説明

コラーゲン錠剤

【課題】少ない錠数で生理活性が期待できる量のコラーゲンを手軽に摂取でき、かつ、口腔内で噛んで摂取しても、コラーゲンが歯や口腔内に付着することなく、良好な食感を有するコラーゲン錠剤を提供すること。
【解決手段】平均粒子径が50μm以下の非水溶性カルシウム塩(A)及び/又は平均粒子径が100μm以下の難水溶性多糖類(B)を含有し、コラーゲンの含有量が10〜60質量%であり、錠剤の硬度が5〜13kgfであり、1錠当りの質量が1,000〜3,000mgであるコラーゲン錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン錠剤に関し、詳しくは、良好な食感を有し、且つ、取り扱い性に優れたコラーゲン錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、体の皮膚や骨、腱、血管などに多く含まれるタンパク質である。そして、外用や内服により、様々な生理活性効果をもたらすことがこれまで報告されている。下記非特許文献1には、コラーゲンによる肌質の改善作用や、骨粗鬆症予防効果などが報告されている。
【0003】
このように、コラーゲンは様々な生理活性効果を有することから、機能性食品素材として近年注目されており、錠剤、カプセル、飲料、顆粒等様々な形態の食品として市場に展開されている。
【0004】
しかしながら、コラーゲンは流動性が悪い素材であることから、圧縮成形時にスティッキングなどが生じ易かった。また、コラーゲンは、高い保湿性を有する素材でもあり、加水すると粘性が高くなり易い。このため、顆粒を調製するためにコラーゲンに水を添加すると、コラーゲンがダマになり易く、均一な顆粒は調製しにくかった。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、圧縮成形時のスティッキングを防止するため、常温で固体の硬化油脂及びコラーゲンを含有する原料粉体混合物を、直接打錠成型することが開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2では、水を含浸させた高分子基材にコラーゲンを混合した後、親水性溶媒を添加して均一な顆粒を調製することが開示されている。
【非特許文献1】兎束直昭・神園恭世、月刊フードケミカル2005年9月号、p29−33
【特許文献1】特開2001−288073号公報
【特許文献2】特開2006−096690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コラーゲンによる生理機能性に関しては、これまで種々報告されているが、十分な生理機能を得るためには比較的多量にコラーゲンを摂取する必要がある。このため、市場のコラーゲン含有サプリメントは、1日当たりの摂取目安を0.1〜10gとしている製品が多い。
【0008】
錠剤タイプのサプリメントや、顆粒タイプのサプリメントは、携帯性や保存性に優れていることから、サプリメントの形態としてはよく用いられている。しかしながら、100〜1,000mg程度の大きさの小型錠剤や、顆粒においては、十分な生理機能を得るために必要なコラーゲン量を摂取するには、これらを多量に摂取する必要があるので、通常、水と共に飲み込んで摂取している。このため、これらは場所などを問うことなく、手軽にコラーゲンを摂取できる形態のサプリメントとは言えなかった。
【0009】
チュアブルタイプの錠剤は、噛んで食べる形態のサプリメントであり、水なしで、場所を選ばず服用できる。しかしながら、コラーゲンは、口に含んだ時、歯、唇、口腔内等にまとわりつき易く、非常に食感が悪い。このため、これまでのチュアブルタイプの錠剤は、コラーゲンの食感を抑えるためコラーゲン含量を低くして、摂取する錠数を増やすか、もしくは、食感を犠牲にしてコラーゲン含量を高くし、一度に摂取する錠数を減らしていたので、手軽にかつ美味しく摂取できるものではなかった。
【0010】
また、上記特許文献1、2には、コラーゲンを含むタブレットや顆粒などの製剤が開示されている。しかしながら、上記特許文献1、2は、コラーゲンの加工時の物理的特性に着目した製剤化技術に関する発明であり、各種剤形に成型した場合において生じるコラーゲンの食感による問題については何ら開示されていない。
【0011】
また、上記特許文献1、2に開示された製剤は、主として水と共に飲み込むタイプの製剤であり、場所などを問うことなく手軽に摂取できるものではなかった。
【0012】
したがって、本発明の目的は、少ない錠数で生理活性が期待できる量のコラーゲンを手軽に摂取でき、かつ、口腔内で噛んで摂取しても、コラーゲンが歯や口腔内に付着することなく、良好な食感を有するコラーゲン錠剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のコラーゲン錠剤は、平均粒子径が50μm以下の非水溶性カルシウム塩(A)及び/又は平均粒子径が100μm以下の難水溶性多糖類(B)を含有し、コラーゲンの含有量が10〜60質量%であり、錠剤の硬度が5〜13kgfであり、1錠当りの質量が1,000〜3,000mgであることを特徴とする。
【0014】
本発明のコラーゲン錠剤によれば、1錠当りの質量が1,000〜3,000mgであり、かつ、コラーゲンを10〜60質量%含有するので、少ない錠数で生理活性が期待できる量のコラーゲンを容易に摂取することができる。また、平均粒子径が50μm以下の非水溶性カルシウム塩(A)及び/又は平均粒子径が100μm以下の難水溶性多糖類(B)を含有するので、これらの原料による作用によって、コラーゲンが歯や口腔内等に付着し難くなり、食感が良好である。そして、錠剤の硬度が5〜13kgfであるので、容易に噛み砕ける程度で、かつ、取り扱い上の困難性を伴わない程度の硬度であるので、水がなくても摂取が可能であり、更には、携帯中や摂取時に錠剤が崩れることもなく、誰でも場所を問わず容易に摂取が可能である。
【0015】
本発明のコラーゲン錠剤は、前記コラーゲンが、平均分子量10,000以下のコラーゲンペプチドであることが好ましい。この態様によれば、コラーゲンの吸収性が向上するので、より優れた生理活性効果が得られる。
【0016】
本発明のコラーゲン錠剤は、1錠当りのコラーゲンの含有量が200〜1,800mgであることが好ましい。この態様によれば、より少ない錠数で、生理活性効果を得るのに必要とするコラーゲンを摂取できる。
【0017】
本発明のコラーゲン錠剤は、前記非水溶性カルシウム塩(A)、前記難水溶性多糖類(B)を合計で10〜60質量%含有することが好ましい。
【0018】
本発明のコラーゲン錠剤は、前記非水溶性カルシウム塩(A)が、炭酸カルシウム及び/又はリン酸カルシウムであることが好ましい。
【0019】
本発明のコラーゲン錠剤は、前記難水溶性多糖類(B)が、コーンスターチ及び/又は米澱粉であることが好ましい。
【0020】
上記各態様によれば、摂食した際に、口腔内へのコラーゲンの付着をより効果的に防止できる。
【0021】
本発明のコラーゲン錠剤は、PTP包装されていることが好ましい。この態様によれば、携帯性や保存性にも優れたコラーゲン錠剤とすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のコラーゲン錠剤は、容易に噛み砕ける程度の硬度であり、且つ、歯や口腔内におけるコラーゲンの付着もないため、大型の錠剤でありながら老若男女問わず摂取が容易であり、水がなくても摂取が可能である。また、取り扱い上の困難性を伴わない程度の十分な硬度を有しているため、携帯中や摂取時に錠剤が崩れることもなく、誰でも場所を問わず容易に摂取が可能である。そして、1錠当りのコラーゲン含有量が高いので、少ない錠数で十分な生理活性が期待できる量のコラーゲンを摂取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明において用いることのできるコラーゲンは、その起源、抽出方法、分子量等において特に制限されるものではない。例えば、豚、牛、鶏等の骨や、皮、または魚の骨、皮、ウロコに含まれるコラーゲンを熱水抽出、加圧抽出等の抽出方法によって得られたコラーゲンを使用することができ、分子量としては10万以上の高分子のものから1000以下のペプチド状に分解されたものまで用いることができる。なかでも、吸収率の面から、平均分子量10,000以下のいわゆるコラーゲンペプチドと呼ばれるコラーゲンが好ましく用いられ、より好ましくは平均分子量1,000〜4,000のコラーゲンが用いられる。平均分子量10,000以下のコラーゲンペプチドを用いることで、人体への吸収率を高めることができ、より優れた生理活性効果が得られる。
【0024】
また、上記コラーゲンは、固形分中の遊離アミノ酸含量が1.0質量%以下、ヒ素含量が2ppm以下であることが好ましい。このようなコラーゲンは、既に外用剤やサプリメントとして使用実績が豊富であるため、安全性等の問題がなく、安心して使用することが可能である。そして、コラーゲン原料の特有の味や臭いがなく、更には、ヒ素含量2ppm以下と非常に低いので安全性が高く、幅広い分野に使用することができる。
【0025】
魚由来のコラーゲンは、例えば、特開2003−238597号公報に記載されている方法に従って得ることができる。
【0026】
すなわち、カツオ、マグロ、カジキ、タラ、アジ、サバ、サケ、マス、サンマ、ウナギ、ティラピア、カワハギ、ハタ、オヒョウ、カレイ、ヒラメ、ニシン、イワシ、ティラピア、サメ、エイ、フグ、ブリ、カサゴ、メバル等から得られる魚皮及び/又は魚骨に、水を加えて加熱抽出又は加圧加熱抽出することにより、魚類由来のコラーゲンを得ることができる。上記魚類の中でも、大量かつ安定的に入手できることから、カツオ、マグロ、タラ、ティラピア、オヒョウ、サケ等を用いることが好ましい。
【0027】
また、コラーゲンペプチドは、コラーゲンを含む抽出物を、タンパク加水分解酵素で処理してコラーゲンをペプチド化し、逆浸透膜処理して濃縮液を回収することで得られる。なかでも、濃縮の際に、適宜加水しながら、元液量の1〜10倍量、好ましくは3〜5倍量の水を加えて液を透過させることが好ましい。加水操作を繰り返すことにより、不純物をより効率よく除去することができ、更には、魚特有の風味を軽減できるので、より安全性の高いコラーゲンペプチドを得ることができる。このようなコラーゲンペプチドとしては、商品名「マリンマトリックス」(焼津水産化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0028】
コラーゲンのペプチド化に用いる上記タンパク加水分解酵素としては、特に制限されず、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、あるいはそれらを含有する酵素製剤などを用いることができる。また、酵素製剤は各社から市販されており、例えば、商品名「プロテアーゼN」(天野エンザイム製、中性プロテアーゼ)、商品名「プロテアーゼP−3」(天野エンザイム製、アルカリ性プロテアーゼ)、商品名「スミチームAP」(新日本化学工業製、酸性プロテアーゼ)などを用いることができる。また、上記逆浸透膜としては、食塩阻止率が10〜50%のものが好ましく用いられる。このような逆浸透膜としては、例えば、商品名「NTR−7410」、商品名「NTR−7430」、商品名「NTR−7450」(いずれも日東電工製)等が挙げられる。
【0029】
また、所望の平均分子量のコラーゲンペプチドを製造する場合には、例えば、蒸気圧浸透法、光散乱法、電気泳動法、GPC‐HPLC法等の方法により平均分子量を測定することで、所望の平均分子量のコラーゲンペプチドを得ることができる。
【0030】
具体的な測定方法としては、例えば、GPC‐HPLC法でコラーゲンペプチドの平均分子量を測定する場合は、GPC‐HPLC装置(カラム:「TSK‐gel guardcolumnPWXL」(東ソー株式会社製)、「TSK‐gel G3000PWXL」(東ソー株式会社製)、「TSK‐gel G2500PWXL」(東ソー株式会社製)、移動相:0.5% 塩化ナトリウム水溶液、流速:0.8mL/min、カラム温度:30℃、検出:RI、HPLCポンプ:「HITACHIL−7100型」(日立製作所製)を使用し、標準物質として、ラミナリテトラオース(分子量660)、ラミナリヘキサオース(分子量990)、プルラン5量体(分子量5,900)、プルラン10量体(分子量11,800)、プルラン20量体(分子量22,800)を用いて、これら標準物質との相対分子量から求めることができる。
【0031】
本発明のコラーゲン錠剤は、コラーゲンを10〜60質量%含有する。また、一錠当たりのコラーゲンの含有量は、200〜1,800mgが好ましく、200〜1,200mgがより好ましく、200〜600mgが最も好ましい。コラーゲンの含有量が上記範囲であれば、少ない錠数で十分量のコラーゲンを摂取することができる。また、コラーゲンが口腔内への付着しにくいので、食感が損なわれることもない。
【0032】
本発明のコラーゲン錠剤は、平均粒子径が50μm以下の非水溶性カルシウム塩(A)及び/又は平均粒子径が100μm以下の難水溶性多糖類(B)を含有する。上記非水溶性カルシウム塩(A)、難水溶性多糖類(B)を含有することで、コラーゲン錠剤を噛んで摂食した際に生じる口腔内へのコラーゲンの付着が防止できるので、コラーゲン錠剤の食感が改善される。これらは、それぞれ単独で配合してもよいが、非水溶性カルシウム塩(A)と難水溶性多糖類(B)とを併用することで、口腔内へのコラーゲンの付着をより効果的に防止できるので、より食感の優れたコラーゲン錠剤とすることができる。
【0033】
上記非水溶性カルシウム塩(A)としては、常温、中性域での溶解度が0.1g/100ml以下のカルシウム塩で、且つ平均粒子径が50μm以下のものが用いられる。平均粒子径が50μmを超えるとカルシウム塩の食感が口腔内で強く感じられ、粉っぽさやザラツキ感が強くなり、コラーゲン錠剤の食感が損なわれてしまう。また、中性域での溶解度が0.1g/100mlを超えると口腔内で速やかに溶解してしまい、コラーゲンの付着が発生したり、カルシウム塩由来の異味が発生し、コラーゲン錠剤の食感、風味が悪化する。
【0034】
カルシウム塩の種類は、上記物性を有し、且つ食品、医薬品で許容されるものであれば特に制限されない。例えば、食品であれば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等が挙げられる。炭酸カルシウムとしては、石灰石を粉砕して得られる重質炭酸カルシウム、消石灰から合成した軽質炭酸カルシウム、その他に卵殻、貝殻等由来の焼成カルシウム、未焼成カルシウム等が挙げられる。また、リン酸カルシウムとしては、魚骨由来の焼成カルシウム、未焼成カルシウム等が挙げられる。これらのカルシウム塩は市販されており、貝殻由来の未焼成カルシウムであれば、商品名「シーシェルCa」(焼津水産化学工業株式会社)、魚骨由来の焼成カルシウムであれば、商品名「焼成ボニカル」(焼津水産化学工業株式会社)が挙げられる。
【0035】
そして、本発明のコラーゲン錠剤に、上記非水溶性カルシウム塩(A)を配合した場合には、コラーゲンの口腔内への付着を防止して、食感を向上できると共に、骨強化、骨密度の向上、骨粗鬆症の予防・改善の面で、コラーゲンとの相乗効果も期待される。
【0036】
上記難水溶性多糖類(B)としては、37℃、中性域での溶解度が1g/100ml以下の多糖類で、且つ平均粒子径が100μm以下、より好ましくは平均粒子径が50μm以下、最も好ましくは平均粒子径が20μm以下のものが用いられる。水溶性多糖類を用いると、口腔内で速やかに溶解してしまい、コラーゲンの付着が発生したり、多糖類そのものが口腔内に付着し、コラーゲン錠剤の食感が悪化する。また、難水溶性多糖類であっても、平均粒子径が100μmを超えると、多糖類の食感が口腔内で強く感じられ、粉っぽさやザラツキ感が強くなり、コラーゲン錠剤の食感が損なわれる。
【0037】
上記難水溶性多糖類(B)における多糖類の種類としては、上記物性を有し、且つ食品、医薬品で許容されるものであれば特に制限されない。例えば、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘薯澱粉、小麦澱粉、豆類澱粉、米澱粉等の澱粉類等が挙げられ、澱粉類の中でも粒径の細かいコーンスターチ、米澱粉が特に好ましく用いられる。
【0038】
本発明のコラーゲン錠剤は、非水溶性カルシウム塩(A)及び難水溶性多糖類(B)を、合計で10〜60質量%含有することが好ましく、20〜40質量%含有することがより好ましい。これらの合計量が10質量%未満であると、口腔内へのコラーゲンの付着を十分に防止できないことがある。また、60質量%を超えると、コラーゲンや他の賦形剤の含量が低くなり、上記粉体の粉っぽさが口腔内で強く感じられ、コラーゲン錠剤の食感が損なわれることがある。
【0039】
本発明のコラーゲン錠剤は、上記基本的成分の他に、味や物性に悪影響を与えない範囲で他の成分を含有することができる。例えば、アルギニン、タウリン、グルタミン酸、ヒスチジン、分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)等のアミノ酸、ヒスチジン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、アンセリン、カルノシン、ホモカルノシン、バレニンのようなイミダゾール化合物、オクタコサノール、クエン酸、酢酸、キチンダイマー、キチンペンタマー、キトサンヘキサマー、オリゴグルコサミン、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トウガラシ、高麗人参、酵母亜鉛、酵母セレン、イソフラボン、ビタミン類等を適宜用いることができる。これらの成分を配合することにより、様々な生理機能を付与することができる。
【0040】
また、本発明のコラーゲン錠剤は、打錠副資材として、必要に応じて、(1)賦形剤(糖類):デキストリン等の澱粉分解物、カラギーナン、寒天、アルギン酸、グアガム、キトサン、キサンタンガム等の多糖類、砂糖、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖等の単糖類、二糖類、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖等のオリゴ糖類、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール類等、(2)増粘剤:グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸、ペクチン等、(3)滑沢剤(乳化剤):ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等、(4)その他:香料、色素等を物性に悪影響を与えない範囲で使用することが出来る。
【0041】
本発明のコラーゲン錠剤は、1錠あたりの質量が、1,000〜3,000mgであり、好ましくは1,200〜2,000mgである。1錠あたりの重量が1,000mg未満であると、1錠中に十分な量のコラーゲンを配合させることが困難である。また、1錠あたりの質量が3,000mgを超えると、打錠加工における安定性が低下して、品質安定性が低下し、更には、1錠を一口で摂取することが困難になる。
【0042】
また、本発明のコラーゲン錠剤は、硬度が5〜13kgfであり、好ましくは7〜9kgfである。硬度が5kgf未満であると、製品の流通や保存時に錠剤が崩壊してしまう。また、硬度が13kgfを超えると、摂取時の口腔内における崩壊性が悪くなり、結果として食感の悪い錠剤となってしまう。
【0043】
本発明のコラーゲン錠剤の製造方法は、特に限定されるものではなが、例えば、下記のような方法で製造することが出来る。
【0044】
(1)造粒工程
まず、滑沢剤を除く原料粉体を混合し、水、エタノール等をバインダーとして造粒する。造粒方法については、特に限定されず、公知の方法を採用することができるが、流動層造粒機、撹拌造粒機、押出し造粒機等が例示できる。なお、加工条件は使用する装置により異なるので、適宜決定すればよい。
【0045】
(2)打錠成型工程
前記工程で得られた造粒物と、必要に応じて滑沢剤を混合した打錠加工用原料を成型する。打錠成型方法については、特に限定されず、公知の方法を採用することができるが、高速回転式錠剤機等が例示できる。加工条件は使用する装置によって異なるが、錠剤の硬度を5〜13kgf、好ましくは錠剤の硬度を7〜9kgf、1錠当りの質量を1,000〜3,000mg、好ましくは1,200〜2,000mgとなるように適宜調整する。
【0046】
このようにして得られる本発明のコラーゲン錠剤は、噛んで食べた時、口腔内にコラーゲンが付着し難く、また、粉っぽさが感じられないので、チュアブルタイプの錠剤として特に好適に用いることができる。また、携帯性や保存性の向上、錠剤の取り出しやすさの点から、PTP(Press Through Package)包装することが好ましい。
【実施例】
【0047】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、本実施例において、コラーゲンペプチドは商品名「マリンマトリックス」(焼津水産化学工業株式会社製)、魚骨焼成カルシウムは商品名「焼成ボニカル」(焼津水産化学工業株式会社製:平均粒子径10μm)を使用した。
【0048】
(試験例1)
表1に示す配合の造粒加工用原料を用いて、常法にしたがって、流動造粒装置(商品名「フローコーター」;フロイント産業社製)により、造粒加工及び乾燥を行った。乾燥は温度80℃にて水分が1%以下になるまで行った。乾燥後、表1に示す配合の打錠加工用原料を混合して、常法にしたがって、打錠機(商品名「VIRGO」;(株)菊水製作所製)により、打錠圧1000kgで打錠加工を行い、コラーゲン錠剤(15mm丸、1,000mg/錠)を製造した。得られたコラーゲン錠剤の硬度及び食感を評価し、その結果を表1に併せて記す。
なお、コラーゲン錠剤の硬度は、硬度計(商品名「FY−KD−20」、株式会社富士薬品器械製)を用いて、日局硬度測定法に準じて硬度の測定を行った。
また、コラーゲン錠剤の食感は、5人のパネラーに試食してもらい、噛んだときの食感に関して、口腔内への付着、及び粉っぽさ・ザラツキ感の2項目に関して、それぞれ3段階(1点:強く感じる、2点:少し感じる、3点:全く・ほとんど感じない)で評価した。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例1〜4の錠剤は、いずれも口腔内の付着や粉っぽさ・ザラツキ感が少なく、特に魚骨カルシウムとコーンスターチを併用した実施例4は良好であった。
一方、平均粒径127μmのキトサンを使用した比較例1では、キトサンのザラツキ感が強く出てしまい、また、比較例2ではコラーゲンが口腔内で付着してしまい、いずれも食感が悪かった。
【0051】
(試験例2)
表2に示す配合の造粒加工用原料を用いて、常法にしたがって、流動造粒装置流動造粒装置(商品名「フローコーター」;フロイント産業社製)により、造粒加工及び乾燥を行った。乾燥は温度80℃にて水分が1%以下になるまで行った。
乾燥後、表2に示す配合の打錠加工用原料を混合して、常法にしたがって、打錠機(商品名「TEGA 1024SS4−HY」、株式会社菊水製作所製)により、打錠圧1000kgで打錠加工を行い、コラーゲン錠剤(20mm丸、1,850mg/錠)を製造した。
【0052】
【表2】

【0053】
試験例1同様、錠剤の硬度を測定したところ、8kgfであった。また、この錠剤を試食した結果、容易に噛み砕くことができ、また口腔内への付着も感じられなかった。
また、この錠剤をPTP包装装置(商品名「HM−135」、テクノ自動機製作所製)を用いて常法に従いPTP包装を行った。PTP包装は特に問題なく円滑に行われた。そして、移送中や保存中、またはPTP包装からの取り出し時に錠剤の形状が崩れることはなかった。
【0054】
(試験例3)
表3に示す配合の造粒加工用原料を用いて、常法にしたがって、流動造粒装置(商品名「FD−WH(G)−60型」、POWREX社製)により、造粒加工及び乾燥を行った。乾燥は温度80℃にて水分が1%以下になるまで行った。
乾燥後、表3に示す配合の打錠加工用原料を混合して、常法にしたがって、打錠機(商品名「TEGA 1024SS4−HY」、株式会社菊水製作所製)により、打錠圧1000kgで打錠加工を行い、コラーゲン錠剤(20mm丸、1,850mg/錠)を製造した。
【0055】
【表3】

【0056】
試験例1同様、錠剤の硬度を測定したところ、8kgfであった。また、この錠剤を試食した結果、容易に噛み砕くことができ、また口腔内への付着も感じられなかった。
また、この錠剤をPTP包装装置(商品名「HM−135」、テクノ自動機製作所製)を用いて常法に従いPTP包装を行った。PTP包装は特に問題なく円滑に行われた。そして、移送中や保存中、またはPTP包装からの取り出し時に錠剤の形状が崩れることはなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンを含有する錠剤であって、
平均粒子径が50μm以下の非水溶性カルシウム塩(A)及び/又は平均粒子径が100μm以下の難水溶性多糖類(B)を含有し、コラーゲンの含有量が10〜60質量%であり、錠剤の硬度が5〜13kgfであり、1錠当りの質量が1,000〜3,000mgであることを特徴とするコラーゲン錠剤。
【請求項2】
前記コラーゲンが、平均分子量10,000以下のコラーゲンペプチドである請求項1記載のコラーゲン錠剤。
【請求項3】
1錠当りのコラーゲンの含有量が200〜1,800mgである請求項1又は2に記載のコラーゲン錠剤。
【請求項4】
前記非水溶性カルシウム塩(A)及び前記難水溶性多糖類(B)を合計で10〜60質量%含有する請求項1〜3のいずれか一つに記載のコラーゲン錠剤。
【請求項5】
前記非水溶性カルシウム塩(A)が、炭酸カルシウム及び/又はリン酸カルシウムである請求項1〜4のいずれか一つに記載のコラーゲン錠剤。
【請求項6】
前記難水溶性多糖類(B)が、コーンスターチ及び/又は米澱粉である請求項1〜4のいずれかに一つに記載のコラーゲン錠剤。
【請求項7】
PTP包装されている請求項1〜6のいずれか一つに記載のコラーゲン錠剤。

【公開番号】特開2008−247809(P2008−247809A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91253(P2007−91253)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(390033145)焼津水産化学工業株式会社 (80)
【Fターム(参考)】