オオムギEST配列は、オオムギ由来のEST配列であればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、配列番号1〜984に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであることが好ましい。また、上記外来染色体検出器具の支持体上に固定化されているプライマー対は、オオムギEST配列に基づいて作製され、かつアニーリング温度が略同一であるものであればよく、特に限定されるものではない。上記プライマー対は、オオムギEST配列である配列番号1〜984に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドに基づいて作製されていることが好ましい。さらに、上記プライマー対は、配列番号985〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対であることが好ましい。
【0089】
上記プライマー対を固定化する支持体としては、ポリヌクレオチドを固定化することが可能であって、しかもPCRに供することが可能なものであれば特に限定されるものではなく、どのような形状や材質であってもよい。支持体の材料としては、一般的には、例えば、ガラス、シリコンウエハ等の無機系材料、紙等の天然高分子、ニトロセルロースやナイロン等の合成高分子、合成高分子や天然高分子を用いたゲル体等を挙げることができる。また、支持体の形状も、ポリヌクレオチドを固定化できる十分な面積を有するものであれば特に限定されるものではないが、一般的には、可撓性が小さいかほとんど無い基板、可撓性を有する膜(メンブレン)、その中間となる可撓性基板等のように、二次元的な広がりを有するものを好ましく用いることができる。なお、上記基板や膜の厚みについても特に限定されるものではなく、その材質や用途に応じて適宜設定すればよい。さらに、支持体として各種ビーズを用いることもできる。
【0090】
また、上記プライマー対を、上記支持体上に固定化する方法は、特に限定されるものではなく公知の方法を適宜用いることが可能である。
【0091】
上記外来染色体検出器具は、例えば、東洋鋼鈑社製のジーンシリコンを用いることによってアレイシステムとして実現することが可能となる。以下に、その詳細に関して説明する。
【0092】
ジーンシリコンは、半導体シリコン基板にDLC(Diamond Like Carbon)をコーティングし、その表面に活性エステル化カルボキシル基を導入した多機能チップである。ジーンシリコンは、活性エステル化カルボキシル基を介して、DNAや蛋白質を基板上に固定することが可能である。
【0093】
例えば、上記プライマー対の中で、コムギとコムギ近縁種との両品種のゲノムDNAをそれぞれ鋳型としてPCRを行ったときに、一方の品種のみで増幅が認められるプライマー対(例えば、上記(a)および/または(b)に記載のプライマー対)を選択する。
【0094】
次いで、上記選択されたプライマー対の中から1対以上のプライマー対を、ジーンシリコン上に固定化してアレイを作製する。このとき固定化されるプライマー対の順番は特に限定されるものではないが、当該プライマー対によって増幅される増幅DNA断片が、各断片の染色体上の順番に対応するように配置することも可能である。このアレイに品種Aと品種Bとの雑種から調製したゲノムDNAをハイブリダイズさせ、Cydye−dNTPを含む反応液中で、PCRを行う。なお、PCRの反応条件は、特に限定されるものではないが、例えば、94℃にて2分間の変性反応を行った後、94℃にて30秒間の変性反応、65℃にて30秒間(1サイクル毎に1℃ずつ温度を低下)のアニーリング反応および72℃にて2分間の伸長反応からなる反応サイクルを5サイクル行い、続いて、94℃にて30秒間の変性反応、60℃にて30秒間のアニーリング反応および72℃にて2分間の伸長反応(最後の伸長反応は72℃にて7分間)からなる反応サイクルを35サイクル行うことが好ましい。
【0095】
各スポットの増幅の有無は、Cydye−dNTPの取り込みによる蛍光を観察することにより容易に確認することができる。増幅の有無により各コムギ品種のゲノム中に導入された外来染色体の有無を確認することが可能となる。
【0096】
<II:外来染色体検出器具>
ここに示す外来染色体検出器具は、コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出するための器具であって、オオムギEST配列に基づいて作製された1対以上のプライマー対によって増幅されるコムギまたはコムギ近縁種のゲノムDNA断片またはcDNA断片が固定化されているものであればよい。
【0097】
例えば、コムギとコムギ近縁種との交雑種を作製した場合、コムギ近縁種のゲノムDNA断片またはcDNA断片が固定化された外来染色体検出器具を用意する。上記外来染色体検出器具に対して、交雑種を用いて精製または作製した被検サンプル(例えば、mRNA、cDNAまたはゲノムDNA断片など)を上記外来染色体検出器具にハイブリダイゼーションさせることによって、コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出することが可能である。即ち、コムギ近縁種のゲノムDNA断片またはcDNAが固定化された外来染色体検出器具上でハイブリダイゼーションが検出された場合、当該ゲノムDNA断片またはcDNA断片に相当する外来染色体が、コムギに導入されていることを示している。
【0098】
ゲノムDNA断片またはcDNA断片を固定化するための支持体としては、上記(I)の形態の外来染色体検出器具に用いたものと同じものを好適に用いることが可能である。
【0099】
上記支持体上に固定化されるゲノムDNA断片は、オオムギEST配列に基づいて作製された1対以上のプライマー対によって増幅され得るコムギまたはコムギ近縁種のゲノムの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることが好ましい。また、上記支持体上に固定化されるcDNA断片としては、プライマーとしてオオムギEST配列に基づいて作製されたプライマー対を用い、鋳型としてコムギまたはコムギ近縁種から精製したmRNAから作製したcDNAを用いて増幅されたcDNA断片であることが好ましい。
【0100】
ここで、上記プライマー対としては、配列番号985〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対であることが好ましい。
【0101】
また、複数のポリヌクレオチドを支持体上へ固定化する場合、それぞれのポリヌクレオチドが固定化されている領域には、支持体に固定化されているすべてのポリヌクレオチドについての染色体上における順序の情報が付与されているものであってもよい。例えば、固定化領域が染色体上の順序どおり、または染色体の順序の情報を付与して配置されていてもよい。
【0102】
<III:外来染色体検出キット>
ここに示す外来染色体検出キットは、コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出するためのキットである。
【0103】
上記キットは、オオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対を備えるものであればよい。
【0104】
具体的に、上記プライマー対としては、配列番号985〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対を挙げることができる。
【0105】
上記キットを用いることによって、コムギゲノムを遺伝的背景として、そこに導入された外来染色体を迅速かつ正確に検出することが可能になる。
【0106】
本明細書中において使用される場合、用語「キット」は、特定の材料を内包する容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュなど)を備えた包装が意図される。好ましくは当該材料を使用するための使用説明書を備える。使用説明書は、紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能ディスクまたはテープ、CD-ROMなどのような電子媒体に付されてもよい。
【0107】
また、上記キットには、オオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対以外のものが備えられていてもよい。当該プライマー対以外の具体的な構成については特に限定されるものではなく、必要な試薬や器具等を適宜選択してキットの構成とすればよい。例えば、ポリメラーゼ、バッファまたは反応チューブなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0108】
本発明のキットの使用方法は、上述した外来染色体を検出する方法に準じればよいことを、本明細書を読んだ当業者は容易に理解する。
【0109】
<IV:その他>
コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出する方法は、本発明の方法の増幅工程において増幅されるDNA断片、またはプライマー対を設計するために用いるオオムギEST配列をプローブとして用いたFISH法(fluorescent in situ hybridization法)(Kishii M. et al. Chromosome Res. (1999) 7, 519-529.参照)によって行うことも可能である。なお、本明細書中で「プローブ」とは、相補的なポリヌクレオチドに結合し得る検出可能なポリヌクレオチドを意図する。
【0110】
上記オオムギEST配列は特に限定されないが、配列番号1〜984に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであることが好ましい。
【0111】
また、増幅工程において増幅されるDNA断片は、プライマー対としてオオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対を用い、鋳型DNAとして被検コムギ個体のゲノムDNAを用いて増幅されたDNA断片である。上記プライマー対は、オオムギEST配列に基づいて設計されたものであれば特に限定されないが、配列番号985〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択されるプライマー対であることが好ましい。
【0112】
これらプローブは、検出を可能にするために標識され得るが、標識方法も特に限定されず、公知の方法を適宜用いて標識すればよい。その他、プローブなどの取り扱いに関しては、FISH法におけるプローブの取り扱いに従えばよく、それらの方法は当業者にとって公知である。
【0113】
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
【0114】
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
【実施例】
【0115】
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0116】
<植物材料>
表1に示すように、本実施例では、コムギ連に属する12種について、検討を行った。上記12種とは、Hordeum vulgare cv. 'Betzes'、H. bulbosum、H. chilense、H. bogdanii、Dasypyrum villosum、Elymus ciliaris、Psathyrostachys huashanica、Leymus racemosus、L. mollis、Secale cereale strain 'IR90'、 Thinopyrum elongatumおよびTriticum aestivum cv. 'Chinese Spring'であった。
【0117】
これらの種を選択した理由は、表1に示すように、まず第一として、コムギの添加系統への染色体供与体としての役割を考慮したものである。また、第二の理由としては、これらの種が、様々な倍数性、成長性(一年生または多年生)および有性生殖システム(単為生殖または異系生殖)を有するからである。また、一般的なコムギ(Triticum aestivum)であるChinese Springを添加系統の染色体受容体として用い、オオムギ(Hordeum vulgare)であるBetzesを添加系統の染色体供与体として用いた。これら植物は、National Bioresources Project-Wheat, Japanの管轄下であるTottori Alien Chromosome Bank of Wheat(TACBOW)により管理されている。
【0118】
【表1】

【0119】
<ESTプライマー対>
本実施例においては、4種類のオオムギESTプライマーシリーズを用いて検討を行った。以下、それぞれのESTプライマーシリーズを、第1プライマーシリーズ、第2プライマーシリーズ、第3プライマーシリーズおよび第4プライマーシリーズと呼ぶ。なお、上記第1〜第4プライマーシリーズは、オオムギEST配列に基づいてSato等によって作製されたオオムギESTプライマー対から選抜されたプライマー対からなる(Sato K, Nankaku N, Yano K, Takeda K (2003) Large scale development of barley EST markers. Ikushugaku Kenkyu, 5 (suppl. 1): 93.参照)。
【0120】
上記第1プライマーシリーズは、上記オオムギESTプライマー対からランダムに選択された384対のプライマー対である。また、上記第2プライマーシリーズは、上記オオムギESTプライマー対から選択されたプライマー対であり、オオムギでは明確な単一DNA断片を増幅させるが、コムギにおいてはこの限りではない651対のプライマー対である。上記第3プライマーシリーズは、上記オオムギESTプライマー対から選択されたプライマー対であり、コムギおよびオオムギにおいて明確でありかつ長さが区別可能な単一DNA断片を増幅させる24対のプライマー対である。上記第4プライマーシリーズは、上記オオムギESTプライマー対から選択されたプライマー対であり、コムギおよびオオムギにおいて明確でありかつ区別不可能な長さの単一DNA断片を増幅させる88対のプライマー対である。なお、上記4種類のプライマーシリーズは、オオムギ品種はるな二条、赤神力、野生オオムギH. vulgare ssp. spontaneum strain 'H602'のESTの情報に基づいた、10336個のESTマーカーに基づいて設計されたプライマー対の一部であって、上記プライマーシリーズに関する更なる情報は、「 HYPERLINK "http://www.shigen.nig.ac.jp/barley/" http://www.shigen.nig.ac.jp/barley/.」にて入手可能である。
【0121】
<ゲノムDNAの精製とPCR>
上記植物材料の全ゲノムDNAは、各植物材料の葉からCTAB法(Murray HG et al. Nuc Acid Res (1980) 8: 4321-4325.参照)にしたがって精製された。
【0122】
次いで、上記全ゲノムDNAを鋳型として用いたPCRを、96穴プレート上で行った。それぞれの穴には、10ngの鋳型DNA、それぞれ5pmolの順鎖ならびに逆鎖ESTプライマー、1μlの10×Ex-Taqバッファー(20mM Mg2+)、0.8μlのdNTP混合液(各2.5mM)および0.25ユニットのEx-TaqDNAポリメラーゼ(Takara社製)を混合した反応液10μlを加えたあと、以下に示す反応条件の下、PCRを行った。
【0123】
まず、94℃にて2分間の変性反応を行った後、94℃にて30秒間の変性反応、65℃にて30秒間(1サイクル毎に1℃ずつ温度を低下)のアニーリング反応および72℃にて2分間の伸長反応からなる反応サイクルを5サイクル行い、続いて、94℃にて30秒間の変性反応、60℃にて30秒間のアニーリング反応および72℃にて2分間の伸長反応(最後の伸長反応は72℃にて7分間)からなる反応サイクルを35サイクル行った。
【0124】
PCR産物の電気泳動は、エチジウムブロマイドを含む1.5%アガロースゲルを用いて行った。
【0125】
〔結果〕
図1に、24種類のプライマー対と、鋳型としてコムギ連に属する12種由来のゲノムDNAとを用いたPCRを行い、その後PCR産物を電気泳動して解析した結果を示す。
【0126】
また、表2には、各プライマー対を用いてPCRを行い、解析した結果を示す。表2では、鋳型としてコムギゲノムDNAを用いた場合に増幅されるDNA断片と、区別不可能な長さの単一DNA断片が増幅される場合を「1」として記載した。また、鋳型としてコムギゲノムDNAを用いた場合に増幅されるDNA断片と、区別可能な長さの単一DNA断片が増幅される場合を「2」として記載した。さらにDNA断片が増幅されない、または複雑なDNA断片が増幅される場合を「0」として記載した。
【0127】
【表2−1】

【0128】
【表2−2】

【0129】
【表2−3】

【0130】
【表2−4】

【0131】
【表2−5】

【0132】
【表2−6】

【0133】
【表2−7】

【0134】
【表2−8】

【0135】
【表2−9】

【0136】
【表2−10】

【0137】
【表2−11】

【0138】
【表2−12】

【0139】
【表2−13】

【0140】
【表2−14】

【0141】
【表2−15】

【0142】
【表2−16】

【0143】
【表2−17】

【0144】
【表2−18】

【0145】
【表2−19】

【0146】
【表2−20】

【0147】
【表2−21】

【0148】
【表2−22】

【0149】
【表2−23】

【0150】
【表2−24】

【0151】
【表2−25】

【0152】
【表2−26】

【0153】
【表2−27】

【0154】
【表2−28】

【0155】
【表2−29】

【0156】
【表2−30】

【0157】
【表2−31】

【0158】
【表2−32】

【0159】
【表2−33】

【0160】
表3には、各プライマーシリーズを用いてPCRを行った場合にDNA断片を増幅させ得るプライマー対の数を記載している。なお、表3の括弧の中は、各プライマーセットに属するプライマー対の全数に対する、DNA断片を増幅したプライマー対の割合を示している。
【0161】
【表3】

【0162】
表3に示すように、第1プライマーシリーズを用いた場合、ほぼ全ての種において多数の明確な単一DNA断片が増幅された。また、これらの単一DNA断片に加えて、不明確な複数のDNA断片が頻繁に増幅されたが、これらの不明確な複数のDNA断片は、ゲノム内に相同配列が存在しないことに起因する非相同的増幅により生じたものと考えられた。
【0163】
本実施例で使用した各コムギ種では、第1プライマーシリーズ中、明確な単一DNA断片を増幅するプライマーの割合は、およそ40%〜76%の範囲であった。さらに、本実施例で使用した各コムギ種では、上記第1プライマーシリーズを用いて増幅されたDNA断片の7.6%〜31%が、コムギとの間に多型を有していた。オオムギ近縁種(H. bulbosumおよびH. chilense)と倍数性種(T. aestivum、E. ciliaris、L. mollisおよびL. racemosus)では、より多数のDNA断片、すなわちそれぞれ293、216、200、193、209、196本のDNA断片が増幅された。例外として、H. bogdaniiは、オオムギと同じ属に属するが、増幅DNA断片数はかなり少なく、165本であった。
【0164】
コムギと外来種との間に多型を示すマーカーは、コムギの遺伝的背景における外来染色体を検出するために必要である。そこで、既にプレスクリーンされた第2プライマーシリーズを用いた解析を行った。上記第2プライマーシリーズは、オオムギでは明確な単一DNA断片を増幅させるが、コムギではDNA断片を増幅させないプライマーシリーズである。上記第2プライマーシリーズは、651対のプライマー対からなる。このうち、いくつかのプライマー対は特定の種で明確な単一DNA断片を増幅したが、他の種では薄い多数のDNA断片が増幅された。表3に示すように、それぞれの種について、39〜651個の増幅DNA断片が得られた。上記増幅DNA断片の数はHordeumの種よりもその他のコムギ近縁種の方が多かった。これら増幅DNA断片は、コムギ連に属する種を識別するための遺伝子マーカーとして用いることが可能である。また、表4に示すように、適用可能なプライマーの割合は、Hordeum種間で異なっていたが、その他のコムギ近縁種間では違わなかった。
【0165】
【表4】

【0166】
次に、コムギおよび外来種におけるサイズ多型マーカーを検出するために、オオムギとコムギとの両方で単一DNA断片を増幅する第3プライマーシリーズおよび第4プライマーシリーズを用いて解析を行った。
【0167】
表3に示すように、第3プライマーシリーズを用いることによって、それぞれの種について9〜42個の増幅DNA断片が得られた。また、第4プライマーシリーズを用いることによって、それぞれの種について42〜88個の増幅DNA断片が得られた。また、コムギと各コムギ近縁種間で多型断片が出現する頻度の平均は、第2または第3プライマーシリーズを用いた場合が、それぞれ100%および67.3%であって、第1または第4プライマーシリーズを用いた場合が、それぞれ28.5%および10.0%であった。
【0168】
表4に示すように、本実施例では、コムギと他の種との間の多型断片(多型マーカー)が合計2954個得られた。多型断片の合計数は、種間において変異が大きいことが明らかとなった。3つのHordeum種であるH. bulbosum、H. chilenseおよびH. bogdaniiは、コムギとの間に多数の多型断片を有しており、それぞれ572、292および205個の多型断片を有していた。また、L. mollis、L. racemosus、E. ciliaris、D. villosum およびP. huashanicaは、コムギとの間にそれぞれ224、182、179、132および149個の多型断片を有していた。一方、S. cerealeおよびTh. elongatumは、コムギとの間にそれぞれ82および78個の多型断片を有していた。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、コムギゲノムを遺伝的背景として、そこに導入された外来染色体を検出するための方法および検出するための器具に関するものであって、コムギの育種に利用可能である。また、農学を含む生物学の基礎研究分野にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】実施例1において、コムギ連に属する12種における、24オオムギESTプライマー対を用いたDNA増幅パターンを示す電気泳動図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コムギに導入されたコムギ近縁種由来の外来染色体を検出する方法であって、
プライマー対としてオオムギEST配列に基づいて設計されたプライマー対を用い、鋳型DNAとして被検コムギ個体のゲノムDNAを用いてDNA断片を増幅する増幅工程と、
該増幅工程によって増幅される該DNA断片を確認するための増幅断片確認工程と、を含み、
該コムギ近縁種にはHordeum vulgareは含まれないことを特徴とする外来染色体を検出する方法。
【請求項2】
前記オオムギEST配列が、配列番号1〜984に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コムギ近縁種が、Hordeum bulbosum、Hordeum chilense、Hordeum bogdanii、Dasypyrum villosum、Elymus ciliaris、Psathyrostachys huashanica、Leymus racemosus、Leymus mollis、Secale cereale、およびThinopyrum elongatumからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プライマー対は、コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合にはDNA断片が増幅されず、前記コムギ近縁種の少なくともいずれか1種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合にはDNA断片が増幅されるものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記プライマー対は、配列番号985〜2294に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プライマー対は、コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合にはDNA断片が増幅され、前記コムギ近縁種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合にはDNA断片が増幅されないものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記プライマー対は、配列番号2295〜2298に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プライマー対は、コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合にはDNA断片が増幅され、前記コムギ近縁種の少なくともいずれか1種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合にもDNA断片が増幅されるものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記プライマー対は、配列番号2300〜2952に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示されるプライマーおよび配列番号n+1に示されるプライマーからなる複数のプライマー対の中から選択される1対以上のプライマー対であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合に増幅される前記DNA断片と、前記コムギ近縁種の少なくともいずれか1種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合に増幅される前記DNA断片とが、区別可能な長さのものであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
コムギのゲノムDNAを鋳型として用いた場合に増幅される前記DNA断片と、前記コムギ近縁種の少なくともいずれか1種のゲノムDNAを鋳型として用いた場合に増幅される前記DNA断片とが、区別不可能な長さのものであることを特徴とする請求項8に記載の方法。


【図1】
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【公開番号】特開2007−82429(P2007−82429A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272667(P2005−272667)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年7月30日 国立大学法人鳥取大学主催の「博士論文発表会」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年9月1日 日本遺伝学会発行の「日本遺伝学会誌(Genes and Genetic Systems)Vol.80,No.3 147−159」、日本育種学会発行の「日本育種学会誌(Breeding Science)Vol.55,No.3 335−341」に発表
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】