説明

コラーゲンに基づく生理活性

有効成分Iとしての酵素加水分解コラーゲンと抗酸化性及び/又は抗炎症性を有する非ビタミン種の有効成分IIを含有する、コラーゲンに基づく生理活性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲンに基づく生理活性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、支持組織及び結合組織の主成分であり、特に皮膚、腱及び骨に見られる、天然繊維タンパク質である。従って、コラーゲンは結合組織の最も重要なタンパク質の一つであり、ヒトの総タンパク質量の30%を占める。コラーゲンは、その配列が長いセクションにわたって周期的構造を有する数種のタンパク質の中に存在し、3本の鎖を含んでなる極めて強固ならせんを形成する数種のタンパク質を形成する。一般に、コラーゲンは、構造及び配列が異なる数種のコラーゲン間で識別され、このコラーゲンパターンは個々の組織に典型的なものである。例えば、I型コラーゲンは主として骨、腱、皮膚ならびに大血管及び角膜に見られ、II型コラーゲンは主として肋骨軟骨及び角質化した皮膚に含まれ、III型及びIV型コラーゲンは主要血管及び皮膚を形成し、基底膜の形成に関与している。
【0003】
内在性物質としてのコラーゲンは、変性関節疾患の処置、特に主として関節症及び関節炎系の治療に長年使用されてきた。
【0004】
炎症過程とそれに伴う痛みの発生は、変性関節疾患における様々な病的過程の複雑な相互作用の結果である。このような炎症及び痛みの状態の発生と進行は、常にといってもよいほど、実際の炎症反応に基づくものである。しかしながら、これは血管系の変化及び、これらの変化に起因する腫れ、紅潮及び発熱症状また、痛みの受容体の感受性の変化、及び中枢神経系の神経による伝達や処理の変化に関連することもあり、それだけでなく、免疫系の調節又は免疫系による調節も変性関節疾患に重要な役割を果たす。
【0005】
このような領域は単独で考えられるものではなく、例えば、ある種の炎症性メディエーターの放出は血管の拡張をもたらし、従って、免疫系細胞の移入を増加させるとともに痛みの閾値を引き下げるためである。次に、移入した免疫細胞は組織構造の変性を経て炎症過程を増幅し、さらなる炎症性メディエーターが放出され、同時に放出されるヒスタミン量が血流をさらに高める結果となり、痛みの閾値がさらに低くなるために痛みも増す。
【0006】
炎症過程の中心的メディエーターは変性関節疾患及び関連の二次疾患の過程に中心的な役割を果たし、ここでは、プロスタグランジンとロイコトリエンが重要な位置づけにあり、プロスタグランジンは溶解酵素の放出を誘発し、サイトカイン受容体の数を増すことで関連細胞の反応性を高めることにより炎症過程を増幅する。同時に、これはまた痛みの閾値の引き下げにも関連する。また、アラキドン酸からのプロスタグランジンの形成における重要な反応を触媒するシクロオキシゲナーゼ(COX−1及びCOX−2)も関与する。
【0007】
プロスタグランジン同様、ロイコトリエンもアラキドン酸から形成され、ここでは、5−リポキシゲナーゼが重要な役割を果たす。血管系又は痛みの過程の変化に役割を果たす他の酵素としては、一般に、NO−シンターゼ、ヒスタミンオキシダーゼ及びモノオキシゲナーゼ、ならびにオキシドレダクターゼがある。
【0008】
先行技術から、変性関節疾患をコラーゲンで処置する方法に関する情報が得られる多くの参照文献が公知である。
【0009】
例えば、特許文献1には、平均分子量10〜80キロダルトンの、無味無臭又は低味低臭性酵素加水分解コラーゲンを含む関節症処置用薬剤を記載している。使用される加水分解コラーゲンは動物の皮膚、動物の骨、又はその他十分に精製された結合組織に由来するものである。従って、このコラーゲンを主として酵素的手段により加水分解し、これらの条件は、ある特定の分子量範囲が得られるように選択する。これらの製造条件に応じて、コラーゲン加水分解物において、カルボキシル基及びアミノ基の数が様々であり、等電pH範囲も様々となる。この適正特性下で使用される加水分解コラーゲンとしては、例えば、製品名「Gelita−Sol」(DGF Stoess AG)及び「Arthred」(Degussa Food Ingredients GmbH)として市販されている。
【0010】
次の望ましい知見は、特許文献1で公開されている、股関節及び/又は膝関節の変性疾患を有する患者に対する研究で確認されたものである:当初の痛み及び硬直の改善、運動痛及び疲労痛の軽減、ならびに関節部を上から押した際の痛みの軽減と押し終わった後の痛みの軽減。股関節が動かせるかどうかについては、著しく改善された屈曲性が見られ、これは膝関節の可動性よりも明確に確認された。
【0011】
関節の軟骨量を高める方法は特許文献2で知られている。この方法では、分子量2〜100キロダルトンの間の加水分解ゼラチンを経口投与する。さらに、少なくとも1つの代表的なビタミンB群及び/又は有機もしくは無機マグネシウム化合物をこのゼラチンの一日用量に加えることができる。
【0012】
この米国保護権利に従った方法は、酵素加水分解ゼラチンの一般に知られている投与の改良であると見なすことができるが、この時にはその厳密な作用機序の仮説が知られていたに過ぎなかった。従って、加水分解コラーゲンが関節炎障害の徴候を改善することができるという仮説であった。また、経口摂取されるタンパク質の一定の許容性も仮説であった。この点に関しては、加水分解ゼラチンなど、コラーゲン合成の前駆体を摂取することによってより大きな軟骨塊が形成され得るということが特に議論されている。
【0013】
基本的に「ゼラチン」は、通常熱したアルカリで処理される、すなわち、この手段によって溶解し得るコラーゲンである。ゼラチン溶液は冷めると硬いゼリーを形成する。このようにゼラチンは、コラーゲンから得られるタンパク質である。ゼラチンを投与した際に起こり得るアレルギー反応を防ぐためには、コラーゲンから抽出により得られたゼラチンにさらに制御された酵素的又は化学的加水分解を施し、完全に代謝される所定の短鎖ペプチドを得る。
【0014】
変性関節疾患の予防又は処置に使用されているもう一つの製品として、「Arthred」(Degussa Food Ingredients GmbH)がある。この製品も、総分子量約3キロダルトンの短鎖ペプチドからなる酵素加水分解コラーゲンである。Arthred中のコラーゲンに基づくペプチドは、分子量が選択されているために冷水に優れた溶解性を示す。
【0015】
既述のように、変性関節疾患もとりわけ炎症過程である。先行技術は、特に関節領域の炎症を処置するための多くの天然調製物を提案している。これに関しては、例えばフラボノイドなどの抗酸化性を有する化合物が特に好適である。上記の植物抽出物(そのいくつかは多数の異なる化合物種と抗酸化性を有する化合物を含み得る)は全て、様々な適用型で提案されている。
【0016】
これに関して、既述のシクロオキシゲナーゼも着目され、よって、対応するCOX−1及びCOX−2阻害剤は炎症過程に重要な役割を果たす。ルテカルピン、ケンフェロール及びフモロンは特に述べるに値するものである。
【0017】
下表1は明らかなCOX−2阻害活性を有する植物又は植物の部分とこの活性を担う主成分を示したものである。
【表1】













【0018】
COX−2阻害活性が証明されている、植物界の最もよく知られた代表例としては、アロエ、緑茶抽出液、カーラント、オウトウ、シラー、ショウガ、ウコン及びイチョウがある。
【特許文献1】欧州特許第0254289号明細書
【特許文献2】米国特許第6,211,143号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
コラーゲン及びその加水分解産物であるゼラチンはわずかな抗炎症作用しか持たないことが知られており、本発明の目的は、特に変性関節疾患に対するコラーゲンの既知の望ましい作用に加えて、とりわけ関節領域の炎症過程に良好に作用する特性又はそのような望ましい作用を補助する特性も有する、コラーゲンに基づく新規な生理活性組成物を提供することである。このように、この新規な組成物の主目的は、簡単に投与することができ、かつ、コンプライアンスに関して何ら問題がない変形形態を提供することである。さらに、これらの有効組成物は、それらを特に天然源に由来しなければならないとする理由となるような望ましくない付帯現象を招くことはないはずである。また、その目的は、生理活性主成分間の望ましくない相互作用を避けるということでもあり、これにより、このコラーゲン成分ならびに所望の生理活性を有する他の化合物は、特に変性関節疾患の予防及び処置のために十分に使用される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、有効成分Iとしての酵素加水分解コラーゲンと抗酸化性及び/又は抗炎症性を有する有効成分IIを含有する適当な組成物を用いて達成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の代表的組成物を試験したところ、全く驚くべきことに、本願特許請求の組成物ではこのコラーゲン成分の既知の望ましい作用が何ら弱まることなく、むしろ、特にコラーゲンの関節保護/安定化作用が他の生理活性成分IIにより相加的に増強されるに留まらず、極めて相乗的に増強されることが判明した。よって、慢性炎症過程の症例において、本願特許請求の組成物を投与することにより、主としてこのコラーゲン成分により機能状態が維持又は増強可能であっただけでなく、痛みの状態を著しく改善することができた。この2成分IとIIの相乗作用は個々の物質の作用を明らかに超えるものであり、これほどの作用とは予想できなかったものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
成分Iに関しては、本発明の範囲で、この成分の平均分子量が1〜10キロダルトン、特に好ましくは2〜6キロダルトンである場合に有利であることが分かった。平均分子量が2〜4キロダルトンである成分Iが特に好ましい。また、コラーゲンが例えばウシ又はブタ由来である場合、及びそれらの骨、皮膚及び結合組織に由来する場合など、動物由来の成分Iが本発明に十分適している。
【0023】
本組成物は特定の適用形態に関して何ら制限を伴わないと考えられるので、本発明の組成物には成分Iとして冷水に可溶なコラーゲンを用いるのがよいと判明している。
【0024】
成分IIに関しては、本発明は生物由来のものであると考え、発酵液及び/又は抽出液に基づく変形形態が好ましいと考えている。発酵液は、その中に含まれている、抗酸化性及び/又は抗炎症性を有する化合物が有効な量で存在する場合には、無処理の形態で使用することもできる。また、好ましい抽出液としては、水性抽出液又はアルコール性産物として存在する液体変形形態、又はそれらから乾燥工程により粉末形態で誘導されるものが挙げられる。成分IIの好ましい変形形態としての抽出液に関しては、本発明は植物由来の抽出液を包含し、特に好ましいとされる。
【0025】
本発明の使用では成分IIとして極めて広範囲の変形形態を考慮に入れるが、既述したように、唯一の基準がその成分Iとの組合せ作用にある。しかし、投与とコンプライアンスの点から、成分IIが抽出液、凍結乾燥物及び/又は画分であり、これら3つの投与形態が特に、Plantago mayor、Plantago media、Plantago lanceolataなどのプランタゴ種、Aloe vera、Aloysia triphylla、Humulus lupulus、Ginko biloba、Lippia triphylla及び/又はLippia citriodoraに由来する場合が本発明の範囲内で好ましいと見なされる。
【0026】
後者の植物種は、それらの有効成分がフラボノイドを含み、かつ、それらがトロロックスと同等の形態で抗酸化性を示し、従って、反応性酸素種により誘発又は増幅された炎症性病態のマトリックス保護剤として使用することができるので、本発明において特に好適である。
【0027】
特に、レモンバーベナとしてよく知られるAloysia triphyllaの抽出液は、フランスでは、一方で消化不良、他方で神経質及び睡眠障害の対症療法として伝統的に用いられているものである。
【0028】
成分IIとして考慮に入れる、抗酸化性及び/又は抗炎症性を有する多数の化合物及び化合物種の中でも、フェニルエタノイド、特に好ましくはアクテオシド、及び/又はホップ由来の既知のα酸及びβ酸、アピゲニン、バイカレイン、ベルベリン、シンナムアルデヒド、シルシリネオール(cirsilineol)、クルクミン、オイゲノール、ケンフェロール、オレアンド酸、ケルセチン、レスベラトロール、サリチル酸及びウルソリン(ursolininc)酸などのCOX−2阻害剤を含むものが、本願特許請求の組成物に特に好適であることが分かっている。
【0029】
ヘラオオバコ種(プランタゴ種)は、有効成分としてイリドイド配糖体、フラボン、フェノールカルボン酸、クマリン、フェニルエタノイド、及び多糖類を含む。次の配糖体がフラボン種の化合物から同定されている:アピゲニン−7−O−グルコシド、アピゲニン−6,8−ジ−C−グルコシド、アピゲニン−7−O−グルクロニド、アピゲニン−7−O−グルクロニドグルコシド、ルテオリン−7−O−グルコシド、ルテオリン−7−O−グルクロニド、ルテオリン−O−グルクロニド−3’−O−グルコシド及びルテオリン−7−O−グルクロニルグルコシド。プランタゴのフェノールカルボン酸の顕著な代表例としては、クロロゲン酸及びシスタノシド、ならびに4−ヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸があり、典型的なクマリンとしてエスコリチン(aescolitin)も存在する。またこれもプランタゴに存在するフェニルエタノイドは、その必須の構造的特徴にグルコースとフェニルエタノールからの完全なアセタールの形成ならびにカフェ酸とグルコースのエステルの形成を含む成分の一群である。例えば、Plantago lanceolatから約3.5%のアクテオシド(ベルバスコシド)と約1%のプランタマジョシド(plantamajoside)が単離された。他のフェニルエタノイドとしては、イソアクテオシド及びラバンズリフォリオシド(lavandulifolioside)がある。
【0030】
既述のアクテオシドは、急性及び慢性抗炎症活性を有する天然の二糖類である。アクテオシドは、ヒト末梢多形核リンパ球中のエイコサテトラエン酸誘導体(5−HET)及びロイコトリエンBの形成を阻害し、両者とも炎症過程において重要な役割を果たす。しかし、アクテオシドはラット肝臓由来のミトコンドリア脂質及びリポソーム脂質のFe2+/ADP誘導性の脂質酸化を用量依存的に阻害することができることから、フェニルエタノイドの大部分のものと同様に注目される抗酸化性を有している。この過程で、アクテオシドは、とりわけスーパーオキシドアニオンヒドロキシルラジカルに対するラジカルスカベンジャー活性を発揮する。さらに、アクテオシドは軟骨塊の重要成分としてのコンドロイチン硫酸を酸素ラジカルによる分解から保護し得ることが実証されている。
【0031】
本発明は前記の植物種に限定されないが、入手や処理が容易なことからこれらが好ましい。しかしながら、好適な植物調製物としてはまた、例えば本願明細書の表1に挙げたものなども成分IIとして考慮に入れられる。
【0032】
本願特許請求の組成物の幅広さはまた、成分IとIIが本願特許請求の組成物中に存在可能な重量比によるものでもある。これはある混合比に何ら限定されず、これらの成分は比較的広範囲にわたり、特に言えば、I:IIの重量比1:0.01〜0.5、好ましくは、1:0.001〜1、特に好ましくは1:0.0001〜10で存在しなければならない。
【0033】
本願請求の範囲の表現により明らかに記されているように、本組成物はこの2成分1とIIに限定されず、「単に」これらの2成分を含まなければならないということである。このため本発明ではこれら2つの主成分IとIIの他に、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、メチルスルホニルメタン及びクレアチン又はそれらの好適な誘導体といった生理活性成分さらに含む組成物も意図される。
【0034】
これらの付加的生理活性成分の主要な選択基準は、特に変性関節疾患で見られるものなどの通常の炎症症状に対する望ましい作用、又は予防の成功への寄与であり、これが、抗酸化及び/又は抗炎症作用機序を全面的に支持するか、又は軟骨塊又は骨膜の維持又は合成に対して望ましい作用を発揮する化合物がなぜ最優先となるのかという理由である。
【0035】
しかしながら、本発明ではまた、この組成物はまた、選択された投与形を保存するため、又はコンプライアンスを高めるために一般的な処方助剤及び/又は安定化剤、増量剤、香味剤、色素及び甘味剤を含むということも意図する。
【0036】
本願特許請求の組成物は従来の製薬/医学分野での使用を第一に意図するものではなく、むしろ、いわゆる自由販売OTC製品などの自己適用の一環としての投与を意図するものである。このため、本発明では、本願特許請求の組成物を食品添加物、機能性食品及び化粧用調製物の形態で提供及び投与することを意図し、この場合、特に、錠剤、カプセル剤、糖衣錠、バー、粒剤、散剤、安定溶液、及びジュースが特に好適な投与形態である。
【0037】
何度も既述したように、本願特許請求の組成物は変性関節疾患に特に有益であると考えられる。このため本発明は、実際の組成物の他、炎症性及び/又は変性症状、特に慢性経過を有するもの、特に好ましくは、関節炎、関節症及び病的脈管形成用の薬剤の製造を最重点とするその使用を請求する。このようにして得られた薬剤は本発明の範囲内で、特に膝領域の関節において強い応力変形を受けるプロ競技者、レジャー競技者及びレクリエーション競技者による使用、及び高齢者及び回復期患者による、特に、特定の損傷かつ/又は障害のある関節機能を有する者の場合の使用に特に好適である。
【0038】
一方でコラーゲンに由来し、他方で成分IIの抗炎症性/抗酸化性に由来する作用の組合せが可能なため、本願特許請求の組成物及びそれを用いて製造される薬剤は関節の過度の応力変形、それに伴う機能制限及び変性過程の予防に特に好適であり、また、それらの処置にも好適である。
【0039】
これに関して、実際の作用は結局のところ軟骨塊の増加に限定されると見なすことはできず、むしろ、軟骨塊の分解又は減少が防止される、又は打ち消される。この過程で、軟骨塊の形成は実際に促進されるか、又は軟骨塊が新たに形成される場合があり、必ずしも軟骨塊の全体的な増加に関連しなくてよい。よって、本発明の範囲内で、本願特許請求の組成物は主として、バランスのとれた様式で総軟骨量を維持するために使用される。
【0040】
これもまた本発明により請求される特殊な使用はさらに、得られた薬剤を成分Iの一日用量が10g未満、好ましくは5g未満に相当するような量で投与することを特徴とする。また、得られた薬剤を2週間〜6か月、好ましくは3週間〜3か月の期間継続して投与する(経口投与が好ましい)ことも提供される。
【0041】
本発明を用いて達成される利益は、コラーゲン又はゼラチンの投与量が10g/日より著しく高い量から、10gより有意に少ない量へと減少可能なこと、さらには、8週間を超える従来の通常の適用期間も著しく短縮可能なこととして理解することができる。成分Iの一日用量/総用量を著しく引き下げても本発明の組成物の有効性は何ら低下しないことから、本発明の成分Iと成分IIの組合せによる効力の明らかな相乗的増強が存在するものと仮定されるが、その厳密な作用機序は各場合でまだ述べることができない。
【0042】
例として示される以下の研究は本願特許請求の組成物のこの望ましい作用を実証するものである。
【実施例】
【0043】
食品添加物として設計した組合せ調製物の有効性を、膝関節関節症を有する患者で、二重盲検プラセボ対照試験において調べた。使用した組成物は、単独成分としての製品「Arthred」(Degussa Food Ingredients GmbH製のコラーゲン加水分解物)と特殊な抽出液「Planox L」(Anoxymer GmbH製)からなった。「Arthred」は酵素加水分解ウシコラーゲンからなり、もっぱら、鎖長約25〜30アミノ酸、分子量約3キロダルトンの短鎖ペプチドを含む。「Planox L」は、Aloysia triphylla (L’Her.) O. Kuntze/Prit. (syn. Lippia citriodora H.B.K., Lippia triphylla (L’Her.) O. Kuntze)の乾燥生薬から水性アルコール抽出により単離されたものである。この抽出液は有効成分としてフラボノイドと少なくとも10重量%のフェニルエタノイドアクテオシドを含む。
【0044】
被験者は膝関節の関節症を有する外来患者男女からなった。
【0045】
この試験の目的は、痛みの状態と機能状態をLequesne指数及びWOMAC指数(Western Ontario and McMaster Universities)によって評価しつつ、軽度膝関節関節症の状態全般を最適化(症状改善)することであった。この試験は、膝関節関節症を有する患者における二重盲検、プラセボ対照、無作為化短期試験として計画し、被験者各25名、全試験サイズ被験者100名で、プラセボとPlanox LとArthredとPlanox L+Arthredの4アーム試験(いずれも経口投与)として行った。
【0046】
包含基準は、軽症の膝関節関節症;関節鏡検査の結果として軟骨に深部に達する欠陥がない状態;年齢群には限定なし;男女とした。
【0047】
次のものを排除基準と定義した:リウマチ疾患;感染症(特に関節感染症);重傷の膝関節関節症;靱帯、軟骨置換及び関節手術(関節鏡検査は除く);NSAR/コルチコイド/抗生物質投与(脂質低下薬、抗高血圧薬、抗不整脈薬は除く)、ビタミン、ミネラル及び植物性治療薬、特にラムピアン及びアーティチョークからの植物抽出液の投与;ならびにウォーベンザイム−ヒアルロン酸注射。
【0048】
試験投薬は次のように行った。
Planox L: 1g Planox L 1日1回(10%アクテオシド(=1日100mgアクテオシド)+5gセルロース)
Arthred: 5gコラーゲン加水分解 1日1回
Planox L+Arthred: 1g Planox L+5gコラーゲン加水分解物 1日1回
プラセボ: 5g微晶質セルロース 1日1回
【0049】
試験の開始時に各患者からBSG値と放射線学的データ(X線画像)を採取した。場合により、膝関節から穿刺により滑液を採取した。膝関節の痛みの状態と機能状態も適当な指数を用いて測定した。さらに、この膝関節の痛みの状態と機能状態を6週間ごと、すなわち、試験開始後6週目、12週目、18週目及び24週目にモニタリングした。
【0050】
結果:
Arthred及びPlanox Lは、単独で投与した場合には改善も有意でない改善も示さなかった(比較試験)。Arthred+Planox Lの組合せからなる本発明の組成物では驚くべき相乗作用が見られ、これは個々の物質の作用を著しく超えるものであった。この組合せ組成物を投与した場合、痛みの状態は有意に軽減され、膝関節の機能状態も著しく高まった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分Iとしての酵素加水分解コラーゲンと抗酸化性及び/又は抗炎症性を有する非ビタミン種の有効成分IIを含有する、コラーゲンに基づく生理活性組成物。
【請求項2】
前記成分Iの平均分子量が1〜10キロダルトン、特に好ましくは2〜6キロダルトン、最も好ましくは2〜4キロダルトンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項3】
前記成分Iが動物由来のものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記成分Iとして冷水に可溶なコラーゲンを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記成分IIとして生物由来の成分、好ましくは発酵液及び/又は抽出液に基づくもの、特に好ましくは植物由来のものを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記成分IIが抽出液、凍結乾燥物及び/又は画分、特に表1に示されている植物のもの、特に好ましくはP. mayor、P. media、P. lanceolataなどのプランタゴ種、Aloe vera、Aloysia triphylla、Humulus lupulus、Ginko biloba、Lippia triphylla及び/又はLippia citriodoraなどのプランタゴ種のものであることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記成分IIが少なくとも1つのフェニルエタノイド、特に好ましくはアクテオシド及びイソアクテオシド、及び/又はCOX−2阻害剤、特に好ましくはα酸及びβ酸、アピゲニン、バイカレイン、ベルベリン、シンナムアルデヒド、シルシリネオール、クルクミン、オイゲノール、ケンフェロール、オレアンド酸、ケルセチン、レスベラトロール、サリチル酸及びウルソリン酸を含むことを特徴とする、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
前記成分Iと前記成分IIをI:IIの重量比1:0.0001〜10で含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
主成分IとIIの他に、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、メチルスルホニルメタン及びクレアチン又はその好適な誘導体などの生理活性化合物、ならびに/又は処方剤、安定剤、増量剤、香味剤、色素及び甘味剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
食品添加物、機能性食品及び化粧用調製物の形態、特に、錠剤、カプセル剤、糖衣錠、バー、粒剤、散剤、安定溶液及びジュースの形態である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
炎症及び/又は変性症状、特に慢性経過を有するもの、特に好ましくは、関節炎、関節症及び病的脈管形成の予防及び/又は治療を目的とした薬剤の製造のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項12】
プロ競技者、レジャー競技者及びレクリエーション競技者、高齢者及び回復期患者、特に、特定の損傷かつ/又は障害のある関節機能を有する者のための、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
得られた薬剤が成分Iの一日用量10g未満に相当する量で投与されることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【請求項14】
得られた薬剤が2週間〜6か月、好ましくは3週間〜3か月の期間継続して、好ましくは経口投与されることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2008−508219(P2008−508219A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523011(P2007−523011)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008151
【国際公開番号】WO2006/010606
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(505040062)カーギル,インコーポレイティド (23)
【Fターム(参考)】