コラーゲンペプチドの製造方法

【課題】本発明はコラーゲン臭などの不快臭がなく、不快味が残らないコラーゲンペプチド及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、コラーゲンを酵素処理した後、得られた粗コラーゲンペプチド液に除臭剤を粗コラーゲンペプチド液に添加し、40℃〜90℃で一定時間攪拌することを特徴とするコラーゲンペプチドの製造方法とその製造方法により得られるコラーゲンペプチド及びコラーゲンペプチドの不快臭及び不快味の除去方法を提供する。なお、添加する除臭剤としては、活性白土、活性炭、アルミナ、シリカゲル、酸性白土、珪藻土の群から選択される1種又は2種以上を用いるのが好ましく、なかでも前記除臭剤である活性白土と活性炭との混合物を添加する場合には、活性白土と活性炭の比は3:1〜1:3の割合が適当である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコラーゲンペプチドを製造する際にコラーゲン臭を除去する方法を用いてコラーゲンペプチドを製造する方法及びその製造方法により製造されるコラーゲンペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンペプチドは美肌促進などの効果(特許文献1)があり、健康用飲食品の中に含有させて用いられている(特許文献2)。そのコラーゲンペプチドはコラーゲンを分解して低分子ペプチドにすると血中への移行性が増加することが知られている(特許文献3)。しかし、コラーゲンを分解して得られたコラーゲンペプチドはコラーゲン臭などの不快臭や不快味がある。この不快味は後を引いて嗜好性に大きく影響している。そこで、そのコラーゲン臭のマスキングの方法としては、例えば、甘味料であるスクラロースを添加する方法(特許文献4)、オレンジなどの柑橘系のフレーバーなどを添加し味を改善する方法(特許文献5)などの方法がある。しかし、いずれもコラーゲン臭の問題の根本的な解決には至らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−238365号公報
【特許文献2】特開2002−238497号公報
【特許文献3】WO2008−059927号公報
【特許文献4】特開2000−152757号公報
【特許文献5】特開2005−137362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コラーゲン臭などの不快臭がなく、不快味が残らないコラーゲンペプチド及びその製造方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、次のようなコラーゲンペプチドの製造方法とその製造方法を用いて不快臭がなく、不快な味の残らないコラーゲンペプチドを提供することによって発明を完成させることができた。すなわち、
(1)コラーゲンを酵素処理した後、得られた粗コラーゲンペプチド液に除臭剤を添加し、40℃〜90℃で一定時間攪拌することを特徴とするコラーゲンペプチドの製造方法。
(2)除臭剤が活性白土、活性炭、アルミナ、シリカゲル、酸性白土、珪藻土の群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする(1)に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
(3)除臭剤が活性白土と活性炭との混合物であり、かつその活性白土と活性炭との混合比が1:3〜3:1であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載の製造方法によって得られるコラーゲンペプチド。
(5)粗コラーゲンペプチド液に活性白土と活性炭を1:3〜3:1の割合で混合した除臭剤を添加することを特徴とする不快臭と不快味を取り除く方法。
(6)(5)に記載の除臭剤を粗コラーゲンペプチド液に添加して、40℃〜90℃の温度で一定時間攪拌することを特徴とする(5)に記載の不快臭と不快味を取り除く方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、特に魚類コラーゲン由来の不快臭と不快味を低コストで取り除く方法とその工程を含む、良質のコラーゲンペプチドの製造方法とその製造方法により得られるコラーゲンペプチドを提供することができた。更に、活性炭に活性白土を混合した場合には、活性炭のみを使用する場合に比較して後を引く不快味を減少させることができた。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に用いるコラーゲンは、例えば豚、ウシ、鳥類、魚類由来のコラーゲンなどが挙げられるが、好ましくは魚類由来のものがよい。本発明では、ゼラチンとは高温で変性させて得られたコラーゲンを指す。
【0008】
本発明で、コラーゲンを分解してコラーゲンペプチドを得るための加水分解酵素としては、プロテアーゼ(またはペプチダーゼ)やコラーゲナーゼなどが挙げげられるが、プロテアーゼとしては、例えば、セリンプロテアーゼまたはシステインプロテアーゼを用いることが好ましい。また、セリンプロテアーゼとしては、ズブチリシン、テルミターゼ(thermitase)、プロテインナーゼK(proteinase K)、ランチビオテック ペプチダーゼ(lantibiotic peptidase)、 ククミシン(cucumisin)、トリプシン、キモトリプシン、トロンビン(thrombin)、ケキシン、フューリン、Xa因子、エラスターゼ(elastase)などが挙げられ、システインプロテアーゼとしては、アクチニダイン、ブロメラインなどが挙げらる。また、これらの酵素のいずれか1種を用いてもよいし、複数の酵素を組み合わせて用いてもよい。
【0009】
本発明では、コラーゲンを5重量%〜40重量%になるように水に溶かし、加水分解酵素を加え、37℃〜60℃で、30分〜48時間攪拌し酵素反応を行う。酵素反応液を75℃〜100℃で加熱処理して酵素活性を失活させて粗コラーゲンペプチド液を得る。
本発明で除臭剤とは、粗コラーゲンペプチド液が有する不快臭や不快味を取り除く多孔性物質であり、例えば、活性炭、アルミナ、シリカゲル、活性白土、酸性白土、珪藻土などがあり、それらは単独でも、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは活性炭と活性白土の混合物がよく、その混合比は好ましくは1:3〜3:1で用いるのがよい。
【0010】
粗コラーゲンペプチド液に除臭剤を添加し、適切な温度で、例えば40℃〜90℃で、好ましくは50℃〜80℃で一定時間、例えば10分〜5時間攪拌する。攪拌後、フィルター、例えば、0.45μmのメンブレンフィルターによってろ過してコラーゲンペプチド精製液を得る。また、前記コラーゲンペプチド精製液は、例えば、常法により噴霧乾燥し、粉末状のコラーゲンペプチドを得ることができる。
【実施例】
【0011】
製造例1:コラーゲンペプチドの調製
市販のゼラチン(ティラピア鱗由来)150gを50℃の温水350gに溶解した。得られたゼラチン水溶液にウマミザイムG(商品名;天野エンザイム社製)を300mg加え、反応温度を50℃として攪拌して2.5時間酵素反応を行った。75℃で30分その酵素反応液を加熱処理して酵素を失活させ、粗コラーゲンペプチド液500g(固形分の割合:30重量%)を得た。
【0012】
比較例1及び実施例1〜5
製造例1で得られた粗コラーゲンペプチド液50gに下表1の通りの活性炭、活性白土、または活性炭と活性白土を表中に示した割合(重量%)で添加して、それぞれを70℃で1時間攪拌した。なお、その割合は、粗コラーゲンペプチド液中に含まれる固形分に対する割合を重量%で示す。 1時間攪拌後、0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、得られたコラーゲンペプチド液を比較例1及び実施例1〜5とした。また、活性炭と活性白土の混合物は活性炭と活性白土の総和を600mgとし、活性炭または活性白土のみの場合にはそれぞれ600mgを用いる。除臭剤で処理しなかったコラーゲンペプチド液(比較例1)をコントロールとした。
【表1】

【0013】
試験例1 ガスクロマトグラフィーによる分析
除臭処理をしたコラーゲンペプチド液(比較例1、実施例1〜5)、各10.0gを22mlのバイアル瓶に入れ密栓し、ガスクロマトグラフィー(GC)分析:GC2010(島津製作所社製)、ヘッドスペースオートサンプラーTurboMatrix4.0(PrekinElmer社製)、検出器FPDを用いて、不快な臭い成分として推定されるメチルメルカプタン(MM)やジメチルジスルフィド(DMDS))の定量分析をした。カラムはRtx-1(60m、ID0.32mm、膜厚5.00μm)(島津製作所社製)を用いた。
【0014】
比較例1で得られたコラーゲンペプチド液のMM及びDMDSの全量を100%とし、実施例1〜5の各臭い成分の面積を百分率で表2に示した。
その結果、活性白土のみ(実施例1)でも、不快臭の成分であるMM及びDMDSを50%以上低減させることができた。また、活性炭のみを使用した場合には、MM及びDMDSをともに70%以上低減させることが可能であった。さらに、活性白土と活性炭を混合して使用した場合には、活性炭のみの使用と同程度、すなわち、70%以上臭気成分を低減させることができた。
【0015】
試験例2 官能評価
比較例1及び実施例1〜5のコラーゲンペプチド液を精製水で7.5倍に希釈して官能評価用試料とし、専門パネル8名により官能評価を行った。その結果を表2に示した。
その結果、活性炭と活性白土を1:3〜3:1の割合で混合した場合に、不快な臭いは大部分なくなり、かつ不快な味の後を引く感じもないという高い評価が得られた。
但し、官能評価の基準は下記の通りとした。
【0016】
50 点:不快な臭いがあり、かつ不快な味がある。
60点:不快な臭いはやや低減しているが、不快な味はある。
70点:不快な臭いは低減しているが、不快な味は少し残っている。
80点:不快な臭いは大部分なくなったが、不快な味が少し後を引く感じが残る。
90点:不快な臭いは大部分なくなり、かつ不快な味の後を引く感じもない。
100点:無味・無臭
【0017】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明はコラーゲンペプチド中に含まれる不快臭や不快味を除去し、製品コストを下げても品質のよい製品を提供することが可能である。






























【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンを酵素処理した後、得られた粗コラーゲンペプチド液に除臭剤を添加し、40℃〜90℃で一定時間攪拌することを特徴とするコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項2】
除臭剤が活性白土、活性炭、アルミナ、シリカゲル、酸性白土、珪藻土の群から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項3】
除臭剤が活性白土と活性炭との混合物であり、かつその活性白土と活性炭との混合比が1:3〜3:1であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法によって得られるコラーゲンペプチド。
【請求項5】
粗コラーゲンペプチド液に活性白土と活性炭を1:3〜3:1の割合で混合した除臭剤を添加することを特徴とする不快臭と不快味を取り除く方法。
【請求項6】
請求項5に記載の除臭剤を粗コラーゲンペプチド液に添加して、40℃〜90℃の温度で一定時間攪拌することを特徴とする請求項5に記載の不快臭と不快味を取り除く方法。





















【公開番号】特開2013−107850(P2013−107850A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253775(P2011−253775)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006138)株式会社明治 (265)
【Fターム(参考)】