説明

コラーゲンペプチド含有飲料

【課題】本発明は、コラーゲンペプチドと、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸等を所定量含むpH3.0〜5.0の飲料で生じる白濁や沈殿を抑制することを目的とする。
【解決手段】コラーゲンペプチドを2〜10重量%、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種を0.001〜0.1重量%含むpH3.0〜5.0の飲料において、γ−アミノ酪酸、L−テアニン、及びベタインよりなる群から選択される少なくとも1種を添加する。これにより白濁及び沈殿の生成が著しく抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲンペプチドと、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸等を含む酸性の飲料で生じる白濁や沈殿を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、美容や肌の老化防止が女性の関心を集めており、コラーゲンペプチドが配合された多種多様な食品が販売されている。又、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸も美肌成分として一般消費者に広く認識されており、種々の商品に配合されている。
コラーゲンペプチド、コンドロイチン硫酸、及びヒアルロン酸は、皮膚や軟骨等を構成する生体関連成分であり、肌の保湿性向上や関節炎改善等の共通した効果を有する。従って、これら成分は食品において2種以上を組み合わせて配合することが多い。
【0003】
ところで、コラーゲンペプチドやコンドロイチン硫酸等の水溶性機能成分を配合する食品形態としては、飲料が多く採用されている。飲料は、カプセルや錠剤等より摂取しやすく、又、消費者の嗜好に合わせてフレーバー、酸味料、甘味料等を選択することで商品価値を高めることができるからである。
【0004】
しかし、コラーゲンペプチドと、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸を含有する液を酸性にすると白濁や沈殿が生じるという問題がある。特に、コラーゲンペプチドやコンドロイチン硫酸等の濃度が低い場合においてこの傾向が強い。白濁や沈殿が生じるメカニズムは明確ではないが、コラーゲンペプチドを構成するリジンやアルギニン等のアミノ酸が酸性領域で正に帯電し、一方、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸が負に帯電し、その静電的相互作用で白濁や沈殿が生じると考えられている(非特許文献1及び2)。
【0005】
この問題を解決する手段として、コラーゲンペプチドとヒアルロン酸を含有する飲料において、有機酸塩であるクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、或いは乳酸カルシウムを添加する方法が開示されている(特許文献1)。
【0006】
しかし、有機酸のナトリウム塩は塩味を有する為、飲料の風味に好ましくない影響を与える。又、高血圧を防ぐ観点から、過剰なナトリウム塩の摂取は避けるべきである。乳酸カルシウムは、カルシウムイオンが飲料中の成分と反応して不溶性物質を生成し、かえって沈殿が生じやすいという問題がある。
【0007】
コラーゲンペプチドを含有する飲料の沈殿防止に関連する技術として、コラーゲンペプチドと植物ポリフェノールを含有する飲料において、塩基性アミノ酸を添加する方法が開示されている(特許文献2)。
具体的には、コラーゲンペプチドと植物ポリフェノールを含有する飲料に塩基性アミノ酸であるアルギニン、リジン、或いはオルニチンを添加し、飲料のpHを7.5以上に調整してコラーゲンペプチドと植物ポリフェノールによる沈殿を防止するものである。
【0008】
しかし、コラーゲンペプチドを含有するpH7.5以上の飲料は、ボツリヌス菌やウェルシュ菌等の芽胞形成菌が繁殖しやすい為、レトルト処理等の強い加熱殺菌と当該処理に耐えうる飲料容器が必要である。又、pH7.5以上の飲料はさわやかな酸味を欠き、アルギニン、リジン、及びオルニチンは苦味・えぐ味が強い為、飲料のおいしさの面で重大な欠陥がある。
【0009】
【特許文献1】特開2009−183212号公報
【特許文献2】特開2008−79565号公報
【非特許文献1】M.B.MATHEWS、「The Interaction of Collagen and Acid Mucopolysaccharides」、Biochemical Journal、イギリス、1965年、96巻、p.710−715
【非特許文献2】J.E.SCOTT、「Proteoglycan−fibrillar collagen interactions」、Biochemical Journal、イギリス、1988年、252巻、p.313−323
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、コラーゲンペプチドと、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸等を所定量含むpH3.0〜5.0の飲料で生じる白濁や沈殿を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、コラーゲンペプチドを2〜10重量%、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種を0.001〜0.1重量%含むpH3.0〜5.0の飲料において、γ−アミノ酪酸、L−テアニン、及びベタインよりなる群から選択される少なくとも1種を添加することにより白濁や沈殿が防止され、且つ香味が良好な飲料が得られる事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
コラーゲンとは、分子内にグリシン及びプロリン等からなる特異的なアミノ酸配列と、コラーゲン三重らせん構造を持つ分子量約30万の水不溶性のたんぱく質である。コラーゲンは動物の結合組織の主要成分であり、皮膚、骨、軟骨、腱等に存在する。
【0013】
本発明のコラーゲンペプチドは、動物の結合組織にあるコラーゲンを酸、アルカリ、或いは酵素で処理してゼラチンとし、更に酵素等で低分子化して水溶性にしたものをいう。コラーゲンペプチドは、牛や豚の皮、魚の皮や鱗、鶏の皮等を原料とするものが食品用として各種販売されており、市販品を用いることができる。コラーゲンペプチドの分子量は特に限定されないが、飲料に溶解することを考慮すると平均分子量1000〜30000が望ましい。
【0014】
本発明の飲料におけるコラーゲンペプチドの含有量は2〜10重量%、好ましくは4〜8重量%である。含有量が2重量%より低い或いは10重量%より高い場合は、コラーゲンペプチドと、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸を含む飲料において、白濁や沈殿が生じにくいからである。
【0015】
コンドロイチン硫酸とは、コンドロイチン6−硫酸、コンドロイチン4−硫酸、デルマタン硫酸等の硫酸化ムコ多糖の総称である。コンドロイチン硫酸は、動物の軟骨や皮等の結合組織の成分として含まれている。例えば、サメのヒレや軟骨には主にコンドロイチン6−硫酸が、豚や羊の気管軟骨には主にコンドロイチン6−硫酸やコンドロイチン4−硫酸が、牛や豚の皮には主にデルマタン硫酸やコンドロイチン6−硫酸が含まれている。
【0016】
本発明に係るコンドロイチン硫酸とは、コンドロイチン6−硫酸及びコンドロイチン4−硫酸等の単体或いはこれらの混合物であり、前述の動物の軟骨や皮等から抽出されたものである。具体的には、複数のコンドロイチン硫酸を含有する動物抽出物、当該抽出物の高度精製物、及びコンドロイチン6−硫酸等の特定のコンドロイチン硫酸を単離精製したものである。
【0017】
本発明では、コンドロイチン硫酸の塩も使用できる。塩の種類は特に限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩が望ましい。
【0018】
コンドロイチン硫酸としては、豚の気管軟骨から抽出・精製された医薬品原料のコンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸を20%以上含有する食品原料のサメ軟骨抽出物等が各種販売されている為、必要に応じてこれら市販品を選択して使用することができる。
【0019】
本発明においてコンドロイチン硫酸の分子量は特に限定されないが、飲料に溶解することを考慮すると平均分子量5000〜50000が望ましい。
【0020】
本発明のヒアルロン酸とは、N−アセチルグルコサミンとグルクロン酸の繰り返し単位からなる多糖類である。ヒアルロン酸は、鶏冠の抽出物、ストレプトコッカス属等の微生物の発酵液等から得られる。ヒアルロン酸は、食品添加物として分子量の異なるものが各種販売されており、市販品を使用することができる。
【0021】
本発明では、ヒアルロン酸の塩も使用可能である。塩の種類は特に限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩が望ましい。
【0022】
本発明のヒアルロン酸の分子量は特に限定されないが、飲料に溶解することを考慮すると平均分子量1000〜500000が望ましい。
【0023】
本発明の飲料におけるコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸の含有量は、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸として0.001〜0.1重量%、好ましくは0.003〜0.03重量%である。含有量が0.001重量%より低い或いは0.1重量%より高い場合は、コラーゲンペプチドと、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸を含む飲料において、白濁や沈殿が生じにくいからである。
【0024】
本発明のγ−アミノ酪酸とは、グルタミン酸を脱炭酸した4−aminobutanoic acidである。γ−アミノ酪酸は、玄米やお茶等からの抽出及びグルタミン酸のグルタミン酸脱炭酸酵素処理等により得られる。γ−アミノ酪酸は特定保健用食品の関与成分であり、食品原料として販売されているものを使用することができる。
【0025】
本発明のL−テアニンとは、グルタミン酸エチルアミド誘導体である2−amino−4−(ethylcarbamoyl)butyric acidである。L−テアニンは、緑茶からの抽出、L−グルタミンとモノエチルアミンのグルタミナーゼ処理、及びL−グルタミン酸と無水エチルアミンを原料とする有機合成等により得られる。L−テアニンは、食品添加物として販売されているものを使用することができる。
【0026】
本発明のベタインとは、グリシンのアミノ基に3個のメチル基が付加したN,N,N−trimethylglycineである。ベタインは、砂糖大根から砂糖を製造する際の副産物、グリシン及びコリン等を原料とする有機合成等で得られる。ベタインは、食品添加物として販売されており、市販品を使用することができる。
【0027】
本発明の飲料におけるγ−アミノ酪酸、L−テアニン、及びベタインの合計含有量は、特に制限するものではないが、好ましくは0.03〜3.0重量%である。
【0028】
本発明の飲料におけるpHは3.0〜5.0、好ましくは3.5〜4.5である。pHが5.0より高い場合は、コラーゲンペプチドと、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸を含む飲料において、白濁や沈殿が生じにくい。一方、pHが3.0より低い場合は酸味が強くなるからである。
【0029】
本発明における飲料には、必要に応じてクエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等の酸味料、グルコース、フルクトース、ショ糖等の糖類、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア抽出物等の高甘味度甘味料、リンゴ、オレンジ、ザクロ、グレープフルーツ等の果汁、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンC等のビタミン類等を使用することができる。
【0030】
本発明の飲料の製造方法については、特に制限はなく常法に従い製造することができる。即ち、コラーゲンペプチド、コンドロイチン硫酸、γ−アミノ酪酸、酸味料、甘味料等の調合工程、殺菌・充填工程を経て製造される。殺菌条件は食品衛生法に定める条件を満たしていればよく、プレート式熱交換器、管式熱交換器、パストライザー等の各種殺菌機を用いることができる。又、充填方法も特に制限がなく、ホットパック充填や無菌充填等を採用することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の飲料は、コラーゲンペプチドと、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸等を含有し、且つpHが3.0〜5.0において、白濁や沈殿の発生が著しく改善される。よって、清澄な商品価値の高い飲料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例に示す配合量の部とは重量部を示し、%は重量%を示す。又、コンドロイチン硫酸は、特に指定しない限りコンドロイチン6−硫酸、コンドロイチン4−硫酸、デルマタン硫酸等の混合物である。
【実施例】
【0033】
実施例1
処方 配合量(%)
1.コラーゲンペプチド ※1 7.0
2.サメ軟骨抽出物(コンドロイチン硫酸20%含有) ※2 0.06
3.クエン酸 0.7
4.γ−アミノ酪酸 ※3 0.5
5.精製水 91.74
※1(商品名:マリンマトリックス、焼津水産化学工業社製)
※2(商品名:コンドロイチンQ(20%)、キューピー社製)
※3(商品名:GABA協和、協和発酵工業社製)
[製造方法]成分1〜4を成分5に均一に溶解し、ろ過後、95℃で殺菌してビンに充填した。
【0034】
実施例1のγ−アミノ酪酸をL−テアニン(商品名:サンテアニン、太陽化学社製)或いはベタイン(商品名:ニッテンベタイン、日本甜菜製糖社製)に置換したものをそれぞれ実施例2及び3とした。又、実施例1のγ−アミノ酪酸を精製水、L−リジン塩酸塩(味の素社製)、L−アルギニン(味の素社製)、オルニチン塩酸塩(協和発酵工業社製)、クエン酸ナトリウム(扶桑化学工業社製)、酢酸ナトリウム(和光純薬工業社製)、或いは乳酸カルシウム(和光純薬工業社製)に置換したものを比較例1〜7とした。尚、実施例1〜3及び比較例1〜7のpHは、3.9〜4.2であった。
【0035】
実施例1〜3及び比較例1〜7の飲料について、室温で3時間放置して白濁の有無を観察した。その後、0℃で24時間放置して室温に戻し、沈殿の有無を観察した。その結果を表1に示した。表中の白濁及び沈殿の評価の○、△、×は、○が白濁或いは沈殿が全く観察されない、△が白濁或いは沈殿がわずかに観察される、×が白濁或いは沈殿が顕著に観察されることを示す。又、表中の香味評価の○、△、×は、○が良好、△がやや不良、×が不良であることを示す。
【0036】
γ−アミノ酪酸、L−テアニン、又はベタインを含む実施例1〜3の飲料は、コラーゲンペプチドとコンドロイチン硫酸を含有するにもかかわらず、白濁や沈殿は全く観察されなかった。又、何れの飲料も香味が良好であった。
【0037】
一方、実施例1のγ−アミノ酪酸を精製水に置換した比較例1の飲料は、白濁や沈殿が生じた。又、実施例1のγ−アミノ酪酸をL−リジン塩酸塩、L−アルギニン、オルニチン塩酸塩にそれぞれ置換した比較例2〜4の飲料は白濁や沈殿が生じ、且つ香味も不良であった。実施例1のγ−アミノ酪酸をクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸カルシウムにそれぞれ置換した比較例5〜7の飲料は、白濁や沈殿をある程度抑制したが、その効果は不充分であり、又、比較例6及び7の香味は不良であった。
【0038】
【表1】

【0039】
実施例4
処方 配合量(%)
1.コラーゲンペプチド ※1 4.0
2.ヒアルロン酸 ※2 0.03
3.クエン酸 0.7
4.γ−アミノ酪酸 ※3 0.03
5.精製水 95.24
※1(商品名:マリンマトリックス、焼津水産化学工業社製)
※2(商品名:ヒアルロン酸FCH−A、キューピー社製)
※3(商品名:GABA協和、協和発酵工業社製)
[製造方法]成分1〜4を成分5に均一に溶解し、ろ過後、95℃で殺菌してビンに充填した。
【0040】
実施例4のγ−アミノ酪酸をL−テアニン或いはベタインに置換したものをそれぞれ実施例5及び6とした。又、実施例4のγ−アミノ酪酸を精製水に置換したものを比較例8とした。尚、実施例4〜6及び比較例8のpHは、何れも3.9であった。
【0041】
実施例7
処方 配合量(%)
1.コラーゲンペプチド ※1 8.0
2.コンドロイチン6−硫酸 ※2 0.003
3.クエン酸 0.7
4.γ−アミノ酪酸 ※3 0.3
5.精製水 90.997
※1(商品名:マリンマトリックス、焼津水産化学工業社製)
※2(シグマアルドリッチ社製)
※3(商品名:GABA協和、協和発酵工業社製)
[製造方法]成分1〜4を成分5に均一に溶解し、ろ過後、95℃で殺菌してビンに充填した。
【0042】
実施例7のγ−アミノ酪酸をL−テアニン或いはベタインに置換したものをそれぞれ実施例8及び9とした。又、実施例7のγ−アミノ酪酸を精製水に置換したものを比較例9とした。尚、実施例7〜9及び比較例9のpHは、何れも3.9であった。
【0043】
実施例4〜9並びに比較例8及び9の飲料について、室温で3時間放置して白濁の有無を観察した。その後、0℃で24時間放置して室温に戻し、沈殿の有無を観察した。その結果を表2に示した。尚、表中の白濁及び沈殿の評価基準は、表1と同じである。
【0044】
γ−アミノ酪酸、コラーゲンペプチド、及びヒアルロン酸を含有する実施例4の飲料、並びにγ−アミノ酪酸、コラーゲンペプチド、及びコンドロイチン6−硫酸を含有する実施例7の飲料は、白濁や沈殿が全く観察されなかった。又、実施例4のγ−アミノ酪酸をL−テアニンやベタインに置換した実施例5及び6の飲料、並びに実施例7のγ−アミノ酪酸をL−テアニンやベタインに置換した実施例8及び9の飲料は白濁の生成が改善され、沈殿は観察されなかった。
【0045】
一方、実施例4又は実施例7のγ−アミノ酪酸を精製水に置換した比較例8及び9の飲料は、白濁や沈殿が生じた。
【0046】
【表2】

【0047】
γ−アミノ酪酸0.5重量%、コラーゲンペプチド7.0重量%、及びコンドロイチン硫酸0.012重量%を含む実施例1において、クエン酸量を調整し、pH3.0〜5.0の飲料を作製して実施例10〜14とした。又、クエン酸量を増やしてpH2.5とした飲料を比較例10、γ−アミノ酪酸を除きクエン酸量を減らしてpH5.5とした飲料を比較例11とした。
【0048】
実施例10〜14並びに比較例10及び11の飲料について、室温で3時間放置して白濁の有無を観察した。その後、0℃で24時間放置して室温に戻し、沈殿の有無を観察した。その結果を表3に示した。表中の香味評価の○、△、×は、○が良好、△が酸味やや強い、×が酸味強く不良であることを示す。尚、表中の白濁及び沈殿の評価基準は、表1と同じである。
【0049】
γ−アミノ酪酸、コラーゲンペプチド、及びコンドロイチン硫酸を含むpH3.0〜5.0の実施例10〜14の飲料においては、白濁や沈殿は全く観察されなかった。
【0050】
一方、pH2.5の比較例10の飲料は白濁や沈殿は生じなかったが、酸味を強く感じた。尚、pH5.5の比較例11の飲料は、白濁や沈殿が生じなかった。
【0051】
【表3】

【0052】
γ−アミノ酪酸0.5重量%、コラーゲンペプチド7.0重量%、及びコンドロイチン硫酸0.012重量%を含む実施例1において、コラーゲンペプチド量を2.0〜10.0重量%の間で調整して実施例15〜19とした。又、コラーゲンペプチド量を1.0重量%若しくは12.0重量%でγ−アミノ酪酸を除いた飲料を比較例12及び13とした。尚、実施例15〜19及び比較例12〜13のpHは、3.9〜4.0であった。
【0053】
実施例15〜19並びに比較例12及び13の飲料について、室温で3時間放置して白濁の有無を観察した。その後、0℃で24時間放置して室温に戻し、沈殿の有無を観察した。その結果を表4に示した。尚、表中の白濁及び沈殿の評価基準は、表1と同じである。
【0054】
コラーゲンペプチドの含量が2.0〜10.0重量%である実施例15〜19の飲料は、白濁や沈殿が全く観察されなかった。尚、コラーゲンペプチド量が1.0重量%若しくは12.0重量%でγ−アミノ酪酸を含有しない比較例12及び13の飲料においても、白濁や沈殿は生じなかった。
【0055】
【表4】

【0056】
γ−アミノ酪酸0.3重量%、コラーゲンペプチド8.0重量%、及びコンドロイチン6−硫酸0.003重量%を含む実施例7において、コンドロイチン6−硫酸量を0.001〜0.1重量%の間で調整して実施例20〜23とした。又、コンドロイチン6−硫酸量が0.0003重量%若しくは0.3重量%でγ−アミノ酪酸を除いた飲料を比較例14及び15とした。尚、実施例20〜23並びに比較例14及び15のpHは、3.9〜4.0であった。
【0057】
実施例7、実施例20〜23、並びに比較例14及び15の飲料について、室温で3時間放置して白濁の有無を観察した。その後、0℃で24時間放置して室温に戻し、沈殿の有無を観察した。その結果を表5に示した。尚、表中の白濁及び沈殿の評価基準は、表1と同じである。
【0058】
コンドロイチン6−硫酸を0.001〜0.1重量%を含む実施例7及び実施例20〜23の飲料においては、白濁や沈殿は全く観察されなかった。又、コンドロイチン6−硫酸が0.0003重量%若しくは0.3重量%でγ−アミノ酪酸を含有しない比較例14及び15の飲料においても、白濁や沈殿は生じなかった。
【0059】
【表5】

【0060】
γ−アミノ酪酸0.03〜3.0重量%、L―テアニン0.1〜3.0重量%、又はベタイン0.1〜3.0重量%の範囲において、コラーゲンペプチド7.0重量%及びコンドロイチン硫酸0.012重量%を含有する飲料を作成し、実施例24〜32とした。
【0061】
実施例24〜32の飲料について、室温で3時間放置して白濁の有無を観察した。その後、0℃で24時間放置して室温に戻し、沈殿の有無を観察した。その結果を表6に示した。尚、表中の白濁及び沈殿の評価基準は、表1と同じである。
【0062】
γ−アミノ酪酸を0.03〜3.0重量%含有する実施例24〜26、L―テアニンを1.0又は3.0重量%含有する実施例28及び29、並びにベタインを1.0又は3.0重量%含有する実施例31及び32の飲料においては、何れも白濁や沈殿は全く観察されなかった。L―テアニン又はベタインを0.1重量%含有する実施例27及び30の飲料は白濁が改善され、沈殿は生じなかった。
【0063】
【表6】

【0064】
本発明に係る上記実施例により、コラーゲンペプチド、コンドロイチン硫酸等を含むpH3.0〜5.0の飲料において、γ−アミノ酪酸やL−テアニン等を添加することにより、白濁及び沈殿の生成が著しく抑制されていることが判る。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンペプチドを2〜10重量%、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種を0.001〜0.1重量%含むpH3.0〜5.0の飲料において、γ−アミノ酪酸、L−テアニン、及びベタインよりなる群から選択される少なくとも1種を含有することにより白濁及び沈殿の生成が抑制された飲料。
【請求項2】
コラーゲンペプチドを2〜10重量%、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種を0.001〜0.1重量%含むpH3.0〜5.0の飲料において、γ−アミノ酪酸、L−テアニン、及びベタインよりなる群から選択される少なくとも1種を添加することにより白濁及び沈殿の生成が抑制された飲料の製造方法。