説明

コラーゲン生成促進及び分解抑制剤

【課題】本発明は、コラーゲンの生成低下及び分解亢進に対する優れた改善作用を有し、加齢によるコラーゲンの減少を改善することで老化皮膚にみられるシワの形成や弾力性の低下を予防、改善するコラーゲン生成促進及び分解抑制剤を提供する。
【解決手段】本発明のコラーゲン生成促進及び分解抑制剤は、FOXOタンパク及び/又はFOXOタンパクの産生促進剤を含有することを特徴とする。FOXOタンパクの産生促進剤としては、例えば、月下美人の抽出物が挙げられる。
【効果】コラーゲンの生成低下及び分解亢進を抑制することで、加齢によるコラーゲンの減少を防ぎ、老化皮膚にみられるシワの形成や弾力性の低下を予防、改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン生成促進及び分解抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢にともない真皮線維芽細胞におけるコラーゲン合成量が低下するとともにコラーゲン分解酵素であるmatrix metalloproteinase(MMP)の合成量が増加することが知られており、この様なコラーゲンの代謝変化が加齢によるコラーゲンの減少を引き起こすと考えられている(非特許文献1、2)。真皮細胞外マトリックスの主要成分であるコラーゲンの減少は、シワの発生や皮膚弾力性の低下につながると考えられる。従来、このような皮膚症状を抑制する手段として、コラーゲンを配合した化粧料を塗布することが主流であったが、一時的に角層表面に水分を補うものであることから、十分な効果を有するものではなかった。そこでコラーゲンの生成低下及び分解亢進を改善する安全性の高い有効成分が望まれている。
【非特許文献1】Varani J,J Invest Dermatol,114:480−486,2000.
【非特許文献2】Chung J H,J Invest Dermatol,117:1218−1224,2001.
【0003】
Forkhead Box class O(FOXO)は、フォークヘッドと呼ばれる約100アミノ酸からなる特徴的なDNA結合ドメインを有する転写因子群のサブファミリーのひとつであり、酵母からヒトに至る幅広い生物種で100種類以上の遺伝子ファミリーが同定されている。哺乳類ではFOXO1、FOXO3、FOXO4、FOXO6の4種類が存在する。フォークヘッド転写因子は、糖・脂質代謝、細胞周期の制御、アポトーシス、寿命・老化等に関して重要な役割を果たすことが知られているが(非特許文献3、4)、真皮線維芽細胞におけるコラーゲンの生成及び分解に及ぼす影響についての報告はない。
【非特許文献3】Kaestner K H,Genes Dev,14:142−146,2000.
【非特許文献4】Accili D,Cell,117:421−426,2004.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、真皮線維芽細胞におけるコラーゲンの生成低下及び分解亢進とそれにより引き起こされるコラーゲンの減少に対する優れた改善作用を示すコラーゲン生成促進及び分解抑制剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、FOXOタンパク及び/又はFOXOタンパクの産生促進剤に真皮線維芽細胞におけるコラーゲンの生成を促進するとともに分解を抑制することで加齢によるコラーゲンの生成低下及び分解亢進を改善し、コラーゲンの減少を防ぐ作用を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明で用いられるFOXOタンパクとしては、FOXO1、FOXO3、FOXO4及びFOXO6が挙げられ、好ましくはFOXO1及びFOXO3がよい。これらのタンパクは、骨格筋、肝臓、脂肪組織、皮膚などの多くの組織の細胞内に存在するので、FOXOタンパクは、これらの細胞から抽出することができる。また、市販品を入手できる。
【0007】
本発明で用いられるFOXOタンパクの産生促進剤は、細胞におけるFOXOタンパクの発現量を増加させるものであれば特に制限はなく、例えば、月下美人の抽出物等が挙げられる。
【0008】
月下美人とは、サボテン科クジャクサボテンの原種(Epiphyllum oxypetalum Haw.)及びその近縁種であり、その園芸品種の全草や花の乾燥物などを利用することができる。
【0009】
抽出部位は特に限定されず、すべての部位を用いることができ、好ましくは花が良い。抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであっても良いし、常温抽出したものであっても良い。
【0010】
抽出する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)などが挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール等の極性溶媒が良い。これらの溶媒は、一種でも二種以上を混合して用いても良い。
【0011】
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭、エタノール沈殿等の処理をして用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0012】
本発明のコラーゲン生成促進及び分解抑制剤には、上記FOXOタンパク及び/又はFOXOタンパクの産生促進剤をそのまま使用しても良く、効果を損なわない範囲内で、通常の外用剤に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤等の成分を配合することもできる。
【0013】
本発明に用いるコラーゲン生成促進及び分解抑制剤は、化粧品、医薬部外品又は医薬品のいずれにも用いることができ、その剤型としては、例えば、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅等があげられる。
【0014】
本発明に用いるFOXOタンパクの配合量は特に限定されないが、0.00001〜10重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.0001〜1重量%である。本発明に用いるFOXOタンパクの産生促進剤の配合量は特に限定されないが、乾燥物として0.00001〜10重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.0001〜5重量%である。また、添加の方法については、予め加えておいても製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すればよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、コラーゲンの生成低下及びMMPの生成亢進を防ぐことで、コラーゲンの減少を抑制し、加齢によるシワの形成や弾力性の低下を予防、改善するFOXOタンパク及び/又はFOXOタンパクの産生促進剤を含有することを特徴とするコラーゲン生成促進及び分解抑制剤、そのコラーゲン生成促進及び分解抑制剤を含有することを特徴とする皮膚のハリ、弾力性の改善剤及び皮膚外用剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いるタンパクの入手例、抽出物の製造例、処方例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例に示す配合量は重量%を示す。
【実施例1】
【0017】
入手例1 FOXOタンパク
FOXO1及びFOXO3タンパクはAbnova Corporation(台湾)より市販品を入手した。
【実施例2】
【0018】
製造例1 月下美人抽出物1
月下美人の花の乾燥物100gに精製水3Lを加え、95〜100℃で2時間抽出した。濾過した後、濾液を減圧濃縮し、更に凍結乾燥して月下美人抽出物48gを得た。
【0019】
製造例2 月下美人抽出物2
月下美人の地上部全草の乾燥物100gに30%エタノール水溶液1Lを加え、室温で1週間抽出した。濾過した後、濾液を減圧濃縮し、更に凍結乾燥して月下美人抽出物9gを得た。
【実施例3】
【0020】
次に、本発明に係る実施例の処方を示す。
【0021】
処方例1 クリーム1
処方 配合量(重量%)
1.FOXO1タンパク 0.1
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.1,3−ブチレングリコール 8.5
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.精製水 68.05
[製造方法]成分2〜9を加熱して混合し、70℃に保ち油相とする。成分11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して成分1を加え、製品とする。
【0022】
処方例2 クリーム2
処方例1において、FOXO1タンパクをFOXO3タンパクに置き換えたものをクリーム2とした。
【0023】
処方例3 クリーム3
処方例1において、FOXO1タンパクを月下美人抽出物1(製造例1)に置き換えたものをクリーム3とした。
【0024】
比較例1 従来のクリーム
処方例1において、FOXO1タンパクを精製水に置き換えたものを従来のクリームとした。
【0025】
処方例4 化粧水
処方 配合量(重量%)
1.FOXO1タンパク 0.1
2.1,3−ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 0.1
11.精製水 84.47
[製造方法]成分1〜6及び11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
【0026】
処方例5 乳液
処方 配合量(重量%)
1.FOXO3タンパク 0.05
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水 73.15
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、更に30℃まで冷却して成分1を加え、製品とする。
【0027】
処方例6 軟膏
処方 配合量(重量%)
1.月下美人抽出物1(製造例1) 1.0
2.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
3.モノステアリン酸グリセリン 10.0
4.流動パラフィン 5.0
5.セタノール 6.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
7.プロピレングリコール 10.0
8.精製水 65.9
[製造方法]成分2〜5を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び6〜8を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0028】
処方例7 ファンデーション
処方 配合量(重量%)
1.月下美人抽出物2(製造例2) 1.0
2.ステアリン酸 2.4
3.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 1.0
(20E.O.)
4.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0
5.セタノール 1.0
6.液状ラノリン 2.0
7.流動パラフィン 3.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
9.パラオキシ安息香酸ブチル 0.1
10.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
11.ベントナイト 0.5
12.プロピレングリコール 4.0
13.トリエタノールアミン 1.1
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
15.二酸化チタン 8.0
16.タルク 4.0
17.ベンガラ 1.0
18.黄酸化鉄 2.0
19.香料 0.1
20.精製水 60.0
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分20に成分10をよく膨潤させ、続いて、成分1及び11〜14を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分15〜18を加え、ホモミキサーで撹拌し75℃に保ち水相とする。この水相に油相をかき混ぜながら加え、冷却し、45℃で成分19を加え、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
【0029】
処方例8 浴用剤
処方 配合量(重量%)
1.月下美人抽出物2(製造例2) 5.0
2.炭酸水素ナトリウム 50.0
3.黄色202号(1) 0.05
4.香料 0.25
5.無水硫酸ナトリウム 44.7
[製造方法]成分1〜5を均一に混合し製品とする。
【実施例4】
【0030】
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例をあげる。
【0031】
実験例1 加齢によるFOXO1及びFOXO3の産生低下改善試験
加齢によるFOXO1及びFOXO3の産生低下に対する改善効果をそれらのmRNA発現量を指標として評価した。
【0032】
FOXO1及びFOXO3 mRNA発現量の測定法
正常ヒト皮膚線維芽細胞を10% FCSを含むDMEM培地にて37℃、5%CO条件下で繰り返し10回継代培養して細胞の老化を誘導した。コンフルエントな状態になったところで1μg/ml濃度の試料を添加したDMEM培地にてさらに24時間培養した後、総RNAの抽出を行った。総RNAの抽出にはISOGEN(ニッポンジーン)を用いた。線維芽細胞から抽出した総RNAを基にリアルタイムRT−PCR法によりFOXO1及びFOXO3 mRNA発現量の測定を行った。リアルタイムRT−PCR法にはTaKaRa SYBR ExScript RT−PCR Kitを用い、FOXO1用のprimerとしては5’TCATGGATGGAGATACATTGGATT3’(配列番号1)及び5’CCAGCTATGTGTCGTTGTCTTGA3’(配列番号2)を用いた。FOXO3用のprimerとしては5’TGGATGCTGATGGGTTGGA3’(配列番号3)及び5’CCCCACGTTCAAACCAACA3’(配列番号4)を用いた。また、内部標準としてはGAPDHを用いた。その他の操作は定められた方法にしたがい、FOXO1及びFOXO3のmRNA発現量を内部標準であるGAPDH mRNA発現量に対する割合として求めた。老化細胞ではFOXO1及びFOXO3 mRNA発現量の低下がみられたが、その値と試料を添加した際のFOXO1及びFOXO3 mRNA発現量の値からFOXO1及びFOXO3の産生低下改善率を算出した。
【0033】
これらの試験結果を表1に示した。その結果、月下美人の抽出物には優れた加齢によるFOXO1及びFOXO3の産生低下改善作用、すなわち、老化した細胞におけるFOXOタンパクの産生促進作用が認められた。
【0034】
【表1】

【0035】
実験例2 加齢によるコラーゲンの生成低下及び分解亢進改善試験
加齢によるFOXO1及びFOXO3の産生低下にともなうコラーゲンの生成低下及び分解亢進に対する改善効果をコラーゲン(I)、MMP−1及びMMP−2 mRNA発現量を指標として評価した。
【0036】
コラーゲン(I)、MMP−1及びMMP−2 mRNA発現量の測定法
正常ヒト皮膚線維芽細胞を10% FCSを含むDMEM培地にて37℃、5%CO条件下で繰り返し10回継代培養して細胞の老化を誘導した。コンフルエントな状態になったところで試料を添加したDMEM培地にてさらに24時間培養した後、総RNAの抽出を行った。総RNAの抽出にはISOGEN(ニッポンジーン)を用いた。線維芽細胞から抽出した総RNAを基にリアルタイムRT−PCR法によりコラーゲン(I)、MMP−1及びMMP−2 mRNA発現量の測定を行った。リアルタイムRT−PCR法にはTaKaRa SYBR ExScript RT−PCR Kitを用い、コラーゲン(I)用のprimerとしては5’GCTACCCAACTTGCCTTCATG3’(配列番号5)及び5’TTCTTGCAGTGGTAGGTGATGTTC3’(配列番号6)を用いた。MMP−1用のprimerとしては5’GGGAGATCATCGGGACAACTC3’(配列番号7)及び5’TGAGCATCCCCTCCAATACC3’(配列番号8)を用いた。MMP−2用のprimerとしては5’CCGTCGCCCATCATCAA3’(配列番号9)及び5’CTTCTGCATCTTCTTTAGTGTGTCCTT3’(配列番号10)を用いた。また、内部標準としてはGAPDHを用いた。その他の操作は定められた方法にしたがい、コラーゲン(I)、MMP−1及びMMP−2のmRNA発現量を内部標準であるGAPDH mRNA発現量に対する割合として求めた。老化細胞ではコラーゲン(I) mRNA発現量の減少、MMP−1及びMMP−2 mRNA発現量の増加がみられたが、その値と試料を添加した際のコラーゲン(I)、MMP−1及びMMP−2 mRNA発現量の値からコラーゲン生成低下改善率及びMMP生成亢進改善率を算出した。
【0037】
これらの試験結果を表2、3に示した。その結果、FOXO1及びFOXO3タンパク、月下美人の抽出物には優れた加齢によるコラーゲンの生成低下及び分解亢進に対する改善作用が認められた。すなわち、FOXO1及びFOXO3タンパク、月下美人の抽出物には、老化した細胞におけるコラーゲン生成促進および分解抑制作用が認められた。
【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
実験例3 使用試験
処方例1〜3のクリーム、比較例1の従来のクリームを用いて、シワや肌の弾力性の低下に悩む女性30人(40〜50才)を対象に2ヶ月間の使用試験を行った。使用前後に肌の弾力性をキュートメーター(Courage+Khazaka社)を用いて測定した。使用前の弾力性の値を100%とした時の使用後の値を求め、弾力性改善効果を評価した。また、使用後、肌のハリや弾力の改善効果についてのアンケート調査を行った。アンケートの評価基準は、有効なものを「優」、やや有効なものを「良」、わずかに有効なものを「可」、無効なものを「不可」として評価した。
【0041】
弾力性改善効果の結果を表4に示した。処方例1のFOXO1タンパクを配合したクリーム、処方例2のFOXO3タンパクを配合したクリーム及び処方例3の月下美人抽出物を配合したクリームは優れた肌の弾力性改善効果を示した。
【0042】
【表4】

【0043】
アンケート調査の結果を表5に示した。処方例1、2及び3のクリームは優れた肌のハリ及び弾力性の改善効果を示した。なお、試験期間中皮膚トラブルは一人もなく、安全性においても問題なかった。
【0044】
【表5】

【0045】
処方例4〜8の化粧水、乳液、軟膏、ファンデーション、浴用剤の使用試験を行ったところ、いずれも安全で優れた肌のハリ及び弾力性の改善効果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の活用例として、化粧品、医薬部外品又は医薬品のいずれにも用いることができる。その剤型としては、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅等が挙げられ、コラーゲンの生成を促進するとともに分解を抑制することで、加齢によるコラーゲンの減少を防ぎ、老化皮膚にみられるシワの形成や弾力性の低下を予防、改善する効果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FOXOタンパクを含有することを特徴とするコラーゲン生成促進及び分解抑制剤。
【請求項2】
FOXOタンパク産生促進剤を含有することを特徴とするコラーゲン生成促進及び分解抑制剤。
【請求項3】
FOXOタンパク産生促進剤が月下美人の抽出物であることを特徴とする請求項2記載のコラーゲン生成促進及び分解抑制剤。
【請求項4】
FOXOタンパクがFOXO1及び/又はFOXO3であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項記載のコラーゲン生成促進及び分解抑制剤。
【請求項5】
FOXOタンパク及び/又はFOXOタンパク産生促進剤を含有することを特徴とする皮膚のハリ、弾力性の改善剤。
【請求項6】
FOXOタンパク及び/又はFOXOタンパク産生促進剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。


【公開番号】特開2008−280296(P2008−280296A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126227(P2007−126227)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】