説明

コモンモードフィルタ

【課題】2つのスパイラル導体の直列接続パターンを効率よくレイアウトし、コイル形成領域を広く確保する。
【解決手段】コモンモードフィルタ100は、基板11上に設けられた薄膜コイル層12と、薄膜コイル層12の表面に設けられたバンプ電極13a〜13d及び磁性樹脂層14とを備えている。薄膜コイル層12は、互いに直列接続されたスパイラル導体22,23と、互いに直列接続されたスパイラル導体24,25と、引き出し導体26a〜26dを含み、スパイラル導体22,24は互いに磁気結合しており、スパイラル導体23,25は互いに磁気結合している。スパイラル導体22〜25の内周端は、引き出し導体26a〜26dを介して、バンプ電極13a〜13dにそれぞれ電気的に接続されており、スパイラル導体22,23の外周端どうしは互いに接続されており、スパイラル導体24,25の外周端どうしは互いに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コモンモードフィルタに関し、特に、薄膜コモンモードフィルタの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速な信号伝送インターフェースとしてUSB規格やIEEE1394規格が広く普及し、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなど数多くのデジタル機器に用いられている。これらのインターフェースでは一対の信号線を用いて差動信号(ディファレンシャル信号)を伝送する差動伝送方式が採用されており、従来のシングルエンド伝送方式よりも高速な信号伝送が実現されている。
【0003】
高速差動伝送路上のノイズを除去するためのフィルタにはコモンモードフィルタが広く使用されている。コモンモードフィルタは、一対の信号線を伝わる信号の差動成分に対するインピーダンスが低く、同相成分(コモンモードノイズ)に対するインピーダンスが高いという特性を有している。そのため、一対の信号線上にコモンモードフィルタを挿入することにより、ディファレンシャルモード信号を実質的に減衰させることなくコモンモードノイズを遮断することができる。
【0004】
従来のコモンモードフィルタは、例えば特許文献1に記載のように、フェライト等の磁性セラミックからなる上下の磁性基板の間にコモンモードフィルタ素子を形成したものが知られている。コモンモードフィルタ素子は、一対の平面スパイラル導体を上下方向に重ねて互いに磁気結合させたものであり、非常に薄型で高性能な素子を実現することができる。
【0005】
特許文献2には、磁性セラミック材料からなる上下の磁性基板のうちの一方を省略し、その代わりに磁性粉を含有する樹脂層を設けるとともに、外部端子電極としてバンプ電極を用いたコモンモードフィルタが記載されている。この構成によれば、個々のチップ部品の表面に微小な平面電極をスパッタリング等で形成する必要がなく、端子電極を高精度に形成することが可能である。
【0006】
特許文献3には、2つのスパイラル導体の直列接続パターンからなるフィルタ部を上下方向に重ねて磁気結合させることにより、2つのコモンモードフィルタ素子の直列接続をワンチップ化したものが提案されている。この構成によれば、2つのコモンモードフィルタ素子が一体化されていることから、部品点数の増大や特性のばらつきを生じることなく、良好な周波数特性を得ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−218644号公報
【特許文献2】特開2011−14747号公報
【特許文献3】特開2007−81169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3に記載された従来のコモンモードフィルタは、一つのチップの限られた平面領域内に2つのスパイラル導体を並べて配置しているので、スパイラル導体のループサイズが小さくなるという問題がある。特に、スパイラル導体の外周端と外部端子電極とを接続するための引き出し導体がスパイラル導体と同じ平面上に設けられているため、コイル形成領域の一部が占有され、ループサイズを大きくすることができないという問題がある。さらに、上下のスパイラル導体の重ならない部分の面積が大きく、漏れインダクタンスが大きいという問題もある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、2つのスパイラル導体の直列接続パターンを効率よくレイアウトし、これによりループサイズを維持しながらコイル形成領域を縮小することが可能なコモンモードフィルタを提供することにある。また、本発明の他の目的は、上下のスパイラル導体が重ならない部分の面積を減らすことができ、漏れインダクタンスを減らすことが可能なコモンモードフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明によるコモンモードフィルタは、基板と、前記基板上に設けられた薄膜コイル層と、前記薄膜コイル層の表面に設けられた第1乃至第4のバンプ電極と、前記薄膜コイル層の前記表面であって前記第1乃至第4のバンプ電極を除いた領域に設けられた樹脂層とを備え、前記薄膜コイル層は、互いに直列接続された第1及び第2のスパイラル導体を含む第1の平面コイル層と、前記第1の平面コイル層と異なる層に設けられ、互いに直列接続された第3及び第4のスパイラル導体を含む第2の平面コイル層と、前記第1及び第2の平面コイル層よりも前記第1乃至第4のバンプ電極に近接して設けられ、第1乃至第4の引き出し導体を含む引き出し導体層を含み、前記第1のスパイラル導体と前記第3のスパイラル導体は互いに磁気結合しており、前記第2のスパイラル導体と前記第4のスパイラル導体は互いに磁気結合しており、前記第1乃至第4のスパイラル導体の内周端は、前記第1乃至第4の引き出し導体を介して、前記第1乃至第4のバンプ電極にそれぞれ接続されており、前記第1及び第2のスパイラル導体の外周端どうしは互いに接続されており、前記第3及び第4のスパイラル導体の外周端どうしは互いに接続されていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、2つのスパイラル導体の直列接続パターンを効率よくレイアウトすることができ、これによりループサイズを維持しながらコイル形成領域を縮小することができる。したがって、コイル形成領域が縮小されたことによって生じる余白領域を活かしてループサイズを大きくすることができ、あるいは、余白領域の分だけ省面積化(素子の小型化)を図ることができる。また、引き出し導体を介してスパイラル導体の内周端と端子電極とを接続することができるので、適切な位置に適切な大きさのバンプ電極を形成することができる。また、上下のスパイラル導体が重ならない部分の面積を減らすことができ、これにより漏れインダクタンスを減らすことできる。さらに、本発明によれば、2つのスパイラル導体の直列接続によってスパイラル導体の寄生容量を小さくすることができ、これにより高周波帯域でのコモンモードノイズ抑制効果を向上させることができる。
【0012】
本発明において、第1のスパイラル導体の巻回方向は第2のスパイラル導体と逆であり、第3のスパイラル導体の巻回方向は第4のスパイラル導体と逆であり、第1のスパイラル導体の巻回方向は第3のスパイラル導体と同じであり、第2のスパイラル導体の巻回方向は第4のスパイラル導体と同じであることが好ましい。この構成によれば、互いに直列接続された2つのスパイラル導体の両端がともに内周端となるように構成された平面コイルパターンを容易に形成することができる。したがって、スパイラル導体の外周端と端子電極とを接続するための引き出し導体を省略することができ、コイル形成領域を縮小することができる。さらに、上下のスパイラル導体の重ならない部分の面積を減らすことができ、これにより漏れインダクタンスを減らすことができる。
【0013】
本発明において、前記薄膜コイル層は、順に積層された第1乃至第3の絶縁層と、前記第2及び第3の絶縁層を貫通する第1及び第2のコンタクトホール導体と、前記第3の絶縁層を貫通する第3及び第4のコンタクトホール導体とをさらに備え、前記第1の絶縁層の表面に前記第1の平面コイル層が設けられ、前記第2の絶縁層の表面に前記第2の平面コイル層が設けられ、前記第3の絶縁層の表面に前記引き出し導体層が設けられ、前記第1乃至第4のスパイラル導体の内周端は、前記第1乃至第4のコンタクトホール導体及び前記第1乃至第4の引き出し導体を介して、前記第1乃至第4のバンプ電極にそれぞれ接続されていることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記第1乃至第4のバンプ電極の各々は、前記基板の主面と平行な第1の露出面と、前記基板の主面と直交する第2の露出面を有することが好ましい。
【0015】
本発明において、前記基板の材料はフォルステライトであることが好ましい。この構成によれば、基板の所望の機械的強度を確保しつつ誘電率を下げることができ、これによりスパイラル導体の寄生容量を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、2つのスパイラル導体の直列接続パターンを効率よくレイアウトし、これによりループサイズを維持しながらコイル形成領域を縮小することが可能なコモンモードフィルタを提供することができる。また、本発明の他の目的は、上下のスパイラル導体が重ならない部分の面積を減らすことができ、漏れインダクタンスを減らすことが可能なコモンモードフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態によるコモンモードフィルタ100の構成を示す略斜視図である。
【図2】図2は、コモンモードフィルタ100の構成を示す回路図である。
【図3】図3は、コモンモードフィルタ100の層構造を詳細に示す略分解斜視図である。
【図4】図4は、第1及び第2の平面コイル層21A,21Bの略平面図であって、(a)は第1の平面コイル層21Aの略平面図、(b)は第2の平面コイル層21Bの略平面図である。
【図5】図5は、2つのスパイラル導体の直列接続回路を示す回路図である。
【図6】図6は、コモンモードフィルタの自己共振周波数を説明するための図である。
【図7】図7は、コモンモードフィルタ100の製造工程を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態によるコモンモードフィルタ200の層構造を詳細に示す略分解斜視図である。
【図9】図9は、引き出し導体26a〜26d及びバンプ電極13a〜13dを示す略平面図である。
【図10】図10は、バンプ電極の変形例を示す略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるコモンモードフィルタ100の構成を示す略斜視図である。
【0020】
図1に示すように、コモンモードフィルタ100は、基板11と、基板11の一方の主面に設けられた薄膜コイル層12と、薄膜コイル層12の主面に設けられた4つのバンプ電極13a〜13dと、バンプ電極13a〜13dの形成位置を除いた薄膜コイル層12の主面に設けられた磁性樹脂層14とを備えている。
【0021】
コモンモードフィルタ100は略直方体状の表面実装型チップ部品であり、上面10a、底面10b及び4つの側面10c〜10f(外周面)を有している。なお、図1のコモンモードフィルタ100は底面10b(実装面)が上向きの状態であり、実際の実装時には上下反転し、バンプ電極13a〜13d側を下向きにして使用されるものである。
【0022】
基板11は、コモンモードフィルタ100の機械的強度を確保すると共に、磁性体を用いた場合にはコモンモードフィルタの閉磁路としての役割を果たすものである。基板11の材料としては、フォルステライトを用いてもよい。フォルステライトの比誘電率ε=7であり、フェライト(ε=14)よりも低誘電率であるため、フォルステライトを用いた場合には寄生容量成分を低下させることができ、これにより自己共振周波数(Self-Resonant Frequency:SRF)を上昇させることができる。比誘電率が10以下の低誘電率の基板としてアルミナ基板等を用いてもよい。特に限定されるものではないが、チップサイズが0.9×0.7×0.4(mm)であるとき、基板11の厚さは0.25〜0.3mm程度とすることができる。
【0023】
薄膜コイル層12は、コモンモードフィルタ素子を含む層であり、基板11と磁性樹脂層14との間に設けられている。詳細は後述するが、薄膜コイル層12は絶縁層と導体パターンとを交互に積層して形成された多層構造を有している。このように、本実施形態によるコモンモードフィルタ100はいわゆる薄膜タイプであって、磁性コアに導線を巻回した構造を有する巻線タイプとは区別されるものである。
【0024】
バンプ電極13a〜13dは、コモンモードフィルタ素子の外部端子電極であり、基板11、薄膜コイル層12及び磁性樹脂層14からなる積層体の底面10bのみならず外周面からも露出するように形成されている。このうち、2つのバンプ電極13a,13cは、積層体の長手方向と平行な第1の側面10cから露出しており、他の2つのバンプ電極13b,13dは、第1の側面10cと対向する第2の側面10dから露出している。このように、第1〜第4のバンプ電極13a〜13dの各々は、積層体の主面(底面)と平行な第1の露出面と、積層体の主面と直交する第2の露出面を有している。
【0025】
なお、本明細書において「バンプ電極」とは、フリップチップボンダーを用いてCu,Au等の金属ボールを熱圧着することにより形成されるものとは異なり、めっき処理により形成された厚膜めっき電極を意味する。特に限定されるものではないが、バンプ電極の材料としてはCuを用いることが好ましい。バンプ電極の厚さは、磁性樹脂層14の厚さと同等かそれ以上であり、0.08〜0.1mm程度とすることができる。すなわち、バンプ電極13a〜13dの厚さは薄膜コイル層12内の導体パターンよりも厚く、特に、薄膜コイル層12内の導体パターンの5倍以上の厚さを有している。
【0026】
磁性樹脂層14は、コモンモードフィルタ100の実装面(底面)を構成する層であり、基板11と共に薄膜コイル層12を保護すると共に、コモンモードフィルタを構成するコイルの閉磁路としての役割を果たすものである。ただし、磁性樹脂層14の機械的強度は基板11よりも小さいため、強度面では補助的な役割を果たす程度である。磁性樹脂層14は、バンプ電極13a〜13dの周囲を埋めるように設けられている。磁性樹脂層14としては、フェライト粉を含有するエポキシ樹脂(複合フェライト)を用いることができる。特に限定されるものではないが、チップサイズが0.9×0.7×0.4(mm)であるとき、磁性樹脂層14の厚さは0.08〜0.13mm程度とすることができる。
【0027】
図2は、コモンモードフィルタ100の構成を示す回路図である。
【0028】
図2に示すように、コモンモードフィルタ100は、4つのインダクタ素子17a〜17dを備えている。第1及び第2のインダクタ素子17a,17bは互いに直列接続されており、第3及び第4のインダクタ素子17c,17dもまた互いに直列接続されている。
【0029】
第1及び第3のインダクタ素子17a,17cは互いに磁気結合しており、第1のコモンモードフィルタ素子16Aを構成している。また、第2及び第4のインダクタ素子17b,17dも互いに磁気結合しており、第2のコモンモードフィルタ素子16Bを構成している。以上の構成により、コモンモードフィルタ100は、第1のコモンモードフィルタ素子16Aと第2のコモンモードフィルタ素子16Bとの直列接続を構成している。
【0030】
第1〜第4のインダクタ素子17a〜17dの一端は、第1〜第4の端子電極18a〜18dにそれぞれ接続されている。なお、第1〜第4の端子電極18a〜18dは、図1における第1〜第4のバンプ電極13a〜13dにそれぞれ対応している。
【0031】
図3は、コモンモードフィルタ100の層構造を詳細に示す略分解斜視図である。
【0032】
図3に示すように、薄膜コイル層12は、基板11側から磁性樹脂層14側に向かって順に積層された第1〜第4の絶縁層20a〜20dと、第1の絶縁層20a上に形成された第1の平面コイル層21Aと、第2の絶縁層20b上に形成された第2の平面コイル層21Bと、第3の絶縁層20c上に設けられた引き出し導体層21Cとを備えている。引き出し導体層21Cの上面は第4の絶縁層20dに覆われている。
【0033】
第1〜第4の絶縁層20a〜20dは、異なる層に設けられた導体パターン間を絶縁分離すると共に、導体パターンが形成される平面の平坦性を確保する役割を果たす。特に、第1の絶縁層20aは、基板11の表面の凹凸を吸収し、スパイラル導体パターンの加工精度を高める役割を果たす。絶縁層20a〜20dの材料としては、電気的及び磁気的な絶縁性に優れ、加工の容易な樹脂を用いることが好ましく、特に限定されるものではないが、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂を用いることができる。
【0034】
図4は、第1及び第2の平面コイル層21A,21Bの略平面図であって、(a)は第1の平面コイル層21Aの略平面図、(b)は第2の平面コイル層21Bの略平面図である。
【0035】
図4(a)に示すように、第1の平面コイル層21Aは、互いに直列接続された第1及び第2のスパイラル導体22,23を含む。第1及び第2のスパイラル導体22,23は、図2における第1及び第2のインダクタ素子17a,17bにそれぞれ対応している。
【0036】
第1のスパイラル導体22の内周端22aは、第2及び第3の絶縁層20b,20cを貫通する第1のコンタクトホール導体27aを介して第1の引き出し導体26aの一端に接続されており、第1の引き出し導体26aの他端は、絶縁層20dを貫通する第1の端子電極28aに接続されている。
【0037】
第2のスパイラル導体23の内周端23aは、第2及び第3の絶縁層20b,20cを貫通する第2のコンタクトホール導体27bを介して第2の引き出し導体26bの一端に接続されており、第2の引き出し導体26bの他端は、絶縁層20dを貫通する第2の端子電極28bに接続されている。
【0038】
第1のスパイラル導体22の内側にはコンタクトパッド22bが設けられており、第2のスパイラル導体23の内側にはコンタクトパッド23bが設けられている。コンタクトパッド22bは第3のコンタクトホール導体27cの直下に位置し、両者は平面視にて重なり合っているが、電気的には接続されていない。同様に、コンタクトパッド23bは第4のコンタクトホール導体27dの直下に位置し、両者は平面視にて重なり合っているが、電気的には接続されていない。これらのコンタクトパッド22b,23bは、それらを覆うように形成される絶縁層20b,20cの平坦性を高めるために設けられている。コンタクトパッド22b,23bがない場合、その分だけ絶縁層の上面に段差が生じるが、コンタクトパッド22b、23bを設けた場合には、そのような段差を抑えることができ、絶縁層の上面の平坦性を確保することができる。
【0039】
第1のスパイラル導体22と第2のスパイラル導体23の外周端どうしは点Pの位置で互いに接続されており、これにより、両者は直列接続されている。ただし、第1及び第2のスパイラル導体22,23は継ぎ目のない連続的なパターンである。第1のスパイラル導体22と第2のスパイラル導体23は近接しており、両者の距離はスパイラルパターンのピッチと等しい。このように、第1及び第2のスパイラル導体21,22が非常に近接して配置されているので、コモンモードフィルタ素子の省面積化を図ることができる。
【0040】
図4(b)に示すように、第2の平面コイル層21Bは、互いに直列接続された第3及び第4のスパイラル導体24,25を含む。第3及び第4のスパイラル導体24,25は、図2における第3及び第4のインダクタ素子17c,17dにそれぞれ対応している。
【0041】
第3のスパイラル導体24の内周端24aは、第3の絶縁層20cを貫通する第3のコンタクトホール導体27cを介して第3の引き出し導体26cの一端に接続されており、第3の引き出し導体26cの他端は、絶縁層20dを貫通する第3の端子電極28cに接続されている。
【0042】
第4のスパイラル導体25の内周端25aは、第3の絶縁層20cを貫通する第4のコンタクトホール導体27dを介して第4の引き出し導体26dの一端に接続されており、第4の引き出し導体26dの他端は、絶縁層20dを貫通する第4の端子電極28dに接続されている。
【0043】
第3のスパイラル導体24と第4のスパイラル導体25の外周端どうしは点Pの位置で互いに接続されており、これにより、両者は直列接続されている。なお、第3及び第4のスパイラル導体24,25は継ぎ目のない連続的なパターンである。第3のスパイラル導体24と第4のスパイラル導体25は近接しており、両者の距離はスパイラルパターンのピッチと等しい。このように、第3及び第4のスパイラル導体24,25が非常に近接して配置されているので、コモンモードフィルタ素子の省面積化を図ることができる。
【0044】
第1及び第3のスパイラル導体22,24は実質的に同一の平面形状を有しており、しかも平面視にて同じ位置に設けられている。第1及び第3のスパイラル導体22,24は平面視にて互いに重なり合っていることから、両者の間には強い磁気結合が生じている。以上の構成により、第1及び第3のスパイラル導体22,24は、図2に示した第1のコモンモードフィルタ素子16Aを構成している。
【0045】
第2及び第4のスパイラル導体23,25は実質的に同一の平面形状を有しており、しかも平面視にて同じ位置に設けられている。第2及び第4のスパイラル導体23,25は平面視にて互いに重なり合っていることから、両者の間には強い磁気結合が生じている。以上の構成により、第2及び第4のスパイラル導体23,25は、図2に示した第2のコモンモードフィルタ素子16Bを構成している。
【0046】
第1〜第4のスパイラル導体22〜25の外形は共に長円形スパイラルである。長円形スパイラルは矩形スパイラルよりも高周波での減衰が少ないため、高周波用インダクタンスとして好ましく用いることができる。なお、本実施形態によるスパイラル導体の外径は真円パターンであってもよく、楕円パターンであってもよい。また、矩形パターンとしてもかまわない。
【0047】
本実施形態において、第1のスパイラル導体22の巻回方向は第2のスパイラル導体23と逆であり、第3のスパイラル導体24の巻回方向は第4のスパイラル導体25と逆である。この構成によれば、互いに直列接続された2つのスパイラル導体の両端がともに内周端となるように構成された平面コイルパターンを容易に形成することができる。また、第1及び第2のスパイラル導体22,23からなる平面コイルパターンと第3及び第4のスパイラル導体24,25からなる平面コイルパターンとの重なりをできるだけ増やすことができ、両者の磁気結合を高めることができる。さらに、第1及び第3のスパイラル導体22,24によって生じる磁束の方向と、第2及び第4のスパイラル導体23,25によって生じる磁束の方向が互いに逆となることから、磁束を打ち消し合うことがない。
【0048】
第1及び第2の平面コイル層21A,21Bの平面コイルパターンの両端はスパイラル導体の内周端として構成されており、それらは引き出し導体層21Cの引き出し導体26a〜26dを介してバンプ電極13a〜13dに接続されている。そのため、第1の絶縁層20a上において、第1及び第2のスパイラル導体22,23からなる平面コイルパターンの外側に引き出し導体や端子電極等の他の導体パターンを設ける必要はない。同様に、第1の絶縁層20b上において、第3及び第4のスパイラル導体24,25からなる導体パターンの外側に引き出し導体や端子電極等の他の導体パターンを設ける必要はない。その結果、平面コイルパターンの外側に広い余白領域を確保することができ、或いは、各スパイラル導体のループサイズを大きくすることができる。また、スパイラル導体の線幅やピッチを広くすることができ、スパイラル導体の線幅を広げた場合には直流抵抗Rdcを低下させることができる。また、スパイラル導体22,23のターン数を増やすことも可能であり、この場合にはコモンモードインピーダンスZcを大きくすることができる。
【0049】
第1〜第4の引き出し導体26a〜26dは、薄膜コイル層12の第3の絶縁層20cの表面に形成されている。第1〜第4の引き出し導体26a〜26dは、第4の絶縁層20dを貫通する第1〜第4の端子電極28a〜28dを介して、第1〜第4のバンプ電極13a〜13dにそれぞれ接続されている。
【0050】
図5は、2つのスパイラル導体の直列接続回路を示す回路図である。
【0051】
図5に示すように、インダクタンスLを2つのインダクタ素子の直列接続によって構成する場合、各インダクタを原因とする寄生容量も直列接続となり、合成容量はC/2となる。このように、1つの大きなスパイラル導体ではなく、2つの小さなスパイラル導体の直列接続によってキャパシタンスの低減を図ることができる。
【0052】
図6は、コモンモードフィルタの自己共振周波数を説明するための図である。
【0053】
図6に示すように、コモンモードフィルタの自己共振周波数は、インダクタンス成分の特性グラフ(ラインL1)とキャパシタンス成分の特性グラフ(ラインC1)との合成から求めることができる。ここで、コモンモードフィルタのキャパシタンス成分を小さくすると、その特性グラフC1は上方に移動し、両者の交点は右側、つまり高周波側にシフトする。インダクタンス成分を小さくすることで両者の交点を高周波側にシフトさせることもできるが、この場合、インピーダンスも一緒に低下してしまう。しかし、キャパシタンス成分を小さくする場合、インピーダンスを低下させることなくコモンモードフィルタの自己共振周波数を高くすることができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態においては、1つの大きなループサイズのスパイラル導体からなる平面コイルパターンを形成するのではなく、2つの小さなスパイラル導体の直列接続からなる平面コイルパターンを形成することにより、インダクタンスを変えずにキャパシタンスを低減し、これにより直列共振周波数の向上を図ることができる。
【0055】
次に、コモンモードフィルタ100の製造方法について説明する。コモンモードフィルタ100の製造では、一枚の大きな基板(ウェーハ)上に多数のコモンモードフィルタ素子(コイル導体パターン)を形成した後、各素子を個別に切断することにより多数のチップ部品を製造する量産プロセスが実施される。
【0056】
図7は、コモンモードフィルタ100の製造工程を示すフローチャートである。
【0057】
図7に示すように、コモンモードフィルタ100の製造では、基板11(ウェハー)を用意し(ステップS11)、基板11上に多数のコモンモードフィルタ素子がレイアウトされた薄膜コイル層12を形成する(ステップS12〜S18)。
【0058】
薄膜コイル層12はいわゆる薄膜工法によって形成される。ここで、薄膜工法とは、感光性樹脂を例えばスピンコート法により塗布し、これを露光及び現像して絶縁層を形成した後、絶縁層の表面に導体パターンを形成する工程を繰り返すことにより、絶縁層及び導体層が交互に形成された多層膜を形成する方法である。以下、薄膜コイル層12の形成工程について詳細に説明する。
【0059】
薄膜コイル層12の形成では、まず絶縁層20aを形成した後(ステップS12)、絶縁層20aの表面に第1及び第2のスパイラル導体22,23の直列接続からなる第1の平面コイルパターンを形成する(ステップS13)。導体パターンの材料としてはCu等を用いることができ、蒸着法又はスパッタリング法により導体層を形成した後、その上にパターニングされたレジスト層を形成し、そこに電解めっきを施し、レジスト層等を除去することにより形成することができる。
【0060】
次に、絶縁層20aの表面に絶縁層20bを形成すると共に、絶縁層20bを貫通する2つのコンタクトホールを形成する(ステップS14)。その後、絶縁層20b上に第3及び第4のスパイラル導体24,25の直列接続パターンを形成すると共に、コンタクトホールの内部を導体で埋めてコンタクトホール導体27a,27bを形成する(ステップS15)。
【0061】
次に、絶縁層20bの表面に絶縁層20cを形成すると共に、絶縁層20bを貫通する4つのコンタクトホールを形成する(ステップS16)。その後、絶縁層20c上に第1乃至第4の引き出し導体26a〜26dを形成すると共に、コンタクトホールの内部を導体で埋めてコンタクトホール導体27a〜27dを形成する(ステップS17)。
【0062】
最後に、絶縁層20cの表面に絶縁層20dすると共に、絶縁層20dを貫通する4つの開口パターンを形成して薄膜コイル層12が完成する(ステップS18)。
【0063】
次に、薄膜コイル層12の表層である絶縁層20d上にバンプ電極13a〜13dを形成する(ステップS19)。バンプ電極13a〜13dの形成方法は、まず絶縁層20dの全面に下地導電膜をスパッタリング法により形成する。下地導電膜の材料としてはCu等を用いることができる。その後、ドライフィルムを貼り付け、露光及び現像することにより、バンプ電極13a〜13dを形成すべき位置にあるドライフィルムを選択的に除去してドライフィルム層を形成し、下地導電膜を露出させる。
【0064】
次に、電解めっきを行い、下地導電膜の露出面を成長させることにより、肉厚なバンプ電極13a〜13dを形成する。このとき、端子電極28a〜28dを形成するための開口の内部がめっき材料で埋められ、これにより端子電極28a〜28dが同時に形成される(ステップS19)。その後、ドライフィルム層を除去し、全面をエッチングして不要な下地導電膜を除去することにより、略柱状のバンプ電極13a〜13dが完成する。
【0065】
次に、バンプ電極13a〜13dが形成された薄膜コイル層12上に複合フェライトのペーストを充填し、硬化させて、磁性樹脂層14を形成する(ステップS20)。このとき、磁性樹脂層14を確実に形成するため多量のペーストが充填され、これによりバンプ電極13a〜13dは磁性樹脂層14内に埋没した状態となる。そのため、バンプ電極13a〜13dの上面が露出するまで磁性樹脂層14を研磨して所定の厚さにすると共に表面を平滑化する。さらに、磁性ウェハーについても所定の厚さとなるように研磨する。
【0066】
さらに、チップ部品のバレル研磨を行ってエッジを除去した後、電気めっきを行い、薄膜コイル層12の側面に露出するバンプ電極13a〜13dの表面を平滑化する。このように、チップ部品の外表面をバレル研磨することによりチップ欠け等の破損が生じにくいコモンモードフィルタを製造することができる。また、チップ部品の外周面に露出するバンプ電極13a〜13dの表面をめっき処理するため、バンプ電極13a〜13dの表面を平滑面とすることができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によるコモンモードフィルタ100の製造方法は、従来において使用していた上下の基板の一方を省略し、その代わりに磁性樹脂層14を形成することから、コモンモードフィルタを簡易且つ低コストで製造することができる。また、バンプ電極13a〜13dの周囲に磁性樹脂層14を形成しているので、バンプ電極13a〜13dを補強することができ、バンプ電極13a〜13dの剥離等を防止することができる。また、本実施形態によるコモンモードフィルタ100の製造方法は、バンプ電極13a〜13dをめっきにより形成しているので、例えばスパッタリングで形成する場合よりも加工精度の高く安定した外部端子電極を提供することができる。
【0068】
図8は、本発明の第2の実施の形態によるコモンモードフィルタ200の層構造を詳細に示す略分解斜視図である。また、図9は、引き出し導体26a〜26d及びバンプ電極13a〜13dを示す略平面図である。
【0069】
図8及び図9に示すように、このコモンモードフィルタ200の特徴は、第4の絶縁層20dが省略され、第3の絶縁層20cの表面にバンプ電極13a〜13dが形成されると共に、第1乃至第4の引き出し導体26a〜26dがバンプ電極13a〜13dと一体的に形成されている点にある。その他の構成は第1の実施形態によるコモンモードフィルタ100と実質的に同一であるため、同一の構成要素に同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
本実施形態によるコモンモードフィルタ200の製造工程のうち、第3の絶縁層20cを形成する工程(図7のステップS16)までは第1の実施形態によるコモンモードフィルタ100と同じである。次に、第3の絶縁層20cの表面に第1〜第4の引き出し導体26a〜26dとバンプ電極13a〜13dとの合成パターンを形成する。さらに、全面にシートレジストを貼り付け、バンプ電極13a〜13dの形成領域にあるシートレジストを選択的に除去して下地導電膜を露出させる。次いで、電気メッキを行い、下地導電膜の露出面を成長させることにより、肉厚なバンプ電極13a〜13dを形成する。
【0071】
バンプ電極13a〜13d及び引き出し導体26a〜26dは、以下の方法によっても形成することができる。すなわち、第3の絶縁層20cの全面に下地導電膜を形成し、その上にシートレジストを形成し、これをパターニングしてバンプ電極13a〜13d及び引き出し導体26a〜26dの形成領域にあるシートレジストを選択的に除去して下地導電膜を露出させる。その後、電解めっきを行い、下地導電膜の露出面を成長させることにより、肉厚なバンプ電極13a〜13dを形成すると共に、引き出し導体26a〜26dを形成する。
【0072】
ここで、引き出し導体26a〜26dもバンプ電極13a〜13dとともにめっき成長するが、バンプ電極13a〜13dに比べてめっき成長面の線幅が狭いため、めっき成長が不完全となり、その高さはバンプ電極13a〜13dよりも低くなる。引き出し導体26a〜26dの高さはその位置により多少異なり、バンプ電極に近づくほど高くなるが、平均的にはバンプ電極の3〜5割程度である。なお、めっき条件を調整することで引き出し導体26a〜26dの高さをバンプ電極13a〜13dに意図的に近づけることは可能であるが、本実施形態においてそのような制御は不要である。
【0073】
その後、第3の絶縁層20cの表面に磁性樹脂層14を形成する。このとき、第1〜第4の引き出し導体26a〜26dの高さはバンプ電極13a,13cよりも低いので、磁性樹脂層14の下に埋まってしまい表面に露出しない。したがって、第1の実施形態によるコモンモードフィルタ100と同等の外観を有する端子電極パターンを提供することができる。
【0074】
以上説明したように、コモンモードフィルタ200によれば、第1の実施形態によるコモンモードフィルタ100と同様の発明の効果に加えて、第4の絶縁層20dを省略することができ、これによりチップの低背化を図ることができる。また、引き出し導体26a〜26dとバンプ電極13a〜13dの両方を同一平面上に形成することができ、工数の低減及び低コスト化を図ることができる。
【0075】
図10は、バンプ電極13a〜13dの変形例を示す略平面図である。
【0076】
図10(a)に示すバンプ電極13a〜13dは、矩形状の実装領域のコーナー部に設けられており、上面及び直交する2つの側面に露出面を有している。つまり、バンプ電極13aの各々は、3面の露出面を有している。そのため、広いフィレット面を確保することができ、半田接合強度を高めることができる。
【0077】
図10(b)に示すバンプ電極13a〜13dは、底面にのみ露出面を有しており、チップの側面に露出面を有していない。各バンプ電極13a〜13dの形状は円形であり、絶縁樹脂層14に囲まれているので、バンプ電極の固着強度を高めることができる。
【0078】
このように、本発明によるコモンモードフィルタは、種々のバンプ電極形状を採用することができるが、スパイラル導体22〜25とバンプ電極13a〜13dとの接続が絶縁層20c上の引き出し導体26a〜26dを介して行われているので、どのような形状のバンプ電極をどの位置に設けたとしても、両者を容易且つ確実に接続することが可能である。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、それらも本発明に包含されるものであることは言うまでもない。
【0080】
例えば、上記実施形態においては、第1のスパイラル導体の巻回方向は第2のスパイラル導体と逆であり、第3のスパイラル導体の巻回方向は第4のスパイラル導体と逆である場合を例に挙げたが、第1及び第2のスパイラル導体の巻回方向が同じであり、且つ、第3及び第4のスパイラル導体の巻回方向が同じであるようにしてもかまわない。
【0081】
また、上記実施形態においては、第1〜第4の引き出し導体が同一平面上に設けられているが、例えば第1及び第3の引き出し導体の形成層と第2及び第4の引き出し導体の形成層とを異ならせてもよい。
【0082】
また、上記実施形態においては、バンプ電極13a〜13dの形成位置を除いた薄膜コイル層12の主面に磁性樹脂層14を設けているが、磁性を有しない樹脂層を形成してもよい。すなわち、フェライト粉を含有しない非磁性のエポキシ樹脂等を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0083】
10a 積層体の上面
10b 積層体の底面
10c〜10f 積層体の側面(外周面)
11 基板
12 薄膜コイル層
13a〜13d バンプ電極
14 磁性樹脂層
16A コモンモードフィルタ素子
16B コモンモードフィルタ素子
17a〜17d インダクタ素子
18a〜18d 端子電極
20a〜20d 絶縁層
21A,21B 平面コイル層
21C 引き出し導体層
22〜25 スパイラル導体
26a〜26d 引き出し導体
27a〜27d コンタクトホール導体
28a〜28d 端子電極
100,200 コモンモードフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた薄膜コイル層と、
前記薄膜コイル層の表面に設けられた第1乃至第4のバンプ電極と、
前記薄膜コイル層の前記表面であって前記第1乃至第4のバンプ電極を除いた領域に設けられた樹脂層とを備え、
前記薄膜コイル層は、
互いに直列接続された第1及び第2のスパイラル導体を含む第1の平面コイル層と、
前記第1の平面コイル層と異なる層に設けられ、互いに直列接続された第3及び第4のスパイラル導体を含む第2の平面コイル層と、
前記第1及び第2の平面コイル層よりも前記第1乃至第4のバンプ電極に近接して設けられ、第1乃至第4の引き出し導体を含む引き出し導体層を含み、
前記第1のスパイラル導体と前記第3のスパイラル導体は互いに磁気結合しており、
前記第2のスパイラル導体と前記第4のスパイラル導体は互いに磁気結合しており、
前記第1乃至第4のスパイラル導体の内周端は、前記第1乃至第4の引き出し導体を介して、前記第1乃至第4のバンプ電極にそれぞれ接続されており、
前記第1及び第2のスパイラル導体の外周端どうしは互いに接続されており、
前記第3及び第4のスパイラル導体の外周端どうしは互いに接続されていることを特徴とするコモンモードフィルタ。
【請求項2】
第1のスパイラル導体の巻回方向は第2のスパイラル導体と逆であり、
第3のスパイラル導体の巻回方向は第4のスパイラル導体と逆であり、
第1のスパイラル導体の巻回方向は第3のスパイラル導体と同じであり、
第2のスパイラル導体の巻回方向は第4のスパイラル導体と同じであることを特徴とする請求項1に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項3】
前記薄膜コイル層は、順に積層された第1乃至第3の絶縁層と、
前記第2及び第3の絶縁層を貫通する第1及び第2のコンタクトホール導体と、
前記第3の絶縁層を貫通する第3及び第4のコンタクトホール導体とをさらに備え、
前記第1の絶縁層の表面に前記第1の平面コイル層が設けられ、
前記第2の絶縁層の表面に前記第2の平面コイル層が設けられ、
前記第3の絶縁層の表面に前記引き出し導体層が設けられ、
前記第1乃至第4のスパイラル導体の内周端は、前記第1乃至第4のコンタクトホール導体及び前記第1乃至第4の引き出し導体を介して、前記第1乃至第4のバンプ電極にそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項4】
前記第1乃至第4のバンプ電極の各々は、前記基板の主面と平行な第1の露出面と、前記基板の主面と直交する第2の露出面を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコモンモードフィルタ。
【請求項5】
前記基板の材料はフォルステライトであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコモンモードフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−98257(P2013−98257A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237871(P2011−237871)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】