説明

コラーゲンペプチドとビタミンCを含む経口組成物

【課題】コラーゲンペプチドとビタミンCを含む経口組成物であって、変色が抑制された組成物を提供する。
【解決手段】コラーゲンペプチドと混合させるアスコルビン酸としてそのナトリウム塩またはカルシウム塩を用いることにより、フリー体のアスコルビン酸や他の塩を用いた場合に比べて、変色が顕著に抑制される。また、さらにハス抽出物等の植物素材を含む場合でも、変色が顕著に抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲンペプチドとアスコルビン酸のナトリウム塩もしくはカルシウム塩を含む経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸(ビタミンC)は、白色の結晶の水溶性ビタミンで、人間の体内では作り出すことができない成分である。効能としては、壊血病の予防効果、免疫機能増強作用、抗がん作用、抗酸化作用、メラニンの抑制やコラーゲン合成の促進に基づく美肌効果等が知られている。
【0003】
アスコルビン酸は、レモンなどの柑橘類、イチゴやキウイなどの果物の他、サプリメントなどから摂取することができる。
一方、コラーゲンは、動物の組織を構成する主要なたんぱく質であり、骨や軟骨、腱、皮膚などの弾力性や強度を高めるために重要な成分である。加齢などの影響で減少するコラーゲンを補うための種々の外用組成物や内服用組成物が開発されている。また、高分子量のコラーゲンをそのまま摂取したとしても吸収性は低いため、低分子量のコラーゲンペプチドとして摂取することが望ましいことが知られている(非特許文献1)。
【0004】
しかし、アスコルビン酸は水分の存在により変色することや、他の成分との配合により変化しやすいため変色する場合が多いことが知られている(特許文献1)。このような変色は、見た目を悪くし、商品価値を著しく低下させてしまう。そのため、アスコルビン酸含有製剤では、アスコルビン酸の安定性に留意しながら製剤を設計し、製造する必要がある。
【0005】
アスコルビン酸の安定化に関しては、例えば特許文献2に糖アルコール等を添加する方法が開示されている。
また変色の問題は、錠剤サプリメントでは、核錠を水溶性の高分子などで覆うコーティングによって見た目の美しさを保つという対応が考えられる。しかし、核錠の変色が著しい場合は、その色がコーティングを通して肉眼で知覚できるほどになることもある。一方、コーティング厚を厚くすると、錠剤の大きさが増大して服用しづらくなってしまう。また、粉末や顆粒のサプリメントでは、色のマスキングを目的としたコーティングを施すことは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−8667号公報
【特許文献2】特許第3659775号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Journal of Nutrition 129:1891-1895, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、コラーゲンペプチドとアスコルビン酸を含む経口組成物であって、変色が抑制された組成物、特に経口用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、コラーゲンとアスコルビン酸を含む経口組成物、特にコラーゲンペプチドとアスコルビン酸を含む経口組成物では、著しい変色が起こることを確認した。さらに、コラーゲンペプチドとアスコルビン酸に加え、ハス胚芽抽出物等の植物素材を添加すると、さらに変色が激しくなってしまうことを確認した。このため、コラーゲンペプチドとアスコルビン酸を含む経口組成物は、賞味期限の短縮や、見た目の美しさ、商品イメージの低下による商品価値の低下を招いてしまうことが懸念される。
【0010】
そこで、鋭意検討した結果、コラーゲンペプチドと混合させる成分であるアスコルビン酸としてそのナトリウム塩またはカルシウム塩を用いた場合、フリー体のアスコルビン酸や他の塩を用いた場合に比べて、変色が顕著に抑制されることを見出した。また、さらにハス胚芽抽出物等の植物素材を含む場合でも、変色が顕著に抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、これに限定される訳ではないが以下の発明を包含する。
[1]コラーゲンペプチドと、アスコルビン酸ナトリウム、カルシウム塩、またはその混合物を含む経口組成物。
[2]コラーゲンペプチドの分子量が2000〜20000である、[1]記載の経口組成物。
[3]コラーゲンペプチドの分子量が2000〜10000である、[1]記載の経口組成物。
[4]さらに植物素材を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の経口組成物。
[5]植物素材がハス抽出物である、[4]記載の経口組成物。
[6]ハス抽出物がハス胚芽抽出物である、[5]記載の経口組成物。
[7]コラーゲンペプチドと、アスコルビン酸ナトリウム塩、カルシウム塩、またはその混合物を、1:1〜60:1の重量比で含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の経口組成物。
[8]固形剤である、[1]〜[7]のいずれかに記載の経口組成物。
[9]錠剤である、[8]記載の経口組成物。
[10]コーティング錠剤である、[9]記載の経口組成物。
[11]美肌用である、[1]〜[10]のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0012】
コラーゲンペプチドとアスコルビン酸の特定の塩を含む経口組成物、またはコラーゲンペプチドとアスコルビン酸に加え、さらにハス胚芽抽出物等の植物素材を含む経口組成物であって、変色が抑制された経口組成物が提供される。変色が抑制されることにより、賞味期限の短縮や、見た目の美しさ、商品イメージの低下による商品価値の低下などの問題が解決される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記の通り、本発明は、コラーゲンペプチドとアスコルビン酸のナトリウム塩もしくはカルシウム塩を含む経口組成物、またはコラーゲンペプチド、アスコルビン酸のナトリウム塩もしくはカルシウム塩および植物素材を含む経口組成物である。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
コラーゲンペプチド
本発明経口組成物成分のコラーゲンペプチドは、コラーゲンまたはゼラチン等の変性コラーゲンを酵素、酸、アルカリ等で加水分解処理することで得ることができる。コラーゲンあるいはゼラチンは、例えば、牛、豚、鶏、魚由来のものでよく、これらの1種または2種以上を原材料として用いることができる。
【0015】
コラーゲンペプチド調製に用いる酵素としては、コラーゲンまたはゼラチンのペプチド結合を切断することができるものであればよく、例えば、コラゲナーゼ、パパイン、ブロメライン、アクチニジン、フィシン、カテプシン、ペプシン、キモシン、トリプシン、及びこれらの酵素を混合した酵素製剤等が挙げられる。
【0016】
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などを用いることができる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどを用いることができる。
本発明経口組成物では、加水分解されたコラーゲンペプチドの水溶液をそのまま使用してもよいし、乾燥等により粉末化したものを用いてもよい。また、当該水溶液に通常用いられる精製処理を施したものを、水溶液や粉末等の形態として用いてもよい。これらのいずれの形態のものを用いた場合であっても、本発明の効果には何ら影響を与えない。
【0017】
本発明経口組成物は、より変色を抑える観点からは、コラーゲンペプチドの分子量は大きい方が好ましい。しかし、分子量が大きいほどコラーゲンペプチドの体内吸収性が低下してしまう。また、分子量が小さいと体内吸収性は増大するが、ペプチド特有の苦み、えぐみなどが生じてしまう。これらの点を勘案すると、本発明に用いるコラーゲンペプチドは、平均分子量が2000〜20000が好ましく、2000〜10000がより好ましく、3000〜7000が特に好ましい。コラーゲンペプチドの分子量は、HPLC、ゲルろ過法等の公知の定量方法によって測定することができる。
【0018】
コラーゲンペプチドは、市販品を用いてもよく、好ましい分子量のコラーゲンペプチドを使用することができる。例えば、市販の「ニッピペプタイドPRA」(商品名、(株)ニッピ製)、「水溶性コラーゲンペプチドSS」(商品名、協和醗酵バイオ(株))「コラーゲンペプチドSCP」(商品名、新田ゼラチン(株)製)、「HACP」(商品名、(株)ゼライス製)などを用いることができる。
アスコルビン酸のナトリウム塩またはカルシウム塩
本発明経口組成物成分のアスコルビン酸のナトリウム塩またはカルシウム塩は、食品の成分、医薬品、または医薬部外品として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。
【0019】
アスコルビン酸のナトリウム塩またはカルシウム塩は、例えば、天然または合成されたアスコルビン酸に、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸カルシウムを作用させて合成して得ることができる。また、市販品を用いてもよい。アスコルビン酸のナトリウム塩またはカルシウム塩の形態としては、結晶、非結晶、液体状、粉末状、粒状等のいずれの形態のものも用いることができる。
【0020】
前記アスコルビン酸のナトリウム塩またはカルシウム塩の純度は、本発明の目的を妨げない限り、比較的低純度のものから最高純度のものまで適宜用いることができる。好ましくは純度70%(w/w)以上、より好ましくは純度80%(w/w)以上、さらに好ましくは90%(w/w)以上のものである。
【0021】
前記アスコルビン酸のナトリウム塩またはカルシウム塩は単独で、または組み合わせにて用いることができる。
植物素材
本発明のコラーゲンペプチドとアスコルビン酸のナトリウム塩もしくはカルシウム塩を含む経口組成物は、さらに植物素材を含んでもよい。
【0022】
植物素材は、植物から抽出した美容効果のある成分を含むものが好ましく、たとえばハス胚芽抽出物、ハス実抽出物、ハス葉抽出物、ハス根抽出物などのハス集出物が挙げられ、これらの1種または2種類以上を本発明経口組成物の成分として用いることができる。
【0023】
中でも、ハス胚芽抽出物、ハス実抽出物、ハス葉抽出物、ハス根抽出物などのハス抽出物は、古くから美容効果が知られており、食経験が豊富で安全性も確立されている。このことから、本発明で用いる植物素材としてはハス抽出物が好ましく、特にハス胚芽抽出物が好ましい。
【0024】
ハス胚芽抽出物とは、すいれん科ハス属のハス(Nelumbo nucifera)の種子中にある胚(胚芽)の抽出物である。胚芽は、通常緑色で棒状をしており、採取した種子から取り出し、直ちに乾燥させる。同様に、すいれん科ハス属のハス(Nelumbo nucifera)の実、葉、根の抽出物が、ハス実抽出物、ハス葉抽出物、ハス根抽出物である。ハス実は、ハス種子の皮を剥いた後に現れる通常淡黄色の果肉であり、採取した種子から取り出し、直ちに乾燥させる。同様に、ハス葉・ハス根も一般的には、採取後乾燥させたものを用いる。これらのハス抽出物は、これらの素材を水やメタノール、エタノール、イソプロパノール等の各種脂肪族低級アルコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリンなどの親水性有機溶媒、これら親水性有機溶媒の混合物、およびこれらの親水性有機溶媒と水との混液などの各種水系溶媒を用いて抽出することにより得られるものである。
【0025】
ハス抽出物は、デンプン加水分解物を添加して乾燥し、粉末化させたハスエキス末(ハス抽出物末)を用いることができる。本明細書では、ハス胚芽抽出物、ハス実抽出物、ハス葉抽出物、およびハス根抽出物から得られる抽出物末は、それぞれハス胚芽エキス末、ハス実エキス末、ハス葉エキス末、およびハス根エキス末という。なお、ハスエキス末中のナス抽出物の濃度は、1-90重量%、好ましくは、5-50%が望ましい。
【0026】
植物素材の配合量は、本発明組成物中0.0001〜90重量%、好ましくは3〜55重量%である。
コラーゲンペプチドと、アスコルビン酸のナトリウム塩および/またはカルシウム塩を含む経口組成物
本発明の経口組成物は、アスコルビン酸として、そのナトリウム塩またはカルシウム塩を用いることにより、コラーゲンペプチドを合わせて配合した場合であっても、その変色が著しく抑制されるという特徴を有する。変色が抑制されることにより、賞味期限の短縮や、見た目の美しさ、商品イメージの低下による商品価値の低下などの問題が解決される。
【0027】
コラーゲンペプチドと、アスコルビン酸ナトリウム塩、カルシウム塩、またはその混合物の混合比率は、重量比で0.01:1〜1000:1が好ましく、特に1:1〜60:1に好ましい。
本発明の経口組成物は、飲食品または医薬品として利用することができるが、その形態は特に限定されず、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品、特定保健用食品、サプリメントなどの飲食品、または医薬品として用いることができる。
【0028】
本発明の経口組成物には、経口的に許容される任意の所望成分を配合することができる。例えば、乳化剤、緊張化剤、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、酸化防止剤、凝集防止剤、吸収促進剤、溶解補助剤、安定化剤、可溶化剤、矯味剤、香料、着色剤などを適宜配合することができる。
【0029】
本発明の経口組成物は、その剤形は特に限定されず、細粒剤、顆粒剤、丸剤、錠剤(各種コーティング錠、薄層糖衣錠、糖衣錠等を含む)、カプセル剤、飲料、ドリンク剤、液剤、粉末食品、ゼリー、飴等の剤形とすることができ、特に固形剤、中でも錠剤が好ましい。
【0030】
本発明の技術により顕著に変色が抑制されるため、コーティングを施す場合であっても、比較的薄いコーティングを施せばよい。コーティングを施すことによって、わずかに変色した場合であっても外観に影響を与えない製剤とすることができる。錠剤の服用のしやすさを考慮すると、コーティング厚は0.001〜5mmの範囲が好ましく、特に0.001〜3mmの範囲が好ましい。
【0031】
コーティング錠の場合、コーティング基材として、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、シェラック等が用いられる。中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いるのが好ましい。
【0032】
薄層糖衣錠や糖衣錠の場合、ショ糖、トレハロース、乳糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、粉末還元麦芽糖水飴、プルラン、酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク、アラビアガム、カルシウム、セルロース等を用いることができる。
【0033】
また、これらのコーティングにおいては、コーティング液に着色料を添加してもよく、例えば、酸化チタンや、合成色素、天然色素等を用いることができる。
組成物の色変化の測定法
本発明経口組成物の色変化は、当業者に通常用いられる方法で測定することができる。たとえば、組成物を適当な条件で保管したのち、外観変化を色差計により測定することができる。具体的には、下記実施例1に示す方法で評価することができる。
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0035】
平均分子量の異なるコラーゲンペプチドと、各種ビタミンCの組み合わせによる色変化を検討するために、粉末状の各素材を混合する試験を行った。
各種コラーゲンペプチド、各種ビタミンC、セルロースを表1に示す配合に従って秤量し、ビニール袋にいれて30回程度混合した。各混合末は、2gずつプラスチックシャーレに分け、40℃75%RHの恒温槽に48時間保管した後、粉末の外観変化を色差計により測色した(色差計は日本電色工業株式会社製 SpectroColorMeter SE2000を使用)。なお、開始時サンプルと40℃75%RHに保管したサンプルとの差は、ハンターの式によりΔE(a*b*)を算出することで求めた。
【0036】
また、色は肉眼でも確認を行った。JIS色名帳(JIS Z8102準拠)を用いて、サンプルに最も近い色を記録した。
配合および評価結果を、表1および表2に示す。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
表1および表2の示す結果により、フリー体のアスコルビン酸とコラーゲンペプチドを含むサンプルでは、著しく変色してしまうことが分かった。また、その変色は、コラーゲンペプチドの分子量が小さいほど顕著であった。
【0040】
そして、フリー体のアスコルビン酸を用いた場合に比べ、アスコルビン酸のナトリウム塩またはカルシウム塩を用いた場合に変色が著しく抑制されること、さらに他のアスコルビン酸塩(マグネシウム塩、鉄塩)を用いた場合に比べて、変色が顕著に抑制されることも明らかとなった。
【0041】
また、変色抑制効果の点からは、コラーゲンペプチドの分子量は3000以上が好ましいことが判明した。
【実施例2】
【0042】
実施例1と同様の方法で、ハス胚芽エキス末をさらに添加した組成物について、評価した。なお、植物素材としては、美肌効果が知られるハス胚芽エキス末(ハス胚芽エキスを25%含有)を用いた。配合および評価結果を、表3および表4に示す。
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
フリー体のアスコルビン酸にコラーゲンペプチドを配合したものは、ハス胚芽エキス末をさらに添加すると、変色がさらに激しくなることがわかった。
これに対し、コラーゲンペプチドにアスコルビン酸のナトリウム塩もしくはカルシウム塩を配合したものは、ハス胚芽エキス末をさらに添加しても変色が抑制されることがわかった。
【0046】
また、ハス胚芽エキス末をさらに添加した系においても、変色抑制効果の点からはコラーゲンペプチドの分子量は3000以上が好ましいことが確認された。
【実施例3】
【0047】
実施例1と同様の方法で、コラーゲンペプチドとアスコルビン酸ナトリウムとハス胚芽エキス末の配合比率を変化させ、安定性を評価した。配合および評価結果を表5に示す。
【0048】
【表5】

【0049】
ここで、コラーゲンペプチドとアスコルビン酸ナトリウムの配合比率は、
(29)1:1
(30)12:1
(31)60:1
である。
【0050】
この結果、上記配合比1:1〜60:1の範囲内では、安定性に優れた組成物が得られることが確認された。
【実施例4】
【0051】
実施例1〜3の知見をもとに、表6に示す配合で錠剤を作成した。
【0052】
【表6】

【0053】
コラーゲンペプチド200mg、ビタミンC23mg、ハス胚芽エキス末42mgを配合し、賦形剤を添加して300mgの核錠を得た。打錠は株式会社畑鐵工所製 HT-AP22SS-IIを用いて行った。
【0054】
調製した錠剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と酸化チタンを主剤とするコーティングを施した。コーティングは、株式会社パウレック製 ドリアコーターDRC-1400DSを用いて行った。
【実施例5】
【0055】
実施例4で調製した錠剤(核錠およびコーティング錠)を用いて保存安定性を評価した。
錠剤をプラスチックシャーレにて、40℃75%RHの恒温槽に48時間保管した。
または、錠剤をプラスチックボトル(HDPE製、乾燥剤入り、密栓)にて、40℃75%RHの恒温槽に2ヶ月保管した。
【0056】
保管後の色差は、ハンターの式によりΔE(a*b*)を算出することにより求めた。
結果を表7に示す。
いずれのサンプルにおいても、変色が顕著に抑制され、安定であった。
【0057】
【表7】

【実施例6】
【0058】
実施例1〜3の知見をもとに、表8に示す配合で錠剤を作成した。
【0059】
【表8】

【0060】
コラーゲンペプチド200mg、アスコルビン酸ナトリウム11.5mg、アスコルビン酸カルシウム11.5mg、ハス葉エキス末17mgを配合し、賦形剤を添加して300mgの核錠を得た。打錠は株式会社畑鐵工所製 HT-AP22SS-IIを用いて行った。
【0061】
調製した錠剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と酸化チタンを主剤とするコーティングを施した。コーティングは、株式会社パウレック製 ドリアコーターDRC-1400DSを用いて行った。得られた素錠およびコーティング錠ともに、保存時の変色に問題のないものであった。
【実施例7】
【0062】
<ハス実エキス末、ハス根エキス末の調製>
ハス実、またはハス根を破砕し、破砕物をそれぞれの乾燥物重量に対して8倍量の50重量%エタノールに浸し、室温下、3日間抽出した。なお、破砕物の乾燥物重量は、105℃で恒量となった時点の重量とした。ろ紙ろ過後のろ液を減圧濃縮後、凍結乾燥し、抽出物を得た。それぞれの抽出物の重量に対し、3倍量のデキストリンを混合し、ハス実エキス末、またはハス根エキス末とした。
<評価>
各種コラーゲンペプチド、各種ビタミンC、セルロース、または各種ハス抽出物のエキス末を所定の配合に従って秤量し、ビニール袋に入れて30回混合した。各混合末は、2gずつチャックつきポリ袋(100×70×0.04mm)に分け、45℃75%RHの恒温槽に48時間保管した後、粉末の外観変化を色差計により測色した(色差計は日本電色工業株式会社製 SpectroColorMeter SE2000を使用)。なお、開始時サンプルと45℃75%RHに保管したサンプルとの差は、ハンターの式によりΔE(a*b*)を算出することで求めた。
【0063】
配合および評価結果を、表9および表10に示す。
【0064】
【表9】

【0065】
【表10】

【0066】
表9に示す結果により、フリー体のアスコルビン酸とコラーゲンペプチドを含むサンプルでは、著しく変色してしまうことが確認された。また、その変色は、コラーゲンペプチドの分子量が低い方が顕著であり、特に分子量1500のコラーゲンペプチドを用いた場合は顕著であった。
【0067】
そして、フリー体のアスコルビン酸を用いた場合に比べ、アスコルビン酸のナトリウム塩を用いた場合に変色が著しく抑制されることも確認された。
また、変色抑制効果の点からは、コラーゲンペプチドの分子量は2000〜20000が好ましく、3000〜20000が特に好ましい。
【0068】
表10は、ハス実エキス末、またはハス根エキス末をさらに添加した組成物についての配合および評価結果を示している。
コラーゲンペプチドにアスコルビン酸ナトリウムを配合したものは、ハス実エキス末、またはハス根エキス末をさらに添加しても変色が抑制されることがわかった。
【実施例8】
【0069】
製造例:ドリンク剤
アスコルビン酸ナトリウム1g、コラーゲンペプチド(分子量5000)12gに、ハス胚芽2.5gを計り取り、更に、ショ糖40g、スクラロース0.06g、アセスルファムカリウム0.1g、クエン酸7gを計り取った。これらの原料に水を加えて溶解し1000gとした。これを加熱殺菌したのち100gずつ褐色瓶に分注し密栓後、更にシャワー殺菌を行い、本発明のドリンク剤を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンペプチド、および
アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、またはその混合物、
を含む経口組成物。
【請求項2】
コラーゲンペプチドの分子量が2000〜20000である、請求項1記載の経口組成物。
【請求項3】
コラーゲンペプチドの分子量が2000〜10000である、請求項1記載の経口組成物。
【請求項4】
さらに植物素材を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の経口組成物。
【請求項5】
植物素材がハス抽出物である、請求項4記載の経口組成物。
【請求項6】
ハス抽出物がハス胚芽抽出物である、請求項5記載の経口組成物。
【請求項7】
コラーゲンペプチドと、
アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、またはその混合物を、1:1〜60:1の重量比で含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項8】
固形剤である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項9】
錠剤である、請求項8に記載の経口組成物。
【請求項10】
コーティング錠剤である、請求項9記載の経口組成物。
【請求項11】
美肌用である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の経口組成物。

【公開番号】特開2012−36175(P2012−36175A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153793(P2011−153793)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(309007911)サントリーホールディングス株式会社 (307)
【Fターム(参考)】