コラーゲン合成促進アミノ酸組成物

【課題】優れたコラーゲン合成促進作用をもつアミノ酸組成物を得ること。
【解決手段】L−グルタミンを10〜40質量部、L−バリンを5〜20質量部、L−イソロイシンを8〜30質量部およびL−ロイシンを10〜35質量部含有することを特徴とするコラーゲン合成促進アミノ酸組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のアミノ酸を5種または4種、すなわち、L−アルギニンおよび/またはL−グルタミン、ならびに、L−バリン、L−イソロイシンおよびL−ロイシンの5種または4種のアミノ酸を特定の割合で含有することを特徴とするコラーゲン合成促進アミノ酸組成物、およびコラーゲン合成に関連する皮膚老化防止、骨粗しょう症抑制、腱、靱帯再生促進および創傷又は熱傷治癒に有用なアミノ酸組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体内のタンパク質で最も多いコラーゲンは細胞外マトリックスの成分として結合組織として非常に重要な役割を果たしている。コラーゲンの多い組織として、皮膚、骨組織、腱、靱帯などがある。これらの組織は老化に伴い、シワやたるみ、骨粗しょう症などが引き起こるが、組織コラーゲン量の減少、変性などが大きな要因であると考えられている。
【0003】
コラーゲン合成はビタミンやホルモン、サイトカインなどが作用することで促進されることが知られているが、タンパク質の基質であるアミノ酸もコラーゲン合成を促進することが知られている。繊維芽細胞を用いた検討ではグルタミンがコラーゲン合成を促進することが報告されており(非特許文献1)、ヒトや動物を用いた検討では創傷治癒においてアルギニンそのものやアルギニン、β−ヒドロキシ−β−メチルブチル酸、グルタミン混合物が創傷部位のコラーゲン合成を促進するという報告がある(特許文献1および2、ならびに非特許文献2)。
【0004】
また、コラーゲン合成を促すとする製品としてコラーゲンタンパクやコラーゲン組成アミノ酸組成物などが市販されているが、その効果は明確でなく、優れた効果を持つアミノ酸、また、アミノ酸組成物が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US005733884A
【特許文献2】US20030091601A1
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】G.Bellon et.al,Biochimica Biophysica Acta,1995,1268,311−323
【非特許文献2】J.Z.Williams et.al,Annals of surgery,2002,369−375
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の従来技術の背景下に、本発明の目的は、優れたコラーゲン合成促進作用をもつアミノ酸組成物を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前項記載の課題を解決すべく鋭意研究の結果、L−アルギニンおよび/またはL−グルタミン、ならびに、L−バリン、L−イソロイシンおよびL−ロイシンの5種または4種のアミノ酸を特定の割合で含むアミノ酸組成物がコラーゲン合成を促進することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、特定のアミノ酸を特定の割合で含有することを特徴とする、すなわち、L−アルギニンを10〜40質量部および/またはL−グルタミンを10〜40質量部、ならびに、L−バリンを5〜20質量部、L−イソロイシンを8〜30質量部、L−ロイシンを10〜35質量部含有することを特徴とするコラーゲン合成促進アミノ酸組成物、ならびに同じ組成の皮膚老化防止アミノ酸組成物、骨粗しょう症抑制アミノ酸組成物、腱、靱帯再生促進アミノ酸組成物、および創傷又は熱傷治癒アミノ酸組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の、特定の5種または4種のアミノ酸組成物によれば、皮膚や骨組織といった体内のコラーゲン合成が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】アミノ酸組成によるコラーゲン合成速度の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアミノ酸組成物は、L−アルギニンを10〜40質量部および/またはL−グルタミンを10〜40質量部、ならびに、L−バリンを5〜20質量部、L−イソロイシンを8〜30質量部およびL−ロイシンを10〜35質量部含有することを特徴とするアミノ酸組成物である。なお、本発明で利用するアミノ酸はそれらのアミノ酸を含むペプチド体であってもよい。
【0013】
これらのアミノ酸組成物は、これに、適当な添加物、例えば、糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの他の栄養素いずれか、或いはそれらを組み合わせて配合しても良い。その際には、賦型剤、嬌味剤、色素などと組み合わせることも可能である。このようにして製造された本発明のアミノ酸組成物は、そのまま、すなわち、粉体もしくは夜体混合物の形態で流通に置くことができる。また、サプリメント、調味料、加工食品、輸液などの医薬品などの形態で流通に置くこともできる。
【0014】
本発明のアミノ酸組成物は、経口投与によることはもちろん、静注により投与することもできる。静注による場合は、静注に適しない添加物を除外した製剤とすることは言うまでもない。
【0015】
また、本発明のアミノ酸組成物の投与量について説明すると、ラットの静脈にアミノ酸組成物を投与し、コラーゲン合成の促進が認められた際の血中アミノ酸濃度の上昇とアミノ酸組成物を経口投与した際の血中濃度の上昇が同程度になる場合を考慮して、経口、静注を問わず、成人1日当り5〜12g程度とすることができる。
【0016】
本発明のアミノ酸組成物は、上に説明した投与方法および投与量で、例えば、皮膚老化や骨粗しょう症の症状の現れるおそれのある時期に投与することで、あるいは既に発症している場合に投与することで、発症を予防し、あるいは症状の進行を抑制し、更に症状を改善することができる。
【実施例1】
【0017】
各群4から6頭からなるSD(IGS)雄性ラットに無タンパク食(0%カゼイン)を1週間供与した後に実験に用いた。アミノ酸を投与する実験群としては1)生理食塩水、2)L−グルタミン、3)L−アルギニン、4)3種分岐鎖アミノ酸組成物(L−ロイシン、L−イソロイシンおよびL−バリンを総称してBCAAともいう)、5)12種アミノ酸組成物(L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリン、L−グルタミン、L−ヒスチジン、L−リジン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−スレオニン、L−メチオニン、L−トリプトファンおよびL−アルギニン)、6)コラーゲン組成アミノ酸組成物(L−イソロイシン、L−ロイシン、L−バリン、L−ヒスチジン、L−リジン、L−フェニルアラニン,L−プロリン、L−ヒドロキシプリン,L−スレオニン、L−メチオニン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−グリシン、L−セリンおよびL−アルギニン)、7)5種アミノ酸組成物(L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリン、L−グルタミンおよびL−アルギニン)、8)4種アミノ酸組成物1(L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリンおよびL−グルタミン)、9)4種アミノ酸組成物2(L−ロイシン、L−イソロイシン、L−バリンおよびL−アルギニン)、10)2種アミノ酸組成物(L−アルギニンおよびL−グルタミン)の計10群を設けた。アミノ酸組成、投与濃度は下記第1表に示した。
【0018】
【表1】

【0019】
投与液は頸静脈に3時間半前後持続的に投与した。コラーゲン合成速度の測定は、安定同位体L−フェニルアラニンを用いて、一定時間内にコラーゲンタンパク質に取り込まれる安定同位体L−フェニルアラニンの標識率を測定することにより合成速度を求めた。組織は皮膚を用い、コラーゲンは中性塩溶液に溶解する新生コラーゲン画分を用いた。その結果を後掲図1に示す。
【0020】
生理食塩水投与群を対照としt−testにて検定を実施し、図中*はp<0.05を示す。計算方法を下記計算式(1)に示す。
【0021】
【数1】

【0022】
図1にコラーゲン合成速度の変化を示した。コラーゲン合成速度は5種アミノ酸組成物(図中、BCAA+Arg+Gln)、4種アミノ酸組成物1(図中、BCAA+Gln)または4種アミノ酸組成物2(図中、BCAA+Arg)を投与することにより、生理食塩水(図中、PF)を投与した群に対し有意に促進することが認められた。また、分岐鎖アミノ酸組成物(図中、BCAA)、L−アルギニン(図中、Arg)、L−グルタミン(図中、Gln)、L−アルギニン+L−グルタミン混合物(図中、Arg+Gln)の投与では回復が認められなかったこと、12種アミノ酸組成物(図中、AVP)やコラーゲン組成アミノ酸組成物に比べコラーゲンの合成速度が促進していることから、この5種または4種のアミノ酸組成物がコラーゲンの合成促進に非常に優れた効果を持つことが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として(a)L−グルタミン、(b)L−バリン、(c)L−イソロイシンおよび(d)L−ロイシンのアミノ酸を含み、前記アミノ酸の割合が下記(a)〜(d)に記載の重量部であることを特徴とするアミノ酸含有皮膚コラーゲン合成促進剤。
(a)10〜40重量部
(b)5〜20重量部
(c)8〜30重量部
(d)10〜35重量部
【請求項2】
有効成分として(a)L−グルタミン、(b)L−バリン、(c)L−イソロイシンおよび(d)L−ロイシンのアミノ酸を含み、前記アミノ酸の割合が下記(a)〜(d)に記載の重量部であることを特徴とするアミノ酸含有皮膚老化防止剤。
(a)10〜40重量部
(b)5〜20重量部
(c)8〜30重量部
(d)10〜35重量部
【請求項3】
アミノ酸として(a)L−グルタミン、(b)L−バリン、(c)L−イソロイシンおよび(d)L−ロイシンのみからなり、前記アミノ酸の割合が下記(a)〜(d)に記載の重量部であることを特徴とする皮膚コラーゲン合成促進剤。
(a)10〜40重量部
(b)5〜20重量部
(c)8〜30重量部
(d)10〜35重量部
【請求項4】
アミノ酸として(a)L−グルタミン、(b)L−バリン、(c)L−イソロイシンおよび(d)L−ロイシンのみからなり、前記アミノ酸の割合が下記(a)〜(d)に記載の重量部であることを特徴とする皮膚老化防止剤。
(a)10〜40重量部
(b)5〜20重量部
(c)8〜30重量部
(d)10〜35重量部
【請求項5】
飲食品、サプリメントもしくは医薬品に添加するための請求項1又は請求項3に記載の皮膚コラーゲン合成促進剤。
【請求項6】
飲食品、サプリメントもしくは医薬品に添加するための請求項2又は請求項4に記載の皮膚老化防止剤。
【請求項7】
アミノ酸として(a)L−グルタミン、(b)L−バリン、(c)L−イソロイシンおよび(d)L−ロイシンを添加する工程を含み、前記アミノ酸の割合が下記(a)〜(d)に記載の重量部である皮膚コラーゲン合成促進用の飲食品、サプリメントもしくは医薬品の製造方法。
(a)10〜40重量部
(b)5〜20重量部
(c)8〜30重量部
(d)10〜35重量部
【請求項8】
アミノ酸として(a)L−グルタミン、(b)L−バリン、(c)L−イソロイシンおよび(d)L−ロイシンを添加する工程を含み、前記アミノ酸の割合が下記(a)〜(d)に記載の重量部である皮膚老化防止用の飲食品、サプリメントもしくは医薬品の製造方法。
(a)10〜40重量部
(b)5〜20重量部
(c)8〜30重量部
(d)10〜35重量部

【図1】
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【公開番号】特開2011−137037(P2011−137037A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63169(P2011−63169)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【分割の表示】特願2004−109506(P2004−109506)の分割
【原出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】